JP2006142803A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルムの低温ヒートシール性を維持しつつ飛躍的に剛性を向上させ、カールが生じず、なかつ安価に製造可能であるポリプロピレン系樹脂層とエチレン系樹脂層を積層した積層フィルムの提供。
【解決手段】表裏2層の表面層と、表面層の間に配置された中間層との三層からなる積層フィルムであって、中間層に(A)メタロセン触媒を用いて重合された、MFRが1〜30g/10分、融解ピーク温度(Tm)が120〜165℃、40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分量が2.0重量%以下の結晶性ポリプロピレンを用い、表面層に(B)メタロセン触媒を用いて重合されたMFRが0.1〜20g/10分、密度が0.860〜0.925g/cmのエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関し、詳しくはポリプロピレン系樹脂の両表面に直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を共押出して、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のヒートシール特性を維持しつつ飛躍的に剛性を向上させた積層フィルムに関する。
従来よりポリエチレン系樹脂、特に直鎖状低密度ポリエチレンは、低温ヒートシール性に優れるため、ポリオレフィンフィルムを用いた包装用資材のシーラントとして幅広く用いられてきた。この直鎖状低密度ポリエチレンを包装分野に使用する際は、フィルム状にして使用されることが多かった。
しかしながら、直鎖状低密度ポリエチレンのフィルムは、低温ヒートシール性に優れる一方で剛性が低いという問題も有しており、包装材料として使用する場合には薄肉化に限界があった。
直鎖状低密度ポリエチレン製フィルムの剛性の不足を補う方法として、剛性の高い他樹脂製のフィルムと積層する方法がよく用いられる。しかしながら、直鎖状低密度ポリエチレン製フィルムは、他樹脂との接着性が不十分であることが多く、例えば、剛性が高く、なおかつ耐熱性にも優れるポリプロピレン製フィルムとの積層では、アンカーコート剤と呼ばれるいわゆる接着剤を介して積層することが一般的であった。
アンカーコート剤を用いる方法は、異なる樹脂製フィルム同士を積層するための優れた方法であるが、接着剤を希釈するために有機溶剤を使用するため、作業環境が悪化し易く、また積層されたフィルムに有機溶剤が残留し易いなどの問題があった。また、フィルム成形の他に別途積層工程を必要とするため結果として積層フィルムの製造コストが上昇してしまう問題点もある。
一方、安価で作業環境に問題の少ない積層フィルムを得る方法としては、共押出法による方法も挙げられるが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムとポリプロピレン系樹脂との積層では、層間の接着強度が不十分であることが多く、容易にポリプロピレン系樹脂層と直鎖状低密度ポリエチレン層に剥れてしまい易く、実用化は困難であった。
このような問題を解決する方法として、特定のポリプロピレン系樹脂と特定の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の共押出によって層間強度を向上させる検討がなされているが(例えば、特許文献1参照。)、二層フィルムとしては成形時のひずみが大きく、カールが生じるため、厚物での使用や基材とのラミネートとしての使用に制限されてしまうという問題があった。
特開2003−266616号公報
本発明の目的は、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルムの低温ヒートシール性を維持しつつ飛躍的に剛性を向上させ、カールが生じず、なかつ安価に製造可能であるポリプロピレン系樹脂層とエチレン系樹脂層を積層した積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メタロセン触媒で重合された特定のポリプロピレン系樹脂層を中間層とし、メタロセン触媒で重合された特定の直鎖状低密度ポリエチレンを両表面層とする三層からなる積層フィルムが低温ヒートシール性を維持しつつ飛躍的に剛性を向上させ、カールが生じず、なかつ安価に製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、表裏2層の表面層と、表面層の間に配置された中間層との三層からなる積層フィルムであって、中間層に下記(A)ポリプロピレン系樹脂を用い、表面層に下記(B)エチレン系樹脂を用いることを特徴とする積層フィルムが提供される。
(A)ポリプロピレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合された下記特性(A1)〜(A3)を有する結晶性ポリプロピレン
(A1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜30g/10分
(A2)融解ピーク温度(Tm)が120〜165℃
(A3)40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分量が2.0重量%以下
(B)エチレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合された下記特性(B1)〜(B2)を有するエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体
(B1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分
(B2)密度が0.860〜0.925g/cm
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、(A)ポリプロピレン系樹脂がTm120〜145℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体であることを特徴とする積層フィルムが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、積層フィルム全体の厚みが10〜500μmであり、かつ中間層の厚みが全体の10〜90%であることを特徴とする積層フィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、積層フィルムが実質的に無延伸であることを特徴とする積層フィルムが提供される。
本発明の積層フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルムの低温ヒートシール性を維持しつつ飛躍的に剛性を向上させ、カールが生じず、なかつ安価に製造可能なフィルムである。
本発明は、(A)メタロセン触媒で重合されたポリプロピレン系樹脂からなる中間層と、(B)メタロセン触媒で重合されたエチレン系樹脂からなる両表面層とから構成される三層の積層フィルムである。以下に、積層フィルムの各層の樹脂材料、積層フィルムの特性について詳細に説明する。
