JP2005501356A - カラー画像にトーンマッピング関数を適用する装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピクセルの色度を変化させずに画像トーン特性を向上させる装置を提供する。
【解決手段】本発明は、デジタル画像のピクセルを処理する装置を提供する。この装置は、前記ピクセルのうち人間の視覚系の相対輝度応答にもっとも厳密に一致している第1のカラーチャネルに対しトーンマッピング関数を適用し、それにより該第1のカラーチャネルの値がスケールファクタで変換され、該スケールファクタを前記ピクセルの他のすべてのカラーチャネルに対し適用するプロセッサを有する。各ピクセルは別個に処理され、それによりスケールファクタは各ピクセルに特定的である。本発明の一実施形態では、デジタル画像は正の線形色空間で表される。本発明の別の実施形態では、他のカラーチャネルに対してスケールファクタを計算する場合に、プロセッサがノイズバランシング項を付加する。
【解決手段】本発明は、デジタル画像のピクセルを処理する装置を提供する。この装置は、前記ピクセルのうち人間の視覚系の相対輝度応答にもっとも厳密に一致している第1のカラーチャネルに対しトーンマッピング関数を適用し、それにより該第1のカラーチャネルの値がスケールファクタで変換され、該スケールファクタを前記ピクセルの他のすべてのカラーチャネルに対し適用するプロセッサを有する。各ピクセルは別個に処理され、それによりスケールファクタは各ピクセルに特定的である。本発明の一実施形態では、デジタル画像は正の線形色空間で表される。本発明の別の実施形態では、他のカラーチャネルに対してスケールファクタを計算する場合に、プロセッサがノイズバランシング項を付加する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像のトーンマッピングに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像は、ディスプレイRGB等の出力デバイス空間で表すことも、またはカメラRGB等の取込デバイス空間で表すことも、またはCIE三刺激値空間(tristimulus space)XYZ等のデバイス独立空間で表すことも可能である。画像におけるすべてのピクセルの相対輝度値は、その画像のトーン特性を確定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デジタルに取込まれた画像の全体の明度を、画像が表示された時に人間の眼に心地よいレベルにするために、トーンマッピングが実行される。これは、露出不足かまたは露出過度な画像に対して特に重要である。トーンマッピングは、しばしば、オリジナルデジタルレベルを新たなレベルにマップする「トーンカーブ(tone curve)」を用いて実行する。すべてのカラーチャネルに対し、同じトーンカーブを別個に適用する。トーンマッピングは単純かつ高速であり、色再現域外の色をもたらさない。しかしながら、トーンマッピングカーブを異なるカラーチャネルに対し独立して適用することにより、異なるカラーチャネルの値が互いから独立して新たな値に再マップされるため、画像によっては色歪みがもたらされる場合がある。結果として、個々のピクセルの色度が変化する可能性がある。
【0004】
したがって、ピクセルの色度を変化させずに画像トーン特性を向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
デジタル画像のピクセルは、該ピクセルの第1のカラーチャネルに対してトーンマッピング関数を適用し、それにより該第1のカラーチャネルの値がスケールファクタで変換され、該スケールファクタを該ピクセルの他のすべてのカラーチャネルに対し適用することによって処理される。該第1のカラーチャネルは人間の視覚系の相対輝度応答にもっとも厳密に一致する。
【0006】
本発明の他の態様および利点は、本発明の原理を例として示す、添付図面を使って行われる以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すると、デジタル画像のピクセルを処理する方法は、ピクセルの第1のカラーチャネルに対しトーンマッピング関数を適用するステップ(110)と、それにより第1のカラーチャネルの値がスケールファクタで変換され、そのスケールファクタをピクセルの他のすべてのカラーチャネルに適用するステップ(112)と、を含む。第1のカラーチャネルは、人間の視覚系の相対輝度応答に最も厳密に一致する。
【0008】
デジタル画像を、ALおよびAk(k=1、2、…、n−1)によって指定できるn個のチャネルを有する、線形色空間で表す。ALは、色空間において輝度関数に最も厳密に一致するチャネルを表し、Akは、色空間の他のn−1個のチャネルを表す。図1の方法を、以下のように数学的に表すことができる。
