JP2006143513A - 光学素子成形用型の製造方法 - Google Patents

光学素子成形用型の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006143513A
JP2006143513A JP2004334323A JP2004334323A JP2006143513A JP 2006143513 A JP2006143513 A JP 2006143513A JP 2004334323 A JP2004334323 A JP 2004334323A JP 2004334323 A JP2004334323 A JP 2004334323A JP 2006143513 A JP2006143513 A JP 2006143513A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
boron
optical element
mold
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004334323A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiji Hirabayashi
敬二 平林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004334323A priority Critical patent/JP2006143513A/ja
Publication of JP2006143513A publication Critical patent/JP2006143513A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

【課題】ガラス光学素子のプレス成形に使用される型材に、窒化ほう素系離型膜がコーティングされているが、一般にこの膜は、膜と母材との密着力や耐久性に問題がある。
【解決手段】ガラスより成る光学素子のプレス成形に用いる光学素子成形用型の製造方法において、型母材の少なくとも成形面に酸炭窒化ホウ素膜を形成した後、少なくとも成形最表面に窒化ほう素膜、炭窒化ほう素膜、酸炭窒化ほう素膜の1種類以上を形成することを特徴とする。ここで、酸炭窒化ホウ素膜の酸素含有量は5〜20原子%であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として、ガラス素材のプレス成形により、レンズ、プリズム等のガラスより成る光学素子を製造する際に使用される光学素子成形用型の製造方法に関するものである。
研磨工程を必要としないで、ガラス素材のプレス成形によってレンズを製造する技術は、従来の製造において必要とされた複雑な工程を無くし、簡単且つ安価にレンズを製造することを可能とし、近年レンズのみならず、プリズム、その他のガラスより成る光学素子の製造に使用されるようになった。
このような、ガラスの光学素子のプレス成形に使用される型材に要求される性質としては、硬度、耐熱性、離型性、鏡面加工性等に優れていることが挙げられる。従来、この種の型材として、金属、セラミックス、それらをコーティングした材料等、数多くの提案がなされている。
例えば、窒化ホウ素膜を離型膜として利用することは特許文献1,2に記載され、炭窒化ホウ素膜を離型膜として利用することは特許文献3に記載されている。
又、特許文献4には、膜中の酸素濃度が8atom%未満である窒素化合物を表面に有するガラス成形用金型が記載されている。
又、特許文献5には、窒化ホウ素含有膜を密着性良く形成するため、最表面に離型膜として窒化ホウ素が少なくとも30体積%以上含まれて、残部にAl,Si、元素周期律表の4a,5a,6a族遷移金属の窒化物、炭化物、酸化物及びNi,Fe,Coの中から少なくとも1種類が選択され70体積%以下で構成されている薄膜を備えたことを特徴とするガラス光学素子成形金型が記載されている。
又、特許文献6には、、VIa族元素を含有する膜(例えば、Cr,Mo,Wの単体、酸化物、窒化物等を含有する膜)上に、窒化ホウ素を含有する膜が被覆された窒化ホウ素含有膜被膜基体が記載されている。
