JP2006100458A - 複合電磁波シールドフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 近赤外線吸収性能も有する複合電磁波シールドフィルタとする為に、透明基材上のメッシュ層の開口部や更にメッシュ層直上に形成する透明樹脂層中に近赤外線吸収剤を含有させ透明樹脂層を紫外線硬化させると近赤外線吸収性能が低下するのを防ぐ。
【解決手段】 透明基材1上に適宜透明接着剤層5等を介して、メッシュ状導電体層2を含むメッシュ層3を積層し、更にメッシュ層側面の少なくともメッシュ層開口部に形成する近赤外線吸収剤を含む透明樹脂層4を、電子線硬化させた電離放射線硬化性樹脂の硬化物として形成する。近赤外線吸収剤には、例えば、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素、ジチオールニッケル系色素等を使う。
【選択図】図1

Description

本発明は、光透過性を有する電磁波シールドフィルタに関し、更に詳しくは光学フィルタ機能として近赤外線吸収性能も有し、特にPDP等のディスプレイ用に好適な電磁波シールドフィルタに関する。
PDP(プラズマディスプレイパネル)、CRT(ブラウン管)ディスプレイ、等の各種ディスプレイから発生する電磁波をシールドする為に、ディスプレイ前面に配置する電磁波シールドフィルタが知られている。この様な用途に用いる電磁波シールドフィルタでは電磁波シールド性能と共に光透過性も要求される。しかし、透明基材の全面にITO(酸化スズインジウム)膜を設けたもの(特許文献1、特許文献2、等参照)では、十分な電磁波シールド性能と十分な透明性との両立が得られない。そこで、樹脂フィルムからなる透明基材に接着剤で貼り合わせた銅箔等の金属箔をエッチングでメッシュ化してメッシュ状導電体層としたもの等が知られている(特許文献3、等参照)。また、金属層等からなるメッシュ状導電体層のみのメッシュ層でも良いが、金属光沢や錆びが気になるので、通常は更にメッシュ状導電体層の表面に防錆層や黒化層等も設けた構成のメッシュ層することも知られている。
更に、ディスプレイの前面に配置する前面フィルタ等では、ディスプレイからの不要な近赤外線放射を抑え赤外線利用機器の誤動作を防ぐ近赤外線吸収性能が求められることがある。また、前面フィルタには軽量、薄さも要求される。この為、実際の前面フィルタに対して、電磁波シールドフィルタが電磁波シールド性能のみを有する場合には、この電磁波シールドフィルタに更に、樹脂フィルムベースの近赤外線吸収フィルタを粘着剤等で積層一体化して、電磁波シールド機能以外の機能を複合化させた、複合電磁波シールドフィルタとする等の工夫がなされている(特許文献3、等参照)。
しかし、更なる、軽さ、薄さ、製造工程簡略化、構成層低減(低コスト化、低ヘイズ化、光透過性向上等につながる)等の点を考慮すると、上記の様な構成は、追加的な別部品として近赤外線吸収フィルタを積層したものは、まだ改善の余地があった。
そこで、追加的な近赤外線吸収フィルタの積層を必要としない構成の、複合電磁波シールドフィルタも提案されている。例えば、反射防止フィルタや前面板等の被着体との積層用の接着剤中や、電磁波シールドフィルタを構成する樹脂層中に近赤外線吸収剤を含有させておくもの等であり、例えば、次の(1)〜(4)様なものが提案されている。
(1)エッチングでメッシュ状導電体層とする銅箔等を透明基材にラミネートし積層する為の接着剤層中、つまり透明基材とメッシュ層との間となる接着剤層に近赤外線吸収剤を含有させたもの(特許文献4)。
(2)上記の様な銅箔ラミネート用の接着剤層がメッシュ開口部で露出した部分が表面粗面となり光透過性が低下するのを防止したり、電磁波シールドフィルタを被着体と接着させたりする等の為に、該開口部を埋める透明化樹脂層中に近赤外線吸収剤を含有させたもの(特許文献4、特許文献5)。
(3)メッシュ層の開口部を埋めてメッシュ層による表面凹凸を平坦化する為の平坦化樹脂層中に近赤外線吸収剤を含有させたもの(特許文献4、特許文献5)。
(4)透明基材とメッシュ層との間の接着剤層に近赤外線吸収剤を含有させ、更にこの接着剤層の樹脂をプラスチック板等の他の被着体との接着にも利用する為に、被着体と重ねて加熱加圧することで前記接着剤層の樹脂を流動化させてメッシュから染み出させてメッシュの開口部を埋め尽くし被着体に接触させて接着したもの(特許文献6)。
特開平1−278800号公報 特開平5−323101号公報 特開2001−210988号公報 特開2002−311843号公報(〔請求項1〕、〔請求項2〕、〔0030〕) 特許第3473110号公報(〔請求項1〕〜〔請求項3〕、〔0014〕) 特開平11−145677号公報(〔請求項6〕、〔0007〕、〔0020〕、〔0024〕)
ところで、近赤外線吸収剤を含有させる樹脂層が、透明基材とメッシュ層間の接着剤層の場合には、溶剤乾燥による体積収縮が気にならないので、ウレタン樹脂等の溶液型の熱硬化性樹脂を用いることができる。一方、該樹脂層が、メッシュ層の開口部を埋める場合の透明樹脂層の場合は、メッシュ層の厚みが厚い為に、平坦化目的等では前記接着剤層に比べて厚く設ける必要がある。その為、該透明樹脂層の樹脂には、無溶剤型での塗工等が可能な点で、紫外線硬化型の樹脂を採用するのが普通である(特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
また、透明基材とメッシュ層間の接着剤層に近赤外線吸収剤を含有させる場合、近赤外線吸収剤が有効に作用するのはメッシュ層開口部での露出部分のみであり、透明基材とメッシュ層間でこれらを接着している部分は、不透明であるメッシュ層の為に、有効に作用しない無駄な領域となる。したがって、その分、無駄な近赤外線吸収剤が使われ、材料費的にも不利である。また、同様に、電磁波シールドフィルタを他の被着体と接着積層させる方の接着剤層に、近赤外線吸収剤を含有させる場合も同じことが言える。そこで、近赤外線吸収剤を含有させる層は、含有させた近赤外線吸収剤が無駄なく使われる領域、つり、メッシュ層の開口部に設ける透明樹脂層が好ましいことなる。
そこで、本発明者らは、開口部を埋める様に形成する透明樹脂層に、紫外線硬化型樹脂を用い、これに近赤外線吸収剤を含有させて、該透明樹脂層を透明化樹脂層や平坦化樹脂層等とする複合電磁波シールドフィルタを作製した。しかし、驚くことに、透明樹脂層を紫外線で硬化させる前の近赤外線吸収性能は、さらに優れていることを発見した。つまり、透明樹脂層に含有させた近赤外線吸収剤本来の性能が、紫外線照射で樹脂を硬化させた後は、十分に発揮されていなかったのである。しかし、だからと言って、紫外線硬化が不要なウレタン樹脂等の溶剤乾燥型の樹脂で形成したのでは、メッシュ層の厚みを完全に埋め尽くし表面を平坦にできる様な厚みまでは形成できない。
以上の如く、本発明の課題は、少なくともメッシュ状導電体層からなるメッシュ層が、透明基材上に積層された電磁波シールドフィルタに対して、更に近赤外線吸収性能を付加する為に、少なくともメッシュ開口部に形成する透明樹脂層中に近赤外線吸収剤を含有させて複合電磁波シールドフィルタとした場合に、該透明樹脂層の紫外線硬化時に起こる近赤外線吸収剤の性能低下を防ぐことである。
上記課題を解決すべく、本発明では、電磁波シールド性能と近赤外線吸収性能を有する複合電磁波シールドフィルタにおいて、透明基材上に、メッシュ状導電体層を含むメッシュ層が積層され、更に、透明基材にメッシュ層が積層された側の面の少なくともメッシュ層の開口部を含む面には近赤外線吸収剤を含む透明樹脂層が積層され、且つ該透明樹脂層が電離放射線硬化性樹脂を電子線で硬化させた硬化物からなる構成とした。
