JP2004151709A - トナー用樹脂組成物及びトナー - Google Patents
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Abstract
行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供する。
【解決手段】 融点が180〜280℃であり、かつ、示差走査熱量計(DSC)を用い
て測定した融点における吸熱量が25〜150mJ/mgである結晶性ポリマーと、ガラ
ス転移温度が30〜80℃である非結晶性ポリエステルとを含有するトナー用樹脂組成物
であって、前記非結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が3000〜2万である非結晶
性ポリエステルと、重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステルとを含有
するトナー用樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーに関する。
式現像方式において、通常、トナーはキャリアと呼ばれる鉄粉、ガラスビーズ等との摩擦
によって帯電し、これが感光体上の静電潜像に電気的引力によって付着し、次に用紙上に
転写され、加熱ローラ等によって定着されて永久可視像となる。
の表面に、被定着シートのトナー画像を圧接触させながら通過せしめることにより行う加
熱ローラ法が汎用されている。
上げるため、より低温で定着可能なトナーが求められている。
しかしながら、上記の低温定着性を改善しようとすると、トナーの一部が熱定着ローラ表
面に付着し、それが紙に再転写するといったオフセット現象が起こりやすくなったり、樹
脂同士が様々な環境を通して受ける熱によってトナーが凝集するブロッキング現象が起こ
りやすくなったりするといった問題がある。
よって、ポリマー内に化学的架橋構造を形成させ、耐高温オフセット性を保持させていた
。しかし、このような方法では、ポリマー中に溶解しない成分が存在するために、定着ロ
ールで定着後の印字表面に凹凸が生じるために光沢が劣ったり、低温定着性にも限界があ
ったりした。
と炭素数2〜6の直鎖型アルキレングリコールから導かれる単位とを全使用モノマー単位
に対して50モル%以上含む結晶性ポリエステル樹脂を用いることが提案されている。
しかしながら、この技術では、結晶性ポリエステル樹脂のみを用いているので、定着可能
な温度幅が狭く、低温定着性を損なうことなく、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング
性を保つことが困難であった。
ボン酸、及び、分岐鎖を持つ脂肪族アルコールを50モル%以上含む脂肪族アルコールを
重合してなる非結晶性ポリエステル樹脂を用いることが提案されている。
しかしながら、この技術では、非結晶性ポリエステル樹脂のみを用いているので、低温定
着性が充分ではなかった。
トナーとして、軟化点の異なる2種類のポリエステルをトナー用樹脂として含有するトナ
ーが提案されている。
しかしながら、上記2種類のポリエステルの相溶性は充分とはいえず軟化点が低いポリエ
ステルがブロッキングを起こしやすくしたり、定着ローラに付着しフィルミングを起こし
やすくしたりするといった問題があり、また、相溶性が充分ではないので樹脂の透明性も
低いという問題もあった。
晶性ポリエステルのブロック共重合体を用いることが提案されている。
しかしながら、この技術では、バインダー樹脂は白濁した樹脂となるため透明な樹脂を得
ることができないといった問題があった。
こりやすいことから、ブロッキング現象を起こしにくいトナー用ポリエステル樹脂の検討
も進められている。低温定着温度はそれほど低くはないがブロッキング現象を起こしにく
いトナー用ポリエステル樹脂として、例えば、特許文献6にはポリエステル樹脂の組成を
特定組成とすると効果があることが示されており、また、特許文献7にはポリエステル樹
脂の組成を特定しガラス転移温度を45〜70℃とすると効果があることが示されている
。
、これらのトナー用樹脂を用いてもトナー用樹脂のガラス転移温度付近の温度にトナーが
さらされるとやはりブロッキング現象を起こしてしまうという問題があった。
れ、良好な発色を行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供することを目的
とする。
定した融点における吸熱量が25〜150mJ/mgである結晶性ポリマーと、ガラス転
移温度が30〜80℃である非結晶性ポリエステルとを含有するトナー用樹脂組成物であ
って、前記非結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポ
リエステルと、重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステルとを含有する
トナー用樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
なお、本明細書において、結晶性ポリマーとは、示差走査熱量計により示差熱を測定した
ときに、鋭く明瞭な融点ピークを示し、結晶化度が10%を超えるポリマーを意味し、非
結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量計により示差熱を測定したときに、鋭く明瞭な融
点ピークを示さず、結晶化度が10%以下であるポリエステルを意味する。
キング性に優れ、良好な発色を行うことができるトナーを作製することができる。これは
、本発明のトナー用樹脂組成物においては、高融点の結晶性ポリマー中の結晶成分同士が
非結晶性ポリエステル中で物理的架橋構造を形成し、一方、高融点の結晶性ポリマー中の
非結晶成分と非結晶性ポリエステルとが絡まり合って、一種のネットワーク構造を形成し
ており、このようなネットワーク構造が形成されることによって、高温での粘度低下が少
なく、低温定着性や保存性を低下させることなく、良好な耐オフセット性が発現すること
ができるためと考えられる。
リマーと、物理的架橋構造を形成せずガラス転移温度が30〜80℃である非結晶性ポリ
エステルとを混合することによって、耐高温オフセット性の向上と同時に、光沢及び低温
定着性の向上が可能となる。物理的架橋構造を形成し得る結晶性ポリマーと、物理的架橋
構造を形成せずガラス転移温度が30〜80℃である非結晶性ポリエステルとを含有する
ことにより、ポリマー粘度が上昇するために耐オフセット性が向上でき、一方、定着ロー
ルによる加圧時にはポリマーの粘度が低下するために印字表面の平滑性が増し、光沢が良
