JP2006166162A - パルス波形整形機能を有する通信システムおよび通信方法 - Google Patents

パルス波形整形機能を有する通信システムおよび通信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
システムのタイミング設計を容易にするパルス波形整形機能を有する通信システムおよびその送信装置を提供する。
【解決手段】
送信器11から受信器13へ伝送路12を通して光パルスを送信するシステムにおいて、送信器11は、受信器13から入力した光パルスの波形を分散補償器113によって整形し、続いて、整形された光パルスに対して位相変調器112により位相変調を行い、位相変調された光パルスを分散補償器113を通して伝送路へ送出する。受信器は伝送路を通して到達した光パルスに対して位相変調器135によって位相変調し、送信側と受信側との位相シフト差によって情報が検出される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、伝送路における伝送パルスの広がりを補償することのできる通信システムおよび波形整形機能を有する送信装置に関する。本発明は、たとえば量子物理学においてその安全性が保証されている量子暗号鍵配布システムに適用することができる。
急激な成長を続けるインターネットは、便利である反面、その安全性に大きな不安を抱えており、通信の秘密保持の為に暗号技術の必要性が高まっている。現在一般的に用いられている暗号方式は、DES(Data Encryption Standard)やTriple DESといった秘密鍵暗号と、RSA(Rivest Shamir Adleman)や楕円曲線暗号の様な公開鍵暗号とに分類される。しかし、これらは「計算の複雑性」を元にその安全性を保証する暗号通信方法であり、膨大な計算量を高速処理するコンピュータや暗号解読アルゴリズムの出現によって解読されてしまう危険性を常に孕んでいる。こういった背景の下、量子暗号鍵配布システム(以下、QKDという。)は、「絶対に盗聴されない」暗号鍵配布技術として注目されている。
QKDでは一般に通信媒体として光子を使用し、その偏光、位相等の量子状態に情報を載せて伝送を行う。伝送路の盗聴者は伝送中の光子をタッピングするなどして情報を盗み見るが、Heisenbergの不確定性原理により、1度観測されてしまった光子を完全に観測前の量子状態に戻すことは不可能である。この観測(盗聴)によって正規の受信者が検出する受信データの統計値に変化が生じ、この変化により受信者は伝送路における盗聴者の有無を検出することができる。すなわち、受信データの統計値に変化が生じていない限り、“絶対”に盗聴されていないことを証明することが可能である。
位相変調を用いた量子暗号鍵配布方法の場合、送信側および受信側(以下、通例に従って、それぞれAliceおよびBobと称する。)で干渉計を構成し、各々の光子にAliceおよびBobでそれぞれランダムに位相変調を施す。この変調位相深さの差によって1あるいは0の出力を得ることができる。そして、検出できた出力についてAliceおよびBobのそれぞれの側で出力データを変調したときの条件を照合することにより、最終的にAlice−Bob間で同一ビット列を共有することが出来る。このような秘密情報を共有する手順としては、たとえば4つの量子状態を用いたBB84(Bennett Brassard 84)プロトコル等が知られている。
特表2000−517499号公報(特許文献1)および「Automated 'plug & play' quantum key distribution」(G. Ribordy, J. _D. Gautier, N. Gisin, O. Guinnard and H. Zbinden:非特許文献1)には、最も実用化に適した構成として頻繁に用いられているPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムが開示されている。以下、このPlug&Play方式について簡単に説明する。
図12は、従来のPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムの概略的構成を示すブロック図である。Plug&Play方式では、まず、量子暗号鍵の受信器73(Bob)のレーザダイオード(LD)735で光パルスPを発生させ、それを光カプラ733によって2分割し、一方の光パルスP1は短いパスPSを通して、他方の光パルスP2は長いパスPLを通して、それぞれ相前後して送信器71(Alice)へ送信する。Alice71は、光伝送路72を通して光パルスP1およびP2を順次受信する。光パルスP1はファラデーミラー711で偏光状態が90°回転して反射し、さらに光減衰器713により光パワーが微弱に減衰してBob73へ返送される。他方、光パルスP2は、ファラデーミラーで同様に反射すると共に位相変調器712により位相変調(φA)され、位相変調された光パルスP2*Aが光減衰器713により同様に微弱に減衰してBob73へ返送される。
Bob73では、Alice71から受信した光パルスP1を送信時とは異なる長いパスPLを通すと共に位相変調器732により位相変調(φB)し、位相変調された光パルスP1*Bを得る。他方、Alice71で位相変調された光パルスP2*Aは送信時とは異なる短いパスPSを通した後、Bob73で位相変調された光パルスP1*Bと干渉させ、その結果を光子検出器で検出する。全体として、Bob73内で2分割された光パルスP1およびP2はAlice71との間で同じ光パスを通過して干渉するので、光子検出器で観測される干渉結果は、光伝送路72の遅延変動等が相殺され、Alice71の位相変調φAとBob73の位相変調φBとの差に依存する。このような折り返し構成において、短いパスPSおよび長いパスPLからなる干渉計により生じる光子パルスP1とP2との間隔が往復時間より長い時間だけ一定に保たれば精度の良い干渉を実現できる。
特開2004−93561号公報(特許文献2)には、光が光伝送路を伝搬することにより生じる光の色分散を「逆分散」を加えることにより補償する、3Dミラーを用いたバーチャル・イメージ・フェーズド・アレイ(VIPA)の装置が開示されている。
