JP2006107946A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 改質部における炭素の析出を防止することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 水蒸気改質反応により炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器3と、改質ガス中の水蒸気の少なくとも一部を分離する水蒸気分離膜13と、水蒸気分離膜13により分離された水蒸気を改質器3に導入するバイパス手段(110,111,112)とを備える。改質器により炭化水素系燃料から水素を含む改質ガスが生成され、水蒸気分離膜により改質ガス中の水蒸気の少なくとも一部が分離され、分離された水蒸気がバイパス手段により改質器に導入される。したがって、改質器における水蒸気不足が防止される。その結果、改質器における炭素の析出を防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 水蒸気改質反応により炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器3と、改質ガス中の水蒸気の少なくとも一部を分離する水蒸気分離膜13と、水蒸気分離膜13により分離された水蒸気を改質器3に導入するバイパス手段(110,111,112)とを備える。改質器により炭化水素系燃料から水素を含む改質ガスが生成され、水蒸気分離膜により改質ガス中の水蒸気の少なくとも一部が分離され、分離された水蒸気がバイパス手段により改質器に導入される。したがって、改質器における水蒸気不足が防止される。その結果、改質器における炭素の析出を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、炭化水素系燃料から燃料電池の燃料に用いる改質ガスを生成する改質部を備えた燃料電池システムに関する。
燃料電池は、一般的には水素及び酸素を燃料として電気エネルギーを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れかつ高いエネルギー効率が実現できることから、今後のエネルギー供給システムとして広く開発が進められてきている。
現在、多くの燃料電池においては、改質部によりガソリン、天然ガス、メタノール等の炭化水素系燃料から水素を含む改質ガスが生成され、燃料電池のアノードに供給される。この改質部においては、水蒸気を用いた水蒸気改質反応等により改質が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
近年、上記改質部により生成された改質ガスを火花点火機関に提供する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この技術によれば、ガソリン及び改質ガス中の水素のいずれか一方または両方を火花点火機関の燃料とすることができ、高い熱効率が得られる。
しかしながら、上記水蒸気改質反応により改質ガスを生成するためには、改質部に水蒸気を供給するための手段を新たに設ける必要がある。そのため、燃料電池が大型化することになる。
この問題点を解決するために、カソードから排出されるカソードオフガスを改質部に導入する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この技術によれば、カソードオフガス中に含まれる水蒸気を改質部に供給することができるため、新たに水蒸気発生装置等を設ける必要がない。その結果、燃料電池を小型化することが可能である。
特開平7−215701号公報
特開平11−311136号公報
特開2000−195534号公報
しかしながら、火花点火機関に水素を供給すると燃料電池に供給する水素量が減少する。それにより、燃料電池から排出されるガス中の水蒸気量が減少する。したがって、水蒸気改質反応に必要な水蒸気を改質部に供給することができなくなる。その結果、水蒸気改質反応が完了せずに改質部において炭素が析出するおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、改質部における炭素の析出を防止することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明に係るシステムは、水蒸気改質反応により炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質手段と、改質ガス中の水蒸気の少なくとも一部を分離する水蒸気分離手段と、水蒸気分離手段により分離された水蒸気を改質手段に導入するバイパス手段とを備えるものである。
