JP2006010816A - 電子写真感光体、電子写真装置及び電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真装置及び電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 膜強度を高くすることによって耐摩耗性及び耐傷性を向上させるとともにトナーの転写性、クリーニング性を向上させ、かつ耐析出性が良好な電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、特定のフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置、更には該電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは特定の化合物を含有する感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置、及び該電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、電子写真感光体に用いられる光導電材料としては、セレン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛等の無機材料が知られていた。他方、有機材料であるポリビニルカルバゾール、フタロシアニン及びアゾ顔料等は高生産性や無公害性等の利点が注目され、無機材料と比較して光導電特性や耐久性等の点で劣る傾向にあるものの、広く用いられるようになってきた。
これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために、電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体として利用される場合が多い。一方当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。特に繰り返し使用される感光体の表面には、帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニングといった様々な電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化、例えば転写効率や滑り性の低下、更には感度低下、電位低下等の電気特性の劣化に対する耐久性も要求される。
一般に有機光導電材料を用いた電子写真感光体の表面層は、薄い樹脂層であり、樹脂の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が実用化されている。しかしながら、前述したような特性の全てがこれらの樹脂で満足されるわけではなく、特に、更なる高耐久化を図る上では樹脂の硬度は十分高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用に伴って表面層が摩耗したり、傷が発生することがあった。
また、近年の高感度化に対する要求から、電荷輸送物質等の低分子量化合物が比較的大量に添加される場合が多いが、この場合それら低分子量物質の可塑剤的な作用により膜強度が著しく低下するので、繰り返し使用時の表面層の摩耗や傷が一層顕著な問題となっている。また、電子写真感光体を保存している間に低分子量化合物が析出してしまうという問題も発生し易い。
これらの問題点を解決する手段として、硬化性樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いることが、例えば特開平2−127652号公報(特許文献1)等に開示されている。この件においては、電荷輸送層用の樹脂として硬化性樹脂を用い、電荷輸送層を硬化、架橋することによって、繰り返し使用時の耐削れ性及び耐傷性を大きく向上させている。
しかしながら、硬化性樹脂を用いても、低分子量化合物はあくまでも結着樹脂中において可塑剤として作用するので、先に述べたような析出の問題は根本的には解決されていない。また、有機電荷輸送物質と結着樹脂とで構成される電荷輸送層においては、電荷輸送能は樹脂に大きく依存し、例えば硬度が十分に高い硬化性樹脂では、電荷輸送能が低くなり易く、繰り返し使用時に残留電位が上昇し易い等、硬度と電子写真特性の両者を十二分に満足させるまでには至っていない。
また、特開平5−216249号公報(特許文献2)及び特開平7−72640号公報(特許文献3)等においては、電荷輸送層に炭素−炭素二重結合を有するモノマーを含有させ、電荷輸送物質の炭素−炭素二重結合を熱あるいは光のエネルギーによって反応させて、電荷輸送層を形成した電子写真感光体が開示されている。しかしながら、電荷輸送物質はポリマーの主骨格にペンダント状に固定化されているだけであり、先の可塑的な作用を十分に排除できないため機械的強度が十分ではない。また電荷輸送能の向上のために電荷輸送物質の濃度を高くすると、架橋密度が低くなり十分な機械的強度を確保することができない。更には、重合時に必要とされる開始剤類の電子写真特性への影響も懸念される。
また、別の解決手段として、例えば特開平8−248649号公報(特許文献4)においては、主鎖中に電荷輸送能を有する基を導入した熱可塑性高分子を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体が開示されており、従来の分子分散型の電荷輸送層と比較して析出に対しては効果があり、機械的強度も向上するが、あくまでも熱可塑性樹脂であり、その機械的強度には限界があり、樹脂の溶解性等を含めたハンドリングや生産性の面でも十分であるとは言い難い。
一方、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じて感度、電気的特性等種々の特性が要求されるが、近年市場に広がりつつあるカラー複写機やプリンターにおいては、これらの感光体への要求特性の中でも特に転写効率の改善や滑り性の付与及びその安定性向上が非常に重要であり、且つ期待されている。これはカラー複写機において複数のトナーを用い、転写工程が複雑になるためであり、またカラートナーのクリーニングがその組成の点から黒トナーよりも困難な場合があるためである。このような要求に対して、シリコン系やフッ素系の樹脂や化合物を感光体表面層へ添加する等、これまでにも数々の提案がなされているが、中でも感光体表面層としてPTFEを初めとするフッ素系樹脂粒子を分散させた層を形成する方法が知られており、一部実施されている。このような感光体表面層は表面の摩擦係数が低く、クリ−ニング性が向上し、摩耗に対する耐久性も良化する。またフッ素系樹脂はオゾン、NOx等による酸化劣化に対しても耐性が高いため繰り返し使用における転写効率、滑り性の維持にも効果がある。