特開2000−183815号公報(特許文献3)には、波長分割多重伝送システムの送信側において各チャネルの光変調後に隣接チャネルと異なる波長分散を与えることにより、隣接チャネルからのクロストークおよび光伝送路の波長分散を補償するシステムが開示されている。
その他、本発明の実施例で使用される構成要素に関連する先行文献として、Tomitaらによる"Balanced, gated-mode photon detector for quantum-bit discrimination at 1550nm"(非特許文献2)には平衡型ゲートモード光子検出器が記載されており、Tanakaらによる"Temperature independent QKD system using alternative-shifted phase modulation"(非特許文献3)には、PBSループミラーで光パルスを周回させ、その周回方向に応じて半波長分(π)の変調位相差を与えることでファラデーミラーによる回転作用と同様の効果を得る交互位相シフト変調法(Alternative-Shifted Phase Modulation)が開示されている。
特表2000−517499号公報 特開2004−93561号公報 特開2000−183815号公報 "Automated 'plug & play' quantum key distribution" G. Ribordy, J. _D. Gautier, N. Gisin, O. Guinnard and H. Zbinden "Balanced, gated-mode photon detector for quantum-bit discrimination at 1550nm" Optics letters, vol. 27 (2002) pp1827-1829 A. Tomita, K. Nakamura "Temperature independent QKD system using alternative-shifted phase modulation" A. Tanaka, A. Tomita, A. Tajima, T. Takeuchi, S. Takahashi, Y. Nambu (European Conference On Optical Communication 2004, Proceedings Vol.2 pp. 260)
しかしながら、上記従来技術では、伝送路の波長分散等の影響により引き起こされるパルスの広がりについて全く考慮されていない。特に、高い消光比を得るためにレーザダイオード(LD)を直接変調することにより光パルスを作り出すと、半導体レーザ媒質の屈折率変化に伴う高いチャーピングのために波長分散によってパルス広がりを起こしやすくなる。
図12で説明したPlug&Play方式のような光パルス折り返し構成では、上述したように、伝送する光子パルスP1とP2との間隔を、少なくとも往復する間、所定間隔以上に維持することが必要である。位相変調器を双方向で使用することになるので、光パルス送出繰り返しレートが高速になればなる程、システムのタイミング設計が困難になる。光パルスが広がった状態では適切な位相変調を施すためのタイミング設計が不可能になりかねない。
パルスの広がりを補償する周知の分散補償ファイバや分散補償モジュールを伝送路中に設けることも可能である。しかしながら、たとえば量子暗号鍵配布システムの伝送路中に単に配置するだけでは、その損失のために暗号鍵生成速度が劣化するという新たな問題が生じてしまう。
本発明の目的はシステムのタイミング設計を容易にするパルス波形整形機能を有する通信システムおよびその送信装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、システムのタイミング設計を容易にするとともに、効率的な情報伝送を達成するパルス波形整形機能を有する通信システムおよびその送信装置を提供することにある。
本発明によれば、第1通信装置から第2通信装置へ伝送路を通して光パルスを送信するシステムにおける前記第1通信装置は、送信すべき光パルスを圧縮するパルス圧縮手段と、前記パルス圧縮手段により圧縮された光パルスの所定パラメータに対して第1の処理を行い前記第2通信装置へ送信する送信処理手段と、を有し、前記第2通信装置は前記伝送路を通して到達した光パルスの前記所定パラメータに対して第2の処理を行うことで情報を検出する受信処理手段を有する、ことを特徴とする。光パルスの所定パラメータとしては、位相状態あるいは偏光状態が代表的である。パルス圧縮手段は前記伝送路における蓄積分散補償を行う分散補償器であることが望ましい。
さらに、望ましい実施形態として、パルス圧縮手段の光強度減衰特性を利用して、前記第2通信装置へ送出される光パルスの光強度を所定のレベルに微弱化させる。第1通信装置は、前記圧縮された光パルスの光強度を所定のレベルに微弱化させる光減衰手段を更に有することができる。光パルスが第1通信装置と第2通信装置との間で往復する方式では、前記送信処理手段から出力する光パルスを再度前記パルス圧縮手段を通して前記第2通信装置へ送信することで、その光強度を所定のレベルに微弱化させることが可能である。
さらに別の実施形態として、前記第1通信装置は、前記伝送路の長さを測定する測定手段と、前記測定された伝送路長に応じて前記分散補償器の分散補償設定値を変化させる制御手段と、を更に有することができる。
また、更に他の実施形態として、前記第1通信装置は、前記送信すべき光パルスを所定の時間帯で前記第2通信装置から前記伝送路を通して入力し、前記パルス圧縮手段は前記伝送路における蓄積分散補償を行う分散補償ファイバであり、当該分散補償ファイバの長さは、前記所定の時間帯に発生した一連の光パルスが前記分散補償ファイバに収まる程十分な長さであることが望ましい。
本発明の他の側面によれば、第1通信装置から第2通信装置へ伝送路を通して光パルスを送信する方法は、前記第1通信装置が、送信すべき光パルスを圧縮し、圧縮された光パルスの所定パラメータに対して第1の処理を行い前記第2通信装置へ送信し、前記第2通信装置が前記伝送路を通して到達した光パルスの前記所定パラメータに対して第2の処理を行うことで情報を検出することを特徴とする。
