JP2006039007A - 反射防止部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の課題とするところは、十分な防汚性能と耐アルカリ性を有する反射防止部材とするものである。
【解決手段】 基材上に低屈折率層を含む反射防止層、防汚層を形成してなる反射防止部材であって、水に対する接触角が100°以上であり、かつオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする反射防止部材である。またこのようにすることで、1%のNaOH水溶液を滴下し1時間放置した後、滴下部を洗浄、乾燥した後の水に対する接触角が100°以上となり、耐アルカリ性に優れ、経時的な変化にも強いものであります。
【選択図】図1
【解決手段】 基材上に低屈折率層を含む反射防止層、防汚層を形成してなる反射防止部材であって、水に対する接触角が100°以上であり、かつオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする反射防止部材である。またこのようにすることで、1%のNaOH水溶液を滴下し1時間放置した後、滴下部を洗浄、乾燥した後の水に対する接触角が100°以上となり、耐アルカリ性に優れ、経時的な変化にも強いものであります。
【選択図】図1
Description
本発明は、表示装置等に用いる反射防止部材に関するものである。
反射防止膜は、液晶ディスプレイ、ブラウン管表示装置やプラズマディスプレイパネルなどの表示装置に応用されている。反射防止膜は表示装置に用いた時に一番前面に位置するため、大気中に浮遊するゴミや油分、人の手による指紋、油などにより、汚染されることがある。
そのため、反射防止膜の最表面にはフッ素化合物や、アルキルシラン化合物などの防汚層を設けることが知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、これら防汚層は耐汚染性は十分に満足していても、アルカリ耐性に乏しい。具体的には反射防止膜が金属酸化物からなる場合、ここれがアルカリにより劣化する、金属酸化物層と防汚層の界面が破壊されるなどの問題がある。
特開平10−195417号公報
特開2001−048590号公報
本発明は、十分な防汚性能と耐アルカリ性を有する反射防止部材の提供を目的とするものである。
請求項1記載の発明は、基材上に低屈折率層を含む反射防止層、防汚層を形成してなる反射防止部材であって、該防汚層の水に対する接触角が100°以上であり、かつオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする反射防止部材である。
請求項2記載の発明は、前記防汚層の、1%のNaOH水溶液を滴下し1時間放置した後、滴下部を洗浄、乾燥した後の水に対する接触角が100°以上であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止部材である。
請求項3記載の発明は、前記低屈折率層が2層からなることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止部材である。
請求項4記載の発明は、前記2層の低屈折率層のうち、防汚層側の低屈折率層が基材側の低屈折率より緻密であることを特徴とする請求項3記載の反射防止部材である。
請求項5記載の発明は、前記反射防止層が、高屈折率層及び/又は中屈折率層を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止部材である。
請求項6記載の発明は、基材と反射防止層の間に、ハードコート層、帯電防止層、防眩層から選ばれる1種以上の層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止部材である。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止部材を含む偏光板である。
請求項8記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止部材又は請求項7に記載の偏光板を有する表示装置である。
本発明では、光学膜などの金属層及び/又は金属酸化物層を含む機能膜上に防汚下地層を介して防汚層を設けることにより、耐アルカリ性に優れ、かつ撥水性、撥油性、指紋、油性インキ拭き取り性に優れ、良好な防汚性能を示す積層体とすることができるものである。
