JP2006088801A - 車輌用操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車輌の挙動を安定化させるための操舵輪の目標転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との関係に基づいて目標転舵制御量に基づく操舵輪の転舵制御の可否を判定し転舵制御に対処する。
【解決手段】車輌の旋回方向が判定され(S220)、左右前輪の目標転舵角Δδtが受信され(S230)、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一(切り増し方向)であるか否かにより転舵制御が禁止されるべきであるか否か判別され(S240)、禁止されるべきではないときには左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtになるよう転舵制御が実行され(S290)、禁止されるべきときには転舵制御が禁止されており車輪の制駆動力のみの制御による代替の挙動制御が実行されるべきことを示す指令信号がCAN62を経て挙動制御用電子制御装置52へ送信される(S300)。
【選択図】図3

Description

本発明は、車輌用操舵制御装置に係り、更に詳細には通信手段により互いに通信可能に接続された二つの演算制御装置を有し、一方の演算制御装置により演算された目標転舵制御量に基づき他方の演算制御装置により操舵輪の転舵制御を行う車輌用制御装置に係る。
自動車等の車輌の操舵制御装置の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、一方の演算制御装置により運転者の操舵負担を軽減するための補助操舵トルクを演算し、他方の演算制御装置により車輌の挙動を安定化させるための挙動制御用操舵トルクを演算し、他方の演算制御装置より一方の演算制御装置へ挙動制御用操舵トルクを送信し、一方の演算制御装置により補助操舵トルク及び挙動制御用操舵トルクに基づいて最終的な制御操舵トルクを演算し制御するよう構成された車輌の操舵制御装置が従来より知られている。
特開平7−10023号公報
一般に、二つの演算制御装置の間にて信号を送受信する場合には、各演算制御装置に於ける演算エラーに加えて送受信バッファのRAMの固着等に起因する通信エラーが生じることがあるので、他方の演算制御装置の演算結果を監視するだけでなく、二つの演算制御装置の間の通信手段に於ける通信異常が生じているか否かを監視し、演算異常若しくは通信異常が生じた場合にはそれに対処する必要がある。
しかるに上述の従来の操舵制御装置に於いては、演算異常や通信異常の監視及び演算異常若しくは通信異常が生じた場合の対処については対策が講じられておらず、この点で改善の余地がある。尚上記不具合は、上述の従来の操舵制御装置の如く一方の演算制御装置により運転者の操舵負担を軽減するための補助操舵トルクを演算し、他方の演算制御装置により車輌の挙動を安定化させるための挙動制御用操舵トルクを演算し、他方の演算制御装置より一方の演算制御装置へ挙動制御用操舵トルクを送信し、一方の演算制御装置により補助操舵トルク及び挙動制御用操舵トルクに基づいて最終的な制御操舵トルクを演算し制御する操舵制御装置に固有の不具合ではなく、通信手段により互いに通信可能に接続された二つの演算制御装置を有し、一方の演算制御装置により演算された目標転舵制御量に基づき他方の演算制御装置により操舵輪の転舵制御を行う車輌用制御装置に於いても存在する。
本発明は、通信手段により互いに通信可能に接続された二つの演算制御装置を有し、一方の演算制御装置により演算された目標転舵制御量に基づき他方の演算制御装置により操舵輪の転舵制御を行うよう構成された従来の車輌用操舵制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、車輌の挙動を安定化させる挙動制御のための操舵輪の目標転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との間には特定の関係があることに着目することにより、これらの関係に基づいて目標転舵制御量に基づく操舵輪の転舵制御の可否を判定し転舵制御に対処することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち通信手段により互いに通信可能に接続された二つの演算制御装置を有し、少なくとも一方の演算制御装置には検出手段により検出された車輌の挙動を判定するための車輌状態量が入力され、前記一方の演算制御装置は車輌の挙動を安定化させる挙動制御のための操舵輪の転舵制御量を演算する転舵制御量演算手段を有し、他方の演算制御装置は前記通信手段を介して入力された前記転舵制御量に基づき操舵輪を転舵する転舵制御手段を有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記他方の演算制御装置は車輌の旋回方向を判定する手段と、前記転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との関係に基づき前記転舵制御手段による操舵輪の転舵の可否を判定する可否判定手段とを有することを特徴とする車輌用操舵制御装置によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記挙動制御は車輌のオーバーステア状態を低減するために前輪を旋回方向とは逆の方向へ修正転舵する制御であり、前記可否判定手段は前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときに操舵輪の転舵が不可であると判定するよう構成される(請求項2の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前記可否判定手段は、前記転舵制御量の大きさが基準値以下であるときには、前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるか否かに関係なく操舵輪の転舵が可であると判定するよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3の構成に於いて、前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と異なるときの前記基準値は前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときの前記基準値よりも大きいよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3又は4の構成に於いて、車輌は各車輪の制駆動力の制御により車輌の挙動を安定化させる制駆動力制御式の挙動制御装置を備え、前記基準値は前記挙動制御装置による挙動制御が実行されているときには前記挙動制御装置による挙動制御が実行されていないときに比して大きい値に設定されるよう構成される(請求項5の構成)。
