JP2006043881A - 固定盤体への環状溝成形方法 - Google Patents

固定盤体への環状溝成形方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006043881A
JP2006043881A JP2005270052A JP2005270052A JP2006043881A JP 2006043881 A JP2006043881 A JP 2006043881A JP 2005270052 A JP2005270052 A JP 2005270052A JP 2005270052 A JP2005270052 A JP 2005270052A JP 2006043881 A JP2006043881 A JP 2006043881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotating
annular groove
spherical
sphere
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005270052A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4055796B2 (ja
Inventor
Katsuhisa Tonooka
勝久 殿岡
Chuichi Sato
忠一 佐藤
Hiroyuki Nojima
弘之 野嶋
Yuichi Sumida
雄一 隅田
Shoji Harutake
章二 治武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2005270052A priority Critical patent/JP4055796B2/ja
Publication of JP2006043881A publication Critical patent/JP2006043881A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4055796B2 publication Critical patent/JP4055796B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Turning (AREA)

Abstract

【課題】 予め固定盤体に成形される環状溝の回転盤体回転中心との偏心を極力小さくし、球体研磨工程における「盤ならし加工時間」の短縮を図ることができる球体の研磨装置における固定盤体への環状溝成形方法を提供する。
【解決手段】 研磨装置本体の回転盤体1に一体回転可能に切削工具73を取り付け、回転盤体1を回転させて切削工具73により、回転盤体1と対向して非回転状態に取り付けられた固定盤体2に環状溝4を成形する。
【選択図】 図18

Description

本発明は、玉軸受等に使用される球体を研磨装置により研磨する際に、該球体を案内するための環状溝を固定盤体に成形する環状溝成形方法に関する。
従来のこの種の球体の研磨装置においては、図19に示すように、回動する回転盤体1及び該回転盤体1と対向する非回動の固定盤体2には、研磨加工される球体3の径寸法に近い寸法の環状溝(ボール溝)4が複数本同心状に設けられている。そして、研磨加工される球体3を環状溝4内に、回転するコンベア5により搬送案内して、所定規格の球形に研磨加工するようになっている。
実際の球体3の研磨加工に際しては、一度に例えば数万個の球体3をコンベア5内に収容し、スルーフィードで繰り返し研磨加工していくものであるが、このように一度にコンベア5内に収容する「数万個の球体3」を1ロットと称する。このようにして、1ロットについての加工が全て終了すると、次のロットの加工へ移る。
この1ロットの研磨加工工程においては、通常、図20に示すように粗加工、中仕上加工及び仕上加工のごとく3段階の加工を有し、それぞれの段階に見合った加工速度及び径寸法に精度を得るべく、加工圧力の調整が行われる。図20(a)は、各加工段階と加工圧力との関係を示し、図20(b)は、各加工段階と球体の径寸法変化量との関係を示す。
即ち、図20(a)に示すように、各加工段階における加工圧力の設定値は、粗加工時が最も高く、中仕上加工時は中程度、仕上加工時は最も低くなるように設定される。このようにして各加工段階によって加工圧力を変えて、粗加工時には研磨量を大きくし、仕上加工時には球体表面の精度と求められる仕上げ寸法(球体径寸法)に近付けるようにしている。図20(b)には、各加工段階における球体の予定研磨取り代のレベルが図示されているが、これも各加工段階における加工目的の差を示している。
図21は、従来の球体の研磨装置の構成を示す縦断面図であり、同図において、6は基台、7a,7bは基台6上に設置された支持体である。一方(図において左側)の支持体7aには、回転盤体1が回転可能に且つ図において左右方向にスライド可能に支持されており、従って、一方の支持体7aは、案内体を兼ねている。回転盤体1は、回転軸8の一端部に一体形成されたフランジ9に固定されている。回転軸8は、一方の支持体7aの中心孔内にスライド可能に嵌挿されたピストンロッド10の中心孔内に回転可能に挿入され、このピストンロッド10の両端部において玉軸受或いは円錐コロ軸受等の転がり軸受11a,11bを介して回転可能に且つこのピストンロッド10と一体にスライド可能に支持されている。回転軸8の他端部にはプーリ12が回転軸8のスプラインを介して固定され、且つ摺動自在に取り付けられ、このプーリ12は、図示しない無端ベルトを介してモータの駆動軸に接続されている。そして、前記モータの駆動力により回転軸8と一体に回転盤1が回転される。
また、一方の支持体7aの中心孔内周面とピストンロッド10の外周面との間には、2つの油圧室13a,13bが形成され、各液圧(油圧)室13a,13bに開口する液圧(油圧)ポート14a,14bが支持体7aに穿設されている。各液圧ポート14a,14bは、図示しない液圧回路に接続されている。各液圧室13a,13bに作動液(油)を交互に流出入させることにより、ピストンロッド10と一体に回転盤体1が図において左右方向にスライドするようになっている。そして、一方の液圧室13a内に作動液を供給し、他方の液圧室13b内の作動液を排出することにより、回転盤体1が他方の支持体7bに固定された固定盤体2の対向面に押圧される。この押圧力は、前記液圧回路に配設された圧力調整機構により調整される。なお、図21中、15はピストンロッド10の一方の支持体7aの一端側から露出する部分を被覆する蛇腹状のカバーである。
そして、回転盤体1と固定盤体2との間(環状溝4相互間)に研磨加工される球体3を挟持し、回転盤体1を固定盤体2側に押圧して回転させることにより、球体3が環状溝4を繰り返し通過することによって、球体3の径寸法が減少しながら目標とする寸法及び品質に仕上がるように研磨加工されるものである。このとき、球体3の品質(径寸法精度や真球精度等)を高めるためには、最終の仕上げ加工での加工荷重(回転盤体1への負荷力)を可能な限り高精度で且つ微小な力に調整することが望ましい。