更に、特許文献7によれば、基体の表面に、元素周期表の3B族元素と4A族元素及び4B族元素の少なくとも一方とを含んで成る中間層を形成し、且つ、当該中間層と基体との界面に両者の構成元素より成る混合層を形成し、更に前記中間層の上に窒化ホウ素を含む膜を形成して成ることを特徴とする膜被着物が記載されている。
これら、窒化ほう素及びそれに類する膜(以下、「窒化ほう素系離型膜」と称する)は、光学素子成形用離型膜として有効な離型性を及び耐熱性を有している。
特公平03−061617号公報 特公平03−061615号公報 特公平07−025558号公報 特開平10−324530号公報 特開平05−163027号公報 特開平06−172967号公報 特開平06−033222号公報
しかし、一般的には窒化ほう素系の膜は、膜と母材との密着力が非常に弱く、成形中に膜が剥離する等の耐久性に問題がある場合があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、窒化ほう素系離型膜の型母材への密着性が大幅に改善され、型の耐久性向上を図ることができる光学素子成形用型の製造方法を提供することにある。
本発明者は、窒化ほう素系離型膜の密着力改善のため、その中間層組成について詳細に検討した結果、本発明に至ったものである。
具体的には、ガラスより成る光学素子のプレス成形に用いる光学素子成形用型の製造方法において、該型母材の少なくとも成形面に酸炭窒化ホウ素を形成した後に、少なくとも成形最表面に窒化ほう素膜、炭窒化ほう素膜、酸炭窒化ほう素膜の1種類以上を形成することを特徴とする。
更に本発明は、酸炭窒化ホウ素膜の酸素含有量が5〜20原子%であることを特徴とする。
本発明により、窒化ほう素系離型膜の型母材への密着性が大幅に改善され、型の耐久性に関して大きな効果が得られる。
この理由としては、以下のことが考えられる。先ず、窒化ほう素膜及び炭窒化ほう素膜は、成膜時に非常に大きな応力を有し、応力緩和層としての中間層を形成しない場合は、成膜直後及び300〜400℃の加熱で容易に剥離が生じる。このため、特許文献6,7等に記載されているように、通常、応力緩和層として金属及びその化合物層から成る中間層(例えば、シリコン、チタン、クロム等及びその化合物)を薄く(例えば、数10nm〜数100nm)形成することが知られている。
しかしながら、これらの中間層を用いても窒化ほう素系の離型膜膜と型母材の密着性は不十分であり、特に成形温度の高いガラス(成形温度:〜600℃以上)では中間層と窒化ほう素系の離型膜界面での剥離が生じる。これは、窒化ほう素系の膜と金属及びその化合物から成る膜の密着性がそれほど高くないためであろうと考えられる。これに対し、本発明の酸炭窒化ほう素膜は、窒化ほう素系の膜と密着性が高く、更に型母材とも十分な密着性を有するため、窒化ほう素系の膜に対する中間層として好適であると言える。
更に、この酸窒化ほう素膜は、ガラスに対する離型性も良好であるため、中間層としてだけでなく離型膜としても十分利用できることが本発明者の検討により明らかとなった。
本発明によれば、離型性が良好で、耐久性の高いガラスモールド用窒化ほう素系離型膜を提供することができる。これにより、従来成形が難しかった、高い温度で成形が必要だった高融点ガラスが離型性良く、更に耐久性良く成形することが可能になった。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る光学素子成形用型の模式的断面図であり、同図において、11は成形面に硬質炭素膜13がある型母材である。尚、図1では、凸レンズ成形用型を示したが、本発明では、凸レンズ成形用型に限定されるものでなく、凹レンズ成形用型、非球面レンズ成形用型、シリンドリカルレンズ成形用型等にも使用可能である。
図2はプレス中を模式的に示したもので、図中、21は成形されたガラスである。
本発明で用いられる型母材は、アルミナ・ジルコニアのような酸化物系セラミックス、炭化珪素・窒化珪素・炭化チタン・窒化チタン・炭化タングステン等の炭化物・窒化物系セラミックス、更に、WC系の超硬合金、モリブデン・タングステン・タンタル等の金属を用いることができる。