一般に、車輌の挙動を安定化させるための操舵輪の修正転舵方向と車輌の旋回方向との間には特定の関係があるので、転舵制御量が異常な値であるときには、転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との間の関係が特定の関係とは異なる関係になり、よって転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との間の関係が特定の関係であるか否かの判別により、転舵制御量が正常な値であるか否か、即ち操舵輪の転舵の可否を判定することができる。
上記請求項1の構成によれば、車輌の旋回方向が判定され、転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との関係に基づき転舵制御手段による操舵輪の転舵の可否が判定されるので、演算異常や通信異常に起因して転舵制御量が異常な値になったときには、操舵輪の転舵が不可であると判定し、不適切な転舵制御量に基づいて操舵輪が転舵されることを防止することができる。
また上記請求項2の構成によれば、挙動制御は車輌のオーバーステア状態を低減するために前輪を旋回方向とは逆の方向へ修正転舵する制御であり、転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときに操舵輪の転舵が不可であると判定されるので、車輌がオーバーステア状態にある状況に於いて演算異常や通信異常に起因して転舵制御量が異常な値になったときには、不適切な転舵制御量に基づいて操舵輪が転舵されること及びこれに起因して車輌のオーバーステア状態が更に悪化することを確実に防止することができる。
また一般に、演算異常や通信異常に起因して転舵制御量が異常な値になっても、転舵制御量の大きさが小さいときには、その転舵制御量に基づいて操舵輪が転舵されることによる悪影響は小さい。上記請求項3の構成によれば、転舵制御量の大きさが基準値以下であるときには、転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるか否かに関係なく操舵輪の転舵が可であると判定されるので、不適切な転舵制御量に基づく操舵輪の転舵により過大な悪影響が生じることを回避しつつ、操舵輪の転舵制御が断続的になる虞れを低減することができる。
また上記請求項4の構成によれば、転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と異なるときの基準値は転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときの基準値よりも大きいので、転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と異なるときの基準値は転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときの基準値と同一又はそれよりも小さい場合に比して、不適切な転舵制御量に基づく操舵輪の転舵により過大な悪影響が生じる虞れを確実に低減することができ、また転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と異なる状況に於いて大きさが過大な転舵制御量に基づいて操舵輪が過大に転舵されることを確実に防止することができる。
また一般に、各車輪の制駆動力の制御により車輌の挙動を安定化させる制駆動力制御式の挙動制御装置による挙動制御が実行されているときには、制駆動力の制御による挙動制御により車輌の旋回方向が逆転する場合があるので、転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との関係に基づく操舵輪の転舵の可否判定は制駆動力の制御による挙動制御が実行されていない場合に比して穏やかな基準にて行われることが好ましい。
上記請求項5の構成によれば、車輌は各車輪の制駆動力の制御により車輌の挙動を安定化させる制駆動力制御式の挙動制御装置を備え、基準値は挙動制御装置による挙動制御が実行されているときには挙動制御装置による挙動制御が実行されていないときに比して大きい値に設定されるので、挙動制御装置による挙動制御が実行されているときに挙動制御装置に起因して操舵輪の転舵が不可と判定される虞れを低減することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5の構成に於いて、転舵制御量演算手段は車輌の挙動を規範状態に近づけて車輌の挙動を安定化させるための操舵輪の修正転舵角を転舵制御量として演算するよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、転舵制御量演算手段は少なくとも車輌の挙動を安定化させるために車輌に付与すべき目標ヨーモーメントを演算し、目標ヨーモーメントに基づいて転舵制御量を演算するよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、転舵制御量演算手段は目標ヨーモーメントを各車輪の制駆動力の制御による目標ヨーモーメントと操舵輪の舵角制御による目標ヨーモーメントとに配分し、操舵輪の舵角制御による目標ヨーモーメントに基づいて転舵制御量を演算するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至8の構成に於いて、第二の演算制御装置は第一及び第二の演算制御装置及び通信手段が正常であるときには第二の目