JP2005500806A - CpGに基づく免疫アゴニスト/免疫アンタゴニストの高スループットスクリーニングのためのプロセス - Google Patents
CpGに基づく免疫アゴニスト/免疫アンタゴニストの高スループットスクリーニングのためのプロセス Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、マウスTLR9およびマウス特異的アミノ酸を含む関連TLR9、ならびにこれらのポリペプチドをコードする核酸に関する。本発明はまたマウスTLR9のフラグメントおよびマウスTLR9の生物学的に機能的な改変体を含む。本発はさらに、免疫刺激CpG核酸のアゴニストおよびアンタゴニストについてのスクリーニング方法における、このようなマウスTLR9核酸およびマウスTLR9ポリペプチド、ならびに非マウスTLR9核酸および非マウスTLR9ポリペプチドなどを用いる方法に関する。マウスTLR9の発現または機能を阻害することによりマウスTLR9活性を阻害するマウスTLR9インヒビターもまた、含まれる。
Description
【0001】
(関連出願)
本発明は、米国仮出願60/233,035(2000年9月15日出願);米国仮出願60/263,657(2001年1月23日出願);米国仮出願60/291,726(2001年5月17日出願);および米国仮出願60/300,210(2001年6月22日出願)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、免疫刺激核酸によるシグナル伝達に関する。
【0003】
(発明の背景)
細菌DNAは、強力な免疫調節物質である。Yamamoto Sら、Microbiol Immunol 36:983−997(1992)。病原体由来のリガンドが、宿主の生得免疫応答および適応免疫応答を開始する未同定の病原体認識レセプターによって認識されるとの仮説が立てられている。Wagner H,Adv Immunol 73:329−368(1999)。CpGモチーフを含有するオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)は、細菌DNAの生物学を模倣し得る。Krieg AMら、Nature 374:546−549(1995)。CpG ODNおよびDNAベクターは、近年、免疫刺激性の、造血特性およびアジュバント特性に起因して、臨床的な価値が示されている。
【0004】
適応免疫系は、リコンビナーゼ活性化遺伝子(RAG−1およびRAG−2)の前駆物を保有するトランスポゾンが、初期の顎のある脊椎動物の生殖細胞系に挿入された、約4億5000万年前に現れた。Agarwal A.ら、Nature 394:744(1998)。適応免疫応答を開始する能力によって、生物は、既に遭遇した病原を記憶することが可能となり、そして天然の選択によって、適応免疫応答が脊椎動物の実質的に普遍の特徴となった。しかし、このことによって、宿主防御の以前の形態である生得免疫系の放棄は導かれなかった。実際、この宿主防御の以前の形態は、同時刺激分子の発現を制御することによって、最初の適応免疫応答を刺激し、そしてこれを指向させるという、第2の機能をはたらくように選択される。
【0005】
この10年間、生得免疫系の細胞が、細菌病原体と関連する保存された分子パターンに対するレセプターを保有すると推定されている。このモデルに従って、病原体由来のタンパク質抗原がプロセスされ、そして特定のT細胞応答に対する刺激物として作用するペプチドとして提示される場合、抗原提示細胞上のパターン認識レセプター(PRR)もまた、同時刺激分子、サイトカイン、およびケモカインの合成を誘導する。これらの活性化された抗原提示細胞は、全ての適応免疫応答に必須である抗原特異的T細胞を誘引し、かつこれを活性化するように作用する。Janeway CAJ,Cold Spring Harbor Symp Quant Biol 54:1(1989);Fearon DTら、Science 272:50(1996);およびMedzhitov Rら、Cell 91:295(1997)。同時刺激を誘導し得る物質として、細菌リポ多糖(LPS)、合成二本鎖RNA、グリカンおよびマンナンが挙げられ得ることは公知であった。さらに、実験の証拠によって、T細胞に対するプロセスされた抗原リガンドが、同時刺激分子と同じ細胞上にあることが、示された。このことは、自己寛容を維持することに関して非常に重要なことであり;同時刺激分子の傍観者的な提示は、寛容が、感染が生じたときは必ず失われるということを意味する。
【0006】
このモデルを検証するためには、病原体リガンドが結合した際に、同時刺激分子およびサイトカインの産生を導くシグナル伝達カスケードを開始する、細菌パターンに対するレセプターを同定する必要があった。マンノース結合タンパク質(MBP)のような分子は、この役割について適任ではない。なぜなら、このような分子は、タンパク質分解カスケードを活性化するか、または食作用を促進するが、同時刺激を誘導することは知られていないからである。飛躍的な進歩によって、最初にcDNAとしてクローニングされ、そして後にhTLR4(ヒトToll様レセプター)と命名された、Drosophila Tollのヒトホモログの同定がもたらされた。Medzhitov Rら、Nature 388:394(1997);Rock FLら、Proc Natl Acad Sci USA 95:588(1998);Chaudhary PMら、Blood 91:4020−4027(1998)。
【0007】
Toll様レセプター(TLR)は、病原体認識および生得免疫系の活性化を促進する、生殖細胞系にコードされる膜貫通タンパク質のファミリーである。Hoffmann JAら、Science 284、1313−1318(1999);Rock FLら、Proc Natl Acad Sci USA 95:588−593(1998)。TLRは、保存された病原体由来リガンドとかみ合い、そして引き続いてTLR/IL−1Rシグナル伝達経路を活性化して、種々のエフェクター遺伝子を誘導する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253−258(1998);Muzio Mら、J Exp Med 187:2097−2101(1998)。
【0008】
現在までに、10個の異なる哺乳動物TLRが記載されている。Rock FLら、Proc Natl Acad Sci USA 95:588−593(1998);Chaudhary PMら、Blood 91:4020−4027(1998);Takeuchi Oら、Gene 231:59−65(1999);Aderem A.ら、Nature 406:782−7(2000)。現在までに、遺伝子データによって、TLRが特有な機能を有し、かつ豊富には存在しないことが示唆されている。これらTLRのほとんどに対するリガンドおよびこれらTLRのほとんどの機能は、TLR2およびTLR4以外、解明されるべきままである。
【0009】
LPS結合およびシグナル伝達レセプター複合体が、CD14(グリコシル−ホスホイノシトールテイルによって細胞表面に保持された末梢膜タンパク質)に結合したLPSとhTLR4が相互作用する場合に、集合することが明らかとなっている。LPS結合タンパク質(LBP)の存在は、シグナル伝達をさらに増大させる。hTLR4タンパク質は、LPSと複合体化するCD14と相互作用するロイシンリッチ反復配列をその細胞外ドメインの中に有する。次いで、TLR4は、膜を介してLPSシグナルを伝達する。なぜなら、この遺伝子の破壊的な変異が、マウスにおいてLPS非応答性状態を導くからである。そしてこのことはまた、グラム陰性細菌のクリアランスにおいて欠損している。Poltorak Aら、Science 282:2085(1998);Qureshi STら、J Exp Med 189:615−625(1999);Eden CSら、J Immunol 140:180(1988)。ヒトが、(ハエと同様に)多数のToll様レセプター(TLR)を有することが明らかになっている。
【0010】
TLR4および他のTLRは、細胞質Toll/IL−1レセプター(TIR)相同性ドメインを有する。このドメインは、TIRドメインの類似:類似相互作用によってTLR4と相互作用するアダプタータンパク質(MyD88)上の類似のドメインと通じる。次の相互作用は、そのそれぞれの「死のドメイン」と介する、アダプターとキナーゼとの間の相互作用である。このキナーゼは、次に、腫瘍壊死因子(TNF)レセプター関連因子6(TRAF6)と相互作用する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253(1998);Kopp EBら、Curr Opin Immunol 11:15(1999)。TRAF6の後、2つの連続したキナーゼ活性化工程が、阻害タンパク質IκBのリン酸化、およびNF−κBからのIκBの分離を導く。この最初のキナーゼは、NF−κB誘導キナーゼに対する、NIKとして公知の有糸***促進因子活性化キナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKK)である。このキナーゼの標的は、2つの鎖(IκBキナーゼα(IKKα)およびIκBキナーゼβ(IKKβ)と称される)から構成される別のキナーゼであり、これは、IκBをリン酸化するIKKα:IKKβのヘテロダイマーを一緒に形成する。NF−κBは核に転移し、そのプロモーターおよびエンハンサー中にκB結合部位を有する遺伝子(例えば、インターロイキン−1β(IL−1β)、IL−6、IL−8、IL−12のp40タンパク質、ならびに同時刺激分子であるCD80およびCD86をコードする遺伝子)を活性化する。
【0011】
