JP2006083946A - 車両の変速制御装置およびそれを備えた車両 - Google Patents

車両の変速制御装置およびそれを備えた車両 Download PDF

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Abstract

【課題】 変速時間を短縮しつつ変速動作時の衝撃を十分に低減することが可能な変速制御装置および車両を提供する。
【解決手段】 制御部50は記憶装置を備える。記憶装置は、各ギアポジションに対応したクラッチ3の接続動作のパラメータを記憶する。シフトペダル12が操作されると、制御部50は、シフトカム回転角センサ8からの信号に基づいてギアポジションを判定する。シフトアップ時およびシフトダウン時には、制御部50は、ギアポジションに対応するパラメータを記憶装置から読み出し、そのパラメータに基づいてクラッチ3の断接動作を行う。変速前後の変速機5の減速比の差が大きいほど接続移行時間が長く設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の変速制御装置およびそれを備えた車両に関する。
従来より、多段ギアを備えた車両のクラッチ操作およびギアシフトをアクチュエータにより電気的に制御するクラッチ接続制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のクラッチ接続制御装置における制御では、クラッチの接続に要する時間を短縮し、クラッチ接続時の乗り心地の悪化を防止するために、クラッチの駆動側と被動側との回転速度差を検知し、その時間変化率に応じてクラッチの接続速度を可変制御している。この装置においては、クラッチの接続開始点までは駆動側と被動側とを高速に接近させ、接続開始点以後のクラッチが接続される作動領域では駆動側と被動側とを低速で接近させるようにしている。それにより、クラッチ接続に要する時間を短縮でき、乗り心地が雑にならないようにしている。
特開2001−146929号公報
しかしながら、自動二輪車に広く用いられている湿式多板クラッチに上記のクラッチ接続制御装置を適用した場合、クラッチ接続時間を短縮できない場合がある。湿式多板クラッチにおいては、クラッチプレート間に介在する油により、クラッチプレート同士が張り付きあう現象が生じることがある。この場合、クラッチが切断状態になっても駆動側と被動側との回転速度に差が生じにくく、クラッチの駆動側と被動側との回転速度差の時間変化率でクラッチの接続動作を制御すると、接続時間が長くなる。それにより、二輪車のようなスポーツ走行を前提とする場合は、運転者(ライダー)は変速終了までの空走時間を不快と感じてしまう。
本発明の目的は、変速時間を短縮しつつ変速動作時の衝撃を十分に低減することが可能な車両の変速制御装置およびそれを備えた車両を提供することである。
第1の発明に係る変速制御装置は、車両のエンジンにより発生された動力を駆動輪に伝達するとともに駆動輪の速度を制御する変速制御装置であって、メイン軸を有しかつ駆動輪に動力を与えるドライブ軸を有し、メイン軸の回転力を異なる変速比でドライブ軸に伝達する複数の伝達状態のうちいずれかの伝達状態に切り替え可能な変速機と、エンジンにより発生される動力を変速機のメイン軸に伝達する接続状態とエンジンにより発生される動力を変速機のメイン軸に伝達しない切断状態とに切り替え可能なクラッチと、クラッチを接続状態および切断状態に切り替えるクラッチ駆動装置と、変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、クラッチ駆動装置にクラッチの断接動作を行わせるとともに、変速機の切り替わり前または切り替わり後の伝達状態に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御する制御手段とを備えたものである。
第1の発明に係る変速制御装置においては、エンジンにより発生された動力が変速機のメイン軸に伝達され、メイン軸からの動力が異なる変速比のいずれかでドライブ軸に伝達される。
変速機は、複数の伝達状態のうちいずれかの伝達状態に切り替えられる。また、クラッチは、クラッチ駆動装置により接続状態および切断状態に切り替えられる。接続状態では、エンジンにより発生される動力が変速機のメイン軸に伝達される。また、切断状態では、エンジンにより発生される動力が変速機のメイン軸に伝達されない。
変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、クラッチ駆動装置によりクラッチの断接動作が行われるとともに、変速機の切り替わり前または切り替わり後の伝達状態に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が制御手段により制御される。
それにより、変速機の伝達状態に応じて最適な移行時間でクラッチを切断状態から接続状態に移行させることが可能となる。したがって、変速機の切り替わり前後の伝達状態に応じて衝撃の発生を十分に抑制しつつ短時間で円滑に変速動作を行うことができる。その結果、使用者にとって快適かつ安全な変速動作が実現される。
変速制御装置は、変速機が複数の伝達状態のうちいずれの伝達状態にあるかを検出する検出手段をさらに備え、制御手段は、変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、検出手段により検出された伝達状態に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御してもよい。
この場合、変速機が複数の伝達状態のうちいずれの伝達状態にあるかが検出手段により正確に検出される。変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際には、検出手段により検出された伝達状態に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が制御される。それにより、変速機の伝達状態に応じて最適な移行時間でクラッチを切断状態から接続状態に正確に移行させることができる。
制御手段は、変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、変速機の切り替え前の変速比または切り替え後の変速比に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御してもよい。
