JP2005503344A - Fc領域ポリペプチドの結合分子 - Google Patents

Fc領域ポリペプチドの結合分子 Download PDF

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Abstract

免疫グロブリンFc領域ポリペプチドを検出または単離するための結合分子、およびその使用方法が記載される。好ましいFc領域結合ポリペプチド、Fc領域結合ポリペプチドを発現する組換えバクテリオファージ、および該ポリペプチドを示す分離媒体が特に開示される。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、タンパク質の単離および精製の分野に関する。詳細には、本発明は、ヒト免疫グロブリンFc領域ポリペプチドに結合する分子の同定、単離、および合成に関する。かかる結合分子は、ポリペプチドの1つのドメインとして存在するFc領域を有する免疫グロブリンまたは融合タンパク等の単離されたFc領域アミノ酸配列またはポリペプチドの検出、除去、または精製に有用である。
【0002】
背景
抗体(免疫グロブリン)は、外来抗原の存在に応答してBリンパ球により産生される糖タンパク質の群であり、全ての哺乳動物の血清および組織液に存在する。各抗体分子は、本質的に二機能性である:分子の一方の領域、Fabは抗原結合部位を含み、第二の領域、Fc(「結晶化可能フラグメント」)は、例えば、免疫系の種々の細胞の表面(マクロファージおよび好中球等)に位置するFcレセプターへの抗体分子の結合を容易にするエフェクター配列を含む。
【0003】
種々の免疫グロブリン、特にIgGのFc領域は、ブドウ球菌プロテインA(Eyら、Immunochemistry, 15:429-436 (1978))に対する親和性を有することが示されており、この相互作用を利用してポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方を精製するためのいくつかの方法が開発された。例えば、Ngoら、米国特許第4,801,687号は、液体とアフィニティーカラムに固定されたプロテインAを接触させることによる液体(例えば、血清)からのモノクローナル抗体の精製方法を記載している。Ngoらは、一価カチオンおよび多塩基アニオンの組み合わせを含む緩衝液において、IgGが高pH(7.5〜10)の条件下でプロテインAとの結合複合体を形成し、低pH、すなわち、pH3〜6の溶液と接触されると解離することを示した。Shadleら、米国特許第5,429,746号は、プロテインA親和性工程、続いてイオン交換工程、続いてHIC工程を利用する疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)プロトコルまたは多段階手順を用いてIgGを精製した。
【0004】
しかし、プロテインAは、異なる種由来のIgG間を区別しない。従って、ヒト特異的免疫グロブリンリガンドの産生のためのトランスジェニックモデルを開発するために、ヒト免疫グロブリンに特異的に結合し、トランスジェニック宿主の免疫グロブリンのいずれでもないリガンドを開発することは必須である。
【0005】
しかし、プロテインAの使用を必要としない他の抗体精製方法が開発されている。例えば、Craneら、米国特許第4,606,825号は、免疫グロブリンを結合し、続いてpH5.5〜8.3を有する緩衝液での溶出のためにシリカゲルを利用する液体カラムクロマトグラフィー手順による生物学的液体由来のIgGの精製を記載している。Sullivanら、米国特許第4,849,352号は、ポリアクリルアミドゲルを用いるアフィニティクロマトグラフィーによるFabおよびF(ab)2断片の精製を記載している;およびRaisonら、米国特許第5,077,391号は、固定されたC1q、補体経路に関与するタンパク質との複合体化によるIgMの精製を記載している。
【0006】
2つの逐次的イオン交換クロマトグラフィー工程または単一イオン交換工程、続いて疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を使用するプロトコルを利用する別の抗体精製法が、Hakalahtiら、J.Immunol.Meth., 117:131-136 (1989)に記載されている。
【0007】
しかし、これらの抗体精製法の不利な点は、多結合性ドメインタンパク質親和性リガンド、プロテインA、および/または多精製カラムを必要とすることである。例えば、Ibrahim, Scand.J.Immunol., 38:368-374 (1993)は、プロテインAが総数5つの相同性ドメイン(A〜E)を有し、これらのドメインの4つまでがIgGのFc領域に結合することを報告した。
【0008】
Dybwadら、Clin.Exp.Immunol., 102: 438 (1995)は、ファージディスプレイライブラリーを用いてポリクローナル抗体のためのリガンドを単離する可能性を調査した。ライブラリーを、合成17マーポリペプチドに対して惹起したウサギ抗血清に接触させた。Dybwadらは、17マーペプチドに高い配列相同性を示した陽性のファージの多くの配列を報告した。Fassinaら、J.Mol.Recognit., 9:564 (1996)は、合成多量体ペプチドライブラリーをスクリーニングし、プロテインAとビオチン標識免疫グロブリンとの間の相互作用と競合する能力を有するプロテインA模倣ペプチドを同定した。Ehrlishら、J.Mol.Recognit., 11:121-125 (1998)は、ヒト化IgG1モノクローナル抗体をペプシンで処理し、残りの抗体からpFc'フラグメントを分離した。pFc'フラグメントは、pF'cフラグメントに親和性を有するペプチドを同定するために可変長ファージディスプレイライブラリーの標的として使用された。
【0009】
Krookら、J.Immunol.Meth., 221:151-157 (1998)は、プロテインAに対する可能なアナログとして直鎖10マーペプチド配列を同定するための標的として、またはプロテインA結合に関与しないFc分子の一部に対する親和性リガンドのためにIgG Fcを使用してデカペプチドファージディスプレイライブラリーをスクリーニングした。DeLanoら、Science, 287: 1279 (2000)は、標的配列としてIgG Fcを用いて可変サイズの環状ペプチドをディスプレイするファージライブラリーをスクリーニングした。DeLanoらは、いくつかのラウンドのスクリーニング後、回収したFc領域結合ペプチドにおいて2つのポリペプチド配列、ETQRCTWHMGELVWCEREHN(配列番号:1)およびKEASCSYWLGELVWCVAGVE(配列番号:2)が優勢であったことを報告した。従って、Delanoらは、共通のGELVWC(配列番号:3)モチーフを有する2つの環状11マーを記載した。しかし、Delanoらは、精製ヒト免疫グロブリンのクロマトグラフィー捕捉および回収を示さなかった。
【0010】
Fc領域ポリペプチドのための改善されたリガンドおよび改善された精製方法を提供するさらなるペプチドリガンドがなおも必要とされている。
【0011】
発明の要旨
本発明のFc領域結合分子は、(システイン間のジスルフィド結合の形成の際に)6、7、8、9、10または12アミノ酸残基を有する環状ペプチドを提供するための離れて位置する2つの不変なシステインを含む12〜18アミノ酸の変化に富んだペプチドを含むファージディスプレイライブラリーを利用して単離された。新規に発見されたFc領域結合分子は、抗体Fc領域に高い特異性を有する。分離適用のために、リガンドが標的に対して10μM〜0.01μMの範囲の親和性を有すること、および非標的物質に対して親和性が十分に低いことが好ましい。本明細書中で記載される「高親和性」は、標的物質に関して約10μM〜約0.01μMの範囲のKDを有し、非標的物質に対して大いに低い親和性を有する結合部分に適用する。標的物質の回収が所望される場合、標的を変性しない条件の設定下で固定化リガンドが標的に対して無視できる親和性を有することがまた重要であり;そうでないと、固定化リガンドから標的を回収することはできない。高純度収量での迅速かつ効率的な単離の利点に加えて、本発明はまた、Fc領域ポリペプチドを含む融合タンパク質の一部として発現される目的のタンパク質の迅速な精製のためのこれらの新規ポリペプチドの使用を開示する。
【0012】
従って、本発明の目的は、ヒトFc領域ポリペプチドに対する新規結合分子を提供することである。本発明の好ましい結合分子は、標的Fc領域アミノ酸配列への結合に関する個々の特徴だけではなく、標的Fc領域結合分子の放出(溶出)に関する特異的特徴をも示す。本発明の特に好ましい結合分子は、短いポリペプチド配列であり、安定なループ構造(すなわち、環状ペプチド)により特徴づけられる。
【0013】
ファージディスプレイ技術を使用することによる本発明の結合分子の単離のための好ましい方法が本明細書中に開示される。本発明のファージディスプレイ法は、ポリペプチド結合分子のファミリーを同定するのに有用である。この技術を用いて、ヒトFc領域アミノ酸配列に親和性を示す多数の結合ペプチドが同定され、単離されている。かかる結合ペプチドは、溶液(例えば、全血、血漿、トランスジェニックミルク、トランスジェニック鳥類(ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、ダチョウ、またはガチョウ等)の卵、馴化培地(conditioned medium)など)中に存在するヒトFc領域ポリペプチドを単離されたポリペプチドとして同定し、単離し、精製するために、抗体を単離し、精製するために、およびFc領域アミノ酸配列を含むように遺伝子操作された融合タンパク質を単離し、精製するために同定するために有用である。トランスジェニックミルクは、トランスジェニックマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、および雌ウシから得られうる。
【0014】
Fc領域ポリペプチドに特異的な最も好ましい結合分子としては、2つの間のあいた、不変なシステイン残基を含み、従ってシステイン側鎖間に形成されたジスルフィド結合により非還元条件下で環状構造を形成しうる。本発明の特異的Fc領域結合分子は、以下の4つの一般式のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む:
【0015】
I. Z1-X1-X2-X3-X4-W-C-Z2(配列番号:4);
式中、
Z1は少なくとも6アミノ酸のポリペプチドである;
X1はG、H、N、R、またはSである;
X2はA、D、E、F、I、M、またはSである;
X3は、A、I、L、M、またはVである;
X4は、I、M、T、またはVである;
Z2は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであるか、または存在しない;および
Z1は、少なくとも1つのシステイン残基を含み、不変なシステインとのジスルフィド結合の形成により12アミノ酸の環状ペプチドが形成される。
【0016】
II. Z1-X-W-Z2-W-Z3(配列番号:5)
式中、
Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであるか、または存在しない;
Xは、FまたはYである;
Z2は、トリペプチドである;および
Z3は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;および
式中、ポリペプチドZ1、Z2、およびZ3の内の少なくとも2つはシステイン残基を含み、かかるシステイン残基間のジスルフィド結合の形成により7〜12アミノ酸の環状ペプチドを形成する。
【0017】
前述の式IIポリペプチドにおいて、Z2は式(IIA)を有することが好ましい:
X1-X2-X3(IIA)、
式中、
X1は、A、C、F、K、P、R、W、またはYである;
X2は、C、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、T、V、またはYである;および
X3は、A、E、F、H、I、K、L、Q、R、S、T、V、またはYである;
ただし、X1、X2、およびX3のせいぜい1つはCでありうる。好ましくは、X2がCである場合、X1はYである。
最も好ましくは、X1はCである。
【0018】
III. Z1-W-Z2-W-W-Z3(配列番号:6);
式中、
Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;
Z2は、トリペプチドである;および
Z3は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;
式中、ポリペプチドZ1、Z2、およびZ3の内の少なくとも2つはシステイン残基を含み、その結果、かかるシステイン残基間のジスルフィド結合の形成により8〜12アミノ酸の環状ペプチドが形成されるが、ただし、Z1がシステインを含む場合、Z2はシステインを含まず、Z2がシステインを含む場合、これはトリペプチドの中央の残基であり、Z3もまたシステインを含む。
【0019】
好ましくは、式IIIのポリペプチドに関して、Z1およびZ3の各々がシステイン残基を含む場合、Z1のシステインは、不変のトリプトファン(W)に隣接し、Z2の最初のアミノ酸はリジンであり、Z3の2番目のアミノ酸はアスパラギン酸(D)である。
【0020】
IV. Z1-P-X1-W-X2-C-X3-X4-X5(配列番号:7)
式中、
Z1は、少なくとも1つのポリペプチドであり、システイン残基を含む;
X1は、A、E、R、S、またはTである;
X2は、F、W、またはYである;
X3は、D、E、L、M、またはQである;
X4は、H、W、またはYである;
X5は、FまたはYである;および
ここで、Z1のシステイン残基およびX2とX3との間のシステイン残基は10〜12アミノ酸の環状ペプチドを形成する。
【0021】
本発明のFc領域結合性ポリペプチドは、以下:
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0022】
環状ポリペプチドの下流のかかるFc領域結合性ポリペプチドのN-末端および/またはC末端切断(抗体Fc領域に対する結合親和性を保持する)もまた意図される。
【0023】
さらに、本発明のファージディスプレイ法がFc領域アミノ酸配列に特異的な結合分子のさらなるファミリーを単離するために使用されうることが想定される。
【0024】
上記式の好ましいFc領域結合分子は、以下:
式Iのポリペプチド、ここでX1はGである;X2はAまたはEである;X3はLである;およびX4はIまたはVである;
式IIのポリペプチド、ここでXはFまたはYである;式IIAのトリペプチドにおいて、X1はCまたはYである;X2はC、K、NまたはTである;およびX3はF、I、K、QまたはVである
を含む。
【0025】
溶液中の、Fc領域アミノ酸配列の単離または検出のための最も好ましい結合分子、ならびにこれらの配列を含むより大きな分子は、以下のポリペプチド:
Figure 2005503344
を含む。
【0026】
標識または固定化を容易にするアミノ末端およびカルボキシ末端修飾を有する特に好ましいポリペプチドは:
Figure 2005503344
Figure 2005503344
を含む。
【0027】
前述のポリペプチドにおいて、Ac-はN-末端アセチル化を表し、-NH2はC末端アミド化を表し、-X-NH2はC末端基 -NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表し、-X-Su-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH-C:O-CH2CH2-C:O-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表し、-X-Z-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH-C:O-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2-C:O-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表し、および[Nle]はノルロイシンを表す。本明細書中に記載される結合研究のために、所定のこれらのポリペプチドは、フルオレセイン標識され、フルオロフォア(fluorophore)がカルボキシ末端リジンのε-アミノ基に付着される。フルオレセイン形態において、ポリペプチドDX249(すなわち、Ac-GDDHMCVYTTWGELIWCDNHEPGPEGGGK-NH2、配列番号:144)をDX276と呼ぶ;フルオレセイン形態において、ポリペプチドDX250(すなわち、Ac-AGKYWCSFWGLQCKTGTPGPEGGGK-NH2、配列番号:146)をDX300と呼ぶ;フルオレセイン形態において、ポリペプチドDX253(すなわち、Ac-GDRRACSRDWSGALVWCAGHEPGPEGGGK-NH2、配列番号:145)をDX301と呼ぶ。
【0028】
本発明のポリペプチドは、Fc領域ポリペプチドへの特異的結合を示す。本明細書中に開示される好ましいポリペプチドは、ヒトFcポリペプチドまたは特定のIgGイソ型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3および/またはIgG4)に対して高親和性(例えば、10μM〜0.01μMの範囲、より好ましくは1.0μM〜0.01μMの範囲のKD)を示す。いくつかのポリペプチドはまた、種特異性(例えば、他の哺乳動物IgGではなくヒトに結合する)を示す。例えば:
