以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1から図4はそれぞれ本発明の一実施形態であるコンバインの左側面図、平面図、右側面図及び正面図である。また、図5は図1から図4に示すコンバイン201におけるグレンタンク13及び排出オーガ15の側面図である。
まず、図1から図5を用いてコンバイン201の全体構成について説明する。このコンバイン201では、クローラ式走行装置1上に機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前方に引起こし・刈取部3が昇降可能に配設されており、該引起こし・刈取部3において、穀稈は前方に突出した分草板4により分草されて、該分草板4の後方に立設された引起こしケース5から突出されたタイン6により引き起こされ、該引起こしケース5の後方に配設された刈刃7にて株元側から刈り取られる。
引起こし・刈取部3の後方には扱胴や処理胴を備える脱穀部12が配置され、該引起こし・刈取部3と脱穀部12との間に穀稈の搬送装置8が配設されている。さらに、該搬送装置8の後方であって、脱穀部12の側方にはフィードチェーン9が後方に延設されている。前記引起こし・刈取部3で刈り取られた穀稈は搬送装置からフィードチェーン9に受け継がれ、該フィードチェーン9によって株元側が後方に搬送される。これにより、穀稈の穂先側が脱穀部12内に搬送されて、該脱穀部12にて穀稈の脱穀が行われる。
そして、前記フィードチェーン9後端に排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方に排藁カッター装置、拡散コンベアなどを備えた排藁処理部19が配設されている。前記脱穀部12で脱穀された後の穀稈(排藁)は、フィードチェーン9から排藁チェーン18に搬送されて、そのまま圃場に放出、あるいは排藁処理部19にて藁片に切断された後に拡散されながら放出される。
また、前記脱穀部12下方には選別部17が配設され、該選別部17にて脱穀部12から流下した穀粒や藁屑などから穀粒が選別される。そして、穀粒や藁屑などのうち、選別後の穀粒が、機体フレーム2上に配置されるグレンタンク13であって、該機体フレーム2に支持されるグレンタンク13に搬送され、藁屑などが機外に排出される。なお、グレンタンク13には、穀粒供給口13aが形成され、該穀粒供給口13aと前記した選別部17との間には揚穀筒80が介設されて、該揚穀筒80を通して選別部17において選別された精粒が穀粒供給口13aからグレンタンク13内に供給されて貯留されるようになっている。
前記グレンタンク13は脱穀部12の側方に配設されており、該グレンタンク13の前方に運転室14が配設される一方、グレンタンク13後方及び上方に穀物排出装置15が配設されている。穀物排出装置15は縦排出オーガ15aと横排出オーガ15bとを備えており、該縦排出オーガ15aがグレンタンク13後方で機体フレーム2上に立設されている。そして、グレンタンク13は縦排出オーガ15aを中心にして側方へ回動可能に構成されるとともに、その後部上に備えられた回動支点により横排出オーガ15bが上下方向に回動可能に構成されている。
グレンタンク13の内側下部には、スクリュー式の排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16の一端が穀物排出装置15に連設されている。こうして、グレンタンク13内の穀物排出コンベア16によりグレンタンク13から穀物排出装置15に搬送された後、縦排出オーガ15aを経て横排出オーガ15bの先端部から外部に排出されるようになっている。
穀物排出装置15において、横排出オーガ15bの根元側は縦排出オーガ15aの上端に上下回動可能に枢着されている。コンバイン201における昇降用アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ130は油圧制御バルブの切換により伸縮されるように構成されており、一端が縦排出オーガ15a側面より突設されたブラケット131に回動可能に枢着され、他端が横排出オーガ15b側面より突訳されたブラケット132に回動可能に枢着されている。こうして、オーガ昇降シリンダ130を伸縮させることによって、横排出オーガ15bが上下方向に回動されるようになっている。なお、コンバイン201における昇降用アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ130は油圧式のシリンダであるが、その他の電気式または油圧式のモータでも良く、限定されない。
