JP2006090904A - 電気設備の診断システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 上記課題を解決するため、電気設備の診断システム1は、電気設備2が発生する音や振動を検出するセンサ3と、検出された音や振動に基づいて得られたデータをパターン化したそれぞれのパターンを隠れマルコフモデルに基づいてパラメータ化したうえ、それぞれのパラメータを診断情報として予め記憶する学習部5と、電気設備2の運転状態でセンサ3により検出された音や振動に基づいて得られたデータをパターン化したパターンの生成確率を、学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率が最大となるパラメータに対応した診断情報に基づいて電気設備2を診断する診断部6と、診断結果を表示する表示部7とを備えることである。
【選択図】 図3
Description
6.6kV遮断器の動作音解析による状態診断手法(著者 長谷川、平井)平成16年電気学会 電力・エネルギー部門大会一般セッション論文159
請求項1に記載の電気設備の診断システムによれば、学習手段は、電気設備の予め決められたそれぞれの状態において検出されたそれぞれの音のデータをパターン化し、それぞれのパターンに隠れマルコフモデルを適用することによりパラメータ化した各パラメータを電気設備の診断情報として予め記憶する。また、診断手段は、電気設備の運転状態において音検出手段により検出された音のデータをパターン化したパターンを生成する確率を前記学習手段に予め記憶されている各パラメータに基づいて演算するとともに、当該生成確率が最大となるパラメータに対応した診断情報に基づいて電気設備を診断する。このように、電気設備が動作中に発生する音を検出し、検出した音のデータに対して確率統計的なパターン認識手段である隠れマルコフモデルを適用することにより、電気設備が正常か異常かを診断することができる。
図1において、a11,a12,a22,a23,a33,a34は、状態遷移確率を示すもので、aijは状態Siから状態Sjに遷移する確率である。また、bi(x)は状態Siにおいて特徴量x(本発明の場合は音や振動)を出力する確率を示す。尚、S1は初期状態、S4は最終状態を示している。このように、隠れマルコフモデルは状態遷移確率、出力確率、及び初期状態確率πi(初期状態がSiである確率)をパラメータとして持ち、それぞれのパラメータを、電気設備の正常状態や、認識したい異常状態毎に記憶しておくものであり、前述の学習手段の機能に相当する。
また、隠れマルコフモデルによるパターン認識手法は、特徴量(音や振動)の分布波形を単純に比較するパターン認識手法に比べてデータ数を削減することができるため、データを記憶するための記憶容量を小さくすることができるとともに、診断結果を算出するまでの計算量を大幅に低減することができる。
図2は、電気設備の診断システム1の全体的な構成を示したブロック図である。図2に示すように、電気設備の診断システム1には、電気設備2から発生する音や振動を検出する各種のセンサ3が設けられている。これらのセンサ3により検出された音や振動の検出信号は、一般にアナログ信号であるため、それぞれのアナログ信号は、A/D変換回路4でデジタル信号に変換される。A/D変換回路4から出力されたデジタル信号は、学習段階では以下に説明する学習部5に入力され、電気設備2の運転状態では診断部6に入力されるようになっている。
また、診断部6において、動作音や振動のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に記憶されているパラメータを用いて計算する場合、前向きアルゴリズムなどを含む計算アルゴリズムを適用して計算する。
図3に示すように、遮断器11の動作音を検出するセンサとして騒音計12が配置されており、騒音計12により検出された動作音の検出信号が隠れマルコフモデル部(HMM部)10に入力されるため、隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、遮断器11の動作音のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報に基づいて電気設備2を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を表示部7に表示する。
尚、図4は、遮断器11の図示していない引外しフックのグリス固渋による動作音の変化を示した異常特性図である。
図5に示すように、遮断器11の振動を検出するセンサとして振動センサ13が配置されており、振動センサ13により検出された振動の検出信号が隠れマルコフモデル部(HMM部)10に入力されるため、隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、遮断器11の振動のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報に基づいて電気設備2の状態を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を表示部7に表示する。
図6に示すように、遮断器11の動作音を検出するセンサとして騒音計12が配置されており、騒音計12により検出された動作音の検出信号が隠れマルコフモデル部(HMM部)10に入力される。また、遮断器11の振動を検出するセンサとして振動センサ13が用いられており、振動センサ13により検出された振動の検出信号が隠れマルコフモデル部(HMM部)10に入力される。騒音計12により検出された動作音の検出信号、及び、振動センサ13により検出された振動の検出信号が隠れマルコフモデル部(HMM部)10に入力されると、隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、遮断器11の動作音のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報と、遮断器11の振動のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報とに基づいて電気設備2の状態を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を表示部7に表示する。
図7に示すように、回転機14の動作音を検出するセンサとして騒音計12が配置されている。騒音計12により検出された動作音の検出信号は前述の隠れマルコフモデル部(HMM部)に入力される。尚、図7では、前述の隠れマルコフモデル部(HMM部)10及び表示部7を図示していない。隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、回転機14の動作音のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報に基づいて回転機14の状態を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を表示部7に表示する。
