JP2006056008A - 発泡構造体および発泡構造体成形用金型 - Google Patents

発泡構造体および発泡構造体成形用金型 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、外観の良い発泡構造体をフィルム等の別部材を用いることなく、低コストで生産できるようにすることであり、特に外観意匠部品を低コストで生産することにある。
【解決手段】本発明に係る発泡構造体成形用金型の代表的な構成は、固定側金型21と可動側金型22とからなり、成形前の熱可塑性樹脂材料に不活性ガスを浸透させて固定側金型21と可動側金型22のキャビティ20内に射出することにより微細なセル構造の発泡樹脂成形品23を成形するための発泡構造体成形用金型2であって、固定側金型21のキャビティ面211にしぼ処理が施され、発泡成形に起因するスワールマークより深い凹凸215を形成したことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、微細なセル構造の発泡構造体及び、固定側金型と可動側金型とからなり、発泡構造体を成形するための発泡構造体成形用金型に関するものである。
熱可塑性樹脂の微細発泡成形技術としては、米国のマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology。以下、「MIT」と略す)が開発したマイクロセルラ・フォーム(MicroCellular Foam。以下、「MCF」と略す)が知られている。この成形方法によれば表皮は無発泡のスキン層を形成する一方で、内部は独立した微細な発泡セルで構成される(特許文献1)。
従来の発泡成形法としては化学的発泡(chemical blowing)や物理的発泡(physical blowing)などがある。これら成形法による成形品は発泡セルが100μm以上と大きく、結果として材料強度を落としてしまっていた。
一方、MCF成形は、内部に気泡を成形しない通常のソリッド成形と比較して、成形品を5〜30%の軽量化して材料削減効果を得られる。また、成形品の剛性がわずかに劣化するだけで、ほぼ同じ強度が得られる。このため、MCF成形は、小型軽量化、コストダウンが必須な電気電子機器等の部品への応用が期待できる。
しかしながら、MCF成形法では成形品(発泡構造体)の表面にスワールマーク(swirl mark)が発生し、少なくとも装置の外観を構成する部品(外観部品)としては美観的に受け入れられないものであった。このスワールマークは、通常の射出成形でシルバーストリーク(銀状、silver streak)として見られる成形品表面の箒状模様と同じ原理で発生するとされている。図9を用いてその原理を説明する。図9は樹脂の流動先端部での気泡の動きを説明する図である。
図9(a)に示すように、樹脂は、金型1001、1002で作られたキャビティ内を図中左側から矢印Aの方向に流れる。このとき、図9(b)に示すように、樹脂の流動先端(フローフロント、flow front)1003が移動するに連れ、材料中の気泡1006がファウンテンフロー(fountain flow)1004によりキャビティ壁面(金型面)に噴出する。さらに図9(c)に示すように、材料中の気泡1006が樹脂流動により押し付けられ、1005のように引き伸ばされて、最終的に箒状模様となるものである。
外観を構成する部品にとって、スワールマークは商品の価値を下げるものであり、以下のスワールマーク対策が提案されている。
カウンタープレッシャー法によりスワールマークを改善する効果に加えて、特定量の二酸化炭素を溶融樹脂に溶解させて粘度を低減させることにより、生産性を向上させる、経済的にも優れた成形技術がある。この技術では、溶融粘度が下がるため、特に薄肉部品での成形性に効果を発揮する(特許文献2)。
また、外装面にフィルム層を形成したサンドイッチ成形の技術が開示されている。この技術は、スキン層の外にはみ出したコア層を隠すために、スキン層の上にフィルム層を形成するものである(特許文献3)。
米国特許第4473665号明細書 特許第3218397号公報 特開2002-036288号公報