【0009】
AL’=TM(AL)
Ak’=SF(Ak) k=1、2、…、n−1
ここで、TM(・)はトーンマッピング関数であり、AL’およびAk’はカラーチャネルの変更された値であり、スケールファクタSF=AL’/ALである。ピクセルは、別個に処理される。ピクセルの1つのカラーチャネルに対してスケールファクタを確定し、それをそのピクセルの他のカラーチャネルの各々に対し適用する。いかなるトーンマッピング関数を使用してもよい。
【0010】
トーンマッピング関数により、デジタル画像の全体のトーン特性が変更される場合、画像のピクセルの色度は変化しない(異なるカラーチャネルに対し別個にトーンマッピング関数を適用する従来のトーンマッピング技術とは異なる)。図1の方法は、色度、またはAk色空間におけるベクトルの向き、または各ピクセルの色のスペクトル形状を、トーンマッピング後におよそ同様に維持し、Ak空間におけるベクトルの長さ(またはスペクトルのスケールファクタ)のみが変化する。
【0011】
ほとんどすべての画像に、ある程度のノイズが存在するため、ノイズ増幅を防止するために各チャネルにノイズバランシング項を付加してもよい。ノイズバランシング項は、画像におけるノイズの量、または画像を表すために使用する色空間の白色点の関数である、小さい正の数である。たとえば、ノイズ項を、ノイズレベル、ノイズレベルの2倍または他の何らかの値に設定してもよい。ノイズバランシング項が画像のノイズレベルに適度に近い限り、本方法は、ノイズレベルがいかにして確定されるかの変動に影響を受けない。
【0012】
ノイズバランシング項を、以下のように付加してもよい。各ピクセルに対し、ALチャネルの値に対しトーンマッピング関数を適用し、カラーチャネルの値を以下のように調整する。
【0013】
AL’=TM(AL)
Ak’=(Ak+Ak(noise))/(AL+AL(noise))×AL’
ノイズバランシング項の追加は、高輝度ピクセルの色度にはほとんど影響を与えないが、低輝度ピクセルに対してはノイズ増幅問題を低減するのに役立つ。また、ノイズバランシング項は、トーンカーブの非ゼロ値に対しゼロ輝度値をマップする場合に、ゼロによる除算を回避するのに有用である。
【0014】
図1の方法は、正の線形色空間で表される画像に対し適用する。正の線形色空間の例には、CIE三刺激値XYZ空間、RGB空間および人間の錐体(cone)感度空間がある。正の線形色空間は、いかなる数のカラーチャネルを含んでもよい。
【0015】
デジタル化されたカラー画像のCIE三刺激値XYZ成分表現を考慮する。画像ピクセルのCIE Y値は、その相対輝度レベルを表す。各ピクセルに対し、Y値にトーンマッピング関数を適用し、XおよびZ値を以下のように調整する。
【0016】
Y’=TM(Y)
X’=(X+Xnoise)/(Y+Ynoise)×Y’
Z’=(Z+Znoise)/(Y+Ynoise)×Y’
Xnoise、YnoiseおよびZnoise項は、ノイズバランシング項であり、各カラーチャネルにおけるノイズレベルを表す小さい正の値であってもよく、あるいは、画像を表すために使用する色空間の白色点に比例する数の3つの組であってもよい。
【0017】
RGB色空間では、グリーンチャネルが、通常、人間の視覚系の相対輝度応答に最も厳密に一致するチャネルである。したがって、通常、グリーンチャネルにトーンマッピング関数を適用し、レッドおよびブルーの値を同様に調整して、RGB空間において色のベクトルの向きを一定に保つようにする。最初にグリーンチャネルをトーンマッピングするか否かは、色空間の個々のタイプによって決まる。場合によっては、グリーンチャネルの代りにレッドまたはブルーチャネルを最初にトーンマッピングしてもよい。
【0018】
図2は、カラー画像(IN)をトーンマッピングするようにプログラムされたプロセッサ210を示す。プロセッサ210は、人間の視覚系の相対輝度応答に最も厳密に一致するカラーチャネルに対してトーンマッピング関数を適用し、他のカラーチャネルのすべてに対しスケールファクタを適用する。出力画像(OUT)のピクセルは、それらの色度を維持する。プロセッサ210を、デジタルカメラ、スキャナ、プリンタ、ディスプレイおよび画像処理ソフトウェアアプリケーション等の用途で使用してもよい。プロセッサ210のソフトウェアを、コンピュータメモリ212において符号化する。
【0019】
本発明は、上述し例示した実施形態に限定されない。代りに、本発明は、添付の特許請求の範囲にしたがって解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】カラー画像に対しトーンマッピング関数を適用する方法の図である。
