JP2006143829A - ポリ乳酸系樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸系樹脂を結晶化して得られる成形品において、優れた耐衝撃性を有し、且つ透明性を維持することができるポリ乳酸系樹脂成形品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸100重量部に対して、ヒマシ油系脂肪酸エステルを0.1〜15.0重量部含有するポリ乳酸樹脂組成物から成る、結晶化度30%以上有するポリ乳酸系樹脂成形品。
【効果】各種容器や家電製品、自動車部品等に使用できるレベルの耐衝撃性を有し、且つ、本来ポリ乳酸が有する透明性を大きく損なわない程度の透明性を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形等により作製されたポリ乳酸系樹脂組成物の成形品に関する。さらに詳しくは、結晶化することで耐衝撃性が向上し、且つ透明性が維持されるポリ乳酸系樹脂成形品及びその製造方法に関するものである。
近年、自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解性樹脂及びその成形品が求められている。中でも、脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂の研究・開発が活発に行われている。特に、ポリ乳酸は生分解性樹脂であるだけでなく、石油を原料とせず、再生可能資源であるトウモロコシ等の植物を原料としていることにより、循環型社会の構築に向けての材料としての注目が大きい。
ポリ乳酸は、他の生分解性樹脂と比較して融点が150〜180℃と高く、しかも透明性に優れるため、成形用材料として期待されている。しかし、ポリ乳酸は、その剛直な分子構造の為に、強度は高い一方、耐衝撃性に劣り脆いという欠点がある。
ポリ乳酸の耐衝撃性を改善するための方法として、成形加工法による改質がある。これは、ポリ乳酸に各種改質剤を加えたものを、成形時又は成形後に熱処理を行い結晶化させることで耐衝撃性を得る方法である。通常、ポリ乳酸単独を結晶化しても耐衝撃性は向上しないが、特許文献1には、ポリ乳酸に脂肪酸エステルを添加し結晶化を行うことにより、耐衝撃性を改良する方法が開示されている。また、特許文献2には、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルに変性エラストマーをブレンドしアニール処理を行うことで、耐衝撃性が向上すると記載してある。さらに、特許文献3では、乳酸系樹脂に脂肪族ポリエステルをブレンドし、射出成形後に結晶化することで、耐衝撃性が向上すると記載してある。
しかし、これらの方法では耐衝撃性を向上することはできるが、透明性についての記載はない。この方法で耐衝撃性を確保すると、透明でなくなるかまたは透明性が極端に低下してしまうからである。通常、ポリ乳酸を熱処理等で結晶化させると、結晶サイズがミクロンオーダーからサブmm程度となり、ポリ乳酸の結晶自体が光散乱の要因となり白濁してしまう。
一方、特定の結晶核剤をポリ乳酸に添加することで結晶化速度を高め、加熱結晶化しても透明性を維持する方法が特許文献4、特許文献5に開示されている。しかし、これには耐衝撃性の改善についての記載はない。
即ち、ポリ乳酸系樹脂を結晶化して得られる成形品に、透明性が維持されたまま、優れた耐衝撃性を有するポリ乳酸系樹脂成形品は未だ得られていない。
特開平11−116784号公報 特開2004−35691号公報 特開2003−335933号公報 特開平11−5849号公報 特開平11−116783号公報
本発明が解決しようとする課題は、ポリ乳酸系樹脂を結晶化して得られる成形品におい
て、優れた耐衝撃性を有し、且つ透明性を維持することができるポリ乳酸系樹脂成形品及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、ポリ乳酸100重量部に対して、ヒマシ油系脂肪酸エステルを0.1〜15.0重量部含有するポリ乳酸系樹脂組成物を使用し、成形時又は成形後に結晶化させることによって、アイゾット衝撃強度が6kJ/m以上の耐衝撃性、且つ、2mm厚のHaze値が50%以下の透明性を有するポリ乳酸系樹脂成形品が得られることを見出した。
本発明のポリ乳酸系樹脂成形品は、各種容器や家電製品、自動車部品等に使用できるレベルの耐衝撃性を有し、且つ、本来ポリ乳酸が有する透明性を大きく損なわない程度の透明性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系樹脂成形品は、ポリ乳酸とヒマシ油系脂肪酸エステルを含有するポリ乳酸樹脂組成物を成形時又は成形後に結晶化することで得られるポリ乳酸系樹脂成形品である。
(ポリ乳酸)