しかしながら、特許文献2の技術では、金型を密閉金型とする必要があり、金型加工の当初から成形方法を決定している必要がある。また、通常の射出成形に比べると金型にかかる費用が増大してしまう。特に外観部品を成形するための大型の金型を密閉系に保つためには、金型費用はかなり増大してしまう。更に、金型内を予備加圧するのが前提のため、金型内の減圧タイミングと樹脂の射出タイミングが少しでもずれるとカウンタープレッシャーの効果を発揮しきれないという、装置制御に係わる課題もある。
また、特許文献3の技術では、スキン層がコア層により破られた状態においては、スキン層の一体性が崩れ、成形品の強度が落ちてしまう。この強度低下をフィルム層で補おうとした場合、フィルムと成形品の材料に相溶性がないと密着性に劣るため、強度低下を補うのに十分な補強をすることができない。更に、サンドイッチ成形とフィルムインモールド成形のそれぞれの工程を組み合わせているため、成形コストが高額になってしまう。特にサンドイッチ成形の部分で高額な設備投資が必要となる。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観の良い発泡構造体をフィルム等の別部材を用いることなく、低コストで生産できるようにすることであり、特に外観部品を低コストで生産することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る発泡構造体成形用金型の代表的な構成は、固定側金型と可動側金型とからなり、成形前の熱可塑性樹脂材料に不活性ガスを浸透させて前記固定側金型と可動側金型のキャビティ内に射出することにより微細なセル構造の発泡構造体を成形するための発泡構造体成形用金型であって、前記固定側金型及び前記可動側金型の少なくとも一方のキャビティ面にしぼ処理が施され、発泡成形に起因するスワールマークより深い凹凸を形成したことを特徴とする。
また、本発明に係る発泡構造体の代表的な構成は、成形前の熱可塑性樹脂材料に不活性ガスを浸透させ、前記発泡構造体成形用金型のキャビティ内に溶融状態の前記熱可塑性樹脂材料を射出することにより成形される微細なセル構造の発泡構造体であって、表面には少なくともスワールマークより深い凹凸が転写されたことを特徴とする。
以上説明したように本発明によれば、微細発泡成形特有の表面のスワールマークが目立たない、外観の良い発泡構造体を成形できる。また、カウンタープレッシャーなどの特殊な成形方法を用いることや、フィルム等の別部材を用いることなく、低コストで発泡構造体を生産できる。
本発明に係る発泡構造体成形用金型及び発泡構造体の実施形態について、図を用いて説明する。図1は射出成形装置の構成図である。
(射出成形装置)
図1に示すように、射出成形装置1は、発泡構造体成形用金型2(以下、「金型」という)、超臨界流体発生装置5(以下、「SCF装置」という)、材料ホッパ11、可塑化装置12(シリンダ)、射出装置13、固定側型盤14、可動側型盤15、型締め装置16、制御装置17、不活性ガスボンベ51、SCF注入装置52、ガス供給管53、54から構成されている。
この射出成形装置1において、不図示の除湿乾燥機によって乾燥された粒状の熱可塑性樹脂ペレットは、給送ポンプなどにより一定量が材料ホッパ11に供給される。材料ホッパ11内の材料(熱可塑性樹脂ペレット)は、発泡構造体の成形が進むに従い、順次、可塑化装置12に送られていく。
可塑化装置12内に送られた熱可塑性樹脂は、スクリュー120(図7参照)の回転と射出装置13からの背圧により、順次、ノズル124(図7参照)の側に可塑化しつつ送られていく。一方、不活性ガスボンベ51の不活性ガスは、SCF装置5により超臨界状態の超臨界流体(Super Critical Fluid:SCF)とされ、SCF注入装置52を介して可塑化装置12に送り込まれる。可塑化装置12に送り込まれた超臨界流体は、熱可塑性樹脂材料に浸透する。超臨界流体が浸透した溶融樹脂は、スクリュー120の移動により金型2内に射出され、所望の発泡構造体である発泡樹脂成形品23を得ることができる。
金型2は、固定側金型21、可動側金型22から構成されている。固定側金型21、可動側金型22は、キャビティ面211、221を有し、型締めされてキャビティ20を形成する。固定側金型21には、キャビティ20に連結するスプルー210、ランナーが形成されている。キャビティ面211には、スワールマークを隠すためにしぼ処理が施され、発泡成形に起因するスワールマークより深い凹凸215(しぼ)(図2(e)参照)が形成されている。
