JP2005538035A - グアニジニウム輸送試薬および結合体 - Google Patents

グアニジニウム輸送試薬および結合体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005538035A
JP2005538035A JP2003550821A JP2003550821A JP2005538035A JP 2005538035 A JP2005538035 A JP 2005538035A JP 2003550821 A JP2003550821 A JP 2003550821A JP 2003550821 A JP2003550821 A JP 2003550821A JP 2005538035 A JP2005538035 A JP 2005538035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
transport
agent
biologically active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003550821A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005538035A5 (ja
Inventor
ジョナサン ビー. ロスバード,
ポール エー. ウェンダー,
カナカ パタビラマン,
エリン ティー. ペルキー,
セオドア シー. ジェソップ,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Leland Stanford Junior University
Original Assignee
Leland Stanford Junior University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Leland Stanford Junior University filed Critical Leland Stanford Junior University
Publication of JP2005538035A publication Critical patent/JP2005538035A/ja
Publication of JP2005538035A5 publication Critical patent/JP2005538035A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/50Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
    • A61K47/51Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent
    • A61K47/54Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being an organic compound
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/10Antimycotics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

輸送試薬および輸送試薬に連結された治療剤の結合体が記載される。特に、この輸送試薬は、骨格に沿って連続的にかまたは間隔を空けてかのいずれかであるが、係留を介して骨格から充分隔てられた、複数のグアニジニウム部分を有して、細胞または組織の表面との相互作用を可能にし、治療剤の取り込みを導く。本発明は、1つの局面において、生体膜を通る選択された化合物の輸送を増強するための方法を包含する。この方法において、生体膜に、少なくとも1種の輸送試薬に共有結合された生物学的に活性な薬剤を含む結合体が、接触される。この結合体は、非結合形態でのその生物学的薬剤の膜貫通輸送速度よりも速い速度での、生体膜を通るその薬剤の輸送を促進するために有効である。

