JP2006112559A - 円すいころ軸受 - Google Patents

円すいころ軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2006112559A
JP2006112559A JP2004301868A JP2004301868A JP2006112559A JP 2006112559 A JP2006112559 A JP 2006112559A JP 2004301868 A JP2004301868 A JP 2004301868A JP 2004301868 A JP2004301868 A JP 2004301868A JP 2006112559 A JP2006112559 A JP 2006112559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tapered roller
inner ring
base
tapered
large end
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004301868A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Uehori
康裕 上堀
Takashi Tsujimoto
崇 辻本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2004301868A priority Critical patent/JP2006112559A/ja
Priority to EP05256397A priority patent/EP1647727A3/en
Priority to US11/249,740 priority patent/US7841773B2/en
Publication of JP2006112559A publication Critical patent/JP2006112559A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】異物混入下でも長い耐久寿命を確保でき、かつ、摩擦によるトルクロスと発熱が少ない円すいころ軸受を提供する。
【解決手段】浸炭軸受鋼で形成された内輪10、外輪20、円すいころ30の各部品表面に、炭素含有量0.80重量%以上、ロックウエル硬さHRC58以上の浸炭窒化層10a,20a,30aを形成するとともに、円すいころ30の大端面32の曲率半径Rを、円すいころ30の円すい角の頂点から内輪10の大つば面18までの距離をRBASEとしたとき、R/RBASE=0.75〜0.87の範囲とし、かつ、円すいころ30の大端面32の端面振れを3μm以下とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は円すいころ軸受に関する。
円すいころ軸受は転動体として円すいころを用いたラジアル軸受であって、図1に示すように、内輪10と外輪20と円すいころ30と保持器40とで構成される。内輪10は外周に円すい面状の軌道12を有し、軌道12の両側に小つば14と大つば16を備えている。外輪20は内周に円すい面状の軌道22を有する。円すいころ30は内外輪10,20の軌道12,22間に転動自在に介在させてある。保持器40は円周方向に所定間隔に配置した複数のポケットを有し、各ポケットに円すいころ30が収容される。
円すいころ軸受では円すいころ30と内外輪10,20の軌道12,22とが線接触しており、図2に示すように、内外輪10,20の軌道12,22と円すいころ30の円すいの頂点が軸受中心軸上の一点Oに集まるように設計され、ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を受けることができる。内輪10の軌道12と外輪20の軌道22では円すい角が違うため、各軌道から円すいころ30に加わる荷重の合力が円すいころ30を内輪20の大つば16に向けて押す方向に作用する。このため、円すいころ30はその大端面32が内輪10の大つば16に押し付けられた状態で案内され、ここで滑り接触をする。詳しくは、図3に示すように、大つば面18はその母線yが軸受の中心軸に対して所定角をなすフラット面とされ、このフラット面に円すいころ30の大端面32が滑り接触する。
円すいころ軸受は、ラジアル荷重とアキシアル荷重、およびそれらの合成荷重を負荷するのに適した軸受で、負荷能力も大きいため、自動車や建設機械等の車両のデファレンシャルやトランスミッション等の動力伝達装置においては、円すいころ軸受で歯車軸を支持した支持装置が使用されている。
