JP2006055025A - バブルを利用するハイブリダイゼーション方法および容器 - Google Patents

バブルを利用するハイブリダイゼーション方法および容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 微小反応液を効率よく攪拌し、プローブ担体の測定において、基板表面に固定されたプローブDNAに対するターゲットDNAのハイブリダイゼーション効率を向上させるハイブリダイゼーション方法および容器を提供すること。
【解決手段】 微小反応容器内の反応液を攪拌する方法であって、微小反応容器中に設けられた微小ヒータを連続的にパルス加熱し、発生したバブルの膨張、凝縮により反応液を攪拌しながら、ハイブリダイゼーション方法および容器。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バブルの膨張、凝縮を利用したハイブリダイゼーション反応方法およびそのための容器に関する。
核酸の塩基配列の決定やサンプル中の標的核酸の検出、各種細菌の同定を迅速かつ正確に行える技術のひとつとして、例えば、特定の塩基配列を有する標的核酸と特異的に結合する物質、いわゆるプローブを利用して固相上に複数種のプローブをアレイ状に配置したプローブアレイ基板とした上で、同時に複数種のプローブに対する特異的な結合能力を評価する方法が提案されている。プローブ担体とは、プローブアレイとも言い、ガラス基板やプラスティック基板、メンブランなどの上に数十から一千種類以上の異なる種類のDNA断片などからなるプローブをスポットとして高密度に整列固定させた物である。
近年、このようなプローブアレイを利用する標的物質の検出や定量に関する研究は精力的に行われてきている。例えば、特許文献1にはフォトリソグラフィーを用いた固相担体上でのDNA逐次伸長反応によるプローブアレイ作製方法が、特許文献2には、キャピラリーを用いてDNAをメンブラン上へ供給するプローブアレイ作製方法が、特許文献3にはピエゾ・ジェット・ノズルを用いてDNA複数種を固相合成するプローブアレイ作製方法が、特許文献4にはインクジェットヘッドによりプローブを含む液体を液滴として固相に付着させるプローブアレイ作製方法が記載されている。
上記の方法で作成されたプローブアレイは、未知配列を有する標的物質との反応工程(ハイブリダイゼーション)後に、プローブアレイ上のプローブと標的物質との結合の有無や、結合量をシグナルとして検出する事で、標的物質中に含まれる未知配列を特定したり、定量することができる。
ハイブリダイゼーションの反応は、プローブが固定されたガラス板などから成るプローブアレイに、あらかじめ蛍光標識などを施した標的物質を含む反応溶液を滴下し、カバーガラスなどを乗せ、一定時間恒温槽に放置する方法で行っている。一部自動化容器も出現してはいるものの、容器が高価であることから、依然としてマニュアル(手動)ハイブリダイゼーションが広く行われている。その後、プローブアレイを取り出して洗浄液などでプローブアレイを洗浄し、検出器によって標識に用いた蛍光物質を励起させ、その蛍光を読み取る事でプローブとハイブリダイズを形成する標的物質を同定することができる。
米国特許第5,424,1865号明細書 国際公開第95/35505号パンフレット 欧州特許第0703825号明細書 特開平11−187900号公報
DNAチップはまたはDNAマイクロアレイにターゲットDNAを含む数〜数十μlのサンプルをプローブ担体に滴下し、カバーガラスでカバーして数時間置く必要がある。信頼できるハイブリダイゼーションの結果を得るためには、プローブ担体上のプローブDNAにターゲットDNAがハイブリダイゼーション可能な状態で接近できる必要がある。しかし、液量が微量であることから、液の撹拌は容易ではなく、無撹拌の場合、ハイブリダイゼーションの完了には18〜24時間必要であり、市販の撹拌機能を有するハイブリダイゼーション機器でもハイブリダイゼーションの完了には4時間程度必要である。さらに、市販の撹拌機能を有するハイブリダイゼーション機器は機構が複雑であることから高価であるという欠点もある。
そこで本発明の目的は、微小反応容器内の反応液を効率よく撹拌することで、ハイブリダイゼーション効率を高め、定量性・再現性の高い信号を得ることのできる、安価かつ簡易で汎用性のあるハイブリダイゼーション方法および容器を提供することである。
上記課題は下記の本発明によって解決された。
(1)微小ヒータが少なくとも1つ以上設けられた微小反応容器を作製した。