又、本発明では酸炭窒化ほう素膜、型母材上に直接形成しても良いが、下地層を形成した上に形成することもできる。下地層としては、Ti,Ta,Si等の炭化物、窒化物、炭窒化物の、少なくとも1種類以上の化合物、混合物等を用いることができる。これらの膜は硬度が高く、化学的安定性にも優れているので下地層として最適である。又、型母材として超硬材料等の焼結体を用いた場合、粒子の脱落、ポア等により表面の平滑性が十分に上がらない場合があるが、これらの下地層は、表面の平滑性を向上させるのに有効である。下地層を形成した場合も、下地層と酸炭窒化ほう素膜との密着力が良好である。この下地層の最適な厚さは、一般的には0.5μm以上、望ましくは0.8μm以上である。上記下地層は公知のイオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法(化学的気相成長法)等により形成することができる
本発明の酸炭窒化ほう素膜は、酸素、炭素、窒素、ほう素と不可避不純物より成る膜であり、膜表面の平滑性のため非晶質構造を少なくとも部分的に有することが望ましい。又、酸素原子の含有量は5〜20原子%であり、炭素含有量、窒素含有量及びほう素含有量が各々10原子%以上であるが望ましい。酸素濃度が5原子%未満では型母材との密着性が悪化する傾向が見られ、20原子%より大きい場合は窒化ほう素系離型膜との密着性が悪化する傾向がある。又、酸窒化ほう素膜自体を離型膜として使用した場合も、酸素濃度が20原子%より大きい場合は、ガラスとの反応性が高くなり、ガラスの種類のよっては融着等が発生する場合がある。
本発明の酸炭窒化ほう素膜の形成にはプラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタ法等を用いることができる。
図3に本発明で用いることができる酸炭窒化ほう素膜の成膜装置の模式図の一例を示す。
図中、31は真空チャンバー、32は基体ホルダーで、基体加熱用ヒーターが内蔵され、不図示のヒーター用電源が接続されている。更に、不図示の基体バイアス印加用の電源(直流電源及び高周波電源)も接続されている。33は型材である。図では凸形状の型を示しているが、この形状に何ら限定されるものではない。
34はスパッタターゲットで、図では2つのスパッタターゲットを有するスパッタ装置が示されているが、スパッタターゲットは1つ又は3個以上でも構わない。35はスパッタターゲットに高周波を印加する高周波電源及び高周波整合機、36はガス導入口で、不図示のバルブ、ガス流量調整器、圧力調整器、ガスボンベが接続されており、所望の原料ガスを真空層内に導入することができる。37はガス排気口で、バルブ、ターボ分子ポンプ、ロータリーポンプ(何れも図示せず)が接続されている。尚、本発明で用いられる成膜装置は、上記装置に何ら限定されるものではない。
例えば、本発明の酸炭窒化ほう素膜の形成方法の一例としては、図3の成膜装置で窒化ほう素ターゲットと炭化ほう素ターゲットを用い、アルゴン−酸素−窒素混合ガスで2つのターゲットを同時にスパッタする、窒化ほう素ターゲットのスパッタのみを用いアルゴン−二酸化炭素混合ガスでスパッタを行う、等の方法がある。尚、このとき基体に負のバイアスを数100V印加することにより、膜の硬度がアップする傾向がある。
又、プラズマCVD法による成膜法の一例としては、ジボラン(B2 H6 、水素希釈)−メタン−窒素−二酸化炭素混合ガスを高周波を用いてプラズマ化して、基体に負のバイアスを印加しながら成膜を行う方法がある。更に、イオンプレーティング法による成膜法の一例としては、ほう素を電子ビーム蒸着により蒸発させながら、窒素−メタン−二酸化炭素を高周波でプラズマ化して基体に負のバイアスを印加しながら成膜を行う方法がある。尚、上記成膜方法、条件、ガス組成等は本発明の一例であり、本発明の成膜方法を何ら限定するものではない。