くなると同時に低温定着性も向上するものと考えられる。
これは、本発明のトナー用樹脂組成物全体に上述のネットワーク構造が形成されるため、
粉砕工程において得られるトナーが、帯電性の安定したものとなり、カブリがなく、画像
再現性に優れるためと考えられる。
用樹脂組成物中に均一に微分散していることが好ましい。微小な結晶が微分散しているこ
とにより、上記ネットワーク構造がより安定になり、優れた効果を発現する。
このようなナノオーダーでの均一な微分散構造を発現させ、上述のネットワーク構造を形
成させるためには、結晶性ポリマーと非結晶性ポリエステルとの相溶性が高いことが非常
に重要であるとともに、結晶性ポリマーの結晶化度が高いことが重要である。
の下限が25mJ/mg、上限が150mJ/mgである。25mJ/mg未満であると
、上述のネットワーク構造を形成しにくいことから耐高温オフセット等の所期の効果が得
られず、150mJ/mgを超えると、定着ロールによる加圧時にポリマーの粘度が充分
に低下せず、定着後の印字表面に凹凸が生じて光沢が劣り、低温定着性が劣る。好ましい
下限は40mJ/mg、好ましい上限は100mJ/mgである。
なお、示差走査熱量計(DSC)の測定条件については特に限定されないが、例えば、J
IS K 7121に準拠して、試料10mgを昇温速度10℃/分で加熱する方法によ
り測定することができる。
における吸熱量の好ましい下限が1mJ/mg、好ましい上限が20mJ/mgである。
1mJ/mg未満であると、上述のネットワーク構造が形成されず耐高温オフセット等の
所期の効果が得られないことがあり、20mJ/mgを超えると、定着ロールによる加圧
時にポリマーの粘度が充分に低下せず、定着後の印字表面に凹凸が生じて光沢が劣ったり
、低温定着性が劣ったりすることがある。より好ましい下限は2mJ/mg、より好まし
い上限は15mJ/mgである。
ると、高温耐ホットオフセット性が不充分となったり、フィルミングが発生しやすくなり
耐久性が不充分となったりする。280℃を超えると、非結晶性ポリエステルとの混合時
に280℃を超える高温で溶融させる必要があることから、生産性が格段に悪化してしま
う。好ましい下限は200℃、好ましい上限は240℃であり、より好ましい下限は22
0℃である。
複写機やプリンターにおけるスイッチオン後の立ち上がり時間(ウォームアップ時間)の
短縮のためには、定着ローラを所定の定着温度まで急速に昇温する必要があるが、このと
きオーバーシュートのため定着ローラは所定の定着温度よりも初めは高温にぶれる。従っ
て、この状態においても良好な印字を行うためには、トナーは、高温における耐ホットオ
フセット性が良好でなければならない。定着温度が低く、耐ホットオフセット温度が高い
程、ウォームアップ時間の短縮が可能となる。通常、ハードウェアの設計幅を充分に大き
くするためには、耐ホットオフセット温度は180℃以上であることが要求される。上記
結晶性ポリマーの融点が180℃以上であると、結晶性ポリマーの結晶部が高温において
も溶融しないで、上述のネットワーク構造が保持されるため高温耐ホットオフセット性が
向上するものと考えられる。また、複写機やプリンターの高速化に伴い、高速運転下にお
いても微粉が発生せず、フィルミングの生じないトナーが望まれている。特にブレードへ
の機械的接触において帯電化を行う非磁性一成分系のトナーでは耐久性への要望が一段と
高い。上記結晶性ポリマーの融点が180℃であると、結晶性ポリマーの結晶部の凝集力
が高くなり、上述のネットワーク構造が強化されるため耐久性が向上するものと考えられ
る。
ある。3万未満であると、得られるトナーの耐オフセット性及び耐久性が不充分となるこ
とがあり、30万を超えると、低温定着性及び光沢が劣ることがある。これは、この範囲
外であると上述のネットワーク構造が充分に形成できないためと考えられる。より好まし
い下限は5万、より好ましい上限は20万であり、更に好ましい下限は8万、更に好まし
い上限は15万である。
ミドが好適である。
上記結晶性ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとを縮重合させることにより得るこ
とができる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレン
カルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。なかでも、結晶
性を付与するために、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物及
び低級アルキルエステルが好適に用いられる。
4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール
、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−
ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール
、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の
脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4
−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類
等が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)が好適である。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、結晶化速度が速く、結晶化度も高いことから
、これを用いて得られるトナーは耐オフセット性に優れる。また、非結晶性ポリエステル
との相溶性に優れることから、これを用いて得られるトナーは、低温定着性や光沢にも優
れたものとなる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、結晶融点が高いことから、これを用いて得ら
れるトナーは特に高温での耐オフセット性に優れる。なお、ポリエチレンテレフタレート
(PET)は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)よりも結晶化速度、結晶化度の点
で劣るものの、結晶核剤を添加することによりこれらの点を改善することも可能である。
これらの結晶性ポリエステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