一実施形態によれば、前記第1通信装置は、前記第2通信装置から前記伝送路を通して光パルスを入力し、前記入力した光パルスをパルス圧縮器により圧縮し、圧縮された光パルスの所定パラメータに対して第1の処理を行うことで送信光パルスを生成し、前記送信光パルスを前記パルス圧縮器により圧縮して前記伝送路へ送出する。さらに、前記第2通信装置は、前記第1通信装置へ前記伝送路を通して光パルスを出力し、前記第1通信装置から前記伝送路を通して光パルスが返送されると、当該光パルスの前記所定パラメータに対して第2の処理を行うことで情報を検出する。
上述したように、本発明によれば、送信側の第1通信装置において、光パルスを圧縮した後で光パルスの位相などのパラメータに対して変調などの処理を行う。したがって、光パルスの広がりが抑制された状態で返答動作を実行することができ、変調器を駆動する際の駆動電圧を安定させ易くなり、動作タイミングの設計が容易になる。同様に、パルス圧縮されて伝送されるために、光パルスが伝送路を伝搬する際のパルス波形の広がりが抑制される。したがって、受信側の第2通信装置においても受信光パルスに対する処理のタイミング設計が容易になる。このことにより受信側の検出回路を高精度に設計することが可能となり検出精度を向上させることが容易になる。
本発明を量子暗号鍵配布システムに適用すると、量子暗号鍵生成レートを劣化させること無く、システムのタイミング設計が容易になるという効果を得ることができる。その理由は、送信器の位相変調器の前段にパルス圧縮媒体を配置することにより、位相変調器並びに受信器においてパルス幅の圧縮された光パルスが入力する為である。
また、パルス圧縮手段としての分散補償器は損失を有するので、この損失を送信光パルス強度の微弱化に利用することができる。これにより、送信器内の光減衰器を不要にすることも可能である。光減衰器を用いる場合でも、減衰量が大きなものを選択する必要がないために、安価なデバイスを提供することができる。その理由は、送信器内に使用する光減衰器の減衰量を小さくすることができるからである。
以下、本発明によるパルス波形整形機能を有する通信システムをPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムに適用した実施形態を詳細に説明する。ただし、Plug&Playシステムの基本的な構成および動作については、図12のシステムで用いた記号を適宜用いて詳細は省略する。
1.第1実施形態
1.1)構成
図1は本発明の第1実施形態によるPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。本実施形態では、送信器(Alice)11と受信器(Bob)13とが光ファイバ等の伝送路12を通して接続されている。
Alice11は、ファラデーミラー(FM)111、位相変調器112、および、分散補償器113を有し、位相変調を行う前に分散補償器113により分散補償を行う構成となっている。分散補償器113は、後述するように、伝送路12での蓄積分散の逆分散となるように設定されており、Bob13から受信した光パルス(P1およびP2)に対してパルス圧縮を行い位相変調器112へ出力する。
位相変調器112は、所定間隔の光パルスP1およびP2の一方のタイミングでAlice側の乱数データに従った位相変調(φA)を行い、位相変調された光パルス(ここでは、P2*A)および位相変調されなかった光パルス(ここでは、P1)がファラデーミラー111で反射する。反射により偏光がそれぞれ90°回転した光パルスは分散補償器113で再度パルス圧縮され、同時に分散補償器113が一般的に有する大きな損失を利用して単一光子状態の微弱パルスとなってBob13へ送出される。
Bob13は、偏光ビームスプリッタ(PBS)131、位相変調器132、光カプラ133、光サーキュレータ134、レーザダイオード(LD)135、および、平衡型ゲートモード光子検出器136を構成するアバランシェフォトダイオードAPD1、APD2を有する。
レーザダイオード135に電圧が印加されることで放出された光パルスは光サーキュレータ134によって光カプラ133へと送られる。光パルスは光カプラ133によって2分岐され、一方のパルスP1は偏光ビームスプリッタ131へ直接送られ、そのまま透過して伝送路12へ送出される。もう一方のパルスP2は位相変調器132を介して偏光ビームスプリッタ131へ送られ、偏光ビームスプリッタ131で反射して伝送路12へ送出される。既に述べたように、光カプラ113と偏光ビームスプリッタ131とを短いパスPSおよび長いパスPLで接続することにより、時間的に分割された2つの光パルスP1およびP2を生成することができる。
偏光ビームスプリッタ131は、これら時間的に分割された光パルスP1およびP2をそれぞれ伝送路12へと送り出す。光パルスP1およびP2は伝送路12を通過してAlice11に入力するが、Alice11に到達したときには伝送路12における波長分散の蓄積によって波形が広がった状態となっている。
Bob13は、上述したように、Alice11のファラデーミラー111での反射によって偏光が90°回転すると共に位相変調された光パルスP2*Aおよび位相変調されなかった光パルスP1を伝送路12を通して光パワーが微弱な状態で受信する。Alice11のファラデーミラー111での反射により偏光が90°回転しているので、光パルスP2*Aは偏光ビームスプリッタ131を透過し短いパスPSを通して光カプラ133に到達する。他方、光パルスP1は偏光ビームスプリッタ131で反射して長いパスPLを通り、位相変調器132によりBob側の乱数データに従って位相変調(φB)され、位相変調された光パルスP1*Bが光カプラ133に到達する。
こうして光カプラ133で2分岐した光パルスP1およびP2は、それぞれ全体として同一パスを通って光カプラ133に戻り、Alice11で位相変調された光パルスP2*AとBobで位相変調された光パルスP1*Bとが干渉し、その結果が光子検出器136により観測される。上述したように、平衡型ゲートモード光子検出器136で観測される干渉結果は、伝送路12の遅延変動等が相殺され、Alice11の位相変調φAとBob13の位相変調φBとの差に依存する。