CpG DNAに応答するこの型の細胞(B細胞、樹状細胞(DC)およびマクロファージ)はまた、病原体由来のパターンを認識する他の因子(例えば、LPS)によって刺激される。一般的に、生得免疫系のPRRは、細胞表面上に位置し、この場所でPRRはおそらく、微生物を最適に検出することができる。DNAに結合する細胞表面タンパク質は十分に記載され、そしてCpGモチーフによって免疫活性化を媒介すると考えられている(Liang Hら、J Clin Invest 98:1119−1129(1998))が、この結合は、配列非依存的であり、そして細胞の活性化をもたらさない。Krieg AMら、Nature 374:546−549(1995);Yamamoto Tら、Microbiol Immunol 38:831−836(1994);Hacker Hら、EMBO J 17:6230−6240(1998)。細胞取り込みを防ぐために固定化されたCpG ODNは非刺激性であるので(Krieg AMら、Nature 374:546−549(1995);Manzel Lら、Antisense Nucleic Acid Drug Dev 9:459−464(1999))、CpG ODNはおそらく、細胞内レセプターに結合することによって作用するようである。この仮説の支持するものとして、ODNのエンドソーム酸性化/ODNのプロセシングを妨害するクロロキンのような薬物は、CpG DNAの免疫刺激効果を特異的にブロックする。Hacker Hら、EMBO J 17:6230−6240(1998);Macfarlane DEら、J Immunol 160:1122−1131(1998);Yi AKら、J Immunol 160:4755−4761(1998)。エンドソーム工程は、CpG誘導シグナル伝達経路に欠かせないと考えられている。Hacker Hら、EMBO J 17:6230−6240(1998);Yi AKら、J Immunol 160:4755−4761(1998)。細菌DNAの非メチル化CpGモチーフ中に含まれる情報が遺伝子発現における変化をどのように誘発するかということは、これまでに明らかにされていない。
【0012】
細菌DMAに対するレセプターが未知なので、直接的な結合分析を介した最適なCpGモチーフについてのスクリーニングの開発は、制限されている。さらなる複雑化は、CpG配列に対する種特異的選択性、すなわち、1つの種についての最適配列が、別の種について最適ではないかもしれない、ということである。
【0013】
(発明の要旨)
マウスの3つのToll様レセプター(Toll様レセプター7(TLR7)、TLR8、およびTLR9)をコードする核酸が、本発明者らによってここで同定され、単離され、クローニングされ、そして配列決定された。本発明は、一般的に、TLRをコードする単離された核酸分子およびこれらの核酸分子の単離されたフラグメント;単離されたTLRポリペプチドおよびこれらのポリペプチドの単離されたフラグメント;上記の核酸分子を含む発現べベクター;上記の発現ベクターを有する宿主細胞;TLRポリペプチドおよびそのフラグメントを含む融合タンパク質;ならびに、これらのTLRと相互作用する因子(特に、これらのTLR分子の発現を変更し、そしてこれらのTLR分子と関連するシグナル伝達を変更する、因子)を同定、比較、および最適化するのに有用なスクリーニング方法を提供する。好ましい実施形態において、スクリーニング方法は、高スループットのスクリーニング方法である。
【0014】
本発明は、いくつかの局面において、TLR9が、免疫刺激核酸(ISNA)誘導性の免疫刺激に関与するという驚くべき発見から生じている。本発明はまた、一部、TLR9が、配列特異的様式および種特異的様式の両方で、ISNAに応答した免疫活性化シグナルを変換するという驚くべき発見から生じている。
【0015】
第一の局面において、本発明は、全長マウスTLR9をコードする単離された核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従って、以下:(a)ストリンジェントな条件下で配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズする、核酸分子であって、この核酸分子は、配列番号3に記載アミノ酸配列を有するマウスTLR9をコードする、核酸分子;(b)遺伝暗号の縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる、核酸分子;ならびに(c)(a)または(b)の相補体、からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される。特定の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号3をコードし、ここで、配列番号3は、全長マウスTLR9の推定アミノ酸配列を示す。いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列を含み、ここで、これらは、それぞれ、マウスTLR9の全長cDNAおよびオープンリーディングフレームに対応する。
【0016】
本明細書中に使用される場合、用語「ストリンジェントな条件」は、塩、温度、有機溶媒、および必要に応じて当業者が精通する他の因子を含むパラメーターに基づく、組み合わせた条件をいう。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、このような方法を編集する参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambrookら、編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら、編、John Wiley & Sons,Inc.、New York)中に見出され得る。より詳細には、本明細書中に使用される場合、ストリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02% Ficoll、0.02% ポリビニルピロリドン、0.02% ウシ血清アルブミン、2.5mM NaH2PO4(pH7)、0.5% SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションをいう。SSCは、0.15M 塩化ナトリウム/0.15M クエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり;そして、EDTAは、エチレンジアミンテトラ酢酸である。ハイブリダイゼーション後、DNAが転写される膜は、室温にて2×SSCで洗浄され、次いで、室温から68℃までにて0.1〜0.5×SSC/0.1×SDSを用いて洗浄される。類似のストリンジェンシーの程度を生じる使用され得る他の条件、試薬などが、存在する。当業者はこのような条件に精通し、従ってこれらをここには提供しない。しかし、本発明のマウスTLR核酸の対立遺伝子の明らかな同定を可能にする様式で、当業者がこの条件を操作し得ることが、理解される。当業者はまた、後で慣用的に単離されるような分子の発現について細胞およびライブラリーをスクリーニングするための方法論、その後の適切な核酸分子の単離および配列決定に精通する。
【0017】
第二の局面において、本発明は、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供する。単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸
【0018】
【化4】
からなる群より選択されるマウスTLR9の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、このTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、マウスTLR9の少なくとも1つのアミノ酸以外はヒトTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントと同一であるアミノ酸配列を有する。本発明この局面に従う特定の実施形態において、TLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントはさらに、配列番号3のアミノ酸949、972、975、976、994、997、1000、1003、1004、1010、1011、1018、1023、および1027からなる群より選択されるマウスTLR9の少なくとも1つのアミノ酸を含む。従って、詳細には、C末端95アミノ酸およびそのフラグメントに限定されたTLR9フラグメントが、本発明の局面から除外される。
【0019】
特定の実施形態において、本発明この局面に従うTLR9ポリペプチドおよびそのフラグメントは、上記の特定の部位における1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみヒトTLR9およびそのフラグメントと異なる、これらのTLR9ポリペプチドおよびそのフラグメントを除外する。当該分野で周知のように、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換がなされたポリペプチドの相対的な電荷も大きさの特徴も一般的に変更しない、アミノ酸置換をいう。アミノ酸の保存的置換としては、代表的に、以下の群内のアミノ酸間でなされる置換が挙げられる:ミチオニン(M)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V);フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H);アラニン(A)、グリシン(G);セリン(S)、スレオニン(T);グルタミン(Q)、アスパラギン(N);ならびにグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)。
【0020】