本発明に用いられるポリ乳酸は、実質的にL−乳酸又はD−乳酸由来のモノマー単位のみで構成されるポリマーである。ここで「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、L−乳酸又はD−乳酸に由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良いと言う意味である。ポリ乳酸が、L−乳酸又はD−乳酸に由来するモノマー単位だけからなる場合には、重合体は結晶性で高融点を有する。さらには、L−乳酸、D−乳酸由来のモノマー単位の比率(D/L比と略称する)を変化させる事により、結晶性・融点を自在に調節する事ができるので、用途に応じ、実用特性を制御することが可能である。
また、ポリ乳酸の性質を損なわない程度に、他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、脂肪族ジオールや脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。ポリ乳酸に共重合される上記の「他のヒドロキシカルボン酸単位」としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類などを挙げることができる。ポリ乳酸に共重合される上記「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができる。また、ポリ乳酸に共重合される上記「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸などを挙げることができる。
さらに、耐熱性を向上させるなどの必要に応じ、少量共重合成分としてテレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを共重合させてもよい。また、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを共重合させることもできる。
ポリ乳酸の重合法としては、縮重合法、開環重合法、その他の公知の重合法を採用する
ことができる。例えば、縮重合法では、L−乳酸或いはD−乳酸或いはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持ったポリ乳酸を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸を得ることができる。この際、ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成及び結晶性を有するポリ乳酸を得ることができる。
本発明において使用するポリ乳酸の分子量は、目的とする用途、例えば射出成形品にした場合に、実質的に十分な機械物性を示すものであれば、その分子量は特に制限されない。分子量が低いと得られる成形品の強度が低下し、分解速度が速くなる。逆に高いと加工性が低下し、成形が困難になる。
かかる点を考慮すると、本発明に使用するポリ乳酸の重量平均分子量の好ましい範囲は、5万から40万、より好ましくは10万から25万である。なお、ポリ乳酸の代表的なものとしては、三井化学(株)製レイシアシリーズ、トヨタ自動車(株)製エコプラスチック(U’z)シリーズ、カーギル・ダウ製Nature Worksシリーズなどが挙げられる。
(ヒマシ油系脂肪酸エステル)
本発明に用いられるヒマシ油系脂肪酸エステルは、ヒマシ油から誘導される脂肪酸エステル系である。ヒマシ油 は、分子内に3個弱(より正確には 2.7個)のリシノール酸を構成脂肪酸として含むトリグリセリドであり、ここでリシノール酸とは18個の炭素原子のうち、9〜10位の炭素原子間に二重結合を有しかつ12位の炭素原子にOH基を有する脂肪酸である。
ヒマシ油系脂肪酸エステルは、例えば、ヒマシ油又は水添ヒマシ油と、少なくとも一部がオキシ脂肪酸である一価の脂肪酸又はその脂肪酸を縮合した縮合脂肪酸とのエステル化反応等により精製される。ここで、水添ヒマシ油は、ヒマシ油の構成脂肪酸であるリノール酸を水素添加して12−ヒドロキシステアリン酸に変換したものである。また、一価の脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘミン酸、モンタン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
(ヒマシ油系脂肪酸エステルの添加量)
本発明におけるヒマシ油系脂肪酸エステルの添加量は、ポリ乳酸100重量部に対して、0.1〜15.0重量部になるように添加でき、好ましくは5.0〜13.0重量部、さらに好ましくは7.5〜12.5重量部である。15重量部を超えると、粘度が低下し、ポリ乳酸との混練が難しくなる。
(有機添加剤・無機添加剤)
本発明の製造方法により製造する成形品には、本発明の効果を損なわない限り、結晶化速度の向上、耐熱性の向上、機械物性の向上、耐ブロッキング性の向上等の諸物性を改善するために有機添加剤や無機添加剤を添加することもできる。