Description

(連邦政府により支援された研究および開発の下でなされた本発明に対する権利に関する陳述)
本発明は、NIH助成金番号CA 65237に支援されてなされた。従って、米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
本発明は、生体膜を通る生物学的に活性な薬剤(例えば、有機化合物、ポリペプチド、オリゴ糖、核酸、および金属イオン)の輸送を増強するために有効である、方法および組成物に関する。
細胞の形質膜は、多くの有用な治療剤の通過に対する障壁を提示する。一般に、薬物は、細胞に侵入するために、その薬物が通過しなければならない身体水性区画と脂質層との両方において自由に可溶性でなければならない。特に、高荷電分子は、膜を通過する際に困難さを経験する。多くの治療高分子(例えば、ペプチドおよびオリゴペプチド)はまた、膜貫通輸送に対して特に手に負えない。従って、生物学によって多数の潜在的に価値のある治療剤が利用可能になっているが、バイオアベイラビリティを考慮すると、しばしばその医学的有用性が妨げられる。従って、薬物(特に高分子)を細胞中に輸送する信頼できる手段についての必要性が存在する。
本発明は、低分子または高分子に特定のオリゴマーまたはポリマーを結合体化すると、この結合した分子が生体膜を通る輸送を有意に増強するために有効であるという本出願人らの知見に、部分的に基づく。この輸送試薬は、非常に塩基性であるサブユニットを含み、この塩基性サブユニットは、塩基性基(例えば、グアニジノ基またはアミジノ基)間の適切な間隔を提供するために、中性サブユニットにより中断されているかまたはより長い骨格を有するかのいずれかである。
(発明の開示)
本発明は、1つの局面において、生体膜を通る選択された化合物の輸送を増強するための方法を包含する。この方法において、生体膜に、少なくとも1種の輸送試薬に共有結合された生物学的に活性な薬剤を含む結合体が、接触される。この結合体は、非結合形態でのその生物学的薬剤の膜貫通輸送速度よりも速い速度での、生体膜を通るその薬剤の輸送を促進するために有効である。
従って、本発明は、別の局面において、式
Figure 2005538035
を有する化合物を提供し、この式において、下付文字mは、6〜50の整数であり;Tは、保護されたかもしくは保護されていない第一の末端官能基、保護されたかもしくは保護されていない連結基、または結合した生物学的に活性な薬剤を有する連結基を示し;Wは、保護されたかもしくは保護されていない第二の末端官能基、保護されたかもしくは保護されていない連結基、または結合した治療剤を有する連結基を示す。サブユニット部分(括弧により囲まれている)において、下付き文字nは、0、1、または2であり得;各Xは、骨格サブユニットであり、ここで、上付文字iは、1〜mまでの整数であり、Wの下流の位置を示す;各Yは、下付文字nが0である場合、H、アミノ酸側鎖、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;または下付文字nが1または2である場合、(C〜C)アルキレン、(C〜C)アルケニレン、(C〜C)アルキニレン、(C〜C)ヘテロアルキレン、(C〜C)シクロアルキルアルキレン、(C〜C)スピロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンおよびこれらの組み合わせから選択され;各Zは、グアニジウム部分であり、この部分は、好ましくは、
Figure 2005538035
から選択され、ここで、波線は、Yへの結合点を示す。従って、このサブユニットの各々について、下付文字nは、各i位置での1つまたは2つのZグアニジニウム部分の非存在または存在を示し;但し、この化合物は、同じであっても異なってもよい少なくとも4つのグアニジニウム部分を有する。
より詳細には、WおよびTは、保護された形態または保護されていない形態であり得る官能基(例えば、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、カルボキサミド、アルデヒド、アミノなど)であり得る。種々の官能基のための適切な保護基は、例えば、GreeneおよびWuts、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第2版、John Wiley & Sons,New York,NY,1991に記載される。さらに、TおよびWのいずれかまたは両方は、固体支持体におけるこの輸送試薬の合成の間に使用される結合化学の痕跡、または生物学的に活性な薬剤を結合するために使用される連結基のいずれかである連結基であり得る。TまたはWが生物学的に活性な薬剤を結合するために使用される連結基である実施形態について、その連結基は、好ましくは、インビボで切断されそしてこの輸送試薬から治療剤を放出する連結基である。
本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法は、多数の生体膜のいずれかを通る選択された治療剤の輸送を増強するために使用され得、この生体膜としては、真核生物細胞膜、原核生物細胞膜、および細胞壁が挙げられるが、これらに限定されない。例示的原核生物細胞膜は、細菌膜を包含する。目的とする例示的真核生物細胞膜としては、樹状細胞膜、上皮細胞膜、内皮細胞膜、ケラチノサイト膜、筋細胞膜、真菌細胞膜、細菌細胞膜、植物細胞膜などが挙げられるが、これらに限定されない。
生物学的に活性な薬剤(これは、治療剤および薬物を包含する。なぜなら、これらの用語は互換可能に使用されるからである)としては、金属イオン(これは、代表的には、金属キレートとして送達される);有機低分子(例えば、抗癌(例えば、タキサン)分子および抗微生物分子(例えば、細菌に対するか、または酵母のような真菌に対する);ならびに高分子(例えば、核酸、ペプチド、タンパク質、およびそのアナログ)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの好ましい実施形態において、この薬剤は、核酸または核酸アナログ(例えば、安定性増強のために1つ以上の2’−デオキシヌクレオチドサブユニットを必要に応じて含むリボザイム)である。あるいは、この薬剤は、ペプチド核酸(PNA)である。別の好ましい実施形態において、この薬剤は、ポリペプチド(例えば、タンパク質抗原)であり、そして生体膜は、抗原提示細胞(APC)の細胞膜である。
この薬剤は、連結基によりこの輸送試薬に連結され得、これにより、この結合体に立体構造的可撓性が付与され得、そしてこの薬剤とその生物学的標的との間の相互作用が促進され得る。1つの実施形態において、この連結基は、切断可能なリンカー(例えば、酵素によってかまたは溶媒媒介切断によって切断可能である連結基(例えば、エステル基、アミド基、またはジスルフィド基を含む))である。別の実施形態において、この切断可能なリンカーは、光切断可能な基を含む。
より特定の実施形態において、この切断可能なリンカーは、この生物学的に活性な薬剤に対して遠位にある第1の切断可能な基と、この薬剤に対して近位にある第2の切断可能な基を含み、その結果、この第1の切断可能な基の切断によって、第2の切断可能な基を切断するために分子内反応可能である求核部分を含むリンカー−薬剤結合体が生じ、これにより、このリンカーと輸送試薬からこの薬剤が放出される。
別の局面において、本発明は、選択された生物学的活性について複数の結合体をスクリーニングするための方法を提供し、この方法において、その結合体は、複数の候補薬剤から形成される。この結合体は、細胞中にこの結合体が取り込まれた際に検出可能なシグナルを示す細胞と接触され、その結果、そのシグナルの大きさが、選択された生物学的活性に関するこの結合体の効力を示す。この方法は、単独では細胞に入って生物学的活性を示すことができないかまたはほとんどできない薬剤の活性を試験するために、特に有用である。1つの実施形態において、この候補薬剤は、コンビナトリアルライブラリーから選択される。
本発明はまた、上記方法におけるスクリーニングのために有用である結合体ライブラリーを包含する。
別の局面において、本発明は、生体膜を通って生物学的に活性な薬剤を送達するための薬学的組成物を包含する。この組成物は、上記の少なくとも1種の輸送試薬に共有結合した生物学的に活性な薬剤と、薬学的に受容可能な賦形剤とを含む、結合体を含む。この輸送試薬は、非結合形態のこの生物学的に活性な薬剤の膜貫通輸送速度より大きい膜貫通輸送速度をこの生物学的に活性な薬剤に付与するために有効である。この組成物は、さらに、この組成物を使用するための指示書とともに包装され得る。
別の局面において、本発明は、哺乳動物被験体(特に、ヒト被験体)を、上記のような薬学的組成物で処置するための治療法を包含する。
本発明のこれらの目的および他の目的ならびにこれらの特徴および他の特徴は、本発明の以下の詳細な説明を添付の図面とともに読んだ場合に、より完全に明らかになる。
(発明の詳細)
(I.定義)
本明細書中で使用される場合、用語「生体膜」は、細胞または一群の細胞を細胞外空間と分離する脂質含有障壁をいう。生体膜としては、原形質膜、細胞壁、細胞内オルガネラ膜(例えば、ミトコンドリア膜)、核膜などが挙げられるがこれらに限定されない。
用語「膜通過濃度(transmembrane concentration)」は、特定の組成物が添加された膜の側と反対、すなわち「トランス」である膜の側に存在する化合物の濃度を言う。例えば、化合物が、細胞の細胞外液に添加される場合、その後に細胞の内側で測定される化合物の量は、その化合物の膜通過濃度である。
「生物学的に活性な薬剤」または「生物学的活性物質」または「生物学的薬剤」は、細胞により取り込まれた際に、その細胞の構造、機能、または組成に観察可能な変化を引き起こす化学物質(例えば、低分子、高分子、または金属イオン)をいう。観察可能な変化としては、1つ以上のmRNAの増大または減少した発現、1つ以上のタンパク質の増大または減少した発現、タンパク質または他の細胞成分のリン酸化、酵素の阻害または活性化、結合対のメンバー間の結合の阻害または活性化、代謝産物の合成の増大または減少した速度、増大または減少した細胞増殖などが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「高分子」は、生物学的起源または合成起源のペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドによって例示される(しかし、これらに限定されない)大きな分子(1000ダルトンよりも大きいMW)をいう。
「有機低分子」は、約100〜約1000の分子量(MW)を有する炭素含有薬剤をいう。
用語「治療薬剤」、「治療組成物」、および「治療物質」は、限定することなく、哺乳動物種の利益のために使用され得る任意の組成物をいう。このような薬剤は、例えば、イオン、有機低分子、ペプチド、タンパク質またはポリペプチド、オリゴヌクレオチド、およびオリゴサッカリドの形態であり得る。
用語「非ポリペプチド薬剤」および「非ポリペプチド治療薬剤」は、輸送試薬を含まず、そしてポリペプチド以外の生物学的に活性な薬剤である輸送結合体の一部をいう。非ポリペプチド薬剤の例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、生体膜を通じた増強された送達のための結合体を形成するために輸送試薬に結合され得る。
用語「ポリマー」は、共有結合によって連結された2つ以上の同一または非同一のサブユニットの直鎖をいう。ペプチドは、ペプチド結合によって連結された同一または非同一のアミノ酸サブユニットで構成され得るポリマーの例である。
本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結されるD−アミノ酸もしくはL−アミノ酸の単一鎖またはD−アミノ酸およびL−アミノ酸の混合物で構成される化合物をいう。一般的に、ペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸残基を含み、そして約50アミノ酸長未満である。
本明細書中で使用される場合、用語「タンパク質」は、ペプチド結合により連結された直線的に配置されたアミノ酸で構成されるが、ペプチドとは対照的に、十分に規定された立体構造を有する化合物をいう。ペプチドとは対照的に、タンパク質は、一般に、50アミノ酸以上の鎖からなる。
本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド」は、少なくとも2つのアミノ酸残基のポリマーであり、1つ以上のペプチド結合を含むポリマーをいう。「ポリペプチド」は、そのポリペプチドが十分に規定された立体構造を有するか否かに関わらず、ペプチドおよびタンパク質を包含する。
用語「アルキル」は、それ自体または別の置換基の一部として、そうでないことが記載されない限り、直鎖もしくは分枝鎖、または環状の炭化水素ラジカル、あるいはそれらの組み合わせを意味し、完全に飽和され得るか、一不飽和または多不飽和であり得、そして二価ラジカルおよび多価ラジカルを含み得、示される炭素原子の数を有する(すなわち、C〜C10は、1〜10個の炭素を意味する)。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどのホモログおよび異性体のような基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−プロピニルおよび3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに高度のホモログおよび異性体が挙げられる。
用語「アルキレン」は、それ自体または別の置換基の一部として、−CHCHCHCH−により例示されるようなアルカンから誘導される二価ラジカルを意味する。代表的に、アルキル(またはアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有し、10数個の炭素原子を有する基が、本発明において好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、より短い鎖のアルキル基またはアルキレン基であり、一般的には、6個程度の炭素原子を有する。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は、それらの従来の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介してその分子の残りの部分に結合されているアルキル基をいう。
用語「ヘテロアルキル」は、それ自体または別の用語と組み合わせて、そうでないことが記載されない限り、示される数の炭素原子ならびにO、N、Si、およびSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子からなる安定な直鎖もしくは分枝鎖、または環状の炭化水素ラジカル、あるいはそれらの組み合わせを意味し、ここで、窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化され得、窒素ヘテロ原子は、必要に応じて四級化され得る。ヘテロ原子O、N、およびSは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に位置し得る。ヘテロ原子Siは、アルキル基がその分子の残りの部分に結合されている位置を含む、ヘテロアルキル基の任意の位置に位置し得る。例としては、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。2つまでのヘテロ原子が連続し得る(例えば、−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CH)。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、それ自体または別の置換基の一部として、−CH−CH−S−CHCH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−によって例示されるようなヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子はまた、鎖の末端のいずれかまたは両方を占領し得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なおさらに、アルキレン結合基およびヘテロアルキレン結合基については、連結基の方向は示されない。
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それら自体または他の用語と組み合わせて、そうでないことが記載されない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状型を示す。さらに、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、複素環がその分子の残りの部分に結合される位置を占有し得る。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられる。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、他に言及されなければ、それら自体によってかまたは別の置換基の一部として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」のような用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことが意味される。例えば、用語「ハロ(C〜C)アルキル」は、トリフルオロメチル,2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むことが意味される。
用語「アリール」は、他に言及されなければ、ポリ不飽和の、代表的には芳香族の、炭化水素置換基(これは、単環であっても、一緒に縮合されたかまたは共有結合された多環(3環まで)であってもよい)を意味する。用語「ヘテロアリール」とは、N、O、およびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含むアリール基(または環)をいい、ここで、この窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化され、そしてこの窒素原子は、必要に応じて四級化(quaternize)される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して、その分子の残基に結合され得る。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては、以下が挙げられる:フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリル。上記アリール環系およびヘテロアリール環系の各々についての置換基は、下記の受容可能な置換基の群から選択される。
略して、用語「アリール」は、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて使用される場合、上で定義されるアリール環とヘテロアリール環との両方を含む。従って、用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合している基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことが意味される。このアルキル基としては、炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば酸素原子によって置換されているアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)が挙げられる。
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)の各々は、指定された基の置換形態と非置換形態との両方を含むことが意味される。各型の基について好ましい置換基は、以下に提供される。
アルキル基およびヘテロアルキル基についての置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしてしばしば参照される置換基を含む)は、以下から選択される種々の基であり得る:0〜(2m’+1)(ここで、m’は、このような基における炭素原子の総数である)の範囲の数の、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’,−NR’R’’,−SR’,−ハロゲン,−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−CNおよび−NO。R’、R’’およびR’’’とは、各々独立して、水素、非置換の(C〜C)アルキル基およびヘテロアルキル基、非置換アリール基、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール基、非置換アルキル基、アルコキシ基もしくはチオアルコキシ基、またはアリール−(C〜C)アルキル基をいう。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合される場合、これらは、その窒素と組み合わさって、5員環、6員環、または7員環を形成し得る。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むことが意味される。置換基の上記考察から、当業者は、用語「アルキル」が、ハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)のような基を含むことが意味されることを理解する。好ましくは、置換アルキル基および置換ヘテロアルキル基は、1〜4個の置換基を有し、より好ましくは、1個、2個または3個の置換基を有する。例外は、ペルハロアルキル基(例えば、ペンタフルオロエチルなど)であり、これはまた、好ましくかつ本発明によって企図される。
同様に、アリール基およびヘテロアリール基についての置換基は、変更され、そして以下から選択される:0から芳香環系上の開放結合価の総数までの範囲の数の、−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R’’、−SR’、−R’、−CN、−NO、−COR’、−CONR’R’’、−C(O)R’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−N、−CH(Ph)、ペルフルオロ(C〜C)アルコキシ、およびペルフルオロ(C〜C)アルキル(ここで、R’、R’’およびR’’’は、独立して、水素、(C〜C)のアルキルおよびヘテロアルキル、非置換のアリールおよびヘテロアリール、(非置換アリール)−(C〜C)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C〜C)アルキルから選択される)。
アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて、式−T−C(O)−(CH−U−の置換基で置き換えられ得、式中、TおよびUは、独立して、−NH−、−O−、−CH−または単結合であり、そしてqは、0〜2の整数である。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、必要に応じて、式−A−(CH−B−の置換基によって置き換えられ得、式中、AおよびBは、独立して、−CH−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−または単結合であり、そしてrは、1〜3の整数である。そのように形成された新たな環の単結合のうちの1つは、必要に応じて、二重結合で置き換えられ得る。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、式−(CH−X−(CHの置換基で置き換えられ得、式中、sおよびtは、独立して、0〜3の整数であり、そしてXは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である。−NR’−および−S(O)NR’−中の置換基R’は、水素または非置換(C〜C)アルキルから選択される。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびケイ素(Si)を含むことが意味される。
用語「グアニジル」、「グアニジニル」、および「グアニジノ」は、(非保護形態の)式−HN−C(=NH)NHを有する部分をいうように、相互交換可能に使用される。例えば、アルギニンは、グアニジル(グアニジノ)部分を含み、これはまた、2−アミノ−5−グアニジノ吉草酸またはα−アミノ−δ−グアニジノ吉草酸とも呼ばれる。「グアニジニウム」とは、正に帯電した共役酸形態をいう。本発明において、グアニジノ基およびグアニジニウム基は、両方とも有用であり、かつしばしば相互交換可能に使用される。
「アミジニル」および「アミジノ」とは、式−C(=NH)(NH)を有する部分をいう。「アミジニウム」とは、正に帯電した共役酸形態をいう。
用語「ポリ−アルギニン」または「ポリ−Arg」とは、連続したアルギニン残基からなる重合体配列をいい;ポリ−L−アルギニンとは、全てのL−アルギニンをいい;ポリ−D−アルギニンとは、全てのD−アルギニンをいう。ポリ−L−アルギニンはまた、ペプチド中のL−アルギニンの数に従って、大文字「R」で略記され(例えば、R8は、8マーの連続したL−アルギニン残基を表す);ポリ−D−アルギニンは、ペプチド中のD−アルギニンの数に従って、小文字「r」で略記される(r8は、8マーの連続したD−アルギニン残基を表す)。
アミノ酸残基は、それらの完全な名称または標準的な一文字表記もしくは三文字表記によって、本明細書中で参照される:A、Ala、アラニン;C、Cys、システイン;D、Asp、アスパラギン酸;E、Glu、グルタミン酸;F、Phe、フェニルアラニン;G、Gly、グリシン;H、His、ヒスチジン;I、Ile、イソロイシン;K、Lys、リジン;L、Leu、ロイシン;M、Met、メチオニン;N、Asn、アスパラギン;P、Pro、プロリン;Q、Gln、グルタミン;R、Arg、アルギニン;S、Ser、セリン;T、Thr、スレオニン;V、Val、バリン;W、Trp、トリプトファン;X、Hyp、ヒドロキシプロリン;Y、Tyr、チロシン。
(II.グアニジニウム輸送試薬および結合体)
(A.概略)
本発明は、生物学的に活性な薬剤の、特定の部位(例えば、細胞内または上皮組織のような組織を横切るかまたはこのような組織内)への送達を増強するのに有用な、種々の輸送試薬を提供する。本発明の輸送試薬および結合体は、6〜50までのサブユニットのオリゴマーまたは短長ポリマーを含み、これらの一部には、グアニジニウム基が結合されている。この輸送薬剤は、結合体化していない生物学的薬剤単独での輸送速度と比較して、生体膜を横切る結合体(輸送試薬−連結基−生物学的薬剤)の輸送速度を増強するのに有効である。特定の実施形態において、この輸送試薬は、ペプチドおよび/またはアミノ酸を含むが、本発明は、この輸送薬剤が以下でさらに考察される非ペプチド骨格および/またはサブユニットを含むようには制限されない。
本発明の輸送試薬は、一般に、グアニジニウムヘッド基(head group)の間に適切な空間を提供するように構築されている。適切な空間は、非グアニジノ含有サブユニットをこの輸送試薬に挿入することによって、またはより長い骨格鎖を有するグアニジノ含有サブユニットを構築し、それによって(プロトン化されている場合)グアニジニウムヘッド基の間の距離を増加させることによって、達成され得る。
図1は、本発明の輸送試薬の一般概念を示している。この図において見られ得るように、WおよびTの一方または両方は、官能基(例えば、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸など)もしくは保護された官能基、保護されているかもしくは保護されていない官能基を保有する連結基、または治療剤が結合されている連結基であり得る。これらのサブユニット部分はまた、グアニジニウム含有サブユニットと間隔を空けたサブユニットとの両方を表しかつ示している。これらのサブユニットの一部はまた、終端骨格、側鎖およびヘッド基のための構造を提供するように示されている。最終的に、間隔を空けたグアニジニウム輸送試薬の処方箋は、等しい間隔を有する試薬の例示として提供され、これは、本発明を通して制限されない。
上記の観点から、特定の輸送試薬は、以下の式のオリゴマーとして表され得る:ポリG、(G、(G、(Gおよび(G。式中「G」は、グアニジノ含有サブユニットであり、そして「S」は、グアニジノ部分もアミジノ部分も含まないサブユニット(またはスペーサー)である。添字「n」は、2〜25の範囲の整数である。記載される空間を有するオリゴマーは、ブロックワイズ(blockwise)様式(すなわち、例えば、Gのような基を合成し、そしてそれらの基を一緒に連結して、競合性の輸送試薬を形成する)で容易に調製されるという利点を有する。
上記輸送部分の式において、文字「S」は、天然のアミノ酸もしくは非天然のアミノ酸、またはグアニジノ基もアミジノ基も有さない、以下に記載の任意の他のサブユニットを表し得る。Sがアミノ酸である実施形態について、このアミノ酸は、アミノ基(NHまたはNH−アルキル)およびカルボン酸基(COH)を有し(輸送部分に組み込まれる前)、かつグアニジル部分もアミジニル部分も含まない、本質的に任意の化合物であり得る。このような化合物の例としては、以下が挙げられる:D−アラニンおよびL−アラニン、D−システインおよびL−システイン、D−アスパラギン酸およびL−アスパラギン酸、D−グルタミン酸およびL−グルタミン酸、D−フェニルアラニンおよびL−フェニルアラニン、グリシン、D−ヒスチジンおよびL−ヒスチジン、D−イソロイシンおよびL−イソロイシン、D−リジンおよびL−リジン、D−ロイシンおよびL−ロイシン、D−メチオニンおよびL−メチオニン、D−アスパラギンおよびL−アスパラギン、D−プロリンおよびL−プロリン、D−グルタミンおよびL−グルタミン、D−セリンおよびL−セリン、D−トレオニンL−トレオニン、D−バリンおよびL−バリン、D−トリプトファンおよびL−トリプトファン、D−ヒドロキシプロリンおよびL−ヒドロキシプロリン、D−チロシンおよびL−チロシン、サルコシン、−アラニン、γ−アミノ酪酸およびε−アミノカプロン酸。上記式の各々において、各Sは、輸送部分に存在する任意の他のSとは無関係であり、いくつかの実施形態において、全てのS基は,同じであり得る。
好ましい実施形態の1つの群において、この輸送部分は、式(Gを有し、式中、各「S」は、独立して、グリシン、−アラニン、γ−アミノ酪酸およびε−アミノカプロン酸から選択され、「G」は、好ましくは、カルバメート、エチレンジアミン、アザ−アミノ酸、またはγ−アミノ酸であり、そしてnは、好ましくは、2〜5の範囲の整数である。より好ましくは、各「S」は、グリシンまたはε−アミノカプロン酸であり、そしてnは、3である。この実施形態の群において、グリシンの使用が、これらの組成物のために好ましい。これらの組成物中、輸送試薬が、ポリペプチドの生物学的薬剤に直接的に、共有結合される。輸送部分が、例えば固相方法を使用して構築される実施形態について、ε−アミノカプロン酸が好ましい。