本発明のこの局面および本発明の他の局面に従って、TLR「ポリペプチドおよびそのフラグメント」を参照して、「そのフラグメント」は、少なくとも約8アミノ酸長である連続するアミノ酸残基のストレッチを有する、ポリペプチドフラグメントをいう。一般的に、このフラグメントは、少なくとも約10アミノ酸長であり;より一般的には少なくとも12アミノ酸長であり;しばしば、少なくとも約14アミノ酸長であり;より頻繁には、少なくとも約16アミノ酸長であり;代表的には少なくとも18アミノ酸長であり;より代表的には、少なくとも20アミノ酸長であり;通常、少なくとも22アミノ酸長であり;そしてより通常では、少なくとも24アミノ酸長である。特定の好ましい実施形態は、例えば、全長TLRポリペプチドまでのより長いフラグメント(例えば、少なくとも約30アミノ酸長、少なくとも約40アミノ酸長、少なくとも約50アミノ酸長、少なくとも約100アミノ酸長、少なくとも約200アミノ酸長など)、および全長TLRポリペプチドよりも短い単一アミノ酸であるフラグメントを含む。
【0021】
特定の実施形態において、ヒトTLR9は、配列番号6に記載アミノ酸配列を有する。
【0022】
好ましい実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号3および配列番号3のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。本発明のこの局面に従ういくつかの実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、上記のヒトTLR9ポリペプチドおよびマウスTLR9ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0023】
特定の好ましい実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR9の細胞質外ドメイン(本明細書中、細胞外ドメインとも称される)またはその一部である。本明細書中により詳細にさらに記載されるように、TLR7、TLR8およびTLR9は、特定の構造ドメインおよび機能ドメインを有する。これらのTLRの構造ドメインとしては、細胞質外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。細胞質外ドメインは、エンドソーム/リソソーム小胞の内腔中に伸びる。細胞質ドメインとしては、Toll/インターロイキン1レセプター様ドメイン(Toll/IL−1Rドメイン、TIR相同性ドメイン、またはTIRドメインとも称される)が挙げられる。マウスTLR9において、細胞質外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインは、それぞれ、アミノ酸1〜約819、約820〜約837、ならびに約838〜約1032に対応する。
【0024】
上記のように、TLR9が、当該分野で免疫刺激核酸(ISNA)(CpG核酸を含む)と称される特定の核酸分子によって誘導される免疫活性化に関与するということが、本発明に従って発見された。ISNAのTLR9への結合は、TLR9のTIRドメインを含むシグナル伝達を導くと、本発明者らによって考えられている。従って、本発明この局面に従う特定の実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、ISNA(CpG核酸であるISNAを含む)に選択的に結合する。
【0025】
免疫刺激核酸(例えば、CpG核酸)と相互作用すると本発明者らによって考えられている細胞質外ドメインの一部である、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントもまた、本発明のこの局面に従って含まれる。特定の実施形態において、このような部分としては、配列番号126、127、210、および211のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む。特定の実施形態において、本発明者らによって免疫刺激核酸と相互作用すると考えられている細胞質外ドメインの部分としては、配列番号196、197、および198のいずれか1つに記載のCXXCモチーフが挙げられる。
【0026】
本発明の第三の局面に従って、上記の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子が提供される。本発明のこの局面に従う単離された核酸分子は、詳細には、以下のGenBank登録番号:
【0027】
【化5】
によって同定される特定の発現配列タグ(EST)を除外する。
【0028】
第四の局面において、本発明は、全長マウスTLR7をコードする単離された核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従って、以下:(a)ストリンジェントな条件下で配列番号173に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズする、核酸分子であって、この核酸分子は、配列番号175に記載アミノ酸配列を有するマウスTLR7をコードする、核酸分子;(b)遺伝暗号の縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる、核酸分子;ならびに(c)(a)または(b)の相補体、からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される。特定の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号175をコードし、ここで、配列番号175は、全長マウスTLR7の推定アミノ酸配列を示す。いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号173または配列番号174のヌクレオチド配列を含み、ここで、これらは、それぞれ、マウスTLR7の全長cDNAおよびオープンリーディングフレームに対応する。
【0029】
第五の局面において、本発明は、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供する。単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号175のアミノ酸
【0030】
【化6】
からなる群より選択されるマウスTLR7の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、このTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、マウスTLR7の少なくとも1つのアミノ酸以外はヒトTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントと同一であるアミノ酸配列を有する。
【0031】
特定の実施形態において、本発明のこの局面に従うTLR7ポリペプチドおよびそのフラグメントは、上記の特定の部位における1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみヒトTLR7およびそのフラグメントと異なる、これらのTLR7ポリペプチドおよびそのフラグメントを除外する。
【0032】
特定の実施形態において、ヒトTLR7は、配列番号170に記載アミノ酸配列を有する。
【0033】
好ましい実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号175および配列番号175のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。本発明のこの局面に従ういくつかの実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、上記のヒトTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR7ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0034】
特定の好ましい実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR7の細胞質外ドメインまたはその一部である。本発明のこの局面による特定の実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、ISNA(CpG核酸であるISNAを含む)に選択的に結合する。本発明のこの局面によれば、CpG核酸のような免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの一部である、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントもまた含まれる。特定の実施形態において、このような部分は、配列番号203、配列番号204、配列番号212、および配列番号213のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む。特定の実施形態において、免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの部分は、配列番号196、配列番号199、および配列番号200のいずれか1つに記載のCXXCモチーフを含む。
【0035】
本発明の第六の局面によれば、上記単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子が提供される。本発明のこの局面による、単離された核酸分子は、以下のGenBank登録番号によって同定される、特定のESTを特に排除する:
【0036】
【化7】