前記縦排出オーガ15aの中途部にはギア133aが外嵌固定され、該ギア133aに旋回用アクチュエータであるオーガ旋回モータ134の回転軸134aに嵌設されたギア133bが噛合されている。こうして、該オーガ旋回モータ134を作動させることにより、縦排出オーガ15aと横排出オーガ15bとが一体的に旋回されるようになっている。なお、コンバイン201における旋回用アクチュエータであるオーガ旋回モータ134は電気式のモータであるが、油圧式のモータでも、その他の油圧シリンダでも良く、限定されない。
このコンバイン201では、グレンタンク13が側方へ回動して機体フレーム2上のレールから離れてもグレンタンク13の前部(回動支点である縦排出オーガ15aとは反対側)が前下方へ傾くことなく、グレンタンク13を元の位置に戻すときに、前部を持ち上げながら回動しなくてもよいように構成されている。
さらに説明すると、縦排出オーガ15aの上部とグレンタンク13の後部上には、後述する許容部59(図6参照)と回動時グレンタンク固定機構60が設けられ、レンタンク13の外側面下部に回動時グレンタンク固定機構60を操作するための操作部70が設けられ、回動時グレンタンク固定機構60と操作部70はワイヤ等の連結部材で連結されて連動する構成としている。こうしてメンテナンス等でグレンタンク13を側方へ回動するときに許容部59の許容を解消して縦排出オーガ15aに固定するようにしている。
即ち、回動時グレンタンク固定機構60は前記ギア133aの上部に配設されており、図6に示すように、平面視略U字状のガイド板61を水平方向に配置して、その開放側の端部を左右外方向に折り曲げて取付部としてグレンタンク13の後面に固定している。該ガイド板61の切欠の大きさは縦排出オーガ15aの外形に合わせた大きさとして形成し、該ガイド板61の開放側には略M字状の受体62が両内面に跨がって固設されている。該受体62の左右中央部も縦排出オーガ15aの外形に合わせて湾曲して構成しており、該受体62とガイド板61の奥部との間に形成される空間に縦排出オーガ15aを配置し、更に、ガイド板61の内奥部と縦排出オーガ15aの間に固定用の締付けバンド63が配置されている。
前記締付けバンド63と受体62との空間内において縦排出オーガ15aに対してグレンタンク13がコンバイン幅方向軸線回り揺動可能に構成している。つまり、締付けバンド63と縦排出オーガ15a間、及び、受体62と縦排出オーガ15aの間に隙間を形成して許容部59としている。この許容部59により、グレンタンク13はコンバイン幅方向軸線回り揺動可能としており、後述する重量センサ32(図5及び図8参照)によりグレンタンク13内の穀粒の重量を検出するときに、このグレンタンク13が少なくとも空の状態から満タンの状態の間で前記軸線回りに揺動できるようにしている。そして、グレンタンク13と縦搬出オーガ15aとを一体的に回動させるときには、締付けバンド63を受体62側に引っ張り締め付けることにより隙間となる許容部59の許容をなくす。これにより、グレンタンク13と縦排出オーガ15aを固定することができる。
前記締付けバンド63は、上下所定幅で縦排出オーガ15aの外周の略半分より長い長さを有し、弾性を有する板体で構成されており、該締付けバンド63の一端が前記ガイド板61の左右一側に設けた枢支軸65に枢結され、他端にはピン66を外方向に突設して、該ピン66に連結部材となるワイヤ64の一端が固定されている。更に、該ピン66の近傍にピン67が突設され、該ピン67にバネ68の一端が係止され、該バネ68の他端はワイヤ64と反対方向に延設して、ガイド板61の所定箇所に係止されている。こうして、締付けバンド63がバネ68の付勢力により縦排出オーガ15aから離す方向、つまり、緩める方向に付勢されることで、許容部59の隙間を大きくし、穀粒の重畳を計測するときに締付けバンド63が縦排出オーガ15aに当接しないようにして正確に重畳を測定できるようにしている。
