JP2006142812A - 生分解性樹脂積層シート及びその熱成形品 - Google Patents

生分解性樹脂積層シート及びその熱成形品 Download PDF

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和久 舘
Ko Yamaguchi
耕 山口
Tadashi Ueda
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Abstract

【課題】生分解性を有し、剛性、耐衝撃性等の機械的物性に優れ、かつ熱成形時の耐ドローダウン性に優れた生分解性樹脂積層シート及びその熱成形品の提供。
【解決手段】(1)60〜150℃の範囲に融点を有する生分解性樹脂(I)50〜100重量%、(2)150〜250℃の範囲に融点を有しかつ生分解性樹脂(I)との融点差が30℃以上である生分解性樹脂(II)0〜50重量%、及び(3)生分解性樹脂(I)および(II)の合計100重量部に対して充填剤5〜400重量部を配合した樹脂組成物からなる(A)層と、生分解性樹脂(I)0〜90重量%と生分解性樹脂(II)10〜100重量%とを含む樹脂組成物からなる(B)層を含む生分解性積層シートであって、生分解性樹脂(I)に対する生分解性樹脂(II)の配合比率が(A)層よりも(B)層のほうが高いことを特徴とする生分解性樹脂積層シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性樹脂積層シート及びその熱成形品に関し、詳しくは融点の異なる生分解性樹脂と充填剤からなる層を有する積層シートであって、生分解性を有し、熱成形時の耐ドローダウン性、容器成形性、および剛性、耐衝撃性等の機械物性に優れた生分解性樹脂積層シート及びその熱成形品に関するものである。
従来よりポリオレフィン系樹脂に充填剤を配合した複合樹脂材料をシート状に成形して得られるポリオレフィン系複合樹脂シートは、その優れた耐熱性、耐衝撃性等の特性、さらに焼却時の燃焼カロリーも樹脂単体に比べて低く、環境負荷が低いことから、これを二次成形(真空成形、圧空成形等)に供することによって各種容器、カップ、トレーなどの熱成形製品に広く用いられている。
しかし、これら複合樹脂材料からなるシート及びその熱成形製品は、環境問題の高まりとともに使用中は食品等の内容物の保護、保存、搬送に適した包装材、包装容器としての実用物性を損なわずに、使用後は土表面、土壌中、堆肥中、活性汚泥中、水中等の自然環境下で速やかに分解して原資化され得ることが望まれ、樹脂材料として生分解性を有する樹脂が使用されてきている。
生分解性を有する樹脂としては、脂肪族ポリエステル、多糖類、その他の生分解性樹脂が挙げられ、剛性、衝撃強度等の機械的物性バランスの比較的良好な点で脂肪族ポリエステルが上記熱成形製品向けに適している。しかしながら、脂肪族ポリエステルは概して低融点であり溶融張力も低いことから、シート成形はできても容器等への熱成形時に間接加熱するとドローダウンが大きく、適正な熱成形が難しいのが現状である。また、生分解性樹脂に充填剤を配合した複合樹脂組成物によるシートやそれを用いた各種容器やトレー類の開発も進められている。例えば、生分解性樹脂と炭酸カルシウム等の無機フィラーを配合した複合樹脂組成物を用いた真空成形用シートで真空成形時の耐ドローダウン性や金型離型性が改良される報告(例えば、特許文献1参照。)があるが、成形品の実用物性がポリオレフィン系複合樹脂材料を用いた既存シートに対して遜色ない乃至は改良される等の言及はされていない。また、ポリ乳酸系樹脂組成物を用いる柔軟性、耐熱性、生分解性を有するフィルム・シートの報告(例えば、特許文献2参照。)があるが、熱成形時の耐ドローダウン性は不十分である。一方、ポリ乳酸系重合体に特定の脂肪族ポリエステルを配合した基材にポリ乳酸系重合体を表層に設ける生分解性熱成形用シートの多層化報告(例えば、特許文献3参照。)がなされているが、表層は食品衛生性の保証を目的とするものであって、熱成形性の改良の示唆や言及はなく、得られる生分解性熱成形用シートも熱成形性は不十分であり、適用できる製品も限定されるものである。
従来のポリオレフィン系複合樹脂シートと比べ遜色のない熱成形性や熱成形品での実用物性を有し、かつ使用後の廃棄段階で要求される生分解性を兼ね備えた生分解性樹脂積層シートは未だ報告されていない。
特開2001−18286号公報 特開平11−116788号公報 特開2002−127343号公報
本発明は、上記問題点に鑑みて、生分解性を有し、剛性、耐衝撃性等の機械的物性に優れ、かつ熱成形時の耐ドローダウン性に優れた生分解性樹脂積層シート及びその熱成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、融点の異なる生分解性樹脂組成物を用いた生分解性樹脂積層シートにおいて、低融点の生分解性樹脂を相対的に多量に配合しさらに充填剤を配合した層と、高融点の生分解性樹脂を相対的に多量に配合した層とを積層した生分解性樹脂積層シート、好ましくは、表裏2層の表面層と表面層に挟まれた中間層とを、それぞれ、高融点の生分解性樹脂を相対的に多量に配合した層、低融点の生分解性樹脂を相対的に多量に配合しさらに充填剤を配合した層、からなる積層シートとすることにより、生分解性、機械的物性と同時に優れた熱成形時の耐ドローダウン性を兼ね備えた生分解性樹脂積層シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、生分解性樹脂(I)と生分解性樹脂(II)を配合してなる層から構成される生分解性樹脂積層シートであって、
(1)60〜150℃の範囲に融点を有する生分解性樹脂(I)50〜100重量%、
(2)150〜250℃の範囲に融点を有しかつ生分解性樹脂(I)との融点差が30℃以上である生分解性樹脂(II)0〜50重量%、及び
(3)生分解性樹脂(I)および(II)の合計100重量部に対して充填剤5〜400重量部を配合した樹脂組成物からなる(A)層と、
上記生分解性樹脂(I)0〜90重量%と上記生分解性樹脂(II)10〜100重量%とを含む樹脂組成物からなる(B)層を含み、
生分解性樹脂(I)に対する生分解性樹脂(II)の配合比率が(A)層よりも(B)層のほうが高いことを特徴とする生分解性樹脂積層シートが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、表裏2層の表面層が(B)層、表面層に挟まれた中間層が(A)層であることを特徴とする生分解性樹脂積層シートが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、生分解性樹脂(I)が脂肪族ポリエステルであって、下記一般式(1)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジオール単位、および下記一般式(2)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とすることを特徴とする生分解性樹脂積層シートが提供される。
−O−R−O− …(1)
(式(1)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
−OC−(R−CO− …(2)
