JP2006137987A - 3価クロメート液の再生方法 - Google Patents

3価クロメート液の再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】3価クロメート液中の不純物金属を効果的に低減でき、しかもキレート樹脂からの不純物金属のリークを防止しつつ、キレート樹脂処理液のpHを中性以下に保持することにより、3価クロメート液の品質を向上するとともに、液のライフを延長し、処理コストおよび廃棄物の低減が可能な3価クロメート液の処理方法を提供することにある。
【解決手段】3価クロメート液を、イミノジ酢酸基のカルボキシル基のうちカルボン酸形の割合が50モル%を超えるイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に接触させて不純物金属イオンを低減し、かつ、キレート樹脂からの不純物金属イオンの破過をキレート樹脂処理液のpHの低下を指標として監視し、破過前にキレート樹脂への接触を停止することを特徴とする3価クロメート液の再生方法。
【選択図】なし

Description

本発明は3価クロメート液中の不純物金属を低減し、3価クロメート液の品質を再生し維持する方法に関する。特に本発明は3価クロメート液をアルカリ性にすることなくイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂で不純物金属イオンを低減する方法に関する。
クロメート処理は安価で優れた防錆処理として、自動車や機械などの部品、建築用材、電気部品などに幅広く利用されている。これまでクロメート剤は、人体に有害な6価クロムを含む6価クロメートが広く使用されてきたが、近年、廃棄後の環境への悪影響や人体への有害性が問題視され、代替技術として3価クロムをベースとして3価クロメートが市場に展開され始めている。
しかし、3価クロメート処理は従来の6価クロメート処理に比較して、鉄や銅などの汚染による影響を受け易い。3価クロメート液が銅や鉄に汚染されると、被処理物の耐食性の低下や外観の悪化がおこる。また、不純物金属が一定量を越えると3価クロメート液を更新する必要があった。特に不純物金属が銅(Cu)の場合は影響が大きく、次いで鉄(Fe)の影響が大きい。また、3価クロメート処理はpHの管理が重要であり、特にアルカリ性になると3価クロメート液に変質が起きたり、被処理物の耐食性や外観に影響がでることがある。
不純物金属イオンによって性能が低下した3価クロメート液の再生にキレート樹脂を用いることは公知であるが(例えば、特許文献1)、3価クロメート液のキレート樹脂処理液を適正なpHにする方法に関する文献は見当たらない。さらに、キレート樹脂の吸着能力が限界に達すると、金属イオンが破過し始めるので、処理を停止してキレート樹脂を再生するタイミングを検出することが必要である。
つまり、3価クロメート液を再生し適正な品質に維持するためには、キレート樹脂による金属の低減のみならず、キレート樹脂の破過による金属の漏出を監視する必要があり、さらにキレート樹脂処理液のpHをも管理する必要がある。
ところで、本発明者らはすでに、不純物金属を含む原液をイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂により不純物金属を低減する場合に、キレート樹脂処理液のpHを指標とすることによりリアルタイムにオンラインで簡易に処理液中の不純物金属を監視でき、これにより不純物金属の除去処理の処理状況に応じた処理、停止、再生などの制御を可能にする方法を見出している(特許文献2)。
特許第3073789号公報 特開2004−174418号公報
本発明の課題は、3価クロメート液中の不純物金属を効果的に低減でき、しかもキレート樹脂からの不純物金属のリークを防止しつつ、キレート樹脂処理液のpHを中性以下に保持することにより、3価クロメート液の劣化を防ぎ品質を維持するとともに、液のライフを延長し、処理コストおよび廃棄物の低減が可能な3価クロメート液の処理方法を提供することにある。
本発明者らは、3価クロメート液をアルカリ性にすることなくイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂で不純物金属を低減することによって、3価クロメート液を再生し、かつキレート樹脂からの金属破過をpHを指標として未然に防ぐことによって、3価クロメート液の金属濃度とpHという3価クロメート処理に最も重要なファクターを維持する簡便かつ安価な3価クロメート液の再生方法を見出した。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明に係る3価クロメート液の再生方法は、3価クロメート液を、イミノジ酢酸基のカルボキシル基のうちカルボン酸形の割合が50モル%を超えるイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に接触させて不純物金属イオンを低減し、かつ、キレート樹脂からの不純物金属イオンの破過をキレート樹脂処理液のpHの低下を指標として監視し、破過前にキレート樹脂への接触を停止することを特徴とするものからなる。
