JP2006160536A - コンクリートの劣化防止方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】劣化防止剤をコンクリート内に確実かつ効率的に含浸させることができるコンクリートの劣化防止方法および装置を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物の表面の処理部分に、所望の空間を隔てると共に周囲を密着させた状態でカバー部材を取り付けて、該空間内の空気を吸引し、上記空間内に負圧もしくは真空を発生させることにより液状劣化防止剤を導入すると共に、所定量の液状劣化防止剤が導入された時に該導入を停止し、さらにコンクリート内の空気を吸引することで脱気を行い、上記空間内に液状劣化防止剤を置き換えてコンクリート内に含浸せしめる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、アルカリ骨材反応によるコンクリート中性化などの劣化を防止する、コンクリートの劣化防止方法および装置に関するものである。
従来のこの種の劣化防止方法としては、バキュームでコンクリート壁面に吸着し、O−リングを介した注入口を壁面に接触させて、珪酸リチウムを線状あるいは面状に注入する圧入器や、片面をポリでラミネートした脱脂綿に薬液を含浸させたり(いわゆる湿布工法)や、不織布をコンクリート面に貼り付けて、不織布を通じて上部から薬剤を流し、下部に取り付けた樋で集めて上部にポンプアップして循環する方法(いわゆるナイヤガラ工法)などがあった。
しかし、上記圧入器を使った工法は、高圧力を必要とするので、吸着手段が大がかりになったり作業効率が悪く、また、上記湿布工法やナイヤガラ工法などの従来工法は、作業効率が悪くて実用的でないという欠点があった。
本発明が解決しようとする課題は、上記従来の問題点を解決することができ、劣化防止剤をコンクリート内に確実かつ効率的に含浸させることができるコンクリートの劣化防止方法および装置を提供することにある。
本発明のコンクリートの劣化防止方法は、コンクリート構造物の表面の処理部分に、所望の空間を隔てると共に周囲を密着させた状態でカバー部材を取り付けて、該空間内の空気を吸引し、上記空間内に負圧もしくは真空を発生させることにより液状劣化防止剤を導入すると共に、所定量の液状劣化防止剤が導入された時に該導入を停止し、さらにコンクリート内の空気を吸引することで脱気を行い、上記空間内に液状劣化防止剤を置き換えてコンクリート内に含浸せしめることを特徴とする。また、上記コンクリート構造物の表面より内部鉄筋へ削孔を行い、鉄筋廻りの空洞部分にも液状劣化防止剤を充填させて、コンクリート内に含浸せしめることを特徴とする。さらに、上記コンクリート構造物がコンクリート壁である場合に、その両側面に上記カバー部材を取り付けることを特徴とする。またさらに、上記コンクリート構造物がコンクリート柱である場合に、その周面に上記カバー部材を巻き付けて取り付けることを特徴とする。更にまた、上記液状劣化防止剤が、亜硝酸リチウム溶液、珪酸リチウム溶液、珪酸ナトリウム溶液、珪酸カリウム溶液、エポキシ樹脂であることを特徴とする。
また、本発明のコンクリートの劣化防止装置は、コンクリート構造物の表面に取り付けられるカバー部材と、該表面とカバー部材の間に介挿されて空間を形成するスペーサと、上記カバー部材の周囲を上記表面に密着状態で貼り付けるシーリング手段と、上記空間内に液状劣化防止剤を供給する手段と、上記空間内から空気および液状劣化防止剤を排出する手段と、から成ることを特徴とする。さらに、上記カバー部材が、透明あるいは半透明であることを特徴とする。又更に、 上記スペーサがメッシュであることを特徴とする。更にまた、上記スペーサが、上記カバー部材の裏側に形成された凹凸であることを特徴とする。また、上記シーリング手段が、粘着テープであることを特徴とする。さらに、上記シーリング手段が、上記カバー部材の周辺の裏面に形成した粘着部であることを特徴とする。
本発明のコンクリートの劣化防止方法および装置は、劣化防止剤をコンクリート内に確実かつ効率的に含浸させることができるコンクリートの劣化防止方法および装置を提供することができるという利点がある。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明方法を実施する装置の1実施例を示す正面図(A)およびイ−イ断面図(B)であって、1はコンクリート構造物、2はカバー部材、2aは一端側に望ませて接続した供給導管、2bは他端側に望ませて接続した排出導管、3はスペーサー、4はシーリング材である。
本発明のコンクリート構造物1には、RC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造のコンクリート建造物も含まれる。また、本発明のコンクリートには、PC(トンネルのセグメント)などのような工場で製造されるコンクリート製品も含まれる。さらに、本発明のコンクリート表面は、図示のような平面に限定するものではなく、コンクリート円柱のような曲面であってもよい。
上記カバー部材2は、空気や液体等の流体を通さない材質のものであれば、いずれでもよいが、透明あるいは半透明で可撓性を有して高圧に耐え、しかも、後述の劣化防止剤に侵されない合成樹脂製シートが好ましい。該カバー部材2は、1回の劣化防止作業をするために必要な大きさ(広さ)を有する。該カバー部材2の一端側には、上記劣化防止剤を供給するための供給導管2aが接続されている。また、カバー部材2の他端側には、上記劣化防止剤や空気を排出するための排出導管2bが接続されている。
上記スペーサ3は、上記コンクリート構造物1の表面と、この表面を覆う上記カバー部材2との間に、空間を形成するためのもので、本実施例では、合成樹脂製メッシュを使用しているが、これに限定するものではなく、流体の移動が可能であり、劣化防止剤に侵されない材質と構造であれば、いずれでもよい。なお、上記カバー部材2の裏側(コンクリート構造物1の表面に面する側)に適当な凹凸を形成して、上記スペーサ3に代えてもよい。