本発明に係るシステムにおいては、改質手段により炭化水素系燃料から水素を含む改質ガスが生成され、水蒸気分離手段により改質ガス中の水蒸気の少なくとも一部が分離され、分離された水蒸気がバイパス手段により改質手段に導入される。したがって、改質手段における水蒸気不足が防止される。その結果、改質手段における炭素の析出を防止することができる。
バイパス手段を流動する水蒸気の流量を調整する流量調整手段と、バイパス手段を流動する水蒸気の流量を調整するように流量調整手段を制御する制御手段とをさらに備えてもよい。この場合、改質手段における水蒸気量に応じて改質手段に供給する水蒸気量を調整することができる。
バイパス手段に水蒸気を格納するバッファが設けられていてもよい。この場合、水蒸気分離手段により分離された水蒸気を一時貯蔵することができる。
水素及び酸素により発電を行う燃料電池と、燃料電池から排出される水分を含むオフガスを改質手段へ供給するオフガス供給手段とをさらに備えてもよい。この場合、燃料電池において発生した水蒸気を水蒸気改質反応に用いることができる。それにより、水蒸気供給手段を新たに設ける必要がない。その結果、本発明に係るシステムを小型化することができる。
改質ガスの少なくとも一部および/または炭化水素系燃料により駆動する動力部と、動力部の動作に必要な量の改質ガスを動力部に供給する改質ガス供給手段と、改質手段に炭化水素系燃料を供給する燃料供給手段とをさらに備え、制御手段は、動力部に供給する改質ガス量に応じて改質手段への炭化水素系燃料供給量を調整するように燃料供給手段を制御してもよい。
この場合、動力部は改質ガス中の水素及び炭化水素系燃料の組み合わせにより熱効率の高い運転を行うことができる。また、燃料電池及び動力部を備えることにより、燃料電池から発生する電力及び動力部から発生する動力のいずれか一方又は両方を組み合わせることができる。それにより、本発明に係るシステムの運転状況に応じた適正な外部出力が可能となる。
制御手段は、動力部に改質ガスを供給しない場合には流量調整手段を全閉制御してもよい。この場合、改質手段への水蒸気の供給が過剰にならない。それにより、改質ガスを生成する効率の低下を防止することができる。
動力部は、内燃機関であってもよい。この場合、本発明に係る燃料電池システムをハイブリッド自動車等に適用することができる。その結果、運転状況に応じた動力の選択により、熱効率を向上させることができる。
水蒸気分離手段は、ガス中の水蒸気を選択的に透過するイオン交換樹脂であってもよい。この場合、改質ガス中の水蒸気を効率良く分離することができる。
本発明によれば、改質部手段における水蒸気不足が防止される。その結果、改質手段における炭素の析出を防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池システム100の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、燃料電池システム100は、燃料タンク1、インジェクタ2,11、改質器3、熱交換器4,7、燃料電池5、エアポンプ6,8、流量制御弁9、内燃機関10、制御部12、水蒸気分離膜13及び水蒸気流量制御弁14を含む。改質器3は、改質部3a及び燃焼部3bを含む。燃料電池5は水素分離膜電池からなり、アノード5a及びカソード5bを含む。
ここで、水素分離膜電池とは水素分離膜層を備えた燃料電池である。水素分離膜層は水素透過性を有する金属によって形成される層であり、たとえば、パラジウム、パラジウム合金等により形成することができる。水素分離膜電池は、この水素分離膜層及びプロトン導電性を有する電解質を積層した構造をとっている。水素分離膜電池のアノードに供給された水素は触媒を介してプロトンに変換され、プロトン導電性の電解質中を移動し、カソードにおいて酸素と結合して水となる。したがって、燃料電池5から発生する水または水蒸気の大部分はカソードオフガス中に含まれることになる。なお、水素分離膜電池の作動温度は、300℃〜600℃程度である。
燃料タンク1は、配管101を介してインジェクタ2に接続されている。インジェクタ2は、改質部3aに接続されている。改質部3aは、配管102を介してアノード5aに接続されている。配管102の一部は、熱交換器4を通る。アノード5aは、配管103を介して燃焼部3bに接続されている。
配管110の一端は配管102の熱交換器4より上流側に接続され、配管110の他端は水蒸気分離膜13に接続されている。水蒸気分離膜13は、配管111を介して水蒸気流量制御弁14に接続されている。水蒸気流量制御弁14は、配管112を介して配管105の途中に接続されている。