11−ナイロン、12ナイロン等が挙げられる。なかでも、6−ナイロン、6,6−ナイ
ロンは結晶の凝集力が高く、耐高温オフセット性の向上効果に優れることから好適である
。また、これらの結晶性ポリアミドにポリエステルを共重合させたポリアミド−ポリエス
テル共重合体も非結晶性ポリエステルとの相溶性に優れることから好ましい。これらの結
晶性ポリアミドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記結晶性ポリアミドは分子間の凝集力が強いため、ポリエステルに対して少量用いるだ
けで耐高温オフセット性を発現させることができ、樹脂自体の強度を増大することができ
る。
℃未満であると、高温耐オフセット性や耐ブロッキング性が充分に得られず、80℃を超
えると、低温定着性が劣る。好ましい下限は50℃、好ましい上限は65℃である。
ことができる。
非結晶性ポリエステルのガラス転移温度は、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸はガラ
ス転移温度を向上させる働きがあり、セバシン酸やアジピン酸等の長鎖の脂肪族ジカルボ
ン酸はガラス転移温度を低下させる働きがあるのでこれらのジカルボン酸を適宜組み合わ
せることにより目的のガラス転移温度を達成することができる。しかし、芳香族ジカルボ
ン酸と長鎖の脂肪族ジカルボン酸とを適宜組み合わせることによって目的のガラス転移温
度を達成することができたとしても、軟化温度が高くなりすぎる傾向がある。
そこで、上記非結晶性ポリエステルは、屈曲した分子構造を分子鎖中に導入できる2価の
屈曲モノマー又は分岐鎖を有する2価のモノマーのいずれかを少なくとも含有する多価カ
ルボン酸と多価アルコールを含むモノマー混合物を重合させてなることが好ましい。
これら2価の屈曲モノマーや分岐鎖を有する2価のモノマーを含有するモノマー混合物を
重合してなるポリマーは、目的のガラス転移温度と低い軟化温度をより容易に両立させる
ことができ、結晶化を効果的に抑制することができる。
香族ジカルボン酸、オルト位又はメタ位がヒドロキシル基で置換された芳香族ジオール、
非対称位置にカルボキシル基を有する多環芳香族ジカルボン酸、非対称位置にヒドロキシ
ル基を有する多環芳香族ジオール等ポリマーの分子鎖に屈曲した分子構造を導入できるモ
ノマーであればジカルボン酸やジオールに限定されず、例えば、ジカルボン酸の無水物や
低級エステル、モノヒドロキシモノカルボン酸等であってもよく、例えば、無水フタル酸
、o−フタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物や低級エステル;サリチル酸、3−ヒ
ドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸等のモノヒドロキシモノカルボン酸;カテコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオールが挙げられる。
果的に抑制する。結晶化を効果的に抑制できる分岐鎖を有するモノマーとしては、分岐ア
ルキル鎖を有する脂肪族ジオールや、分岐アルキル鎖を有する脂環式ジオール等が挙げら
れる。なお、脂環式ジオールとしては、複数の脂環式ジオールが分岐アルキレン鎖により
連結された脂環式ジオールが好ましい。
上記分岐鎖を有する2価のモノマーとしては特に限定されず、例えば、1,2−プロパン
ジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール
(2,2‐ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5
−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペ
ンタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1
,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の脂肪族ジオ
ール;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物等の脂環族ジオール類
等が挙げられる。
なかでも、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール、並びに、エチレングリコール及び/
又は1,4−ブタンジオールを主成分とするモノマー混合物を重合してなる非結晶性ポリ
エステルは、低温定着性、透明性に優れることから好適である。
ることが好ましい。非結晶性ポリエステルの溶融粘度はその分子量により決まる。上記非
結晶性ポリエステルとして分子量の小さなものを用いれば、得られるトナーは溶融粘度が
低くなることから優れた低温定着性が得られる。しかしながら、分子量の小さな非結晶性
ポリエステルを用いると、得られるトナーは耐高温オフセット性、保存安定性に劣るほか
、上記結晶性ポリマーとの混練も困難になる。本発明者らは、鋭意検討の結果、平均分子
量の小さな非結晶性ポリエステルと平均分子量の大きな非結晶性ポリエステルとを併用す
ることにより、優れた低温定着性を有したまま、耐高温オフセット性、保存安定性及び結
晶性ポリマーとの混練性を大幅に改善できることを見出した。
子量の小さなものとして重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステルを
、平均分子量の大きなものとして重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエス
テルを用いる。
平均分子量の小さな非結晶性ポリエステルの重量平均分子量が3000未満であると、ト
ナー用樹脂組成物の強度が低くなり得られるトナーの耐久性が不充分となり、2万を超え
ると、優れた低温定着性を発現することができない。より好ましい上限は8000である
。
平均分子量の大きな非結晶性ポリエステルの重量平均分子量が3万未満であると、得られ
るトナーの耐高温オフセット性、保存安定性及び結晶性ポリマーとの混練性が不充分とな
り、30万を超えると、得られるトナーの低温定着性が不充分となる。より好ましい上限
は20万である。
30万である非結晶性ポリエステルとの配合比としては、重量平均分子量が3000〜2
万である非結晶性ポリエステルが40〜90重量%に対して、重量平均分子量が3万〜3
0万である非結晶性ポリエステルが10〜60重量%であることが好ましい。重量平均分
子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステルの配合量が40重量%未満であると、