有機添加剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪酸エステルが挙げられる。この中で脂肪酸アミドとしては、モノ脂肪酸アミド類、N−置換モノ脂肪酸アミド類、ビス脂肪酸アミド類、N−置換脂肪酸ビスアミド類、N−置換尿素類が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもモノ脂肪酸アミド類、N−置換モノ脂肪酸アミド類、ビス脂肪酸アミド類が好適であり、特に、パル
ミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に用いられる。
脂肪酸塩としては、ラウリン酸塩、ミリスチン酸、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、ベヘニン酸塩、モンタン酸塩等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもステアリン酸の塩類やモンタン酸の塩類が好適であり、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウムが好適に用いられる。
脂肪族アルコールとしては、脂肪族モノアルコール類、脂肪族多価アルコール類、環状アルコール類が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でも脂肪族モノアルコール類が好適であり、特にステアリルアルコールが好適に用いられる。
脂肪酸エステルとしては、モノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノエステル及びエチレングリコールジエステル、グリセリンモノエステル、グリセリンジエステル及びグリセリントリエステルが挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもエチレングリコールのジエステル類が好適であり、特にエチレングリコールジステアレートが好適に用いられる。
無機添加剤の具体例としては、例えば、タルク、カオリナイト、SiO2、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられるが、成形品の透明性、耐衝撃性を損なわないように適宜、条件(添加量、粒子サイズ)を選択する必要がある。
また、成形時の金型内での結晶化や生成した成形品の熱処理による結晶化などの成形加工時の結晶化速度をさらに向上させることを目的とした場合、SiO2成分を10重量%以上含む結晶性の無機物が好ましく、具体的には、タルクTM−30(富士タルク社製)、カオリンJP−100(土屋カオリン社製)、NNカオリンクレー(土屋カオリン社製)、カオリナイトASP一170(富士タルク社製)、カオリンUW(エンゲルハード社製)、タルクRF(富士タルク社製)等が挙げられる。この場合、粒径が小さく、樹脂と溶融混練した場合に凝集することなく良好に分散するものが好適に用いられる。
(有機添加剤・無機添加剤の添加量)
有機添加剤や無機添加剤の添加量は、添加剤の種類にもよるが、一般に本発明の効果を極端に損なわない量を添加する事ができる。
(その他の添加剤)
本発明の製造方法により製造する成形品には、本発明の効果を損なわない限り、各種エラストマー(SBR、NBR、SBS型3元ブロック共重合体熱可塑性エラストマー等)や添加剤(可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤)、フィラー(耐衝撃性コア/シェル型粒子、インパクトモディフアイアー等)、顔料(メタリック顔料、パール顔料)を目的や用途に応じて適宜使用することができる。
(ポリ乳酸系樹脂成形品)
本発明のポリ乳酸系樹脂成形品は、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空圧空成形法等、現在公知の任意の成形方法により成形されたものである。本発明では、上記の成形方法でポリ乳酸系樹脂成形品を成形する際に、成形時又は成形後に結晶化操作を行う事で、耐衝撃性が優れ、且つ透明性が維持されたポリ乳酸樹脂成形品を好適に製造することができる。
(製造方法)
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂成形品の製造方法、特に射出成形品を製造する方法について説明する。なお、ここでは主に射出成形する場合について述べるが、その他の成形方法については公知の成形方法を採用すればよい。