この様な構成とすることで、近赤外線吸収剤を含有する透明樹脂層は、その樹脂に電離放射線硬化性樹脂を採用してあるので厚く形成できる無溶剤塗工も可能である上、しかも、紫外線で硬化させずに電子線で硬化させてある為に、該樹脂の硬化前後で近赤外線吸収剤の近赤外線吸収性能の低下も起こさず、近赤外線吸収剤本来の性能が得られる。しかも、近赤外線吸収剤を含有させる層は、透明基材とメッシュ層との間に介在させこれらを接着積層させる透明接着剤層では無い為に、透明基材とメッシュ層との間でメッシュ層に隠れてその部分の近赤外線吸収剤を無駄することもない。また、近赤外線吸収剤を含有させる透明樹脂層の形成位置は、光透過性を実現するメッシュの開口部の部分のみでも良いので、必要最小限の無駄の無い近赤外線吸収剤の使用も可能である。
また、本発明の複合電磁波シールドフィルタでは、上記構成に於いて、近赤外線吸収剤として、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素、ジチオールニッケル系色素の1種又は2種以上を含む、構成は好ましい構成である。
上記特定の色素を用いれば、市販品としての色素の入手も容易で、容易に所望の性能の複合電磁波シールドフィルタを実現できる。
本発明の複合電磁波シールドフィルタによれば、近赤外線吸収性能を付与する為に近赤外線吸収剤を含有する透明樹脂層を、メッシュ層による表面凹凸を平坦化できる様な厚い厚みに容易にできる電離放射線硬化性樹脂を採用して形成しても、該透明樹脂層形成時に近赤外線吸収性能の低下が起きず、近赤外線吸収剤本来の性能が得られる。しかも、透明樹脂層はメッシュ開口部のみの形成でも良いので、必要最小限の無駄の無い近赤外線吸収剤の使用も可能となる。また、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素、ジチオールニッケル系色素を近赤外線吸収剤に用いれば、市販品としての入手も容易である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態を説明する。
先ず、図1は本発明による複合電磁波シールドフィルタについて、基本的な形態例として2例を示す断面図である。
図1(A)の複合電磁波シールドフィルタ10は、最も基本的な形態であり、透明基材1上に少なくともメッシュ状導電体層2を含むメッシュ層3が積層され、更に、該メッシュ層3の直上及びその開口部を含めた全面に、電子線で硬化させた電離放射線硬化性樹脂からなり近赤外線吸収剤を含有する透明樹脂層4が積層された、構成である。
図1(B)の複合電磁波シールドフィルタ10は、図1(A)の構成に対して更に、透明基材1とメッシュ層3間に、該メッシュ層3の開口部の領域も含めて透明基材1上の全面に透明接着剤層5を有する構成である。
〔概要〕
本発明の複合電磁波シールドフィルタは、少なくともメッシュ状導電体層からなるメッシュ層が透明基材に積層され、且つ該メッシュ層の開口部に透明樹脂層が充填されている従来の電磁波シールドフィルタに対して、その透明樹脂層を電子線で硬化させた電離放射線硬化性樹脂の樹脂層とした上で近赤外線吸収剤を含有させることで、電磁波シールド性能と共に、近赤外線吸収性能も付与して、機能の複合化を図った点に特徴を有する複合電磁波シールドフィルタである。
透明基材上のメッシュ状導電体層等からなるメッシュ層の形成法は限定されるものではなく、従来公知の各種方法を適宜採用すれば良い。例えば、そのメッシュ状導電体層の形成法について述べれば、透明基材に透明接着剤層を介して金属箔を貼合せた後、エッチングでメッシュ状に開口部を形成する方法等は代表的である。また、上記透明樹脂層は、それを接着層と兼用させて、近赤外線吸収フィルタ以外のその他の光学フィルタ、例えば、反射防止フィルタ、防眩フィルタ、色調整フィルタ等、或いは、保護フィルム、ディスプレイ自体の構成部品である前面基板等の光学物品等の、用途に応じた機能を付与する為の機能層を被着体として、該被着体と接着積層させる為の層として機能させても良い。なお、これら機能層は、透明樹脂層上に別の接着剤層を介して積層しても良い。該接着剤層は従来公知の接着剤を適宜採用すれば良い。
以下、本発明の複合電磁波シールドフィルタについて、透明基材1から、各層毎に順に説明する。
〔透明基材〕
透明基材1は、一般的に機械的強度が弱いメッシュ層を補強する為の層である。従って、機械的強度と共に光透過性を有すれば、その他、耐熱性、絶縁性等も適宜勘案した上で、用途に応じたものを選択使用すれば良い。透明基材の具体例としては、例えば、樹脂板、樹脂シート(乃至はフィルム、以下同様)、ガラス板等である。
樹脂板、樹脂シート等として用いる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、これら樹脂は、樹脂材料的には、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、また層的には、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂シートの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸シートが機械的強度の点でより好ましい。
また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
また、ガラス板のガラスとしては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラスなどがあり、より好ましくは熱膨脹率が小さく寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラス等が挙げられ、ディスプレイの前面基板等とする電極基板と兼用することもできる。
なお、透明基材の厚さは、用途に応じたものとすれば良く特に制限は無く、透明樹脂から成る場合は、通常12〜1000μm程度であるが、好ましくは50〜700μm、より好ましくは100〜500μmが望ましい。一方、透明基材がガラス板である場合には、通常1〜5mm程度が好適である。いずれの材料に於いても、上記未満の厚さとなると機械的強度が不足して反りや弛み、破断などが起こり、上記を超える厚さとなると過剰性能でコスト高となる上、薄型化が難しくなる。
なお、透明基材としては、これらの無機材料、有機材料等からなる、シート(乃至はフィルム)、板などが適用でき、また、透明基材は、前面基板及び背面基板等からなるディスプレイ本体の一構成要素である前面基板と兼用しても良いが、前面基板の前に配置する前面フィルタとして複合電磁波シールドフィルタを用いる形態では、薄さ、軽さの点で、板よりもシートの方が優れており、また割れない等の点でも、ガラス板よりも樹脂シートが優れていることは言うまでもない。
また、複合電磁波シールドフィルタを連続的に製造し生産性を向上できる点では、透明基材は、メッシュ状導電体層形成等の少なくとも製造初期の段階に於いては、連続帯状のシートの形態で取り扱うのが好ましい。
この様な点で、透明基材としては樹脂シートが好ましい材料であるが、樹脂シートのなかでも、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂シート、セルロース系樹脂シートが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレートシートが最適である。なお、透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光線透過率で80%以上となる光透過性が良い。
