JP2006098805A - トナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

トナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006098805A
JP2006098805A JP2004285510A JP2004285510A JP2006098805A JP 2006098805 A JP2006098805 A JP 2006098805A JP 2004285510 A JP2004285510 A JP 2004285510A JP 2004285510 A JP2004285510 A JP 2004285510A JP 2006098805 A JP2006098805 A JP 2006098805A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
polyester
acid
resin composition
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004285510A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Shinjo
隆 新城
Hisao Ikeda
尚夫 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2004285510A priority Critical patent/JP2006098805A/ja
Publication of JP2006098805A publication Critical patent/JP2006098805A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】 低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れたトナー用樹脂組成物及びトナーを提供することを目的とする。
【解決手段】 数平均分子量が2000〜10000の分岐状ポリエステルと、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させてなる架橋ポリエステルを含有するトナー用樹脂組成物であって、前記エポキシ化合物は、エポキシ基を前記分岐状ポリエステル1モルに対して0.6〜1.5モル含有するトナー用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れるトナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法に関する。
電子写真等において静電荷像を現像する方式として、乾式現像方式が多用されている。乾式現像方式において、通常、トナーはキャリアと呼ばれる鉄粉、ガラスビーズ等との摩擦によって帯電し、これが感光体上の静電潜像に電気的引力によって付着し、次に用紙上に転写され、加熱ローラ等によって定着されて永久可視像となる。
定着の方法としては、トナーに対して離型性を有する材料で表面を形成した熱定着ローラの表面に、被定着シートのトナー画像を圧接触させながら通過せしめることにより行う加熱ローラ法が汎用されている。
この熱定着ローラ法を用いる場合は、消費電力等の経済性を向上させるため、及び、複写速度を上げるため、より低温で定着可能なトナーが求められている。
しかしながら、上記の低温定着性を改善しようとすると、トナーの一部が熱定着ローラ表面に付着し、それが紙に再転写するといったオフセット現象が起こりやすくなったり、樹脂同士が様々な環境を通して受ける熱によってトナーが凝集するブロッキング現象が起こりやすくなったりするといった問題がある。
従来のポリエステル系トナーでは、通常3官能以上の多官能モノマーを共重合することによって、ポリマー内に化学的架橋構造を形成させ、耐高温オフセット性を保持させていた。しかし、このような方法では、低分子量のポリマーから分子量の高い架橋ポリマーまでが存在することとなり、分子量分布が広くなるため、耐高温オフセット性と低温定着性とを両立させることが困難であった。
これらの問題に対して、特許文献1には、トナーのバインダー樹脂として、テレフタル酸と炭素数2〜6の直鎖型アルキレングリコールから導かれる単位とを全使用モノマー単位に対して50モル%以上含む結晶性ポリエステル樹脂を用いることが提案されている。
しかしながら、この技術では、結晶性ポリエステル樹脂のみを用いているので、定着可能な温度幅が狭く、低温定着性を損なうことなく、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性を保つことが困難であった。
特許文献2には、トナーのバインダー樹脂として、3価以上の多価単量体、芳香族ジカルボン酸、及び、分岐鎖を持つ脂肪族アルコールを50モル%以上含む脂肪族アルコールを重合してなる非結晶性ポリエステル樹脂を用いることが提案されている。
しかしながら、この技術においても、3価以上の多価単量体、ジカルボン酸、ジオール等を用いることから、得られる非結晶性ポリエステルの分子量分布が広くなり、特に低温定着性が充分ではなかった。
特許第2988703号公報 特許第2704282号公報
本発明は、上記現状に鑑み、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優
れるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供することを目的とする。
本発明は、数平均分子量が2000〜10000の分岐状ポリエステルと、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させてなる架橋ポリエステルを含有するトナー用樹脂組成物であって、上記エポキシ化合物は、エポキシ基を上記分岐状ポリエステル1モルに対して0.6〜1.5モル含有するトナー用樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは鋭意検討の結果、所定の数平均分子量を有する分岐状ポリエステルと、所定量のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させることにより、分子量分布の狭い架橋ポリエステルが得ることができ、このような架橋ポリエステルを含有するトナー用樹脂組成物を用いることで、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れるトナーを作製することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。なお、本明細書において、分岐状ポリエステルとは、ジカルボン酸、ジオールに3価以上の多価単量体を縮重合させることにより、ポリエステル骨格中に分岐構造を有するポリエステルのことをいう。