図10は自動車のデファレンシャルを示す。このデファレンシャルは、ハウジング51に二つの円すいころ軸受52,53で回転自在に支持されたドライブピニオン54と、このドライブピニオン54とかみ合うリングギヤ55と、このリングギヤ55が取り付けられ、一対の円すいころ軸受56でハウジング51に回転自在に支持された差動歯車ケース57と、この差動歯車ケース57の中に配設されたピニオン58と、ピニオン58とかみ合う一対のサイドギヤ59とで基本的に構成され、これらがギヤオイルの封入されたハウジング51内に収納されている。このギヤオイルは前記各円すいころ軸受52,53,56の潤滑油にもなっている。
実用新案登録第2584623号公報 特開2000−161349号公報
上述したデファレンシャル等の動力伝達装置は、多くの歯車のかみ合い部や回転部材の摺動部を有するため、これらの部位で発生する金属摩耗粉等の異物がハウジングに封入されたギヤオイルに混入する。これらの摩耗粉は、高負荷で回転する歯車軸を支持する円すいころ軸受の中に入り込み、耐久寿命の面で問題となることがある。
また、円すいころ軸受は、上述したように、円すいころの大端面が内輪の大つば面と滑り接触するため、高速高負荷で回転するデファレンシャル等の歯車軸の支持に用いると、この滑り摩擦による摩擦トルクが大きくなり、さらに摩擦発熱で軸受部が温度上昇して潤滑油としてのギヤオイルの粘度が低下し、油膜不足による問題が生じることがある。
この発明の課題は、異物混入下でも長い耐久寿命を確保でき、かつ、摩擦によるトルクロスと発熱が少ない円すいころ軸受を提供することである。
この発明の円すいころ軸受は、外周に円すい面状の軌道を有するとともに軌道の両側に大つばと小つばを形成した内輪と、内周に円すい面状の軌道を有する外輪と、内輪の軌道と外輪の軌道との間に介在させた複数の円すいころと、円すいころを円周方向で所定間隔に保つための保持器とを具備し、前記内輪、外輪、円すいころの各表面に、炭素含有量0.80重量%以上で、かつ、ロックウエル硬さHRC58以上の浸炭窒化層を形成し、円すいころの円すいの頂点から内輪の大つば面までの距離RBASEに対する円すいころの大端面の曲率半径Rの比の値R/RBASEを0.75以上0.87以下とし、円すいころの大端面の端面振れを3μm以下としたことを特徴とするものである。
内輪、外輪、円すいころの表面に浸炭窒化層を形成したのは次の理由による。通常の浸炭焼入れにより得られる浸炭層の残留オーステナイトは、高い靭性と加工硬化特性を有し、これを適度に含ませることにより、浸炭層の硬度を確保した上で、亀裂の発生や進展を抑える働きをするが、熱に対して不安定な難点がある。これに対して、適切な条件で浸窒処理を施すと、窒素原子が残留オーステナイト中に固溶し、残留オーステナイトを熱に対して安定化する役割をし、軸受部での発熱による温度上昇に対して浸炭窒化層の材質を適正に保つことができる。この浸窒処理で得られた浸炭窒化層には、通常の浸炭層よりも大きな圧縮の残留応力が形成されるため、疲労強度をさらに高めることもできる。
上記のような浸炭窒化層の組織は、次のような熱処理工程で形成することができる。すなわち、浸炭雰囲気中の炭素ポテンシャルを0.8%以上にして所定時間加熱保持した後、油中で冷却して浸炭焼入れを行い、この後、アンモニアガス中で所定時間加熱保持して窒化処理を行う。浸炭工程中に同時に窒化処理も行う方法を採用することもできる。
円すいころの大端面の曲率半径Rと円すいころの円すい角の頂点から内輪大つば面までの距離RBASEとの比の値R/RBASEを0.75〜0.87の範囲としたのは次の理由による。
ころ大端面の曲率半径Rは、従来、0.90≦R/RBASE≦0.97(RBASE:円すいころの円すいの頂点から内輪大つば面までの距離)であったが、この場合、大つば面と円すいころ大端面との間の最小油膜厚さ比は0.9以下であって、高速回転のためには必ずしも満足のいく値ではなかった。本発明者等は、実験に基づき、前記最小油膜厚さ比を0.95以上にできるRの最適値が0.75≦R/RBASE≦0.87であることを見出し、これを具現化させたものである。
図4は、内輪大つば面と円すいころ大端面との間に形成される油膜厚さtを、Karnaの式を用いて計算した結果を示す。同図において、横軸はR/RBASEを表し、縦軸はR/RBASE=0.76のときの油膜厚さt0に対する油膜厚さtの比の値t/t0を表している。同図から明らかなように、油膜厚さtはR/RBASE=0.76のとき最大となり、R/RBASEが0.9を越えると急激に減少する。
図5は、内輪大つば面と円すいころ大端面との間の最大ヘルツ応力pを計算した結果を示す。同図において、横軸はR/RBASEを表し、縦軸は、図4と同様に、R/RBASE=0.76のときの最大ヘルツ応力p0に対する最大ヘルツ応力pの比の値p/p0を表している。同図から明らかなように、最大ヘルツ応力pはR/RBASEの増大に伴って単調に減少する。
