JP2006091396A - 紫外線用ズームレンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】 紫外線領域において色収差およびその他の収差が良好に補正された紫外線用ズームレンズを提供する。
【解決手段】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1群G1と、負の屈折力を有する第2群G2と、正の屈折力を有する第3群G3と、正の屈折力を有する第4群G4とを備え、第2群G2と第3群G3とを光軸に沿って移動させることにより全系の焦点距離が変化する。第1群G1、第3群G3および第4群G4は全体として、複数の正レンズおよび複数の負レンズを含み、かつそれらにおける各正レンズの材料がすべて蛍石で構成されると共に、各負レンズの材料がすべて石英で構成されている。さらに、以下の条件式(1)を満足する。f2は第2群G2の焦点距離、fTは望遠端における全系の焦点距離を示す。
−1.5<f2/fT<−0.6 ……(1)
【選択図】 図1
【解決手段】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1群G1と、負の屈折力を有する第2群G2と、正の屈折力を有する第3群G3と、正の屈折力を有する第4群G4とを備え、第2群G2と第3群G3とを光軸に沿って移動させることにより全系の焦点距離が変化する。第1群G1、第3群G3および第4群G4は全体として、複数の正レンズおよび複数の負レンズを含み、かつそれらにおける各正レンズの材料がすべて蛍石で構成されると共に、各負レンズの材料がすべて石英で構成されている。さらに、以下の条件式(1)を満足する。f2は第2群G2の焦点距離、fTは望遠端における全系の焦点距離を示す。
−1.5<f2/fT<−0.6 ……(1)
【選択図】 図1
Description
本発明は、CCD(Charge Coupled Device)や撮像管等の撮像素子を用いたデジタルカメラや、銀塩フィルムなどを用いたカメラに使用されるズームレンズに関し、特に、波長が200nm以上程度の紫外線領域で使用される紫外線用ズームレンズに関する。
紫外線用の光学系の用途としては、例えば以下のものがある。
(1)キズ検査
紫外線は可視光に比べて物体表面での拡散が大きいという特性を利用し、工業製品の表面のキズ検査に利用されている。紫外線照明を製品に照射し、反射光を見ることで物体表面の微細なキズ・欠陥を観察できる。
(2)自然観察の用途
昆虫類の多くは、人間の目には見えない紫外線領域にも視覚を持っていると言われている。紫外線用の光学系を通して風景を撮影すると、可視域では見えなかった風景が観察できる。人間から見た風景と昆虫類の立場から見た風景との差異を知ることができ、昆虫類の生態等を調べるためにも役立つ。
(3)紫外光照明漏れのチェック
多くの昆虫は、350nm〜400nm程度の紫外光に誘因されることが知られている。このため、食品加工工場等では虫の混入を防ぐため、照明から紫外光をカットしておくことが好ましい。そのような場合において、紫外光が適切にカットされているか、紫外光の漏れがないかどうかをチェックする必要があり、そのための光学系が必要とされている。
(1)キズ検査
紫外線は可視光に比べて物体表面での拡散が大きいという特性を利用し、工業製品の表面のキズ検査に利用されている。紫外線照明を製品に照射し、反射光を見ることで物体表面の微細なキズ・欠陥を観察できる。
(2)自然観察の用途
昆虫類の多くは、人間の目には見えない紫外線領域にも視覚を持っていると言われている。紫外線用の光学系を通して風景を撮影すると、可視域では見えなかった風景が観察できる。人間から見た風景と昆虫類の立場から見た風景との差異を知ることができ、昆虫類の生態等を調べるためにも役立つ。
(3)紫外光照明漏れのチェック
多くの昆虫は、350nm〜400nm程度の紫外光に誘因されることが知られている。このため、食品加工工場等では虫の混入を防ぐため、照明から紫外光をカットしておくことが好ましい。そのような場合において、紫外光が適切にカットされているか、紫外光の漏れがないかどうかをチェックする必要があり、そのための光学系が必要とされている。
これらの用途の他にも、義歯などの人工物の観察や、植物の断層構造の観察を行う用途もある。特許文献1には、紫外線領域で使用可能な結像レンズに関する記載がある。この結像レンズは、固定焦点レンズとなっている。
特開平9−33803号公報
紫外線用の光学系は上記したように種々の用途での市場がある。しかしながら、これまでは特許文献1に記載のような固定焦点レンズしか開発されておらず、紫外線用のズームレンズは存在していない。原因として、紫外線領域で使用できるレンズ材料が光透過率の問題から現状、石英(SiO2)と蛍石(CaF2)の2種類のみに限られており、ズームレンズで色消しを行うのが困難であることが挙げられる。また、ペッツバール和の補正も困難である。また、特に蛍石はその結晶構造から、曲率半径の小さな面や凹面の研磨加工がし難く、製造性の点で形状が限定されてしまうという制約もある。このため、すべてのズーム域で色収差およびその他の収差の補正をする必要のあるズームレンズでは、紫外線領域での結像レンズがこれまで存在しなかった。