上記架橋ポリエステルは、数平均分子量が2000〜10000の分岐状ポリエステルと、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させてなるものである。
上記数平均分子量が2000〜10000の分岐状ポリエステル(以下、単に分岐状ポリエステルともいう)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(以下、単にエポキシ化合物ともいう)とを反応させることで、両者の間で架橋構造が形成され、多価単量体と、ジカルボン酸やジオールとを共重合させて架橋構造を形成する場合と比較して、架橋密度が適度に抑えられ、より均一な架橋が形成されることから、得られる架橋ポリエステルの分子量分布が広くなり過ぎず、低温定着性と耐高温オフセット性のバランスに優れるトナーを作製することができるトナー用樹脂組成物とすることができる。
上記分岐状ポリエステルと、エポキシ化合物とを反応させる方法としては、上記エポキシ化合物が有するエポキシ基の反応が充分に進行するような方法であれば特に限定されず、例えば、分岐状ポリエステルとエポキシ化合物とを反応が充分に進行する温度で、反応釜や溶融押出機を用いて溶融混練し、分岐状ポリエステルとエポキシ化合物とを反応させる方法等が挙げられる。
上記エポキシ基の反応が充分に進行する温度の好ましい下限は200℃であり、好ましい上限は280℃である。200℃未満であると、反応が進行しにくく、上記架橋ポリエステルの生成が不充分となる。280℃を超えると、生成した架橋ポリエステルが熱分解や熱劣化することにより、耐高温オフセット性を改善できないことがある。より好ましい下限は230℃であり、より好ましい上限は260℃である。
上記分岐状ポリエステルは、ジカルボン酸、ジオール及び3価以上の多価単量体を縮重合させることにより得ることができる。上記3価以上の多価単量体を用いることにより、分岐構造を有するポリエステルを得ることができる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。なかでも、結晶性を付与するために、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物及
び低級アルキルエステルが好適に用いられる。
上記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
上記3価以上の多価単量体としては、例えば、3価以上の多価カルボン酸、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
上記3価以上の多価カルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。
上記3価以上の多価アルコールとしては例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、庶糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記分岐状ポリエステルを製造する場合、上記3価以上の多価単量体の添加量の好ましい下限は、ジカルボン酸の添加量に対して0.5モル%、好ましい上限は20モル%である。0.5モル%未満であると、得られる分岐状ポリエステルの分岐部分が少なくなるため、エポキシ化合物と反応させても充分な架橋密度を有する架橋ポリエステルが得られず、耐高温オフセット性が不充分となることがある。20モル%を超えると、架橋密度が上がり、耐高温オフセット性は向上するが、低温定着性が低下することがある。
上記分岐状ポリエステルは、数平均分子量の下限が2000、上限が10000である。2000未満であると、得られるトナーの耐オフセット性及び耐久性が不充分となることがあり、10000を超えると、低温定着性が劣ることがある。好ましい下限は2500、好ましい上限は7000である。
上記分岐状ポリエステルのガラス転移温度の好ましい下限は30℃、好ましい上限は80℃である。30℃未満であると、高温耐オフセット性や耐ブロッキング性が充分に得られず、80℃を超えると、低温定着性が劣る。より好ましい下限は50℃、より好ましい上限は65℃である。
上記分岐状ポリエステルのガラス転移温度は、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸はガラス転移温度を向上させる働きがあり、セバシン酸やアジピン酸等の長鎖の脂肪族ジカルボン酸はガラス転移温度を低下させる働きがあるのでこれらのジカルボン酸を適宜組み合わせることにより目的のガラス転移温度を達成することができる。しかし、芳香族ジカル
ボン酸と長鎖の脂肪族ジカルボン酸とを適宜組み合わせることによって目的のガラス転移温度を達成することができたとしても、軟化温度が高くなりすぎる傾向がある。
そこで、上記分岐状ポリエステルは、屈曲した分子構造を分子鎖中に導入できる2価の屈曲モノマー又は分岐鎖を有する2価のモノマーのいずれかを少なくとも含有する多価カルボン酸と多価アルコールを含むモノマー混合物を重合させてなることが好ましい。
これら2価の屈曲モノマーや分岐鎖を有する2価のモノマーを含有するモノマー混合物を重合してなるポリマーは、目的のガラス転移温度と低い軟化温度をより容易に両立させることができる。
上記2価の屈曲モノマーとしては、オルト位又はメタ位がカルボキシル基で置換された芳香族ジカルボン酸、オルト位又はメタ位がヒドロキシル基で置換された芳香族ジオール、非対称位置にカルボキシル基を有する多環芳香族ジカルボン酸、非対称位置にヒドロキシル基を有する多環芳香族ジオール等ポリマーの分子鎖に屈曲した分子構造を導入できるモノマーであればジカルボン酸やジオールに限定されず、例えば、ジカルボン酸の無水物や低級エステル、モノヒドロキシモノカルボン酸等であってもよく、例えば、無水フタル酸、o−フタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物や低級エステル;サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸等のモノヒドロキシモノカルボン酸;カテコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオールが挙げられる。
また、分岐鎖を有する2価のモノマーは、分岐鎖の立体障害によりポリマーの結晶化を効果的に抑制する。結晶化を効果的に抑制できる分岐鎖を有するモノマーとしては、分岐アルキル鎖を有する脂肪族ジオールや、分岐アルキル鎖を有する脂環式ジオール等が挙げられる。なお、脂環式ジオールとしては、複数の脂環式ジオールが分岐アルキレン鎖により連結された脂環式ジオールが好ましい。