しかしながら、フッ素系樹脂粒子を結着樹脂中に分散した表面層においては、表面に分散粒子が露出せず、又は露出していても凝集等により不均一に存在するため、フッ素系樹脂粒子の有する優れた耐汚染性、滑性、離型性などが得られなくなる場合があった。従って電子写真装置に感光体を装着し連続運転することにより、特に表面層上のフッ素系樹脂のない、又は少ない部分より表面汚染が進み、表面自由エネルギ−が増大して、その結果、離型性の低下(転写効率の低下およびそれに伴う画像不良)、表面滑性の低下(クリ−ニング性の劣化、トナ−付着)といった問題が生じる。
更に上述のような粒子を分散した表面層を有する感光体ではフッ素樹脂粒子と結着樹脂の屈折率の違いから、電子写真プロセス中の像露光による静電潜像形成において露光光を樹脂粒子が散乱し、結果として画像の鮮明度を低下させるという欠点があった。
特開平2−127652号公報 特開平5−216249号公報 特開平7−72640号公報 特開平8−248649号公報
本発明の目的は、従来の電子写真感光体が有していた問題点を解決し、膜強度を高くすることによって耐摩耗性及び耐傷性を向上させるとともにトナーの転写性、クリーニング性を向上させ、かつ耐析出性が良好な電子写真感光体を提供することにある。
本発明の別の目的は、繰り返し使用時における残留電位の上昇等の感光体特性の変化や劣化が非常に少なく、繰り返し使用時も安定した性能を発揮することができる電子写真感光体を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、上記電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、構造式(1)に示されるフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置である。
更に、本発明は、支持体上に感光層を形成する電子写真感光体の製造方法において、該感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、構造式(1)に示されるフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
以上のように、本発明の電子写真感光体は耐析出性、耐摩耗性、耐傷性、クリーニング性並びに転写性に優れた効果を有する。更に、感度や残留電位等の電子写真特性も非常に良好であり、また繰り返し使用時にも安定した性能を発揮することができる。
また、電子写真感光体の効果は、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置においても当然に発揮され、長期間高画質が維持される。
以下に本発明の詳細を説明する。
本発明における連鎖重合とは、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態を示し、詳しくは例えば技報堂出版 三羽忠広著の「基礎合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)P.24に説明されているように、その形態が主にラジカルあるいはイオン等の中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合等のことをいう。
連鎖重合性官能基とは、前述の反応形態が可能な官能基を意味するが、ここではその大半を占め応用範囲の広い不飽和重合あるいは開環重合性官能基の具体例を示す。
不飽和重合とは、ラジカル及びイオン等によって不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N、C≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cである。不飽和重合性官能基の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006010816
上記中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基及び置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基または水素原子等を示す。
開環重合とは、炭素環、オクソ環及び窒素ヘテロ環等のひずみを有した不安定な環状構造が、触媒の作用で活性化され開環すると同時に重合を繰り返し鎖状高分子物を生成する反応であるが、この場合基本的にはイオンが活性種として作用するものが大部分である。開環重合官能基の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006010816
上記中、R′は置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基及び置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基または水素原子等を示す。
上記で説明したような本発明に係る連鎖重合性官能基の中でも、下記の一般式(2)で示されるものが好ましい。
Figure 2006010816
式中、Eは水素原子、フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基及びフリル基等のアリール基、CN基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基、−COOR7及びCONR89を示す。
Wは置換基を有してもよい2価のフェニレン、ナフチレン及びアントラセニレン等のアリーレン基、置換基を有してもよいメチレン、エチレン及びブチレン等の2価のアルキレン基、−COO−、−CH2−、−O−、−OO−、−S−またはCONR10−で示される。
7、R8、R9及びR10は水素原子、フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基及び置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基を示し、R8とR9は互いに同一であっても異なってもよい。
また、fは0または1を示す。
E及びWが有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基等が挙げられる。
また、上記一般式(2)の中でも、更に特に好ましい連鎖重合性官能基としては、下記一般式(3)〜(7)で示されるものが挙げられる。
Figure 2006010816
本発明で用いる連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は分子内に正孔輸送性基を有する。正孔輸送性基は正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、連鎖重合性官能基を水素原子に置き換えた水素付加化合物(正孔輸送性化合物)として示せば、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体及びN−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の好ましい例としては本発明者らによる出願(特開2000-066425、特開2000-206715,特開2000-206716)に開示されているが、これらに限定されるものではない。
