JP2006160983A - 防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物及び水中構造物 - Google Patents
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Abstract
(B)加水分解性基を1分子中に2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、及び
(C)フェニル基及び珪素原子に結合した反応性基を有しないシリコーンオイル
を配合してなる防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。
【効果】 本発明の防汚性室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物より得られる塗膜は、無毒であり、環境面において何らの問題もなく、かつ長期間に亘って水生生物の付着・生育を防止し、優れた防汚性を示すものである。
【選択図】 なし
Description
(A)ベースポリマーとして、分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、フェニル基を含有せず、珪素原子に結合する全置換基の2モル%以上がアルケニル基であるジオルガノポリシロキサン、
(B)加水分解性基を1分子中に2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、及び
(C)フェニル基及び珪素原子に結合した反応性基を有しないシリコーンオイル
を配合してなる防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物、及びこの組成物の硬化物でコーティングされた水中構造物を提供する。
(A)ベースポリマーとして、分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、フェニル基を含有せず、珪素原子に結合する全置換基の2モル%以上がアルケニル基であるジオルガノポリシロキサン。
(B)加水分解性基を1分子中に2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物。
(C)フェニル基及び珪素原子に結合した反応性基を有しないシリコーンオイル。
(A)成分であるジオルガノポリシロキサンは、本発明の防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の主剤(ベースポリマー)であり、分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、フェニル基を含有せず、珪素原子に結合する全置換基の2モル%以上がアルケニル基を有するものである。このようなジオルガノポリシロキサンとして、具体的には、下記一般式(1)又は(2)で表される分子鎖末端が水酸基又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンが用いられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、へキセニル基等が例示され、特にビニル基が好ましい。これらは異なる2種以上であってもよい。
ここで、この粘度は、回転粘度計による測定値である。
また、このようなジオルガノポリシロキサンは、各種オルガノポリシロキサンの単量体である環状シロキサンもしくは線状オリゴマーを酸もしくは塩基触媒による平衡反応によって得る等の公知の方法により製造することができる。
このジオルガノポリシロキサンに分岐構造を導入する場合は、上記平衡化重合中にSiO3/2単位及び/又はSiO4/2単位を含むシランもしくはシロキサンをジオルガノポリシロキサンがゲル化しないレベルで添加するのが常法である。
本発明の(B)成分である加水分解性基を1分子中に2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物は、本発明の組成物を硬化させるために必須の成分であって、1分子中に珪素原子に結合する加水分解可能な基を少なくとも2個有することが必要とされる。このような有機珪素化合物としては、下記一般式(3)で表されるシランあるいはその部分加水分解縮合物を例示することができる。
(式中、R1は独立に非置換又は置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基、Zは独立に加水分解性基であり、bは0〜2の整数である。)
本発明の(C)成分であるフェニル基及び珪素原子に結合した反応性基を有しないシリコーンオイルは、通常の室温硬化性組成物では可塑剤として使用され得ることが知られているが、本願発明ではブリードオイルとして使用されるものであり、(A)成分と反応性を有しないシリコーンオイルであれば特に限定されるものではないが、下記一般式(4)で示されるものが好適に用いられる。
ここで、反応性とは、(A)成分の水酸基、加水分解性基との縮合反応のことを意味し、この反応性基とは、水酸基や加水分解性基等が例示される。
この中でも、(A)成分の粘度が1,000〜20,000mm2/sで、(C)成分の粘度が100〜10,000mm2/sである組み合わせが特に好ましい。
本発明の組成物には、硬化をより促進させるための触媒を添加してもよい。このような硬化用触媒としては、縮合硬化型の室温硬化性組成物に使用されている種々のものを使用することができ、具体例として、鉛−2−エチルオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、ブチル錫−2−エチルヘキソエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、亜鉛−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第1錫、ナフテン酸錫、オレイン酸錫、ブタン酸錫、ナフテン酸チタン、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトラ(イソプロペニルオキシ)チタネート等の有機チタン酸エステル;オルガノシロキシチタン、β−カルボニルチタン等の有機チタン化合物;アルコキシアルミニウム化合物、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物及びその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、臭酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;下記式:
ポリマーAの製造
温度計、撹拌機、冷却器を備えた内容積5リットルの三つロフラスコに2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752g、蒸留水5.0g、水酸化カリウム0.08gを仕込み、150℃で5時間反応させた。反応後、80℃まで冷却してエチレンクロロヒドリン4.0gを加え、更に80℃で3時間反応させた後、減圧加熱により低揮発分を留去して、粘度5,000mm2/s、不揮発分96.8%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:50モル%)を2,400g得た。
ポリマーBの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752gの代わりに、2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン1,376g、オクタメチルシクロテトラシロキサン1,184gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度4,700mm2/s、不揮発分96.8%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:25モル%)を2,300g得た。
ポリマーCの製造