(2)標的物質に対して特異的に結合可能なプローブを固定したプローブ固定担体と標的物質のハイブリダイゼーション反応において、少なくとも1つ以上の微小ヒータをパルス加熱し、発生したバブルの膨張、凝縮によって反応液を撹拌することができ、ハイブリダイゼーション効率を高めることによって、反応時間を短縮し、検出感度を高める事および検出感度のばらつき(標準偏差)の低減が可能となった。
本発明の方法によれば、プローブ担体にターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせる場合のように、微小反応容器内の反応液を効率よく撹拌できる。特に、プローブ担体にターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせる場合、安定したハイブリダイゼーション結果を、短い時間で得ることができる。
本発明は、微小反応容器内の反応液を攪拌する方法であって、微小反応容器中に設けられた微小ヒータを連続的にパルス加熱し、発生したバブルの膨張、凝縮により反応液を攪拌しながら、ハイブリダイゼーションを行う方法および容器であることを特徴とする方法である。
本発明において微小反応容器とは、例えば、プローブ担体のハイブリダイゼーション容器である。但し、微小反応容器は、ハイブリダイゼーション容器に限定されるものではない。微小反応容器上部に設けられた微小ヒータは、例えば、厚さ0.1〜1μm、大きさ15μm×15μm〜50μm×50μmの範囲であり、3×104〜3×105個/cm2の範囲で配置されている。また、ハイブリダイゼーション容器などの場合、微小反応容器は、対向する2枚のプレート(例えば、微小ヒータが設けられた微小反応容器上部とスライドガラス)の間のスペーサーとなり、かつプレート間に反応液を注入できるスペーサー部材(例えば、Oリング)からなる。この場合、微小反応容器の内部の厚み(即ち、スペーサー部材の厚みに相当する)は、例えば、5〜100μmの範囲である。
上記微小反応容器を構成する2枚のプレートの少なくとも一方は、プローブ担体である。また、反応液は、ターゲットDNAを含有するハイブリダイゼーション溶液である。
上記プローブ担体としては、プローブを固定し、得られたプローブ固定基材を用いて検知物質(標的物質)を検出するのに支障のないものであれば特に限定されるものではないが、例えば無機材料または高分子材料などがあげられる。
具体的には、基材に無機材料を使用する場合は塩基性基を導入するために、基材表面を例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤で処理したものが好ましい。この場合には、効率的にシランカップリング剤で処理できるような材質、特には石英、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、アルミニウム、水酸化アルミニウム、鉄、マイカなどが好ましいが、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄などの酸化物などを使用することもできる。また、標的物質の検出や材料としての汎用性を考慮すると、アルカリ成分などが含まれない無アルカリガラスもしくは石英基板材料が特に好ましい。アミノ基を有するシランカップリング剤としては、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリアルコキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、γ-アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジアルコキシシランなどがあげられる。アルコキシシリル基としては、加水分解が速やかに行えるメトキシシリル基もしくはエトキシシリル基が好ましい。
また高分子材料としては、アミノ基などの塩基性基を有する高分子材料または、塩基性基を容易に導入できる高分子材料が好ましい。例えば、末端にアミノ基を持つポリアミドなどを利用する方法、保護したアミノ基とビニル基を持つ物質を共重合させ、保護基を外す方法などがある。
なお、本発明におけるシランカップリング剤とは、樹脂などの有機化合物と反応しうる有機官能基と、ガラスなどの無機化合物とシロキサン結合を介して結合しうる部分を併せ持つ化合物のことを言う。
また、基材の形状は制約されるものではないが、DNAチップを例として挙げるならば検出方法および容器などの汎用性から基板状であることが好ましい。更に、基板材料は、表面の平滑性が高い基板材料であることが好ましく、具体的には1インチ×3インチ、厚さ0.7〜1.5mm程度の基板であることが好ましい。