本発明の電子写真感光体の表面層は、上記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送化合物とともに、下記構造式(1)に示されるフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有する。
Figure 2006010816
(nは4以上、25以下の整数、X、Y、Zは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基又はCF3−基を示し、X、Y、Zは同一でも異なってもよい。)
上記フッ素原子含有化合物を連鎖重合性官能基を有する正孔輸送化合物に混合する効果は、放射線照射での該正孔輸送化合物の重合を阻害することなく、有効に滑り性、高転写性を付与することにある。該フッ素原子含有化合物と連鎖重合性官能基を有する正孔輸送化合物の混合物に放射線を照射すると、該正孔輸送化合物は3次元的に重合、架橋し、これをマトリックス樹脂として該フッ素原子含有化合物が分子分散状、又はサブミクロンの極細かい粒子状に分散されるとともに、一部のフッ素原子含有化合物は放射線照射によってラジカルとなり、それが重合反応の開始点となって重合物中に取り込まれる。該フッ素原子含有化合物は連鎖重合に対して不活性であり重合反応を阻害せず、且つ分子状、又は非常に細かい粒子状に分散されるため光散乱を起こさない。その結果、硬く耐久性の高い、且つ滑り性、高転写性を発揮する膜が形成される。更に該フッ素原子含有化合物の一部が正孔輸送化合物から成るマトリックス樹脂に結合するため膜中でフッ素原子含有化合物が安定的に存在し、そのために繰り返し使用時にも滑り性、高転写性の付与が安定的に行われるものと予想される。
連鎖重合性官能基を有する正孔輸送化合物と混合して有効に滑り性、高転写性を付与するためには、一つに分子中にフッ素原子含有の繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーであること、更にその繰り返し単位の繰り返し数が分子分散又は極微小の粒子分散となるのに適当な数であることが重要であった。
具体的には構造式(1)で示される構造が適当であり、特に式中のYが塩素原子である場合に効果が大きかった。また、分子中のフッ素原子含有の繰り返し単位の繰り返し数は4〜25が適当であり、その中での分子数が1500以下の化合物が最適であった。
更に該フッ素原子含有化合物をより細かくマトリックス樹脂中に分散し、分子分散に近づけてその滑り性、高転写性の付与効果を高める為には、該正孔輸送化合物との相溶性が重要であり、その目安としては、本発明者らの研究の結果、エタノールに対する溶解性が1重量%以上であることが必要であった。尚、溶解性の確認は23℃で行い、溶解の可否は目視で判断した。
本発明においては、連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の重合/架橋を放射線により行う。
放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な重合物の作製が可能となり、良好な電子写真特性を確保することができる。また、短時間で、かつ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高い。更に、放射線は透過性に優れるので、添加剤等の遮蔽物質が層中に存在したり厚い層を形成する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等も挙げられる。
但し、連鎖重合性基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内で重合開始剤を添加することは可能である。
使用する放射線としては、電子線及びγ線が挙げられるが、効率の点では電子線が好ましい。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。また、電子線を照射する場合に、本発明においては、電気特性及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは0.1Mrad〜50Mradの範囲、より好ましくは1Mrad〜30Mradの範囲である。加速電圧が300KVを超えると感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。また、線量が0.1Mradよりも少ない場合には架橋が不十分となり易く、50Mradを超えると感光体の感度特性や繰り返し使用時の電位の変動に放射線照射の影響が観察される場合がある。
本発明においては、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と前記構造式(1)で示されるフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合、架橋させることで、その感光体の表面層中において、正孔輸送能を有する化合物は架橋点をもって感光層中に共有結合を介して取り込まれる。前記正孔輸送性化合物は、それのみを重合、架橋させる、あるいは他の連鎖重合性基を有する化合物と混合させることのいずれもが可能であり、その種類/比率は全て任意である。ここでいう他の連鎖重合性基を有する化合物とは、連鎖重合性基を有する単量体、オリゴマー及びポリマーのいずれもが含まれる。
正孔輸送性化合物の官能基とその他の連鎖重合性化合物の官能基が、同一の基あるいは互いに重合可能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合3次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場合には、感光層は少なくとも二つ以上の3次元硬化物の混合物あるいは主成分の3次元硬化物中に他の連鎖重合性化合物単量体、あるいはその硬化物を含んだものとして構成されるが、その配合比率/製膜方法をうまくコントロールすることで、IPN(Inter Penetrating Network)、即ち、相互進入網目構造を形成することも可能である。
また、前記正孔輸送性化合物と連鎖重合性基を有しない単量体、オリゴマー及びポリマーや連鎖重合性以外の重合性基を有する単量体、オリゴマー及びポリマー等から感光層を形成してもよい。更に、場合によっては、3次元架橋構造に化学結合的に組み込まれない、即ち、連鎖重合性官能基を有しない正孔輸送性化合物を含有することも可能である。また、その他の各種添加剤、例えば酸化防止剤やシリコーン樹脂、フッ素原子含有樹脂粒子等の潤滑剤を含有してもよい。