また、耐アルカリ性において、経時的な変化に強く、耐湿熱性にも優れるものである。
本発明に用いる基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、トリアセチルセルロース(TAC)などのプラスチック基材やガラス基材、或いは偏光板を基材として用いることができる。
また、さらに、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が含まれていてもよい。
また、基材表面に予めスパッタリング処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照射、電子線照射などのエッチング処理や、下塗り処理が施されていることが好ましい。基材の表面に前記処理が施されていれば、隣接する他の層に対する密着性を向上させることができる。
また、必要に応じて、基材は、表面に溶剤洗浄や超音波洗浄などの防塵処理が施されていてもよい。
本発明では、防汚層に接する表面側の低屈折率層を緻密にすることで、耐アルカリ性を有すると共に、防汚性能にも優れた反射防止材とすることができるものである。
本発明の反射防止層は、少なくとも低屈折率層を含むものであり、緻密な低屈折率層単層でも構わないし、低屈折率層と高屈折率層や中屈折率層を複数組み合わせ、表面側の低屈折率層を緻密にしたものでも構わない。
また、防汚層側の低屈折率層が2層からなり、防汚層と接する表面側の低屈折率層を緻密にしてもよい。
ここで、反射防止層の構成としては、例えば、低屈折率層単層又は、低屈折率層と高屈折率層、中屈折率層など複数の異なった屈折率を持つ層を組み合わせる構成が挙げられる。
ここで、図1〜3に層構成の一例を示す。
複数の異なった屈折率を持つ層を積層する反射防止層の構成は、基材側の前層に対し、相対的に高屈折率である層、もしくは低屈折率である層を交互に組み合わせ、基材/高屈折率層/低屈折率/高屈折率層/低屈折率といった構成で、光学膜厚が、基材側から(基材)/(約λ/8)/(約λ/8)/(約λ/4)/(約λ/4)となるような場合を挙げられる。ただしこの際、λ(nm)は反射防止効果を所望する波長とする。
また上記中屈折率層を用いる構成としては、基材/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の構成で、光学膜厚が、基材側から(基材)/(約λ/4)/(約λ/8)/(約λ/4)となるような場合を挙げられる。ただしこの際、λ(nm)は反射防止効果を所望する波長とする。
この低屈折率層のうち防汚層側(表面側)の低屈折率層が緻密な単層または2層からなり、表面側を緻密にするものである。
前記緻密な低屈折率層又は防汚層側に設ける低屈折率層としては、緻密であり屈折率1.2〜1.6のものであれば、特に限定するものではなく、金属酸化物材料を好適に用いることができる。
このようなものとしては、酸化珪素が挙げられる。
緻密な低屈折率層又は防汚層側に設ける低屈折率層の形成方法は、特に限定するものではないが、前述のような緻密な膜とするためには、以下の塗工法または気相法を用いることが好ましい。
塗工法としては、以下の原料を含む塗液を塗布、硬化する方法である。
原料としては、Si(OR)4(R:有機官能基)で表される珪素アルコキシド化合物からなる原料や、R’Si(OR)3(R、R’:有機官能基)からなるオルガノシラン化合物を用いることができる。
珪素アルコキシド化合物としては、Si(OCnH2n+1)4(n:1〜10の自然数)で表される化合物等が挙げられ、オルガノシラン化合物としては、(CmH2m+1)Si(OCnH2n+1)4(m、n:1〜10の自然数)で表される化合物などが挙げられる。
これらの原料と溶剤の混合液を用い、塗布、硬化させることにより形成することができる。溶剤としては、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブなどから選ばれる1種またはそれらの組み合わせを用いることができる。また、加水分解開始剤として、リン酸等を加えることができる。
またpH調整剤として、アンモニア又はリン酸などを添加しpHを調整しても良い。
また、硬化方法としては乾燥や熱、電離放射線、プラズマなどのエネルギーを与えることにより硬化させることができる。