内輪大つば面と円すいころ大端面との間の滑り摩擦によるトルクロスと発熱を低減させるためには、油膜厚さtを厚く、最大ヘルツ応力pを小さくすることが望ましい。本発明者らは、図4および図5の計算結果を参考とし、後の表2に示す耐焼付き試験結果に基づいて、R/RBASEの適正範囲を0.75〜0.87に決定した。
また、従来、端面振れの許容値は、最も小さい等級1(円すいころの呼び直径Dwが3mm以上10mm以下)の場合でも4μmとされていた。円すいころの大端面の端面振れを3μm以下としたことによって、円すいころ大端面と内輪大つば面の接触圧力の変動が小さくなり、油膜形成を阻害する要因が低減する。
請求項2の発明は、請求項1の円すいころ軸受において、内輪の大つば面の表面粗さRaを0.05〜0.20μmの範囲としたことを特徴とするものである。このような構成を採用することにより、内輪の大つば面と円すいころの大端面との間の油膜厚さtとの関係で、これらの面間での潤滑状態を適正な状態に保つことができる。
ここで、表面粗さRaを0.05μm以上としたのは次の理由による。円すいころ軸受を軸に取り付ける際は、前記図1の円すいころ軸受を例にとって説明すると、図6に示すように、内輪10の端面にアキシアル荷重Faを負荷し、軸を50〜100rpm程度の低速で回転させながら、円すいころ30を内輪10の大つば面18側へ移動させ、円すいころ30の大端面32を所定の圧力で大つば面18に予圧するようにしている。この予圧は軸受使用中の円すいころ30の軸方向移動を防止し、円すいころ30を内輪10および外輪20の各軌道面12,22と安定して線接触させるために行われる。この予圧力の管理は、軸トルクを測定することにより行われ、軸トルクが所定の値となったときに予圧作業が完了する。
表面粗さRaが0.05μm未満の場合は、予圧作業の低速回転時に、内輪10の大つば面18と円すいころ30の大端面32との間の潤滑状態が、流体潤滑(完全潤滑)と境界潤滑の混合潤滑になるため、摩擦係数が大幅に変動し、測定される軸トルクのばらつきが大きくなり、予圧力の管理精度が悪くなる。Raが0.05μm以上の場合は、潤滑状態が境界潤滑となって摩擦係数が安定し、精度のよい予圧力の管理を行うことができる。100rpmを越える通常の軸受使用条件下の回転数では、大つば面18と大端面32との間に十分な油膜が形成されるため、これらの両面間の潤滑状態は流体潤滑(完全潤滑)となって摩擦係数が小さくなる。
表面粗さRaを0.20μm以下としたのは、Raが0.20μmを越えると、高速回転領域で軸受部が温度上昇し、潤滑油が粘度低下したときに、油膜厚さtが不十分となり、焼付きを生じやすくなるからである。
請求項3の発明は、請求項1の円すいころ軸受において、円すいころの大端面の面粗さを0.02μmRaとしたことを特徴とするものである。このような構成を採用することによって、油膜厚さに対して面粗さが小さくなり、油膜形成を阻害する要因が低減する。より具体的に述べると、油膜厚さに対して面粗さが大きいと金属接触することになるが、面粗さが小さければ金属接触することがなく油膜を破断しない。なお、円すいころ大端面の面粗さをよくすることで上述の低速回転の予圧管理において多少影響は生じ得るが、予圧力の管理精度に大きな影響を及ぼすことはない。
以上のように、この発明の円すいころ軸受は、内輪、外輪、円すいころの各部品の表面に、炭素含有量0.80重量%以上で、かつ、ロックウエル硬さHRC58以上の浸炭窒化層を形成するとともに、円すいころの大端面の曲率半径Rを、前記R/RBASE=0.75〜0.87の範囲としたので、部品表面の浸炭窒化層を適度な靭性を有する材質に安定して保ち、異物混入下での耐久寿命を著しく改善でき、かつ、内輪大つば面と円すいころ大端面との間の滑り摩擦によるトルクロスと発熱を低減させて焼付きの発生を防止することができる。また、円すいころの大端面の端面振れを3μm以下に抑えたことで、内輪の大つばと円すいころの大端面との間の最適油膜形成を促し、耐焼付き性および耐予圧抜け性を向上させたものである。予圧抜けとは、周知のとおり、摩耗等により予圧が次第に減少する現象をいう。
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)に示すように、円すいころ軸受は内輪10と外輪20と円すいころ30と保持器40とで構成される。内輪10は外周に円すい面状の軌道12を有し、軌道12の両側に小つば14と大つば16を備えている。符号18は内輪10の大つば面すなわち円すいころ30の大端面32と接する面を表している。外輪20は内周に円すい面状の軌道22を有する。円すいころ30は内外輪10,20の軌道12,22間に転動自在に介在させてある。保持器40は円周方向に所定間隔に配置した複数のポケットを有し、各ポケットに円すいころ30が収容される。
