JP2006052150A - 抗酸化剤 - Google Patents

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修平 山口
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Abstract

【課題】 医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等の分野で有用なジヒドロフェルロイルアミド類を含む抗酸化剤あるいはチロシナーゼ活性阻害剤を提供する。
【解決手段】 本発明は、下記一般式(A)で表わされる化合物を含有することを特徴とする抗酸化剤あるいはチロシナーゼ活性阻害剤である。
【化1】
Figure 2006052150

Description

本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等の分野において好適に使用できる抗酸化剤あるいはチロシナーゼ活性阻害剤に関する。
近年、活性酸素やフリーラジカルが、様々な疾病を引き起こすことが明らかになってきている。元来活性酸素は生体の免疫機構の中で生成し、外部から侵入した病原菌などを攻撃する働きをもっている。しかし活性酸素が過剰に生成し残存してしまうと、生体内の構成成分、すなわち脂質、タンパク質、DNAなどと反応し悪影響を及ぼす。なかでも生体膜等の構成成分である不飽和脂肪酸は酸化され易く、フリーラジカル中間体を経て過酸化脂質を生成する。この過酸化脂質は、動脈硬化、高血圧症、肝機能障害などを誘起することが知られており、老化現象にも密接に関係しているとも言われている。最近では腋臭の原因としても不飽和脂肪酸の酸化分解物が挙げられている(例えば、非特許文献1参照)。また、酸化を受け易い不飽和脂肪酸を含む食品、医薬品、化粧品等は保存中の品質低下が起こり易いという問題もあった。
かかる不飽和脂肪酸等の酸化を防止するためには、抗酸化剤を使用する必要がある。抗酸化剤としては多数の化合物が知られており、具体的にはブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール類、アスコルビン酸及びその誘導体、ユビキノン及びその誘導体、フラボン誘導体、没食子酸誘導体、並びにポリフェノール類が挙げられる(例えば、非特許文献2および非特許文献3参照)。しかしながら、上記BHT、BHA等の合成化学物質は、人体への安全性に欠け使用に制約があり、他の天然の抗酸化物質は性能的に劣っていたり、入手が困難であるという問題があった。
一方、しみ、そばかすは紫外線の暴露などに起因して表皮色素細胞内でメラニン色素が形成され、表皮に対して色素沈着することにより発生する。メラニン色素は、アミノ酸の一種であるL−チロシンが酸化酵素であるチロシナーゼの作用によりL−ドーパ、L−ドーパキノンへと代謝され、さらに各種の過程を経ることにより合成される(例えば非特許文献4および非特許文献5参照)。したがって、しみ、そばかすなどの色素沈着を防止するには、メラニン色素の合成に重要な役割を果たしているチロシナーゼの活性を阻害することが重要である。
これまで、しみ、そばかすなどの予防・改善には、胎盤抽出物、ビタミンC及びその誘導体、コウジ酸、アルブチンなどの薬剤が使用されているが、必ずしも充分な効果は得られていない。また、欧米では、ハイドロキノンが色素斑の脱色を目的に用いられているが、安全性の点で問題があるために使用制限がなされている。さらに最近、コウジ酸にも発ガン性がある可能性が指摘されて問題となっている。
大麦中に存在する化合物としてN−フェルロイルグリシンが知られており、この化合物の関連酵素であるN−フェルロイルグリシンアミドヒドロラーゼの研究に際して、N−ジヒドロフェルロイルグリシンが合成されている。しかし、合成されたN−ジヒドロフェルロイルグリシンは、前記関連酵素の基質特異性研究の比較対照として使用されたのみで、抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性に関する事項は記載されていない(非特許文献6参照)。
N−ジヒドロフェルロイルグリシンに構造が類似した化合物であるカフェ酸アミド誘導体に、抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有することが知られている(特許文献1参照)。しかし、カフェ酸アミド誘導体はアミド基とフェニル基との間が炭素−炭素二重結合であり、アミド基とフェニル基との間が飽和炭化水素で結ばれているN−ジヒドロフェルロイルグリシンとは構造上の特徴が異なる。
また、N−フェルロイルグリシン類の赤外線吸収スペクトルの研究に際して、N−ジヒドロフェルロイルグリシンが合成されているが、該化合物の抗酸化活性やチロシナーゼ阻害活性に関する報告はない(非特許文献7参照)。
特開2003−192522号公報(特許請求の範囲) 飯田悟、外7名、「体臭発生機構の解析と対処」、第51回SCCJ研究討論会講演要旨集、2002年、p.64−67 福沢健治、「フリーラジカル防御の薬理学と薬物開発の展望」、日本臨床、1988年10月、46巻、10号、p.2269−2276 Sies, H、外2名、「Antioxidant Functions of Vitamins」、Annals New York Academy of Sciences、1992年、669巻、p.7−20 「ファインケミカル誌」特集 美白剤の開発と製品展開、シーエムシー出版編集・発行、1999年3月15日号 「フレグランス ジャーナル誌」特集 最近の美白剤の研究開発動向、フレグランスジャーナル社編集・発行、1997年9月号 Martens,M、外5名、Phytochemistry、27巻、8号、p.2465−2475 Ali,H、外1名、J.Pharm.、4巻、p.19−25