【図2】カラー画像に対しトーンマッピング関数を適用するプロセッサの図である。
【0001】
本発明は、カラー画像のトーンマッピングに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像は、ディスプレイRGB等の出力デバイス空間で表すことも、またはカメラRGB等の取込デバイス空間で表すことも、またはCIE三刺激値空間(tristimulus space)XYZ等のデバイス独立空間で表すことも可能である。画像におけるすべてのピクセルの相対輝度値は、その画像のトーン特性を確定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デジタルに取込まれた画像の全体の明度を、画像が表示された時に人間の眼に心地よいレベルにするために、トーンマッピングが実行される。これは、露出不足かまたは露出過度な画像に対して特に重要である。トーンマッピングは、しばしば、オリジナルデジタルレベルを新たなレベルにマップする「トーンカーブ(tone curve)」を用いて実行する。すべてのカラーチャネルに対し、同じトーンカーブを別個に適用する。トーンマッピングは単純かつ高速であり、色再現域外の色をもたらさない。しかしながら、トーンマッピングカーブを異なるカラーチャネルに対し独立して適用することにより、異なるカラーチャネルの値が互いから独立して新たな値に再マップされるため、画像によっては色歪みがもたらされる場合がある。結果として、個々のピクセルの色度が変化する可能性がある。
【0004】
したがって、ピクセルの色度を変化させずに画像トーン特性を向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
デジタル画像のピクセルは、該ピクセルの第1のカラーチャネルに対してトーンマッピング関数を適用し、それにより該第1のカラーチャネルの値がスケールファクタで変換され、該スケールファクタを該ピクセルの他のすべてのカラーチャネルに対し適用することによって処理される。該第1のカラーチャネルは人間の視覚系の相対輝度応答にもっとも厳密に一致する。
【0006】
本発明の他の態様および利点は、本発明の原理を例として示す、添付図面を使って行われる以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すると、デジタル画像のピクセルを処理する方法は、ピクセルの第1のカラーチャネルに対しトーンマッピング関数を適用するステップ(110)と、それにより第1のカラーチャネルの値がスケールファクタで変換され、そのスケールファクタをピクセルの他のすべてのカラーチャネルに適用するステップ(112)と、を含む。第1のカラーチャネルは、人間の視覚系の相対輝度応答に最も厳密に一致する。
【0008】
デジタル画像を、ALおよびAk(k=1、2、…、n−1)によって指定できるn個のチャネルを有する、線形色空間で表す。ALは、色空間において輝度関数に最も厳密に一致するチャネルを表し、Akは、色空間の他のn−1個のチャネルを表す。図1の方法を、以下のように数学的に表すことができる。
【0009】
AL’=TM(AL)
Ak’=SF(Ak) k=1、2、…、n−1
ここで、TM(・)はトーンマッピング関数であり、AL’およびAk’はカラーチャネルの変更された値であり、スケールファクタSF=AL’/ALである。ピクセルは、別個に処理される。ピクセルの1つのカラーチャネルに対してスケールファクタを確定し、それをそのピクセルの他のカラーチャネルの各々に対し適用する。いかなるトーンマッピング関数を使用してもよい。
【0010】
トーンマッピング関数により、デジタル画像の全体のトーン特性が変更される場合、画像のピクセルの色度は変化しない(異なるカラーチャネルに対し別個にトーンマッピング関数を適用する従来のトーンマッピング技術とは異なる)。図1の方法は、色度、またはAk色空間におけるベクトルの向き、または各ピクセルの色のスペクトル形状を、トーンマッピング後におよそ同様に維持し、Ak空間におけるベクトルの長さ(またはスペクトルのスケールファクタ)のみが変化する。
【0011】
ほとんどすべての画像に、ある程度のノイズが存在するため、ノイズ増幅を防止するために各チャネルにノイズバランシング項を付加してもよい。ノイズバランシング項は、画像におけるノイズの量、または画像を表すために使用する色空間の白色点の関数である、小さい正の数である。たとえば、ノイズ項を、ノイズレベル、ノイズレベルの2倍または他の何らかの値に設定してもよい。ノイズバランシング項が画像のノイズレベルに適度に近い限り、本方法は、ノイズレベルがいかにして確定されるかの変動に影響を受けない。
【0012】