上記基材の表面をシランカップリング剤で処理する際には、基材上を予め洗浄しておくことが好ましい。洗浄方法としては、水による洗浄、薬液による洗浄、プラズマによる洗浄、UVオゾンによる洗浄など多くの方法が知られているが、簡易的に尚且つ均一に洗浄する方法としては、薬液による洗浄方法が適当である。基材の種類によっても好適な洗浄方法は異なるが、例えば、基材としてガラスを用いる場合は、所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いて基材表面を十分に洗浄し、基材上に付着した汚れを除去する方法が挙げられる。具体的には、60℃程度に加温した1M水酸化ナトリウム水溶液を用意し、水溶液中で基材表面をワイピングするもしくは水溶液をシャワーリングしながらブラッシングすることにより基材上に付着した汚れを確実に除去する。汚れを除去した後、余分な水酸化ナトリウム分を十分に水で洗い流す。最後にN2などの不活性ガスでブローするなどの方法で水分除去を行う。
シランカップリング剤のコーティングの方法としては、浸漬法(ディッピング法)、スピンコート法、スプレーコート法などの方法が利用できる。特に簡便且つ均一に処理できる浸漬法が好ましい。濃度が0.1〜2.0wt%の水に溶解させたシランカップリング剤水溶液に、洗浄した基材を浸漬し、反応終了後余分なシランカップリング剤を含む溶液を洗い流すことで処理をすることが好ましいが、コーティングの方法は、特に限定されるものではない。
また、基材から余分なシランカップリング剤を除去し、100〜120℃くらいの温度で乾燥させることが好ましい。
本発明に使用されるプローブとしては、タンパク質(複合タンパク質を含む)、核酸、糖鎖(複合糖質を含む)、脂質(複合脂質を含む)等の生体高分子などが含まれる。具体的には、酵素、ホルモン、フェロモン、抗体、抗原、ハプテン、ペプチド、合成ペプチド、DNA、合成DNA、RNA、合成RNA、PNA、合成PNA、ガングリオシド、レクチンなどがあげられる。媒体中に含まれるプローブの量としては、例えば、核酸プローブの場合、プローブ安定性を考慮すると、媒体中には例えば2mer〜500mer、特には2mer〜80merの核酸プローブを、0.05〜500μM、特には0.5〜50μMの濃度となるように調整することが好ましい。
プローブにチオール基を導入する際、例えば、自動合成するDNAをプローブとする場合にはDNA自動合成機での合成時にチオールモディファイア(Thiol−Modifier)(グレンリサーチ(GlenResearch)社製)を用いる事ができる。なお、効率良くチオール基の導入することができれば、特に限定されるものではない。
プローブの付与は、プローブを水性媒体に溶解あるいは分散した水性液を、インクジェット法、ピン法あるいはピン&リング法などにより塩基性基を有する基材にスポットする。
スポッティング方法に関し、上述した方法の中でも特にインクジェット法は高密度で尚且つ正確なスポッティングができることから好適なスポッティング方法である。インクジェット法とは、ごく細いノズルの中にプローブを含む溶媒を入れ、ノズルの先端近くを瞬間的に加圧ないし加熱し、ノズルの先端から正確に極微量のプローブを含む溶媒を飛び出させ、空間を飛翔させて基材面に付着させるというものである。インクジェット法によるスポッティング方法において、プローブ媒体に含まれる成分はプローブ媒体としてインクジェットヘッドから吐出させた時にプローブに対して実質的に影響を与えないものであって、且つインクジェットヘッドを用いて基材上に正常に吐出可能である媒体組成を満たすものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクジェットヘッドが媒体に熱エネルギーを付与して吐出させる機構を備えるバブルジェット(登録商標)ヘッドである場合、グリセリン、チオジグリコール、イソプロピルアルコール、アセチレンアルコールを含む液体はプローブ媒体に含まれる成分として好ましいものである。更に具体的には、グリセリン5〜10wt%、チオジグリコール5〜10wt%、アセチレンアルコール0.5〜1wt%を含む液体がプローブ媒体として好適に用いられる。また、インクジェットヘッドが圧電素子を用いて媒体を吐出させるピエゾジェットヘッドである場合、エチレングリコール、イソプロピルアルコールを含む液体はプローブ媒体に含まれる成分として好ましいものである。更に具体的には、エチレングリコール5〜10wt%、イソプロピルアルコール0.5〜2wt%を含む液体がプローブ媒体として好適に用いられる。