図11に示すように、振動センサ13は、電動機15の本体、電動機15の軸受15a,15b、ポンプ16の本体、ポンプ16の軸受17a,17bに配置されている。それぞれの振動センサ13により検出された各部の振動の各検出信号は前述の隠れマルコフモデル部(HMM部)10に入力される。隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、それぞれの振動のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報に基づいて電動機15の本体、電動機15の軸受15a,15b、ポンプ16の本体、及び、ポンプ16の軸受17a,17bの状態を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を表示部7に表示する。
一般に、モールドタイプの変圧器20のようなモールド機器は、運転状態で部分放電が継続的に発生しているか否かが異常と正常の判断基準となるため、上記のようなセンサを配置し、それぞれのセンサで検出された音、超音波、弾性波の検出信号を前述の隠れマルコフモデル部(HMM部)10に出力する。隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、それぞれのセンサで検出された音、超音波、弾性波それぞれのパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報に基づいて変圧器20の状態を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を表示部7に表示する。尚、上記センサに加え、部分放電によって発生する変圧器20の振動を検出する振動センサを用いてもよい。また、図13は、モールドタイプの変圧器20の状態を診断する例を示しているが、油入り変圧器の状態を診断する場合も同様のセンサの配置をすることにより可能である。
尚、上記のようなガス絶縁機器23,24と同様に、ガス遮断器(GCB)の診断も可能である。
その超音波振動を超音波センサ27で検出する。超音波センサ27で検出された超音波振動の検出信号を前述の隠れマルコフモデル部(HMM部)10に出力すると、隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、その振動のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報に基づいて電力用コンデンサ26の状態を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を前述の表示部7に表示する。
尚、碍子31は、一般に表面が海塩の付着により汚損され、更に霧や降雨、高湿等により湿潤することによって部分放電が発生することがある。このように部分放電が発生すると、騒音や振動が発生するため、上記騒音計12や振動センサ13、及びAEセンサ22を用いて騒音や振動を検出する。
騒音計12により検出された音の検出信号、振動センサ13により検出された振動の検出信号、及び、AEセンサ22により検出された弾性波の検出信号が前述の隠れマルコフモデル部(HMM部)10に出力されると、隠れマルコフモデル部(HMM部)10は、それぞれの検出信号のパターンを生成する確率(尤度)を、前述の学習部5に予め記憶されているそれぞれのパラメータに基づいて演算し、当該生成確率(尤度)が最大となるパラメータを決定したうえ、そのパラメータに対応した診断情報に基づいて碍子31の状態を診断し、異常であれば、その異常を特定し、その診断結果を前述の表示部7に表示する。この異常特定により、碍子31が異常になっている場合は、交換が必要になり、碍子31の表面が汚損されていれば、洗浄が行なわれる。
2 電気設備
3 各種のセンサ
4 A/D
5 学習部
6 診断部
7 表示部
10 隠れマルコフモデル部(HMM部)
11 遮断器
12 騒音計
13 振動センサ
14 回転機
15 電動機
16 ポンプ
20 変圧器
21 超音波マイクロホン
22 AEセンサ
23 ガス絶縁機器
24 ガス絶縁機器
26 コンデンサ
27 超音波センサ
30 管路気中送電線
31 碍子
Claims (3)
- 電気設備から発生する音を検出する音検出手段と、前記電気設備の予め決められたそれぞれの状態において検出されたそれぞれの音のデータをパターン化したうえ、それぞれのパターンに隠れマルコフモデルを適用することによりパラメータ化した各パラメータを電気設備の診断情報として予め記憶する学習手段と、前記電気設備の運転状態において前記音検出手段により検出された音のデータをパターン化したパターンを生成する確率を、前記学習手段に予め記憶されている前記各パラメータに基づいて演算するとともに、当該生成確率が最大となるパラメータに対応した前記診断情報に基づいて前記電気設備を診断する診断手段とを備えたことを特徴とする電気設備の診断システム。
- 電気設備から発生する振動を検出する振動検出手段と、前記電気設備の予め決められたそれぞれの状態において検出された振動のデータをパターン化したうえ、それぞれのパターンに隠れマルコフモデルを適用することによりパラメータ化した各パラメータを電気設備の診断情報として予め記憶する学習手段と、前記電気設備の運転状態において前記振動検出手段により検出された振動のデータをパターン化したパターンを生成する確率を、前記学習手段に予め記憶されている前記各パラメータに基づいて演算するとともに、当該生成確率が最大となるパラメータに対応した前記診断情報に基づいて前記電気設備を診断する診断手段とを備えたことを特徴とする電気設備の診断システム。
- 電気設備から発生する音を検出する音検出手段と、電気設備から発生する振動を検出する振動検出手段と、前記電気設備の予め決められたそれぞれの状態において検出された音及び振動のデータをパターン化したうえ、それぞれのパターンに隠れマルコフモデルを適用することによりパラメータ化した各パラメータを電気設備の診断情報として予め記憶する学習手段と、前記電気設備の運転状態において前記音検出手段により検出された音と前記振動検出手段により検出された振動のデータをパターン化したそれぞれのパターンを生成する確率を、前記学習手段に予め記憶されている前記各パラメータに基づいて演算するとともに、それぞれの生成確率が最大となるパラメータに対応した前記それぞれの診断情報に基づいて前記電気設備を診断する診断手段とを備えたことを特徴とする電気設備の診断システム。
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