この場合、変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、変速機の切り替わり前の変速比または切り替わり後の変速比に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が制御される。
それにより、変速機の切り替わり前後の変速比に応じて最適な移行時間でクラッチを切断状態から接続状態に移行させることが可能となる。したがって、変速機の切り替わり前後の変速比の差に応じて衝撃の発生を十分に抑制しつつ短時間で変速動作を行うことができる。
制御手段は、変速機の切り替え前の変速比と切り替え後の変速比との差が大きいほどクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が長くなるようにクラッチ駆動装置を制御してもよい。
この場合、変速機の切り替わり前後の変速比の差が大きいほどクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が長くなる。逆に、変速機の切り替わり前後の変速比の差が小さいほど、クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が短くなる。したがって、変速機の切り替わり前後の変速比の差に応じて衝撃の発生を十分に抑制しつつ短時間で円滑に変速動作を行うことができる。
制御手段は、クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を、変速機の伝達状態の切り替え開始後でエンジンの回転数が変速機の切り替え後におけるエンジンの予定回転数に到達する前に設定してもよい。
この場合、エンジンの回転数が変速機の切り替え後におけるエンジンの予定回転数に到達する前にクラッチが半接続状態になる。それにより、変速機の切り替え前後で変速比に大きな差がある場合においても、衝撃の発生を抑制しつつクラッチを切断状態から接続状態に迅速に移行させることができる。
第2の発明に係る車両は、駆動輪と、動力を発生するエンジンと、メイン軸を有しかつ駆動輪に動力を与えるドライブ軸を有し、メイン軸の回転力を異なる変速比でドライブ軸に伝達する複数の伝達状態のうちいずれかの伝達状態に切り替え可能な変速機と、エンジンにより発生される動力を変速機のメイン軸に伝達する接続状態とエンジンにより発生される動力を変速機のメイン軸に伝達しない切断状態とに切り替え可能なクラッチと、クラッチを接続状態および切断状態に切り替えるクラッチ駆動装置と、変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、クラッチ駆動装置にクラッチの断接動作を行わせるとともに、変速機の切り替わり前または切り替わり後の伝達状態に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御する制御手段とを備えるものである。
第2の発明に係る車両においては、エンジンにより発生された動力が変速機のメイン軸に伝達され、メイン軸からの動力が異なる変速比のいずれかでドライブ軸に伝達される。
変速機は、複数の伝達状態のうちいずれかの伝達状態に切り替えられる。また、クラッチは、クラッチ駆動装置により接続状態および切断状態に切り替えられる。接続状態では、エンジンにより発生される動力が変速機のメイン軸に伝達される。また、切断状態では、エンジンにより発生される動力が変速機のメイン軸に伝達されない。
変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、クラッチ駆動装置によりクラッチの断接動作が行われるとともに、変速機の切り替わり前または切り替わり後の伝達状態に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が制御手段により制御される。
それにより、変速機の伝達状態に応じて最適な移行時間でクラッチを切断状態から接続状態に移行させることが可能となる。したがって、変速機の切り替わり前後の伝達状態に応じて衝撃の発生を十分に抑制しつつ短時間で円滑に変速動作を行うことができる。その結果、使用者にとって快適かつ安全な変速動作が実現される。
本発明によれば、変速機が複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、クラッチ駆動装置によりクラッチの断接動作が行われるとともに、変速機の切り替わり前または切り替わり後の伝達状態に基づいてクラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が制御手段により制御される。
それにより、変速機の伝達状態に応じて最適な移行時間でクラッチを切断状態から接続状態に移行させることが可能となる。したがって、変速機の切り替わり前後の伝達状態に応じて衝撃の発生を十分に抑制しつつ短時間で円滑に変速動作を行うことができる。その結果、使用者にとって快適かつ安全な変速動作が実現される。
以下、本実施の形態に係る車両の変速制御装置について図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、車両の一例である自動二輪車の変速制御装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る自動二輪車の変速制御装置の構成を示す概略模式図である。
図1に示すように、エンジン1から出力される駆動力はクランク2を介してクラッチ3に伝達される。クラッチ3はプレッシャープレート3a、手動クラッチ断接装置3bおよび複数のクラッチ板3eを備える。手動クラッチ断接装置3bには油圧パイプ3cを介してクラッチレバー3dが連結されている。クラッチ板3eはばね等で常にクラッチが接続される方向に付勢されている。複数のクラッチ板3eには、図示しない構成によりエンジン1から潤滑油が供給されている。このクラッチ3は、いわゆる湿式多板クラッチである。
エンジン1の出力は、エンジン出力調整装置100によって調整される。エンジン出力調整装置100は、点火装置および燃料噴射装置により構成される。後述する制御部50により点火装置の点火タイミング、燃料噴射装置の燃料噴射量および噴射タイミングが制御されることにより、エンジン1の出力が制御される。
変速機5はメイン軸5aおよびドライブ軸5bを備える。メイン軸5aには多段(例えば5段)の変速ギア5cが装着されており、ドライブ軸5bには多段の変速ギア5dが装着されている。クラッチ3に伝達された駆動力は、変速機5のメイン軸5aに伝達される。
クランク2からメイン軸5aにクラッチ3を介して伝達される駆動力は、クラッチマスターシリンダ4により制御される。クラッチマスターシリンダ4は、電動式または油圧式のクラッチアクチュエータ6により駆動される。