本発明の感光体は、支持体上に感光層として電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を、この順に積層した構成あるいは逆に積層した構成、また電荷発生物質と電荷輸送物質を同一層中に分散した単層からなる構成のいずれの構成をとることも可能であるが、感度、残留電位等の電位特性やその安定性の点から積層構成が好適であり、その中でも特に積層型の電荷輸送層上に保護層を形成する構成が最も安定性、耐久性ともに優れていた。
電子写真感光体が有する支持体は、導電性を有するものであればよい。例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム状またはシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属泊をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独または結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
本発明においては、支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。下引き層は、これらの材料をそれぞれに適した溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は、0.1〜2μmであることが好ましい。
上述のように、積層型の感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層を有する。
電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えば、α、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
電荷発生層は、前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アドライダー及びロールミル等の方法でよく分散し、得られた分散液を塗布し、乾燥することによって形成されるか、前記電荷発生物質の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることが好ましい。
結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明における連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、前述した電荷発生層上に電荷輸送層として、もしくは電荷発生層上に電荷輸送物質と結着樹脂からなる電荷輸送層を形成した後に正孔輸送能力を有する表面保護層として用いることができる。この表面保護層は正孔輸送能力を有するので、感光層の定義の範囲内に含める。
いずれの場合も、前記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送化合物とともに、構造式(1)で示されるフッ素原子含有化合物とを含有する溶液を塗布後、重合/架橋反応させるのが好ましいが、前もって正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に、再度溶剤中に分散あるいは溶解させたもの等を用いて、表面層を形成することも可能である。
連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物を電荷輸送層として用いた場合の正孔輸送性化合物の量は、硬化後の電荷輸送層の全重量に対して、正孔輸送性基の水素付加物が20重量%以上、好ましくは40重量%以上含有されていることが好ましい。20重量%に満たないと電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、1〜50μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
正孔輸送性化合物を電荷発生層/電荷輸送層上の表面保護層として用いた場合、その下層に当たる電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラジン誘導体等の低分子化合物等を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選択できる)と共に溶剤に分散/溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者の全重量を100とした場合に電荷輸送物質の重量が20〜100であることが好ましく、特には30〜100であることが好ましい。電荷輸送物質の量が20に満たないと、電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなることが好ましく、特には5〜30μmであることが好ましい。
本発明においては上述のいずれの場合においても、連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の硬化物を含有する感光体の表面層に、前記電荷輸送物質を含有することが可能である。
単層型感光層の場合は、正孔輸送性化合物と電荷発生物質の両方を含有する溶液を重合/架橋することによって形成するか、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する単層型感光層上に正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合/架橋することによって形成する。
上記各層用の溶液を塗布する方法としては、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が挙げられるが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着、プラズマ、その他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されて行く。
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下、実施例に従って説明する。実施例中、「部」は重量部を表す。
(実施例1)
まず、導電層用の塗料を以下の手順で調製した。10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調製した。この塗料をφ30mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分乾燥して、膜厚20μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調製した。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥して、0.6μmの中間層を形成した。