なお、樹脂シート等の透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
〔メッシュ層:メッシュ状導電体層〕
メッシュ状導電体層2は、電磁波シールド機能を担う層であり、またそれ自体は不透明性であっても、メッシュ状の形状で開口部が存在することにより、電磁波シールド性能と光透過性を両立させており、メッシュ状の形状をしているメッシュ層3の必須の層である。なお、メッシュ層3には、メッシュ状導電体層2以外にも、メッシュ層の形状的特徴の元となるメッシュ状導電体層が有するメッシュ状の形状が維持される点で、後述する防錆層6や黒化層7等も、メッシュ層の構成層として捉える。従って、図1の断面図では、メッシュ層3としては必須のメッシュ状導電体層2のみ符号的に明示した例であるが、必要に応じ設ける防錆層や黒化層を有する場合のメッシュ層も含めた概念的な図面である。
メッシュ状導電体層2のメッシュ状としての形状は、任意で特に限定されないが、そのメッシュの開口部の形状として、正方形が代表的である。開口部の形状は、例えば、正三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、台形等の四角形、六角形、等の多角形、或いは、円形、楕円形などである。メッシュはこれら形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は通常幅均一のライン状のライン部となり、通常は、開口部及び開口部間は全面で同一形状同一サイズである。具体的サイズを例示すれば、開口率及びメッシュの非視認性の点で、開口部間のライン部の幅は25μm以下、好ましくは20μm以下が良い。また、開口部サイズは〔ライン間隔或いはラインピッチ〕−〔ライン幅〕であるが、この〔ライン間隔或いはラインピッチ〕で言うと150μm以上、好ましくは200μm以上とするのが、光透過性の点で好ましい。
なお、バイアス角度(メッシュのライン部と複合電磁波シールドフィルタの外周辺との成す角度)は、ディスプレイの画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレが出難い角度に適宜設定すれば良い。
また、複数の開口部を有する領域(メッシュ部3A)は、少なくとも光透過性が必要な領域であれば良く、従って全面でなくても良い。その一例として、図2の平面図で例示する如く、四角形の複合電磁波シールドフィルタ10の4辺周囲の画像表示に影響しない部分を額縁状に、開口部無しのままにした額縁部3Bとして、その内側のみに複数の開口部を有するメッシュ部3Aとする形態が挙げられる。額縁部はアースを取るのに利用できる。なお、額縁部3Bは全周囲でなくても、一辺のみ等でも良い。また、額縁部の一部領域或いは全領域はアースが取り易い様に露出させるのが好ましく、この為には、透明樹脂層等のメッシュ層上に設ける層は、額縁部では露出された部分が残る様にメッシュ部3A、乃至はメッシュ部3Aから一部額縁部3Bにかかる様に設けると良い。
メッシュ状導電体層2は、一般的には金属箔のエッチングで形成した物が代表的であるが、これ以外のものでも、電磁波シールド性能に於いては意義を有する。従って、本発明では、メッシュ状導電体層の材料及び形成方法は特に限定されるものでは無く、従来公知の光透過性の電磁波シールドフィルタに於ける各種メッシュ状導電体層を適宜採用できるものである。例えば、印刷法やめっき法等を利用して透明基材上に最初からメッシュ状の形状でメッシュ状導電体層を形成したもの、或いは、最初は透明基材上に全面に、めっき法で導電体層を形成後、エッチング等でメッシュ状の形状にしてメッシュ状導電体層としたもの等でも構わない。
例えば、メッシュ状導電体層のメッシュ形状をエッチングで形成する場合は、透明基材に積層した金属層をエッチングでパターンニングして開口部を空けてメッシュ状にすることで形成できる。透明基材に金属層を積層するには、金属箔として用意した金属層を接着剤で透明基材にラミネートしたり、或いはラミネート用接着剤は用いずに、金属層を蒸着、スパッタ、めっき等の1或いは2以上の物理的或いは化学的形成手法を用いて透明基材上に積層したりすることもできる。なお、エッチングによるメッシュ状導電体層は、透明基材に積層前の金属箔単体をエッチングでパターンニングしてメッシュ状のメッシュ状導電体層とすることも可能である。この層単体のメッシュ状導電体層は、接着剤等で透明基材に積層する。これらのなかでも、機械的強度が弱いメッシュ状導電体層の取扱が容易で且つ生産性にも優れる等の点で、金属箔を接着剤で透明基材に積層した後、エッチングでメッシュ状に加工して、透明基材上に接着剤を介して積層された形態となる、メッシュ状導電体層が望ましい。
メッシュ状導電体層は、電磁波シールド性能を発現するに足る導電性を有する物質であれば、特に制限は無いが、通常は、導電性が良い点で金属層が好ましく、金属層は上記の如く、蒸着、めっき、金属箔ラミネート等により形成することができる。金属層乃至は金属箔の金属材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等が挙げられる。また金属層の金属は合金でも良く、金属層は単層でも多層でも良い。例えば、鉄の場合には、低炭素リムド鋼や低炭素アルミキルド鋼などの低炭素鋼、Ni−Fe合金、インバー合金、等が好ましい。一方、金属が銅の場合は、銅や銅合金となるが、銅箔としては圧延銅箔や電解銅箔があるが、薄さ及びその均一性、黒化層との密着性等の点からは、電解銅箔が好ましい。
なお、金属層による導電体層の厚さは、1〜100μm程度、好ましくは5〜20μmである。厚さがこれより薄くなり過ぎると電気抵抗上昇により十分な電磁波シールド性能を得難くなり、厚さがこれより厚くなり過ぎると高精細なメッシュ形状が得難くなり、開口率低下により光透過性や、メッシュ側面が邪魔してディスプレイの視野角が低下する。
また、メッシュ状導電体層となる金属層の表面は、透明接着剤層等の隣接層との密着性向上の為に粗面である事が好ましい。例えば、銅箔の場合、黒化処理による黒化層の形成と同時にその表面(黒化層の表面)に粗面が得られる。なお、その粗面の程度は、10点平均粗さRz〔JIS−B0601準拠(1994年版)〕で、0.1〜10μm程度が良く、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは0.5〜1.5μmである。粗さがこれ未満では、粗面化の効果が十分に得られず、またこれより大きくなると、接着剤やレジスト等の塗布時に気泡を抱き込んだりし易くなる。
〔メッシュ層:防錆層〕
メッシュ層3はメッシュ状導電体層2だけでも良いが、金属層からなるメッシュ状導電体層は製造時、取扱時等に錆びて変質し電磁波シールド性能の低下を来すことがあるので、錆びを防ぐ必要がある場合には、防錆層6でメッシュ状導電体層の表面を被覆すると良い。また、後述する黒化層が錆び易い場合には、黒化層も含めて被覆するのが好ましい。防錆層の被覆は、メッシュ状導電体層の表面、裏面、側面の各面のうち必要な1以上の面の中から製造コスト等を勘案して選んだ面について行えば良い。従って、防錆層の被覆は、表面だけ、裏面だけ、表裏両面〔例えば図3(A)参照〕、側面(両側或いは片側)だけ、表面と両側面、裏面と両側面、表裏両面と両側面等である。
なお、本明細書にて、「表面」とは、注目層(ここではメッシュ状導電体層、透明樹脂層等も同様)の透明基材から遠い方の面(図面上方の面、透明基材ではその図面上方の面)、「裏面」とは該注目層の透明基材に近い方の面(図面下方の面、透明基材ではその図面下方の面)、「側面」とは表面と裏面とを連結する面(図面左右方向に向いた面)を言うことにする。また、ディスプレイ用途等に適用した場合に於いて、観察者側の面が常に本発明で定義する表面では無く裏面の場合もあり得る。