上述したように、BobからAliceへの往路において、Alice11の分散補償器113により伝送路12の蓄積分散によるパルス広がりが補償され、復路では分散補償器113によって分散過補償の状態にすると同時に、分散補償器113の減衰作用によって単一光子状態にされ、伝送路12へと送り出される。したがって、伝送路12を通過した時点で光パルスはいわば波形整形された状態になっている。
ここで、分散補償器113は一般に損失が大きい。たとえば、特許文献2に記載されたVIPAを用いた場合には、その挿入損は約8dBであり、Plug&Play方式のような往復型のシステムでは、16dBの損失を作り出すことができる。つまり、通常の光通信では回避されるべき挿入損を、量子暗号通信では単一光子状態を作り出すための手段として利用することが可能となる。従って、Alice11に光減衰器を保有する必要がなくなり、Alice11の分散補償器113の損失とBob13のレーザダイオード(LD)135の出力調整のみで単一光子状態を生成することができる。
1.2)動作
図2は本発明の第1実施形態によるPlug&Play方式量子暗号鍵配布システムの主要動作を概略的に示すフローチャートである。
まず、受信者であるBobが光パルス列を発生し(ステップS1)、送信者であるAliceに送信する(ステップS2)。Aliceは送られてきた光パルスに対して、パルス圧縮媒体(図1では分散補償器113)を使用して光パルス幅を圧縮し、かつ、当該パルス圧縮媒体の損失によって光強度を減衰させる(ステップS3)。
続いて、Aliceは光パルスに対して第1の位相変調(φA)を行い(ステップS4)、ファラデーミラーを使用して光パルスを反射し(ステップS5)、その光パルスに対して再度パルス圧縮媒体によりパルス幅の圧縮および光強度の減衰を行って単一光子状態にし(ステップS6)、光パワーが微弱な光パルスとしてBobに送り返す(ステップS7)。
Bobは、送り返されてきた光パルスに対して第2の位相変調(φB)を行い(ステップS8)、第1の位相変調(φA)と第2の位相変調(φB)との差Δφを検出する(ステップS9)。
従来の方法では上記フローのうちステップS3およびステップS6のパルス幅圧縮ステップが無いために、ステップS4およびS8の位相変調がパルス幅の広がった状態のパルスに対して施されることになり、システムのタイミング設計が困難となっていた。本実施形態では、ステップS2とS4との間にパルス幅圧縮ステップS3を、ステップS5とS7との間にパルス幅圧縮ステップS6を、それぞれ挿入することによりタイミング設計の困難性を回避している。加えて、パルス幅圧縮ステップS3およびS6で光強度を減衰することによって単一光子状態を作成することで、従来必要であった可変光減衰器が不要になるという利点がある。以下、タイミング設計が容易になるという本発明の作用効果について更に説明する。
1.3)タイミングマージンの改善
図3はBobとAliceとの間で往復する光パルスのタイミングマージンの変化を示す波形図であり、(A)は光パルス圧縮媒体がない従来のシステムでの波形図、(B)は光パルス圧縮媒体が設けられた本実施形態によるシステムでの波形図である。
Bob出力時の光パルスは伝送路を伝送することによりパルス幅が広がり、Alice入力時にはパルス波形が広がった状態となっている。ここでAliceが光パルス圧縮媒体を含まない従来の場合には、図3(A)に示すように、Aliceにおける位相変調器の入力およびAliceの出力は、ともに光パルス形状は変化せずに、その広がった波形のままでBobへ返送される。当然、広がった波形の光パルスは伝送路を伝送することによりパルス幅が更に広がり、Bobに到達した時点では前後の光パルスのタイミングマージンは極めて小さくなっている。
これに対して、光パルス圧縮媒体がAliceの位相変調器の前段に設けられた本実施形態の場合には、図3(B)に示すように、Aliceの位相変調器入力で光パルスは圧縮された状態となり、Alice出力時には再度パルス圧縮を受けて更にパルス幅が狭くなっている。この状態の光パルスが伝送路を伝送することでパルス波形が広がっても、Bobに到達した時点で前後の光パルスのタイミングマージンは依然として十分広く維持されている。
このことは、Bobにおける回路のタイミング設計が非常に容易になることを意味している。さらに、Aliceにおいても、位相変調器の入力波形がパルス圧縮されているために、位相変調器の駆動タイミング設計が従来に比べて極めて容易になることがわかる。
具体的な数値例を以下に示す。パルス光源に波長1550nmの直接変調レーザダイオード(LD)を使用し、伝送路に通常敷設されている単一モードファイバ(SMF)を使用する。LD直接変調で放出された光信号は、概してパルス内部でのキャリア周波数の時間変化を表す「αパラメータ」が大きく、しかも正値を取ることが知られている。波長1550nmの単一モードファイバの局所分散値は約+17ps/nm/kmであり、異常分散領域であるために、正値のαパラメータと相まってパルス広がりを生じる。
図4はパルス広がりを実験的に示すためのネットワーク構成図である。レーザダイオード(LD)61をパルス駆動してパルス幅500psの光パルスを作り出し、40kmの単一モードファイバ62を通して伝送した後、オシロスコープ63で波形を測定した。
伝送前の光パルス波形64と伝送後の波形65を比較してみると、伝送前は設定値通り500psのパルス幅であるのに対し、伝送後には1200psまでパルスが広がっていることが分かる。すなわち、この様な状態では830MHz(=1/1200ps)以上の繰り返しレートで位相変調を精度良く施すことが出来ないことが分かる。逆に、繰り返しレートを830MHz(1タイムスロット1200ps)に固定して考えると、パルス幅が500psの時にはタイミングマージンが700ps確保できるのに対して、パルス幅が1200psまで広がるとタイミングマージンがほぼ0になる。
