JP2005534522A - 加工機内の印刷装置ないしニス引き装置のための塗布装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、加工機内の印刷装置ないしニス引き装置のための塗布装置に関する。本発明は、特に、胴溝を横切る際の衝撃の発生を低減して印刷品質をさらに向上させる上述の類の塗布装置を提供することを課題とする。この課題は、少なくとも一つの塗布ローラ５，６，７が、胴溝１０付きの版胴１に対して設けられていることによって解決される。この塗布ローラ５，６，７は、ローラ芯部１２からなり、このローラ芯部上に同心的に少なくとも一つの圧縮性層１３とカバー層１４とが設けられている。

Description

本発明は、請求項１の前提部分おいて書き部に係る加工機内の印刷装置ないしニス引き装置のための塗布装置に関する。上記加工機は、好適には、印刷装置を備え、さらに好ましくは少なくとも一つのニス引き装置が組み合わされた印刷機であるか、又は少なくとも一つのニス引き装置を備えたニス引き機である。

この種の塗布装置として、欧州特許第００９０１７９号明細書（特許文献１）より、印刷機のローラ装置内でローラ縞（印刷結果における）を解消するためのものが知られている。このようなローラ縞は、例えば、少なくとも一つの胴溝を備えたプレート胴上でローラが転動する際に生じる衝撃によって出来るものである。
プレート胴と、それに対応して設けられた塗布ローラとの間のできるだけ均等な圧縮応力を保証するために、前記塗布ローラは、インキ流れ上流側に隣接して配置されたローラに向かってバネの弾性により付勢する押圧部材によって支承され、さらに、この上流側に前置されたローラにも同様にバネの弾性により付勢する押圧部材が設けられている。全ての押圧部材の弾性力は、それぞれ、塗布ローラにおいては、前置されたローラとは反対の側にベアリングクリアランスが移され、また前置されたローラにおいては、塗布ローラとは反対の側にベアリングクリアランスが移されているように設けられている。
この場合の欠点は、比較的込み入った装置構造と、より高速の機械速度および／またはより大きな印刷材料の版幅における不十分な減衰（ダンピング）特性である。

独国実用新案出願公開第９３１０７１３．７号明細書（特許文献２）より、締結溝を有する版胴と機能的に接続しておりかつ該版胴上で大きく減衰して殆ど揺れずに転動するインキ着けローラが知られている。ここで、前記ローラは、インキを巡らせるカバー層としての弾性的なローラカバーを芯の上に保持している。このローラの芯部は、自身の外縁部に、版胴の締結溝に対応して設けられた凹み（凹部）を有している。この凹みは、ローラカバーの厚くなった部分で中が満たされている。このとき、上記インキ着けローラは、自身の外周上に完全に円筒形のジャケットを有している。
この場合に問題なのは、製造にかなり手間とコストがかかり、ローラカバーの厚くなった部分が常に締結溝に同期するように動かされなければならないということである。しかも、より高速の機械速度および／またはより大きな印刷材料の版幅で達成できるダンピング特性は満足のいくものではない。
欧州特許第００９０１７９号明細書 独国実用新案出願公開第９３１０７１３．７号明細書

本発明は、上述の欠点を解消し、特に、胴溝を横切る際の衝撃の発生を低減して印刷品質をさらに向上させる上述の類の塗布装置を提供することを目的とする。

この課題は、請求項１の特徴部分に記載の構成によって解決される。さらなる発展態様は、下位請求項に与えられている。

第１の長所は、次の点にある。すなわち、少なくとも一つの塗布ローラを備えた上記の塗布装置は、胴溝を横切ることで引き起こされる衝撃に対して明らかに優れたダンピング特性を備えているということである。上記の塗布装置の構成によれば、隣接するローラ群もしくは胴に、振動が全く伝わらないか又は無視できるほど小さな振動しか伝わらない。そして、印刷製品上でのローラの縞の発生を防ぐことができる結果、印刷品質（もしくはニス引き品質）の向上を図ることができる。

その上に優れているのは、少なくとも一つの塗布ローラを備えた上記塗布装置は、機械速度がより高速の加工機を、それもフォーマット幅（版幅）がより大きな印刷材料の場合に、振動無く動かせるという点である。

さらなる長所は、少なくとも一つの塗布ローラを有する上記塗布装置が、版胴ならびに少なくとも一つの胴溝を有する加工機に広く利用できるという点にある。好ましくは、上記塗布装置は、インキ装置、例えばオフセット式のインキ装置および／またはフレキソ式のインキ装置に利用できる。湿し剤により補助されるオフセット印刷では、上記塗布装置は、同じく湿し装置に用いることができる。加えて、上記塗布装置は、ニス引きないしフレキソ印刷装置内で使用することができる。この場合、上記塗布装置は、好適には少なくとも一つの胴溝を有する版胴ないしプレート胴と常に機能的に接続されている。

