JP2006110988A - プラスチックフィルム及び画像表示装置 - Google Patents

プラスチックフィルム及び画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006110988A
JP2006110988A JP2005208590A JP2005208590A JP2006110988A JP 2006110988 A JP2006110988 A JP 2006110988A JP 2005208590 A JP2005208590 A JP 2005208590A JP 2005208590 A JP2005208590 A JP 2005208590A JP 2006110988 A JP2006110988 A JP 2006110988A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
refractive index
plastic film
film
hard coat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005208590A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Fukuda
謙一 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2005208590A priority Critical patent/JP2006110988A/ja
Publication of JP2006110988A publication Critical patent/JP2006110988A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 透明プラスチックフィルム基材/プライマー層/機能性層(ハードコート層)の構成において、プライマー層の屈折率が実質的にプラスチックフィルム基材の屈折率とは異なっても、三波長蛍光灯下で干渉斑の発生がない機能性フィルム(ハードコートフィルム)を提供すること。
【解決手段】 透明プラスチックフィルム基材(A)の少なくとも片面に少なくとも膜厚が1μm以下のプライマー層(B)及び膜厚が1μm以上の機能性層(C)をこの順に積層してなり、透明プラスチックフィルム基材(A)と機能性層(例.ハードコート層)(C)が波長546nmにおいて実質的に屈折率差がなく、かつ透明プラスチックフィルム基材(A)とプライマー層(B)が波長546nmにおいて実質的に屈折率が異なり、
プライマー層(B)の膜厚dが下記式を満たすプラスチックフィルムとする。
=(N×546±50)/(2n) (nm)
ただし、nはプライマー層(B)の屈折率、Nは自然数。
【選択図】 図1

Description

本発明は、干渉斑(むら)を防止し、視認性を向上させたプラスチックフィルムに関する。特に、三波長蛍光灯下でも干渉斑がほとんど見えないハードコートプラスチックフィルム、粘着剤層付きプラスチックフィルム、反射防止層等の機能性層を積層した機能性プラスチックフィルムに関する。
本発明は、また、本発明のプラスチックフィルムを備えた画像表示装置にも関する。
近年、透明プラスチックフィルム基材はプラスチック製品、LCDなど、表面がプラスチック材料で形成されたディスプレイ、携帯電話や携帯ゲームの表示板、タッチパネル等に貼合し耐擦傷性の付与、ガラス製品やCRT、PDPなどのガラス製ディスプレイ表面の飛散防止、反射防止、防汚性、帯電防止性等の機能付与のためのハードコートフィルムや反射防止フィルム等の基材として需要が伸びている。
なかでも、ポリエステル樹脂系フィルム、特にポリエチレンテレフタレート(PET)の二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐燃性または耐薬品性等を有するため上記の機能性フィルムの基材フィルムとして、需要の伸びは著しい。
これらの透明プラスチックフィルム基材を用いて機能性フィルムを形成する場合、多くは基材上に直接または薄膜の易接着層(プライマー層)等を介して有機化合物樹脂からなる数μmから50μm程度の機能性層、例えば、ハードコート層などの硬化層が形成される。PETフィルムの屈折率(面方向)は約1.65に対し、例えばアクリル樹脂等の有機化合物で形成されるハードコート層の屈折率は通常1.53を中心に1.50〜1.56であり、0.10以上の屈折率差がある。このため、基材がPETの機能性フィルムは、(1)界面での反射率が高い、(2)界面での反射と表面での反射との光の干渉で干渉斑が発生する、(3)PET表裏面の反射光の干渉で干渉斑が発生する、と言う問題を有し、この(1)(2)(3)の3つの問題から、貼合した画像表示装置などの物品の視認性を悪化させたり、高級感を損なわせたりする。
特に、発光スペクトルのうち、輝線スペクトル成分の比率が高い三波長蛍光灯下では、干渉斑が強調される。近年、三波長蛍光灯の普及が一般家庭で急激に進んでおり、それだけ干渉斑の問題が重要となってきている。そのため、PETフィルムを基材とした機能性フィルムの使用用途は著しく制限される。さもなければ、干渉斑の問題を抱えたまま機能フィルムが世の中に送り出されている。実際、基材としてPETフィルムが使われている大型平面テレビの分野では現在、搭載されているほとんどの反射防止フィルムで干渉斑が観察される。
干渉斑は基材上に形成された数μmから50μm程度のハードコート層などの硬化層やプラスチックフィルム基材の微妙な膜厚むらにより発生する。この膜厚むらの問題の解決法は、例えば合成樹脂レンズのハードコート層は通常浸漬法や蒸着法などの塗布むらが少ない膜形成法が用いられる。これに対し、幅30cm以上×長さ10m以上のロールフィルムに連続的にWET塗布で生産されるプラスチックフィルム、機能性フィルムでは、バッチ方式で浸漬法や蒸着法によって形成される合成樹脂レンズに匹敵する膜厚精度が得られていないのが現状である。従って、従来の塗布方式でランダムに発生する微妙な塗布むらをなくすことはできない。
このような干渉斑を防止する目的でハードコート層の屈折率をPETフィルムの屈折率に近づけることに着目し、高屈折率の金属酸化物超微粒子を含有させた電離放射線硬化型樹脂をPETフィルム等の高屈折率フィルム上に塗布し、硬化させてハードコート層を形成したり、または高屈折率の金属酸化物微粒子を含有させたシロキサン系熱硬化性樹脂を塗布し、硬化させてハードコート層を直接PETフィルム上に形成することが行なわれている。(例えば特許文献1)しかしながらこれらの方法は確かに干渉斑の低減には効果があるものの、ハードコート層の屈折率をプラスチックフィルム基材の屈折率に合わせなけばならないためにハードコート層の組成に著しい制約を与える。また、ハードコート層を直接PETフィルムに積層しなければならず、充分な密着性が得られない。
PETフィルムは結晶配向性のため、表面凝集性が高く各種素材に対する密着性に乏しい。密着性を持たせるための様々な工夫を凝らせたプライマー層(易接着層)を介してハードコート層を積層するのが一般的である。
一般に用いられるPETフィルム/プライマー層/ハードコート層の構成においても3層全ての屈折率を合わせて干渉斑を防止することが考えられるが、プライマー層の屈折率をPETフィルムの屈折率に合わさなければならず、プライマー層の組成にも著しい制約を与える。また、プライマー層の屈折率を上げるために高屈折率金属酸化物超微粒子を加える必要がある。ハードコート層やプライマー層に金属酸化物微粒子を加えると層の凝集力が低下する。特に、易接着層のバインダーの凝集力は易接着性をもたせるためにハードコート層の凝集力に対し低く設定してあり、金属酸化物超微粒子を添加することでハードコート層以上に凝集力が低下し、膜剥がれ等の原因となる。
また、散乱を導入して干渉斑を対策する方法も提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。しかし、これらの方法では干渉斑対策に効果はあるものの、新たにヘイズの問題が生じ、使用用途は厳しく限定される。
さらに、ハードコート層とPETフィルムの間に3〜50μmでハードコート層とPETフィルムとの中間の屈折率を持つ緩衝層によって干渉縞が防止できるとの方法も提案されているが(例えば、特許文献4参照)、追試した結果、上記条件での干渉斑に対する効果は不充分であった。
この様な問題解決のためにハードコート層の組成に制約を与えずにプライマー層の屈折率と膜厚を規定することで干渉斑の問題を解決する方法を本発明者らは特許文献5に開示した。
この方法はハードコート層の組成に全く制約を与えないために、ハードコート層組成の自由度の点で応用範囲が広い。しかしながら、この方法でもプライマー層の屈折率はハードコート層とプラスチックフィルム基材の屈折率から一義的に決定しなければならず、プライマー層の組成を制限する。
従って、PETフィルムの様な高屈折率プラスチックフィルム基材を用いたPETフィルム/プライマー層/ハードコート層の構成のハードコートフィルムにおいて、特許文献5で開示した技術を補足するプライマー層組成の自由度の高い、即ちプライマー層の屈折率が自由に変えられる三波長蛍光灯下で干渉斑の発生のないハードコートフィルムの開発が望まれていた。
屈折率の観点でプライマー層の自由度が求められるのは高屈折率プラスチックフィルム基材を用いたハードコートフィルムの場合には限らない。基材がTACフィルムの様な比較的屈折率の低いプラスチックフィルム基材においても、同様のニーズがある。例えば、TACフィルム/プライマー層/ハードコート層の構成において、プライマー層に導電性酸化金属微粒子を含有させて帯電防止層とすることが広く行なわれている。この場合、導電性金属酸化物微粒子は高屈折率であるためにプライマー層の屈折率はTACフィルムに対して高屈折率となり、実質的な屈折率差を生じる。従って、プライマー層である帯電防止層とTACフィルムとの界面又は帯電防止層とハードコート層との界面で反射が起こり、三波長蛍光灯下ではハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉斑が発生する。
以上を要約すると、透明プラスチックフィルム基材/プライマー層/機能性層(ハードコート層)の構成において、屈折率の観点でプライマー層の組成を自由に変えられる、即ち、プライマー層の屈折率が実質的にプラスチックフィルム基材の屈折率とは異なっても三波長蛍光灯下で干渉斑の発生がない機能性フィルム(ハードコートフィルム)の開発が望まれていた。
特許第3383039号公報 特開平8−197670号公報 特開平10−282312号公報 特開2000−347003号公報 国際公開第04/000550号パンフレット
上記の状況を鑑み、本発明の目的は、基材上にハードコート層や粘着剤層などを設けたプラスチックフィルムにおいて、三波長蛍光灯下の干渉斑を抑制し、かつプライマー層組成の自由度が高いプライマー層付きプラスチックフィルムを提供することにある。特に、干渉斑が低減された、ハードコートフィルム、粘着剤層付きプラスチックフィルム、及び機能性フィルムの基材として適したプライマー層付きプラスチックフィルムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記プラスチックフィルムを基材とし、各種機能性を有した機能性フィルム、特に反射率の低い反射防止フィルムを提供することにあり、さらに該プラスチックフィルムを備えた画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、透明プラスチックフィルム基材上の機能性層の屈折率とプライマー層の膜厚を適正化することにより、プライマー層の屈折率を自由に変えることができ、従ってプライマー層の組成を自由に変えることができ、なおかつ三波長蛍光灯下で干渉斑を生じないプラスチックフィルムを開発し、本発明の完成に至った。
具体的には、下記の手段により上記課題を達成できることを見出した。