本発明の第七の局面において、本発明は、マウス全長TLR8をコードする、単離された核酸分子を提供する。本発明のこの局面によれば、以下からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される:(a)配列番号190に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、そして配列番号192に記載のアミノ酸配列を有するマウスTLR8をコードする、核酸分子;(b)遺伝コードの縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる核酸分子;および(c)(a)または(b)の相補体。特定の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号192をコードし、ここで配列番号192は、マウス全長TLR8の推定アミノ酸配列を表す。いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号190または配列番号191のヌクレオチド配列を含み、ここでこれらは、マウスTLR8の全長cDNAおよびオープンリーディングフレームにそれぞれ対応する。
【0037】
本発明は、第八の局面において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供する。単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号192のアミノ酸:
【0038】
【化8】
からなる群より選択されるマウスTLR8の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、TLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、このマウスTLR8の少なくとも1つのアミノ酸を除いて、ヒトTLR8ポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有する。
【0039】
特定の実施形態において、本発明によるTLR8ポリペプチドおよびそのフラグメントは、上記特定の部位において、1つ以上の保存的アミノ酸置換のみによって、ヒトTLR8およびそのフラグメントと異なる、TLR8ポリペプチドおよびそのフラグメントを排除する。
【0040】
特定の実施形態において、ヒトTLR8は、配列番号184に記載のアミノ酸配列を有する。
【0041】
好ましい実施形態において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号192および配列番号192のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。本発明のこの局面によるいくつかの実施形態において、単離されたTLR8ペプチドまたはそのフラグメントは、上記ヒトTLR8ポリペプチドとマウスTLR8ポリペプチドとの組み合わせを含む。
【0042】
特定の好ましい実施形態において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR8の細胞質外ドメインまたはその一部である。本発明のこの局面による特定の実施形態において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、ISNA(CpG核酸であるISNAを含む)と特異的に結合する。本発明のこの局面によれば、CpG核酸のような免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの一部である、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントもまた含まれる。特定の実施形態において、このような部分は、配列番号205、配列番号206、配列番号214、および配列番号215のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む。特定の実施形態において、免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの部分は、配列番号196、配列番号201、および配列番号202のいずれか1つに記載のCXXCモチーフを含む。
【0043】
本発明の第九の局面によれば、上記単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子が提供される。本発明のこの局面による、単離された核酸分子は、以下のGenBank登録番号によって同定される、特定のESTを特に排除する:
【0044】
【化9】
さらなる局面において、本発明は、プロモーターに作動可能に結合した、上記単離された核酸分子を含む、TLR発現ベクターを提供する。従って、TLR9に関する特定の実施形態において、この発現ベクターは、プロモーターに作動可能に結合した、本発明の第一の局面または第三の局面による、単離された核酸分子を含む。TLR7に関する他の実施形態において、この発現ベクターは、プロモーターに作動可能に結合した、本発明の第四の局面または第六の局面による、単離された核酸分子を含む。TLR8に関するなお他の実施形態において、この発現ベクターは、プロモーターに作動可能に結合した、本発明の第七の局面または第九の局面による、単離された核酸分子を含む。
【0045】
本発明のこの局面による発現ベクターは、これらが適切な条件下で細胞に組み込まれる場合に、組み込まれた単離された核酸分子によってコードされる遺伝子産物の発現を指向するように、設計および構築される。例えば、プロモーターは、構成的に活性であり得るか、またはこのプロモーターは、適切な誘発因子化合物もしくは抑制因子化合物との相互作用の際に、誘導性または抑制性であり得る。
【0046】
別の局面によれば、本発明のTLR発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。任意の適切な方法が使用され得るが、発現ベクターは、代表的に、トランスフェクションまたは形質転換によって、細胞に導入される。TLR発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞は、いくつかの実施形態において、別のポリペプチドの発現のために有用な別の発現ベクターと、同時形質転換または同時トランスフェクトされる。あるいは、宿主細胞は、本発明のTLRポリペプチドまたはそのフラグメント、ならびに(i)少なくとも1つのさらなるTLRポリペプチドまたはそのフラグメント、あるいは(ii)少なくとも1つの非TLRポリペプチドまたはそのフラグメントの発現を指向し得る発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされ得る。特定の好ましい実施形態において、この宿主細胞は、TLR7 TLR8、およびTLR9の任意の組み合わせに対する別個の発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、同時形質転換または同時トランスフェクトされた発現ベクターは、TLR発現またはTLR関連シグナル伝達の検出または調節のために、有用であり得る。具体的には、特定の好ましい実施形態において、この宿主細胞は、TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物を提供する発現ベクターを含む。
【0047】
別の局面において、本発明は、本発明の単離されたTLRポリペプチドおよびそのフラグメントを選択的に結合する薬剤を提供する。特定の実施形態において、この薬剤は、ヒトTLRポリペプチドまたはそのフラグメントに結合せず、ここでヒトTLRは、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される。特定の実施形態において、この薬剤はポリペプチドであり、好ましくは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab’)2抗体フラグメント、Fv抗体フラグメント、CDR3領域を含む抗体フラグメント、および融合タンパク質、ならびに任意のこのような抗体または抗体フラグメントを含む、他のポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドである。
【0048】
上記単離された核酸分子を選択的に結合する薬剤もまた、提供され、この核酸分子は、好ましくは、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、上記単離された核酸分子のいずれ環選択的に結合する、アンチセンス核酸分子である。いくつかの実施形態において、この薬剤は、本発明の第一、第三、第四、第五、第六、および第八の局面のいずれかによって提供される単離された核酸分子に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子である。特定の好ましい実施形態において、この薬剤は、本発明の第一、第三、第四、第五、第六、および第八の局面のいずれかによって提供される単離された核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を有する、単離された核酸分子である。
【0049】
本発明のなお他の局面において、細胞においてTLR発現およびTLRシグナル伝達を阻害するための方法が、提供される。この方法は、この細胞を、この細胞におけるTLR発現およびTLRシグナル伝達を阻害するに効果的な量の薬剤と接触させる工程を包含し、ここで、このTLRは、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、この細胞と接触される薬剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab’)2抗体フラグメント、Fv抗体フラグメント、CDR3領域を含む抗体フラグメント、および融合タンパク質、ならびに任意のこのような抗体または抗体フラグメントを含む、他のポリペプチドからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、この細胞は、TLRに対して特異的なアンチセンス核酸と、この細胞におけるTLR発現を阻害するために効果的な量で接触される。いくつかの実施形態において、この細胞は、サイトカインまたは低分子のような薬剤と、この細胞におけるTLR発現を阻害するために効果的な量で接触される。