尚、しぼ処理を施す位置は、固定側金型21のキャビティ面211に限定されるものではなく、固定側金型21及び可動側金型22の少なくとも一方のキャビティ面211、221に施されていればよい。例えば、発泡樹脂成形品23が所定の装置の外観を構成する部品である場合に、その外観となる面を形成するキャビティ面にしぼ処理が施されていればよい。
(しぼ処理)
次に、固定側金型21のキャビティ面211に施したしぼ処理について説明する。本実施形態では、事務機械製品で多く用いられる梨地しぼを例にして説明する。図2は固定側金型21のキャビティ面211にしぼ処理(しぼ加工)を施す工程を説明する概略図、図3はしぼ処理を施す工程のフローチャートである。
図2(a)に示すように、固定側金型21のキャビティ面211に対し、しぼ処理を行う(ステップS101)。まず、固定側金型21の表面に付着した切削油、塵埃などを脱脂することによって除去する(ステップS102)。
次に図2(b)に示すように、しぼ加工部213以外をマスキングする(ステップS103)。マスキング212は、耐薬品性、密着性等に優れたマスキングテープを用いるのが一般的であるが、刻印などの細かな部位はマスキング液を用いる。マスキング液を用いた場合には、マスキング212を充分に乾燥させる(ステップS104)。その後、しぼ加工面の表面処理を行う(ステップS105)。この表面処理は主に、金型表面の酸化物層を除去するために行う。
そして、マスキング212を施したキャビティ面211に対し、しぼパターンを形成する(ステップS201)。しぼパターンが梨地しぼの場合、耐酸性粒子を吹き付ける。そして、図2(c)に示すように、耐酸性粒子を吹き付けられたキャビティ面211を、エッチング液214に浸漬する。マスキング212を施されていないしぼ加工部213は、エッチング液214により浸食され、キャビティ面211にしぼパターンが形成される(ステップS202)。このステップS201、S202を繰り返すことにより、梨地のパターン、深さの異なる凹凸215(しぼ)が形成される。
エッチングが終了すると(ステップS202)、サンドブラスト用のマスキングを行い(ステップS301)、サンドブラスト仕上げを行う(ステップS302)。
図2(e)に示すように、サンドブラスト仕上げが終わると(ステップS302)、全てのマスキングを剥がす(ステップS303)。そして、マスキングの剥がし残り、耐酸性皮膜を除去するために固定側金型21を洗浄する(ステップS401)。最後に、防錆処理を施し(ステップS402)、しぼ処理を終了する(ステップS403)。
尚、しぼパターンの形成方法として耐酸性粒子を吹き付けて行う手法を例にとり説明したが、フォトエッチングなど、他のレジスト技術を用いてしぼパターンを形成してもよい。フォトエッチングとは、金型表面に感光性レジスト層を形成し、フィルムに印刷されたしぼパターンを用いて紫外線露光することによりエッチングを行うものである。
また、金型をエッチング液へ浸漬することによりエッチング行う手法を例にとり説明したが、金型形状、装置、エッチングの難易度などにより、他のエッチング方法を選択してもよい。他のエッチング方法としては、スプレーエッチングやシャワーエッチングなどがある。
(サンドブラストによる効果)
ここで、サンドブラスト仕上げによる効果について説明する。図4はサンドブラスト仕上げによる成形品の表面のプロファイルの違いを説明する図である。図4(a)はキャビティ面211にしぼパターンのみを施し、サンドブラスト仕上げを行っていない金型で成形した成形品の表面のプロファイルを示す図、図4(b)、図4(c)は同じしぼパターンに、強弱2種類のサンドブラスト仕上げを行った金型で成形した成形品の表面のプロファイルを示す図である。図4(c)の方が図4(b)よりも強めにサンドブラスト仕上げを行ったものである。
図4(a)に示すように、キャビティ面211にエッチングで形成された凹凸215は、化学変化による作用のため、大きな凹凸と、それら一つひとつの凹凸が更に小さな凹凸で形成された表面形状となっている。
図4(b)、図4(c)に示すように、このような状態のキャビティ面211に、サンドブラスト処理を施すことにより、全体の大きな凹凸はそのまままで、小さな凹凸のみをなだらかに仕上げることができる。このように、小さな凹凸のみをなだらかに仕上げることにより、光の反射をよくし、光沢感を出すことができ、外観意匠をよくすることができる。