1. 透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に少なくとも膜厚が1μm以下のプライマー層及び膜厚が1μm以上の機能性層をこの順に積層してなるプラスチックフィルムであって、該透明プラスチックフィルム基材と該機能性層が波長546nmにおいて実質的に屈折率差がなく、かつ該透明プラスチックフィルム基材と該プライマー層が波長546nmにおいて実質的に屈折率が異なり、該プライマー層の膜厚dが下記数式(1)を満たすことを特徴とするプラスチックフィルム。
数式(1)
=(N×546±50)/(2n) (nm)
ただし、nは該プライマー層の屈折率、Nは自然数である。
2. 前記プライマー層の膜厚dが下記数式(2)を満たすことを特徴とする上記1に記載のプラスチックフィルム。
数式(2)
=(N×546±25)/(2n) (nm)
3. 前記プライマー層の膜厚dが下記数式(5)を満たすことを特徴とする上記2に記載のプラスチックフィルム。
数式(5)
=(N×546±10)/(2n) (nm)
4. 前記Nは3以下の自然数であることを特徴とする上記1〜3の何れかに記載のプラスチックフィルム。
5. 前記Nは1または2であることを特徴とする上記1〜3の何れかに記載のプラスチックフィルム。
6. 前記Nは1であることを特徴とする上記1〜3の何れかに記載のプラスチックフィルム。
7. 前記基材の屈折率nが1.56以上1.90未満であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
8. 前記基材がポリエステルフィルムであることを特徴とする7.に記載のプラスチックフィルム。
9. 前記基材がポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであることを特徴とする上記8に記載のプラスチックフィルム。
10. 前記基材がポリカーボネートフィルムであることを特徴とする上記9に記載のプラスチックフィルム。
11. 前記基材の屈折率nが1.50以下であることを特徴とする上記1〜10の何れかに記載のプラスチックフィルム。
12. 前記基材がセルロースエステルフィルムであることを特徴とする上記11に記載のプラスチックフィルム。
13. 前記基材がトリアセチルセルロース(TAC)フィルムであることを特徴とする上記12に記載のプラスチックフィルム。
14. 前記プライマー層が金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
15. 前記プライマー層が導電性金属酸化物微粒子を含有し帯電防止性を備えることを特徴とする上記14に記載のプラスチックフィルム。
16. 前記導電性金属酸化物微粒子がATO(アンチモンドープ酸化錫)、PTO(リンドープ酸化錫)またはITO(錫ドープ酸化インジウム)の粒子であることを特徴する上記15に記載のプラスチックフィルム。
17. 前記プライマー層が接着性下塗り層であることを特徴とする上記1〜16のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
18. 前記機能性層がハードコート層であることを特徴とする上記1〜17の何れかに記載のハードコートフィルム。
19. 前記機能性層が金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする上記1〜18の何れかに記載のプラスチックフィルム。
20. 前記機能性層が導電性金属酸化物微粒子を含む帯電防止性層であることを特徴とする上記19に記載のプラスチックフィルム。
21. 前記導電性金属酸化物微粒子がATO(アンチモンドープ酸化錫)、PTO(リンドープ酸化錫)またはITO(錫ドープ酸化インジウム)の粒子であることを特徴する上記20に記載のプラスチックフィルム。
22. 前記機能性層が二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含むことを特徴とする上記1〜21の何れかに記載のプラスチックフィルム。
23. 前記機能性層が二酸化チタンを主成分とし、かつコバルト、アルミニウムおよびジルコニウムからなる群より選択される元素を少なくとも1種含有する無機微粒子を含むことを特徴とする上記22に記載のプラスチックフィルム。
24. 前記コバルト、アルミニウムおよびジルコニムからなる群より選択される元素の含有量の合計が、二酸化チタンの含有量に対して0.5〜3質量%であることを特徴とする、上記23に記載のプラスチックフィルム。
25. 前記機能性層が中空シリカ粒子を含有することを特徴とする上記1〜24の何れかに記載のプラスチックフィルム。
26. 前記機能性層が有機溶剤を含有する硬化性組成物から形成されることを特徴とする上記1〜21の何れかに記載のプラスチックフィルム。
27. 前記ハードコート層が活性エネルギー線照射により硬化する硬化性組成物からなることを特徴とする上記1〜26の何れかに記載のプラスチックフィルム。
28. 前記機能性層が粘着剤層である上記1〜27の何れかに記載のプラスチックフィルム。
29. 前記透明プラスチックフィルム基材の前記プライマー層を積層していない面に別のプライマー層(以下、「プライマー層Q」)と粘着剤層がこの順に積層してなるプラスチックフィルムであって、該透明プラスチックフィルム基材と該粘着剤層が波長546nmにおいて実質的に屈折率が異なり、該プライマー層Qの屈折率n及び膜厚dが下記数式(3)及び数式(4)を満たすことを特徴とする上記1〜27の何れかに記載のプラスチックフィルム。
数式(3)
=(n×n1/2±|n×n|/4
ただし、nは基材の屈折率、nは該粘着剤層の屈折率である。
数式(4)
=(M×546±50)/(4n) (nm)
ただし、Mは自然数である。
30. 前記プライマー層Qの屈折率nが下記数式(6)を満たすことを特徴とする上記29に記載のプラスチックフィルム。
数式(6)
=(n×n1/2±|n−n|/8
31. 前記プライマー層Qの膜厚dが下記数式(7)を満たすこと特徴とする上記29に記載のプラスチックフィルム。
数式(7)
=(M×546±25)/(4n) (nm)
32. 前記プライマー層Qの膜厚dが下記数式(8)を満たすこと特徴とする上記31に記載のプラスチックフィルム。
数式(8)
=(M×546±10)/(4n) (nm)
33. 前記Mは3以下の自然数であることを特徴とする上記29〜32の何れかに記載のプラスチックフィルム。
34. 前記Mは1または2であることを特徴とする上記29〜32の何れかに記載のプラスチックフィルム。
35. 前記Mは1であることを特徴とする上記29〜32の何れかに記載のプラスチックフィルム。
36. 前記プライマー層Qが導電性金属酸化物微粒子を含有し帯電防止性を備えることを特徴とする請求項29〜32の何れかに記載のプラスチックフィルム。
37. 上記1〜36のいずれかに記載のプラスチックフィルムが、ハードコート層、粘着剤層以外の機能性層をさらに有することを特徴とする機能性プラスチックフィルム。
38. 上記37に記載の機能性層が反射防止層であることを特徴とする反射防止フィルム。
39. 反射率の極小波長が520nm〜570nmであることを特徴とする上記38に記載の反射防止フィルム。
40. 反射率の極小波長が536nm〜556nmであることを特徴とする上記38に記載の反射防止フィルム。
41. 反射防止層の表面反射率が3%以下であることを特徴とする上記38〜40の何れかに記載の反射防止フィルム。
42. 反射防止層の表面反射率が1.5%以下であることを特徴とする上記38〜40の何れかに記載の反射防止フィルム。
43. 上記1〜42のいずれかに記載のプラスチックフィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、基材フィルム上に特定の膜厚を有するプライマー層と基材フィルムと同等の屈折率を有する機能性層をこの順で積層することにより、三波長蛍光灯下でも干渉斑が見えず視認性が良好なプラスチックフィルムを得ることができる。本発明のプラスチックフィルムを用いることにより、三波長蛍光灯下でも干渉斑のない透明機能性フィルムを提供することができる。本発明のプラスチックフィルムは、ガラス飛散防止フィルム、粘着テープ、透明ステッカーの基材、また、上記の透明機能性フィルムはCRT、LCD、PDP、FED等の画像表示装置の表面やタッチパネル、ガラス板やプラスチック板等の保護フィルムとして好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のプラスチックフィルムは、透明プラスチックフィルム/プライマー層/機能性層の構成で、屈折率の観点でプライマー層の組成を自由に変えられなおかつ、蛍光灯下、特に三波長蛍光灯下で観察されやすい干渉斑を抑えたプラスチックフィルムである。具体的にはハードコート層を有するハードコートフィルム、粘着剤層を有する粘着剤層付きプラスチックフィルムであり、該フィルムに機能性層を設けた機能性フィルム、さらに反射防止層を設けた反射防止フィルムも本発明の干渉斑を抑えたプラスチックフィルムに相当する。
本発明で取り上げている干渉斑は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)に代表される高屈折率基材フィルム上に、ハードコート層や粘着剤層など基材との屈折率差が大きい層を設けた場合に、該層と基材との界面での反射率が高くなり、該界面からの反射光とフィルム表面での反射光との干渉により発生するものである。干渉はハードコート層など基材に設けられる層や基材の微妙な膜厚変化の影響を受け、縞状または斑(まだら)状に観察される斑(むら)を発生させる。公開特許や文献によってはこの現象を干渉縞、ニュートンリング、或いは干渉ジミと表現しているが、同じメカニズムで発生するむらの見え方が、必ずしも縞状、リング状またはシミ状とは限らず、特に膜厚が薄い(数μm以下)層があると、斑(まだら)状に観察されることもある。本発明ではこの状況を踏まえて干渉斑(かんしょうむら)と表現することとした。
本発明で取り上げている干渉斑は、基材としてTAC(トリアセチルセルロース)に代表される低屈折率基材フィルムを用いた場合にも、TACフィルム/プライマー層/ハードコートフィルムの構成において、プライマー層が高屈折率である場合、強い干渉斑が観察される。例えば、プライマー層が導電性金属酸化物微粒子を含有した導電層である場合、導電性金属酸化物微粒子は高屈折率であり、プライマー層自身の屈折率も高くなる。
このような干渉斑の発生する場合は、特開平7−15902号公報に記載されているように、通常、基材上に設けられる層と基材との屈折率差(絶対値)が0.03以上あると発生するとされている。
従って、以下で説明する本発明は、ハードコート層や粘着剤層の屈折率と基材の屈折率に実質的な差がある場合、その差が0.03以上である時に干渉斑防止の効果が顕著に現れる。この屈折率差が0.06以上である時により効果は大きく、0.10以上であると更に効果は大きい。
光の干渉可能な距離、即ちコヒーレント長(可干渉距離)は、光の波長と帯域幅(発光スペクトル幅)によって近似的に決まり、次式で表されることが良く知られている(例えば、J.D.Rancourt,“OPTICAL THIN FILMS USER HANDBOOK”Optical Coating Laboratory,Inc. 11(1996))。
コヒーレント長 L=λ2/Δλ (Δλ:帯域幅)
この式から帯域幅Δλの狭いスペクトルを含む光源からの光は、コヒーレント長が長くなるので、干渉斑が観察され易いと言え、放電による水銀原子の発光による帯域幅の狭い輝線スペクトル(546.074nmなど)を含む蛍光灯下で干渉斑が観察され、特に帯域幅の狭い発光スペクトルの成分比率が高い三波長蛍光灯下では干渉斑が強くなることが理解できる。
