JP2006142715A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非晶性オレフィン系樹脂組成物、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物からなる成形品であって、光学欠点をプロセスから大幅に低減し、光学的に均質で透明性に優れた、光学欠点の少ない光学フィルムや光学フィルム等の成形品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】押出機中で非晶性オレフィン系樹脂組成物を溶融混練した溶融混練物を押出成形する成形品の製造方法であって、前記非晶性オレフィン系樹脂組成物または熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物をセルフワイピング機能を有する噛み合い型2軸押出機を用いて剪断速度30(sec-1)以上で溶融混練することを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非晶性オレフィン系樹脂組成物からなる成形体の製造方法であり、主として液晶表示装置における偏光板に用いる偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの光学フィルムあるいは光学シートの製造方法に関する。
非晶性オレフィン系樹脂組成物は、光学特性、透明性、耐湿性、耐熱性、電気特性に優れ、かつ光弾性係数が小さいため、光学部品、自動車部品、電気・電子部品、建材などに使用するフィルムやシートなどへの応用が検討されている。とりわけ、卓上電子計算機、電子時計、パソコン、ワープロ、液晶テレビ、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置における偏光板に用いる偏光板保護フィルム(偏光子保護フィルム)や位相差フィルムなどの光学フィルムとしての応用が提案されている。
ところで、この種の光学フィルムは、通常、溶液流延法および溶融押出法により製造されるが、従来の溶液流延法あるいは溶融押出法を用いた光学フィルムの製造方法では、以下に述べるような問題がある。
すなわち、溶液流延法では、非晶性オレフィン系樹脂としての熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の溶剤としてキシレンやエチルベンゼンなどの芳香族系溶剤やシクロヘキサンなどの脂環式系溶剤が使用される。しかし、このような溶剤を使用する場合、溶剤の回収装置が必要で、また火災予防や作業環境に細心の注意が必要となり、それだけ製造コストが高くなる。しかも、得られる光学フィルムに僅かに溶剤が残留することが多く、使用中にこの残留溶剤による光学製品への悪影響が生ずる。
これに対して、溶融押出法の場合、溶剤を使用しないので、上記の溶液流延法における問題が生じないという利点がある。しかし、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂やオレフィン−マレイミド経樹脂に代表される非晶性オレフィン系樹脂組成物の場合、通常の溶融押出法により製造するとゲルが発生しやすく、このゲルが成形品の外観を阻害する。特に、光学フィルムにおいては、このゲルが、位相差ムラ、透明性阻害、光学欠点の問題を起こすが、光学フィルムに要求される品質が年々高まっていることもあり、ゲルの発生を極力抑えることができる製造方法が望まれている。
一方、樹脂成形全般において、このようなゲルの発生や、外観上の欠点を防止する方法として、ブレーカー部のフィルターや、ポリマーフィルターなどを使用して押出成形する手法が提案されているが、これだけではゲルを低減することは出来ず、また、逆にポリマーフィルター等の容量が大きくなるにつれて、樹脂滞留時間が長くなることによりゲルの発生を促進する場合もあり、成形体の外観要求品質を満たせなかった。
また、フィルムの製造に一般的な単軸押出機を使用して、スクリューにミキシングゾーンを追加し、混練を強化する手法が提案されているが、単軸押出機ではスクリューに滞留箇所が多いため滞留時間、樹脂温度にバラツキがあり、また、セルフクリーニング性もないために、ゲルの発生を促進する場合があった。さらにスクリューを高剪断にすると、剪断発熱により樹脂温度が急激に上昇し、ゲルの発生を促進する場合があった。
ところで、非晶性オレフィン系樹脂組成物としての熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物において外観上の欠点を低減する方法として、溶融押出法によりベースフィルムを作製した後、同一樹脂の塗工液をベースフィルムに塗工する方法が提案されている(特許文
献1参照)。