紫外線領域でのズームレンズが開発されれば、これまでレンズを交換しなければ観察できなかったものが1つのズームレンズで観察できるため、上記した種々の用途での使用の幅が広がる。また、連続的に倍率が変えられるので倍率調整が精密にでき、使用に適した倍率での観察ができる。このため、紫外線領域でのズームレンズの開発が望まれる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、例えば230nm〜380nm程度の紫外線領域において色収差およびその他の収差が良好に補正された紫外線用ズームレンズを提供することにある。
本発明による紫外線用ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1群と、負の屈折力を有する第2群と、正の屈折力を有する第3群と、正の屈折力を有する第4群とを備え、第2群と第3群とを光軸に沿って移動させることにより全系の焦点距離が変化するようになされている。そして、第1群、第3群および第4群が全体として、複数の正レンズおよび複数の負レンズを含み、かつ各正レンズの材料がすべて蛍石で構成されると共に、各負レンズの材料がすべて石英で構成され、さらに以下の条件式(1)を満足するものである。式中、f2は第2群の焦点距離、fTは望遠端における全系の焦点距離を示す。
−1.5<f2/fT<−0.6 ……(1)
−1.5<f2/fT<−0.6 ……(1)
本発明による紫外線用ズームレンズでは、4群ズーム方式のレンズにおいて、負の屈折力を有する第2群と正の屈折力を有する第3群とを光軸に沿って移動させることにより全系の焦点距離が変化し、変倍が行われる。正の屈折力を有する第1群、第3群および第4群における各正レンズの材料をすべて蛍石にすると共に、各負レンズの材料をすべて石英で構成し、さらに、負の屈折力を有する第2群に関して条件式(1)を満たして第2群の屈折力を適切なもとすることで、すべてのズーム域において良好に収差補正が行われる。
そして、さらに、要求される仕様等に応じて次の好ましい条件を適宜採用して満足することで、収差性能をより良好なものとすることができる。
そして、さらに、要求される仕様等に応じて次の好ましい条件を適宜採用して満足することで、収差性能をより良好なものとすることができる。
本発明による紫外線用ズームレンズにおいて、第2群は例えば、物体側から順に、1枚以上の他の負レンズと1枚以上の他の正レンズとで構成することができる。それらのレンズのうち、他の負レンズの少なくとも1枚の材料が蛍石で構成され、それ以外のレンズの材料が石英で構成されていることが好ましい。
ズームレンズにおいて各ズーム域で色収差を抑えるためには、各群で色収差が補正されていることが好ましい。第2群は負の屈折力を有しているので、正の屈折力を有する第1群、第3群および第4群とは逆に、負レンズに蛍石を用いることで色収差が良好に補正される。
ズームレンズにおいて各ズーム域で色収差を抑えるためには、各群で色収差が補正されていることが好ましい。第2群は負の屈折力を有しているので、正の屈折力を有する第1群、第3群および第4群とは逆に、負レンズに蛍石を用いることで色収差が良好に補正される。
第2群はまた、物体側から順に、1枚以上の他の負レンズと1枚以上の他の正レンズとで構成され、かつそれらのレンズの材料がすべて石英で構成されていても良い。
上記したように第2群では色収差の補正のために、負レンズに蛍石を用いることが好ましいが、一方で蛍石の結晶構造の性質上、凹面の研磨加工がし難い。このため、第2群をすべて石英で構成することで、製造面では有利となる。
上記したように第2群では色収差の補正のために、負レンズに蛍石を用いることが好ましいが、一方で蛍石の結晶構造の性質上、凹面の研磨加工がし難い。このため、第2群をすべて石英で構成することで、製造面では有利となる。