DX249は、ヒトIgG1に対してpH5.7で0.1μM未満およびpH7.4で0.5μM未満の解離定数(KD)を示す(表1、下記参照);
DX252は、ヒトIgG3に対してpH5.7で0.1μM未満ならびにIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に対してpH7.4で約2.1μM〜約3.4μM
の範囲の解離定数(KD)を示す(表1、下記参照);
DX253は、緩衝液およびタバコ抽出物からのFcタンパク質の定量的結合(全負荷の>90%の捕捉効率)を示す(実施例7および8下記参照);
DX254は、ヒトIgG1に対してpH5.7で0.1μM未満、pH7.4で2.0μM未満、およびpH9.3で1.0μM未満の解離定数(KD)を示す(表1下記参照);
DX301は、ヒトFc、IgG1、IgG2およびIgG4に対して約10μM未満の解離定数を示す(表8、下記参照);および
DX300は、ヒトIgG3に対して4.1±4.6の解離定数を示す(表6参照)。
【0029】
本発明はまた、少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を含むと思われる溶液中の少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を検出する方法を開示し、この方法は
(a)該溶液と請求項1または請求項5記載のポリペプチドとを接触させる工程;および
(b)前記ポリペプチドと前記ポリペプチド標的との間で結合が生じたかどうかを決定する工程
を含む。
【0030】
さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を含む溶液中の少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を単離する方法に関し、該方法は:
(a)固相支持体上にFc結合性ポリペプチドを固定化させるか、または結合性ポリペプチドとアフィニティータグとを結合させることにより本発明のFc結合性ポリペプチドを調製するか、工程;
(b)前記ペプチド標的と工程(a)の結合性ポリペプチドとを接触させる工程;および
(c)該溶液の非結合成分と工程(b)の結合性ポリペプチドとを分離する工程、
を含む。
本発明はまた、固相支持体から結合Fc含有ペプチドを溶出させることを意図する。
【0031】
本発明はまた、
(a)Fc領域ポリペプチドを含有する標的ポリペプチドを含有すると思われる溶液と標的ポリペプチドに対する結合分子とを接触させる工程、ここで結合分子は固相支持体に固定化される、
(b)固相支持体に結合した標的と溶液の未結合成分とを分離する工程、
(c)固相支持体と、検出可能に標識された本発明のFc結合性ポリペプチドとを接触させる工程、および
(d)固相支持体への標識Fc結合性ポリペプチドの結合を検出する工程
を含む、Fc領域ポリペプチドを含む標的ポリペプチドの固相検出アッセイを意図する。
【0032】
前述の方法において、Fc領域標的が単離されるか、または検出される溶液は、全血、血漿、トランスジェニックミルク、トランスジェニック鳥類の卵、および馴化培地からなる群より選ばれうる。
【0033】
また、前述方法において、ポリペプチド標的は、Fc領域の全てまたは一部を含む抗体または抗体フラグメントでありうる。好ましくは、前述の方法において、前記ポリペプチド標的は抗体である。
【0034】
標的ポリペプチドが抗体である場合、これは、ヒトIgGであり得、任意の特定のイソ型(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはその組み合わせ)でありうる。
【0035】
前述の方法において、固相支持体は、例えば、セルロース、規則的細孔ガラス、シリカ、ポリスチレン、スチレンジビニルベンゼン、アガロース、および架橋アガロースでありうる。
【0036】
本発明はまた、免疫グロブリンFc領域に結合可能な外来ポリペプチドを発現する組換えバクテリオファージ、または「ファージ」(「ファージミド」を含む)に関し、該外来ポリペプチドは式I、II、IIIまたはIV:
I. Z1-X1-X2-X3-X4-W-C-Z2(配列番号:4);
式中、
Z1は、少なくとも6アミノ酸のポリペプチドである;
X1は、G、H、N、R、またはSである;
X2は、A、D、E、F、I、M、またはSである;
X3は、A、I、L、M、またはVである;
X4は、I、M、T、またはVである;
Z2は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであるか、または存在しない;および
Z1は、少なくとも1つのシステイン残基を含み、不変なシステイン残基とのジスルフィド結合の形成により、12アミノ酸の環状ペプチドが形成される;
II. Z1-X-W-Z2-W-Z3(配列番号:5)
式中、
Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであるか、または存在しない;
Xは、FまたはYである;
Z2は、トリペプチドである;および
Z3は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;
ここで、ポリペプチドZ1、Z2、およびZ3の内の少なくとも2つがシステイン残基を含み、かかるシステイン残基間のジスルフィド結合の形成により7〜12アミノ酸の環状ペプチドが形成される;
III. Z1-W-Z2-W-W-Z3(配列番号:6)
式中、
Z1は、少なくとも1アミノ酸のポリペプチドである;
Z2は、トリペプチドである;および
Z3は、少なくとも1アミノ酸のポリペプチドである;
ここで、ポリペプチドZ1、Z2、およびZ3の内の少なくとも2つはシステイン残基を含み、かかるシステイン残基間のジスルフィド結合の形成により、8〜12アミノ酸の環状ペプチドが形成されるが、ただし、Z1がシステインを含む場合、Z2はシステインを含まず、Z2がシステインを含む場合、これはトリペプチドの中央の残基であり、Z3はまたシステインを含む;
IV. Z1-P-X1-W-X2-C-X3-X4-X5(配列番号:7)
式中、
Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであり、システイン残基を含む;
X1は、A、E、R、S、またはTである;
X2は、F、W、またはYである;
X3は、D、E、L、M、またはQである;
X4は、H、W、またはYである;
X5は、FまたはYである;および
ここで、Z1のシステイン残基およびX2とX3との間のシステイン残基は10〜12アミノ酸の環状ペプチドを形成する、
のいずれかのアミノ酸配列を含む。
【0037】
好ましくは、本発明の前述の組換えバクテリオファージにおいて、前記外来ポリペプチドは、式:
Z1-X1-X2-X3-X4-W-C-Z2(配列番号:4)
式中、
X1は、Gである;
X2は、AまたはEである;
X3は、Lである;
X4は、IまたはVである;
のアミノ酸配列を含むか、または
前記外来ポリペプチドは、式:
Z1-X-W-Z2-W-Z3(配列番号:5)
式中、
Xは、FまたはYである;および
ここでZ2は式:X1-X2-X3のペプチドである、式中、
X1は、CまたはYである;
X2は、C、K、N、またはTであり、ただしX2はCでない場合、X1がCである、および
X3は、F、I、K、Q、またはVである
のアミノ酸配列を含む。
【0038】
さらに好ましくは、本発明の組換えバクテリオファージは、以下:
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含む外来ポリペプチドをディスプレイする。
【0039】
本発明は、さらに、溶液中の、少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含有してなるポリペプチド標的を検出する方法であって、
(a)該溶液を本発明によるバクテリオファージと接触させる工程;および
(b)該ポリペプチド標的と該バクテリオファージとの間に結合が生じたか否かを調べる工程
を含む方法に関する。
【0040】
前述の方法において、該溶液は、全血、血漿、トランスジェニック乳、トランスジェニック鳥の卵および馴化培地からなる群より選ばれ得る。また、該ポリペプチド標的は、Fc領域の全部または一部を含む抗体または抗体断片であり得る。好ましくは、該ポリペプチド標的は抗体である。標的が抗体である場合、それは好ましくはヒトIgGであり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびその組み合わせからなる群より選ばれ得る。
【0041】
本発明によるバクテリオファージを使用する前述の方法において、該バクテリオファージは好ましくはファージまたはファージミドである。
【0042】
さらなる態様において、本発明は、
(a)クロマトグラフィーマトリックス材料、および、この上に固定された;
(b)本発明によるFc結合性ポリペプチド、例えば、配列番号:4〜200
を含有してなる分離媒体に関する。
【0043】
好ましい態様において、該クロマトグラフィーマトリックス材料は、セルロース、シリカゲル系の樹脂または膜、架橋多糖類およびアガロースからなる群より選ばれる。好ましい態様において、該クロマトグラフィーマトリックス材料は、アミン反応性クロマトグラフィーマトリックス材料であり、好ましくはアルデヒド官能性メタクリレート樹脂、ホルミルメタクリレート樹脂であり、あるいは、最も好ましくはNHS−活性化アガロース樹脂である。
【0044】
好ましい態様において、本発明の分離媒体は、
(a)アミン反応性クロマトグラフィーマトリックス材料;および
(b)以下:
Figure 2005503344
Figure 2005503344
からなる群より選ばれるポリペプチドの反応生成物を含有する。
前述のリストにおいて、Ac−はN−末端アセチル化を表し、−NHはC−末端アミド化を表し、[Nle]はノルロイシンであり、−X−NHは−NH−(CHCHO)−CHCH−NHであり、−X−Su−X−NHは−NH−(CHCHO)−CHCH−NH−C:O−CHCH−C:O−NH−(CHCHO)−CHCH−NHであり、−X−Z−X−NHは−NH−(CHCHO)−CHCH−NH−C:O−CH−O−(CHCHO)−CH−C:O−NH−(CHCHO)−CHCH−NHである。
【0045】
前述の分離媒体において、該マトリックス材料は、好ましくは、アルデヒド官能性メタクリレートクロマトグラフィー樹脂、ホルミル置換エチレングリコール−メタクリレート共重合体担体またはNHS−活性化アガロース担体である。
【0046】
別の局面において、本発明は、少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含有してなるポリペプチド標的を、これを含む溶液から分離する方法であって、
(a)該溶液を、先に定義した分離媒体と結合条件下で接触させる工程;
(b)非結合材料を除去する工程;および
(c)結合ポリペプチド標的を該分離媒体から溶出する工程
を含む方法を包含する。
【0047】
前述の方法において、該ポリペプチド標的は、Fc領域の全部または一部を含む抗体または抗体断片であり得る。好ましくは、該ポリペプチド標的は抗体である。標的が抗体である場合、それは好ましくはヒトIgGであり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびその組み合わせからなる群より選ばれ得る。
【0048】
また、前述の方法において、該溶液は、全血、血漿、トランスジェニック乳、トランスジェニック鳥の卵および馴化培地であり得る。
【0049】
本発明はまた、前述のFc結合性ポリペプチド(例えば、配列番号:4〜143および186〜200)のいずれかをディスプレーする複製可能な遺伝子パッケージを意図する。かかる複製可能な遺伝子パッケージは、ファージ(ファージミドを含む)、細菌、酵母または他の適切な宿主細胞であり得る。
【0050】
Fc領域ポリペプチドが単離または精製される溶液としては、血液、血漿などの血液画分、トランスジェニック乳、トランスジェニックニワトリの卵、Fc領域ポリペプチドを含有する馴化培地、すなわち、天然、組換えまたは合成の免疫グロブリン、そのFc領域含有断片、Fc領域含有融合タンパク質またはその他のFc領域ポリペプチドを含有する任意の溶液または供給流(feed stream)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
別の局面において、本発明は、Fc領域ポリペプチドを含むと思われる溶液中においてFc領域ポリペプチドを検出するための方法であって、該溶液を本発明による結合性分子と接触させる工程および結合性複合体が形成されたか否かを調べる工程を含む方法を提供する。
【0052】
本発明に従って検出、単離または精製されたFc領域ポリペプチドは、免疫グロブリンの単離されたFc領域、全免疫グロブリン、Fc領域の全部または一部を含む抗体断片、Fc領域ポリペプチドを含む融合タンパク質、または本発明による結合性分子と結合したFc領域ポリペプチドとコンジュゲートしたポリペプチドもしくは他の分子であり得る。
【0053】
さらに別の局面において、本発明は、目的の治療用または診断用化合物の血清半減期を増大させるための方法であって、該治療用または診断用化合物を本発明によるFc結合性ポリペプチドに連結する工程、および該化合物/Fc結合性ポリペプチドを個体に投与する工程を含む方法を提供する。化合物/結合部分は血液中でコンジュゲートし、循環している抗体分子と会合し、化合物がFc結合性ポリペプチドの非存在下に投与された場合よりも長期間血清中に留まる。Fc結合性ポリペプチドは、循環中のコンジュゲートの挙動を、コンジュゲートが用いられる特定の治療上または診断上の必要性に合う(tailor)ように、抗体、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンサブタイプに対する特定の親和性に関して選択され得る。
【0054】
好ましい態様において、本発明はまた、個体の投与対象の化合物の血清半減期を増大させるための方法であって、
(a)該化合物と本発明によるFc結合体ポリペプチド部分とのコンジュゲートを調製する工程、ここで、該コンジュゲートは循環している個体の抗体と会合する能力を有する、および
(b)該コンジュゲートを個体の循環系に導入する工程
を含む方法を開示する。
【0055】
好ましい態様において、該化合物は、診断用化合物であり、放射性標識または磁気共鳴画像形成剤が挙げられ得る。
【0056】
さらに別の好ましい態様において、該化合物は、治療用化合物である。例えば、該化合物は、トロンビンインヒビター、血栓溶解剤、レニンインヒビター、ACEインヒビター、セレクチンリガンド、凝血カスケードのインヒビター、補体調節(complement regulatory)分子、セリンプロテアーゼ、GPIIb/IIIaアンタゴニストおよびCRFアンタゴニストから選ばれ得る。
【0057】
本発明のこれらおよびその他の態様を以下に詳細に記載する。
【0058】
定義
本明細書で使用される用語「組換え」は、単離されたDNAの操作および宿主細胞の形質転換により、非天然の改変もしくは操作された核酸、外来核酸でトランスフェクトされた宿主細胞、または非天然で発現されたポリペプチドを記述するために使用される。組換えは、具体的には、遺伝子工学技術を用いてインビトロで構築されたDNA分子を包含する用語であり、分子、構築物、ベクター、細胞、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを記述するための形容詞としての「組換え」という用語の使用は、具体的には、天然のかかる分子、構築物、ベクター、細胞、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを除外する。
【0059】
用語「バクテリオファージ」は、DNAコアと、いくつかの異なるタンパク質分子の凝集により構成された保護殻とを含む細菌性ウイルスと定義する。用語「バクテリオファージ」および「ファージ」は、本明細書において互換的に使用される。特に記載のない限り、用語「バクテリオファージ」および「ファージ」はまた、「ファージミド」、すなわちそのゲノムが、宿主のヘルパーファージとの同時感染により切除され得るプラスミドを含むバクテリオファージを包含する。用語「Ffファージ」は、M13、fd、flおよびその数多くの誘導体を含む繊維状バクテリオファージの一群であると定義する。
【0060】
本明細書で使用される用語「Fc領域アミノ酸配列」は、免疫グロブリン分子のFc(フラグメント結晶性)ドメインを含むアミノ酸配列をいい、本発明で開示される新規な結合性分子に対して親和性を示す該ドメインのフラグメントを包含する。本開示全体を通して使用される等価な用語には、「Fc領域標的」、「Fc領域ポリペプチド」または単に「Fc」が含まれる。
【0061】
本明細書で使用される用語「結合性分子」は、別の分子、ポリペプチド、ペプチド擬似物または形質転換細胞(「形質転換体」)と結合性複合体を形成することができる任意の分子、ポリペプチド、ペプチド擬似物または形質転換体をいう。「Fc領域結合性分子」は、Fc領域ポリペプチドとの複合体を形成する結合性分子である。Fc領域結合性分子の具体例は、本明細書に記載されたポリペプチド(例えば、配列番号:4〜7および14〜143および186〜200)ならびにかかるポリペプチドのいずれかをディスプレーするバクテリオファージである。また、上記式I、II、IIIまたはIVのアミノ酸配列を有するポリペプチドに由来するか、またはこれを含有するポリペプチド、および特定の結果のため、例えば固定化または標識のために修飾されたポリペプチドもFc領域結合性分子の定義に含まれる。意図される修飾の具体例は、クロマトグラフィー支持体または他の基材に結合性分子を連結する目的のためのC−末端またはN−末端アミノ酸置換またはポリペプチド鎖伸長である。別の例としては、アミノ酸位間において、通常のジスルフィド結合よりも安定な結合を形成する目的のために、例えば反応性側鎖を有する非天然アミノ酸残基と通常ジスルフィド結合を形成するシステイン残基のペアの置換が含まれる。かかる修飾された結合性分子もまたすべて、Fc領域ポリペプチドと結合する能力を保持している限り本発明による結合性分子であるとみなされる。