標制御量が第一の目標制御量と実質的に同一になるよう第二の目標制御量を演算するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5又は好ましい態様1乃至4の構成に於いて、車輌の旋回方向を判定する手段は少なくとも操舵角、車輌の横加速度、車輌のヨーレートの何れかに基づいて車輌の旋回方向を判定するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は好ましい態様1乃至5の構成に於いて、挙動制御は車輌のアンダーステア状態を低減するために後輪を旋回方向とは逆の方向へ転舵する制御であり、可否判定手段は転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときに操舵輪の転舵が不可であると判定するよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、可否判定手段は、転舵制御量の大きさが基準値以下であるときには、転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるか否かに関係なく操舵輪の転舵が可であると判定するよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様7の構成に於いて、転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と異なるときの基準値は転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときの基準値よりも大きいよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は4又は好ましい態様7又は8の構成に於いて、基準値は車輌の走行状態に応じて可変設定されるよう構成される(好ましい態様9)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5の構成に於いて、挙動制御装置による挙動制御はスピン又はドリフトアウトに対する挙動制御、アンチスキッド制御、トラクション制御の何れかであるよう構成される(好ましい態様10)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は各車輪の制駆動力の制御及び左右前輪の舵角の制御により車輌の挙動を制御する挙動制御装置の一部として構成された本発明による車輌用操舵制御装置の実施例1を示す概略構成図である。
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の従動操舵輪としての左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌の駆動輪としての左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置16によりラックバー18及びタイロッド20L及び20Rを介して転舵される。
ステアリングホイール14は第一のステアリングシャフトとしてのアッパステアリングシャフト22、転舵角可変装置24、第二のステアリングシャフトとしてのロアステアリングシャフト26、ユニバーサルジョイント28を介してパワーステアリング装置16のピニオンシャフト30に駆動接続されている。図示の実施例に於いては、転舵角可変装置24はハウジング24Aの側にてアッパステアリングシャフト22の下端に連結され、回転子24Bの側にてロアステアリングシャフト26の上端に連結された補助転舵駆動用の電動機32を含んでいる。
かくして転舵角可変装置24はアッパステアリングシャフト22に対し相対的にロアステアリングシャフト26を回転駆動することにより、挙動制御の目的で左右の前輪10FL及び10FRをステアリングホイール14に対し相対的に補助転舵駆動する自動転舵装置として機能し、舵角制御用電子制御装置34の転舵制御部34Aにより制御される。
尚アッパステアリングシャフト22に対し相対的にロアステアリングシャフト26を回転駆動することができない異常が転舵角可変装置24に発生すると、図1には示されていないロック装置が作動し、アッパステアリングシャフト22に対するロアステアリングシャフト26の相対回転角度が変化しないよう、ハウジング24A及び回転子24Bの相対回転が機械的に阻止される。
図示の実施例1に於いては、電動式パワーステアリング装置16はラック同軸型の電動式パワーステアリング装置であり、電動機36と、電動機36の回転トルクをラックバー18の往復動方向の力に変換する例えばボールねじ式の変換機構38とを有する。電動式パワーステアリング装置16は電動式パワーステアリング装置(EPS)制御用電子制御装置40によって制御され、ハウジング42に対し相対的にラックバー18を駆動する補助操舵力を発生することにより、運転者の操舵負担を軽減する補助操舵力発生装置として機能する。尚補助操舵力発生装置は当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
各車輪の制動力は制動装置42の油圧回路44によりホイールシリンダ46FL、46FR、46RL、46RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)、即ち制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図には示されていないが、油圧回路44はオイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル48の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ50により制御され、また必要に応じて後に詳細に説明する如く挙動制御用電子制御装置52により個別に制御される。
図示の実施例に於いては、アッパステアリングシャフト22には該アッパステアリングシャフトの回転角度を操舵角θとして検出する操舵角センサ60が設けられており、図2に示されている如く、操舵角θを示す信号はCAN62を経て舵角制御用電子制御装置34及び挙動制御用電子制御装置52へ入力される。