図2に示すように、円すいころ30と内外輪10,20の軌道12,22とが線接触しており、内外輪10,20の軌道12,22と円すいころ30の円すい(円すい角:β)の頂点(O)が軸受中心軸上の一点Oに集まるように設計されている。内輪10の軌道12と外輪20の軌道22では円すい角が違うため、各軌道12,22から円すいころ30に加わる荷重の合力が円すいころ30を内輪10の大つば16に向けて押す方向に作用する。このため、円すいころ30はその大端面32が内輪10の大つば面18に押し付けられた状態で案内され、両者は滑り接触をする。
内輪10、外輪20、円すいころ30の各部品は、いずれも浸炭軸受鋼SCr435で形成されている。これらの各部品の表面には、図1(b)に示すように、炭素含有量0.80重量%以上、ロックウエル硬さHRC58以上の浸炭窒化層10a、20a、30aが形成されている。この実施の形態では、前記各部品の素材としてSCr435を用いたが、このほかにSCM430、SCM435、SCr430、SCr420、SCM420、SAE5130、SAE8620等の軸受用鋼を用いることができる。
円すいころ30の大端面32の曲率半径Rは、円すいの頂点(O)から内輪10の大つば面18までの距離をRBASEとすると、0.75≦R/RBASE≦0.87の範囲内に設定してある。言い換えれば、円すいの頂点(O)から内輪10の大つば面18までの距離RBASEに対する円すいころ30の大端面32の曲率半径Rの比の値R/RBASEを0.75以上0.87以下としてある。また、大つば面18は0.12μmの表面粗さRaに研削加工されている。
図4は、上で既に触れたように、円すいころ30の大端面32の曲率半径Rが油膜厚さに及ぼす影響をKARNAの式から求めてグラフにしたものである。同図より明らかなように、従来の0.90≦R/RBASE≦0.97の範囲では油膜が比較的薄いことが分かる。また、油膜厚さ比が0.95以上となるのは0.65≦R/RBASE≦0.87の範囲であるが、この範囲の中でもR/RBASE<0.75では、大端面32の接触面積が比較的小さくなるため、結果として接触面圧が高くなり、耐焼付き性にとって却って不利になることが実験によって確認された。このため、曲率半径Rの最適値は結局、0.75≦R/RBASE≦0.87の範囲であることが分かった。
図7は、R/RBASEの値が小さ過ぎても大き過ぎても、それぞれ耐焼付き性にとって不利であることを示す実験結果であって、この実験は、軸受(型番M86649/10)を使用し、円すいころ30の曲率半径Rの値を4種類、つまり、R/RBASEで表したとき、0.72、0.78、0.90、0.97に異ならせた円すいころを、2個一組、合計8個の軸受に組み込み、回転数7000rpm、荷重650kgfの条件に置き、潤滑油の作用下で外輪外周面の温度上昇を測定したものである。実験の結果から、R/RBASE<0.75と、0.87<R/RBASEの範囲は、温度の上昇傾向がはっきりしてくる領域であり、耐焼付き性にとって不利であることが確認された。
図8は円すいころ軸受の焼付き試験における結果を示し、横軸はアキシアルすきま、縦軸は焼付き時間(分)を表している。この試験では円すいころ大端面の曲率半径Rの値を変えた軸受を使用している。すなわち、R/RBASEの値を比較例1は0.97、比較例2は0.90、実施例は0.78としたものである。比較例1、2はアキシアルすきまを100μm程度に増やしても5分以内に焼付きを生じたが、実施例の軸受はアキシアルすきま90μm程度で温度が安定して焼付きは見られなかった。
円すいころ30の大端面32は端面振れを3μm以下、より好ましくは1μm以下とする。端面振れはJIS B 1506に規定された方法によって測定する。具体的には、図9に示すように、円すいころ30を支持台5に置き、大端面32の周辺に近いところで当て金6に点接触させ、その端面でその接触点と円すいころ30の中心軸に対して対称の位置に測定子7を当て、円すいころ30を回転させて行う。円すいころ30の端面振れは、円すいころ30を1回転させたときの測定器の読みの最大値と最小値との差として求める。
さらに、円すいころ30の大端面32はホーニング仕上とし、表面粗さを0.020μmRa以下とする。ちなみに従来は0.063μmRa以下とされていた。なお、円すいころ30の大端面32の表面粗さは、たとえば加工限界として0.01μmを下限とする。
円すいころ30の大端面32の曲率半径Rが耐焼付き性に及ぼす影響を確認するため、焼付き試験を行なった。試験条件は次のとおりである。
試験軸受:30206
R/RBASE(%):80(実施例)/95(比較例)
端面振れ:1μm
面粗さ:0.02μmRa
