JP4178396B2 - 防汚方法及び防汚性構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、船舶、港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網等(以下、「水中構造物」という)に塗装して、これらの表面への水生生物の付着・生育を防止するために好適な防汚塗膜を与える防汚方法及び防汚性構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
室温でゴム状弾性体を与える室温硬化性シリコーンゴム組成物は種々のものが知られており、室温硬化性シリコーンゴム組成物(以下、「RTV」という)から得られる硬化ゴムは、他の有機系ゴムに比較して優れた耐候性、耐久性、耐熱性、耐寒性等を具備することから種々の分野で使用され、建築分野においては、ガラス同士の接着用、金属とガラスとの接着用、コンクリート目地のシール用等に多用されており、近年では、建築物、プラント類、水中構造物等のコーティング材として広く利用されている。
【0003】
ここで、水中構造物は、設置され又は就航すると、その飛沫部から没水部表面に亘って、海、河川等の水中に棲息しているフジツボ、ホヤ、セルプラ、ムラサキイガイ、カラスガイ、フサコケムシ、アオノリ、アオサ等の水生生物が付着・生育して種々の被害が発生する。例えば、船体に生物が付着した場合、水との摩擦抵抗が増大し、航行速度の低下が生じ、一定の速度を維持するためには燃料消費量が増加し、経済的に不利である。また、港湾施設等の水中又は水面に固定させておく構造物に生物が付着すると、これらが有する個々の機能を十分に発揮することが困難となり、基材を侵食することもある。更に、養殖網、定置網等に生物が付着すると網目が閉塞して魚類が死亡してしまうことがある。
【0004】
水中構造物への水生生物の付着・生育の防止対策としては、有機錫化合物、亜酸化銅等の毒性防汚剤を配合した防汚塗料を構造物に塗装して対応していたが、水生生物の付着・生育はほぼ防止できたものの、毒性防汚剤を用いているために、塗料の製造や塗装時において環境安全衛生上好ましくなく、しかも水中において塗膜から毒性の防汚剤が徐々に溶出し、長期的にみれば水域を汚染するおそれがあることから、その使用が法的に禁止されることとなった。
【0005】
一方、水生生物の付着・生育の防止効果があり、毒性防汚剤を含有しない塗料としては、塗膜の表面張力を低くして防汚性を付与させるものとして、RTVに流動パラフィン又はペトロラクタムを配合した無毒性防汚塗科が提案されている(例えば、特許文献1,2:特開昭58−13673号公報、特開昭62−84166号公報参照)。また、反応硬化型シリコーン樹脂の硬化に伴う体積収縮によって、相溶性が乏しく非反応性の極性基含有シリコーン樹脂が表面へ滲み出し、反応硬化型シリコーン樹脂のもつ低表面張力と相俟って防汚性を示す無毒性防汚塗料組成物(例えば、特許文献3,4:特許第2503986号公報、特許第2952375号公報参照)も提案されている。しかしながら、防汚性の持続性という面では十分な性能が得られず、溶出する化合物の安全性に関しても問題があった。
【0006】
一方、構造体の表面防汚処理としては、防汚性反応性官能基を有する有機ポリマーを主成分とする前処理組成物を基材表面に処理し、その上に該反応性官能基と反応し得る反応性官能基を有する撥水性防汚剤を主成分とする防汚性組成物を前処理層と反応させる表面防汚処理構造体が記載され、更にアリル基含有アクリル樹脂を前処理し、その上に側鎖のみにSiH基を有するハイドロジェンポリシロキサン(KF−99(信越化学工業(株)製))をハイドロシリレーション反応させることが例示されている(例えば、特許文献5:特開平5−169011号公報参照)。
【0007】
しかし、この方法では前処理に使用しているアクリル樹脂と上層に使用しているシロキサンの濡れ性が悪いため、ハイドロシリレーションによる結合が十分ではなく、防汚性の持続性が不十分であった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭58−13673号公報
【特許文献2】
特開昭62−84166号公報
【特許文献3】
特許第2503986号公報
【特許文献4】
特許第2952375号公報
【特許文献5】
特開平5−169011号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、特には水中構造物に塗装され、水中構造物の表面への水生生物の付着・生育を防止するために好適であり、その効果の持続性が良好な防汚塗膜を与える防汚方法及び防汚性構造物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、縮合硬化型シリコーンゴム組成物において、ベースポリマーのジオルガノポリシロキサンの珪素原子に直結する全置換基のうち、2モル%以上が炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基である特定のジオルガノポリシロキサンを用いた組成物の硬化被膜に、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒の混合物をコーティングし、硬化させること、この場合、より好ましくは、更にその上に脂肪族不飽和炭化水素基及びオキシアルキレン基を含有する化合物をコーティングし、硬化させることにより、著しい防汚性向上を達成でき、極めて良好な防汚性及びその持続性を得ることができ、更に安全性にも優れることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、
[I]基材、好ましくは水中構造物の表面に、(A)分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、珪素原子に結合する全置換基の2モル%以上がアルケニル基であり、珪素原子に結合するその他の基がメチル基である下記一般式(1)又は(2)