また舵角制御用電子制御装置34及び挙動制御用電子制御装置46には横加速度センサ64により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号、ヨーレートセンサ66により検出された車輌のヨーレートγを示す信号、車速センサ68により検出された車速Vを示す信号がCAN62を経て入力され、圧力センサ70により検出されたマスタシリンダ圧力Pmを示す信号及び圧力センサ72FL〜72RRにより検出された各車輪の制動圧Piを示す信号が挙動制御用電子制御装置52へ入力される。
尚舵角制御用電子制御装置34、EPS制御用電子制御装置40、挙動制御用電子制御装置46はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。また操舵角センサ60、横加速度センサ64、ヨーレートセンサ66はそれぞれ車輌の左旋回方向への操舵又は転舵又は旋回の場合を正として操舵角θ、横加速度Gy、ヨーレートγを検出する。
後述の如く、一方の演算制御装置としての挙動制御用電子制御装置52は、車輌の走行に伴い変化する操舵角θの如き運転操作量及び車輌の横加速度Gyの如き車輌状態量に基づき車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSを演算し、スピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtを演算する。
そして挙動制御用電子制御装置52は、目標ヨーモーメントMtを所定の比率にて左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMtsと各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbとに配分し、目標ヨーモーメントMtsに基づき左右前輪の目標転舵角Δδtを演算すると共に目標転舵角Δδtを示す信号をCAN62を経て他方の演算制御装置としての舵角制御用電子制御装置34へ出力する。
特に挙動制御用電子制御装置52は、当技術分野に於いて周知の如く、車輌がスピン状態にあるときには、車輌を減速させると共に車輌に旋回抑制方向のヨーモーメントを付与するよう車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtを演算し、従ってこの場合の目標転舵角Δδtの転舵方向は旋回方向とは逆方向、即ち切り戻し方向である。また挙動制御用電子制御装置52は、当技術分野に於いて周知の如く、車輌がドリフトアウトにあるときには、車輌を減速させると共に車輌に旋回補助方向のヨーモーメントを付与するよう車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtを演算するが、この場合には前輪の横力が飽和状態にあり前輪を切り増し転舵しても横力を増大させることができないので、目標ヨーモーメントMtの全てを各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbに配分し、目標転舵角Δδtは0に演算される。
また挙動制御用電子制御装置52は目標減速度Gxbt及び目標ヨーモーメントMtbに基づき各車輪の目標制動圧Ptiを演算し、各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう油圧回路44を制御する。
舵角制御用電子制御装置34は、車輌のヨーレートγ等に基づき車輌の旋回方向を判定すると共に、挙動制御用電子制御装置52より入力される目標転舵角Δδtの転舵方向と車輌の旋回方向とを比較し、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向とは逆の方向、即ち切り戻し方向であるときには目標転舵角Δδtが正常な値であると判定し、左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtになるよう目標転舵角Δδtに基づき転舵角可変装置24を制御するが、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一の方向、即ち切り増し方向であるときには目標転舵角Δδtが異常な値であると判定し、舵角制御による左右前輪の転舵制御を禁止する。
尚舵角制御用電子制御装置34は、左右前輪の転舵制御の途中に於いて転舵制御を禁止する場合には、推定目標転舵角Δδthを漸減しつつ推定目標転舵角Δδthに基づき転舵角可変装置24の制御を継続し、推定目標転舵角Δδthが0になった段階で転舵角可変装置24の制御を終了する。
また舵角制御用電子制御装置34は、目標転舵角Δδtの正常、異常の判定結果をCAN62を経て挙動制御用電子制御装置52へ出力し、挙動制御用電子制御装置52は目標転舵角Δδtの判定結果が異常であるときには、目標ヨーモーメントMtを所定の比率にて左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMtsに対する目標ヨーモーメントMtの配分比率を漸次低下させ、最終的には目標減速度Gxbt及び目標ヨーモーメントMtに基づき各車輪の目標制動圧Ptiを演算する。
更にEPS制御用電子制御装置40は、舵角制御用電子制御装置34により左右前輪の転舵角が制御されるときには、該制御による操舵反力の変動を低減するよう電動式パワーステアリング装置16を制御する。
尚、上述の操舵輪の舵角の制御、制動力の制御による挙動制御、操舵反力の制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、これらの制御は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於いて挙動制御用電子制御装置52により達成される車輌の挙動制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては当技術分野に於いて公知の要領にて車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSが演算され、ステップ30に於いてはスピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtが当技術分野に於いて公知の要領にて演算される。