特開2002-98830号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法によれば、外観上欠点の大きなもの(50ミクロン以上のもの)は多少低減されるが、ゲル等の小さなもの(10〜50ミクロンのもの)は低減されない。また、押出、塗工の2工程があるために、作業効率が極度に悪く、製造コストも今まで以上に高くなる。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、その目的とするところは、非晶性オレフィン系樹脂組成物であって、光学欠点をプロセスから大幅に低減し、光学的に均質で透明性に優れた、光学欠点の少ない光学フィルムや光学フィルム等の成形品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者は、溶融押出法によって製造する際に、ゲルの発生を抑制あるいは低減の可能性のある、押出機の種類、樹脂温度、樹脂滞留時間、剪断速度、押出量、スクリューの回転数、スクリューの形状、スクリュー間距離、スクリュー径、スクリューの溝深さ、スクリューの長さ等の項目に着目して種々検討した。そして、これらの項目のうち、噛み合い型同方向又は異方向回転2軸押出機を用いるとともに、スクリューの形状、スクリューの回転数等を調整することによって、剪断速度をコントロールすれば、ゲルの発生を低減できることがわかり、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明にかかる成形体の製造方法は、押出機中で非晶性オレフィン系樹脂組成物を溶融混練した溶融混練物を押出成形する成形品の製造方法であって、前記非晶性オレフィン系樹脂組成物を噛み合い型2軸押出機を用いて剪断速度30(sec-1)以上で溶
融混練することを特徴としている。
本発明の製造方法で成形される成形体としては、特に限定されないが、光学フィルムあるいは光学シートに好適である。
本発明において、非晶性オレフィン系樹脂組成物とは、非晶性オレフィン系樹脂単独およびこの単独樹脂に各種添加剤を含有する配合樹脂の両方を意味する。非晶性オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂、オレフィン−マレイミド系樹脂が挙げられる。
また、上記オレフィン−マレイミド系樹脂としては、下記式(1)で示される構成成分(1)と下記式(2)で示される構成成分(2)からなるマレイミド・オレフィン共重合体が挙げられ、例えば、マレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。
Figure 2006142715
Figure 2006142715
上記構成成分(1)を与える化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示され、耐熱性、機械特性、及び透明性の点から特にN−メチルマレイミドが好ましい。さらに、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
上記構成成分(2)を与える化合物としては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性、及び透明性の点から特にイソブテンが好ましい。また、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。構成成分(1)の含有量は、共重合体全体の40〜60モル%が好ましく、45〜55モル%がより好ましい。
これらモノマーの重合は公知の重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、又は乳化重合法のいずれもが採用可能である。得られるフィルムの透明性、色調の点から特に沈殿重合法が好ましい。
上述のマレイミド−オレフィン共重合体は、無水マレイン酸とオレフィン類との共重合により得られる樹脂をアンモニア、アルキルアミンを用いて、後アミド化することによっ
ても得ることができる。
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系重合体の水素添加物またはノルボルネン系共重合体の水素添加物からなる。なお、ノルボルネン系重合体としては、特に限定されないが、下記の一般式(3)で表わされる少なくとも1種のノルボルネン系単量体を重合してなるものが好適に用いられる。また、上記ノルボルネン系共重合体としては、特に限定されないが、下記の一般式(3)で表わされる少なくとも1種のノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な共重合性単量体とを共重合してなるものが好適に用いられる。
Figure 2006142715
(式中、A、Bは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X、Yは水素原子、ハロゲン原子または有機基を表し、nは0または1を表す。)
上記一般式(3)で表わされるノルボルネン系単量体としては、特に限定されず、例えば、8−カルボキシメチルテトラシクロ〔4.4.0.12.5.17.10〕−3−ドデセン
、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ〔4.4.0.12.5.17.10〕−3
