JP2006009921A - 伝動用無端ベルト及び無段変速機 - Google Patents

伝動用無端ベルト及び無段変速機 Download PDF

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正広 長谷部
Hisanori Shirai
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Abstract

【課題】変速機用の無端ベルトの騒音を低減する。
【解決手段】異なるピッチの長さ比、および長いピッチの数の、ベルト全ピッチ数に対する割合を多数変化させて騒音についてシミュレーションを行った結果、長短ピッチの差を小さい値から大きい値に変化させると、1次、2次、3次ピーク騒音とともにオーバオール騒音も小さくなる、また、長いピッチ数の全ピッチ数に対する割合も特定の範囲でオーバオール騒音が小さくなることが解かった。これらの知見に基づき、リンクプレートは、隣接するジョイントピンの間の距離で定義されるピッチが長いリンクプレートと短いリンクプレートと有し、長いピッチは短いピッチの1.1倍以上1.3倍以下の長さとし、前記無端ベルトにおける長いピッチの数は全ピッチの数の30%以下で構成することによって騒音を低減した無端ベルトおよび無段変速機を実現できる。
【選択図】 図9

Description

本発明は、ベルト式無段変速機の伝動用無端ベルトに係り、詳しくは、並行軸配置の2つのプーリ間に巻き掛けて両プーリ間でトルクを伝達させるべく、多数のリンクプレートをジョイントピンにより無端状に連結した形式の伝動用無端ベルト、および当該無端ベルトを用いた無段変速機に関する。
無段変速機(CVT)の一形式として、並行軸配置の2つのプーリの間に無端ベルトを巻き掛けてトルクを伝達するベルト式無段変速機がある。無端ベルトを用いた無段変速機では、平行な回転軸上の一対のプーリ(プライマリプーリとセカンダリプーリ)の壁面の間隔を変化させることで回転軸中心から無端ベルトがプーリ壁面に巻きつく位置までの距離を変化させることで変速が実現される。
この種のベルト式無段変速機の伝動用無端ベルトとしては、種々の形式のものがあるが、それらのうちの一形式として、多数のリンクプレートをジョイントピンにより無端のチェーン状に連結した形式のものがある。そしてベルトがプーリに噛み込む際、ジョイントピンの端面がプーリ壁面に接触し、ジョイントピン端面とプーリ壁面との摩擦力によりプーリからベルトへ動力が伝達される。
このタイプのベルトでは、プーリの壁面にジョイントピンが周期的に接触することとなる。その結果、この周期的な接触による衝撃が起振力となり、ベルト自身もしくはプーリに、この周期に相当する周波数にピークを有する騒音が発生する。
この騒音の周波数は、隣接する2つのジョイントピンの間隔(ピッチ)が一定であるために生じるもので、そのため、ピッチを不等間隔にして騒音のピーク値を低減させる技術が提案されている(特許文献1)。ピッチを不等間隔とすると、プーリにジョイントピンが接触する周期が一定でなくなるため、特定周波数の騒音のピーク値は下がることが知られている。
特開平10−122307号公報(請求項45)
しかし一方、ピッチはできるだけ短い方が良い。ピッチが長くなると、ジョイントピンがプーリに噛み込んでから次のジョイントピンが噛み込むまでの間にプーリが回転する角度が大きくなり、その間、プーリの回転に伴ってベルトが上下動を起こし、これが振動騒音の原因となるからである(ピッチが長いことによりベルトが上下動することは多角形効果と呼ばれている)。
従って、ピッチを不当間隔とすると、長いピッチと短いピッチが混在することになり、不用意に長いピッチを設定すると、多角形効果によりベルトが上下に振動することによる騒音が大きくなる。さらにベルト全体のピッチ数のうち長いピッチの割合を多くすると、その騒音は大きくなる傾向がある。
また、ピッチを不等間隔にすると、特定周波数にピークを有する騒音(以下1次ピーク値騒音と称する)のピーク値は下がるが、全周波数域に渡って発生する騒音(以後、オーバオール騒音と称する)は大きくなる傾向がある。さらに特定周波数の高次の周波数の騒音も無視できない。無端ベルトを含む変速機全体としては、体感する騒音として、ある特定周波数の騒音と、周波数は特定できないが全体的に聞こえる騒音(オーバオール騒音)とがあり、両者をともに低減する必要がある。これまではピッチ間隔を不等間隔とすることで1次のピーク値騒音を低減する技術はあった。しかしオーバオール騒音や高次のピーク周波数の騒音など騒音全体を考慮してベルトひいては無段変速機全体の騒音を低減することは考慮されていなかった。