好ましい実施形態の別の群において、この輸送試薬は、式(Gを有する。式中、各「S」は、好ましくは、グリシン、−アラニン、γ−アミノ酪酸およびε−アミノカプロン酸から選択され、「G」は、好ましくは、カルバメート、エチレンジアミン、アザ−アミノ酸、またはγ−アミノ酸であり、そしてnは、好ましくは、3〜10の範囲の整数である。より好ましくは、各「S」は、グリシンまたはε−アミノカプロン酸であり、そしてnは、3、4、5または6である。特定の実施形態の上記群に関して、グリシンの使用が、これらの組成物のために好ましい。これらの組成物中、輸送部分は、これら組成物全体が組換え方法によって調製され得るように、ポリペプチドの生物学的薬剤に直接的に、融合されるかまたは共有結合される。溶液または輸送部分の固相構築物のために、ε−アミノカプロン酸が好ましい。
好ましい実施形態のなお別の群において、輸送部分は式(Gを有し、ここで、各「S」は好ましくはグリシン、−アラニン、γ−アミノ酪酸およびε−アミノカプロン酸から選択され、「G」は好ましくは、カルバメート、エチレンジアミン、アザ−アミノ酸またはγ−アミノ酸であり、そしてnは好ましくは4〜10の範囲の整数である。より好ましくは、各「S」はグリシンまたはε−アミノカプロン酸であり、そしてnは6である。
好ましい実施形態のなお別の群において、輸送部分は式(Gを有し、ここで、各「S」は好ましくはグリシン、−アラニン、γ−アミノ酪酸およびε−アミノカプロン酸から選択され、「G」は好ましくは、カルバメート、エチレンジアミン、アザ−アミノ酸またはγ−アミノ酸であり、そしてnは好ましくは4〜10の範囲の整数である。より好ましくは、各「S」はグリシンであり、そしてnは6である。
隣接する側鎖部分の間の間隔開けは、通常はサブユニットからサブユニットまでに一貫しているが(上記で基の繰り返しの性質によって図示される)、本発明において使用される輸送試薬はまた、骨格に沿って、側鎖部分の間の変動性の間隔開けもまた含み得る。
他の実施形態において、S基の各々は、輸送部分の特定の所望される特性を増強するように選択される。例えば、より疎水性特性を有する輸送部分が所望される場合、各Sは、代表的に疎水性アミノ酸として一緒に分類される、天然に存在するアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、フェニルグリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン)から選択され得る。同様に、S基のいくらかまたはその全てが親水性アミノ酸(例えば、リジン、セリン、スレオニン、グルタミン酸など)である場合、より親水性特性を有する輸送試薬が調製され得る。
当業者は、輸送試薬が式(Gのものであり得るが、この部分の隣に位置する、さらなるアミノ酸を有し得る(例えば、X(G−Xであり、ここで、下付添え字のmおよびpは0〜約10の整数を表し、そして各Xは、独立して、天然アミノ酸または非天然アミノ酸である)ことを理解する。
従って、輸送部分は、カルボキシ末端およびアミノ末端を有し得る、という意味において特定のペプチド特性を有するように概説され得る。末端の少なくとも1つは、好ましくは、生物学的に活性な薬剤と共有結合で末端に結合されるか、または代替的に、輸送試薬−連結基−生物学的に活性な薬剤の結合体のうちの一部である連結基に結合されるかの、いずれかである。他の実施形態において、生物学的に活性な薬剤は、連結基を介して輸送試薬に結合され得、この連結基は次いで側鎖官能基(例えば、セリン残基のヒドロキシ基、リジン残基のアミノ基、グルタミン酸残基のカルボン酸基など)に結合される。
本発明の重要な局面において、本発明の結合体は、生物学的に活性な薬剤がその生物学的効果を提示するために膜横断輸送を必要とし、且つ表面レセプターに結合することによっては本来生物学的効果を提示しない、すなわち、結果としてこの薬剤の侵入が起こらない型である場合、細胞膜またはオルガネラの膜を横切って生物学的に活性な薬剤を輸送するのに特に有用である。さらに、この結合体は、生物学的に活性な薬剤の生物学的効果を提示するために膜横断輸送を必要とし、且つ単独では(輸送試薬との結合体化も他のいくらかの修飾もなしには)、細胞に侵入して生物学的活性を顕在化するのが不可能であるか、またはごく僅かに可能である型の生物学的に活性な薬剤を輸送するのに特に有用である。
一般的な事象として、本発明の結合体において使用される輸送試薬としては、好ましくは、直鎖骨格のサブユニットが挙げられる。この骨格は、通常、炭素、窒素、酸素、硫黄、およびリンから選択される原子を包含し、大部分の骨格鎖原子は通常炭素である。このサブユニットは、必要に応じて、末端のグアニジノ基またはアミジノ基を含む側鎖部分を含むが、いくつかのサブユニットはグアニジノ基もアミジノ基も含まず、そして細胞内取り込みまたは組織を横切っての取り込みを容易にするのに役立つ、グアニジノ含有サブユニット間またはアミジノ含有サブユニット間の間隔開けをもたらすために、骨格に挿入される。
側鎖部分は、中心のグアニジノ炭素原子またはアミジノ炭素原子(これらにNH基が結合される)が、好ましくは少なくとも2つのリンカー鎖原子、より好ましくは2〜7個の鎖原子を含む、側鎖リンカーによって骨格に連結されるように、骨格から離れて延び、その結果、中心炭素原子は、骨格から離れて3個目から8個目の鎖原子である。この鎖原子は、好ましくは、メチレン炭素原子として提供されるが、酸素、硫黄、または窒素のような1つ以上の他の原子もまた存在し得る。好ましくは、骨格とグアニジノ基またはアミジノ基の中心炭素原子との間の側鎖リンカーは、アルギニンン側鎖(またはホモアルギニン側鎖など)によって例示されるような、4個、5個または6個の鎖原子の長さである。
上に注記したように、本発明の輸送試薬は、1つ以上の非グアニジノサブユニット/非アミジノサブユニット(例えば、グリシン、アラニンまたはシステイン)によってか、またはアミノカプロン酸のようなリンカー(これは、対応する輸送試薬−連結基−生物学的薬剤の結合体の膜輸送率に有意には影響しない)によって、隣接され得る。また、任意の遊離アミノ末端基は、ブロッキング試薬または保護基(例えば、アセチル基またはベンジル基)を用いてキャッピングされて、インビボでのユビキチン化を妨げ得る。
輸送される生物学的薬剤は、多数の実施形態に従って輸送試薬に連結され得る。好ましい実施形態において、この薬剤は、輸送試薬の一方の末端上の末端官能基への連結を介してか、または適切な連結基を介したポリマー内の内部サブユニットへの連結を介して、1つの輸送試薬に連結され得る。
第2の実施形態において、この薬剤は、上記と同じ様式で、1つより多くのポリマーに結合される。この実施形態は、やや好まれない。なぜなら、これは隣接細胞の架橋を導き得るからである。
第3の実施形態において、結合体は、ポリマーの各末端に結合した2つの薬剤部分を含む。この実施形態に関して、薬剤は分子量10kDa未満であることが好ましい。
先に述べた第1の実施形態および第3の実施形態に関して、薬剤は、一般的に、グアニジノ側鎖またはアミジノ側鎖のいずれにも結合せず、その結果、これらは自由に標的膜に相互作用する。
本発明の結合体は、一直線の合成スキームによって調製され得る。さらに、この結合体生成物は、通常、長さおよび組成が実質的に均一であり、その結果、これらは、その効果が、不均一混合物より大きな一貫性および再現性を提供する。
本発明の重要な局面によると、1つの輸送試薬を任意の種々の型の生物学的に活性な薬剤に結合することが、結合体中に巨大な疎水性部分の存在を必要とすることすらなく、生物学的な膜を横切った薬剤の取り込み率を実質的に増強するのに十分であることが、出願人らにより発見された。実際に、巨大な疎水性部分を結合することは、この疎水性部分の脂質二重層への接着に起因した、膜横断輸送を、有意に妨げるかまたは防止し得る。従って、本発明は、巨大な疎水性部分(例えば、脂質分子および脂肪酸分子)を含まない結合体を包含する。
(B.輸送試薬および結合体の構造特徴)
上記の考察を考慮して、本発明は、実施形態のうちの1つの群において、以下の式:
Figure 2005538035
を有する化合物を提供し、ここで、下付添え字mは6〜50の整数であり、Tは、保護されるかもしくは保護されない第1の末端官能基、保護されるかもしくは保護されない連結基、または結合された生物学的に活性な薬剤を有する連結基を表し、そしてWは、保護されるかもしくは保護されない第2の末端官能基、保護されるかもしくは保護されない連結基、または結合された治療薬剤を有する連結基を表す。サブユニットの部分(括弧によって囲まれる)において、下付添え字nは0、1または2であり得、各Xは骨格サブユニットであり、ここで、上付添え字iは1〜mの整数であり、そしてWの下流の位置を表し、各Yは、下付添え字nが0である場合、H、アミノ酸側鎖、アリールおよびヘテロアリールから選択されるか、または下付添え字nが1である場合、(C−C)アルキレン、(C−C)アルケニレン、(C−C)アルキニレン、(C−C)ヘテロアルキレン、(C−C)シクロアルキルアルキレン、(C−C)スピロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびそれらの組み合せから選択され、各Zはグアニジニウム部分であり、好ましくは、以下:
Figure 2005538035
から選択され、ここで、波線はYへの結合点を表し、そして下付添え字nは0、1または2であり、各i位置でZグアニジニウム部分の存在または非存在を示し、但し、この化合物は、同じかまたは異なり得る、少なくとも6個のグアニジニウム部分を有し、そしてさらに、さらなる非障害性置換基(例えば、アルキル、ヘテロアルキルなど)を有する、例示された部分を含む。
さらに具体的には、WおよびTは、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、カルボキサミド、アルデヒド、アミノなどのような官能基であり得、これは保護形態または非保護形態であり得る。種々の官能基に対する適切な保護基は、例えば、GreeneおよびWuts、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第2版、John Wiley & Sons、New York、NY、1991に記載される。さらに、TおよびWのうちの片方または両方は、固体支持体上で輸送試薬の合成の間に使用される結合化学反応の跡であるか、または治療薬剤を結合するために使用される連結基のいずれかである連結基であり得る。TもしくはWが連結基であるか、または生物学的に活性な薬剤に結合された連結基であるかのいずれかの実施形態に関して、この連結基は、好ましくは、インビボで切断可能であり、そしてその結果、輸送試薬から治療薬剤の放出を生じる基である。
結合された輸送試薬が解放されるまで不活性である生物学的に活性な薬剤に関して、リンカーは好ましくは、容易に切断可能であるリンカーであり、このことは、インビボで酵素的切断または溶媒媒介性切断に感受性であることを意味する。この目的のために、カルボン酸エステルおよびジスルフィド結合を含むリンカーが好ましい。ここで、前者の基は酵素的または化学的に加水分解され、そして後者はジスルフィド交換(例えば、グルタチオンの存在下)によって切断される。
1つの好ましい実施形態において、切断可能なリンカーは、薬剤から遠位にある第1の切断可能基、および薬剤から近位にある第2の切断可能基を含み、その結果、第1の切断可能基の切断は、分子内で反応可能な求核性部分を含むリンカー−薬剤結合体を生じて、第2の切断可能基を切断し、これによってリンカーおよびポリマーから薬剤が解放される。この実施形態は、さらに、以下で考察される種々の低分子結合体によって例示される。
本発明のこの局面の成分についてのより完全な考察は、以下に提示される。
(C.輸送試薬成分)
本発明の輸送試薬(例えば、WおよびTが保護されるかまたは保護されていない末端官能基である式Iの化合物)は、多くの異なるサブユニット(アミノ酸を含む)を含み得る。しかし、一般的に、試薬および結合体は、天然に存在するアミノ酸からは完全には調製されない。さらに、輸送試薬は、骨格成分、グアニジニウムヘッド基成分(図2を参照のこと)およびこの骨格およびヘッド基を連結する側鎖成分(図3を参照のこと)を含む。
(アミノ酸)
1つの実施形態において、輸送試薬はDアミノ酸残基またはLアミノ酸残基を含む(例えば、−X(−Y−(Z)のいくつかはアミノ酸である)。輸送試薬における天然に存在するL−アミノ酸残基の使用は、分解産物が細胞または生物に対して比較的無毒性であるはずであるという利点を有する。好ましいアミノ酸サブユニットは、アルギニン(α−アミノ−δ−グアニジノ吉草酸)およびα−アミノ−ε−アミジノ−ヘキサン酸(等配電子のアミジノアナログ)である。アルギニンにおけるグアニジニウム基は、約12.5のpKaを有する。
より一般的には、各ポリマーサブユニットは、(i)11より大きいpKaを有し、より好ましくは12.5以上のpKaを有する高塩基性側鎖部分を含み、そして(ii)プロトン化状態で、共鳴安定化した正電荷(これはこの部分に二座の特性を付与する)を共有する、少なくとも2つのジェミナルアミノ基(NH)を含む高塩基性側鎖部分を含むことが、好ましい。
他のアミノ酸(例えば、α−アミノ−β−グアニジノプロピオン酸、α−アミノ−γ−グアニジノ酪酸、またはα−アミノ−ε−グアニジノ−カプロン酸)もまた、使用され得る(骨格鎖と中心グアニジニウム炭素との間に、それぞれ、2個、3個または5個のリンカー原子を含む)。
D−アミノ酸もまた、輸送試薬において使用され得る。D−アミノ酸を排他的に含む組成物は、酵素的分解が少ないという利益を有する。しかし、これらはまた、標的細胞内で大部分がインタクトなままであり得る。このような安定性は、一般的に、ポリマーが依然として結合している場合でも薬剤が生物学的に活性である場合、問題にはならない。結合体形態で不活性である薬剤に関して、(例えば、細胞内で酵素媒介性切断または溶媒媒介性切断によって)作用部位で切断可能であるリンカーは、結合体中に包含され、細胞またはオルガネラの中で薬剤の解放を促進するはずである。
(他のサブユニット)
アミノ酸以外のサブユニットもまた、輸送試薬を形成する使用のために選択され得る。このようなサブユニットとしては、ヒドロキシアミノ酸、N−メチル−アミノ酸、アミノアルデヒドなどが挙げられ得るが、これらに限定されず、これらは、結果として減少したペプチド結合を有するポリマーを生じる。さらに別のサブユニットの型は、次の節において考察されるように、選択された骨格の性質に依存して使用され得る。
(i.骨格の型)
種々の骨格のサブユニットおよび型(例えば、X成分)を使用して、側鎖のグアニジノ部分および/またはアミジノ部分を並べ、そして位置決めし得る。用語「骨格サブユニット」とは、一般に、必要に応じて置換された任意の2〜8原子の直鎖連結を含むこと、および/または2〜8原子の鎖のメンバーとしてヘテロ原子を有することを意味し得る。例えば、骨格サブユニットとしては、チオエステルまたはスルホニル基によって連結されたアルキレン骨格部分、ヒドロキシ酸エステル(エステル結合でアミド結合を交換することと等価)、α−アミノ酸のα−炭素を窒素で置き換えてアザアナログを形成すること、カルバメート基によって連結されたアルキレン骨格部分、ポリエチレンイミン(PEI)、およびアミノアルデヒド(これらは、二級アミンからなるポリマーを生じる)が挙げられる。
より詳細な骨格の列挙は、N置換アミド(CONRがCONH結合を置き換える)、エステル(CO)、還元されたケトメチレン(COCH)またはメチレンアミノ(CHNH)、チオアミド(SCNH)、ホスフィネート(PORCH)、ホスホンアミデートおよびホスホンアミデートエステル(PORNH)、レトロペプチド(NHCO)、トランス−アルケン(CR=CH)、フルオロアルケン(CF=CH)、ジメチレン(CHCH)、チオエーテル(CHS)、ヒドロキシエチレン(CH(OH)CH)、メチレンオキシ(CHO)、テトラゾール(CN)、レトロチオアミド(NHCS)、レトロ還元(NHCH)、スルホンアミド(SONH)、メチレンスルホンアミド(CHRSONH)、レトロスルホンアミド(NHSO)、およびペプトイド(N置換グリシン)、ならびにマロネートサブユニットおよび/またはgem−ジアミノアルキルサブユニットを有する骨格(例えば、Fletcherら(1998)によって概説され、そしてそこに引用される参考文献によって詳述される)を含む。ペプトイド骨格(N置換グリシン)もまた、使用され得る(例えば、Kessler,1993;Zuckermannら、1992;およびSimonら、1992)。上記置換の多くは、α−アミノ酸から形成された骨格に対して、およそ等配電子のポリマーを生じる。
式Iに戻ると、以下の構造の各々において、Zは、グアニジノ基またはグアニジニウム基を表し(式IにおけるZ)、そしてYは、側鎖連結基(すなわち、式IにおけるZとXとの間の連結)を示す。YおよびZの各々の範囲は、以下により詳細に記載される。
構造Iは、グアニジノ基に結合したアミノ酸サブユニット(例えば、アルギニン、ホモアルギニン)がグアニジノアミノ基を含まないアミノ酸(例えば、グリシン)によって分離されている、ペプチド輸送試薬の一部を示す。WO02/065986もまた参照のこと。構造IIにおいて、グリシンサブユニットおよびN置換グリシンサブユニットを含む輸送試薬が示される。その結果、構造IIは、ペプチド/ペプトイドオリゴマーからなる。
類似の様式で、構造IIIは、グリシン(非グアニジノ含有)サブユニットおよびグアニジノ基に結合したアザ−アミノサブユニットの複合体として示される。
構造IVは、グアニジノ基を保有するサブユニットがヒドロキサム酸サブユニットを含む非グアニジノによって互いから分離されている、ヒドロキサム酸サブユニットのオリゴマーを示す。
構造Vは、単一のグアニジノ基が糖サブユニットの各々に結合した、オリゴサッカリド骨格の使用を示す。
Figure 2005538035
構造VIは、グアニジノ基がモノマーサブユニットの各々に結合した、オリゴカルバメート輸送試薬を示す。この群の実施形態において、グアニジノ基の間の分離は、さらなるスペーシング基の使用なしで、十分である。しかし、本発明は、非グアニジノ含有サブユニット(例えば、アミノ酸、保護アミノエチルカーボネートなど)が組み込まれる実施形態もまた企図する。
構造VIIは、ポリアミン輸送試薬(これの構築は、以下に示される)を示す。
構造VIIIは、γ−アミノ酸から調製された輸送試薬を示す。カルバメート輸送試薬(構造VIを参照のこと)の場合と同様に、各サブユニットは、グアニジノ基が結合されて示されるが、さらなるアミノ酸(例えば、グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、ε−アミノカプロン酸など)が、骨格に沿ったグアニジノ基の間にさらに大きいスペーシングを提供するために使用され得る。
構造IXは、骨格がグルタル酸ユニットによって一緒に結合されたエチレンジアミンユニットからなる、「グルタルアミド」輸送試薬を示す。これらの輸送試薬の調製は、関連する「オキサルアミド」結合および「尿素」結合と共に、以下に記載される。
Figure 2005538035
本発明を指示して実施される研究は、ポリペプチド(例えば、ペプチド骨格)と他の骨格(例えば、カルバメート輸送試薬)の両方を利用し、そして代替の骨格が、生物学的膜を横切る送達の増強を提供し得、そしてまた、インビボでの酵素分解に対する耐性を提供し得ることを実証した。
(ii.側鎖連結(Y))
上記式の各々において、基Yは、骨格とグアニジノヘッド基またはグアニジニウムヘッド基(Z)との間の連結を示す。種々の連結が、本発明によって期とされ、以下が挙げられる:(C〜C)アルキレン、(C〜C)アルケニレン、(C〜C)アルキニレン、(C〜C)ヘテロアルキレン、(C〜C)シクロアルキルアルキレン、(C〜C)スピロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびこれらの組み合わせ。これらの基のメンバーは、種々の側鎖連結を表すための共通の特徴としてグアニジニウムヘッド基およびペプチド骨格を使用して、以下に示される。
Figure 2005538035
上に見られるように、モノマーIaは、L−アルギニンサブユニットであり、そして側鎖連結基は、−CHCHCH−である。モノマーIbは、側鎖連結基が、アルギニンにおける側鎖連結基より短い(n=0)かまたはより長く(例えば、n=2、3、4)あり得る、サブユニットを示す。モノマーIc、Id、およびIeは、不飽和部位を有する側鎖連結基を示す。側鎖がアルケン基を含むサブユニットについては、いずれの配向も(EまたはZ、トランスまたはシス)、本発明によって企図される。残りのモノマーは、全て、側鎖連結基の一部として環状構造の何らかの部分を示す。モノマーIfにおいて、シクロプロパン環が、骨格とグアニジニウムヘッド基との間の連結を形成し、側鎖連結基のコンホメーション可撓性に対して制限を与える。モノマーIgにおいて、フェニル環が、骨格基とグアニジノ基との間の連結基として示される。関連する実施形態は、他のアリール基またはヘテロアリール基(例えば、ピリジン、ピリダジン、ナフタレン、ビフェニルなど)が、側鎖連結基を形成する実施形態を含む。さらに、連結は、示されるような1,3−(すなわち、メタ)配向、1,4−(すなわち、パラ)配向または1,2−(すなわち、オルト)配向であり得るか、あるいはグアニジノ基を骨格の立体障害から離れた位置に配置するように働く、他の任意の配向であり得る。さらに、アリーレン基またはヘテロアリーレン基の側鎖連結は、グアニジニウムヘッド基に多少の電子的特徴を提供するように選択された置換基を有し得る。例えば、フェニレン連結基上のニトロ基置換基は、グアニジニウムヘッド基の電子的特徴を減少させ得、一方で電子供与置換基(例えばメトキシ)は、グアニジニウムヘッド基の電子的特徴を増加させ得る。モノマーIhは、スピロ環式環部分を有する連結基を示す。四員環が、Ihにおいて示されるが、他の環(三員環、五員環、六員環、および七員環の炭素環式環および複素環式環)もまた、本発明の範囲内である。モノマーIiは、連結基の一部が骨格基の一部と環構造を形成して、連結基およびまたグアニジニウムヘッド基のコンホメーション自由度を制限する、側鎖連結基を示す。モノマーIjは、グアニジニウムヘッド基の1つの窒素原子と共通の五員環を有する側鎖連結基を示し、一方でモノマーIkは、単一の2−アミノベンゾイミダゾール部分への、側鎖連結基とグアニジニウムヘッド基との組み合わせを示す。
当業者は、側鎖連結基が、示される炭素原子のいくつかの代わりとしてヘテロ原子を含むさらなる実施形態、または2つ以上の上記モノマーが単一の側鎖連結基に組み合わせられたことを特徴とするさらなる実施形態が企図されることを理解する。
(iii.グアニジニウムヘッド基またはグアニジノ基(Z))
上記側鎖連結基と同様に、本発明は、Zがグアニジノヘッド基またはグアニジニウムヘッド基を表す組成物に関する。好ましくは、輸送試薬における各Zは、以下から独立して選択される:
Figure 2005538035
ここで、波線は、Yへの結合点を表す。
なお他の有用なZ基は、以下である:
Figure 2005538035
上記からの特定のZ基を組み込むモノマーが、以下に提供される。例えば、アミノ酸骨格形式における適切なモノマーとしては、以下が挙げられる:
Figure 2005538035
上記の他のモノマーを参照すると、IIaは、アルギニン残基(正に荷電した形態で示される)である。モノマーIIbおよびIIcは、R基で置換されたグアニジノヘッド基またはグアニジニウムヘッド基を示す(Rは、例えば、アルキル基またはアリールアルキル基であり得る)。モノマーIId、IIe、IIfおよびIIgは、グアニジニウム部分が複素環式環の一部である(必要に応じて、第二の環に縮合している。IIgを参照のこと)、グアニジノヘッド基またはグアニジニウムヘッド基を示す。モノマーIIh、IIiおよびIIjは、グアニジノ部分の中心炭素原子がヘテロ原子(例えば、リン、ホウ素または硫黄)によって置き換えられている、グアニジノヘッド基のヘテロ原子アナログを示す(例えば、それぞれIIh、IIiおよびIIj)。モノマーIIkは、組み合わせられたアミジノ/グアニジニウムヘッド基を示し、その結果、このモノマーは、アルギニン残基と類似の電子的特性および立体特性を有する。
(iv.好ましい実施形態)
上記式Iに戻ると、輸送試薬およびこれらの生物学的に活性な薬剤への結合体化のための、多数の実施形態が好ましい。
好ましい実施形態の1つの群において、各Xは、以下から選択される:
Figure 2005538035
ここで、各Rは、Hおよびアミノ酸側鎖(グアニジノ基またはアミジノ基が結合した側鎖(例えば、アルギニン側鎖)以外)から選択され;星印付きの波線は、Yへの結合点を示し、そして残りの波線は、骨格に沿った結合点を示す。
より好ましくは、Xは、以下から選択される:
Figure 2005538035
なおより好ましくは、輸送試薬は、各Xが以下から選択される、非ペプチド骨格を含む:
Figure 2005538035
式Iに戻ると、好ましい実施形態の1つの群において、Zに結合した各Yは、(C〜C)アルキレン、(C〜C)アルケニレン、(C〜C)ヘテロアルキレン、(C〜C)シクロアルキルアルキレン、アリーレンおよびこれらの組み合わせから選択される。より好ましくは、Zに結合した各Yは、非分枝の(C〜C)アルキレンである。
特定のZ基はまた、本発明において好ましい。好ましい実施形態の1つの群において、各Zは、以下から選択される:
Figure 2005538035
なお他の好ましい実施形態において、Zに結合する各Yは、非分枝の(C〜C)アルキレンであり、そして各Zは、−NH−C(=NH)−NHである。
好ましい実施形態のなお別の群において、式Iにおける各奇数の整数iに対して、nは0であり;そして各偶数の整数iに対して、nは1である。
好ましい実施形態の別の群において、mは、12〜25の整数であり、そしてこの化合物は、同じであり得るかまたは異なり得る6〜8個のグアニジニウム部分を有する。
なお他の好ましい実施形態において、輸送試薬は、上に提供される構造I〜IXを含む。
(D.生物学的に活性な薬剤)
いくつかの実施形態において、輸送試薬は、生物学的に活性な薬剤に連結される。種々の生物学的に活性な薬剤が、本発明において有用であり、この薬剤としては、有機低分子(例えば、治療剤)、金属イオン(代表的に、これらのキレートとして結合体化する)、高分子、ペプチド、診断剤または画像化剤、およびホウ素試薬が挙げられるが、これらに限定されない。
(i.有機低分子)
有機低分子の治療剤(約100〜約1000の分子量を有する薬剤)は、本明細書中に記載されるような線状ポリマー組成物に有利に結合されて、生物学的膜を横切る輸送を容易にするかまたは増強し得る。例えば、非常に荷電した薬剤(例えば、レボドパ(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン;L−DOPA))の送達は、本明細書中に記載されるようなポリマー輸送分子への連結から利益を得ることができる。ペプトイドおよびペプチド模倣薬剤もまた、企図される(例えば、Langston,1997;Giannisら、1997)。また、本発明は、水性液体(例えば、血清および水性生理食塩水)における乏しい溶解度を有する有機低分子を送達するために、有利である。従って、治療効率がその低い溶解度によって制限される化合物が、本発明に従って、より多い投薬量で投与され得、そして細胞によるより高い取り込みに起因して、非結合体化形態と比較して、結合体化形態において、モルベースでより大きい効率であり得る。
輸送試薬に結合され得るなお他の治療剤は、公知の抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗増殖剤、免疫抑制剤、ビタミン、鎮痛薬、ホルモンなどから選択され得る。
本発明の組成物および方法において有用な抗菌剤としては、一般に、β−ラクタム抗生物質およびキノロン抗生物質が挙げられる。より具体的には、この薬剤は、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、アモキシリン(amoxacillin)、アンピシリン、セフォタキシム、セフトリアキソン、リファンピン、ミノサイクリン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、エリスロマイシン、バンコマイシン、またはこれらのアナログであり得る。
本発明の組成物および方法において有用な抗菌剤としては、一般に、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファセタミド、スルフィソキサゾール、スルファジアジン、ペニシリン(例えば、ペニシリンGおよびペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、ナフシリン(naficillin)、アンピシリン、アモキシリン(amoxacillin)、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリンおよびピペラシリン)、セファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン(sefaxolin)、セファレキシン、セファドロキシル、セファマンドール、セフォキシチン、セファクロール、セフロキシム(cefuroxine)、ロラカルベフ(loracarbef)、セフォニシド(cefonicid)、セフォテタン、セフォラニド、セフォタキシム、セフポドキシム・プロキセチル、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフタジジムおよびセフェピム)、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシンなど)、テトラサイクリン(例えば、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリンおよびミノサイクリン)、ならびにマクロライド(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)が挙げられる。
本発明の組成物および方法において有用な抗真菌剤としては、一般に、アンホテリシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、クロトリマゾール、フルコナゾール、シクロピロックス、エコナゾール、ナフチフィン、テルビナフィンおよびグリセオフルビンが挙げられる。
本発明の組成物および方法において有用な抗ウイルス剤としては、一般に、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ホスカネット、イドクスウリジン、ソリブジン(sorivudine)、トリフルリジン、バラシクロビル(valacyclovir)、シドフォビル(cidofovir)、ジダノシン(didanosine)、スタブジン(stavudine)、ザルシタビン(zalcitabine)、ジドブジン、リバビリンおよびリマンタジン(rimantatine)が挙げられる。
本発明の組成物および方法において有用な、抗増殖剤および免疫抑制剤としては、メトトレキサート、アザチオプリン、フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、6−チオグアニン、シクロホスファミド(chclophosphamide)、塩酸メクロレタミン(mechloroethamine)、カルムスチン、シクロスポリン、タキソール、タクロリムス(tacrolimus)、ビンブラスチン、ダプソンおよびスルファサラジンが挙げられる。