さらに、1つの光パルスが位相変調器を通過する時間は、位相変調器に一定の電圧を加え続けなければならない。位相変調器を駆動する電圧値がふらつけば、それはすなわち位相変調器によって施される位相シフト量のふらつきを示し、結果的に干渉計の消光特性の劣化を意味する。一般的にON/OFFの2値変調を行う場合にはIC等の出力電圧の飽和特性を利用するので、安定した電圧を作り出すことは比較的容易である。しかしながら、BB84方式を採用した代表的な量子暗号鍵配布システムでは多値変調を行う必要がある。多値変調を行う場合、多値信号波形の信号電圧を一定時間を安定させることは2値変調時と比べて格段に困難になる。
本実施形態では、送信器(Alice)11の位相変調器112の前段に分散補償器113を設けることで、位相変調器112の入力光パルス幅が細くなってタイミングマージンが改善され、位相変調器112の駆動電圧を安定させる時間を短くすることができる。これによって、アナログ設計が容易になり、その結果として高い干渉特性を得ることが容易になる。
また、単一光子を受光するため、受信器(Bob)13の光子検出器を構成するアバランシェフォトダイオード(APD)をゲートモードで駆動する必要がある。このようなゲートモード駆動の場合、一般に、ゲート電圧を印加した直後に光子が入射すると最もなだれ増倍が起こりやすくなり、光子入射のタイミングがそこから外れるとなだれ増倍が減少し、したがって出力電流も減少して信号対雑音比が劣化する。個々の光子の入射タイミングのばらつきは光パルスのパルス幅と等価であるから、光パルス幅が圧縮されれば、受信器(Bob)13においても同様にタイミング設計が容易になる。
さらに、本実施形態では、分散補償器113で生じる損失を利用することで、光強度を減衰させて単一光子状態を作成することができ、可変光減衰器が不要になるという利点もある。
なお、本実施形態における分散補償器113は、種々のものを使用できる。特許文献2 に記載されたVIPAを使用することもできるし、ファイバブラッグ格子(Fiber Bragg Grating)を使用した光デバイスや、平面導波路を使用した分散補償器、若しくは分散補償ファイバを使用しても構わない。また、送信器(Alice)11の構成は、変調器の前段に分散補償器等のパルス幅圧縮手段を設けて変調器の入力パルスのパルス幅が圧縮される構成であればよく、ファラデーミラーもそれと同等の機能を実現する手段を用いることができれば必要ではない。
2.第2実施形態
2.1)構成
図5は本発明の第2実施形態によるPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。ただし、図1の第1実施形態と同様の構成部分には同一の参照番号を付して詳しい説明は省略する。
本実施形態では、送信器(Alice)21の構成が第1実施形態と異なっている。すなわち、Alice21は、位相変調器211、偏光ビームスプリッタ212、分散補償ファイバ213および光減衰器214から構成される。偏光ビームスプリッタ212は、分散補償ファイバ213およびは光減衰器214を通して伝送路12に光学的に接続され、偏光ビームスプリッタ212および位相変調器211によってPBS−ループミラーが構成されている。
既に述べたように、Plug&Play方式では光パルスをBob→Alice→Bobと折り返す構成となっているために、伝送路12で生じる後方散乱光が雑音信号として現れる。この雑音信号が大きいと量子暗号鍵配布を精度良く安全に行うことができない。そこで、図5に示す第2実施形態によるシステムでは、後方散乱光の影響を回避するために、送信器(Alice)21にストレージファイバ213が設けられている。なお、ストレージファイバに関しては、特許文献2にBobより光パルスを送り続ける時間帯と、Aliceで反射した正規の信号がBobに戻る時間帯と、を分ける方法が記載されている。
図6はストレージファイバの作用を説明するために信号伝達の時間帯を示したネットワーク図である。図6(a)は、Bob13から一連のパルス信号光1014が送出される時間帯を示している。伝送路12中には反射点1016が存在するものとする。
Bob13から信号光1014が出力されると、図6(b)に示すように、反射点1016によって信号光1014の一部の反射光1027がBob13に戻り、信号光1014はAlice21内部のストレージファイバ213に蓄積される。そして、反射光1027が無くなったタイミングで、本信号光1034がBob13に戻ってくる。
この様に、ストレージファイバ213を用いて信号光と反射光のタイミングを分離することができ、反射光による伝送特性劣化を防止することが可能となる。本実施形態では、ストレージファイバ213として、伝送路12における蓄積分散と逆の波長分散特性を有する分散補償ファイバを使用する。
なお、本実施形態では、ファラデーミラーを使用して偏波回転および反射を行う代わりに、非特許文献3に記載された選択的位相シフト変調法が採用される。具体的には、Bob13から受信した光パルスP1およびP2は、偏光ビームスプリッタ212によって偏光成分にしたがってそれぞれ分割される(P1→P1V+P1H、P2→P2V+P2H)。分割されたP1VおよびP1Hは逆回りにPBS−ループミラーを周回し、P1Vには位相変調を加えず、P1Hには半波長(π)分の位相変調を加え、再び偏光ビームスプリッタ212で合波して分散補償ファイバ213へと戻される。一方、P2VおよびP2Hも同様に逆回りにPBS−ループミラーを周回するが、P2VにはφA、P2Hには(φA+π)の位相変調をそれぞれ加える。したがって、分散補償ファイバ213に戻ってくる光パルスは、その周回方向に応じて半波長(π)分の変調位相差が与えられる。これは、ファラデーミラーによる回転作用と同等である。
2.2)タイミング設計
次に、本実施形態におけるタイミング設計について説明する。
図7はAliceの位相変調器に要求される変調タイミング条件を示す模式的波形図である。まず、Bob13において時間分割された2つの光パルスがAlice21に到着すると、偏光ビームスプリッタ212においてそれぞれ逆方向に分割され、計4つの光パルスとなる。
