JP2006008751A - インク組成物、それを用いたインクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像 - Google Patents

インク組成物、それを用いたインクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像 Download PDF

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Masashi Miyagawa
昌士 宮川
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淳一 酒井
Toshiaki Kaneko
敏明 金子
Hirobumi Ichinose
博文 一ノ瀬
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【課題】 充分に分散安定性が高く、且つ樹脂成分の色材からの脱離がなく、長期にわたり安定であるとともに、特に発一性に優れたインク組成物を与えること、更に、斯かる優れたインク組成物を用いたインクタンク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像を提供すること。
【解決手段】 分散性色材と、水と、水溶性有機溶媒と、シリコン系界面活性剤とを少なくとも含んでなるインク組成物であり、上記分散性色材は、色材と該色材より小さい荷電性樹脂擬似微粒子とを有し、且つ上記色材と上記荷電性樹脂擬似微粒子とが固着してなる分散性色材であることを特徴とするインク組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、分散性色材とシリコン系界面活性剤を含んでなる、好適な初期吐出性能と印字画像を与えるインク組成物に関する。
近年、インクジェット記録方式は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が高い、現像及び定着操作が不要等の特徴があり、様々な用途において急速に普及している。特にフルカラーの水性インクジェット記録方式技術がめざましい発達を遂げており、更なる記録の高速化、高精細化、フルカラー化等の記録特性向上の要求に伴って、水性インクジェット記録装置及び記録方法の改良が行われている。一般的に、インクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録用インクに要求される性能としては、(1)紙上で、滲みや、かぶりのない、高解像度、高濃度で均一な画像が得られること、(2)ノズル先端でのインクの乾燥による目詰まりが発生せず、常に吐出応答性、吐出安定性が良好であること、(3)紙上においてインクの定着性がよいこと、(4)画像の堅牢性(即ち、耐候性や耐水性等)がよいこと、(5)長期保存安定性がよいこと、等が挙げられる。特に、近年における印字速度の高速化に伴って、コピー用紙等の普通紙に印字しても、インクの乾燥及び定着が速く、且つ高画質な印字が得られるインクが要求されている。
更に、より高い画像の耐候性、耐水性を実現できる水性インクジェット記録用インクの色材として、水不溶性色材、特に顔料を用いたインクの開発が精力的に進められている。水不溶性色材を水性インクジェット記録用インクとして用いるためには、水中に色材を安定に分散させることが必要となる。この場合、一般的に界面活性剤若しくは高分子分散剤(以下、分散樹脂とも呼ぶ)を用いて分散安定化する方法が用いられてきた。又、水不溶性色材の表面を化学的に修飾する手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。一方、顔料を樹脂で被覆するマイクロカプセル型顔料が提案されている(例えば特許文献2、3参照)。特許文献3では、「水不溶性着色剤を含有する水系着色微粒子分散物において、該着色微粒子分散物が水不溶性着色剤を分散剤の存在下で水系媒体中に分散させた後にビニルモノマーを添加して重合したものであり、該分散剤が水不溶性着色剤を分散した場合には分散安定性を示し、且つ、該分散剤のみの存在下で該ビニルモノマーを重合した場合には生じるラテックスの安定性が乏しいことを特徴とする水系着色微粒子分散物」が開示されている。
特許文献4では、充分に分散安定性が高く、且つ樹脂成分の色材からの脱離がなく、長期にわたり安定である分散性色材及びその簡便な製造方法が提案されている。具体的には、色材と、荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材であって、上記色材が、上記荷電性樹脂擬似微粒子を固着した状態にて単独で分散してなる分散性色材を用いることにより、高い分散安定性と優れた印字特性を与えるインクジェット記録用インクを提案している。
一方、特許文献5では、シリコン系界面活性剤を用いたインク組成物が提案されている。これらはシリコン系界面活性剤の優れた表面張力低下能、浸透性能、或いは消泡能を目的としている。特許文献6においては、染料と、シリコン系界面活性剤及びアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物と、液媒体とを含むインクにおいて、シリコン系界面活性剤と、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物との質量比がある特定の範囲にあるときに発一性の良好なインクが得られるとしている。
特開平10−195360号公報 特開平8−183920号公報 特開2003−34770公報 特願2003−428400号願書 特開平05−169790号公報 特開2002−80768号公報
水不溶性色材、特に顔料をインクジェット記録用インクに用いる場合、安定な吐出特性を確保することが最も重要となる。特に、近年主流になりつつあるオンデマンド方式のインクジェット記録方法においては、あるパターンを印字する場合において、画像を形成する全てのインクドットが等しく印字されることが高画質な印字物を得る上で重要となる。しかしながら、あるノズルにおいて一定時間吐出を行わず、引き続いて次の吐出動作を行おうとするときに、その1滴目のインクが吐出しなかったり、或いは安定した吐出が行われず印字が乱れるという不都合が生じる場合があり、特に水不溶性色材を含むインクを用いたインクジェット記録において多く見られることが判明した。以下、一定時間の吐出停止後の1滴目の吐出を発一と呼び、この1滴目の吐出に何らかの不都合が生じる場合を、発一性が悪い、と表現することとする。
従って、本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、充分に分散安定性が高く、且つ樹脂成分の色材からの脱離がなく、長期にわたり安定であるとともに、特に発一性に優れたインク組成物を与えることにある。更に、本発明の別の目的は、斯かる優れたインク組成物を用いたインクタンク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像を提供することにある。
これに対し、本発明者らは、上記課題を解決する手段について鋭意検討した結果、新規な形状の分散性色材と、シリコン系界面活性剤とを組み合わせることにより、インクジェット記録用途として十分な吐出安定性や分散安定性を有し、特に発一性に優れ、更に、高い画像品位及び優れた堅牢性をもつ印字物を与えるインク組成物を得た。即ち、上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕分散性色材と、水と、水溶性有機溶媒と、シリコン系界面活性剤とを少なくとも含んでなるインク組成物であり、上記分散性色材は、色材と該色材より小さい荷電性樹脂擬似微粒子とを有し、且つ上記色材と上記荷電性樹脂擬似微粒子とが固着してなる分散性色材であることを特徴とするインク組成物。
〔2〕上記荷電性樹脂擬似微粒子が色材に対して複数点在し、且つ固着している前記〔1〕記載のインク組成物。
〔3〕アセチレングリコール系界面活性剤を更に含んでなる前記〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕上記シリコン系界面活性剤の水に対する溶解度が0.5質量%以上である前記〔1〕乃至〔3〕の何れか1項に記載のインク組成物。
〔5〕湿潤剤として、尿素誘導体を更に含んでなる前記〔1〕乃至〔4〕の何れか1項に記載のインク組成物。
〔6〕2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも1つを更に含んでなる前記〔1〕乃至〔5〕の何れか1項に記載のインク組成物。
〔7〕上記シリコン系界面活性剤の含有量が0.005質量%以上2質量%未満である前記〔1〕乃至〔6〕何れか1項に記載のインク組成物。
〔8〕上記色材が顔料である前記〔1〕乃至〔7〕何れか1項に記載のインク組成物。
〔9〕前記〔1〕乃至〔8〕の何れか1項に記載のインク組成物を含んでなるインクタンク。
〔10〕前記〔1〕乃至〔8〕の何れか1項に記載のインク組成物を搭載していることを特徴とするインクジェット記録装置。
〔11〕前記〔1〕乃至〔8〕の何れか1項に記載のインク組成物を用いて、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
〔12〕前記〔1〕乃至〔8〕の何れか1項に記載のインク組成物を用いて、インクジェット記録装置により形成されたことを特徴とするインクジェット記録画像。