4はシーリング手段であって、本実施例では、粘着テープにより上記カバー部材2の周囲を、コンクリート構造物1の劣化防止部分に密封状に貼り付けているが、これに限定するものではなく、カバー部材の周辺の裏面に形成した粘着部であってもよい。
次に、上記実施例の装置による、コンクリートの劣化防止方法について説明する。まず、図1に示すように、上記カバー部材2を劣化防止すべきコンクリート構造物1の表面に取り付け(貼り付け)る。また、上記供給導管2aの先端部に液状劣化防止剤の容器(図示せず)を接続すると共に、排出導管2bの先端部に、上記カバー部材2やコンクリート内の空気を吸引するバキューム装置(図示せず)を接続しておく。
上記液状劣化防止剤としては、例えば、亜硝酸リチウム溶液、珪酸リチウム溶液、珪酸ナトリウム溶液、珪酸カリウム溶液、エポキシ樹脂、など、コンクリートの劣化を防止する液状の材料であれば、いずれでもよい。
以上の準備作業が完了すると、上記バキューム装置を稼動させて、上記カバー部材2内の空気を吸引する。該カバー部材2内が負圧になると、図2に示すように、上記容器内の液状劣化防止剤がカバー部材2内に吸い込まれる。液状劣化防止剤がカバー部材2内の途中まで吸い込まれると、上記供給導管2aからの供給を停止する。液状劣化防止剤の供給が停止されると、バキューム装置による吸引によりコンクリ−ト構造物1内の空気も吸引されるので、カバー部材2内に吸い込まれた液状劣化防止剤は、図2(B)に示すように、コンクリ−ト構造物1内の空気と置き換えられ、含浸される。
コンクリ−ト構造物1内に含浸されない残余の液状劣化防止剤は、上記排出導管2bから排出して、作業を終了する。
図3は、コンクリート構造物1が壁である場合に、上記カバー部材2をその両面に貼り付けた実施例を示すもので、この場合には、コンクリート構造物1内の空気を効率良く吸引して、液状劣化防止剤をより十分に且つ確実に含浸させることができる。
図4は、コンクリート構造物1が柱である場合に、上記カバー部材2をその周囲に巻き付けた実施例を示すもので、この場合には、コンクリート構造物1内の空気を更に効率良く吸引することができ、更に液状劣化防止剤を十分に且つ確実に含浸させることができる。
図5は、本発明の第2の実施例を示すもので、コンクリート構造物1の表面より内部鉄筋、特に水平鉄筋5へ削孔6を行い、水平鉄筋5廻り発生する空洞部分7にも液状劣化防止剤を充填させて、コンクリート内に含浸せしめる。
本発明のコンクリート劣化防止装置の一実施例を示す正面図(A)およびそのイ−イ断面図(B)である。 図1の装置によるコンクリート劣化防止方法の説明図(A)(B)である。 本発明のコンクリート劣化防止装置の別の実施例を示す断面図である。 本発明のコンクリート劣化防止装置の更に別の水平断面図である。 本発明のコンクリート劣化防止装置の第2実施例を示す断面図である。
符号の説明
1 コンクリート構造物
2 カバー部材
2a 供給導管
2b 排出導管
3 スペーサー
4 シーリング材
5 水平鉄筋
6 削孔
7 空洞部分

Claims (11)

  1. コンクリート構造物の表面の処理部分に、所望の空間を隔てると共に周囲を密着させた状態でカバー部材を取り付けて、該空間内の空気を吸引し、上記空間内に負圧もしくは真空を発生させることにより液状劣化防止剤を導入すると共に、所定量の液状劣化防止剤が導入された時に該導入を停止し、さらにコンクリート内の空気を吸引することで脱気を行い、上記空間内に液状劣化防止剤を置き換えてコンクリート内に含浸せしめることを特徴とするコンクリートの劣化防止方法。
  2. 上記コンクリート構造物の表面より内部鉄筋へ削孔を行い、鉄筋廻りの空洞部分にも液状劣化防止剤を充填させて、コンクリート内に含浸せしめることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの劣化防止方法。
  3. 上記コンクリート構造物がコンクリート壁である場合に、その両側面に上記カバー部材を取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートの劣化防止方法。
  4. 上記コンクリート構造物がコンクリート柱である場合に、その周面に上記カバー部材を巻き付けて取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートの劣化防止方法。
  5. 上記液状劣化防止剤が、亜硝酸リチウム溶液、珪酸リチウム溶液、珪酸ナトリウム溶液、珪酸カリウム溶液、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1、2、または4に記載のコンクリートの劣化防止方法。
  6. コンクリート構造物の表面に取り付けられるカバー部材と、該表面とカバー部材の間に介挿されて空間を形成するスペーサと、上記カバー部材の周囲を上記表面に密着状態で貼り付けるシーリング手段と、上記空間内に液状劣化防止剤を供給する手段と、上記空間内から空気および液状劣化防止剤を排出する手段と、から成ることを特徴とするコンクリートの劣化防止装置。
  7. 上記カバー部材が、透明あるいは半透明であることを特徴とする請求項6に記載のコンクリートの劣化防止装置。
  8. 上記スペーサがメッシュであることを特徴とする請求項6または7に記載のコンクリートの劣化防止装置。
  9. 上記スペーサが、上記カバー部材の裏側に形成された凹凸であることを特徴とする請求項6、7または8に記載のコンクリートの劣化防止装置。
  10. 上記シーリング手段が、粘着テープであることを特徴とする請求項6、7、8または9に記載のコンクリートの劣化防止装置。
  11. 上記シーリング手段が、上記カバー部材の周辺の裏面に形成した粘着部であることを特徴とする請求項6、7、8または9に記載のコンクリートの劣化防止装置。
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