1.中間層
(1)ポリプロピレン系樹脂(A)
本発明の積層フィルムの中間層に用いる(A)ポリプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒で重合され、かつ下記(A1)〜(A3)の特性を有する結晶性ポリプロピレンである。結晶性ポリプロピレン、重合法、及びそれが有する特性について順次に説明する。
本発明で使用される結晶性ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体のいずれであってもよいが、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、特にプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。
好ましく用いられるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくはエチレンまたは炭素数4〜18のα−オレフィンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。また、α−オレフィンとしては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
かかるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体中のプロピレン単位の量は特に制限は無いが、好ましくは88〜99.5重量%、より好ましくは91〜99重量%である。プロピレン単位量が少ない場合、フィルムの剛性が低下し、多すぎる場合は、直鎖状低密度ポリエチレンとの層間強度が低下する場合がある。ここでプロピレン単位及びα−オレフィン単位は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合されていることが必要である。メタロセン触媒以外の触媒で重合されたポリプロピレンを用いると、表層に用いるエチレン系樹脂のエチレン・α−オレフィン共重合体層との層間強度が不足し好ましくない。
本発明で用いるプロピレン系樹脂の重合に用いるメタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4Hアズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。本発明で用いるプロピレン系樹脂、特にプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る方法としては、例えば、重合温度やコモノマー量を調節して、分子量および結晶性の分布を適宜制御することにより、所望のポリマーを得ることができる。
かかるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン系ポリプロピレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、日本ポリプロ社製「ウィンテック」等が挙げられる。
(A1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂のMFR(230℃、21.18N荷重)は、1〜30g/10分、好ましくは2〜20g/10分である。MFRが1g/10分未満では、押出負荷が上がり、成形性が劣るようになり、30g/10分を超えるとフィルムの厚みがばらつき易い。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法がとられる。
なお、MFRの測定は、JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して行う。
(A2)融解ピーク温度(Tm)
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)は、120〜165℃、好ましくは120〜145℃である。Tmが120℃未満であると、剛性が不足しがちになり、165℃を超えると、表層に用いる直鎖状低密度ポリエチレンとの層間強度が不足しがちになり好ましくない。
Tmは、α−オレフィン含量やその種類およびプロピレン構成単位のレジオ規則性などの影響を受けうる。α−オレフィンがエチレンの場合には、その含有量は0〜5重量%程度であり、α−オレフィンが1−ブテンの場合には、その含有量は0〜15重量%程度である。Tmの調節は、共重合させるα−オレフィンの種類と量を制御することにより適宜調整することができる。
なお、Tmの測定は、セイコー社製DSCを用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させた後に1分間保持し、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tm)で評価する。
(A3)40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分は、2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下である。40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分が2.0重量%を超えると、直鎖状低密度ポリエチレンとの層間強度が不足しがちになり好ましくない。40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分を調節する方法としては、α−オレフィンの共重合量を制御する、また共重合性を制御する方法がある。
ここで、40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分は、TREF法による40℃での抽出量として求める値である。
なお、TREF(温度上昇溶離分別)とは、不活性担体の存在下に一定高温下でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、該不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次に、温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフ(積分溶出曲線)により、ポリマーの組成分布を測定する方法である。温度上昇溶離分別(TREF)の測定の詳細については、Journal of Applied Polymer Science第26巻 第4217〜4231頁(1981年)に記載されており、本発明においてもこれに従って行う。
(2)その他の成分
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の付加的任意成分を添加してもよい。例えば、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光造白剤等を挙げることができるが、これらに限定されることは無い。