【0050】
なお別の局面において、本発明は、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントと相互作用する核酸分子を同定するための方法を提供する。この方法は、TLR7、TLR8、TLR9、およびその核酸結合フラグメントからなる群より選択されるTLRポリペプチドを、試験核酸分子と接触させる工程;ならびにこの試験核酸分子とTLRポリペプチドまたはそのフラグメントとの相互作用を測定する工程を包含する。TLRの核酸結合フラグメントは、好ましくは、細胞質外ドメインまたはそのサブ部分(例えば、少なくともMBDモチーフまたはCXXCモチーフ、あるいはMBDモチーフとCXXCモチーフとの両方を含むもの)を含む。
【0051】
TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR7である。同様に、TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR8である。また、TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR9である。
【0052】
TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、細胞において発現される。TLRポリペプチドまたはそのフラグメントを発現する細胞は、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントを天然に発現し得るか、あるいは本発明の他の局面によって提供されるような宿主細胞であり得る。
【0053】
TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法を包含する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、単離されたTLRポリペプチドまたはそのフラグメントである。特定の好ましい実施形態において、この単離されたTLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、固体支持体(例えば、マルチウェルプレート、スライド、BIAcoreチップ、ビーズ、カラムなど)に固定されている。この固定は、本発明の方法によって実施されるアッセイの目的に適切な、任意の化学的方法または物理的方法によって、達成され得る。
【0054】
特定の実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、抗体のFcフラグメントと融合している。このような融合分子のFcフラグメント部分は、例えば、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントを基質に付着させるため、あるいはTLRポリペプチドまたはそのフラグメントの存在を検出するための標的を提供するために、有用であり得る。Fcフラグメントは、任意の適切な脊椎動物種から選択され得、そして代表的に、IgGクラスの抗体に属する抗体由来であるが、このことは必須ではない。例えば、Fcは、ヒトFcγまたはマウスFcγであり得る。特定の実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントとFcフラグメントとの間の接合部またはその近くに特異的な切断部位を伴って、抗体のFcフラグメントと融合する。1つの好ましい実施形態において、この切断部位は、トロンビンプロテアーゼ認識部位である。好ましい実施形態において、Fcフラグメントと融合したTLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR細胞質外ドメインを含む。
【0055】
特定の実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントおよび試験核酸分子が関与する相互作用は、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントと、試験核酸分子との間の結合である。
【0056】
本発明のこの局面による特定の実施形態において、この測定は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、生体分子相互作用アッセイ(BIA)、電気移動性シフトアッセイ(EMSA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、およびウェスタンブロットからなる群より選択される方法によって達成される。
【0057】
特定の実施形態において、この測定は、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程を包含する方法によって、達成される。例えば、TLRシグナル伝達毛色によって媒介される応答は、NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子の誘導、およびサイトカインの分泌からなる群より選択され得る。特定の好ましい実施形態において、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子は、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される。特定の好ましい実施形態において、分泌されるサイトカインは、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される。
【0058】
別の実施形態において、本発明のこの局面による方法は、試験核酸分子が免疫刺激性核酸であるか否かを決定するために使用され得る。この方法は、(a)試験核酸分子の存在下で測定される場合の、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)試験核酸分子の非存在下で測定される場合の、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答とを比較する工程;および(a)が(b)を超える場合に、この試験核酸分子が免疫刺激的核酸であると決定する工程を、さらに包含する。
【0059】
なお別の実施形態において、本発明のこの局面による方法は、試験核酸分子に対する応答が、参照核酸分子に対する応答より強いか弱いかを決定するために、使用され得る。この方法は、この応答を、TLRポリペプチドが参照核酸分子に独立して接触された場合の参照応答と比較する工程;およびこの応答が参照応答より強いか弱いかを決定する工程を、さらに包含する。この実施形態において、この試験核酸分子および参照核酸分子は、競合も相互作用も起こし得ない。例えば、参照応答は、並行コントロールまたは歴史的コントロールであり得る。
【0060】
別の実施形態において、この方法は、この応答を、TLRポリペプチドが参照核酸分子と並行的に接触される場合の参照応答と比較する工程;およびこの応答が参照応答より強いか弱いかを決定する工程を、さらに包含する。この実施形態において、試験核酸分子および参照核酸分子は、潜在的に、競合または相互作用し得る。なぜならこれらは、たとえば単一の反応において、両方が存在するからである。
【0061】
別の局面において、本発明は、免疫刺激的核酸を同定するためのスクリーニング方法を提供する。この局面による方法は、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験核酸分子と接触させる工程;この機能的TLRと試験核酸分子との間の相互作用の結果として発生する、試験核酸分子の存在下での、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在または非存在を決定する工程;およびTLRシグナル媒介経路によって媒介される応答の存在が検出される場合に、その試験核酸分子がISNAであると決定する工程を包含する。機能的TLRとは、リガンドと結合し得、そしてこの結合の結果として、少なくとも1つの工程またはさらなるポリペプチドが、このTLRシグナル伝達経路に関与する、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントをいう。
【0062】
1つの実施形態において、本発明のこの局面による方法は、(a)機能的TLRと試験核酸分子との間の相互作用の結果として生じる、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)機能的TLRと参照ISNAとの間の相互作用の結果として生じる応答とを比較する、さらなる工程を包含する。本発明のこのスクリーニングアッセイおよび他のスクリーニングアッセイにおいて、好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、複数の試験核酸に対して実施される。特定の好ましい実施形態において、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、定量的に測定され、そしてTLRシグナル伝達経路によって媒介される、複数の試験核酸分子の各々に付随する応答は、機能的TLRと参照ISNAとの間の相互作用の結果として生じる応答と比較される。
【0063】