ヒスタミンレセプターアゴニストおよびアンタゴニストは、本発明において有用な別のクラスの薬剤である。適切な薬剤の例としては、2−メチルヒスタミン、2−ピリジルエチルアミン、2−チアゾリルエチルアミン、(R)−α−メチルヒスタミン、インプロミジン、ジマプリット(dimaprit)、4(5)メチルヒスタミン、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、クロルサイクリジン、テルフェナジンなどが挙げられる。
本発明において有用な別のクラスの薬剤は、喘息を処置する際に使用される化合物である。このような薬剤の例としては、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニドおよびプレドニゾン)、クロモリン、ネドロクロミル(nedocromyl)、アルブテロール、メタンスルホン酸ビトルテロール、ピルブテロール、サルメテロール、テルブチリン(terbutyline)およびテオフィリンが挙げられる。
本発明の組成物および方法において有用な、なお別のクラスの生物学的に活性な薬剤は、ビタミンである(GOODMANおよびGILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,第9版、Hardmanら編、McGraw−Hill,1547−1590頁(1996)を参照のこと)。
種々の鎮痛剤が、本発明において有用であり、鎮痛剤としては、例えば、リドカイン、ブピバカイン、ノボカイン(novocaine)、プロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、コカイン、メピバカイン、エチドカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、プリロカインなどが挙げられる。
本発明の組成物および方法において有用な抗腫瘍剤としては、一般に、ペントスタチン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、メトトレキサート、ブレオマイシン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、5−フルオロウラシル、シタラビン、フルダラビン(fludarabine)、マイトマイシン、シスプラチン、プロカルバジン、ダカルバジン、パクリタキセル、コルヒチン、ビンカアルカロイドなどが挙げられる。
(ii.金属)
金属は、真核生物細胞および原核生物細胞に、本発明のトランスポーターと結合体化したキレート剤(例えば、テキサフィリンまたはジエチレントリアミン五酢酸(DTPA))を使用して輸送され得る。これらの結合体は、画像化または治療のための、金属イオンの送達のために有用である。例示的な金属イオンの例としては、Eu、Lu、Pr、Gd、99mTc、67Ga、111In、90Y、67Cu、および57Coが挙げられる。結合体候補物を用いる予備的な膜輸送研究を、細胞ベースのアッセイを使用して実施し得る。例えば、ユーロピウムイオンを使用して、細胞取り込みは、時間分解した蛍光測定によってモニタリングされ得る。細胞傷害性の金属イオンについては、取込は、細胞傷害によってモニタリングされ得る。
(iii.高分子)
本発明の増強された輸送方法は、特に、多数の高分子(タンパク質、核酸、多糖類、およびこれらのアナログが挙げられるが、これらに限定されない)についての生物学的膜を横切る輸送を増強するために適切である。例示的な核酸としては、DNAおよびRNAから形成されるオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、ならびにそのアナログが挙げられ、これらは、相補的な標的(例えば、一本鎖標的または二本鎖標的についてのアンチセンス配列)に対するハイブリダイゼーションのため、またはこの配列によってコードされる核酸転写物またはタンパク質の発現のために設計された、選択された配列を有する。アナログとしては、荷電した骨格アナログおよび好ましくは荷電していない骨格アナログ(例えば、ホスホネート(好ましくは、メチルホスホネート)、ホスホロアミデート(N3’またはN5’)、チオホスフェート、荷電していないモルホリノベースのポリマー、ならびにタンパク質核酸(PNA))が挙げられる。このような分子は、種々の治療レジメン(例えば、酵素置換治療、遺伝子療法、およびアンチセンス治療が挙げられる)において使用され得る。
例として、タンパク質核酸(PNA)は、骨格が構造的にデオキシリボース骨格に類似している、DNAのアナログである。この骨格は、N−(2−アミノエチル)グリシンユニットからなり、これに、核酸塩基が結合する。4つ全ての天然の核酸塩基を含むPNAは、ワトソン−クリックの塩基対合規則に従って、相補的なオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、そして塩基対認識の観点から、真のDNA模倣物である(Egholmら、1993)。PNAの骨格は、リン酸エステルではなくペプチド結合によって形成され、この骨格を、アンチセンス増幅のために十分に適切にする。この骨格は荷電していないので、形成するPNA/DNA二重鎖またはPNA/RNA二重鎖は、通常より大きい熱安定性を示す。PNAは、ヌクレアーゼによってもプロテアーゼによっても認識されないという、さらなる利点を有する。さらに、PNAは、標準的なt−Boc化学を使用して、自動ペプチド合成機で合成され得る。次いで、PNAは、本発明の輸送試薬に容易に連結される。
本発明の方法を使用して、細胞への輸送が増強され得る、アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、例えば、米国特許第5,594,122号に記載されている。このようなオリゴヌクレオチドは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を処置するための標的である。アンチセンスオリゴヌクレオチドへの輸送試薬の結合体化は、十分に確立された方法に従って、例えば、ペプチドとオリゴヌクレオチドの5’末端との間に、スクシネート結合を介して、アミド結合を形成することによって、なされ得る。
生物学的膜を横切って輸送され得る高分子の別のクラスは、タンパク質、および特に、酵素によって例示される。治療タンパク質としては、置換酵素が挙げられるが、これらに限定されない。治療酵素としては、リソソームグルコセレブロシダーゼ不全(ゴシェ病)を処置する際に使用するための、アルグルセラーゼ(alglucerase)、ムコ多糖体症Iを処置する際に使用するための、α−L−イズロニダーゼ、サンフィリポB症候群を処置する際に使用するための、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、膵臓機能不全を処置する際に使用するための、リパーゼ、重症複合型免疫不全症候群を処置する際に使用するための、アデノシンデアミナーゼ、およびトリオースホスフェートイソメラーゼ欠損に関連する神経筋機能不全を処置する際に使用するための、トリオースホスフェートイソメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、そして本発明の重要な局面に従って、タンパク質抗原は、抗原提示細胞(APC)の細胞質ゾル区画に送達され得、ここで、これらの抗原は、ペプチドに分解される。次いで、これらのペプチドは、小胞体に輸送され、ここで、これらのペプチドは、発生器のHLAクラスI分子と会合し、そして細胞表面上で提示される。このような「活性化」APCは、クラスIを制限された抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導薬剤として働き得、これは次いで、特定の抗原を提示する細胞を認識し、そして破壊を続ける。このプロセスを実施し得るAPCとしては、特定のマクロファージ、B細胞および樹状細胞が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、タンパク質抗原は、腫瘍細胞に対する免疫応答を引き起こすかまたは促進するための、腫瘍抗原である。
単離されたタンパク質または可溶性タンパク質の、APCの細胞質ゾルへの輸送(引き続くCTLの活性化を伴う)は、例外的に優れている。なぜなら、わずかな例外を伴って、単離されたタンパク質または可溶性タンパク質の注入は、APCの活性化もCTLの誘導もいずれも生じないからである。従って、本発明の輸送増強組成物に結合体化した抗原は、インビトロまたはインビボでの細胞性免疫応答を刺激するように働き得る。
別の実施形態において、本発明は、免疫特異的抗体または抗体フラグメントを細胞質ゾルに送達して、有害な生物学的プロセス(例えば、微生物感染)を防止するために有用である。最近の実験は、細胞内抗体が、植物細胞および哺乳動物細胞において有効な抗ウイルス剤であり得ることを示した(例えば、Tavladorakiら、1993;およびShaheenら、1996)。これらの方法は、代表的に、単鎖可変領域フラグメント(scFv)を使用し、ここで、抗体の重鎖および軽鎖は、単一のペプチドとして合成される。可変重鎖および可変軽鎖は、通常、可撓性リンカーペプチド(例えば、15アミノ酸のもの)によって分離されて、28kDaの分子を与え、これは、高親和性リガンド結合部位を保持する。この技術の広範な適用に対する最も重要な障害は、感染した細胞への取り込みの効率であった。しかし、輸送試薬をscFvフラグメントに結合させることによって、細胞取り込みの程度は増加し得、免疫特異的フラグメントが重要な微生物成分(例えば、HIV Rev、HIV逆転写酵素、およびインテグラーゼタンパク質)に結合し、そして不能にすることを可能にする。
(iv.ペプチド)
本明細書中に記載される増強された輸送方法によって送達されるためのペプチドとしては、エフェクターポリペプチド、レセプターフラグメントなどが挙げられるが、これらに限定されるべきではない。例としては、細胞内シグナル伝達を媒介するタンパク質によって使用される、リン酸化部位を有するペプチドが挙げられる。このようなタンパク質の例としては、プロテインキナーゼC、RAF−1、p21Ras、NF−κB、C−JUN、および膜レセプター(例えば、IL−4レセプター、CD28、CTLA−4、V7ならびにMHCクラスI抗原およびMHCクラスII抗原)の細胞質テイルが挙げられるが、これらに限定されない。
輸送増強分子がまた、ペプチドである場合、合成は、自動ペプチド合成機を使用してか、または上記のような融合ペプチドをコードするポリヌクレオチドが産生される組換え方法によってかのいずれかで、達成され得る。
(v.診断画像化剤および造影剤)
本発明の組成物はまた、上皮組織および/または内皮組織の1つ以上の層中へ、またはそれを横切って診断画像化剤および造影剤を送達するのに有用である。診断薬剤の例としては、放射能で標識された物質(例えば、99mTcグルコヘプトネート)、または磁気共鳴画像化(MRI)手順において使用される物質(例えば、ガドリニウムをドープされたキレート剤(例えば、Gd−DTPA))が挙げられる。診断薬剤の他の例としては、細胞において発現された場合に容易に検出可能であるタンパク質をコードするマーカー遺伝子(β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼなどを含むが、これらに限定されない)が挙げられる。広範な種々の標識が使用され得、例えば、放射性核種、蛍光体、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素インヒビター、リガンド(特に、ハプテン)などが使用され得る。
(vi.ホウ素試薬)
本発明の組成物および方法はまた、ホウ素試薬(例えば、Boron Neutron Capture治療において使用される試薬)の送達に有用である。この実施形態において、ホウ素種は、送達増強輸送試薬自体に組み込まれ得るか、または標的細胞もしくは組織へのホウ素のより効率的な輸送のために輸送試薬と合わせられ得る。Boron Neutron Capture治療における概説は、以下のように見出され得る:Barthら,Mol.Chem.Neuropathol.21:139−154(1994);Barthら,Cancer Inv.14:534−550(1996);Coderreら,Radiat.Res.151:1−18(1999);Gahbauerら,Recent Results Cancer Res.150:183−209(1998);Hawthorne,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.32:950−984(1993);Hawthorne,Mol.Med.Today 4:174−181(1998);Solowayら,J.Neuro−Oncol.33:9−18(1997);Solowayら,Chem.Rev.98:1515−1562(1998)。アミノ酸およびペプチドにおけるホウ素の調製および組み込みのための方法の概説については、Spielvogelら,Phosphorus,Sulfur,Silicon Relat.Elem.87:267−276(1994)を参照のこと。Caiら,J Med.Chem.40:3887−3896(1997)もまた参照のこと。
(E.試薬を輸送するための生物学的に活性な薬剤を結合するための連結基)
輸送されるべき薬剤は、多数の実施形態に従って輸送試薬に連結され得る。1つの実施形態において、この薬剤は、輸送試薬の末端または適切な連結基を介する試薬内の内部サブユニットへの結合のいずれかを介して、1つの輸送試薬に連結される。
第2の実施形態において、この試薬は、上記と同じ様式で、1つより多い輸送試薬に結合される。この実施形態は、幾分好ましくない。なぜなら、それは、隣接する細胞の架橋を生じ得るからである。
第3の実施形態において、結合体は、輸送試薬の各末端に結合された2つの生物学的に活性な薬剤(同じかまたは異なるかのいずれか)を含む。この実施形態について、薬剤が、10kDa未満の分子量、より好ましくは、約1kDa未満の分子量を有することが、現在好ましい。
言及したばかりの第1および第3の実施形態に関して、生物学的に活性な薬剤は、一般的に、グアニジノ側鎖またはアミジノ側鎖のいずれにも結合せず、その結果、それらは、標的膜と自由に相互作用する。種々の連結基を使用して、輸送部分に生物学的に活性な薬剤を共有結合し得、これらには、本質的に任意の市販の二官能性連結基が挙げられ、好ましくは、異種二官能性連結基(Pierceカタログを参照のこと)が挙げられる。連結基が、いずれかの末端に同じ官能基を有する場合、これらの基は、好ましくは、直交方向に保護され、その結果、各保護基が除去され得、一方、残る保護基をインタクトなままで残す。図5は、本発明において有用な数種の連結基を示す。
本発明の結合体は、容易な合成スキームによって調製され得る。さらに、結合生成物は、好ましくは、長さおよび組成において実質的に均質であり、その結果、それらは、不均質混合物よりも、それらの効果においてより高い整合性および再生性を提供する。より好ましくは、これらの組成物は、少なくとも90%相同であり(輸送結合体において)、そして最も好ましくは、少なくとも約99%相同である。
本発明の輸送試薬は、化学的方法または組換え方法によって生物学的に活性な薬剤に共有結合で結合し得る。化学的方法が、好ましい。
(i.化学連結)
生物学的に活性な薬剤(例えば、有機低分子および高分子)は、当該分野で公知の多数の方法(例えば、Wong,S.S.編,Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,CRC Press,Inc.,Boca Raton,FL(1991)を参照のこと)を介してか、または、直接的にか(例えば、カルボジイミドを用いて)、もしくは連結部分を介して本発明の輸送試薬に連結され得る。特に、カルバメート結合、エステル結合、チオエステル結合、ジスルフィド結合、およびヒドラジン結合は、一般的に、形成が容易であり、そしてほとんどの適用に適している。細胞膜を横切る生物学的に活性な薬剤の輸送後に、結合が、細胞質ゾルにおいて容易に分解されるべきならば、エステル結合およびジスルフィド結合が、好ましい。
種々の官能基(ヒドロキシ、アミノ、ハロゲンなど)を使用して、生物学的に活性な薬剤を輸送試薬に結合し得る。特に、輸送試薬またはその任意の部分が、送達後に生物学的に活性な薬剤に結合したままである場合、生物学的に活性な薬剤の活性部位の部分であると知られていない基が、好ましい。
多数の輸送試薬は、固体支持体上で調製され得、そしてアミノ末端基および保護基(例えば、FMOC)を用いて、簡易的に生成される。合成樹脂および脱保護側鎖から試薬を切断し、側鎖を脱保護するために使用される条件を生き残り得る生物学的に活性な薬剤について、FMOCは、完成された樹脂結合試薬のN末端から切断され得、その結果、生物学的に活性な薬剤は、遊離のN末端アミンに連結され得る。このような場合に、結合される薬剤は、代表的に、当該分野で周知の方法によって活性化され、輸送試薬のアミノ基とアミド結合またはカルバメート結合をそれぞれ形成するのに有効な、活性なエステル部分または活性なカーボネート部分を生成する。もちろん、他の連結化学物質もまた、使用され得る。
副反応を最小限にすることを補助するために、グアニジノ部分およびアミジノ部分は、従来の保護基(例えば、カルボベンジルオキシ基(CBZ)、di−t−BOC、PMC、Pbf、N−NOなど)を用いてブロックされ得る。
カップリング反応は、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリジノン、ジクロロメタン、水など)の任意のアレイにおける、公知のカップリング方法によって実施される。例示的なカップリング試薬としては、例えば、O−ベンゾトリアゾリルオキシテトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ブロモ−tris(ピロリジノ)ホスホニウムブロミド(PyBroP)などが挙げられる。他の試薬としては、例えば、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどが挙げられ得る。
(ii.放出可能なリンカー)
生物学的に活性な薬剤は、本発明の好ましい実施形態において、特異的に切断可能または放出可能な結合を使用して、輸送試薬に結合される。このような結合の使用は、結合された輸送試薬が放出されるまで不活性である生物学的に活性な薬剤にとって、特に重要である。幾つかの場合において、輸送試薬に結合された薬物分子からなるこのような結合体は、薬物からの輸送試薬の放出が、不活性な形態から活性な形態への薬物の変換を生じるという点で、プロドラッグといわれ得る。本明細書で使用される場合、結合体またはリンカーの「切断された」または「切断」とは、輸送試薬分子からの生物学的薬剤の放出をいい、これによって、活性な生物学的薬剤が放出される。「特異的に切断可能」または「特異的に放出可能」とは、分解される輸送試薬(例えば、タンパク質分解によって)以外の、輸送試薬と切断される薬剤との間の結合をいう。
幾つかの実施形態において、結合は、容易に切断可能な結合であり、このことは、この結合が、インビボに見出される条件下で切断を許容することを意味する。従って、上皮組織および/または内皮組織の1つ以上の層中へ、またはそれを通じて通過する際に、薬剤は、輸送試薬から放出される。容易に切断可能な結合は、例えば、比活性を有する酵素(例えば、エステラーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ペプチダーゼなど)によるか、または加水分解によって切断される結合であり得る。この目的のために、カルボン酸エステルおよびジスルフィド結合を含む結合は、時々好ましく、ここで、前者の基は、酵素的または化学的に加水分解され、そして後者は、ジスルフィド交換(例えば、グルタチオンの存在下で)によって過酷にされる。この結合は、上皮細胞または内皮組織の1つ以上の層に存在することが知られている酵素活性によって切断可能なように選択され得る。例えば、皮膚の顆粒層は、比較的高い濃度のN−ペプチダーゼ活性を有する。
特異的に切断可能なリンカーは、輸送試薬分子上に操作され得る。例えば、プロテアーゼ認識部位を構成するアミノ酸、またはこのような特異的に認識される酵素切断部位を使用して、輸送試薬と薬剤とを連結し得る。あるいは、例えば、光または他の刺激への曝露によって切断可能な化学的リンカーまたは他の型のリンカーを使用して、輸送試薬と目的の薬剤とを連結させ得る。
送達される薬剤および輸送試薬が、特異的に切断可能なリンカーまたは特異的に放出可能なリンカーによって連結された結合体は、半減期を有する。用語「半減期」は、この文脈において、結合体の上皮膜または内皮膜への適用後、2分の1の量の結合体が解離して、遊離の薬剤を放出するのに必要な時間量をいう。幾つかの実施形態についての半減期は、代表的に、5分〜24時間であり、そしてより好ましくは、30分〜2時間である。結合体の半減期は、以下に記載されるように、本発明に従って、「調整」され得るか、または改変され得る。
幾つかの実施形態において、リンカーの切断速度は、pH依存性である。例えば、リンカーは、酸性pH(例えば、pH6.5以下、より好ましくは約6以下、そしてなおより好ましくは約5.5以下)で薬剤と輸送試薬との間で安定な結合を形成し得る。しかし、結合体が、生理学的pH(例えば、pH7以上、好ましくは約pH7.4)に置かれた場合、リンカーは切断を受け、薬剤を放出する。このようなpH感受性は、例えば、プロトン化された場合に(すなわち、酸性pHで)、求核試薬として作用しない官能基を含むことによって得られ得る。より高い(例えば、生理学的な)pHにおいて、官能基は、もはやプロトン化されず、従って、求核試薬として作用し得る。適切な官能基の例としては、例えば、NおよびSが挙げられる。このような官能基を使用して、自己切断を生じるpHを微調整し得る。
別の実施形態において、連結部分は、自己犠牲を介して切断される。輸送部分−生物学的に活性な化合物結合体におけるこのような連結部分は、生物学的に活性な化合物に遠位の求核試薬(例えば、酸素、窒素および硫黄)ならびに生物学的に活性な化合物に近位の切断可能な基(例えば、エステル、カルボネートカルバメートおよびチオカルバメート)を含む。切断可能な基に対する求核試薬の分子内攻撃は、共有結合の切断を生じ、それによって、生物学的に活性な化合物から連結部分を放出する。
図5は、異なる連結基を介して本発明の輸送部分に結合した幾つかの治療薬剤の図を提供する。図5Aにおいて、メルカプトプリンは、ジスルフィド結合を介して、輸送部分への結合として機能するN−アセチルシステインに結合する。図5Bおよび5Cにおいて、適切な光源からの活性化に対して、それぞれメルカプトプリンおよび5−フルオロウラシル(5FU)を放出する光不安定性結合が、示される。図5Dにおいて、インビボで切断され、タキサン化合物(例えば、タキソール)を放出する結合が、示される。
自己犠牲連結部分(例えば、生物学的に活性な薬剤−L−輸送部分結合体)を含む結合体の例が、構造1、2および3によって表される:
Figure 2005538035
Figure 2005538035
ここで;Rは、生物学的に活性な化合物であり;Xは、生物学的に活性な化合物上の官能基と連結部分上の末端官能基との間に形成される結合であり;Yは、輸送部分上の官能基および連結部分上の官能基から形成される結合であり;Aは、NまたはCHであり;Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;Rは、輸送部分であり;Rは、S、O、NRまたはCRであり;Rは、H、OH、SHまたはNHRであり;Rは、水素、アルキル、アリール、アシルまたはアリルであり;RおよびRは、独立して水素またはアルキルであり;kおよびmは、独立して1または2であり;そしてnは、1〜10の範囲の整数である。X結合およびY結合の非限定的な例は、以下である(いずれの方向においても):−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−S−S−、−C(S)O−、−C(S)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−,−SONH−、ホスフェート、ホスホネートおよびホスフィネート。当業者は、生物学的薬剤が、ヒドロキシ官能基を有する場合、Xは、好ましくは、−OC(O)−または−OC(O)NH−であることを理解する。同様に、連結基が、輸送部分のアミノ末端に結合される場合、Yは、好ましくは、−C(O)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−,−SONH−または−OC(O)NH−などである。上記に提供される各々の基において、NHは、簡潔のために示されるが、各々の結合(XおよびY)は、置換された(例えば、N−アルキルまたはN−アシル)結合も含み得る。
構造1により例示される連結基を最初に参照すると、例および好ましい実施形態が、式1aについて例示される:
Figure 2005538035
ここで、波線は、輸送部分および生物学的に活性な化合物への結合点を示す。この連結基を含む結合体は、国際特許公開WO02/065986に記載される輸送試薬について提供される様式と類似の様式で調製され得る。当業者は、N−ベンジル基が、式1aにおいて、他の基(例えば、アルキル、アリール、アリルなど)で置換され得るか、またはメチレン基が、例えば、エチレン、プロピレンなどで置換され得ることを理解する。好ましくは、メチレン基は、1aで示されるように保持され、結合のインビボでの切断を可能にする適切な立体的または空間的な配向を提供する。
従って、構造1について、以下の置換基が好ましい:Aは、Nであり、Rは、ベンジルであり;k、mおよびnは、1であり;Xは、−OC(O)−であり、Yは、−C(O)NH−である。
構造2の結合は、式2aによって例示される:
Figure 2005538035
ここで、上記のように、波線は、輸送部分および生物学的に活性な薬剤の各々への結合点を示す。式2aの連結基を有する薬物結合体の調製は、図6に示される(図7もまた参照のこと。図7は、このタイプの結合のシクロスポリンAへの結合を例示する)。図6に示されるように、薬物は、無水クロロ酢酸でアシル化されて、クロロ酢酸エステルを形成し、これは、結合システイン残基を有する輸送部分で処理されて、結合が以下の形態を有する標的化合物を提供する:
Figure 2005538035
従って、好ましい実施形態の一群において、この結合体は、式2によって表され、ここで、Xは、−OC(O)−であり;Yは、−C(O)NH−であり;Rは、Sであり;Rは、NHRであり;そして添え字のkおよびmは、それぞれ1である。好ましい実施形態の別の群において、結合体は、式2によって表され、ここで、Xは、−OC(O)−であり;Yは、−NHC(O)−であり;Rは、Sであり;Rは、CONHであり;そして添え字のkおよびmは、それぞれ1である。特に好ましい結合体は、Rが水素、メチル、アリル、ブチルまたはフェニルである結合体である。
式3に示される結合体によって表される連結基は、一般に、ヘテロ二官能型(例えば、アミノカプロン酸、セリン、ホモセリン、アミノ酪酸など)であるが、適切に保護されたジカルボン酸またはジアミンもまた、特定の生物学的薬剤と共に有用である。
構造3について、以下の置換基が好ましい:Rは、NHR(ここで、Rは、水素、メチル、アリル、ブチルまたはフェニルである)であり;kは、2であり;Xは、−C(O)Oであり;そしてYは、−C(O)NH−である。
自己犠牲リンカー(self−immolating linker)は、代表的に、約7.4のpHにて、37℃の水中において、約10分と約24時間との間の半減期を有する分子内切断を受ける。好ましくは、切断半減期は、約7.4のpHにて、37℃の水中において、約20分と約4時間との間である。より好ましくは、切断半減期は、約7.4のpHにて、37℃の水中において、約30分と約2時間との間である。
ここで構造1により表される結合体を参照すると、当業者は、輸送体からの生物学的薬剤の分離である、切断半減期が、R置換基を変えることによって調整され得ることを理解する。増加または減少したサイズのRを使用することによって、それぞれ、より長いかまたはより短い半減期を有する結合体が得られ得る。構造1中のRは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アリル、ベンジルまたはフェニルである。
ここで、自己犠牲リンカー中に塩基性基または酸性基が存在し、一方は、結合体溶液のpHに従って切断半減期をしばしば調節し得る。例えば、構造1の骨格アミン基は、酸性pH(例えば、pH5.5)でプロトン化される。このアミンは、プロトン化される場合、分子内切断を含む求核剤として作用し得ない。しかし、生理学的pH(7.4)での中間体への結合体の導入の際、このアミンは、重要なときにプロトン化されない。この切断半減期は、相応して減少される。
1つの実施形態において、自己犠牲リンカーの切断は、以下の2つの工程において生じる:連結部分の一部の切断を生じる、求核基の分子内反応;および連結部分の残りの部分の除去。切断の第1工程は、速度が制限されており、そしてpH感応性および半減期について微調整され得る。
構造4は、輸送部分−生物学的に活性な化合物の結合体中に取りこまれる、2工程の、自己犠牲リンカーの例である:
Figure 2005538035
ここで:Rは、生物学的に活性な化合物であり;Xは、生物学的に活性な化合物上の官能基と、連結部分上の官能基との間の連結を示しており;Arは、置換もしくは非置換のアリール基であって、ここで、メチレン置換基およびフェノールの酸素原子は、互いに対して、オルトまたはパラのいずれかであり;Rは、輸送部分であり;Rは、S、O、NRまたはCRであり;RはH、OH、SHまたはNHRであり;Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;RおよびRは、独立して水素またはアルキルであり;そしてkおよびmは、独立して1または2である。
特に好ましい連結基は、式4aを有する:
Figure 2005538035
従って、式4の結合体で使用されるこの連結基は、好ましくは、以下の連結基である:Arが置換もしくは非置換のフェニレン基であり;RがSであり;RがNHRであって、ここで、Rは、水素、メチル、アリル、ブチル、アセチルまたはフェニルであり;kおよびmは1であり;Xは−C(O)O−であり;そしてYは−C(O)O−または−C(O)NH−である。より好ましくは、Rは水素またはアセチルである。
本発明で使用するためのなお他の有用な連結基は、同時係属のPCT出願に記載されている。例えば、国際特許出願番号WO98/52614およびWO01/13957は、類似の組成物(例えば、生物学的に活性な薬剤と輸送オリゴマーとの結合体)に対する連結基を記載する。これらに記載される連結技術は、類似の様式で本発明の組成物中で使用され得る。
(III.輸送試薬および結合体の合成)
本明細書中に記載される試薬は、当該分野で公知の任意の方法によって構築される。例示的なポリアミドは、好ましくは、適切なサブユニット(Applied Biosystems Model 433)の使用に適合されるペプチド合成機を使用して、合成的に生成され得る。
N−メチルおよびヒドロキシアミノ酸は、固相ペプチド合成において従来のアミノ酸の代わりとして置換され得る。しかし、還元されたペプチド結合を有する試薬の製造は、還元されたペプチド結合を含有するアミノ酸の二量体の合成を必要とする。このような二量体は、標準的な固相合成手順を使用してポリマー中に組み込まれる。他の合成手順は周知であり、例えば、Fletcherら(1998)、Simonら(1992)およびこれらに引用される参考文献に見出され得る。