エアポンプ8は、配管104を介してカソード5bに接続されている。配管104の一部は、熱交換器7及び熱交換器4を通る。カソード5bは、配管105を介して改質部3aに接続されている。エアポンプ6は、配管106を介して燃焼部3bに接続されている。配管106の一部は、燃料電池5を通る。
配管107の一端は配管102の熱交換器4より上流側かつ配管110との分岐点よりも下流側に接続され、配管107の他端は流量制御弁9に接続されている。また、配管107の一部は、熱交換器7を通る。流量制御弁9は、配管108を介して内燃機関10に接続されている。また、燃料タンク1は配管109を介してインジェクタ11に接続されている。インジェクタ11は、内燃機関10に接続されている。
次に、燃料電池システム100の動作について説明する。燃料タンク1には、炭化水素系燃料としてガソリンが貯蔵されている。燃料タンク1は、制御部12の指示に従って配管101を介して必要量のガソリンをインジェクタ2に供給する。インジェクタ2は、制御部12の指示に従って必要量のガソリンを改質部3aに供給する。
改質部3aにおいては、インジェクタ2から供給されたガソリンと後述するカソードオフガスとにより改質ガスが生成される。まず、インジェクタ2から供給されたガソリンとカソードオフガス中の水蒸気とにより水蒸気改質反応が起こり、水素及び一酸化炭素が生成される。次に、生成された一酸化炭素の一部とカソードオフガス中の水蒸気とが反応し、水素及び二酸化炭素が生成される。水蒸気改質反応に必要な水蒸気が不足している場合には、カソードオフガス中の酸素と一酸化炭素とが改質部3a内の触媒を介して部分酸化反応を起こし、二酸化炭素が生成される。
改質部3aにおいて生成された改質ガスは、熱交換器4において配管104を流動するエアによって冷却され、アノード5aに供給される。アノード5aにおいては、改質ガス中の水素が水素イオンに変換される。アノード5aにおいて水素イオンに変換されなかった水素及び改質部3aにおいて反応しなかった一酸化炭素は、アノードオフガスとして配管103を介して燃焼部3bに供給され、配管106から供給されるエア中の酸素によって燃焼し、燃料電池システム100の外部へ排出される。この際の燃焼熱は、改質部3aにおける水蒸気改質反応に利用される。
このように、アノードオフガスを燃料とした燃焼熱を改質部3aにおける水蒸気改質反応に利用することから、燃焼用の燃料タンク等を新たに設ける必要がない。それにより、燃料電池システム100を小型化することができる。また、アノードオフガスに含まれる一酸化炭素等の不完全燃焼成分を燃焼部3bにおいて完全燃焼させることができる。それにより、環境汚染を防止することができる。
エアポンプ8は、制御部12の指示に従って燃料電池システム100の外部からエアを配管104に供給する。このエアは、熱交換器7において配管107を流動する改質ガスを冷却し、続いて熱交換器4において配管102を流動する改質ガスを冷却し、カソード5bに供給される。カソード5bにおいては、アノード5aにおいて発生した水素イオンとカソード5bに供給されたエア中の酸素とから水が発生するとともに電力が発生する。発生した水は、燃料電池5において発生する熱によって水蒸気となる。カソード5bにおいて発生した水蒸気は、カソードオフガスとして配管105を介して改質部3aに供給され、水蒸気改質反応に用いられる。
このように、カソード5bにおいて発生した水蒸気を水蒸気改質反応に用いることから、水蒸気供給手段を新たに設ける必要がない。それにより、燃料電池システム100を小型化することができる。
エアポンプ6は、制御部12の指示に従って燃料電池システム100の外部からエアを配管106に供給する。配管106を流動するエアは、燃料電池5を冷却し、燃焼部3bに供給され、アノードオフガス中の水素及び一酸化炭素の燃焼に用いられる。このように、燃料電池5の冷却用エアを燃焼部3bにおける燃焼に用いることから、アノードオフガスの燃焼用として酸素供給手段を新たに設ける必要がない。それにより、燃料電池システム100を小型化することができる。
配管102に供給された改質ガスの一部は、配管110に供給される。配管110に供給された改質ガスは、水蒸気分離膜13に供給される。水蒸気分離膜13は水蒸気透過性のイオン交換樹脂等からなり、改質ガス中の水蒸気を選択的に透過させて配管111に供給する。水蒸気透過性のイオン交換樹脂としては、例えば、ポリエステルポリエーテル無孔性樹脂等の樹脂を用いることができる。配管111に供給された水蒸気は、水蒸気流量制御弁14に供給される。水蒸気流量制御弁14は、制御部12の指示に従って必要な量の水蒸気を配管112に供給する。配管112に供給された水蒸気は配管105を介して改質部3aに供給される。配管112から配管105に水蒸気が供給される詳細は後述する。