この干渉斑の本質的解決法は、三波長蛍光灯輝線スペクトル成分のハードコート層/基材間での反射光を少なくすること、好ましくは全くなくしてしまうことにより、ハードコート層表面の反射光との干渉を起こさなくすることである。ここで、ハードコート層/基材間とはハードコート層/プライマー層界面の反射光とプライマー層/基材界面の反射光のベクトル和を意味する。
このことは、ハードコート層以外でも干渉斑の原因となる層、例えば粘着剤層に対しても同様であり、干渉斑の本質的解決法は三波長蛍光灯輝線スペクトル成分の基材/粘着剤層間での反射光を少なくすること、好ましくは全くなくしてしまうことで、ハードコート層の表面の反射光と干渉を起こさなくすることである。これによりハードコート層とプラスチックフィルム基材のトータルの膜厚ムラに起因する干渉斑を低減または消すことができる。
本発明のプラスチックフィルムでは、透明プラスチックフィルム基材上に膜厚1μm以下のプライマー層と膜厚1μm以上の機能性層を設け、機能性層の屈折率とプライマー層の膜厚を適正化することにより、この基材と機能性層間で発生する反射光を低減させ、干渉斑が生じるのを防ぐものである。
透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面にプライマー層P及びハードコート層をこの順に積層してなるハードコートフィルムを例に説明する。透明プラスチックフィルム基材とプライマー層の屈折率が実質的に異なる系において、透明プラスチックフィルム基材とハードコート層の波長546nmの実質的な屈折率差をなくし、プライマー層の膜厚dを下記数式(9)で与えられる膜厚に近づけることによって干渉斑を低減またはなくすことである。
数式(9)
=(N×546)/2n (nm)
ここで、Nは自然数。nはプライマー層の屈折率である。
ハードコート層以外の機能性層を設けたプラスチックフィルム、例えば、透明プラスチック基材の少なくとも片面にプライマー層及び粘着剤層をこの順に積層してなる粘着剤層付きプラスチックフィルムなどについても、上記と同様な条件(基材との屈折率差と界面での反射率についての条件)を満足させればよい。
ここで、数式(9)に関して説明する。三波長蛍光灯の発光スペクトルには440nm、545nm、610nm付近に輝線スペクトルを含みこの輝線は干渉斑の原因となりうる。赤、緑、青の三原色フィルターを用いて三波長蛍光灯下の干渉斑を観察して見たところ、緑のフィルターで観た時に強い干渉斑が観られた。その理由は緑の領域は545nm付近には水銀原子発光に起因する546.074nmの輝線スペクトルを含み、帯域幅が非常に狭く、コヒーレント長の点で、干渉が起き易いためと考えられる。また、人間の視感度は緑が高いことを考慮すると、実質的には546nmの寄与が非常に大きいと考えられる。
実際、その仮説を基に波長546nmの反射光をプライマー層両面で反射光の干渉でゼロ化する数式(9)のプライマー層をつけたところ、干渉斑が非常に効果的に低減した。このため薄膜干渉によって546nmの反射光をゼロ化する数式(9)に従ったプライマー層の膜厚設計が三波長蛍光灯下の干渉斑防止に有効であることを見出した。
以下、本発明のプラスチックフィルムについて詳細に説明する。
本発明に用いられる基材は、透明プラスチックフィルム基材であり、フィルム状やシート、板状のものが好ましい。本発明で言う「フィルム」とは、基材としてフィルム状のみならず、シート状、板状ものを使用した場合も含むものである。
通常の有機化合物からなるハードコート層や粘着剤層の屈折率は通常1.53近辺なので、まず、本発明では屈折率の高い(1.56以上の)基材を用いる時に基材とハードコート層の屈折率差に起因する干渉斑処理のことが考えられる。この場合、基材の屈折率は、1.56以上1.90未満であることが好ましく、1.60以上1.70未満であることが更に好ましい。屈折率が高いポリマーから形成するプラスチックフィルムであることが好ましく、屈折率が高いポリマーの例には、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)ポリスルホン、ポリアリレートおよびポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)が挙げられる。なかでも、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、屈折率の低い(1.50以下の)プラスチックフィルム基材を用いる場合でも、プライマー層に導電性金属酸化物微粒子を含有させてプライマー層を帯電防止層とする場合には、プライマー層の屈折率は高くなり、本発明が好ましく適応できる。そのような基材としては、屈折率が低いポリマーから形成するプラスチックフィルムが好ましい。屈折率が低いポリマーとしては、セルロースエステル(セルロースアセテート(例、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート),セルローストリブチレート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PP(ポリプロピレン)、またFEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体)等のフッ素樹脂フィルムが挙げられる。なかでもトリアセチルセルロースが好ましい。
透明基材の「透明」とは、可視光領域の光透過率が80%以上であることを意味し、86%以上であることが好ましい。粘着剤層付きプラスチックフィルムをステッカー等として使用する場合には、プライマー層と粘着剤層の間に印刷層があって部分的に光透過率が80%以下となっても構わない。
プラスチックフィルムの視認性の点から、プラスチックフィルムのヘイズは3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが特に好ましい。透明プラスチック基材そのもののヘイズについては、50%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、10%以下が特に好ましい。ただし、特に直線透過光を重要視する用途では低ヘイズであることが求められるため、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが特に好ましい。
上記ヘイズの下限については0%が好ましいが、測定等の観点から0.01%とするのが妥当である。
基材の厚みは、基材がフィルム状の場合、20〜300μmが好ましく、80〜200μmがより好ましい。基材フィルムの厚みが薄すぎると膜強度が弱く、厚いと剛性が大きくなり過ぎる。シート状の場合に基材の厚みは、透明性を損なわない範囲であればよく、300μm以上数mmのものが使用できる。
基材の厚みが1mm以下、特に300μm以下の場合、可視光域に輝線成分を含む光源、例えば三波長蛍光灯下では基材表面と裏面の反射光の干渉で干渉斑が見えることがある。本発明では、プライマー層を両面に設けることによりこの基材表裏面の干渉斑を低減することができる。一般に合成樹脂レンズでは厚みが大きく、表裏面の反射光による干渉斑は発生しない。この点は合成樹脂レンズとフィルムの根本的違いである。
本発明は、前記したように、ハードコート層や粘着剤層と基材との界面に反射防止プライマー層(プライマー層P、プライマー層Q)を設けることにより該界面での反射率を大幅に減少させ、干渉斑をほとんど見えなくするものである。
本発明のハードコートフィルムの場合、プライマー層Pの屈折率nと、基材の屈折率n又はハードコート層の屈折率nが実質的に異なり、その差が0.03以上である時に干渉斑が発生し、対策効果が現れる。この屈折率差が0.06以上である時により効果は大きく、0.10以上であると更に効果は大きい。
透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に膜厚が1μm以下のプライマー層P及び膜厚が1μm以上の機能性層をこの順に積層してなり、透明プラスチック基材と機能性層が波長546nmにおいて実質的に屈折率差がなく、かつ透明プラスチックフィルムとプライマー層Pが、波長546nmにおいて屈折率が異なり、プライマー層Pの膜厚dPが下記式(9)で与えられる膜厚に近づけることによって干渉斑を低減またはなくすことができる。
数式(9)
=(N×546)/2n (nm)
ここで、Nは自然数。nはプライマー層の屈折率である。
上記で透明プラスチックフィルム基材と機能性層が波長546nmにおいて実質的に屈折率差がないとは、波長546nmにおいて機能性層の屈折率と透明プラスチックフィルムの屈折率を測定した時に両者の屈折率の差が測定誤差を考慮した上で少なくとも0.03以上は離れてはいないことを意味する。
透明プラスチックフィルム基材とプライマー層Pが波長546nmにおいて実質的に屈折率が異なるとは、546nmにおいて屈折率を測定した時に両者の屈折率差が測定誤差を考慮した上で少なくとも0.03以上異なることを意味する。
また、透明プラスチックフィルム基材と粘着剤層が波長546nmにおいて実質的に屈折率が異なるとは、546nmにおいて屈折率を測定した時に両者の屈折率の差が測定誤差を考慮した上で少なくとも0.03以上異なることを意味する。
三波長蛍光灯の輝線成分の集中する546nmで透明プラスチックフィルム基材の屈折率と機能性層の屈折率の差をなくすことで、機能性層/プライマー層界面の反射光の振幅とプライマー層/透明プラスチック界面の反射光の振幅を合わせることができ、数式(9)を満たすことで、546nm付近で上記の2つの反射光の位相を180°ずらすことができる。従って、546nm付近では両反射光が干渉し反射光のベクトル和を0に近づけることができる。
プライマー層の膜厚dPは、上記の条件の中でも薄い程、両界面での干渉が起き易いため、反射防止効果が大きくなり好ましい。従って、自然数N≦3であることが好ましく、N≦2(d=λ/nまたはd=λ/2n)であることがより好ましく、N=1(d=λ/2n)であることが特に好ましい。
三波長蛍光灯の発光スペクトルの中で、546nm付近の輝線成分の寄与が高いことはこれまで述べてきたとおりであるが、610nm付近の輝線スペクトルも干渉斑に寄与している事が本発明者の研究で分かった。
波長が546nmの場合と同様にプライマー層の膜厚dが下記数式(10)で与えられる膜厚に近づけることによって波長610nmに起因する干渉斑を低減することができる。
数式(10)
=(J×610)/2n (nm)
ここでJは自然数。nはプライマー層の屈折率である。
数式(9)でN≦3では膜厚dの数式(10)からのずれも比較的小さく、波長610nmの反射光も低減する効果があり、この点からもN≦3は好ましく、N≦2であることがより好ましく、N=1であることが特に好ましい。
膜厚は数式(9)で与えられる膜厚により近いことが好ましく、設計波長は数式(9)で算出される値が好ましい。但し、製造の膜厚バラツキなどの理由から膜厚が数式(9)に対してずれてしまっても、ずれ幅が50/n(nm)以内であれば干渉斑の強度を15%以下に減少させることができ、明らかな干渉斑低減効果があり好ましい。更に25/n(nm)以内であれば、干渉斑の強度を5%以下にすることができ、より好ましく、10/n(nm)以内であれば1%以内にすることができ、特に好ましい。
尚、設計波長を数式(9)から算出される値に対し30/n(nm)以内の範囲で厚くすることによって、三波長蛍光灯の610nm近辺の輝線に起因する干渉斑を更に低減することができるため、この態様も好ましい。
ハードコートフィルムを例えば画像表示装置などに貼合する場合、通常、基材のハードコートを設けた側と反対側の面に粘着剤層を設け、該粘着剤層を介して貼合する。
この場合、ハードコート層H/プライマー層P/プラスチックフィルム基材S/プライマー層Q/粘着剤層Aの構成とし、粘着剤層Aとプラスチックフィルム基材Sの屈折率差をなくし、両者の間にプライマー層Qを設け膜厚dが下記式を満たすことでプラスチックフィルム基材Sと粘着剤層Aの間の界面の反射率を下げることができ、好ましい。
数式(11)
=(N×546±50)/2n
ただし、Nは自然数。