このような従来の球体の研磨装置において両盤体に環状溝を成形する場合は、前記固定盤体に予め別途旋盤等により環状溝を成形した後、該固定盤体を研磨装置本体の固定盤体取付部に取り付ける。次に、平面状態で環状溝の付いていない砥石を有する回転盤体と環状溝の成形された固定盤体との間に非研磨加工部材である球体を導入して、該球体の研磨加工を繰り返すことにより、回転盤体にも環状溝を成形する、いわゆる「盤ならし加工」が行われる。そして、この回転盤体の環状溝が所定の深さに成形され且つ両盤体の環状溝と球体との接触状態が均一になるまで、前記「盤ならし加工」を継続される。
しかしながら、上述した従来の球体の研磨装置にあっては、以下のような問題点があった。
滑り案内機構は摩擦抵抗が大きく、また、転がり案内においても通常、与圧による摩擦力の増加や、シール部の抵抗等があり、球体3の研磨加工圧力と比べて無視できない。このため、球体3の研磨加工中に、上述した加工段階に従って加工圧力の調整を行う上で、調整したはずの加工圧力に図22に示すようにヒステリシスを生じる。また、安定加工中であっても摩擦力は変化するため、加工圧力を高精度にコントロールすることは困難である。
また、滑り案内を使用した図21に示す球体の研磨装置において、図20に示すように、粗加工、中仕上げ加工、仕上げ加工の3段階の研磨加工圧力が、球体3を研磨加工した場合、上述したヒステリシスに起因して、各段階の実際の加工圧力は、設定値に対して高い側や低い側にばらついてしまい、実際の加工圧力は安定しない。
また、図9及び図10に示すような転がり案内を使用した球体の研磨装置の場合は、滑り案内を使用した図21に示す球体の研磨装置の場合に比べると、上述した問題点は改善されるものの、なお、無視できないようなヒステリシスが残り、結果として滑り案内ほどではないにしても、指令値と実際の加工圧力とにはギャップが残るのが現状であった。その結果、加工圧力は時間当たりの加工量に大きく影響するため、加工圧力のコントロール精度の誤差が大きくなったり、また、前記コントロールができないような変化が生じると、図6に示すように、1つのロットの研磨加工の進み具合と別のロットの研磨加工の進み具合とで差が生じることになり、要するに、各ロット間での差が問題となる。
図6と本発明の実施の形態に基づくロット間のばらつきを示す図5とを比較すると、図6のロット間のばらつきの方が大きいことは明確である。即ち、狙いとする寸法が得られないことになる。また狙いとする加工パターンを得ることができないため球体の精度も得ることができない。
また、上述したように両盤体1,2に同心状に設けられた環状溝4相互間に球体3を挟持しながら該球体3を研磨加工する工程においては、固定盤体2に設けられた環状溝4と回転盤体1に設けられた環状溝4とが高精度で同心回転する必要がある。これらがもしも、相対的な偏心もしくは回転盤体1に相対的回転誤差があると、図23に示すように、回転盤体1と固定盤体2の対向する環状溝4の相対位置がずれて、やはり球体3の加工精度に悪影響を与える。即ち、1つのロット内で球体3同士で直径不同及び真球度のバラツキが生じる原因となる。
引用した従来装置は、滑り案内と転がり回転の組み合わせ或いは転がり案内と転がり回転の組み合わせであり、上述した各問題点が同時に生じる。
このような場合でも、これまでの要求仕様であれば、これらの球体を使用した、例えば従来のHDD(ハードディスク)装置等に使用する玉軸受用には問題ない場合もあったが、昨今のハードティスク装置の大容量化に対応するには不十分となってきている。即ち、使用される玉軸受より生じる非同期振動成分(NRRO)に対する要求水準が厳しくなってきたためである。
また、従来の球体の研磨装置において、加工される球体3の精度を向上させるためには、前記加工圧力の調整だけでは限度があり、回転盤体1及び固定盤体2に設けられた互いに対向する環状溝4の形状が適正で且つ両盤体1,2間に導入された球体3が入口から出口まで移動する間、互いに対向する環状溝4の相対位置誤差(図23参照)を最小限に抑える必要がある。
この互いに対向する環状溝4に相対位置誤差を生じると、球体3には制御不可能な負荷がかかり、特に球体3の精度を高める研磨工程の最終工程において、このような負荷を生じることは、球体3の品質精度を低下させることになる。この両環状溝4は、別途予め旋盤等で同心状の概略形状の環状溝を加工形成した固定盤体と、環状溝のついていない回転盤体とで球体3の疑似研磨加工を繰り返すことで成形される。従って、原理上は両盤体1,2の環状溝4の相対位置誤差は修正されていく。
しかし、回転盤体1の支持軸受には、もともと回転誤差がある。一般に、該支持軸受の回転誤差は転がり軸受で1〜10μ、静圧軸受で0.1〜0.2μ程度である。従って、両環状溝4の相対位置が完全に一致することはない。固定盤体2の1点に注目すれば、環状溝4を通過する球体3には、図24(a)や図24(b)の状態を繰り返すことになる。この場合、回転盤体1、もしくは固定盤体2の環状溝4の形状を適正形状から崩し、また、球体3にも異常な力が付加されることになる。これが球体3の真球度を向上させるための障害になる。
更に、従来の球体の研磨装置における両盤体に対する環状溝の成形方法は、固定盤体に予め成形された環状溝と回転盤体の回転中心とは偏心を生じないように注意がはらわれているが、通常10〜20μ程度の偏心を生じる。このため、前記「盤ならし加工」は偏心が修正されるまで通常2〜3か月間行う必要がある。特に、固定盤体が鋳物で回転盤体が砥石の場合、球体研磨工程による回転盤体の摩耗量が少なく、偏心の修正のための「盤ならし加工時間」が長くなるという問題点がある。
本発明の目的は、予め固定盤体に成形される環状溝の回転盤体回転中心との偏心を極力小さくし、球体研磨工程における「盤ならし加工時間」の短縮を図ることができる球体の研磨装置における固定盤体への環状溝成形方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、研磨装置本体の回転盤体取付部に回転可能に取り付けられた回転盤体と、前記研磨装置本体の固定盤体取付部に前記回転盤体と対向して非回転状態に取り付けられた固定盤体とを有し、前記回転盤体の前記固定盤体との対向面に設けられた環状溝と前記固定盤体の前記回転盤体との対向面に設けられた環状溝との間に球体を加圧挟持した状態で、前記回転盤体を回転することにより、前記球体を自転させながら前記環状溝を移動させて、前記球体を研磨加工する球体の研磨装置における前記固定盤体に前記環状溝を成形する環状溝成形方法であって、前記回転盤体に一体回転可能に切削工具を取り付け、前記回転盤体を回転させて前記切削工具により前記固定盤体に前記環状溝を成形することを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の請求項2に係る発明は、研磨装置本体の回転盤体取付部に回転可能に取り付けられた回転盤体と、前記研磨装置本体の固定盤体取付部に前記回転盤体と対向して非回転状態に取り付けられた固定盤体とを有し、前記回転盤体の前記固定盤体との対向面に設けられた環状溝と前記固定盤体の前記回転盤体との対向面に設けられた環状溝との間に球体を加圧挟持した状態で、前記回転盤体を回転することにより、前記球体を自転させながら前記環状溝を移動させて、前記球体を研磨加工する球体の研磨装置における前記固定盤体に前記環状溝を成形する環状溝成形方法であって、前記回転盤体取付部は前記回転盤体と同軸回転する回転基礎盤体であり、該回転基礎盤体に一体回転可能に切削工具を取り付け、前記回転基礎盤体を回転させて前記切削工具により前記固定盤体に前記環状溝を成形することを特徴とする。