得られるトナーの低温定着性が不充分となることがあり、90重量%を超えると、得られ
るトナーの耐高温オフセット性、保存安定性及び結晶性ポリマーとの混練性が不充分とな
ることがある。
。上記結晶性ポリマーと上記非結晶性ポリエステルとが相溶することにより、上述のネッ
トワーク構造を安定して形成することができる。また、上記結晶性ポリマーと上記非結晶
性ポリエステルとが相溶する場合には、本発明のトナー用樹脂組成物は無色透明となり、
良好な発色を行うことができるカラートナー用樹脂組成物として好適に用いることができ
、また、高い樹脂強度を有しているので、耐高温オフセット性に優れたトナー用樹脂組成
物として好適に用いることができる。
なお、上記相溶とは、上記結晶性ポリマーと上記非結晶性ポリエステルとが、均一に混和
する状態をいい、これらは、完全に相溶しても、また一部が相溶してもよい。
結晶性ポリマーのガラス転移温度をA(℃)、上記非結晶性ポリエステルのガラス転移温
度をB(℃)としたときに、本発明のトナー用樹脂組成物のガラス転移温度C(℃)が下
記式(1)を満たすことが好ましい。
用樹脂組成物中の非結晶性ポリマーの重量分率を表す。
本発明のトナー用樹脂組成物のガラス転移温度が上記式(1)を満たす場合には、上記結
晶性ポリマーと上記非結晶性ポリエステルとが極めて良好に相溶する。
晶性ポリエステルとが構成モノマーとして、例えばテレフタル酸等の共通のモノマー成分
を有するようにすれば、相溶性を向上させることができる。例えば、上記結晶性ポリエス
テルが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PE
T)であり、非結晶性ポリエステルが、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール、並びに
、エチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールとを主成分とするモノマー混合
物を重合してなるものであるときには、両者はよく相溶する。
の含有量としては、上記結晶性ポリマーの含有量の好ましい下限が2重量%、好ましい上
限が30重量%であり、上記非結晶性ポリエステルの含有量の好ましい下限が98重量%
、好ましい上限が70重量%である。
上記結晶性ポリマーの含有量が2重量%未満であると、耐高温オフセット性が劣ることが
あり、30重量%を超えると、低温定着性が劣ることがある。より好ましい下限は3重量
%、より好ましい上限は20重量%であり、更に好ましい下限は5重量%、更に好ましい
上限は15重量%である。
剤を含有することにより、上記結晶性ポリマー成分の結晶化を促進することができる。上
記結晶核剤としては特に限定されないが、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケ
イ素、酸化鉄(III)、酸化チタン等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸鉛、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム等の無機塩;シュウ酸カルシウム、シュウ酸ナト
リウム等の有機酸塩;タルク、カオリン、クレイマイカ、ウオラストナイト等の粘土類等
が挙げられる。また、上記結晶核剤の形状としては特に限定されず、板状、球状の他、無
定形であってもよい。
下記式(2)で表される緩和弾性率の変化率Dが15〜90であることが好ましい。
するといえる。上記緩和弾性率の変化率Dが15〜90であることは、本発明のトナー用
樹脂組成物内においてネットワーク構造が形成されており、均一に分散した物理的架橋構
造を形成した結晶を中心に高融点の結晶性ポリマー中の非結晶性成分と非結晶性ポリエス
テルとが絡まり合った構造によりゴムライクな性質が発現していることを意味すると考え
られる。上記緩和弾性率の変化率Dが15未満であると、定着ロールによる加圧時にトナ
ーの粘度が充分に低下せず、定着後の印字表面に凹凸が生じて光沢が劣り、低温定着性が
劣る。90を超えると、上述のネットワーク構造を形成しにくいことから、充分な耐高温
オフセット性向上効果が得られない。
に、下記式(3)で表される剪断ひずみを与えて0.02秒後から0.1秒後の緩和弾性
率曲線の勾配Kが−27以上であることが好ましい。
性質を有することを示す。上記緩和弾性率曲線の勾配Kが−27以上であることは、本発
明のトナー用樹脂組成物内において上述のネットワーク構造が形成されており、均一に分
散した上記物理的架橋構造を形成した結晶を中心に高融点の結晶性ポリマー中の非結晶成
分と非結晶性ポリエステルとが絡まり合った構造によりゴムライクな性質が発現している
ことを意味すると考えられる。従って、上記緩和弾性率曲線の勾配Kが−27以上である
本発明のトナー用樹脂組成物は、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性
に優れ、良好な発色を行うトナーを与えることができる。上記緩和弾性率曲線の勾配Kが
−27未満であると、上述のネットワーク構造の形成が不充分であると考えられ、所期の
効果が得られないことがある。
なお、上記緩和弾性率は、例えば、本発明のトナー用樹脂を溶融した後に所定の大きさの
円盤状に成形したものを試験用試料とし、緩和弾性率測定装置(例えば、レオメトリック
ス社製RMS−800等)を用いて測定することができる。
好ましい。このような酸価は、上記結晶性ポリマー又は上記非結晶性ポリエステルの主鎖
末端の酸性の官能基、具体的には例えばカルボキシル基等、に起因するものである。酸価
がこの範囲にあると、得られるトナーが低温定着性に優れることに加え、紙との親和性も
向上する。
なお、本発明のトナー用樹脂組成物では、従来の100万レベルの高分子量ポリマーを含
む架橋系のトナー用樹脂組成物と異なり、数十万程度の分子量のポリマーしか含有しない
ことから、上記酸性の官能基が比較的均一に分布し、更に高い低温定着性が得られる。
記結晶性ポリマーと上記非結晶性ポリエステルとを、上記結晶性ポリマーの融点以上の温
度下で混合する方法等が挙げられる。
色剤、電荷制御剤、磁性体、ゴム状ポリマー、スチレン−アクリル酸エステル共重合体か
らなるトナー用樹脂、キャリア、クリーニング性向上剤等と混合することにより、トナー
を製造することができる。このようなトナーもまた、本発明の1つである。
なお、本発明のトナーは、本発明のトナー用樹脂組成物を用いることにより低温定着性及
び耐高温オフセット性の両方に優れていることから、離型剤を含有していなくてもよい。