本発明の紫外線用ズームレンズによれば、正の屈折力を有する第1群、第3群および第4群における各正レンズの材料をすべて蛍石にすると共に、各負レンズの材料をすべて石英で構成し、さらに、負の屈折力を有する第2群に関して条件式(1)を満たして第2群の屈折力を適切な値に設定したので、すべてのズーム域において良好に収差補正を行うことができる。これにより、例えば230nm〜380nm程度の紫外線領域において色収差およびその他の収差が良好に補正された紫外線用ズームレンズを実現できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1(A),(B)は、本発明の一実施の形態に係る紫外線用ズームレンズの第1の構成例を示している。この構成例は、後述の第1の数値実施例(図5,図7)のレンズ構成に対応している。特に図1(A)は広角端でのレンズ配置を示し、図1(B)は望遠端でのレンズ配置を示している。図2は、図1(A)の紫外線用ズームレンズを拡大して示したものである。また、図3(A),(B)は、第2の構成例を示している。この構成例は、後述の第2の数値実施例(図6,図8)のレンズ構成に対応している。特に図3(A)は広角端でのレンズ配置を示し、図3(B)は望遠端でのレンズ配置を示している。図4は、図3(A)の紫外線用ズームレンズを拡大して示したものである。図2,図4において、符号Riは、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。なお符号Diについては、変倍に伴って移動する部分の面間隔D6,D12,D16のみ符号を付す。なお、各構成例共に基本的な構成は同じなので、以下では図1(A),(B),図2に示した第1の構成例を基本にして説明する。
図1(A),(B)は、本発明の一実施の形態に係る紫外線用ズームレンズの第1の構成例を示している。この構成例は、後述の第1の数値実施例(図5,図7)のレンズ構成に対応している。特に図1(A)は広角端でのレンズ配置を示し、図1(B)は望遠端でのレンズ配置を示している。図2は、図1(A)の紫外線用ズームレンズを拡大して示したものである。また、図3(A),(B)は、第2の構成例を示している。この構成例は、後述の第2の数値実施例(図6,図8)のレンズ構成に対応している。特に図3(A)は広角端でのレンズ配置を示し、図3(B)は望遠端でのレンズ配置を示している。図4は、図3(A)の紫外線用ズームレンズを拡大して示したものである。図2,図4において、符号Riは、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。なお符号Diについては、変倍に伴って移動する部分の面間隔D6,D12,D16のみ符号を付す。なお、各構成例共に基本的な構成は同じなので、以下では図1(A),(B),図2に示した第1の構成例を基本にして説明する。
この紫外線用ズームレンズは、撮像素子を用いたデジタルカメラや、銀塩フィルムなどを用いたカメラに搭載され、例えば、キズ検査や自然観察等の各種の用途に使用されるものである。この紫外線用ズームレンズは、光軸Z1に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1群G1と、負の屈折力を有する第2群G2と、正の屈折力を有する第3群G3と、正の屈折力を有する第4群G4とを備えている。
この紫外線用ズームレンズの結像面(撮像面)Simgには、例えば図示しない撮像素子が配置される。図示しないが、第4群G4と撮像面との間には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、カバーガラスや各種光学フィルタなどの光学部材が配置されていても良い。
この紫外線用ズームレンズは、第2群G2と第3群G3とを変倍群として光軸Z1に沿って移動させて相互の間隔を変化させることにより焦点距離を連続的に変化させ、変倍を行うようになっている。より具体的には、第2群G2を光軸上で移動させることにより変倍が行われ、それに伴う像面変動の補正が第3群G3を光軸上で移動させることにより行われるようになっている。第2群G2と第3群G3は、広角端から望遠端へと変倍させるに従い、図に実線で示した軌跡を描くように移動する。第1群G1および第4群G4は、変倍時には固定となっている。
この紫外線用ズームレンズにおいて、正の屈折力を有する群である第1群G1、第3群G3および第4群G4は全体として、複数の正レンズおよび複数の負レンズを含み、かつ各正レンズの材料がすべて蛍石で構成されると共に、各負レンズの材料がすべて石英で構成されている。
この紫外線用ズームレンズは、以下の条件式(1)を満足している。式中、f2は第2群G2の焦点距離、fTは望遠端における全系の焦点距離を示す。
−1.5<f2/fT<−0.6 ……(1)
この紫外線用ズームレンズは、以下の条件式(1)を満足している。式中、f2は第2群G2の焦点距離、fTは望遠端における全系の焦点距離を示す。
−1.5<f2/fT<−0.6 ……(1)
第1群G1は、例えば3枚のレンズL11〜L13により構成されている。レンズL11〜L13はそれぞれ、例えば負レンズ、正レンズおよび正レンズとなっている。レンズL11は例えば両凹レンズとなっている。レンズL12,L13は例えば両凸レンズとなっている。
第2群G2は、物体側から順に、1枚以上の負レンズと1枚以上の正レンズとで構成されている。かつそれらのレンズのうち、負レンズの少なくとも1枚の材料が蛍石で構成され、それ以外のレンズの材料が石英で構成されている。第2群G2は、より具体的には例えば3枚のレンズL21〜L23により構成されている。レンズL21,L22は負レンズ、レンズL23は正レンズとなっている。レンズL21,L22は例えば、両凹レンズとなっている。レンズL23は例えば、両凸レンズとなっている。例えばレンズL21,L22の材料が蛍石、レンズL23の材料が石英となっている。