また、発明の効果を損なわない範囲で、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を混合することもできる。
前記付加成分の市販されているものの例としては、例えばエチレン・α−オレフィン共重合体としては、日本ポリエチレン(株)製カーネルシリーズやノバテックLLシリーズが、オレフィン系エラストマーとしては、三井化学(株)製タフマーPシリーズやタフマーAシリーズ、JSR(株)製EPシリーズやEBMシリーズが例示できる。また、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体としては、日本ポリプロ(株)製ノバテックPPシリーズやニューコンシリーズなどが例示できる。
2.表層
(1)エチレン系樹脂(B)
本発明の積層フィルムに用いる(B)エチレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとのエチレン・α−オレフィン共重合体からなり、下記(B1)〜(B2)、必要に応じて(B3)の特性を有する共重合体である。エチレン系樹脂、重合法、及びそれが有する特性について順次に説明する。
本発明に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンの共重合体である。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜12のα−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体が挙げられる。また、α−オレフィンは、1種または2種以上の組み合わせでもよく、2種のα−オレフィンを組み合わせてターポリマーとする場合は、エチレン・プロピレン・ヘキセンターポリマー、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマーが挙げられる。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンである。メタロセン触媒以外の触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンを用いると、中間層に用いるポリプロピレン系樹脂層との層間強度が不足し好ましくない。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の重合に用いるメタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭59−23011号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号、EP公開420,436号、米国特許5,055,438号、国際公開WO92/07123号等の各公報に開示されている。
具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物の混合物を使用することもできる。
メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。係るエチレン系重合体は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製「アフィニティー」、日本ポリエチレン社製「カーネル」等が挙げられる。
(B1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のMFR(190℃、21.18N荷重)は、0.1〜20g/10分、好ましくは1〜16g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、押出負荷が上がり成形性が劣り、20g/10分を超えるとフィルムの厚みがばらつき易い。MFRはエチレン系重合体の分子量の尺度として用いられ、重合に際して水素など分子量調整剤、β水素引き抜きの速度制御などにより適宜調整することが可能である。
ここで、MFRの測定は、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して行う。
(B2)密度
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.860〜0.925g/cmであり、好ましくは0.880〜0.920g/cmである。密度が0.860g/cm未満ではフィルムがべたつき易くなり、0.925g/cmを超えるとポリプロピレン系樹脂層との層間強度が不足し易くなる。
なお、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書の低密度ポリエチレンの場合に準拠して測定する(23℃)。
(B3)α−オレフィンの含有量
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含有量は、特に制限はないが、5〜40重量%が好ましく、より好ましくは7〜35重量%である。α−オレフィンの含有量が少な過ぎると低温ヒートシール性が得られず、多すぎる場合は、耐ブロッキング性が損なわれる。
ここでα−オレフィン含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
(2)その他の成分
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体中には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の付加的任意成分を添加してもよい。例えば、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光造白剤等を挙げることができるが、これらに限定されることは無い。
また、発明の効果を損なわない範囲で、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー等を混合することもできる。
3.積層フィルム
本発明の積層フィルムは、上記(A)ポリプロピレン系樹脂からなる層を中間層とし、(B)エチレン系樹脂からなる層を両表面層として積層フィルムとしたものである。単層では、エチレン系樹脂の直鎖状低密度ポリエチレンのヒートシール性を保持したまま剛性を向上することができない。
積層フィルムの層構成としては、中間層のポリプロピレン系樹脂層の両表面にエチレン系樹脂の直鎖状低密度ポリエチレンを積層した二種三層若しくは一方の表面に本発明の直鎖状低密度ポリエチレンをもう一方の表面に別の種類の本発明の直鎖状低密度ポリエチレンもしくは本発明以外のポリエチレン系樹脂を積層した三種三層の積層フィルムであってもよい。本発明の積層フィルムにおいては、(A)ポリプロピレン系樹脂からなる層と(B)エチレン系樹脂からなる層が接していることが重要である。
本発明の積層フィルムの厚みは、10〜500μmが好ましく、より好ましくは15〜300μmである。10μm未満のフィルムは実質的に製造困難であり、500μmを超えるものは本発明の一つの目的である薄肉化という観点から好ましくない。