特定の好ましい実施形態において、複数の試験核酸分子のサブセットは、そのサブセットが、TLRシグナル伝達経路によって媒介される特異的応答を生じる能力に基づいて、選択される。例えば、特定の応答は、特定のサイトカインまたはサイトカインのパネル(例えば、Th1サイトカイン)の誘導、あるいは特定のサイトカインまたはサイトカインのパネル(例えば、Th2サイトカイン)の阻害であり得る。特定の応答は、特定のクラスまたはサブクラスの抗体、あるいは抗体のクラスまたはサブクラスのパネル(例えば、Th1関連抗体またはTh2関連抗体)の、誘導あるいは阻害であり得る。いくつかの実施形態における特異的応答は、特定の型の免疫細胞(例えば、B細胞、樹状細胞(DC)、およびナチュラルキラー(NK)細胞)の活性化または阻害であり得る。いくつかの実施形態において、特異的応答は、特定の型の免疫細胞(例えば、B細胞、T細胞、NK細胞、樹状細胞、単球/マクロファージ)の増殖の誘導または阻害であり得る。従って、複数の試験核酸のサブセットは、このサブセットの試験核酸と、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の特定の型との間の、共通の関連に基づいて、選択される。TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の特定の型は、代表的に、免疫細胞応答であるが、このことは必須ではない。
【0064】
特定の実施形態において、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子の誘導、およびサイトカインの分泌からなる群より選択される。特定の好ましい実施形態において、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子は、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される。特定の好ましい実施形態において、サイトカインは、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される。
【0065】
特定の好ましい実施形態において、参照ISNAは、CpG核酸である。
【0066】
特定の好ましい実施形態において、試験核酸分子は、CpG核酸である。
【0067】
機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する本発明のこの局面および他の局面によれば、いくつかの実施形態において、この機能的TLRは、細胞において発現される。いくつかの実施形態において、この機能低TLRは、細胞によって天然に発現される。特定の好ましい実施形態において、この細胞は、機能的TLRを天然に発現する、単離された哺乳動物細胞である。細胞がTLRを天然に発現するのであっても、細胞が、プロモーターに作動可能に結合したTLRをコードする単離された核酸分子を有する、TLRを発現するベクターが、この細胞に導入されたことに起因して発現するのであっても、いくつかの実施形態において、この細胞はさらに、プロモーターに作動可能に連結した、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択されるレセプターをコードする単離された核酸分子を含む発現ベクターを、さらに含む。
【0068】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、この機能的TLRは、無細胞系の一部である。
【0069】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、この機能的TLRは、別のTLRとの複合体の一部である。特定の好ましい実施形態において、この複合体は、TLR9とTLR7との複合体である。特定の好ましい実施形態において、この複合体は、TLR9とTLR8との複合体である。
【0070】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、この機能的TLRは、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、NF−κB、ならびにその機能的ホモログおよび誘導体からなる群より選択される非TLRとの、複合体の一部である。
【0071】
さらに、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子の誘導、およびサイトカインの分泌からなる群より選択される。
【0072】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子は、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される。
【0073】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、分泌されるサイトカインは、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される。
【0074】
さらなる局面において、本発明は、試験化合物のTLRシグナル伝達活性を、ISNAと比較するための、スクリーニング方法を提供する。この方法は、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、参照ISNAと接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される参照応答を検出する工程;TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験化合物と接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される参照応答を検出する工程;ならびにこの試験応答を参照応答と比較して、試験化合物のTLRシグナル伝達活性をISNAと比較する工程を包含する。
【0075】
本発明のこの局面による特定の実施形態において、参照ISNAは、CpG核酸である。
【0076】
本発明のこの局面による特定の実施形態において、試験化合物は、ポリペプチドである。特定の実施形態において、試験化合物は、化合物のコンビナトリアルライブラリーの一部である。
【0077】
特定の実施形態において、機能的TLRは、参照ISNAおよび試験化合物と、独立して接触される。従って、特定の実施形態において、このスクリーニング方法は、ISNA模倣物を同定するための方法であり、そして試験応答が、参照ISNAを用いて得られた参照応答と類似している場合には、その試験化合物はISNA模倣物であると決定される。試験応答と参照応答とが、定量的に類似しない場合でさえも、定性的に類似である場合に、試験応答は、参照応答に類似である。従って、例えば、試験応答および参照応答は、両方の応答がTh−1様免疫応答の誘導を含む場合に、類似であるとみなされる。試験応答は、参照応答より定性的に低いか、およそ同じであるか、またはより大きくあり得る。
【0078】
特定の他の実施形態において、機能的TLRは、参照ISNAおよび試験化合物と接触されて、TLRシグナル伝達経路によって媒介される試験−参照応答を連続的に発生させ、ここで、試験−参照応答は、参照応答と比較され得る。特定の好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、ISNAアゴニストを同定するための方法であり、ここで、試験−参照応答が参照応答より大きい場合には、その試験化合物は、ISNAアゴニストである。特定の好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、ISNAアンタゴニストを同定するための方法であり、ここで、試験−参照応答が参照応答より小さい場合には、その試験化合物は、ISNAアンタゴニストである。
【0079】
さらなる局面において、本発明は、ISNAに特異的な種を同定するためのスクリーニング方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される、第一種の機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される、第二種の機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程;第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程;ならびに(a)第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答とを比較する工程を包含する。好ましい実施形態において、第一種のTLRは、第二種のTLRに対応する。例えば、第一種のTLRは、ヒトTLR9であり、そして第二種のTLRは、マウスTLR9である。特定の実施形態において、機能的TLRは、先に記載されたように、細胞において発現されても、無細胞系の一部であっても、別のTLRまたは非TLRタンパク質との複合体の一部であってもよい。
【0080】
なお別の局面において、本発明は、TLR9シグナル伝達活性に関連する疾患の処置において有用な、薬理学的薬剤のためのリード化合物を同定するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の第二の局面において提供されたような、TLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントを含む細胞を提供する工程;候補薬理学的薬物の非存在下では、第一の量のTLR9シグナル伝達活性を引き起こす条件下で、この細胞を候補薬理学的薬剤と接触させる工程;ならびにTLR9シグナル伝達活性に対する薬理学的薬剤の影響の測定値として、TLR9シグナル伝達活性の第二の量を決定する工程であって、ここで、第一の量より少ない、第二の量のTLR9シグナル伝達活性は、その候補薬理学的薬物が、TLR9シグナル伝達活性を減少させる薬理学的薬剤のためのリード化合物であること、および第一の量より多い、第二の量のTLR9シグナル伝達活性は、その候補薬理学的薬物が、TLR9シグナル伝達活性を増加させる薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを決定する工程を、包含する。