本発明のトナーが離型剤を含有しない場合は、透明性が一層向上したトナーとなる。
ックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワ
ックスやパラフィン系ワックス;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エス
テルワックス等の脂肪族エステル系ワックス;脱酸カルナバワックス;バルチミン酸、ス
テアリン酸、モンタン酸等の飽和脂肪族酸系ワックス;プラシジン酸、エレオステアリン
酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪族酸系ワックス;ステアリルアルコール、アラルキルア
ルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシル
アルコール等の飽和アルコール系ワックスや脂肪族アルコール系ワックス;ソルビトール
等の多価アルコール系ワックス;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミ
ド等の飽和脂肪酸アミド系ワックス;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカ
プリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミ
ド等の飽和脂肪酸ビスアミド系ワックス;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレ
ンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイ
ルセバシン酸アミド等の不飽和酸アミド系ワックス;m‐キシレンビスステアリン酸アミ
ド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族ビスアミド系ワックス;ステ
アリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシ
ウム等の脂肪酸金属塩;スチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーをポリオレフィンに
グラフト重合させたグラフト変性ワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価
アルコールとを反応させた部分エステルワックス;植物性油脂を水素添加して得られるヒ
ドロキシル基を有するメチルエステルワックス;エチレン成分の含有割合が高いエチレン
−酢酸ビニル共重合体ワックス;アクリル酸等の飽和ステアリルアクリレートワックス等
の長鎖アルキルアクリレートワックス;ベンジルアクリレートワックス等の芳香族アクリ
レートワックス等が挙げられる。なかでも、長鎖アルキルアクリレートワックスや芳香族
アクリレートワックスは、トナー用樹脂組成物との相溶性に優れ透明性の高いトナーが得
られることから好適である。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用し
てもよいが、特に融点が30℃以上異なる2種以上の離型剤を併用することが好ましい。
上記離型剤のトナー中における大きさとしては特に限定されないが、長径が2μm以下で
あることが好ましい。
ーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、アニ
リンブラック、フタロシアニンブルー、キノリンイエローランプブラック、ローダミン−
B、アゾ系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジ
ン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、スレン系顔料、インジコ系
顔料、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン等が挙げられる。
これらの着色剤の配合量の好ましい下限は、通常、トナー用樹脂組成物100重量部に対
して1重量部、好ましい上限は10重量部である。
しては、例えば、ニグロシン染料、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジン等が挙げら
れ、負帯電用電荷制御剤としては、例えば、クロム錯体、鉄錯体等が挙げられる。なかで
も、酸変性荷電制御剤が好適であり、サリチル酸変性であるとトナー用樹脂組成物と架橋
してゴム弾性を発現する。ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム錯体ジ−tert−ブ
チルサリチル酸亜鉛錯体等のアルキル置換サルチル酸の金属錯体は、無色又は淡色である
ためトナーの色調に影響を与えないので好ましい。また、上記電荷制御剤としては、荷電
制御樹脂(CCR)も好適に用いることができる。上記荷電制御樹脂としては、例えば、
4級アンモニウム塩を含むモノマー、有機フッ素系モノマー、スルホン酸基含有モノマー
、フェニルマレイミド系モノマー等を共重合したスチレンアクリルポリマー等が挙げられ
る。
これらの電荷制御剤の配合量の好ましい下限は、通常、トナー用樹脂組成物100重量部
に対して0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。
、商品名「EPTシリーズ」、商品名「MATシリーズ」、商品名「MTSシリーズ」(
いずれも戸田工業社製)、商品名「DCMシリーズ」(同和鉄粉社製)、商品名「KBC
シリーズ」、商品名「KBIシリーズ」、商品名「KBFシリーズ」、商品名「KBPシ
リーズ」(いずれも関東電化工業社製)、商品名「Bayoxide Eシリーズ」(B
ayer AG社製)等が挙げられる。
ゴム、ニトリルゴム(アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体)、クロロプレンゴム、ブ
チルゴム、アクリルゴム、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、クロロスルフィン化ポリエチ
レン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルイソプ
レンゴム等の合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー等のエラスト
マー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体、スチ