【0062】
本明細書で使用される用語「単離された」は、本発明によるポリペプチドに適用される場合、合成されたポリペプチド、または自然環境から取り出された、例えば、天然で会合している他のポリペプチドまたはタンパク質から分離されたポリペプチドをいう。好ましい形態では、単離されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に天然起源の他のポリペプチドを実質的に含まず、例えば、高度に純粋な形態で、すなわち、95%より高い純度、より好ましくは99%より高い純度で提供される。本文脈で使用される場合、用語「単離された」は、ダイマーまたは別のグリコシル化または誘導体化された形態などの、別の物理的形態の同じポリペプチドの存在を除外しない。
【0063】
本明細書で使用される用語「固体支持体」は、ポリペプチドの固定化に好適な任意の基材を包含する。かかる基材としては、セルロース、多孔性制御(controlled-pore)ガラス、シリカ、ポリスチレン、スチレンジビニルベンゼン、アガロースおよび架橋アガロースが挙げられる。固体支持体は、これらに限定されないが、プレート、フィルター、ビーズ、樹脂などを含む種々のあらゆる形態を取り得る。本明細書で使用される用語「固体支持体」は、生物学的材料の分離または分画に有用であることが知られている商業的に入手可能な多種多様なクロマトグラフィー材料を示す「クロマトグラフィーマトリックス材料」としても知られる材料を包含する。有用なマトリックス材料としては、セルロースまたはシリカゲル系の樹脂もしくは膜、アガロースなどの架橋多糖類などの高分子物質が挙げられる。また、クロマトグラフィーマトリックス材料は、例えばヘパリン、ビオチン、ストレプトアビジン、合成ペプチドリガンド、またはモノクローナル抗体などの生物学的分子の分離に有用なマトリックスに結合した種々の官能基もしくは活性基または機能性もしくは官能性の分子をさらに含み得る。有用なクロマトグラフィーマトリックス材料の具体例としては、アルデヒド官能性メタクリレート樹脂、特にホルミルメタクリレート樹脂、およびNHS−活性化アガロースが挙げられるが、これらに限定されない。多種多様な固体支持体が、Amersham Pharmacia Biotech(Piscataway,NJ)などの供給先から商業的に入手可能である。
【0064】
本明細書で使用される用語「アフィニティタグ」は、ストレプトアビジンなどのリガンドに対する親和性を有するビオチンなどの、別の分子とコンジュゲートし、リガンドへの結合によって捕捉可能となり得る任意の分子を示す。したがって、ビオチン化ポリペプチドは、ビオチン結合性パートナー(リガンド)であるストレプトアビジンとの接触による単離に適するようなビオチン「アフィニティタグ」を有する。一般的なアフィニティタグの他の例は、金属キレート(IMAC)樹脂上への親和性捕捉を提供するポリヒスチジン(例えば、hexaHis)、または、固定化抗−mycタグ抗体(Berkely Antibody Co.,Richmond,CAから入手可能なモノクローナル抗体9E10など)による親和性捕捉を提供する、c−mycタンパク質のエピトープであるmycタグである。
【0065】
詳細な説明
本発明は、免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列に対する新規な結合性分子を提供する。かかる分子は、効率的なFc領域アミノ酸配列を含む分子の検出、単離および精製を可能にする。より具体的には、かかるポリペプチドは、抗体を含有する溶液からの該抗体の検出、単離、除去および/または精製に有用であり得る。さらにまた、かかるポリペプチドは、溶液中に存在する目的のタンパク質またはペプチドを融合タンパク質の一ドメインとして単離するに有用であり得、この融合タンパク質はFc領域ポリペプチドを含有し、好ましくは、例えばエンテロキナーゼ切断配列などの切断配列も含む。
【0066】
また、本出願において開示されるFc領域結合性ポリペプチドは、免疫応答に関与する種々の細胞の表面に位置するFcレセプターに対する抗体のFc領域の結合を制御することにより抗体応答を調節または阻止することが望ましい場合にも有用であり得る。
【0067】
ファージディスプレー技術の使用
ファージディスプレー技術は、本発明による新規なFc領域結合性ポリペプチドを同定するために好都合に使用した。かかる使用のためのファージディスプレーライブラリーを調製するため、候補結合性ドメインを選択して所望の結合能力および放出能力を発揮する操作された結合性分子の構造鋳型とした。結合性ドメインは、天然または合成タンパク質、またはタンパク質の領域もしくはドメインであり得る。候補結合性ドメインは、候補結合性ドメインとFc領域アミノ酸配列間の公知の相互作用の知識に基づいて選択され得るが、これは重要ではない。実際、候補結合性ドメインがFc領域アミノ酸配列に親和性を有することは全く決定的なことではない。その目的は、多重アナログ(「ライブラリー」)が生じ得る構造を提供することであり、多重アナログは、所望の結合性および放出性(ならびに選択対象となる任意のその他の特性)を発揮する1つ以上のアナログを含む。
【0068】
候補結合性ドメインの選択において、その目的は、類似した構造のアナログドメインのライブラリーが生じ得る鋳型または親構造を提供することである。アナログライブラリーは、好ましくはバイアス(biased)ライブラリー(ランダムに生成するライブラリーの逆)であり、それは、ライブラリーを作製するための基本ドメインの多様化は結合性分子の所望される性質に合うように行なわれるからである。
【0069】
候補結合性ドメインの性質は、Fc領域標的に対して試験される誘導化ペプチド(アナログ)の性質に大きく影響する。候補結合性ドメインの選択において、最も重要な考慮すべき事項は、アナログドメインがどのようにFc領域アミノ酸配列に提示されるか、すなわち、どのようなコンホメーションでFc領域アミノ酸配列とアナログが接するのか、ということである。好ましい態様において、例えば、アナログは、複製可能な遺伝子パッケージ内へのアナログをコードする合成DNAの挿入により生成し、M13ファージなどの微生物の表面上へのドメインのディスプレーをもたらされる。多種多様な種々のポリペプチドをディスプレーする、M13ファージなどのファージのかかるライブラリーは、例えば、Kayら、Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual(Academic Press, Inc.,San Diego 1996)および米国特許第5,223,409号明細書(Ladnerら)(両者は参照により本明細書にそのまま取り込まれる)に記載されているような技術を用いて調製することができる。
【0070】
ファージディスプレーライブラリーの形成には、非構造ペプチドとは反対に、構造ポリペプチドを候補結合性ドメインとして使用することが好ましい。タンパク質における表面残基の変異は、通常、そのタンパク質の全体構造または一般的性質(サイズ、安定性、および変性の温度など)にほとんど影響しないが、同時に、残基の表面の変異は、タンパク質の結合性に深く影響する。ペプチドセグメントがより密に折り畳まれる(例えば、ジスルフィド結合により)ほど、任意の特定の標的に結合しにくくなる。しかしながら、もし、結合する場合、結合は、より強固にかつより特異的なようである。したがって、候補結合性ドメインを選択することで、ある程度の剛性を有するフレームワーク内に折り畳まれる、ポリペプチドアナログの構造を選択することが好ましい。
【0071】
候補結合性ドメインのサイズもまた重要な考慮すべき事項である。小さいタンパク質またはポリペプチドは大きなタンパク質に比べていくつかの利点をもつ。第1に、結合部位あたりの質量が小さいということである。低分子量を有する高度に安定なタンパク質ドメイン、例えば、Kunitzドメイン(約7kDa)、Kazalドメイン(約7kDa)、Cucurbida maximaトリプシンインヒビター(CMTI)ドメイン(約3.5kDa)およびエンドセリン(約2kDa)は、抗体(150kDa)または単鎖抗体(30kDa)よりも1グラムあたりずっと高い結合性を示し得る。第2に、利用可能な表面が少ないため、非特異的結合の可能性は低減されることである。第3に、小さいタンパク質またはポリペプチドは、特有のテータリング(tethering)部位を有するように、大きなタンパク質または抗体では実施不可能な方法で操作可能であることである。例えば、小さいタンパク質は、リジン残基を有するように(例えば、クロマトグラフィーマトリックスへの)テータリングに適する部位のみを操作することができるが、これは他の抗体では実現可能ではない。第4に、構造ドメインがインタクトなまま1つのフレームワークを別のものに移動させた場合、折り畳まれたポリペプチド構造は、折り畳まれていない構造よりも、自身の機能性を保持しやすい。例えば、結合ドメイン構造は、ライブラリー内での提示(例えば、ファージ上にディスプレーされる)に使用されるフレームワークから、提示フレームから取り出された単離されたタンパク質またはクロマトグラフィー基材上に固定された単離されたタンパク質に移動しやすい。
【0072】
全血、血漿、トランスジェニック乳、トランスジェニックニワトリの卵など、またはFc領域ペプチドを含む条件培養培地などの溶液、例えば、天然または合成免疫グロブリンまたはそのFc含有フラグメントを含む任意の溶液または供給流用の効率的なFc領域ポリペプチド分離媒体を形成するために、本発明によるポリペプチドの例えばクロマトグラフィーマトリックス上への固定化が意図される。適切な結合ドメイン鋳型を選択することにより、単一の遊離システイン(すなわち、通常ジスルフィド結合を形成する、別のシステインと対になっていないシステイン)を有する結合性ポリペプチドを単離し得る。かかるチオール機能性ポリペプチドを、ヨードアセトアミド、ヨード酢酸、または類似のαヨードカルボン酸基とのチオエーテルの形成により基材への固定化に使用し得る。同様に、アルデヒド官能性基質との反応のために、ペプチドドメインのC−末端カルボキシル基をヒドラジド(−NH−NH)に変換し得る。
【0073】
本明細書に記載のライブラリーの候補結合性ドメインは、非変異システイン残基の外側の2〜3個の多様化アミノ酸に隣接する6〜12個のアミノ酸の短い環状ペプチドである。これらのドメインに基づくライブラリーは、細菌、酵母、好ましくはバクテリオファージまたは「ファージ」(「ファージミド」を含む)などの複製可能な遺伝子パッケージ上にディスプレーされ得、容易に構築され、かつ本発明による結合性分子の選択に使用され得る。
【0074】
候補結合性ドメインアナログのライブラリーの提供
いったん候補結合性ドメインを選択したら、標的、この場合はFc領域ポリペプチドに対するスクリーニングのために潜在的結合性分子のライブラリーを作製する。各アナログが、ドメインの配列内に1つ以上のアミノ酸置換を有する以外は候補結合性ドメインに対応する一連のアナログを作製することによりライブラリーを作製する。
【0075】
アナログライブラリーを作製する目的は、Fc領域アミノ酸配列分子との反応のための非常に大きな数の潜在的結合性分子を提供することであり、通常、ライブラリー内のアナログの数が大きいほど、ライブラリーのメンバーがFc領域アミノ酸配列に結合し、かつ放出に所望される設定条件下で離れる可能性が高くなる。
【0076】
先に示したように、Kayら、Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual(Academic Press,Inc.,San Diego 1996)または米国特許第5,223,409号明細書において考察された技術は、選択された候補結合性ドメインに対応するアナログのライブラリーを調製する際に特に有用であり、該アナログは、標的Fc領域アミノ酸配列に関して多数のアナログを大規模スクリーニングするのに好適な形態で提示される。複製可能な遺伝子パッケージ、最も好ましくはバクテリオファージまたは「ファージ」(「ファージミド」を含む)の使用は、非天然DNAにコードされるポリペプチドがファージの表面に出現するように新規な外来DNAセグメントをバクテリオファージのゲノム(または他の増幅可能な遺伝子パッケージ)内に導入することを含む、新規ポリペプチド結合性実体(entity)を作製する強力な方法である。挿入されたDNAが配列多様性を含むならば、各受容ファージは、該DNAにコードされる鋳型(または「親」)アミノ酸配列の1つのバリアントをディスプレーし、ファージ集団(ライブラリー)は、莫大な数の、異なるが関連するアミノ酸配列をディスプレーする。また、バクテリオファージの使用において、例えば、Smith,Gene,128:1(1993)(参照により本明細書にそのまま取り込まれる)で考察されているようなファージミドベクターを好都合に用い得る。
【0077】
本発明によるFc領域ポリペプチド結合体を得るためのスクリーニング手順において、ファージライブラリーを、通常固体支持体に固定された標的Fc領域ポリペプチドと接触および結合させる。非結合体を結合体と分離する。種々の方法において、結合したファージを、Fc領域ペプチドから遊離させ、回収し、増幅させる。ファージは細菌細胞の感染により増幅され得るため、少量の結合性ファージであっても、結合性実体をコードする遺伝子配列を明らかにするのに十分である。第1の組の結合性ペプチドを同定した後、配列情報を用いて、さらなる所望の特性、例えば特定の供給流内におけるFc領域ポリペプチドと特定の断片または密接に関連した不純物との差別化を有するメンバーについてバイアスされた他のライブラリーを設計し得る。
【0078】
かかる技術は、大多数の潜在的Fc領域結合性分子をスクリーニングすることを可能にするだけでなく、結合/溶出サイクルを繰り返すこと、および初期基準を満たすアナログ−ディスプレーパッケージをスクリーニングするための二次的なバイアスライブラリーを構築することを実施可能とする。これらの技術を用い、アナログバイアスライブラリーをスクリーニングし、(a)結合条件下で強固に(すなわち高い親和性で)結合し、(b)設定放出条件下できれいに離れる(すなわちFc領域ペプチド標的から容易に解離する)メンバーを明らかにし得る。
【0079】
本発明による特定のポリペプチドを単離する際に、6個のファージディスプレーライブラリーをスクリーニングした。6個のライブラリーはそれぞれ、6、7、8、9、10または12個のアミノ酸の短い多様な外来ペプチドループを、M13ファージの表面上のタンパク質IIIのアミノ末端にディスプレーした。ライブラリーを、TN6/6(潜在的な3.3×1012アミノ酸配列多様性を有する);TN7/4(潜在的な1.2×1014アミノ酸配列多様性を有する);TN8/9(潜在的な2.2×1015アミノ酸配列多様性を有する);TN9/4(潜在的な4.2×1016アミノ酸配列多様性を有する);TN10/9(潜在的な3.0×1016アミノ酸配列多様性を有する);およびTN12/1(4.6×1019の配列多様性を有する)と呼ぶ。
【0080】
TN6/6ライブラリーを、12−アミノ酸鋳型に含有される単一微小タンパク質(microprotein)結合ループをディスプレーするように構築した。TN6/6ライブラリーは、Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号:8)の鋳型配列を利用した。鋳型の2,3,5,6,7,8,10および11位のアミノ酸を、システイン(Cys)を除く任意のアミノ酸が可能となるように改変した。鋳型の1および12位のアミノ酸を、システイン(Cys)、グルタミン酸(Glu)、イソロイシン(Ile)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、およびトレオニン(Thr)を除く任意のアミノ酸が可能となるように改変した。
【0081】
TN7/4ライブラリーを、13−アミノ酸鋳型に含有される単一微小タンパク質結合ループをディスプレーするように構築した。TN7/4ライブラリーは、Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号:9)の鋳型配列を利用した。鋳型の1,2,3,5,6,7,8,9,11,12および13アミノ酸位のアミノ酸を、システイン(Cys)を除く任意のアミノ酸が可能となるように改変した。
【0082】
TN8/9ライブラリーを、14−アミノ酸鋳型に含有される単一微小タンパク質結合ループをディスプレーするように構築した。TN8/9ライブラリーは、Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号:10)の鋳型配列を利用した。鋳型の1,2,3,5,6,7,8,9,10,12,13および14位のアミノ酸を、システイン(Cys)を除く任意のアミノ酸が可能となるように改変した。
【0083】
TN9/4ライブラリーを、15−アミノ酸鋳型に含有される単一微小タンパク質結合ループをディスプレーするように構築した。TN9/1ライブラリーは、鋳型配列Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号:11)を利用した。鋳型の1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13,14および15位のアミノ酸を、システイン(Cys)を除く任意のアミノ酸が可能となるように改変した。