上記分岐鎖を有する2価のモノマーとしては特に限定されず、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2‐ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の脂肪族ジオール;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
上記分岐状ポリエステルを作製する方法としては、例えば、上記ジカルボン酸、ジオール及び3価以上の多価単量体を反応釜に一括投入して、エステル交換反応及び縮合反応させる方法等が挙げられる。なお、この方法では、3価以上の多価単量体の添加量が多くなると、反応が早く進行しすぎて分子量が上昇してしまうことがある。このような場合は、最初にジカルボン酸とジオールとのエステル交換反応を行い、エステル交換反応がほぼ終了した時点で3価以上の多価単量体を投入し、反応させることで、望ましい物性の分岐状ポリエステルを得ることができる。
上記エポキシ化合物は、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する。
上記エポキシ基が1分子中に3個未満であると、架橋ポリエステルの生成が不充分となり、耐高温オフセット性が低下する。好ましくは、1分子中に5個以上である。
上記エポキシ化合物において、エポキシ基の含有量の下限は上記分岐状ポリエステル1モルに対して0.6モル、上限は1.5モルである。0.6モル未満であると、架橋ポリエステルの生成が不充分となり、耐高温オフセット性が低下する。1.5モルを超えると、
架橋に関与しない余剰のエポキシ化合物が増加し、エポキシ化合物自体の物性に近くなることから、低温定着性等の物性が低下する。好ましい下限は0.8モル、好ましい上限は1.3モルである。
上記エポキシ化合物は1分子中に3個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、部分エポキシ化ポリブタジエン、部分エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合体、エポキシ基含有ビニルモノマーの単独重合体又は共重合体;エポキシ化ダイズ油やエポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油類等が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、数平均分子量の好ましい下限が500、好ましい上限が10000である。500未満であると、トナーの保存性に悪影響を及ぼすことがあり、10000を超えると、トナーの低温定着性等に悪影響を及ぼすことがある。
本発明のトナー用樹脂組成物は、更に、線状ポリエステルを含有することが好ましい。このような線状ポリエステルを配合することにより、得られるトナーの低温定着性を更に向上させることができる。なお、本明細書において、線状ポリエステルとは、ジカルボン酸とジオールとを縮重合させることにより、エステル構造が直鎖状に存在するポリエステルのことをいう。
上記線状ポリエステルとして特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを縮重合させることにより得られるものを用いることができる。
なお、上記ジカルボン酸及びジオールとしては、上述した分岐状ポリエステルと同様のものを用いることができる。
上記線状ポリエステルの重量平均分子量の好ましい下限は3000、好ましい上限は20000であり、数平均分子量の好ましい下限は2000、好ましい上限は10000である。重量平均分子量又は数平均分子量が好ましい下限未満であると、得られるトナーの耐ブロッキング性が不充分となることがあり、重量平均分子量又は数平均分子量が好ましい上限を超えると、低温定着性が劣ることがある。
上記線状ポリエステルのガラス転移温度の好ましい下限は30℃、好ましい上限は80℃である。30℃未満であると、耐ブロッキング性が充分に得られないことがあり、80℃を超えると、上記線状ポリエステルの添加により低温定着性を向上させる効果が充分に発揮されないことがある。
上記線状ポリエステルの含有量の好ましい上限は、トナー用樹脂組成物全体に対して90重量%である。90重量%を超えると、低温定着性が低下したり、架橋ポリエステルとの混練不良が発生し、トナーの定着領域の無い全域オフセットが起きたりすることがある。
本発明のトナー用樹脂組成物は、190℃の条件下で450%の剪断ひずみを与えたときに、下記式(1)で表される剪断ひずみを与えて0.02秒後(0.02秒後から0.1秒後の間に緩和弾性率曲線のピーク位置がある場合はその位置の時間)から0.1秒後の緩和弾性率曲線の勾配Kが−20以上であることが好ましい。
Figure 2006098805
式中、G(T)は、剪断ひずみを与えてT秒後の緩和弾性率を表す。Tは0.02秒後か
ら0.1秒後の間に緩和弾性率曲線のピーク位置がある場合はその位置の時間を表す。なお、0.02秒以前に緩和弾性率曲線のピーク位置がある場合はTを0.02とする。また、G(0.1)は、剪断ひずみを与えて0.1秒後の緩和弾性率を表す。
上記緩和弾性率曲線の勾配Kは、物質の弾性挙動を表し、0に近づくほどゴム弾性に近い性質を有することを示す。上記緩和弾性率曲線の勾配Kが−20以上であることは、本発明のトナー用樹脂組成物内において充分な架橋構造を形成してゴムライクな性質が発現していることを意味すると考えられる。従って、上記緩和弾性率曲線の勾配Kが−20以上である本発明のトナー用樹脂組成物は、良好な耐高温オフセット性を発現する。上記緩和弾性率曲線の勾配Kが−20未満であると、架橋構造の形成が不充分であると考えられ、耐高温オフセット性についても不充分なものとなる。
なお、上記緩和弾性率は、例えば、本発明のトナー用樹脂組成物を溶融した後に所定の大きさの円盤状に成形したものを試験用試料とし、緩和弾性率測定装置(例えば、レオメトリックス社製RMS−800等)を用いて測定することができる。
本発明のトナー用樹脂組成物の酸価としては特に限定されないが、好ましい下限が1、好ましい上限が30である。このような酸価は、上記架橋ポリエステルや上記線状ポリエステルの末端の官能基、具体的には例えばカルボキシル基等に起因するものである。酸価がこの範囲にあると、得られるトナーが低温定着性に優れることに加え、紙との親和性も向上する。
本発明のトナー用樹脂組成物は、フロー軟化点の好ましい上限が130℃である。130℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
なお、本明細書においてフロー軟化点とは、例えば、高化式フローテスター(例えば、島津製作所社製の「CFT−500型」等)を用い、荷重20kg/cm、オリフィス1mmφ×1mm、予備温度60℃、予備時間5分、チャート速度20mm/分、プランジャー1.0cm、昇温速度6±0.5℃/minの条件下で、目開き1.19mmのJIS標準篩を通過する1.0gの測定試料を溶融流出させ、プランジャー降下量と温度との関係を求めたときに、樹脂の流出開始時におけるプランジャー降下量と、樹脂の流出停止時におけるプランジャー降下量との中間のプランジャー降下量h/2を与えるときの温度Tfを意味する。