(A.カルバメート輸送試薬)
カルバメート輸送試薬は、スキーム1および2(図11を参照のこと)に図示されるように調製され得る。
スキーム1を参照すると、カルバメート輸送試薬のいくつかのバージョンの構築に使用されるモノマー単位は、適切に保護された形態のオルニチンから調製され得る。従って、イソブチリルクロロホルメート、その後の水素化ホウ素ナトリウムでのN−Fmoc Nδ−Boc L−オルニチン(i)の処理は、アルコール(ii)を提供し、このアルコールは、4−ニトロフェニルクロロホルメートおよびピリジンでの処理の際に、保護モノマー(iii)に転換され得る。当業者は、関連する酸(例えば、D−リジンまたはL−リジンの保護形態)での、保護されたオルニチン(i)の置換は、より長いかもしくはより短い側鎖結合を有する他の保護されたモノマー中間体を提供し得ることを理解する。
スキーム2に示されるように、HOBt、DIEAおよびDMFの存在下での、モノマー(iii)でのアミン樹脂(iv)の処理、その後のDMF中のピペリジンでの処理は、式(v、添え字のnが1)の支持体結合モノマーを提供する。モノマー付加およびFmoc除去の工程を繰り返すことによって、式v(添え字のnが4〜12)の支持体結合オリゴマーを提供する。一旦適切な長さのオリゴマーが構築されると、適切な治療剤または診断剤に対する連結基は、結合され得る。従って、DIC、HOBtおよびDMFの存在下でのFmocアミノカプロン酸でのvの処理、その後のピペリジンおよびDMFによる処理によって、DIEAおよびDMFの存在下でFITCと合わせられ得るアミノカプロン酸結合体を提供し、連結されたFITC結合体を提供する。次いで、このBoc保護基は、除去され得、中間体が樹脂から除去され得、そして1級アミノ基が、炭酸ナトリウムの存在下で例えば、Im−C(=NH)NHでペルグアニル化され得、標的化合物を提供する。
スキーム2は、カルバメート連結を介して結合されるサブユニットを有する、輸送ポリマーの調製を示す。当業者は、この合成が、アミノ酸モノマー(例えば、グリシン、ε−アミノカプロン酸、γ−アミノブチル酸など)を含み得、グアニジノ含有モノマー単位間に適切な空間を提供し得ることを理解する。
(B.ペプチド輸送試薬)
別の群の実施形態において、輸送試薬は、γ−アミノ酸モノマーから構築され得る(スキーム3に図示されるように調製される、図12を参照のこと)。
スキーム3に示されるように、適切に保護されたオルニチンviiは、複数工程プロセスにおいて、2つのその炭素ホモログへと変換され得る。DCC、DMAPおよびジクロロメタンの存在下で、Meldrum酸でのviiの処理は、viiiを提供する。ケトンカルボニルの還元は、酢酸、ジクロロメタン中の水素化ホウ素ナトリウムを使用して達成され得、ixを提供する。トルエン中でixを加熱し還流して、xを生成する。このxは、加水分解(アセトン中NaOH)され、xiを提供し得る。DMF中でのBoc保護基の除去およびFmoc−OSuでの得られたアミン官能基の再保護は、モノマーxiiを提供する。
スキーム4(図12を参照のこと)は、輸送結合体の調製におけるモノマーxiiの使用を図示する。上記のように、アミノ樹脂(iv)は、DIEA、HOBt、HBTUおよびNMPの存在下でxiiで処理され、そして脱保護され(ピペリジン)、xiiiを提供する(ここで、添字nは1である)。さらなるモノマー基は、スキーム4に示されるように連続して添加され得るか、または非グアニジド含有サブユニットによって中断され得る。単純性について、スキーム4は、全てのサブユニットがグアニジド基に編管される側鎖を有するオリゴマーの調製を図示する。従って、xiii(n=1)は、n工程のモノマーカップリングおよび脱保護に供され、例えば、xiiiを提供し得、ここでn=5である。アミノカプロン酸(aca)とFITCとの結合の後の工程が、スキーム2に要約されるように進行し、xivを提供する。Z基(ベンジルオキシカルボニル基)の除去および樹脂からの輸送結合体中間体の切断によってxvを提供する。グアニジド基への1級アミン官能基の変換が、炭酸ナトリウムの存在下で、グアニルピラゾールを用いて達成され得、xviを提供する。
(C.グルタルアミドおよびオキサルアミド輸送試薬)
別の群の実施例において、輸送試薬は、グルタルアミド誘導体であり、このグルタルアミド誘導体の調製は、スキーム5に図示される(図13を参照のこと)。
スキーム5において、N’,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(xvii)は、末端1級アミノ基でグアニジニル化され、そして一保護され、xviiiを提供する。次いで、二量体構造は、適切な活性化グルタル酸と2当量xviiiとを合わせることによって形成され、そして一保護され、xixを形成する。再び、2当量のxixは、活性化グルタル酸試薬と合わせられ、xxを形成する。上記の輸送試薬のように1つのBoc保護基の除去およびaca−FITCへのカップリング、ならびにカルボベンジルオキシ保護基(Z)のさらなる除去は、化合物xxiを提供する。
スキーム6(図14を参照のこと)は、「オキサルアミド」輸送結合体(L=−C(O)C(O)−)、「尿素」輸送試薬(L=−C(O)−)などへの上記の方法論の拡張を図示する。
(D.ポリアミン輸送結合体)
なお別の群の実施形態において、輸送試薬は、ポリアミン輸送試薬である。この群の実施形態において、骨格は、ポリアミンであるかまたはポリアミンの性質(例えば、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンアミンなど)を含むかのいずれかである。スキーム7(図15を参照のこと)は、ポリアミン輸送試薬の1つの型を図示する。
スキーム7において、ポリエチレンイミンは、ε−アミノカプロン酸の保護化形態を用いて一アシル化され、示された開始物質を提供する。残っているアミノ基は、例えば、保護化ε−アミノカプロン酸クロリドを用いてペルアシル化され得、側鎖連結基を有する適切な骨格を提供する。側鎖保護基の除去およびペルグアニジル化は、生物学的に活性な薬剤に結合体化するのに適切な結合された保護化連結基を有する輸送試薬を提供する。
(IV.生体膜を横断する生物学的に活性な薬剤の増強された輸送)
(A.生体膜を横断する輸送の測定)
生物学的に活性な薬剤および他の治療物質を、生体膜を横断して輸送する本発明の輸送試薬の能力を評価するためのモデル系は、膜を横断して共有結合された蛍光分子を輸送する能力を測定する系を含む。例えば、フルオレセイン(約376MW)は、有機低分子の輸送のためのモデルとして働き得る。高分子の輸送について、輸送試薬は、例えば、オボアルブミン(分子量45kDa)のような巨大ペプチドに融合され得る。巨大分子の取り込みを検出することは、蛍光タグを結合することによって容易にされ得る。細胞取り込みはまた、共焦点顕微鏡法によって分析され得る。
(B.生体膜を横断する増強された輸送)
実施された、本発明を支持する実験において、膜貫通輸送および同時に生じる細胞取り込みを、公知の方法(前に引用されるInternational Patent Publication No.WO02/065986)に従って、フルオレセインに結合された輸送試薬の取り込みによって評価した。簡潔には、細胞の懸濁物を、緩衝液中に懸濁された蛍光結合体と、37℃、23℃、または3℃で種々の時間、インキュベートした。インキュベーション後、反応を中止し、細胞を遠心分離によって回収し、そして蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用して、蛍光について分析した。
使用される条件下で、結合体の細胞取り込みは、飽和し得なかった。結果として、ED50値は、輸送試薬について計算され得なかった。代わりに、データを、ヒストグラムとして示し、単一の結合体濃度での細胞取り込みの直接比較を可能にする。
カルバメート輸送試薬とオリゴArg輸送試薬との比較は、カルバメート輸送試薬が、同様の特性(例えば、全長、グアニジウムヘッド基の数および型など)を有するペプチド輸送試薬と類似するか、またはそれより良好であることを示す。
輸送試薬の全輸送効率は、(i)膜貫通取り込み速度(約15未満の連続するグアニジノ含有基を有するポリマーはより良好である) 対 タンパク質分解不活性化に対する感受性(より長いポリマーがより良好である)の組み合わせに依存するようである。従って、7〜20(およびより好ましくは7〜15)のグアニジノ残基を含むポリマーが、好ましい。
本発明の好ましい実施形態に従って、本発明の輸送試薬は、室温(23℃)または37℃で測定される場合、本明細書中に記載される方法によってtatに対して測定される親和性よりも、少なくとも10倍より大きい見かけの親和性(Km)、およびより好ましくは少なくとも100倍より大きい見かけの親和性を有する。
任意の特定の理論に起因せずに、データは、輸送プロセスが、細胞形質膜に存在する分子輸送試薬による、グアニジウム含有ポリマーまたはアミジニウム含有ポリマーの特異的認識によって媒介されるエネルギー依存性プロセスであることを示唆する。
本発明を支持する他の実験は、本発明の結合体が、種々の細胞型の膜を横断する生物学的に活性な薬剤の輸送に有効であることを示し、この細胞型としては、ヒトT細胞(Jurkat)、B細胞(マウスCH27)、リンパ腫T細胞(マウスEL−4)、肥満細胞腫細胞(マウスP388)、種々のマウスT細胞ハイブリドーマ、神経細胞(PC−12)、線維芽細胞(マウスRT)、腎臓細胞(マウスHELA)、骨髄芽球腫(マウスK562);および一次組織細胞(ヒト血球(赤血球を除く)(例えば、Tリンパ球およびBリンパ球)、マクロファージ、樹状細胞、および好酸球(eiosinophile)を含む);好塩基球、肥満細胞、内皮細胞、心細胞、肝臓細胞、脾臓細胞、リンパ節細胞、ならびにケラチノサイトが挙げられる。
結合体はまた、グラム陰性細菌細胞およびグラム陽性細菌細胞の両方を横切るために有効である。より一般的には、細菌による最大取り込みレベルは、37℃で観察され得る。しかし、有意な染色は、インキュベーションが、室温または3℃のいずれかで実施される場合、観察され得る。共焦点顕微鏡法は、0.5%のアジ化ナトリウムでの細菌の前処理が、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌の両方の内部形質膜を横断する輸送を阻害するが、細胞壁(グラム陽性細菌)を横断するペリプラズム空間への輸送は阻害しないことを示した。
従って、本発明は、抗菌剤を含む結合体を包含し、この抗菌剤は、微生物の増殖または感染を防止するかまたは阻害することにおける使用のための、そして表面を殺菌し、医療安全性を改善するための、抗細菌化合物および抗真菌化合物である。さらに、本発明は、植物細胞への輸送のために、特に緑葉植物において使用され得る。
本発明を支持するさらなる研究は、細胞膜を横断するトランスロケーションが、エネルギーおよび温度依存性であり、他の細胞型について以前に示された観察と一致する。
(V.スクリーニングアッセイ法およびライブラリー)
別の実施形態において、本発明は、選択された生物学的活性についての1つ以上の結合体をスクリーニングするために使用され得、ここで、結合体は、1つ以上の候補薬剤から形成される。結合体を、結合体の細胞への取り込みの際に検出可能な信号を示す細胞と接触させ、その結果、信号の大きさは、選択された生物学的活性に関する結合体の効力を示す。
この実施形態の1つの利点は、それが、独力で細胞に入り生物学的活性を示すのが不可能であるかまたはわずかに可能である、薬剤の活性を試験するために特に有用であるということである。従って、本発明は、薬剤の細胞または細胞小器官への輸送の有効かつ便利な方法がないために、大スケールスクリーニングプログラムによって他に入手可能であり得ない活性薬剤を同定する特に有用な方法を提供する。
好ましくは、1つ以上の候補薬剤は、結合体のコンビナトリアルライブラリーとして提供され、このライブラリーは、当該分野で公知である任意の多くのコンビナトリアル合成方法を使用して調製される。例えば、ThompsonおよびEllman(1996)は、固体支持体上にコンビナトリアルライブラリーを調製するための以下の少なくとも5つの異なる一般的アプローチを理解した:すなわち、(1)別個の化合物の合成、(2)分割合成(分割およびプール)、(3)可溶性ライブラリーデコンボリューション、(4)分析方法による構造決定、および(5)アッセイにおける生物学的活性についてポジティブな試験を行った後、活性候補の化学的組成物が、特有の標識によって決定される、コード戦略。溶液中のライブラリーの合成は、少なくとも(1)離れた合成および(2)プールの合成(Thompson,上述)を含む。コンビナトリアル合成法のさらなる記載は、Lamら(1997)において見出され得、これは、特に、1ビーズ−1化合物アプローチを記載する。
これらのアプローチは、本発明に従う結合体を調製するように迅速に適合され、必要に応じて、適切な保護スキームを含む。例えば、1つ以上の固体支持体に対して構築されるライブラリーに対して、輸送ペプチド部分は、まず支持体に結合され、次いで、候補薬剤を、適切な反応性官能基によってポリマーに、コンビナトリアル的に組み入れるか付着させる。代替的な例において、薬剤のコンビナトリアルライブラリーは、まず、1つ以上の固相支持体上に形成され、続いて、輸送試薬を各固定化された候補薬剤に付着する。同じアプローチまたは異なるアプローチは、液相合成のために使用され得る。固体支持体上に形成されるライブラリーは、好ましくは、公知の方法による切断可能な連結基によって支持体から切断される(Thompsonら、およびLamら、上述)。
1つ以上の結合体候補は、結合体の効率に比例して検出可能な信号を誘発する任意の多くの細胞ベースのアッセイを用いて試験され得る。都合の良いことに、候補は、マルチウェルプレート中で細胞と共にインキュベートされ、生物学的効果は、プレートリーダーを使用して定量化され得る信号(例えば、蛍光、反射、吸収、または化学発光)によって測定される。あるいは、インキュベーション混合物は、さらなるプロセシングおよび/または分析のためにウェルから除去され得る。活性化合物の構造および必要に応じて不活性な化合物の構造は、既知でない場合、決定され、この情報は、リード化合物を同定し、さらなる合成およびスクリーニング行動に集中するために使用され得る。
例えば、γ−インターフェロン分泌アッセイは、マルチウェル形式に容易に適合され得、その結果、活性な分泌インヒビターは、プレートリーダーを使用するユーロピウムベースの蛍光検出によって検出され得る。抗癌剤は、確立された癌細胞株(例えば、National Institute of Health(NIH)およびNational Cancer Institute(NCI))を使用してスクリーンされ得る。抗癌剤の細胞毒性効果は、例えば、トリパン色素排除によって決定され得る。
他の例としては、細胞シグナル伝達を阻害するために指向されるアッセイ(例えば、IL−4レセプター阻害;細胞増殖をブロッキングするためのアッセイ、および遺伝子発現アッセイ)が挙げられる。代表的な遺伝子発現アッセイにおいて、目的の遺伝子は、適切なプロモーターの制御下に配置され、下流にレポーター種を発現するための遺伝子(例えば、β−ガラクドシダーゼまたはホタルルシフェラーゼ)が続く。阻害効果は、レポーター信号の減少に基づいて検出され得る。
本発明はまた、上記方法においてスクリーニングするために有用である結合体ライブラリーを包含する。ライブラリーは、1つ以上の選択された生物学的活性についての複数の候補薬剤を含み、この各々は、本発明に従う少なくとも1つの輸送試薬に結合される。好ましくは、結合体ライブラリーは、コンビナトリアルライブラリーである。別の実施形態において、本発明は、目的の活性薬剤を試験し同定するための、指数付けされた複数のサンプルウェルまたは指数付け可能な複数のサンプルウェルに分配された異なるポリマー試薬結合体の規則的なアレイを包含する。
(VI.薬学的組成物)
本発明の化合物および組成物は、ヒトの治療および獣医学治療の領域において、特別の有用性を有する。一般的に、投与される投薬量は、ピコモルからマイクロモルの治療組成物をエフェクター部位に送達するために有効である。適切な投薬量および濃度は、治療組成物または薬物、意図される送達部位、および投与の経路のような因子に依存し、これらの全ては、当該分野において周知の方法に従って経験的に導出され得る。さらなる指針は、当該分野で公知であるように、投薬量を評価するための実験動物モデルを使用する研究から得られ得る。
必要に応じての、適切な薬学的賦形剤との本発明の化合物の投与は、任意の受容される投与様式によって実施され得る。従って、投与は、例えば、静脈的、局所的、皮下的、経皮的、筋内的、経口的、関節内的、非経口的、腹腔内的、鼻内的、または吸入によってであり得る。処方物は、固体投薬形態、半固体投薬形態、凍結乾燥粉末投薬形態、または液体投薬形態(例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、坐剤、停留浣腸、クリーム剤、軟膏、ローション、エーロゾルなど)であり得、好ましくは、正確な投薬量の
単回投与に適切な単位投薬形態である。
組成物は、代表的に、従来の薬学的キャリアまたは賦形剤を含有し、これは、他の薬効薬剤、キャリア、アジュバント、などをさらに含有し得る。好ましくは、組成物は、約5重量%〜75重量%の本発明の化合物であり、残りは適切な薬学的賦形剤からなる。適切な賦形剤は、当該分野で周知の方法(例えば、(Gennaro,1990))によって、特定の組成物および投与経路に調整され得る。
経口投与について、このような賦形剤としては、薬学的等級の、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム(talcum)、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性処方物などの形態をとり得る。
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態をとり、従って、組成物は、生物学的に活性な結合体と共に、以下のいずれかを含有し得る:希釈剤(例えば、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなど);崩壊剤(例えば、デンプンまたはその誘導体);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど);および結合剤(例えば、デンプン、アカシアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース、およびこれらの誘導体)。
処方の活性化合物は、坐剤に処方され得、この坐剤は、例えば、約0.5%〜約50%の本発明の化合物を含み、ポリエチレングリコール(PEG)キャリア(例えば、PEG1000[96%]およびPEG4000[4%])中に配置される。
液体組成物は、化合物(約0.5%〜約20%)および必要に応じて薬学的アジュバントをキャリア中に溶解するか、または分散することによって調製され得、このアジュバントは、水性生理食塩水(例えば、0.9% w/v塩化ナトリウム)、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどであり、例えば、静脈投与のために溶液または懸濁液を形成する。活性化合物はまた、停留浣腸に処方され得る。
所望ならば、投与される組成物はまた、少量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤)、pH緩衝化剤(例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタンもしくはオレイン酸トリエタノールアミン)を含み得る。
局所投与について、この組成物は、任意の適切な様式(例えば、ローションまたは経皮パッチ)で投与される。吸入による送達について、この組成物は、乾燥粉末(例えば、吸入治療剤)として、またはネブライザーを介して液体形態で送達され得る。
このような投薬形態を調製する方法は、公知であるか、または当業者に明らかである;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)を参照のこと。いずれにしても、投与される組成物は、ある量のプロドラッグおよび/または活性化合物を、本発明の教示に従って投与される場合に処置される状態の軽減のために薬学的に有効な量で含む。
一般に、本発明の化合物は、治療的有効量(すなわち、処置を行うのに十分な投薬量)で投与され、この量は、個体および処置される状態に依存して変化する。代表的に、治療的に有効な一日の用量は、0.1〜100mg/kg体重/日の薬物である。ほとんどの状態は、約1mg/kg体重/日と約30mg/kg体重/日との間、または70kgの人について、約70mg/日と約2100mg/日との間の全投薬量の投与に応答する。
結合体の安定性は、ポリマーの骨格および側鎖の組成および立体化学によってさらに制御され得る。ポリペプチドポリマーについて、D−異性体は、一般に、内因性プロテアーゼに対して耐性であり、従って、血清および細胞におけるより長い半減期を有する。従って、D−ポリペプチドポリマーは、より長い作用の持続時間が所望される場合に、適切である。L−ポリペプチドポリマーは、プロテアーゼに対するその感受性に起因して、より短い半減期を有し、従って、より短い作用効果を与えるように選択される。このことによって、副作用は、副作用が観察されると直ぐに治療をやめることによって、迅速に防がれ得る。D−残基およびL−残基の混合物を含むポリペプチドは、中程度の安定性を有する。ホモ−D−ポリマーが、一般に好ましい。
以下の実施例は、例示を意図し、本発明を限定することを意図しない。
以下の実施例において、細胞への取込みおよび組織を横切る取込みは、生物学的に活性な薬剤がアルギニン(D−アルギニンもしくはL−アルギニン)およびカルバメートおよびγ−アミノ酸のような骨格を有する輸送試薬に結合されている結合体について証明される。ペプチド輸送試薬は、本発明の結合体の構築のため、および生物学的に活性な薬剤の取込みおよび放出の評価のための適切なモデルとして働いた。
従って、ペプチド輸送試薬を有する結合体の有効性は、関連の非ペプチド輸送試薬結合体についての有効性を示す。
(実施例1)
本実施例は、アミノ酸に基づくいくつかの遊離可能な結合の調製を例示し、この結合は、適切な官能基を有する薬物に結合(および、このような薬物を放出)するように改変され得る。スキーム8(図16a、16b、16cおよび16d)は、アミド結合(スキーム8A)、カーボネート結合(スキーム8B)、カルバメート結合(スキーム8C)、感光性結合(スキーム8D)およびホスファターゼ遊離結合(スキーム8E)を含む結合についての標的系およびモデルを示す。
(モデル系の調製)
Ac−Tyr(OAc)−OH(xxviii)。HO(6mL)中の(−)チロシンxxvii(700mg、3.87mmol)の激しく撹拌した懸濁液に、0℃で、NaOH(aq)(1.0N、3.87mL、3.87mmol)を添加した。無水酢酸(0.802mL、868mg、8.51mmol)を滴下した。この滴下の間に、1NのNaOH(aq)を、反応pHを6と8との間に維持するように添加した。この添加が完了した後、この反応物を室温まで加温し、そして35分間撹拌した。次いで、この無色の溶液を、6NのHCl(aq)を用いて、pH2まで慎重に酸性化した。室温で2分間静置すると、白色の沈殿物が形成した。この固体を濾過し、そしてHO(3×)で洗浄して、所望の生成物xxviii(581mg、2.19mmol、57%)を得た。
Ac−Tyr(OCOBn)−OH(xxix)。NaOH(aq)(2N、7.59mL、15.2mmol)中の(−)チロシンxxvii(2.50g、13.8mmol)の溶液に、HO(6mL)を添加した。この激しく撹拌した溶液を、0℃まで冷却し、そして無水酢酸(3.25mL、3.52g、34.5mmol)を、シリンジポンプを介して30分間かけて添加した。この添加の間、過剰のNaOH(aq)(2N、34.5mL、69.0mmol)を、10回に分けて添加した。この添加が完了した後、この反応物を室温まで加温し、そして45分間撹拌した。次いで、この無色の溶液を、6NのHCl(aq)を用いて、pH2まで慎重に酸性化した。減圧下で濃縮した後、得られた固体を、アセトン中15%のHOで抽出した(4×)。濾液を減圧下で濃縮して、わずかに黄色の油状物を得た。HO(1.5mL)を添加することによって、N−アセチルチロシンを白色沈殿物(670mg、3.00mmol、22%)として得、これをHO(3×)で洗浄した。この洗浄液を、後の沈殿のために保存した。1:1のTHF:HO(1mL)中のN−アセチルチロシン(72mg、0.32mmol)の溶液に、NaOH(aq)(1N、0.32mL、0.32mmol)を添加した。クロロギ酸ベンジル(49μL、58mg、0.34mmol)を添加し、続いてKCO(aq)(2N、0.16mL、0.32mmol)を滴下した。室温で7時間撹拌した後、この反応物を、HO(10mL)に注ぎ入れ、そして6NのHCl(aq)を用いてpH2まで慎重に酸性化した。この生成物を、水層からEtOAc(3×)で抽出し、そして合わせた有機相を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して、所望の生成物xxixを白色の固体として得た(81mg、0.24mmol、75%)。
Ac−Tyr(OCNHCy)−OH(xxx)。NaOH(aq)(2N、7.59mL、15.2mmol)中の(−)チロシン(2.50g、13.8mmol)の溶液に、HO(6mL)を添加した。この激しく撹拌した溶液を、0℃まで冷却し、そして無水酢酸(3.25mL、3.52g、34.5mmol)を、シリンジポンプを介して30分間かけて添加した。この添加の間、過剰のNaOH(aq)(2N、34.5mL、69.0mmol)を、10回に分けて添加した。この添加が完了した後、この反応物を室温まで加温し、そして45分間撹拌した。次いで、この無色の溶液を、6NのHCl(aq)を用いて、pH2まで慎重に酸性化した。減圧下で濃縮した後、得られた固体を、アセトン中15%のHOで抽出した(4×)。濾液を減圧下で濃縮して、わずかに黄色の油状物を得た。HO(1.5mL)を添加することによって、N−アセチルチロシンを白色沈殿物(670mg、3.00mmol、22%)として得、これをHO(3×)で洗浄した。この洗浄液を、後の沈殿のために保存した。NaOH(aq)(0.5N、0.61mL、0.31mmol)中のN−アセチルチロシン(76mg、0.34mmol)の溶液に、KHPO(aq)(1M、0.61mL、0.61mmol)を添加した。この激しく撹拌した溶液を、0℃まで冷却し、そしてシクロヘキシルイソシアネート(48μL、47mg、0.37mmol)をこの反応物に滴下した。添加の間、0.5MのNaOH(aq)(4滴)を添加して、pHをpH8とpH9との間に維持した。この添加が完了した後、この反応物を室温まで加温し、そして3時間撹拌した。白色の沈殿物が形成し、そして得られた懸濁液を、EtO(2×)で洗浄した。水層を分離し、そして6NのHCl(aq)を用いてpH2まで慎重に酸性化した。所望の生成物xxxが、白色固体として沈殿し(89mg、0.26mmol、76%)、これを濾過し、そしてHO(3×)で洗浄した。
(実施例2)
本実施例は、アミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかで治療剤に結合され得るペプチド/ペプトイドハイブリッド輸送試薬の調製を例示する。合成は、スキーム9に概説したように行われ得る(図17を参照のこと)
(モノマー単位の調製)
アルデヒドxliii。THF(7mL)中の3−アミノ−1−プロパノール(0.750mL、737mg、9.82mmol)の溶液に、ジ−t−ブチルジカルボネート(2.35g、10.8mmol)およびHO(5mL)中の炭酸ナトリウム(2.08g、19.6mmol)の溶液を続けて添加した。2時間激しく撹拌した後、この反応混合物をEtOAcに注ぎ入れた。残りの固体を、EtOAcで粉砕し、そして合わせた有機相を、飽和NaHCO(aq)で洗浄した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して、粗製の淡黄色の油状物(1.66g、9.49mmol、97%の粗製物)を得、これをさらに精製することなく使用した。CHCl(7mL)中のこの粗製アルコール(1.05g、6.01mmol)の溶液に、HO(3mL)中のKBr(722mg、6.07mmol)の溶液を添加した。TEMPO(9mg、0.06mmol)を添加し、そしてこの二相混合物を、0℃まで冷却した。10分間撹拌した後、HO(9mL)中NaOCl(0.7M、9.44mL、6.61mmol)およびNaHCO(1.84g、17.4mmol)の溶液を、この反応物の内部温度を10℃未満に維持するようにして、滴下した。1.5時間撹拌した後、追加のNaOCl(0.7M、2.00mL、1.4mmol)を添加し、そしてTLC分析は、出発物質が、20分以内に消費されたことを示した。次いで、この反応を、飽和Na(aq)でクエンチし、そしてその生成物を、CHCl(2×)で抽出した。合わせた有機相を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィーで精製して、所望のアルデヒドxliii(792mg、4.58mmol、76%)を得た。
H−Orn(Z)−OMe・HCl(xliv)。無水MeOH(25mL)中のH−ORN(Z)−OH(1.00g、3.76mmol)の溶液に、0℃で、塩化チオニル(1.37mL、2.24g、18.8mmol)を、内部反応温度を10℃未満に維持するようにゆっくりと添加した。この添加が完了した後、冷却浴を取り外し、そして室温で18時間撹拌し続けた。次いで、この反応物を、減圧下で濃縮して、黄色がかった固体を得た。MeOH:EtOAc(1:6)で再結晶して、所望の生成物xlivを白色固体(600mg、0.190mmol)として得た。濾液およびEtOAc洗浄液を、48時間、−20℃で冷却して、さらなる生成物xliv(177mg、0.561mmol)を得た。これら2つのバッチ(合計777mg、2.46mmol、65%)を、さらなる使用のために合わせた。
アルキル化Troc−Orn(Z)−OMe(xlv)。EtOAc(20mL)と飽和NHOH(20mL)との二相混合物に、固体のH−Orn(Z)−OMe・HCl(184mg、0.582mmol)を添加した。この混合物を、固体が溶解するまで、分液漏斗中で振盪した。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して、H−Orn(Z)−OMeの遊離アミンを得た。無水CHCl(5mL)中のこのアミン(142mg、0.507mmol)の溶液に、4Åのモレキュラーシーブを添加した。この懸濁液に、CHCl(2mL)中のアルデヒドxliii(84mg、0.49mmol)の溶液を添加した。これを20時間撹拌した後、固体のNaCNBH(48mg、0.76mmol)を、45分空けて、2回に分けて添加した。この反応物を18時間撹拌し、次いでこの混合物を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、EtOAcに再溶解し、飽和NaCO(aq)に注ぎ入れ、そして5%のクエン酸(aq)で洗浄した。次いで、有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮して、粗製の油状物を得、これをさらに精製することなく使用した。無水THF(5mL)中のこの粗製の2級アミンの溶液に、トリエチルアミン(0.149mL、108mg、1.07mmol)および2,2,2−トリクロロエチルクロロホルメート(0.101mL、155mg、0.731mmol)を続けて添加した。直ぐに白色の沈殿物が形成され、そして15分間撹拌した後、この反応物を、飽和NaHCO(aq)でクエンチした。得られた混合物を、EtOAcに注ぎ入れ、そして有機層を5%のクエン酸(aq)、飽和NaHCO(aq)およびブラインで洗浄した。有機相を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、所望の生成物xlv(98mg、0.16mmol、2工程にわたって32%)を得た。