【化7】
(式中、Rはメチル基又はアルケニル基であり、Rの2モル%以上がアルケニル基である。Xは酸素原子又は炭素数1〜8の二価炭化水素基であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度を100〜1,000,000mPa・sとする数である。)
【化8】
(式中、Yは加水分解性基であり、aは2又は3であり、Rはメチル基又はアルケニル基であり、Rの2モル%以上がアルケニル基である。Xは酸素原子又は炭素数1〜8の二価炭化水素基であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度を100〜1,000,000mPa・sとする数である。)
で表されるジオルガノポリシロキサンをベースポリマーとし、加水分解性基を1分子中に2個以上有するシラン又はその部分加水分解物を配合してなる縮合硬化型シリコーンゴム組成物の硬化被膜を形成すると共に、この硬化被膜上に、(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒との混合物をこのオルガノハイドロジェンポリシロキサンが上記硬化被膜中のアルケニル基と付加反応した際に残存するような量で塗布し、上記硬化被膜中のアルケニル基とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させて上記硬化被膜との間で第1の表面硬化層を形成し、更に、この第1の表面硬化層上に、(C)脂肪族不飽和炭化水素基及びオキシアルキレン基を含有する化合物を塗布し、上記第1の表面硬化層中の上記残存したオルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和炭化水素基とを付加反応させて、上記第1の表面硬化層との間で第2の表面硬化層を形成することを特徴とする基材の防汚方法、及び
[II]上記防汚方法により防汚性被膜が形成された防汚性構造物
を提供する。
【0012】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明にかかる防汚方法及び防汚性構造物は、まず、構造物(基材)、特に水中構造物の表面に縮合硬化型シリコーンゴム組成物の硬化被膜が形成される。
この場合、このシリコーンゴム組成物の第一成分は、ジオルガノポリシロキサンであり、これをベースポリマーとするものである。
第一成分で使用されるベースポリマーのジオルガノポリシロキサンとしては、縮合反応で硬化するため、分子中に少なくとも2個の珪素原子に直結した水酸基又は加水分解性基を有し、全珪素原子に結合した置換基の2モル%以上が炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を有するものである。
【0013】
従来使用されている縮合硬化型シリコーンゴム(RTVゴム)組成物のベースポリマーにおいて、縮合反応に関与する水酸基又は加水分解性基以外の置換基は、ほとんどがメチル基であるが、第一成分においては、この加水分解性基以外の置換基に縮合反応(架橋)に関与しない炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を特定量導入したものであり、硬化後は炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基が硬化物に残存していることが必要である。
このジオルガノポリシロキサンは実質的に直鎖状であるが、ゲル化を起こさないあるいはゴム弾性を損なわない範囲において分岐していてもよい。分岐量は、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
具体的には下記一般式(1)又は(2)で表されるジオルガノポリシロキサシが好ましい。
【0014】
【化3】
(式中、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Rの2モル%以上が炭素数2以上の置換又は非置換の一価炭化水素基である。Xは酸素原子又は炭素数1〜8の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度を100〜1,000,000mPa・sとする数であり、aは2又は3である。)
【0015】
ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基などのアラルキル基あるいはこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基などから選択される同一又は異種の非置換もしくは置換の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜10の一価炭化水素基である。
【0016】
また、Rのうち2モル%以上、好ましくは2.5モル%以上が炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であることが必要である。上限としては特に制限されないが、製造しやすさからすると50モル%以下である。
【0017】
炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基としては、上述したRのメチル基以外の一価炭化水素基が挙げられるが、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、へキセニル基等のアルケニル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が好ましく、中でも(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が好ましく、特にビニル基が好ましい。これらは2種以上であってもよい。