−ドデセン、5−カルボキシメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテン等の官能基を有するもの;シクロペンテン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン等のシクロオレフィン類;ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテン、トリシクロ〔5.2.1.02.6〕−8−デセン、トリシクロ〔5.2.1.02.6〕−3−デセン、トリシクロ〔6.2.1.01.8〕−9−ウンデセン、トリシクロ〔
6.2.1.01.8〕−4−ウンデセン、テトラシクロ〔4.4.0.12.5.17.10〕−3−ドデセン、ペンタシクロ〔6.5.1.13.6.02.79.13〕−4−ペンタデセン、ペンタシクロ〔6.6.1.13.6.02.7.09.14〕−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ〔6.5.1.13.6.02.7.09.13〕−11−ペンタデセン、ジシクロペンタジエン、ペンタシクロ〔6.5.1.13.6.02.7.09.13〕−ペンタデカ−4,11−ジエン等のポリシクロアルケン等が好適である。なかでも、上記一般式(3)においてnが1であるテトラシクロドデセン誘導体が、ガラス転移温度の高い重合体が得られる点で好適である。これらのノルボルネン系単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記ノルボルネン系単量体と共重合可能な共重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、ノルボルネン骨格を有しない環状オレフィン系単量体,α−オレフィンなどが挙げられる。
上記ノルボルネン骨格を有しない環状オレフィン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、シクロオクタジエン、シクロオクテン、シクロヘキセン、シクロドデセン、シクロドデカトリエン等が挙げられる。
上記α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられ、特に、エチレン等のα−オレフィンを用いると、樹脂の脆さが改善される。
上記一般式(3)で表わされるノルボルネン系単量体を重合する方法あるいは上記一般式(3)で表されるノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な共重合性単量体とを共重合する方法としては、特に限定されず、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、六塩化タングステン、四塩化チタン等の重合触媒を用いて、開環メタセシス重合、付加重合等の従来公知の方法を採用することができ、通常、圧力0.1〜20MPa、温度0〜250℃の条件で溶液重合法で行われる。
上記ノルボルネン系重合体またはノルボルネン系共重合体に水素添加する方法としては、特に限定されず、例えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセテート/トリイソブチルアルミニウム、パラジウム−アルミナ、パラジウム−カーボン、ルテニウム錯体、ルテニウム−カーボン、ニッケル−珪藻土等の従来公知の触媒を用いる方法等が挙げられる。また、重合の際にルテニウムアルキリデン錯体、ルテニウムビニリデン錯体、ルテニウムフィッシャーカルベン錯体等のメタセシス重合性を示す錯体を用いることもできる。メタセシス重合性を示す錯体を用いる場合には、水素添加触媒を加えることなく水素加圧によって水素化がなされ、重合と水素化のステップを連続で行うことができる。
上記の水素添加は、触媒の種類により均一系または不均一系で、通常、0.1〜20MPaの水素圧下、0〜250℃の条件で行われる。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の水素添加率(1H−NMR法により測定)は5
0%以上が好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上が特に好ましい。水素添加率が50%未満であると、得られる光学フィルムの耐光性や耐熱劣化性が劣る恐れがある。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の分子量は、ポリスチレン換算による数平均分子量(GPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィ)法により測定)で、1万〜10万であることが好ましい。すなわち、数平均分子量が1万未満であると、得られる光学フィルムの機械的強度が不足することがあり、逆に10万を超えると、溶融押出成形性が著しく低下することがある。より好ましくは1.5万〜7万である。なお、溶融押出成形性などの他の要件を満たす範囲で、できるだけ高い分子量の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を用いることが好ましい。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(DSC(示差走査熱量計)による測定)は、70〜180℃であることが好ましい。すなわち、ガラス転移温度が70℃未満であると、得られる光学フィルムの耐熱性が劣ることがあり、180℃を超えると成形が困難になることがある。