カルボン酸(xlvi)。1:1のTHF:HO(0.8mL)中のメチルエステルxlv(10mg、16μmol)の混合物に、LiOH(aq)(1.0M、19μL、19μmol)を添加した。5時間撹拌した後、この反応物をEtOAcで希釈し、そして飽和NaHCO(aq)でクエンチした。水層をEtOAc(3×)で抽出し、そして合わせた有機相を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた膜(7.0mg、12μmol、75%の粗製物)を、さらに精製することなく使用した。
(第2級アミン(xlvii))10%HCl(水性)(2.5mL)中の亜鉛粉(230mg)の混合物を、2分間、激しく攪拌した。濾過後、活性化Znを、HO(3×)、およびアセトン(3×)で連続的に洗浄し、高減圧下で乾燥させた。活性Zn(196mg、3.00mmol)をN下で、無水THF(2.0mL)中のTrocカルバメート基質xlv(37mg、60μmol)の溶液に添加した。リン酸緩衝液(pH4.8、0.4mL)を添加し、そしてこの混合物を45分間激しく攪拌した。沈殿をTHF(5×)で洗浄し、そして合わせた洗浄物を減圧下で濃縮した。得られた油状物を、CHCl中に溶解させ、そして飽和NaCO(水性)に注いだ。水層をCHCl(3×)で抽出し、そして合わせた有機相を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、所望の生成物xlvii(18mg、41μmol、68%)を単離した。
スキーム9に概説されるプロセスに従って、モノマー単位xlviおよびxlviiは、標準的なペプチドカップリング手順を使用して連結されて、xlviiiを生成する。xlviiiを開始物質として使用して工程3、4、および5を繰り返すことによって、xlixが提供される。xlixを輸送試薬lに変換することは、xlixをけん化(例えば、LiOH、THF、および水を用いる)に供し、保護基(Troc)を除去し、Cbz保護基をTFA媒介除去し、そして当該分野で公知の方法を使用してペルグアニジニル化することによって達成され得る。
(実施例3)
この実施例は、スキーム10および11に概説される、一連のペプチド輸送試薬の調製を説明する(図18および19を参照のこと)。
γ−オルニチンモノマーlviを、スキーム10に示されるように合成した[Smreinaら,Tetrahedron,53,12867−12874(1997)]。γ−オルニチン誘導体liの、Meldrum酸およびDCCでの処理によって、liiが与えられ、これは、ナトリウムアセトキシボロヒドリドでの還元によって、liiiを与えた。化合物liiiは、脱炭酸的閉環を受けて、ラクタムlivを生じ、これは、塩基性加水分解によってlvを与えた。lvのα窒素のZ脱保護およびFmoc保護によって、必要なモノマーlviが与えられた。
次いで、化合物lviを、スキーム11に示されるように、ペプチド合成機において標準的なペプチドカップリング条件を使用して、固相に結合させ、樹脂結合オリゴマーlix〜lxiを得た。TFAを使用する樹脂からのこれらの脱保護はまた、Boc基の脱保護を達成して、γオルニチンオリゴマーlxii〜lxivを生じ、これは、ペルグアニジニル化されて、最終のγアルギニンオリゴマーlxv〜lxviiを生じた。
(実験セクション)
(R)−5−[(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(Boc)アミノプロピル)−プロピル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(liii)。20mmolのZ−(Boc)Orn−OHを、塩化メチレン(100ml)中の22mmolのMedrum酸および31mmolのDMAPを用いて溶解させた。この反応混合物を、−5℃に冷却し、そして50mlの塩化メチレン中の22mmolのDCCの溶液を1時間かけて添加した。この混合物を、一晩室温に温めた。次いで、沈殿したDCUを濾過し、そして残りの溶液を、5%KHSOで4回、ブラインで1回洗浄し、そして冷蔵庫中で5時間、MgSOで乾燥させた。次いで、この溶液を濾過し、−5℃に冷却し、そして13.3mlの98%酢酸を添加し、続いて、1.85gのナトリウムボロヒドリドを一部ずつ添加した。この反応混合物を、<0℃で10時間攪拌し、次いで、ブラインで3回洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下でエバポレートして、粗生成物を得、これを1:1ヘキサン:酢酸エチルを使用して、シリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製した。
Figure 2005538035
(R)−N−ベンジルオキシカルボニル−5−t−ブトキシカルボニルアミノプロピル−2−ピロリジノン(liv)。31mmolのliiiを100mlのトルエン中で3時間還流させた。溶媒を減圧下でエバポレートして、livを得た。R=0.54(ペンタン中66%EtOAc;Molybdate);
Figure 2005538035
γ−Z−(Boc)Orn−OH(lv)。34mmolのlivをアセトン(60ml)および1M 水性NaOH(90ml)中に溶解させた。反応混合物を室温で30分間室温で攪拌した。アセトンを減圧下で除去し、そして水溶液を6M HClでpH2に酸性化した。生成物を白色固体として粉砕し、これを濾過によって収集した。H NMR
Figure 2005538035
γ−Fmoc−(Boc)Orn−OH(lvi)。11mmolのlvを、TLCが、開始物質の完全な消費を示すまで、4時間、300mlのMeOH中の10%Pd/C(0.4mol%)で処理し、次いで、溶液を減圧下でエバポレートした。次いで、残りの黄色油状物を、溶液が塩基性になるまで、9%炭酸ナトリウム中に溶解させ、次いで、Fmoc−OSu(11mmol)を、DMF(25ml)中の溶液として添加した。この反応物を、室温で2時間攪拌した。次いで、この反応混合物を、12M HClで、酸性になるまで酸性化し、そしてEtOAc(3×、100mlそれぞれ)で抽出した。次いで、合わせた有機物をブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下でエバポレートして黄色固体を得、これを、シリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。
Figure 2005538035
(実施例4)
この実施例は、グルタルアミド輸送試薬、ならびに関連する尿素誘導体(L=C(O));オキサルアミド誘導体(L=C(O)C(O));およびスクシンアミド誘導体(L=C(O)CHCHC(O))の調製を示す。
(実施例5)
この実施例は、単糖骨格における輸送試薬の調製を示す(スキーム12、図20を参照のこと)。
スキーム12に示されるように、3−アミノプロパノールは、確立された方法に従って、ベンジル基およびBoc基で保護されて、lxixを提供し得る。ヒドロキシル基をヨウ素で置換してlxxiを得ることは、IおよびPPhで達成され得る。酸スカベンジャーの存在下での単糖lxxiiのlxxiでの処理は、lxxviiを生じ得、これは、本明細書中に記載される方法に従う脱保護およびグアニジニル化の後に、標的輸送試薬lxxixを提供する。
関連する輸送試薬(lxxvi)の調製はまた、スキーム12に示され、相同な化合物lxxixを提供する化学と類似の化学を使用する。
(実施例6)
この実施例は、代理(surrogate)治療剤としてフルオレセインまたはビオチンを使用する一連のカルバメート輸送試薬の調製および評価を示す。各場合において、この合成は、スキーム13に示されるように、モノマーlxxxiiの調製から始まる(図21を参照のこと)。
(1S)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ヒドロキシメチル−ブチル)−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステル(lxxxi)
Figure 2005538035
20mLのジメトキシエタンを、N下で、乾燥100mL丸底に添加した。4.54g(10.0mmol)のFmoc−Orn(Boc)−OH、lxxxを、攪拌しながら加えた。この懸濁液を、氷/水/塩浴中で−15℃に冷却した。十分に懸濁した固体に、1.11mL(10mmol)のN−メチルモルホリン、続いて、1.36mL(10mmol)のイソブチルクロロホルメートを添加した。この反応物を1分間激しく攪拌し、次いで、減圧濾過した。濾液を攪拌し、そして20mL水中の570mg(15mmol)のナトリウムボロヒドリドの溶液をすぐに添加した。20分後、150mLの水を添加し、そしてさらに1時間の後に、得られた白色沈殿を濾過し、水およびヘキサンで洗浄し、次いで、40℃で36時間、減圧乾燥して、3.75g(8.52mmol、85%)を得た;白色固体;TLC Rf(60%酢酸エチル/ヘキサン);0.45mp:107〜109℃;HRMS
Figure 2005538035
炭酸5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−ペンチルエステル4−ニトロ−フェニルエステル(lxxxii)
Figure 2005538035
化合物lxxxi(5.705g、13.0mmol)を、N下で乾燥250mL丸底フラスコにおいて、65mLのTHF中に溶解させた。ピリジン(3.1mL、39mmol)を添加し、続いて、25mLのTHF中の5.23g(26mmol)の4−ニトロフェニルクロロホルメートの溶液を添加した。白色沈殿を、すぐに観察した。周囲温度での2時間の攪拌後、開始物質が消費された(TLC)。溶媒を約5mLに減圧下で濃縮した。残渣を100mLのCHClにとり、そして1M NaHSO(5×30mL)、続いて、1M NaCO(3×40mL)および25mLのブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、そして減圧で除去して、7.211g(11.9mmol、92%)のlxxxiiを白色固体として得た;TLC Rf(50%酢酸エチル/ヘキサン):0.60;mp:140〜142℃;HRMS(再提出される)。
Figure 2005538035
フルオレセインまたはビオチン結合体のいずれかの調製は、スキーム14および15に概説されるように進行する(図21および22を参照のこと)。
(FITC−aca−Orn −CONHの合成のための一般的手順)
Fmoc−アミド樹脂(159mg、0.1mmol、0.63mmol/g)を30分間(3×)、20%ピペリジン/DMF(10mL)で処理し、遊離樹脂結合アミンを得、これをDMA(3×10mL)で洗浄した。樹脂を、DMF(10mL)中のlxxxii(1.0mmol)、DIEA(0.5mmol)、HOBT(2.0mmol)の溶液で、4時間処理し、次いで、DMF(3×10mL)で洗浄した。これらの4つの工程(脱保護、洗浄、結合、洗浄)を繰り返して、所望の長さのオリゴマーを得た。
アミノカプロン酸スペーサーを、20%ピペリジン/DMF(10mL)で30分間脱保護(3×)、続いて、Fmoc−アミノカプロン酸(1.0mmol)、DIEA(0.5mmol)、HOBT(2.0mmol)、DIC(1.0mmol)、DMF(10mL)で、1時間(2×)での処理によって、付けた。次いで、フルオレセイン付加を、20%ピペリジン/DMF(10mL)で30分間脱保護(3×)、およびフルオレセインイソチオシアネート(0.5mmol)、DIEA(0.5mmol)、DMF(7mL)で18時間の処理によって達成した。
樹脂をDMF(3×10mL)で洗浄し、次いで、ジクロロメタン(5×10mL)で洗浄した。樹脂からのオリゴマーの切断は、15mLのプラスチックチューブ中において、10mLの95:5TFA/トリイソプロピルシランでの処理によって達成された。12時間後、反応混合物を濾過し、樹脂を10mLのTFAで洗浄した。減圧での約1.5mLの溶媒への濾液の濃縮、続く、冷エーテルへの滴下によって、黄色沈殿を得た。固体を、遠心分離によってペレット化し、そして液体をデカントした。逆相HPLCおよび凍結乾燥によって、所望のオリゴマーが得られた。
Figure 2005538035
66mg(0.036mmol、49%)、黄色固体;RP−HPLC保持時間=7.87分;
Figure 2005538035
93mg(0.061mmol、53%)、黄色固体、RP−HPLC保持時間=7.50分;
Figure 2005538035
Figure 2005538035
81mg(0.028mol、28%)、黄色固体、RP−HPLC保持時間=7.23分;
Figure 2005538035
Fmocアミド樹脂(159mg、0.1mmol、0.63mmol/g)を、20%ピペリジン/DMF(10mL)で30分間(3×)で処理して、遊離樹脂結合アミンを得、これを、DMF(3×10mL)で洗浄した。樹脂を、DMF(10mL)中のlxxxii(1.0mmol)、DIEA(0.5mmol)、HOBT(2.0mmol)の溶液で4時間、処理し、次いで、DMF(3×10mL)で洗浄した。これらの4つの工程(脱保護、洗浄、結合、洗浄)をさらに7回行い、樹脂結合オクタマーを得た。
アミノカプロン酸スペーサーを、20%ピペリジン/DMF(10mL)で30分間の脱保護(3×)、続いて、Fmoc−アミノカプロン酸(1.0mmol)、DIEA(0.5mmol)、HOBT(2.0mmol)、DIC(1.0mmol)、DMF(10mL)で、1時間(2×)での処理によって、付けた。ビオチニル化を、20%ピペリジン/DMF(10mL)で30分間の脱保護(3×)、およびビオチンp−ニトロフェニルエステル(0.25mmol)、DIEA(0.5mmol)、DMF(7mL)で4時間の処理(2×)によって達成した。
樹脂をDMF(3×10mL)で洗浄し、次いで、ジクロロメタン(5×10mL)で洗浄した。樹脂からのオリゴマーの切断は、15mLのプラスチックチューブ中において、10mLの95:5TFA/トリイソプロピルシランでの処理によって達成された。12時間後、反応混合物を濾過し、樹脂を10mLのTFAで洗浄した。減圧での約1.5mLの溶媒への濾液の濃縮、続く、冷エーテルへの滴下によって、白色沈殿を得た。固体を、遠心分離によってペレット化し、そして液体をデカントした。逆相HPLCおよび凍結乾燥によって、所望のオリゴマー、84mg(0.035mmol、35%)を白色固体として得た;RP−HPLC保持時間=4.82分;
Figure 2005538035
(ペルグアニジニル化)
脱イオン水(3mL)中に溶解されたカルバメートアミン(0.03mmol)の溶液を、炭酸カリウム(アミン残基当たり5当量)およびピラゾール−1−カルボキサミジン(アミン残基当たり5当量)で処理し、そして40℃で36時間加熱した。次いで、粗混合物をTFA(0.3mL)で酸性化し、RP−HPLCで精製し、そして凍結乾燥して、グアニジニル化オリゴマーを得た。
Figure 2005538035
10mg(0.0049mmol、26%)、黄色固体、RP−HPLC保持時間=8.35分;
Figure 2005538035
Figure 2005538035
Figure 2005538035
(結果)
図l0a〜cは、カルバメートトランスポーターのペンタマー、ヘプタマーおよびノナマーについて、これらの対応するD−アルギニンペプチドアミドのペンタマー、ヘプタマーおよびノナマーと比較して、約12.5uM〜約50uMの濃度で観察した取り込みを示す一連の3つのヒストグラムを提供する。各トランスポーターは、フルオレセイン部分に共有結合しており、適切な標識を提供し、輸送部分が細胞内に低分子を運ぶ能力を示した。
(実施例7)
本実施例は、シクロスポリンカルバメート輸送試薬結合体の調製を示す(図23のスキーム16を参照のこと)。
Figure 2005538035
(放出不可能なシクロスポリンRc8結合体(xcvi))
18.6mgのシクロスポリン誘導体xcvをDMF280uLに溶解した。トリエチルアミン(20uL)およびDMAP(1mg)を添加し、得られた溶液を37mgのxcivに添加した。この溶液を16時間攪拌し、水で希釈し、セライトのプラグでろ過し、RP−HPLCで精製して、白色固体48mg(0.012mmol、84%)を得た。
Figure 2005538035
(放出可能なシクロスポリンRc8結合体(xcvii))
固体xcvi(6mg、0.0019mmol)に、96%ギ酸1mLを添加した。この溶液を24時間攪拌し、水10mLで希釈し、凍結乾燥させて、粗生成物7mgを得た。
(実施例8)
(pH放出可能なリンカーを用いた、タキソールと輸送試薬との結合体)
本実施例は、生理学的pHにさらされた際に、トランスポーターから薬物を放出するリンカーによって、薬物に結合されたトランスポーターを有するプロドラッグを合成するための一般的なストラテジーの使用を示す。一般的には、薬物上の適切な部位は、α−クロロアセチル残基を保有するために誘導体化されている。次に、塩素は、保護されていないアミンを有するシステイン残基のチオールと交換されている。
(方法)
タキソール−2’−クロロアセチルの合成
タキソール(89.5mg、104.9μmol)をCHCl(3.5mL)に溶解した。この溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却した。α−クロロ酢酸無水物(19.7mg、115.4μmol)を添加した後、DIEA(14.8mg、115.4μmol)を添加した。この溶液を室温まで温めた。薄層クロマトグラフィー(tlc)分析によって出発物質が完全に消費されたことが示された後に、溶媒を減圧下で除去し、粗物質を、シリカゲル上フラッシュクロマトグラフィー(溶出液:EtOAC/Hex 20%〜50%)で精製し、所望の物質(99.8mg、定量的)を得た。
Figure 2005538035
Figure 2005538035
(トランスポーターに対するタキソールの結合)
雰囲気下でDMF(1.0mL)中に溶解した、結合したシステイン残基を有するトランスポーターに、DIEA(2.8mg、22.4μmol)を添加する。タキソール−2’−クロロアセテート(20.8mg、22.4μmol)のDMF(1.0mL)溶液を添加する。室温で6時間攪拌を続ける。0.1%TFA(1.0mL)を含む水を添加し、サンプルを凍結させ、溶媒を凍結乾燥した。粗物質をRP−HPLC(溶出液:水/MeCN0.1%TFA:85%〜15%)によって精製する。
(細胞傷害性アッセイ)
タキソール結合体は、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−テトラゾリウム−ブロミド(MTT)色素還元における細胞傷害性について試験可能である。
(実施例9)
(イトラコナゾール−トランスポーター結合体の合成)
本実施例は、トリアゾール構造を含む化合物に対してトランスポーターを結合させるための一般的なストラテジーの1つの適用を提供する。イトラコナゾールのトランスポーターへの結合を用いたスキームは、図8に示される。このスキームにおいて、RはHまたはアルキルであり、nは1または2であり、Xはハロゲンである。
この反応は、ハロゲン(例えば、Br、Cl、I)またはメチルエステルを有するアシル基を結合するために、トリアゾール環中の窒素の四級化を利用する。化合物3を、HPLCによって単離した。DO中のプロトンNMRにより、イトラコナゾールおよびトランスポーターのピークが示された。
メチルエステルは、70%以上の収率で得られた。一方、Br−プロピオン酸/エステル対を用いて得られた収率は、40〜50%であった。次いで、アシル誘導体を、トランスポーターのアミンと反応させ、結合体を形成させた。あるいは、アミド結合を介して、ハロゲン化アシル基を最初にトランスポーター分子に結合させた後、薬物化合物との反応を行うことも可能である。
(実施例10)
(FK506結合体の調製)
本実施例は、結合体の調製を記載する。ここで、FK506は、トランスポーターに結合している。2つの異なるリンカーを使用し、2つの異なるリンカーのそれぞれは、生理学的pH(pH5.5〜7.5)でFK506を放出可能であるが、より酸性のpHではさらに長い半減期を有する。これらのスキームは、図9Aおよび9B中に図示される。
(リンカー1:6−マレイミドカプロイックヒドラジドトリフルオロアセテート)
FK506(1)(0.lg、124.4mol)、6−マレイミドカプロイックヒドラジドトリフルオロアセテート(2)(0.126g、373.2mol)およびトリフルオロ酢酸(触媒、1L)の無水メタノール(5mL)溶液を室温で36時間攪拌した。反応を薄層クロマトグラフィーでモニターし、出発物質がほとんど完全に消失したのを確認した。[TLC溶媒系−ジクロロメタン(95):メタノール(5)、R=0.3]。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、酢酸エチル(20mL)に溶解した。有機層を水および10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。ジクロロメタン(96):メタノール(4)を溶出液として用いたカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製し、ヒドラゾン3(0.116g、92%)を得た。
上述のヒドラゾン(3)、トランスポーターおよびジイソプロピルエチルアミン(l×)の無水ジメチルホルムアミド(1mL)溶液を窒素下室温で36時間攪拌し、この時点でTLCは、出発物質のヒドラゾンが完全に消失していることを示す。反応混合物から溶媒をエバポレートし、トリフルオロ酢酸によって緩衝化された水およびアセトニトリルを用いて、残渣を逆相HPLCによって精製する。
(リンカー2:2−(2−ピリジニルジチオ)エチルヒドラジンカルボキシレート)
FK506(1)(0.lg、124.4mol)、2−(2−ピリジニルジチオ)エチルヒドラジンカルボキシレート(9)(0.091g、373.2mol)およびトリフルオロ酢酸(触媒、1L)の無水メタノール(5mL)溶液を、室温で16時間攪拌した。反応を薄層クロマトグラフィーでモニターし、出発物質がほとんど完全に消失したのを確認した。[TLC溶媒系−酢酸エチル、R=0.5]。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、酢酸エチル(20mL)に溶解した。有機層を水および10%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。ジクロロメタン(97):メタノール(3)を溶出液として用いたカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製し、10(0.091g、71%)を得た。末端システイン残基を有するトランスポーターに対するヒドラゾン結合体10の結合は、図9B中に示されるように、ピリジンチオールの置換を介して達成可能である。
(実施例11)
本実施例は、pH感受性連結基を用いた、輸送部分に対するシクロスポリンの結合を示す(図7を参照のこと)。
本実施例において、シクロスポリンは、クロロ酢酸無水物を用いて、クロロアセテートエステルに変換される。次いで、このエステルを、結合したシステイン基を有する輸送試薬を用いて処理し、シクロスポリン結合体を得る。
(実施例12)
本実施例は、輸送部分に対して活性薬剤を連結させる2つの方法を示す。例示によって、ポリ−D−Arg誘導体に結合したレチノイン酸誘導体を提供するが、他の生物学的薬剤と本発明の輸送部分との間の結合に適用可能である。
(a.アルデヒド官能基を有する生物学的薬剤との間の結合)
本実施例は、D−アルギニンのノナマー(HN−r−COH・10TFA)と、全てトランスのレチナールまたは13−cis−レチナールのいずれかとの結合体の調製を示す。従って、4Åのモレキュラーシーブの存在下、いずれか1つのレチナールとメタノール中HN−r−COH・10TFAとを室温で4時間縮合させると、レチナールアルデヒドとアミノ末端基との間にSchiff塩基型結合が形成する。結合体の精製は、モレキュラーシーブをろ過し、減圧下でメタノールを除去することによって達成可能である。
(b.r−CONHに対するレチノイン酸の接合)
本実施例は、以下の連結基
Figure 2005538035
を用いたレチノイン酸とr−CONHとの間の結合体の調製を示す。
ここで、レチノイン酸は、最初に、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジメチルフェノールのクロロアセテートエステルと合わされ、適切な連結基の結合体を与える。ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの存在下、塩化メチレン中のレチノイン酸と連結基の結合体とを組み合わせると、レチノイド誘導体が得られる。このレチノイド誘導体は、次いで、ジイソプロピルエチルアミンの存在下、HNCys−rCONH・8TFAと縮合可能であり(DMF、室温、2時間)、所望の結合された生成物を与える。
(実施例13)
本実施例は、輸送試薬の片側に対するグアジニウムヘッド基の面の配向を提供するためのスペーサーアミノ酸の使用を示す。
本明細書中に記載される実施例および実施形態は、単に例示の目的のためであり、これらを考慮した種々の改変または変更は、当業者に示唆され、本明細書の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。
図1は、本発明において提供されるグアニジニウム輸送試薬の成分を示す。グアニジニウムのヘッド基、側鎖および骨格成分が、間隔を空けたグアニジニウム輸送試薬の図(例えば、グアニジニウムヘッド基を含むサブユニットが、グアニジニウムヘッド基を含まないサブユニットに連結されている)とともに示されている。 図2は、本発明において使用され得る多数のグアニジニウムヘッド基を示す。 図3は、立体化学、不飽和部位、ヘテロ原子、および環状形態(芳香族基を含む)を有する多数の側鎖部分を示す。 図4は、グアニジニウム輸送試薬を治療剤に結合して結合体を形成するために使用され得る、多数の連結基を示す。 図5A、5B、5C、および5Dは、種々の型の連結基を使用する結合基を示す。 図6は、1つの型の薬物−トランスポーター結合体を調製する際に放出可能なリンカーを使用するための一般的手順を示す。ここで、治療剤上の官能基(例えば、−OHまたは−NH)は、クロロ酢酸誘導体へと転換され、そしてシステイン改変トランスポーターで処理される。放出は、示される分子内環化に起因してインビボで生じる。 図7は、図6に概略される方法論を使用する、シクロスポリンAと、トランスポーター部分との間の化学的結合についての合成スキームを示す。ここで、シクロスポリンAが、クロロ酢酸無水物で処理されて、対応するクロロ酢酸エステルが生成され、その後、さらなる連結基成分として作動するためにシステインを有するトランスポーター試薬を含むトランスポーター結合体へと転換される。 図8は、トリアゾール環構造を含む薬物にトランスポーターを結合するための一般的ストラテジーを示す。 図9Aは、別の連結ストラテジーを使用してFK506がトランスポーターに結合される、結合体を調製するための合成スキームを示す。 図9Bは、別の連結ストラテジーを使用してFK506がトランスポーターに結合される、結合体を調製するための合成スキームを示す。 図10Aは、カルバメート輸送試薬とポリArg輸送試薬との間のヒストグラムの比較を提供する。 図10Bは、カルバメート輸送試薬とポリArg輸送試薬との間のヒストグラムの比較を提供する。 図10Cは、カルバメート輸送試薬とポリArg輸送試薬との間のヒストグラムの比較を提供する。 図11は、カルバメート骨格を有する輸送試薬の調製を示すスキーム1および2を提供する。合成は固体支持体上で達成され得、アミノカプロン酸(aca)が、生物学的薬剤(FITC)に対する連結基として使用される。 図12は、ペプチド骨格を有する輸送試薬の調製を示すスキーム3および4を提供する。合成は固体支持体上で達成され得、アミノカプロン酸(aca)が、生物学的薬剤(FITC)に対する連結基として使用される。 図13は、グルタルアミド骨格を有する輸送試薬の調製を示すスキーム5を提供する。合成は、生物学的薬剤(FITC)に対する連結基としてアミノカプロン酸(aca)を含む溶液中で達成され得る。 図14は、図13に示すグルタルアミド骨格に関連する骨格を有する輸送試薬の調製を示すスキーム6を提供する。これらの骨格誘導体は、「尿素」、「オキサルアミド」、および「スクシンイミド」と称される。合成は溶液中で達成され得、チオ尿素連結を通じたFITCの結合によって示される。 図15は、ポリアミン骨格を有する輸送試薬の調製を示すスキーム7を提供する。合成は、生物学的薬剤(薬物)に対する連結基としてアミノカプロン酸を含む溶液中で達成され得る。 図16Aは、アミド結合の使用(8A)およびホスファターゼ反応性結合(8E)を示すスキーム8を提供する。 図16Bは、カルボネート結合の使用(8B)およびホスファターゼ反応性結合(8E)を示すスキーム8を提供する。 図16Cは、カルバメート結合の使用(8C)およびホスファターゼ反応性結合(8E)を示すスキーム8を提供する。 図16Dは、光変性結合(photolabile linkage)の使用(8D)をおよびホスファターゼ反応性結合(8E)を示すスキーム8を提供する。 図17は、ペプチド/ペプトイドハイブリッド骨格を有する輸送試薬の調製を示すスキーム9を提供する。生物学的薬剤の連結は、N末端またはC末端のいずれかで達成され得る。 図18は、ペプチド骨格を有する輸送試薬の合成のための、保護されたモノマー単位の調製を示すスキーム10を提供する。 図19は、スキーム10における保護されたモノマー単位から出発したペプチド骨格を有する輸送試薬の固相調製を示すスキーム11を提供する。 図20は、単糖骨格を有する輸送試薬の調製を示すスキーム12を提供する。 図21は、それぞれ、カルバメート骨格を有する輸送試薬の合成のための保護されたモノマー単位の調製、およびスキーム13における保護されたモノマー単位から出発したカルバメートを有する輸送試薬の固相調製を示すスキーム13および14を提供する。 図22は、ビオチン−トランスポーター結合体の固相合成および液相合成を示すスキーム15を提供する。ここで、トランスポーターは、カルバメート骨格を有する。 図23は、シクロスポリン−トランスポーター結合体の固相合成および液相合成を示すスキーム16を提供する。ここで、トランスポーターは、カルバメート骨格を有する。