この時、プライマー層Pとプライマー層Qの組成は数式(1)と数式(11)を満たす範囲であれば異なっていても構わない。数式(1)におけるNと数式(11)におけるNも異なっていても構わない。生産性の観点では同一のプライマー層を設けることも好ましい態様である。
ハードコートフィルムを窓ガラス等の物品に貼合する場合、粘着剤層の屈折率を貼合物品の屈折率に合わせ界面の反射光をなくすことで粘着剤層と貼合物品間界面の反射を防止することができる。プラスチックフィルム基材の屈折率と貼合物品の屈折率が大きくずれる場合、プラスチックフィルム基材の屈折率nと粘着剤層の屈折率nに実質的な差が生じる。この場合、ハードコート層H/プライマー層P/プラスチックフィルム基材S/プライマー層Q/粘着剤層Aの構成とし以下の2条件を満たすことでプラスチックフィルム基材Sと粘着剤層Aの反射率を低減することができる。
基材の屈折率をn、粘着剤層の屈折率をnとした時のプライマー層Qが下記数式(3)を満足する屈折率n及び下記数式(4)を満足する膜厚dを有することを特徴とするプラスチックフィルム
数式(3)
=(n×n1/2±|n−n|/4
数式(4)
=(M×546±50)/(4n) (nm)
ただし、Mは自然数。
更に、粘着剤層Aとプラスチックフィルム基材Sの間の反射率を低減させる上で屈折率nは下記式(6)を満足することが好ましい。
数式(6)
=(n×n1/2±|n−n|/8
基材の屈折率をn、粘着剤層の屈折率をnとした時のプライマー層Qが下記数式(12)で与えられる屈折率に近づけることで三波長蛍光灯の輝線成分が集中する546nmで基材/プライマー層Q界面の反射光とプライマー層/粘着剤層界面の反射光の振幅を合わせることができ、更に膜厚を下記数式(13)で与えられる値に近づけることで、546nm付近で上記2つの反射光の位相を180°ずらすことができる。従って、546nm付近では両反射光が干渉し、反射光のベクトル和を0に近づけることができる。
数式(12)
=(n×n1/2
を満足する屈折率n及び下記数式(13)を満足する膜厚dを有することを特徴とするプラスチックフィルム
数式(13)
=(M×546)/(4n
数式(3)と数式(6)は数式(12)に基材と粘着剤層の屈折率差に応じた幅を持たせたものであり、この幅は少ないほど好ましい。
ハードコート層は有機溶剤を含む硬化性組成物を塗布後硬化することによって積層する場合プライマー層Pは溶剤に曝され、硬化収縮のストレスを受ける。これに対し、粘着剤層側のプライマー層は硬化収縮の影響を余り受けない上、粘着剤層を例えば間接法によって離型紙上で形成し圧着することでハードコート層裏面に貼着することで積層する方法をとれば有機溶剤の影響も硬化収縮の影響も受けない。従って、一般に粘着剤層側のプライマー層Qはハードコート層側のプライマー層Pに対し満たさなければならない要件は少なく、そのため、プライマー層Pの自由度のみを確保した上記の態様も好ましい態様である。
上記構成では粘着剤の屈折率nはプラスチックフィルム基材屈折率nまたは貼着物品の屈折率nに合わせる必要がある。
粘着剤は通常、屈折率が1.40〜1.70程度の様々なものが存在する。本発明の様な透明フィルムの貼付けには屈折率が1.50〜1.55のアクリル系の素材などが主に使われるが、この屈折率の範囲にとらわれずに、粘着剤の屈折率nを貼着する対象物(例えば画像表示装置)の表面の材質の屈折率(nとする)に合わせることにより、ハードコートと粘着剤の反射率を抑えた上で更に、粘着剤と貼着対象物界面での反射率も最小限に抑えることができる。近年、様々な屈折率の粘着剤または接着剤が開発されてきており(例えば、井出文雄他、「光学用透明樹脂」、技術情報協会(2001年)、p.177−180)、本発明をこれらの粘着剤と組み合わせると適用範囲は極めて広い。
(プライマー層)
基材としてポリエステルフィルムを用いる場合には、ポリエステルフィルムは結晶配向性のため、表面凝集性が高く、各種材料に対する密着性に乏しい。ポリエステルフィルムとハードコート層の密着性を向上させる目的で、所望によりポリエステルフィルムの片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
プライマー層を基材の下塗り層として設定することもできる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、低分子量ポリエステル、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。さらに下塗り層に酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることができる。
また、基材とハードコート層と接着性を改善するために、易接着性を付加し、接着性下塗り層としての機能をプライマー層に付与することもできる。易接着性を付加するためには、易接着性塗材を塗布してプライマー層を設ければよい。
プライマー層の塗布液としては、有機溶剤系と水系が考えられるが、本発明ではどちらでも用いることができる。揮散による環境の悪化等の安全上、衛生上及び省資源の問題から水系のものが好適である。
水系易接着性塗材としては、例えば水溶性あるいは水分散性のポリウレタン、共重合ポリウレタン樹脂が挙げられ、これらを用いてプライマー層を形成することができる。また、特開平1−108037号公報に記載されているアクリル系樹脂とアクリル変性ポリエステル樹脂の架橋によりプライマー層を形成することもできる。更に、特公平3−22899号公報に記載されているスチレン−ブタジエン樹脂又はアクリロニトリル−ブタジエン樹脂と特定のポリエステル樹脂を用いてプライマー層を形成することもできる。また、特開平10−166517号公報に記載されているスチレン−ブタジエン系共重合体やアクリル変性ポリエステル樹脂を用いることもできる。
本発明における反射防止プライマー層は、樹脂に導電性金属酸化物微粒子を混合して帯電防止層とすることができる。
導電性金属酸化物微粒子として例えば、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、PTO(リンドープ酸化錫)やITO(錫ドープ酸化インジウム)を挙げることができる。これらの導電性金属酸化物微粒子を含んだ有機溶剤系透明導電性塗料の例が、小松道郎、「反射防止膜の特性と最適設計・膜作製技術」、技術情報協会(2001年)、p.37−39に記載されており、本発明ではこれらの塗料を用いて反射防止プライマー層を形成することもできる。また、特開平11−84573号公報の段落番号0040〜0051に記載の技術を適用することができる。
有機溶剤系でプライマー層を形成する場合、無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することが好ましく、表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、他方で活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂と高い親和性を有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド硬化性樹脂や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合わしうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基が好ましい。
本発明において好ましい金属酸化物微粒子の表面修飾剤は、金属アルコキシドもしくはアニオン性基とエチレン性不飽和基を同一分子内に有する硬化性樹脂やカルボン酸等のアニオン性基を有するアクリル酸共重合ポリマー等である。
これら表面修飾剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S-1 H2C=C(X)COOC36Si(OCH3)3
S-2 H2C=C(X)COOC24OTi(OC25)3
S-3 H2C=C(X)COOC24OCOC510OPO(OH)2
S-4 (H2C=C(X)COOC24OCOC510O)2POOH
S-5 H2C=C(X)COOC24OSO3
S-6 H2C=C(X)COO(C510COO)2
S-7 H2C=C(X)COOC510COOH
(X=H、あるいはCH3を表す)
これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添加して攪拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行なう)、そのあとで微細分散を行なう方法でも良い。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
プライマー層とハードコート層の間に屈折率がハードコート層と同じオーバーコート層を設けることができる。また、プライマー層と基材の間に屈折率が基材と同じアンダーコート層を設けることもできる。プライマー層と粘着剤の間も同様に屈折率が粘着剤と同じオーバーコート層を設けることができる。また、プライマー層と基材の間に屈折率が基材と同じアンダーコート層を設けることもできる。これらの場合、オーバーコート層またはアンダーコート層の膜厚が厚いとフィルムが相互に固着しやすくなり、また、光透過性が低下するおそれが出てくるため、膜厚は1μm以下が好ましく、0.5μmが更に好ましい。
透明基材にプライマー層塗布液を適用するのに使用する装置は、原崎勇次著「コーティング方式」慎書店1979年10月発行に示されているリバースコータ、グラビアコータ、ロッドコータ、エアドクタコータなどをはじめ、公知の塗布装置はいずれも用いることができる。取り分け生産性の観点から、長尺のプラスチックフィルムにロール トゥー ロールで適用できるものが好ましい。この場合ロールの長さは10m以上が好ましく、100m以上が更に好ましく、500m以上は特に好ましい。幅は30cm以上が好ましく、60cm以上がこのましく、1m以上が特に好ましい。また、処方の自由度の観点から表裏面に独立にプライマー層が適用できるものが好ましい。
本発明のプライマー層Pは、基材の屈折率に対して高くても低くても良い。
プライマー層の膜厚が厚いとフィルムが相互に固着し易くなり、また、光透過性が低下する恐れが出てくる。また、本発明ではプライマー層の両面での反射光の干渉を利用しているが、厚くなると干渉効果が薄れる。これらの理由から、プライマー層の膜厚は1μm以下が好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。
(ハードコート層)
本発明のハードコート層とは、鉛筆硬度を上昇させる層のことである。ハードコートフィルムとしては、ハードコート層を設けることにより、ハードコート側表面の鉛筆硬度が2H以上とするのが好ましく、3H以上とするのが更に好まし。
本発明のハードコート層の形成方法はいかなるものであってもかまわないが、生産性の観点から活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物を塗布、該活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂からなる層であることが好ましい。
活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂としては、同一分子内に2個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂が好ましい。具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシアネート硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られる多官能のウレタンアクリレートやポリエポキシ硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート(メタアクリレート)の反応によって得られる多官能のエポキシアクリレート等を挙げることができる。エチレン性不飽和基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