ここで、緻密な低屈折率層又は防汚層側に設ける低屈折率層の材料としては、前記珪素アルコキシド化合物、オルガノシラン化合物をそれぞれ単独で用いても良いし、混合して用いることもできる。どちらの場合も緻密な低屈折率層又は防汚層側に設ける低屈折率層がSi−O−Si結合からなる緻密なマトリックスが形成され、その上に前述の防汚層が密に形成される。有機金属化合物を用いる場合、有機官能基R’が下地層に残り存在するため、ここには前記防汚層が結合しないが、この有機官能基R’は撥水性、撥油性を示し、有機官能基R’と近くに存在する防汚材料の防汚性の官能基がマトリックスの上に密に形成され防汚性、耐アルカリ性を発揮する。
また、気相法を用いる場合、化学蒸着法(CVD法)を用いることが好ましく、原料ガス、酸素ガス、希釈ガスなどをプラズマにより分解反応させ成膜することにより得られる。
原料ガスとしては前述の材料を気化して用いることができる。
CVD法により成膜する際、電極間に投入する電力は電極面積に応じて変化するため電極面積に応じて任意に設定でき、圧力1〜100Paの間で放電をすることで成膜することができる。
低屈折率層が2層からなる場合の基材側の低屈折率層または多層反射防止膜とする場合の基材側の低屈折率層としては、屈折率n=1.2〜1.6の材料が挙げられ、例えば酸化珪素やフッ化マグネシウムやフッ化カルシウムなどが挙げられる。
高屈折率層としては、屈折率1.8〜2.6のものであれば、特に限定するものではなく、金属酸化物材料を好適に用いることができる。
このようなものとしては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、インジウム酸化物、錫酸化物、インジウム酸化物と錫酸化物の複合酸化物などを挙げることができる。
中屈折率層としては、屈折率n=1.6〜1.9の中屈折率層としては、酸化アルミニウム、フッ化セリウムや、無機系バインダーに該バインダーの屈折率より高い屈折率を有する無機系粒子を分散させる方法、具体的には、例えば酸化珪素をバインダーとし、酸化珪素より高屈折率である酸化チタンをバインダーの酸化珪素に対し分散させるなどである。
これらの材料の形成方法としては、特に限定するものではなく、気相法やコーティング法など公知の手法で設けることができる。
気相法としては、蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法、CVD法に代表される各種成膜方法を用いることができる。
成膜速度の点から蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法を用いることが好ましい。
コーティング法を用いる場合は、金属アルコキシドを含む溶液を塗布、硬化させることにより形成することができる。
本発明の防汚層としては、撥水性、撥油性、低摩擦性を有していれば特に限定はするものではないが、フッ素含有珪素化合物からなるものが挙げられる。
フッ素含有珪素化合物としては、例えば、
Rf−(CH2)n−Si−(OR)3
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、R:有機官能基、n:自然数)
で表されるフルオロアルキルシラン等のシラン化合物等や、
Rf−(CH2)n−Si−(NH)1.5
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、n:自然数)
で表されるフルオロアルキルシラザンや、
Rf−(OC3F6)n−O−(CF2)m−(CH2)L−OOCNH−(CH2)s−Si(OR)3
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、n:自然数、m:0〜3の整数、L:0〜3の整数、s:1〜6の整数、Rはアルキル基)
等のオルガノポリシロキサン、
Rf−(OC3F6)n−O−(CF2)m−(CH2)L−O−(CH2)s−Si(R)3
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、n:自然数、m:0〜3の整数、L:0〜3の整数、s:0〜6の整数、Rは加水分解基)
等のパーフルオロポリエーテルシランなども挙げられる。
Rf−(CH2)n−Si−(OR)3
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、R:有機官能基、n:自然数)
で表されるフルオロアルキルシラン等のシラン化合物等や、
Rf−(CH2)n−Si−(NH)1.5
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、n:自然数)
で表されるフルオロアルキルシラザンや、
Rf−(OC3F6)n−O−(CF2)m−(CH2)L−OOCNH−(CH2)s−Si(OR)3