また、上記Rにおいて、炭素数2以上の一価炭化水素基以外の置換基としては、メチル基が好ましい。
【0018】
Xは酸素原子又は炭素数1〜8の二価炭化水素基であり、二価炭化水素基としては−(CH2)m(mは1〜8を表す)で表される。これらの中でも酸素原子、−CH2CH2−が好ましい。nはジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度を100〜1,000,000mPa・s、好ましくは500〜500,000mPa・sとする数である。
【0019】
Yは加水分解性基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基、アセトキシ基などのアシルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基などのアルケニルオキシ基等が挙げられ、アルコキシ基、ケトオキシム基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0020】
このようなジオルガノポリシロキサンは、各種オルガノポリシロキサンの単量体である環状シロキサンもしくは線状オリゴマーを酸もしくは塩基触媒による平衡反応によって得る等の公知の方法により製造することができる。
また、このジオルガノポリシロキサンに分岐構造を導入する場合は、上記平衡化重合中にSiO3/2単位及び/又はSiO4/2単位を含むシランもしくはシロキサンをジオルガノポリシロキサンがゲル化しないレベルで添加するのが常法である。更に、このジオルガノポリシロキサンは、ストリップや洗浄等により低分子シロキサンを除去しておくことが望ましい。
【0021】
上記縮合硬化型シリコーンゴム組成物には、架橋剤が使用される。架橋剤としては、加水分解性の基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するシランあるいはその部分加水分解縮合物が使用される。この場合、その加水分解性の基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基、アセトキシ基などのアシルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基などのアルケニルオキシ基、N−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基などのアミノ基,N−メチルアセトアミド基などのアミド基等が挙げられる。これらの中でもアルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基が好ましい。
【0022】
架橋剤の配合量は、上記ジオルガノポリシロキサン100部(質量部、以下同様)に対して1〜50部、好ましくは2〜30部、より好ましくは5〜20部とすることが望ましい。
【0023】
また、縮合硬化型シリコーンゴム組成物には、基本的には硬化触媒を使用しないほうが好ましいが、硬化触媒を使用する場合は、以下のものが例示できる。ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート等のアルキル錫エステル化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛−2−エチルオクトエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルコキシアルミニウム化合物等の有機金属化合物、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン、ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物及びその塩、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩、ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン又はシロキサン等が例示され、これらはその1種に限定されず、2種もしくはそれ以上の混合物として使用してもよい。なお、これら硬化触媒の配合量は、上記ジオルガノポリシロキサン100部に対して0〜20部、好ましくは0.001〜10部、より好ましくは0.01〜5部である。
【0024】
また、縮合硬化型シリコーンゴム組成物には、上記成分以外に補強等の目的で1種以上の充填剤を用いることが好ましい。このような充填剤としては、例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、これらのシリカ表面を有機珪素化合物で疎水化処理したシリカ、石英粉末、カーボンブラック、タルク、ゼオライト及びベントナイト等の補強剤、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維及び有機繊維などの繊維質充填剤、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土等の塩基性充填剤、酸化チタンなどの光触媒活性を有する充填剤等が例示される。これらの充填剤のうち、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、表面を疎水化処理したシリカ、ゼオライト等が好ましく、特に表面を疎水化処理した煙霧質シリカ、炭酸カルシウムが好ましい。
【0025】
上記充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択すればよいが、ベースポリマーのジオルガノポリシロキサン成分100部に対して1〜500部、特に5〜100部であることが好ましい。
【0026】