このように第2群G2において少なくとも1枚の負レンズの材料を蛍石にした場合、式(1)に関してはさらに次の条件を満足することが望ましい。
−1.2<f2/fT<−0.6 ……(1A)
このように第2群G2において少なくとも1枚の負レンズの材料を蛍石にした場合、式(1)に関してはさらに次の条件を満足することが望ましい。
−1.2<f2/fT<−0.6 ……(1A)
ただし、第2群G2のすべてのレンズの材料を石英で構成するようにしても良い。図3(A),(B),図4に示した第2の構成例では、3枚のレンズL21〜L23の材料がすべて石英となっている。
このように第2群G2のすべてのレンズの材料を石英にした場合、式(1)に関してはさらに次の条件を満足することが望ましい。
−1.5<f2/fT<−0.8 ……(1B)
このように第2群G2のすべてのレンズの材料を石英にした場合、式(1)に関してはさらに次の条件を満足することが望ましい。
−1.5<f2/fT<−0.8 ……(1B)
第3群G3は、例えば2枚のレンズL31,L32により構成されている。レンズL31は正レンズ、レンズL32は負レンズとなっている。レンズL31は例えば、両凸レンズとなっている。レンズL32は例えば、像側に凹面を向けた負のメニスカスレンズとなっている。ただし、図3(A),(B),図4に示した第2の構成例のように、レンズL32を両凹レンズとしても良い。
第4群G4は、例えば7枚のレンズL41〜L47により構成されている。レンズL41,L43,L44,L46は負レンズ、レンズL42,L45,L47は正レンズとなっている。
なお、本実施の形態に係る紫外線用ズームレンズの特徴部分は主に、各群におけるレンズ材料の選択、第2群G2のパワー配分の最適化にあり、各群におけるレンズ枚数やそのレンズ形状などは、図示したものに限らず他の構成をとり得る。
次に、以上のように構成された紫外線用ズームレンズの作用および効果を説明する。
この紫外線用ズームレンズでは、負の屈折力を有する第2群G2と正の屈折力を有する第3群G3とを光軸Z1に沿って移動させて相互の間隔を変化させることにより、変倍が行われる。この場合において、正の屈折力を有する第1群G1、第3群G3および第4群G4における各正レンズの材料をすべて蛍石にすると共に、各負レンズの材料をすべて石英で構成し、さらに、負の屈折力を有する第2群G2に関して条件式(1)を満たして第2群G2の屈折力を適切なものとすることで、すべてのズーム域において良好に収差補正が行われる。また、第2群G2を物体側から順に、負・正のレンズで構成することで、レンズ径を小さくすることができる。
条件式(1)において、下限を越えると、第2群G2のパワーが弱くなり過ぎ、全長が延びるので好ましくない。また、第1群G1の径も大きくなるので好ましくない。上限を越えると、第2群G2のパワーが強くなり過ぎ、色収差を良好に補正できなくなるので好ましくない。
ここで、紫外線領域における色消しの条件について述べる。250nm〜370nmの紫外域でのレンズのアッベ数νUVを以下の式で定義する。N250は波長250nmでの屈折率、N310は波長310nmでの屈折率、N370は波長370nmでの屈折率を示す。なお、波長領域がこれと異なる場合であっても、その紫外線領域における最短波長での屈折率、最長波長での屈折率、および中間波長での屈折率を、この定義式に当てはめれば、同様にしてアッベ数を定義できる。
νUV=(N310−1)/(N250−N370)
紫外線領域で使用可能なレンズ材料は現状、石英と蛍石の2種類だけである。上記定義式から石英および蛍石のレンズのアッベ数は、以下のようになる。
石英のアッベ数νUV=14.4
蛍石のアッベ数νUV=19.8
νUV=(N310−1)/(N250−N370)
紫外線領域で使用可能なレンズ材料は現状、石英と蛍石の2種類だけである。上記定義式から石英および蛍石のレンズのアッベ数は、以下のようになる。
石英のアッベ数νUV=14.4
蛍石のアッベ数νUV=19.8
従って、可視域と同様、紫外域でも石英に比べて蛍石の方が分散が小さい。ズームレンズにおいて各ズーム域で色収差を抑えるためには、各群で色収差を補正する必要がある。このため、正の群(第1群G1、第3群G3および第4群G4)では、正レンズに低分散の材料(蛍石)、負レンズに高分散の材料(石英)を用いると共に、負の群(第2群G2)では逆に、正レンズに高分散の材料、負レンズに低分散の材料を用いることが好ましい。本実施の形態では、この色消しの条件に従い第1群G1、第3群G3および第4群G4における各正レンズの材料をすべて蛍石とし、各負レンズの材料をすべて石英としている。