ステップ40に於いては後述の図4に示されたフローチャートにより舵角制御による転舵制御が禁止され代替制御が実行されるべきと判定されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ80へ進み、否定判別が行われたときにはステップ50へ進む。
ステップ50に於いては各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbに対する目標ヨーモーメントMtの配分比Rbが標準値(0よりも大きく1よりも小さい正の定数)に設定される。
ステップ60に於いては目標ヨーモーメントMt及び配分比Rbに基づき下記の式1及び2に従って左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMts及び各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが演算される。
Mts=(1−Rb)Mt ……(1)
Mts=Rb・Mt ……(2)
ステップ70に於いては当技術分野に於いて公知の要領にて目標ヨーモーメントMtsを達成するための第一の目標制御量としての左右前輪の目標転舵角Δδtが演算されると共に、目標転舵角Δδtを示す信号が舵角制御用電子制御装置34へ送信され、しかる後ステップ100へ進む。
ステップ80に於いては各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbに対する目標ヨーモーメントMtの配分比Rbが1に設定され、ステップ90に於いては各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが目標ヨーモーメントMtに設定された後ステップ100へ進む。
ステップ100に於いては当技術分野に於いて公知の要領にて目標ヨーモーメントMtb及び車輌の目標減速度Gxbtを達成するための各車輪の目標制動力が演算されると共に、目標制動力に基づき各車輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ110に於いては各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御される。
次に図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施例1に於いて舵角制御用電子制御装置34により達成される左右前輪の舵角制御ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ210に於いては操舵角θを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ220に於いては当技術分野に於いて公知の要領にて操舵角θ若しくは車輌の横加速度Gy若しくは車輌のヨーレートγに基づき左旋回方向を正として車輌の旋回方向が判定される。
ステップ230に於いては挙動制御用電子制御装置52よりCAN62を経て送信される目標転舵角Δδtを示す信号が受信され、ステップ240に於いては目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向(切り増し方向)であるか否かの判別、即ち目標転舵角Δδtの値が異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ300へ進み、否定判別が行われたときにはステップ290へ進む。
ステップ290に於いては左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtなるよう左右前輪の舵角制御が実行された後ステップ210へ戻り、ステップ300に於いては転舵制御が禁止されており車輪の制駆動力のみの制御による代替の挙動制御が実行されるべきことを示す指令信号がCAN62を経て挙動制御用電子制御装置52へ送信された後ステップ210へ戻る。
かくして図示の実施例1によれば、挙動制御用電子制御装置52に於いて実行される図3に示されたフローチャートのステップ20に於いて車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSが演算され、ステップ30に於いてスピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtが演算される。
そしてステップ40に於いて舵角制御による転舵制御が禁止されているか否かの判別が行われ、転舵制御が禁止されているときにはステップ80及び90に於いて各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが目標ヨーモーメントMtに設定されるが、転舵制御が禁止されていないときにはステップ50及び60に於いて目標ヨーモーメントMtを達成するための左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMts及び各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbが演算され、ステップ70に於いて目標ヨーモーメントMtsを達成するための左右前輪の目標転舵角Δδtが演算されると共に、目標転舵角Δδtを示す信号が舵角制御用電子制御装置34へ送信される。
更にステップ100に於いて目標ヨーモーメントMtb及び車輌の目標減速度Gxbtを達成するための各車輪の目標制動圧Ptiが演算され、ステップ110に於いて各車輪の制動圧Piがそれぞれ対応する目標制動圧Ptiになるよう制御され、これにより各車輪の制動力の制御によって目標ヨーモーメントMtb及び車輌の目標減速度Gxbtが達成される。