合成例1で蒸留水6.4gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度1,500mm2/s、不揮発分97.6%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:50モル%)を2,150g得た。
ポリマーDの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752gの代わりに、2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン275g、オクタメチルシクロテトラシロキサン2,131gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度4,600mm2/s、不揮発分98.7%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:5モル%)を2,200g得た。
ポリマーEの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752gの代わりに、オクタメチルシクロテトラシロキサン2,368gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度4,500mm2/s、不揮発分96.3%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:0モル%)を2,300g得た。
ポリマーFの製造
温度計、撹拌機、冷却器を備えた内容積2リットルの三つ口フラスコにポリマーAを1,000g、テトラメトキシシランを152g仕込み、120℃で24時間反応させた。反応後、減圧加熱によりメタノールと過剰のテトラメトキシシランを留去して、粘度5,200mm2/s、不揮発分96.9%の無色透明液体(両末端トリメトキシ基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:50モル%)を975g得た。
ポリマーGの製造
合成例6のポリマーAの代わりにポリマーEを用いた以外は、合成例6と同様にして、粘度4,700mm2/s、不揮発分98.2%の無色透明液体(両末端トリメトキシ基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:0モル%)を950g得た。
ポリマーA70部、比表面積が200m2/gの煙霧状シリカ15部を均一に混合し、150℃で2時間加熱減圧混合した。これにビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン12部とγ−アミノプロピルトリエトキシシラン1部を減圧下で均一になるまで混合した。更に、粘度が100mm2/sのα,ω−トリメチルシロキシ−ジメチル−ポリシロキサンを30部減圧下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
実施例1のポリマーAをそれぞれポリマーB〜Dに変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
ポリマーF70部、比表面積が200m2/gの煙霧状シリカ15部を均一に混合し、150℃で2時間加熱減圧混合した。これにビニルトリメトキシシラン8部とジイソプロポキシチタニウムビス(エチルアセトアセテート)2部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部を減圧下で均一になるまで混合した。更に、粘度が100mm2/sのα,ω−トリメチルシロキシ−ジメチル−ポリシロキサンを30部減圧下で均一になるまで混合して組成物を調製した。
実施例1の比表面積が200m2/gの煙霧状シリカを珪酸カルシウムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
実施例1の粘度が100mm2/sのα,ω−トリメチルシロキシ−ジメチル−ポリシロキサンを粘度が10,000mm2/sのα,ω−トリメチルシロキシ−ジメチル−ポリシロキサンをに変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
実施例1の粘度が100mm2/sのα,ω−トリメチルシロキシ−ジメチル−ポリシロキサンを使用しないこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
実施例1のポリマーAをポリマーEに変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
実施例5のポリマーFをポリマーGに変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
実施例2の粘度が100mm2/sのα,ω−トリメチルシロキシ−ジメチル−ポリシロキサンを粘度が100mm2/sのα,ω−トリメチルシロキシ−ジフェニルジメチル−ポリシロキサン(珪素原子に結合した全置換基に対するフェニル基の割合:25モル%)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして組成物を調製した。
上記実施例及び比較例で得られた組成物を、エポキシ系防食塗料を用いて予め塗装した(膜厚200μm)被塗板上に、硬化膜厚が300μmになるように塗装して、23℃,50%RHの条件で7日間かけて硬化させ、試験塗板とした。これらの試験塗板を神奈川県海岸に1.5mの深さで12ヶ月間に亘って懸垂試験を行った。フジツボ等の貝類、海藻類の付着状況を観察し、結果を表1,2に示した。
Claims (8)
- (A)ベースポリマーとして、分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、フェニル基を含有せず、珪素原子に結合する全置換基の2モル%以上が置換もしくは非置換のアルケニル基であるジオルガノポリシロキサン、
(B)加水分解性基を1分子中に2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、及び
(C)フェニル基及び珪素原子に結合した反応性基を有しないシリコーンオイル
を配合してなる防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。 - オルガノポリシロキサン組成物のベースポリマー(A)が、下記一般式(1)及び/又は(2)で表されるジオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。
- (B)成分が、下記一般式(3)
R1 bSiZ4-b (3)
(式中、R1は独立に非置換又は置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基、Zは独立に加水分解性基であり、bは0〜2の整数である。)
で表されるシラン及び/又はその部分加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。 - (C)成分が、ジメチルポリシロキサンオイル及び/又はジエチルポリシロキサンオイルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。
- 更に、充填剤としてBET比表面積が10m2/g以上の親水性シリカを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。
- 更に、充填剤として炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、及びシリカゼオライトのいずれかを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。
- (A)成分のジオルガノポリシロキサンと(C)成分のジオルガノポリシロキサンの25℃での粘度比((C)成分の粘度/(A)成分の粘度)が0.02〜10である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の防汚性縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物でコーティングされた水中構造物。
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