前記ワイヤ64を連結するビン66の近傍にはワイヤ受69が配置され、該ワイヤ受69はガイド板61の開放側端部の外側面に一体的に設けられ、アウタの一端を支持すると共に、ワイヤ64による引っ張り方向が縦排出オーガ15aの外周の略接線方向となるようにガイドしている。一方、前記ワイヤ64の他端はグレンタンク13の前部の下側部に配置した操作部70に延設されている。
操作部70は、図5に示すように、グレンタンク固定用レバー71と該グレンタンク固定用レバー71を締付け位置でロックするロックレバー72等より構成されている。この操作部70では、グレンタンク固定用レバー71を外側方へ回動することによりワイヤ64が前方へ引っ張られて、該ワイヤ64の他端に連結された締付けバンド63の一端が引っ張られて、縦排出オーガ15aの外周を前方に引きつけて受体62に当接させ、許容部59の許容する部分をなくすことで、グレンタンク13が縦排出オーガ15aに締付け固定される。この締付けた状態を維持するためにロックレバー72のフック部72bが開放レバー71に係止される。これにより、グレンタンク13が側方へ回動するときは、縦排出オーガ15aとグレンタンク13とが一体的となり、該縦排出オーガ15aが該グレンタンク13を支持することができる。
図1から図4に示すように、横排出オーガ15bの先端に排出ケース136が設けられている。該排出ケース136内には、図示しない横送りコンベアを軸支するためにボールベアリングなどからなる軸受け部が形成されている。排出ケース136の下面は開口されており、該開口部の縁に沿って筒形状のスリーブ137が取り付けられている。スリーブ137は可撓性の樹脂などで構成され、スリーブ137の下端が穀物排出口138とされている。これにより、排出ケース136の下面から落下した穀物を周囲に飛散させず、穀物排出口138の直下近傍に集中して排出することができる。
このコンバイン201は、前記の重量センサ32の他、水分センサ35、傾斜センサ135及びオーガレストセンサ54を含むセンサ装置50をさらに備えている。
重量センサ32は、グレンタンク13からの荷重を検出するロードセル型のものであり、該グレンタンク13の前部下方且つ機体フレーム2上に配置されていて、前記制御装置100に電気的に接続されている。これにより、重量センサ32にて検出された穀物重量に関する信号(情報)を後述する制御装置100(図8参照)に送信することができる。なお、既述したようにグレンタンク13は、許容部59により、重量センサ32にてグレンタンク13内の穀粒の重量を検出するときに、該グレンタンク13が少なくとも空の状態から満タンの状態の間で前記軸線回りに揺動できるようになっているので、重量センサ32は、グレンタンク13内の穀物重量を測定する際に、縦排出オーガ15bが該重量測定に殆ど関与しない状態で該穀物重量を測定することができる。
水分センサ35は、穀粒の水分を検出するものであり、図5に示すように、グレンタンク13内の穀粒供給口13aの近傍に配置されている。この水分センサ35は、図示を省略したが互いに対向する一対の電極ローラが該ローラ間に穀粒供給口13aから供給された穀粒のうちの一部が流入するように設けられており、該一対の電極ローラを穀粒供給口13aから流入した穀粒が該ローラ間に入り込むように回転させ、該回転するローラ間で穀粒を押し潰しつつ該潰れた状態の穀粒の電気抵抗値を検出し、当該検出された電気抵抗値を穀粒の水分量に関する信号(情報)として出力するものであり、前記制御装置100に電気的に接続されている。これにより、水分センサ35にて検出された穀物水分に関する信号(情報)を前記制御装置100に送信することができる。
傾斜センサ135は、図2に示すように、機体フレーム2上のコンバイン略中央部に配置されており、コンバイン前後方向の傾斜を検出する第1傾斜センサ135aと、コンバイン幅方向の傾斜を検出する第2傾斜センサ135bからなっており、該第1及び第2傾斜センサ135a,135bが前記制御装置100に電気的に接続されている。これにより、第1及び第2傾斜センサ135a,135bにてそれぞれ検出されたコンバイン前後方向の傾斜角度及びコンバイン幅方向の傾斜角度に関する信号(情報)を前記制御装置100にそれぞれ送信することができる。
