JP2006052328A - 高減衰ゴム組成物及びそれを用いた免震構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ゴム組成物の剛性を維持しつつ高減衰性を付与し、かつ高剛性でありながら破壊強度や加工性に優れた高減衰ゴム組成物を提供する。
【解決手段】 免震構造体1に用いられる高減衰ゴム2が、ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜170m2/gであるカーボンブラック40〜95重量部と、樹脂5〜50重量部とを含み、前記樹脂配合量の10重量%以上が、窒素及び硫黄の少なくとも一方を環構成成分に含む2〜3環の多環ヘテロ芳香族成分を60重量%以上含む芳香族オリゴマーからなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 免震構造体1に用いられる高減衰ゴム2が、ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜170m2/gであるカーボンブラック40〜95重量部と、樹脂5〜50重量部とを含み、前記樹脂配合量の10重量%以上が、窒素及び硫黄の少なくとも一方を環構成成分に含む2〜3環の多環ヘテロ芳香族成分を60重量%以上含む芳香族オリゴマーからなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高減衰ゴム組成物に関し、減衰性能及び破壊強度に優れるとともに、高剛性でありながら加工性を良好にすることのできる高減衰ゴム組成物、及びそれを用いた免震構造体に関する。
建築物の基礎免震、橋梁や高架道路などの構造物の支承には、ゴム組成物と鋼板等の硬質板とを交互に積層した免震構造体が用いられている。この免震構造体は、上下方向には高い剛性、せん断方向には低い剛性を有する弾性構造体であり、地震の振動数に対して建築物の固有振動数を低減することにより、振動の入力加速度を減少し、建築物あるいはその中の人、設備などに対する被害を最小限にするものである。
このような用途の高減衰ゴム組成物としては、ジエン系ゴムをゴム成分とし、高減衰性を付与するために微粒子カーボンブラックと石油樹脂とを多量に配合することが行われている(特許文献1,2)。
また、樹脂、ゴム等に配合されて、塗料、建材、電気部品、自動車部品等の分野で粘着付与剤や制振性付与剤として使用できる芳香族オリゴマーが下記文献に記載されている(特許文献3)。
特開平10−110064号公報
特開平10−176083号公報
特開2003−55423号公報
しかし、従来技術による高減衰ゴム組成物は、カーボンブラックの多量配合によりゴムの剛性を向上させ高減衰性を付与することはできるが、ゴム粘度の上昇により未加硫ゴムの混練や押出等の精練工程に悪影響し加工性を低下させるとともに、ゴム硬度の上昇による破壊強度や破断伸びを低下させるという問題がある。
また、ゴム組成物の減衰性を向上し、加工性を改善するためにカーボンブラックと共に配合される石油樹脂を増量すると、その軟化効果により剛性(弾性率)が確保できなくなる。そこで、軟化作用の少ないフェノール系などの樹脂を配合して剛性を維持することが試みられるが、このような樹脂は剛性を維持することはできるが減衰付与性能が低いことからゴム組成物の減衰性低下を避けられないのが実状である。
そこで、本発明は、特定の樹脂成分を用いることで、従来の樹脂による軟化作用を抑制してゴム組成物の剛性を維持しつつ高減衰性を付与し、かつ高剛性でありながら破壊強度や加工性に優れた高減衰ゴム組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、特定の芳香族オリゴマーを樹脂成分として微粒子カーボンブラックと共に配合することで、上記従来の樹脂の配合による軟化効果を抑制しながら高減衰性を維持することを見出し本発明の完成に到った。
すなわち、本発明の高減衰ゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜170m2/gであるカーボンブラック40〜95重量部と、樹脂5〜50重量部とを含み、前記樹脂配合量の10重量%以上が、窒素及び硫黄の少なくとも一方を環構成成分に含む2〜3環の多環ヘテロ芳香族成分を60重量%以上含む芳香族オリゴマーからなることを特徴とする。
本発明においては、前記芳香族オリゴマーの重量平均分子量が300〜2000であることが好ましい。