(式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、脂肪族ポリエステルの脂肪族または脂環式ジオール単位が1,4−ブタンジオール単位、脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位がコハク酸単位であることを特徴とする生分解性樹脂積層シートが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、生分解性樹脂(II)がポリ乳酸であることを特徴とする生分解性樹脂積層シートが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、充填剤がタルクであることを特徴とする生分解性樹脂積層シートが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第2〜6のいずれかの発明において、(A)層の厚み比が、生分解性樹脂積層シート全厚みの30%以上、かつ96%以下であることを特徴とする生分解性樹脂積層シートが提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明の生分解性樹脂積層シートを用いてなる熱成形品が提供される。
本発明の生分解性樹脂積層シートは、(A)層と(B)層からなる生分解性樹脂積層シートであって、特に表裏2層の表面層と、表面層に挟まれた中間層を有する生分解性樹脂積層シートにおいて、中間層材を特定の生分解性樹脂と充填剤との充填材複合樹脂組成物とすることと、中間層より表面層により加熱耐性を持たせることにより、従来のポリオレフィン系複合樹脂シートと比べ遜色のない耐ドローダウン性、熱成形性を有し、剛性や耐衝撃性、等の機械物性かつ使用後の廃棄段階で要求される生分解性を兼ね備えているシートである。
本発明の生分解性樹脂積層シートは、生分解性樹脂(I)と生分解性樹脂(II)を配合してなる(A)層と(B)層からなる生分解性樹脂積層シートであって、(A)層は60〜150℃の範囲に融点を有する生分解性樹脂(I)50〜100重量%、150〜250℃の範囲に融点を有しかつ生分解性樹脂(I)との融点差が30℃以上である生分解性樹脂(II)0〜50重量%、及び生分解性樹脂(I)および(II)の合計100重量部に対して充填剤5〜400重量部を配合した複合樹脂組成物からなる層であり、(B)層は上記生分解性樹脂(I)0〜90重量%と上記生分解性樹脂(II)10〜100重量%とを含む樹脂組成物からなり、生分解性樹脂(I)に対する生分解性樹脂(II)の配合比率が(A)層よりも(B)層のほうが、相対的に高い積層シートである。以下に詳述する。
1.生分解性樹脂積層シート
(1)(A)層
本発明の生分解性樹脂積層シートの(A)層に用いられる生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂と、充填剤とからなる複合樹脂組成物である。生分解性樹脂としては、下記の60〜150℃の範囲に融点を有する生分解性樹脂(I)、又は該生分解性樹脂(I)と、150〜250℃の範囲に融点を有し、かつ生分解性樹脂(I)との融点差が30℃以上である生分解性樹脂(II)との生分解性樹脂組成物である。
(i)生分解性樹脂(I)及び(II)
生分解性樹脂(I)および(II)に用いる生分解性樹脂の種類は、上記融点範囲および融点差を有するように使い分ければ特に制約はなく、好適なものとして、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート等の脂肪族ポリエステル及びその誘導体、ポリシクロヘキシレンジメチルアジペートの如き脂環族ポリエステル及びその誘導体、ヒドロキシブチレートーヒドロキシバリレート共重合体の如き脂肪酸エステル共重合体、ポリ乳酸等が挙げられる。これらの中から上記の融点範囲および融点差を満たす組合せを選択すればよい。この要件を満たせば樹脂の種類は3種以上の複数であってもよい。
生分解性樹脂(I)としては、脂肪族ポリエステルが一般に好ましい。脂肪族ポリエステルは、下記一般式(1)
−O−R−O− …(1)
(式(1)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
で表される分子構造を有する脂肪族または脂環式ジオール単位、及び下記一般式(2)
−OC−(R−CO− …(2)
(式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とするホモポリマー、コポリマー(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマー等)の何れでもよい。
生分解性樹脂(I)の融点は、60〜150℃であることが重要であり、好ましくは70〜140℃であり、より好ましくは80〜120℃である。
融点は次の方法で測定する値である。パーキン・エルマー社製のDSC7型示差走査熱量計を用いて試料を室温から80℃/分の条件で230℃まで昇温し、同温度にて10分間保持後、−10℃/分にて40℃まで降温し、同温度にて3分間保持した後、10℃/分の昇温条件下で融解した時のピーク温度をもって融点とした。
脂肪族または脂環式ジオール単位を与えるものとしては、下記一般式(4)
HO−R−OH …(4)
(式(4)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
で表されるジオール化合物が挙げられる。Rにおける鎖状脂肪族炭化水素基の炭素数は、通常2〜10、好ましくは2〜6である。また、Rにおける脂環式炭化水素基の炭素数は、通常3〜10、好ましくは4〜8である。鎖状脂肪族または脂環式ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。これらの中では得られる重合体の物性の面から1,4−ブタンジオールが好ましい。
また、上記の他、鎖中に酸素原子を有するジオール化合物の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体、ジブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、分子量100〜200万のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体、ポリテトラメチレングリコール等のジヒドロキシアルキレングリコール縮合体が好ましい。
本発明において、これらのジオール化合物は、バイオマス資源から誘導されたものを用いてもよい。具体的には、ジオール化合物は、グルコース等の炭素源から発酵法により直接製造してもよいし、発酵法により得られたジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、環状エーテルを化学反応によりジオール化合物に変換しても良い。
脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を与えるものとしては、下記一般式(5)
HOOC−(R−COOH …(5)
(式(5)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