本発明によれば、特定の分散性色材とシリコン系界面活性剤とを組み合わせて用いることで、インクジェット記録用途として十分な吐出安定性や分散安定性を有し、特に水不溶性色材を用いたインクジェット記録用インクの課題である発一性に優れ、尚且つ高い画像品位及び優れた堅牢性をもつ印字物を与えるインク組成物、これを用いたインクタンク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像が提供される。
又、本発明の別の効果として、記録媒体上での速乾性に優れたインク組成物が提供される。更に別の効果として、特に普通紙上での色均一性に優れた印字物を与えるインク組成物が提供され、別の効果としてインクジェット記録装置に用いた場合の目詰まり防止性に優れたインク組成物が提供される。更に本発明の別の効果として、特に普通紙上での発色性能に優れたインク組成物が提供される。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を挙げて、本発明を具体的に説明する。
本発明にかかるインク組成物は、ペン等による筆記具による記録方式、インクジェット記録方式、その他各種の印刷方式に用いることができるが、特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方式に好適に用いられる。
本発明にかかるインク組成物は、分散性色材と、水と、水溶性有機溶媒と、シリコン系界面活性剤とを少なくとも含んでなり、上記分散性色材は、色材と該色材より小さい荷電性樹脂擬似微粒子とを有し、且つ上記色材と上記荷電性樹脂擬似微粒子とが固着してなることを特徴としている。上記分散性色材とシリコン系界面活性剤とを組み合わせることにより、水不溶性色材を用いたインク組成物においてインクジェット記録用途に好適な吐出安定性や分散安定性を有し、特に発一性に優れながら、画像品位及び優れた堅牢性をもつ印字物を与えるインク組成物を得る。
本明細書及び特許請求の範囲で用いる「分散性色材」の意味するところは、本質的に界面活性剤や高分子分散剤を添加することなく、水又は水性インク媒体中に分散可能である、即ち自己分散性を有する色材である。
本発明のインク組成物における第一の特徴は、色材と、荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材を含んでなり、上記色材が、上記荷電性樹脂擬似微粒子を固着している点にある。図1に、本発明を特徴づける、色材1に、荷電性樹脂擬似微粒子2が固着している分散性色材の模式図を示した。図1(b)の2’の部分は、色材1の表面に固着した荷電性樹脂擬似微粒子2の一部が融着している状態を模式的に示した部分である。
荷電性樹脂擬似微粒子が色材粒子に固着することで、色材の表面に荷電性樹脂擬似微粒子による電荷が付与され、水又は水性インク媒体へ分散可能な分散性色材となる。又、同時に該分散性色材は、表面に固着している樹脂成分が存在することによって記録媒体への優れた接着性を有するものとなる。このとき、樹脂成分の単純な物理吸着ではなく、本発明にかかる分散性色材の特徴である、荷電性樹脂擬似微粒子が色材に固着された状態とすると、荷電性樹脂擬似微粒子が色材表面から脱離することがないため、本発明の分散性色材は長期保存安定性にも優れている。
ここで、本発明における荷電性樹脂擬似微粒子とは、樹脂成分が強く凝集状態にある樹脂集合体であり、好ましくはその内部に物理的架橋が多く形成されているものである(樹脂集合体とは、樹脂成分が微粒子形態或いはそれに近い微小凝集体として安定な形態を有しているものである)。
本発明における荷電性樹脂擬似微粒子が色材に固着した状態は、色材表面と荷電性樹脂擬似微粒子との強い相互作用によるものであると考えられる。荷電性樹脂擬似微粒子は様々なモノマーユニット組成で構成されるポリマーが絡み合って形成されており、これらは局所的に多様な構造をとっているため、その局所的な表面エネルギーも多様な状態が分布している。色材の表面エネルギーと、ポリマーの表面エネルギーとがよく一致する点において、色材とポリマーは強固に結合する。更に、一つの荷電性樹脂擬似微粒子が色材と接する界面には、両者の表面エネルギーが局所的に一致する点が複数ある。この複数個所の強固な相互作用によって色材粒子と荷電性樹脂擬似微粒子との固着状態は成り立っていると予想される。
更に、荷電性樹脂擬似微粒子の内部は構成するポリマー間に強い相互作用が働いて物理架橋を形成している。このため、荷電性樹脂擬似微粒子が多くの親水性基を有する場合にあっても、固着した前記荷電性樹脂擬似微粒子が色材から脱離したり、前記荷電性樹脂擬似微粒子から親水性基を有する樹脂成分が溶出しつづけたりすることがない。これに対し、前記した特許文献2のようなカプセル化方法においては、親水性の高い樹脂は色材と強く結合できないために、樹脂が色材から脱離し、結果として分散性色材の長期保存安定性が充分に得られない場合がある。
又、本発明にかかるインク組成物に含まれる分散性色材は、色材に荷電性樹脂擬似微粒子を固着することにより、高い比表面積を有することとなり、荷電性樹脂擬似微粒子の有する電荷を極めて高い効率で分散性色材の表面電荷とすることができる。即ち、より多くの表面電荷をより効率的に分散性色材の表面に配する形態であり、特許文献2に代表されるような、色材を樹脂で被覆する形態に比して、樹脂成分の実質酸価又はアミン価がより小さい場合においても高い分散安定性を付与できる。
更に、上記分散性色材は上記荷電性樹脂擬似微粒子を固着した状態で、単独で分散してなるため、本質的には他の界面活性剤や高分子分散剤等の助けがなくとも、安定に水等のインクの液媒体中に分散できる、自己分散性色材である。従って、本発明にかかるインク組成物に含まれる分散性色材は、長期的に脱離する可能性がある高分子分散剤やその他の樹脂成分、或いは界面活性剤成分を色材の分散安定化を目的として添加する必要がない。その結果、本発明のインク組成物は、例えば、普通紙のようなインクの浸透性が高い記録媒体上においても充分に高い印字濃度を得られるインク組成物とすることが可能である。
前述したように、本発明にかかるインク組成物は、色材が荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって高い比表面積を有する形態をとり、その広大な表面に多くの電荷を有することで、優れた保存安定性を実現する。従って、荷電性樹脂擬似微粒子は、色材に対して多数、且つ点在して固着していることにより更に好ましい結果が得られる。特に、固着している荷電性樹脂擬似微粒子間に一定の距離があり、好ましくは均一に分布していることが望ましい。更に好ましくは荷電性樹脂擬似微粒子間に色材の表面が露出していることが望ましい。このような形態は、本発明のインク組成物を透過型電子顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡で観察することにより確認される。
本発明のインク組成物における第二の特徴となるシリコン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合を有するものが好適に用いられる。
特許文献6に提案されている条件を、水不溶性色材を用いたインク組成物に適用しようとした場合、発一性の改善はみられるものの、いまだ不充分な性能であった。本発明において、上記分散性色材とシリコン系界面活性剤との組み合わせにおいては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の有無に関わらず、又、その比率にも相関なく、良好な発一性能を示すことが明らかとなった。
本発明に用いられるシリコン系界面活性剤としては、例えば、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348(何れもビックケミー・ジャパン(株)製)、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、FZ−2113、FZ−2105、Y−7006、FZ2120、FZ−2161、Z−2162、FZ−2163、FZ−2164及びFZ−2166(日本ユニカー社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明にかかるインク組成物が含むシリコン系界面活性剤が、水不溶性色材を含むインク組成物の発一性をどのように良化するかは明らかでないが、次のように予想される。1)上記シリコン系界面活性剤がインクジェット記録装置の吐出口近傍に存在するインクと空気の界面に強く配向して、インク中の水分蒸発を防ぐとともに、インク中に含まれる水不溶性色材或いは樹脂成分等の相互作用を防いで、空気界面付近のインクの流動性を保つ、2)インクジェット記録装置のインク流路や吐出口を形成する部材とインクとの濡れ性を改善し、インクと部材との摩擦を低減する。
以上のことから、上記シリコン系界面活性剤の中でも、インク組成物中において速やかにインク/空気界面或いはインク/部材界面に到達できるものがより発一改善効果が高く、特に水に対する溶解度が25℃において0.5質量%以上であるシリコン系界面活性剤がより好ましい結果を与える。
更に、上記のメカニズムから、本発明にかかるインク組成物において、シリコン系界面活性剤を多く含有した場合、インク/空気界面においてシリコン系界面活性剤が過剰に配向して逆にインク界面の流動性を失う恐れがある。本発明においては、上記シリコン系界面活性剤の含有量として0.005質量%以上2質量%未満であることが望ましい。0.005質量%より少ない場合には、上記シリコン系界面活性剤がインクタンクやインクジェット記録装置のインク流路や吐出口を形成する部材に先に吸着してしまい、充分な性能を得られないし、2質量%より多い場合には上述したようなメカニズムによって発一性に対して逆効果となる場合がある。