【0084】
TN10/9ライブラリーを、16−アミノ酸鋳型に含有される単一微小タンパク質結合ループをディスプレーするよう構築した。TN10/9ライブラリーは、鋳型配列Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号:12)を利用した。鋳型の1,2,15および16位のアミノ酸を、10個のアミノ酸:D,F,H,L,N,P,R,S,W,またはY)の群より選ばれる任意のアミノ酸が可能となるように改変した。鋳型の3および14位のアミノ酸を、14個のアミノ酸:A,D,F,G,H,L,N,P,Q,R,S,V,W,またはY)の群より選ばれる任意のアミノ酸が可能となるように改変した。鋳型の5,6,7,8,9,10,11および12位のアミノ酸を、システイン(Cys)を除く任意のアミノ酸が可能となるように改変した。
【0085】
TN12/1ライブラリーを、18−アミノ酸鋳型に含有される単一微小タンパク質結合ループをディスプレーするよう構築した。TN12/1ライブラリーは、鋳型配列Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Cys−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号:13)を利用した。鋳型の1,2,17および18位のアミノ酸を、12個のアミノ酸:A,D,F,G,H,L,N,P,R,S,W,またはY)の群より選ばれる任意のアミノ酸が可能となるように改変した。3,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14および16位のアミノ酸を、システイン(Cys)を除く任意のアミノ酸が可能となるように改変した。
【0086】
6〜12個のアミノ酸残基の環状ペプチドをディスプレーする前述のファージディスプレーライブラリーをスクリーニングしてFc領域ペプチド標的に結合するメンバーを明らかにした。いくつかのFc領域アミノ酸配列結合性ポリペプチドを単離し、スクリーニングしたライブラリーのうちの5つからFc領域結合体を単離した:
【0087】
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
【0088】
Fc結合体内の反復するアミノ酸配列のさらなる解析により、共通のコア構造を示す一連のポリペプチド「ファミリー」が明らかになった:
【0089】
Figure 2005503344
Figure 2005503344
Figure 2005503344
【0090】
前述のペプチドファミリーにおいて、太字で示したアミノ酸は、その位置が非変異であるか、または非変異残基に関する位置において好ましい(すなわち、多くの配列において反復する)かのいずれかである。
【0091】
Figure 2005503344
Figure 2005503344
【0092】
Fc領域結合性ポリペプチドの上記ファミリーの構造の解析により、Fc領域結合体について以下の一般式が明らかになった:
【0093】
I. Z−X−X−X−X−W−C−Z (配列番号:4);
式中、
は少なくとも6個のアミノ酸のポリペプチドである;
はG、H、N、RまたはSである;
はA、D、E、F、I、MまたはSである;
はA、I、L、MまたはVである;
はI、M、TまたはVである;
は少なくとも1個のアミノ酸のポリペプチドであるか、存在しない;および
は、非変異システイン残基とのジスルフィド結合の形成により12個のアミノ酸の環状ペプチドが形成されるような少なくとも1個のシステイン残基を含有する。
【0094】
II. Z−X−W−Z−W−Z (配列番号:5)
式中、
は少なくとも1個のアミノ酸のポリペプチドであるか、存在しない;
XはFまたはYである;
はトリペプチドである;および
は少なくとも1個のアミノ酸のポリペプチドである;ならびに
ここで、ポリペプチドZ、ZおよびZのうち少なくとも2つは、システイン残基間のジスルフィド結合の形成により7〜12個のアミノ酸の環状ペプチドが形成されるようにシステイン残基を含む。
前述の式IIポリペプチドにおいて、Zは式(IIA):
−X−X (IIA),
式中、
はA、C、F、K、P、R、WまたはYである;
はC、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、T、V、またはYである;および
はA、E、F、H、I、K、L、Q、R、S、T、V、またはYである;
ただし、X、XおよびXのうち多くて1つだけがCであり得るものとする、
を有することが好ましい。好ましくは、XがCならばXはYである。最も好ましくは、XはCである。
【0095】
III. Z−W−Z−W−W−Z (配列番号:6);
式中、
は少なくとも1個のアミノ酸のポリペプチドである;
はトリペプチドである;および
は少なくとも1個のアミノ酸のポリペプチドである;
ここで、ポリペプチドZ、ZおよびZのうち少なくとも2つは、システイン残基間のジスルフィド結合の形成により8〜12個のアミノ酸の環状ペプチドが形成されるようにシステイン残基を含む。ただし、Zがシステインを含むならばZはシステインを含まず、Zがシステインを含むならば、それはトリペプチドの真ん中の残基であり、かつZもシステインを含むものとする。
式IIIのポリペプチドについて好ましくは、ZおよびZがそれぞれシステイン残基を含有する場合、Zのシステインは非変異トリプトファン(W)に隣接し、Zの第1アミノ酸はリジンであり、Zの第2アミノ酸はアスパラギン(apartic)酸(D)である。
【0096】
IV. Z−P−X−W−X−C−X−X−X (配列番号:7);式中、Zは少なくとも1個のアミノ酸のポリペプチドであり、システイン残基を含む;
はA、E、R、S、またはTである;
はF、WまたはYである;
はD、E、L、MまたはQである;
はH、WまたはYである;
はFまたはYである;および
ここで、Z内のシステイン残基およびXとXの間のシステイン残基が10〜12個のアミノ酸の環状ペプチドを形成する。
【0097】
Fc結合性ペプチドの合成
いったん単離されると、すべての個々の結合性ペプチドの配列またはすべての結合性分子の構造を解析することができ、公知の方法を用いて任意の所望の量で結合体を作製し得る。例えば、本明細書に記載のペプチド結合性分子は、その配列が開示されているため、これは、化学合成した後、元のコンホメーション、すなわち正しいジスルフィド結合を得るのに適切な酸化条件下で処理することにより、好都合に作製され得る。合成は、当業者に周知の方法論により行なわれ得る(Kelleyら、Genetic Engineering Principles and Methods,(Setlow,J.K.編),Plenum Press,NY.,(1990),第12巻,1−19頁;Stewartら,Solid−Phase Peptide Synthesis(1989),W.H.Freeman Co.,サンフランシスコ,参照のこと)。本発明の結合性分子は、化学的合成または半合成のいずれかにより作製され得る。化学的合成法または半合成法により、非天然アミノ酸残基の組み込みが可能となる。
【0098】
本発明のポリペプチド結合性分子は、好ましくは固相ペプチド合成(Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1963);Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:5132(1985))を用いて調製される。固相合成は、保護されたアミノ酸を適当な樹脂(該樹脂は、C末端アミノ酸のカルボキシル基と反応し、後に容易に切断される結合を形成するものであり、ハロメチル樹脂、例えば、クロロメチル樹脂、ブロモメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、アミノメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、またはt−アルキルオキシカルボニル−ヒドラジド樹脂などである)に結合させることにより推定ペプチドのカルボキシ末端から始まる。例えば、塩化メチレン中でトリフルオロ酢酸(TFA)によりα−アミノ保護基を除去し、例えば、TEA中で中和した後は、合成の次のサイクルにすぐに進行する。残留するα−アミノ酸および、必要ならば側鎖保護アミノ酸を、次いで、縮合により逐次所望の順番で連結し、樹脂に結合した中間体化合物を得る。あるいはまた、いくつかのアミノ酸を互いに連結させてオリゴペプチドを形成した後、該オリゴペプチドを付加して固相ポリペプチド鎖にする。
【0099】
2つのアミノ酸間、またはアミノ酸とペプチド間、またはペプチドとペプチド間の縮合は、アジド法、混合酸無水物法、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)法、活性エステル法(p−ニトロフェニルエステル法)、BOP[ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート]法、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル法)およびWoodward試薬K法などの標準的な縮合法に従って行ない得る。
【0100】
種々のアミノ酸部分の反応性側鎖基を、鎖が完全に合成された後にその基を最終的に除去するまでその部位で適当な保護基によって保護することは、ペプチドの化学合成に一般的である。アミノ酸または断片のα−アミノ基の保護もまた一般的であるが、その実体がカルボキシル基で反応した後、α−アミノ保護基を選択的除去すると、その位置で次の反応が起こる。したがって、合成の一工程として、側鎖保護基を有する種々のこれらの残基を有するペプチド鎖の所望の配列内に位置するアミノ酸残基の各々を含む中間体化合物を作製することは一般的である。これらの保護基は、次いで、一般に、精製後に所望の生成産物を作製するために実質的に同時に除去される。
【0101】
α−およびε−アミノ側鎖基を保護するための典型的な保護基は、ベンキシルオキシカルボニル(Z)、イソニコチニルオキシカルボニル(iNOC)、O−クロロベンジルオキシカルボニル[Z(NO)]、p−メトキシベンンジルオキシカルボニル[Z(OMe)]、t−ブトキシカルボニル(Boc)、t−アミイオキシカルボニル(Aoc)、イソボルニルオキシカルボニル、アダマチルオキシカルボニル、2−(4−ビフェニル)−2−プロピルオキシカルボニル(Bpoc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、メチルスルホニイエトキシカルボニル(Msc)、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル(NPS)、ジフェニルホスフィノチオイル(Ppt)、ジメチルホスフィノチオイル(Mpt)などが例示される。
【0102】
カルボキシル基の保護基としては、例えば、ベンジルエステル(OBzl)、シクロヘキシルエステル(Chx)、4−ニトロベンジルエステル(ONb)、t−ブチルエステル(Obut)、4−ピリジルメチルエステル(OPic)などが例示され得る。アミノ基およびカルボキシル基以外の官能基を有するアルギニン、システインおよびセリンなどの特定のアミノ酸は、必要に応じて適当な保護基で保護されることが望ましい。例えば、アルギニンのグアニジド基は、ニトロ、p−トルエンスルホニル、ベンジルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、p−メトキシベンゼンスルホニル、4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスルホニル(Mds)、1,3,5−トリメチルフェニルスルホニル(Mts)などで保護され得る。システインのチオール基は、p−メトキシベンジル、トリフェニルメチル、アセチルアミノメチルエチルカルバモイル、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチル−ベンジル(Tmb)などにより保護され得、セリンのヒドロキシル基は、ベンジル、t−ブチル、アセチル、テトラヒドロピラニルなどにより保護することができる。
【0103】
所望のアミノ酸配列が完成した後、液体HFおよび1つ以上のチオを含有するスカベンジャーなどの、ペプチドを樹脂から切断するだけでなく、残留するすべての側鎖保護基も切断する試薬での処理により中間体ペプチドを樹脂支持体から除去する。HFでの切断後、タンパク質配列をエーテルで洗浄し、大容量の希酢酸に移し、水酸化アンモニウムで約8.0に調整されたpHで攪拌する。pHを調整すると、ポリペプチドは所望のコンホメーション構成をとる。
【0104】
本発明によるポリペプチドはまた、事業としてペプチド合成を提供する企業(例えば、BACHEM Bioscience,Inc.,King of Prussia,PA;Quality Controlled Biochemicals,Inc.,Hopkinton,MA)により商業的に調製され得る。
【0105】
検出および精製における結合性分子の使用
全血、血漿、トランスジェニック乳、トランスジェニックニワトリの卵および馴化培地、またはかかるFc領域標的を含む溶液もしくは供給流れなどの溶液中において、単独または大分子(例えば、天然もしくは合成の免疫グロブリンまたはそのFc領域含有フラグメント)のドメインとして存在するFc領域ポリペプチドの検出のため、本発明による結合性分子を検出可能に標識、例えば、放射性標識または酵素的に標識することができ、次いで、溶液と接触させ、その後、結合性分子とFc領域ポリペプチド標的との複合体の形成を検出することができる。あるいはまた、本発明によるファージ結合性分子、すなわちFc領域結合性ポリペプチドをその表面上にディスプレーする組換えファージは、反応チューブ内の沈殿として検出可能なFc領域ポリペプチドとの複合体を形成し、これは、沈降または遠心分離後に可視的に検出することができる。
【0106】
あるいはまた、サンドイッチ型アッセイを使用してもよく、ここでは、Fc領域結合性分子をプラスチックチューブもしくはウェルなどの固体支持体またはセファロースビーズなどのクロマトグラフィーマトリックス上に固定し、次いで、Fc領域ポリペプチド標的を含むと思われる溶液を固定した結合性分子と接触させ、非結合性物質を洗浄して除去し、複合体を形成したFc領域ポリペプチドを、Fc領域標的を認識するモノクローナル抗体などの適当な検出試薬(該試薬は、当該技術分野で公知のいくつかの慣用手段により検出可能であり、検出可能に標識されたもの、例えば放射性標識されたもの、または西洋ワサビペルオキシダーゼなどのような酵素的に標識されたものを含む)を用いて検出する。
【0107】
本発明による結合性分子は、アフィニティクロマトグラフィー法によりFc領域ポリペプチドを単離するのに極めて有用である。任意のクロマトグラフィー慣用法を使用し得る。好ましくは、本発明の結合性分子は、例えば、クロマトグラフィーカラムに充填するのに適した固体支持体上に固定されている。固定されたアフィニティリガンドを、次いで、結合性分子/Fc領域ポリペプチド複合体の形成に好都合な条件下で負荷するか、または供給流と接触させ得る。非結合性物質を洗浄して除去し、次いで、結合性複合体の解離に好都合な条件に溶液を導入することによりFc領域ポリペプチドを溶出し得る。
【0108】
あるいはまた、Fc領域ポリペプチド標的を含有する溶液と結合性分子を混合し、次いで、Fc領域ポリペプチド標的と結合性分子の複合体を単離することによりバッチクロマトグラフィーを行ない得る。このタイプの分離としては、多くの方法が知られている。例えば、結合性分子を、固体支持体上に固定し、次いで供給流からFc領域ポリペプチド標的とともに濾過により分離する。あるいは、結合性分子を、ポリHisテイル(例えば、ヘキサヒスチジン)などの自身のアフィニティタグ、ビオチン、mycタグなどにより修飾し、これを、アフィニティタグの結合性パートナー、例えば、ポリHisタグ分子、ビオチン化分子用のストレプトアビジンなどを捕捉するための固定された金属アフィニティクロマトグラフィー樹脂を用いて複合体が形成された後に結合性分子を捕捉するために使用し得る。いったん分離したら、溶出条件下でFc領域ポリペプチド標的を結合性分子から分離し、純粋な形態で回収し得る。
【0109】
正確な結合および放出条件は、本明細書で開示されたFc領域アミノ酸結合性ポリペプチドを得る際に選択されたが、アフィニティ精製において後に使用することによって、同じ単離されたアフィニティリガンドが機能する、より最適な結合および放出条件が明らかとなり得ることに注目されたい。したがって、本発明による単離後、結合性分子を常にライブラリーからの分離をもたらす結合および放出条件下でのみ使用することは決定的なことでない。
【0110】
本発明によるFc領域結合性分子の単離を以下にさらに説明する。以下の実施例に含まれる特定のパラメータは、本発明の実施を説明することを意図するものであり、本発明の範囲をなんら限定するものではない。
【0111】
本発明で使用されるファージライブラリーは、繊維状ファージM13の誘導体において構築される。ディスプレーされたペプチドは、第Xa因子の認識部位を含むリンカーペプチドを介してタンパク質IIIのアミノ末端に融合される。第Xa因子は、ファージを損傷したりファージの感染力を低減させることなく、ディスプレーされたペプチドをファージから切除し得る。
【0112】
化合物の血清半減期を延長するための結合性分子の使用