回転速度:5000rpm(V=6.2m/s)
焼付き試験の結果を表1に示す。なお、表1中、○は焼付きなし、×は焼付き発生、−は未試験を表す。
Figure 2006112559
表1から明らかなとおり、R/RBASEが80%のもの(実施例)は、内輪大つば面の接触面圧が7.0kgf/mm2でも焼付きが発生しなかった。一方、R/RBASEが95%のもの(比較例)は内輪大つば面の接触面圧を5.5に下げても焼付きが発生した。このことから、R/RBASE0.75以上0.87以下の範囲内であれば、良好な耐焼付き性が得られることがわかる。また、最適油膜形成が実現できることから、円すいころ大端面と内輪大つば面の摩耗が防止され耐予圧抜け性が向上することは容易に推定できる。
以下に実施例および比較例を挙げる。
(実施例)
図1に示した、浸炭軸受鋼SCr435製の内輪10、外輪20、円すいころ30の各部品の表面に炭素含有量0.80重量%以上、ロックウエル硬さHRC58以上の浸炭窒化層が形成され、円すいころ30の大端面32の曲率半径Rが0.75≦R/RBASE≦0.87の範囲内で、大端面32の端面振れが1μm、内輪10の大つば面18の表面粗さRaが0.12μmの円すいころ軸受(表2中の実施例1〜4)を用意した。軸受の寸法はいずれも内径40mm、外径68mmである。
(比較例)
浸炭軸受鋼SCr435製の外輪、内輪および円すいころの各部品の表面に、実施例と同様に炭素含有量0.80重量%以上、ロックウエル硬さHRC58以上の浸炭窒化層が形成され、R/RBASEが本発明の範囲(0.75≦R/RBASE≦0.87)を外れる、つまり、R/RBASEが0.75未満または0.87を超える円すいころ軸受(表2中の比較例1〜3)と、熱処理が通常の浸炭焼入れのみで、R/RBASEも本発明の範囲を外れる円すいころ軸受(表2中の比較例4)を用意した。各軸受の寸法は実施例と同じである。
上記実施例および比較例の円すいころ軸受に対して、異物が混入した油浴中の回転軸に取り付けた異物混入寿命試験、および回転試験機を用いた耐焼付き試験を実施した。
試験条件は以下のとおりである。
(異物混入寿命試験)
負荷荷重:11.76kN
回転数:1500rpm
潤滑油:タービンVG56(油浴)
異物;ガスアトマイズ金属粉(粒径100〜180μm、硬度HV700〜800、混入量1g/リットル)
(耐焼付き試験)
負荷荷重:19.61kN
回転数:1000〜3500rpm
潤滑油:タービンVG56(給油量40ミリリットル/分、給油温度40℃±3℃)
試験結果を表2に示す。異物混入寿命試験における耐久寿命は、L10寿命(90%の軸受が破損しないで使える時間)で評価した。寿命比は比較例4の耐久寿命を基準値とした。また、耐焼付き試験における焼付きは、内輪の大つば面と円すいころの大端面との間で生じたものである。
Figure 2006112559
実施例の円すいころ軸受は、いずれも異物混入寿命試験における寿命比が4倍以上の優れた耐久寿命を示す、かつ、耐焼付き試験における焼付き発生の限界回転数が2700rpm以上になっていることがわかる。一方、浸炭窒化層は形成されているが、R/RBASEの値が本発明の範囲を外れる比較例1〜3は、寿命比は優れているが、焼付き発生の限界回転数が2500rpm以下で焼付きが生じる可能性が高い。大つば面の表面粗さRaが粗い比較例3は、同じ曲率半径Rの比較例2よりも低い焼付き発生限界回転数を示している。熱処理が通常の浸炭焼入れのみで、R/RBASEも従来の値とされた比較例4は、いずれの試験結果も劣っている。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されることなく種々の変形が可能である。たとえば、本発明は2列以上の複列円すいころ軸受にも応用可能である。
本発明の実施の形態を示し、(a)は円すいころ軸受の縦断面図、(b)は要部拡大断面図である。 円すいころ軸受の設計仕様を説明する断面図である。 図1の円すいころ軸受における内輪大つば面部分の拡大図である。 円すいころ大端面の曲率半径と油膜厚さの関係を示すグラフである。 円すいころ大端面の曲率半径と最大ヘルツ応力の関係を示すグラフである。 円すいころ軸受の予圧作業を説明する断面図である。 円すいころ大端面の曲率半径と軸受温度上昇との関係を示すグラフである。 アキシアルすきまと焼付き時間の関係を示すグラフである。 端面振れ測定装置を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。 デファレンシャルの縦断面図である。
符号の説明
10 内輪
10a 浸炭窒化層
12 軌道
14 小つば
16 大つば
18 大つば面
20 外輪
20a 浸炭窒化層
22 軌道
30 円すいころ
30a 浸炭窒化層
32 大端面
40 保持器