このようにして得られたプローブ媒体をインクジェットヘッドより吐出させ基材上に付着させた時、スポットの形状が円形で、また吐出された範囲が広がることがない。高密度にプローブ媒体をスポッティングした場合にも、隣接するスポットとの連結を有効に抑えることができる。なお、本発明のプローブ媒体の特性は上記のものに限定されるものではない。
また、予めプローブと塩基性基を有するシランカップリング剤を水性媒体に溶解あるいは分散した水性液を、インクジェット法もしくはピン法などの方法により、基材表面に接触させ、基材への塩基性基の導入と、プローブの固定を同時に行っても良い。
さらにスポットのプローブの乾燥を低減するために、プローブが溶解あるいは分散してなる水性液中に、高沸点の物質を添加してもよい。高沸点の物質としては、プローブが溶解あるいは分散してなる水性液に溶解し得るものであって、かつ粘性の大きくない物質であることが好ましい。このような物質としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジグリコール、ジメチルスルホキシドおよび低分子の親水性ポリマーを挙げることができる。親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、パオゲン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、プルラン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。高沸点の物質としては、エチレングリコールまたはジエチレングリコールを用いることがさらに好ましい。高沸点の物質の濃度は、プローブの水性液中、0.1〜10容量%の範囲にあることが好ましい。また、プローブを付与した後の固相担体を、90%以上の湿度および20〜50℃の温度範囲の環境にいてもよい。
スポッティング後、過剰のプローブを洗浄して除去することが好ましい。プローブの種類にもよるが、チオール基を導入した1本鎖DNAプローブを用いた場合1分以内でプローブは固定されるが、10分以上放置した後に除去することが好ましい。
このようにして得られたプローブ固定基材は、標的物質を検出するためのプローブ固定担体として好適である。
ここで、このプローブ固定担体を用いて、例えば、標的物質の検出等を行う場合の検出精度(S/N比)の向上を図ることを目的として、プローブを固相表面に固定した後、基材上のプローブ非結合部分が検体(サンプル)中に含まれる標的物質等と結合しないようにブロッキングを行っても良い。ブロッキングは例えば、基材を1〜2%ウシ血清アルブミン水溶液中に、2時間程度浸すことにより行なわれる。しかし、基材上のプローブ固定部位以外への標識物質の吸着を防ぐ効果からすると、ウシ血清アルブミン水溶液が好適である。なお、このブロッキングの工程は必要に応じて行えば良く、例えば、サンプルのプローブ固定基材への供給を各々のスポットに対して限定的に行い、スポット以外の部位へのサンプルの付着が実質的にない場合には行わなくても良い。スポット以外の部位へのサンプルが付着される場合においては基材となる材料や、シランカップリング剤の種類によって異なる。また、基材がガラス,石英などである場合において、塩基性基を有するシランカップリング剤のような物質とチオール基を有するプローブを含むプローブ媒体をスポッティングする場合にも、ブロッキング操作は必要ない。
この様にして作製するプローブ固定基材はその用途に応じて、例えば、同じプローブを含む複数のスポットを有するように構成しても良く、また異種のプローブを各々含む複数のスポットを有する様に構成してもよい。プローブの種類,数量,配置は必要に応じて適宜変更することが可能である。そして、この様な方法によってプローブが高密度に配置されたプローブ固定基材は、その後標的物質の検出や、標的物質塩基配列の特定等に用いられる。
例えば、サンプル中に含まれている可能性のある、塩基配列が既知の標的物質である一本鎖核酸の検出に用いる場合には、標的物質の一本鎖核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸をプローブとして用い、プローブを含む複数のスポットが固相上に配置されているプローブ固定基材を用意し、プローブ固定基材の各々のスポットに、検知物質を含むサンプルを付与して該標的物質の一本鎖核酸とプローブとがハイブリダイズするような条件下に置いた後、各々のスポットにおけるハイブリッドの有無を、例えば、蛍光、電波、磁力による検出等の既知の方法で検出する。それによって、サンプル中における標的物質の有無の検出を行うことができる。