本発明のFc結合性ポリペプチドの別の使用は、個体の循環系に投与されるか、または進入する治療用または診断用化合物の半減期および全体的な安定性を増大させることである。例えば、米国特許第5,116,944号明細書;欧州特許EP−A2−395918号明細書;国際公開第91/01743号パンフレット(参照によりその全体が本明細書に取り込まれる)を参照のこと。かかる方法では、本明細書に記載のFc結合性ポリペプチドは、治療用または診断用化合物を受ける個体の血液中に存在する抗体に該治療用または診断用化合物を結合させるために使用される。この態様において、本発明のFc結合性ポリペプチドは、共有結合または非共有結合により、選択された治療用または診断用化合物を、Fc結合性ポリペプチド抗体結合性部位をインタクトに維持し、したがって抗体分子になお結合し得る部位にて、所望の診断活性または治療活性を損なうことなく結合する。このようにして、Fc結合性ポリペプチドは、血液中を循環する抗体に目的の診断用/治療用化合物を結合させるためのリンカー分子として機能する。
【0113】
本発明のFc結合性ポリペプチドを用いて循環している抗体に診断用または治療用化合物を結合させることは、通常、所望されない高速分解速度または循環からのクリアランスに供される化合物の循環半減期および/または全体的な安定性の増大に特に有用であることが期待される。循環系内の化合物の半減期または全体的な安定性を増大することは、所望の効果を得るために個体に投与されるべき投薬の回数および/または量の減少に適する。任意の適当な診断用化合物は、このようにして抗体分子に連結され得、染料(フルオレセインなど);131Iまたはテクネチウム(Tc99)含有化合物などの放射性標識;酵素(西洋ワサビぺルオキシダーゼなど);または検出可能な金属(常磁性鉄など)であり得る特に検出可能な標識が挙げられる。任意の適当な治療用化合物は、このようにして抗体分子に連結され得、薬物、生体医薬品、および目的の任意のポリペプチドが挙げられる。抗体に結合させるために好適なかかる治療薬の例としては、レセプターアゴニストまたはアンタゴニスト、特異的結合性化合物、酵素インヒビター、金属キレート化剤、ビタミンAなどの分子スカベンジャーなどが挙げられるが、これらに限定されない。このような使用に特に重要なのは、トロンビンインヒビター、血栓溶解剤(tPAおよびウロキナーゼなど)、レニンインヒビター、ACEインヒビター、セレクチンリガンド、凝血カスケードのインヒビター、補体調節分子(DAF、CR1、CR2、C4bp、第H因子など)、セリンプロテアーゼ、GPIIb/IIIaアンタゴニストおよびCRFアンタゴニストなどである。
【0114】
実施例1:Fc領域アミノ酸ペプチドの結合性分子の単離
上述の技術を用い、Fc領域アミノ酸ペプチドのリガンドの結合性分子を単離した。血漿から単離したヒトIgG Fcフラグメント(Calbiochem,cat.#401104)を、ビオチン:Fcタンパク質のモルが2:1の比率で軽くビオチン化した。ビオチン−Fcを非多孔性ストレプトアビジンビーズ(Dynel)に結合した。スクリーニングの前に、ビオチン−ストレプトアビジンビーズに曝露することにより、ライブラリーTN6/6、TN7/4、TN8/9、TN9/4、TN10/9およびTN12/1からストレプトアビジン、ビオチンおよびビーズ結合ファージを枯渇させた。次に、個々のライブラリーを、ビーズ上のストレプトアビジン固定ビオチン−Fc領域標的に対してスクリーニングし、約10倍モル過剰のプロテインAで競合溶出させた。次いで、TN12とTN10ライブラリーがプールされ、TN9とTN8ライブラリーがプールされ、TN7とTN6ライブラリーがプールされるように、プロテインA溶出液のプールを作製した。各ライブラリーからのプロテインA溶出ビーズを同様にしてプールし、大腸菌増殖培地上に直接プレーティングして、プロテインAで溶出されない強固に結合したあらゆるファージを捕捉した。プロテインA溶出液ライブラリーペアおよびビーズプレートライブラリーペアを、次いで増幅し、ビーズ上のビオチン−Fcでのスクリーニングをもう2回行なうことにより別個に担持させた。
【0115】
回収した単離物の配列決定により、これまで128個の異なるFc領域結合性ポリペプチドが明らかとなった(配列番号:14〜143)。各ライブラリープールからの第3回目のスクリーニングから無作為に選んだファージ単離物を、ストレプトアビジン−ビオチン化Fc、BSA、ビオチン、ストレプトアビジン−ビオチン、ストレプトアビジン−BSAを示すプレートにおいて、およびポリスチレンプレートのみにおいてファージELISAにより評価した。ビオチン化FcはすべてのIgG Fcアイソタイプを捕捉した。無作為に選んだ単離物のうち、配列が本明細書で開示されている各群の約95%は、ELISA実験で陽性の結合性を示した。また、種々の濃度での可溶性Fc領域ポリペプチドとの競合下でのELISAシグナルにより単離物を試験した。
【0116】
実施例2:結合性試験
いくつかの基準、すなわち、固定化Fcの種々の負荷に対する高吸光度、可溶性Fc競合に対する有効応答、および競合的配列解析に基づく代表的な結合性モチーフまたは特有の結合性モチーフのいずれかに基づき、蛍光異方性によりFc結合性定数を測定するため、および結合に影響する種々のパラメータを調べてFcのアフィニティ精製に有用な至適条件を決定するためのさらなる解析のために4つのファージ単離物を選択した:
Fc: Ac−GDDHMCVYTTWGELIWCDNHEPGPEGGGK−NH(配列番号:144,DX249と呼ぶ);Ac−AGPVDCKHHFWWCYWNGTPGPEGGGK−NH(配列番号:153,DX251と呼ぶ);Ac−GDDDHCYWFREWFNSECPHGEPGPEGGGK−NH(配列番号:154,DX252と呼ぶ);Ac−AGYYWCNYWGLCPDQGTPGPEGGGK−NH(配列番号:155,DX254と呼ぶ)。
【0117】
BACHEM Bioscience,Inc.,(King of Prussia,PA)によりペプチドを合成し、フルオレセイン標識し、HPLCにより精製した。ヒト血漿IgGアイソフォーム(Fc標的)の混合物または個々のヒト血漿IgGアイソフォーム:IgGl、IgG2、IgG3もしくはIgG4を用いて結合性試験を行なった。すべてのFc標的タンパク質をCalbiochemから得た。
【0118】
すべての測定を、Tecan Polarion蛍光極性プレートリーダーを用い、10〜20μlの容量で、20nMフルオレセイン−標識ペプチドおよび種々の濃度のIgGアイソフォームを用いて38ウェルマイクロプレート中で行なった。すべての結合用バッファーは、マイクロプレートへのペプチド吸収を防ぐために0.01%(v/v)Tween20を含んだ。測定を行なう前に30℃のマイクロプレート内で10分間結合性混合物を平衡化した。
【0119】
ペプチド間の交差競合試験を、20nMフルオレセイン−標識ペプチドおよび1〜2μMのIgGl、IgG2、IgG3またはIgG4を用い、最大100μMの非標識ペプチドまたは5mg/mlプロテインAの存在下および非存在下で行なった。
【0120】
Fc領域結合性ポリペプチドDX249、DX252およびDX254に対するIgGアイソフォームの結合性を示す解離定数を表1に記載する。
【0121】
表1に示すデータは、ペプチドが、pH依存的にIgGに結合することを示す。例えば、バッファーのpHを5.7から7.4〜9.3に上げると、DX249またはDX252とIgGアイソフォームとの間の相互作用のKが増大する。対照的に、DX254はpH依存的にはIgG1またはIgG2に結合しないようである。さらに、表1のデータは、IgGサブタイプ特異性を示し、例えば、DX249は、IgG1、IgG2およびIgG4には結合するがIgG3には結合しない。
【0122】
【表1】
Figure 2005503344
【0123】
表2に示すデータは、バッファー中の塩化ナトリウム濃度を0から100mMに上げると、pH5.7でのDX249とIgG1とのKが約10倍増大することを示す。
【0124】
【表2】
Figure 2005503344
【0125】
表3に示すデータは、3種のペプチすべてが、ほぼ同じ2〜5μMのFc IgGアイソフォーム混合物に結合するようであり、IgG1に対するペプチドの結合性のpH依存性はDX249およびDX252について150〜200mM NaClの存在下で維持されることを示す。IgG1へのDX249の結合性に対する15%エチレングリコール添加の効果は観察されなかった(表3)。
【0126】
【表3】
Figure 2005503344
【0127】
表4は、IgGアイソフォームを用いた、ペプチドDX249、DX251、DX252およびDX254間の交差競合試験を示す。結果は、DX254は例外である可能性があるが、ペプチドのすべてがFc混合物中の同じアイソフォームの同じ部位に結合するようであることを示す。
【0128】
【表4】
Figure 2005503344
【0129】
表5は、DX249、DX252またはDX254とプロテインA間のFc結合に関する競合試験を示す。データは、試験したペプチドすべてが、プロテインAと競合的にIgG1、IgG2およびIgG4に結合することを示す。対照的に、プロテインAは、IgG3への結合について、DX252と競合しないようであり、おそらくDX254とも競合しないようである。これは、プロテインAがヒトIgG3とは結合しないとこが知られているという事実と一致する。
【0130】
【表5】
Figure 2005503344
【0131】
上記のデータは、Fcが低いpHでペプチドカラムに結合し、高塩濃度で洗浄され、低い塩濃度で高pHバッファーを用いて溶出されることが可能なアフィニティ精製手順を示す。
【0132】
実施例3:さらなる結合研究
ペプチドDX249、DX250およびDX253をアセチル化N-末端ペプチドおよびC-末端アミン官能基リンカーを用いて修飾し、N-ヒドロキシスクシンイミドセファロースクロマトグラフィー樹脂(Pharmacia)上への固定化を容易にした。さらなる結合研究を以下のペプチドを用いて行なった:
Figure 2005503344
【0133】
上記のように、ペプチドを合成し、フルオレセイン標識し、かつHPLC精製した。ヒト血漿IgGアイソフォーム(Fcタンパク質)の混合物または個々のヒト血漿IgGアイソフォーム:IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4のいずれかを用いて、結合研究を行った。
【0134】
Tecan Polarion蛍光偏光プレートリーダーを使用して、10μlの容量で2nMフルオレセイン標識ペプチドおよび種々の濃度のIgGアイソフォーム標的を用いて384ウェルマイクロプレート中で測定を行なった。Fc結合バッファーは、50mM Tris-HCl、200mM NaCl、pH8.0、0.01% Tween20であった。IgG結合バッファーは、0.01% Tween20を有するPBSであった。測定を行なう前にマイクロプレート中30℃で10分間結合混合物を平衡化した。
【0135】
最大の100μM非標識ペプチドの存在下または不在下で、20nMのフルオレセイン標識ペプチドと6μM Fc(DX276を有する)、11.5μM IgG3(DX301を有する)または2μM IgG3(DX300を有する)とを用いて、ペプチド間の交差競合(Cross-competition)研究を行った。
【0136】
表6のデータは、ペプチドDX300およびペプチドDX301が両方、IgGアイソフォーム特異性を示すことを説明する。DX300はIgG3のみ結合し、一方DX301はIgG1、IgG2およびIgG4を結合するが、IgG3を結合しない。
【0137】
【表6】
Figure 2005503344
【0138】
実施例4:さらなる交差競合研究
以下の可溶性Fc-領域結合ペプチドに対するペプチドDX276、DX300およびDX301の標識Fc結合を試験する交差競合研究を行った:
Figure 2005503344
【0139】
表7は、上記標識ペプチドおよびタンパク質標的ならびに可溶性競合剤DX249、DX250、DX251、DX252、DX253、およびDX254を用いる交差競合実験の結果を示す。
【0140】
表7のデータからわかるように、ペプチドDX249はDX300と競合せず、したがってIgG3に結合しない。
【0141】
ペプチドDX250は、その標識ペプチド対応物、すなわちDX300と競合するが、DX276およびDX301とも競合し、このことはIgG1および/またはIgG2またはIgG4に弱く結合しうることを示唆する。ペプチドDX251およびDX252は、DX276と競合するのみである。
【0142】
ペプチドDX253は、DX300と競合せず、したがってIgG3に結合しない。
【0143】
最後に、ペプチドDX254は、調査した全てのフルオレセイン標識ペプチドと競合するようである。
【0144】
【表7】
Figure 2005503344
【0145】
実施例5:解離定数
それぞれ、配列番号:57、58、108、115、124および143のFc-領域結合ペプチドを用いて調製した以下のペプチドに対する解離定数を決定した:
Figure 2005503344
【0146】
ペプチドをBACHEMにより合成し、次にオレゴングリーン(Oregon Green)標識し、HPLC精製した。Calbiochemから得られるヒト血漿IgGアイソフォーム:IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を用いて、結合研究を行った。
【0147】
pH4.0、7.5または9.5のいずれかで、以下のバッファー中の塩有りまたは無しで、結合研究を行った。
【0148】
1)10mMクエン酸ナトリウム、0.01%Tween20、pH4.0;
2)10mMクエン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、0.01%Tween20、pH4.0;
3)10mM Tris-HCl、0.01%Tween20、pH7.5;
4)10mM Tris-HCl、500mM塩化ナトリウム、0.01%Tween20、pH7.5;
5)10mM炭酸水素ナトリウム、0.01%Tween20、pH9.5;
6)10mM 炭酸水素ナトリウム、500mM塩化ナトリウム、0.01%Tween20、pH9.5;または
7)TBS、0.01%Tween20、pH7.5
【0149】
結合研究の結果を表8に示す。
【0150】
【表8】
Figure 2005503344
【0151】
表8に示される結果は、DX389が、pH4.0で塩の存在下または不在下のいずれにおいても中程度の親和性(KDはほぼ2μM)でIgG3に特異的に結合することを示す。この相互作用は、塩の存在下または不在下においてpH7.5または9.5のいずれでも観察されなかった。
【0152】
ペプチドDX392は、pH4.0で塩の存在下および不在下の両方において高い親和性(KDはほぼ0.3〜0.6μM)で、IgG3に特異的に結合した。この相互作用は、塩の存在下においてpH7.5およびpH9.5で低く、塩の不在下においてはいずれのpHでも観察されなかった。
【0153】
ペプチドDX395は、pH4.0で塩の存在下または不在下のいずれにおいても中程度親和性(KDはほぼ1〜2μM)でIgG3に特異的に結合する。この親和性は、塩の存在下においてほぼ同じ(KDはほぼ1.9μM)であった。この相互作用は、塩の存在下においてpH9.5で減少し、塩の不在下においてpH7.5または9.5で観察されなかった。
【0154】
ペプチドDX398は、pH4.0で塩の不在下において全ての4つのIgGアイソフォームに結合し、IgG1、IgG2およびIgG4に対して中程度の親和性(KDはほぼ2μM)、およびIgG3に対して高親和性(KDはほぼ0.02μM)であった。塩の存在下においてpH4.0でペプチドDX398は、IgG3に対して高親和性を維持したが、IgG、IgG2またはIgG4とは相互作用しなかった。
【0155】
pH7.5で、DX398は、塩の不在下においてIgG1およびIgG4のみに結合し、塩の存在下においてIgG3のみに結合した。pH9.5で、このペプチドはIgG3のみ結合し、相互作用はイオン強度の増加により促進された。
【0156】
ペプチドDX404は、pH4.0で塩の存在下または不在下において中程度の親和性(KDはほぼ2μM)でIgG1およびIgG2に結合し、IgG3に対して高親和性(KDはほぼ .01μM)を有した。塩の存在下において、IgG3に対する親和性は、0.2μMに増加した。IgG1およびIgG2に対する親和性は、塩の不在下においてpH7.5で減少し、塩の存在下においてまたはpH9.5では観察されなかったpH7.5および9.5でのIgG3結合は、塩の存在で促進された。
【0157】
ペプチドDX413は、pH4.0で塩の存在下または不在下において中程度の親和性(KDはほぼ1.0μM)でIgG3にのみ結合した。
【0158】
表8中のデータは、ペプチドが、pHおよび塩依存様式で変化するアイソフォーム特異性を伴ってIgGに結合することを示す。一般に、表8中のペプチドは、それらの特異性および相互作用の形態に基づいて2つの「クラス」に分類されうる:
クラス1は、DX389、DX392、DX395およびDX413を含む。特にこれらのペプチドは、全てIgG3に主な特異性を示すように見える。さらに、相互作用は、低pHおよび高イオン強度により促進されるようである。結合は、高いpHおよび低い塩で最も弱い。
クラス2は、DX398を含む。このペプチドは、イオン強度により変更可能なアイソフォーム特異性を示す。塩の不在下において低いpHでこのペプチドは全てのIgGアイソフォームに結合するが、pH4.0、7.5および9.5で塩の存在下において非常に高い親和性(KDはほぼ .04〜0.3μM)でIgG3を結合するのみである(表8参照)。DX404はDX398に類似するが、このペプチドはDX398とは異なりpH4.0で塩依存性IgG3特異性を示さないが、pH7.5および9.5で塩依存性IgG3特異性を示す。