本発明の高減衰ゴム組成物によると、CTABが100〜170m2/gである微粒子カーボンブラックがゴム組成物の剛性(弾性率)を向上し高減衰性をゴム組成物に付与するものとなり、樹脂配合量の10重量%以上を窒素及び硫黄の少なくとも一方を環構成成分に含む2〜3環の多環ヘテロ芳香族成分を60重量%以上含む芳香族オリゴマーとすることで、樹脂成分が適度な軟化作用を発現し、樹脂の添加によるゴム組成物の剛性や減衰性を低下させることなく、破壊強度と加工性を確保することができる。
すなわち、上記芳香族オリゴマーの配合、又は石油樹脂やフェノール系樹脂などの他の樹脂と併用することで、減衰性付与性能を維持した上で石油樹脂とフェノール系樹脂との中間的な軟化特性を有するようになり、オリゴマーの配合量によりゴム組成物の過度の軟化を抑制して剛性や減衰性、強度を維持し、かつカーボンブラックの多量配合による加工性を改善することができる。
そして、前記高減衰ゴム組成物を用いてなる免震構造体では、高減衰ゴムにより地震などの振動エネルギーを吸収減衰し、その振動減衰効果を長期間安定して継続する耐久性に優れたものとなる。
本発明の高減衰ゴム組成物は、ゴム組成物の剛性や高減衰性を維持し、かつ破壊強度や加工性に優れるものとなり、各種の免震、防震、除震等の振動エネルギーの吸収効果に優れる免震構造体に好適に使用してすることができる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の高減衰ゴム組成物は、ジエン系ゴム成分に特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックと樹脂成分として特定の芳香族オリゴマーを含有するものである。
本発明の高減衰ゴム組成物に使用されるゴム成分は、ジエン系ゴムを主成分とする。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、各種のスチレンブタジエンゴム(SBR)、各種のブタジエンゴム(BR)、シンジオタクチック−1,2ポリブタジエンで変性したシス−1,4ブタジエンゴム(VCR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などを挙げることができ、その単独又は任意の2種以上を併用し使用することができる。
なかでも、機械的強度特性、減衰性、加工性等のバランスの観点から、NRやIRの天然ゴム系ゴム成分が好適であり、NR及び/又はIRを主成分としてBRやVCRを配合し減衰性や低温特性の向上を図ったものでもよい。
本発明に使用されるカーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜170m2/gであり、その配合量が前記ジエン系ゴム成分100重量部に対し40〜95重量部である。
このカーボンブラックのCTABが100〜170m2/gである微粒子カーボンブラックは、ゴム組成物を高剛性(高弾性)にし、かつ減衰性に優れたものとすることができる。カーボンブラックのCTABが100m2/g未満であると、粒径が大きくなり良好な減衰性能が得られず、また170m2/gを越えると分散性が悪化し、未加硫ゴムのムーニー粘度も上昇し混練性や押出性などの加工性を悪化させ、ゴム硬度も高くなってゴム特性が低下し、この上限を越えると減衰性能と加工性やゴム特性との両立が困難になる。なお、CTABは、ASTM D3765 に準拠する測定値である。
また、カーボンブラックの配合量がジエン系ゴム成分100重量部に対して40重量部未満では所望の減衰性能が得難くなり、95重量部を越えるとカーボンブラックの分散性が悪化し強度や伸びなどのゴム特性が低下し、加工性の低下も大きくなり好ましくない。もちろん、本発明においては、上記CTAB限定のカーボンブラック以外のカーボンブラックを併用してもよい。
本発明の高減衰ゴム組成物においては、ジエン系ゴム成分100重量部に対して樹脂が5〜50重量部配合され、この樹脂配合量の10重量%以上を2〜3環の多環ヘテロ芳香族成分を60重量%以上含む芳香族オリゴマーが配合される。
この芳香族オリゴマーは樹脂としての減衰性付与性能を他の石油樹脂などと同等に有しながら軟化効果を適度に抑制することができ、高剛性配合系でのカーボンブラック配合量を抑制し、高剛性でありながら加工性を向上することができる。
特に、上記芳香族オリゴマーの多環ヘテロ芳香族成分は、環構成成分として窒素及び硫黄の少なくとも一方を含むことが好ましく、ゴム成分やカーボンブラックとの相溶性を良好にして減衰性付与性能を発揮することができる。