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、n:自然数、m:0〜3の整数、L:0〜3の整数、s:1〜6の整数、Rはアルキル基)
等のオルガノポリシロキサン、
Rf−(OC3F6)n−O−(CF2)m−(CH2)L−O−(CH2)s−Si(R)3
(Rf:炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、n:自然数、m:0〜3の整数、L:0〜3の整数、s:0〜6の整数、Rは加水分解基)
等のパーフルオロポリエーテルシランなども挙げられる。
また、これらの組み合わせからなる混合物でも構わない。
また、防汚層は水に対する接触角が100°以上、オレイン酸に対する接触角が70°以上であると良い。これ以下であると、撥水性、撥油性が不十分であり、防汚性能も不十分となる場合がある。
防汚層の形成方法は、特に限定するものではなく、気相法、塗工法のいずれを用いても構わない。
気相法としては、CVD法や、蒸着法を用いることができる。
塗工法としては、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法などが挙げられる。
塗工に用いる溶剤としては、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、メチルノナフルオロイソブチルエーテルやメチルノナフルオロブチルエーテルなどのフッ素系溶剤、メチルセロソルブなどから選ばれる1種またはそれらの組み合わせを用いることができる。また、加水分解開始剤として、リン酸等を加えることができる。
またpH調整剤として、アンモニア又はリン酸などを添加しpHを調整しても良い。
また、必要に応じて塗布後に乾燥や熱、電離放射線、プラズマなどのエネルギーを与えてもよい。
また、防汚層の膜厚は3〜50nmの範囲内、さらに好ましくは5〜15nmの範囲内であることが好ましい。3nm以下であると防汚性能、耐アルカリ性が不十分であり、50nm以上であると機械強度に乏しいものとなる。
なお、防汚層の膜厚は、機能層を反射防止層などの光学膜とする場合、光学膜と防汚下地層の光学膜厚を考慮し、全体として光学性能を出せるように設定する必要がある。
本発明は、防汚層の下層である低屈折率層が緻密であるために、この上に防汚層を設けることにより、アルカリなどに対する耐性が強くなるものである。また、防汚層をこのような低屈折率層の上に設けると防汚層自体も密に形成され、防汚性能も向上するものである。
低屈折率層と防汚層間のアルカリ耐性の弱さは、例えば低屈折率層が酸化珪素で防汚層がフルオロカーボンシランである場合、フルオロカーボンシランと酸化珪素の間などのSi−O−Si結合がアルカリに弱いことが原因であり、防汚層内にNaOH水溶液等のアルカリ水溶液が浸透する場合、簡単にSi−O−Si結合が加水分解し、防汚層が酸化珪素から脱離してしまうことにある。
このため、従来の例えば酸化珪素からなる低屈折率層を設け、その上に単純にフッ素を導入する方法などでは、ディスプレイ表面や眼鏡レンズ表面等の反射防止膜において十分な撥水性、防汚性、耐アルカリ性を付与することは出来ない。すなわち、防汚層内へのアルカリ水溶液や鼻脂成分の浸透を十分防ぐことは出来ず、特に時間が経過すると顕著になる。
このように、緻密な低屈折率層を設けることにより、防汚層が密に形成され、アルカリ成分、塩素成分が入り込むことができなくなり、防汚層の破壊、下層の劣化を防ぐことができるため、長時間防汚性能を保つことができる。
耐アルカリ性の目安として、防汚層の1%のNaOH水溶液を滴下し1時間放置した後、滴下部を洗浄、乾燥した後の水に対する接触角が100°以上であるとよい。この範囲であれば、実用段階で、アルカリ成分による防汚層の破壊がなく、長時間防汚性能を保つことができる。
また、緻密な低屈折率層と防汚層はCVD法により設ける場合、緻密な低屈折率層の原料ガスと防汚層の原料ガスの混合ガスを用いて、成膜しても良い。この場合、条件により緻密な低屈折率層と防汚層の成膜される速度は異なり、最初に緻密な低屈折率層が形成され、その上に防汚層を形成することができる。
塗工法を用いる場合も同様であり、緻密な低屈折率層の原料となる塗液と防汚層の原料となる塗液の混合液を塗布乾燥させることにより、緻密な低屈折率層と防汚層を設けても良い。この場合、原料の加水分解反応速度などの条件により、緻密な低屈折率層と防汚層の成膜される速度は異なり、最初に緻密な低屈折率層が形成され、その上に防汚層を形成することができる。