更に、縮合硬化型シリコーンゴム組成物には、防汚性を阻害しない範囲において種々の化合物を添加することは任意であり、例えばポリエチレングリコール又はその誘導体からなるチクソトロピー性付与剤、ベンガラ及び酸化セリウムなどの耐熱性向上剤、耐寒性向上剤、脱水剤、防錆剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどの接着性向上剤、トリオルガノシロキシ単位及びSiO2単位及び/又はモノオルガノシロキシ単位よりなる網状ポリシロキサンなどの液状補強剤などを必要に応じてその所定量を添加することができる。
上記縮合硬化型シリコーンゴム組成物は、室温で湿気により硬化するが、その成形方法、硬化条件などは、組成物の種類に応じた公知の方法、条件を採用することができる。
【0027】
この場合、この組成物の硬化被膜の厚さは、基材の種類や用途により選択すればよいが、50μm〜2mmであることが好ましく、特に100μm〜1mmが好ましい。薄すぎると膜強度が不十分となることがあり、厚すぎるとコスト的に不利となることがある。
【0028】
本発明においては、上記縮合硬化型シリコーンゴム組成物の硬化被膜上にオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒との混合物を塗布し、上記硬化被膜との間で表面硬化層を形成する。
この場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒の混合物中のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1分子中に1個以上、好ましくは1〜50個の≡SiH基を含有するものであり、直鎖状、分岐状、環状あるいは二次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの代表例としては、例えば、下記式
HaR1 bSiO(4-a-b)/2
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、a及びbは、0<a<3、0≦b<3かつ0<a+b≦3となる数であり、好ましくは0<a<2、0.8≦b≦2かつ0.8<a+b≦3となる数であり、特に好ましくは0.05≦a≦1、1.5≦b≦2かつ1.8≦a+b≦2.7となる数である。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0029】
上記式中、R1の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基としては、炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜7のものであり、好ましくはメチル基等の炭素原子数1〜3の低級アルキル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0030】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等、R’2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、任意にR’3SiO1/2単位、R’2SiO2/2単位、R’(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2単位又はR’SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジン(但し、式中R’はR1と同様の一価炭化水素基である)などが挙げられる。
【0031】
また、分子鎖片末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖・片末端オキシアルキレン基含有ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖側鎖オキシアルキレン基含有ジメチルポリシロキサン等のオキシアルキレン基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0032】
本発明の組成物に用いるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、公知の方法で得ることができ、例えば、下記一般式:
R1SiHCl2及びR1 2SiHCl
(式中、R1は前記と同じである。)
から選ばれる少なくとも1種のクロロシランを(共)加水分解し、あるいは該クロロシランと下記一般式:
R1 3SiCl及びR1 2SiCl2
(式中、R1は前記と同様である。)
から選ばれる少なくとも1種のクロロシランを組み合わせて共加水分解して得ることができる。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、このように共加水分解して得られたポリシロキサンを平衡化したものでもよい。
【0033】
なお、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、25℃の粘度が1〜1,000mPa・s、特に5〜500mPa・sであることが好ましい。
【0034】
白金族金属系触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;
H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O
(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である。)