また図示の実施例1によれば、舵角制御用電子制御装置34に於いて実行される図3に示されたフローチャートのステップ220に於いて車輌の旋回方向が判定され、ステップ230に於いて目標転舵角Δδtを示す信号が受信され、ステップ240に於いて目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向(切り増し方向)であるか否かの判別が行われ、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向とは逆の方向(切り戻し方向)であると判別されたときには、ステップ290に於いて左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtなるよう左右前輪の舵角制御が実行されるが、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一の方向(切り増し方向)であると判別されたときには、ステップ300に於いて転舵制御が禁止され、車輪の制駆動力のみの制御による代替の挙動制御が実行されるべきことを示す指令信号がCAN62を経て挙動制御用電子制御装置52へ送信される。
従って図示の実施例1によれば、挙動制御用電子制御装置52よりCAN62を経て舵角制御用電子制御装置34へ送信された目標転舵角Δδtの転舵方向と車輌の旋回方向との比較により目標転舵角Δδtの通信が正常であるか否かが判定されるので、目標転舵角Δδtの値が異常であり、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一の方向(切り増し方向)であるときには、その異常を確実に判定し、異常な目標転舵角Δδtに基づいて左右の前輪が本来あるべき転舵方向とは逆の方向へ転舵されることを確実に防止することができる。
特に図示の実施例1によれば、車輌がオーバーステア状態にあるときにはオーバーステア状態を低減すべく左右の前輪が切り戻し方向へ修正転舵されるが、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一の方向(切り増し方向)であるときには、左右前輪の切り増し方向への修正転舵が禁止されるので、転舵制御により車輌のオーバーステア状態が更に悪化されることを確実に防止することができる。尚この作用効果は後述の他の実施例に於いても同様に得られる。
例えば図4は車輌が左旋回する場合に於ける車輌の横加速度Gy、車輌のヨーレートγ、目標転舵角Δδtの変化の一例を示している。
図示の如く、時点t1に於いて車輌が直進走行を開始し、時点t2に於いて車輌が左旋回を開始し、時点t5に於いて車輌が直進走行に復帰し、時点t3より時点t5まで目標転舵角Δδtが旋回方向とは逆の方向の値になったとする。この場合には時点t2より時点t5までの間に目標転舵角Δδtが旋回方向と同一の方向の値になると左右前輪の転舵制御が禁止されるので、図4に於いて太い仮想線にて示されている如く目標転舵角Δδtが旋回方向とは逆の方向の値になる場合には左右前輪の転舵制御が許容され、図4に於いて細い仮想線にて示されている如く目標転舵角Δδtが旋回方向と同一の方向の値になる場合には左右前輪の転舵制御が禁止される。
図5は各車輪の制駆動力の制御及び左右前輪の舵角の制御により車輌の挙動を制御する挙動制御装置の一部として構成された本発明による車輌用操舵制御装置の実施例2に於け左右前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図5に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
この実施例2に於いては、舵角制御用電子制御装置34は、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向とは逆の方向、即ち切り戻し方向であるときには、目標転舵角Δδtの大きさが基準値A以下である場合に、目標転舵角Δδtが正常な値であると判定し、左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtになるよう目標転舵角Δδtに基づき転舵角可変装置24を制御するが、目標転舵角Δδtの大きさが基準値Aよりも大きい場合には、目標転舵角Δδtが異常な値であると判定し、舵角制御による左右前輪の転舵制御を禁止する。
また舵角制御用電子制御装置34は、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一の方向、即ち切り増し方向であっても、目標転舵角Δδtの大きさが基準値B以下であるときには、左右前輪の転舵角が目標転舵角Δδtになるよう目標転舵角Δδtに基づき転舵角可変装置24を制御し、目標転舵角Δδtの大きさが基準値Bよりも大きいときには、目標転舵角Δδtが異常な値であると判定し、舵角制御による左右前輪の転舵制御を禁止する。
またこの実施例2に於いては、挙動制御用電子制御装置52により達成される車輌の挙動制御ルーチンは上述の実施例1の場合と同様に実行され、舵角制御用電子制御装置34により達成される左右前輪の舵角制御ルーチンのステップ210〜240、290、300は上述の実施例1の場合と同一の要領にて実行される。
ステップ240に於いて否定判別が行われると、ステップ250に於いて基準値Aが演算される。この場合基準値Aは車輌が停車状態にあるときにはA1に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはA2(>A1)に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはA3(>A2)に演算される。
ステップ260に於いては目標転舵角Δδtの絶対値が基準値Aよりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ300へ進み、否定判別がわれたときにはステップ290へ進む。
またステップ240に於いて肯定判別が行われると、ステップ270に於いて基準値Bが演算される。この場合基準値Bは車輌が停車状態にあるときにはB1に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはB2(>B1)に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはB3(<B2)に演算される。尚B1〜B3はそれぞれA1〜A3よりも小さい正の値である。
ステップ280に於いては目標転舵角Δδtの絶対値が基準値Bよりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ300へ進み、否定判別がわれたときにはステップ290へ進む。