本発明においてハードコート層の硬化には、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いてラジカルを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。
重合開始剤は、単独でも複数開始剤を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の添加量としては、硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化性樹脂と開環重合性基含有硬化性樹脂の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
本発明のハードコートフィルムまたは反射防止フィルムは表面凹凸が非常に小さい、あるいはほとんどなく、表面ヘイズがほとんどないフィルムであり、ヘイズを付与する場合は内部ヘイズを有する、すなわち内部散乱性を有することが好ましい。
先に記したように干渉斑はハードコート層/基材フィルム界面の反射光とハードコート層表面(反射防止層表面)の反射光の干渉により発生するものであり、ハードコート層表面に凹凸形状を有する場合、表面反射光の散乱し干渉が起き難くなる。従って本発明はハードコート層表面の凹凸に起因する散乱の少ない系で有効である。
上記の理由からハードコート層表面の中心線平均粗さRaは0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。また、同様の理由から本発明のハードコート層の表面ヘイズは5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
特許第3507719号公報に表面散乱はなく、内部散乱のみを有することにより、LCDの視野角依存性を向上するフィルムに関する技術が開示されているが、このようなフィルムに本発明を応用することも好ましい態様である。
(高屈折率ハードコート層)
プラスチックフィルム基材としてPETの様な高屈折率フィルムを用いる場合、ハードコート層の屈折率を高くする必要がある。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、樹脂に金属酸化物微粒子を混合して高屈折率化することができる。
金属酸化物微粒子としては、平均粒子サイズが100nm以下、好ましくは50nm以下の二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などの屈折率が1.6より大きいものが挙げられる。屈折率が大きい二酸化チタンは、少ない添加量でハードコート層の屈折率を調整できるので好ましい。
上記の高屈折率のハードコート層を形成する組成物の例として、ハードコート層の樹脂形成成分を多官能性アクリル酸エステル系モノマーとし、これにアルミナ、酸化チタン等の粉末状無機充填剤を含有する被覆用組成物が特許第1815116号に開示されている。また、アルミナからなる無機質の装填材料を含む光重合性組成物が特許第1416240号に記載されている。
また、ハードコート層に導電性物質を混合し帯電防止性を付与することも広く知られている。金属酸化物微粒子として、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、PTO(リンドープ酸化錫)やITO(錫ドープ酸化インジウム)を用いると導電性を付与することができる。これらの導電性金属酸化物微粒子も屈折率が高く上記と同様の問題が生じる。有機溶剤系透明導電性塗料の例が、小松道郎、「反射防止膜の特性と最適設計・膜作製技術」、技術情報協会(2001年)、p.37−39に記載されている。
屈折率の高いハードコート層を形成する別の方法は、屈折率の高いポリマーをバインダーとして用いる方法である。高屈折率バインダーと高屈折率微粒子の併用も勿論可能である。ハードコート層のバインダーとして用いる屈折率が高いポリマーは、環状基を有するポリマーまたはフッ素以外のハロゲン原子を含むポリマーであることが好ましい。フッ素以外のハロゲン原子を含むポリマーよりも、環状基を有するポリマーの方が好ましい。環状基とフッ素以外のハロゲン原子の双方を含むポリマーを用いてもよい。環状基には、芳香族基、複素環基および脂肪族環基が含まれる。芳香族環基が特に好ましい。フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
(低屈折率ハードコート層)
プラスチックフィルム基材としてTACの様な低屈折率フィルムを用いる場合、ハードコート層の屈折率を低くする必要がある。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、樹脂にシリカ微粒子を混合して低屈折化することができる。
シリカ微粒子としては、平均粒子サイズが100nm以下のものが好ましく、50nm以下がより、30nm以下が特に好ましい。
また、屈折率低減効果の高いシリカ微粒子として、近年内部に空孔を有した中空シリカ微粒子が開発されており(例えば、小松道郎、「反射防止膜の特性と最適設計・膜作製技術」、技術情報協会(2001年)、p.49)、本発明のハードコート層ではこの様な中空粒子を用いて屈折率を制御することもできる。
ハードコート層の膜厚も特に制限はないが、10μmを超えると前述したコヒーレント長の関係から干渉斑が薄くなり、特に20μm以上だと本発明のプライマー層と組み合わせると干渉斑を完全になくし易くなる。したがって、この点からハードコートの膜厚は10μm以上とすることも好ましい態様である。
本発明のハードコート層の作製は、透明基材上に活性エネルギー線硬化塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、スロットエクストルージョンコーター法(単層、重層)、スライドコーター法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、活性エネルギー線照射して、硬化させることにより作製することができる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
ハードコート層は、複数層構成でも可能であり、硬度の順に適宜積層して作製することもできる。
(反射防止層)
本発明では、これらの作製したハードコート層の上に、ハードコート層表面からの反射を防止するために、低屈折率層と高屈折率層とからなる耐擦傷性に優れた反射防止層を設けることにより、高表面硬度の反射防止ハードコート層とすることができる。
PETの様な高屈折率透明プラスチックフィルム基材を用いた本発明のハードコート層は高屈折率であるため、低屈折率層1層でも効果的に反射率を下げることができる。本発明の好ましい態様である。
本発明における低屈折率層および高屈折率層は活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂を主体とする層、又は低屈折率層および高屈折率層は活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂と金属酸化物微粒子からなる層であることが好ましい。
活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂としては、同一分子内に2個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂が好ましい。具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシアネート硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られる多官能のウレタンアクリレートやポリエポキシ硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート(メタアクリレート)の反応によって得られる多官能のエポキシアクリレート等を挙げることができる。エチレン性不飽和基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
金属酸化物微粒子としては、平均粒子サイズが100nm以下、好ましくは50nm以下の二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などの屈折率が1.6より大きいものが挙げられる。屈折率が大きい二酸化チタンが添加量が少なくでき好ましい。
無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することが好ましく、表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、他方で活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂と高い親和性を有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド硬化性樹脂や、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合わしうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基が好ましい。
本発明において好ましい金属酸化物微粒子の表面修飾剤は、金属アルコキシドもしくはアニオン性基とエチレン性不飽和基を同一分子内に有する硬化性樹脂やカルボン酸等のアニオン性基を有するアクリル酸共重合ポリマー等である。
これら表面修飾剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S-1 H2C=C(X)COOC36Si(OCH3)3
S-2 H2C=C(X)COOC24OTi(OC25)3
S-3 H2C=C(X)COOC24OCOC510OPO(OH)2
S-4 (H2C=C(X)COOC24OCOC510O)2POOH
S-5 H2C=C(X)COOC24OSO3
S-6 H2C=C(X)COO(C510COO)2
S-7 H2C=C(X)COOC510COOH
(X=H、あるいはCH3を表す)
これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添加して攪拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行なう)、そのあとで微細分散を行なう方法でも良い。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
本発明において高屈折率層の硬化には、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いてラジカルを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。
紫外線によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。また上記で挙げたように通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
重合開始剤は、単独でも複数開始剤を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の添加量としては、硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化性樹脂と開環重合性基含有硬化性樹脂の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