【0159】
さらに、この研究は、異方性測定における蛍光プローブとしてのオレゴングリーンの使用のための最初の詳細な説明を与える。このプローブは、フルオレセインに類似する光物理学的パラメーターを示し、広いpH領域にわたりそれが蛍光であるという利点を提供する。pH範囲におけるこの増加は、オレゴングリーンとフルオレセインの両方において見出されるカルボン酸基の低いpKa(pKa=オレゴングリーンに関して4.7対フルオレセインに関して6.4)による。
【0160】
上記蛍光異方性データは、混合したヒトFcおよび種々のIgG Fcアイソフォームに対する開示されたFc-領域結合ポリペプチドのいくつかの結合特性を示す。pHおよびNaCl依存研究は、結合および溶出条件に対する潜在的な機構を示す。このデータは、考えられるアフィニティー精製スキームが、低pHバッファーにおいてペプチドのFcへの結合、続く高い塩の洗浄および低い塩、高いpHバッファーを用いる溶出を伴うことを示している。
【0161】
実施例6:バッチ結合評価
選択された固定化DXペプチド(親和性媒体)の10μlのアリコート(充填総容積)を、以下の各標的:ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4(全てのヒトサブタイプは、黒色腫患者に由来した。それぞれCalbiochem、カタログ番号400120, 400122, 400124および400126)の0.5mg/mlの100μlの溶液(10μl樹脂当たり50μgまたは5.0mg/ml)を用いてインキュベートすることにより、バッチ結合研究を行った。さらに、以下の標的、全ての非分画IgGもまた、選択した固定化ペプチドを用いて類似のフォーマットで種特異的特性について評価した:ヒトIgG、ヤギIgGおよびウシIgGおよびマウスIgG(それぞれSigma、製造番号I4506、I5256、I5506およびI5381)。さらに、加水分解NHS-活性化セファロース4 Fast Flow(Amersham Pharmacia Biotech、製造番号17-0906-01)および固定化組換えプロテインA(RepliGen Corp.、製造番号IPA-400)の10μlのアリコートもまた、陰性または陽性対照として分析した。150mM NaClと0.01%Tween20とを含有する10mMリン酸バッファー、pH7.2(PBST)または150mM NaClと0.01%Tween-20とを含有する50mM Trisバッファー、pH7.5(TBST)中に、IgG標的を希釈した。バッチ(静的)結合および溶出研究を、96-ウェルアッセイフィルタープレート(0.45μmのDurapore膜を有するMillipore MultiScreen-HV、製造番号MAHVN4510)中で行った。室温で撹拌しながら1〜1.5時間、標的を樹脂とのインキュベートに供した。非結合標的を、試料の遠心分離によりアッセイプレートから低-UV吸収96-ウェル回収プレート(Costar, 製造番号3635またはGreiner, 製造番号655801)に直接回収した。次に、バッファーブランクに対してマイクロプレート分光光度計(Molecular Devices Corp., SPECTRAmax PLUS)上で回収プレートの280nmの吸光度(1cm道長、1.4mg/ml A280吸光係数に対して正規化する)を読むことにより非結合標的を定量した。
【0162】
対応する条件の対照値(回収プレートに直接添加された濾過されていない対照および/または陰性対照)から非結合と決定された質量を引くことにより、結合標的の百分率を決定した。アッセイプレートを200μlの結合バッファーで減圧濾過により洗浄し(3×)、続いて100μlの種々の溶出条件(例えば、0.1M炭酸水素ナトリウムバッファー、pH8.5および/または0.1Mクエン酸ナトリウムバッファー、pH4.0)の添加を行った。室温で撹拌しながら30〜60分のインキュベーション後、溶出した標的をアッセイプレートの遠心分離により別の回収プレートに回収し、類似の様式で定量した。次に、全負荷の百分率溶出を決定し、種々の条件下で溶出回収効率を特徴づけた。次に、アッセイプレートを200μlの結合バッファーで減圧濾過により洗浄し(3×)、続いて樹脂清浄条件(例えば、0.1M CAPSバッファー(3-[シクロヘキシルアミノ]-1-プロパン-スルホン酸)pH11.5の添加を行ない、再使用のために樹脂を再生させた。百分率質量バランス(mass balance)決定を計算し、平均で90〜100%であった。
【0163】
【表9】
Figure 2005503344
【0164】
【表10】
Figure 2005503344
【0165】
【表11】
Figure 2005503344
【0166】
表9における結果は、親和性媒体DX249およびDX253がプロテインAへの類似のバッチ結合特性を示し、それらがヒト免疫グロブリンのFc領域と類似の様式で相互作用しうることを示すことを説明する。他の親和性媒体は、有意に異なる結合特性を示し、プロテインAは結合しないヒトIgG3イソタイプへの有意な結合親和性を伴った。hIgG標的溶出をまた、プロテインAと関連して選択した固定化DXペプチド(親和性媒体)に対して説明した。全hIgG負荷の百分率溶出(表10)は、酸性pH範囲(pH4.0)で溶出するプロテインAと比べて親和性媒体DX249およびDX253がpH4.0と8.5で溶出することを示した。さらに、試験した親和性媒体は、プロテインAと比較してヤギ、ウシおよびマウスIgGへの有意な結合を示さなかった(表11を参照のこと)。プロテインAは、試験したヤギ、ウシおよびマウス免疫グロブリンへの中程度に高い結合親和性を示した。
【0167】
実施例7:Fc-結合親和性媒体のクロマトグラフィー性能
選択した固定化DXペプチド(親和性媒体)で充填されたミニクロマトグラフィーカラム上の動的条件下での結合研究は、上記バッチ結合研究で見出されるものに類似の結合プロフィールを示した。したがって、PBST、pH7.2またはTBST、pH7.3中0.250mg/mlで250μgの標的(hIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4、ヤギIgGおよびウシIgG)を、350μl(3×50mm)のカラムに充填し、0.200ml/分、流速(170cm/hr)で流した。流動、溶出および清浄画分を回収し、サイズ排除HPLCにより全タンパク質回収について分析した。質量バランスの百分率をまた平均90〜100%であると決定した。結合効率パーセントは、バッチ測定で見られるものよりも通常高く、そのため親和性媒体DX249およびDX253は、hIgG1、hIgG2およびhIgG4に対するプロテインAと類似の結合効率(全て>90%)を示した。親和性媒体DX404はまた、hIgG3に対して特異的に高い結合効率を示した。さらに、試験した親和性媒体は、ヤギまたはウシIgGに対して有意な親和性を示さなかった。プロテインAは、ヤギおよびウシIgGの両方に対してそれぞれ中〜高い結合効率を再び示した。
【0168】
バッチ結合研究に基づく別の研究において、3つの親和性媒体、DX249、DX253およびDX252を、類似のクロマトグラフィー系におけるさらなる評価のために選択した。これらの実験のために、350μlのカラム(3×50mm)を各媒体で充填した。ヒトFc断片またはヒトIgG1(それぞれCalbiochem、401104および400120)を0.5g/lの濃度でPBST、pH7.2に加えてカラムを試験した。65μgのFcを各々のカラムに負荷した。負荷後、カラムをPBST、pH7.2で洗浄し、30mM H3PO4、150mM NaCl、pH2.0で溶出し、0.1M CAPS、pH11.5バッファー(3-[シクロヘキシルアミノ]-1-プロパン-スルホン酸)で清浄した。回収した画分を2.0M Tris pH8.0を用いてpH約7.2に直ちに中和した。全てのカラム操作を200μl/分で行った(170cm/hr)。
【0169】
結果は、親和性媒体DX249およびDX253が、FcおよびIgG1両方の定量的結合を示すことを説明する(捕捉効率92%以上)。親和性媒体DX252は、バッチ結合研究で行われるよりも有意に良好であるより低い捕捉効率(それぞれ70および80%)を示した。このことは、クロマトグラフィー系が、バッチ結合系よりも多数の理論的平衡段階を有し、より高い捕捉効率をもたらすはずであるので予測されない。したがって、親和性媒体DX253およびDX252は、結合の85%以上の溶出回収およびサイズ排除HPLC(SEC-HPLC)によるモノマータンパク質の89%以上の純度を示した。
【0170】
実施例8:タバコ抽出物からのヒトFcの捕捉
タバコ抽出物からヒトFcおよびヒトIgG1を捕捉するDX253に基づく親和性媒体の能力を、異なる実験において評価した。使用したタバコ抽出物は、典型的な濃縮ブランクロットであった(CropTech, lot NV100-036)。ヒトFcまたはIgG1を50μg/mlでタバコ抽出物に加えた。100μg(2ml)を、DX253媒体を充填した350μlカラム上に200μl/分(170cm/時間)で負荷した。負荷する前に、150mM NaClおよび0.01%Tween20を含有する50mM Trisバッファー、pH7.3(TBST、pH7.3)を用いてカラムを平衡化した。負荷後、1M NaClを含有する50mM Trisバッファー、pH7.3を用いてカラムを洗浄し、続いて30mM H3PO4、150mM NaCl、pH2.0を用いて溶出した。次に、0.1M CAPS、pH11.5および別に水中30%イソプロパノール、5%酢酸、約pH2.7を用いてカラムを清浄した。回収した画分を、サイズ排除HPLCによる解析の前に、2M Tris、pH8を用いて直ちに中和した。結果は、タバコ抽出物からFcおよびIgG1の両方に対してそれぞれ全負荷の91および76%の回収%、ならびに79%および89%のモノマータンパク質の純度を示す。
【0171】
実施例9:細胞培養上清からのヒトIgG1の捕捉
5%ウシ胎仔血清を含む馴化CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞培養上清からヒトIgG1を捕捉する親和性媒体DX249の能力を評価した。ヒトIgG1(93%モノマー)を馴化CHO培地に50μg/mlまで加え、5ml(250μg全量)を上記のように350μlミニカラム上に負荷した。カラムをPBST、pH7.2を用いてベースラインまで洗浄し、流動画分を回収した。結合IgGを0.1M炭酸水素ナトリウムバッファー、pH9.0を用いて溶出し、0.1M CAPS、pH11.5を用いてカラムを清浄した。溶出および清浄画分を、約pH7.2に迅速に中和し、SEC-HPLCによる質量回収に対して分析した。そして、溶出画分において80%回収(98%モノマー)を得た。カラム負荷、流動、溶出および清浄画分を、ヒトおよびウシIgGの存在に対して電気泳動(SDS-PAGE)、クーマシー染料およびウェスタン解析によりさらに解析した。この解析は、親和性媒体DX249が5%ウシ胎仔血清を含む馴化CHO培地からhIgG1を特異的に捕捉することを示した。この負荷は、ヒトIgGおよびウシIgGの両方の存在を示した。流動画分は、ウシIgGの存在を示し、ヒトIgGは検出できなかった。溶出画分は、ヒトIgG血清の存在を示し、明白なウシIgG混入は無かった。
【0172】
これらの結果は、本発明のDX249および同様の特異性を有するペプチドが、ヒト免疫グロブリンおよび他の哺乳動物免疫グロブリンの両方を含む培養培地または他の溶液からヒトFc-領域ポリペプチドを定量的に単離するために使用されうることを示す。
【0173】
実施例10:バッファー中のヤギIgGからのヒトIgG4の捕捉
バッファー中のヤギIgG(5倍過剰)からヒトIgG4を捕捉する親和性媒体DX249の能力をまた評価した。0.250mgのhIgG4(99.5%モノマー)を、全容量1.0mlのPBST、pH7.2中1.0mgのヤギIgGに添加した。そして、1.0mlを、上記のように350μlミニカラム上に負荷した。PBST、pH7.2を用いてカラムをベースラインまで洗浄し、流動画分を回収した。結合IgGを0.1M炭酸水素ナトリウムバッファー、pH9.0を用いて溶出し、0.1M CAPS、pH11.5を用いてカラムを清浄した。溶出および清浄画分を、pH約7.2に迅速に中和し、SEC-HPLCにより質量回収に対して分析した。そして、溶出画分において87%理論的負荷(ヒトIgG4であると仮定)回収(99.5%モノマー)を得た。同様に、流動画分において102%理論的負荷(ヤギIgGであると仮定)回収を得た。カラム負荷、流動、溶出および清浄画分を、電気泳動(SDS-PAGE)、クーマシー染料によりさらに解析した。この解析は、親和性媒体DX249がバッファー中5倍過剰のヤギIgGからhIgG45を特異的に捕捉することを示した。この負荷は、ヒトIgGおよびヤギIgGの両方の存在を示した。流動画分は、ヤギIgGの存在を示し、ヒトIgG4は無かった。溶出画分は、ヒトIgG4の存在を示し、明白なヤギIgG混入は無かった。清浄画分は、タンパク質の存在を示さなかった。
【0174】
実施例11:ヒトIgGサブタイプのバッチ結合および溶出
DX596(配列番号:157)、DX597(配列番号:158)およびDX1070(配列番号:159)を固定化し、プロテインAおよびDX249およびDX253(配列番号:144および145)に関連した種特異性ならびにヒトIgGサブタイプ結合および溶出の両方についてフィルタープレートフォーマット(前記)において試験した。これらの試験のために合成したポリペプチドを、以下の表12に示す。
【0175】
DX596は、選択配列内に2つのリジン残基を含み、選択配列(おそらく結合部位である)内のカップリングを防ぐために直交する保護基、ivDdeを用いて合成した。一度C-末端リジンを樹脂に結合させると、ivDde保護基をDMF中2%ヒドラジンを用いて除去した。ivDde保護基を用いた合成の必要性の除去および脱保護工程の除去が可能であるかどうかを決定するために、これらの2つの内部リジンをアルギニンおよびアラニンで置換した誘導体ポリペプチド(DX1071と示す)を合成した。さらに、このアルギニン-アラニン置換およびさらに隣接するセリン残基のヒスチジンでの置換を有する第2誘導体(DX1072と呼ぶ)を合成した。DX596のこれらの2つの残基置換誘導体(DX1071およびDX1072)をまた固定化し、類似の様式でフィルタープレートフォーマットにおいて試験した。全DX-ペプチドを、定量アミノ酸解析によって決定したように1.8μM/mlの平均リガンド密度で固定化した。
【0176】
【表12】
Figure 2005503344
【0177】
前記表において、Ac-はN-末端アセチル化を示し、-NH2はC-末端アミド化を示す。
【0178】
以下の表13に示された結果は、ポリペプチドDX596、DX597およびDX1070を用いる親和性媒体が、前記のようにプロテインA、DX249およびDX253と類似のバッチ結合特性を示したことを説明する。IgGは、高pHでプロテインAから溶出されず、一方、DX249、DX253、DX596およびDX597は、低pH(pH2.5〜4.5)および高pH(pH9.0および9.5)の両方で効率のよい溶出を示した。リガンド(プロテインAを含む)無しは、pH5.5で良好な溶出を示した。DX1070は、pH3.0でヒトIgGの部分的な溶出のみを示した。DX1070に関してpH3.0以外で溶出されたヒトIgGの有意な量を、3M-グアニジン-HCl、pH7.2を用いて清浄工程で回収した。DX596の置換誘導体であるDX1071は、ヒトIgGの有意な結合を示さなかった。DX1072は、プロテインA、DX249、DX253、DX596、DX597およびDX1070と類似の結合プロフィールを示したが(ヒトIgGサブタイプおよび種特異性の両方)、結合効率は、非常に低かった。
【0179】
【表13】
Figure 2005503344
【0180】
種特異性の結果(表14)は、ヤギ、ウシ、およびマウスIgGのDX249、DX253、DX597およびDX1070への有意な結合を示さなかった。DX596は、バックグラウンドより5〜8%高いこれらのIgG標的へのわずかに増加したレベルの結合を示した。対照的に、プロテインAは、ヤギ、ウシおよびマウスIgGへの結合を示した。
【0181】
【表14】
Figure 2005503344
【0182】
実施例12:DX249およびDX253の静的および動的能力対リガンド密度
ポリペプチドDX249およびDX253を、NHS-活性化セファロース4 Fast Flow媒体上に0.2、1.0、2.0および4.0μmoleリガンド/ml媒体の名目上の(nominal)リガンド密度で(前記のように)固定化した。これらの媒体を、対照として、単一密度の市販の固定化組換えプロテインA(Repligen, IPA400)との静的(フィルタープレート)および動的(ミニカラム)様式の両方でのヒトIgG結合能力におけるリガンド密度の効果を決定するために使用した。実際のリガンド密度を、定量アミノ酸解析によって確認したように0.17〜3.2μmole/ml媒体の範囲で得た。
【0183】
静止(フィルタープレート)様式