また、騒音低減に対して異なるピッチの長さ比を、それぞれの長さのピッチをどの程度の割合でベルトを構成したら効果的に騒音を低減できるか、という観点での検討はされていなかった。
本願発明は、上記問題点に鑑み、ピーク値騒音、オーバオール騒音を考慮して騒音全体を低減させることのできる無端ベルト、および無段変速機を提供することを目的とする。
本発明は、2つのプーリ間でトルクを伝達する、ジョイントピンで互いに回転自在に連結された複数のリンクプレートを有する伝動用無端ベルトにおいて、前記リンクプレートは、隣接するジョイントピンの間の距離で定義されるピッチが長いリンクプレートと短いリンクプレートとからなり、リンクプレートの走行方向側面からみた長いピッチ部分と短いピッチ部分のベルト全体の合計数に対する長いピッチ部分の数の比率が20%から40%であることを特徴とする。例えば、100本のジョイントピンで構成される無端ベルトの場合、ピッチは100箇所構成される。本願発明では、100箇所のピッチのうち、20箇所乃至40箇所のピッチを長いピッチで構成するものである。
また、長いピッチは短いピッチの1.1倍以上1.3倍以下、より好ましくは1.15倍以上1.25倍以下の長さとし、前記無端ベルトにおける長いピッチの数は全ピッチの数の35%以下、より好ましくは25%以下で構成されることを特徴とする。ここにおいて、前記ジョイントピンは一対の2本のピンで構成され、前記ピッチは、一対のピンとこれに隣接する一対のピンとの間の距離として定義されてもよい。
本願発明者らは、異なるピッチの長さ比、および長いピッチの数の、ベルト全ピッチ数に対する割合を多数変化させて、発生する騒音について多くのシミュレーションを行った。その結果、1次、2次、3次ピーク騒音およびオーバオール騒音と、ピッチ長さ比および長いピッチの数の割合とに相関関係があることを見出した。相関の概要は以下の通りである。すなわち、長短ピッチの差を小さい値から大きい値に変化させると、1次、2次、3次ピーク騒音は、次第に騒音値が低下し、ある値から先は次第に大きくなり(極小値をとる)、一方オーバオール騒音は、ピッチの差を大きくするにしたがって大きくなる、ということが解った。また、長いピッチ数の全ピッチ数に対する割合も、多くするにしたがって、1次、2次、3次ピーク騒音は極小値をとり、オーバオール騒音は、次第に大きくなることが解った。これらの知見に基づき、無端ベルト全体に含まれる長いピッチの数を全ピッチの数の20%から40%の割合で構成することによって、ベルトノイズの1次、2次、3次ピーク騒音の和を効果的に低減することができる。さらに、長いピッチは短いピッチの1.1倍以上1.3倍以下、より好ましくは1.15倍以上1.25倍以下の長さとし、前記無端ベルトにおける長いピッチの数は全ピッチの数の35%以下、より好ましくは25%以下で構成することによって、1次、2次、3次ピーク騒音とともにオーバオール騒音も効果的に低減することができる。そして上記構成の無端ベルトを無段変速機に組み込むことで騒音の小さい無段変速機を提供することができる。
本発明は、2つのプーリ間でトルクを伝達する、ジョイントピンで互いに回転自在に連結された複数のリンクプレートを有する伝動用無端ベルトであって、前記リンクプレートは、隣接するジョイントピンの間の距離で定義されるピッチが長いリンクプレートと短いリンクプレートとからなり、ピッチが長いリンクプレートにおけるピッチはピッチが短いリンクプレートにおけるピッチの1.1倍以上1.3倍以下、より好ましくは1.15倍以上1.25倍以下の長さとし、前記無端ベルトにおける長いピッチの数は全ピッチの数の30%以下、より好ましくは25%以下で構成されることが好ましい。
図1に無端ベルトの構造を部分側面図を示す。無端ベルト1はリンクプレート2が交互に積層され、その重なった部分にジョイントピン3a、3bが嵌挿され、ジョイントピン回りに隣接するリンクプレートが回動自在となっている。図1ではひとつのジョイントが2本のジョイントピン3aおよび3bの一対で構成されたものが示されている。一対でひとつのジョイントを構成するのは、一対のジョイントピンの一方がひとつのリンクプレートに嵌め込まれ、他方のジョイントピンは隣接するリンクプレートにはめ込まれており、一対のジョイントピンが互いに転動しあうことで、リンクプレートとジョイントピンとの間に摩擦を生じることなくリンクプレート同士が回転できるようにするためである。なお、本願発明の趣旨においては、ジョイントピンが1本で構成されていても一対で構成されていてもかまわない。