これらの活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂と金属酸化物微粒子からなる高屈折率層の屈折率は1.6以上、更に1.65以上が好ましく、低屈折率層の屈折率よりも0.2以上大きいことが好ましい。
低屈折率層には高屈折率層に使用する活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂と同様の硬化性樹脂を使用することができる。使用する樹脂の硬化後の屈折率は、1.6以下が好ましく、金属酸化物微粒子としては屈折率の小さな二酸化ケイ素が好ましい。
低屈折率層の屈折率は1.45以上1.6以下であることが好ましく、更には1.55以下であることが好ましい。
これらの高屈折率層と低屈折率層は、それぞれ50〜100nmの範囲で塗布され、反射防止の効果を大きくするために光学距離(屈折率×厚み)を観測波長(特に580nm)の4分の1にすることが好ましい。
本発明において高屈折率層と低屈折率層は、ハードコート層上に上記活性エネルギー線硬化性の塗布液を、高屈折率層、低屈折率層の順にスピナー法、グラビア法、ワイヤーバー法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、活性エネルギー線照射して、硬化させることにより作製することができる。
反射防止層の反射率(正反射率)は、3.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましい。本発明による透明プラスチックフィルム基材/ハードコート層間の反射率減少は反射率の低い反射防止フィルムほど重要である。
また、反射率の極小波長が三波長蛍光灯の輝線スペクトル成分の集中する546nmに近づけることで干渉斑になる波長を効果的に防止することができ、好ましい。具体的には反射率の極小値Rminが520nm〜570nmであることが好ましく536〜556nmであることがより好ましく、540nm〜550nmであることが特に好ましい。
本発明の反射防止ハードコート層においては、反射防止層の防汚性を向上させるために、低屈折率層にフッ素および/またはケイ素を含有する硬化性樹脂を含有させたり、低屈折率層上にフッ素および/またはケイ素を含有する硬化性樹脂を含有する層を設けることもできる。
低屈折率層へ添加する硬化性樹脂としては、公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、あるいはフッ素とケイ素含有部を有するブロックを有する硬化性樹脂が挙げられ、さらに樹脂あるいは金属酸化物等と相溶性の良いセグメントとフッ素あるいはケイ素を含有するセグメントとを有する硬化性樹脂が好ましく、低屈折率層へ添加することで、表面にフッ素あるいはケイ素が偏在させることができる。
これらの具体的な硬化性樹脂としては、フッ素あるいはケイ素を含有するモノマーと他の親水性あるいは親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしてはヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。親水性あるいは親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーのデフェンサMCF−300、312、323等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーのメガファックF−170、F−173、F−175等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーのメガファックF−171等(大日本インキ化学(株)製)や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系のモディパーF−200、220、600、820等、シリコン系のモディパーFS−700、710等(日本油脂(株)製)が挙げられる。
低屈折率層の上に防汚性の層を設けるには、フッ素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号公報、特開平2−19801号公報、特開平3−170901号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
本発明のプラスチックフィルムは、上記の反射防止層以外にも、紫外線・赤外線吸収層、着色層、選択波長吸収性層、電磁波シールド層等の機能を有する層と一緒に積層することができ、高硬度の機能性フィルムとして供される。
また、本発明のプラスチックフィルムを備える画像表示装置としては、CRT、LCD、FED、EL等のディスプレイやタッチパネル、携帯ゲームの表示板等が好ましい。特に破砕防止の観点で基材がPETであることが必要な平面CRTテレビや一部基材がPET化されているPDPが好ましい。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<予備実験>
以下の実験で基材とハードコート層の屈折率差(|n−n|)と干渉斑発生の関係を調べた。
(ハードコート層塗布液)
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。前記二酸化チタン分散物にジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)と、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの合計量に対し5%)とを混合し、屈折率が表1になるように調整した。
(ハードコート層の塗布)
厚さ100μmのPET(面方向の屈折率1.65の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)の両面をコロナ処理し、上記塗布液を乾燥後の膜厚が5μmになるように片面塗布した。
Figure 2006110988
ここで、干渉斑は以下の方法により評価した。
干渉斑の評価;裏面をサンドペーパーで擦り、黒マジックを塗り裏面の反射が起こらないようにした試料を机の上におき、30cm上から三波長蛍光灯(ナショナルパルック蛍光灯FL20SS・EX−D/18)でサンプルを照らし、干渉斑を観察し、下記の基準により評価した。
◎ :干渉斑が全く見えない
○ :干渉斑がほとんど見えない
△ :干渉斑が弱く見える
× :干渉斑が強く見える
××:干渉斑が非常に強く見える
以上の結果から基材とハードコート層の屈折率差が0.03で干渉斑が見え始め、屈折率差が増加すると共に干渉斑が強く見えることが分かった。
<実施例>
(プライマー層付きPETベースの作製1−実施例1〜5,比較例1,2)
(a)プライマー層(導電性金属酸化物なし)の形成:実施例1〜3,比較例1,2
厚さ100μmのPET(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、屈折率1.65)の両面をコロナ処理し、屈折率1.53、ガラス転移温度55℃のポリエステル樹脂からなるラテックス(ペスレジンA−520、高松油脂(株)製)よりなる水系プライマー層塗布液(p−1)を乾燥後の膜厚が表2に記載の値(178nm、356nm、534nm、98nm、264nm)になるように片面に塗布しプライマー層を形成した。
(b)導電性金属酸化物入りプライマー層の形成:実施例4,5
厚さ100μmのPET(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、屈折率1.65)の両面をコロナ処理し、屈折率1.53、ガラス転移温度55℃のポリエステル樹脂からなるラテックス(ペスレジンA−520、高松油脂(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(SN−38、石原産業(株)製)を乾燥後の屈折率が1.59になるように混合したプライマー層塗布液(p−2)を調製して、乾燥後の膜厚が表2に記載の値(172nm、160nm)になるように片面に塗布しプライマー層を形成した。
(プライマー層付きPETベースの作製2−実施例6)
(1) 有機溶剤系プライマー層塗布液(p−3)の調製
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。前記二酸化チタン分散物にジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)と、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの合計量に対し5%)とを混合し、プライマー層の屈折率が1.59になるように調整した。
(2) ベースの作製
厚さ100μmのPET(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、屈折率1.65)の両面をコロナ処理し、塗布液(p−3)を乾燥後の膜厚が172nmとなるように片面に塗布した。
(プライマー層付きTACベースの作製−実施例7,比較例3)
(1) 有機溶剤系プライマー層塗布液(p−4)の調製
市販の透明帯電防止層塗料「ペルトロンC−4456S−7」(固形分濃度45%、日本ペルノックス(株)製)を有機溶剤系帯電防止性プライマー層塗料液(p−4)として用いた。C−4456S−7は、分散物を用いて分散された導電性微粒子ATOを含有する透明帯電防止層用塗料である。この塗料による膜厚の屈折率は1.55であった。
(2) ベースの作製
80μm厚さのTACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)、屈折率1.48)に、上記塗布液(p−4)を乾燥後の膜厚が表2に記載の値(176nm、264nm)となるように片面に塗布した。
(プライマー層付きPCベースの作製−実施例8)
(1) 有機溶剤系プライマー層塗布液(p−5)の調製
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)450重量部を、210重量部のイソプロピルアルコール(IPA)と140重量部のメチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)12.0重量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、380重量部のIPA−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2ゾルのイソプロピルアルコール分散物、日産化学(株)製)と257重量部のMIBK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2ゾルのメチルイソブチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してプライマー層用塗布液(p−5)を調製した。
(2) ベースの作製
厚さ80mmのポリカーボネートフィルム(帝人化成(株)製ピュアエース110−80)のエア面にプライマー層塗布液(p−5)を乾燥後の厚みが184nmになるように、バーコーターを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥後、紫外線を照射し、プライマー層を硬化させ、プライマー層付きPCフィルムを作製した。
(ハードコート層塗布液(h−1)の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306重量部を、16重量部のメチルエチルケトンと220重量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)7.5重量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450重量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層用塗布液(h−1)を調製した。硬化後の屈折率は1.48になる様に調整した。