本発明では、基材と反射防止層の間にさらにハードコート層、帯電防止層、防眩層などを設けることができる。
本発明に用いるハードコート層は、公知の材料で公知の手法により設けることができる。
例えば、材料としては電離放射線硬化型のアクリル系樹脂や、酸化珪素などが挙げられ、形成方法としては塗工法が挙げられる。
電離放射線硬化型のアクリル系樹脂としては、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する多官能性モノマーを主成分とする重合物からなる。多官能性モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ−(メタ)アクリロイルオキシプロピオネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3−ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に紫外線硬化型であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のアクリル系や、有機珪素系の樹脂、熱硬化型のポリシロキサン樹脂等が好適である。前記多官能性モノマーは、1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、必要で有れば単官能モノマーが共重合していてもよい。
また、ハードコート層は、反射防止部材の透明性を確保するために、基材と屈折率が同等若しくは近似していることが好ましい。
ハードコート層の厚さは3〜20μmの範囲であれば充分な機械強度が発現するが、透明性、塗工精度、取り扱い性から、好ましくは5〜15μmの範囲である。
またハードコート層には屈折率調整剤や、帯電防止材、凹凸形成材などを添加することもできる。
ハードコート層は表面処理が施されていることが好ましい。表面処理が施されていることにより、隣接する他の層との密着性を向上させることができる。
ハードコート層の表面処理としては、例えば、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、蒸着法、スパッタリング法、アルカリ処理法、酸処理法、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ処理が好ましい。
アルカリ処理法に使用するアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液、それらに更にアルコール等の各種有機溶媒を加えたアルカリ水溶液等が挙げられる。アルカリ処理の条件は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、0.1〜10N、好ましくは1〜2Nの濃度の水溶液として使用するのがよい。また、アルカリ水溶液の温度は、0〜100℃、好ましくは20〜80℃である。アルカリ処理の時間は、0.01〜10時間、好ましくは0.1〜1時間である。ただし、このようなアルカリ洗浄を行った場合にはアルカリ成分が残留しないように充分に洗浄する必要がある。
本発明の帯電防止層としては、帯電防止材料を電離放射線硬化樹脂や酸化珪素からなるマトリックス中に含有させたものなどがあげられる。電離放射線硬化樹脂としては、前述のものと同様のものを用いることができる。酸化珪素としては、珪素アルコキシドを原料とし、ゾルゲル法により形成することができる。
また、前記ハードコート層に帯電防止材料を含有させることにより帯電防止効果をもたせてもよい。
帯電防止材料としては、酸化アンチモン系や酸化錫系の化合物が挙げられる。
本発明の防眩層は、電離放射線硬化樹脂に凹凸形成材を含有させたものや、電離放射線硬化樹脂表面に凹凸を形成させたものが挙げられる。電離放射線硬化樹脂としては、前述のものと同様のものを用いることができる。酸化珪素としては、珪素アルコキシドを原料とし、ゾルゲル法により形成することができる。
凹凸形成材料としては、粒径0.1〜10μmの樹脂や酸化珪素などの金属酸化物からなる粒子が挙げられる。
また、前記ハードコート層にこれら粒子を含有させたり、前記ハードコート層表面に凹凸を形成させることにより防眩効果を持たせても良い。
本発明で得られた積層体は、液晶表示装置やプラズマディスプレイなどの表示装置の前面板として用いることができる。
また、基材に偏光板を用いていれば、偏光板として用いることもできる。