Claims (3)

  1. 外周に円すい面状の軌道を有するとともに軌道の両側に大つばと小つばを形成した内輪と、内周に円すい面状の軌道を有する外輪と、内輪の軌道と外輪の軌道との間に介在させた複数の円すいころと、円すいころを円周方向で所定間隔に保つための保持器とを具備し、
    前記内輪、外輪、円すいころの各表面に、炭素含有量0.80重量%以上で、かつ、ロックウエル硬さHRC58以上の浸炭窒化層を形成し、
    円すいころの円すいの頂点から内輪の大つば面までの距離RBASEに対する円すいころの大端面の曲率半径Rの比の値R/RBASEを0.75以上0.87以下とし、
    円すいころの大端面の端面振れを3μm以下としたことを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 内輪の大つば面の表面粗さRaを0.05μm〜0.20μmの範囲としたことを特徴とする請求項1の円すいころ軸受。
  3. 円すいころの大端面の表面粗さRaを0.02μmとしたことを特徴とする請求項1の円すいころ軸受。
JP2004301868A 2004-10-15 2004-10-15 円すいころ軸受 Pending JP2006112559A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004301868A JP2006112559A (ja) 2004-10-15 2004-10-15 円すいころ軸受
EP05256397A EP1647727A3 (en) 2004-10-15 2005-10-14 Tapered roller bearing
US11/249,740 US7841773B2 (en) 2004-10-15 2005-10-14 Tapered roller bearing