図1の無端ベルト1を上面から見た構造を図2に示す。複数のリンクプレート2が交互に積層され重なり合った部分にジョイントピン3a、3bが嵌挿され、これらが連なって無端ベルトを構成している。ジョイントピン3a、3bの長さは積層されたリンクプレート全体の厚さより長くなっており、ジョイントピンの端面4a、4bがプーリ壁面に接触し、プーリからベルトへトルクが伝達される。図2では一対のジョイントピン3a、3bでひとつのジョイントを構成する例を示してある。ここでピッチとは、隣接するジョイントピンの間の距離で定義される。一つのジョイントが一対のピンで構成さる場合は、一対のピン同士が接する位置から、隣り合う次の一対のジョイントピンが接する位置までで定義され、図2のL1およびL2がピッチとなる。
図1に戻り、前述したように無端ベルト1はジョイントピン3a、3bの端面がプーリに接触し、巻き込まれる。図1では点Oを軸心とした図示しないプーリに無端ベルト1が巻き掛けられる様子を示すため、図の左側でベルトが屈曲した状態が描かれている。ここで図のPで示した位置のジョイントピンがプーリに接触したとすると、プーリの回転に伴って、このジョイントピンがQで示した位置まで回転したときに、もともとRで示した位置にあったジョイントピンがPの位置まで移動してプーリに接触することになる。すなわちジョイントピンは断続的にプーリに接触することになり、その周期は、プーリの回転数と、隣接するジョイントピンの間の距離、すなわちピッチによって決定される。ピッチが一定であると、ジョイントピンがプーリに接触する時間周期が一定となり、この一定周期の衝撃が加振源となり、プーリもしくはベルト自体に振動が生じ、加振周期の逆数で表される周波数にピークを有する騒音が生じることとなる。
この特定周波数の騒音のピーク値を低減するには、前述したようにピッチを不等間隔とすればよい。具体的には図1および図2に示すように、L1、L2で示す2種類のピッチを与えれば、異なる周期でジョイントピンがプーリに接触することとなり、特定周波数の騒音のピーク値を低減することができる。この関係から、リンクプレート2の走行方向側面からみた長いピッチ部分と短いピッチ部分とは、リンクプレートを図1に示すように紙面方向にみた状態での、ピッチL2とピッチL1ということになる。
なお、図1は一対のジョイントピンでひとつのジョイントを構成する例であるが、一対のジョイントピンは、ベルトの長さに対して非常に近接しているため、一対のピンが連続してプーリに接触することに起因する騒音は無視できるものとし、一対のピンが仮想的に1本のピンとしてプーリに接触するものとして考える。
図3に騒音の周波数応答の模式図を示す。通常、騒音はジョイントピンがプーリに接触する周期に相当する1次周波数、およびその高次数にピークを有する波形を示す。実線で示すグラフが等ピッチ間隔の無端ベルトの騒音波形の模式図であり、ピッチを不等間隔とすると、点線で示すようにピーク値は低減することができる。しかしピーク値の低減は、ピーク値周辺の裾野が広がることでピーク値が低下しているのであって、周波数全域に渡る騒音(オーバオール騒音)全体が低減されているわけではない。
ここでオーバオール騒音とは、周波数分析された全周波数域のパワー値の積和として定義される。これは、時間領域で捉えると、計測時間中の測定騒音データの2乗平均値に一致する。すなわち、オーバオール騒音は、人間には周波数が特定されず、全体的な音として可聴される騒音を示す指標である。「全体的な音」とは表現が適切ではないが、ここでは人間が聴いても周波数を特定できない騒音、と定義することとする。
無端ベルトを含む無段変速機の騒音を低減するには、1次から3次程度のピーク値とともにオーバオール騒音をも低減する必要がある。
次に本願の発明者らが行った、ピッチ長さ比、長いピッチ数のベルト全体のピッチ数に占める割合をパラメータとした騒音のシミュレーションについて説明する。