又、本発明のインク組成物が高い印字性能と優れた発一性能をあわせもつ点については、次のように考えられる。発一性については上記シリコン系界面活性剤を添加することで向上がみられるが、同時に上記シリコン系界面活性剤がインク中の水不溶性色材に吸着する場合、発一性向上の効果は小さくなることが予測される。従って高分子分散剤により分散された顔料や、特許文献2、3に記載される色材を用いた場合には、上記シリコン系界面活性剤が色材に強く吸着し、場合によっては色材表面の高分子分散剤と交換吸着を起こすために、高分子分散剤がインク中に遊離する等して充分な発一性を得られない場合がある。更に、上記シリコン系界面活性剤が吸着した色材は、記録媒体上においても分散安定性や浸透性が高くなるため、浸透性の高い普通紙媒体上等で充分な印字濃度を得られない場合がある。
これに対し、本発明にかかるインク組成物に含まれる分散性色材は、前述したように色材表面に荷電性樹脂擬似微粒子を固着した形態にてインク中に分散しているため、上記シリコン系界面活性剤の吸着が起こりにくく、より効果的に発一性の向上が発揮され、普通紙媒体上等でも高い印字濃度を得ることができる。
更に、本発明にかかるインク組成物は、記録媒体上で優れた速乾性を示すことが明らかとなった。上記分散性色材は上述したように、色材表面に荷電性樹脂擬似微粒子を固着した形態にてインク中に分散している。このインクが記録媒体上に到達したとき、インク中の溶媒は毛細管現象により記録媒体上の細孔(普通紙の場合はセルロース繊維間の空隙であり、コート紙や光沢紙の場合は受容層の細孔である)へ吸収される。同時に、上記シリコン系界面活性剤の優れた表面張力低下能力によって、インクは速やかに記録媒体上に濡れる。このとき、本発明にかかる分散性色材は、その形態的特徴から、色材同士が接した部分に荷電性樹脂擬似微粒子が点在して細かい隙間を多く形成する。このため、色材間に存在するインク溶媒にも毛細管現象が働いて、速やかに記録媒体中に吸収される。
特に、本発明のインク組成物において、上記分散性色材の表面官能基密度が250μmol/g以上1,000μmol/g未満が好ましく、290μmol/g以上900μmol/g未満が更に好ましい。この範囲より小さな表面官能基密度を有する場合、分散性色材の長期保存安定性が悪くなることがある。又、この範囲よりかなり大きな表面官能基密度を有する場合には、分散安定性が高くなりすぎて、記録媒体上で分散性が浸透し易くなり、高い印字濃度を確保することが難しくなる場合がある。一方、色材としてカーボンブラックを用いる場合においては、カーボンブラックの比重が高く分散安定性を高める必要があることと、特に、記録媒体上での黒濃度は高いものが好まれることから、この場合は、色材の表面官能基密度を、350μmol/g以上800μmol/g未満に設定することが更に好ましい。
[色材]
本発明のインク組成物に含まれる分散性色材の構成成分である色材について以下に説明する。本発明で用いられる色材としては公知又は新規に開発された色材のうち、どのようなものでも用いることができるが、好ましくは、疎水性染料、無機顔料、有機顔料、金属コロイド、着色樹脂粒子等、水に不溶な色材で、分散剤とともに水中にて安定に分散できるものが望ましい。好ましくは、分散粒径が0.01〜0.5μm(10〜500nm)の範囲、特に好ましくは0.03〜0.3μm(30〜300nm)の範囲となる色材を使用する。この範囲に分散された色材を用いた本発明の分散性色材は、水性インクとして用いた場合に、高い着色力と高い耐候性を有する画像を与える好ましい分散性色材となる。
本発明において、色材に有効に用いることのできる無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカ等が挙げられる。
本発明において有効に用いることのできる有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系等の各種顔料が挙げられる。
その他、本発明で用いることのできる有機性の不溶性色材としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、フタロシアニン系、カルボニル系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系等の疎水性染料が挙げられる。これらの中でも分散染料が特に好ましい。
[荷電性樹脂擬似微粒子]
本発明のインク組成物に含まれる分散性色材のもう一つの構成成分である荷電性樹脂擬似微粒子は、水に対し実質的に不溶であり、固着する対象である色材の水中(或いはインク中)での分散単位(分散粒径)は小さく、充分に重合度の高い樹脂成分が集合してなる微小体と定義される。微小体の形態としては擬似的に球体に近いか、又は複数の微小体(荷電性樹脂擬似微粒子)の大きさが一定範囲内で揃っているものである。好ましくは荷電性樹脂擬似微粒子を構成する樹脂成分は、互いに物理的に又は化学的に架橋されていることが望ましい。
又、別の好ましい様態としては、荷電性樹脂擬似微粒子の水中での分散粒径が、例えば、動的光散乱法にて測定可能な場合においては、好ましくはその分散粒径の平均値が10nm以上200nm以下の範囲にあることが望ましい。更に、分散性色材の長期保存安定性の観点からは、分散粒径の多分散度指数が0.2未満に抑えられることが更に好ましい。分散粒径の中心値が200nmより大きい場合又は多分散度指数が0.2より大きい場合には、色材を微細に分散安定化するという本来の目的が充分達成されない場合がある。又、分散粒径の平均値が10nmより小さい場合には、荷電性樹脂擬似微粒子としての形態を充分に維持できず、樹脂が水に溶解し易くなるために、本発明のメリットが得られない場合がある。一方、10nm以上200nm以下の範囲にて、更にその粒子径が色材粒子そのものよりも小さいことによって、本発明における荷電性樹脂擬似微粒子の固着による色材の分散安定化が効果的に発現される。
又、色材が有機顔料である場合においては、上記の範囲に加えて、前述したように荷電性樹脂擬似微粒子が顔料の分散粒径よりは小さく、且つ色材分子より大きい範囲とすることによって、構造的に極めて安定で且つ高い分散性を有する分散性色材が得られるので、特に望ましい。
本発明における荷電性とは、水系媒体中においてそのもの自身が何らかのかたちでイオン化した官能基を保持しており、望ましくはその荷電性によって自己分散可能である状態をいう。
荷電性樹脂擬似微粒子を構成する樹脂成分は、一般的に用いられるあらゆる天然又は合成高分子、或いは本発明のために新規に開発された高分子等、いかなる樹脂成分であっても制限なく使用できる。使用できる樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類等が挙げられる。特に、一般的に使用でき、荷電性樹脂擬似微粒子の機能設計を簡便に行える観点から、アクリル樹脂やスチレン/アクリル樹脂が類される、ラジカル重合性不飽和結合を有するモノマー成分の重合体或いは共重合体が、好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられるラジカル重合性不飽和結合を有するモノマー(以降、ラジカル重合性モノマー或いは単にモノマーとして表記する)としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。疎水性モノマーと分類される、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等の如き(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の如きスチレン系モノマー;イタコン酸ベンジル等の如きイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチル等の如きマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル等の如きフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
又、以下のような親水性モノマーとして分類されるものも好ましく用いられる。例えば、アニオン性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等の如きカルボキシル基を有するモノマー及びこれらの塩、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸等の如きスルホン酸基を有するモノマーとこれらの塩、メタクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチル等の如きホスホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。これらの中でも特に、アクリル酸、メタクリル酸、及びp−スチレンスルホン酸とこれらの塩を使用することが好ましい。
又、カチオン性基を有するモノマーとしてはアクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル等の如き第1級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル等の如き第2級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル等の如き第3級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の如き第4級アンモニウム基を有するモノマー、各種ビニルイミダゾール類等が挙げられる。