図1に、等速昇温法によりフロー軟化点Tfを求める際のプランジャー降下量と時間(温度)との関係を示す図を示した。
本発明のトナー用樹脂組成物の製造方法は、数平均分子量が2000〜10000の分岐状ポリエステルと、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させ、上記分岐状ポリエステルと上記エポキシ化合物とを架橋させることにより架橋ポリエステルを作製する工程を有するトナー用樹脂組成物の製造方法であって、上記エポキシ化合物は、エポキシ基を上記分岐状ポリエステル1モルに対して0.6〜1.5モル含有する。
上記分岐状ポリエステルと、エポキシ化合物とを反応させる方法としては、上記エポキシ化合物が有するエポキシ基の反応が充分に進行するような方法であれば特に限定されず、例えば、分岐状ポリエステルとエポキシ化合物とを反応が充分に進行する温度で、反応釜や溶融押出機を用いて溶融混練し、分岐状ポリエステルとエポキシ化合物とを反応させる方法等が挙げられる。なかでも、上記分岐状ポリエステルとエポキシ化合物とを数分間混練することにより、充分な量の架橋ポリエステルを作製できることから、溶融押出機を用いて溶融混練することが好ましい。
このように架橋ポリエステルを作製した後、上記架橋ポリエステルに線状ポリエステル等
を添加した後、二軸押出機等を用いて溶融混練することにより、トナー用樹脂組成物を製造することができる。
本発明のトナー用樹脂組成物をバインダー樹脂として用いて、必要に応じて、離型剤、着色剤、電荷制御剤、磁性体、ゴム状ポリマー、スチレン−アクリル酸エステル共重合体からなるトナー用樹脂、キャリア、クリーニング性向上剤等と混合することにより、トナーを製造することができる。このようなトナーもまた、本発明の1つである。
なお、本発明のトナーは、本発明のトナー用樹脂組成物を用いることにより低温定着性及び耐高温オフセット性の両方に優れていることから、離型剤を含有していなくてもよい。
上記離型剤としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックスやパラフィン系ワックス;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪族エステル系ワックス;脱酸カルナバワックス;バルチミン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和脂肪族酸系ワックス;プラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪族酸系ワックス;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール系ワックスや脂肪族アルコール系ワックス;ソルビトール等の多価アルコール系ワックス;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド系ワックス;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド系ワックス;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和酸アミド系ワックス;m‐キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族ビスアミド系ワックス;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;スチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーをポリオレフィンにグラフト重合させたグラフト変性ワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールとを反応させた部分エステルワックス;植物性油脂を水素添加して得られるヒドロキシル基を有するメチルエステルワックス;エチレン成分の含有割合が高いエチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス;アクリル酸等の飽和ステアリルアクリレートワックス等の長鎖アルキルアクリレートワックス;ベンジルアクリレートワックス等の芳香族アクリレートワックス等が挙げられる。なかでも、長鎖アルキルアクリレートワックスや芳香族アクリレートワックスは、トナー用樹脂組成物との相溶性に優れ透明性の高いトナーが得られることから好適である。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、特に融点が30℃以上異なる2種以上の離型剤を併用することが好ましい。上記離型剤のトナー中における大きさとしては特に限定されないが、長径が2μm以下であることが好ましい。
上記着色剤としては特に限定されず、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、アニリンブラック、フタロシアニンブルー、キノリンイエローランプブラック、ローダミン−B、アゾ系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、スレン系顔料、インジコ系顔料、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン等が挙げられる。
これらの着色剤の配合量の好ましい下限は、通常、トナー用樹脂組成物100重量部に対して1重量部、好ましい上限は10重量部である。
上記電荷制御剤には、正帯電用と負帯電用との2種類がある。上記正帯電用電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジン等が挙げら
れ、負帯電用電荷制御剤としては、例えば、クロム錯体、鉄錯体等が挙げられる。なかでも、酸変性荷電制御剤が好適であり、サリチル酸変性であるとトナー用樹脂組成物と架橋してゴム弾性を発現する。ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム錯体ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛錯体等のアルキル置換サルチル酸の金属錯体は、無色又は淡色であるためトナーの色調に影響を与えないので好ましい。また、上記電荷制御剤としては、荷電制御樹脂(CCR)も好適に用いることができる。上記荷電制御樹脂としては、例えば、4級アンモニウム塩を含むモノマー、有機フッ素系モノマー、スルホン酸基含有モノマー、フェニルマレイミド系モノマー等を共重合したスチレンアクリルポリマー等が挙げられる。