又、本発明では酸炭窒化ほう素膜を形成した後、窒化ほう素膜、炭窒化ほう素膜を形成してこれを離型層として用いても良い。窒化ほう素膜及び炭窒化ほう素膜は上で述べた成膜方法の原料の組成を変えることで形成することが可能である。尚、酸炭窒化ほう素膜を形成した後、基体を成膜装置を変えたり、真空層の外に出したりすると、膜の表面にコンタミ成分の付着により窒化ほう素膜及び炭窒化ほう素膜と酸窒化ほう素膜の界面で密着性が悪くなり剥離の原因となることがあるため、窒化ほう素膜及び炭窒化ほう素膜と酸窒化ほう素膜は同一成膜装置で連続して形成することが望ましい。
酸炭窒化ほう素膜の膜厚は、成膜方法、成膜条件、成形条件、成形ガラスにより一概には決まらないが、中間層として用いる場合は10nm以上、1μm以下で、好適には40nm以上、0.5μm以下である。薄過ぎと中間層としての効果が不十分で良好な耐久性が得られないことがあり、厚いと成形時の熱応力で剥離し易くなる。又、酸炭窒化ほう素膜を離型層として用いる場合は、40nm以上、2μm以下で、好適には80nm以上、0.5μm以下である。薄過ぎると磨耗により十分な耐久性が得られないことがあり、厚過ぎると成形時の熱応力で剥離し易くなる。
酸炭窒化ほう素膜上に形成する、窒化ホウ素膜及び炭窒化ほう素膜の膜厚は、成膜方法、成膜条件、成形条件、成形ガラスにより一概には決まらないが、10nm以上、1μm以下で、好適には40nm以上、0.5μm以下であり、薄過ぎると磨耗により離型膜としての効果が不十分で良好な耐久性が得られないことがあり、厚いと成形時の熱応力で剥離し易くなる。
本発明は、特に、大口径ガラスレンズ、肉厚の薄いガラスレンズ、肉厚比の大きいガラスレンズ、階段状の形状を有する回折型光学素子等、従来、離型膜に大きな力が掛かるため、剥離等で型の耐久性に問題のあったレンズの成形で、型耐久の大幅な向上に効果がある
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
(実施例1)
図1及び図2は本発明に係る光学素子成形用型の1つの実施様態を示すものである。尚、図1は光学素子のプレス成形前の状態を示し、図2は光学素子成形後の状態を示す。ここで、11は型母材、12はガラス素材、13は離型膜であり、又、図2において、21は光学素子である。図1に示すように、型の間に置かれたガラス素材12をプレス成形することにより、レンズ等の光学素子21が形成される。
次に、本発明の光学素子成形用型の製造法について説明する。
型母材として、バインダーレスWC系超硬合金焼結体(フジダイス製、商品名J−05)を所定の形状に加工した後、これをRa= 1.8nmとなるように研磨した。
次に、この型母材を良く洗浄した後、図3に示す成膜装置に設置した。尚、スパッタターゲット34としては、炭化ほう素(B4
C)及び六方晶窒化ほう素を用いた。
先ず、型母材の成膜を行う表面をアルゴンイオンエッチングによりクリーニングを行った。アルゴンイオンエッチングは、Arガスを20ml/minの流量で導入し、圧力を1. 5×10−1Paに調整し、基体ホルダーに高周波を印加することで、アルゴンガスを分解イオン化し、型母材へアルゴンイオン照射することで行った。
次に、中間層として酸炭窒化ほう素膜を形成する。基体ホルダーの基体加熱機構を用いて型材を200℃まで加熱し、真空層内にアルゴン:20ml/min、窒素:20ml/min、メタン:10ml/min、二酸化炭素:2ml/min、の流量で導入し、圧力を5×10−1Paに調整した。
又、炭化ほう素ターゲットに高周波(13.56MHz)を印加:800Wした。更に、型母材へ直流バイアス電源を用いて基板バイアス:−250Vを印加して、型材表面に酸炭窒化ほう素膜を形成した。10分間の成膜で約100nmの酸炭窒化ほう素膜が形成された。尚、この酸炭窒化ほう素膜の組成を分析するため別途、同一成膜条件で作製したサンプルをXPS(X線光電子分光)法で測定したところ、B:C::O=0.35:0.3:0.2:0.15の組成であることが分かった。
続いて、窒化ほう素膜を形成する。ガス流量はアルゴン:20ml/min、窒素:10ml/minとし、型材の温度は200℃で、圧力:3×10−1Paとした。窒化ほう素ターゲットに高周波(13.56MHzを印加:750Wした。更に、型母材へ直流バイアス電源を用いて基板バイアス:−250Vを印加して、型材表面に窒化ほう素膜を形成した。30分間の成膜で約200nmの窒化ほう素膜が形成された。