クラッチマスターシリンダ4は、シリンダ4a、そのシリンダ4a内に設けられたピストン4bおよび大気開放配管4cを含む。
クラッチアクチュエータ6には、押し棒6aが接続されている。この押し棒6aは、クラッチマスターシリンダ4のピストン4bを押すことにより、ピストン4bをシリンダ4a内で移動させる手段として用いられる。
ピストン4bの先端部が大気開放配管4cの入口を塞ぐようにシリンダ4a内を移動した場合に、クラッチアクチュエータ6からの力が配管20内の油圧を介して倍力装置21に伝達される。
ピストン4bの先端部が大気開放配管4cの入口を塞いでいない場合には、クラッチアクチュエータ6からの力は倍力装置21に伝達されない。
倍力装置21は、メイン軸5a内に挿入されたプッシュロッド22を介してクラッチ3に接続されている。倍力装置21は、クラッチアクチュエータ6からの力によりプッシュロッド22を移動させる。それにより、クラッチ3のプレッシャープレート3aが移動する。
プレッシャープレート3aが移動することにより、クラッチ3が接続状態および切断状態になる。クラッチ3の接続状態では、クランク2の回転力がメイン軸5aに伝達される。クラッチ3の切断状態では、クランク2の回転力がメイン軸5aに伝達されない。
ここで、プレッシャープレート3aの移動距離をクラッチストロークと呼ぶ。クラッチストロークが最大のときにはクラッチ3は切断状態となり、クラッチストロークが最小のときはクラッチ3は接続状態となる。
クラッチストロークが最大から最小に移行する領域ではクラッチ3は接続状態から半接続状態を経由して切断状態に移行する。半接続状態では、クランク2の回転力の一部がメイン軸5aに伝達される。一般に、半接続状態は半クラッチ状態と呼ばれている。
以下、クラッチ3を切断状態から接続状態に移行させる動作をクラッチ3の接続動作と呼ぶ。また、クラッチ3を接続状態から切断状態に移行させる動作をクラッチ3の切断動作と呼ぶ。さらに、クラッチ3が切断状態から接続状態になるまでの時間を接続移行時間と呼ぶ。
ここで、メイン軸5aに伝達された駆動力がドライブ軸5bに伝達される構成について説明する。
図2は、メイン軸5aに伝達された駆動力がドライブ軸5bに伝達される構成を示す概略模式図である。
図2(a),(b)においては、変速ギア群5cは変速ギア5c1および変速ギア5c2を含み、変速ギア群5dは変速ギア5d1および変速ギア5d2を含む。
変速ギア5c1はメイン軸5aの回転方向においてはセレーション構造により対向する変速ギア5d1に結合され、また、変速ギア5c1は、メイン軸5aの軸方向においては移動自在にメイン軸5aに装着されている。すなわち、メイン軸5aが回転すれば変速ギア5c1も回転する。変速ギア5c2はメイン軸5aに回転自在に装着されている。すなわち、メイン軸5aが回転しても変速ギア5c2は回転しない。
また、変速ギア5d1はドライブ軸5bに回転自在に装着されている。すなわち、ドライブ軸5bが回転しても変速ギア5d1は回転しない。変速ギア5d2はドライブ軸5bの回転方向においてはセレーション構造により対向する変速ギア5c2に結合され、また、変速ギア5d2は、ドライブ軸5bの軸方向においては移動自在にドライブ軸5bに装着されている。すなわち、ドライブ軸5bが回転すると変速ギア5d2も回転する。
図2(a)に示すように、変速ギア5c1が変速ギア5c2から離間し、変速ギア5d2が変速ギア5d1から離間している場合には、変速ギア5d1がドライブ軸5bに対して固定されていないので、メイン軸5aの回転による駆動力はドライブ軸5bに伝達されない。このように、メイン軸5aからドライブ軸5bに駆動力が伝達されない状態をギアがニュートラルポジションにあると呼ぶ。
図2(b)に示すように、変速ギア5d2が変速ギア5d1に近接するように軸方向にスライドされることにより、変速ギア5d2の側面に設けられた凸状のドッグ5eが、変速ギア5d1の側面に設けられた凹状のドッグ穴(図示せず)に係合する。それにより、変速ギア5d1が変速ギア5d2を介してドライブ軸5bに固定されるので、メイン軸5aの駆動力がドライブ軸5bに伝達される。なお、変速ギア5d2は、後述のシフトカム7によりスライドされる。詳細については後述する。
ドライブ軸5bに伝達された駆動力は、図示しないドライブチェーン、図示しないスプロケットを介して図示しない後輪に伝達される。それにより、自動二輪車が走行する。
図1において、変速ギア群5cおよび変速ギア群5dによる変速比の変更はシフトカム7の回転により行われる。シフトカム7は、複数のカム溝7a(図1においては3本)を有する。この各カム溝7aにシフトフォーク7bがそれぞれ装着されている。
上記のような構成において、シフトカム7の回転に伴って、各シフトフォーク7bがそれぞれカム溝7aに沿って移動することによって、図2の変速ギア5d2が軸方向にスライドされ、変速ギア5d1に係合される。
また、シフトカム7の端部にはシフトカム回転角センサ8が設けられている。このシフトカム回転角センサ8によりギアポジションが検出される。
シフトカム7の回転は、電動式または油圧式のシフトアクチュエータ9により制御される。シフトアクチュエータ9は、シフトロッド10およびリンク機構11を介してシフトカム7に接続されている。
制御部50は、シフトペダル12に設けられたシフトセンサ12aから信号を受け取る。シフトセンサ12aは、ポテンショメータ等からなり、シフトペダル12の回転量を計測する。制御部50は、メモリ等の記憶装置を内蔵する。
ライダーは、変速を行う場合にシフトペダル12を回転操作する。本実施の形態では、シフトペダル12はリンク機構11と連結されていない。ライダーがシフトペダル12を予め設定された角度以上に回転操作したときに、シフトペダル12の回転方向およびギアポジションに基づいてクラッチアクチュエータ6、シフトアクチュエータ9およびエンジン出力調整装置100が制御部50により制御される。
以下、変速機5において、ギアポジションを切り替えることをシフトチェンジと呼び、減速比が小さくなるようにギアポジションを切り替えることをシフトアップと呼び、減速比が大きくなるようにギアポジションを切り替えることをシフトダウンと呼ぶ。
また、最も減速比の小さいギアポジションをトップギアと呼び、最も減速比の大きいギアポジションをローギアまたは1速と呼び、減速比の大きいギアポジションから順に1速(ローギア)、2速、3速、4速および5速(トップギア)と呼ぶ。