このように、改質部3aにおいて水蒸気改質反応に用いられなかった水蒸気が再度改質部3aに供給されることから、改質部3aにおける水蒸気不足が防止される。その結果、改質部3aにおける炭素析出が防止される。
また、配管102に供給された改質ガスの一部は、配管107に供給され、熱交換器7において配管104を流動するエアにより冷却され、流量制御弁9に供給される。流量制御弁9は、制御部12の指示に従って配管108を介して必要量の改質ガスを内燃機関10に供給する。また、燃料タンク1は、制御部12の指示に従って配管109を介して必要量のガソリンをインジェクタ11に供給する。インジェクタ11は、制御部12の指示に従って必要量のガソリンを内燃機関10に供給する。
このように、熱交換器7において冷却される改質ガスが内燃機関10に供給されることから、内燃機関10の熱損傷または熱劣化を防止することができる。例えば、改質ガスを100℃以下まで冷却することにより、内燃機関10に内蔵される吸気系のガスケット、電気部品、電気配線等の熱損傷または熱劣化を防止することができる。
内燃機関10は、制御部12の指示に従って改質ガスの少なくとも一部および/またはガソリンと空気とから所定の空燃比で混合気を作り出し、その混合気を燃焼させることによって動作する。この場合、内燃機関10は、水素及びガソリンの組み合わせにより熱効率の高い運転を行うことができる。
また、制御部12は、内燃機関10に水素を供給しない場合には、あらかじめ作成されたベースマップに従って内燃機関10の空燃比を制御する。内燃機関10に水素を供給する場合には、制御部12は、内燃機関10に供給される水素量に対応させた希薄燃焼を行うように内燃機関10の空燃比を制御する。この場合、内燃機関10に供給する水素の割合に応じて希薄限界を拡大させることができる。例えば、内燃機関10に供給されるガソリンの燃焼熱が内燃機関10に供給される水素の燃焼熱の5倍になるように、内燃機関10にガソリン及び水素を供給することにより、空気過剰率(理論空燃比に対する比率)を約2まで増加させることができる。それにより、ガソリン消費量が低減され、窒素酸化物の排出量が低減される。
本発明に係る燃料電池システム100のように、燃料電池5及び内燃機関10を備えることにより燃料電池5から発生する電力及び内燃機関10から発生する動力のいずれか一方又は両方を組み合わせることができる。その結果、燃料電池システム100の運転状況に応じた適正な外部出力が可能となる。
図2は、配管112を流動する水蒸気が配管105に供給される様子を説明する模式図である。図2に示すように、配管105の途中には流路が狭くなったオリフィス部105aが設けられている。配管112はオリフィス部105aに接続されている。配管105を流動するカソードオフガスの流速は、オリフィス部105aにおいて急激に増加する。それにより、配管112を流動する水蒸気がエジェクタ効果により配管105に吸引される。以上のことから、図1の水蒸気流量制御弁13から配管112に供給された水蒸気が配管105を介して改質部3aに供給されることになる。
図3は、制御部12がエアポンプ8、流量制御弁9、内燃機関10及びインジェクタ11を制御する際に用いるマップである。図3(a)は、エアポンプ8によるエア供給量とエアポンプ8のポンプ回転数との関係を示すマップである。図3(a)の縦軸はエアポンプ8のポンプ回転数を示し、図3(a)の横軸はエアポンプ8によるエア供給量を示す。図3(a)に示すように、エアポンプ8のエア供給量の2乗に比例してエアポンプ8のポンプ回転数が増加する。制御部12は、図3(a)のマップに基づいてエアポンプ6,8を制御する。
図3(b)は、内燃機関10の回転数、内燃機関10のトルク及び空気過剰率λとの関係の一例を示すマップである。図3(b)の縦軸は内燃機関10のトルクを示し、図3(b)の横軸は内燃機関10の回転数を示す。図中の破線は、空気過剰率λが1である場合のマップであり、図中の実線は空気過剰率λが2である場合のマップである。図3(b)に示すように、内燃機関10の回転数の増加に伴い内燃機関10のトルクは増加するが、所定の回転数を境界にして内燃機関10の回転数の増加に伴い内燃機関10のトルクは減少する。制御部12は、図3(b)のマップに基づいて流量制御弁9、内燃機関10及びインジェクタ11を制御する。
図4は、本発明に係る燃料電池システム100をハイブリッド自動車に適用した場合の一例を示す模式図である。図4に示すように、ハイブリッド自動車200は、燃料電池システム100、蓄電池21、動力発生装置22、動力伝達装置23、複数の車輪24及び回生装置25を含む。