上記イミノジ酢酸基のカルボキシル基のうちカルボン酸形の割合は、50モル%を超え90モル%以下であることが好ましく、より好ましくは50モル%を超え75モル%以下である。
本発明においては、キレート樹脂処理液(キレート樹脂による処理後の3価クロメート液)のpHの低下が、0.01pH/処理倍量以上、好ましくは0.02pH/処理倍量以上の低下を示した際に、3価クロメート液のキレート樹脂への接触を停止することが好ましい。
また、上記のように、3価クロメート液はpHが一時的にでもアルカリ性になると変質をきたし、被処理物への防錆処理効果や処理後の外観に著しく支障をきたすとう性質がある。したがって、キレート樹脂に接触中の3価クロメート液のpHも酸性側に維持することが好ましい。
本発明によれば、3価クロメート液中の不純物金属を効果的に低減でき、しかもキレート樹脂からの不純物金属のリークを防止しつつ、キレート樹脂処理液のpHを中性以下に保持することにより、3価クロメート液の品質を向上するとともに、液のライフを延長し、処理コストおよび廃棄物の低減を可能にすることができる。
本発明の3価クロメートからの不純物金属イオンの除去には、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂が使用される。本発明において使用可能なイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂としては、イミノジ酢酸基において不純物金属イオンとキレート結合することができるものであれば特に限定されるものではない。イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂としては好ましくはスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を母体とするキレート樹脂、例えばアンバーライトIRC748(ローム・アンド・ハース社製)、レバチットTP−207(バイエル社製)、ダイヤイオンCR−10(三菱化学社製)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。3価クロメート液処理におけるイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂の金属イオンの選択順位はNa<<Zn<<Fe<Cuの順であり、3価クロメート液中のクロムはキレート樹脂に捕捉されず、3価クロメート処理の耐食性や外観に特に影響を及ぼす不純物金属であるFe、Cuを効率よく除去することができる。
また、本発明に用いられるイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂はそのカルボキシル基がカルボン酸形、またはアンモニウム形、アルカリ金属塩形、アルカリ土類金属塩形から選ばれる塩形のいずれか、あるいはカルボン酸形と塩形が共存した状態で使用することができる。また、処理液のpHが常に中性以下であれば、後段でpH調整をする場合も、酸の使用量が低減できる。3価クロメート液のキレート樹脂処理ではカルボン酸形とカルボン酸塩基形の割合によって、処理液のpHが異なる。特に通液初期のpHはカルボン酸形が少なく塩形が多いほどpHが高くなる。処理の初期から処理液pHをアルカリ性側にしないためにはカルボン酸形の割合を50モル%よりも多く、好ましくは50モル%を超え90モル%以下、より好ましくは50モル%を超え80モル%以下にするとよい。カルボン酸形は酸性では解離が起こらずキレートを形成しにくいので、塩形とカルボン酸形を共存させるのが好ましい。
本発明に使用可能なイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂は、任意の、公知の方法で調整することができ、例えば、不純物金属の吸着能が低下したイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂を再生処理することにより得ることができる。再生処理の方法としては、例えば、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に吸着した金属を溶離するために、硫酸、塩酸などの鉱酸を接触させる工程と、必要に応じてカルボキシル基の全部または一部を塩形にするためのアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)溶液に接触させる工程を含む方法が挙げられる。また、カルシウム塩形などのアルカリ土類金属塩形のイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂を調整する場合には、上述の再生処理方法におけるアルカリ金属水酸化物溶液の接触に続いて、カルシウム塩をはじめとするアルカリ土類金属塩溶液、またはアルカリ土類金属塩とアルカリ金属の水酸化物の混合物溶液に接触させる工程を含む方法が挙げられる。