また、図4(b)、図4(c)の表面写真から、同じしぼパターンでも、サンドブラスト仕上げを強くすることで、光沢感が強くなり、光沢により見映えがよくなっている。このようにサンドブラスト仕上げを行うことで、発泡樹脂成形品23の表面に光沢を出し、スワールマークを隠すことができる。
(凹凸215の深さ)
次に、しぼ処理により形成される凹凸215の深さについて説明する。図5(a)はしぼ処理を施していない従来の金型を用いて成形した通常成形品の表面粗さの測定結果を示す図、図5(b)はしぼ処理を施していない従来の金型を用いて成形したSCF成形品の表面粗さの測定結果である。ここで、通常成形品とは、内部に気泡を成形しない通常のソリッド成形により成形した成形品である。また、SCF成形品とは、SCF装置5を用いて超臨界流体を熱可塑性樹脂材料に浸透させて成形した内部に気泡を有する発泡構造体(成形品)である。
図5(a)に示すように、通常成形品のプロファイルは、ランダムな凹凸となっている。これに対し、図5(b)に示すように、SCF成形品のプロファイルは、Y座標1μmでほぼ平坦であり、この線から下にランダムな凸形状となっている。これは、通常成形品が部品形状や材料特性により収縮の程度が場所により異なるのに対し、SCF成形品は、収縮時に内部の気泡が保圧の働きをするために、部位による収縮程度に差がでにくいためと考えられる。
また、SCF成形品のY座標1μmから下に凸となった形状はスワールマークによるものである。そして、図5(b)からSCF成形品の表面粗さの最大値は9μm程度であることが読み取れる。よって、SCF成形品の表面に凹凸215の深さは、発泡成形に起因するスワールマークを隠すために、9μmであることが望ましい。このため、固定側金型21のキャビティ面211にしぼ処理により形成した凹凸の深さは9μm以上であることが望ましい。
次に、4つのしぼパターンと、3パターンのサンドブラスト仕上げ(なし、弱、強)を施した金型を用いて成形した通常成形品とSCF成形品の表面粗さを調べ、美観の官能評価を行った。図6は、しぼパターン、サンドブラスト仕上げパターンを変更した場合における通常成形品とSCF成形品のスワールマークによる美観の官能評価の結果を示す図である。図6において、しぼパターンはしぼ1〜しぼ4の順に深く、粗くなっている。Ra、Ry、Rzは、それぞれJIS B0601に規定されている算術平均粗さ、最大粗さ、十点平均粗さを示している。官能評価の欄の○、×は、官能評価(成形品の外観)の良し、悪しを示している。
図6において、全ての表面粗さにおいて通常成形品とSCF成形品とに有意差は見られない。しかしながら官能評価においては、しぼ2でサンドブラスト仕上げの違いで優劣がついている。すなわち、しぼ2においてサンドブラスト仕上げ(なし、弱)の場合には、官能評価は悪く。しぼ2においてサンドブラスト仕上げ(強)の場合には、官能評価は良くなっている。このことから、深さ、粗さが同じしぼパターンであっても、サンドブラストにより小さな凹凸をなだらかにして光沢感を出した方が、官能評価がよくなることがわかる。
また、官能評価をクリアした、しぼ2、サンドブラスト仕上げ(強)の場合の十点平均粗さRzは17.3μmであり、最大粗さRyは25.9μmである。この粗さは成形品の表面の粗さであるとともに、キャビティ面の粗さとほぼ同じと考えられる。このことから、キャビティ面211に施す凹凸215(しぼ)の深さは、前述のように少なくとも9μmが望ましく、好適には17.3μm以上、更に好適には26μm以上とすることにより、スワールマークの影響を受けにくく、外観意匠のよい成形品(発泡構造体)を成形することができる。
(射出成形プロセス)
次に、発泡樹脂成形品23(発泡構造体)を成形する工程について詳細に説明する。図7は射出成形プロセスの説明図である。図7(a)に示すように、金型2を開いた状態において、可動側型盤15に取付けられた可動側金型22は、型締め装置16の動作により移動され、図中左の固定側金型21から離れた位置ある。この状態で、可塑化装置12のノズル124の先端は固定側金型21のスプルーブッシュ(不図示)にタッチしており、熱可塑性樹脂の射出の準備がなされている。また、熱可塑性樹脂は、溶融されており、超臨界流体が浸透している。