PBS-ループミラーにおける位相変調方法では、これら4つの光パルスに対して、1つの光パルスが位相変調器211を通過する時間帯に別の光パルスが位相変調器221に差し掛からないように、異なった位相シフトを与える必要がある。光パルス幅をTP秒、位相変調器211の光路長をTM秒、Bob13で時分割されたパルス間隔をTB秒とすると、ある光パルスが位相変調器211に差し掛かってから通過し終えるまでに(TM+TP)秒を要することが分かる。そこでパルスタイミングに対する制約は次のようになる。
・光パルス612が位相変調器211を通過し始めてから通過し終わるまでの(TM+TP)秒間は、光パルス615は位相変調器211に差し掛かってはならない;
・同様に光パルス615が位相変調器211を通過し始めてから通過し終わるまでの(TM+TP)秒間は、光パルス613は位相変調器211に差し掛かってはならない;
・光パルス612と613との間隔はTB秒である。
上記3条件から、Bob13で時分割されたパルス間隔TBに求められる条件は、
B > 2×(TM+TP)
となる。
光パルス幅TPを500ps、位相変調器211の電極長を40mm(TM=200ps)とすると、TBは1400ps以上である必要があり、システムの繰り返しレートは1/(2TB)以下、すなわち350MHz以下に制限されることになる。ここで、光パルス幅TPが1200psまで広がった場合、同様の計算をすると繰り返しレートの上限は178MHz以下にまで減少する。実際には駆動電圧が位相変調器211を通過する時間帯および変調のタイミングマージンも考慮する必要があるため、さらに繰り返しレートの上限は低くなる。
2.3)光減衰
量子暗号鍵配布システムで用いられる単一光子状態では、光強度を厳密に設定する必要がある。光強度が設定値よりも高くなれば、盗聴される危険性が増し安全性が損なわれる。逆に設定値よりも低い場合は、Alice21からBob13に到達する光子の個数が減少し、暗号鍵の生成速度が劣化する。従って、単一光子状態生成のために使用される可変光減衰器214は精度良く光強度を設定できるデバイスであることが望ましい。
一方、レーザダイオード(LD)135の出力光パルスを単一光子状態まで減衰する為には最大減衰量が高くなければならず、上記の2つの要求を満たす為に使用するデバイスは高価になる。そこで、本実施形態では比較的損失の大きい分散補償媒体213を光減衰手段の一部として使用する。その結果、可変光減衰器214に対する「高い最大減衰量」といった要求は緩和され、使用可能な光デバイスの幅が広がると共に、安価なデバイスを使用することが出来る。
本実施形態において分散補償ファイバ213と可変光減衰器214の接続順は逆でも構わない。また、Alice21を第1実施形態のようにファラデーミラーを使用した構成にすることも可能である。
3.第3実施形態
図8は本発明の第3実施形態によるPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。ただし、図1の第1実施形態と同様の構成部分には同一の参照番号を付して詳しい説明は省略する。
本実施形態では、送信器(Alice)31の構成が第1実施形態と異なっている。すなわち、Alice31は、ファラデーミラー(FM)311および位相変調器312の他に、可変分散補償器313、可変光減衰器314、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)のような光ファイバ距離測定手段を有する分散補償制御装置315、および、波長分割多重(WDM)カプラ316を有する。
分散補償制御装置315のOTDRで使用するプローブ光は、Bob13のパルス光源135の波長とは別波長であり、WDMカプラ316により伝送路12に波長多重されてAlice−Bob間の伝送距離を測定する。分散補償制御装置315は、測定した伝送距離に応じて伝送路12での蓄積分散を計算し、その計算結果によって可変分散補償器313の設定分散値を変化させる。設定分散値は伝送路12における蓄積分散をぴったり補償する値である必要はなく、パルス圧縮が生じるだけの分散値を設定すれば良い。
ここで可変分散補償器313および可変光減衰器314の接続順は逆でも構わない。また、Alice31の構成も、ファラデーミラーの代わりに、それと同等の機能を実現する手段を用いることができる。
また、システムの動作を「伝送路の距離を測定するフェーズ」と「暗号鍵生成通信を行うフェーズ」とに時間的に分割することで、パルス光源135と同じ波長の距離測定用プローブ光を用いることも可能である。
4.第4実施形態
図9は本発明の第4実施形態による一方向型量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。本実施形態では、送信器(Alice)41と受信器(Bob)43とが光ファイバ等の伝送路12を通して接続され、光パルスはAliceからBobへの一方向に伝送されるだけであり、上述した第1〜第3実施形態のように往復しない。
Alice41は、直接変調のレーザダイオード(LD)411が分散補償器412を通して光カプラ413に接続され、光カプラ413と416との間に位相変調器414と遅延ライン415とが並列に接続されている。光カプラ416の出力端は可変光減衰器417を介して伝送路12に接続されている。一方、Bob43は、光カプラ431の入力端が伝送路12に接続され、光カプラ431と434との間に位相変調器433と遅延ライン432とが並列に接続されている。
直接変調レーザダイオード(LD)411から放出された光パルスは、分散補償器412においてパルス圧縮され、光カプラ413で2分岐される。分岐されたパルスの一方は位相変調器414により位相シフト(φA)が施されて光カプラ416へ出力され、他方のパルスは遅延ライン415によって所定遅延量だけ遅延した後、光カプラ416へ出力される。こうして時間的に分割された位相シフトしたパルスと遅延パルスとが光カプラ416を通して可変光減衰器417で単一光子状態まで減衰され、伝送路12へ順次送り出される。既に述べたように、分散補償器412の分散補償値は、伝送路12を通して光パルスのパルス広がりが生じないように設定される。