本発明によれば、回転盤体の回転軸と同一軸を使って固定盤体の環状溝を成形することができるので、回転盤体の環状溝は回転盤体の回転中心と偏心することがなく成形することができると共に、「盤ならし加工時間」を短縮することができる。
以下、本発明の各実施の形態を図1〜図18に基づき説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態を図1〜図6に基づき説明する。本実施の形態は、回転盤体1の案内スライド機構Sを静圧スライド構成としたものである。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る球体の研磨装置の構成を示す概略側面図、図2は、同装置の要部縦断面図、図3は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1〜図3に関して、図2を中心に説明すると、第1の回転軸8aと第2の回転軸8bが、スプライン機構16により互いに軸線方向にスライド可能に且つ一体回転可能に結合されている。第1の回転軸8aの一端に一体形成されたフランジ9に回転盤体1が固定されている。第1の回転軸8aは、案内体17に転がり軸受18a,18bを介して回転可能に支持されている。案内体17は、図3に示されるように案内スライド機構Sを構成する静圧案内部材19により基台6の両側上部に一体形成された一方(図1及び図2において左側)の支持体7a,7aに、図1及び図2において左右方向にスライド可能に支持されている。即ち、図3に示されるように、静圧案内部材19は、案内体17の両側面に突設された係合突部17a,17bを、支持体7a,7aの対向面に設けられた断面コ字状の係合溝23a,23b内にスライド可能に係合されて構成されている。
第2の回転軸8bは、基台6の一側部に設けられた支持部材20の中心孔内に転がり軸受21a,21bを介して回転可能に且つ軸線方向にスライド不可能に支持されている。また、第2の回転軸8bのスプライン機構16と反対側の端部にプーリ12が固定されている。案内体17は、支持部材20の円周方向に等配した複数個(本実施の形態では2個)のシリンダ機構22により軸線方向にスライド可能となっている。シリンダ機構22のシリンダ22aは、支持部材20に固定され、ピストンロッド22bの外端部は、案内体17に固定されている。そして、各シリンダ機構22のシリンダ22a内の液圧(油圧)室が図示しない液圧(油圧)回路に接続され、そのピストンロッド22bと一体に案内体17及び第1の回転軸8a及び回転盤体1が軸線方向にスライド可能となっている。
また、各シリンダ機構22は、案内体17を図1及び図2において左右方向にスライドさせるアクチュエータであり、球体の研磨加工のための加工圧力も、これらのシリンダ機構22により負荷される。案内体17は、静圧スライド構成よりなる案内スライド機構Sにより前後方向(図1,2において左右方向)の移動(スライド)が案内され、スライドに対する上下方向、または左右方向のラジアル荷重やモーメント荷重は、摩擦抵抗無しに支持されるため、シリンダ機構22への付加力がほとんどそのまま実際の球体の研磨加工のための加工圧力として作用する。
更に、各シリンダ機構22は、図4に示すように、球体の研磨加工のための加工圧力を調整するための液圧(油圧)回路に接続されている。同図に示すように、シリンダ22aの各ポートに接続された管路28a,28bには、方向切換弁29の各ポートが接続されている。また、切換弁29には、それぞれ不図示のポンプを用いた作動液圧(油圧)供給回路及びタンク30につながる管路28c,28dが接続されている。更に、一方の管路28cには、比例電磁制御弁31が介装されている。そして、シリンダ22aへの作動液の供給圧力を比例電磁制御弁31により調整して、ピストンロッド22bを介して回転盤体1を図4中、左右方向に移動調整することにより、粗加工、中加工及び仕上げ加工の3段階の研磨加工圧力の制御を行うものである。
案内スライド機構Sに関し、係合溝23a,23bの内面には、図1に示すように案内体17のスライド方向に所定間隔を存して作動液(油)回収用の溝24が複数個形成されている。これらの溝24は、係合溝23a,23bの内面に沿うコ字状をなしている。これにより、後述する静圧ポケット25a,25b,25cから溝24内に流出した作動液が下部の軸方向に沿って設けられた通路24aを経由して回収されるようになっている。溝24相互間に位置して係合溝23a,23bの内面には、図1に示すように長軸が案内体17のスライド方向に沿う矩形の静圧ポケット25a,25b,25cがそれぞれ設けられている。各静圧ポケット25a,25b,25cは、図3に示すようにオリフィス26が介装された通路27及び不図示の配管を介して作動液圧(油圧)供給部にそれぞれ接続される。
一方、図1及び図2中、7bは他方の支持体で、基台6の図1及び図2において右側に設けられており、この支持体7bには回転盤体1と対向する固定盤体2が取り付けられている。
本実施の形態に係る球体の研磨装置において、実際の研磨加工中における真の加工圧力は、案内スライド機構Sを静圧スライド構成としたため、従来の滑り案内スライド構成や転がり案内スライド構成の場合に見られた、図22に示すようなヒステリシスが除去されたため、設定加工圧力と正確に一致する。ここでいう「真の加工圧力」とは、シリンダ機構22による付加力ではなく、真に加工中の球体にかかる負荷のことである。
次に、上記構成になる本実施の形態に係る球体の研磨装置の動作を説明する。
基本的な研磨加工動作は従来装置の場合と変わらない。即ち、図示しないモータによりプーリ12を回転させると、これと一体に第1及び第2の回転軸8a,8b及び回転盤体1が回転する。これと共に、シリンダ機構22を動作させてピストンロッド22bを突出方向(図1及び図2において右方向)に移動させると、これと一体に案内体17が図1及び図2において右方向にスライドする。これにより、回転盤体1が回転しながら固定盤体2に接近加圧し、図19に示すようにコンベア5により搬送されて両盤体1,2相互間に挟持された球体3の研磨加工が1ロット単位で行われる。実際には、研磨加工は少なくとも両盤体1,2のいずれか一方が砥石であるか、もしくは両盤体1,2が金属盤で研磨加工中に球体3にかけられる加工液に砥粒を混入して行われる。
ここで、案内体17の係合突部17a,17bと基台6上の支持体7a,7aの係合溝23a,23bとの間において、各静圧ポケット25a〜25cに通路27からオリフィス26を介して高圧(例えば10気圧)の作動液(油)が供給され、この圧力が係合突部17a,17bの上下面及び側面に作用することによって、案内体17が基台6上の支持体7a,7aの係合溝23a,23b内に摩擦抵抗が殆ど生じない状態に支持される。