上述のような再生処理において使用される鉱酸、アルカリ金属水酸化物溶液、およびアルカリ土類金属塩溶液の種類、濃度、処理溶液量等は特に限定されるものではない。また、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂のカルボキシル基におけるカルボン酸形と塩形との比率の調整は、該キレート樹脂の再生処理におけるアルカリ金属水酸化物溶液との接触量により調整することが可能である。
本発明における不純物金属とは比重が4以上の金属をいい、本発明の目的に反しない限りは特に限定されるものではない。本発明の再生方法を適用できる不純物金属としてはFe、Hg、Cu、Ni、Zn、Cd、Co、Mn、Ti、V、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Biが挙げられ、3価クロメート液処理に最も影響を与えるのはCu、Feである。
本発明により再生される3価クロメート液は、pHが酸性で不純物金属を含有しているのであればよく、含まれる不純物金属はイオンの形態であるものが好ましい。本発明の再生方法で処理可能な、3価クロメート液に含まれる不純物金属の量は、原液のpH、使用されるイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂の種類、量、再生状態、および通液量などにより異なる。3価クロメート液は不純物金属以外の成分を含んでいてもよい、例えば、不純物金属以外のアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素をイオンまたは化合物の形態で含んでいてもよいし、有機酸や無機酸その他の有機、無機成分をイオンまたは化合物の形態で含んでいてもよいし、コロイド成分を含んでいてもよい。本発明においては、処理液のpHがアルカリになることによる3価クロメート液の変質を防ぎつつ不純物金属を除去し、かつ電気伝導率による処理液中の不純物金属のモニタリングが行えないような、無機酸や有機酸やリークしてくる不純物以外の金属イオンや金属化合物を多量に含む処理液であっても、オンラインでリアルタイムに除去処理の制御を行い、キレート樹脂破過による不純物金属濃度の増加の防止ができるという有利な効果を有している。
必要な場合には、本発明の処理方法で処理される3価クロメート液は、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に通液される前に、原液中の懸濁物を膜処理装置などのろ過装置を用いて除去する等の前処理工程において前処理しておくことも可能である。
本発明においては、不純物金属イオンを含む3価クロメート液をイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に通液し、不純物金属が低減された処理液を生じさせるが、この処理は、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂を充填した不純物金属吸着塔に3価クロメート液(原液)を通液し、処理液を生じさせるなど、本発明の目的に反しない限りは、任意の公知の装置、方法を用いて行うことができる。好ましい態様は、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂を固定床として充填した不純物金属吸着塔に、下向流として3価クロメート液を通液し、処理液を回収する態様である。この場合、通液量は特に限定されるものではないが、好ましくは、空間速度SV(Space Velocity)が1〜50hr-1、より好ましくはSVが5〜20hr-1である。
本発明は使用するイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂の全カルボキシル基のうち50モル%を超えてカルボン酸形とすることによって、処理した3価クロメート液のpHを中性以下にしてpHがアルカリ性になることによる品質の低下を防止することを特徴とする。また、最終的にクロメート処理の適正pH(1.5〜2.5程度が一般的)に調整する場合も、pH調整のための酸の使用量を低減することができるというメリットもある。