伝送路12を通してBob43に到達した位相シフトしたパルスおよびそれに続く遅延パルスは、光カプラ431で2分岐される。このうち一方は遅延ライン432によって遅延し、もう一方は位相変調器433によって位相シフト(φB)を施された後、光カプラ434で合波される。したがって、Alice41の遅延ライン415の長さとBob43の遅延ライン432の長さとを等しく設定しておけば、光カプラ434において到着した2つの光パルスを合波した際に干渉が生じて、Alice41とBob43でそれぞれ施された位相シフト量の差によって干渉後の出力ポートが決定される。
図10は本発明の第4実施形態による一方向型量子暗号鍵配布システムの主要動作を概略的に示すフローチャートである。
まず、送信者であるAlice41が光パルス列を発生し(ステップS11)、分散補償器412を使用して光パルス幅を圧縮すると共に当該分散補償器412のパルス圧縮媒体の損失によって光強度を減衰させる(ステップS12)。続いて、分岐された一方の光パルスに対して第1の位相変調(φA)を行い(ステップS13)、位相変調された光パルスは、遅延した光パルスと共に、可変光減衰器417により単一光子状態まで光強度が減衰し(ステップS14)、受信者であるBob43へ伝送される(ステップS15)。
Bob43は、Alice41より送られてきた光パルスに対して第2の位相変調(φB)を行い(ステップS16)、第1の位相変調と第2の位相変調との位相差Δφ(ここでは、0またはπ)を検出する(ステップS17)。
従来の方法では上記フローのうちステップS12のパルス幅圧縮ステップが無いために、ステップS13およびS16の位相変調がパルス幅の広がった状態のパルスに対して施されることになり、システムのタイミング設計が困難となっていた。本実施形態では、ステップS13の前にパルス幅圧縮ステップS12を挿入することによりタイミング設計の困難性を回避している。
加えて、このパルス幅圧縮ステップS12で光強度の減衰も行われるために、可変光減衰ステップS14で減衰量の大きい高価な可変光減衰器を使用する必要がなくなるという利点もある。
このように本実施形態によれば、光パルスに対して変調処理を行う前にパルス圧縮を行うことによって、位相変調器414の駆動電圧を安定させるアナログ回路の設計や、システムの繰り返しレートを高く保つためのタイミング設計などが容易になる。なお、可変光減衰器417の配置は、Alice41から出力された時点の光強度が単一光子状態であればよいのであるから、レーザダイオード(LD)411と光カプラ413の間に設置することもできる。
5.第5実施形態
図11は本発明の第5実施形態による一方向型量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。本実施形態では、位相変調により情報を乗せる上記実施形態とは異なり、光子の偏光状態に情報を乗せる方式を採用する。すなわち、送信器であるAlice51のパルス光源511から放出された光パルスは、分散補償器512においてパルス圧縮され、パルス圧縮された光パルスが偏光回転子513によりランダムデータに従った偏光状態に設定される。そして、可変光減衰器514で光パルスの強度を単一光子状態まで減衰させ、伝送路12を通してBob53へ伝送する。Bob53は偏光子531の偏光方向を乱数に応じて設定し、偏光子531を通過した光パルスの光子の有無をフォトダイオード532によって検出する。
上述した実施形態と同様に、本実施形態においても、偏光回転子513の前にパルス幅圧縮手段としての分散補償器512を設けることによりタイミング設計の困難性を回避している。加えて、この分散補償器512で光強度の減衰も行われるために、減衰量の大きい高価な可変光減衰器514を使用する必要がなくなるという利点もある。
なお、可変光減衰器514はパルス光源511と偏光回転子513との間に設置されていてもよく、Alice51から出力された時点での光強度が単一光子状態であれば良い。
本発明は、上述したように量子暗号鍵配布システムに適用することができるが、それに限定されるものではなく、伝搬によりパルス波形が広がる伝送路を通して通信を行うシステム一般に適用可能である。
本発明の第1実施形態によるPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。 本発明の第1実施形態によるPlug&Play方式量子暗号鍵配布システムの主要動作を概略的に示すフローチャートである。 BobとAliceとの間で往復する光パルスのタイミングマージンの変化を示す波形図であり、(A)は光パルス圧縮媒体がない従来のシステムでの波形図、(B)は光パルス圧縮媒体が設けられた本実施形態によるシステムでの波形図である。 パルス広がりを実験的に示すためのネットワーク構成図である。 本発明の第2実施形態によるPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。 ストレージファイバの作用を説明するために信号伝達の時間帯を示したネットワーク図である。 Aliceの位相変調器に要求される変調タイミング条件を示す模式的波形図である。 本発明の第3実施形態によるPlug&Play方式の量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。 本発明の第4実施形態による一方向型量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。 本発明の第4実施形態による一方向型量子暗号鍵配布システムの主要動作を概略的に示すフローチャートである。 本発明の第5実施形態による一方向型量子暗号鍵配布システムを示すブロック図である。 従来のPlug&Play方式量子暗号鍵配布システムの概略的構成を示すブロック図である。
符号の説明
11 送信器(Alice)
111 ファラデーミラー
112 位相変調器
113 分散補償器
12 伝送路
13 受信器(Bob)
131 偏光ビームスプリッタ
132 位相変調器
133 光カプラ
134 光サーキュレータ
135 レーザダイオード(パルス光源)
136 平衡型ゲートモード光子検出器
21 送信器(Alice)
211 位相変調器
212 偏光ビームスプリッタ
213 分散補償ファイバ
214 光減衰器
31 送信器(Alice)
311 ファラデーミラー
312 位相変調器
313 可変分散補償器
314 光減衰器
315 分散補償制御装置