なお、静圧ポケット25a〜25cの周囲から流出した作動液は、各溝24から通路24aを介して図示しないサクションポンプで吸引されて作動液圧(油圧)供給部へ回収するようにしてもよい。
上述した本実施の形態に係る球体の研磨装置では、案内体17の案内スライド機構Sを静圧スライド構成としたから、研磨加工圧力調整時のヒステリシスは少なくなり、また、安定加工中の球体3への負荷も安定する。このため、加工工程の各段階にあるべき加工圧力を高精度に制御できるため、それぞれの段階に見合った加工速度及び径寸法及び加工精度を得ることができる。
また、図5に示すように各ロットの加工時間が安定し、各ロット間の仕上がり程度の差を抑制することができる。図5は、本実施の形態に係る球体の研磨装置での各ロット毎の球体研磨加工曲線を示す図であり、同図の各曲線は、各ロット毎の平均値を表わす。従来装置の場合での各ロット毎の球体研磨加工曲線を示す図6と対比すると、本発明の方が各ロット間の仕上がり程度の差を大きく抑制することができることは明らかである。
なお、静圧スライド構成による案内スライド機構Sは、例えばリング外形の研削装置のように、ワーク寸法に見合った位置にスライド位置を高精度に制御する加工装置においては既に広く使用されているが、加工圧力を制御し、被加工物の高い精度を出す球体の研磨装置では、スライド位置の停止精度としてはそれ程必要なく、また、旧来の球体研磨の要求加工精度では、それ程高い制御精度は必要ではなく、使われた例はない。
なお、本実施の形態に係る球体の研磨装置によれば、加工パターンを高精度に制御できるため、球体のロット内の径相互差も格段に解消することができ、また、確実に所望寸法の球体が得られる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図7〜図11に基づき説明する。本実施の形態は、第1の回転軸8aの軸受機構を静圧ラジアル軸受B1,B2及び静圧スラスト軸受B3により構成したことである。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る球体の研磨装置の概略側面図、図8は、同装置の要部縦断面図、図9は、図8のD−D線に沿う断面図、図10は、図8のE−E線に沿う断面図である。なお、図7〜図10において、上述した第1の実施の形態の図1〜図3と同一機能部位には、同一符号が付してある。
本実施の形態に係る球体の研磨装置において、上述した従来装置と異なる点は、第1の回転軸8aの軸受機構を静圧ラジアル軸受B1,B2及び静圧スラスト軸受B3により構成したことである。即ち、案内体17の両端部内周面には、図9に示すように周方向に所定間隔を存して静圧ポケット38a,38b,38c,38dが設けられている。各静圧ポケット38a〜38dは、その長軸が案内体17の軸線方向に沿う矩形とされている。各静圧ポケット38a〜38dは、オリフィス39を介装した通路40を介して作動液圧(油圧)供給源(図示省略)に接続されている。また、第1の回転軸8aの軸線方向略中間部には、図8に示すように鍔41が形成されている。案内体17の、鍔41の両側面と対向する面には、静圧ポケット42が設けられている。各静圧ポケット42は、図10に示すように円環形状の溝とされている。各静圧ポケット42は、オリフィス43を介装した通路44を介して前記作動液圧供給源に接続されている。
また、案内体17の内周面に設けられた静圧ポケット38a〜38dのそれぞれの両側には、環状の溝45aが設けられ、更に静圧ポケット38a〜38dを挟んで対向する溝45a間を連通する溝45bが設けられている。溝45aの下部は、不図示の通路に接続され、これにより、静圧ポケット38a〜38d,42から直接、溝45a内に流出した作動液(油)及び静圧ポケット38a〜38dから溝45bを経由し、溝45a内に流出した作動液が不図示の作動液タンク内に回収されるようになっている。
以上の構成になる本実施の形態に係る球体の研磨装置は、第1の回転軸8aの外周面と案内体17の内周面との間において、各静圧ポケット38a〜38d及び42a,42bに通路40,44からオリフィス39,43を介して高圧(例えば10気圧)の作動液(油)が供給され、この圧力が第1の回転軸8aの外周面に作用することによって、第1の回転軸8aが案内体17内に摩擦抵抗が殆ど生じない状態に回動可能に支持される。これにより、回転盤体1はラジアル方向及びスラスト方向共に高精度な回転を行うことができる。
ここで、図11に示される真球度の分布データは、案内体17の案内スライド機構Sが転がり案内で、回転盤体1の軸受機構が静圧ラジアル軸受B1,B2及び静圧スラスト軸受B3の場合のデータである。図11に示すデータはHDD用玉軸受によく使われる直径2mmの球体であり、現在の鋼球(球体)の最上位の規格である「クラス3」の真球度0.08μmに比較して、真球度の分布も格段に向上していることがわかる。
案内体17の案内スライド機構Sが静圧案内スライドの場合には、図5に示すように球体に対する加工曲線が安定することにより、図11に示す真球度及びその分布範囲も更に向上することが期待できる。
即ち、本実施の形態においては、案内体17の案内スライド機構Sは転がり案内スライド構成及び静圧案内スライド構成のいずれであっても良いが、静圧案内スライド構成の方が好ましい。
なお、オリフィス39,43に代えて、毛細管絞り或いは制御絞りでも良い。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を図12及び図13に基づき説明する。なお、本実施の形態に係る球体の研磨装置の基本的な構成は、上述した第2の実施の形態における図7〜図10と同一であるから、これらの各図を流用して説明する。
本実施の形態は、回転盤体1の軸受機構である静圧ラジアル軸受B1,B2及び静圧スラスト軸受B3の軸支持剛性力を調整可能にし、加工工程中に静圧ラジアル軸受B1及びB2の軸支持剛性力を調整して球体を研磨加工することにより、加工工程での固定盤体2の環状溝4及び該環状溝4の溝底に安定して載置された球体に対して回転盤の環状溝4を調心させることにより、球体の加工精度の向上を図るようにしたものである。
静圧ラジアル軸受B1及びB2の軸支持剛性を調整する剛性調整手段としては、図12に示すように、例えばポンプPから分岐した3本の管路L1,L2,L3に電磁比例減圧弁等の圧力調整弁V1,V2,V3をそれぞれ介装し、第1の圧力調整弁V1の吐出側を第1の静圧ラジアル軸受B1の回路に接続し、第2の圧力調整弁V2の吐出側を第2の静圧ラジアル軸受B2の回路に接続し、第3の圧力調整弁V3の吐出側を静圧スラスト軸受B3の回路に接続する。
そして、ポンプPから吐出された圧力Poの作動液(油)は、圧力調整弁V1,V2,V3により任意の供給圧力P1,P2,P3に調整された後、オリフィス39,43をそれぞれ介して、静圧ラジアル軸受B1,B2及び静圧スラスト軸受B3を構成する各静圧ポケット38a〜38d,42内にそれぞれ供給される。