本実施の形態においては、シフトペダル12が定常位置から時計回りに設定角度(例えば、12°)回転すると、制御部50はシフトアップするようにシフトアクチュエータ9によりシフトカム7を回転させる。シフトペダル12のこの操作により、ギアポジションは、ニュートラル、1速、2速、3速、4速および5速と切り替えられる。
また、シフトペダル12が定常位置から反時計回りに設定角度(例えば、30°)回転すると、制御部50はシフトダウンするようにシフトアクチュエータ9によりシフトカム7を回転させる。シフトペダル12のこの操作により、ギアポジションは、5速、4速、3速、2速、1速およびニュートラルと切り替えられる。
また、シフトチェンジはシーケンシャルにしか行えない。例えば、5速から1速へのシフトチェンジにおいては、4速、3速および2速へのシフトチェンジを省略することはできない。
なお、シフトペダル12の代わりに図示しないシフトアップスイッチおよび図示しないシフトダウンスイッチを設けてもよい。この場合、ライダーがシフトアップスイッチまたはシフトダウンスイッチを押下することにより、ギアポジションに基づいてクラッチアクチュエータ6、シフトアクチュエータ9およびエンジン出力調整装置100が制御部50により制御される。
本実施の形態では、クラッチ3の接続移行時間を制御することにより変速動作時の衝撃を低減する。以下に詳細を示す。
図3および図4はシフトアップ時およびシフトダウン時におけるクラッチ3の接続移行時間の制御を説明するための図である。
図3(a)は、クラッチ3の接続移行時間を制御することなく2速から3速へシフトアップした場合の変速機5のギアポジション、クラッチ3のクラッチストローク、エンジン1の回転数およびメイン軸5aの回転数を示す。図3(b)は、クラッチ3の接続移行時間を制御して2速から3速へシフトアップした場合の変速機5のギアポジション、クラッチ3のクラッチストローク、エンジン1の回転数およびメイン軸5aの回転数を示す。
図4は、クラッチ3の接続移行時間を制御して4速から3速へシフトダウンした場合の変速機5のギアポジション、クラッチ3のクラッチストローク、エンジン1の回転数およびメイン軸5aの回転数を示す。
また、図3および図4において、実線はクラッチストロークを示し、二点鎖線はギアポジションを示し、破線はメイン軸5aの回転数を示し、一点鎖線はエンジン1の回転数を示す。
まず、図3を用いてシフトアップ時におけるクラッチ3の接続移行時間の制御を説明する。
本実施の形態においては、図3に示すように、制御部50は、時点aでシフトセンサ12aからシフトアップのための信号を受けた場合、エンジン出力調整装置100の点火装置および燃料噴射装置を制御し、エンジン1の回転数を低減させる。それにより、アクセルを開いたままシフトアップする場合にも、エンジン1の回転数とメイン軸5aの回転数との差が大きくなることを防止することができる。
また、図3において、時点bにおいてクラッチ3の切断動作が開始され、時点cにおいてクラッチ3の切断動作が終了する。このとき、クラッチ3が切断されることによってエンジン1から出力される駆動力がメイン軸5aに伝達されなくなるので、メイン軸5aの回転数が低下する。
クラッチ3の切断動作終了後、ギアポジションが2速から3速へと切り替えられたことをシフトカム回転角センサ8により検知した後に、時点dにおいてクラッチ3の接続動作が開始される。クラッチ3が切断状態である時点c−d間においては、メイン軸5aの回転数はほぼ一定に保たれる。
メイン軸5aの回転数は、ギアポジションが2速から3速へと切り替えられることにより低下する。クラッチ3の接続移行時間を制御せずにシフトアップする場合、図3(a)に示すように、クラッチストロークが最大(max)から最小(min)まで一定速度で高速に減少する。
この場合、クラッチ3の接続動作が開始される時点dからクラッチ3の接続動作が終了する時点fまでの時間は短い。すなわち、時点d−f間においてクラッチ3は瞬時に接続される。そのため、ギアポジションの切り替えによって低下するメイン軸5aの回転数とエンジン1の回転数とが等しくなるまでの時間も極めて短くなり、図3(a)に示すように、メイン軸5aおよびエンジン1の回転数が共に急激に変化することになる。
また、クラッチ3の接続動作終了後、エンジン1の回転数がシフトアップ後のギアポジションに最適になるように、制御部50によってエンジン出力調整装置100が制御され、エンジン1の回転数が上昇する。
上記のように、クラッチ3が瞬時に接続された場合、大きな衝撃が発生するため、エンジン1の回転数が不安定になり、それに伴いメイン軸5aの回転数も不安定になる。
また、エンジン1およびメイン軸5aの回転数が、上記のように変化する場合、ライダーは変速時に大きな衝撃を受けることになる。
一方、クラッチ3の接続移行時間を制御してシフトアップする場合、図3(b)に示すように、時点d−e間において、クラッチストロークは最大(max)から第1の中間点(p1)まで高速に減少する。すなわち、時点d−e間においては、クラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度が高い。なお、時点d−e間においては、クラッチ3は切断状態である。
その後、時点e−f間において、クラッチストロークは第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。すなわち、時点e−f間においては、クラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度が低い。時点eでプレッシャープレート3aの移動速度が低下した後に、クラッチ3は徐々に圧接される。それにより、メイン軸5aの回転数とエンジン1の回転数とが徐々に近づき、時点gにおいてほぼ等しくなる。
この場合、自動二輪車の速度が急激に変化することはなく、ライダーが変速時に受ける衝撃を大幅に低減することができる。また、エンジン1の回転数とメイン軸5aの回転数とに大きな差がある場合においても、変速時の衝撃を抑制することができる。
その後、時点g−h間において、クラッチストロークは第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3が完全に接続される。すなわち、時点g−h間においては、クラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度が高い。なお、時点gにおいてエンジン1の回転数とメイン軸5aの回転数とがほぼ等しくなっているので、時点g−h間でのクラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度を高くしても、ライダーは衝撃をほとんど受けない。