上記多環ヘテロ芳香族成分は、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン等の2環の芳香族成分やアセナフテン、フルオレン、アントラセン等の3環の芳香族成分、またベンゾチオフェン、メチルベンゾチオフェン等の2〜3環の複素環芳香族成分の環構成炭素原子に置換して窒素や硫黄を含むものであればよく、その非炭素原子数や置換される位置は特に制限されない。
芳香族オリゴマーに含まれる上記多環ヘテロ芳香族成分以外の成分は、芳香族炭化水素を成分とする、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン等の2環の芳香族成分、アセナフテン、フルオレン、アントラセン等の3環の芳香族成分、またベンゾチオフェン、メチルベンゾチオフェン等の2〜3環の複素環芳香族成分が挙げられ、その置換基がメチル基などのアルキル基、ニトロソ基などで置換されたものでもよく、それらの混合物であってもよい。
本発明に用いられる芳香族オリゴマーは、多環ヘテロ芳香族成分とそれ以外の芳香族成分の混合物を、硫酸、リン酸等の無機酸やしゅう酸等の有機酸などを触媒として反応させる公知の方法により得られ、また、上記多環ヘテロ芳香族成分とそれ以外の芳香族成分とをフェノール、アルキルフェノールなどのフェノール類と、或いはホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド類とを上記酸触媒を触媒として反応させて得られるものでもよく、多環ヘテロ芳香族成分がオリゴマー中に60重量%以上を含有するものであればよい。この含有率が60重量%未満になると、減衰性付与性能が低下してしまう。
また、芳香族オリゴマーの重量平均分子量は、300〜2000の範囲にあることが好ましく、分子量が2000を越えると上記適度な軟化作用が現れ難くなり好ましくない。
この芳香族オリゴマーの重量平均分子量は、2〜3環の芳香族化合物の種類や混合比率、フェノール類やホルムアルデヒド類との重量比、触媒の種類、反応条件(温度、時間、反応後の蒸留など)等により調整することができる。
このような多環ヘテロ芳香族成分を含む芳香族オリゴマーの軟化作用は、従来の石油樹脂とフェノール系樹脂との中間的な特性を示すものとなり、この芳香族オリゴマーを単独で用いることができ、他の樹脂と共に配合使用してもよい。
他の樹脂と併用する場合は、芳香族オリゴマーを樹脂配合量の10重量%以上配合することで、他の石油樹脂やフェノール系樹脂などを含むトータルでの樹脂特性が調整され、すなわち樹脂の軟化作用を石油系樹脂より低く、フェノール系樹脂より高くして、両者のメリットを活かした適正な軟化作用を得ることができる。
これにより、カーボンブラック配合の高剛性と減衰性能を確保しながら破壊強度や加工性を向上することができ、カーボンブラック量を抑制することも可能となる。芳香族オリゴマーの配合量が10重量%未満では芳香族オリゴマーを用いた効果が十分に得られず、ゴム組成物の特性をバランスさせることが困難となる。
この芳香族オリゴマーを含めた全樹脂の配合量はゴム成分100重量部に対し5〜50重量部であり、樹脂の配合量が5重量部未満では樹脂による減衰性向上の効果が得られないだけでなく加工性が悪化しゴム混練や加工工程に問題を生じ、50重量部を越えると未加硫ゴムの粘度の低下が大きくなってゴムの混練工程が困難となり、またゴム組成物の粘着が過大となりロール粘着等の作業性悪化、さらに加硫ゴムのクリープ性も大きくなり減衰性や耐久性が低下する。
なお、本発明に使用される芳香族オリゴマー以外の樹脂としては、オレフィン、ジオレフィンなどのC5系、C9系の石油留分を重合し樹脂化した石油樹脂、クマロン−インデン樹脂やクマロン樹脂/ナフテン系油/フェノール樹脂/ロジンの混合品のようなクマロン樹脂系樹脂、フェノール−アセチレン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂などのフェノール−テルペン系樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族−芳香族系石油樹脂などの石油系炭化水素樹脂が挙げられ、その単独或いは任意の2種以上を用いることができる。
本発明の高減衰ゴム組成物には、前記ゴム成分、カーボンブラック、熱硬化性樹脂及び樹脂の他に、必要に応じて通常にゴム工業で使用されている硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、シリカ、シランカップリング剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、オイル等の軟化剤、ワックス、各種充填剤、可塑剤、各種樹脂類などの配合剤を通常の配合量の範囲で適宜配合することができる。