次に、この光学素子成形用型材を用いて光学レンズの成形を行った。
成形ガラスは、高融点ランタン系光学ガラス(軟化点Sp=752℃、転移点Tg=985℃)で、直径半径:φ25mmの凸レンズを成形する。成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度750℃で行った。成形中、型と成形された光学素子との離型性は良好であった。又、成形後の型表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜剥離、クラックの発生、更には、ガラスの融着が認められず、良好な型表面性を有していた。又、成形ガラスレンズについてもガラスの割れが見られず、良好な表面粗さであった。
(実施例2)
型母材として、WC系超硬合金を所定の形状に加工した後、成形面をRmax=0.04μmに鏡面研磨し、この型母材を良く洗浄した後、公知のスパッタ法によって下地層として窒化チタン膜を膜厚1μm形成した。
次に、図3に示す成膜装置に設置した。尚、スパッタターゲット34としては、炭化ほう素(B4
C)及び六方晶窒化ほう素を用いた。
先ず、型母材の成膜を行う表面をアルゴンイオンエッチングによりクリーニングを行った。アルゴンイオンエッチングは、Arガスを20ml/minの流量で導入し、圧力を1. 5×10−1Paに調整し、基体ホルダーに高周波を印加することで、アルゴンガスを分解イオン化し、型母材へアルゴンイオン照射することで行った。
次に、中間層として酸炭窒化ほう素膜を形成する。基体ホルダーの基体加熱機構を用いて型材を250℃まで加熱し、真空層内にアルゴン:20ml/min、窒素:25ml/min、アセチレン:10ml/min、二酸化炭素:2ml/min、の流量で導入し、圧力を5×10−1Paに調整した。又、炭化ほう素ターゲットに高周波(13.56MHz)を印加:1kWした。更に、型母材へ直流バイアス電源を用いて基板バイアス:−200Vを印加して、型材表面に酸炭窒化ほう素膜を形成した。
10分間の成膜で約150nmの酸炭窒化ほう素膜が形成された。尚、この酸炭窒化ほう素膜の組成を分析するため別途、同一成膜条件で作成したサンプルをXPS(X線光電子分光)法で測定したところ、B:C:N:O=0.3:0.4:0.2:0.1の組成であることが分かった。
続いて、炭窒化ほう素膜を形成する。ガス流量はアルゴン:20ml/min、窒素:10ml/min、アセチレン:10ml/minとし、型材の温度は200℃で、圧力:3×10−1Paとした。窒化ほう素ターゲットに高周波(13.56MHz)を印加:750Wした。更に、型母材へ直流バイアス電源を用いて基板バイアス:−200Vを印加して、型材表面に窒化ほう素膜を形成した。30分間の成膜で約250nmの炭窒化ほう素膜が形成された。
次に、この光学素子成形用型材を用いて光学レンズの成形を行った。
成形ガラスは、高融点ランタン系光学ガラス(軟化点Sp=803℃、転移点Tg=738℃)で、直径半径:φ15mmの、凹レンズを成形する。成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度800℃で行った。成形中、型と成形された光学素子との離型性は良好であった。又、成形後の型表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜剥離、クラックの発生、更には、ガラスの融着が認められず、良好な型表面性を有していた。又、成形ガラスレンズも、ガラスの割れが見られず、良好な表面粗さであり、透過率も高く、ハローの発生も認められなかった。
(比較例1及び2)
中間層を形成しない、又は中間層としてTi(チタン、膜厚100nm)を用いる以外は実施例1と同様にして光学素子成形用型材を作製した。中間層を形成しない場合は、離型膜の窒化ほう素膜の形成が終わり、真空層から取り出した段階で型母材から剥離が生じた。又、中間層としてTiを用いた場合は、実施例1と同様に光学素子を成形したところ、成形1ショットで離型膜が前面剥離した。
(実施例3−5、比較例3−5)