レン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体等の芳香族炭化水素と共役ジエン
系炭化水素とのブロック共重合体が挙げられる。なお、ブロック共重合体にはスチレン−
ブタジエンブロック共重合体やスチレン−イソプレンブロック共重合体等が混合されてあ
ってもよく、これらの水素添加物が混合されてあってもよい。
また、末端に水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ
基、ハロゲン基等の極性基を有する芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体か
らなるゴム状ポリマーは、トナーとの親和性に優れるので好ましい。これら末端に極性基
を有するブロック共重合体はリビング重合により得ることができる。
ゴム状ポリマーは、トナーに含まれる樹脂の樹脂強度を向上させることができる。よって
、ゴム状ポリマーを含有するトナーは、トナーのフィルミング現象を防止することができ
、また、高い樹脂強度が必要な非磁性1成分トナーに好適なトナーが得られる。
、希土類等の金属単体、合金、酸化物、フェライト等が挙げられる。キャリアは表面が酸
化されていてもよい。また、キャリア表面がポリテトラフルオロエチレン、モノクロロト
リフルオロエチレンポリマー、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンポリマー、ポリエステ
ル、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属錯体、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリ
マー、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン塩基性染料、シリカ粉末、アルミ
ナ粉末等で被覆されていてもよい。キャリアを被覆することにより好ましい摩擦帯電性を
キャリアに付与することができる。
向上するものであれば特に限定されない。トナーの流動性が向上するとトナーがクリーニ
ングブレードに付着しにくくなる。例えば、フッ化ビニリデンポリマー等のフッソ系ポリ
マー粉末、アクリル酸エステルポリマー等のアクリル系ポリマー粉末、ステアリン酸亜鉛
、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の脂肪酸金属塩粉末、酸化亜鉛粉末、酸化
チタン粉末等の金属酸化物粉末、微粉末シリカ粉末、シランカップリング剤やチタンカッ
プリング剤やシリコンオイル等により表面処理が施されたシリカ粉末、ヒュームドシリカ
等が挙げられる。また、上記クリーニング性向上剤としては、アクリル系ポリマーやスチ
レン系ポリマー等からなる粒径0.05〜0.5μmの球体も好適に用いることができる
。
平均分子量が2000以下の位置にピークが認められることが好ましい。これにより定着
性が向上する。また、本発明のトナーは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで
測定したときに、重量平均分子量が1万以上の位置にピークが認められることが好ましい
。これにより耐水性が向上する。
画質が得られる。
本発明のトナーの含水分量としては特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%
、好ましい上限は0.2重量%である。0.01重量%未満であると、製造上の問題から
製造が困難となり、0.2重量%を超えると、充分な帯電安定性が得られないことがある
。
本発明のトナーの安息角としては特に限定されないが、23℃、湿度60%における安息
角の好ましい下限は1度、好ましい上限は30度である。1度未満であると、トナーのハ
ンドリングが困難となることがあり、30度を超えると、トナーの流動性が不足すること
がある。なお、上記トナーの安息角は、例えば、パウダーテスター(例えば、ホソカワミ
クロン社製PT−N型等)等により測定することができる。
好ましい上限は2μmである。0.01μm未満であると、印字を行うことが困難となる
ことがあり、2μmを超えると得られる画像の表面光沢が不充分となることがある。なお
、上記表面粗さは、本発明のトナーを用いて印字した画像の印字部をJIS B 060
1に算術平均粗さ(Ra)の測定方法として規定される方法により測定することができる
。
明のトナーの粘度としては、150℃における溶融粘度の好ましい下限が100mPa・
s、好ましい上限が5万mPa・sである。100mPa・s未満であると、保存性が劣
ることがあり、5万mPa・sを超えると、充分な表面光沢が得られないことがある。よ
り好ましい上限は1万mPa・sである。
、低温定着性と耐高温オフセット性、耐ブロッキング性との両方に優れることから、スイ
ッチをいれてから印刷が可能になるまでの時間を短縮することができるので、経済的であ
り、更に、ローラの温度が下がっても画像の鮮明性を維持することができるので、印刷の
高速化を図ることができる。本発明のトナーは無色透明であるので、所望の色を容易に調
整することができる。本発明のトナーは、画像再現性に優れる。
、定着ローラに離型オイルが塗布されていなくても良好な定着性を発現することができる
。
また、本発明のトナー用樹脂組成物に用いる結晶性ポリマーと非結晶性ポリエステルとは
、架橋したり、別に高分子量樹脂を配合したりせずとも、低温から高温にわたる広い範囲
で良好な定着性を発現することができ、低温定着性と耐高温オフセット性、耐ブロッキン
グ性との両方に優れるトナーを得ることができる。このような非架橋トナー用樹脂組成物
を用いたトナーは、高分子量樹脂を含むトナー用樹脂を用いたトナーに比べて粉砕されや
すく、シャープな溶融特性を示し、光沢のある定着画像が得られる。
発色を行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供できる。
されるものではない。
<結晶性ポリエステルの製造>
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に
従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100モル、
ジオール成分として1,4−ブタンジオール120モル、エステル化縮合触媒としてチタ
ンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水を蒸留塔
より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエ
ステル化反応を終了した。
エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポ
ンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数6
0rpmで縮合反応を行うとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させ
て、高融点結晶性ポリエステルを得た。
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に
従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸90モル、屈
曲モノマー成分としてイソフタル酸5モル、無水フタル酸5モル、分岐モノマー成分とし
てネオペンチルグリコール60モル、他のジオールとしてエチレングリコール60モル、
エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、2
00℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より
水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。
エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポ
ンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数6
0rpmで縮合反応を行うとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させ
て、非結晶性ポリエステル(A)を得た。
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に
従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100モル、
ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール35モル、エチレングリコール85モル
、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、
200℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔よ
り水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。
エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポ
ンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数6
0rpmで縮合反応を行うとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させ
て、非結晶性ポリエステル(B)を得た。
得られた結晶性ポリエステル10重量部、非結晶性ポリエステル(A)65重量部及び非
結晶性ポリエステル(B)25重量部を二軸押出機を用いて240℃で溶融混練重量部溶
融混練してトナー用樹脂組成物を得た。
得られたトナー用樹脂組成物100重量部に荷電制御剤(TN−105:保土谷化学社製
)1重量部、カーミン6Bに属するマゼンダ顔料5重量部、カルナバワックス1重量部を
ヘンシェルミキサーで充分に混合した後、130℃で溶融混練し、冷却、粗粉砕した。そ
の後、ジェットミル(ラボジェット:日本ニューマチック社製)で微粉砕して、平均粒径
約8〜12μmのトナー粉末を得た。更に、このトナー粉末を分級機(MDS−2:日本
ニューマチック社製)で分級して、平均粒径約10μmのトナー微粉末を得た。このトナ
ー微粉末100重量部に、疎水性シリカ(R972:日本アエロジル社製)1.0重量部
を均一に混合(外添)してトナーを製造した。
原料モノマーとして、テレフタル酸60モル、イソフタル酸40モル及び1,4−ブタン
ジオール120モルを用いた以外は実施例1と同様の方法により結晶性ポリマーを得た。
得られた結晶性ポリマー20重量部と、実施例1で作製した非結晶性ポリエステル(A)
80重量部とを二軸押出機を用いて240℃で溶融混練重量部溶融混練してトナー用樹脂
組成物を得た。
得られたトナー用樹脂組成物100重量部に荷電制御剤(TN−105:保土谷化学社製
)1重量部、カーミン6Bに属するマゼンダ顔料5重量部、カルナバワックス1重量部を
ヘンシェルミキサーで充分に混合した後、130℃で溶融混練し、冷却、粗粉砕した。そ
の後、ジェットミル(ラボジェット:日本ニューマチック社製)で微粉砕して、平均粒径
約8〜12μmのトナー粉末を得た。更に、このトナー粉末を分級機(MDS−2:日本
ニューマチック社製)で分級して、平均粒径約10μmのトナー微粉末を得た。このトナ
ー微粉末100重量部に、疎水性シリカ(R972:日本アエロジル社製)1.0重量部
を均一に混合(外添)してトナーを製造した。
実施例1及び比較例1で作製したトナー用樹脂組成物又はトナーについて、以下の方法に
より評価を行った。
結果は表1に示した。
(1)結晶性ポリエステル
GPC測定装置として、日本ミリポアリミテッド社製のHTR−Cを用い、カラムには昭
和電工社製のHFIP−806M(2本)を直列につないで使用し、重量平均分子量を測
定した。測定条件は、温度は40℃、試料は0.1重量%ヒドロキシフルオロイソプロパ
ノール(HFIP)溶液(0.45μmのフィルターを通過したもの)、注入量は100
μL、キャリアー溶媒としては1L当たりTFAを0.68g含むHFIPを用いた。校
正試料として標準ポリスチレンを用いた。
(2)非結晶性ポリエステル
GPC測定装置として、日本ミリポアリミテッド社製のHTR−Cを用い、カラムには昭
和電工社製のKF−800P(1本)、KF−806M(2本)、KF−802.5(1
本)を直列につないで使用し、重量平均分子量を測定した。測定条件は、温度は40℃、
試料は0.2重量%THF溶液(0.45μmのフィルターを通過したもの)、注入量は
100μLキャリアー溶媒はTHF、校正試料として標準ポリスチレンを用いた。
(3)トナー用樹脂組成物及びトナー
GPC測定装置として、日本ミリポアリミテッド社製のHTR−Cを用い、カラムには昭
和電工社製のKF−800P(1本)、KF−806M(2本)、KF−802.5(1
本)を直列につないで使用し、分子量及び分子量分布を測定した。測定条件は、温度は4
0℃、試料は0.2重量%THF溶液(0.45μmのフィルターを通過したもの)、注