また、サンプル中に含まれている標的物質の一本鎖核酸における塩基配列の特定に用いる場合には、標的物質の一本鎖核酸における塩基配列の複数の候補を設定し、塩基配列群に対して各々相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸をプローブとして基材上にスポッティングする。次いで、各々のスポットにサンプルを供給して標的物質の一本鎖核酸とプローブとがハイブリダイズするような条件下に置いた後、各々のスポットにおけるハイブリッドの有無を蛍光検出等の既知の方法で検出する。これにより、標的物質である一本鎖核酸の塩基配列の特定を行うことができる。また、本発明に係わるプローブ固定基材の他の用途としては、例えばDNA結合蛋白質が認識する特異的な塩基配列のスクリーニングやDNAに結合する性質を有する化学物質のスクリーニングへの適用が考えられる。
ハイブリダイゼーションは、標識した試料核酸断片が溶解あるいは分散してなる水性液を、上記で作製したDNAチップ上に付与することによって実施することが好ましい。ハイブリダイゼーションは、室温〜70℃の温度範囲で、そして2〜20時間の範囲で実施することが好ましい。このとき、微小反応容器上部に設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータを連続的にパルス加熱し、発生したバブルの膨張、凝縮により反応液を撹拌する。加熱のための方法は、例えば、加熱パルス幅0.5〜3.5μsec、印加電圧6〜15V、加熱パルス周波数1〜10KHzの範囲である。
ハイブリダイゼーション終了後、界面活性剤と緩衝液との混合溶液を用いて洗浄を行い、未反応の試料核酸断片を除去することが好ましい。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いることが好ましい。緩衝液としては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液等を用いることができるが、クエン酸緩衝液を用いることが特に好ましい。
図1は、本発明の方法を実施するためのハイブリ容器の概略図である。上図は平面図、下図は側面図である。ハイブリ容器1は、スライドガラス5(DNAチップ)、スライドガラス5と対向して設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータ6が設けられたカバープレート10、スライドガラス5とカバープレート10との空間を保つためのスペーサー部材であるOリング4、反応容器7への液体の注入口3、排出口2、反応液の温度調節のためのヒータ8、カバープレートを固定するための固定ネジ9より構成され、その範囲は、約20mm×60mm、その厚みは約0.12mmであり、容量は約150μlである。
反応容器7に所定量(150μl)反応液が注入口3から注入される。少なくとも1つ以上の微小ヒータ6は、図1で示すように、カバープレート10の全面にわたり配置されている。反応液注入後、少なくとも1つ以上の微小ヒータ6を順次加熱することで、微小ヒータ6上で順次バブルを発生させ膨張させた後、少なくとも1つ以上の微小ヒータ6を順次加熱を停止し、微小ヒータ6上で膨張したバブルが凝縮することで、反応液体が移動(流動)する。この反応液の移動に伴って反応液が撹拌される。
この状態を図2に示す。図2では、微小ヒータ6 1)を加熱することで発生したバブルが膨張している状態、微小ヒータ6 2)、3)では加熱していないためバブルが凝縮している状態を示し、バブルの膨張、凝縮によって反応液は左から右に移動(流動)する。
図2では、微小ヒータ6を順次加熱し、一方向の液体の移動(流動)を起こし反応液を撹拌したが、例えば、微小ヒータ6をあるエリア毎に複数同時加熱をしたり、または、隣接しあう微小ヒータ6を交互に加熱するなどして、バブルを発生させ、その膨張、凝縮によって、反応液体を移動(流動)することで、撹拌することもできる。
バブルの膨張、凝縮による反応液の撹拌中、反応液の温度は、反応に適した温度にヒータ8を用いて調節することができる。反応液の温度は、ハイブリダイゼーションの場合、例えば、常温〜90℃である。また、反応時間は、反応の種類に応じて適宜決定できる。但し、本発明の方法によれば、微小量の反応液であってもより効率よく撹拌できるので、反応時間を短縮することができる。