次に下記構造式(A)のビスアゾ顔料5部、ポリビニルブチラール樹脂2部及びシクロヘキサノン60部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で24時間分散し、更にテトラヒドロフラン60部を加えて電荷発生層用塗料とした。この塗料を前記の中間層の上に浸漬コーティング法で塗布して、100℃で15分間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2006010816
次いで、下記構造式(B)の正孔輸送性化合物60部と
Figure 2006010816
及び下記構造式のフッ素原子含有化合物
Figure 2006010816
10部をモノクロロベンゼン30部/ジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗料を調製した。この塗料を前記の電荷発生層上にコーティングし、加速電圧120KV、線量15Mradの条件で電子線を照射し樹脂を硬化し、膜厚18μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
作製した電子写真感光体について、経時析出性、電子写真特性及び耐久性を評価した。経時析出性については、複写機用のウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体表面に圧接し、80℃で保存し析出性に対する加速試験を行った。評価は14日後に感光体表面を顕微鏡により観察し析出の有無を判定した。析出のない場合は、更に30日後まで試験を継続した。
電子写真特性、耐久性、クリーニング性、トナーの転写効率は、この感光体をキヤノン(株)複写機GP405を一次帯電ローラーの放電電流量を130μAとなるように改造した複写機に装着して評価した。ここで放電電流量を130μAに設定した理由は、一般に放電電流量を増加することによって耐久での感光体表面の滑り性の維持及び転写効率の維持はより困難となるため、より厳しい条件で滑り性及び転写効率を評価するためである。評価はまず初期の感光体特性〔暗部電位Vd、光減衰感度(暗部電位−700V設定で−150Vに光減衰させるために必要な光量)及び残留電位Vs1(光減衰感度の光量の3倍の光量を照射した時の電位)〕を測定し、更に10000枚の通紙耐久試験を行い、目視による画像欠陥の発生の有無の観察、感光体の削れ量及び耐久後の転写効率を測定した。転写効率は1ドット1スペースのハーフトーン印刷時の転写紙上のトナーと感光体表面に残留したトナーのマクベス濃度にて評価した。
結果を表1に示すが、本発明の感光体では析出は発生せず、また感光体特性が良好であり、耐久での削れ量が少なく、かつ耐久においてもクリーニング不良は見られず、耐久後も高い転写効率を維持しており良好な特性を示している。
(実施例2)
実施例1と同様にして電荷発生層まで形成した。
次いで、下記構造式(C)のスチリル化合物20部、
Figure 2006010816
及び下記構造式(D)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(数平均分子量20,000)10部
Figure 2006010816
をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。この時の電荷輸送層の膜厚は15μmであった。
次いで、実施例1で用いた正孔輸送性化合物60部及び下記構造式で示されるフッ素原子含有化合物
Figure 2006010816
15部をモノクロロベンゼン50部/メチラール50部の混合溶媒中に溶解し、表面保護層用塗料を調製した。この塗料をスプレーコーティング法により先の電荷輸送層上に塗布し、加速電圧150KV、線量5Mradの条件で電子線を照射し樹脂を硬化し、膜厚4μmの表面保護層を形成し、電子写真感光体を得た。この感光体を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
正孔輸送性化合物を下記構造式(E)で示される正孔輸送性化合物に変え、
Figure 2006010816
フッ素原子含有化合物を下記構造式
Figure 2006010816
で示されるものに変えた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例4〜8)
正孔輸送性化合物及びフッ素原子含有化合物を各々表2に示すように変えた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例9〜13)
電子線の照射条件を下表3に示したように変えた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果、削れ量、耐久画像は良好であったが、線量を1.0Mradより下げると若干削れ量が増加し、線量を30Mradより上げることで初期の電子写真特性において、若干の感度低下や残留電位の上昇が見られた。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして電荷発生層まで形成した。
次いで、構造式(C)のスチリル化合物15部及びポリメチルメタクリレート樹脂(数平均分子量40000)15部をモノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン20部の混合溶媒中に溶解して調製した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。この時の電荷輸送層の膜厚は15μmであった。
この電子写真感光体を実施例1と同様にして評価した結果、14日後に析出が見られた。一方、初期の電子写真特性は良好であったが、耐久での表面層の削れ量が多く、かぶり、傷等の画像欠陥が発生している。更に5000枚以降は削れによって電荷輸送層の膜厚が薄くなり、帯電不良が発生し、画像形成が不可能となった。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1で用いたポリメチルメタクリレート樹脂のかわりに構造式(D)で示されるポリカーボネート樹脂(数平均分子量20000)を用いた以外は、比較例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。その結果、30日後に析出が観察された。また、ポリメチルメタクリレート樹脂の場合に比べて、耐久性は若干向上したものの十分ではなく、やはり耐久後の画像欠陥は発生した。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2において表面保護層にフッ素元素含有化合物を含有しない他は実施例2と同様にして比較例3の感光体を作成し、評価した。その結果、析出は発生せず良好であり、初期の電子写真特性も良好であったが、約5000枚耐久後クリーニング不良による帯電ローラーの汚れが発生し、ハーフトーン画像において薄い画像欠陥が見られた。また10000枚後の転写効率は実施例と比較して低下が見られた。結果を表1に示す。