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004301868A JP2006112559A (ja) 2004-10-15 2004-10-15 円すいころ軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006112559A true JP2006112559A (ja) 2006-04-27

Family

ID=36381235

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004301868A Pending JP2006112559A (ja) 2004-10-15 2004-10-15 円すいころ軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006112559A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009157155A1 (ja) * 2008-06-24 2009-12-30 Ntn株式会社 円筒ころ軸受
JP2011163454A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Ntn Corp 車輪用軸受装置
WO2018181174A1 (ja) * 2017-03-28 2018-10-04 Ntn株式会社 円錐ころ軸受
JP2018165551A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 Ntn株式会社 円錐ころ軸受
WO2019065753A1 (ja) * 2017-09-28 2019-04-04 Ntn株式会社 円錐ころ軸受
JP2019066041A (ja) * 2017-09-28 2019-04-25 Ntn株式会社 円錐ころ軸受

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000161349A (ja) * 1998-11-30 2000-06-13 Ntn Corp 車両用歯車軸支持装置
JP2002122146A (ja) * 2000-10-17 2002-04-26 Ntn Corp 円錐ころ軸受
JP2002221223A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Koyo Seiko Co Ltd 円錐ころ軸受
JP2004522923A (ja) * 2001-05-11 2004-07-29 ザ ティムケン カンパニー 低磨耗性かつ出力低損失性の軸受

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000161349A (ja) * 1998-11-30 2000-06-13 Ntn Corp 車両用歯車軸支持装置
JP2002122146A (ja) * 2000-10-17 2002-04-26 Ntn Corp 円錐ころ軸受
JP2002221223A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Koyo Seiko Co Ltd 円錐ころ軸受
JP2004522923A (ja) * 2001-05-11 2004-07-29 ザ ティムケン カンパニー 低磨耗性かつ出力低損失性の軸受

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009157155A1 (ja) * 2008-06-24 2009-12-30 Ntn株式会社 円筒ころ軸受
JP2010007678A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Ntn Corp 円筒ころ軸受
US8414194B2 (en) 2008-06-24 2013-04-09 Ntn Corporation Cylindrical roller bearing
JP2011163454A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Ntn Corp 車輪用軸受装置
WO2018181174A1 (ja) * 2017-03-28 2018-10-04 Ntn株式会社 円錐ころ軸受
JP2018165551A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 Ntn株式会社 円錐ころ軸受
US10830279B2 (en) 2017-03-28 2020-11-10 Ntn Corporation Tapered roller bearing
WO2019065753A1 (ja) * 2017-09-28 2019-04-04 Ntn株式会社 円錐ころ軸受
JP2019066041A (ja) * 2017-09-28 2019-04-25 Ntn株式会社 円錐ころ軸受
US11221040B2 (en) 2017-09-28 2022-01-11 Ntn Corporation Tapered roller bearing
US11668343B2 (en) 2017-09-28 2023-06-06 Ntn Corporation Tapered roller bearing

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6328477B1 (en) Tapered roller bearings and gear shaft support devices
US6423158B1 (en) Rolling bearings and gear shaft support device
JP5375969B2 (ja) ピニオン軸用回転支持装置
JP2007107588A (ja) 転がり軸受
WO2013084864A1 (ja) 機械部品、転がり軸受、円錐ころ軸受および機械部品の製造方法
JP2011220357A (ja) 遊星歯車装置
US20050047694A1 (en) Rolling bearing
JP2003193200A (ja) 転がり軸受
JP2008151236A (ja) 転がり軸受
JP2006112559A (ja) 円すいころ軸受
JP2005214390A (ja) ニードル軸受、遊星歯車機構及びピニオンシャフト
JP2000161349A (ja) 車両用歯車軸支持装置
JP6336238B2 (ja) 円錐ころ軸受
CN112824693A (zh) 推力滚子轴承
WO2022230979A1 (ja) 転がり軸受
JP2003314542A (ja) 円すいころ軸受
JP2007051714A (ja) 円錐ころ軸受、及びこれを用いた車両用ピニオン軸支持装置
JP2006071022A (ja) 転がり軸受
JP2000161348A (ja) 円錐ころ軸受および車両用歯車軸支持装置
JP7449059B2 (ja) 円すいころ軸受
JP2000161363A (ja) 円錐ころ軸受および車両用歯車軸支持装置
EP4001680B1 (en) Tapered roller bearing
JP2008150687A (ja) 車輪支持用転がり軸受装置
JP2006112560A (ja) 円すいころ軸受
JP7507724B2 (ja) 転がり軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090528

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091104

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20091109