ここで、静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力Kと供給圧力P1,P2とは、ほぼ比例関係にある。従って、ここでは供給圧力P1,P2による静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力Kの調整例を示した。
図13は、本実施の形態に係る球体の研磨装置における通常の粗加工、中仕上げ加工及び仕上げ加工の3段階の加工工程をもつ球体の研磨加工工程における各静圧ラジアル軸受B1,B2への供給圧力P1,P2の制御例を示す図である。
図13において、粗加工時はシリンダ22aへの供給圧力を高く保持して、球体への負荷を高くした上で、各静圧ラジアル軸受B1,B2への供給圧力P1,P2をも高く保持し、各静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力Kを高くして回転軸8aを保持し、強制的に球体を所望の寸法及び精度に研磨する。
また、中仕上げ加工時はシリンダ22aへの供給圧力を低く保持して、球体への負荷を低くした上で、前側(図8において右側)の第1の静圧ラジアル軸受B1への供給圧力P1をも低く保持し、この第1の静圧ラジアル軸受B1の軸支持剛性力Kを低くして回転軸8aを保持し、球体を所望の寸法及び精度に研磨する。
更に、仕上げ加工時は被加工球体の加工効率を下げて、寸法及び精度を整えるため、シリンダ22aへの供給圧力を更に低く保持して、球体への負荷を更に低くした上で、第1の静圧ラジアル軸受B1への供給圧力P1をも更に低く保持し、この第1の静圧ラジアル軸受B1の軸支持剛性力Kを更に低くして回転軸8aを保持し、球体を所望の寸法及び精度に研磨する。
これにより、回転盤体1の加工部への回転精度の影響力を下げ、両盤体1,2間の環状溝4と、この環状溝4に挟持される球体とで構成される回転軸を基準に回転盤体1を回転させることにより、球体への異常な力が低減し、良好な仕上げ加工が可能になる。
即ち、本実施の形態に係る球体の研磨装置によれば、加工工程中に回転盤体1の軸受機構である静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力を調整して、特に仕上げ加工工程での固定盤体2の環状溝4にある球体に調心させることにより、球体の加工精度の向上を図ることができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を図14に基づき説明する。なお、本実施の形態に係る球体の研磨装置の基本的な構成は、上述した第2の実施の形態における図7〜図10と同一であり、また、静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性を調整する剛性調整手段の制御回路の構成は、上述した第3の実施の形態における図12と同様であるから、これらの各図を流用して説明する。
図14は、本実施の形態に係る球体の研磨装置における通常の粗加工、中仕上げ加工及び仕上げ加工の3段階の加工工程をもつ球体の研磨加工工程における各静圧ラジアル軸受B1,B2への供給圧力P1,P2の制御例を示す図である。
実際には、回転盤体1系には自重があり、横軸型の回転軸8aでは、加工部は回転盤体1の軸受機構である静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力に比例して幾何学的中心位置よりは下がる。従って、粗加工時と仕上げ加工時に静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力を変えることは、自重により回転盤体1の位置も変わる。
従って、本実施の形態においては、回転軸8aの軸受機構である静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力を調整することにより、上述した粗加工時における回転盤体1の位置変化を抑制するようにしたものである。
即ち、図14において、粗加工時はシリンダ22aへの供給圧力を高く保持して、球体への負荷を高くした上で、前側(図8において右側)の第1の静圧ラジアル軸受B1への供給圧力P1を高く保持し、この第1の静圧ラジアル軸受B1の軸支持剛性力Kを高くし、後側の第2の静圧ラジアル軸受B2への供給圧力P2を低く保持し、この第2の静圧ラジアル軸受B2の軸支持剛性力Kを低くして回転軸8aを保持する。
また、中仕上げ加工時はシリンダ22aへの供給圧力を低く保持して、球体への負荷を低くした上で、第1の静圧軸受B1への供給圧力P1を低く保持し、この第1の静圧ラジアル軸受B1の軸支持剛性力Kを低くし、後側の第2の静圧ラジアル軸受B2への供給圧力P2を高く保持し、この第2の静圧ラジアル軸受B2の軸支持剛性力Kを高くして回転軸8aを保持する。
更に、仕上げ加工時は球体の加工効率を下げて、寸法及び精度を整えるため、シリンダ22aへの供給圧力を更に低く保持して、球体への負荷を更に低くした上で、第1の静圧ラジアル軸受B1への供給圧力P1をも更に低く保持し、この第1の静圧ラジアル軸受B1の軸支持剛性力Kを更に低くし、後側の第2の静圧ラジアル軸受B2への供給圧力P2を高く保持し、この第2の静圧ラジアル軸受B2の軸支持剛性力Kを高くして回転軸8aを保持する。
これにより、回転盤体1の回転精度の加工部への影響力を下げ、両盤体1,2間の環状溝4と、この環状溝4に挟持される球体とで構成される回転軸を基準に回転盤体1を回転させることにより、球体への異常な力が低減し、良好な仕上げ加工が可能になる。
即ち、本実施の形態に係る球体の研磨装置によれば、加工工程中に回転盤体1の軸受機構である静圧ラジアル軸受B1,B2の軸支持剛性力を調整して、特に仕上げ加工工程での固定盤体2の環状溝4にある球体に調心させることにより、球体の加工精度の向上を図ることができる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態を図15及び図16に基づき説明する。図15は、本発明の第5の実施の形態に係る球体の研磨装置の要部を示す縦断面図であり、同図において、上述した第1の実施の形態における図1と同一部位には、同一符号が付してある。
本実施の形態は、回転盤体1の一端面中心部に、固定盤体2側中心部よりストッパーを当接させて、回転盤体1を軸方向に移動させるためのシリンダ機構(押圧機構)の押圧力に制限を加えることにより、加工圧力を微調整し得るようにして、特に仕上げ加工工程時における球体の加工精度の向上を図るようにしたものである。
図15において、回転盤体1は、上述した各実施の形態と同様に、第1の回転軸8aにより回転自在に支持され、回転盤体1と第1の回転軸8aは、シリンダ機構(押圧機構)により図15において左右方向(図中矢印方向)に移動自在になっている。固定盤体2は他方の支持部材7bに固定されている。この固定盤体2と他方の支持部材7bとには、それらの中心部を貫通する貫通孔50,51が形成されている。他方の支持部材7bの貫通孔51の一端部(図中左端部)には軸受部52を介して加工圧力を微調整するための微調整手段の一部を構成するストッパー53が回転方向及び軸方向に移動自在に支持されている。このストッパー53は所定軸長を有する杆状をなしている。