又、ノニオン性の親水性モノマーとしては、具体的には、例えば、構造内にラジカル重合性の不飽和結合と強い親水性を示すヒドロキシル基を同時に有するモノマー類がこれに当てはまり、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル等がこれに分類される。この他、公知又は新規の各種オリゴマー、マクロモノマー等についても制限なく使用できる。
更に、架橋性モノマーを用いることも好ましい様態である。例えば、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸アリル、メチレンビスアクリルアミド等が挙げられ、その他、公知又は新規の各種架橋性モノマーについても使用できる。
荷電性樹脂擬似微粒子を構成するモノマーの種類や共重合比率、作製する際に使用する重合開始剤の種類や濃度等の多くの制御因子によって、分散性色材及び荷電性樹脂擬似微粒子の種々の特性を、適宜に制御することが可能である。特に、荷電性樹脂擬似微粒子を、上記に列挙したモノマーのうち、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーとを含むモノマー成分の共重合体からなる構成とすることは望ましい様態である。このとき少なくとも1種類の疎水性モノマーを用いて構成することで、色材への良好な固着性と熱安定性を、少なくとも1種類の親水性モノマーを用いて構成することで良好な形態制御と分散安定性を、それぞれ付与できる。従って、これらのモノマーを同時に用いることで、常に良好に色材に固着し、且つ良好な分散安定性を付与できる荷電性樹脂擬似微粒子を得ることができる。上記の条件を満たした上で更に、荷電性樹脂擬似微粒子を構成する樹脂成分のモノマー種や共重合比率を適宜選択することにより、本発明にかかる分散性色材及び/又は色材に固着される荷電性樹脂擬似微粒子に更なる機能性を付与できる。
例えば、前記疎水性モノマーとして、α位にメチル基を有し且つラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを少なくとも含有したものを使用することも、好ましい形態である。α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた荷電性樹脂擬似微粒子を固着することにより、特に、熱エネルギーによりインクを吐出させるサーマルインクジェット方式において、分散性色材を含む水性インクの吐出性が極めて良好になる。この理由は明らかでないが、α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた樹脂は、高温にて解重合を起こすことから、インクに熱エネルギーが加わったときにα位にメチル基を有するモノマー成分から構成された樹脂が解重合を起こし、吐出口内へのこびりつきが起こりにくくなるため、吐出性が向上すると考えられる。
又、前記疎水性モノマーとして、アクリル酸アルキルエステル化合物及びメタアクリル酸アルキルエステル化合物(以降、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物のように表記する)を少なくとも含有することも、好ましい形態である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物は、色材への良好な接着性を有すると同時に、前記親水性モノマー成分との共重合性に優れ、荷電性樹脂擬似微粒子の表面性質の均一性、及び色材への均一な固着性という観点から好ましい結果を与える。
上記した好ましい疎水性モノマー類のうち、メタクリル酸ベンジル又はメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種を含むことは、特に好ましい。上述した好ましい理由に加え、上記2種のモノマーは、荷電性樹脂擬似微粒子に好ましい耐熱性と透明性を付与するため、この荷電性樹脂擬似微粒子を固着してなる分散性色材は優れた発色性を示す。
上述したように、荷電性樹脂擬似微粒子を構成するモノマー種や共重合比率を適宜選択することにより、本発明の分散性色材及び/又は色材に固着される荷電性樹脂擬似微粒子の性質を制御することができるが、荷電性樹脂擬似微粒子に含まれる共重合体成分のガラス転移温度が−40℃以上60℃以下、好ましくは−30℃以上55℃以下、更に好ましくは−25℃以上53℃以下となるように制御することも好ましい形態である。このような荷電性樹脂擬似微粒子を得るには、上述した好ましく用いられるモノマー群のうち、そのモノマーから得られるホモポリマーのガラス転移温度が低いことが知られているものを選択して用いる。例えば、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸をモノマーとして適切な比率で用いることも好ましい実施形態である。又、メタクリル酸エチルとメタクリル酸をモノマーとして適切な比率で用いることも別の好ましい実施形態である。
ガラス転移温度が−40℃以上60℃以下となる共重合体成分を含んで構成される分散性色材は、荷電性樹脂擬似微粒子に付与される高い造膜性によって、記録紙上で隣り合った色材と造膜し、強固な着色膜を形成し得る。従って、このような構成を有する分散性色材を用いて得られる印字物に、高い耐擦過性を付与するだけでなく、耐擦過性に極めて不利な光沢性記録媒体上においても耐擦過性の優れた印字物とすることができる。
[荷電性樹脂擬似微粒子の合成及び色材への固着]
荷電性樹脂擬似微粒子の合成方法、及び色材への固着方法は、その手順及び方法は公知である荷電性樹脂擬似微粒子の合成方法や、荷電性樹脂擬似微粒子と色材の複合化方法によって実施し得る。特に、特許文献4記載の製造方法が好適に用いられる。以降、本発明で好ましく実施される、本発明にかかる分散性色材の製造方法の例を挙げる。
先ず、分散剤にて水不溶性色材を分散することによって該水不溶性色材の分散水溶液を調製する。次いで、この分散水溶液にて、水性ラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合性モノマーを水系析出重合する工程によって、荷電性樹脂擬似微粒子と色材とを固着させる。この水系析出重合する工程を経て得られた分散性色材は、水系析出重合過程にて合成された荷電性樹脂擬似微粒子が、均一且つ点在した状態で色材に強力に固着した水不溶性色材となり、単独での分散安定性に優れたものとなる。又、上記した水系析出重合過程において、荷電性樹脂擬似微粒子の特性を、これまで述べたような好ましい形態に簡便に制御することができるが、その際にも本発明の特徴である色材と荷電性樹脂擬似微粒子との固着状態が良好に達成される。以降、上記製造方法における好ましい実施形態を更に詳しく述べる。
[水不溶性色材の分散]
先ず、前述したような本発明に好ましく用いられる水不溶性色材を分散剤にて分散して、水分散体とする。色材を水溶液に分散させるための分散剤としては、イオン性、ノニオン性等、何れのものも使用できるが、その後の重合工程での分散安定性を保つ観点から、高分子分散剤又は水溶性高分子を用いることが望ましい。特に、充分な水溶性を示し、色材微粒子表面及び重合工程で加えられるラジカル重合性モノマー、特に疎水性モノマーの油滴界面への吸着サイトとなる、疎水部分を有しているものが好ましく用いられる。更に望ましくは、その後の重合工程で用いる疎水性モノマーのうちの少なくとも1種類が、分散剤を構成するユニットとして存在しているようにすることが、その後の重合工程において荷電性樹脂擬似微粒子の色材への固着を誘起し易い観点から、好ましい。
本発明で使用できる分散剤として機能する、高分子分散剤及び水溶性高分子の製造方法は、特に限定されず、例えば、イオン性基を有するモノマーと、他の重合し得るモノマーとを、非反応性溶媒中で、触媒の存在下又は不存在下で反応させることにより製造できる。特に、前述したようなイオン性基を有するモノマーと、スチレンモノマーとを必須成分として重合させることによって得られるスチレン/アクリル系高分子化合物、又はイオン性基を有するモノマーと、炭素原子の個数が5以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとを必須成分として重合させることによって得られるイオン性基含有アクリル系高分子化合物から、選ばれる分散剤を用いると良好な結果となることが明らかとなっている。この際、得られる分散性色材が特にアニオン性基を有することを目的とする場合にはアニオン性の分散剤を、一方、得られる分散性色材が特にカチオン性基を有することを目的とする場合には、カチオン性基を有するか、或いはノニオン性の分散剤を、それぞれ選択することが望ましい。
後の水系析出重合の過程で、荷電性樹脂擬似微粒子の色材への固着を促進することと、重合過程での色材の分散安定性を保持することを両立する観点から、アニオン性分散剤を用いる場合には酸価100以上250以下のもの、カチオン性分散剤を用いる場合にはアミン価150以上300以下のもの、をそれぞれ用いることも望ましい形態である。酸価及びアミン価がこの範囲より小さい場合には、水系析出重合の際に、疎水性モノマーと分散剤との親和性が、色材と分散剤との親和性より高くなり、荷電性樹脂擬似微粒子が色材に固着するより前に分散剤が色材表面から脱離して、分散状態を保てなくなる場合がある。又、酸価及びアミン価がこの範囲より大きい場合には、色材表面での分散剤の排除体積効果及び静電反発力が強くなり過ぎるために、色材への荷電性樹脂擬似微粒子の固着が阻害される場合がある。アニオン性分散剤を用いる場合には、色材への樹脂微粒子の固着を阻害しない観点から、アニオン性基としてカルボキシル基を有する分散剤を選択することが好ましい。