イミノジ酢酸基の全カルボキシル基のうち50モル%を超えてカルボン酸形とする方法は、特に限定はしないが、例えば次の方法をとることができる。通液が終了したキレート樹脂は酸により吸着した金属を溶離するが、溶離後イミノジ酢酸基のカルボキシル基はすべてカルボン酸形になる。カルボン酸をカルボン酸塩にするには、水酸化ナトリウムなどの金属水酸化物を用いるが、カルボン酸からカルボン酸塩への変換はほぼ当量で反応が進むため、塩形に変換したいカルボキシル基量と当量の金属水酸化物を通液することで調整することができる。このような方法で再生・調整されたキレート樹脂は、生成したカルボン酸形とカルボン酸塩形が樹脂層内で均一になるように混合工程を入れるのが望ましい。また、使用済みのキレート樹脂を樹脂塔から取り出して、カルボン酸形とカルボン酸塩形にしたキレート樹脂をおのおの調整し、所望の割合になるように混合して樹脂塔に充填してもよい。キレート樹脂の再生に使用する酸は塩酸、硫酸などで、濃度は2〜20%望ましくは5〜10%である。また、金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどがあり、濃度は0.5〜20%望ましくは1〜8%である。
また、本発明は、該処理液のpHの変化率の低下を指標として、3価クロメート液のキレート樹脂への通液を停止することを特徴とする。本発明において、「処理液のpHの変化率」とは、処理液中のpHの経時的な変化の割合を表すパラメータ、すなわち、ある処理倍量の時点での処理液中のpHの変化率であり、具体的には「処理液のpHの変化率」は、本発明の一実施態様である図1に示されるように、処理液中のpHを縦軸に、処理倍量を横軸にとってpHと処理倍量の関係をグラフ化した場合に、pHの変化を示すグラフ(曲線または直線)のある処理倍量の時点での接線の傾き(すなわち微分値)として現れる。例えば、図1においては、処理倍量26の前では、pHは2.3程度で一定であり、このときの処理液のpHの変化率はほぼ「0pH/処理倍量」である。これに対して、処理倍量26の直後からpHの低下が始まり、低下が始まった時点での処理倍量−pHのグラフの傾きが約「−0.025pH/処理倍量」である。よって、処理倍量26の時点で、処理液のpHの変化率が「0pH/処理倍量」から「−0.025pH/処理倍量」に低下したこととなる。これが本発明における「処理液のpHの変化率の低下」に該当する。
本発明において、「処理倍量」とは、通液時のイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂の体積に対する、ある時点におけるそれまでの総通液量、すなわち、「処理倍量」=総通液量)/(使用されるイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂の体積)をいう。なお、前記式における「キレート樹脂の体積」とは、市販時の体積をいう。本発明においては、「処理液のpHの変化率」を表すのに「処理倍量」なるパラメータを使用したが、単位時間あたりの通液量、すなわち流速が定まれば、処理倍量を処理時間に換算することが可能なので、処理液のpHの変化率を処理時間に基づいて算出することも本発明の範囲内の事項である。なお、本発明者は、水質が同じであれば、流速が変化しても処理倍量あたりのpHの変化はほぼ同じカーブを描くことを確認している。
本発明においては、処理液のpHの変化率の低下を指標として、原液のイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂への通液が停止される。ここで、処理液のpHの変化率の低下について、如何なる程度の低下により通液を停止するかについては特に限定されるものではなく、処理液のpHの安定性、処理液に許容される不純物金属量、原液の水質等に応じて適宜設定されるが、不純物金属の破過と無関係なpHの変動による通液の停止を行わず、また、不純物金属の破過を見逃すことの無いような範囲であるのが望まれ、好ましくは、0.01pH/処理倍量以上の低下であり、より好ましくは、0.02pH/処理倍量以上の低下である。
本発明の一実施態様では、処理液のpHの変化率の低下を指標とした通液の停止は、処理液のpHが定常状態となった後に行われる。不純物金属を含む原液をイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に通液した場合には、通液初期においては処理液のpHが安定しない場合がある(図1参照)。しかし、このような場合、通液初期では不純物金属の破過は起こっておらず、これに基づいて通液を停止したのでは装置の効率的な運転が図れない。また、このような通液初期の一時的な変動を除けば、不純物金属の破過が起こるまでは処理液のpHはほぼ一定の挙動をとる(図1参照)。よって、本発明の一実施態様では、不純物金属の破過と関連しない通液初期のpHの変動により通液を停止することを防止すべく、「処理液のpHが定常状態となった後」に、処理液中のpHの変化率の低下を指標とした通液の停止を行うこととした。すなわち、本発明における「処理液のpHが定常状態となった後」とは、通液初期のpHが不安定な状態が終了し、処理液pHがほぼ一定であるか、ほぼ一定比率で増減し続ける状態となった後を意味する。ここで、処理液のpHが定常状態となった後とは、上記定義を満たす場合であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、不純物金属の破過に関連した処理液のpHの変化率の低下が起きる処理倍量の20%の通液が行われた後であり、より好ましくは、該処理倍量の40%の通液が行われた後であり、さらにより好ましくは、該処理倍量の60%の通液が行われた後である。