回転盤体1には、その中心部を貫通する貫通孔54が形成されている。この貫通孔54内に位置して第1の回転軸8aの端部には杆状の受け部材55が突設されている。この受け部材55の先端面とストッパー53の先端面は互いに対向し、必要に応じてストッパー53の先端面を受け部材55の先端面に当接させることにより、前記シリンダ機構の押圧力に制限を加え、加工圧力を微調整し得るようになっている。
即ち、ストッパー53の基端部は、静圧軸受56を介してネジ軸57の先端部に接続されている。このネジ軸57は、例えばボールネジよりなり、他方の支持部材7bの貫通孔51の他端部にボールネジのナット58を介して回転自在に支持されている。ネジ軸57の基端部には平歯車59が固定され、この平歯車59はピニオン歯車60に噛合している。このピニオン歯車60は、他方の支持部材7bの端面に固定されたブラケット61に回転自在に軸支されている。ピニオン歯車60はサーボモータ62により回転駆動される。
そして、サーボモータ62を正逆回転させることにより、ピニオン歯車60、平歯車59、ネジ軸57及び静圧軸受56を介して、ストッパー53を図中左右方向に移動(位置)調節できるようになっている。
静圧軸受56は、ストッパー53とネジ軸57とを、それぞれ単独回転できるように接続するカップリング部材63を有し、このカップリング部材63には作動液(油)流出孔63aが穿設されている。
静圧軸受56内には、図示しないポンプにより作動液が供給できるようになっている。即ち、ネジ軸57の中心にはその全軸長に亘って作動液供給路64が形成され、この作動液供給路64の一端部はカップリング部材63内に開放し、他端部は回転継手65、ホース66を介して従来公知の構成のダイヤフラム型制御絞り67の流出口67aに接続されている。このダイヤフラム型制御絞り67の流入口67bは、前記ポンプの吐出口に接続され、このポンプの吸入口は図示しない作動液タンクに接続されている。ダイヤフラム型制御絞り67は、基台6の端面に固定されている。なお、ダイヤフラム型制御絞り67は、操作に便なる場所に固定することが望ましい。
そして、前記作動液タンク内の作動液(油)が前記ポンプによりダイヤフラム型制御絞り67の流入口に供給される。該ダイヤフラム型制御絞り67により、ストッパー53とネジ軸57との対向面間の隙間δが一定に保たれるように作動液の圧力が自動的に絞られ、その作動液は流出口からホース66、回転継手65及び作動液供給路64を順次介して静圧軸受56のカップリング部材63内に供給される。カップリング部材63内に供給された作動液は、カップリング部材63の作動液流出孔63aから図示しない作動液回収回路を介して前記作動液タンク内に回収される。
次に、上記構成になる本実施の形態に係る球体の研磨装置の動作を説明する。球体の研磨加工動作は、上述した各実施の形態と同様であるが、本実施の形態特有の動作は、特に仕上げ加工工程時に、ストッパー53の先端面を受け部材55の先端面に当接させることにより、回転盤体1を軸方向に移動させるためのシリンダ機構(押圧機構)の押圧力に制限を加えて、加工圧力を微調整するようにしたことである。
即ち、サーボモータ62を一方向に回転させ、ピニオン歯車60、平歯車59、ネジ軸57及び静圧軸受56を介して、ストッパー53を図中左方向に移動させることにより、該ストッパー53の先端面を受け部材55の先端面に当接させる。これにより、受け部材55にかかる軸方向のスラスト力をストッパー53が受けることによって、前記シリンダ機構の押圧力の一部をストッパー53で受け止めることになり、加工圧力が微調整される。
受け部材55の先端面にストッパー53の先端面を当接させたとき、該ストッパー53は受け部材55により回転されるが、静圧軸受56により支持されているため、回転によりストッパー53のスラスト方向の負荷変動は殆どない。
このストッパー53の先端面を受け部材55の先端面に当接させる時点は、球体の寸法が所望寸法に近くなった時点をとり、下記(1)式を満足するように、ストッパー53のサーボモータ62への負荷、もしくはネジ軸57の先端面にかかる負荷をロードセル等の負荷検出器により検出し、この検出値に基づいてサーボモータ62を制御してストッパー53の位置を調整保持するものである。
fp=F0×k (0<K≦1) …(1)
図16は、本実施の形態に係る球体の研磨装置による仕上げ加工工程時の加工圧力を示す図であり、同図において、縦軸は回転盤体1を軸方向に移動させるためのシリンダ機構による負荷を、横軸は時間をそれぞれ示す。また、FOは仕上げ加工工程時に回転盤体1が前記シリンダ機構により付加される力、即ち、初期仕上げ加工工程時の加工圧力、fpはストッパー53をきかせたとき、即ち、ストッパー53の先端面を受け部材55の先端面に当接させたときの真の加工圧力、fsはストッパー53のストッパー力である。
図16中、前記シリンダ機構により付加される力FOは従来の仕上げ加工工程時の加工圧力であり、時間ロの時点で加工を終了する。また、時間イの時点はストッパー53をきかせた点、即ち、ストッパー53の先端面を受け部材55の先端面に当接させた点である。図16に示すように、球体にかかる加工圧力は、当初はFOであるがストッパー53をきかせた点、即ち、時間イの時点からはfpとなり、この時間イの時点から加工が進み球体の差が減少するのに従って加工圧力が徐々に減少する。
また、ストッパー53をきかせていることにより、加工中において両盤体1,2相互間に、多数のある値の球体(鋼球)中に前記ある値より少し径の大きい少数の球体(鋼球)が混在する場合、前記ある値より少し径の大きい球体には大きな加工圧力がかかって多く削ることができ、また、前記ある値の球体には小さな加工圧力がかかるため削り量は少なくなる。このような加工を繰り返すことにより、各球体相互間の寸法差の改善を有効に図ることができ、いわゆる研削作業にかけるスパークアウト状態を設けたことになる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態を図17に基づき説明する。図17は、本発明の第6の実施の形態に係る球体の研磨装置の要部を示す縦断面図であり、同図において、上述した第5の実施の形態における図15と同一部位には、同一符号が付してある。
図17において図15と異なる点は、図15の構成から軸受52、静圧軸受56、回転継手65、ホース66、制御絞り67を削除し、ネジ軸57の先端部に鋼球等よりなるストッパー53aをロー付け等により固定すると共に、受け部材55を回転盤体1の中心部にラジアル軸受68とスラスト軸受69を介して回転自在に支持したことである。スラスト軸受69は円筒状の転動体を有する円筒スラスト軸受であり、受け部材55が回転盤体1に対する回転を生じた場合、該受け部材55とストッパー53aとの当接部の左右方向の振れを極力小さくするため、前記転動体の寸法精度を厳格に選択したものである。
なお、本実施の形態におけるストッパー53aの移動動作及びそれに伴う作用効果は、上述した第5の実施の形態と同一であるから、その詳細説明は省略する。
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態を図18に基づき説明する。