Claims (34)

  1. 式:
    Figure 2005538035
    を有する化合物であって、ここで、
    下付文字mは、6〜25の整数であり;
    Tは、保護されているかまたは保護されていない第一の末端官能基、保護されているかまたは保護されていない連結基、および結合した治療剤を有する連結基からなる群より選択されるメンバーであり;
    Wは、保護されているかまたは保護されていない第二の末端官能基、保護されているかまたは保護されていない連結基、および結合した治療剤を有する連結基からなる群より選択されるメンバーであるが、但し、TおよびWは、結合した治療剤を同時には含まない;
    各Xは、骨格サブユニットであり、ここで、上付文字iは、1〜mまでの整数であり、Wの下流の位置を示す;
    各Yは、下付文字nが0である場合、H、アミノ酸側鎖、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択されるか、または下付文字nが1である場合、(C〜C)アルキレン、(C〜C)アルケニレン、(C〜C)アルキニレン、(C〜C)ヘテロアルキレン、(C〜C)シクロアルキルアルキレン、(C〜C)スピロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択され;
    各Zは、以下:
    Figure 2005538035
    からなる群より選択されるグアニジニウム部分であり、ここで、
    波線は、Yへの結合点を示し;そして
    下付文字nは、0、1または2であり、各i位置での1つまたは2つのZグアニジニウム部分の非存在または存在を示し;
    但し、該化合物は、同じであっても異なってもよい少なくとも4つのグアニジニウム部分を有し、そしてWおよびTを連結する該化合物の部分は、ポリペプチド以外である、
    化合物。
  2. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、各Xは、以下:
    Figure 2005538035
    からなる群より独立して選択され、ここで、
    各Rは、Hおよびアミノ酸側鎖からなる群より選択されるメンバーであり;そして
    星付の波線は、Yへの結合点を示し、残りの波線は、前記骨格に沿った結点を示す、
    化合物。
  3. 請求項2に記載の化合物であって、各Xは、以下:
    Figure 2005538035
    からなる群より選択され、ここで、
    各Rは、HおよびCHからなる群より選択される、化合物。
  4. 請求項3に記載の化合物であって、各Zは、以下:
    Figure 2005538035
    からなる群より選択される、化合物。
  5. 請求項4に記載の化合物であって、Zに結合した各Yが、(C〜C)アルキレン、(C〜C)アルケニレン、(C〜C)ヘテロアルキレン、(C〜C)シクロアルキルアルキレン、アリーレンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、化合物。
  6. 請求項5に記載の化合物であって、Zに結合した各Yが、非分枝の(C〜C)アルキレンである、化合物。
  7. 請求項6に記載の化合物であって、Zに結合した各Yが、(C〜C)アルキレンであり、そして各Zが、−NH−C(=NH)−NHである、化合物。
  8. 請求項7に記載の化合物であって、各奇数の整数iについて、nは0であり、そして各偶数の整数iについて、nは1である、化合物。
  9. 請求項7に記載の化合物であって、mは、12〜25の整数であり、但し、該化合物は、同じであっても異なってもよい、6〜8個のグアニジニウム部分を有する、化合物。
  10. カルバメート骨格を有する、請求項1に記載の化合物。
  11. 5〜15個のグアニジニウム頭部基を有する、請求項10に記載の化合物。
  12. 5〜9個のグアニジニウム頭部基を有する、請求項10に記載の化合物。
  13. グルタルアミド骨格を有する、請求項1に記載の化合物。
  14. 5〜15個のグアニジニウム頭部基を有する、請求項13に記載の化合物。
  15. ポリアミン骨格を有する、請求項1に記載の化合物。
  16. 5〜15個のグアニジニウム頭部基を有する、請求項15に記載の化合物。
  17. γ−ペプチド骨格を有する、請求項1に記載の化合物。
  18. 5〜15個のグアニジニウム頭部基を有する、請求項17に記載の化合物。
  19. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Wは、結合した生物学的に活性な薬剤を有する連結基を有し、そして以下の式:
    Figure 2005538035
    を有し、ここで:
    は、生物学的に活性な薬剤であり;
    Xは、該生物学的に活性な薬剤上の官能基と、Rと輸送試薬との間の該連結基上の官能基との間の連結であり;
    Yは、該化合物の残部にWを結合させる官能基であり;
    Aは、NまたはCHであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかであり;そして
    nは、1〜10の整数である、
    化合物。
  20. 請求項19に記載の化合物であって、ここで、Yは、O、NH、C(O)O、NHC(O)およびC(O)NHからなる群より選択される、化合物。
  21. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Wは、結合した生物学的に活性な薬剤を有する連結基であり、そして以下の式:
    Figure 2005538035
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な薬剤上の官能基と、Rと該輸送試薬との間の該連結基上の官能基との間の連結であり;
    Yは、該化合物の残部にWを結合させる官能基であり;
    は、S、O、NRまたはCRであり;
    は、OH、SHまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    およびRは、独立して、水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;そして
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかである、
    化合物。
  22. 請求項21に記載の化合物であって、ここで、Yは、O、NH、C(O)O、NHC(O)およびC(O)NHからなる群より選択される、化合物。
  23. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Wは、結合した生物学的に活性な薬剤を有する連結基であり、そして以下の式:
    Figure 2005538035
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な薬剤上の官能基と、Rと該輸送試薬との間の該連結基上の官能基との間の連結であり;
    Yは、該化合物の残部にWを結合させる官能基であり;
    は、H、OH、SHまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;そして
    kは、1または2である、
    化合物。
  24. 請求項23に記載の化合物であって、Yは、O、NH、C(O)O、NHC(O)およびC(O)NHからなる群より選択される、化合物。
  25. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Wは、結合した生物学的に活性な薬剤を有する連結基であり、そして以下の式:
    Figure 2005538035
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な薬剤上の官能基と、Rと該輸送試薬との間の該連結基上の官能基との間の連結であり;
    Yは、該化合物の残部にWを結合させる官能基であり;
    Arは、置換または非置換のアリール基であり、ここで、前記メチレンおよび酸素置換基が、互いにオルトまたはパラのいずれかであり;
    は、S、O、NRまたはCRであり;
    は、H、OH、SH、CONHRまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    およびRは、独立して、水素またはアルキルであり;そして
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかである、
    化合物。
  26. 請求項25に記載の化合物であって、ここで、Yは、O、NH、C(O)O、NHC(O)およびC(O)NHからなる群より選択される、化合物。
  27. 生物学的膜を横切る、選択された化合物の輸送を増強するための方法であって、該方法は、以下:
    生物学的膜を、輸送試薬に共有結合した生物学的に活性な薬剤を含む結合体と接触させる工程、
    を包含し、ここで、
    ポリマーは、6〜25個のサブユニットからなり、その少なくとも50%が、グアニジノ側鎖部分またはアミジノ側鎖部分を含み、そして
    それによって、該接触させる工程は、非結合体化形態における該生物学的薬剤の膜貫通輸送速度よりも大きい速度で、該生物学的膜を横切る該結合体の輸送を促進するのに有効である、方法。
  28. 請求項27に記載の方法であって、ここで、各グアニジノ側鎖部分またはアミジノ側鎖部分は、1〜3個の非グアニジノサブユニットまたは非アミジノサブユニットだけ、別のこのような部分から分離されている、方法。
  29. 生物学的膜を横切る、選択された生物学的薬剤の輸送を増強するための方法であって、該方法は、以下:
    生物学的膜を、請求項1に記載の化合物と接触させる工程、を包含し、ここで、WまたはTの1つは、輸送試薬に共有結合した該生物学的薬剤を構成し、
    それによって、該接触させる工程は、非結合体化形態における該生物学的薬剤の膜貫通輸送速度よりも大きい速度で、該生物学的膜を横切る該結合体の輸送を促進するのに有効である、方法。
  30. 請求項29に記載の方法であって、ここで、前記生物学的薬剤が、診断剤、抗癌剤、抗菌剤、抗炎症剤および抗真菌剤からなる群より選択される、方法。
  31. 前記薬剤が、診断剤である、請求項30に記載の方法。
  32. 前記薬剤が、抗癌剤である、請求項30に記載の方法。
  33. 前記薬剤が、抗菌剤である、請求項30に記載の方法。
  34. 前記薬剤が、抗炎症剤である、請求項30に記載の方法。
JP2003550821A 2001-12-11 2002-12-11 グアニジニウム輸送試薬および結合体 Pending JP2005538035A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US33969601P 2001-12-11 2001-12-11
PCT/US2002/039698 WO2003049772A2 (en) 2001-12-11 2002-12-11 Guanidinium transport reagents and conjugates