防錆層は、それで被覆するメッシュ状導電体層よりも錆び難いものであれば、金属等の無機材料、樹脂等の有機材料、或いはこれらの組合せ等、特に限定されるものではない。また場合によっては、黒化層をも防錆層で被覆することで、黒化層の粒子の脱落や変形を防止し、黒化層の黒さを高めることもできる。この点では、メッシュ状導電体層を金属箔で形成する場合、透明基材上の金属箔に黒化処理で黒化層を設けておく場合には、該黒化層の脱落や変質防止の意味で、透明基材と金属箔との積層前に設けておくのが好ましい。
防錆層6は、従来公知のものを適宜採用すれば良く、例えば、クロム、亜鉛、ニッケル、スズ、銅等の金属乃至は合金、或いは金属酸化物の金属化合物の層等である。これらは、公知のめっき法等で形成できる。ここで、防錆効果及び密着性等の点で好ましい防錆層の一例を示せば、亜鉛めっきした後、クロメート処理して得られるクロム化合物層が、挙げられる。また、このクロム化合物層による防錆層は、後述する銅−コバルト合金粒子層からなる黒化層、及び透明接着剤層5(特に2液硬化型ウレタン樹脂系の接着剤)との密着性にも優れる。
なお、クロムの場合はクロメート(クロム酸塩)処理等でもよい。なお、クロメート処理は、処理面にクロメート処理液を接触させて行うが、該接触は、ロールコート、カーテンコート、スクイズコート、かけ流し法(以上片面接触)等の塗布法の他、静電霧化法、浸漬法等によれば両面接触も可能である。また、接触後は水洗せずに乾燥すればよい。なお、クロメート処理液にはクロム酸を含む水溶液を通常使用し、具体的には、「アルサーフ(登録商標)1000」(日本ペイント株式会社製)、「PM−284」(日本パ−カライジング株式会社製)等の処理液を利用できる。
また、クロメート処理は、該処理前に亜鉛めっきするのが、密着性、防錆効果の点で好ましい。また、防錆層中には、エッチングや酸洗浄時の耐酸性向上の為に、シランカップリング剤等のケイ素化合物を含有させることもできる。
なお、防錆層の厚さは通常0.001〜10μm程度、好ましくは0.01〜1μmである。
〔メッシュ層:黒化層〕
黒化層7により、ディスプレイの明室時の画像のコントラストを向上できる。なお、黒化層の中には、上述した如く該層表面が粗面となり密着強化を図れるものもある。黒化層はディスプレイ画像のコントラスト向上の点では、観察者から見えるメッシュ層(メッシュ状導電体層自体、或いは防錆層等形成済みのメッシュ状導電体層)の全ての面に設けることが好ましいが、そのうち、表面、裏面、側面の各面のうち1以上の面に設ければ相応の効果が得られる。従って、設ける面は、本複合電磁波シールドフィルタとディスプレイとの配置関係にもよるが、表面だけ、裏面〔例えば図3(A)参照〕だけ、表裏両面、側面(両側或いは片側)だけ、表面と両側面〔例えば図3(B)参照〕、裏面と両側面、表裏両面と両側面等である。
いずれにしても、黒化層としては、黒等の暗色を呈する層であれば良く、密着性等の基本的物性を満足するものであれば良く、公知の黒化層を適宜採用し得る。
従って、黒化層としては、金属等の無機材料、黒着色樹脂等の有機材料等を用いることができ、例えば無機材料としては、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物の金属化合物等の金属系の層として形成する。金属系の層の形成法としては、従来公知の各種黒化処理法を適宜採用できる。なかでも、めっき法による黒化処理は密着性、均一性、容易性等で好ましい。めっき法の材料は、例えば、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、スズ、クロム等の金属や金属化合物等を用いる。これらは、密着性、黒さ等の点でカドミウム等による場合よりも優れている。
なお、メッシュ状導電体層が銅箔等、銅による場合、黒化層形成の為の黒化処理として好ましいめっき法には、銅からなるメッシュ状導電体層(メッシュ状とする前に行うのであればその前の導電体層)を、硫酸、硫酸銅及び硫酸コバルト等からなる電解液中で、陰極電解処理を行いカチオン性粒子を付着させるカソーディック電着めっき法がある。この方法によれば、カチオン性粒子の付着で黒色と同時に粗面も得られる。カチオン性粒子としては、銅粒子、銅合金粒子を採用できる。銅合金粒子としては、銅−コバルト合金粒子が好ましく、更にその平均粒子径は0.1〜1μmが好ましい。銅−コバルト合金粒子により、銅−コバルト合金粒子層からなる黒化層が得られる。カソーディック電着法では、付着させるカチオン性粒子の平均粒子径0.1〜1μmに揃えられる点でも好ましい。平均粒子径が上記範囲超過では、付着粒子の緻密さが低下し黒さの低下やムラが起こり、粒子脱落(粉落ち)が発生し易くなる。一方、平均粒子径が上記範囲未満でも、黒さが低下する。なお、カソーディック電着法は処理を高電流密度で行うことで、処理面がカソーディックとなり、還元性水素発生で活性化し、銅面とカチオン性粒子との密着性が著しく向上する。
また、黒化層として、黒色クロム、黒色ニッケル、ニッケル合金等も好ましく、該ニッケル合金としては、ニッケル−亜鉛合金、ニッケル−スズ合金、ニッケル−スズ−銅合金である。特に、ニッケル合金は黒色度合いと導電性が良い上、黒化層に防錆機能も付与でき(黒化層兼防錆層となる)、防錆層を省略することもできる。しかも、通常、黒化層の粒子は針状のために、外力で変形して外観が変化しやすいが、ニッケル合金による黒化層では粒子が変形し難く、後加工工程で外観が変化し難くい利点も得られる。なお、黒化層として、ニッケル合金の形成方法は、公知の電解または無電解メッキ法でよく、ニッケルメッキを行った後に、ニッケル合金を形成してもよい。
〔透明接着剤層〕
透明接着剤層5は、メッシュ状導電体層2から少なくとも構成されるメッシュ層3を、透明基材1に接着固定するものであり、メッシュ状導電体層の形成法次第では不要で省略可能な層でもある。透明接着剤層5が必要となるメッシュ状導電体層を例示すれば、メッシュ状導電体層となる金属箔を透明基材に接着剤で接着固定する場合である。この場合、金属箔を透明基材に接着する接着剤としては、メッシュ状導電体層からなるメッシュ層の開口部から見える該接着剤が光透過性を損なわない様に、透明な接着剤を用いる必要がある。特に、金属箔を透明基材に積層してからエッチングで開口部を設けてメッシュ状に加工する場合には、該開口部の全領域で接着剤が露出するので接着剤の透明性が要求される。従って、金属箔によるメッシュ状導電体層2は、透明な接着剤からなる透明接着剤層を介して透明基材に積層されている構成が好ましい。
なお、金属箔と透明基材との具体的な積層方法としては、特に限定されるものでは無く公知の積層法が適宜採用されるが、透明基材がそのなかでも代表的な樹脂シートである場は、ドライラミネーション法が一般的である。
透明接着剤層に用いる透明な接着剤も、特に限定されるものでは無く公知の接着剤を適宜採用すれば良い。例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられ、なかでも、ウレタン系接着剤が接着力等の点で好ましい。なお、この様なウレタン系接着剤としては、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤等があり、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の各種ヒドロキシル基含有化合物と、トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等の各種ポリイソシアネート化合物を含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤である。