316 WDMカプラ
41 送信器(Alice)
411 レーザダイオード(パルス光源)
412 分散補償器
413 光カプラ
414 位相変調器
415 遅延ライン
416 光カプラ
417 光減衰器
43 受信器(Bob)
431 光カプラ
432 遅延ライン
433 位相変調器
434 光カプラ
51 送信器(Alice)
511 レーザダイオード(パルス光源)
512 分散補償器
513 偏光回転子
514 光減衰器
53 受信器(Bob)
531 偏光子
532 光子検出器
71 送信器(Alice)
711 ファラデーミラー
712 位相変調器
713 光減衰器
72 伝送路
73 受信器(Bob)
731 偏光ビームスプリッタ
732 位相変調器
733 光カプラ
734 光サーキュレータ
735 レーザダイオード(パルス光源)



Claims (16)

  1. 第1通信装置から第2通信装置へ伝送路を通して光パルスを送信する通信システムにおいて、
    前記第1通信装置は、
    送信すべき光パルスを圧縮するパルス圧縮手段と、
    前記パルス圧縮手段により圧縮された光パルスの所定パラメータに対して第1の処理を行い前記第2通信装置へ送信する送信処理手段と、
    を有し、
    前記第2通信装置は前記伝送路を通して到達した光パルスの前記所定パラメータに対して第2の処理を行うことで情報を検出する受信処理手段を有する、
    ことを特徴とする通信システム。
  2. 前記パルス圧縮手段は、前記伝送路における蓄積分散補償を行う分散補償器であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  3. 前記パルス圧縮手段の光強度減衰特性を利用して、前記第2通信装置へ送出される光パルスの光強度を所定のレベルに微弱化させることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  4. 前記第1通信装置は、前記圧縮された光パルスの光強度を所定のレベルに微弱化させる光減衰手段を更に有することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
  5. 前記送信処理手段から出力する光パルスを再度前記パルス圧縮手段を通して前記第2通信装置へ送信することで、その光強度を所定のレベルに微弱化させることを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
  6. 前記第1通信装置は、
    前記伝送路の長さを測定する測定手段と、
    前記測定された伝送路長に応じて前記分散補償器の分散補償設定値を変化させる制御手段と、
    を更に有することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
  7. 前記第1通信装置は、前記送信すべき光パルスを所定の時間帯で前記第2通信装置から前記伝送路を通して入力し、
    前記パルス圧縮手段は前記伝送路における蓄積分散補償を行う分散補償ファイバであり、かつ、当該分散補償ファイバの長さは、前記所定の時間帯に発生した一連の光パルスが前記分散補償ファイバに収まる程十分な長さである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  8. 前記所定パラメータは光パルスの位相状態および偏光状態の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  9. 伝送路を通して他の通信装置へ光パルスを送信する通信装置において、
    送信すべき光パルスを圧縮するパルス圧縮手段と、
    前記パルス圧縮手段により圧縮された光パルスの所定パラメータに対して所定の処理を行い前記他の通信装置へ送信する送信処理手段と、
    を有すること特徴とする通信装置。
  10. 前記パルス圧縮手段は、前記伝送路における蓄積分散補償を行う分散補償器であることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
  11. 前記パルス圧縮手段の光強度減衰特性を利用して、前記他の通信装置へ送出される光パルスの光強度を所定のレベルに微弱化させることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
  12. 前記送信処理手段は光パルスの位相をシフトさせる位相変調器を有することを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
  13. 前記送信処理手段は光パルスの偏光方向を設定する偏光子を有することを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
  14. 第1通信装置から第2通信装置へ伝送路を通して光パルスを送信する方法において、
    前記第1通信装置は、送信すべき光パルスを圧縮し、圧縮された光パルスの所定パラメータに対して第1の処理を行い前記第2通信装置へ送信し、
    前記第2通信装置は前記伝送路を通して到達した光パルスの前記所定パラメータに対して第2の処理を行うことで情報を検出する、
    ことを特徴とする通信方法。
  15. 前記第1通信装置は、
    前記第2通信装置から前記伝送路を通して光パルスを入力し、
    前記入力した光パルスをパルス圧縮器により圧縮し、
    圧縮された光パルスの所定パラメータに対して第1の処理を行うことで送信光パルスを生成し、
    前記送信光パルスを前記パルス圧縮器により圧縮して前記伝送路へ送出する、
    ことを特徴とする請求項14に記載の通信方法。
  16. 前記第2通信装置は、
    前記第1通信装置へ前記伝送路を通して光パルスを出力し、
    前記第1通信装置から前記伝送路を通して光パルスが返送されると、当該光パルスの前記所定パラメータに対して第2の処理を行うことで情報を検出する、
    ことを特徴とする請求項15に記載の通信方法。

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