かくして図示の実施例2によれば、上述の実施例1の場合と同様、目標転舵角Δδtの値が異常であり、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一の方向(切り増し方向)であるときには、その異常を確実に判定し、異常な目標転舵角Δδtに基づいて左右の前輪が本来あるべき転舵方向とは逆の方向へ転舵されることを確実に防止することができるだけでなく、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向とは逆の方向であっても、その大きさが過大である場合に異常な目標転舵角Δδtに基づいて左右前輪の舵角が制御されることを確実に防止することができる。
また図示の実施例2によれば、目標転舵角Δδtの転舵方向が車輌の旋回方向と同一の方向であっても、目標転舵角Δδtの大きさが基準値B以下であり、左右前輪の転舵制御の悪影響が小さいときには左右前輪の転舵制御が許容されるので、左右前輪の転舵制御が断続的になる虞れを効果的に低減することができる。
例えば図6は車輌が左旋回する場合に於ける車輌の横加速度Gy、車輌のヨーレートγ、目標転舵角Δδtの変化の一例を示している。
図示の如く、時点t1に於いて車輌が直進走行を開始し、時点t2に於いて車輌が左旋回を開始し、時点t5に於いて車輌が直進走行に復帰し、時点t4より時点t5まで目標転舵角Δδtが旋回方向とは逆の方向の値になったとする。この場合には時点t2より時点t5までの間に目標転舵角Δδtが旋回方向と同一の方向の値になると左右前輪の転舵制御が禁止されるが、図6に於いて細い仮想線にて示されている如く目標転舵角Δδtが旋回方向と同一の方向の値であってもその大きさが基準値B以下である場合には左右前輪の転舵制御が許可される。
特に図示の実施例2によれば、基準値A及びBが車輌の走行状況に応じて可変設定されるので、基準値A及びBが一定の値である場合に比して、左右前輪の転舵制御の許可、禁止を車輌の走行状況に応じて最適に判定することができる。
図7は実施例2の修正例として構成された本発明による車輌用操舵制御装置の実施例3に於いて車輌が左旋回する場合に於ける車輌の横加速度Gy、車輌のヨーレートγ、目標転舵角Δδtの変化の一例を示すグラフである。
この実施例3に於いては、挙動制御用電子制御装置52は、各車輪の車輪速度に基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vb及び各車輪の制動スリップ量SBi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、何れかの車輪の制動スリップ量SBiがアンチスキッド制御(ABS制御)開始の基準値よりも大きくなり、アンチスキッド制御の開始条件が成立すると、アンチスキッド制御の終了条件が成立するまで、当該車輪について制動スリップ量が所定の範囲内になるようホイールシリンダ内の圧力を増減するアンチスキッド制御を行う。
また挙動制御用電子制御装置52は、各車輪の車輪速度に基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vbを演算し、各車輪の車輪速度Vwrl、Vwrr及び推定車体速度Vbに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて各車輪の加速スリップ量SAi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、加速スリップ量SAiがトラクション制御(TRC制御)開始の基準値よりも大きくなり、トラクション制御の開始条件が成立すると、トラクション制御の終了条件が成立するまで、当該車輪について加速スリップ量が所定の範囲内になるよう対応するホイールシリンダ24FL〜24RR内の圧力を増減するトラクション制御を行う。
またフローチャートとしては示されていないが、ステップ250に於いて基準値Aは車輌が停車状態にあるときにはA1に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはA2(>A1)に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはA3(≧A2)に演算され、制動力の制御によるスピン又はドリフトアウトに対する挙動制御、アンチスキッド制御、トラクション制御の何れかが行われていときには、A4(>A3)に演算される。
同様に、ステップ270に於いて基準値Bは車輌が停車状態にあるときにはB1に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはB2(>B1)に演算され、車輌が直進走行状態にあるときにはB3(>B2)に演算され、制動力の制御によるスピン又はドリフトアウトに対する挙動制御、アンチスキッド制御、トラクション制御の何れかが行われていときには、B4(<B3)に演算される。尚B1〜B4はそれぞれA1〜A4よりも小さい正の値である。
かくして図示の実施例3によれば、上述の実施例2の場合と同様の作用効果を得ることができることに加えて、スピン又はドリフトアウトに対する挙動制御、アンチスキッド制御、トラクション制御の何れかが行われ、これらの制御に起因して車輌の旋回状況が変化する場合に、左右前輪の転舵制御が過剰に禁止されることを効果的に防止することができる。
例えば図7に於いて、時点t4より時点t5までスピン又はドリフトアウトに対する挙動制御、アンチスキッド制御、トラクション制御の何れかが行われたとすると、時点t4より時点t5までの区間に於ける基準値A及びBを時点t2より時点t4までの区間よりも大きくし、左右前輪の転舵制御が禁止され難くすることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、車輌がスピン状態(オーバーステア状態)にあるときに左右の前輪10FL及び10FRを自動的に旋回方向とは逆の方向へ転舵するようになっているが、車輌がドリフトアウト状態(アンダーステア状態)にあるときに左右の後輪10RL及び10RRを自動的に旋回方向とは逆の方向へ転舵するよう構成されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、転舵角可変装置24はアッパステアリングシャフト22に対し相対的にロアステアリングシャフト26を回転させることにより運転者の操舵操作に依存せずに左右の前輪10FL及び10FRを自動的に転舵するようになっているが、運転者の操舵操作とは独立に操舵輪を操舵し得る限り、例えばタイロッド20L及び20Rを伸縮させる型式の転舵角可変装置の如く当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