等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩、アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3220972号明細書参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3159601号明細書、同第3159662号明細書、同第3775452号明細書参照)、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。また、白金微粉末やアルミナ、シリカゲル、アスベストなどの担体に白金粉末を担持させたもの、塩化白金酸あるいは塩化白金酸とアルコール、エーテル、アルデヒドなどとの錯体も例示される。この白金又は白金化合物は組成物中への分散をよくするためにイソプロパノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒あるいはオルガノポリシロキサンオイルに溶解乃至分散させて使用してもよい。使用量はオルガノハイドロジェンポリシロキサン100部に対して白金金属として1〜100,000ppmであり、第一成分と第二成分を結合するために必須とされる成分である。
【0035】
また、防汚性向上の目的で、従来から使用されているポリエーテル変性シリコーンオイル、ジメチルジフェニルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイルや流動パラフィン、イソパラフィン等のパラフィンオイル等を本発明の目的を損なわない範囲で更に添加してもよい。
【0036】
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒との混合物の層厚さは50μm〜1mm、特に100〜500μmであることが好ましい。薄すぎると膜強度が不十分となることがあり、厚すぎるとコスト的に不利となることがある。
また、この混合物の硬化は、(A)成分の炭素数2以上の置換基がアルケニル基の場合は、室温硬化でも加熱硬化でもよく、それ以外の置換基の場合は加熱硬化が必要である。前者の加熱温度は50〜250℃、特に80〜200℃であることが好ましく、後者の加熱温度は100〜400℃であることが好ましい。
この場合、縮合硬化型シリコーンゴム組成物のジオルガノポリシロキサンにおける炭素数2以上の一価炭化水素基がアルケニル基であると、上記混合物中の白金族金属系触媒の存在下にオルガノハイドロジェンポリシロキサンと付加反応し、付加反応硬化物が得られるものである。
【0037】
更に、本発明においては、上記表面硬化層(第1の表面硬化層)上に、脂肪族不飽和炭化水素基及びオキシアルキレン基を含有する化合物を塗布し、第2の表面硬化層を形成することができる。この場合は、前の反応で(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが残存するようにしておく必要がある。脂肪族不飽和基としては、ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6、特に2〜4のアルケニル基が好ましく、オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等の炭素数2〜8、特に2〜4のオキシアルキレン基が好ましく、この場合、アルキレンオキシド付加モル数が1〜60、特に3〜50であることが好ましい。具体的にかかる化合物としては、
【化4】
が挙げられる。
この化合物による層厚さは50μm〜1mm、特に100〜500μmとすることが好ましい。
【0038】
また、この層の硬化方法としては、室温硬化でも加熱硬化でもよいが、加熱硬化が好ましい。なお、この層は、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒との混合物による第1の表面硬化層のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと上記化合物の脂肪族不飽和基とが白金族金属系触媒の存在下に付加反応し、付加反応硬化物が形成されるものである。
【0039】
なお、本発明が適用される構造物(基材)としては、特に制限されないが、金属、セメント、ガラス等の無機材質や有機樹脂等が例示され、少なくとも一部が水中に没した水中構造物、例えば、船舶、港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁、海底基地、海底油田掘削設備、発電所の導水路管、養殖網、定置網等に好適に適用される。
【0040】
【実施例】
以下、合成例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、粘度は25℃での測定値を示す。また、部は質量部を示す。
【0041】
[合成例1]
ポリマーAの製造
温度計、撹拌機、冷却器を備えた内容積5リットルの三つロフラスコに2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752g、蒸留水1.8g、水酸化カリウム0.08gを仕込み、150℃で5時間反応させた。反応後、80℃まで冷却してエチレンクロロヒドリン4.0gを加え、更に80℃で3時間反応させた後、減圧加熱により低揮発分を留去して、粘度100,000mPa・s、不揮発分95.8%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:50モル%)を2,400g得た。
【0042】
[合成例2]
ポリマーBの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752gの代わりに、2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン1,376g、オクタメチルシクロテトラシロキサン1,184gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度62,000mPa・s、不揮発分96.8%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:25モル%)を2,300g得た。
【0043】
[合成例3]