また、コンバイン201は、図1、図2及び図4に示すように、横排出オーガ15bを収納位置に収納するオーガレスト52を有している。このオーガレスト52は、穀物排出装置15を使用しないときに該穀物排出装置15の横排出オーガ15bを支持する部材であり、略Y字状に構成されていて、上部の載置部における凹部には横排出オーガ15bを検出するための前記オーガレストセンサ54が配置されている。このセンサ54は前記制御装置100に電気的に接続されている。これにより、該センサ54にて検出された、オーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されているか否かの信号(情報)を前記制御装置100に送信することができる。
さらにコンバイン201には、操作者が作業しながら視認できる位置に1又は2以上の水準器を設けることができる。図7は運転室14における運転操作部を平面から視た図である。例えば、図7に示すように、運転席14a前方においてフロントコラム30近傍の操向ハンドル31を基準にした左右に水準器21,22をそれぞれ設けることができ、運転席14a左方において左サイドコラム40近傍に水準器23を設けることができる。また、フロントコラム30の操向ハンドル31中央部分には表示装置24が、該表示装置24の左方上側には設定スイッチ25が、また該表示装置24の左方下側には表示切替スイッチ26が、さらに運転席14aの背もたれ部左方には収穫情報スイッチ27が設けられており、いずれも前記制御装置100に電気的に接続されている。これにより、設定スイッチ25、表示切替スイッチ26及び収穫情報スイッチ27の入力信号(情報)を前記制御装置100に送ることができ、前記制御装置100から表示装置24及び印刷装置39に出力情報を送信することができる。なお、表示装置24は表示手段の一例であり、設定スイッチ25、表示切替スイッチ26及び収穫情報スイッチ27は、いずれも人為操作可能な操作手段の一例である。
次に、本実施形態に係るコンバイン201の制御系の構成について図8から図13を参照しながら説明する。
図8は本実施形態に係るコンバイン201の制御系の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、コンバイン201は、既述の重量センサ32、水分センサ35、傾斜センサ135及びオーガレストセンサ54を含むセンサ装置50の他、該センサ装置50の制御を司る制御装置100を備えている。制御装置100は、各種センサ、スイッチ等から入力される信号に基づいて演算処理を実行する制御演算手段を含む中央処理装置101(以下、CPUという)、コンバイン201全体を制御するための制御プログラム等を格納したり、後述する演算式に関する所定のデータ等を記憶するROM102、及びCPU101の演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM103により構成される。CPU101は、ROM102に格納された制御プログラムを必要に応じてRAM103にロードして実行し、コンバイン201を動作させるように構成されている。なお、ROM102には、後述するアラーム表示のための所定の要因が記憶されている。また、CPU101は時計用のタイマを内蔵している。
前記制御プログラムは、CPU101を、穀物重量測定手段P1、穀物重量補正手段P2、穀物重量表示手段P3、穀物重量印刷手段P4及び穀物重量警報手段P5を含む手段として機能させるものである。
穀物重量測定手段P1では、重量センサ32から送られてくる穀物重量に関する情報に基づいて穀物重量値を測定する。具体的には、重量センサ32からの穀物重量に関する情報から所定の穀物重量換算用演算式を用いて穀物重量値に換算する。なお、この穀物重量値は、本例では穀物重量換算用演算式を用いて換算するが、それに対応するLUT(ルックアップテーブル)を用いて換算してもよい。また、この穀物重量測定手段P1では、重量センサ32からの測定値をゼロ点に設定する重量計のゼロ点設定を行う。
穀物重量補正手段P2では、水分センサ35から送られてくる穀物水分に関する情報に基づいて穀物重量値を補正したり、或いは/さらに第1及び第2傾斜センサ135a,135bからそれぞれ送られてくるコンバイン前後方向の傾斜角度及びコンバイン幅方向の傾斜角度に関する情報に基づいて穀物重量値を補正する。具体的には、水分センサ35からの穀物水分に関する情報から所定の穀物重量水分補正換算用演算式を用いて穀物重量水分補正値に換算したり、或いは/さらに第1及び第2傾斜センサ135a,135bからのコンバイン前後方向の傾斜角度及びコンバイン幅方向の傾斜角度に関する情報からそれぞれ所定の穀物重量傾斜補正換算用演算式を用いて穀物重量傾斜補正値に換算する。なお、これらの穀物重量水分補正値及び穀物重量傾斜補正値は、本例では補正換算用演算式を用いて換算するが、それに対応するLUT(ルックアップテーブル)を用いて換算してもよい。