中間層と離型膜を種々変更する以外は、実施例2と同様にして、光学素子成形用型材を形成し、光学素子を成形した。尚、中間層の膜厚は約200nm、離型膜の膜厚は、約300nmとなるように成膜時間については各々調整した。
尚、この中間層に用いた酸炭窒化ほう素膜の組成を分析するため別途、同一成膜条件で作成したサンプルをXPS(X線光電子分光)法で測定したところ、B:C:N:O=0.5:0.15:0.2:0.15の組成であることが分かった。
その結果を表1に示す。
Figure 2006143513
◎:非常に良好
○:良好
△:実用上可
×:不可
尚、本発明の実施例において、成形品表面性と成形耐久性に関する評価基準(◎、○、△、×)は、以下の基準により行った。
先ず、成形品表面性の評価は、成形レンズに集光灯の光を当ててその表面性(表面の曇り、キズ及び微小凹凸)を目視で検査することにより行った。評価基準としては、製品として使用可能かどうかを「限度見本」と呼ばれるサンプルと比較して決定した。この限度見本は、アス及びクセ(所望のレンズ形状からのずれ量)がニュートンリング約1本で、最大表面粗さ(P−V値)で約30nm、平均表面粗さ(RMS)で約5nmであり、集光灯の光を当てて確認できる、大きさ約10μmまでのキズがレンズ全体の中で2個で、且つ、近接していない、という条件のもので、この「限度見本」より表面性の悪い成形品は製品として使用できない。
評価基準のうち、×は、この限度見本より表面性が劣り、製品として使用不可能なものである。△は、限度見本と同レベルの表面性又は簡単な拭き洗浄で限度見本と同レベルの表面性が得られるものである。○は、限度見本以上の表面性が得られているものである。◎は、非常に良好な表面性で曇り等が殆どないものである。
又、成形耐久性は、限度見本と同レベル又はそれ以上の製品を規定の数量成形することが可能かどうかで評価した。×は、ガラスの融着又は割れ等のために、規定の数量を成形することができなかったものである。△は、ほぼ規定回数の成形が可能なもの、○は、規定回数の1.5倍以上の成形が可能なもの、更に◎は、規定回数の2倍以上の成形が可能なものである。
上記表からも分かるように、本発明の実施例の範囲内の中間層を用いることにより、成形品の表面性及び型の成形耐久性は良好となる。
これに対して、中間層として窒化チタン、炭窒化ほう素、クロムを用いた比較例3〜5においては、離型膜と型母材の密着性が低く、成形時に離型膜と中間層の間で剥離が生じ、耐久性が悪かった。又、剥離した離型膜がガラス光学素子に付着したため、成形品の表面性も悪かった。
(実施例6−8、比較例6−7)
中間層の炭窒化ほう素膜の組成及び離型膜を種々変更する以外は、実施例2と同様にして、光学素子成形用型材を形成し、光学素子を成形した。尚、中間層の酸炭窒化ほう素膜の膜厚は約150nm、離型膜の膜厚は、約200nmとなるように成膜時間についてはおのおの調整した。
その結果を表2に示す。
Figure 2006143513
上記表からも分かるように、本発明の実施例範囲内の組成の炭窒化ほう素膜を用いることにより、成形品の表面性及び型の成形耐久性は良好となる。
これに対して、酸炭窒化ほう素中間層の酸素原子含有量が25%であった比較例6においては、成形時に離型膜と中間層の間で剥離が生じ、耐久性が悪かった。又、剥離した離型膜がガラス光学素子に付着したため成形品の表面性も悪かった。又、酸炭窒化ほう素中間層の酸素原子含有量が2%であった比較例7においては、成形時に中間層と型母材の間で剥離が生じ、耐久性が悪かった。又、剥離した膜がガラス光学素子に付着したため成形品の表面性も悪かった。
光学素子成形用型の模式的断面図である。 成形後の光学素子成形用型の模式的断面図である。 成膜装置の模式図である。
符号の説明
11 型母材
12 ガラス素材
13 離型膜
21 成形されたガラス光学素子
31 真空チャンバー
32 基体ホルダー
33 型材
34 スパッタターゲット
35 スパッタターゲット
36 ガス導入口
37 ガス排気口

Claims (2)

  1. ガラスより成る光学素子のプレス成形に用いる光学素子成形用型の製造方法において、