燃料電池システム100の燃料電池において発生した電力は、動力発生装置22に与えられ、または蓄電池21に蓄えられた後に動力発生装置22に与えられる。動力発生装置22は、コンバータ、インバータ、電動機等を備え、燃料電池システム100または蓄電池21から与えられた電力を軸出力に変換して動力伝達装置に伝達する。動力伝達装置23は、与えられた軸出力を車輪24に伝達する。それにより、ハイブリッド自動車200が動作を開始する。
続いて、ハイブリッド自動車200は、負荷が増加するにしたがって動力を内燃機関に切り替える。まず、動力伝達装置23は、動力発生装置22からの軸出力の供給を停止する。次に、燃料電池システム100の内燃機関により発生した動力が軸出力として動力伝達装置23に与えられる。動力伝達装置23は、与えられた軸出力を車輪24に伝達する。さらに負荷が増大すれば、動力伝達装置23は、燃料電池システム100の内燃機関及び動力発生装置22の両方から与えられる軸出力を車輪24に伝達する。
回生装置25はジェネレータ等を備える。使用者がハイブリッド自動車200を減速させる場合、回生装置25のジェネレータは、車輪24の動力を電力に変換し、変換した電力をバッテリー21に供給する。
このように、本発明に係る燃料電池システム100をハイブリッド自動車に適用することにより、運転状況に応じて電動機及び内燃機関のいずれか一方または両方の動力を選択することが可能である。それにより、熱効率を向上させることができる。
次に、図1の改質部3aにおける炭素析出について説明する。図5は、炭素析出について説明するための図である。図5の縦軸は改質部3aにおけるS/C比を示し、図5の横軸は改質部3aにおける空気過剰率λを示す。ここで、S/C比は、改質部3aに供給される水蒸気と改質部3aに供給されるガソリン中の炭素とのモル比を示す。
図5に示すように、S/C比が1.5以上であれば改質部3aに供給されるガソリンに対して水蒸気が過剰に供給されることになり、炭素が析出することはない。しかしながら、内燃機関10へ供給する改質ガスの量が増大するにつれてカソード5bにおいて発生する水蒸気量が減少する。それにより、改質部3aに供給される水蒸気量が減少し、S/C比が減少する。S/C比が1.5以下になれば、水蒸気改質反応に必要な水蒸気が不足し、改質部3aにおいて炭素が析出し得る。
次に、内燃機関10を動作させる場合において、改質部3aにおける炭素析出を防止するために制御部12が行う制御について説明する。図6は、制御部12が行う制御についてのフローチャートを示す図である。
図6に示すように、制御部12は、内燃機関10に水素を供給する必要があるか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、内燃機関10が高負荷回転または高速回転を行うか否かによって判定する。ステップS1において、内燃機関10に水素を供給する必要があると判定された場合には、制御部12は、水蒸気流量制御弁14を全開して改質部3aに水蒸気を供給する(ステップS2)。以下、制御部12はステップS1の動作から繰り返す。
ステップS1において、内燃機関10に水素を供給する必要がないと判定された場合には、制御部12は、水蒸気流量制御弁14を全閉制御して改質部3aへの水蒸気供給を停止する(ステップS3)。以下、制御部12は、ステップS1の動作から繰り返す。
以上のように、内燃機関10に水素を供給することによってカソードオフガスから改質部3aに供給される水蒸気が不足しても水蒸気分離膜13を透過した水蒸気が改質部3aに供給されることから、改質部3aにおける炭素の析出を防止することができる。
図6は、制御部12が行う制御についてのフローチャートの他の例を示す図である。図6に示すように、制御部12は、内燃機関10に水素を供給する必要があるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、内燃機関10が高負荷回転または高速回転を行うか否かによって判定する。ステップS11において、内燃機関10に水素を供給する必要があると判定された場合には、制御部12は、内燃機関10に供給する水素量を計算する(ステップS12)。この場合、内燃機関10に供給されるガソリンの燃焼熱が内燃機関10に供給される水素の燃焼熱の5倍になるように、内燃機関10に供給される水素量が計算される。
次に、制御部12は、上記水素量及び燃料電池5の運転に必要な水素量に基づいて改質部3aに供給するガソリンの量を計算する(ステップS13)。次いで、制御部12は、アノード5aにおいて消費される水素量に基づいて、カソード5bから改質部3aに供給される水蒸気量を計算する(ステップS14)。