ポリマーCの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752gの代わりに、2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン688g、オクタメチルシクロテトラシロキサン1,776gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度50,000mPa・s、不揮発分96.6%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:12.5モル%)を2,250g得た。
【0044】
[合成例4]
ポリマーDの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752gの代わりに、2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン275g、オクタメチルシクロテトラシロキサン2,131gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度80,000mPa・s、不揮発分95.7%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:5モル%)を2,100g得た。
【0045】
[合成例5]
ポリマーEの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサシ2,752gの代わりに、2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン138g、オクタメチルシクロテトラシロキサン2,250gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度150,000mPa・s、不揮発分99.2%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:2.5モル%)を2,150g得た。
【0046】
[合成例6]
ポリマーFの製造
合成例1の2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752gの代わりに、オクタメチルシクロテトラシロキサン2,368gを用いた以外は合成例1と同様にして、粘度81,000mPa・s、不揮発分96.3%の無色透明液体(両末端水酸基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:0モル%)を2,100g得た。
【0047】
[合成例7]
ポリマーGの製造
温度計、撹拌機、冷却器を備えた内容積2リットルの三つ口フラスコにポリマ−Aを1,000g、テトラメトキシシランを76g仕込み、120℃で24時間反応させた。反応後、減圧加熱によりメタノールと過剰のテトラメトキシシランを留去して、粘度108,000mPa・s、不揮発分96.3%の無色透明液体(両末端トリメトキシ基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:50モル%)を975g得た。
【0048】
[合成例8]
ポリマーHの製造
合成例7のポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は、合成例7と同様にして、粘度90,000mPa・s、不揮発分98.2%の無色透明液体(両末端トリメトキシ基封鎖ポリメチルビニルシロキサン、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:0モル%)を950g得た。
【0049】
[処方例1]
ポリマーAを100部と表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(エロジルR972(日本アエロジル(株)製))5部を均一に混合し、これにビニルトリスメチルエチルケトオキシムシラン6部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部を減圧下で均一になるまで混合して、縮合硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。
【0050】
[処方例2]
処方例1において、ポリマーAの代わりにポリマーBを用いた以外は処方例1と同様の手法で組成物を調製した。
【0051】
[処方例3]
処方例1において、ポリマーAの代わりにポリマーCを用いた以外は処方例1と同様の手法で組成物を調製した。
【0052】
[処方例4]
処方例1において、ポリマーAの代わりにポリマーDを用いた以外は処方例1と同様の手法で組成物を調製した。
【0053】
[処方例5]
処方例1において、ポリマーAの代わりにポリマーEを用いた以外は処方例1と同様の手法で組成物を調製した。
【0054】
[処方例6]
ポリマーAを100部とコロイダル炭酸カルシウム50部を均一に混合し、これにビニルトリスイソプロペノキシシラン8部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン1.0部を減圧下で均一になるまで混合して、組成物を調製した。
【0055】
[処方例7]
ポリマーGを100部とコロイダル炭酸カルシウム50部を均一に混合し、これにメチルトリメトキシシラン6部、テトラブチルチタネート1.0部を減圧下で均一になるまで混合して、組成物を調製した。
【0056】
[比較例1]
処方例1において、ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は処方例1と同様の手法で組成物を調製した。
【0057】
[比較例2]
処方例6において、ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は処方例6と同様の手法で組成物を調製した。