本実施の形態は、固定盤体への環状溝成形方法を工夫することによって、予め固定盤体に成形される環状溝の中心と回転盤体の回転中心との偏心を極力小さくし、球体研磨工程における「盤ならし加工時間」の短縮を図ることができるようにしたものである。
図18は、本実施の形態に係る固定盤体への環状溝成形方法を説明するための球体の研磨装置の構成を示す概略側面図である。なお、図18において、上述した第5の実施の形態における図15と同一部分には、同一符号が付してある。
図18に示すように、研磨装置本体の回転盤体取付部である回転基礎盤体1aは、回転盤体1と同軸回転するものである。この回転基礎盤体1aから回転盤体1を取り外した後、この回転基礎盤体1aの固定盤体2との対向面に刃物台取付ベース70を図示しないボルト等により着脱自在に取り付ける。この刃物台取付ベース70に刃物台71を回転基礎盤体1aの回転軸線と直交する方向(図中、矢印方向)に移動可能に取り付ける。即ち、刃物台71の一側面に設けられた係合突部71aが刃物台取付ベース70の係合溝70aにスライド可能に係合されている。
また、刃物台71の中央部にボールネジ等からなるネジ棒72が螺合されている。このネジ棒72は刃物台取付ベース70の支持壁70bに回転可能に且つ軸線方向には移動不可能に支持されている。ネジ棒72の基端部(図においては下端部)には調整摘み72aが設けられ、この調整摘み72aを持ってネジ棒72を正逆回転させることにより、刃物台71が図中、矢印方向に移動して位置調整できると共に、調整後は、その位置に刃物台71を固定できるようになっている。刃物台71には、環状溝を切削加工するための刃物(切削工具)73が取り付けられている。固定盤上に加工される環状溝の深さはサーボモータ62により位置調整されたストッパー53と、回転基礎盤体1aに取り付けられた受け部材55を当接することにより決まる。
次に、固定盤体2に環状溝4を成形する手順について図18を用いて説明する。回転基礎盤体1aと固定盤体2との対向面間が開かれた状態で、図18に示すように回転基礎盤体1aの固定盤体2との対向面に、刃物台取付ベース70を介して刃物台71を取り付け、この刃物台71に刃物73を取り付ける。次に、調整摘み72aを持ってネジ棒72を正逆回転させることにより、刃物台71を図中矢印方向に移動させて刃物73の刃先位置を初期位置に調整固定する。なお、この刃物73の刃先調整位置は、固定盤体2を装置本体の固定盤取付部である支持部材7bに固定する前に印を付けておいてもよく、また、固定盤体2を支持部材7bに固定した後にスケール等で測定して決めてもよい。
次に、あらかじめ設定された回転基礎盤体1a上に設けられた刃物73の刃先位置と受け部材55の先端位置との相対関係と得ようとする環状溝の深さとからストッパー53の位置調整をサーボモータ62により行う。
回転基礎盤体1aを回転機構により駆動回転させ且つ案内スライド機構により固定盤2方向に移動させる。すると、刃物73が回転基礎盤体1aと一体回転しながら固定盤体2に近づくことにより、該刃物73により固定盤体2には、1本の環状溝が切削加工され、ストッパー53と受け部材55との対向面が当接することにより、環状溝の切削加工が完了する。
このようにして1本の環状溝の切削加工が完了したならば、図示しないダイヤルゲージ等により計りながら、刃物台71を所定のピッチずつ回転基礎盤体1aの径方向に移動させ、刃物73の刃先位置を調整固定した後、上記と同様の切削加工を繰り返す。
以上詳述したように、本実施の形態に係る固定盤体への環状溝の成形方法によれば、固定盤体2への環状溝は、回転盤体1の回転軸と同軸を使って切削加工されるため、回転盤体1の回転中心との偏心を生じることなく成形することができる。
なお、本実施の形態においては、回転基礎盤体1aには、これに装着される環状溝切削加工装置(刃物台取付ベース70、刃物台71、ネジ棒72及び刃物73)に対するバランスウエイトを取り付けることが望ましい。
本発明の第1の実施の形態に係る球体の研磨装置の構成を示す概略側面図である。 同装置の要部を断面した側面図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 同装置の加工圧力調整のための油圧回路構成を示すブロック図である。 同装置における各ロット毎の球体研磨加工曲線を示す図である。 従来装置における各ロット毎の球体研磨加工曲線を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る球体の研磨装置の概略側面図である。 同装置の要部を断面した側面図である。 図8のD−D線に沿う断面図である。 図8のE−E線に沿う断面図である。 同装置における真球度の分布を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る球体の研磨装置における静圧軸受に対する作動液供給回路の構成を示す図である。 同装置における各加工工程と静圧軸受への供給圧力との関係を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る球体の研磨装置における各加工工程と静圧軸受への供給圧力との関係を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る球体の研磨装置の構成を示す概略側面図である。 同装置における仕上げ加工工程時の加工圧力を示す図である。 本発明の第6の実施の形態に係る球体の研磨装置の構成を示す縦断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る球体の研磨装置における環状溝成形方法を示す図である。 従来の球体の研磨装置における要部の斜視図である。 従来の球体の研磨装置における球体加工圧力制御パターンと球体径寸法変化量の目標値を示す図である。 従来の球体の研磨装置の一例を示す縦断面図である。 従来装置の加工圧力のヒステリシスを示す図である。 従来装置における問題点を説明するための図である。 従来装置における問題点を説明するための図である。
符号の説明
1 回転盤体
1a 回転基礎盤体(回転盤体取付部)
2 固定盤体
3 球体
4 環状溝
7a 支持体(固定盤体取付部)
71 刃物台
73 刃物(切削工具)

Claims (2)

  1. 研磨装置本体の回転盤体取付部に回転可能に取り付けられた回転盤体と、前記研磨装置本体の固定盤体取付部に前記回転盤体と対向して非回転状態に取り付けられた固定盤体とを有し、前記回転盤体の前記固定盤体との対向面に設けられた環状溝と前記固定盤体の前記回転盤体との対向面に設けられた環状溝との間に球体を加圧挟持した状態で、前記回転盤体を回転することにより、前記球体を自転させながら前記環状溝を移動させて、前記球体を研磨加工する球体の研磨装置における前記固定盤体に前記環状溝を成形する環状溝成形方法であって、
    前記回転盤体に一体回転可能に切削工具を取り付け、前記回転盤体を回転させて前記切削工具により前記固定盤体に前記環状溝を成形することを特徴とする球体の研磨装置における固定盤体への環状溝成形方法。