上記のようにクラッチ3を徐々に圧接する場合、大きな衝撃が発生しないので、クラッチ3の接続動作終了後のエンジン1の回転数を上昇させる過程においても、エンジン1およびメイン軸5aの回転数は安定して推移する。
なお、ギアポジションが2速から3速へと切り替えられた後、時点eにおいてクラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度が低下するまでの間に、メイン軸5aの回転数は低下している。この場合、変速機5のギアの減速比が小さくなっているので、ドライブ軸5bの回転数はほぼ一定に保たれ、自動二輪車の速度はほぼ一定に保たれる。
以上のように、クラッチ3の接続動作の期間内で、最初にプレッシャープレート3aを高速で移動させた後、メイン軸5aの回転数とエンジン1の回転数とがほぼ等しくなるまでプレッシャープレート3aを低速で移動させ、その後、プレッシャープレート3aを高速で移動させることによって、変速時間を短縮しつつシフトアップ時の衝撃を低減することが可能になる。
次に、図4を用いてシフトダウン時のクラッチ3の接続移行時間の制御を説明する。
本実施の形態においては、図4に示すように、時点aにおいてクラッチ3の切断動作が開始され、時点bにおいてクラッチ3の切断動作が終了する。通常、シフトダウンは車両の速度を低下させながら行われるので、図4に示すように、メイン軸5aの回転数はクラッチ3の切断動作が開始される時点aまでエンジン1の回転数とともに低下する。
クラッチ3の切断動作終了後、ギアポジションが4速から3速へと切り替えられた後に、時点cにおいてクラッチ3の接続動作が開始される。クラッチ3が切断状態である時点b−c間においては、メイン軸5aの回転数はほぼ一定に保たれる。
メイン軸5aの回転数は、ギアポジションが4速から3速へと切り替えられることにより上昇する。クラッチ3の接続移行時間を制御してシフトアップする場合、図4に示すように、時点c−d間において、クラッチストロークは最大(max)から第1の中間点(p1)まで高速に減少する。すなわち、時点c−d間においてはクラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度は高い。なお、時点c−d間においては、クラッチ3は切断状態である。
その後、時点d−e間において、クラッチストロークは第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。すなわち、時点d−e間においては、クラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度が低い。時点dでクラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度が低下した後に、クラッチ3は徐々に圧接される。それにより、メイン軸5aの回転数は緩やかに低下する。したがって、自動二輪車の速度が急激に変化することはなく、ライダーが変速時に受ける衝撃を大幅に低減することができる。
また、クラッチ3が徐々に圧接されることによって、エンジン1の回転数は、メイン軸5aの回転数に近づくように上昇し、時点eにおいてエンジン1の回転数とメイン軸5aの回転数とがほぼ等しくなる。このため、エンジン1の回転数がシフトアップ後のギアポジションに最適な回転数になるまでの時間が短くなるので、変速動作に要する時間を大幅に短縮できる。また、エンジン1の回転数をエンジン出力調整装置100によって上昇させる必要がないので、燃費の低減が可能になる。
その後、時点e−f間において、クラッチストロークは第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3が完全に接続される。すなわち、時点e−f間においては、クラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度は高い。なお、時点eにおいてエンジン1の回転数とメイン軸5aの回転数とがほぼ等しくなっているので、時点e−f間でのクラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度を高くしても、ライダーは衝撃をほとんど受けない。
なお、ギアポジションが4速から3速へと切り替えられた後、時点dにおいてクラッチ3のプレッシャープレート3aの移動速度が低下するまでの間に、メイン軸5aの回転数は大きく上昇している。ここで、時点c−d間においては、クラッチ3はまだ切断状態であるため、エンジン1から出力される駆動力はメイン軸5aに伝達されない。この場合、変速機5のギアの減速比が大きくなったことによってメイン軸5aの回転数が上昇しているので、ドライブ軸5bの回転数はほぼ一定に保たれている。そのため、時点c−d間においては、メイン軸5aの回転数が上昇しても、自動二輪車の速度はほぼ一定に保たれるので、ライダーは衝撃をほとんど受けない。
以上のように、クラッチ3の接続動作の期間内で、最初にプレッシャープレート3aを高速で移動させた後、メイン軸5aの回転数とエンジン1の回転数とがほぼ等しくなるまでプレッシャープレート3aを低速で移動させ、その後、プレッシャープレート3aを高速で移動させることによって、変速時間を短縮しつつシフトダウン時の衝撃を低減することが可能になる。
また、制御部50に内蔵される記憶装置は、各ギアポジションに対応した接続動作のパラメータを記憶する。制御部50は、シフトカム回転角センサ8からの信号に基づいてギアポジションを判定する。シフトアップ時およびシフトダウン時には、制御部50は、ギアポジションに対応するパラメータを記憶装置から読み出し、そのパラメータに基づいてクラッチ3の断接動作を行う。本実施の形態においては、接続動作のパラメータとして接続移行時間が用いられる。以下に詳細を示す。
図5および図6は、シフトアップ時およびシフトダウン時における各ギアポジションに対応したクラッチ3の接続動作を説明するための図である。図5は、シフトアップ時のクラッチ3のクラッチストロークを示し、図6はシフトダウン時のクラッチストロークを示す。
まず、図5を用いて、シフトアップ時における各ギアポジションに対応したクラッチ3の接続動作について説明する。
シフトアップ時においては、まず、時点aにおいてクラッチ3の切断動作が開始され、時点bにおいてクラッチ3の切断動作が終了する。その後、一定時間クラッチ3の切断状態が保持され、時点cにおいてクラッチ3の接続動作が開始される。このクラッチ3の切断状態が保持されている期間に、ギアチェンジが行われる。