不純物金属の破過と関連した処理液のpHの変化率の低下がどのような態様で、どの程度の処理倍量で起こるかは、本発明の方法を適用しようとする条件で、予備的に不純物金属の除去処理を行うことにより確認でき、この予備的検討を基に、処理倍量に対するpHの変化の確認、指標とする処理液のpHの変化率の低下の程度の設定、定常状態の設定を行うことが可能である。よって、本発明の一実施態様としては、不純物金属を含む原液を、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に通液し、不純物金属が低減された処理液を生じさせる原液中の不純物金属の除去方法において、あらかじめ確認された不純物金属の破過が起こる処理倍量の前後で起こる該処理液のpHの変化率の低下を指標として、該原液の該イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂への通液を停止することを特徴とする、原液中の不純物金属の除去方法が挙げられる。該態様における「あらかじめ確認された不純物金属の破過が起こる処理倍量の前後」としては、原液中の不純物金属の変動等により適宜設定することができるが、好ましくは、あらかじめ確認された不純物金属の破過が起こる処理倍量の±50%の範囲、より好ましくは、±30%の範囲、さらにより好ましくは、±20%の範囲であるが、これに限定されるものではない。複数の不純物金属が含まれ、各不純物金属において破過が起こる処理倍量が異なる場合には最も少ない処理倍量で破過が起こる処理倍量を基準にして上記態様が行われるのが好ましい。
本発明においては、処理液のpHの変化率の低下を指標として原液の通液が停止されるが、停止のタイミングは、処理液に含まれ得る不純物金属の量、処理液のpHの変化率の低下と不純物金属の破過との関連などを考慮して適宜設定することが可能である。好ましくは、原液のイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂への通液の停止は、処理液のpHの変化率の低下が認められた時点から、処理液中の不純物金属の含有量が許容範囲内である間に行われる。より好ましい態様は、あらかじめ設定された程度の処理液のpHの変化率の低下が認められたら、直ちに通液を停止する態様である。処理液中の不純物金属含有量の許容範囲は、対象となる不純物金属の種類、処理液の使用目的などに応じて適宜設定される。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1
イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂であるアンバーライトIRC748を用いて行われた。300mLのアンバーライトIRC748(市販状態のもの、すなわち該樹脂のカルボキシル基のほぼ100モル%がナトリウム塩形である)を内径21mm、長さ1000mmのアクリル製カラムに充填した。これを次の工程で再生した。このキレート樹脂が有するカルボキシル基は1.4mol/L−樹脂であった。
工程1:6%塩酸を下向流で、通液速度SV4hr-1で39分間通液した。
工程2:純水を下向流で、通液速度SV4hr-1で45分間通液した。
工程3:2%水酸化ナトリウム水溶液を下向流で、通液速度SV4hr-1で19分間通液した。
工程4:純水を下向流で通液速度SV4hr-1で30分間通液した。
工程5:純水を下向流で通液速度SV10hr-1で10分間通液した。
工程6:空気をカラムの下部より吹き込む空気混合で5分間混合した。
工程3での水酸化ナトリウムの量は、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂のカルボキシル基の45モル%をナトリウム塩形(55モル%をカルボン酸形)にする量である。
再生後、表1に示されるpH、組成を有する不純物金属を含む3価クロメート液を、該液を通液速度SV10hr-1の下向流でイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂が充填されたカラムに通液し、カラム出口のpHをオンラインで連続的に測定した。また、一定時間ごとに処理液をサンプリングし、処理液中の各不純物金属の量をICP発光法を用いて定量した。実施例1の結果は、処理液のpHおよび不純物金属含有量を縦軸に、処理倍量を横軸にして表わしたグラフを図1に示した。
Figure 2006137987