また、本発明の積層フィルムの中間層の厚みは、全厚みの10〜90%であり、好ましくは30〜80%である。中間層の厚みが全厚みの10%未満では剛性の改良効果が少なく、90%を超えるとヒートシール強度が低下する可能性がある。
さらに、本発明の積層フィルムは、延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよいが、シーラント用途として用いる場合は実質的に未延伸なフィルムが好ましい。
本発明の積層フィルムは、上記(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)エチレン系樹脂を溶融共押出法により積層して、製造することができる。溶融共押出は、公知の方法に従って実施することができる。例えば、積層体の表面平滑性を向上するために、冷却固化過程において、フィルム乃至シート状に押し出された溶融樹脂を表面が平滑な回転する一対のロールで挟み込みながら連続的に冷却固化と表面への平滑性賦与を行う方法、ロールの代わりに表面が平滑なベルトを1つあるいは2つ用いる方法等を採用できる。また、表面の平滑性を考慮することなく一旦平板状に固化させたものを再度加熱した上で表面が平滑なロールやベルトを押し当て、最終的に表面が平滑なシートを得る方法、さらに溶融状態の樹脂材料を円筒状に押出し周囲から水流や気流によって冷却固化する方法等が採用できる。
なお、本発明の積層フィルムは、空冷インフレーション法以外の方法をとることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、印刷性、ラミネート適性、金属蒸着特性の付与や帯電防止剤などのフィルム表面への移行性を促進する目的で、通常工業的に採用されている方法によってコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等の表面処理も可能である。
さらに、本発明の積層フィルムは、その他のフィルム、例えばポリプロピレン2軸延伸フィルム、未延伸および延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルムやアルミニウム箔等と、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法等の方法で製造される複合フィルムの少なくとも一層としても好適に使用できる。
本発明の積層フィルムは、ヒートシール性に優れ、剛性を向上させ、カールが生じず、かつ安価に製造可能なフィルムであるので、様々な包装材料に用いることができ、特に、食品、衣料、医薬、文具、雑貨などの包装用途に好適に用いることができる。
本発明の積層フィルムを用いた包装材料の具体例としては、前記複合フィルムに加工した上で袋状、筒状に加工し、内容物を入れ、封入する方法が挙げられる。より具体的には前記複合フィルムをヒートシール、インパルスシール、溶断シール、超音波シール、接着剤等の公知の方法を用いてピロー袋、三方シール袋、スタンディングパウチ、スパウトパウチ等に代表される公知の包装体に加工して用いることが出来る。
また、複合フィルムのいずれかの層に印刷を施すことも意匠性を持たせる目的で一般的に行われることであり、本発明の積層フィルムを用いた場合でも同様である。
さらに、包装体に封入されるものに特に制限は無い。様々な用途で固形物、半固形物、液状物をヒートシール、インパルスシール、溶断シール、超音波シール、接着剤等の公知の方法で封入するのが一般的である。封入後必要に応じて加熱殺菌処理等を施しても良く、開封後の再封入性を付与する目的でチャック加工などが施されることもある。
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。なお、実施例における各種物性値の測定方法、用いた材料は以下の通りである。
1.測定方法
(1)MFR(単位:g/10min):エチレン系樹脂は、JIS−K6922−2:1997付属書に準拠し190℃、21.18N荷重で測定し、ポリプロピレン系樹脂は、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定した。
(2)密度:エチレン系樹脂は、JIS−K6922−2:1997付属書の低密度ポリエチレンの場合に準拠して測定した。
(3)融解ピーク温度:示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度Tmを測定した。
(4)40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分量:試料を140℃でオルソジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルソジクロロベンゼンを1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルソジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルソジクロルベンゼン
試料濃度:5mg/ml
試料注入量:0.2ml
溶媒流速:1ml/分
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製MIRAN 1A
測定波長:3.42μm
(5)ヤング率(単位:MPa):下記の条件にて、フィルムの流れ方向(MD)および直交方向(TD)各々について測定し、フィルム剛性の尺度とした。引張弾性率の計算方法は、JIS K−7127−1989に準拠した。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:1mm/min
(6)ヒートシール温度(単位:℃):5mm×200mmのヒートシールバーを用い、得られたフィルムのコロナ未処理面同士を各設定温度において、圧力2kg/cm、時間1秒のヒートシール条件下で溶融押出しした方向(MD)に垂直になるようにシールした試料から15mm幅のサンプルを切り取り、引張試験器を用いて引張速度500mm/分にて引き離し、1000gの強度となる温度を求めた。
(7)ヒートシール強度(単位:g/15mm):5mm×200mmのヒートシールバーを用い、得られたフィルムのコロナ未処理面同士を160℃において、圧力2kg/cm、時間2秒のヒートシール条件下で溶融押出しした方向(MD)に垂直になるようにシールした試料から15mm幅のサンプルを切り取り、引張試験器を用いて引張速度500mm/分にて引き離し、その強度を求めた。
(8)カール:フィルムサンプルを20センチ四方に切り取り、平板の上に載せ、次の基準で判断した。
○:フィルムの端部若しくは中央部が平板から浮かない、若しくは殆ど浮かない
×:フィルムの端部若しくは中央部が平板から大きく浮く、若しくはフィルムを平板上に広げるために手で押える必要がある。
2.使用材料
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン)
LL1(メタロセン触媒により重合されたエチレン−1ヘキセン共重合体):日本ポリエチレン(株)製カーネルKF273(MFR2.4g/10分、密度0.913g/cm
(2)ポリプロピレン系樹脂