図1(A),(B),図2に示した第1の構成例では、負の群である第2群G2についても、上記した色消しの条件に従い、負レンズに蛍石を用いている。これにより色収差が良好に補正される。蛍石を用いていることで色収差が補正されるため、第2群G2の負のパワーを強めることができ、系の全長を短くすることができる。ただし、蛍石はその結晶構造から、曲率半径の小さな面や凹面の研磨加工がし難いという面もある。これらを考慮すると、式(1)に関しては次の条件を満足することがより好ましい。これにより、加工性を考慮しつつ第2群G2の負のパワーを適切にすることができる。
−1.2<f2/fT<−0.6 ……(1A)
−1.2<f2/fT<−0.6 ……(1A)
このように色収差の補正のためには第2群G2の負レンズに蛍石を用いることが好ましい。一方、図3(A),(B),図4に示した第2の構成例のように、第2群G2のすべてのレンズの材料を石英で構成するようにしても良い。この場合には、色収差の補正には不利になるものの、製造面では有利となる。またこの場合、第2群G2の負のパワーを強くしすぎると、色収差の補正が困難になる。これらを考慮すると、式(1)に関しては次の条件を満足することがより好ましい。これにより、第2群G2の負のパワーを比較的弱くして、色収差のバランスを取ることができる。
−1.5<f2/fT<−0.8 ……(1B)
−1.5<f2/fT<−0.8 ……(1B)
以上説明したように、本実施の形態に係る紫外線用ズームレンズによれば、すべてのズーム域において良好に収差補正を行うことができる。これにより、例えば230nm〜380nm程度の紫外線領域において色収差およびその他の収差が良好に補正された紫外線用ズームレンズを実現できる。この紫外線用ズームレンズにより、紫外線領域ではこれまでレンズを交換しなければ観察できなかったものが1つのズームレンズで観察できるため、紫外線領域における種々の用途での使用の幅が広がる。また、連続的に倍率が変えられるので倍率調整が精密にでき、紫外線領域における使用に適した倍率での観察ができる。
次に、本実施の形態に係る紫外線用ズームレンズの具体的な数値実施例について説明する。以下では、第1,第2の数値実施例(実施例1,2)をまとめて説明する。
図5,図7は、図1(A),(B)および図2に示した紫外線用ズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータ(実施例1)を示している。図5には基本的なレンズデータを示し、図7にはその他のデータを示す。また、図6,図8は、図3(A),(B)および図4に示した紫外線用ズームレンズの構成に対応する具体的なレンズデータ(実施例2)を示している。図6には基本的なレンズデータを示し、図8にはその他のデータを示す。
図5,図6に示したレンズデータにおける面番号Siの欄には、各実施例に係る紫外線用ズームレンズについて、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目(i=1〜30)の面の番号を示している。曲率半径Riの欄には、図2,図4において付した符号Riに対応させて、物体側からi番目の面の曲率半径の値を示す。面間隔Diの欄についても、同様に物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸上の間隔を示す。曲率半径Riおよび面間隔Diの値の単位はミリメートル(mm)である。Njの欄には、物体側からj番目(j=1〜15)のレンズ要素の波長310nmに対する屈折率の値を示す。
また、各レンズの材料名も併記した。この紫外線用ズームレンズは蛍石(CaF2)と石英(SiO2)のみで構成されている。なお上記した定義式によれば、紫外線領域における石英のアッベ数は14.4、蛍石のアッベ数は19.8である。実施例1,2共に、第1群G1、第3群G3および第4群G4における各正レンズの材料はすべて蛍石、各負レンズの材料はすべて石英となっている。第2群G2は、実施例1については、負レンズの材料が蛍石、正レンズの材料が石英となっているが、実施例2については第2群G2がすべて石英となっている。
各実施例に係る紫外線用ズームレンズは、変倍に伴って第2群G2および第3群G3が光軸上を移動するため、これらの各群の前後の面間隔D6,D12,D16の値は可変となっている。図7,図8には、これらの面間隔D6,D12,D16の変倍時のデータとして、広角端、および望遠端における値を示す。なお、第3群G3と第4群G4との間隔であるD16の値は、中間域で最小の値を取るため、その値も併記した。図7,図8にはまた、広角端および望遠端での焦点距離fの値(mm)とFナンバー(FNO.)の値とについても示す。
図9には、上述の条件式(1)に関する値を、各実施例についてまとめたものを示す。図9から分かるように、各実施例の値が、条件式(1)の数値範囲内となっている。