シミュレーション方法の概要は以下の通りである。実際の騒音の現象は、プーリの回転に伴ってベルトのジョイントピンの端面が順次プーリに接触し、これが強制加振源となって振動、騒音が生じるものである。この現象を数値的に模擬する方法として、隣接したジョイントピンが2本、プーリに接触した場合に、そのピッチ長さを一波長とする振動が生じるものとする。この振動に所定の減衰係数(具体的には1回の加振で生じる振動が5回振動する間にその振幅が対数的に1/1000となるよう減衰係数を設定した)を乗じてひとつの振動を数値的に表現する。プーリの回転に伴い所定のピッチを有するジョイントピンが連続的にプーリに接触するので、連続したジョイント2本でひとつの振動が定義され、この振動が連続して発生することになる。
次に振動の振幅の算出方法について図4を参照して説明する。図4では説明を簡単にするため、隣接するリンクプレートを連結する各ジョイントピンは1本(図4の3c、3d)で構成されるとする。プーリに噛み込んだジョイントピン3cは、今、プーリの回転に従って回転半径RPIN(図中の記号Oはプーリ回転中心を示す)で軌跡RTを描いて移動する。ジョイントピン3cと、その次に噛み込むジョイントピン3dは、リンクプレート(図4ではリンクプレートは模式的に太線5で表してある)で拘束されている。従ってジョイントピン3cの次にプーリに噛み込むジョイントピン3dは、直前に噛み込んだジョイントピン3cの動きに同期し、ジョイントピン3dがジョイントピン3cの軌跡RT上に到達した時にプーリに噛み込まれる。噛み込まれる直前のジョイントピン3dの速度ベクトルV3dは、一つ前に噛み込まれたジョイントピン3cの速度ベクトルV3cと同じになる。この後、噛み込まれた直後のジョイントピン3dはプーリの回転に従うため、半径RPINのジョイントピン3cの軌跡RTの接線方向にその速度ベクトルVPRを有することとなる。即ちジョイントピン3dは、その速度ベクトルがV3dからVPRに瞬時に変化させられる。このときの相対速度による運動エネルギーがプーリまたはベルトに振動を与える加振力になると考えられる。そこで、この相対速度による運動エネルギーが振動の振幅の大きさを決定する主因であるとする。また運動エネルギーは速度の二乗に比例する。
次にこの相対速度の算出について説明する。ジョイントピン3dが噛み込む瞬間は、プーリ回転中心Oを通り、ジョイントピン3cと3dを結ぶ直線(図4のリンクプレートを模式的に表した太線5)と直交する垂線VLに対してジョイントピン3cと3dは対称な位置関係となる。このときジョイントピン3cと3dは一つのリンクプレートに拘束されて移動することから、速度ベクトルV3cとV3dは等しくなる。さらに、速度ベクトルV3cとVPRは、ともに半径RPINを半径とする円弧状の軌跡RTの接線方向を向くことから、ジョイントピン3cの噛み込まれる前後の速度ベクトルV3dとVPRは太線5に対して対称となる。図中リンクプレートを模した太線5の方向をX軸とし、これに垂直にY軸をとると、速度ベクトルVPRとV3dのそれぞれのX軸成分は等しくなる。従ってジョイントピン3dの噛み込み前後の速度差は、速度ベクトルVPRとV3dのY軸成分の和となる。図の幾何学的関係から、X軸と、速度ベクトルV3cが成す角θV3c、速度ベクトルV3dが成す角θV3dおよび速度ベクトルVPRが成す角θVPRは等しい。また、ジョイントピン3cと3dがプーリ回転中心Oを挟んで成す角θPTはθV3dの2倍となる。これらの幾何学的関係、さらにジョイントピン3cと3dの距離即ちピッチ長さをLとすると、θV3d=θVPR=θPT/2であり、またsin(θPT/2)=(L/2)/RPINである。以上より、ジョイントピン3cの噛み込み直前の速度ベクトルV3dのY方向成分は、V×sin(θV3d)=V×(L/2)/RPINとなる。一方ジョイントピン3dの噛み込み直後の速度ベクトルVPRのY方向成分は、噛み込み直前の速度ベクトルV3dのY成分に対して大きさが同じで逆向きとなる。ここでVは速度ベクトルV3d,VPRの大きさの絶対値を表す。従ってジョイントピン3dの噛み込み前後の速度差は、2×V×(L/2)/RPIN=V×L/RPINで表せることとなる。
以上の説明より、また運動エネルギーは速度の二乗に比例することから、プーリまたはベルトの振動の振幅はピッチ長さLの二乗に比例することが分かった。説明は省略するがこのことは、異なるピッチ長さでプーリに噛み込む場合も同様となる。シミュレーション上では、上記説明を根拠として、プーリまたはベルトの振動を模擬する際の振幅大きさは、ピッチ長さLの二乗に比例させることで、ピッチ長さの変化に対する相対的な振幅の変化を模擬することができる。
無端ベルトがプーリを1周する間、上記振動を発生させ、それらの振動を合成したものがプーリ/ベルトに生じる振動であり、騒音と等価であると仮定する。