穀物重量表示手段P3では、重量センサ32の測定結果に基づく出力値として、重量センサ32の穀粒収穫量及び/又は穀粒排出量に関する穀物重量値を表示装置24に表示する。なお、前記出力値は、重量センサ32の測定値、或いは第1及び第2傾斜センサ135a,135b又は水分センサ35の測定値に基づいて重量センサ32の測定値を補正するときには、重量センサ32の補正値である。
穀物重量印刷手段P4では、重量センサ32の測定結果に基づく出力値として、重量センサ32の穀粒収穫量及び/又は穀粒排出量に関する穀物重量値を制御装置100に接続された印刷装置39(図8参照)に印刷出力する。なお、前記出力値は、重量センサ32の測定値、或いは第1及び第2傾斜センサ135a,135bや水分センサ35の測定値に基づいて重量センサ32の測定値を補正するときは、重量センサ32の補正値である。
穀物重量警報手段P5では、人為操作に応じて重量センサ32を作動させる際に、第1及び第2傾斜センサ135a,135bからの測定値に基づき機体フレーム2が所定以上傾斜していると判断した場合には、操作者に対して警報を発したり、人為操作に応じて重量センサ32を作動させて穀粒収穫量及び/又は穀粒排出量に関する穀物重量値を、前記手段P3で表示装置24に表示したり、前記手段P4で印刷装置39に印刷出力したりする際に、該穀物重量値が所定範囲外の場合には該穀物重量値に加えてアラーム表示を行う。具体的には、設定スイッチ25、表示切替スイッチ26及び収穫情報スイッチ27等を介した人為操作に応じて重量センサ32を作動させて穀粒収穫量及び/又は穀粒排出量に関する穀物重量値を、前記手段P3で表示したり、前記手段P4で印刷出力したりする際に、第1及び第2傾斜センサ135a,135b又は水分センサ35の測定値がそれぞれの所定範囲外の場合(本例では、重量センサ32の測定値について所定の補正限界値を超える場合)には、前記穀物重量値に加えてアラーム表示を行う。このアラーム表示は、本例では、前記穀物重量値について誤差が大きい可能性がある旨の表示である。また、既述したように、該アラーム表示のための所定の要因がROM102に記憶されているが、このROM102からアラーム表示の要因を読み出すことで、前記アラーム表示にその要因を明示する。ところで、前記手段P1において、重量計のゼロ点設定を行うことがあるが、機体フレーム2が傾斜している場合に、この重量計のゼロ点設定を行うとそれだけ測定精度が低下し易い。そこで、手段P5では、重量計のゼロ点設定を行う際に、第1及び第2傾斜センサ135a,135bからの測定値に基づき機体フレーム2の傾斜値が所定のゼロ点設定傾斜範囲外の場合に操作者に対して警報を発する、或いは/さらに重量計のゼロ点設定を禁止する。
なお、前記アラーム表示の要因(換言すれば、前記穀物重量値の誤差の要因)は、本例では、グレンタンク13に穀物を収容する際の穀物収穫量の極少、グレンタンク13から穀物を外部に排出する際の穀物排出量の極少、機体フレーム2の傾斜角の極大、穀物水分量(例えば、穀物の含有水分量や、さらに水分量の多い表面付着水量)の極大としている。そして、アラーム表示を行う際の各測定値は、本例では、前記穀物収穫量及び前記穀物排出量の極少値でいずれも200kg以下の値とし、前記傾斜角の極大値について機体フレーム2が水平のときを0°として、コンバイン前後方向の傾斜(絶対値)で10°以上の値、コンバイン幅方向の傾斜(絶対値)で5°以上の値、前記含有水分量の極大値で35%以上40%未満の値、前記表面付着水量の極大値で40%以上の値としている。また、前記ゼロ点設定傾斜範囲は、本例では、前記機体フレームが水平のときを0°として±5°としている。
図9は表示装置24の収穫作業中の表示画面を示す図であり、図10は印刷装置39で印刷された収穫作業中の印刷内容を示す図である。