同じく、有利であるのは、少なくとも一つの塗布ローラを備えた上記塗布装置が、好適にはインキ装置および／または湿し装置内で、版胴に対して異なる周速で駆動可能とされているということである。この場合、上記塗布ローラは、版胴に対して摩擦係合して駆動可能とされ、上記隣接したローラ（例えばインキ慣らしローラ）は、確動係合して駆動可能とされている。

結局のところ、上記塗布装置の少なくとも一つの塗布ローラが、該ローラの全外周部上にわたって、転動時に機能する圧縮性層を有している点が優れている。この場合、上記塗布ローラは、ローラ芯部を備え、このローラ芯部の上に、上記圧縮性層が同心的に接着固定されて（接着により固定された状態で）設けられ、この圧縮性層の上に、処理対象の媒体（インキ、ニス、湿し剤）を巡らせる弾性的なカバー層が同心的に接着固定されて設けられている。

このように構成された塗布ローラは、胴溝を通過する際、この胴溝に、そして溝のエッジに入り込む。溝の張り出し部分（Kanalanlauf）も含めて胴溝が通過すると、塗布ローラの圧縮性層が十分な弾性回復力を特別に有しているので、特に事前に付与されたローラ縞（Walzenbeistellung）のローラ初期状態設定を隣接した版胴において新たに取り得るようになる。
塗布ローラの圧縮性層は、セル構造を有する発泡材料から構成されている。一つのセルの細孔直径は、概ね０．１〜５ｍｍであることが好ましい。この構造は、クローズドセル（つまり、個々のセルが閉じた空洞を形成している）か、あるいは、オープンセル（つまり、セルが互いに連接している）で形成されている。これとは別に、混合セル型構造を持つ発泡材料を用いることもできる。

本発明を実施形態に基づきより詳細に説明する。

図１には、インキ装置３ならびに必要に応じて湿し装置４を有するオフセット印刷装置が示されている。インキ装置３は、特に、少なくとも一つのインキローラ列を備えている。このローラ列は、終端側にインキ着けローラ６としての複数の塗布ローラを備えている。これらのインキ着けローラ６には、軸線方向に往復可能かつ回転駆動可能なインキ慣らしローラ８がインキ流れの上流側に設けられている（前置されている）。
本実施形態において、ここではプレート胴として形成された版胴１の回転方向に、４つのインキ着けローラ６がこの版胴１に対して摩擦係合するように（連動するように）外周側に設けられている。このとき、版胴１の回転方向において第１及び第２のインキ着けローラ６は共に、前置された第１のインキ慣らしローラ８に摩擦係合するように接触しており、さらに、第３及び第４のインキ着けローラ６は共に、前置された第２のインキ慣らしローラ８に摩擦係合するように接触している。

版胴１は、例えば、印刷版を固定するための締結手段を収容するための、少なくとも一つの軸線平行に設けられた胴溝１０を備えている。版胴１は、さらに、ゴムブランケット胴２に接触しており、このゴムブランケット胴２が、印刷材料を案内する圧胴（ここでは図示せず）、例えば枚葉紙案内胴に接触している。

必要に応じて、例えば湿し剤が用いられるオフセット印刷の場合、版胴１の回転方向上流側においてインキ装置３に湿し装置４が前置されている。湿し装置４は、版胴１に接触させることのできる湿し剤着けローラ５としての少なくとも一つの塗布ローラを備えている。この湿し剤着けローラ５は、前置された湿し剤配量機構に機能的に接続されている。

図２を参照すると、少なくとも一つの胴溝１０を有する版胴１と、この版胴１に機能的に接続していて印刷材料を案内する圧胴１１（例えば枚葉紙案内胴）とを備えたニス引き装置、あるいはこれに替わるフレキソ印刷装置が示されている。このニス引き装置は、版胴１に接触させることのできるニス着けローラ７としての少なくとも一つの塗布ローラを備えている。ニス着けローラ７は、処理対象の媒体（フレキソ印刷インキ、ニス）のための配量機構９、例えばドクタないしローラ機構に連結されている。

図３を参照すると、塗布ローラ５，６，７（湿し剤着けローラ５，インキ着けローラ６，ニス着けローラ７）が断面で示されている。これらの塗布ローラ５，６，７は、保持材料としてローラ芯部１２（終端に設けられたローラジャーナルを有している）を有している。