これらの電荷制御剤の配合量の好ましい下限は、通常、トナー用樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。
上記磁性体としては、例えば、商品名「TAROX BLシリーズ」(チタン工業社製)、商品名「EPTシリーズ」、商品名「MATシリーズ」、商品名「MTSシリーズ」(いずれも戸田工業社製)、商品名「DCMシリーズ」(同和鉄粉社製)、商品名「KBCシリーズ」、商品名「KBIシリーズ」、商品名「KBFシリーズ」、商品名「KBPシリーズ」(いずれも関東電化工業社製)、商品名「Bayoxide Eシリーズ」(Bayer AG社製)等が挙げられる。
なお、従来のトナーでは、上記磁性体を添加した場合、トナー中の樹脂の比率が非磁性トナーに比べて低下することや、定着ローラのニップ圧を高めることにより、耐高温オフセット性が発現しにくい傾向になるが、本発明のトナーでは、磁性体を添加した場合であっても、良好な耐高温オフセット性を発現させることが可能となる。
上記ゴム状ポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、クロロスルフィン化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルイソプレンゴム等の合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー等のエラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体等の芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とのブロック共重合体が挙げられる。なお、ブロック共重合体にはスチレン−ブタジエンブロック共重合体やスチレン−イソプレンブロック共重合体等が混合されてあってもよく、これらの水素添加物が混合されてあってもよい。
また、末端に水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基等の極性基を有する芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体からなるゴム状ポリマーは、トナーとの親和性に優れるので好ましい。これら末端に極性基を有するブロック共重合体はリビング重合により得ることができる。
ゴム状ポリマーは、トナーに含まれる樹脂の樹脂強度を向上させることができる。よって、ゴム状ポリマーを含有するトナーは、トナーのフィルミング現象を防止することができ、また、高い樹脂強度が必要な非磁性1成分トナーに好適なトナーが得られる。
上記キャリアとしては、例えば、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属単体、合金、酸化物、フェライト等が挙げられる。キャリアは表面が酸化されていてもよい。また、キャリア表面がポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレンポリマー、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンポリマー、ポリエステル、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属錯体、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン塩基性染料、シリカ粉末、アルミ
ナ粉末等で被覆されていてもよい。キャリアを被覆することにより好ましい摩擦帯電性をキャリアに付与することができる。
上記クリーニング性向上剤としては、トナー粒子と混合することによりトナーの流動性が向上するものであれば特に限定されない。トナーの流動性が向上するとトナーがクリーニングブレードに付着しにくくなる。例えば、フッ化ビニリデンポリマー等のフッソ系ポリマー粉末、アクリル酸エステルポリマー等のアクリル系ポリマー粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の脂肪酸金属塩粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末等の金属酸化物粉末、微粉末シリカ粉末、シランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等により表面処理が施されたシリカ粉末、ヒュームドシリカ等が挙げられる。また、上記クリーニング性向上剤としては、アクリル系ポリマーやスチレン系ポリマー等からなる粒径0.05〜0.5μmの球体も好適に用いることができる。
本発明のトナーは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定したときに、重量平均分子量が2000以下の位置にピークが認められることが好ましい。これにより定着性が向上する。また、本発明のトナーは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定したときに、重量平均分子量が1万以上の位置にピークが認められることが好ましい。これにより耐水性が向上する。
本発明のトナーの粒径としては特に限定されないが、5μm以下である場合には特に高い画質が得られる。
本発明のトナーの含水分量としては特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は0.2重量%である。0.01重量%未満であると、製造上の問題から製造が困難となり、0.2重量%を超えると、充分な帯電安定性が得られないことがある。
本発明のトナーの安息角としては特に限定されないが、23℃、湿度60%における安息角の好ましい下限は1度、好ましい上限は30度である。1度未満であると、トナーのハンドリングが困難となることがあり、30度を超えると、トナーの流動性が不足することがある。なお、上記トナーの安息角は、例えば、パウダーテスター(例えば、ホソカワミクロン社製PT−N型等)等により測定することができる。
本発明のトナーの表面粗さとしては特に限定されないが、好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は2μmである。0.01μm未満であると、印字を行うことが困難となることがあり、2μmを超えると得られる画像の表面光沢が不充分となることがある。なお、上記表面粗さは、本発明のトナーを用いて印字した画像の印字部をJIS B 0601に算術平均粗さ(Ra)の測定方法として規定される方法により測定することができる。
本発明のトナーは、低温から高温にわたる広い範囲で良好な定着性を発現することができ、低温定着性と耐高温オフセット性、耐ブロッキング性との両方に優れることから、スイッチをいれてから印刷が可能になるまでの時間を短縮することができるので、経済的であり、更に、ローラの温度が下がっても画像の鮮明性を維持することができるので、印刷の高速化を図ることができる。本発明のトナーは、画像再現性に優れる。