水不溶性色材を分散剤にて分散水溶液とする過程において、色材は、好ましくは分散粒径が0.01μm以上0.5μm以下(10nm以上500nm以下)の範囲、特に好ましくは0.03μm以上0.3μm以下(30nm以上300nm以下)の範囲に分散する。この過程での分散粒径が、得られる分散性色材の分散粒径に大きく反映し、前述した着色力や画像の耐候性の観点、及び分散安定性の観点から、上記の範囲が好ましい。
又、本発明で使用する水不溶性色材の分散粒径分布は、なるべく単分散であることが好ましい。一般的には、帯電樹脂擬似微粒子が固着して得られる分散性色材の粒径分布は、図2(b)に示した重合工程よりも前の、分散水溶液の粒径分布よりも狭くなる傾向にあるが、基本的には、上記した分散水溶液の粒径分布に依存する。又、色材と帯電樹脂擬似微粒子とのヘテロ凝集による固着を確実に誘起するためにも、色材の粒径分布を狭くすることは重要である。本発明者らの検討によれば、色材の多分散度指数が0.25以下の範囲にあるものを使用したときに、得られる分散性色材の分散安定性が優れたものとなる。
水不溶性色材を水に分散させる方法は、前記したような条件で色材が水に安定に分散できる方法のうち、前記したような分散剤を用いた方法であれば何れでもよく、従来知られている何れの方法にも限定されない。或いは本発明のために新規に開発された分散方法であってもよい。使用する高分子分散剤の添加量としては、一般的には、例えば、水不溶性色材が顔料である場合は、顔料に対し10質量%以上130質量%以下とすることが適している。
又、用いる水不溶性色材としては、それ自体が自己分散性を有しないときに、前述した固着する荷電性樹脂擬似微粒子の好ましい実施様態によって得られる分散性色材の性能を制御できるので、この点で好ましい。
本発明で用いられる色材の分散方法としては、例えば、ペイントシェイカー、サンドミル、アジテーターミル、3本ロールミル等の分散機やマイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルチマイザー等の高圧ホモジナイザー、超音波分散機等、それぞれの色材に一般的に用いられる分散方法であれば、どのような手法でも制限されない。
[ラジカル重合開始剤]
本発明で使用するラジカル重合開始剤としては、一般的な水溶性のラジカル重合開始剤であれば、どのようなものでも使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤の具体的な例としては、過硫酸塩、水溶性アゾ化合物等が挙げられる。或いは水溶性ラジカル重合開始剤と還元剤の組み合わせによるレドックス開始剤であってもよい。具体的には、前記に列挙した、色材、分散剤、モノマーの特性を考慮して、最適な組み合わせとなるように設計して使用する。望ましくは、得られる分散性色材の表面特性と同符号の重合開始剤残基を与える重合開始剤を選択する。即ち、例えば、アニオン性基を有する水不溶性色材を得る場合には、開始剤残基が中性又はアニオン性となるものを選択する。これによって、表面電荷をより効率的に得ることができる。同様に、カチオン性基を有する分散性色材を得る場合には、開始剤残基が中性又はカチオン性となるものを選択するのが好ましい。
本発明において好ましく用いられる水溶性アゾ系重合開始剤としては、従来の乳化重合等に汎用的に用いられるものが好ましく用いられ、その他新規に開発された乳化重合に用いられる重合開始剤であっても用いることができる。例えば、VA−080(2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド))、VA−086(2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド))、VA−057(2,2’−アゾビス(2−(N−(2−カルボキシエチル)アミジノ)プロパン))、VA−058(2,2’−アゾビス(2−(3,4,5,6,−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド)、VA−060(2,2’−アゾビス(2−(1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド、V−50(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド)、V−501(4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノン酸))(全て和光純薬(株)製)等が挙げられる。
[ラジカル重合性モノマー]
本発明の製造方法で用いられるラジカル重合性モノマーは、前記で説明した水系析出重合工程を経て、荷電性樹脂擬似微粒子を構成する成分となるので、先の[実質的に水に不溶な樹脂微粒子]の項で述べたように、得ようとする荷電性樹脂擬似微粒子及び分散性色材の特性によって適宜に選択すればよい。本発明の製造方法においても、従来から公知であるラジカル重合性モノマー、又は本発明のために新規に開発されたラジカル重合性モノマー、のいかなるものでも使用できる。
[水系析出重合]
続いて、本発明の特徴である荷電性樹脂擬似微粒子を合成し、色材に固着させる工程である、水系析出重合の好ましい実施形態について述べる。尚、本発明は以下に述べる実施形態によって何ら制限されるものではない。図2は、上記製造方法の工程フローを模式的に記載した工程図である。本工程によって分散性色材を得るまでの過程は、次のように考えられる。先ず、図2(a)に示したように、水溶液中に色材1を分散剤3によって分散した分散水溶液を用意する。このとき、色材は、分散剤の吸着によって分散安定化されていて、この吸着は熱的に平衡状態にある。次に、図2(a)で用意した分散水溶液を攪拌しながら昇温し、この中に、モノマー成分4を、例えば、水性ラジカル重合開始剤5と共に添加する(図2(b)参照)。添加された水性ラジカル重合開始剤は、昇温することにより解裂してラジカルを発生し、分散水溶液中に添加されたモノマー成分のうち、微量に水相に溶解した疎水性モノマーと水相中の水溶性モノマーとの反応に寄与する。具体的な反応機構は特許文献4に詳しく述べられているが、モノマーの反応が進行すると、生成したオリゴマーは水に不溶となり、水相より析出して析出物となる。しかし、このとき析出したオリゴマーは十分な分散安定性を有していないため、合一して荷電性樹脂擬似微粒子を形成し、荷電性樹脂擬似微粒子は更に分散水溶液中の色材の表面と疎水性相互作用によって強く吸着する。このとき、荷電性樹脂擬似微粒子の内部では重合反応が進行しつづけており、色材との吸着をよりエネルギー的に安定する状態へ変化して固着状態となる。一方、色材は、複数の荷電性樹脂擬似微粒子が固着していくことによって安定化され、平衡状態にあった分散剤は色材の表面から脱離する。
重合反応条件は、使用する重合開始剤及び分散剤、モノマーの性質によっても異なるが、例えば、反応温度は100℃以下とし、好ましくは40℃以上80℃以下の範囲である。又、反応時間は、1時間以上、好ましくは6時間以上30時間以下である。反応中の攪拌速度は、50rpm以上500rpm以下、好ましくは150rpm以上400rpm以下とするのが望ましい。
前述した工程において、特に少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーとを含むモノマー成分を重合させて荷電性樹脂擬似微粒子を得る際には、好ましくは前記モノマー成分を、水性ラジカル重合開始剤をあらかじめ含んだ水不溶性色材の分散水溶液中に滴下することが望ましい。又は水不溶性色材の分散水溶液中に、水性ラジカル重合開始剤と同時又は別々に滴下して加えることも望ましい形態である。疎水性モノマーと親水性モノマーのように性質の異なるモノマーの混合物から、所望の荷電性樹脂擬似微粒子を均一に得るためには、前記性質の異なるモノマーの共重合比率を常に一定に保つことが望ましい。前記モノマーの混合物を一定時間内に重合反応で消費されるモノマー量に比して過剰に重合系内に添加した場合、特定のモノマー種のみが先行して重合し、残りのモノマーは先行で重合したモノマーが消費されてから重合する傾向があり、この場合生成する荷電性樹脂擬似微粒子の性質に大きな不均一が生じる。
更に、親水性モノマー成分の含有量の大きい樹脂成分に至っては、その高い親水性によって析出できず、荷電性樹脂擬似微粒子が形成されずに水溶性樹脂成分として系内に残存してしまう場合がある。一方、モノマー成分を、水性ラジカル重合開始剤を含んだ水不溶性色材の分散水溶液中に滴下することによって、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合比率が常に一定に保たれ、所望の共重合比率で構成される荷電性樹脂擬似微粒子を均一に得ることができる。
又、親水性モノマーとして、特に、アクリル酸、メタクリル酸等のアニオン性モノマーを重合系内に添加する際に、色材を分散している高分子分散剤の特性によっては部分的に不安定化し、凝集を引き起こす場合もある。これを防ぐために、アニオン性モノマーを予め中和し、ナトリウム塩やカリウム塩の状態で添加することも好適な実施形態である。