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005538035A true JP2005538035A (ja) 2005-12-15
JP2005538035A5 JP2005538035A5 (ja) 2006-11-02

Family

ID=23330202

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003550821A Pending JP2005538035A (ja) 2001-12-11 2002-12-11 グアニジニウム輸送試薬および結合体

Country Status (7)

Country Link
US (1) US7169814B2 (ja)
EP (1) EP1461084A2 (ja)
JP (1) JP2005538035A (ja)
AU (1) AU2002359679B2 (ja)
CA (1) CA2469336C (ja)
MX (1) MXPA04005611A (ja)
WO (1) WO2003049772A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010504929A (ja) * 2006-09-27 2010-02-18 ボッティ,パオロ 生体系への送達を高める手段及び方法
JP2013028633A (ja) * 2005-12-30 2013-02-07 Revance Therapeutics Inc 局所投与用アルギニンヘテロマー

Families Citing this family (84)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2617692T3 (es) * 2000-07-21 2017-06-19 Revance Therapeutics, Inc. Sistemas de transporte de agentes biológicos de múltiples componentes
US20040220100A1 (en) * 2000-07-21 2004-11-04 Essentia Biosystems, Inc. Multi-component biological transport systems
US6969514B2 (en) 2003-02-05 2005-11-29 Soll David B Method for treating elevated intraocular pressure, including glaucoma
DK2351844T3 (da) * 2003-04-29 2014-09-22 Sarepta Therapeutics Inc Præparater til forøgelse af transport- og antisense-effektivitet af nukleinsyreanalog i celler
EP1729821B1 (en) 2004-03-03 2013-07-17 ReVance Therapeutics, Inc. Compositions and methods for topical application and transdermal delivery of botulinum toxins
CA3031270A1 (en) * 2004-03-03 2005-12-22 Revance Therapeutics, Inc. Compositions and methods for topical diagnostic and therapeutic transport
US9211248B2 (en) 2004-03-03 2015-12-15 Revance Therapeutics, Inc. Compositions and methods for topical application and transdermal delivery of botulinum toxins
US20050288246A1 (en) 2004-05-24 2005-12-29 Iversen Patrick L Peptide conjugated, inosine-substituted antisense oligomer compound and method
GB0413613D0 (en) * 2004-06-17 2004-07-21 Univ London Small molecule carriers
WO2006010084A2 (en) * 2004-07-06 2006-01-26 Segev Laboratories Limited A system for delivering therapeutic agents into living cells and cell nuclei
US8680062B2 (en) 2004-07-06 2014-03-25 Deliversir Ltd. System for delivering therapeutic agents into living cells and cells nuclei
US7442682B2 (en) 2004-10-19 2008-10-28 Nitto Denko Corporation Transepithelial delivery of peptides with incretin hormone activities
NZ560799A (en) 2005-03-03 2009-10-30 Revance Therapeutics Inc Compositions and methods for topical application and transdermal delivery of an oligopeptide
EP1861112A4 (en) 2005-03-03 2009-07-22 Revance Therapeutics Inc COMPOSITIONS AND METHODS FOR TOPICAL APPLICATION AND TRANSDERMAL DELIVERY OF BOTULINUM TOXINS
GB2427360A (en) * 2005-06-22 2006-12-27 Complex Biosystems Gmbh Aliphatic prodrug linker
US8067571B2 (en) 2005-07-13 2011-11-29 Avi Biopharma, Inc. Antibacterial antisense oligonucleotide and method
US7700565B2 (en) 2005-09-23 2010-04-20 Nitto Denko Corporation Peptide nucleic acid based guanidinium compounds
WO2007038172A2 (en) * 2005-09-23 2007-04-05 Nitto Denko Corporation Guanidinium carriers
WO2007038169A2 (en) 2005-09-23 2007-04-05 Nitto Denko Corporation Multi-valent guanidinium compounds for molecular translocation across cellular membranes and epithelial tissues
CN101355962A (zh) * 2005-11-17 2009-01-28 雷文斯治疗公司 减少非毒素蛋白质的肉毒杆菌毒素组合物和其局部施用及透皮递送方法
US7696165B2 (en) 2006-03-28 2010-04-13 Albany Molecular Research, Inc. Use of cyclosporin alkyne analogues for preventing or treating viral-induced disorders
CN101489655A (zh) 2006-07-14 2009-07-22 威斯康星旧生研究基金会 捕获病毒用吸附膜
EP1905454A1 (en) * 2006-09-27 2008-04-02 Paolo Botti Formulations comprising cyclic compounds
AU2007340162B2 (en) * 2006-12-29 2013-08-01 Revance Therapeutics, Inc. Compositions and methods of topical application and transdermal delivery of botulinum toxins stabilized with polypeptide fragments derived from HIV-TAT
AU2007340158A1 (en) * 2006-12-29 2008-07-10 Revance Therapeutics, Inc. Transport molecules using reverse sequence HIV-TAT polypeptides
AU2008218939B2 (en) * 2007-02-23 2014-05-08 The Research Foundation Of State University Of New York RNA targeting compounds and methods for making and using same
US9260476B2 (en) 2007-02-23 2016-02-16 The Research Foundation For The State University Of New York RNA targeting compounds and methods for making and using same
US9556210B2 (en) 2007-04-23 2017-01-31 Sabag-Rfa Ltd. System for delivering therapeutic agents into living cells and cells nuclei
US9156865B2 (en) 2007-04-23 2015-10-13 Deliversir Ltd System for delivering therapeutic agents into living cells and cells nuclei
ES2516827T3 (es) * 2007-04-23 2014-10-31 Deliversir Ltd Un sistema para entregar agentes terapéuticos a células vivas y núcleos de células
US20100016215A1 (en) 2007-06-29 2010-01-21 Avi Biopharma, Inc. Compound and method for treating myotonic dystrophy
CA2691673A1 (en) * 2007-06-29 2009-01-08 Avi Biopharma, Inc. Tissue specific peptide conjugates and methods
EP2178549B1 (en) * 2007-07-26 2016-09-14 Revance Therapeutics, Inc. Antimicrobial peptide and compositions thereof
US7842762B2 (en) * 2007-08-08 2010-11-30 Ppg Industries Ohio, Inc. Electrodepositable coating composition containing a cyclic guanidine
US20110160146A1 (en) * 2008-02-07 2011-06-30 National Institute of Health (NIH) Conjungation of Small Molecules to Octaarginine Transporters for Overcoming Multi-Drug Resistance
WO2010077732A2 (en) * 2008-12-09 2010-07-08 Aether Medical Llc Implantable analgesic
US20100311671A1 (en) * 2009-03-25 2010-12-09 Kai Pharmaceuticals Transdermal delivery of pkc modulatory peptides through microporated skin
US20110269665A1 (en) 2009-06-26 2011-11-03 Avi Biopharma, Inc. Compound and method for treating myotonic dystrophy
WO2011139714A2 (en) 2010-04-26 2011-11-10 Atyr Pharma, Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of cysteinyl-trna synthetase
AU2011248614B2 (en) 2010-04-27 2017-02-16 Pangu Biopharma Limited Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of isoleucyl tRNA synthetases
WO2011139853A2 (en) 2010-04-28 2011-11-10 Atyr Pharma, Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of alanyl trna synthetases
US9068177B2 (en) 2010-04-29 2015-06-30 Atyr Pharma, Inc Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of glutaminyl-tRNA synthetases
CA2797374C (en) 2010-04-29 2021-02-16 Pangu Biopharma Limited Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of asparaginyl trna synthetases
EP2563383B1 (en) 2010-04-29 2017-03-01 Atyr Pharma, Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of valyl trna synthetases
JP6008841B2 (ja) 2010-05-03 2016-10-19 エータイアー ファーマ, インコーポレイテッド メチオニルtRNA合成酵素のタンパク質フラグメントに関連した治療用、診断用および抗体組成物の革新的発見
CA2797977C (en) 2010-05-03 2019-08-20 Atyr Pharma, Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of phenylalanyl-alpha-trna synthetases
WO2011139986A2 (en) 2010-05-03 2011-11-10 Atyr Pharma, Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of arginyl-trna synthetases
EP2566499B1 (en) 2010-05-04 2017-01-25 aTyr Pharma, Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of p38 multi-trna synthetase complex
CA2799197C (en) 2010-05-14 2019-10-29 Atyr Pharma, Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of phenylalanyl-beta-trna synthetases
US8962560B2 (en) 2010-06-01 2015-02-24 Atyr Pharma Inc. Innovative discovery of therapeutic, diagnostic, and antibody compositions related to protein fragments of Lysyl-tRNA synthetases
CN103118695B (zh) 2010-07-12 2016-08-03 Atyr医药公司 与甘氨酰-tRNA合成酶的蛋白片段相关的治疗、诊断和抗体组合物的发现
EP2608801B1 (en) 2010-08-25 2019-08-21 aTyr Pharma, Inc. INNOVATIVE DISCOVERY OF THERAPEUTIC, DIAGNOSTIC, AND ANTIBODY COMPOSITIONS RELATED TO PROTEIN FRAGMENTS OF TYROSYL-tRNA SYNTHETASES
US9161948B2 (en) 2011-05-05 2015-10-20 Sarepta Therapeutics, Inc. Peptide oligonucleotide conjugates
US9902957B2 (en) 2011-09-06 2018-02-27 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Amphipathic co-oligomers for the delivery of siRNA
US9816066B2 (en) 2012-04-24 2017-11-14 The Regents Of The University Of California Method for delivery of small molecules and proteins across the cell wall of algae using molecular transporters
CN102863357B (zh) * 2012-09-20 2014-01-01 华中农业大学 具有植物生长调节活性的化合物及其制备方法
CN104918639B (zh) 2012-10-22 2018-01-26 萨拜格Rfa公司 用于将治疗剂递送到活细胞和细胞核中的***
US20140120077A1 (en) 2012-10-28 2014-05-01 Revance Therapeutics, Inc. Compositions and Methods for Safe Treatment of Rhinitis
US9068089B2 (en) 2013-03-15 2015-06-30 Ppg Industries Ohio, Inc. Phenolic admix for electrodepositable coating composition containing a cyclic guanidine
US9688874B2 (en) 2013-10-25 2017-06-27 Ppg Industries Ohio, Inc. Method of making a bicyclic guanidine-cured acrylic coating
US10815276B2 (en) 2014-05-21 2020-10-27 Entrada Therapeutics, Inc. Cell penetrating peptides and methods of making and using thereof
EP3149025B1 (en) 2014-05-21 2019-06-26 Entrada Therapeutics, Inc. Cell penetrating peptides and methods of making and using thereof
US11484580B2 (en) 2014-07-18 2022-11-01 Revance Therapeutics, Inc. Topical ocular preparation of botulinum toxin for use in ocular surface disease
US10383912B2 (en) * 2014-08-18 2019-08-20 Washington State University Tunable pH-sensitive linker for controlled drug release
US10456443B2 (en) 2014-08-27 2019-10-29 Ohio State Innovation Foundation Peptidyl calcineurin inhibitors
US9854806B2 (en) 2015-05-19 2018-01-02 International Business Machines Corporation Antimicrobial guanidinium and thiouronium functionalized polymers
WO2016196897A1 (en) 2015-06-04 2016-12-08 Sarepta Therapeutics, Inc. Methods and compounds for treatment of lymphocyte-related diseases and conditions
WO2018022930A1 (en) * 2016-07-27 2018-02-01 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Immolative cell-penetrating complexes for nucleic acid delivery
KR20230110811A (ko) 2016-12-19 2023-07-25 사렙타 쎄러퓨틱스 인코퍼레이티드 근육 이상증에 대한 엑손 스킵핑 올리고머 결합체
MX2019013735A (es) 2017-05-19 2020-01-15 Lunella Biotech Inc Antimitoscinas: inhibidores especificos de la biogenesis mitocondrial para erradicar celulas madre cancerosas.
EP3717015A4 (en) 2017-12-01 2021-07-28 Lunella Biotech, Inc. REPURPOSCINS: TARGET MITOCHONDRIAL BIOGENESIS INHIBITORS TO ERADICATE CARCINOUS STEM CELLS
EP3749365A4 (en) 2018-01-29 2022-01-12 Ohio State Innovation Foundation PEPTIDY INHIBITORS OF THE CALCINEURIN-NFAT INTERACTION
TW201945014A (zh) 2018-02-22 2019-12-01 美商安卓達治療股份有限公司 用於治療粒線體性神經胃腸腦病變之組合物及方法
US10844228B2 (en) 2018-03-30 2020-11-24 Becton, Dickinson And Company Water-soluble polymeric dyes having pendant chromophores
EP3790890A4 (en) 2018-05-09 2022-03-02 Ohio State Innovation Foundation CYCLIC PEPTIDES OF CELL PENETRATION WITH ONE OR MORE HYDROPHOBIC RESIDUES
KR102167755B1 (ko) 2018-05-23 2020-10-19 주식회사 큐어바이오 단편화된 grs 폴리펩타이드, 이의 변이체 및 이들의 용도
AU2019349935B2 (en) 2018-09-27 2023-01-12 BioPhysics Pharma, Inc. Transdermal drug delivery system
US10953039B2 (en) 2018-09-27 2021-03-23 International Business Machines Corporation Utilizing polymers and antibiotics to enhance antimicrobial activity and inhibit antibiotic resistance
JP2022523324A (ja) 2019-02-01 2022-04-22 ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー 肺への核酸送達のための犠牲細胞透過性複合体
TWI794742B (zh) 2020-02-18 2023-03-01 美商基利科學股份有限公司 抗病毒化合物
EP4106876A1 (en) 2020-02-18 2022-12-28 Gilead Sciences, Inc. Antiviral compounds
JP2023532736A (ja) * 2020-07-02 2023-07-31 ユニバーシティー オブ ヒューストン システム 血液脳関門を通過する薬物送達のための化合物
KR20230170745A (ko) 2021-04-16 2023-12-19 길리애드 사이언시즈, 인코포레이티드 아미드를 사용한 카르바뉴클레오시드를 제조하는 방법
EP4155349A1 (en) 2021-09-24 2023-03-29 Becton, Dickinson and Company Water-soluble yellow green absorbing dyes

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998052614A2 (en) * 1997-05-21 1998-11-26 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Composition and method for enhancing transport across biological membranes
WO2001013957A2 (en) * 1999-08-24 2001-03-01 Cellgate, Inc. Enhancing drug delivery across and into epithelial tissues using oligo arginine moieties

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4004074A (en) * 1968-06-18 1977-01-18 Colgate-Palmolive Company Highly substantive sunscreening agents
DE3310337A1 (de) * 1983-03-22 1984-09-27 Europäisches Laboratorium für Molekularbiologie (EMBL), 6900 Heidelberg Verfahren zur durchfuehrung von hybridisierungsreaktionen
US5723496A (en) * 1991-03-05 1998-03-03 The Regents Of University Of California Method for prevention and treatment of harmful effects of intracellular acidosis
JP2651317B2 (ja) * 1992-06-18 1997-09-10 扶桑薬品工業株式会社 核酸の検出法
ATE252914T1 (de) * 1996-08-13 2003-11-15 Chiron Corp Zusammensetzungen zur polynukleotidabgabe
AUPP584298A0 (en) * 1998-09-14 1998-10-08 Starpharma Limited Antimicrobial and antiparasitic agents
IL127773A0 (en) * 1998-12-28 1999-10-28 Yeda Res & Dev Saccharide conjugates and pharmaceutical compositions comprising them
US6593466B1 (en) * 1999-07-07 2003-07-15 Isis Pharmaceuticals, Inc. Guanidinium functionalized nucleotides and precursors thereof
US6669951B2 (en) 1999-08-24 2003-12-30 Cellgate, Inc. Compositions and methods for enhancing drug delivery across and into epithelial tissues
US6730293B1 (en) * 1999-08-24 2004-05-04 Cellgate, Inc. Compositions and methods for treating inflammatory diseases of the skin
AU2002306500C1 (en) * 2001-02-16 2006-09-28 Cellgate, Inc. Transporters comprising spaced arginine moieties

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998052614A2 (en) * 1997-05-21 1998-11-26 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Composition and method for enhancing transport across biological membranes
WO2001013957A2 (en) * 1999-08-24 2001-03-01 Cellgate, Inc. Enhancing drug delivery across and into epithelial tissues using oligo arginine moieties

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013028633A (ja) * 2005-12-30 2013-02-07 Revance Therapeutics Inc 局所投与用アルギニンヘテロマー
JP2010504929A (ja) * 2006-09-27 2010-02-18 ボッティ,パオロ 生体系への送達を高める手段及び方法
US9211340B2 (en) 2006-09-27 2015-12-15 Paolo Botti Means and methods of enhancing delivery to biological systems

Also Published As

Publication number Publication date
US20040161405A9 (en) 2004-08-19
MXPA04005611A (es) 2005-04-19
EP1461084A2 (en) 2004-09-29
CA2469336A1 (en) 2003-06-19
CA2469336C (en) 2013-06-11
WO2003049772A3 (en) 2003-11-20
AU2002359679A1 (en) 2003-06-23
WO2003049772A2 (en) 2003-06-19
AU2002359679B2 (en) 2009-01-08
US7169814B2 (en) 2007-01-30
US20030185788A1 (en) 2003-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005538035A (ja) グアニジニウム輸送試薬および結合体
ES2210761T3 (es) Composicion y procedimiento para mejorar el transporte a traves de las membranas biologicas.
AU2002306500B2 (en) Transporters comprising spaced arginine moieties
US7935816B2 (en) Molecular transporter compositions comprising dendrimeric oligoguanidine with a triazine core that facilitate delivery into cells in vivo
ES2834916T3 (es) Agente terapéutico dirigido de dendrímero de polilisina
CA2438326A1 (en) Compositions and methods for enhancing drug delivery across and into epithelial tissues
JP2011523415A (ja) 新規な二重標的化抗腫瘍複合体
AU2002306500A1 (en) Transporters comprising spaced arginine moieties
EP1304122A2 (en) Composition and method for enhancing transport across biological membrane
MXPA99010704A (en) Composition and method for enhancing transport across biological membranes
CZ406699A3 (cs) Farmaceutický prostředek a způsob zvýšení transportu vybraných sloučenin přes biologickou membránu

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060911

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090804

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20091102

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20091104

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20091110

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20091111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110208

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110506

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110518

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110607

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110614

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110707

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110714

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111012