また上述の各実施例に於いては、車輌の挙動を安定化させるための車輌の目標ヨーモーメントMt及び車輌の目標減速度Gxbtが演算され、目標ヨーモーメントMtが所定の比率にて左右前輪の舵角制御による目標ヨーモーメントMtsと各車輪の制動力の制御による目標ヨーモーメントMtbとに配分され、目標ヨーモーメントMtsに基づき左右前輪の目標転舵角Δδtが演算されるようになっているが、車輌の挙動を安定化させるための目標転舵角Δδtは当技術分野に於いて公知の任意の要領にて演算されてよい。
また上述の各実施例に於いては、車輌の挙動を安定化させるために左右前輪が転舵されるようになっているが、車輌の挙動安定化が行われない通常時に車速Vに基づき所定の操舵特性を達成するためのステアリングギヤ比Rgが演算され、運転者の操舵操作量を示す操舵角θ及びステアリングギヤ比Rgに基づき暫定目標舵角δstが演算され、左右前輪の舵角が暫定目標舵角δstになるよう制御されるよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、制駆動力の制御による挙動制御は各車輪の制動力が制御され車輌に所要のヨーモーメントが付与されることにより車輌の挙動を制御するようになっているが、制駆動力の制御による挙動制御は各車輪の制動力及び駆動力が制御されることにより行われるものであってもよく、また制駆動力の制御による挙動制御が省略されてもよい。
更に上述の実施例2及び3に於いては、目標転舵角Δδtの大きさが基準値Aよりも大きいときには転舵制御が禁止されるようになっているが、目標転舵角Δδtの大きさが基準値Aよりも大きいときには大きさ低減された補正後の目標転舵角Δδtに基づいて転舵制御が実行されるよう修正されてもよい。
各車輪の制駆動力の制御及び左右前輪の舵角の制御により車輌の挙動を制御する挙動制御装置の一部として構成された本発明による車輌用操舵制御装置の実施例1を示す概略構成図である。 実施例1に於いて挙動制御用電子制御装置により達成される車輌の挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例1に於いて舵角制御用電子制御装置により達成される左右前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例1に於いて車輌が左旋回する場合に於ける車輌の横加速度Gy、車輌のヨーレートγ、目標転舵角Δδtの変化の一例を示すグラフである。 実施例2に於ける左右前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例2に於いて車輌が左旋回する場合に於ける車輌の横加速度Gy、車輌のヨーレートγ、目標転舵角Δδtの変化の一例を示すグラフである。 実施例3に於いて車輌が左旋回する場合に於ける車輌の横加速度Gy、車輌のヨーレートγ、目標転舵角Δδtの変化の一例を示すグラフである。
符号の説明
14 ステアリングホイール
16 電動式パワーステアリング装置
24 転舵角可変装置
34 舵角制御用電子制御装置
40 電動式パワーステアリング装置(EPS)制御用電子制御装置
42 制動装置
52 挙動制御用電子制御装置
60 操舵角センサ
62 CAN
64 横加速度センサ
66 ヨーレートセンサ
68 車速センサ
70 圧力センサ
72FL〜72RR 圧力センサ

Claims (5)

  1. 通信手段により互いに通信可能に接続された二つの演算制御装置を有し、少なくとも一方の演算制御装置には検出手段により検出された車輌の挙動を判定するための車輌状態量が入力され、前記一方の演算制御装置は車輌の挙動を安定化させる挙動制御のための操舵輪の転舵制御量を演算する転舵制御量演算手段を有し、他方の演算制御装置は前記通信手段を介して入力された前記転舵制御量に基づき操舵輪を転舵する転舵制御手段を有する車輌用操舵制御装置に於いて、前記他方の演算制御装置は車輌の旋回方向を判定する手段と、前記転舵制御量の転舵方向と車輌の旋回方向との関係に基づき前記転舵制御手段による操舵輪の転舵の可否を判定する可否判定手段とを有することを特徴とする車輌用操舵制御装置。
  2. 前記挙動制御は車輌のオーバーステア状態を低減するために前輪を旋回方向とは逆の方向へ修正転舵する制御であり、前記可否判定手段は前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときに操舵輪の転舵が不可であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌用操舵制御装置。
  3. 前記可否判定手段は、前記転舵制御量の大きさが基準値以下であるときには、前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるか否かに関係なく操舵輪の転舵が可であると判定することを特徴とする請求項2に記載の車輌用操舵制御装置。
  4. 前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と異なるときの前記基準値は前記転舵制御量の転舵方向が車輌の旋回方向と同一であるときの前記基準値よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の車輌用操舵制御装置。
  5. 車輌は各車輪の制駆動力の制御により車輌の挙動を安定化させる制駆動力制御式の挙動制御装置を備え、前記基準値は前記挙動制御装置による挙動制御が実行されているときには前記挙動制御装置による挙動制御が実行されていないときに比して大きい値に設定されることを特徴とする請求項3又は4に記載の車輌用操舵制御装置。
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