本発明の目的は、上述のような状況をふまえ、優れた抗酸化剤、あるいはチロシナーゼ活性阻害剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、N−フェルロイルグリシン等のジヒドロフェルロイルアミド化合物が、優れた抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(A)で表わされる化合物を含有することを特徴とする抗酸化剤、及び一般式(A)で表わされる化合物を含有することを特徴とするチロシナーゼ活性阻害剤である。
Figure 2006052150
本発明において、優れた抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有することが見出されたジヒドロフェルロイルアミド化合物は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等の分野において、抗酸化剤あるいはチロシナーゼ活性阻害剤として使用される。
○一般式(A)で表わされる化合物
一般式(A)において、R1は水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ステアリル基などの直鎖の飽和炭化水素基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基などの分枝構造を有する飽和炭化水素基、メタリル基、ベンジル基、ゲラニル基、オレイル基などの不飽和結合を有する炭化水素基が例示され、原料の入手容易なメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ベンジル基が好適である。
一般式(A)で表わされる化合物は、たとえば、下記式(1)で表わされるジヒドロフェルラ酸(以下、単に化合物1ともいう。その他の式で表わされる後記の化合物についても同様に略記する場合もある。)と、下記一般式(B)で表わされる化合物を縮合させることにより合成することができる。縮合反応は、脱水縮合剤を用いる方法や、化合物1を活性エステル化合物に変換した後化合物Bと反応させる方法など、常法に従って実施することができる。
Figure 2006052150
Figure 2006052150
一般式(B)で表わされる化合物としては、ω−位にアミノ基を有するカルボン酸(塩)及び炭素数1〜18の炭化水素基を有するエステルが挙げられ、より具体的には、グリシン(n=1)、β−アミノプロピオン酸(n=2)、γ−アミノ酪酸(n=3)、6−アミノカプロン酸(n=5)、ω−アミノヘプタン酸(n=6)、ω−アミノノナン酸(n=8)、ω−アミノウンデカン酸(n=10)等のω−アミノカルボン酸が例示できる。これらのω−アミノカルボン酸は市販のものを使用することができる。
ω−アミノカルボン酸塩としては、カルボキシル基がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等や、あるいはω−アミノ基が、塩酸、リン酸、硫酸、クエン酸、酢酸などの無機酸又は有機酸等の酸成分と塩を形成したものが挙げられる。
ω−アミノカルボン酸のエステルとしては、炭素数1〜18の炭化水素基が挙げれら、より具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ステアリル基などの直鎖のエステル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基などの分枝構造を有するエステル基、メタリル基、ベンジル基、ゲラニル基、オレイル基などの不飽和結合を有するエステル基が例示され、原料の入手容易なメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ベンジル基が好適である。
一般式(A)で表わされる化合物の合成法として、化合物1をN−ヒドロキシスクシンイミドと反応させて活性エステル化合物(化合物2)に変換した後、化合物Bとの反応を行う方法を例に説明する。
Figure 2006052150
化合物2は、有機溶媒中で化合物1とN−ヒドロキシスクシンイミドとを縮合剤を用いて反応させることにより、調製することができる。
本反応で使用するN−ヒドロキシスクシンイミドの量は、基本的には化合物1に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
縮合剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3ジメチルアミプロピル)カルボジイミド、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、ジ−2−ピリジルカルボネート、ジ−2−ピリジルチオノカルボネートなどが例示され、なかでも、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドが好適に使用することができる。縮合剤の使用量は、基本的には化合物1に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
本反応は有機溶媒中、なかでも、非プロトン性の溶媒中で行うことが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルプロピレンウレア及びこれらの混合溶媒等を好適に使用することができる。