本発明の高減衰ゴム組成物は、上記成分をバンバリーミキサーやニーダーなどのゴム工業で通常使用されるゴム用混合機を用いて混合することにより得られる。
本発明の免震構造体は、前記高減衰ゴム組成物からなるゴム部材と鋼板などの硬質板とからなる構造体である。
この免震構造体としては、図1に示すような高減衰ゴム層2と硬質板3とを交互に積層して接着し、上下面にフランジ4、4’を備えた免震構造体1が例示され、その内部構造、形状、大きさなどは制限されず、形状は円柱状の他に四角柱状、多角柱状、楕円柱状など用途により選択でき、また前記硬質板やフランジは冷間圧延鋼板や各種金属板、セラミック材、FRPなどの強化プラスチック材などの各種材質のものが用いられる。
前記免震構造体の製造方法は、高減衰ゴムを成形、加硫して得たシート状のゴム部材と硬質板やフランジとを積層し接着剤により接着する方法、またはシート状に成形した未加硫の高減衰ゴムと硬質板やフランジと積層し加硫接着し製造することができる。
この免震構造体はビルや戸建て建築物などの基礎免震、橋梁や道路の支承などの免震、除振、防振などの振動エネルギーの吸収に安定した効果を有し、好適に使用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。
表1に示す各実施例、比較例について、天然ゴム(NR、RSS#3相当)100重量部に対して、CTABを限定したカーボンブラック、多環ヘテロ芳香族成分を含む芳香族オリゴマー、従来のフェノール系樹脂、石油樹脂(A)(B)、及び可塑剤(プロセスオイル)を表1に記載の配合量(重量部)で配合し、下記の共通配合成分(重量部)と共に通常の密閉式バンバリーミキサーを用いて混練し各ゴム組成物を調整した。
[カーボンブラック、樹脂及び可塑剤]
・カーボンブラック:CTAB=135m2/g
・芳香族オリゴマー:ナフタレン含量80%、重量平均分子量1500のオリゴマー
・フェノール系樹脂:住友ベークライト(株)製、PR12686R
・石油樹脂(A):東邦化学工業(株)製、ハイレジン#130
・石油樹脂(B):東邦化学工業(株)製、ハイレジン#90
・カーボンブラック:CTAB=135m2/g
・芳香族オリゴマー:ナフタレン含量80%、重量平均分子量1500のオリゴマー
・フェノール系樹脂:住友ベークライト(株)製、PR12686R
・石油樹脂(A):東邦化学工業(株)製、ハイレジン#130
・石油樹脂(B):東邦化学工業(株)製、ハイレジン#90
[共通配合成分と配合量]
・亜鉛華:3重量部(3号亜鉛華)
・ステアリン酸:2重量部(工業用ステアリン酸)
・老化防止剤:3重量部(フレキシス(株)製、サントフレックス13)
・可塑剤:2重量部(アロマ系プロセスオイル)
・硫黄:2重量部(5%油処理粉末硫黄)
・加硫促進剤:1.2重量部(大内新興化学工業(株)製、ノクセラーCZ)
・亜鉛華:3重量部(3号亜鉛華)
・ステアリン酸:2重量部(工業用ステアリン酸)
・老化防止剤:3重量部(フレキシス(株)製、サントフレックス13)
・可塑剤:2重量部(アロマ系プロセスオイル)
・硫黄:2重量部(5%油処理粉末硫黄)
・加硫促進剤:1.2重量部(大内新興化学工業(株)製、ノクセラーCZ)
得られた各ゴム組成物について、加工性、基本物性(引張強さ、破断時伸び)、及び免震特性を下記方法に従って評価を行い、その結果を表1に示した。なお、実施例1はカーボンブラックを50重量部配合し樹脂を変更しその効果を比較したもの、実施例2,3はカーボンブラックを90重量部配合し石油樹脂を併用したものである。
[加工性]
各高減衰ゴム組成物のムーニー粘度(ML(1+4)、温度100℃)を、JIS K6300に従い測定し、加工性の指標とした。数値が小さいほど加工性が良い。
各高減衰ゴム組成物のムーニー粘度(ML(1+4)、温度100℃)を、JIS K6300に従い測定し、加工性の指標とした。数値が小さいほど加工性が良い。
[引張強さ、破断伸び]
各高減衰ゴム組成物の引張強さ(TB)、及び破断伸び(EB)をJIS K6251に従い(3号形ダンベル使用)測定した。数値が大きいほど良い。
各高減衰ゴム組成物の引張強さ(TB)、及び破断伸び(EB)をJIS K6251に従い(3号形ダンベル使用)測定した。数値が大きいほど良い。
[免震特性]