また、本発明のトナーは、離型オイルが塗布された定着ローラにより定着されてもよいが、定着ローラに離型オイルが塗布されていなくても良好な定着性を発現することができる。
本発明は、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れるトナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法に関する。
本発明を更に詳しく説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)分岐状ポリエステルの製造
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸90モル、屈曲モノマー成分としてイソフタル酸5モル、無水フタル酸5モル、3価以上の多価単量体として、トリメリット酸2.5モル、分岐モノマー成分としてネオペンチルグリコール60モル、他のジオールとしてエチレングリコール60モル、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。
エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数60rpmで縮合反応を行なうとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させて、分岐状ポリエステルを得た。
(2)架橋ポリエステルの製造
1分子中に約16個のエポキシ基を有するスチレンアクリル系樹脂(UG−4030、東
亜合成社製)7重量部と、得られた分岐状ポリエステル93重量部とをL/D=37の二
軸押出機を用いてバレル温度250℃で溶融混練して架橋ポリエステルを得た。
(3)トナー樹脂組成物及びトナーの製造
得られた架橋ポリエステルをトナー用樹脂組成物として用いた。トナー用樹脂組成物100重量部に荷電制御剤(S−34、オリエント化学社製)1重量部、カーボンブラック5重量部(MA−100、三菱化学社製)、カルナバワックス3重量部(融点83℃)をヘンシェルミキサーで充分に混合した後、130℃で溶融混練し、冷却、粗粉砕した。その後、ジェットミル(ラボジェット、日本ニューマチック社製)で微粉砕して、平均粒径約8〜12μmのトナー粉末を得た。更に、このトナー粉末を分級機(MDS−2、日本ニューマチック社製)で分級して、平均粒径約10μmのトナー微粉末を得た。このトナー微粉末100重量部に、疎水性シリカ(R972、日本アエロジル社製)1.0重量部を均一に混合(外添)してトナーを製造した。
(実施例2)
(1)線状ポリエステルの製造
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸90モル、屈曲モノマー成分としてイソフタル酸10モル、分岐モノマー成分としてネオペンチルグリコール60モル、他のジオールとしてエチレングリコール60モル、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水及びメタノールを蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。
エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数60rpmで縮合反応を行うとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させ
て、線状ポリエステルを得た。
(2)架橋ポリエステルの製造
1分子中に約16個のエポキシ基を有するスチレンアクリル系樹脂(UG−4030、東
亜合成社製)10重量部と、実施例1で得られた分岐状ポリエステル90重量部とをL/
D=37の二軸押出機を用いてバレル温度250℃で溶融混練して架橋ポリエステルを得た。
(3)トナー用樹脂組成物及びトナーの製造
得られた架橋ポリエステル50重量部と線状ポリエステル50重量部とをL/D=37の二軸押出機を用いてバレル温度170℃で溶融混練してトナー用樹脂組成物を得た以外は実施例1と同様にしてトナー用樹脂組成物及びトナーを得た。
(実施例3)
1分子中に約16個のエポキシ基を有するスチレンアクリル系樹脂(UG−4030、東
亜合成社製)13重量部と、実施例1で得られた分岐状ポリエステル87重量部とを添加
して架橋ポリエステル得た以外は、実施例2と同様にしてトナー用樹脂組成物及びトナーを得た。
(実施例4)
(1)分岐状ポリエステルの製造
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸90モル、屈曲モノマー成分としてイソフタル酸5モル、無水フタル酸5モル、分岐モノマー成分としてネオペンチルグリコール60モル、他のジオールとしてエチレングリコール60モル、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。エステル化反応終了後、3価以上の多価単量体として、トリメリット酸7モルを添加し、充分反応を行い、分岐状ポリエステルを得た。
(2)架橋ポリエステルの製造
1分子中に約9個のエポキシ基を有するオルトクレゾールノボラック樹脂(EOCN−1
04S、日本化薬社製)10重量部と、分岐状ポリエステル90重量部とをL/D=37
の二軸押出機を用いてバレル温度250℃で溶融混練して架橋ポリエステルを得た以外は、実施例2と同様にしてトナー用樹脂組成物及びトナーを得た。
(比較例1)
架橋ポリエステルの製造において、1分子中に約16個のエポキシ基を有するスチレンアクリル系樹脂(UG−4030、東亜合成社製)5重量部と、分岐状ポリエステル95重量部とを添加して架橋ポリエステルを得た以外は、実施例1と同様にしてトナー用樹脂組成物及びトナーを得た。
(比較例2)
架橋ポリエステルの製造において、1分子中に約16個のエポキシ基を有するスチレンアクリル系樹脂(UG−4030、東亜合成社製)20重量部と、分岐状ポリエステル80重量部とを添加して架橋ポリエステルを得た以外は、実施例1と同様にしてトナー用樹脂組成物及びトナーを得た。
(比較例3)
(1)架橋ポリエステルの製造
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸95モル、3価以上の多価単量体としてトリメリット酸5モル、ジオール成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物105モル、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行なった。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。
エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数60rpmで縮合反応を行なうとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させて、ビスフェノールA系架橋ポリエステルを得た。
上記ビスフェノールA系架橋ポリエステルを用いる以外は、実施例1と同様にしてトナー用樹脂組成物及びトナーを得た。
(比較例4)
比較例3で用いたビスフェノールA系架橋ポリエステルを用い、架橋ポリエステル80重量部と線状ポリエステル20重量部とを用いた以外は、実施例2と同様にしてトナー用樹脂組成物及びトナーを得た。
(評価)
実施例1〜4及び比較例1〜4で作製したトナー用樹脂組成物又はトナーについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
[ポリエステル及びトナー用樹脂組成物の分子量の測定]
GPC測定装置として、日本ミリポアリミテッド社製のHTR−Cを用い、カラムには昭和電工社製のKF−800P(1本)、KF−806M(2本)、KF−802.5(1本)を直列につないで使用し、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は、温度は40℃、試料は0.2重量%THF溶液(0.45μmのフィルターを通過したもの)、注入量は100μL、キャリア溶媒はTHF、校正試料として標準ポリスチレンを用いた。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
トナー用樹脂組成物を融点以上の温度でしばらく保持した後、急冷を行い、結晶化を完全に抑制したサンプルを作製した。このサンプルについて、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC−6200R)を用いて、昇温速度10℃/分で、JIS K 7121に準拠して測定し、該規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)に記載されている中間ガラス転移温度を求めた。
[フロー軟化温度の測定]
高化式フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用い、荷重20kg/cm、オリフィス1mmφ×1mm、予備温度60℃、予備時間5分、チャート速度20mm/分、プランジャー1.0cm、昇温速度6±0.5℃/minの条件下で、目開き1.19mmのJIS標準篩を通過する1.0gの測定試料を溶融流出させ、図1に示すように、樹脂の流出開始時におけるプランジャー降下量と、樹脂の流出停止時におけるプランジャー降下量との中間のプランジャー降下量h/2を与えるときの温度Tfを測定した。
[緩和弾性率の測定]
トナー用樹脂組成物を溶融後、直径25mm、高さ1mmの円盤状に成形し、これを試験用試料とした。これを直径25mmの円盤−円盤治具に取り付け、緩和弾性率測定装置(レオメトリックス社製、RMS−800)を用いて190℃、初期剪断ひずみ450%の条件で、剪断ひずみを与えてからの時間を横軸に、緩和弾性率を縦軸にとり緩和弾性率曲線を描き、G(0.1)及びG(T)を求め、上記式(1)により緩和弾性率の勾配Kを算出した。
[ブロッキング性の評価]
トナー10gを100mLサンプル瓶に取り、50℃の恒温槽中に8時間放置した後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用いて250μmのフィルターでふるいにかけフィルター上に凝集物が残存するかを観察し、凝集物がある場合には、トナー重量に対する凝集物の重量(重量%)を求めた。
[フィルミング評価]
1万枚印刷を行い、定着ローラにトナーが付着していないかを目視で観察し、トナーの付着が見られないものをフィルミングなしと評価した。
[高温オフセット温度及び低温オフセット温度の測定]
トナー6.5重量部を平均粒径50〜80μmの鉄粉キャリア93.5重量部と混合して現像剤を作製した。電子写真複写機としてコニカ社製のUBIX4160AFを熱定着ローラの設定温度が最大250℃まで変えられるように改造したものを用いた。
熱定着ローラの設定温度を段階的に変化させて、各設定温度の熱定着ローラによって未定着トナー像を転写紙に定着させた複写物を得た。
得られた複写物の余白部分や定着画像がトナーにより汚されているか否かを観察し、汚れが生じない温度領域を非オフセット温度領域とした。また、非オフセット温度領域の最大値を高温オフセット温度とし、最小値を低温オフセット温度とした。
[トナーの最低定着温度の測定]
電子写真複写機の熱定着ローラの設定温度を段階的に変えて複写を行ない、余白部分や定着画像にかぶりが発生することなく余白部分や定着画像がトナーにより汚されておらず、得られた複写物の定着画像をタイプライター用砂消しゴムで擦ったとき、定着画像の濃度の低下が10%未満である場合を定着良好と判定し、その時の最低温度を求めた。
なお、画像の濃度はマクベス光度計を用いて測定した。
[画質(カブリの有無)の確認]
高温オフセット温度及び低温オフセット温度の測定の試験と同様に未定着画像を形成し、100枚目の画像を定着させ目視により画質(カブリの有無)を確認した。カブリの発生が問題のないレベルである場合をカブリなしとし、問題となるようなカブリが発生している場合をカブリありとした。
Figure 2006098805
本発明によれば、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れるトナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法を提供できる。
等速昇温法によりフロー軟化点Tfを求める際のプランジャー降下量と時間(温度)との関係を示す模式的フローチャートである。

Claims (4)

  1. 数平均分子量が2000〜10000の分岐状ポリエステルと、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させてなる架橋ポリエステルを含有するトナー用樹脂組成物であって、
    前記エポキシ化合物は、エポキシ基を前記分岐状ポリエステル1モルに対して0.6〜1.5モル含有することを特徴とするトナー用樹脂組成物。
  2. 更に、線状ポリエステルを含有することを特徴とする請求項1記載のトナー用樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載のトナー用樹脂組成物を用いてなることを特徴とするトナー。
  4. 数平均分子量が2000〜10000の分岐状ポリエステルと、1分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させ、前記分岐状ポリエステルと前記エポキシ化合物とを架橋させることにより架橋ポリエステルを作製する工程を有するトナー用樹脂組成物の製造方法であって、