この状態で、図7(b)に示すように、型締め装置16により可動側金型22を固定側金型21側に移動し、所定の型締め力で金型2内にキャビティ20を構成する。
続いて、図7(c)に示すように、射出工程に移る。射出工程において、スクリュー120をキャビティ20側(図中左側)に所定速度で移動する。これにより、可塑化装置12の溶融部123に溜められた溶融樹脂はキャビティ20内に射出される。射出された溶融樹脂は、キャビティ20内に充填されていく。
ここで、溶融樹脂はノズル内およびスプルー210、ランナー内では高い圧力により発泡していない。しかし、溶融樹脂は、キャビティ20内に入った瞬間から大気圧以下の圧力となるため、急速に発泡を開始する。このため、射出された溶融樹脂は、キャビティ20内に充填されながら、その表面にスワールマークを形成する。
図7(d)に示すように、溶融樹脂の充填が終了後、発泡樹脂成形品23の取出し工程、樹脂の計量工程に移る。溶融樹脂の充填が終了すると、スクリュー120は直ちに後退する。その際、計量部121で計量された熱可塑性樹脂ペレットは、スクリュー120の回転と射出装置13からの背圧により、順次、ノズル124側に送られていく。可塑化装置12には外周にヒータが装備されており、ノズル124側にいくに従って高温になるように制御されている。このため熱可塑性樹脂ペレットは、可塑化部122において加熱溶融され、ノズル124側の溶融部123では完全な溶融状態となっている。
この際、溶融状態の溶融樹脂に不活性ガスを浸透させる。不活性ガスとしては、例えば二酸化炭素ガスを使用する。ガスボンベ51内の二酸化炭素ガスはガス供給管53を通じてSCF装置5に運ばれる。そして二酸化炭素ガスは、SCF装置5により超臨界状態の超臨界流体(Super Critical Fluid:SCF)となるまで高圧化される。
図8は温度と圧力における二酸化炭素の相変化状態を示す図である。二酸化炭素の場合、臨界温度が31.1℃と比較的常温に近い。このため、少しの温度上昇と7.38MPa(72.8気圧)以上の高圧をかけることにより、超臨界状態の二酸化炭素を作り出すことができる。
超臨界状態となった二酸化炭素ガスは、ガス供給管54を通じて、可塑化装置12の可塑化部122付近に設けられたSCF注入装置52から溶融樹脂に浸透される。二酸化炭素ガスの注入タイミングなどは、樹脂の射出圧力、スクリュー120の可塑化制御などと同様に、制御装置17により制御、管理されている。
スクリュー120が所定位置まで後退すると、次の成形に必要な樹脂の計量、可塑化も終了し、同時に超臨界状態の二酸化炭素の浸透も終了し、次の射出成形を待つ状態となる。樹脂の充填し、冷却時間をおいて樹脂を硬化させた後、キャビティ20が開くと、発泡樹脂成形品23がランナーに形成された部分を含んだ状態で取出される。上記、図7(a)から図7(d)の工程を繰り返すことにより、発泡樹脂成形品23を連続して成形することができる。
尚、可塑化装置12に設けたSCF注入装置52により可塑化部122に超臨界流体を浸透させるとして説明したが、他の浸透方法を採用してもよい。他の浸透方法としては、スクリューの内側から溶融樹脂に不活性ガスを供給する方法(特開平8-258096号公報参照)や、前処理装置を用いて不活性ガスを含浸させる方法(特開2001-353750号公報参照)等がある。
(発泡構造体)
上記の射出成形プロセスで形成された発泡樹脂成形品23は、プリンタ、スキャナ等の所定の装置の外観を構成する部品として用いることができる。発泡樹脂成形品23の表面(少なくとも外観を構成する面)には、キャビティ面211に施された凹凸215が転写されている。したがって、発泡樹脂成形品23の表面には、スワールマークより深い凹凸(少なくとも深さ9μm以上、好適には17.3μm以上、更に好適には26μm以上)が転写されており、更にサンドブラストによる光沢感がある。
以上説明したように、固定側金型21及び可動側金型22の少なくとも一方のキャビティ面211、221にしぼ処理を施し、発泡成形に起因するスワールマークより深い凹凸215を形成した。これにより、発泡樹脂成形品23の表面に凹凸をつけて、微細発泡成形特有の表面のスワールマークが目立たない、外観の良い発泡樹脂成形品23(発泡構造体)を成形できる。また、カウンタープレッシャーなどの特殊な成形方法を用いることや、フィルム等の別部材を用いることなく、低コストで発泡樹脂成形品23(発泡構造体)を生産できる。