96-ウェルアッセイフィルタープレート(Millipore MultiScreen-HV、0.45μm Durepore膜、製造番号MAHVN4510)、試験対象の各媒体の10μl(充填総体積)、DX249(4密度)、DX253(4密度)、加水分解NHS-セファロース4FF、およびrプロテインA(RepliGen Corp. 製造番号IPA-400)を種々の量のヒトIgG(0.0、1.25、2.5および/または20.0mg/mlまで)を含む100μlのPBST(10mMリン酸バッファー、150mM NaCl、0.05%Tween-20、pH7.5)中に懸濁した。撹拌しながら室温で1時間の試料のインキュベーション後、非結合IgGを含む各ウェル由来の上清液体を、回収プレートの同系ウェルに遠心分離により回収した。アッセイプレートを3回PBST(200μl/洗浄)で洗浄し、100μl溶出バッファー(100mM CAPS、pH11.5)中室温で30〜60分のインキュベーションにより媒体試料から結合IgGを溶出した。解析のために遠心分離により溶出液を回収した。A280測定から、タンパク質濃度を決定し、樹脂1ml当たりに結合したヒトIgGのmg対樹脂1ml当たりに適用したヒトIgGのmgの関数としてプロットした。
【0184】
種々の媒体によって捕捉されたIgGの量(溶出工程において回収されたIgGから見積もる)は、IgG濃度とリガンド密度の両方に依存する。一般に、DX249およびDX253の両方を用いた見掛けの(apparent)相対静的能力は、リガンド密度および標的濃度と共に増加した。リガンドおよび標的濃度の両方がKD値に近いこれらの静的条件下で、平衡結合が確立され、全体の能力は、正確に決定され得ない。しかしながら、樹脂1ml当たりに適用された0〜25mg IgGのIgG範囲にわたり(0〜2.5mg/ml標的を10μlの樹脂に添加した)、IgGの捕捉はリニアである。この点を超えて樹脂1ml当たりに適用した200mg IgGのレベルまで、飽和はより明白になる。表15は、DX249およびDX253媒体の両方の見掛けの相対静的結合性能を示す。リガンド密度約1μmole/mlでDX249およびDX253媒体は、樹脂1ml当たりに適用した25mg IgGの標的濃度(2.5mg/mlの標的を樹脂10μlに添加した)のプロテインA媒体に匹敵する。より高いリガンド密度(特に高い標的濃度を有する)で、DXペプチド媒体の見掛けの相対静的能力は、プロテインA媒体を有意に超える(2〜3倍)。
【0185】
動的(ミニカラム)様式
動的性能試験のために、ミニクロマトグラフィーカラム(Omnifit, 6319)3mm×25mm(内部直径×長さ)、0.17mlカラム体積に、種々のDX249、種々のDX253、およびプロテインA媒体を充填した。ヒトIgG(ICN, 55908)を、PBS pH7.2中2.5mg/mlに調製した。IgG溶液を0.2ml/分(170cm/時間)の流速でカラム上に負荷した。カラム溶出物の吸光度を214および280nmの両方でモニターし、全ランにわたって画分を回収した。負荷期間の終わりに、カラム溶出物の280nmでの吸光度がベースラインに戻るまで、カラムをPBSで洗浄した。カラムに結合したIgGを30mM H3PO4、150mM NaCl、pH2.0を用いて溶出し、次に、PBSでベースラインまで洗浄し、次に、0.1M CAPS、pH11.5を用いて清浄した。溶出した全IgGを280nmの全タンパク質吸光度により決定したので、溶出画分のpHの中性化は必要なかった。
【0186】
全媒体能力を見積もるために、カラム負荷および流動流の吸光度が同一になるまで(全能力まで負荷)IgGをカラム上に負荷した。カラムをベースラインまで洗浄後、結合IgGを溶出し、この溶出画分から捕捉した全量を決定した。捕捉した全IgGをカラム体積容量で割ったものとして媒体の全能力(mg IgG/ml媒体)を計算した。
【0187】
さらに、10%漏出でのカラム能力を、カラム流動流のオンラインA280測定から計算した。目的のカラムおよび加水分解セファロースFF4媒体を含有する同等の「ブランク」カラムに対して得られたA280曲線を、整列させた。注射の時間から、目的のカラムに関するA280値が100%IgG捕捉飽和の負荷溶液に対して得られた最大A280吸光度(100%)の10%に増加した時間までのこれらの曲線間の領域における差異(保持および非保持標的に対する)をグラフにより統合した。標準曲線を使用して、統合領域をmg IgG結合およびカラム体積容量で割った全IgG結合として計算した能力に関連づけた。
【0188】
表15は、試験した9個の種々の親和性媒体に対するこれらの研究の結果を要約する:DX249およびDX253、それぞれアミノ酸解析により測定したように4つの種々のリガンド密度、ならびに不確定な密度の組換えプロテインA(Repligen、#IPA400)。DX249媒体およびDX253媒体の両方に対して、動的および静的能力値の両方が、リガンド密度の増加と共に増加する。rプロテインA媒体と同様の動的能力が、約2〜3μmole/mlのリガンド密度で達成される。試験した各リガンド密度に対して、静的および全動的能力は、溶出により測定されるように同様である。全リガンド密度での2つのDX媒体に対して、10%漏出での能力は全動的能力の約50%(±20%)であり;対照的にrプロテインAに関して約75%である。この小さな差異は、媒体間の速度論またはリガンド利用性の差異から生じうる。
【0189】
【表15】
Figure 2005503344
【0190】
実施例13:DX253カラムサイクリング(再利用)
DX253ペプチドを、定量的アミノ酸解析により決定したように2.9μmole/mlのリガンド密度でNHS-活性化4 Fast Flow上に固定化した。この親和性樹脂を4.6mm×6cm(内部直径×長さ、1.0体積容量)PEEKカラム(Isolation Technologies, Inc., 5050IP-08046-006-20)に充填した。全能力およびサイクリング研究を行う前に、カラム/親和性マトリックスを100mg BSA負荷、0.1Mクエン酸、pH3.0、3Mグアニジン-HCl、20mMリン酸、pH7.2を用いて予め条件付けし、PBS、pH7.2に再度平衡化した。
【0191】
全能力:
全動的結合能力を確立するために、0.05%NaN3を含むPBS、pH7.2中に2.5mg/mlでポリクローナルヒトIgG(ICN, 55908)を調製した。全75mg(30ml)を0.21ml/分(75cm/hr)で能力まで(負荷の280nmの吸光度が、カラム流動と同等になるまで)負荷した。画分を全ランにわたり回収した。非結合IgGを、0.42ml/分(150cm/時間)でPBS、pH7.2を用いてベースラインまで洗浄した。結合IgGを0.1Mクエン酸、pH3.0バッファーを用いて溶出し、1M HEPES、pH9.0バッファーの最小添加を用いて約pH7.0に直ちに中和した。PBS、pH7.2でのさらなる洗浄に続き、カラム/親和性媒体を3Mグアニジン-HCl、20mMリン酸、pH7.2を用いて清浄し、PBS、pH7.2に再度平衡化して戻した。全ての負荷後洗浄、溶出および清浄工程を流速0.42ml/分(150cm/時間)で行った。1.4の吸光係数を用いて計算した溶出画分の280nmでの吸光度を測定することにより、全mg IgG結合を決定した。開始(T=0、カラムサイクリングの開始前)全動的能力は、アフィニティー樹脂1ml当たり19.8mgヒトIgGと測定した。繰り返しの使用および再利用後のアフィニティーカラムの相対性能を評価するために、この決定を95サイクルの過程の間さらに4回繰り返した。これら5つの全能力決定の質量バランス回収は、平均して98%であった。表16は、19.8mg/mlのT=0、または100%の全能力に基づいて計算した相対カラム性能%を示す。カラムは、95サイクル後、全動的能力に関して約90%の相対性能を保持した。表16に示すように、サイクル0、26、66、86、および96に対してこの手順を使用した。
【0192】
カラムサイクリング
10%ウシ胎仔血清(超低)を含む新鮮な細胞培養培地(DMEM)にヒトIgGを0.5mg/mlまで加えた。PBS、pH7.2で予め平衡化したカラム上に2ml(1.0mg IgG)を負荷した。0.21ml/分(75cm/時間)で負荷を行い、全ての続くステップ(洗浄、溶出および清浄)を0.42ml/分(150cm/時間)で行なった。非結合試料を、PBS、pH7.2でベースラインまで洗浄し、続いて0.1Mクエン酸、pH3.0で溶出し、PBS、pH7.2で洗浄し、3Mグアニジン-HCl、20mMリン酸、pH7.2で清浄し、PBS、pH7.2で再度平衡化して戻した。それぞれ5サイクルの全19系列(全95サイクル)をランさせた。表16は、開始サイクル(サイクル1ピーク領域=100%)と比較した溶出ピーク領域回収に関して10サイクルごとの相対性能%を示す。サイクル1〜25、27〜65、67〜85、および87〜95についてこの手順を使用した。
【0193】
約5%の全動的能力負荷(1.0mg IgG)で、カラム性能は、全能力性能において約10%の減少にかかわらず変化しないままであった。サイクル1、26、41、66、80および95を回収し、溶出したIgG画分を1M Hepes、pH9.0バッファーの最少の添加によりpH約7に直ちに中和した。SDS-PAGE解析(4〜12%Tris-グリシンゲル、変性/非還元、クーマシー染色)は、細胞培養培地からヒトIgGの完全で効率的な捕捉を示した。溶出画分は、精製された標準と純度が同等であり、研究の過程にわたり一致したままであった。
【0194】
【表16】
Figure 2005503344
【0195】
実施例14:DX249 C-末端切断型/PEO-リンカー置換:
DX249(配列番号:144)の6個の誘導体の系列を構築し、クロマトグラフィー性能を維持したまま、C-末端スペーサー/リンカー(-PEGGGK、配列番号:168)を含み、より親水性の非ペプチドポリエチレングリコール様リンカーで置換した9個のC-末端残基の切断の可能性を決定した。かかる誘導体は、より迅速に、あまり高価でなく合成されうる。
【0196】
表17は、種々のDX249誘導体構築物を示す。末端構造が以下に規定される。31-原子ポリエチレン-グリコール様スペーサー/リンカーを用いてDX905を設計したが、DX905のペプチド合成は失敗した(主に、樹脂上の反応官能基の架橋の結果としての置換の還元のため)。
【0197】
【表17】
Figure 2005503344
【0198】
DX249、DX877、DX878、DX907、DX909およびDX911を合成し、定量的アミノ酸解析により決定した1.9μmole/mlの平均リガンド密度でNHS-活性化セファロース4 fast flow上に固定化した。続いて、これらを相対静的能力、ヒトIgGサブタイプおよび種特異性についてバッチフィルターフォーマットにおい前記のように試験した。さらに、全動的能力を比較のために決定した。表18は、データの要約である。静的能力(樹脂1ml当たりmg IgG結合)を2.5mg/ml標的濃度(樹脂1ml当たり25mgヒトIgG適用)で測定した。配列DX907、DX909およびDX911は、DX249、DX877およびDX878と比較して見掛けの相対静的能力において約2倍の減少を示す。これらの配列は、第2システインの後の最後の種々のアミノ酸に切断され、切断型は減少した親和性を生じうる。ポリクローナルヒトIgGおよびヒトIgGサブタイプの百分率捕捉は、同様の傾向を示す。一般に、配列DX877およびDX878は、DX249と類似の結合特性を示す。種特異性試験は、この系列の誘導体へのウシ、ヤギおよびマウスIgGの有意な結合を示さなかった(データ示さず)。
【0199】
【表18】
Figure 2005503344
【0200】
実施例15:DX249 N-末端切断型/残基置換
一般に、配列Ac-GDDHMCVYTTWGELIWCDNHEPGPEGGGK-NH2(配列番号:144)を有するDX249の標準Fmoc法を使用する合成は、困難である。この合成およびフォールディングは、主にN-末端のAsp-Asp-His位でのβ転位により、問題がある。したがって、DX249のN-末端切断型誘導体の系列を、設計し、合成する。表19は、種々のDX249構築物を示す。
【0201】
【表19】
Figure 2005503344
【0202】
これらのDX249配列バリアント(未修飾DX249を含む)を合成し、定量的アミノ酸解析により決定した1.9μmole/mlの平均リガンド密度でNHS-活性化セファロース4 fast flow媒体上に固定化した(DX1065およびDX1066を除く)。前記したように、ヒトIgGサブタイプに対する相対結合効率および種特異性に関してバッチフィルタープレートフォーマットにおいてこれらを試験した。表20は、データの要約である。一般に、全DX249バリアントは、DX249と類似の結合プロフィールを示す。結合効率は、最初、より広範囲な切断型で減少するように見える傾向がある。しかしながら、第1システイン切断の前に全ての残基を有する配列DX1069は、DX249とほぼ同一の結合特性を示す。種特異性試験は、誘導体の系列へのウシ、ヤギおよびマウスIgGの特異的な結合を示さなかった(データ示さず)。これらのデータおよびC-末端切断型/リンカー置換試験からのデータ(実施例14)は、12〜18の全残基のみ有する適切な合成Fc-結合リガンドが、これらの実施例にしたがって作製されうることを示す。かかるリガンドは、標準法を用いてより容易にかつ効率よく合成されうる。
【0203】
【表20】
Figure 2005503344
【0204】
実施例16:DX253 N-末端切断型/残基置換
配列Ac-GDRRACSRDWSGALVWCAGHEPGPEGGGK-NH2(配列番号:145)を有するDX253の合成も、主に欠失配列の可能性を与えるN-末端のArg-Arg位により、困難である。したがって、切断および/または配列の5個のアミノ末端残基の位置における種々の残基置換の可能性を決定するために、DX253の9個の誘導体の系列を構築した(上記DX249に対するバリアントと同様)。C-末端ペプチドスペーサー/リンカーを含む残りの配列を、保持した。表21は、種々のDX253構築物を示す。
【0205】
【表21】
Figure 2005503344
【0206】
これらのDX253配列バリアント(未修飾DX253を含む)を合成し、2.0μmole/mlの標的リガンド密度でNHS-活性化セファロース4 fast flow媒体上に固定化した。前記したように、ヒトIgGサブタイプに対する相対結合効率および種特異性に関してバッチフィルタープレートフォーマットにおいてこれらを試験した。表22は、データの要約である。
【0207】
一般に、全DX253バリアントは、DX253と類似の結合プロフィールを示す。結合効率は、最初、配列DX1139〜DX1141で減少する傾向がある。しかしながら、配列DX1142〜DX1147は、DX253と類似の結合効率を示す。特に興味深いのは、第1システイン切断の前に全ての残基を有するDX1147であり、DX253とほぼ同一の結合特性を示す。このDX253誘導ペプチドは、DX253よりも容易に、かつ効率的に合成される。
【0208】
結合の種々の程度は、部分的には、水性カップリング条件における溶解性の種々の程度の結果としての低いカップリング効率のためでありうる。特に、配列DX1139、DX1140、DX1146およびDX1147は、水性カップリングバッファーに完全には溶解しなかった。しかしながら、rp-HPLCによりモニターされた全9個のDX253バリアントのカップリング効率は高く、平均>85%であった。実際のリガンド密度は、決定しなかった。種特異性試験は、誘導体のこの系列へのウシ、ヤギおよびマウスIgGの有意な結合を示さなかった(データ示さず)。
【0209】
【表22】
Figure 2005503344
【0210】
前記説明に続いて、任意の溶液中からのFc-領域ポリペプチドまたはFc-領域ポリペプチドを含む分子の検出または分離を可能にするアフィニティー結合分子に重要な特徴が、認識されうる。本発明のさらなる結合分子の態様および特定の溶液または供給流に適合させた代替的な方法は、上記説明を調査することにより明らかになるであろう。全てのかかる態様および明らかな代替物は、以下の特許請求の範囲より規定される本発明の範囲内であると意図される。
【0211】
上記に関連した各刊行物は、その全体が参照により本明細書に援用される。

Claims (42)

  1. 式I、II、IIIまたはIV:
    I. Z1-X1-X2-X3-X4-W-C-Z2(配列番号:4);
    式中、
    Z1は、少なくとも6アミノ酸のポリペプチドである;
    X1は、G、H、N、R、またはSである;
    X2は、A、D、E、F、I、M、またはSである;
    X3は、A、I、L、M、またはVである;
    X4は、I、M、T、またはVである;
    Z2は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであるか、または存在しない;および
    Z1は、少なくとも1つのシステイン残基を含み、不変なシステイン残基とのジスルフィド結合の形成により12アミノ酸の環状ペプチドが形成される;
    II. Z1-X-W-Z2-W-Z3(配列番号:5)
    式中、
    Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであるか、または存在しない;
    Xは、FまたはYである;
    Z2は、トリペプチドである;および
    Z3は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;および
    ここで、ポリペプチドZ1、Z2、Z3の内の少なくとも2つは、システイン残基を含み、システイン残基間のジスルフィド結合の形成により7〜12アミノ酸の環状ペプチドを形成する;
    III. Z1-W-Z2-W-W-Z3(配列番号:6);
    式中、
    Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;