上記反応の温度は、0〜50℃が好ましく、より好ましくは、10〜30℃である。この反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する場合がある。
本反応時間は条件により異なるが、通常、数時間である。
この反応終了後、化合物2を未精製のまま使用することもでき、また、再結晶等の公知の方法により、化合物2を単離精製することもできる。
上述のように調製した化合物2に化合物Bを反応させることにより、化合物Aを合成することができる。
本反応で使用する化合物Bの量は、基本的には化合物2に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
本反応は、塩基性条件下で行うことが好ましく、好適には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムを化合物Bに対して、0.7〜5.0化学当量、より好適には1.0〜3.0化学当量使用する。
本反応は、化合物B、化合物2及び炭酸水素ナトリウムなどの塩基性物質を溶解する溶媒中で実施することが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルプロピレンウレア、メタノール、エタノール、イソプロピリアルコール、トルエン、塩化メチレンなどの有機溶媒と、水とを併用することが好適である。
上記反応の温度は、0〜50℃が好ましく、より好ましくは、10〜30℃である。この反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する場合がある。
この反応時間は条件により異なるが、通常、数時間から数10時間である。
この反応終了後は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法により、化合物Aを単離精製することができる。
一般式(A)で表わされる化合物は、抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有することから、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等の分野において、抗酸化剤あるいはチロシナーゼ活性阻害剤として、例えば、食品添加物や美白化粧料成分などに用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
ジヒドロフェルラ酸(化合物1)とN−ヒドロキシスクシンイミドとの縮合反応を行い、化合物2を得た。
すなわち、ジヒドロフェルラ酸(23.6g,120mmol)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(13.9g,121mmol)のテトラヒドロフラン(250ml)溶液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(25.0g,121mmol)を加えた。室温で3時間攪拌後、蒸留水5mlを加え、16時間放置した。つぎに、生成した不溶物を濾別し、濾液を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合溶媒から再結晶し、無色結晶性の化合物(25.0g、収率71%)を得た。1H−NMRスペクトルおよび赤外線吸収(IR)スペクトル分析(以下、特に記載しないかぎり、IRスペクトルはKBrペレット法による。)を行ない、得られた化合物が化合物2であることを確認した。
化合物2の融点は140−142℃であった。化合物2の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.80-2.92(6H,m), 2.96-3.02(2H,m), 3.89(3H,s), 5.57(1H,s), 6.70-6.75(2H,m), 6.85(1H,d,J=7.6Hz)であった。
また、IRスペクトルで吸収のあった波数(cm-1)は、3430, 2940, 1820, 1780, 1730, 1520, 1370, 1220, 1070, 820, 650であった。
<合成例2>
化合物2とグリシンとを反応させることにより、N−ジヒドロフェルロイルグリシン(以下、化合物3という)を合成した。
すなわち、グリシン(375mg,5.01mmol)及び炭酸水素ナトリウム(421mg,5.01mmol)に蒸留水(5ml)を加えた。この溶液に、攪拌しながら、化合物2(1.47g,5.01mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を加えた。室温で18時間攪拌後、1N塩酸(5ml)を加えて中和した。つぎに、反応混合物に飽和食塩水(10ml)及び酢酸エチル(15ml)を加えて分配した。有機層を回収後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶性の化合物(490mg、収率48%)を得た。得られた化合物の融点及びIRスペクトルが文献記載の値に一致したことから、本化合物が化合物3であることを確認した。
○化合物3の構造式
Figure 2006052150
<合成例3>
合成例1におけるジヒドロフェルラ酸(化合物1)の代わりにフェルラ酸を用い、引き続き、合成例2と同様の操作を行なうことにより、フェルラ酸とグリシンとが縮合したN−フェルロイルグリシン(以下、化合物4という)を合成した。
得られた化合物の融点及びIRスペクトルが文献記載の値に一致したことから、本化合物が化合物4であることを確認した。
○化合物4の構造式
Figure 2006052150
<合成例4>
化合物2とグリシンエチルエステル塩酸塩とを反応させることにより、化合物5を合成した。
すなわち、グリシンエチルエステル塩酸塩(1.40g,10.0mmol)及び炭酸水素ナトリウム(850mg,10.1mmol)に蒸留水(10ml)を加えた。この溶液に、攪拌しながら、化合物2(2.94g,10.0mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解した溶液を加えた。室温で、18時間攪拌後、20%炭酸ナトリウム水溶液(10ml)、飽和食塩水(20ml)及び酢酸エチル(10ml)を加えて分配した。有機層を回収後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色の高粘度液状化合物(2.64g、収率94%)を得た。1H−NMRスペクトル及びIRスペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物5であることを確認した。
○化合物5の構造式
Figure 2006052150
化合物5の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、1.28(3H,t,J=7.2Hz), 2.53(2H,t,J=7.6Hz), 2.91(2H,t,J=7.6Hz), 3.87(3H,s), 4.01(2H,d,J=5.2Hz), 4.21(2H,q,J=7.2Hz), 5.65(1H,br), 6.02(1H,br), 6.69(1H,d,J=8.0Hz), 6.72(1H,s), 6.83(1H,d,J=8.0Hz)であった。
また、IRスペクトルで吸収があった波数(cm-1)は、3400, 2940, 1740, 1660, 1520, 1210, 1130, 1030, 820であった。
<合成例5>
合成例4で用いたグリシンエチルエステル塩酸塩の代わりに、β−アラニンエチルエステル塩酸塩を用いることにより、化合物6を合成した(収率95%)。
○化合物6の構造式
Figure 2006052150
1H−NMRスペクトルおよびIRスペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物6であることを確認した。
化合物6の融点は80.6−81.8℃であった。化合物6の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、1.26(3H,t,J=7.2Hz), 2.40,2.50(4H,m), 2.87(2H,t,J=7.6Hz), 3.47(2H,q,J=5.9Hz), 3.86(3H,s), 4.12(2H,q,J=7.2Hz), 5.73(1H,br), 6.06(1H,br), 6.66(1H,d,J=8.0Hz), 6.70(1H,s), 6.81(1H,d,J=8.0Hz)であった。
また、IRスペクトルで吸収があった波数(cm-1)は、3520, 3310, 2990, 1730, 1640, 1560, 1520, 1280, 1180, 1030であった。
<合成例6>
合成例5で得られた化合物6のエステル基を加水分解することで、化合物7を合成した。
すなわち、化合物6(1.48g,5.01mmol)をイソプロピルアルコール(15ml)に溶解した後、1N水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を加えて室温で攪拌した。3時間後、反応溶液に1N塩酸(5ml)を加えて中和した。溶媒を減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色結晶性の化合物(501mg、収率46%)を得た。1H−NMRスペクトル及びIRスペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物7であることを確認した。
○化合物7の構造式
Figure 2006052150
化合物7の融点は129−130℃であった。化合物7の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.26-2.40(4H,m), 2.68(2H,t,J=7.8Hz), 3.22(2H,d,J=6.0,6.8Hz), 3.73(3H,s), 6.56(1H,d,J=8.0Hz), 6.65(1H,d,J=8.0Hz), 6.74(1H,s), 7.88(1H,br), 8.65(1H,br), 12.20(1H,br)であった。
また、IRスペクトルで吸収があった波数(cm-1)は3520, 3320, 1700, 1640, 1550, 1520, 1280, 1270, 1220, 1030, 690であった。
<実施例1>
抗酸化活性を確認するための試験として、常法である1,1−Diphenyl−2−picrylhydrazyl(DPPHと略記)ラジカルの消去試験を行った。すなわち、上述の合成例で得られた化合物3、5、6、7、ならびに比較対照としてdl−α−トコフェロール(東京化成工業製)及び化合物4を用いて、DPPHラジカルの消去試験を行った。
具体的な試験手順は以下のとおりである。
96穴プレートの各ウェルに100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)(80μL)と被験試料(最終濃度50μg/ml)のエタノール溶液(20μL)を分注し混合した。ここに800μMのDPPHエタノール溶液(100μL,最終400μM)を添加し良く攪拌した。これを室温、暗所にて20分間静置した後、540nmの吸光度を測定した(試料溶液の吸光度)。