次に、制御部12は、水蒸気流量制御弁14を全開して改質部3aに水蒸気を供給する(ステップS15)。次いで、制御部12は、ステップS13における計算結果に基づいてインジェクタ2を制御する(ステップS16)。
次に、制御部12は、内燃機関10へ添加する水素とガソリンとの比が、目標値になるように流量制御弁9及びインジェクタ11を制御する(ステップS17)。この場合、内燃機関10に供給されるガソリンの燃焼熱が内燃機関10に供給される水素の燃焼熱の5倍になるように流量制御弁9及びインジェクタ11を制御する。次いで、制御部12は、空気過剰率λが2程度になるように、内燃機関10の空燃比を制御する(ステップS18)。以下、制御部12は、ステップS11の動作から繰り返す。
ステップS11において、内燃機関10に水素を供給する必要がないと判定された場合には、制御部12は、燃料電池5の発電に必要な量の水素及び酸素をそれぞれアノード5a及びカソード5bに供給するように、インジェクタ2及びエアポンプ8を制御する(ステップS19)。この場合、制御部12は、図3(a)のマップに従ってエアポンプ8を制御する。
次に、制御部12は、内燃機関10への水素添加を停止するように流量制御弁9を制御する(ステップS20)。次いで、制御部12は、ベースマップに従って内燃機関10の空燃比を制御する(ステップS21)。次に、制御部12は、水蒸気流量制御弁14を全閉制御して改質部3aへの水蒸気供給を停止する(ステップS22)。以下、制御部12は、ステップS11の動作から繰り返す。
以上のように、内燃機関10へ供給する水素量に応じて内燃機関10内の空燃比を制御することから、熱効率の高い燃焼を実現することができる。また、水蒸気改質反応に必要な水蒸気が不足しても酸素供給量の割合が増加することから、改質部3aにおける炭素の析出を防止することができる。さらに、内燃機関10に水素を供給することによってカソードオフガスから改質部3aに供給される水蒸気が不足しても水蒸気分離膜13を透過した水蒸気が改質部3aに供給されることから、改質部3aにおける炭素の析出を防止することができる。
本実施例においては、改質器3が改質手段に相当し、水蒸気分離膜13が水蒸気分離手段に相当し、配管110,111,112がバイパス手段に相当し、水蒸気流量制御弁13が流量調整手段に相当し、配管105がオフガス供給手段に相当し、インジェクタ2が燃料供給手段に相当し、エアポンプ8が酸素供給手段に相当し、内燃機関10が動力部に相当し、流量制御弁9が改質ガス供給手段に相当し、制御部12が判定手段及び制御手段に相当する。
なお、本実施例においては、ガソリンエンジンとして用いることができる内燃機関10を動力部として用いたが、水素燃焼タービン等の他の内燃機関を用いることもできるし、水素を燃料とする外燃機関を用いることもできる。また、燃料電池5として水素分離膜電池を用いたが、他の燃料電池を用いてもよい。例えば、固体酸化物形燃料電池、固体高分子形燃料電池等を用いることもできる。この場合、アノードオフガス中の水蒸気を改質部3aにおける水蒸気改質反応に利用することができる。
さらに、炭化水素系燃料としてガソリンを用いたが、天然ガス、メタノール等の他の炭化水素系燃料を用いることもできる。また、本実施例においては水蒸気流量調整弁14が設けられているが、必ずしも設ける必要はない。さらに、水蒸気分離膜13は、配管102と配管110との分岐点に設けられていてもよい。この場合、改質部3aにおいて水蒸気改質反応に用いられなかった水蒸気を効率良く分離することができる。また、本実施例の改質部3aは水蒸気改質反応により水素ガスを生成しているが、他の改質反応と組み合わせて水素を生成してもよい。さらに、本実施例においては改質部3aにおいて水蒸気改質反応に用いられなかった水蒸気を改質部3aに導入することにより炭素析出を防止しているが、炭素析出を防止する他の手段と組み合わせてもよい。
図8は、第2実施例に係る燃料電池システム100aの全体構成を示す模式図である。燃料電池システム100aが図1の燃料電池システム100と異なる点は、水蒸気流量制御弁14が設けられていない点、配管111と配管105とがバッファ15によって接続されている点及びバッファ15が配管112を介して改質部3aに接続されている点である。
水蒸気分離膜13によって透過された水蒸気は、配管111を流動してバッファ15に貯蔵される。配管105を流動するカソードオフガスは、バッファ15を通過する際に水蒸気を含んで配管112に供給される。バッファ15の詳細は後述する。
このように、改質部3aにおいて水蒸気改質反応に用いられなかった水蒸気が再度改質部3aに供給されることから、改質部3aにおける水蒸気不足が防止される。その結果、改質部3aにおける炭素析出が防止される。