(ハードコート層塗布液(h−2)の調製)
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。前記二酸化チタン分散物にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの合計量に対し5%)とを混合し、硬化後の屈折率が1.65になるように調製した。
(ハードコート層塗布液(h−3)の調製)
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。前記二酸化チタン分散物にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの合計量に対し5%)とを混合し、硬化後の屈折率が1.60になるように調製した。
(ハードコートフィルムの作製)
上記で作製したプライマー層付きフィルムのプライマー層P上に上記ハードコート層用塗布液を表2に記載の厚み(5μm)になるように、エクストルージョン方式で塗布、乾燥し、紫外線を照射(700mJ/cm2)してハードコート層を硬化させ、ハードコートフィルムを作製した。(図1参照)
Figure 2006110988
干渉斑については、前記予備実験と同様な方法で評価した。
表2に示される結果から以下のことが明らかである。
基材がPETフィルムではハードコート層の屈折率を基材の屈折率に合わせた上で、PETフィルム基材/ハードコート層間のプライマー層の膜厚を特定の膜厚とした本発明のハードコートフィルム(実施例1〜6)は三波長蛍光灯下で干渉斑が見えないが、プライマー層の膜厚を特定の値にコントロールしないもの(比較例1,2)は干渉斑が強く観察された。
基材がTACフィルム(実施例7,比較例3)でもハードコート層の屈折率を基材の屈折率に合わせた上で、PETフィルム基材/ハードコート層間のプライマー層の膜厚を特定の膜厚とした本発明のハードコートフィルム(実施例7)は三波長蛍光灯下で干渉斑が見えないが、プライマー層の膜厚を特定の値にコントロールしないもの(比較例3)は干渉斑が強く観察された。
基材がPCフィルム(実施例8)でも同様の結果だった。
〔ハードコートフィルムの反射防止フィルムへの応用〕
(1層反射防止層の作製)
(1)低屈折率層塗布液(Ln−1)の調製
屈折率1.42であり、熱架橋性含フッ素ポリマーの6質量%のメチルイソブチルケトン溶液(JN−7228、JSR(株)製)を溶媒置換して、メチルイソブチルケトン85質量%、2−ブタノール15質量%からなる混合溶媒中に固形分10質量%を含有するポリマー溶液を得た。このポリマー溶液70質量部にMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)10質量部、およびメチルイソブチルケトン42質量部およびシクロヘキサノン28質量部を添加、攪拌の後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、低屈折率層塗布液(Ln−1)を調製した。
(2)1層反射防止層付きハードコートフィルムの作製
前記実施例4で作製したハードコートフィルムのハードコート層の上に、グラビアコータを用いて上記低屈折率層塗布液(Ln−1)を塗布し、120℃で8分間、塗布層を硬化させ、表3に従って低屈折率層(屈折率1.43、膜厚96nm)を設けた。この様にして反射防止フィルムを作製した。(図2参照)
Figure 2006110988
表3で示される表面反射率は次のようにして測定した。
表面反射率の測定;裏面をサンドペーパーで擦り、黒マジックを塗り裏面の反射が起こらないようにした試料を作製し、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、450〜650nmの波長領域における入射光5゜における正反射の表面反射率の平均反射率と極小反射率波長を求めた。
干渉斑の評価;予備実験と同様の方法で評価した。
表3に示す結果から以下のことが明らかである。
本発明のプライマー層を設置することで反射防止フィルムでも干渉斑対策効果がある。また、平均反射率も下げる効果がある。
〔両面反射防止層付きハードコートフィルム貼合ガラス板の作製〕
実施例11に対してPETフィルム基材のハードコート層を積層していない面にプライマー層塗布液(p−2)を塗布し硬化後の膜厚が86nm、屈折率が1.59になる様にし、次いで膜厚20μm、屈折率1.52のアクリル系粘着剤を積層して、粘着剤層の付いた反射防止層付きハードコートフィルム(実施例21)を作製した。(図6参照)
実施例21のフィルムと、比較例11の基材の反射防止層を積層していない面に膜厚20μm、屈折率1.52のアクリル系粘着剤を積層したフィルム(比較例21)とをそれぞれ、3mm(厚み)のガラス板の表裏両面に表5に従って粘着剤層面を貼合した(S−1、S−2)。このガラス板に対して行なった反射率の測定と干渉斑の結果を表4に示す。
Figure 2006110988
表4に示す平均積分反射率はJIS−R−3106の方法で行った。干渉斑については、前記予備実験と同様な方法で評価した。
表4に示される結果から以下のことが明らかである。
本発明のプライマー層の厚みを適正化した反射防止フィルムを設けた両面反射防止層付きハードコートフィルム貼合ガラス板(S−1)は平均積分反射率が低く干渉斑の発生もない。プライマー層の厚みを適正化していない反射防止フィルムを設けた場合(S−2)、反射率も高く、干渉斑も非常に強く見える。
〔反射防止フィルムのPDP前面板への応用〕
プラズマディスプレイ(PDP−433HD−Uパイオニア(株)製)の前面板表面の反射防止フィルムを剥がし、中央部に一部に10cm×10cmに切った実施例21の反射防止ハードコートフィルムと比較例21の反射防止ハードコートフィルムとを隣り合わせで、それぞれ反射防止層が最表面になるように貼合し、三波長蛍光灯(ナショナルパルック蛍光灯FL40SS・EX−D/37)を室内照明として用いた部屋で観測した。実施例21の反射防止ハードコートフィルムを設けたディスプレイからは干渉斑もなく視認性は良好だったのに対し、比較例21の反射防止ハードコートフィルムを設けたディスプレイからは干渉斑が強く見えた。この結果から、本発明によって得られる反射防止ハードコートフィルムは画像表示装置であるPDP前面板に好適であることが分かった。
透明プラスチックフィルム基材、プライマー層P、機能性層(ハードコート層)よりなる本発明のプラスチックフィルム。 透明プラスチックフィルム基材、プライマー層P、機能性層(ハードコート層)、反射防止層(低屈折率1層構成)よりなる本発明のプラスチックフィルム。 透明プラスチックフィルム基材、プライマー層P、機能性層(ハードコート層)、反射防止層(高屈折率層、低屈折率2層構成)よりなる本発明のプラスチックフィルム。 透明プラスチックフィルム基材、プライマー層P、機能性層(粘着剤層)よりなる本発明のプラスチックフィルム。 機能性層(ハードコート層)、プライマー層P、透明プラスチックフィルム基材、プライマー層Q、機能性層(粘着剤層)よりなる本発明のプラスチックフィルム。 反射防止層、機能性層(ハードコート層)、プライマー層P、透明プラスチックフィルム基材、プライマー層Q、機能性層(粘着剤層)よりなる本発明のプラスチックフィルム。
符号の説明
A 透明プラスチックフィルム
B プライマー層P
C 機能性層(ハードコート層)
D 反射防止層
E 高屈折率層
F 低屈折率層
G プライマー層Q
H 機能性層(粘着剤層)

Claims (10)

  1. 透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に少なくとも膜厚が1μm以下のプライマー層及び膜厚が1μm以上の機能性層をこの順に積層してなるプラスチックフィルムであって、
    該透明プラスチックフィルム基材と該機能性層が波長546nmにおいて実質的に屈折率差がなく、
    かつ該透明プラスチックフィルム基材と該プライマー層が波長546nmにおいて実質的に屈折率が異なり、
    該プライマー層の膜厚dが下記数式(1)を満たすことを特徴とするプラスチックフィルム。
    数式(1)
    =(N×546±50)/(2n) (nm)
    ただし、nは該プライマー層の屈折率、Nは自然数である。
  2. 前記プライマー層の膜厚dが下記数式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックフィルム。
    数式(2)
    =(N×546±25)/(2n) (nm)
  3. 前記Nは1または2であることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載のプラスチックフィルム。
  4. 前記機能性層がハードコート層であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のハードコートフィルム。
  5. 前記機能性層が粘着剤層であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプラスチックフィルム。
  6. 前記透明プラスチックフィルム基材の前記プライマー層を積層していない面に別のプライマー層と粘着剤層がこの順に積層してなるプラスチックフィルムであって、
    該透明プラスチックフィルム基材と該粘着剤層が波長546nmにおいて実質的に屈折率が異なり、
    該別のプライマー層の屈折率n及び膜厚dが下記数式(3)及び数式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプラスチックフィルム。
    数式(3)
    =(n×n1/2±|n×n|/4
    ただし、nは基材の屈折率、nは該粘着剤層の屈折率である。
    数式(4)
    =(M×546±50)/(4n) (nm)
    ただし、Mは自然数である。
  7. 前記プライマー層のうち少なくとも一層が導電性金属酸化物微粒子を含有し帯電防止性を備えることを特徴とする請求項6に記載のプラスチックフィルム。
  8. 前記ハードコート層の、前記透明プラスチックフィルム基材とは反対面に、別の機能性層を更に有することを特徴とする請求項4、6、7のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
  9. 前記別の機能性層が反射防止層であることを特徴とする請求項8に記載のプラスチックフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のプラスチックフィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
JP2005208590A 2004-09-14 2005-07-19 プラスチックフィルム及び画像表示装置 Pending JP2006110988A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005208590A JP2006110988A (ja) 2004-09-14 2005-07-19 プラスチックフィルム及び画像表示装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004266610 2004-09-14
JP2005208590A JP2006110988A (ja) 2004-09-14 2005-07-19 プラスチックフィルム及び画像表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006110988A true JP2006110988A (ja) 2006-04-27

Family

ID=36379892

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005208590A Pending JP2006110988A (ja) 2004-09-14 2005-07-19 プラスチックフィルム及び画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006110988A (ja)