【0058】
[比較例3]
処方例7において、ポリマーGの代わりにポリマーHを用いた以外は処方例7と同様の手法で組成物を調製した。
【0059】
次に、これら組成物を23℃,50%RHの条件で7日間かけて硬化させた(初期)。更に、100℃の乾燥機で1時間加熱した(加熱)。また、初期の硬化物表面に下記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(M−DH 38−M)を厚さ200μmにコーティングし、100℃の乾燥機で1時間加熱した(HDM)。更に、初期の硬化物表面にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(M−DH 38−M)100gと白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金元素含有量0.5wt%)1gの混合物を厚さ200μmにコーティングし、100℃の乾燥機で1時間加熱した(HDM(1)/Pt)。
【0060】
【化5】
【0061】
上記それぞれの条件で作製したシート表面の接触角を以下の通り測定した。結果を表1に示す。
<初期接触角>
水接触角:協和界面化学(株)製、接触角計CA−X150を使用(液滴量)して測定した。
<耐久接触角>
キシレンを浸した脱脂綿で100往復ラビングした後の接触角を初期と同様に測定した。
【0062】
【表1】
【0063】
<水滴転落角>
シート表面に水滴を1滴たらし、シートの角度を0°(水平)から徐々に上げていき、90°(垂直)に立てた時、水滴が流れ落ちた角度を読みとった。
初期の硬化物表面に下記に示すオルガノハイドロジェンポリシロキサン100gと白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金元素含有量0.5wt%)1gの混合物を厚さ200μmにコーティングし、100℃の乾燥機で1時間加熱した(HDM(1)〜(4)/Pt)。
また、初期の硬化物表面にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(M−DH 38−M)100gと白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金元素含有量0.5wt%)1gの混合物を厚さ200μmにコーティングし、100℃の乾燥機で1時間加熱した後、更に両末端にアリル基とOH基を有する8個のオキシエチレン基を有する化合物(EO)100gとジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金元素含有量0.5wt%)1gの混合物を厚さ200μmにコーティングし、100℃の乾燥機で1時間加熱した(HDM(1)/Pt/EO)。
得られた結果を表2に示す。
【0064】
【化6】
【0065】
【表2】
【0066】
<防汚性能試験結果>
上記の組成物を、エポキシ系防食塗料(膜厚200μm)を用いて予め塗装した被塗板に、硬化膜厚が300μmになるように塗装して試験塗板とした。このように作製した試験塗板を、23℃,50%RHの条件で7日間かけて硬化させた。
これらの硬化後の試験塗板につき、表3に示す硬化層処理を上記と同様にして行った後、三重県海岸の沖合いに1.5mの深さで12ヶ月間にわたって懸垂試験を行い、フジツボ等の貝類、海藻類の付着状況を観察した。その結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【発明の効果】
本発明の防汚方法によれば、無毒であり、環境面において何ら問題もなく、かつ長期間に亘って水生生物の付着・生育を防止し、優れた防汚性を示すものである。
Claims (4)
- 基材の表面に、(A)分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、珪素原子に結合する全置換基の2モル%以上がアルケニル基であり、珪素原子に結合するその他の基がメチル基である下記一般式(1)又は(2)
で表されるジオルガノポリシロキサンをベースポリマーとし、加水分解性基を1分子中に2個以上有するシラン又はその部分加水分解物を配合してなる縮合硬化型シリコーンゴム組成物の硬化被膜を形成すると共に、この硬化被膜上に、(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒との混合物をこのオルガノハイドロジェンポリシロキサンが上記硬化被膜中のアルケニル基と付加反応した際に残存するような量で塗布し、上記硬化被膜中のアルケニル基とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させて上記硬化被膜との間で第1の表面硬化層を形成し、更に、この第1の表面硬化層上に、(C)脂肪族不飽和炭化水素基及びオキシアルキレン基を含有する化合物を塗布し、上記第1の表面硬化層中の上記残存したオルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和炭化水素基とを付加反応させて、上記第1の表面硬化層との間で第2の表面硬化層を形成することを特徴とする基材の防汚方法。 - 縮合硬化型シリコーンゴム組成物(A)が、充填剤として炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、及び表面を疎水化処理したシリカゼオライトのいずれかを含有することを特徴とする請求項1記載の防汚方法。
- 基材が水中構造物である請求項1又は2記載の防汚方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の防汚方法により防汚性被膜が形成された防汚性構造物。
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