なお、透明接着剤層は、透明な接着剤を、金属箔(メッシュ状とする前のものが良い)、透明基材の、何れか又は両方に公知の形成方法により施した後、これらを積層することで形成される。該塗工法としては、例えば、ロールコート、コンマコート、グラビアコート等の塗工法、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法が挙げられる。なお、透明接着剤層の厚み(乾燥時)は特に制限は無いが、通常0.1〜20μmであるが、接着力、コスト、作業性等の点でより好ましくは1〜10μmである。
〔透明樹脂層〕
透明樹脂層4は、複合電磁波シールドフィルタとして近赤外線吸収機能を付与する層である。この透明樹脂層は、電離放射線硬化性樹脂の電子線硬化物からなるマトリックス中に近赤外線吸収剤を含有させた透明な樹脂層である。なお、近赤外線とは、可視光領域に隣接し可視光よりも長波長側の光線であり、本発明で注目する近赤外線とは、波長780〜1100nm程度の光線のことである。また、近赤外線吸収性能としては、該780〜1100nmの波長領域にて、平均して、少なくとも50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、吸収するのが望ましい。
透明樹脂層の形成は、近赤外線吸収剤を添加した透明な電離放射線硬化性樹脂組成物を、塗工法等の公知の層形成手段で未硬化物層として形成した後、該未硬化物層に電子線を照射して樹脂を硬化させて硬化物層とすれば、形成できる。なお、上記電離放射線樹脂組成物中には、必要に応じ、希釈溶媒、安定剤等の公知の各種添加剤を適宜添加しても良い。
なお、上記塗工法としては、例えば、ロールコート、コンマコート、グラビアコート、カーテンコート、スクイズコート、かけ流し法、静電霧化法、浸漬法等が挙げられる。また、任意形状で部分形成可能な層形成手段として、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法でも良い。
近赤外線吸収剤としては、近赤外線領域は吸収するが、可視光領域の吸収がなるべく少なく、また吸収が有ってもなるべく可視光領域で均一なものが好ましい。この様な近赤外線吸収剤としては、耐熱性、経時的安定性、溶解性等の諸特性も必要に応じ配慮しながら、公知のものを適宜選んで使用すれば良い。例えば、次の(1)〜(6)等の色素が挙げられる。
(1)フタロシアニン系色素(特開平8−120186号公報、特開平9−279125号公報、特開2002−123180号公報、等参照)、
(2)ジイモニウム塩系色素(特開平5−178808号公報、特開平5−295967号公報、特開平9−310031号公報、特開2003−096040号公報、等参照)、
(3)ジチオールニッケル系色素等のジチオール金属錯体系色素(特開昭57−21458号公報、特開昭61−32003号公報、特開昭62−187302号公報、特公昭61−32003号公報、特開昭61−32003号公報、特開2003−139946号公報、等参照)、
(4)ナフタロシアニン系色素(特開平10−78509号公報、特開平11−133868号公報、特開2002−123180号公報、等参照)、
(5)アントラキノン系色素(特開昭60−43605号公報、特開昭61−115958号公報、特開昭61−291651号公報、特開昭62−132963号公報、特開平1−172458号公報等参照)、
(6)アミニウム塩系色素(特開昭60−236131号公報および特開平4−174403号公報等参照)。
これらのなかでも、代表的な近赤外線吸収剤は、(1)フタロシアニン系色素、(2)ジイモニウム塩系色素、(3)に於ける金属がニッケルであるジチオールニッケル系色素等である。これらは、市販品としての入手も比較的容易であり、所望の近赤外線吸収性能の複合電磁波シールドフィルタの製造が容易にできる等の利点がある。
なお、近赤外線吸収剤は、2種以上を併用しても良い。例えば、ジイモニウム系色素は、特に、紫外線硬化と電子線硬化との差異が大きく現れる色素であり、電子線硬化の効果、利点が大きい。但し、プラズマディスプレイ用途に於いては、複合電磁波シールドフィルタに要求される近赤外線の波長帯域780〜1100nmのうち、長波長域900〜1100nm(この帯域は、紫外線、電子線ともに性能低下し難いフタロシアニン系色素ではカバー不能な帯域でもある)用の色素は、紫外線硬化の場合は、ジイモニウム系色素以外のものを選ぶ必要が有ったが、近赤外線吸収性能の低下の少ない電子線硬化を採用することによって、ジンモニウム色素は勿論、ジチオールニッケル系等の各種色素を幅広く近赤外線吸収剤として選択出来る。
また、透明樹脂層は2層以上の多層構成でも良く、多層の場合では層毎に近赤外線吸収剤の種類や併用割合、含有量等を変えても良い。近赤外線吸収剤の含有量は、要求特性、透明樹脂層の厚み等に応じて適宜決めれば良いが、例えば、透明樹脂層の樹脂分全量に対して0.1〜10質量%である。なお、透明樹脂層は電子線硬化させる樹脂組成物で形成するので、厚くできる関係上、溶解性が小さい近赤外線吸収剤でも、層の厚みで必要濃度を稼げる利点もある。
一方、電離放射線硬化性樹脂としては、電子線照射により硬化可能な公知の樹脂組成物を用いることができ、具体的には、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した組成物が好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用いる。
上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からなる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも挙げられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。また、以下の(メタ)アクリレートも同様に、アクリレート又はメタクリレートの意味である。また、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物を総称して、単にアクリレート(化合物)、アクリレート系化合物等とも呼ぶ。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等のアクリレート系プレポリマー等が使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、アクリレート系モノマーの場合で例示すれば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のアクリレート系モノマー、(メタ)アクリルアミド等がある。また、多官能モノマーとして、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等の2官能モノマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の多官能モノマー等がある。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。
チオールとしては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等がある。