PP1(メタロセン触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)製WFX4T(融解ピーク温度Tm:124.3℃、MFR:7.2g/10分、オルトジクロルベンゼン可溶分:40℃で0.7wt%)。
PP2(メタロセン触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)製WXK1195(融解ピーク温度Tm:134.7℃、MFR:6.2g/10分、オルトジクロルベンゼン可溶分:40℃で0.3wt%)
PP3(メタロセン触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)製WMB3(融解ピーク温度Tm:141.7℃、MFR:8.3g/10分、オルトジクロルベンゼン可溶分:40℃で0.2wt%)99重量部と高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製HJ490)1重量部のブレンド混合物
PP4(チーグラー触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)製FG4(融解ピーク温度Tm:141.7℃、MFR:6.9g/10分、オルトジクロルベンゼン可溶分:40℃で7.0wt%)
(3)その他の成分
MB1:(アンチブロッキング剤、滑剤マスターバッチ)日本ポリエチレン(株)製カーネルKMB243
(実施例1)
中間層用樹脂として、PP1をプラコー社製20mmφ、35mmφ、20mmφ三種三層Tダイ成形機の35mmφ押出機(中間層用)に投入し、両表面層(表面層1及び表面層2)用樹脂としてLL1 93重量%とMB1 7重量%からなる樹脂混合物を20mmφ押出機2基に投入し、押出温度220℃で幅300mmのTダイから溶融押出し、40℃に調整された直径300mmのチルロールに巻き付けながら冷却固化し、毎分10mの速度で厚さ60μmのキャストフィルムを表面層1:中間層:表面層2の厚み比率が1:4:1となるように製造した。引き続きフィルムのエアナイフ面に成形直後のJIS K6768による濡れ張力が42mN/mとなるようにコロナ処理を施し、このコロナ処理面を表面層1、反対面を表面層2とし、フィルムの物性を測定した。表1にフィルムの評価結果を示す。
(実施例2)
実施例1の中間層用樹脂において、PP1をPP2に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、その物性を測定した。表1にフィルムの評価結果を示す。
(実施例3)
実施例1の中間層用樹脂において、PP1をPP3に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、その物性を測定した。表1にフィルムの評価結果を示す。
(比較例1)
実施例1の中間層用樹脂において、PP1をLL1に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、その物性を測定した。表1にフィルムの評価結果を示す。中間層にポリプロピレン系樹脂を用いなかったため剛性が低下した。
Figure 2006142803
(実施例4)
実施例1の成形条件において、成形速度を毎分5mに、フィルム厚みを180μmに代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、ヒートシール強度を評価した。表2にフィルムの評価結果を示す。
(実施例5)
実施例4の中間層用樹脂において、PP1をPP2に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、ヒートシール強度を評価した。表2にフィルムの評価結果を示す。
(実施例6)
実施例4の中間層用樹脂において、PP1をPP3に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、ヒートシール強度を評価した。表2にフィルムの評価結果を示す。
(比較例2)
実施例4の中間層用樹脂において、PP1をPP4に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、ヒートシール強度を評価した。表2にフィルムの評価結果を示す。メタロセン触媒製以外のポリプロピレン系樹脂を用いたため、層間剥離が発生し、実施例に比べヒートシール強度が低下した。
(比較例3)
実施例4において、表層を一層のみにした以外は実施例1と同様な操作を行い、フィルムを得、ヒートシール強度を評価した。表2にフィルムの評価結果を示す。フィルムがカールし、取扱にくかった。
Figure 2006142803
本発明の積層フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂フィルムの低温ヒートシール性を維持しつつ飛躍的に剛性を向上させ、カールが生じず、なかつ安価に製造可能であるポリプロピレン系樹脂層とエチレン系樹脂層を積層した積層フィルムであるので、様々な包装材料に用いることができ、特に、食品、衣料、医薬、文具、雑貨などの包装用途に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 表裏2層の表面層と、表面層の間に配置された中間層との三層からなる積層フィルムであって、中間層に下記(A)ポリプロピレン系樹脂を用い、表面層に下記(B)エチレン系樹脂を用いることを特徴とする積層フィルム。
    (A)ポリプロピレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合された下記特性(A1)〜(A3)を有する結晶性ポリプロピレン
    (A1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜30g/10分
    (A2)融解ピーク温度(Tm)が120〜165℃
    (A3)40℃のオルソジクロルベンゼン可溶分量が2.0重量%以下
    (B)エチレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合された下記特性(B1)〜(B2)を有するエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体
    (B1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分
    (B2)密度が0.860〜0.925g/cm
  2. (A)ポリプロピレン系樹脂がTm120〜145℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 積層フィルム全体の厚みが10〜500μmであり、かつ中間層の厚みが全体の10〜90%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 積層フィルムが実質的に無延伸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
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