収穫作業中では、オーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置される。このとき、オーガレストセンサ54にてオーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されていることが検出されている。この状態で、収穫情報スイッチ27が押下されて該スイッチ27がON状態にあると、重量センサ32にて穀物重量に関する情報が検出され、該情報が制御装置100に送られると共に、水分センサ35並びに第1及び第2傾斜センサ135a,135bにてそれぞれ穀物水分に関する情報並びにコンバイン前後方向の傾斜角度及びコンバイン幅方向の傾斜角度に関する情報が制御装置100に送られる。
制御装置100では、前記制御プログラムが実行されており、CPU101が前記各手段P1〜P5として機能する。即ち、重量センサ32から送られてきた穀物重量に関する情報から手段P1にて所定の穀物重量換算用演算式を用いて穀物重量値に換算されることで、穀物重量が測定される。このとき、水分センサ35から送られてきた穀物水分に関する情報によっては、該情報から手段P2にて所定の穀物重量水分補正換算用演算式を用いて穀物重量水分補正値に換算されることで、さらに第1及び第2傾斜センサ135a,135bから送られてきたコンバイン前後方向の傾斜角度及びコンバイン幅方向の傾斜角度に関する情報によっては、該情報から手段P2にて所定の穀物重量傾斜補正換算用演算式を用いて穀物重量傾斜補正値に換算されることで、穀物重量が補正されることがある。このようにして得られた穀物重量値が、穀物水分に関する情報に基づく穀物水分量や傾斜角度に関する情報に基づく傾斜角度と共にRAM103に記憶される。
一方、表示装置24の表示画面上には、図9中A画面に示すように、「通常画面」が表示されているが、ここで設定スイッチ25が押下されると、この「通常画面」から、図9中B画面に示すように、「作業中の収穫情報表示画面」に移行し、この画面に手段P3にて重量センサ32の測定結果に基づく穀粒収穫量に関する作業中の穀物重量(質量)値及び水分センサ35の測定結果に基づく穀粒収穫量に関する作業中の穀物水分量が表示される。なお、この表示は、所定時間毎(例えば2秒毎)に随時更新される。
このように穀粒収穫量に関する穀物重量値が表示されるのであるが、このとき、手段P5にて、重量センサ32の測定値について所定の補正限界値を超える場合には、前記穀物重量値に加えて該穀物重量値について誤差が大きい可能性がある旨のアラーム表示がなされる。そして、ROM102からアラーム表示の要因が読み出されることで、かかるアラーム表示にその要因が明示される。
具体的には、表示画面B上の所定の箇所Gにおいて、前記穀物収穫量が200kg以下の場合には、穀物収穫量の極少が要因である旨が明示され、前記傾斜角度に関する情報に基づく傾斜角について、コンバイン前後方向の傾斜(絶対値)で10°以上又はコンバイン幅方向の傾斜(絶対値)で5°以上の場合には、前記傾斜角の極大が要因である旨が明示され、また、前記穀物水分に関する情報に基づく穀物水分量について、35%以上40%未満の場合には、前記含有水分量の極大が要因である旨が、さらに40%以上の場合には、前記表面付着水量の極大が要因である旨が明示される。なお、図9中B画面において「戻る」Q1が選択されると図9中A画面の「通常画面」に戻り、再度設定スイッチ25が押下されると、図9のB画面の「作業中の収穫情報表示画面」に移行する。
また、収穫作業の途中において、若しくは収穫作業終了後において、穀物を貯留するグレンタンク13内の穀物を排出装置15にて排出する際には、横排出オーガ15bが回動されてオーガレスト52の載置部(収納位置)から離間する。このとき、オーガレストセンサ54にてオーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されていないことが検出されている。この状態で、排出装置15にて穀物が排出されると、重量センサ32にて穀物重量に関する情報が検出され、重量センサ32から送られてきた穀物重量に関する情報に基づいて排出穀物重量が手段P1にて測定される。このとき、収穫作業中に記憶しておいた穀物水分量は予め平均してあり、この穀物平均水分量に基づいて、さらに第1及び第2傾斜センサ135a,135bからそれぞれ送られてきたコンバイン前後方向の傾斜角度及びコンバイン幅方向の傾斜角度に関する情報に基づいて、穀物重量が補正されることがある。このようにして得られた穀物重量が、穀物平均水分量や、傾斜角度に関する情報に基づく傾斜角度と共にRAM103に記憶される。なお、穀物排出値は、グレンタンク13から排出される前の穀物重量値とグレンタンク13から排出された後の穀物重量値との差が算出されることで求められる。