入量は100μLキャリアー溶媒はTHF、校正試料として標準ポリスチレンを用いた。
トナー用樹脂組成物を融点以上の温度でしばらく保持した後、急冷を行い、結晶化を完全
に抑制したサンプルを作製した。このサンプルについて、示差走査熱量計(セイコー電子
工業社製、DSC−6200R)を用いて、昇温速度10℃/分で、JIS K 712
1に準拠して測定し、該規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)に記載されている中
間ガラス転移温度を求めた。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC−6200R)を用いて、昇温速度10
℃/分で試料の10mgを加熱し、JIS K 7121に準拠して測定し、該規格(9
.1「融解温度の求め方」)に記載されている融解ピーク値を求めてこれを結晶融点Tm
とし、また、DSCチャートをから結晶融点Tmにおける吸熱量を求めた。
エチルアルコールの代わりにテトラヒドロフラン(THF)を用いた以外は、JIS K
6751に準拠した方法により酸価を求めた。
トナー用樹脂組成物の色を目視にて観察した。
トナー10gを100mLサンプル瓶に取り、50℃の恒温槽中に8時間放置した後、パ
ウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用いて250μmのフィルターでふるいにか
けフィルター上に凝集物が残存するかを観察し、凝集物がある場合には、トナー重量に対
する凝集物の重量(重量%)を求めた。
1万枚印刷を行い、定着ローラにトナーが付着していないかを目視で観察し、トナーの付
着が見られないものをフィルミングなしと評価した。
グロスメータ(光沢度計、スガ試験機社製、UGV−50)を用い、トナーで黒く塗りつ
ぶした試験紙をグロスメータに取りつけ反射角が75度となるよう光路を設定し光沢度を
測定した。
トナー6.5重量部を平均粒径50〜80μmの鉄粉キャリアー93.5重量部と混合し
て現像剤を作製した。電子写真複写機としてコニカ社製のUBIX4160AFを熱定着
ローラの設定温度が最大250℃まで変えられるように改造したものを用いた。
熱定着ローラの設定温度を段階的に変化させて、各設定温度の熱定着ローラによって未定
着トナー像を転写紙に定着させた複写物を得た。
得られた複写物の余白部分や定着画像がトナーにより汚されているか否かを観察し、汚れ
が生じない温度領域を非オフセット温度領域とした。また、非オフセット温度領域の最大
値を高温オフセット温度とし、最小値を低温オフセット温度とした。
電子写真複写機の熱定着ローラの設定温度を段階的に変えて複写を行ない、余白部分や定
着画像にかぶりが発生することなく余白部分や定着画像がトナーにより汚されておらず、
得られた複写物の定着画像をタイプライター用砂消しゴムで擦ったとき、定着画像の濃度
の低下が10%未満である場合を定着良好と判定し、その時の最低温度を求めた。
なお、画像の濃度はマクベス光度計を用いて測定した。
発色を行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供できる。
Claims (13)
- 融点が180〜280℃であり、かつ、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した融点
における吸熱量が25〜150mJ/mgである結晶性ポリマーと、ガラス転移温度が3
0〜80℃である非結晶性ポリエステルとを含有するトナー用樹脂組成物であって、
前記非結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエス
テルと、重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステルとを含有する
ことを特徴とするトナー用樹脂組成物。 - 非結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステル
の配合量が40〜90重量%、重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステ
ルの配合量が10〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載のトナー用樹脂組成
物。 - 示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した融点における吸熱量が1〜20mJ/mgで
あることを特徴とする請求項1又は2記載のトナー用樹脂組成物。 - 結晶性ポリマーは、重量平均分子量が3万〜30万であることを特徴とする請求項1、2
又は3記載のトナー用樹脂組成物。 - 結晶性ポリマーは、結晶性ポリエステルであることを特徴とする請求項1、2、3又は4
記載のトナー用樹脂組成物。 - 結晶性ポリエステルは、ポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項5記
載のトナー用樹脂組成物。 - 結晶性ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項5記
載のトナー用樹脂組成物。 - 結晶性ポリマーは、結晶性ポリアミドであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記
載のトナー用樹脂組成物。 - 非結晶性ポリエステルは、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール、並びに、エチレング
リコール及び/又は1,4−ブタンジオールを主成分とするモノマー混合物を重合してな
るものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のトナー用
樹脂組成物。 - 結晶性ポリマーと非結晶性ポリエステルとは相溶するものであることを特徴とする請求項
1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のトナー用樹脂組成物。 - 酸価が1〜30であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0又は11記載のトナー用樹脂組成物。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載のトナー用樹脂組
成物を用いてなることを特徴とするトナー。
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