ローラ芯部１２上には、圧縮性層１３が中心を同じくして（同心位置に）接着により固定された状態（接着固定状態）で設けられている。この圧縮性層上にはさらに、それぞれの場合において媒体（インキ，ニス，湿し剤）を導くカバー層１４が同心位置に接着固定状態で設けられている。

圧縮性層１３は、好適にはオープンセル（連通気泡）型ないしクローズドセル（独立気泡）型とされているか、別形態として混合セル型の発泡材料とされている。さらに、圧縮性層１３は、泡状ないし管状の空気又はガスの封入部を有して形成することができる。
カバー層１４は、エラストマー材料から構成され、それも好ましくはインキないしニスを導くか又は湿し剤を導くゴム材料から構成されている。

セル状の発泡材料から形成された圧縮性層１３は、接着固定状態で、それも好ましくは第１の加硫によりローラ芯部１２に設けられている。このような発泡材料として、例えば多孔質ゴム（スポンジ）を使用することができる。同心的に圧縮性層１３上に設けられた弾性的なカバー層１４は、前記層１３上に、好ましくは第２の加硫により接着固定状態で設けられている。

ローラ芯部１２上における発泡材料（層１３）の加硫、ならびに発泡材料（層１３）上におけるカバー層１４の加硫の際には、架橋反応が起こり、その結果、それぞれ無限大の分子結合によって接着固定状態の構成が形成されている。

カバー層１４は、ニス、湿し剤、又はインキを着けるローラにとって通常の濡れ性を持つ弾性的なゴム材料であることが好ましい。カバー層１４は、約２０〜４０ショア（Shore）−Ａの品質を有する弾性ゴム材料であることが好ましい。

塗布ローラ５，６，７の上記層構造は、一発展態様において、圧縮性層１３とカバー層１４との間、および／または圧縮性層１３とローラ芯部１２との間に、付加的に織物もしくはプラスチックからなる少なくとも一つの層（例えばフォイル）が接着固定状態で設けられるように形成することができる。ローラ芯部１２と圧縮性層１３との間の層は、例えばゴム材料からなる同心的に配置された閉鎖層１５であることが好ましい。

さらなる一実施形態において、塗布ローラ５，６，７は、スリーブとして形成され、ローラ芯部１２上に鞘のように被せたり脱がせたりすることができる（図示せず）。スリーブの材料は、金属製ないしプラスチック製であることが好ましい。ここでもまた、スリーブ上には、同心位置に圧縮性層１３及びカバー層１４がそれぞれ接着固定状態で設けられている。
さらなる一発展態様において、スリーブと圧縮性層１３との間、および／または圧縮性層１３とカバー層１４との間には、織物ないしプラスチックからなる少なくとも一つの層（例えばフォイル）が接着固定状態で設けられている。
ローラ芯部１２と圧縮性層１３との間のこの層は、同心配置された例えばゴム材料からなる閉鎖層１５であることが好ましい。

閉鎖層１５は、好適にも圧縮性層１３をローラ芯部１２ないしスリーブにさらに良好に接合するための接着層としての役割を担う。加えて、圧縮性層１３内における発泡材料の空気／ガス封入部の均一な配置が促進される。

インキ装置３内のインキ着けローラ５としての塗布ローラの構成は、４つのインキ着けローラ５の少なくとも一つが圧縮性層１３を有して形成され、残りのインキ着けローラが圧縮性層１３無しで形成されるように設けられている。図１では、好適にも、全て４つのインキ着けローラ５がそれぞれ圧縮性層１３を有しているが、これは、ダンピング効果を著しく高めるものである。
さらなる一実施形態において、少なくとも、共通のインキ慣らしローラ８に対して設けられた第１及び第２の（あるいは第３及び第４の）インキ着けローラ５が、圧縮性層１３を有しかつ該圧縮性層上に接着固定状態で設けられたカバー層１４を有して形成されている。

インキ着けローラ６の構成は、インキ装置３に限定されない。さらなる一形態においては、湿し装置４の湿し剤着けローラ５は、ローラ芯部１２と、該ローラ芯部上に同心的に接着固定状態で設けられた圧縮性層１３と、さらには、この層１３上に接着固定状態で設けられた弾性カバー層１４とを有して形成されている。

インキ装置及び湿し装置３，４を有した印刷装置の場合、印刷装置毎に、湿し剤着けローラ５とインキ着けローラ６との組み合わせが、ローラ芯部１２と圧縮性層１３と弾性カバー層１４とから形成された上記の圧縮性層構造をそれぞれの印刷装置内において有するように実現可能とされている。