次にシミュレーションの結果を説明する。図5は、縦軸に、シミュレーションによる騒音波形の1次、2次、3次のピーク値を加えた値をとり、横軸は、ベルト全体のピッチの総数に対する長いピッチの数の割合(配分率)をとってある。例えばベルト全体が100本のジョイントピンで構成されると仮定すると、配分率20%とは20のピッチが長いピッチを有し、残りの80のピッチが短いピッチを有することを表す。
また各グラフは、短いピッチに対する長いピッチの長さ増加分を5%(すなわち短いピッチが100mmであれば長いピッチは105mmとなることを表している)から50%まで5%刻みで変化させたものをプロットしてある。図の凡例では、長いピッチが短いピッチに対して5パーセント長い場合を「ロング長5%UP」と表してある。縦軸に1次、2次、3次の騒音のピーク値の和をとったのは、実機での試験において3次ピークの騒音までが顕著で、それより高次の騒音は、低次の騒音に比べて非常に小さかったからである。
図5より、長短ピッチの差がいずれであっても、長いピッチの配分率が20%から40%(図に両方向矢印でその範囲を示す)程度で騒音の大きさは極小値をとり、配分率が多くなると騒音の大きさが再び増加することがわかる。すなわち、いずれのピッチ差においても、ベルトのピッチ数全体に占める割合を20%〜40%、好ましくは約30%とすることで、1次、2次、3次の騒音ピーク値の総和を低減できることがわかる。
次に図6には縦軸にオーバオール騒音値(図中「O.A.」と記してある)を取った図を示す。横軸、各グラフの意味は図5に同じである。図6より、長いピッチの配分率が多くなるほどオーバオール騒音が大きくなることがわかる。これは、長いピッチが増えるほど、前述の多角形効果が頻繁に生じ、騒音が大きくなるためであると推定される。1次、2次、3次の騒音のピーク値に着目すると、図5から分かるとおり、長いピッチの配分比が20%〜40%であることが好ましいが、オーバオール値をも考慮すると、さらに長いピッチの配分率と、長短ピッチの長さ比の関係に相関があることがわかる。
図7は縦軸に1次、2次、3次の騒音ピーク値の和をとり、横軸にオーバオール騒音値をとったものを示す。オーバオール値は図6より長いピッチの配分率が多いほど高くなっているので、結果的に各グラフ折れ線は右へ行くほど、長いピッチの配分率を多くしたものとなっている。
騒音全体を考慮すると、1次2次3次の騒音のピーク値とともに、オーバオール騒音値も共に小さい方が望ましい。すなわち図7のグラフで左下ほど、騒音全体を低く抑えることができることを示している。図から、ピッチ長さ比が小さいものから大きくなるにつれて、グラフは右上から左下へ移行し、再び右上に変化することがわかる。具体的には、ロング長5%UP(長いピッチが短いピッチより5%長いもの)の曲線やロング長50%の曲線よりもロング長25%UPの曲線の方が左下に位置している。これより、長短のピッチ長さの比の変化に対して騒音が最も小さくなる極値が存在することがわかる。また、各グラフは右へ行くほど長いピッチの配分率が多くなる点がプロットされているので、長いピッチの配分比を変化させた場合にも騒音が低くなる極値が存在することがわかる。
図8に図7の左下部分を拡大した図を示す。図8のSで示した破線より左下において、オーバオール騒音も1次、2次、3次ピーク騒音も小さくできることが分かる。その代表的な点は、
(1)図8中Aで示したポイント:ロング長30%UP(長いピッチは短いピッチの130%の長さである)で配分比32%(ベルト全体のピッチ数のうち32%のピッチ数が長いピッチを有する)
(2)図8中Bで示したポイント:ロング長20%UPで配分比35%
(3)図8中Cで示したポイント:ロング長10%UPで配分比34%
である。それぞれのグラフは左へ行くほど配分比が小さくなる。従って上記3点をまとめると、無端ベルトとして、2種類の異なる長さのピッチを有し、長いピッチは短いピッチより1.1倍以上1.3倍以下の長さを有し、長いピッチの数は全ピッチの数の35%以下とする、と騒音を低減したベルトを実現することができることがわかる。騒音の評価は最終的には人間が聴いた感覚(いわゆる体感評価)によるので、数値的な最適値を求めることは元来困難であるが、上記範囲でベルトを構成することが体感評価の良い、即ち騒音の小さいベルトを構成することができる。