また、上述のような条件に当てはまる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂として、例えば、日本ゼオン社製の商品名「ZEONOR」、「ZEONEX」、日立化成社製の商品名「OPTOREZ」、JSR社製の商品名「ARTON」、チコナ社製の商品名「TOP
AS」などの市販されているものを用いることができる。
本発明に用いられる非晶性オレフィン系樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6,ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(ジ−ノニルフェニルホスファイト)などの酸化防止剤;p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキ
シ−ベンゾフェノン、2−(2'−ジヒドロキシ−4'−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤;パラフィンフェノス、硬化油などの滑剤;ステアロアジトプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムトレート等の帯電防止剤などを含有してもよい。これらの添加剤の種類および量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
本発明により得られる成形体の厚さは、特に限定されないが、例えば、成形体が偏光子保護フィルム等の光学フィルムである場合、平均膜厚が100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下である。すなわち、平均膜厚50μm以下では、コストを大幅に削減することができ、得られた光学フィルムを液晶表示装置に用いた場合に薄型化が実現できるなど極めて価値が高い。平均膜厚の下限は特に限定されないが、偏光子保護フィルム等の光学フィルムとして用いるための機械的強度を考えれば、好ましくは平均膜厚が20μm以上、より好ましくは25μm以上である。
上記非晶性オレフィン系樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されず、例えば、(共)重合工程の最終段階で得られる(共)重合体の溶液を、凝固法または直接乾燥法により溶剤を除去してパウダーとする方法;このパウダーを一軸混練機、ミキサー、二軸混練機等を用いて、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度よりも50〜150℃高い温度で溶融混練してペレットとする方法、超臨界条件下で混練する方法などが挙げられる。
本発明の成形体の製造方法において、噛み合い型2軸押出機としては、噛み合い型でああれば、従来から公知のものが使用でき、同方向回転型でも、異方向回転型でも構わない。
また、得ようとする成形体が光学フィルムあるいは光学シートである場合、押出機は、シリンダが耐触、耐摩耗鋼で製造されていることが好ましく、また、剪断速度を上昇させるために、押出機内のスクリュー回転数を上昇させやすい高トルク、高回転仕様の押出機が好ましい。さらに、成形時に、樹脂中の水分、未反応のモノマー、触媒残渣、溶剤、その他添加剤に由来する揮発成分を排除するためのベント孔が取り付けてある方が好ましい。ベント孔は、押出スクリューの先端部に近いシリンダに設けるほうがよく、押出機内の樹脂組成物が完全に溶融混練された状態で、押出スクリューの先端部の充満ゾーンの手前に位置するのが好ましい。
本発明において、2軸押出機内で非晶性オレフィン系樹脂組成物が受ける剪断速度が30(sec-1)以上であれば、特に限定されないが、ゲルを低減するには該剪断速度は10
0〜1000(sec-1)が最も好ましい。
本発明における剪断速度γは以下の式(4)で求められる。
γ=π・D・Ns/60H ・・・式(4)
(γ:剪断速度(sec-1)、D:シリンダ内径(mm)、Ns:スクリュー回転数(min-1)、
H:スクリュー溝深さ(mm))
すなわち、この式(4)からもわかるように、(シリンダ内径/スクリューの溝深さ)が大きい、又は、スクリュー回転数が大きいほうが剪断速度は上昇する。
シリンダの内径(スクリューの外径)は、特に限定されないが、例えば、光学用途向けの場合、大きい押出機である必要はなく、150mm以下が好ましく、さらには、生産性も含めると20mmから90mmの範囲であることが好ましい。
これに伴うスクリューの溝深さは特に限定されないが、シリンダの内径に対して5〜30%の長さの範囲が好ましく、さらには、10〜25%の長さの範囲が好ましい。スクリューの回転数も特に限定されないが、高回転時に剪断速度が大きくなるために、本発明の効果が大きくなるので20回転/分以上が好ましい。2軸同方向押出機では、さらに100回転/分以上が好ましく、さらには150回転/分以上が最も好ましい。また、スクリューの回転数を上昇させすぎると、剪断発熱により樹脂温度が急激に上昇することによるゲルが増加するために、樹脂温度には気をつけて成形しなければならない。スクリュー回転数の上限は、スクリューの構成にもよるため、特に限定されないが、スクリューの回転数の上限は2000回転/分以下が好ましく、さらには、1000回転/分以下が好ましい。