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008070867A (ja) * 2006-07-28 2008-03-27 Csem Centre Suisse D'electronique & De Microtechnique Sa ゼロ次回折フィルタ
JP2008216913A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Lintec Corp 光学フィルム
JP2009003354A (ja) * 2007-06-25 2009-01-08 Nof Corp 反射防止性フィルム及びそれを用いた電子画像表示装置
JP2009031769A (ja) * 2007-06-25 2009-02-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 反射防止フィルム
JP2009128903A (ja) * 2007-11-23 2009-06-11 Lg Electronics Inc 光学シート及び液晶表示装置
JP2010032734A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 反射防止フィルム
WO2010119968A1 (ja) * 2009-04-16 2010-10-21 住友化学株式会社 粘着剤層付位相差フィルム、それを用いた楕円偏光板および液晶表示装置
JP2010256705A (ja) * 2009-04-27 2010-11-11 Nof Corp 反射防止フィルム
JP2011113050A (ja) * 2009-11-30 2011-06-09 Nikon-Essilor Co Ltd プラスチック光学部材
US20110256384A1 (en) * 2010-04-15 2011-10-20 Seiko Epson Corporation Optical element
JP2011209512A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Lintec Corp 画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置
WO2013015112A1 (ja) * 2011-07-25 2013-01-31 コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 太陽光反射用ミラー、太陽熱発電用反射装置、機能性フィルム及び屋外用の帯電防止組成物
JP2013178332A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Toppan Printing Co Ltd 画像表示パネル用加飾飛散防止フィルム及び画像表示パネル
JP2013246302A (ja) * 2012-05-25 2013-12-09 Dainippon Printing Co Ltd 光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法
KR20140026812A (ko) * 2012-08-23 2014-03-06 도레이첨단소재 주식회사 고분자 블렌드를 이용한 굴절율 조절이 용이한 광학용 폴리에스테르 필름
WO2014065000A1 (ja) * 2012-10-22 2014-05-01 コニカミノルタ株式会社 タッチパネル付き表示装置
KR101843054B1 (ko) * 2011-12-19 2018-03-29 엘지디스플레이 주식회사 광학시트 및 이를 포함한 백라이트 유닛

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008070867A (ja) * 2006-07-28 2008-03-27 Csem Centre Suisse D'electronique & De Microtechnique Sa ゼロ次回折フィルタ
JP2008216913A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Lintec Corp 光学フィルム
JP2009003354A (ja) * 2007-06-25 2009-01-08 Nof Corp 反射防止性フィルム及びそれを用いた電子画像表示装置
JP2009031769A (ja) * 2007-06-25 2009-02-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 反射防止フィルム
US8018654B2 (en) 2007-11-23 2011-09-13 Lg Electronics Inc. Optical sheet, method for manufacturing the same, and liquid crystal display using the same
JP2009128903A (ja) * 2007-11-23 2009-06-11 Lg Electronics Inc 光学シート及び液晶表示装置
JP2010032734A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 反射防止フィルム
CN102395908A (zh) * 2009-04-16 2012-03-28 住友化学株式会社 带粘合剂层的相位差膜、使用了其的椭圆偏振板和液晶显示装置
WO2010119968A1 (ja) * 2009-04-16 2010-10-21 住友化学株式会社 粘着剤層付位相差フィルム、それを用いた楕円偏光板および液晶表示装置
JP2010250091A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Sumitomo Chemical Co Ltd 粘着剤層付位相差フィルム、それを用いた楕円偏光板および液晶表示装置
JP2010256705A (ja) * 2009-04-27 2010-11-11 Nof Corp 反射防止フィルム
JP2011113050A (ja) * 2009-11-30 2011-06-09 Nikon-Essilor Co Ltd プラスチック光学部材
JP2011209512A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Lintec Corp 画像表示装置用飛散防止フィルムおよびこれを備えた画像表示装置
US20110256384A1 (en) * 2010-04-15 2011-10-20 Seiko Epson Corporation Optical element
WO2013015112A1 (ja) * 2011-07-25 2013-01-31 コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 太陽光反射用ミラー、太陽熱発電用反射装置、機能性フィルム及び屋外用の帯電防止組成物
KR101843054B1 (ko) * 2011-12-19 2018-03-29 엘지디스플레이 주식회사 광학시트 및 이를 포함한 백라이트 유닛
JP2013178332A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Toppan Printing Co Ltd 画像表示パネル用加飾飛散防止フィルム及び画像表示パネル
JP2013246302A (ja) * 2012-05-25 2013-12-09 Dainippon Printing Co Ltd 光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法
KR20140026812A (ko) * 2012-08-23 2014-03-06 도레이첨단소재 주식회사 고분자 블렌드를 이용한 굴절율 조절이 용이한 광학용 폴리에스테르 필름
KR101954453B1 (ko) * 2012-08-23 2019-03-06 도레이첨단소재 주식회사 고분자 블렌드를 이용한 굴절율 조절이 용이한 광학용 폴리에스테르 필름
WO2014065000A1 (ja) * 2012-10-22 2014-05-01 コニカミノルタ株式会社 タッチパネル付き表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4783547B2 (ja) プラスチックフイルム及び画像表示装置
JP2006110988A (ja) プラスチックフィルム及び画像表示装置
KR100794952B1 (ko) 플라스틱 필름 및 화상 디스플레이 유닛
JP5313728B2 (ja) 光学フィルム
JP5066535B2 (ja) 光学積層フィルム
JP4187454B2 (ja) 反射防止フィルム
WO2011016306A1 (ja) 光学積層体、偏光板及び画像表示装置
JP7279826B2 (ja) 光学積層体、画像表示装置又はタッチパネルセンサー
KR101471692B1 (ko) 방현성 하드 코트 필름, 그것을 사용한 편광판 및 화상 표시 장치, 그리고 방현성 하드 코트 필름의 제조 방법
WO2002055612A1 (fr) Composition de revêtement, film de revêtement en cette composition, revêtement antireflet, film antireflet, afficheur d'image, et produit intermédiaire
JP5232448B2 (ja) 防眩材料
JP2001343519A (ja) ディスプレイ用貼着フィルム
KR20100120307A (ko) 방현성 하드코트필름 및 그것을 이용한 편광판
TWI497106B (zh) 抗反射膜及使用它之偏光板
JP4712236B2 (ja) 反射防止膜、反射防止フィルム、画像表示装置、及び、それらの製造方法
JP2010060743A (ja) 防眩フィルム、反射防止フィルム、偏光板および画像表示装置
JP2007293307A (ja) 反射防止積層体、偏光板、及び画像表示装置
JP2007034213A (ja) 反射防止フィルム、それを用いた偏光板及びディスプレイ装置
JP2004322380A (ja) 透明導電性材料及びタッチパネル
JP2009048092A (ja) 光学積層体
JP6048010B2 (ja) 積層体、偏光板、液晶パネル、タッチパネルセンサ、タッチパネル装置および画像表示装置
JP2005178173A (ja) プラスチックフィルム、機能性フィルム及び画像表示装置
JP7035381B2 (ja) 光学フィルム、画像表示装置又はタッチパネル
JP2002307594A (ja) 透過色調補正材料および用途
JP7343273B2 (ja) 防眩性フィルム、防眩性フィルムの製造方法、光学部材および画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060328

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061127

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071109

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071116

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071126