    Z2は、トリペプチドである;および
    Z3は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;
    ここで、ポリペプチドZ1、Z2、およびZ3の内の少なくとも2つは、システイン残基を含み、かかるシステイン残基間のジスルフィド結合の形成により8〜12アミノ酸の環状ペプチドが形成されるが、ただし、Z1はシステインを含む場合、Z2はシステインを含まず、Z2がシステインを含む場合、これはトリペプチドの中央の残基であり、Z3もまたシステインを含む;
    IV. Z1-P-X1-W-X2-C-X3-X4-X5(配列番号:7);
    式中、
    Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであり、システイン残基を含む:
    X1は、A、E、R、S、またはTである;
    X2は、F、W、またはYである;
    X3は、D、E、L、M、またはQである;
    X4は、H、W、またはYである;
    X5は、FまたはYである;および
    ここで、Z1のシステイン残基およびX2とX3との間のシステイン残基は、10〜12アミノ酸の環状ペプチドを形成する;
    のアミノ酸配列を含む、免疫グロブリンFc領域に結合する単離されたポリペプチド。
  2. (a)該ポリペプチドが式:
    I. Z1-X1-X2-X3-X4-W-C-Z2(配列番号:4);
    式中、
    X1は、Gである;
    X2は、AまたはEである;
    X3は、Lである;
    X4は、IまたはVである;
    のアミノ酸配列を含むか、または
    (b)該ポリペプチドが式:
    II. Z1-X-W-Z2-W-Z3(配列番号:5)
    式中、
    Xは、FまたはYである;および
    ここで、Z2は式:X1-X2-X3のペプチドであり、式中、
    X1は、CまたはYである;
    X2は、C、K、N、またはTであり、ただし、X1がCである場合、X2はCではない、および
    X3は、F、I、K、Q、またはVである
    のアミノ酸配列を含む請求項1記載のポリペプチド。
  3. 以下:
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含む請求項1記載のポリペプチド。
  4. 以下:
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    式中、Ac-はN-末端アセチル化を表す;-NH2はC末端アミド化を表す;[Nle]はノルロイシンを表す;-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表す;-X-Su-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH-C:O-CH2CH2-C:O-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表す;および-X-Z-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH-C:O-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2-C:O-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表す
    からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含む請求項1記載のポリペプチド。
  5. 免疫グロブリンFc領域に結合する、以下:
    Figure 2005503344
    からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  6. 少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を含むと思われる溶液中の少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を検出する方法であって、
    (a)該溶液と請求項1または請求項5記載のポリペプチドとを接触させる工程;および
    (b)該ポリペプチドと該ポリペプチド標的との間で結合が生じるかどうか決定する工程
    を含む、方法。
  7. 少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を含む溶液中の少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を単離する方法であって、
    (a)請求項1または請求項5記載の結合性ポリペプチドを固相支持体に固定化することにより、または該結合性ポリペプチドとアフィニティータグとを結合させることにより請求項1または請求項5記載の結合性ポリペプチドを調製する工程;
    (b)該ポリペプチド標的を含む溶液と工程(a)の結合性ポリペプチドとを接触させる工程;および
    (c)該溶液の非結合成分と工程(b)の結合性ポリペプチドとを分離する工程
    を含む、方法。
  8. 少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を含む溶液から少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を除去するする方法であって、
    (a)請求項1または請求項5記載の結合性ポリペプチドを固相支持体に固定化することによりまたは該結合性ポリペプチドをアフィニティータグに結合することにより請求項1または請求項5記載の結合性ポリペプチドを調製する工程;
    (b)該ポリペプチド標的を含有する溶液と工程(a)により調製された結合ポリペプチドとを接触させる工程;および
    (c)該溶液の非結合成分と工程(b)記載の結合性ポリペプチドとを分離する工程
    を含む、方法。
  9. (a)Fc領域ポリペプチドを含むポリペプチド標的を含むと思われる溶液と標的ポリペプチド標的のための結合分子とを接触させる工程、ここで結合分子は固相支持体に固定化される、
    (b)固相支持体に結合した標的と溶液の未結合成分とを分離する工程、
    (c)固相支持体と、検出可能に標識された請求項1または請求項5記載のFc結合性ポリペプチドとを接触させる工程、および
    (d)固相支持体上の標識Fc結合性ポリペプチドの結合を検出する工程
    を含む、Fc領域ポリペプチドを含有するポリペプチド標的の固相検出アッセイ方法。
  10. 前記溶液が、全血、血漿、トランスジェニックミルク、トランスジェニック鳥類の卵、および馴化培地からなる群より選ばれる請求項6、7、8または9いずれか記載の方法。
  11. 溶液がトランスジェニックマウス、ラット、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、または雌ウシから得られるトランスジェニックミルクである請求項10記載の方法。
  12. 溶液がトランスジェニックニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、ダチョウ、またはガチョウから得られる卵である請求項10記載の方法。
  13. 前記ポリペプチド標的がFc領域の全てもしくは一部を含む抗体または抗フラグメントでありうる請求項6、7、8いずれか記載の方法。
  14. 前記ポリペプチド標的が抗体である請求項13記載の方法。
  15. 前記抗体が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群より選ばれる免疫グロブリンである請求項14記載の方法。
  16. 前記固相支持体が、セルロース、規則的細孔ガラス、シリカ、ポリスチレン、スチレンジビニルベンゼン、アガロース、および架橋アガロースからなる群より選ばれる請求項7、8または9いずれか記載の方法。
  17. 免疫グロブリンFc領域に結合しうる外来ポリペプチドを発現する組換えバクテリオファージであって、該外来ポリペプチドが式I、II、IIIまたはIV:
    I. Z1-X1-X2-X3-X4-W-C-Z2(配列番号:4);
    式中、
    Z1は、少なくとも6つのアミノ酸のポリペプチドである;
    X1は、G、H、N、R、またはSである;
    X2は、A、D、E、F、I、M、またはSである;
    X3は、A、I、L、M、またはVである;
    X4は、I、M、T、またはVである;
    Z2は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであるか、または存在しない;および
    Z1は、少なくとも1つのシステイン残基を含み、不変なシステイン残基とのジスルフィド結合の形成により12アミノ酸の環状ペプチドが形成される;
    II. Z1-X-W-Z2-W-Z3(配列番号:5)
    式中、
    Z1は、少なくとも1つのアミノ酸であるか、または存在しない;
    Xは、FまたはYである;
    Z2は、トリペプチドである;および
    Z3は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;および
    ここで、ポリペプチドZ1、Z2、およびZ3の内の少なくとも2つは、システイン残基を含み、かかるシステイン残基間のジスルフィド結合の形成は、7〜12アミノ酸の環状ペプチドを形成する;
    III. Z1-W-Z2-W-W-Z3(配列番号:6)
    式中、
    Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;
    Z2は、トリペプチドである;
    Z3は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドである;
    ここで、ポリペプチドZ1、Z2、およびZ3の内の少なくとも2つは、システイン残基を含み、かかるシステイン残基間のジスルフィド結合の形成により8〜12アミノ酸の環状ペプチドが形成されるが、ただし、Z1がシステインを含む場合、Z2はシステインを含まず、Z2がシステインを含む場合、これはトリペプチドの中央の残基であり、Z3はまたシステインを含む;
    IV. Z1-P-X1-W-X2-C-X3-X4-X5(配列番号:7);
    式中、
    Z1は、少なくとも1つのアミノ酸のポリペプチドであり、システイン残基を含む:
    X1は、A、E、R、S、またはTである;
    X2は、F、W、またはYである;
    X3は、D、E、L、M、またはQである;
    X4は、H、W、またはYである;
    X5は、FまたはYである;および
    ここで、Z1のシステイン残基およびX2とX3との間のシステイン残基は、10〜12アミノ酸の環状ペプチドを形成する;
    のいずれかのアミノ酸配列を含む組換えバクテリオファージ。
  18. 該外来ポリペプチドが式:
    Z1-X1-X2-X3-X4-W-C-Z2(配列番号:4);
    式中、
    X1は、Gである;
    X2は、AまたはEである;
    X3は、Lである;
    X4は、IまたはVである;
    のアミノ酸配列を含む;または
    該外来ペプチドが式:
    Z1-X-W-Z2-W-Z3(配列番号:5)
    式中、
    Xは、FまたはYである;ここで、Z2は式:X1-X2-X3のペプチドである、式中、
    X1は、CまたはYである;
    X2は、C、K、N、またはTであるが、ただし、X2がCでない場合、X1はCである、および
    X3は、F、I、K、Q、またはVである
    のアミノ酸配列を含む請求項17記載の組換えバクテリオファージ。
  19. 該外来ポリペプチドが、
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含む請求項17記載の組換えバクテリオファージ。
  20. 免疫グロブリンFc領域に結合可能な外来ポリペプチドを発現する組換えバクテリオファージであって、該外来ポリペプチドが以下;
    Figure 2005503344
    からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含む組換えバクテリオファージ。
  21. 溶液中の少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的の検出方法であって、
    (a)該溶液と請求項17または請求項20記載のバクテリオファージとを接触させる工程;および
    (b)結合が該ポリペプチド標的と該バクテリオファージとの間で生じたかどうかを決定する工程
    を含む、方法。
  22. 該溶液が、全血、血漿、トランスジェニックミルク、トランスジェニック鳥類の卵、および馴化培地からなる群より選ばれる請求項21記載の方法。
  23. 該ポリペプチド標的がFc領域の全てまたは一部を含む抗体または抗体フラグメントである請求項19記載の方法。
  24. 該ポリペプチド標的が抗体である請求項23記載の方法。
  25. 該抗体が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群より選ばれる請求項24記載の方法。
  26. 該バクテリオファージがファージミドである請求項12記載の方法。
  27. 請求項1、2、3、4または5いずれか記載のクロマトグラフィーマトリックス物質、およびそこに固定化されたポリペプチドを含有してなる分離媒体。
  28. 該クロマトグラフィーマトリックス物質が、セルロース、シリカゲル型樹脂または膜、架橋多糖、およびアガロースからなる群より選ばれる請求項27記載の分離媒体。
  29. 該クロマトグラフィーマトリックス物質がアミン反応性クロマトグラフィーマトリックス物質である請求項28記載の分離媒体。
  30. 該クロマトグラフィーマトリックス物質がアルデヒド機能性メタクリレート樹脂である請求項28記載の分離媒体。
  31. 該クロマトグラフィーマトリックス物質がホルミルメタクリレート樹脂である請求項28記載の分離媒体。
  32. クロマトグラフィーマトリックス物質がNHS-活性化アガロース樹脂である請求項28記載の分離媒体。
  33. (a)アミン-反応性クロマトグラフィーマトリックス物質;および
    (b)以下:
    Figure 2005503344
    Figure 2005503344
    式中、Ac-はN-末端アセチル化を表す;-NH2はC末端アミド化を表す;[Nle]はノルロイシンを表す;-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表す;-X-Su-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH-C:O-CH2CH2-C:O-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表す;および-X-Z-X-NH2はC末端基-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH-C:O-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2-C:O-NH-(CH2CH2O)2-CH2CH2-NH2を表す、
    からなる群より選ばれるポリペプチド
    の反応産物を含有してなる分離媒体。
  34. 該マトリックス物質がアルデヒド-機能性メタクリレートクロマトグラフィー樹脂である請求項33記載の分離媒体。
  35. 該マトリックス物質がホルミル置換エチレングリコール-メタクリレートコポリマー支持体である請求項33記載の方法。
  36. 該マトリックス物質がNHS活性化アガロース支持体である請求項33記載の方法。
  37. 少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を含む溶液から少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を分離する方法であって、
    (a)結合条件下で該溶液と請求項33に規定される分離媒体とを接触させる工程;
    (b)未結合物質を除去する工程;および
    (c)該分離媒体から結合性ポリペプチド標的を溶出させる工程を含む、方法。
  38. 該ポリペプチド標的がFc領域の全てまたは一部を含む抗体または抗体フラグメントでありうる請求項37記載の方法。
  39. 該ポリペプチド標的が抗体である請求項37記載の方法。
  40. 該抗体が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群より選ばれる請求項39記載の方法。
  41. 少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を含む溶液から少なくとも1つの免疫グロブリンFc領域アミノ酸配列を含むポリペプチド標的を除去する方法であって、
    (a)結合条件下で、該溶液と請求項33に規定されるような分離媒体とを接触させる工程;および
    (b)未結合物質を除去する工程
    を含む、方法。
  42. 前記溶液が全血、血漿、トランスジェニックミルク、トランスジェニック鳥類の卵、および馴化媒体からなる群より選ばれる請求項41記載の方法。
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