  2. 研磨装置本体の回転盤体取付部に回転可能に取り付けられた回転盤体と、前記研磨装置本体の固定盤体取付部に前記回転盤体と対向して非回転状態に取り付けられた固定盤体とを有し、前記回転盤体の前記固定盤体との対向面に設けられた環状溝と前記固定盤体の前記回転盤体との対向面に設けられた環状溝との間に球体を加圧挟持した状態で、前記回転盤体を回転することにより、前記球体を自転させながら前記環状溝を移動させて、前記球体を研磨加工する球体の研磨装置における前記固定盤体に前記環状溝を成形する環状溝成形方法であって、
    前記回転盤体取付部は前記回転盤体と同軸回転する回転基礎盤体であり、該回転基礎盤体に一体回転可能に切削工具を取り付け、前記回転基礎盤体を回転させて前記切削工具により前記固定盤体に前記環状溝を成形することを特徴とする球体の研磨装置における固定盤体への環状溝成形方法。
JP2005270052A 1996-05-27 2005-09-16 球体研磨装置 Expired - Fee Related JP4055796B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005270052A JP4055796B2 (ja) 1996-05-27 2005-09-16 球体研磨装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15290596 1996-05-27
JP2005270052A JP4055796B2 (ja) 1996-05-27 2005-09-16 球体研磨装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9087220A Division JPH1044008A (ja) 1996-05-27 1997-03-24 球体の研磨方法及び装置並びに環状溝成形方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006043881A true JP2006043881A (ja) 2006-02-16
JP4055796B2 JP4055796B2 (ja) 2008-03-05

Family

ID=36023014

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005270052A Expired - Fee Related JP4055796B2 (ja) 1996-05-27 2005-09-16 球体研磨装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4055796B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016203361A (ja) * 2015-04-28 2016-12-08 株式会社ジェイテクト 球体研磨装置及び球体研磨方法
CN108857640A (zh) * 2018-07-24 2018-11-23 青岛千川木业设备有限公司 一种砂光机及砂光方法
CN109129115A (zh) * 2018-10-18 2019-01-04 无锡市星达石化配件有限公司 一种法兰盘加工过程中的打磨装置
CN113601391A (zh) * 2020-08-06 2021-11-05 天津大学 用于滚珠的滚动表面精加工的研具套件、设备及方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016203361A (ja) * 2015-04-28 2016-12-08 株式会社ジェイテクト 球体研磨装置及び球体研磨方法
CN108857640A (zh) * 2018-07-24 2018-11-23 青岛千川木业设备有限公司 一种砂光机及砂光方法
CN108857640B (zh) * 2018-07-24 2024-04-19 青岛千川木业设备有限公司 一种砂光机及砂光方法
CN109129115A (zh) * 2018-10-18 2019-01-04 无锡市星达石化配件有限公司 一种法兰盘加工过程中的打磨装置
CN113601391A (zh) * 2020-08-06 2021-11-05 天津大学 用于滚珠的滚动表面精加工的研具套件、设备及方法
CN113601391B (zh) * 2020-08-06 2022-07-15 天津大学 用于滚珠的滚动表面精加工的研具套件、设备及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4055796B2 (ja) 2008-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7182676B2 (en) Machining apparatus and machining method of work end face, roller and roller bearing
US6461228B2 (en) Grinding and polishing machines
US6796877B1 (en) Abrading machine
US5472371A (en) Method and apparatus for truing and trued grinding tool
KR101584265B1 (ko) 접시형 숫돌을 이용한 렌즈 구면의 연삭 가공 방법
EP2108480B1 (en) Grinding machine and grinding method
JP6171318B2 (ja) 静圧流体案内装置および静圧流体案内装置を用いた工作機械
JP5260237B2 (ja) 精密研削装置
US4760672A (en) Simultaneously grinding and polishing preforms for optical lenses
JP4055796B2 (ja) 球体研磨装置
JPH1044008A (ja) 球体の研磨方法及び装置並びに環状溝成形方法
JP2000246605A (ja) 内面研削方法
CN108942655B (zh) 静压滑动引导装置以及具备静压滑动引导装置的机床
JP3819530B2 (ja) 研削ホイール用超精密ツルーイング装置
US4763448A (en) Centerless grinding machine
JP3753770B2 (ja) 三次元微傾斜装置
JP3791292B2 (ja) 球体研磨装置の環状溝成形方法及び環状溝成形装置
JPH09225764A (ja) 高さ調整治具
CN110576388A (zh) 研磨装置
JP4462497B2 (ja) ドレス装置、研削装置、及びドレス方法
JP6497214B2 (ja) 球体研磨装置及びそのツルーイング方法
JP2000130432A (ja) 流体軸受及び研削盤
JPH08276338A (ja) 回転体の姿勢調整機構
JP2001326203A (ja) 超平坦化加工装置
JPS6328552A (ja) 非球面加工法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20060426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees