JP2006045395A - 印刷インキ用樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する炭化水素混合物をカチオン重合させて得た石油樹脂と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物とを特定条件で反応させて得た反応生成物からなる印刷用インキ組成物であり、Mw/Mnが2以上で重量平均分子量が5,000−250,000の範囲内にある印刷用インキ組成物
【選択図】 なし
Description
石油分解油留分を樹脂化させて得られる石油樹脂は、一般にインキ顔料との濡れが良い性質を備えているものの、概して分子量が小さいため、石油樹脂をそのまま印刷インキ用ビヒクルの樹脂成分として使用した場合には、印刷インキがミスチングを起こし易くなる心配がある。従って、石油樹脂を印刷インキ用ビヒクルの樹脂成分として利用する場合には、従来技術は次のような工夫を施している。
すなわち、本発明に係る印刷インキ用樹脂の一つは、シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する炭化水素混合物をカチオン重合させて得た石油樹脂(A)と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)とを、前者15〜95重量%、後者5〜85重量%の割合で反応させて得た反応生成物からなる。
本発明に係る印刷インキ用樹脂の他の一つは、シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する炭化水素混合物をカチオン重合させて得た石油樹脂(A)と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)と、ロジン類(C)とを、下記の(1)及び(2)を満たす条件で反応させて得た反応生成物からなる。
(1)(A)と(B)との割合:前者15〜95重量%、後者5〜85重量%。
(2)(C)の反応量:前記反応生成物の酸価を1〜50とするに足る量
本発明の石油樹脂(A)を取得する際の特に好ましいシクロペンタジエン系炭化水素としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン及びこれらの混合物を挙げることができる。
カチオン重合に供する炭化水素混合物には、石油精製や石油分解の際に副生する沸点範囲−10℃〜100℃の共役二重結合炭化水素(C5留分)や、沸点範囲120℃〜260℃の芳香族不飽和炭化水素(C9留分)が、シクロペンタジエン系炭化水素以外の成分として含まれていても差し支えない。なお、カチオン重合に供する反応物を、本発明では炭化水素混合物と称するが、このことは単一のシクロペンタジエン系炭化水素の重合体が、上記の石油樹脂(A)から排除されることを意味しない。そして、カチオン重合に供される炭化水素混合物は、シクロペンタジエン系炭化水素を50〜90重量%の範囲で含有していることが好ましい。
本発明で使用する石油樹脂(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が800以上であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが2以上であることが好ましい。
反応に供するフェノール類としては、石炭酸、クレゾール、アミルフェノール、ビスフェノールA、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノールなどが何れも使用できるが、なかでも、アルキル置換されているフェノール類の使用が好ましい。
なお、フェノール類とホルムアルデヒドとの反応は,公知の方法及び反応条件で行うことができる。
石油樹脂(A)と初期縮合物(B)を予め反応させておき、次いで反応系にロジン類(C)を加えて反応させることもできるが、この方法ではロジン類(C)一部が未反応のまま残る可能性がある。従って、取得する印刷インキ用樹脂の酸価調節にロジン類(C)を使用する場合には、石油樹脂(A)と初期縮合物(B)とが反応する場にロジン類(C)を共存させることが好ましい。
石油樹脂(A)と初期縮合物(B)とを反応させて得られる反応生成物の重量平均分子量は、5,000〜250,000の範囲にあることが好ましく、より好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
ロジン類(C)の反応量は、最終的に得られる反応生成物の酸価を1〜50の範囲に維持できる範囲で任意に選ぶことができる。