ポリ乳酸とヒマシ油系脂肪酸エステルは、例えば二軸押出機等を用いてストランド形状に押出すなどしてペレットを作製した後、射出成形機を用いて射出成形品を作製する方法などを採用する事ができる。具体的には、例えば、ポリ乳酸を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機等を用いてポリ乳酸を溶融させながら、ヒマシ油系脂肪酸エステルを液注入させ溶融混練し、ストランド形状に押出してペレットを作製するなどすればよい。その際、ポリ乳酸の融点が、L−乳酸とD−乳酸の組成比によって変化する事や、ヒマシ油系脂肪酸エステルの混合の割合によって、混合樹脂の融点が変化する事などを考慮して、溶融押出温度を適宜選択する事が好ましい。実際には100℃〜250℃の温度範囲が選択される。このように作製したペレットは十分に乾燥して水分を除去した後射出成形を行えばよい。
射出成形の方法は、特に限定するものではない。代表的な例として、熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法、射出圧縮成形法等を挙げることができる。その他目的に合わせて、上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL等を採用する事もできる。この際、射出成形装置は、一般射出成形機、ガスアシスト成形機及び射出圧縮成形機などと、これらに用いられる成形用金型及び付帯機器、金型温度制御装置及び原料乾燥装置等とから構成されるのが一般的である。成形条件は、射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度を170〜210℃の温度範囲で成形するのが好ましい。
本発明では、ポリ乳酸系樹脂組成物を、成形時、又は成形後に何らかの方法で結晶化させる必要がある。その具体例としては、例えば、成形時に該組成物の溶融物を金型内に充填し、金型内でそのまま結晶化させる方法(以下、金型内結晶化法という)、及び該組成物の非晶性の成形品を乾熱処理又は湿熱処理する方法(以下、後結晶化法という)を挙げることができる。この金型内結晶化法及び後結晶化法では、成形品を結晶化する際の最適の温度条件等が異なる。
金型内結晶化法の場合、金型の設定温度条件は、該組成物の示差走査熱量分析における降温時の結晶化開始温度から、結晶化終了温度までの温度範囲が好ましく、結晶化ピークの頂点付近の温度がより好ましい。結晶化開始温度より高い温度では、結晶化速度が著しく遅くなり、生産性、操作性が悪くなったり、さらには結晶化しなくなり、目的とする成形品が得られない場合があり、逆に結晶化終了温度より低い温度では結晶化速度が著しく遅く、目的とする成形品が得られない場合がある。この方法では、金型内の保持時間は、該組成物によっても異なるが、金型内で、成形品が十分に結晶化するにたる時間以上であれば、特に制限はない。
一方、後結晶化法(乾熱処理)の場合、設定温度条件は、該組成物のガラス転移温度(Tg)から融点(Tm)までの温度範囲、より好ましくは(Tg+5℃)から(Tm−2
0℃)、さらに好ましくは(Tg+l0℃)から(Tm−30℃)までの温度範囲がよい。設定温度がTmより高い場合は、短時間で結晶化させても耐衝撃性を損ねたり、形状が歪んだりする場合があり、さらに長時間加熱すると融解する場合がある。逆にTgより低い温度では、結晶化速度が著しく遅く、目的とする成形品が得られない場合がある。この方法では成形品を乾熱処理する時間は、組成物により異なるが、成形品が十分に結晶化するに足る時間以上であれば、特に制限されない。
また、後結晶化法(湿熱処理)の場合、上記乾熱処理での設定温度に加えて、加湿雰囲気下で結晶化を行う。湿熱処理時の相対湿度は60%以上が好ましく、さらに好ましくは80%以上である。この方法では成形品を湿熱処理する時間は、組成物により異なるが、成形品が十分に結晶化するに足る時間以上であれば、特に制限されない。
上記の結晶化操作を行う際、成形品を固定しなくても良いが、成形品の変形を防止する為に、金型、樹脂型等で固定するほうがより好ましい。また、生産性を考慮に入れて、梱包した状態で熱処理を行う事もできる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、評価は下記の方法で行った。
(評価方法)
(1)耐衝撃性
JIS K 7110に準拠したアイゾット衝撃試験により、アイゾット衝撃強度を測定した。試験片はJIS1号試験片(3.18mm(1/8インチ)厚みノッチ付き)であり、衝撃試験機「IM−401」((株)上島製作所製)を用いて測定した。
(2)透明性(以下、Hazeと省略する。)
濁度計「NDH−2000」(日本電色工業(株)製)を用いて、厚さ約2mmの平板成形品のHazeを測定した。
(3)結晶化度
示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー製)にて、昇温速度が10℃/minで、ポリ乳酸系樹脂に起因する融解熱量(ΔHm)及び結晶化熱量(ΔHc)を測定し、下記式によりポリ乳酸系樹脂の結晶化度を算出した。
結晶化度 (%)=100×(ΔHm+ΔHc)/93
(湿熱処理による結晶化)
(実施例1−1)