図10(A)〜(C)はそれぞれ、実施例1に係る紫外線用ズームレンズにおける広角端での球面収差、非点収差、およびディストーションを示している。図11(A)〜(C)は、望遠端における同様の各収差を示している。各収差図には、310nmを基準波長とした収差を示すが、球面収差図には、波長250nm,波長370nmについての収差も示す。非点収差図において、実線はサジタル方向、破線はタンジェンシャル方向の収差を示す。FNO.はF値、ωは半画角を示す。同様に、実施例2についての諸収差を図12(A)〜(C)(広角端)、および図13(A)〜(C)(望遠端)に示す。
以上の各数値データおよび各収差図から分かるように、各実施例について、色収差およびその他の収差が良好に補正された紫外線用ズームレンズが実現できている。
なお、本発明は、上記実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。
G1…第1群、G2…第2群、G3…第3群、G4…第4群、Ri…物体側から第i番目のレンズ面の曲率半径、Di…物体側から第i番目と第i+1番目のレンズ面との面間隔、Z1…光軸。
Claims (3)
- 物体側から順に、正の屈折力を有する第1群と、負の屈折力を有する第2群と、正の屈折力を有する第3群と、正の屈折力を有する第4群とを備え、
前記第2群と前記第3群とを光軸に沿って移動させることにより全系の焦点距離が変化するようになされ、
前記第1群、前記第3群および前記第4群は全体として、複数の正レンズおよび複数の負レンズを含み、かつ前記各正レンズの材料がすべて蛍石で構成されると共に、前記各負レンズの材料がすべて石英で構成され、
さらに以下の条件式(1)を満足する
ことを特徴とする紫外線用ズームレンズ。
−1.5<f2/fT<−0.6 ……(1)
ただし、
f2:第2群の焦点距離
fT:望遠端における全系の焦点距離 - 前記第2群が物体側から順に、1枚以上の他の負レンズと1枚以上の他の正レンズとで構成され、かつそれらのレンズのうち、前記他の負レンズの少なくとも1枚の材料が蛍石で構成され、それ以外のレンズの材料が石英で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線用ズームレンズ。 - 前記第2群が物体側から順に、1枚以上の他の負レンズと1枚以上の他の正レンズとで構成され、かつそれらのレンズの材料がすべて石英で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線用ズームレンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004276385A JP2006091396A (ja) | 2004-09-24 | 2004-09-24 | 紫外線用ズームレンズ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004276385A JP2006091396A (ja) | 2004-09-24 | 2004-09-24 | 紫外線用ズームレンズ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006091396A true JP2006091396A (ja) | 2006-04-06 |
Family
ID=36232461
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006091396A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018120153A (ja) * | 2017-01-27 | 2018-08-02 | 富士フイルム株式会社 | ズームレンズおよび撮像装置 |
JP2018165818A (ja) * | 2017-03-28 | 2018-10-25 | 株式会社ニコン | 光学系、光学機器及び光学系の製造方法 |
CN112817135A (zh) * | 2021-01-07 | 2021-05-18 | 南京信息工程大学 | 一种紫外连续变焦望远光学*** |
-
2004
- 2004-09-24 JP JP2004276385A patent/JP2006091396A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018120153A (ja) * | 2017-01-27 | 2018-08-02 | 富士フイルム株式会社 | ズームレンズおよび撮像装置 |
JP2018165818A (ja) * | 2017-03-28 | 2018-10-25 | 株式会社ニコン | 光学系、光学機器及び光学系の製造方法 |
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