3速から4速および4速から5速へのシフトアップでは、クラッチ3の接続移行時間が短く設定されている。この場合、時点c−f間においてクラッチストロークが最大(max)から最小(min)まで一定速度で高速に減少する。
一方、1速から2速および2速から3速へのシフトアップでは、クラッチ3の接続移行時間が長く設定される。まず、時点c−d間において、クラッチストロークが最大(max)から第1の中間点(p1)まで高速に減少する。
その後、1速から2速へのシフトアップでは、時点d−i間において、クラッチストロークが第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。2速から3速へのシフトアップでは、時点d−g間において、クラッチストロークが第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。
その後、1速から2速へのシフトアップでは、時点i−j間において、クラッチストロークが第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3は完全に接続される。2速から3速へのシフトアップでは、時点g−h間において、クラッチストロークが第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3は完全に接続される。
この場合、1速から2速へのシフトアップ時のクラッチ3の接続動作時における第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)までの移行時間(時点d−j間)は、2速から3速へのクラッチ3の接続動作時における第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)までの移行時間(時点d−g間)よりも長く設定される。
一般に、1速から2速および2速から3速へのシフトアップにおいては、シフトアップ前のギアポジションでの減速比とシフトアップ後のギアポジションでの減速比との差が0.3以上と大きい。そのため、シフトアップ前とシフトアップ後とでメイン軸5aの回転数に大きな差が生じる。それにより、シフトアップ後のメイン軸5aの回転数とシフトアップ後のエンジン1の回転数とに大きな差が生じるため、クラッチ3を急激に接続すると、変速時に大きな衝撃が生じる。
そこで、本実施の形態においては、図5に示すように、1速から2速および2速から3速へのシフトアップ時においては、クラッチ3の接続移行時間を長く設定することにより、クラッチ3の半接続状態の時間を長く設定している。それにより、メイン軸5aの回転数とエンジン1の回転数とを徐々に近づけることができるので、変速時にライダーが受ける衝撃を低減することができる。
特に、シフトアップ前のギアポジションでの減速比とシフトアップ後のギアポジションでの減速比との差が最も大きい1速から2速へのシフトアップ時においては、クラッチ3の接続移行時間を最も長く設定することにより、変速時にライダーが受ける衝撃を十分に抑制することができる。
一方、3速から4速および4速から5速へのシフトアップ時においては、シフトアップ前のギアポジションでの減速比とシフトアップ後のギアポジションでの減速比との差が小さい。そのため、シフトアップ前とシフトアップ後とでメイン軸5aの回転数にそれほど大きな差が生じない。したがって、シフトアップ後のメイン軸5aの回転数とシフトアップ後のエンジン1の回転数とにそれほど大きな差が生じないので、クラッチ3を短時間で接続しても、変速時に大きな衝撃は発生しない。
そこで、本実施の形態においては、3速から4速および4速から5速へのシフトアップ時においては、クラッチ3の接続移行時間を短く設定している。それにより、クラッチ3の断接動作に要する時間を短縮することができる。
次に、図6を用いて、シフトダウン時における各ギアポジションに対応したクラッチ3の接続動作について説明する。
シフトダウン時においては、まず、時点aにおいてクラッチ3の切断動作が開始され、時点bにおいてクラッチ3の切断動作が終了する。その後、一定時間クラッチ3の切断状態が保持され、時点cにおいてクラッチ3の接続動作が開始される。このクラッチ3の切断状態が保持されている時間に、ギアチェンジが行われる。
まず、時点c−d間において、クラッチスピードが最大(max)から第1の中間点(p1)まで高速に減少する。
次に、5速から4速へのシフトダウンでは、時点d−f間においてクラッチストロークが第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。4速から3速へのシフトダウンでは、時点d−h間においてクラッチストロークが第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。3速から2速へのシフトダウンでは、時点d−j間においてクラッチストロークが第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。2速から1速へのシフトダウンでは、時点d−l間においてクラッチストロークが第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)まで低速に減少する。
その後、5速から4速へのシフトダウンでは、時点f−g間においてクラッチストロークが第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3が完全に接続される。4速から3速へのシフトダウンでは、時点h−i間においてクラッチストロークが第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3が完全に接続される。3速から2速へのシフトダウンでは、時点j−k間においてクラッチストロークが第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3が完全に接続される。2速から1速へのシフトダウンでは、時点l−m間においてクラッチストロークが第2の中間点(p2)から最小(min)まで高速に減少し、クラッチ3が完全に接続される。
本実施の形態においては、クラッチ3の接続動作時における第1の中間点(p1)から第2の中間点(p2)までの移行時間時間は、2速から1速へのシフトダウン時において最も長く設定され、5速から4速へのシフトダウン時において最も短く設定されている。
一般に、変速機5において、シフトダウン前のギアポジションでの減速比とシフトダウン後のギアポジションでの減速比との差が大きいほど、シフトダウン前とシフトダウン後とでメイン軸5aの回転数に大きな差が生じる。それにより、シフトダウン後のメイン軸5aの回転数とシフトダウン後のエンジン1の回転数とに大きな差が生じるため、クラッチ3を急激に接続すると、変速時に大きな衝撃が生じる。