攪拌機、還流冷却器、温度計付きセパラブルフラスコに、トルエン1500部、p−ノニルフェノール2200部、92%パラホルムアルデヒド652.2部からなる混合物を収めて52〜57℃に加熱し、48%水酸化ナトリウム水溶液50部を添加した。発熱反応で反応物は昇温するが、これを水浴及び湯浴にて75℃に保持しながら6時間反応させた。反応終了後、反応器に濃塩酸63部、水200部を加えて攪拌し、冷却後反応器を静置した。上澄み層を分液ロートで分離し、不揮発分65%のレゾール型初期縮合物(B)4300部を得た。
攪拌機、還流冷却器、温度計付きセパラブルフラスコに、トルエン1690部、p−ドデシルフェノール2620部、92%パラホルムアルデヒド228.3部からなる混合物を収めて52〜57℃に加熱し、70%p−トルエンスルホン酸水溶液3.6部を添加した。発熱反応で反応物は昇温するが、これを水浴及び湯浴にて85℃に保持しながら3時間反応させて冷却し、92%パラホルムアルデヒド335部を添加し、次いで48%水酸化ナトリウム水溶液83.1部を添加した。反応物は発熱反応で再び昇温するが、水浴及び湯浴にてこれを75℃に保持して4時間反応を続けた。
反応終了後、反応器に濃塩酸102.5部、水200部を加えて攪拌し、冷却後静置さした。上澄み層を分液ロートで分離し、不揮発分65%のノボラック型初期縮合物(B)4810部を得た。
攪拌機、リービッヒ冷却器、温度計付きセパラブルフラスコに、石油樹脂(A)としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーコーポレックス ♯2100、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約60重量%含有)900部と、上記レゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液769部を仕込んで加熱し、6時間かけて200℃まで昇温させた。しかる後、フラスコ内を10mmHgで1時間減圧することにより溶剤分を留去し、次いでフラスコを冷却して固形樹脂1260部を得た。
この樹脂の酸価は1.5、重量平均分子量は100,000、亜麻仁油ワニス粘度は100psであった。
酸価:JIS K−5902 ロジン酸価測定法に準拠。
重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算の分子量を測定する。装置名:東ソー株式会社製のHLC−8120、カラム:15cm2本組み、東ソー株式会社製のTSK gel スーパーHM−H×2、移動相:THF
亜麻仁油ワニス粘度:亜麻仁油と樹脂とを重量比65:35で混合し、220℃で30分加熱溶解したものを、落球粘度計で測定。測定温度:25℃
上記したレゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液の使用量を、769部から346部に減量した以外は、実施例1と全く手法を繰り返して固形樹脂1035部を得た。
この樹脂の酸価は1.4、重量平均分子量は20,000、亜麻仁油ワニス粘度は、30psであった。
実施例1と同様のフラスコに、石油樹脂(A)としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン ♯110T、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約55重量%含有)400部と、上記ノボラック型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液923部を仕込んで加熱し、6時間かけて200℃まで昇温させた。しかる後、フラスコ内を10mmHgで1時間減圧することにより溶剤分を留去し、次いでフラスコを冷却して固形樹脂920部を得た。
この樹脂の酸価は5.6、重量平均分子量は150,000、亜麻仁油ワニス粘度は150psであった。
実施例1と同様のフラスコに、石油樹脂(A)としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーコーポレックス ♯2100、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約60重量%含有)560部と、上記レゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液923部と、ロジン類(C)としてガムロジン240部を仕込んで加熱し、6時間かけて200℃まで昇温させた。しかる後、フラスコ内を10mmHgで1時間減圧することにより溶剤分を留去し、次いでフラスコを冷却して固形樹脂1300部を得た。
この樹脂の酸価は28、重量平均分子量は50,000、亜麻仁油ワニス粘度は60psであった。