反応終了後、反応液は、排出口2から排出され、反応容器7内は適宜洗浄および乾燥され、ヒータ8により一定温度に保たれる。スライドガラス5が、プローブ担体である場合、スライドガラス5は回収され、ハイブリダイゼーションの検出操作(例えば、ハイブリダイズしたDNAの検出のための蛍光分析等)が行われる。
上記図1には、1つの反応容器を示したが、本発明の方法に使用する容器は、少なくとも1つ以上の反応容器と反応容器に反応液、洗浄液を供給または回収するためのユニット(廃液タンク、洗浄液タンク、液送パイプおよびポンプ等)を備えた複合装置とすることもできる。
以下に、本発明をより詳細に説明する。かかる実施例はここに例示するものに限られるものではない。
(1)プローブの合成
標的物質に対して特異的に結合可能なプローブとして一本鎖DNAプローブを用いた。DNA自動合成機を用いて配列番号1の一本鎖核酸を合成した。なお配列番号1の一本鎖DNA末端にはDNA自動合成機での合成時に、5’末端側にメルカプト(SH)基を導入した。続いて脱保護を行ない、DNAを回収し、高速液体クロマトグラフィーにて精製し、以下の実験に用いた。
配列番号:1 5' ACTGGCCGTCGTTTTACA 3'
(2)担体の準備
特許文献4の(0087)実施例1〜(0088)に記載してある方法と同様な方法で、担体6枚の担体表面にマレイミド基を導入した。
(3)BJプリンターによるプローブの吐出、および担体への結合
プローブのスポッティングに用いるスポッティング溶液として、グリセリン7.5質量%、尿素7.5質量%、チオジグリコール7.5質量%、及びアセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1質量%を含む水溶液を用意し、上記(1)の一本鎖DNAを含む溶液(一本鎖DNA濃度が約400mg/mlであるTE溶液(10mM Tris−HCl(pH8)/1mM EDTA水溶液))に加え、一本鎖DNAの最終濃度が8μMとなるように調整した。このプローブを含むスポッティング溶液の表面張力は20〜50dyne/cmの範囲内であり、また粘度は1.2〜2.0cps(E型粘度計:東京計器(株)社製)である。
上記のプローブを含むスポッティング溶液をバブルジェット(登録商標)プリンター(商品名:BJF850;キヤノン(株)社製)用インクタンクに充填しバブルジェット(登録商標)ヘッドに装着した。なおここで用いたバブルジェット(登録商標)プリンター(商品名:BJF850;キヤノン(株)社製)は平板への印刷が可能な様に改造を施したものである。次いでこのプリンターに上記(2)で用意した担体を装着し、プローブを含むスポッティング溶液を担体上にスポッティングしてプローブ担体を作製した。ここでバブルジェット(登録商標)ヘッドの液体吐出面と担体の液体付着面との距離は1.2〜1.5mmであった。スポッティング終了後、担体を顕微鏡により観察したところ、担体表面にマトリックス状のスポット配列が形成されていることが確認された。マレイミド基とチオール基の反応終了後、プローブ担体を1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、プローブ担体表面のプローブを含む液体を完全に洗い流した。作製したプローブ担体6枚は、そのまま1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)中に浸漬させた状態で保管した。
(4)ブロッキング処理
上記(3)で作製したプローブ担体6枚を2%ウシ血清アルブミン水溶液中に浸して2時間放置し、ブロッキング処理を行った。
(5)ハイブリダイゼーション処理
上記(1)に記載の配列番号1の一本鎖DNAプローブと相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAプローブをDNA自動合成機で合成し、5’末端にローダミンを結合させて標識化した一本鎖DNAプローブを得た。この標識化一本鎖DNAを1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に最終濃度1μMとなるように溶解し、ハイブリダイゼーション反応溶液を作製した。
上記(4)のブロッキング処理終了後のプローブ担体6枚を用意し、プローブ担体6枚を微小反応容器に入れ、ヒータ(ペルチェ素子)の上に設置した。