ノイズバランシング項を、以下のように付加してもよい。各ピクセルに対し、ALチャネルの値に対しトーンマッピング関数を適用し、カラーチャネルの値を以下のように調整する。
【0013】
AL’=TM(AL)
Ak’=(Ak+Ak(noise))/(AL+AL(noise))×AL’
ノイズバランシング項の追加は、高輝度ピクセルの色度にはほとんど影響を与えないが、低輝度ピクセルに対してはノイズ増幅問題を低減するのに役立つ。また、ノイズバランシング項は、トーンカーブの非ゼロ値に対しゼロ輝度値をマップする場合に、ゼロによる除算を回避するのに有用である。
【0014】
図1の方法は、正の線形色空間で表される画像に対し適用する。正の線形色空間の例には、CIE三刺激値XYZ空間、RGB空間および人間の錐体(cone)感度空間がある。正の線形色空間は、いかなる数のカラーチャネルを含んでもよい。
【0015】
デジタル化されたカラー画像のCIE三刺激値XYZ成分表現を考慮する。画像ピクセルのCIE Y値は、その相対輝度レベルを表す。各ピクセルに対し、Y値にトーンマッピング関数を適用し、XおよびZ値を以下のように調整する。
【0016】
Y’=TM(Y)
X’=(X+Xnoise)/(Y+Ynoise)×Y’
Z’=(Z+Znoise)/(Y+Ynoise)×Y’
Xnoise、YnoiseおよびZnoise項は、ノイズバランシング項であり、各カラーチャネルにおけるノイズレベルを表す小さい正の値であってもよく、あるいは、画像を表すために使用する色空間の白色点に比例する数の3つの組であってもよい。
【0017】
RGB色空間では、グリーンチャネルが、通常、人間の視覚系の相対輝度応答に最も厳密に一致するチャネルである。したがって、通常、グリーンチャネルにトーンマッピング関数を適用し、レッドおよびブルーの値を同様に調整して、RGB空間において色のベクトルの向きを一定に保つようにする。最初にグリーンチャネルをトーンマッピングするか否かは、色空間の個々のタイプによって決まる。場合によっては、グリーンチャネルの代りにレッドまたはブルーチャネルを最初にトーンマッピングしてもよい。
【0018】
図2は、カラー画像(IN)をトーンマッピングするようにプログラムされたプロセッサ210を示す。プロセッサ210は、人間の視覚系の相対輝度応答に最も厳密に一致するカラーチャネルに対してトーンマッピング関数を適用し、他のカラーチャネルのすべてに対しスケールファクタを適用する。出力画像(OUT)のピクセルは、それらの色度を維持する。プロセッサ210を、デジタルカメラ、スキャナ、プリンタ、ディスプレイおよび画像処理ソフトウェアアプリケーション等の用途で使用してもよい。プロセッサ210のソフトウェアを、コンピュータメモリ212において符号化する。
【0019】
本発明は、上述し例示した実施形態に限定されない。代りに、本発明は、添付の特許請求の範囲にしたがって解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】カラー画像に対しトーンマッピング関数を適用する方法の図である。
【図2】カラー画像に対しトーンマッピング関数を適用するプロセッサの図である。
Claims (4)
- デジタル画像のピクセルを処理する装置であって、
前記ピクセルのうち人間の視覚系の相対輝度応答にもっとも厳密に一致している第1のカラーチャネルに対しトーンマッピング関数を適用し、それにより該第1のカラーチャネルの値がスケールファクタで変換され、該スケールファクタを前記ピクセルの他のすべてのカラーチャネルに対し適用するプロセッサを有する、デジタル画像のピクセルを処理する装置。 - 前記デジタル画像は正の線形色空間で表される、請求項1に記載の装置。
- 前記プロセッサは、前記他のカラーチャネルに対してスケールファクタを計算する場合にノイズバランシング項を付加する、請求項1に記載の装置。
- 前記ピクセルは別個に処理され、それによりスケールファクタは各ピクセルに特定的である、請求項1に記載の装置。
Applications Claiming Priority (2)
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US09/945,094 US6894720B2 (en) | 2001-08-30 | 2001-08-30 | Method and apparatus for applying tone mapping functions to color images |
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2002
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