グレンタンク13からの穀物排出後、横排出オーガ15bが再び収納位置に収納されると、ここで排出した穀物重量値、穀物平均水分量や傾斜角度がRAM103から読み出され、該読み出された穀物重量(質量)値及び穀物平均水分量が、図9中C画面に示すように、「排出穀物の収穫情報表示画面」に表示され、再び収穫作業が行える状態になる。この「排出穀物の収穫情報表示画面(図9中C画面)」においても、前記の「作業中の収穫情報表示画面(図9中B画面)」と同様、重量センサ32の測定値について所定の補正限界値を超える場合には、前記穀物重量値に加えて該穀物重量値について誤差が大きい可能性がある旨のアラーム表示がなされる。具体的には、表示画面C上の所定の箇所Gにおいて、前記穀物排出量が200kg以下の場合には、穀物排出量の極少が要因である旨が明示され、前記傾斜角度について、コンバイン前後方向の傾斜(絶対値)で10°以上又はコンバイン幅方向の傾斜(絶対値)で5°以上の場合には、前記傾斜角の極大が要因である旨が明示され、また、前記穀物平均水分量について、35%以上40%未満の場合には、前記含有水分量の極大が要因である旨が、さらに40%以上の場合には、前記表面付着水量の極大が要因である旨が明示される。このようにして得られた穀物排出量、アラーム表示やその要因がRAM103に記憶される。
図9中C画面において「切替」Q2が選択されると、この収穫作業において過去に排出した穀物についての穀物排出量、穀物平均水分量、傾斜角度、アラーム表示やその要因がRAM103から読み出され、該読み出された穀物排出量を累積した穀物重量(質量)値及び穀物平均水分量が、図9中D画面に示すように、「排出穀物の累積の収穫情報表示画面」に表示される。この状態で「切替」Q2が選択されると、再度「排出穀物の収穫情報表示画面(図9中C画面)」に戻る。また、この「排出穀物の累積の収穫情報表示画面(図9中D画面)」では、表示画面D上の所定の箇所Gにおいて、RAM103から読み出されたアラーム表示やその要因が明示される。
また、「排出穀物の収穫情報表示画面(図9中C画面)」及び「排出穀物の累積の収穫情報表示画面(図9中D画面)」において「印刷」Q3が選択されると、図9中C画面の場合には、図10中左方に示すように、印刷装置39にてA排出穀物の収穫情報の印刷内容が記録紙に印刷されると共に、記録紙上の所定の箇所Gにおいて、アラーム表示があるときは該アラーム表示及びその要因が印刷され、図9中D画面の場合には、図10中右方に示すように、印刷装置39にてB排出穀物の累積収穫情報の印刷内容が記録紙に印刷されと共に、記録紙上の所定の箇所Gにおいて、アラーム表示があるときは該アラーム表示及びその要因が印刷される。なお、「排出穀物の収穫情報表示画面(図9中C画面)」及び「排出穀物の累積の収穫情報表示画面(図9中D画面)」のいずれにおいても「戻る」Q1が選択されると、「通常画面(図9中A画面)」又は「作業中の収穫情報表示画面(図9中B画面)」に戻る。
図11は表示装置24の収穫作業終了後の表示画面を示す図であり、図12は印刷装置39で印刷された一筆圃場の収穫情報の印刷内容を示す図である。
収穫作業が終了し、「作業終了時の通常画面(図11中A画面)」又は「作業終了時の収穫情報表示画面(図11中B画面)」が表示されている状態において、収穫情報スイッチ27が所定時間押下されて、該スイッチ27がOFF状態にされると、RAM103に記憶されている情報が読み出され、該読み出された情報が集計されることで、「1圃場作業のトータルの収穫情報表示画面(図11中のC画面又はD画面)」において、図11中C画面では総重量(質量)、収量及び作業時間が、図11中D画面では平均水分、最高水分及び最低水分がそれぞれ表示される。なお、図11中のC画面とD画面とは、各画面中の「切替」Q2が選択されることで互いに切り替えられ、「終了」Q4が選択されることで終了する。
さらに、図11中のC画面又はD画面において「印刷」Q3が選択されると、図12に示すように、印刷装置39にて一筆圃場の収穫情報の印刷内容が記録紙に印刷されると共に、記録紙上の所定の箇所Gにおいて、アラーム表示があるときは該アラーム表示及びその要因が印刷される。