図9は図8と同じグラフであるが、騒音をさらに小さくするための、ピッチ長さと配分率をさらに限定する領域を示している。図9のTで示した破線は図8のSで示した破線よりさらにグラフ上で左下に位置するので、このTの破線よりも左下となるよう無端ベルトを構成するとさらに騒音の小さいベルトを実現することができる。図9の代表的なポイントは以下のとおりである。
(4)図9中Dで示したポイント:ロング長25%UP(長いピッチは短いピッチの125%)で配分比25%(ベルト全体のピッチ数のうち25%のピッチ数が長いピッチを有する)
(5)図9中Eで示したポイント:ロング長20%UPで配分比25%
(6)図9中Fで示したポイント:ロング長15%UPで配分比25%
である。それぞれのグラフは左へ行くほど配分比が小さくなる。従って上記3点をまとめると、ベルトの騒音全体をさらに小さくするための無端ベルトは、2種類の異なる長さのピッチを有し、長いピッチは短いピッチより1.15倍以上1.25倍以下の長さであり、長いピッチの数は全ピッチの数の25%以下である、とすることが望ましいとの結果を得た。また、上記実施例では、一対もしくは1つのピンが順次プーリに接触する例を示したが、ベルトのピンとピンの間に、プーリに接触してトルクを伝達するブロック部材を備える無端ベルトであっても、ピンとブロックのプーリに順次接触する部材の間隔を上記のように設定すれば同様の効果を得ることができる。
なお、上記の説明において、全ピッチ数に対する長いピッチの数の割合、すなわち配分比について上限のみを規定し、下限について触れていないが、下限がないわけではなく、無端状に構成されるベルトの長さに対するピッチ長さと配分比の関係から、自ずと制限があり、あまり小さな値は実際の無端ベルトとして成立しない。
上記説明した伝動用無端ベルトを無段変速機に搭載することによって、騒音の少ない無段変速機を提供することが可能となる。
伝動用無端ベルトの部分側面図である。 伝動用無端ベルトの部分上面図である。 無端ベルトの騒音の周波数応答波形の模式図である。 ジョイントピンがプーリに噛み込む際の速度変化を説明するための模式図である。 ピッチ比を変化させたときの1次2次3次騒音値と長ピッチ配分率との関係を示すグラフである。 ピッチ比を変化させたときのオーバオール騒音値と長ピッチ配分率との関係を示すグラフである。 ピッチ比を変化させたときの1次2次3次騒音値とオーバオール騒音値との関係を示すグラフである。 図7の一部拡大したグラフであり、騒音を低減できるピッチ比と長ピッチ配分率の関係を示すグラフである。 図7の一部拡大したグラフであり、騒音をより低減できるピッチ比と長ピッチ配分率の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 無端ベルト
2 リンクプレート
3a、3b ジョイントピン
4a、4b ジョイントピン端面
L1、L2 ピッチ長

Claims (4)

  1. 2つのプーリ間でトルクを伝達する、ジョイントピンで互いに回転自在に連結された複数のリンクプレートを有する伝動用無端ベルトにおいて、
    前記リンクプレートは、隣接するジョイントピンの間の距離で定義されるピッチが長いリンクプレートと短いリンクプレートとからなり、
    リンクプレートの走行方向側面からみた長いピッチ部分と短いピッチ部分のベルト全体の合計数に対する長いピッチ部分の数の比率が20%から40%であることを特徴とする伝動用無端ベルト。
  2. 2つのプーリ間でトルクを伝達する、ジョイントピンで互いに回転自在に連結された複数のリンクプレートを有する伝動用無端ベルトにおいて、
    前記リンクプレートは、隣接するジョイントピンの間の距離で定義されるピッチが長いリンクプレートと短いリンクプレートとからなり、
    長いピッチは短いピッチの1.1倍以上1.3倍以下の長さ、より好ましくは1.15倍以上1.25倍以下の長さであり、前記無端ベルトにおける長いピッチの数は全ピッチの数の35%以下、より好ましくは25%以下で構成されることを特徴とする伝動用無端ベルト。
  3. 前記ジョイントピンは一対の2本のピンで構成され、前記ピッチは、一対のピンの接触点とこれに隣接する一対のピンの接触点との間の距離であることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動用無端ベルト。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の伝動用無端ベルトを搭載した無段変速機。
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