    型母材の少なくとも成形面に酸炭窒化ホウ素膜を形成した後、少なくとも成形最表面に窒化ほう素膜、炭窒化ほう素膜、酸炭窒化ほう素膜の1種類以上を形成することを特徴とする光学素子成形用型の製造方法。
  2. 酸炭窒化ホウ素膜の酸素含有量が5〜20原子%であることを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用型の製造方法。
JP2004334323A 2004-11-18 2004-11-18 光学素子成形用型の製造方法 Withdrawn JP2006143513A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004334323A JP2006143513A (ja) 2004-11-18 2004-11-18 光学素子成形用型の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004334323A JP2006143513A (ja) 2004-11-18 2004-11-18 光学素子成形用型の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006143513A true JP2006143513A (ja) 2006-06-08

Family

ID=36623631

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004334323A Withdrawn JP2006143513A (ja) 2004-11-18 2004-11-18 光学素子成形用型の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006143513A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4918656B2 (ja) 非晶質硬質炭素皮膜
JP2007070667A (ja) ダイヤモンドライクカーボン硬質多層膜成形体およびその製造方法
WO2004076710A1 (ja) 非晶質炭素膜、その製造方法および非晶質炭素膜被覆部材
JP7440508B2 (ja) 耐熱性カーボンコーティング
JP2010099735A (ja) 塑性加工用被覆金型
JP2010116295A (ja) 光学素子成形用型及びその製造方法
JP2006143513A (ja) 光学素子成形用型の製造方法
JP4596476B2 (ja) 光学素子成形用型の製造方法および光学素子成形用型
KR100947331B1 (ko) 사용 수명이 향상된 보강층을 갖는 렌즈 금형 코어의 박막구조물 및 이의 형성 방법
JPH1179759A (ja) 光学素子成形用型の製造方法
JP4347594B2 (ja) 光学素子成形方法
CN1769226B (zh) 具有耐磨层的模仁及其制备方法
CN108330445B (zh) 一种冲孔针头表面多弧离子镀掺杂钛的类金刚石膜的方法
KR20190002858A (ko) 플라이아이 렌즈 성형용 금형 코어 및 이의 제조방법
JP5713575B2 (ja) 光学素子成形用型、並びに光学素子、及び該光学素子の製造方法
KR100211473B1 (ko) 광학 소자 성형 다이 및 그의 제조 방법
JP2007169098A (ja) 光学ガラス素子成形用型
JP3308720B2 (ja) 光学素子成形用型
JP2003137564A (ja) 光学素子成形用型材の製造方法
JP2002114526A (ja) 光学素子成形用型の製造方法
JP2003020232A (ja) 回折光学素子成形用型及びその製造方法
JP2002284534A (ja) 光学素子成形用型及びその製造方法
JP2006117457A (ja) 光学素子成形用型及びその製造方法
JP2007254216A (ja) 光学素子成型用被覆金型及びその製造方法
JP2002201034A (ja) 光学素子成形用型及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080205