合計6つの微小反応容器は、ハイブリダイゼーション反応溶液を満たして、ヒータ(ペルチェ素子)の温度を45度に保ち、2時間ハイブリダイゼーションの反応を行った。実施例(撹拌あり)では、微小反応容器3つの微小反応容器上部に設置した微小ヒータを連続的にパルス加熱し、発生したバブルの膨張、凝縮によりハイブリダイゼーション反応溶液を移動(流動)させ反応溶液を撹拌した。比較例(撹拌なし)は、残りの微小反応容器3つの微小ヒータの加熱を行わない以外は、実施例と同様に行った。
ハイブリダイゼーション反応の終了後、1M NaCl/50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、ハイブリダイゼーション反応しなかった標識化一本鎖DNAを洗い流した。ついで、純水で余分な塩分を除去した後、窒素ブローにより各担体を乾燥させた。次に各担体上のスポットの蛍光を、蛍光スキャナ(商品名:GenePix4000B;Axon Instruments,Inc.製)を用いて蛍光強度を評価した。評価するにあたり、レーザーパワーを100%に設定し、PMTを400Vに設定した。
(6)結果
上記(5)での蛍光スキャナ評価結果を解析し、比較例(撹拌なし)の各担体3枚の蛍光強度を平均したところ、プローブ担体上の配列番号1のプローブと完全マッチでハイブリダイゼーション反応をした、標識化一本鎖DNAプローブの532nmでの蛍光強度は8320であった。また、プローブの存在しないプローブ担体の部分の蛍光強度は81であり、S/Nは約100であった。
一方、実施例(撹拌あり)の各担体3枚の蛍光強度を平均したところ、プローブ担体上の配列番号1のプローブと完全マッチでハイブリダイゼーション反応をした、標識化一本鎖DNAプローブの532nmでの蛍光強度は16120であった。また、プローブの存在しないプローブ担体の部分の蛍光強度は82であり、S/Nは約200であった。さらに、各プローブの蛍光強度ばらつき(標準偏差)が比較例(撹拌なし)に比べ、30%程度小さくなった。
本発明を実施するためのハイブリ容器。 本発明の方法における微小ヒータより発生したバブルの膨張、凝縮による撹拌の想像図。
符号の説明
1 ハイブリ容器
2 排出口
3 注入口
4 Oリング
5 スライドガラス
6 微小ヒータ
7 反応容器
8 ヒータ(温調用)
9 固定ネジ

Claims (11)

  1. 微小反応容器中に設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータを加熱し、発生したバブルの膨張、凝縮により反応液を攪拌することを特徴とするハイブリダイゼーション反応方法。
  2. バブルの膨張、凝縮の変動は、微小反応容器の内部に設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータを順次もしくはランダムに加熱することにより行う請求項1に記載の方法。
  3. バブルの膨張、凝縮の変動は、微小反応容器の内部に設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータを同時に加熱することにより行う請求項1に記載の方法。
  4. バブルの膨張、凝縮の変動は、微小反応容器の内部に設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータの加熱時間を変化させることにより行う請求項1に記載の方法。
  5. バブルの膨張、凝縮の変動は、微小反応容器の内部に設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータの印加電圧を変化させることにより行う請求項1に記載の方法。
  6. バブルの膨張、凝縮の変動は、微小反応容器の内部に設けられた少なくとも1つ以上の微小ヒータの加熱周波数を変化させることにより行う請求項1に記載の方法。
  7. 微小反応容器は、請求項1〜6に記載の微小ヒータが上面に複数設けられていることを特徴とするプローブ担体のハイブリダイゼーション容器。
  8. 前記微小ヒータは、厚さ0.1〜1μmの範囲であることを特徴とする請求項7に記載のハイブリダイゼーション容器。
  9. 前記微小ヒータの大きさは、15μm×15μm〜50μm×50μmの範囲であることを特徴とする請求項7または8に記載のハイブリダイゼーション容器。
  10. 前記微小ヒータが微小反応容器の内部に、3×104〜3×105個/cm2の範囲で配置されていることを特徴とする請求項7〜9に記載のハイブリダイゼーション容器。
  11. 微小反応容器の内部の厚みが、5〜100μmの範囲である請求項7〜10記載のハイブリダイゼーション容器。
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