図1のグラフから明らかなように、処理液のpHは通液初期よりpH7以下となっていた。また、不純物金属であるFeのリークにともなってpHの変化率の低下が検出された。すなわち図1のグラフから明らかなように、処理倍量が26の前まではpHがほぼ一定であり、処理液のpHの変化率はほぼ「0pH/処理倍量」であったが、処理倍量26の直後から処理液のpHの変化率は約「−0.025pH/処理倍量」となり、処理倍量26の前後で、処理液のpHの変化率は、約0.025pH/処理倍量低下した。また、Feの破過は処理倍量26付近に認められた。また、通液開始直後でpHの変動が認められたが、これは通液初期における変動であり、この時点ではいまだ定常状態になっておらず、この後の安定したpHが本発明にいう定常状態である。
この結果から明らかなように、処理液のpHの変化率の低下が認められた処理倍量26の時点で通液を停止し、再生すれば、不純物金属であるFeの破過を生じさせず、かつ効率的な運転が可能となる。なお、3価クロメートの品質管理の上から除去が望ましいCuの除去効果も見られた。主成分の3価クロムは通液初期から停止まで処理液の濃度はほぼ入口と同じであり、結果として不純物金属のCuが低減された3価クロメート液が回収された。
実施例2
実施例2では、工程3の通薬時間が10.5分(イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂のカルボキシル基の25モル%をナトリウム塩形(75モル%をカルボン酸形)にする量である)に変更されたことを除き、実施例1と同一の方法で行われた。実施例2の結果は、処理液のpHおよび不純物金属含有量を縦軸に、処理倍量を横軸にして表わしたグラフとして、図2に示される。
図2のグラフから明らかなように、処理液のpHは通液初期よりpH7以下となっていた。また、不純物金属であるFeのリークにともなってpHの変化率の低下が検出された。図2から明らかなように、処理倍量が25の前まではpHがほぼ一定であり、処理液のpHの変化率はほぼ「0pH/処理倍量」であったが、処理倍量25の直後から処理液のpHの変化率は約「−0.027pH/処理倍量」となり、処理倍量25の前後で、処理液のpHの変化率は、約0.027pH/処理倍量低下した。また、Feの破過は処理倍量25付近に認められた。
比較例1
比較例1では再生工程3の通薬時間を50分に変更したことを除き、実施例1と同一の方法でおこなった。なお、使用した水酸化ナトリウムの量は、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂のカルボキシル基の100モル%をナトリウム塩形にする量である。
比較例1の結果は、処理液のpHおよび不純物金属含有量を縦軸に、処理倍量を横軸にして表わしたグラフとして、図3に示される。図3のグラフから明らかなように、通液初期のpHがアルカリ性となり、pHが7になるまで3倍量以上を要していた。
本発明に係る3価クロメート液の再生方法は、3価クロメート液のpHをアルカリ性にすることなく液中の不純物金属を低減でき、特に自動車用部品等の防錆処理等に用いられる3価クロメート液の再生に好適なものである。
実施例1における、処理倍量と3価クロメート液のpHおよび3価クロメート液中のFeの量との関係を示すグラフである。 実施例2における、処理倍量と3価クロメート液のpHおよび3価クロメート液中のFeの量との関係を示すグラフである。 比較例1における、処理倍量と3価クロメート液のpHおよび3価クロメート液中のFeの量との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 3価クロメート液を、イミノジ酢酸基のカルボキシル基のうちカルボン酸形の割合が50モル%を超えるイミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に接触させて不純物金属イオンを低減し、かつ、キレート樹脂からの不純物金属イオンの破過をキレート樹脂処理液のpHの低下を指標として監視し、破過前にキレート樹脂への接触を停止することを特徴とする3価クロメート液の再生方法。
  2. 前記イミノジ酢酸基のカルボキシル基のうちカルボン酸形の割合が50モル%を超え90モル%以下である、請求項1の3価クロメート液の再生方法。
  3. 前記キレート樹脂処理液のpHの低下が、0.01pH/処理倍量以上の低下を示した際に、3価クロメート液のキレート樹脂への接触を停止する、請求項1または2の3価クロメート液の再生方法。
  4. 前記キレート樹脂に接触中の3価クロメート液のpHを酸性側に維持する、請求項1ないし3のいずれかに記載の3価クロメート液の再生方法。
  5. 前記請求項1ないし4のいずれかに記載の3価クロメート液の再生方法により再生されたことを特徴とする3価クロメート液。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015183228A (ja) * 2014-03-24 2015-10-22 田中貴金属工業株式会社 パラジウムと白金の分離方法
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