図2に示す「2ブロック・ラップ・シェア型」試験体(ゴム部:幅25mm、長さ25mm、厚み5mm)を各ゴム組成物を用いて加硫作製し、油圧式振動試験機を用いて周波数0.5Hzで、下記3シリーズの歪み条件でせん断加振を与え、図3に示すような応力−歪み曲線を得、せん断弾性係数(Geq)と振動吸収特性(Heq)を求めた。測定温度は20℃とした。
図2に示す「2ブロック・ラップ・シェア型」試験体(ゴム部:幅25mm、長さ25mm、厚み5mm)を各ゴム組成物を用いて加硫作製し、油圧式振動試験機を用いて周波数0.5Hzで、下記3シリーズの歪み条件でせん断加振を与え、図3に示すような応力−歪み曲線を得、せん断弾性係数(Geq)と振動吸収特性(Heq)を求めた。測定温度は20℃とした。
歪み加振条件
第1シリーズ:歪み100%で10回加振する。
第2シリーズ:歪み200%で10回加振する。
第3シリーズ:歪み100%で2回加振する。
第1シリーズ:歪み100%で10回加振する。
第2シリーズ:歪み200%で10回加振する。
第3シリーズ:歪み100%で2回加振する。
第1シリーズにおける加振10回目と第3シリーズにおける加振2回目について、図3に示す応力−歪み曲線からGeqとHeqをそれぞれ下記式(1)、(2)から算出し、その平均値をそのゴム組成物のGeq及びHeqとし、表1に示す。Geqは剛性の指標であり任意の値に設定され、Heqは減衰性の指標であり大きいほど良好である。
Geq(Kgf/cm2)=F/2 …(1)
Heq(%)=(ΔW/(W1+W2))×1/2π×100 …(2)
ここで、ΔWは図3における応力−歪み曲線のループ内の面積であり、W1,W2はそれぞれ図3における三角形領域の面積である。
Heq(%)=(ΔW/(W1+W2))×1/2π×100 …(2)
ここで、ΔWは図3における応力−歪み曲線のループ内の面積であり、W1,W2はそれぞれ図3における三角形領域の面積である。
表1の結果より、樹脂を含まない比較例1に対して、石油樹脂(A)を配合した比較例2はムーニー粘度を下げて加工性を改善し減衰性能(Heq)を向上するが、ゴム組成物を過剰に軟化し剛性(Geq)を大幅に低下させてしまう。軟化作用が石油樹脂(A)より小さい石油樹脂(B)を配合した比較例3は剛性や減衰性をある程度向上若しくは維持するが加工性の改善が満足できず、また、軟化作用の小さいフェノール樹脂を配合した比較例4は加工性を比較例1より幾分向上するが、物性、減衰性が低下傾向を示して性能のバランスに欠け、従来の樹脂を用いたものはいずれも性能のバランスに満足できない。これに対して、芳香族オリゴマーを配合した実施例1は、剛性、減衰性能を維持して、破壊強度や加工性をバランスさせることが分かる。
また、カーボンブラック配合量を90重量部とし、芳香族オリゴマーと石油樹脂を併用した実施例2,3では、破壊強度や加工性を維持して、任意の剛性値を得ながら減衰性を向上し、カーボンブラックの減量を可能とする。
以上説明したように、本発明による高減衰ゴム組成物は、優れた免震性能を具えつつ未加硫ゴムの粘度上昇を抑えて加工性を維持し工程安定性を良好に維持するものとなり、ビル等の建築構造物、橋梁や道路の支承など各種の免震構造体に好適に使用することができる。
1……免震構造体
2……高減衰ゴム
3……硬質板
4,4’……フランジ
2……高減衰ゴム
3……硬質板
4,4’……フランジ
Claims (3)
- ジエン系ゴムからなるゴム成分100重量部に対し、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着比表面積(CTAB)が100〜170m2/gであるカーボンブラック40〜95重量部と、樹脂5〜50重量部とを含み、
前記樹脂配合量の10重量%以上が、窒素及び硫黄の少なくとも一方を環構成成分に含む2〜3環の多環ヘテロ芳香族成分を60重量%以上含む芳香族オリゴマーからなる
ことを特徴とする高減衰ゴム組成物。 - 前記芳香族オリゴマーの重量平均分子量が300〜2000である
ことを特徴とする請求項1に記載の高減衰ゴム組成物。 - 請求項1又は2に記載の高減衰ゴム組成物を用いてなる
ことを特徴とする免震構造体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009127688A (ja) * | 2007-11-21 | 2009-06-11 | Bridgestone Corp | 気体除去方法、積層支持体の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20071106 |