図9は、図8のバッファ15の詳細を説明するための模式図である。図9に示すように、バッファ15には水が貯蔵されている。バッファ15には配管105,111,112が接続されている。配管105の出口は、バッファ15の水面下に設けられている。
配管111から供給される水蒸気は、バッファ15において液化され、貯蔵される。配管105から供給されるカソードオフガスは、バッファ15に貯蔵されている水を通って配管112に供給される。それにより、配管112に供給されるカソードオフガスは、水蒸気を多量に含むことになる。
本実施例においては、配管110,111がバイパス手段に相当する。
1 燃料タンク
2,11 インジェクタ
3 改質器
3a 改質部
3b 燃焼部
4,7 熱交換器
5 燃料電池
5a アノード
5b カソード
6,8 エアポンプ
9 流量制御弁
10 内燃機関
12 制御部
13 水蒸気分離膜
14 水蒸気流量制御弁
15 バッファ
100 燃料電池システム
2,11 インジェクタ
3 改質器
3a 改質部
3b 燃焼部
4,7 熱交換器
5 燃料電池
5a アノード
5b カソード
6,8 エアポンプ
9 流量制御弁
10 内燃機関
12 制御部
13 水蒸気分離膜
14 水蒸気流量制御弁
15 バッファ
100 燃料電池システム
Claims (8)
- 水蒸気改質反応により炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質手段と、
前記改質ガス中の水蒸気の少なくとも一部を分離する水蒸気分離手段と、
前記水蒸気分離手段により分離された水蒸気を前記改質手段に導入するバイパス手段とを備えたことを特徴とするシステム。 - 前記バイパス手段を流動する水蒸気の流量を調整する流量調整手段と、
前記バイパス手段を流動する水蒸気の流量を調整するように前記流量調整手段を制御する制御手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のシステム。 - 前記バイパス手段に水蒸気を格納するバッファが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のシステム。
- 水素及び酸素により発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池から排出される水分を含むオフガスを前記改質手段へ供給するオフガス供給手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。 - 前記改質ガスの少なくとも一部および/または炭化水素系燃料により駆動する動力部と、
前記動力部の動作に必要な量の前記改質ガスを前記動力部に供給する改質ガス供給手段と、
前記改質手段に前記炭化水素系燃料を供給する燃料供給手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記動力部に供給する前記改質ガス量に応じて前記改質手段への前記炭化水素系燃料供給量を調整するように前記燃料供給手段を制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のシステム。 - 前記制御手段は、前記動力部に前記改質ガスを供給しない場合には前記流量調整手段を全閉制御することを特徴とする請求項5記載のシステム。
- 前記動力部は、内燃機関であることを特徴とする請求項5または6記載のシステム。
- 前記水蒸気分離手段は、ガス中の水蒸気を選択的に透過するイオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
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JP2004293601A JP2006107946A (ja) | 2004-10-06 | 2004-10-06 | 燃料電池システム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR101679710B1 (ko) | 2014-04-21 | 2016-11-25 | 주식회사 엘지화학 | 탄화수소 개질 촉매 페이스트 조성물 및 이를 이용한 개질기 |
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-
2004
- 2004-10-06 JP JP2004293601A patent/JP2006107946A/ja active Pending
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