スクリューの長さ(シリンダの長さ)も特に限定されないが、L/D(スクリューの長さ/スクリューの径)は5〜100が好ましく、2軸同方向押出機では、L/Dが20〜80がより好ましく、30〜70が最も好ましい。すなわち、スクリュー長さが短い場合は、樹脂の溶融と剪断をするゾーンが少ないため、ゲル低減の効果が無く、スクリュー長さが長い場合は、押出量にもよるが、樹脂滞留時間が長くなることによるゲル増加を招く恐れがある。
2軸のスクリュー間の距離は、特に限定されないが、スクリュー間距離をスクリューの径Dの比にて表すと、0.001D〜0.1Dが好ましく、0.01D〜0.05Dが最も好ましい。すなわち、スクリュー間距離が短い場合は、剪断発熱により樹脂温度が急激に上昇することによるゲル増加を招き、スクリュー間距離が長い場合は、剪断が効きにくく、ゲルの低減効果が不十分となる恐れがある。
押出量については、特に限定されないが、光学樹脂を使用しての押出製品の特性上(原料コスト高、要求品質高)、10kg/h〜500kg/hが好ましい。
なお、押出機は、樹脂滞留時間に影響を与えるため、生産押出量にあったスケールの押出機を選択することは重要である。
2軸押出機のスクリュー構成は、特に限定されないが、スクリュー構成によって、樹脂滞留時間、比エネルギー(kWh/kg)や、樹脂温度にも影響があるので、スクリューの混練箇所に2枚以上のニーディングディスクを使用するほうが好ましい。ここで言うニーディングディスクの形状は、特に限定されないが、形状は順方向、直交方向、逆方向のニーディングディスク等があり、それぞれに切り欠き部があっても良い。位相についても特に限定されないが、30度、45度、90度が好ましい。枚数についても、2枚以上であれば特に限定されないが、3枚、5枚、7枚が好ましい。長さについても特に限定されないが、0.25D〜2Dが好ましい。また、ゲル低減効果を付与できれば、ニーディングディスクに代えて、ローター形状のものやシールリング、逆のフルフライトスクリュー等を用いるようにしても構わない。
成形体が光学フィルムあるいは光学シートである場合、光学フィルムあるいは光学シー
トは、2軸押出機内で溶融状態とされた樹脂が、2軸押出機の先端に付設されたTダイからフィルム状に溶融状態で押出され、冷却ロールにより引き取られながら冷却固化されて得られるが、Tダイ出口から冷却ロールまでの接点間の距離、即ち、エアーギャップは、100mm以下であることが好ましい。すなわち、エアーギャップが100mm以下であると、フィルムあるいはシートを成形中に外部の影響を受けにくく、厚さや光学的性能が均一なフィルムを得ることができる。
さらに、溶融押出されたフィルムを冷却ロールに接触させる際に、接点から下流側で、フィルムを冷却ロールに対して押圧することが好ましい。すなわち、押圧によりフィルムの温度変化が均一となるため、光軸ずれを防止でき、均一な厚さのフィルムが得られる。
フィルムを冷却ロールに押圧する方法としては、特に限定されず、例えば、エアーナイフ、エアーチャンバー、タッチロール等の方法が挙げられる。このとき、幅方向の温度、圧力が均一であることがより好ましい。
上記冷却ロールは、表面粗さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。すなわち、冷却ロールの表面粗さ(Ry)が0.5μmを超えると、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物の平滑性を保てず、得られるフィルムの透明性が劣ることがある。より好ましくは0.3μm以下である。なお、上記表面粗さ(Ry)は、JIS B 0601に準拠して測定される値である。
以上のように、本発明にかかる成形体の製造方法は、押出機中で非晶性オレフィン系樹脂組成物を溶融混練した溶融混練物を押出成形する成形体の製造方法であって、前記非晶性オレフィン系樹脂組成物を噛み合い型2軸押出機を用いて剪断速度30(sec-1)以上
で溶融混練するようにしたので、2軸押出機内で発生したゲルをスクリューの剪断力によって破砕し、従来の押出成形の問題であったゲルの発生を低減することができる。しかも、溶融押出成形の過程で、2軸押出機特有のセルフワイピング機能により樹脂滞留が少ないこと、樹脂温度分布にバラツキが少ないことにより、高温や、長時間に樹脂がさらされないことになる。
したがって、従来の対処法であったポリマーフィルター等のフィルターの容量を小さくすることが可能となり、樹脂滞留時間を抑制可能とすることができるとともに、ゲルの発生を極端に低減することができることにより、光学フィルムを生産する際に、ゲル起因の光学欠点を低減し、厚さやヘイズ値などの光学的性能が均質な透明性に優れた光学フィルムを得ることができるという顕著な効果を奏する。そして、本発明により得られる光学フィルムは、液晶表示装置における偏光板に用いる偏光子保護フィルムや位相差フィルムとして好適に使用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例を挙げることにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)使用原料について