上述した工程にて得た、荷電性樹脂擬似微粒子が色材に固着した水不溶性色材を用いて本発明にかかるインク組成物を調製する際には、上記の工程に加えて、更に精製処理を行うことが望ましい。特に、上記において、未反応の重合開始剤、モノマー成分、分散剤、固着に至らなかった水溶性樹脂成分及び荷電性樹脂擬似微粒子等について精製処理を行うことは、分散性色材の保存安定性を高く維持する点で重要である。使用する精製方法としては、通常一般的に用いられている精製方法から最適なものを選択して用いればよい。例えば、遠心分離法や、限外濾過法を用いて精製することも好ましい実施形態である。
上述した工程を経れば、多くの制御因子をコントロールすることによって、色材の表面に所望の共重合体からなる荷電性樹脂擬似微粒子を固着した分散性色材を得ることができる。特に、高い分散安定性を目的としてアニオン性モノマーを使用する場合には、本発明の工程を経た分散性色材は、上記の工程で用いるアニオン性モノマーが比較的少ない量であっても大きな表面官能基密度を得ることができ、高い分散安定性を付与することができる。この結果、長期保存安定性を損なうことなく、荷電性樹脂擬似微粒子の分散安定性を高くすることが可能となる。
[インク組成物]
本発明にかかるインク組成物は、以上説明した分散性色材、水、水溶性有機溶媒、及び上記シリコン系界面活性剤を少なくとも含むことを特徴とする。使用する色材が顔料である場合には、一般的には顔料含有量がインクに対して0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは0.3質量%以上15質量%以下とする。又、記録媒体への浸透性を助けるための浸透剤、防腐剤、防黴剤等を含んでもよい。
本発明のインク組成物において、発一性という観点でアセチレングリコール系界面活性剤の有無は問題とならないが、特に普通紙媒体の色均一性を高めるという観点において、アセチレングリコール系界面活性剤を含むことは好ましい。好ましくはインクに対して0.1質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上3質量%以下添加する。
本発明のインク組成物において、更に湿潤剤を含んでなることは、インクの耐目詰まり性を向上させる点で好ましい形態である。特に湿潤剤として、尿素誘導体を含んでなることは好ましい。湿潤剤として尿素誘導体の含有量としては、インクに対して0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは0.2質量%以上15質量%以下である。
本発明のインク組成物において、更にピロリドン誘導体を含んでなることは、普通紙での印字濃度を更に高めることができ、好ましい形態である。特に2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも一つを含んでなる場合に、高い印字濃度と同時に発一性の更なる向上が見られ、好ましい。これらの含有量としては、インクに対して0.2質量%以上20質量%以下、好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
又、本発明のインク組成物において、該インク組成物を構成する水性媒体中における上記分散性色材の表面ゼータ電位が、特にアニオン性基を有する場合には平均値が−20mV以上−80mV以下の範囲、カチオン性基を有する場合には平均値が+10mV以上+60mV以下の範囲とすることも別の好ましい実施形態である。表面ゼータ電位を上記の範囲とすることで、水性インクとしての優れた長期保存安定性を付与できる。これに対して、ゼータ電位が−15mVから+10mVの範囲では、分散性色材の高い分散安定性が水性媒体の作用によって妨げられ、水性インクの長期保存安定性が不充分になることがある。一方、ゼータ電位が−80mVよりも小さいか、又は+60mVよりも大きい場合には、インクの保存安定性は優れるものの、印字物の耐水性が不充分となる場合がある。
水不溶性色材がインク中に分散安定化している状態においては、水不溶性色材のもつゼータ電位によって色材同士の接近が妨げられることによって分散状態が維持されるため、水不溶性色材を含むインクジェット記録用インクの分散安定性及び保存安定性においては、ゼータ電位は重要な意義をもつ物性値とされる。
更に、ゼータ電位はその絶対値が分散安定性に大きく寄与するのみならず、その分布についても考慮されるべきである。特に、一般的にゼータ電位の異なるコロイド分散体が共存する分散系においては、ゼータ電位の符号(正負)が同符号のものであっても、その絶対値の小さい分散体表面と絶対値の大きい分散体表面間に引力が働くために凝集し易くなるヘテロ凝集現象が知られている。即ち、本発明にかかる水性インクにおける分散性色材のゼータ電位についても、その絶対値が均一であることで、分散安定性における効果が発揮される。本発明者らの検討によれば、本発明の分散性色材のゼータ電位が、その平均値に対して標準偏差で50未満であれば望ましい分散安定性を得られるため好ましい。
[記録画像]
本発明にかかるインクジェット記録画像は、前記した構成の分散性色材を含む本発明のインク組成物を用いて、後述するようなインクジェット記録装置にて記録媒体上に形成される。本発明において使用する記録媒体は、インクジェット記録可能等のような媒体でも制限なく用いることができる。
[画像記録方法及び記録装置]
本発明にかかる分散性色材、及び該色材を含有する水性インクは、インクジェット吐出方式のヘッドに用いられ、又、そのインクが収納されているインクタンクとしても、或いは、その充填用のインクとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらす。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し、インク内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明である米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通する吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59−123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成の何れでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも、本発明は有効である。又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体、或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、本文中の「部」及び「%」は特に断りのない場合質量基準を表し、表中の数値は質量%を表す。
[実施例1]
実施例1にかかる記録インク1を下記の要領で作製した。先ず、カーボンブラック10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤10部、及び水74部からなる組成の混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて、1,500rpmで5時間分散し、顔料分散液1を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用し、ポット内の充填率は70%とした。本実施例で使用したカーボンブラックは、米国Cabot社より上市されているBlack Pearls 880(以下、BP880と略す)であり、スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤には、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。かかるスチレン−アクリル酸系樹脂分散剤は、予め、水及び、上記の酸価と当量の水酸化カリウムを加えて80℃にて攪拌し、水溶液としたものを使用した。得られた顔料分散液1は、平均分散粒径98nmで安定に分散されており、多分散度指数は0.16であった。
次に、上記で得た顔料分散液1を100部として、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、5時間重合を行った。該混合液は、メタクリル酸メチル5.5部、アクリル酸0.5部、水酸化カリウム0.12部、過硫酸カリウム0.05部及び水20部からなる。得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した。その後、更に12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより精製し、沈降物である分散性色材1を得た。
この分散性色材1を水に分散し、12,000回転、60分間の遠心分離を行って沈降物を水に再分散させたものを乾燥させ、走査型電子顕微鏡JSM−6700(日本電子ハイテック(株)製)にて5万倍にて観察したところ、該分散性色材1は、樹脂微粒子がカーボンブラックの表面に固着している状態が観察された。尚、本実施例に記載されるこれ以降の色材についても、上記と同様の手法にて、色材の形態を確認した。
上記で得た分散性色材1を、下記表の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例の記録用インク1を調製した。尚、インクの全量が100部となるように水(イオン交換水)で調整した。以降のインクにおいても同様である。
[実施例2]