なお、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、70〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射し、照射線量は通常5〜300kGy程度が好ましい。
ところで、透明樹脂層の樹脂に電離放射線硬化性樹脂を用いるのは、無溶剤塗工が可能で溶剤乾燥省略により生産性等に優れ、また、溶剤を或る程度含有させたとしても無溶剤塗工に近い塗工が可能で、塗膜形成時の溶剤乾燥による大きな体積収縮を防げるからである。しかも、厚塗りが出来るので、透明基材上に積層されたメッシュ層の開口部での凹部を埋めて表面を平面に近づける平坦化が容易で、該凹部を完全に埋め尽くして、透明樹脂層の表面では完全な平面にすることも容易である為である。このような平坦化により、複合電磁波シールドフィルタに対してその透明樹脂層上に、或いは複合電磁波シールドフィルタに於いてその透明樹脂層上に、更に別のフィルタや前面板等のディスプレイ自体の構成部品等の機能層と、適宜接着剤等を用いて積層する場合に、接着面の凹凸によって気泡が抱込まれるの防ぐ効果も得られる。このような平坦化の機能を透明樹脂層に持たせることで、透明樹脂層に従来技術欄で述べた平坦化樹脂層を兼用させることもできる。
また、透明樹脂層は、メッシュ層の少なくとも開口部に設ける関係上、メッシュ層が透明基材に該透明基材上の全面の透明接着剤層によって積層され、前記開口部で露出する該透明接着剤層の面が粗面で光透過性が低下する場合には、それを防ぐ透明化樹脂層として機能させることもできる。
以上の如き透明樹脂層の形成に際して、その樹脂として用いる電離放射線硬化性樹脂の硬化手段に電子線を採用することで、理由は定かではないが、紫外線硬化の場合に認められた近赤外線吸収性能の樹脂硬化前後での低下を防げる。
従来、メッシュ層の開口部を埋める様にして使う平坦化樹脂層や透明化樹脂層等とする場合の透明樹脂層としては、メッシュ層が厚い為に、塗膜形成時の溶剤乾燥による体積収縮が大きく厚く形成し難い溶剤乾燥型の樹脂(例えばウレタン樹脂等)は不利であり、この点で電離放射線硬化性樹脂、それも樹脂硬化手段として安価で手軽な紫外線ランプが使用できる点で、紫外線硬化型の樹脂が使用されるのが一般的であった。そして、この様な紫外線硬化型の電離放射線硬化性樹脂に近赤外線吸収剤を含有させて紫外線硬化させれば、一応、近赤外線吸収剤機能は付与できた。しかし、驚くべきことに、樹脂硬化前の塗膜では硬化後に比べて近赤外線吸収性能が更に優れ、つまり、樹脂硬化時に該吸収性能が低下していることを発見した。そこで、その改善策を鋭意研究した結果、硬化装置的には紫外線よりも高価となるが、電子線硬化の採用で樹脂硬化時の近赤外線吸収性能の低下を防げることを見出し、本発明に至ったものである。
透明樹脂層の表面は基本的には、平坦面、非平坦面のいずれでも良く、図1、図3の各図面で例示した透明樹脂層4は、その表面(図面上側の面)がメッシュ層3の開口部領域も非開口部領域も含めて連続した平坦面で描いてある。メッシュ層3の非開口部領域上にも透明樹脂層がある形態である。
透明樹脂層は、ディスプレイから放射される近赤外線を吸収する為には、該近赤外線が複合電磁波シールドフィルタを通過する部分であるメッシュ層の開口部に存在すれば良く、従って、透明樹脂層は少なくとも該開口部に形成すれば足りる。また、近赤外線吸収性能の点では表面は非平面でも良い。この様な観点から、透明樹脂層の存在位置及びその表面凹凸状態の他の形態例の幾つかを概念的に例示したのが、図4の断面図である。
図4(A)及び(B)は、透明樹脂層4の表面が平坦面の形態であり、図4(C)は非平坦面の形態である。また、図4(A)及び(B)は、透明樹脂層4がメッシュ層3の開口部のみに存在し非開口部上(メッシュ層直上)には存在しない形態でもある。
また、図4(A)は、透明樹脂層4が開口部を完全には埋め尽くさず、複合電磁波シールドフィルタ10全体としの表面では開口部が凹部となった形態である。また、この図4(A)は、開口部内に存在する透明樹脂層4自体の表面は平坦面の形態であるが、実際上は、塗工液の流動特性によって、開口部の凹部中心部が深い様な非平坦面となるのが普通である。
また、図4(B)は、透明樹脂層4がメッシュ層3の開口部を完全に埋め尽くし且つメッシュ層の高さと同一高さまで埋め尽くして、メッシュ層の非開口部と透明樹脂層の表面とは段差の無い連続した平坦面となった形態である。
また、図4(C)は、透明樹脂層4がメッシュ層3の開口部と共にその非開口部上の全領域にも存在するが、メッシュ層の開口部では若干凹部となって、開口部の凹部形状が表面に残った形態である。
なお、図1や図3等では、透明樹脂層4の表面は完全な平坦面となっているが、これら図面は層構成を例示する概念的なものであり、該表面は(図面の様に)平坦面の事もあるし、凹凸面であることもあり、これらを包含した形で平坦面として描画したものである。
但し、透明樹脂層の表面は、凹凸面であると、それによって透明樹脂層の表面(他層を更に密着積層する場合は該他層との界面)で、開口部を通過した光の進路が曲げられという光学特性の点では、平坦面の方が好ましい。また、平坦面を容易に形成できる点では、開口部のみに透明樹脂層を設ける形態でも、図4(B)の様にメッシュ層と同じ厚みの形態、図1や図3の様にメッシュ層の非開口部上にも透明樹脂層を設けてしまう形態、が好ましい。
なお、平坦面とは鏡面でも良いが鏡面で無くても良い。平坦面とは、少なくともメッシュ層の厚みの面(水平)方向分布に応じた(開口部は低く谷部となり非開口部は高く山部となる様な)凹凸が無く、またその様な凹凸、或いはその他の凹凸があったとしても、その表面に更に別の被着体を接着剤等を用いて積層する場合には、間に残留気泡を生じ無い程度の平面性があり、ディスプレイ用途に於いてはディスプレイ画像の歪曲や、光散乱による曇り(ヘイズ)等を生じ無い程度の平面性であれば良い。従って、平坦面でも、例えばメッシュ層に応じた緩慢な凹凸面で且つそれが鏡面やマット面である場合もあるし、メッシュ層に応じた緩慢な凹凸も急峻な凹凸も無く平坦であるが、細かいマット状の微細凹凸があるマット面である場合もある。つまり、平坦面と鏡面とは別の概念であり、鏡面と非鏡面は、平坦面と非平坦面よりも細かい微凹凸による区分である。
なお、表面をマット面とすると、ピラミッド現象(可撓性のシート状とした複合電磁波シールドフィルタを、ロール状に巻取る際に、透明樹脂層の表面が鏡面だと、フィルタの層間に巻き込まれた空気が脱出出来ずに気泡として残留し、それらが巻取り時の張力によって該フィルタに圧入されて、該フィルタの表面にピラミッド状外観の微小突起欠点が生じること。)防止、別の被着体と接着積層時の層間密着性向上等の利点が得られ、また、表面の微細凹凸により、層間界面で屈折率段差がある場合はそれを実質的に滑らかにして界面での不要な光反射を防止しても良い。
なお、透明樹脂層の厚みは、近赤外線吸収性能、近赤外線吸収剤含有量、透明樹脂層形成時の塗膜塗工適性、表面平坦化適性等に応じて適宜な厚みとすれば良く、特に制限は無い。例えば、近赤外線吸収性能のみ(或いは更に開口部から露出した透明接着剤層粗面に対する透明化機能)に、着目するのであれば、開口部のみに設け、それも開口部を完全に埋め尽くす必要はない。従って、例えば1μm以上とすれば良い。但し、要求される一定の近赤外線吸収性能を満足するには、厚みが薄くなる程、近赤外線吸収剤の透明樹脂層中での含有量(割合)を大きくする必要はある。また、平坦化樹脂層も兼ねるのであれば、或いは、メッシュ層の全面に亙って平坦な表面を得る為には、図1に例示の様にメッシュ層の非開口部上も含めて透明樹脂層を形成してしまうのが容易であり、この様な場合では、透明樹脂層の厚みは、メッシュ層の開口部と非開口部では異なりメッシュ層の開口部ではメッシュ層の厚みの分だけ厚くなる。この場合、メッシュ層の非開口部上を透明樹脂層で確実に覆うには、例えばその部分が1μm以上となる様にすると良い。但し、いずれの場合でも、厚みが厚過ぎると、コスト高等となるので、最も厚い部分でも100以下(メッシュ層の厚みも含む)とするのが好ましい。