基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に、膜厚5μmの電離放射線硬化型のアクリル系樹脂によるハードコート層を、ウェットコーティングにより成膜したものを用いることとした。また、このTACフィルムの屈折率nは1.49であった。
また、このハードコート層が成膜されたTACフィルム基材上に反射防止層を設けた。この反射防止層の形成方法としては、反応性スパッタリング法を用いて行なった。層構成としては、基材側から1層目にTiO2(屈折率2.3、nd=60nm)、2層目にSiO2(屈折率1.46、nd=40nm)、3層目にTiO2(屈折率2.3、nd=110nm)、4層目にSiO2(屈折率1.46、nd=145nm)とした。4層目のSiO2は2層構成とし、基材側の低屈折率層を光学膜厚nd=45nmとし、防汚層側の低屈折率層を光学膜厚nd=100nmとし合計で光学膜厚nd=145nmとなるようにした。
4層目の2層からなる低屈折率層の基材側の低屈折率層までの各層は、反応性スパッタリング法を用いた。ターゲット材としてTiO2ではTiを用い、SiO2ではSiを用いた。また、導入ガスは、ArガスとO2ガスの混合プラズマとして行ない、その際の成膜気圧は0.3Pa、基材―ターゲット間距離を100mmとして行なった。
次に防汚層側の緻密な低屈折率層、防汚層をプラズマCVD法を用い順次成膜した。
成膜前の真空排気度は、1×10−3Paとし、プラズマを発生させる方法として平行平板型の電極を用い、陰極は高密度のプラズマが発生させるためマグネトロン電極とし、電極間距離は40mmとした。また、プラズマ発生用Power Supplyには13.56MHzの高周波電源を用いて放電を行ない、反射防止層を積層したTAC基材は陽極上に設置した。
導入ガスは、防汚層側の緻密な低屈折率層の原料ガスとしてオルガノメトキシシラン(下記化学式(1))を用いることとし、防汚層の原料ガスとしてジーイー東芝シリコーン株式会社製のフルオロカーボンシランTSL8233(下記化学式(2))を用いて行なった。また、これら原材料とは別にArガスを導入して成膜を行なった。
(CH3)Si−(OCH3)3 (1)
C8F17−CH2CH2−Si(OCH3)3 (2)
この防汚層側の緻密な低屈折率層及び防汚層を成膜する際、それぞれのガスを真空チャンバーに導入する際には、マスフロコントローラーによりガス流量を制御し、一定の流量がチャンバーに導入されるようにして行なった。また、真空チャンバーは差動排気バルブが設置されており、ガス流量に対し、チャンバー内の気圧を任意の一定の状態に保つことが可能である。
C8F17−CH2CH2−Si(OCH3)3 (2)
この防汚層側の緻密な低屈折率層及び防汚層を成膜する際、それぞれのガスを真空チャンバーに導入する際には、マスフロコントローラーによりガス流量を制御し、一定の流量がチャンバーに導入されるようにして行なった。また、真空チャンバーは差動排気バルブが設置されており、ガス流量に対し、チャンバー内の気圧を任意の一定の状態に保つことが可能である。
防汚層はフルオロカーボンシランTSL8233が防汚層側の緻密な低屈折率層表面の吸着サイトを全面的に埋め尽くす状態、つまり膜厚としては、d=5〜10nm程度となるように成膜を行なった。これにより、反射防止としての性能は、反射Y値が0.4%より低い値に抑えられ、反射防止機能をもつこととなる。
この際、電極間に投入する電力は50Wとし、オルガノメトキシシランとArの混合ガス、TSL8233とArガスの混合ガスの圧力をそれぞれ5Paとし放電をさせた。
防汚層としてダイキン工業株式会社製オプツールDSXを真空蒸着法により成膜した以外は、実施例1と同様に行った。
4層目の2層からなる低屈折率層の基材側の低屈折率層までは実施例1と同様に行った。
次にマイクログラビア法を用いて防汚層側の緻密な低屈折率層、防汚層を順次塗工することにより形成した。
緻密な低屈折率層の塗液は、水、イソブチルアルコール、メチルセロソルブ、オルガノメトキシシラン(上記化学式(1))からなる混合液であり、防汚層の塗液は、水、イソブチルアルコール、メチルセロソルブ、フルオロカーボンシラン(上記化学式(2))からなる混合液であり、オルガノメトキシシラン、フルオロカーボンシランの加水分解開始剤としてリン酸を用いた。
この後、pH調整剤として、アンモニア、若しくはリン酸、またはその両方を入れ、調整したものを用いた。