実施例1と同様のフラスコに、石油樹脂(A)としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジン ♯110T、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約55重量%含有)900部を仕込み、180℃に加熱した。次いで、上記レゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液769部を4時間かけて滴下し、滴下終了後同温度で1時間保持した。しかる後、フラスコ内を10mmHgで1時間減圧することにより溶剤分を留去し、次いでフラスコを冷却して固形樹脂1280部を得た。
この樹脂の酸価は4.2、重量平均分子量は60,000、亜麻仁油ワニス粘度は50psであった。
実施例1と同様のフラスコに、石油樹脂(A)としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーハイレジンPA-140、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約70重量%含有)900部と、上記レゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液769部を仕込んで加熱し、10時間かけて240℃まで昇温させた。しかる後、フラスコ内を10mmHgで1時間減圧することにより溶剤分を留去し、次いでフラスコを冷却して固形樹脂1200部を得た。
この樹脂の酸価は1.4、重量平均分子量は110,000、亜麻仁油ワニス粘度は210psであった。
フラスコに仕込むレゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液の量を、769部から462部に減少させ、加熱温度を200℃から280℃に変更した以外は、実施例1と全く同じ手法を繰り返して固形樹脂1035部を得た。
この樹脂の酸価は1.2、重量平均分子量は90,000、亜麻仁油ワニス粘度は90psであった。
実施例1と同様のフラスコに石油樹脂として、シクロペンタジエン系炭化水素を30重量%含有する炭化水素混合物をカチオン重合して得た石油樹脂(サンプル名:SD−217R、東邦化学工業株式会社試供品、シクロペンタジエン系炭化水素30重量%含有)900部と、上記レゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液769部を仕込んで加熱し、6時間かけて200℃まで昇温させた。しかる後、フラスコ内を10mmHgで1時間減圧することにより溶剤分を留去し、次いでフラスコを冷却して固形樹脂1260部を得た。
この樹脂の酸価は4.2、重量平均分子量は4,800、亜麻仁油ワニス粘度は39psであった。
フラスコに仕込むレゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液の量を、769部から61部に減少させた以外は、実施例1と全く同じ手法を繰り返して固形樹脂910部を得た。
この樹脂の酸価は1.5、重量平均分子量は3,400、亜麻仁油ワニス粘度は15psであった。
実施例1と同様のフラスコに、石油樹脂(A)としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーコーポレックス ♯2100、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約60重量%含有)100部と、上記ノボラック型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液923部を仕込んで加熱し、6時間かけて200℃まで昇温させたところ、反応物はゲル化して樹脂状物を得ることができなかった。
実施例1と同様のフラスコに、石油樹脂(A)としてカチオン重合DCPD石油樹脂(商品名:トーホーコーポレックス ♯2100、東邦化学工業株式会社製、シクロペンタジエン系炭化水素約60重量%含有)135部と、上記レゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液923部と、ロジン類(C)としてガムロジン765部を仕込んで加熱し、6時間かけて200℃まで昇温させた。しかる後、フラスコ内を10mmHgで1時間減圧することにより溶剤分を留去し、次いでフラスコを冷却して固形樹脂1380部を得た。
この樹脂の酸価は88、重量平均分子量は2,800、亜麻仁油ワニス粘度は43psであった。
実施例1で使用したカチオン重合DCPD石油樹脂を、熱重合DCPD石油樹脂(商品名:クィントン1325、日本ゼオン株式会社製)に変更した以外は、実施例1と全く同様の手法を繰り返して固形樹脂1260部を得た。
この樹脂の酸価は1.4、重量平均分子量は4,000、亜麻仁油ワニス粘度は30psであった。
実施例1で使用したカチオン重合DCPD石油樹脂を、カチオン重合C9石油樹脂(商品名:日石ネオポリマー140、新日本石油化学株式会社製)に変更した以外は、実施例1と全く同様の手法を繰り返して固形樹脂1180部を得た。
この樹脂の酸価は1.4、重量平均分子量は3,500、亜麻仁油ワニス粘度は12psであった。
実施例1で使用したカチオン重合DCPD石油樹脂を、カチオン重合C5石油樹脂(商品名:マルカレッツT-100A、丸善石油化学株式会社製)に変更した以外は、実施例1と全く同様の手法を繰り返して固形樹脂1210部を得た。
この樹脂の酸価は8.4、重量平均分子量は9,300、亜麻仁油ワニス粘度は16psであった。
フラスコに、熱重合DCPD石油樹脂(商品名:クィントン1325、日本ゼオン株式会社製)900部と、無水マレイン酸36部を仕込み、230℃で6時間反応させ、酸変性石油樹脂920部を得た。
この酸変性石油樹脂900部と、上記レゾール型初期縮合物(B)の65%トルエン溶液769部を実施例1と同様のフラスコに仕込み、室温より200℃まで6時間かけて昇温したが、樹脂融点が高く、減圧不可能であったため減圧せずに反応生成物をフラスコから取り出して固形樹脂1240部を得た。
この樹脂の酸価は9.8、重量平均分子量は18,000、亜麻仁油ワニス粘度は100psであった。
上記の実施例及び比較例で得られた固形樹脂のそれぞれをインキ用樹脂に用い、樹脂成分だけが異なる複数種の印刷インキを次に示す方法で調製した。
攪拌機、水分離冷却器及び温度計付きセパラブルフラスコに、インキ用樹脂38部、大豆油30部、非芳香族石油系溶剤(商品名: AF6号ソルベント、新日本石油株式会社製)32部を仕込み、窒素気流下220℃で1時間混合した後、135℃まで冷却し、次いでこれにゲル化剤であるアルミニウムキレート(商品名:ALCH、川研ファインケミカル株式会社製)を1.0部添加して160℃まで加熱して30分間保持することでインキ用ゲルワニスを得た。
インキ用ゲルワニス 70〜79部
顔料 18 部
AF6号ソルベント 3〜12部
上記のようにして調製された各印刷インキの乳化性、タック及びミスチングを次の方法で評価した。
乳化性:印刷インキ25gをステンレススチール製容器に採取し、乳化機(商品名:リソトロニック、Novocontrol社製)を使用し、攪拌回転数1200rpm、温度40℃、水の滴下量2ml/分の条件で、印刷インキの乳化率及び乳化トルクを測定した。乳化率、乳化トルクとも数値が小さい方が印刷インキとして好ましい。
流動性:印刷インキ1.3mlを水平なガラス板に載置し、ガラス板を水平面に対して70度傾けてこの状態を24時間保持し、その間に印刷インキが流下した距離を測定した。顔料分散が良好なインキほどチキソトロピックな性質が弱まり、より流動性が増すので、流下距離が長いものほどインキの顔料分散がよい。
ミスチング:印刷インキ2.4mlをインコメーター(東洋精機株式会社製)のロールに展色して1200rpmで3分間回転させ、ロール下に置いたアート紙へのインキの飛散度合いを肉眼評価した。飛散が少ない順に◎○×の3段階評価とした。
Claims (6)
- シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する炭化水素混合物を、カチオン重合させて得た石油樹脂(A)と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)とを、前者15〜95重量%、後者5〜85重量%の割合で反応させて得た反応生成物からなる印刷インキ用樹脂。
- シクロペンタジエン系炭化水素を35重量%以上含有する炭化水素混合物を、カチオン重合させて得た石油樹脂(A)と、フェノールホルムアルデヒド初期縮合物(B)と、ロジン類(C)とを、下記の(1)及び(2)を満たす条件で反応させて得た反応生成物からなる印刷インキ用樹脂。
(1)(A)と(B)の割合:(A)15〜95重量%、(B)5〜85重量%
(2)(C)の反応量:前記反応生成物の酸価を1〜50とするに足る量 - ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される前記石油樹脂(A)のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が800以上であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが2以上である請求項1又は2記載の印刷インキ用樹脂。
- 前記反応生成物の重量平均分子量が、5,000〜250,000の範囲にある請求項1又は2記載の印刷インキ用樹脂。
- 請求項1又は請求項2記載の反応生成物を含有する印刷インキ用ビヒクル。
- 請求項1又は請求項2記載の反応生成物を含有する印刷インキ。
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