【0081】
本発明のこれらおよび他の局面を、以下にさらに詳細に記載する。
【0082】
(選択した配列の簡単な説明)
配列番号1は、マウスTLR9のcDNAをコードするヌクレオチド配列である。
【0083】
配列番号2は、マウスTLR9のコード領域をコードするヌクレオチド配列である。
【0084】
配列番号3は、配列番号1によってコードされるマウスTLR9のアミノ酸配列である。
【0085】
配列番号173は、マウスTLR7のcDNAをコードするヌクレオチド配列である。
【0086】
配列番号174は、マウスTLR7のコード領域をコードするヌクレオチド配列である。
【0087】
配列番号175は、配列番号173によりコードされるマウスTLR7のアミノ酸配列である。
【0088】
配列番号190は、マウスTLR8のcDNAをコードするヌクレオチド配列である。
【0089】
配列番号191は、マウスTLR8のコード領域をコードするヌクレオチド配列である。
【0090】
配列番号192は、配列番号190によってコードされるマウスTLR8のアミノ酸配列である。
【0091】
(発明の詳細な説明)
1つの局面において、本発明は、マウスTLR9(本明細書中でマウス(murine)TLR9と称され、mTLR9と同等である)をコードするcDNAの同定を包含する。マウスTLR9のcDNAのヌクレオチド配列は、配列番号1と示され、マウスTLR9のcDNAのコード領域は、配列番号2と示され、そしてマウスTLR9のアミノ酸配列は、配列番号3と示される。密接に関連したヒトTLR9(hTLR9と同等)は、GenBankに、登録番号AF245704およびNM 017742として寄託された。
【0092】
配列番号1と示されるマウスTLR9のcDNAのヌクレオチド配列は、3200ヌクレオチド長であり、そして配列番号2と示されるオープンリーディングフレーム(ORF、塩基40〜3135)(これは、3096ヌクレオチドにわたる(停止コドンを除く))を含む。配列番号3と示されるマウスTLR9のアミノ酸配列は、1032アミノ酸(aa)長であり、細胞外ドメイン(aa 1〜819)、膜貫通ドメイン(aa 820〜837)、および細胞内ドメイン(aa 838〜1032)を含むと考えられる。
【0093】
従って、ヒトTLR9のアミノ酸配列(配列番号6)およびマウスTLR9のアミノ酸配列(配列番号3)の両方は、1032アミノ酸長である。マウスおよびヒトのTLR9分子の整列されたアミノ酸配列の比較により、マウスTLR9のaa 435における一塩基挿入およびヒトTLR9のaa 860における一塩基挿入が明らかとなる(以下の表4を参照のこと)。
【0094】
本明細書中で示されるポリペプチドの多くはヒトTLR9と同一であるが、マウスTLR9はいくつかの単一アミノ酸の差異を有する。これらのアミノ酸の差異は、特に、以下の配列番号3のアミノ酸である:
【0095】
【化10】
いくつかの形態において、マウスタンパク質mTLR9は、N末端にシグナル配列(アミノ酸1〜26)を含み、このシグナル配列は、小胞体へ、続く細胞表面または細胞内成分への輸送を可能にする。膜貫通領域(アミノ酸820〜837)は、このタンパク質を細胞膜に固定する。細胞質テールは、Toll/IL−1レセプター(TIR)相同性ドメインを含み、このドメインは、リガンドが結合すると、シグナル伝達の機能を果たすと考えられる。ロイシンリッチ反復(LRR)は、細胞外領域で見出され得(TLRの共通の特徴)、そしてリガンド結合または分子の二量化に関与し得る。
【0096】
マウスTLR9およびヒトTLR9の両方は、他のTLRと比較して、約180アミノ酸のN末端伸長を有する。挿入物はまた、アミノ酸253〜268で生じ、これはTLR1〜6では見出されず、ヒトTLR7およびヒトTLR8に存在する(図26を参照のこと)。この挿入は、CXXCドメインの形成に関与する2つのCXXCモチーフを有する。このCXXCドメインは、ジンクフィンガーモチーフと類似しており、そしてDNA結合タンパク質および特定の特異的CpG結合タンパク質(例えば、メチル−CpG結合タンパク質−1(MBD−1))において見出される。Fujita Nら、Mol Cell Biol 20:5107−5118(2000)。ヒトTLR9 CXXCドメインおよびマウスTLR9 CXXCドメインの両方は、aa 253〜368で生じる。
【0097】
【化11】
CpG結合に関与するさらなるモチーフは、MBDモチーフであり、これもまた、配列番号125として以下に列挙されるMBD−1において見出される。Fujita,Nら、Mol Cell Biol 20:5107−18(2000);Ohki Iら、EMBO J 18:6653−6661(1999)。hTLR9のアミノ酸524〜554およびmTLR9のaa 525〜555は、以下に示されるMBD−1のMBDモチーフに対応する:
【0098】
【化12】
MBD−1およびTLR9のシグナル伝達機能は非常に異なるが、コアD−X−YはCpG結合に関与し、そして保存される。MBDモチーフのC末端オクタマーS−XXXXXX−Yは、結合に関与し得ず、SはLR9によって保存されない。他のミスマッチは、高度に保存されるかまたは中程度に保存される;例えば、RからKまたはRからQ。これらの変化は、MBD−1をメチル−CpGバインダーとして説明し得、そしてTLR9を非メチル−CpGバインダーとして説明し得る。マウスTLR9とヒトTLR9との間の差異は、CpGモチーフ配列の選択性における種間の差異を説明し得る。種間の配列選択性については、図14を参照のこと。
【0099】
以下の実施例11において議論され、そして図22および23に示されるように、MBDモチーフのD−X−Yコアは、mTLR9(aa 535〜537)およびhTLR9(aa 534〜536)の両方において、D−L−Yとして生じる。D−X−YコアにおけるDのAでの置換およびYのAでの置換は、D−L−Yの代わりにA−L−Aを生じ、この置換は、mTLR9およびhTLR9のレセプター活性を同様に破壊する。
【0100】
1つの局面において、本発明はマウスTLR9の核酸およびポリペプチド、ならびにそれに関連する治療剤を包含する。本発明はまた、上記の核酸およびポリペプチドの、単離された機能的に等価な改変体、有用なアナログおよびフラグメント;上記の核酸の相補体;ならびに上記の核酸およびポリペプチドに選択的に結合する分子に関する。
【0101】
本発明のマウスTLR9核酸およびマウスTLR9ポリペプチドは単離される。本明細書中で核酸に関して使用する場合、用語「単離された」とは、以下を意味する:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、インビトロで増幅されていること;(ii)クローニングによって組換え生成されていること;(iii)例えば、切断およびゲル分離によって精製されていること;または(iv)例えば、化学合成によって合成されること。単離された核酸は、当該分野で周知の組換えDNA技術によって、容易に操作される核酸である。従って、5’および3’制限部位が既知であるかまたはPCRプライマー配列が開示されたベクターに含まれるヌクレオチド配列は、単離されたとみなされるが、天然の宿主におけるそのネイティブな状態で存在する核酸配列は、単離されたとみなされない。単離された核酸は、実質的に精製され得るが、その必要はない。例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内の単離された核酸は、この核酸が存在する細胞において極わずかな割合の物質を含み得るという点で、純粋ではない。しかし、このような核酸は当業者に公知の標準的な技術によって容易に使用されるため、この用語が本明細書中で使用される場合、この核酸は単離されている。本明細書中で使用されるような単離された核酸は、天然に存在する染色体ではない。
【0102】
ポリペプチドに関して本明細書中で使用する場合、「単離された」とは、その天然の環境から単離され、そしてその同定または使用を可能にするのに充分な質で存在することを意味する。タンパク質またはポリペプチドを言及する場合、単離されたとは、例えば、以下を意味する:(i)発現クローニングによって選択的に生成されること;または(ii)例えば、クロマトグラフィーまたは電気泳動によって精製されること。単離されたタンパク質またはポリペプチドは、実質的に純粋であり得るが、その必要はない。用語「実質的に純粋」とは、このタンパク質またはポリペプチドが、それらが天然の系またはインビボ系において共に見出され得る実質的に他の物質を、それらの意図する用途に実用的かつ適切な程度まで含まないことを意味する。実質的に純粋なポリペプチドは、当該分野で周知の技術によって生成され得る。単離されたタンパク質は、薬剤調製において薬学的に受容可能なキャリアと混合され得るため、このタンパク質は、少ない重量%の調製物のみを含み得る。それにもかかわらずこのタンパク質は、このタンパク質が生きた系で会合し得る物質から分離されているという点で単離されている(すなわち、他のタンパク質から単離されている)。
【0103】
本明細書中で使用する場合、マウスTLR9核酸とは、マウスTLR9ポリペプチドをコードする単離された核酸分子をいう。このような核酸分子は、配列番号3の配列を含むマウスTLR9ポリペプチドおよびそのフラグメントをコードする。核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列、配列番号2のヌクレオチド配列、ならびに遺伝コードの縮重に起因してコドン配列においてこの配列番号1および配列番号2の配列と異なるヌクレオチド配列を含む。本発明のTLR9核酸はまた、上記の核酸の対立遺伝子、および上記の核酸のフラグメントを含む。このようなフラグメントは、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおけるプローブとして、およびポリメラーゼ連鎖反応におけるプライマーとして使用され得る。好ましいマウスTLR9核酸は、配列番号1および配列番号2の核酸配列を含む。上記の核酸の相補体もまた、本発明によって包含される。