防汚層側の緻密な低屈折率層の塗液は、固形成分=4wt%の薬液として作成し、防汚層側の緻密な低屈折率層の光学膜厚がnd=100nmとなるように、目標の塗工膜厚は1.7μmとし塗工し、加熱により硬化した。防汚層の塗液は、固形成分=0.1wt%の薬液として作成し、目標の塗工膜厚は7μmとし塗工し、加熱処理を施した。この結果、TAC基材上には、所望の分光カーブをもった反射防止層が可能となった。
3層目の高屈折率層までは実施例1と同様に行った。
その上に4層目の低屈折率層として、SiO2(屈折率1.46、nd=145nm)からなる緻密な低屈折率層を設けた。成膜方法は、上記化学式(1)で表されるオルガノメトキシシランを原料ガスとするプラズマCVD法を用いた。その上に、防汚層を、上記化学式(2)で表されるフルオロカーボンシランを原料ガスとしプラズマCVD法を用い、設けた。なお、CVD条件としては実施例1と同様にした。
3層目の高屈折率層までは実施例1と同様に行った。
その上に4層目の低屈折率層として、SiO2(屈折率1.46、nd=145nm)からなる緻密な低屈折率層をマイクログラビア法を用いて設けた。その上に、防汚層をマイクログラビア法を用いて設けた。
緻密な低屈折率層の塗液は、水、イソブチルアルコール、メチルセロソルブ、オルガノメトキシシラン(上記化学式(1))からなる混合液であり、防汚層の塗液は、水、イソブチルアルコール、メチルセロソルブ、フルオロカーボンシラン(上記化学式(2))からなる混合液であり、オルガノメトキシシラン、フルオロカーボンシランの加水分解開始剤としてリン酸を用いる。
この後、pH調整剤として、アンモニア、若しくはリン酸、またはその両方を入れ、調整したものを用いた。
緻密な低屈折率層の塗液は、固形成分=4wt%の薬液として作成し、防汚層側の緻密な低屈折率層の光学膜厚がnd=145nmとなるように塗工し、加熱により硬化した。防汚層の塗液は、固形成分=0.1wt%の薬液として作成し、目標の塗工膜厚は7μmとし塗工し、加熱処理を施した。この結果、TAC基材上には、所望の分光カーブをもった反射防止層が可能となった。
<比較例1>
実施例1と同様にTAC基材へハードコート層を設け、その上に1層目にTiO2(屈折率2.3、nd=60nm)、2層目にSiO2(屈折率1.46、nd=40nm)、3層目にTiO2(屈折率2.3、nd=110nm)、4層目にSiO2(屈折率1.46、nd=145nm)からなる反射防止層を反応性スパッタリング法を用いて設け、その上に防汚層を、真空蒸着方法を用い、ジーイー東芝シリコーン株式会社製のフルオロカーボンシランTSL8233(上記化学式(2))を成膜した。
<比較例2>
防汚層としてダイキン工業株式会社製オプツールDSXを真空蒸着法により設けた以外は比較例1と同様に行った。
<評価>
得られた実施例1〜5、比較例1、2のサンプルに対し、以下の(1)〜(6)の各テストを行ない、その性能を調べ、結果を表1に示した。
(1)水による接触角測定
(2)オレイン酸による接触角測定
(3)耐アルカリ性試験(1%のNaOH水溶液滴下)
(4)耐アルカリ性試験(5%のNaOH水溶液滴下)
(5)指紋拭き取り性試験
(6)油性インキ拭き取り性試験
(1)〜(4)の接触角は、協和界面化学株式会社製「接触角計CA−X」により測定した。(3)、(4)の耐アルカリ性試験は、それぞれ1、5%のNaOH水溶液をフィルム上に滴下し1時間放置した後、滴下部を純水で洗い流し、乾燥した後、純水による接触角測定を行ない評価した。
<比較例1>
実施例1と同様にTAC基材へハードコート層を設け、その上に1層目にTiO2(屈折率2.3、nd=60nm)、2層目にSiO2(屈折率1.46、nd=40nm)、3層目にTiO2(屈折率2.3、nd=110nm)、4層目にSiO2(屈折率1.46、nd=145nm)からなる反射防止層を反応性スパッタリング法を用いて設け、その上に防汚層を、真空蒸着方法を用い、ジーイー東芝シリコーン株式会社製のフルオロカーボンシランTSL8233(上記化学式(2))を成膜した。
<比較例2>
防汚層としてダイキン工業株式会社製オプツールDSXを真空蒸着法により設けた以外は比較例1と同様に行った。
<評価>
得られた実施例1〜5、比較例1、2のサンプルに対し、以下の(1)〜(6)の各テストを行ない、その性能を調べ、結果を表1に示した。
(1)水による接触角測定
(2)オレイン酸による接触角測定
(3)耐アルカリ性試験(1%のNaOH水溶液滴下)
(4)耐アルカリ性試験(5%のNaOH水溶液滴下)
(5)指紋拭き取り性試験
(6)油性インキ拭き取り性試験