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂であるZEONOR1600R(日本ゼオン社製)を使用した。
(2)熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの製造
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を、Tダイを取り付けた噛み合い型2軸同方向押出機(プラスチック工学研究所社製噛み合い型2軸同方向押出機BTN−42、シリンダ
:内径42mm、L/D=40、スクリュー:溝深さ7.25mm、L/D=1、位相が90度ずつずれた5枚構成のニーディングディスクが2個使用されたもの)に供給し、シリンダ温度勾配200〜280℃、スクリュー回転数が350rpmで溶融混合し、270℃に温調されたTダイ(幅500mm、スリット間隙0.5mm、コートハンガータイプ)に送り込んだ。引き続いて、Tダイから上記樹脂を溶融押出し、これをエアーチャンバーが取り付けられ、120℃に温度調整された冷却ロールに接触させることにより、厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
なお、Tダイ出口から冷却ロールの接点に至る距離(エアーギャップ)は70mmとした。また、冷却ロールの接点直前のフィルム温度は180℃であった。
(実施例2)
スクリュー回転数を1000rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(実施例3)
ニーディングディスクを2個から10個使用にしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(実施例4)
ニーディングディスクを2個から20個使用にしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(実施例5)
スクリュー溝深さを4.2mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(実施例6)
スクリュー溝深さを10.5mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(実施例7)
ニーディングディスクを2個から1個使用にしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(比較例1)
スクリュー回転数を50rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(比較例2)
スクリュー溝深さを13mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
(比較例3)
2軸押出機に代えて単軸押出機(GMENG社製、シリンダ内径50mm、圧縮比2.8、メタリングゾーンの溝深さが3.15mmのフルフライトスクリュー)を用い、スクリュー回転数を30rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ40μmの光学フィルムを製造した。
上記各実施例1〜7及び各比較例1〜3で得られた光学フィルムについて、熟練した評
価者による目視による光学欠点数の評価を行い、その結果を成形条件とともに表1に示した。
(光学欠点数)
一辺が20cmの正方形のフィルムにおいて10ミクロン以上の欠点をカウントし、その数を25倍し、1m2換算した。また、それぞれ5枚サンプルを取得し、5カ所におい
て計測し、25箇所の視野の平均を求めた。
Figure 2006142715
上記表1から噛み合い型2軸押出機を用いるとともに、剪断速度30(sec-1)以上で
押出成形を行えば、光学欠点が低減できること、また、実施例1〜6のようにスクリューの混練箇所に2枚以上のニーディングディスクを使用すれば、光学欠点数が35以下のより光学フィルムとして良好なものを得られることがよくわかる。

Claims (4)

  1. 押出機中で非晶性オレフィン系樹脂組成物を溶融混練した溶融混練物を押出成形する成形体の製造方法であって、前記非晶性オレフィン系樹脂組成物を噛み合い型2軸押出機を用いて剪断速度30(sec-1)以上で溶融混練することを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 噛み合い型2軸押出機のスクリューの混練箇所に2枚以上のニーディングディスクを使用することを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 非晶性オレフィン系樹脂が、飽和ノルボルネン系樹脂またはオレフィン−マレイミド系樹脂である請求項1または請求項2に記載の成形体の製造方法。
  4. 成形体が、光学シートまたは光学フィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の成形体の製造方法。
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