    前記エポキシ化合物は、エポキシ基を前記分岐状ポリエステル1モルに対して0.6〜1.5モル含有する
    ことを特徴とするトナー用樹脂組成物の製造方法。
JP2004285510A 2004-09-29 2004-09-29 トナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法 Pending JP2006098805A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004285510A JP2006098805A (ja) 2004-09-29 2004-09-29 トナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004285510A JP2006098805A (ja) 2004-09-29 2004-09-29 トナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006098805A true JP2006098805A (ja) 2006-04-13

Family

ID=36238677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004285510A Pending JP2006098805A (ja) 2004-09-29 2004-09-29 トナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006098805A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010134267A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Kao Corp 電子写真用トナーの製造方法
JP2010282154A (ja) * 2009-06-08 2010-12-16 Sharp Corp トナーおよびトナーの製造方法
JP2011175257A (ja) * 2010-01-29 2011-09-08 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダーの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010134267A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Kao Corp 電子写真用トナーの製造方法
JP2010282154A (ja) * 2009-06-08 2010-12-16 Sharp Corp トナーおよびトナーの製造方法
JP2011175257A (ja) * 2010-01-29 2011-09-08 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダーの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4053889B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2007193317A (ja) トナー用樹脂組成物
KR20080079693A (ko) 토너용 수지 조성물 및 토너용 수지 조성물의 제조 방법
JP2000338718A (ja) 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法
JP2005316378A (ja) 相溶化剤、トナー用ポリエステル系樹脂組成物及びトナー
JP2006220754A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2004264318A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2008152031A (ja) トナー用樹脂組成物
JP2007025622A (ja) トナー用樹脂組成物の製造方法、トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2007292946A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP4358079B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2004151709A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP4037731B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP4027202B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP4339710B2 (ja) 球状トナー
JP2005215491A (ja) トナー
JP2004133320A (ja) トナー用ポリエステル樹脂組成物及びトナー
JP2007316585A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP4053866B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2008015101A (ja) トナー用樹脂組成物の製造方法
JP4034635B2 (ja) トナー
JP2006267965A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2006098805A (ja) トナー用樹脂組成物、トナー及びトナー用樹脂組成物の製造方法
JP2005213441A (ja) 非結晶性ポリエステル
JP2005189808A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070704

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070905

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080404

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090508

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090519

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090929