対照として100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)(80μL)、エタノール(20μL)及び800μMのDPPHエタノール溶液(100μL)を用いて上記と同様に操作し、吸光度を測定した(対照溶液の吸光度)。
それぞれ化合物について4回同様の測定を行い、その平均値を以下の式に代入し、DPPHラジカル消去率を算出した。
DPPHラジカル消去率(%)=[1−(a/b)]×100
a=試料溶液の吸光度
b=対照溶液の吸光度
Figure 2006052150
構造類似の化合物3と化合物4とを比較した場合、アミド基とフェニル基との間が炭素−炭素二重結合である化合物4に対して、アミド基とフェニル基との間が飽和炭化水素で結ばれている本発明の化合物3の方が、ラジカル消去率が高いことが分かった。また、本発明の化合物は、dl−α−トコフェロール以上のラジカル消去活性を有することがわかった。したがって、本発明の化合物は活性酸素、特にヒドロキシラジカルの消去剤として使用できると考えられる。
<実施例2>
上述の合成例で得られた化合物3及び比較対照としてdl−α−トコフェロール(東京化成工業製)を用いて、リノール酸における過酸化脂質生成抑制試験を行った。
具体的な試験手順は以下のとおりである。
1)スクリューバイアル(容量50ml)に取ったリノール酸(0.2g、東京化成工業
製)、化合物3(0.01g)、および界面活性剤ニッサンOT−221(0.4g、
日本油脂(株)製)にエタノール(2.0g)を添加して溶解させた後、蒸留水
(17.39g)を加え攪拌し、密栓をして40℃の恒温槽に放置した。これを2個調
製した。
化合物4、dl−α―トコフェロール及び検体無添加(ブランク)についても同様
に行った。
2)試験開始から10日後、20日後、および30日後のリノール酸残量をHPLCによ
り定量した。
HPLCの分析条件は、検出波長:210nm、移動相:pH2.6に調整したM
cIlvaine緩衝液とメタノールとの混合溶液(10:90)、流速:1ml/m
in、カラム:ODS−80Ts(4.6φmm×150mm)、カラム温度40℃の
条件にて実施した。
3)HPLCでの定量はそれぞれの試料について1回ずつ行い、計2回の測定値の平均値
からリノール酸残存率を算出した。この結果を表2に示した。
Figure 2006052150
試験の結果、本発明の化合物3は、既存の過酸化脂質生成抑制剤であるdl−α−トコフェロールと同等の効果を有することがわかった。
<実施例3>
上述の合成例で得られた化合物3、5、6、7、ならびに比較対照としてアルブチン(東京化成工業製)及び化合物4を用いて、L−ドーパを基質としたチロシナーゼ活性阻害試験を行った。
具体的な試験手順は以下のとおりである。
はじめに以下の[1]〜[4]溶液をそれぞれ調製した。
[1]リン酸二水素ナトリウム(1.000g)及びリン酸水素二ナトリウム
(1.186g)を蒸留水(500mL)に溶解し、リン酸緩衝液を調製した。
[2]L−DOPA(32.7mg)を蒸留水(200mL)に溶解し、基質溶液を調製
した。
[3]検体のジメチルスルホキシド溶液を、リン酸緩衝液で10倍に希釈し、試験溶液を
調製した。
[4]マッシュルームチロシナーゼ(3.0mg,2400unit)を蒸留水(7.0
mL)に溶解した後、さらにリン酸緩衝液で5倍に希釈しチロシナーゼ溶液を調製し
た。
次に、下記の1)及び2)の手順で試験を行った。
1)96穴プレートの各ウェルにL−DOPA溶液(80μL)及び被検試料溶液
(80μL)を分注し混合した。ここにチロシナーゼ溶液(80μL)を加えて、15
秒間攪拌した。得られた溶液を25℃で保持し、1分45秒後および2分45秒間後の
490nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
2)上記1)の試験操作をそれぞれの検体およびブランク試験(ジメチルスルホキシドの
み)について各4回行い、得られた数値を下記計算式に代入して、その平均値をチロシ
ナーゼ活性阻害率(%)とした。
チロシナーゼ活性阻害率(%)=[(T1−T2)/T1]×100
T1=ブランク溶液の2分45秒間後と1分45秒後の吸光度の差
T2=試験溶液の2分45秒間後と1分45秒後の吸光度の差
本発明の化合物3及び化合物5〜7、比較例としてアルブチン及び化合物4をそれぞれ、酵素反応液中に2.00mg/ml用いた場合の結果を表3に示した。
Figure 2006052150
試験の結果、本発明の化合物は、既存のチロシナーゼ活性阻害剤であるアルブチンと同様に、チロシナーゼ阻害活性を有することがわかった。また、構造類似の化合物である化合物3と化合物4との比較において、アミド基とフェニル基との間が炭素−炭素二重結合である化合物4に対して、アミド基とフェニル基との間が飽和炭化水素で結ばれている化合物3のチロシナーゼ阻害活性が高いことが分かった。
本発明の一般式(A)で表わされる化合物は、優れた抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有しており、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等の分野で、抗酸化剤あるいはチロシナーゼ活性阻害剤として使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(A)で表わされる化合物を含有することを特徴とする抗酸化剤。
    Figure 2006052150
  2. 前記一般式(A)で表わされる化合物を含有することを特徴とするチロシナーゼ活性阻害剤。


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