また、キャビティ面211に施す凹凸215(しぼ)の深さは、少なくとも9μm、好適には17.3μm以上、更に好適には26μm以上とした。これにより、スワールマークの影響を受けにくく、外観意匠のよい発泡樹脂成形品23を成形することができる。
また、しぼ処理の最終工程でサンドブラストによる光沢処理を施すことにより、発泡樹脂成形品23の表面に光沢を出すことができる。この光沢により、スワールマークを隠すことができ、外観意匠をよくすることができる。
また、金型2を持ちいて成形される発泡樹脂成形品23は、表面には少なくともスワールマークより深い凹凸215が転写されている。このため、SCF成形を行ってもスワールマークが目立つことはない。これにより、非常に安価に意匠性の高い成形品を成形することができる。特に、発泡樹脂成形品23を、所定の装置の外観を構成する部品とし、その外観を構成する面に凹凸215を転写した場合に、スワールマークが目立つことがなく、効果がある。
射出成形装置の構成図である。 しぼ処理を施す工程を説明する概略図である。 しぼ処理を施す工程のフローチャートである。 サンドブラスト仕上げによる成形品の表面プロファイルの違いを説明する図である。 成形品の表面粗さの測定結果を示す図である。 しぼパターン、サンドブラスト仕上げパターンを変更した場合における通常成形品とSCF成形品のスワールマークによる美観の官能評価の結果を示す図である。 射出成形プロセスの説明図である。 圧力と温度による二酸化炭素の相変化状態を示す説明図である。 樹脂の流動先端部での気泡の動きを説明する図である。
符号の説明
1…射出成形装置、2…発泡構造体成形用金型、5…超臨界流体発生装置(SCF装置)、11…材料ホッパ、12…可塑化装置(シリンダ)、13…射出装置、14…固定側型盤、15…可動側型盤、16…型締め装置、17…制御装置、20…キャビティ、21…固定側金型、22…可動側金型、23…発泡樹脂成形品、51…不活性ガスボンベ、52…SCF注入装置、53…ガス供給管、54…ガス供給管、120…スクリュー、121…計量部、122…可塑化部、123…溶融部、124…ノズル、210…スプルー、211…キャビティ面、212…マスキング、213…しぼ加工部、214…エッチング液、215…凹凸(しぼ)、221…キャビティ面

Claims (7)

  1. 固定側金型と可動側金型とからなり、成形前の熱可塑性樹脂材料に不活性ガスを浸透させて前記固定側金型と可動側金型のキャビティ内に射出することにより微細なセル構造の発泡構造体を成形するための発泡構造体成形用金型であって、
    前記固定側金型及び前記可動側金型の少なくとも一方のキャビティ面にしぼ処理が施され、発泡成形に起因するスワールマークより深い凹凸を形成したことを特徴とする発泡構造体成形用金型。
  2. 前記しぼ処理により形成した凹凸の深さが9μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡構造体成形用金型。
  3. 前記しぼ処理により形成した凹凸の深さが17μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡構造体成形用金型。
  4. 前記しぼ処理により形成した凹凸の深さが26μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡構造体成形用金型。
  5. 前記しぼ処理の最終工程でサンドブラストによる光沢処理を施されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発泡構造体成形用金型。
  6. 成形前の熱可塑性樹脂材料に不活性ガスを浸透させ、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発泡構造体成形用金型のキャビティ内に溶融状態の前記熱可塑性樹脂材料を射出することにより成形される微細なセル構造の発泡構造体であって、
    表面には少なくともスワールマークより深い凹凸が転写されたことを特徴とする発泡構造体。
  7. 所定の装置の外観を構成する部品であり、外観を構成する面に前記凹凸が転写されたことを特徴とする請求項6に記載の発泡構造体。
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