ニス引き装置の場合、ニス着けローラ７は、ローラ芯部１２と圧縮性層１３と弾性カバー層１４とから形成された上記の圧縮性層構造を有して実現可能とされている。これに加えて、ニス着けローラ７には、配量機構９が前置されている。好適には、配量機構９は、ニス着けローラ７に接触しているアニロックスローラと、該アニロックスローラに機能的に接続しているチャンバドクタとによって形成されている。

別構成では、ニス塗布ローラ７は、ニップローラ装置又はインキ出しローラ装置の一部とされている。

動作の仕方は次のようになる：
加工機の運転時には、版胴１が回転方向（矢印）に回転し、その結果、塗布ローラ５，６，７の少なくとも一つが版胴１上で転動する。胴溝１０が塗布ローラ５，６，７の少なくとも一つとの接触箇所を通過する際に胴溝エッジによって引き起こされる衝撃が、塗布ローラ５，６，７の層構造、それも特に圧縮性層１３のおかげで、略完全に補償される。

オフセット印刷装置を示す図である。 ニス引き装置を示す図である。 塗布装置の塗布ローラを断面で示す図である。

符号の説明

１ 版胴（プレート胴）
２ ゴムブランケット胴
３ インキ装置
４ 湿し装置
５ 湿し剤着けローラ
６ インキ着けローラ
７ ニス着けローラ
８ インキ慣らしローラ
９ 配量機構
１０ 胴溝
１１ 圧胴
１２ ローラ芯部
１３ 圧縮性層
１４ カバー層
１５ 閉鎖層

Claims (12)

1. 少なくとも一つの胴溝を有する版胴と、該版胴に対して設けられた少なくとも一つの塗布ローラとを備えた加工機内印刷装置ないしニス引き装置のための塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）は、ローラ芯部（１２）を備え、
   前記ローラ芯部（１２）上にセル状の発泡材料からなる圧縮性層（１３）が同心的に接着固定状態で設けられ、
   前記圧縮性層（１３）上に、処理すべき媒体を導く弾性的なカバー層（１４）が接着固定状態で設けられていることを特徴とする塗布装置。
2. 請求項１に記載の塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）は、前記版胴（１）に接触している湿し剤着けローラ（５）であることを特徴とする塗布装置。
3. 請求項に記載の塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）は、前記版胴（１）に接触している少なくとも一つのインキ着けローラ（６）であることを特徴とする塗布装置。
4. 請求項１または請求項３に記載の塗布装置において、
   前記版胴（１）に対して複数のインキ着けローラ（６）が設けられ、前記版胴（１）の回転方向における少なくとも第１及び第２の前記インキ着けローラ（６）が一つのインキ慣らしローラ（８）と接触状態にあることを特徴とする塗布装置。
5. 請求項１に記載の塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）は、前記版胴（１）に接触しているニス着けローラ（７）であることを特徴とする塗布装置。
6. 請求項１に記載の塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）の前記圧縮性層（１３）は、オープンセル型の発泡材料であることを特徴とする塗布装置。
7. 請求項１に記載の塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）の前記圧縮性層（１３）は、クローズドセル型の発泡材料であることを特徴とする塗布装置。
8. 請求項１に記載の塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）の前記圧縮性層（１３）は、オープンセル型の発泡材料とクローズドセル型の発泡材料との組み合わせを有していることを特徴とする塗布装置。
9. 請求項１または請求項７に記載の塗布装置において、
   前記塗布ローラ（５，６，７）の前記圧縮性層（１３）は、空気封入部又はガス封入部を有していることを特徴とする塗布装置。
10. 請求項１に記載の塗布装置において、
    前記塗布ローラ（５，６，７）は、スリーブ状に鞘として前記ローラ芯部（１２）上に被せることができ、スリーブの上に前記圧縮性層（１３）が同心的に配置され、前記圧縮性層（１３）上に前記カバー層（１４）が設けられていることを特徴とする塗布装置。
11. 請求項１または請求項１０に記載の塗布装置において、
    前記塗布ローラ（５，６，７）は、前記ローラ芯部（１２）と前記圧縮性層（１３）との間、又は前記スリーブと前記圧縮性層（１３）との間に、一つの閉鎖層（１５）を備えていることを特徴とする塗布装置。
12. 請求項１に記載の塗布装置において、
    前記層（１３）は、第１の加硫により接着固定状態で前記ローラ芯部（１２）上に設けられ、前記カバー層（１４）は、第２の加硫により接着固定状態で前記層（１３）上に設けられていることを特徴とする塗布装置。
    
    

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