本実施例にかかる記録インク2を下記の要領で作製した。先ず、色材としてピグメントブルー(PB)15:3(クラリアント社製)を10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系分散剤10部、水74部からなる組成を有する混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて1,500rpm、5時間分散し、顔料分散液2を得た。サンドミルでは、0.6mm径のジルコニアビーズを使用、ポット内の充填率は70%とした。分散剤として用いたスチレン−アクリル樹脂は、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。得られた顔料分散液2は、平均分散粒径108nmにて安定に分散されており、多分散度指数は0.14であった。
次に、上記で得た顔料分散液2を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の組成の混合液を徐々に滴下して加え、重合を行った。上記で使用した混合液は、メタクリル酸メチル5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.05及び水20部からなる。上記したようにして5時間かけて重合後、得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した後、更に、12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより精製し、沈降物である分散性色材2を得た。更に、実施例1と同様にして、上記で得られた分散性色材2を用い、下記表の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例の記録用インク2を調製した。
[実施例3]
本実施例にかかる記録インク3を下記の要領で作製した。先ず、色材としてピグメントイエロー(PY)74(クラリアント社製)を10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系分散剤10部、水74部からなる組成を有する混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて1,500rpm、5時間分散し、顔料分散液3を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用、ポット内の充填率は70%とした。分散剤として用いたスチレン−アクリル樹脂は、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。得られた顔料分散液3は平均分散粒径126nmにて安定に分散されており、多分散度指数は0.16であった。
次に、上記顔料分散液3を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の組成の混合液を徐々に滴下して加え、重合を行った。該混合液は、メタクリル酸メチル5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.05及び水20部からなる。上記したようにして5時間かけて重合後、得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した後、更に、12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより、沈降物である分散性色材3を得た。
下記表の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例の記録用インク3を調製した。
[実施例4]
本実施例にかかる記録インク4を下記の要領で作製した。先ず、色材としてピグメントレッド(PR)122(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)を10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系分散剤10部、水74部からなる組成を有する混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて1,500rpm、5時間分散し、顔料分散液4を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用、ポット内の充填率は70%とした。分散剤として用いたスチレン−アクリル樹脂は、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。得られた顔料分散液4は平均分散粒径96nmにて安定に分散されており、多分散度指数は0.13であった。
次に、上記顔料分散液4を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の組成の混合液を徐々に滴下して加え、重合を行った。該混合液は、メタクリル酸メチル5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、VA−057(和光純薬工業社製)0.05及び水20部からなる。上記したようにして5時間かけて重合後、得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した後、更に、12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより、沈降物である分散性色材4を得た。
下記表の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例の記録用インク4を調製した。
[実施例5]
実施例1で調製したと同様の顔料分散液1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、5時間重合を行った。上記で使用した混合液は、メタクリル酸メチル17.2部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.8部、過硫酸カリウム0.05及び水20部からなる。重合後、実施例1と同様の方法で遠心分離にて精製を行い、分散性色材5を得た。下記表の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例の記録用インク5を調製した。
[実施例6]
実施例1で調製したと同様の顔料分散液1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の組成の混合液を徐々に滴下して加え、重合を行った。使用した混合液は、メタクリル酸ベンジル5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.01及び水20部からなる。上記したようにして5時間かけて重合後、実施例1と同様の条件で遠心分離することにより精製して、沈降物である分散性色材6を得た。下記表の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例の記録用インク6を調製した。
[実施例7]
実施例1で調製したと同様の顔料分散液1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の組成の混合液を徐々に滴下して加え、重合を行った。使用した混合液は、メタクリル酸ベンジル4.5部、アクリル酸ブチル1.2部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.05及び水20部からなる。上記したようにして5時間かけて重合後、実施例1と同様の方法で遠心分離にて精製を行い、分散性色材7を得た。下記表の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例の記録用インク7を調製した。

Figure 2006008751
[分散性色材の特性]
上記の実施例1〜7で得た各分散性色材について、それぞれ下記に説明した方法で観察、及び各種の物性を測定し、得られた結果を表2に示した。
<樹脂微粒子の固着・点在性>
各分散性色材を水に分散して乾燥させ、走査型電子顕微鏡JSM−6700(日本電子ハイテック(株)製)にて5万倍にて観察し、色材に樹脂微粒子固着している状態、及び固着している樹脂微粒子の性状を下記のように評価した。
(樹脂微粒子の固着状態)
○:樹脂微粒子が固着している様子が確認できた。
×:樹脂微粒子が固着している様子が確認できなかった。
(樹脂微粒子の点在性)
○:観察時、樹脂微粒子が点在していることが確認できた。
×:観察時、樹脂微粒子が局在しているか、不均一に固着している様子がみられた。
<平均粒子径>
各分散性色材を、大塚電子(株)製、ELS−8000を用いて動的光散乱法にて測定し、キュムラント平均値を平均粒径とした。
<表面官能基密度>
各分散性色材の表面官能基密度を次のように求めた。色材の水分散液に大過剰量の塩酸(HCl)を加え、遠心分離装置にて20,000rpm、1時間の条件で沈降したものを純水に再分散させ、固形分率を求めて沈降物を秤量し、既知量の炭酸水素ナトリウムを加えて攪拌した分散液を、更に遠心分離装置にて80,000rpm、2時間の条件にて沈降させた。上澄みを秤量し、0.1規定のHCl水溶液にて中和滴定より求めた中和量から、炭酸水素ナトリウムの既知量及び純水を測定したブランク値を差し引き、表面官能基密度を算出した。極性基としてカチオン性基を有すると明らかな場合には、同様の手法にて、HCl水溶液の代わりに水酸化ナトリウム(NaOH)を用い、炭酸水素ナトリウムのかわりに塩化アンモニウムを用いて求めた。
[インク組成物の評価方法及び評価結果]