なお、本例では、文字情報の表示によって警報を行うが、例えば、警告灯やブザー、音声出力手段等によって警報を行ってもよい。こうすることで、操作者に対してさらに注意喚起を促すことができる。
ところで、このコンバイン201では、手段P1にて重量センサ32からの測定値をゼロ点に設定する重量計のゼロ点設定を行うことができるが、これについて、図13を参照しながら以下に説明する。
重量計のゼロ点設定が行われるにあたり、先ず、図13中画面Aに示す「重量計0点調整」が選択されることで、重量計のゼロ点設定モードに入る。次に、第1及び第2傾斜センサ135a,135bにてコンバイン201の機体フレーム2の傾斜が検出され、当該検出された傾きがゼロ点設定傾斜範囲(本例では±5°)外の場合は、図13中画面Bに示すメッセージが表示され、重量計のゼロ点設定が禁止される。一方、当該検出された傾きが前記ゼロ点設定傾斜範囲内の場合は、図13中画面Cに示すメッセージが表示され、画面中「実行」が選択されると、重量計のゼロ点設定が実行され、図13中画面Dに示すメッセージが表示される。
以上説明したコンバイン201によると、設定スイッチ25、表示切替スイッチ26及び収穫情報スイッチ27等を介した人為操作に応じて重量センサ32を作動させて穀粒収穫量や穀粒排出量に関する穀物重量値を表示する際に、該穀物重量値が所定範囲外の場合には該穀物重量値に加えてアラーム表示を行うので、グレンタンク13内の穀物の重量を測定する際に該穀物重量の測定精度が良好か否かを操作者に対して知らせることができ、例えば、作業中に前記穀物重量値を確認する際に、当該穀物重量値について誤差が大きい可能性があることを認識させることができる。
また、人為操作に応じて重量センサ32を作動させて穀粒収穫量や穀粒排出量に関する穀物重量値を表示する際に、傾斜センサ135又は水分センサ35の測定値がそれぞれの所定範囲外の場合(本例では、重量センサ32の測定値について所定の補正限界値を超える場合)には、前記穀物重量値に加えてアラーム表示を行うので、グレンタンク13内の穀物の重量を測定する際に機体フレーム2が傾き過ぎているか否か、或いは穀物の水分量が多すぎるか否かを操作者に対して知らせることができ、これにより、操作者は平坦な場所に移動して穀物重量を測定することで(例えば、所定許容傾斜角範囲内で、さらには機体フレーム2ができるだけ水平になるように測定することで)、それだけ精度の高い測定値を得ることができたり、前記穀物重量値の誤差が機体フレーム2の傾斜や穀物の水分量に起因することを認識させることができる。
また、傾斜センサ135又は水分センサ35の測定値がそれぞれの所定範囲外の場合(本例では、重量センサ32の測定値について所定の補正限界値を超える場合)であって、やむを得ず穀物重量を測定した場合であっても、前記穀物重量値に加えてアラーム表示を行うので、前記穀物重量値のうち誤差が許容範囲を越えている穀物重量値とそうでない穀物重量値とを容易に区別することができる。
前記アラーム表示は、本例では、前記穀物重量値について誤差が大きい可能性がある旨の表示であり、前記アラーム表示には、該アラーム表示の要因が明示されているので、操作者に前記穀物重量値について誤差が大きくなった要因を知らせることができる。
さらに、このコンバイン201では、重量計のゼロ点設定を行うので、例えば、工場出荷時、メンテナンス時、或いはグレンタンク13内の穀物重量を測定するに先立って、グレンタンク13が空の状態において、予め重量センサ32からの測定値をゼロ点に設定しておくことができる。また、重量計のゼロ点設定を行う際に、傾斜センサ135a,135bからの測定値に基づき機体フレーム2の傾斜値が所定のゼロ点設定傾斜範囲外の場合に操作者に対して警報を発すると共に重量計のゼロ点設定を禁止するので、測定精度の低下を防止でき、測定値の信頼性を向上させることができる。
なお、コンバイン201においては、操作者が作業中に視認できる位置に、機体フレーム2の傾斜状態を知ることができる水準器21〜23が設けられているので、収穫情報データを採取する際に、随時、水準器21〜23を用いて機体フレーム2の傾き度合いを確認することができ、操作者はそれだけ安心して作業を行うことができる。