透明樹脂層の表面を、平坦面、マット面、鏡面等と所望の凹凸形状とするには、賦形シートを利用しても良い。賦形シートの利用方法は、例えば、透明基材上に積層されたメッシュ層の上から、透明樹脂層を形成する為の塗液を施して塗膜が液状であるうちに、塗膜表面に賦形シートを被せて、該表面に賦形シートの面を賦形し、塗膜が固化する等、塗膜表面に賦形された表面形状が維持される状態になった後、賦形シートを剥がせば、透明樹脂層の表面を所望の表面形状とすることができる。或いは、塗膜が固化後でも加熱により塑性変形する状態が発現するならば、固化後でも賦形シートを被せて加熱加圧して賦形した後、賦形シートを剥がしても良い。なお、通常は、賦形シートを剥がす前に電子線で樹脂を硬化させて固化させ、その後賦形シートを剥がす。
なお、賦形シートは透明樹脂層が硬化後も剥がさずに付けたまま、製品として出荷し、客先で剥がすような、保護シートとして使うこともできる。
賦形シートとしては、平坦面等、表面を所望の表面形状に賦形でき、また、透明樹脂層の塗膜と離型性を有するものであれば特に制限は無く、適宜な材料を選択使用すれば良い。なお、透明樹脂層とする電離放射線硬化性樹脂組成物を、賦形シート側から電子線照射して硬化させるのであれば、電子線に対して透過性を有するものを選ぶと良い。この様な材料としては、各種樹脂シートからなるものが挙げられる。
上記樹脂シート樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネートなどの樹脂が挙げられる。これらのなかでも、通常、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリノルボネンなどのポリオレフィン系樹脂が、平坦性、強度、離型性、電子線透過性、耐熱性やコスト面から好適な樹脂である。また、機械的強度の点では、1軸延伸、2軸延伸等の延伸シートが好ましい。具体例を挙げれば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートが最適である。なお、樹脂シートの厚みは10〜1000μm程度である。
また、賦形シートの賦形面は、平坦面、鏡面の他、凹凸面とするには、樹脂シートの賦形面とする表面をエンボス加工、型押し加工、樹脂シート中への粒子添加、ケミカルエッチングなどを利用することができる。
なお、賦形シートとして樹脂シート単体では、その賦形面の離型性が不足する場合には、賦形面に、シリコーン等の離型性物質からなる離型層を形成すると良い。
また、賦形シートの賦形面の離型性を適度に(離型性のみを考慮した場合に対してはそれを減らす方向で)調整することで、メッシュ層のメッシュ部では透明樹脂層を残して賦形シートが剥離され、額縁部では透明樹脂層と共に賦形シートが剥離される様にすることもできる。これにより、一旦は額縁部も含めて形成した透明樹脂層を額縁部では賦形シートと共に除去して額縁部を露出させ、額縁部でアースがとり易い様にできる。この様にする為の離型性の調整は、例えば該賦形面の濡れ性を指標として、ぬれ張力を35〜45mN/m(JIS K−6768準拠)の範囲とすると良い。賦形面を適度な離型性に調整する為には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等の易接着処理を行ってもよい。
なお、透明樹脂層中には、近赤外線吸収剤以外の色素を含有させても良い。例えば、近赤外線吸収剤に用いる色素が可視光領域にも吸収を持ち、その吸収が可視光領域で均一で無いために着色し画像のホワイトバランスが崩れるのを防ぐ為には、可視光領域全体で光吸収がニュートラル(無彩色)となる様に、更に、可視光領域内のその他の部分に吸収を持つ色素を併用すると良い。或いは、PDPから放射されるネオン発光を抑えて色再現性を向上させるネオン光吸収剤、不要な外光反射を抑える色素等である。
〔その他の層〕
本発明の複合電磁波シールドフィルタは、必要に応じ適宜、上述した以外の層を積層した構成としても良い。例えば、透明基材に対して裏面側、表面側、或いはこれら両面に適宜、表面保護、機械的強度向上、光学特性改善等、上述した層構成からは実現できないその他の機能を更に付与する為の層である。これらの層は、例えば従来ディスプレイ用途等で公知の各種フィルタ等を適宜採用する。具体的に例示すれば、例えば、反射防止(含む防眩)フィルタ等の各種光学フィルタ、ハードコートフィルム等を、適宜接着剤等を用いて積層しても良い。これらは市販品等、公知のものを適宜使用することができる。或いは、塗膜として形成しても良い。また、ディスプレイの前面基板と接着積層しても良い。この際、メッシュ層の非開口部上も含めて透明樹脂層を設けた形態では、該透明樹脂層を接着剤層として機能させても良い。もちろん、該透明樹脂層とは別に接着剤層を設けても良い。
以下、実施例及び比較例にて、本発明を更に具体的に説明する。なお、文中、「%」は全て質量%である。
〔実施例1〕
図3(A)に示す複合電磁波シールドフィルタ10を次の様にして作製した。先ず、メッシュ状導電体層2とする金属箔として、一方の面に銅−コバルト合金粒子から成る黒化層7が形成された厚さ10μmの連続帯状の電解銅箔を用意した。また、透明基材1として厚さ100μmで連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。
そして、前記銅箔の両面に対して、亜鉛めっき後、ディッピング法にて公知のクロメート処理を行い、表裏両面に防錆層6を形成した。次いで、この銅箔をその黒化層面側で上記透明基材に、平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール12質量部と、キシレンジイソシアネート系プレポリマー1質量部とから成る透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤でドライラミネートした後、50℃3日間養生して、銅箔(防錆層)と透明基材間に厚さ7μmの透明接着剤層5を有する連続帯状の銅貼積層シートを得た。
次いで、上記銅貼積層シートに対して、その銅箔(全面の、導電体層、黒化層及び防錆層)をフォトリソグラフィ法を利用したエッチングにより、防錆層6、メッシュ状導電体層2及び黒化層7からなるメッシュ層3が透明基材1上に形成されたメッシュ積層シートを得た。
エッチングは、具体的には、カラーTVシャドウマスク用の製造ラインを利用して、連続帯状の上記銅貼積層シートに対してマスキングからエッチングまでを行った。すなわち、上記銅貼積層シートの導電体層面全面にエッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキング後、塩化第二鉄溶液で黒化層、防錆層を含めて銅箔をエッチングしてメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。メッシュ層のメッシュの形状は、その開口部が正方形で非開口部となる線状部分のライン幅は10μm、そのライン間隔(ピッチ)は300μm、メッシュ部3Aの長方形領域の長辺(図2参照)に対する劣角として定義されるバイアス角度49度である。また、メッシュ層のメッシュは、連続帯状のシートを所望の大きさの枚葉の四角形のシートに切断した時に、その四辺外周に開口部が無い幅15mmの額縁部を残す様にエッチングした。