上述した方法で得た各記録用インクを用いて、インクの特性の評価を以下のように行った。又、インクジェット記録装置にて記録媒体への印字を行って、得られた画像について評価した。インクジェット記録装置としてキヤノン(株)から上市されるBJ S600を使用して画像を形成し、発一性、吐出安定性、印字した印字物の光学濃度(OD)、耐擦過性、耐マーカー性、インク組成物の長期保存安定性を、それぞれ以下のようにして評価し、その結果を表3に示した。
<発一性>
発一性は、温度15℃、湿度10%RH環境下においてインクジェットプリンタBJ S600を1時間以上放置し、その後あるノズルからインク滴を吐出させ、20秒間そのノズルを使用せず、次にそのノズルからインク滴を1発吐出させたときの吐出安定性の程度を目視にて下記基準で評価した。
A:正常な印字が行える。
B:若干印字の乱れはあるが、実使用上問題のないレベルである。
C:不吐出又は印字の乱れが著しい。
<吐出安定性>
吐出安定性は、特定のBkテキストを連続で100枚印字し、初期の印字物と最後の印字物を比較して目視にて判断した。
A:スジ、ムラ等なく、初期と最後で違いがない。
B:僅かなスジ、ムラ、ヨレがあるものの、問題なく印字できる。
C:大きく品位の低下がみられる、又は印字できなくなる。
<光学濃度(OD)>
各記録用インクを用いてキヤノンPPC用紙に5cm角のパッチを印字後、1日経過した印字物の光学濃度(OD)を測定し、下記の基準で評価した。
A:印字物のODが1.0以上。
B:印刷物のODが0.8以上1.0未満。
C:印刷物のODが0.8未満。
<耐擦過性>
印字物の耐擦過性は、印字部分を40g/cm2の重さをかけたシルボン紙で5回擦り、印字部分の乱れを目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:擦れによる印字の乱れや白色部の汚れがない。
B:擦れによる印字の乱れや白色部の汚れが殆どなく、気にならない。
C:擦れにより印字が大きく乱れ、白色部に汚れがみられる。
<耐マーカー性>
印字物の耐マーカー性は、印字部分を蛍光黄色マーカーペン(ゼブラ・オプテクス)にて一回なぞり、印字部分の乱れを目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:なぞった部分に印字の乱れがない。
B:なぞった部分に印字の乱れが少なく、ペン先がほとんど汚れていない。
C:なぞった部分の印字の乱れが大きく、ペン先に色がつく。
<長期保存安定性>
保存安定性は、ガラス製のサンプル瓶中に各インク組成物をいれ、その状態で室温にて1ヶ月放置した後におけるインク中の分散状態を目視にて判断した。評価基準は以下の通りである。
A:固形分の凝集・沈降がみられない。
B:固形分の沈降がややみられるが、軽く振ると元の均一な分散状態に戻る。 C:固形分の凝集・沈降がみられ、軽く振っても均一にならない。
実施例1〜7によって表2に示した特性を有する分散性色材1〜7を得た。又、表3に示した通り、何れの記録インクにおいても、優れた印字性能を示した。
Figure 2006008751
Figure 2006008751
[実施例8〜14]
実施例8〜14にかかる記録インクをそれぞれ下記表4の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過して調製した。
[各記録用インクの物性及び評価]
上記の記録用インク8〜14について実施例1〜7で行ったと同様の項目について印字評価を行った。更に、実施例8〜14においては次のような速乾性に関する評価を追加で行った。
<速乾性>
印字終了1分後に指で印字部分を擦り、印字部分の汚れを下記の基準で評価した。
A:白紙部分の汚れがほとんどない。
B:白紙部分が僅かに汚れるが、文字の認識には問題がない。
C:印字の乱れが発生し、白紙部分が明らかに汚れる。
結果を表5に示した。何れの実施例においても良好な吐出特性と印字性能を示したが、シリコン系界面活性剤の添加量の大きかった実施例13は他のものと比べて吐出安定性が劣っており、逆にシリコン系界面活性剤の添加量の小さかった実施例14は、発一性の改善効果がやや小さかった。更に、実施例13に関しては速乾性でも他の実施例に比べてやや劣っていたが、これは使用した分散性色材6が、樹脂擬似微粒子の点在性に劣っていたことによると考えられる。
Figure 2006008751
Figure 2006008751
[比較例]
比較例1〜6をそれぞれ下記表6の成分組成となるように混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過して調製し、実施例1〜7で行ったと同様の項目について印字評価を行った。
結果を表7に示した。分散性色材のみを用いた比較例1〜4においては、充分な発一特性が得られなかった。又、シリコン系界面活性剤と樹脂分散による顔料分散体で構成された比較例5、6においては、発一特性が充分でないだけでなく吐出安定性や印字特性において充分でない結果となった。
Figure 2006008751
Figure 2006008751
更に、実施例2〜5、9〜12に対しては、次のような評価を追加で行った。<普通紙色均一性>
各記録用インクを用いて印字した5cm角のパッチを目視で、下記の基準で評価した。
A:印字部分の色味が極めて均一。
B:部分的に白く抜けた部分があるがそれ以外はほぼ均一。
C:色味の濃淡が感じられる。
<耐目詰まり性>
温度35℃、湿度10%RH環境下にてインクジェットプリンタBJ S600を1時間以上放置し、その後印字を行った後、そのノズルを使用せずに放置し、1週間後プリンタの回復動作を経て再び印字を行ったときの吐出安定性の程度を目視にて下記基準で評価し、その結果を表8に示した
A:正常な印字が行える。
B:若干印字の乱れはあるが、実使用上問題のないレベルである。
C:不吐出又は印字の乱れが著しい。
結果を表8に示した。実施例2、3に対し、尿素、又はエチレン尿素を用いた実施例9、10では耐目詰まり性において良好な結果となった。又、実施例4、に対し、2−ピロリドンを用いた実施例11は普通紙色均一性と光学濃度O.D.において良好な結果となった。又、実施例5に対し、エチレン尿素とN−メチル−2−ピロリドンを用いた実施例12は、普通紙色均一性、耐目詰まり性、光学濃度の何れも大きく改善された。
Figure 2006008751
本発明によれば、分散安定性が高く、且つ樹脂成分の色材からの脱離がなく、長期にわたり安定であるとともに、特に発一性に優れ、良好な印字性能を与えるインク組成物が提供される。更に、本発明の別の効果として、斯かる優れたインク組成物を用いたインクタンク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像が提供される。
本発明の別の効果として、普通紙色均一性に優れたインク組成物が提供され、更に別の効果として、耐目詰まり性に優れたインク組成物が提供される。又、本発明の別の効果として、普通紙において印字濃度の高い印字物を与えるインク組成物が提供される。
本発明による、荷電性樹脂擬似微粒子を固着している分散性色材の基本的構造を示す模式図である。 本発明の製造方法における代表的な工程の模式図である。
符号の説明
1:色材
2:荷電性樹脂擬似微粒子
3:分散樹脂
4:モノマー
5:重合開始剤水溶液
6:分散性色材

Claims (12)

  1. 分散性色材と、水と、水溶性有機溶媒と、シリコン系界面活性剤とを少なくとも含んでなるインク組成物であり、上記分散性色材は、色材と該色材より小さい荷電性樹脂擬似微粒子とを有し、且つ上記色材と上記荷電性樹脂擬似微粒子とが固着してなる分散性色材であることを特徴とするインク組成物。
  2. 上記荷電性樹脂擬似微粒子が色材に対して複数点在し、且つ固着している請求項1に記載のインク組成物。
  3. アセチレングリコール系界面活性剤を更に含んでなる請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 上記シリコン系界面活性剤の水に対する溶解度が0.5質量%以上である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインク組成物。
  5. 湿潤剤として、尿素誘導体を更に含んでなる請求項1乃至4の何れか1項に記載のインク組成物。
  6. 2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも1つを更に含んでなる請求項1乃至5の何れか1項に記載のインク組成物。
  7. 上記シリコン系界面活性剤の含有量が0.005質量%以上2質量%未満である請求項1乃至6の何れか1項に記載のインク組成物。
  8. 上記色材が顔料である請求項1乃至7の何れか1項に記載のインク組成物。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載のインク組成物を含んでなることを特徴とするインクタンク。
  10. 請求項1乃至8の何れか1項に記載のインク組成物を搭載していることを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 請求項1乃至8の何れか1項に記載のインク組成物を用いて、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. 請求項1乃至8の何れか1項に記載のインク組成物を用いて、インクジェット記録装置により形成されたことを特徴とするインクジェット記録画像。
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