そこで、本実施の形態においては、図6に示すように、シフトダウン前のギアポジションでの減速比とシフトダウン後のギアポジションでの減速比との差が大きいほどクラッチ3の接続移行時間を長く設定することによりクラッチ3の半接続状態の時間を長く設定している。それにより、シフトダウン前後の減速比の差に応じて変速時にライダーが受ける衝撃を十分に低減することができる。
また、通常、シフトダウンは車両の速度を低下させながら行われるので、図4に示すように、クラッチ3の接続動作が開始されるまでエンジン1の回転数は低下する。そのため、シフトダウン時においては、シフトダウン前のギアポジションでの減速比とシフトダウン後のギアポジションでの減速比との差が小さい場合においても、シフトダウン後のメイン軸5aとシフトダウン後のエンジン1の回転数とである程度の差が生じる。
したがって、本実施の形態においては、図6に示すように、シフトダウンの前後の減速比の差が小さい5速から4速へのシフトダウン時においても、クラッチ3の接続移行時間を長く設定している。それにより、変速時にライダーが受ける衝撃を十分に抑制することができる。
なお、図5および図6の例においては、全てのギアポジションにおいて、クラッチ3の切断動作が終了する時点bからクラッチ3の接続動作が開始される時点cまでの切断状態の保持時間が等しいが、各ギアポジションの切り替えに要する時間に応じて切断状態の保持時間を適宜変更してもよい。この場合、切断状態の保持時間を接続動作のパラメータとしてギアポジションごとに記憶装置に記憶させる。制御部50は、ギアポジションに対応するパラメータを記憶装置から読み出し、そのパラメータに基づいて切断状態の保持時間を制御する。それにより、クラッチ3の断接動作に要する時間をより短縮することが可能になる。
次に、制御部50の変速処理について図面を参照しながら説明する。
図7は、制御部50の変速処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、制御部50は、変速機5がシフトチェンジ中でないか否かを判別する(ステップS1)。変速機5がシフトチェンジ中である場合、制御部50は、変速機5のシフトチェンジが終了するまで待機する。
変速機5がシフトチェンジ中でない場合、制御部50はシフトセンサ12aからの信号に基づいてライダーによりシフトペダル12が設定角度以上回転されたか否かを判別する(ステップS2)。ライダーによりシフトペダル12が設定角度以上回転されてない場合、制御部50は、シフトペダル12が設定角度以上回転されるまで待機する。
ステップS2において、ライダーによりシフトペダル12が設定角度以上回転された場合、制御部50は、シフトペダル12が予め設定されたシフトアップの方向へ回転されたか否かを判別する(ステップS3)。
シフトペダル12がシフトアップの方向へ回転された場合、制御部50は、シフトカム回転角センサ8からの信号に基づいて、ギアポジションがトップギアであるか否かを判別する(ステップS4)。ギアポジションがトップギアである場合、変速処理は終了する。
ギアポジションがトップギアでない場合、制御部50は、エンジン出力調整装置100によりエンジン1の回転数を低下させる(ステップS5)。
次に、制御部50は、クラッチ3の切断動作を行う(ステップS6)。次に、制御部50は、シフトカム7を回転させることにより、シフトアップを行う(ステップS7)。次に、制御部50は、図3および図5において説明した方法によりクラッチ3の接続動作を行う(ステップS8)。
次に、制御部50は、エンジン出力調整装置100によりエンジン1の回転数をシフトアップ後のギアポジションに最適な回転数に調整する(ステップS9)。その後、制御部50は変速処理を終了する。
ステップS3において、シフトペダル12がシフトアップの方向へ回転されていない場合、制御部50は、シフトカム回転角センサ8からの信号に基づいて、ギアポジションがニュートラルポジションであるか否かを判別する(ステップS10)。ギアポジションがニュートラルポジションである場合、変速処理は終了する。
ギアポジションがニュートラルポジションでない場合、制御部50は、クラッチ3の切断動作を行う(ステップS11)。次に、制御部50は、シフトカム7を回転させることによりシフトダウンを行う(ステップS12)。次に、制御部50は、図4および図6において説明した方法によりクラッチ3の接続動作を行う(ステップS13)。その後、制御部50は変速処理を終了する。
このようにして、制御部50の変速処理によりライダーが受ける衝撃を十分に低減しつつシフトアップおよびシフトダウンを短時間で行うことができる。
図8は、本実施の形態に係る車両の変速制御装置を備えた自動二輪車の模式図である。
図8に示すように、本体部70の前端にヘッドパイプ71が設けられている。ヘッドパイプ71にフロントフォーク72が左右方向に揺動可能に設けられている。フロントフォーク72の下端に前輪73が回転可能に支持されている。ヘッドパイプ71の上端にはハンドル74が取り付けられている。
ハンドル74には、図1のクラッチレバー3dが設けられている。
本体部70の上部において、ハンドル74側から燃料タンク75、メインシート76aおよびタンデムシート76bが設けられている。
本体部70の下端に後方へ延びるリアアーム77が取り付けられている。リアアーム77の後端に後輪78が回転可能に支持されている。
また、本体部70の下端部には、図1の変速機5およびエンジン1が設けられている。エンジン1の前部には、ラジエター79が取り付けられている。エンジン1の排気ポートには排気管80が接続され、排気管80の後端にマフラー81が取り付けられている。図1のクラッチ3、クラッチマスターシリンダ4、クラッチアクチュエータ6およびシフトアクチュエータ9は本体部70に取り付けられる。
変速機5のドライブ軸5aにスプロケット82が取り付けられている。スプロケット82は、チェーン83を介して後輪78の後輪スプロケット84に連結されている。
変速機5の下端側方にシフトペダル12が設けられている。本体部70の下端部にはサイドスタンド85が設けられている。
図8の自動二輪車においては、図1の変速制御装置が用いられているので、変速時間を短縮しつつ変速時の衝撃を低減することが可能になる。
以上のように、本実施の形態においては、変速前後の減速比の差が大きいほどクラッチ3の接続移行時間が長く設定されるので、変速時の衝撃を十分に低減しつつ変速時間を短縮することが可能になる。