ポリ乳酸(D体比率1.0%、相対粘度3.1)100重量部と、ヒマシ油系脂肪酸エステル「リックサイザーC−401」(伊藤製油(株)製)10重量部を、二軸押出機「NR2−22」(ナカタニ機械(株)製)を用いて、シリンダー設定温度170−200℃の条件にて溶融混練し、得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレット形状にした。
次に該ペレットを小型射出成形機「MINIMAT 14/7B」(住友重機械工業(株)製)を用いて、シリンダー設定温度170−200℃の条件にて溶融し、設定温度30℃の金型に充填し、冷却時間は30秒として、JIS1号試験片(3.18mm(1/8インチ)厚みノッチ付き)、2mm厚の平板成形品を得た。得られた成形品の結晶化度、耐衝撃性及び透明性の測定及び評価を行った。また、得られた成形品を、恒温高湿試験装置「IG400」(ヤマト科学(株)製)内に静置し、50℃、80%RH(相対湿度)で1週間の湿熱処理を行った。湿熱処理後の成形品の結晶化度、耐衝撃性及び透明性の
測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例1−2〜1−6)
ヒマシ油系脂肪酸エステルの種類、添加量を表1のように変えた以外は実施例1−1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例1−1)
ヒマシ油脂肪酸エステルを除いた以外は、実施例1−1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例1−2)
ポリ乳酸100重量部と可塑剤「トリアセチン」(大八化学(株)製)10重量部を用いた以外、実施例1−1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例1−3)
ポリ乳酸100重量部と耐衝撃性付与剤「プラメートPD−150」(大日本インキ化学工業(株)製)20重量部を用いた以外、実施例1−1と同様に行った。結果を表1に示す。
(乾熱処理による結晶化)
(実施例2−1)
実施例1−1と同様の方法で射出成形品を得た後、得られた成形品を乾燥機「DFS82」(ヤマト科学(株)製)内に静置し、60℃で1時間の乾熱処理を行った。乾熱処理後の成形品の結晶化度、耐衝撃性及び透明性などの測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例2−2、2−3)
乾熱処理条件を表2のように変えた以外は、実施例2−1と同様に行った。結果を表2に示す。
(比較例2−1〜2−3)
ヒマシ油脂肪酸エステルを除いた以外は、実施例2−1〜2−3と同様に行った。結果を表2に示す。
(金型内結晶化)
(実施例3−1)
実施例1−1と同様の方法でペレットを得た後、該ペレットを小型射出成形機「MINIMAT 14/7B」(住友重機械工業(株)製)を用いて、シリンダー設定温度170−200℃の条件にて溶融し、設定温度90℃の金型に充填し、冷却時間は90秒として、JIS1号試験片(3.18mm(1/8インチ)厚みノッチ付き)、2mm厚の平板成形品を得た。得られた成形品の結晶化度、耐衝撃性及び透明性などの測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例3−1)
ヒマシ油脂肪酸エステルを除いた以外は、実施例3−1と同様に行った。結果を表3に示す。
表1、2、3から明らかなように、実施例のポリ乳酸系樹脂成形品は、結晶化度30%以上で、アイゾット衝撃強度が6kJ/m以上、且つ2mm厚のHaze値が50%以下で
あり、結晶化による耐衝撃性の向上と透明性の維持が示された。
他方、ポリ乳酸単独の成形品の場合、比較例2−2、2−3のように、結晶化度30%以上でも実施例のような耐衝撃性は得られず、透明性も失われる。比較例1−1、2−1、3−1では結晶化が起きなかった。また、比較例1−2では結晶化度30%以上でアイゾット衝撃強度がN.B.(破断せず)となり、耐衝撃性は得られるものの、透明性が失われる。比較例1−3では、結晶化度30%以上で、アイゾット衝撃強度5.8kJ/m、Haze52.9%であり、耐衝撃性、透明性ともに劣るものであった。
本発明のポリ乳酸系樹脂成形品は、結晶化を行う事で優れた耐衝撃性を有し、且つ透明性も有しているので、各種容器や家電製品、自動車部品等の成形品に好適に使用される。

Claims (2)

  1. ポリ乳酸100重量部に対して、ヒマシ油系脂肪酸エステルを0.1〜15.0重量部含有するポリ乳酸樹脂組成物から成る、結晶化度30%以上有するポリ乳酸系樹脂成形品。
  2. ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度から融点までの温度範囲内で結晶化させる金型内結晶化法、又は後結晶化法を用いて結晶化することを特徴とする、請求項1記載のポリ乳酸系樹脂成形品の製造方法。
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