次いで、一旦巻き取られた上記メッシュ積層シートを、巻き出してそのメッシュ層3の面に対して、透明樹脂層4を形成する為に、近赤外線吸収剤を添加した電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗液を、間欠ダイコート法による間欠塗工によって、メッシュ上に(固形分基準)塗工量で25g/m2塗布した。塗工は、幅方向に走る額縁部及び両側の額縁部の全内周に向かって2.5mm進入した位置まで塗工されその外側は塗工されない様にした。なお、上記塗液は、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(THF)と、ウレタンアクリレートオリゴマー(UA)との1対1質量比の樹脂分に対して、下記化学式(1)で示されるフタロシアニン系色素の近赤外線吸収剤を、上記塗工量で塗工形成後に於ける開口部での透明樹脂層中の単位面積当りの濃度(以下、「面積濃度」とも呼ぶ)が0.13g/m2となる様な割合で含有し、これに更に適量の有機溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1質量比の混合溶剤)で希釈した液状の樹脂組成物からなる塗液である。なお、近赤外線吸収剤は先ずアクリレート系モノマーであるTHF中に加熱溶解させた後、アクリレート系オリゴマーであるUAを添加することで、電離放射線硬化性樹脂の樹脂分に溶解した。
Figure 2006100458
そして、上記塗布後、溶剤を乾燥後の塗膜に対して、平坦面を賦形する賦形シートとして、厚さ50μmの連続帯状の市販2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをその易接着処理未処理面で塗膜にラミネートした。この後、該賦形シート側から電子線照射装置にて電子線を照射して〔加速電圧175kV、照射線量30kGy(3Mrad)〕、塗膜を硬化した後、賦形シートのみを剥離して、表面が平坦面の透明樹脂層4を形成して、図3(A)の如き、複合電磁波シールドフィルタ10を得た。
なお、図3(A)の複合電磁波シールドフィルタ10の層構成は、透明基材1側から順に、透明基材1/透明接着剤層5/メッシュ層3(防錆層6/黒化層7/メッシュ状導電体層2/防錆層6)/透明樹脂層4で、観察者側は透明基材1側となる構成である。なお、「/」はその左右の層が積層一体化されている事を示す。透明樹脂層4はメッシュ層3の直上及び開口部の両方に亙って全面に且つ表面を平坦面として形成されている。
〔実施例2〕
実施例1において、透明樹脂層に用いた近赤外線吸収剤を、化学式(2)で示すジイモニウム系色素に代え、面積濃度0.25g/m2で用いた他は、実施例1と同様にして複合電磁波シールドフィルタを作製した。
Figure 2006100458
〔実施例3〕
実施例1において、透明樹脂層に用いた近赤外線吸収剤として、更に化学式(2)で示すジイモニウム系色素(面積濃度0.25g/m2)も併用した他は、実施例1と同様にして複合電磁波シールドフィルタを作製した。
〔実施例4〕
実施例1において、透明樹脂層に用いた近赤外線吸収剤として、更に、化学式(3)で示すジチオールニッケル系色素(面積濃度0.34g/m2)も併用した他は、実施例1と同様にして複合電磁波シールドフィルタを作製した。
Figure 2006100458
〔比較例1〕
実施例1において、透明樹脂層に用いた電離放射線硬化性樹脂組成物に対して、更に光重合開始剤〔ダロキュア(登録商標)1173、長瀬産業株式会社製)を樹脂分に対して3%含有させた紫外線硬化型の樹脂組成物とした上で、電子線に代えて紫外線で硬化させた他は、実施例1と同様にして複合電磁波シールドフィルタを作製した。なお、紫外線照射は、フュージョンUVシステムズ社製のランプ出力240W/cmのDバルブをランプ出力100%で使用し、光源−塗膜間距離60mm、ライン速度10m/min、2パスの条件で行った。
〔比較例2〕
実施例2において、透明樹脂層に用いた電離放射線硬化性樹脂組成物に対して、更に比較例1と同じ光重合開始剤を樹脂分に対して3%含有させた紫外線硬化型の樹脂組成物とした上で、電子線に代えて紫外線で比較例1と同じ条件で硬化させた他は、実施例1と同様にして複合電磁波シールドフィルタを作製した。
〔比較例3〕
実施例3において、透明樹脂層に用いた電離放射線硬化性樹脂組成物に対して、更に比較例1と同じ光重合開始剤を樹脂分に対して3%含有させた紫外線硬化型の樹脂組成物とした上で、電子線に代えて紫外線で比較例1と同じ条件で硬化させた他は、実施例1と同様にして複合電磁波シールドフィルタを作製した。
〔比較例4〕
実施例4において、透明樹脂層に用いた電離放射線硬化性樹脂組成物に対して、更に比較例1と同じ光重合開始剤を樹脂分に対して3%含有させた紫外線硬化型の樹脂組成物とした上で、電子線に代えて紫外線で比較例1と同じ条件で硬化させた他は、実施例1と同様にして複合電磁波シールドフィルタを作製した。
〔性能評価〕
性能評価は、メッシュ層の開口部の開口率による影響を避けて、純粋な透明樹脂層自体による近赤外線吸収性能のみを評価する為に、メッシュ層を形成する前の透明基材に直接、(メッシュ層の開口部の部分での塗工量と)同じ塗工量で電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布したものを、各実施例及び比較例と同一条件で作製し、透明基材上直接に透明樹脂層が形成されたもので評価した。そして、近赤外線吸収性能として波長850nmでの吸収で代表させて、当該波長にて光透過率が15%以下に抑えられたものを良好(○)、15%超過のものを不良(×)と、評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。
Figure 2006100458
表1の如く、透明樹脂層の硬化を紫外線では無く電子線で行った実施例は、いずれの近赤外線吸収剤の使用でも、近赤外線吸収性能は良好であった。一方、透明樹脂層の硬化を電子線ではなく紫外線で行った比較例は、いずれの近赤外線吸収剤の使用でも、近赤外線吸収性能は不良であった。
本発明による複合電磁波シールドフィルタの形態例を例示する断面図。 メッシュ層の周囲に設ける額縁部を例示する平面図。 本発明による複合電磁波シールドフィルタの別の形態例の幾つかを例示する断面図。 透明樹脂層を設ける位置及びその表面形状例の幾つかを例示する断面図。
符号の説明
1 透明基材
2 メッシュ状導電体層
3 メッシュ層
3A メッシュ部
3B 額縁部
4 透明樹脂層
5 透明接着剤層
6 防錆層
7 黒化層
10 複合電磁波シールドフィルタ

Claims (2)

  1. 電磁波シールド性能と近赤外線吸収性能を有する複合電磁波シールドフィルタにおいて、
    透明基材上に、メッシュ状導電体層を含むメッシュ層が積層され、更に、透明基材にメッシュ層が積層された側の面の少なくともメッシュ層の開口部を含む面には近赤外線吸収剤を含む透明樹脂層が積層され、且つ該透明樹脂層が電離放射線硬化性樹脂を電子線で硬化させた硬化物からなる、複合電磁波シールドフィルタ。
  2. 近赤外線吸収剤として、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素、ジチオールニッケル系色素の1種又は2種以上を含む、請求項1の記載の複合電磁波シールドフィルタ。
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