なお、本実施の形態においては、シフトアクチュエータ9によってシフトカム7の回転制御を行っているが、シフトアクチュエータ9を設けずにシフトペダル12とリンク機構11とを連結させ、シフトペダル12を操作することによってシフトカム7を回転させてもよい。このとき、制御部50はシフトセンサ12aからの信号に基づいてクラッチアクチュエータ6およびエンジン出力調整装置100を制御する。
このような構成によれば、変速制御装置が故障した場合に、図1のクラッチレバー3dおよびシフトペダル12を操作することによって、通常の自動二輪車と同様に変速処理を行うことができる。
本実施の形態においては、本発明に係る変速制御装置を自動二輪車に適用した場合について説明したが、本発明に係る変速制御装置は、四輪の自動車等の種々の車両に適用することができる。
上記実施の形態においては、ギアポジションが伝達状態に相当し、後輪78が駆動輪に相当し、クラッチマスターシリンダ4、クラッチアクチュエータ6および倍力装置21がクラッチ駆動装置に相当し、シフトカム回転角センサ8が検出手段に相当し、制御部50が制御手段に相当する。
本発明は、自動二輪車、四輪の自動車等の種々の車両等に利用することができる。
本発明の実施の形態に係る自動二輪車の変速制御装置の構成を示す概略模式図である。 メイン軸に伝達された駆動力がドライブ軸に伝達される構成を示す概略模式図である。 シフトアップ時のクラッチの接続移行時間の制御を説明するための図である。 シフトダウン時のクラッチの接続移行時間の制御を説明するための図である。 シフトアップ時のクラッチの接続動作を説明するための図である。 シフトダウン時のクラッチの接続動作を説明するための図である。 制御部の変速処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る車両の変速制御装置を備えた自動二輪車の模式図である。
符号の説明
1 エンジン
2 クランク
3 クラッチ
3a プレッシャープレート
4 クラッチマスターシリンダ
4a シリンダ
4b ピストン
5 変速機
5a メイン軸
5b ドライブ軸
6 クラッチアクチュエータ
6a 押し棒
8 シフトカム回転角センサ
9 シフトアクチュエータ
10 シフトロッド
11 リンク機構
12 シフトペダル
12a シフトセンサ
21 倍力装置
22 プッシュロッド
50 制御部
100 エンジン出力調整装置

Claims (6)

  1. 車両のエンジンにより発生された動力を駆動輪に伝達するとともに駆動輪の速度を制御する変速制御装置であって、
    メイン軸を有しかつ前記駆動輪に動力を与えるドライブ軸を有し、前記メイン軸の回転力を異なる変速比で前記ドライブ軸に伝達する複数の伝達状態のうちいずれかの伝達状態に切り替え可能な変速機と、
    前記エンジンにより発生される動力を前記変速機のメイン軸に伝達する接続状態と前記エンジンにより発生される動力を前記変速機のメイン軸に伝達しない切断状態とに切り替え可能なクラッチと、
    前記クラッチを接続状態および切断状態に切り替えるクラッチ駆動装置と、
    前記変速機が前記複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、前記クラッチ駆動装置に前記クラッチの断接動作を行わせるとともに、前記変速機の切り替わり前または切り替わり後の伝達状態に基づいて前記クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両の変速制御装置。
  2. 前記変速機が前記複数の伝達状態のうちいずれの伝達状態にあるかを検出する検出手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記変速機が前記複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、前記検出手段により検出された伝達状態に基づいて前記クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御することを特徴とする請求項1記載の変速制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記変速機が前記複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、前記変速機の切り替え前の変速比または切り替え後の変速比に基づいて前記クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御することを特徴とする請求項1または2記載の変速制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記変速機の切り替え前の変速比と切り替え後の変速比との差が大きいほど前記クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間が長くなるように前記クラッチ駆動装置を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変速制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を前記変速機の伝達状態の切り替え開始後で前記エンジンの回転数が前記変速機の切り替え後における前記エンジンの予定回転数に到達する前に設定することを特徴とする請求項1〜4記載の変速制御装置。
  6. 駆動輪と、
    動力を発生するエンジンと、
    メイン軸を有しかつ前記駆動輪に動力を与えるドライブ軸を有し、前記メイン軸の回転力を異なる変速比で前記ドライブ軸に伝達する複数の伝達状態のうちいずれかの伝達状態に切り替え可能な変速機と、
    前記エンジンにより発生される動力を前記変速機のメイン軸に伝達する接続状態と前記エンジンにより発生される動力を前記変速機のメイン軸に伝達しない切断状態とに切り替え可能なクラッチと、
    前記クラッチを接続状態および切断状態に切り替えるクラッチ駆動装置と、
    前記変速機が前記複数の伝達状態のうち一の伝達状態から他の伝達状態へ切り替わる際に、前記クラッチ駆動装置に前記クラッチの断接動作を行わせるとともに、前記変速機の切り替わり前または切り替わり後の伝達状態に基づいて前記クラッチの切断状態から接続状態までの移行時間を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両。
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