(比較例4、5、6)
実施例2において表面保護層に構造式(1)のフッ素原子含有化合物の代わりにそれぞれポリテトラフルオロエチレン粒子(数平均分子量:40000、エタノールへの溶解性0.01wt%以下、数平均粒径:0.2μm)、実施例1で用いたフッ素原子含有化合物と同じ繰り返し単位で平均繰り返し数200のもの(数平均分子量:25000、エタノールへの溶解性0.01wt%以下、平均粒径:0.25μm)、実施例1で用いたフッ素原子含有化合物と同じ繰り返し単位で繰り返し数3のもの(エタノールへの溶解性10wt%以上)に変えたほかは実施例2と同様にして比較例4、5、6の感光体を作成し、評価した。その結果、比較例4、5、6いずれの場合も析出は発生せず良好であり、初期の電子写真特性も良好であったが、10000枚耐久終了時にはクリーニング不良による一次帯電ローラーの汚れが生じ、ハーフトーン画像において薄い画像欠陥が見られまた、転写効率は引く例に比べて低い値を示した。結果を表1に示す。
Figure 2006010816
Figure 2006010816
Figure 2006010816
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図。

Claims (16)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、下記構造式(1)に示されるフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2006010816
    (nは4以上、25以下の整数、X、Y、Zは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基又はCF3−基を示し、X、Y、Zは同一でも異なってもよい。)
  2. 構造式(1)で示されるフッ素原子含有化合物において少なくともYが塩素原子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 構造式(1)で示されるフッ素原子含有化合物において分子量が1500以下であることを特徴とする請求項1、2に記載の電子写真感光体。
  4. 構造式(1)で示されるフッ素原子含有化合物がエタノールに対して1wt%以上溶解することを特徴とする請求項1〜3に記載の電子写真感光体。
  5. 電子写真感光体が導電性支持対上に感光層、表面保護層をこの順に積層した感光体であり、該保護層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、構造式(1)に示されるフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化した化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記保護層が、少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、構造式(1)に示されるフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物をアルコール溶剤に溶解した溶液を用いて感光層上に塗膜形成されることを特徴とする請求項1〜5に記載の電子写真感光体。
  7. 該連鎖重合性官能基が下記一般式(2)で示される不飽和重合性官能基である請求項1〜3に記載の電子写真感光体。
    Figure 2006010816
    (Eは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基及び置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR1(R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基及び置換基を有してもよいアリール基)、CONR23(R2、R3は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基及び置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を示す;Wは置換基を有してもよい2価のアリール基又は置換基を有してもよい2価のアルキレン基、−COO−、−CH2−、−O−、−OO−、−S−、−CONR4−(R4は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有しても良いアリール基)を示す;fは0又は1を示す)
  8. 該連鎖重合性官能基が下記式(3)〜(7)のいずれかである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 2006010816
  9. 該連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物である請求項1〜8記載の電子写真感光体。
  10. 該放射線が電子線である請求項1〜6記載の電子写真感光体。
  11. 電子線の照射量が1〜30Mradの範囲である請求項1〜10記載の電子写真感光体。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくともひとつの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  13. 前記プロセスカートリッジが複数のトナーを用いるカラー電子写真装置に用いることを特徴とする請求項12に記載のプロセスカートリッジ。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  15. 該電子写真装置が複数のトナーを用いるカラー複写機又はプリンターであることを特徴とする請求項14記載の電子写真装置。
  16. 支持体上に感光層を形成する電子写真感光体の製造方法において、該感光体の表面層が少なくとも連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物と、構造式(1)に示されるフッ素原子含有の繰り返し単位を持つフッ素原子含有化合物とを含有する混合物を放射線照射により重合あるいは架橋することにより硬化する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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