(1)〜(4)の接触角は、協和界面化学株式会社製「接触角計CA−X」により測定した。(3)、(4)の耐アルカリ性試験は、それぞれ1、5%のNaOH水溶液をフィルム上に滴下し1時間放置した後、滴下部を純水で洗い流し、乾燥した後、純水による接触角測定を行ない評価した。
(5)の指紋拭取り性試験は、実際の鼻脂を用い、基材上につけた鼻脂の指紋をクリーンウエスで拭取り、その結果について目視での官能評価を行なった。
(6)の油性インキ拭取り性試験は、「寺西化学工業株式会社製油性インキインキ/細書き用」を用いて20mm線を引き、引いた線をクリーンウエスで拭取り、その結果について目視での官能評価を行なった。
テスト(5)、(6)の官能評価の基準を以下に○、△、×の三段階で以下に示す。
○:指紋を完全に拭取ることが出来る
△:指紋の拭取り跡が残る
×:指紋の拭取り跡が拡がり、拭取ることが出来ない
○:指紋を完全に拭取ることが出来る
△:指紋の拭取り跡が残る
×:指紋の拭取り跡が拡がり、拭取ることが出来ない
本発明実施例及び比較例に対し、下記(7)〜(9)のテストを行ない、この結果をそれぞれ下記の表2〜4に示し、時間軸に対する本発明の効果を示す。
(7)1%のNaOH水溶液滴下15分後、30分後、60分後、120分後の接触角測定(H2O)
(8)5%のNaOH水溶液滴下15分後、30分後、60分後、120分後の接触角測定(H2O)
(9)10%のNaOH水溶液滴下15分後、30分後、60分後、120分後の接触角測定(H2O)
(7)1%のNaOH水溶液滴下15分後、30分後、60分後、120分後の接触角測定(H2O)
(8)5%のNaOH水溶液滴下15分後、30分後、60分後、120分後の接触角測定(H2O)
(9)10%のNaOH水溶液滴下15分後、30分後、60分後、120分後の接触角測定(H2O)
1 基材
2 ハードコート層
3 低屈折率層
3a 緻密な低屈折率層
3b 通常の低屈折率層
4 高屈折率層
5 防汚層
2 ハードコート層
3 低屈折率層
3a 緻密な低屈折率層
3b 通常の低屈折率層
4 高屈折率層
5 防汚層
Claims (8)
- 基材上に低屈折率層を含む反射防止層、防汚層を形成してなる反射防止部材であって、該防汚層の水に対する接触角が100°以上であり、かつオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする反射防止部材。
- 前記防汚層の、1%のNaOH水溶液を滴下し1時間放置した後、滴下部を洗浄、乾燥した後の水に対する接触角が100°以上であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止部材。
- 前記低屈折率層が2層からなることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止部材。
- 前記2層の低屈折率層のうち、防汚層側の低屈折率層が基材側の低屈折率より緻密であることを特徴とする請求項3記載の反射防止部材。
- 前記反射防止層が、高屈折率層及び/又は中屈折率層を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止部材。
- 基材と反射防止層の間に、ハードコート層、帯電防止層、防眩層から選ばれる1種以上の層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止部材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止部材を含む偏光板。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止部材又は請求項7に記載の偏光板を有する表示装置。
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WO2018180504A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | グンゼ株式会社 | 反射防止フィルム |
JP2020527651A (ja) * | 2017-07-19 | 2020-09-10 | インテヴァック インコーポレイテッド | ナノラミネート光学コーティングを形成するためのシステム |
-
2004
- 2004-07-23 JP JP2004215522A patent/JP2006039007A/ja active Pending
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