で表されるジカルボン酸またはその誘導体が挙げられる。これらの中では、上記の一般式(5)において、nが0または1でありかつRが−(CH−(mは1〜10の整数を示す。)で表される鎖状脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基であるジカルボン酸、その低級アルキルエステル若しくは酸無水物が好ましい。特に、上記の一般式(5)において、nが0または1でありかつRが−(CH−(mは1〜6の整数を示す。)で表される鎖状脂肪族炭化水素基もしくは炭素数4〜8の2価の脂環式炭化水素基であるジカルボン酸、その炭素数1〜4の低級アルキルエステル若しくは酸無水物が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常、炭素数が2以上40以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物も使用できる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。これらの内、比較的分子量の小さい脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体が減圧下での加熱により比較的容易に留去できる点から、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸またはこれらの混合物が好ましく、アジピン酸及びコハク酸、またはこれらの混合物がより好ましく、特にコハク酸、またはこれらの混合物が好ましい。
本発明において、これらのジカルボン酸は、バイオマス資源から誘導されるものでもよい。これらのバイオマス資源は、特に限定はされないが、例えば酸やアルカリ等の化学処理、微生物を用いた生物学的処理、物理的処理等の公知の前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導される手法が用いられる。
また、生分解性樹脂(I)は、下記一般式(3)
−O−R−CO− …(3)
(式(3)中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される分子構造を有する脂肪族オキシカルボン酸単位を含んでいてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える具体例としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、カプロラクトン等が挙げられるが、これらはオキシカルボン酸のエステルやラクトン、或いはオキシカルボン酸重合体等の誘導体であっても良い。また、これらオキシカルボン酸は単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体、または水溶液であってもよい。これらの中では、入手の容易な乳酸またはグリコール酸が特に好ましい。形態は、30〜95%の水溶液のものが容易に入手することができるので好ましい。高重合度のポリエステルを容易に製造する目的で2官能のオキシカルボン酸を共重合成分として使用する場合、その効果が発現する使用量の下限としては、通常、原料モノマーに対して通常、0モル%、好ましくは、0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは0.5モル%以上である。一方、使用量の上限は、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
本発明で使用する生分解性樹脂(I)は、上記ジオールおよびジカルボン酸に加え、上記ジオールおよびジカルボン酸とは異なる官能基を3個以上有する脂肪族および/または脂環式多価アルコール、脂肪族または脂環式多価カルボン酸またはその無水物、または脂肪族多価オキシカルボン酸を共重合すると、得られる脂肪族ポリエステルの溶融粘度を高めることができ好ましい。官能基を3個有する脂肪族または脂環式多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはその無水物が挙げられ、官能基を4個有する脂肪族または脂環式多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトールが挙げられる。
官能基を3個有する脂肪族または脂環式多価カルボン酸またはその無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸またはその無水物が挙げられ、官能基を4個有する脂肪族または脂環式多価カルボン酸またはその無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸またはその無水物が挙げられる。
また、官能基を3個有する脂肪族オキシカルボン酸成分は、(ア)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(イ)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には(ア)のタイプのリンゴ酸が挙げられる。また、官能基を4個有する脂肪族オキシカルボン酸成分は、(ア)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(イ)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(ウ)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸や酒石酸が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
その中でも、入手のし易さから、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸又はその混合物がより好ましく、特にポリエステルの熱安定化性を向上させる理由から、リンゴ酸、クエン酸又はその混合物が特に好ましい。
上記の3官能以上の多官能化合物単位の量は、ゲルの発生原因となるため通常、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、上限値が通常、5モル%以下、好ましくは1モル%以下、更に好ましくは、0.50モル%以下、特に好ましくは0.3モル%以下である。一方、高重合度のポリエステルを容易に製造する目的で3官能以上の化合物を共重合成分として使用する場合、その効果が発現する3官能以上の化合物単位の、ポリエステルを構成する全単量体単位に対する量の下限値としては、通常、0.0001モル%以上、好ましくは、0.001モル%以上、より好ましくは、0.005モル%以上、特に好ましくは0.01モル%以上である。
また生分解性樹脂(I)は、上記の脂肪族化合物単位の他に、生分解性および融点範囲の要件を損なわない範囲で芳香族多価カルボン酸単位、芳香族オキシカルボン酸単位、芳香族多価アルコール単位などの芳香族化合物単位を含んでいてもよい。芳香族多価カルボン酸単位を与える具体的な例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸またはその無水物や低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として上記脂肪族カルボン酸に加えて使用してもよい。芳香族オキシカルボン酸の具体例としては、ヒドロキシ安息香酸などが挙げられ、芳香族多価アルコールの具体例としては、ビスフェノールA、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。この内、テレフタル酸やジメチルテレフタレートが好ましい。
これら芳香族系化合物の導入量は、全脂肪族化合物に対し、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。
本発明で使用する生分解性樹脂(I)は、公知の方法で製造することができる。例えば、上記の脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分と脂肪族または脂環式ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合でポリエステルを製造する方法が好ましい。また、重縮合反応は、重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族〜14族金属元素を含む化合物である。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウムおよびカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩またはβ−ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
これらの中では、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムを含む金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましく、その中でも、特に、チタン化合物及びゲルマニウム化合物が好ましい。また、触媒は、重合時に溶融或いは溶解した状態であると重合速度が高くなる理由から、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好ましい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常、5ppm、好ましくは10ppmであり、上限値が通常、30000ppm、好ましくは1000ppm、より好ましくは250ppm、特に好ましくは130ppmである。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなくポリマーの熱安定性が低くなるのに対し、逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発されやすくなる。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃、好ましくは180℃、上限が通常260℃、好ましくは250℃である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。反応時間は、通常1時間以上であり、上限が通常10時間、好ましくは、4時間である。
その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×10Pa、好ましくは0.01×10Paであり、上限が通常1.4×10Pa、好ましくは0.4×10Paの真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃、好ましくは180℃であり、上限が通常260℃、好ましくは250℃の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間であり、上限が通常15時間、好ましくは10時間である。
本発明において生分解性樹脂(I)を製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。例えば、溶融重合を同一又は異なる反応装置を用いて、エステル化及び/又はエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーが回収される方法が好んで用いられる。
本発明において、目的とする融点の脂肪族ポリエステルとなるためのジオール単位とジカルボン酸単位とのモル比は、ジカルボン酸単位1モルに対するジオール単位の量が、下限が通常0.8モル、好ましくは、0.9モルであり、上限が通常1.5モル、好ましくは1.3モル、特に好ましくは1.2モルである。
本発明では、カーボネート化合物や多官能イソシアネート化合物等を使用し、生分解性樹脂(I)骨格中にそれぞれカーボネート結合やウレタン結合を導入するとともに鎖延長された生分解性樹脂(I)を用いることができる。カーボネート結合が導入された生分解性樹脂(I)においては、導入されたカーボネート結合単位を生分解性樹脂(I)を構成する分子構造単位とみなした場合、その量は、通常、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。一方、ウレタン結合が導入された生分解性樹脂(I)においては、ウレタン結合をもたらす多官能イソシアネート化合物単位を生分解性樹脂(I)を構成する分子構造単位とみなした場合、その量は、通常、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、5モル%以下、好ましくは3モル%以下、より好ましくは1モル%以下である。
カーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、または異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物が使用可能である。
多官能イソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートや3官能以上のイソシアネート化合物などが例示される。
また、その他の鎖延長剤として、ジオキサゾリン、珪酸エステルなどを使用してもよい。珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシラン等が例示される。
珪酸エステルは、環境保全ならびに安全性の面の理由からは、特にその使用量に制限はされないが、操作が煩雑になったり、重合速度に影響を与える可能性があるため、その使用量は少ない方が良い場合がある。従って、この含有量は、生分解性樹脂(I)を構成する全単量体単位に対して、0.1モル%以下とするのが好ましく、10?5モル%以下とするのが更に好ましい。
また、溶融テンションを高めるために、毒性の低い化合物を添加する限り、少量のパーオキサイドを添加してもよいし、ポリエステル末端基をカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、単官能性のアルコール又はカルボン酸で封止しても良い。
本発明で使用する生分解性樹脂(I)の分子量や分子量分布は、実質的に十分な機械物性などを有し、成形加工が可能であれば特に制限されないが、本発明に用いられる生分解性樹脂(I)のメルトフローインデックス(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常、0.1g/10分であり、上限が通常、100g/10分、好ましくは50g/10分、特に好ましくは30g/10分である。
生分解性樹脂(II)は、150〜250℃の範囲に融点を有することが必要である。好ましくは155〜230℃、より好ましくは160〜200℃である。さらに、生分解性樹脂(II)は、相対的に低融点成分である生分解性樹脂(I)と融点差が30℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60〜120℃である。相対的に高融点成分である生分解性樹脂(II)があることで、中間層を構成する樹脂組成物は、低融点成分が溶融し、高融点成分が溶融に至る前の軟化状態である熱成形に適した加工温度域を十分確保できるため、積層シートが耐ドローダウン性に優れ、かつ良好な熱成形品を得ることができる。この融点差が30℃未満では、熱成形において、必要な熱成形に適した加工温度域が得られずドローダウンが大きくなり好ましくない。
融点は次の方法で測定する値である。パーキン・エルマー社製のDSC7型示差走査熱量計を用いて試料を室温から80℃/分の条件で330℃まで昇温し、同温度にて10分間保持後、−10℃/分にて50℃まで降温し、同温度にて3分間保持した後、10℃/分の昇温条件下で融解した時のピーク温度をもって融点とした。
生分解性樹脂(II)としては、上記の条件を満たせば、公知の脂肪族ポリエステル樹脂を用いることができ、好ましくは、脂肪族オキシカルボン酸単位を主成分とするもの、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位と脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位とを主成分とするものである。より好ましくは下記式(6)で表される脂肪族オキシカルボン酸単位を主成分とするもの、下記式(7)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位と下記式(8)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位とを主成分とするものである。ここでいう主成分とは、下記式(6)に該当する成分、(7)と(8)との合計に該当する成分が、生分解性樹脂(II)の全重量に対して、通常50重量%以上、好ましくは、25重量%以上、より好ましくは、10重量%以上、特に好ましくは5重量%含まれているものである。
−OC−R−O− …(6)
−O−R−O− …(7)
−OC−R−CO− …(8)
(上記式(6)、(7)、(8)中、R、R、Rは直接結合、2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基を表す。)
例えば、上記式(6)のオキシカルボン酸単位を与えるオキシカルボン酸成分は、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸が挙げられ、これらの中でも乳酸がより好ましい。
上記式(7)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
上記式(8)のカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
また、生分解性樹脂(II)の分子量や分子量分布は、実質的に十分な機械物性などを有し、成形加工が可能であれば特に制限されないが、本発明に用いられる生分解性樹脂(II)のメルトフローインデックス(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常、0.1g/10分であり、上限が通常、100g/10分、好ましくは50g/10分、特に好ましくは30g/10分である。MFRが大きすぎる場合には得られるシートの強度物性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には溶融粘度が高くなりすぎ、シート成形が困難になる場合がある。
生分解性樹脂(II)の好ましい樹脂の種類としては、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシバリレート−ヒドロキシブチレート共重合体等であり、より好ましくはポリ乳酸である。
上述の生分解性樹脂(II)に生分解性樹脂(II)の特性を妨げない範囲で、他の成分を共重合(ブロック共重合、グラフト共重合、または/及びランダム共重合等)又は/及び混合させてもよい。例えば、芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
本発明で用いられる生分解性樹脂(II)の合成方法は、オキシカルボン酸成分、ジオール成分及び/又はジカルボン酸成分を適宜選択し、公知の合成方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、生分解性樹脂(II)の合成は、通常エステル化反応とそれに続く重合反応によって行われる。エステル化反応は、温度120℃〜290℃、好ましくは150℃〜290℃、反応時間1時間以上、好ましくは1〜10時間、不活性乾燥ガス雰囲気下で、常圧で行えばよい。それに続く重合反応は、温度150℃〜300℃、好ましくは180℃〜300℃、反応時間1時間以上、好ましくは2〜15時間、圧力は常圧より徐々に減圧にし、最終的に10mmHg以下、好ましくは1mmHg以下で行えばよい。上述の工程はそれぞれバッチ方式で行ってもよく、また連続的に行ってもよく、反応装置は公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。また必要に応じて溶融重合の後に固相重合を行ってもよい。
合成された生分解性樹脂(II)の中でも、生分解性が高く且つ融点や耐熱性の高いグリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのような脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体が好ましく、より好ましくは、ポリ乳酸である。
以下に、一例としてポリ乳酸の合成方法について記載する。
ポリ乳酸の合成方法は、特に限定されるものではなく、通常、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として一旦環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う2段階のラクチド法や、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が用いられる。
具体的には、ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状2量体がシート成形時に気化してロール汚れの原因となるため、シート成形以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.5重量%以下とすることが望ましい。直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、シート成形性の観点からはより好適である。
ポリ乳酸の分子量や分子量分布は、実質的に十分な機械物性などを有し、成形加工が可能であれば特に制限されないが、本発明に用いられるポリ乳酸のメルトフローインデックス(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常、0.1g/10分であり、上限が通常、100g/10分、好ましくは50g/10分、特に好ましくは30g/10分である。MFRが大きすぎる場合には得られるシートの強度物性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には溶融粘度が高くなりすぎ、シート成形が困難になる場合がある。
ポリ乳酸中のL−乳酸のD−乳酸に対するモル比は90/10以上が好ましく、より好ましくは95/5以上である。D−乳酸のモル比が高くなると、耐熱性、弾性率が低下する傾向がある。
(A)層における、生分解性樹脂(I)と(II)の配合比率は、生分解性樹脂(I)50〜100重量%、生分解性樹脂(II)0〜50重量%、好ましくは生分解性樹脂(I)60〜100重量%、生分解性樹脂(II)0〜40重量%である。特に好ましくは生分解性樹脂(I)70〜95重量%、生分解性樹脂(II)5〜30重量%である。生分解性樹脂(II)が50重量%を超えると耐ドローダウン性は問題ないが、賦形段階での延展が悪くなり成形品の偏肉や賦形不良を起こしやすくなり、また耐衝撃性が著しく低下して好ましくない。
(ii)充填剤
本発明の(A)層に用いる充填剤としては、無機充填剤と有機充填剤とに大別される。これら充填剤は無機充填剤及び有機充填剤を問わず単独または二種以上を併用して使用することも出来る。無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、焼成パーライト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類、などが挙げられる。
有機系充填剤としては、木粉、デンプン、セルロース、セルロース誘導体などが挙げられる。
これらのなかでも、無機充填剤が好ましく、具体的には、タルク、炭酸カルシウムが性能面および価格面から好ましい。タルクが特に好ましい。
充填剤の粒径は、特に限定されないが、好ましくは平均粒径が0.1〜50μmである。特に好ましくは平均粒径が0.1〜20μmのタルク、炭酸カルシウムであり、最も好ましくは平均粒径が0.1〜20μmのタルクである。
平均粒径の求め方の一例としては、レーザー回折・散乱法が挙げられる。
充填剤の配合量は、生分解性樹脂(I)および(II)の合計100重量部に対して、5〜400重量部、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは15〜200重量部、特に好ましくは20〜100重量部からなることが必要である。充填剤が5重量部未満であると耐ドローダウン性が悪化し、剛性や耐熱性等のシート物性も低下してしまう。また400重量部を超えると熱成形の賦形性や耐衝撃性が低下するため好ましくない。
(2)(B)層
本発明の生分解性樹脂積層シートの(B)層に用いられる生分解性樹脂組成物は、上記生分解性樹脂(I)0〜90重量%と上記生分解性樹脂(II)10〜100重量%とを含む樹脂組成物からなり、生分解性樹脂(I)に対する生分解性樹脂(II)の配合比率が(A)層よりも(B)層のほうが高いものである。(A)層に用いる生分解性樹脂(I)と生分解性樹脂(II)を(B)層に使用することにより、(A)層と(B)層の層間の接着性を良好なものとすることができ、生分解性樹脂(I)に対する生分解性樹脂(II)の配合比率が(A)層よりも(B)層のほうが高い樹脂組成物を用いることで、(B)層における高融点の生分解性樹脂(II)の配合比率が(A)層より高くなり、熱板成形あるいは間接加熱において、熱成形に適した加工温度域を確保しやすく、耐ドローダウン性を良好なものとすることができる。
(B)層における、生分解性樹脂(I)と生分解性樹脂(II)の配合比率は、生分解性樹脂(I)0〜90重量%、生分解性樹脂(II)10〜100重量%が好ましく、より好ましくは生分解性樹脂(I)0〜70重量%、生分解性樹脂(II)30〜100重量%であり、さらに好ましくは生分解性樹脂(I)10〜50重量%、生分解性樹脂(II)50〜90重量%であり、特に好ましくは生分解性樹脂(I)20〜40重量%、生分解性樹脂(II)60〜80重量%である。生分解性樹脂(I)が90重量%を超えると熱成形における加熱段階で(A)層が適正に加熱される迄に(B)層が加熱過剰となり賦形段階でシ−ト全体の均一延展性が悪化しやすくなる。
(3)層構成
本発明における生分解性樹脂積層シートは、通常、上記条件を満たす(A)層と(B)層が含んでいればよく、積層シートの特性が損なわれない限り、層の種類、数、配置等に特に制限はない。例えば、A層、B層のみからなる2種3層であってもよく、また更に新たな層を設けた3種5層構造、4種7層構造等の種々構造をとることも出来る。好ましくは、表裏2層の表面層に(B)層を、その中間層に(A)層となるように積層するのがよい。
また層を追加する場合、積層シートの特性を損なわない限り、(A)層、(B)層以外の層は任意の樹脂組成物層でよい。具体的には、ナイロン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、脂肪族ポリエステル、脂肪族/芳香族共重合ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの混合物が挙げられる。また公知の各種充填材や各種添加剤が配合されていてもよい。
また、表面層の上には、例えばガスバリアー性を賦与することを目的として、各種有機、無機の薄膜層が設けられていても良い。具体的には、ポリ塩化ビニリデン層、シリカ層、ダイヤモンドライクカーボン層、アルミ蒸着層等が挙げられる。
(4)各層組成物の製造
本発明の生分解性樹脂積層シートの(A)層、(B)層の各層組成物の混合には、例えばゲレーションミキサーやヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速撹拌機付混合機、リボンブレンダー、タンブラーなどの通常の混合装置が使用でき、さらに押出機やニーダー、カレンダーロール等の単独機或いは2機併用の混合機等で溶融分散させながら混練した後にペレット化することにより、生分解性複合樹脂組成物とすることができる。
なお、本発明の積層シートの各層用組成物においては、本発明の目的を損なわない限り、従来公知の各種の添加剤を配合して組成物にすることも出来る。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤や各種界面活性剤などの樹脂用添加剤が挙げられる。
本発明の積層シートの(A)層には、本発明の目的を損なわない限りリサイクル材が混入していても構わない。
2.生分解性樹脂積層シートの製造
本発明の生分解性樹脂積層シートの製造方法としては、前述の各層組成物を用いて、公知の成形方法、例えば押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、注型成形法等により製造することができ、好ましくは押出成形法であり、Tダイ法(冷却方式としては2本以上の冷却ロールで狭窄する方法、エアーナイフでロールに押しつける方法、片面又は両面に金属ベルトを接触させ冷却する方法が挙げられる)、インフレーション法、カレンダーロール法等を用いた共押出法が挙げられる。
また、これらの方法を用いて単層法により製造した単層シートを相互に融着させたり、接着剤で張り合わせるラミネート法等により製造してもよい。これらのうち共押出法が、生産性や層構成を簡便に調整できることから好ましい。
押出温度は、生分解性樹脂(II)として選択する樹脂の融点以上の押出が必要となるが、シートの外観、成形性の点では150〜250℃が好ましく、160〜200℃がより好ましい。押出温度が150℃以上であれば、十分に溶融され、得られる生分解性樹脂積層シートの表面が鮫肌状にならず良好な外観となり、また250℃を超えると熱劣化が起き易くなり、メヤニや発煙、臭気が悪化して好ましくない。
本発明の生分解性樹脂積層シートの(A)層と(B)層の層構成は、(A)層の厚みが、生分解性樹脂積層シート全厚みの通常30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上、かつ96%以下であることが好ましい。(A)層厚が全厚の30%未満ではシートの熱成形性や剛性、耐熱性等の実用物性が低下しやすく、96%を超えると(B)層による熱成形に適した十分な加工温度域の確保ができず耐ドローダウン性、熱成形の賦形が悪化することがある。
また積層シートの全厚みは、特に制限されず、使用目的等に応じた厚みを調整すればよいが、通常0.10〜3.0mm、特に一般の食品用容器では0.15〜2.0mmが好ましい。
本発明の生分解性樹脂積層シートは、シート物性、耐ドローダウン性が従来の生分解性樹脂シートに比べて大幅に改良され、これを加熱して真空成形、圧空成形等の二次成形に供することにより、剛性、耐衝撃性、耐寒性において従来のポリオレフィン系複合樹脂シートに比べて遜色のない容器やカップ、トレー、容器蓋などの成形品を得ることができる。特に、生分解性樹脂シートの中間層中のリサイクル材の割合を多くしても耐ドローダウン性が改良されているため、リサイクル材を配合した材料で成形品を得る場合に有用である。また、耐ドローダウン性、熱成形の賦形性が改良されていることから、広幅(例えば幅1m以上)のシートであっても二次成形を問題なく行うことができる。このため、成形品の生産性が向上する。
3.熱成形品
上記のようにして得られた生分解性樹脂積層シートは、熱成形により各種容器、カップ、トレーに賦形される。熱成形は、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して所望の型に押し当て、型と材料の間隙にある空気を排除し大気圧により型に密着させて成形する真空成形、及び大気圧以上の圧縮エアか、あるいは真空を併用して成形する圧空成形等の総称であり、方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要により、更にプラグを併せて用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法、プラグアシストリバースドロー成形法、マッチモールド成形法、など)や固相プレス成形、スタンピング成形が挙げられる。これらの熱成形法の組み合わせ等による成形法であれば特に限定されない。熱成形温度や真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種条件は、プラグ形状や金型形状または原料シートの性質等により適宜設定される。
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の各項目の物性値等の測定方法、用いた生分解性樹脂の製造例を以下に示す。
1.測定方法
(1)メルトフローレート
JIS−K7210(温度190℃、荷重2.16kgf)に従って測定した。
(2)耐ドロ−ダウン性試験
生分解性複合樹脂シートを、中央に30cm角の穴を有する2枚の鉄枠(開口部寸法:260mm×260mm×2mm)の間に挟み、断熱箱の中に水平にセットした。次に鉄枠にサンドイッチされた樹脂シートを均一に加熱できるように325℃(比較例5のみ450℃)に加熱された上下ヒーター(上下ヒーターは、設置されたシート面から10cm離れたとこらから樹脂シートを加熱)をシート上下面にスライドさせて設置した。鉄枠内のシートは、加熱によって一端、下面ヒーター方向に垂れ下がり、その後、シートの厚み方向に均一に昇温が進むと、樹脂シートは再び水平となり、更なる上下面ヒーターの加熱により、樹脂シートは自重で垂れ下がりが進行する。このような樹脂シートの垂れ挙動を、下面ヒーターの下に設置したレーザー光線を該樹脂シート面にあてて観察し、その垂れ量を1秒間隔で測定しながら、加熱開始時から35秒間樹脂シートを加熱したときの垂れ量を測定し耐ドローダウン性の尺度とした。
(3)容器成形性
得られた複合シートを、間接加熱式圧空成形機((株)浅野研究所製、コスミック成形機)を使用して、シートから20cm離れた位置にある上下ヒータを325℃(比較例5のみ450℃)に保持して加熱した。シートは、加熱時間を12秒で、圧空圧力2kg/cmの条件で、縦24cm、横18cm、深さ4cmのリブ付き弁当容器を成形した。得られた容器を目視によって形状および外観を観察し、下記の評価基準にて判定した。
◎:容器の表面状態が良好で、細部にわたり賦形が完了している。
○:容器の表面状態が良好で、リブ形状部分や底コ−ナ−部にて若干賦形があまいが略実用上は問題がない。
×:容器の表面のばたつき、曇り等があり、光沢が損なわれている又は、細部にわたり賦形が完了していない。
(4)曲げ特性試験
JIS−K7171−1994「プラスチック−曲げ特性の試験方法」に従って、23℃における曲げ弾性率(単位:MPa)、曲げ強さ(単位:MPa)を測定した。尚、試験片は各々得られた生分解性複合樹脂シートから打ち抜き、MD方向測定値およびTD方向測定値の平均とした。
(5)デュポン衝撃強度試験
ASTM−D2794に準拠して0℃において測定した。(単位:J)
(6)生分解性試験
腐葉土と堆肥を1:1で混合した土壌を用いた圃場を屋外に設定し、各々得られたシートから打ち抜いたJIS2号ダンベル片を深さ約7cmの場所に埋設した。埋設開始より所定期間圃場中に放置した後に試験片を取り出し、付着した土を落とした後に重量測定を行い、重量残存率を測定した。試験中に圃場に与えた水分は自然降雨のみであり、人為的な水分の供給は行わなかった。
2.生分解性樹脂(I)の製造
(製造例1)
攪拌装置、窒素導入間、加熱装置、温度計および助剤添加口を備えた容量1mの反応容器に、コハク酸134kg、1,4−ブタンジオール121L、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21kgを仕込んだ。攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHgまで減圧し、230℃、1mmHgにて4時間20分重合を行い、脂肪族ポリエステル(A1)を得た。得られた脂肪族ポリエステル(A1)のメルトフローレートは4.2g/10分であった。
(製造例2)
攪拌装置、窒素導入間、加熱装置、温度計および助剤添加口を備えた容量1mの反応容器に、コハク酸134kg、1,4−ブタンジオール116L、DLリンゴ酸0.24kg、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21kgを仕込んだ。攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHgまで減圧し、230℃、1mmHgにて4時間20分重合を行い、脂肪族ポリエステル(A2)を得た。得られた脂肪族ポリエステル(A2)のメルトフローレートは3.8g/10分であった。
(製造例3)
攪拌装置、窒素導入間、加熱装置、温度計および助剤添加口を備えた容量1mの反応容器に、コハク酸122kg、アジピン酸22.2kg、1,4−ブタンジオール115L、DLリンゴ酸0.23kg、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21kgを仕込んだ。攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHgまで減圧し、230℃、1mmHgにて4時間重合を行い、脂肪族ポリエステル(A3)を得た。得られた脂肪族ポリエステル(A3)のメルトフローレートは4.0g/10分であった。
(実施例1〜9)
生分解性樹脂(I)として上記脂肪族ポリエステル(A1)〜(A3)及び(A4:ポリブチレンサクシネート(昭和高分子社製「ビオノーレ1001」、メルトフローレート1.5g/10分))を用い、生分解性樹脂(II)としてポリ乳酸(PLA:三井化学社製、商品名レイシア「H400」)を用い、および充填剤(タルク:富士タルク社製、粒径10μm)を用いて、表1に示した各層配合にて、200℃で二軸混練機にて混練した後、得られた各層樹脂あるいは組成物のペレットを表面層((B)層)用、中間層((A)層)用とし、それぞれ口径40mmφの押出機にて樹脂温度200℃で溶融しフィードブロック方式で共押出の後、シート状に溶融押出を行い、次いで、前記溶融シートをポリシング法の冷却ロール(ロール温度:上50℃、中80℃、下50℃)に導いて冷却固化し、幅400mm、表面層厚各25μm、全厚500μm厚の生分解性樹脂積層シートを作製した。このようにして得られた各積層シートについて、シート物性、耐ドローダウン性、容器成形性、および生分解性をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
実施例1〜9の生分解性積層シートは、比較例5に示す従来のポリオレフィン系複合樹脂シートと比べ遜色のない耐ドローダウン性、熱成形性を有し、剛性や耐衝撃性、等の機械物性かつ使用後の廃棄段階で要求される生分解性を兼ね備えていた。また、中間層が生分解性樹脂(I)と生分解性樹脂(II)との組成物である、実施例4、5、7〜9の生分解性積層シートは、とりわけドローダウンが小さく有効である。
(比較例1〜4)
表面層及び中間層を生分解性樹脂(I)のみとした場合、表1における実施例2において表面層材を生分解性樹脂(I)とした場合、実施例4において中間層材の生分解性樹脂(II)の配合割合を増やし範囲外とした場合、及び実施例5の充填剤の配合比率を必要以上に振らした場合について、それぞれ実施例1と同様にシート成形及び測定を行った。その結果を表2に示す。
(比較例5)
チーグラー系Mg担時触媒によって重合されたホモポリプロピレン(日本ポリプロ社製、商品名ノバテックPP「EA9」、メルトフローレート0.5g/10分)に対して、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量%、酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフエニル)プロピオネート]メタンを0.1重量%、酸化防止剤としてトリス−(2,4−ジ−t−ブチルフエニル)フオスフアイトを0.1重量%を配合したもの60重量%、エチレン重合体(日本ポリエチレン社製、商品名ノバテックHD「HB420R」、JIS K6922によるメルトフローレート0.25g/10分、密度0.957g/cm)10重量%、タルク(富士タルク社製、粒径10μm)30重量%を温度170℃のゲレーションミキサーで溶融分散させ、該溶融分散された混合物を口径60mmφの単軸押出機で温度230℃で押し出し、MFRが0.8g/10分、密度が1.58g/cmの複合樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物ペレットを口径40mmφの押出機から、樹脂温度240℃、幅400mmのシート状に溶融押し出しした。次いで、前記溶融シートをポリシング法の冷却ロール(ロール温度:上50℃、中80℃、下50℃)に導いて冷却固化し、幅400mm、全厚500μm厚のポリプロピレン複合樹脂シートを作製した。以下、実施例1と同様に測定実施した。その結果を表2に示す。
Figure 2006142812
Figure 2006142812
本発明の(A)層と(B)層からなる生分解性樹脂積層シート、特に、表裏2層の表面層と、前記表面層の間に配置された中間層を有する生分解性樹脂積層シートは、中間層材を特定の生分解性樹脂と充填剤との複合樹脂組成物とすることと中間層より表面層により加熱耐性を持たせることにより、従来のポリオレフィン系複合樹脂シートと比べ遜色のない耐ドローダウン性、熱成形性を有し、剛性や耐衝撃性、等の機械物性かつ使用後の廃棄段階で要求される生分解性を兼ね備えていることから、環境への影響を配慮した各種容器、カップ、トレーなどの熱成形品に供される生分解性樹脂シートとして工業的価値は極めて高い。

Claims (8)

  1. 生分解性樹脂(I)と生分解性樹脂(II)を配合してなる層から構成される生分解性樹脂積層シートであって、
    (1)60〜150℃の範囲に融点を有する生分解性樹脂(I)50〜100重量%、
    (2)150〜250℃の範囲に融点を有しかつ生分解性樹脂(I)との融点差が30℃以上である生分解性樹脂(II)0〜50重量%、及び
    (3)生分解性樹脂(I)および(II)の合計100重量部に対して充填剤5〜400重量部を配合した樹脂組成物からなる(A)層と、
    上記生分解性樹脂(I)0〜90重量%と上記生分解性樹脂(II)10〜100重量%とを含む樹脂組成物からなる(B)層を含み、
    生分解性樹脂(I)に対する生分解性樹脂(II)の配合比率が(A)層よりも(B)層のほうが高いことを特徴とする生分解性樹脂積層シート。
  2. 表裏2層の表面層が(B)層、表面層に挟まれた中間層が(A)層であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性樹脂積層シート。
  3. 生分解性樹脂(I)が脂肪族ポリエステルであって、下記一般式(1)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジオール単位、および下記一般式(2)で表される分子構造単位を有する脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性樹脂積層シート。
    −O−R−O− …(1)
    (式(1)中、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示す。)
    −OC−(R−CO− …(2)
    (式(2)中、Rは脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基を示し、nは0又は1を示す。)
  4. 脂肪族ポリエステルの脂肪族または脂環式ジオール単位が1,4−ブタンジオール単位、脂肪族または脂環式ジカルボン酸単位がコハク酸単位であることを特徴とする請求項3に記載の生分解性樹脂積層シート。
  5. 生分解性樹脂(II)がポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性樹脂積層シート。
  6. 充填剤がタルクであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性樹脂積層シート。
  7. (A)層の厚み比が、生分解性樹脂積層シート全厚みの30%以上、かつ96%以下であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の生分解性樹脂積層シート。
  8. 請求項1〜7に記載の生分解性樹脂積層シートを用いてなる熱成形品。
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