【0104】
本明細書中で使用する場合、マウスTLR9核酸またはマウスTLR9ポリペプチドはまた、マウスTLR9のホモログおよび対立遺伝子を包含する。一般的に、ホモログおよび対立遺伝子は、代表的に、それぞれ、特定された核酸およびポリペプチドの配列に対して、少なくとも40%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも50%のアミノ酸同一性を共有する。従って、マウスTLR9のホモログおよび対立遺伝子は、代表的に、それぞれ、マウスTLR9核酸およびTLR9ポリペプチドの配列に対して、少なくとも40%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも50%のアミノ酸同一性を共有する。いくつかの例において、ホモログおよび対立遺伝子は、少なくとも50%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも65%のアミノ酸同一性を共有し、さらに他の例において、少なくとも60%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも75%のアミノ酸同一性を共有する。好ましくは、このホモログおよび対立遺伝子は、少なくとも80%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも90%のアミノ酸同一性を共有し、さらに好ましくは、少なくとも90%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも95%のアミノ酸同一性を共有する。最も好ましくは、このホモログおよび対立遺伝子は、少なくとも95%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも99%のアミノ酸同一性を共有する。同一性は、National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda,Maryland)により開発された種々の公的に利用可能なソフトウエアツール(これは、インターネット(ftp:/ncbi.nlm.nih.gov./pub/)を介して得られ得る)を使用して計算され得る。代表的なツールとしては、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能な、デフォルト設定で使用されるBLASTシステムが挙げられる。PairwiseおよびClustalW整列(BLOSUM30マトリクス設定)ならびにKyte−Doolittleヒドロパシー分析は、例えば、MacVector配列分析ソフトウエア(Oxford Molecular Group)を使用して得られ得る。上記の核酸のWatson−Crick相補体もまた、本発明によって包含される。
【0105】
本発明のマウスTLR9核酸の対立遺伝子は、従来の技術によって同定され得る。例えば、マウスTLR9の対立遺伝子は、少なくとも配列番号1または配列番号2のフラグメントを含むプローブを、ストリンジェントな条件下で、cDNAライブラリにハイブリダイズし、そして陽性クローンを選択することによって、単離され得る。従って、本発明の局面は、マウスTLR9ポリペプチドをコードし、配列番号1または配列番号2からなる核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列である。
【0106】
マウスTLR核酸のスクリーニングにおいて、サザンブロットは、放射性プローブと共に、上記のストリンジェントな条件を使用して実施され得る。DNAが最終的に移される膜を洗浄した後、この膜をX線フィルムに接して配置して、放射性シグナルを検出する。対応する非放射性方法もまた、当該分野で周知であり、類似の効果を得るために使用され得る。
【0107】
本発明のマウスTLR核酸はまた、天然の物質に存在する核酸に対する代替のコドンを含む縮重核酸を含む。例えば、セリン残基は、コドンAGC、AGTおよびTCA、TCC、TCGおよびTCTによりコードされる。この6個のコドンの各々は、セリン残基をコードする目的に対して等価である。従って、このセリンコードヌクレオチドトリプレットのいずれかは、タンパク質合成器をインビトロまたはインビボで指向して、セリン残基を伸長しているマウスTLRポリペプチドに組み込むために使用され得ることが、当業者に明らかである。同様に、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CCA、CCC、CCGおよびCCT(プロリンコドン);CGA、CGC、CGG、CGT、AGAおよびAGG(アルギニンコドン);ACA、ACC、ADGおよびACT(スレオニンコドン);AACおよびAAT(アスパラギンコドン);ならびにATA、ATCおよびATT(イソロイシンコドン)。当業者に周知のように、他の特定のアミノ酸残基も同様に、複数のヌクレオチド配列によってコードされ得る。従って、本発明は、遺伝コードの縮重に起因して、コドン配列において生物学的に単離された核酸とは異なる縮重核酸を包含する。それにもかかわらず、特定の宿主生物における特定のコドンの使用の優先度があることが、当業者によって十分に理解されており、その結果、実施において、上記のコドン縮重は、特定の宿主における特定の縮重コドンを選択するためまたは回避するために好ましくあり得る。
【0108】
本発明はまた、1つ以上のヌクレオチドの付加、置換および欠失を含む改変された核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従う改変された核酸分子は、完全にネイティブなヒトTLR9核酸分子(GenBank登録番号AF245704(配列番号4)およびGenBank登録番号NM 017442(配列番号5))を排除する。好ましい実施形態において、これらの改変されていない核酸分子および/またはこれらがコードするポリペプチドは、この改変された核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1つの活性または機能(例えば、シグナル伝達活性など)を保持する。特定の実施形態において、この改変された核酸分子は、改変されたポリペプチド、好ましくは、本明細書中のいずれかの場所に記載されるような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。この改変された核酸分子は、改変されていない核酸分子と構造的に関連しており、そして好ましい実施形態において、改変されていない核酸分子と十分に構造的に関連しており、その結果、この改変された核酸分子および改変されていない核酸分子は、当業者に公知のストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
【0109】
例えば、単一アミノ酸の変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子が調製され得る。これらの核酸分子の各々は、本明細書中に記載されるような遺伝コードの縮重に対応するヌクレオチド変化を除いて、1,2または3個のヌクレオチド置換を有し得る。同様に、2アミノ酸の変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子が調製され得、これは例えば、2〜6ヌクレオチドの変化を有する。これらのような多数の改変された核酸分子は、当業者によって容易に想定され、例えば、アミノ酸2および3、2および4、2および5、2および6などをコードするコドンにおけるヌクレオチドの置換を含む。上記の例において、2つのアミノ酸の各組み合わせは、改変された核酸分子のセット、ならびにこのアミノ酸置換をコードする全てのヌクレオチド置換に含まれる。さらなる置換(すなわち3以上)、付加または欠失を有する(例えば、停止コドンまたはスプライス部位の導入による)を有するポリペプチドをコードするさらなる核酸分子がまた調製され得、そして当業者によって容易に想定されるように、本発明により包含される。任意の上記の核酸またはポリペプチドは、慣用的な実験によって、本明細書中で開示される核酸および/またはポリペプチドに対する構造的環系または活性の保持について試験され得る。
【0110】
本発明はまた、配列番号1および配列番号2の単離されたフラグメントを提供する。このフラグメントは、このような核酸を同定するためにサザンブロットアッセイのプローブとして使用され得るか、またはこのフラグメントは、PCRを使用するアッセイのような増幅アッセイにおいて使用され得る。より小さなフラグメントは、12、13、14、15、16、17、18、20、22、25、30、40、50、または75個のヌクレオチド、およびそれらの間の全ての整数のヌクレオチドを含む、フラグメントであり、そして例えば、核酸増幅手順のためのプライマーとして有用である。当業者に公知であるように、より大きなプローブ(例えば、200、250、300、400またはそれより多くのヌクレオチド)は、特定の使用(例えば、サザンブロット)のために好ましいが、より小さなフラグメントは、PCRのような使用のために好ましい。フラグメントをまた使用して、抗体を産生するためのポリペプチドフラグメントまたは結合を決定するための融合タンパク質を産生し得る。同様に、フラグメントを使用して、例えば、抗体の調製、免疫アッセイなどに有用なマウスTLR9ポリペプチドの非融合フラグメントを産生し得る。上記の核酸フラグメントをアンチセンス分子としてさらに使用して、特に以下でより詳細に記載されるような治療目的のために、マウスTLR9核酸およびポリペプチドの発現を阻害し得る。
【0111】
本発明はまた、マウスTLR9の機能的に等価な改変体を含み、これには、マウスTLR9の1つ以上の機能特性を保持する、改変体核酸および改変体ポリペプチドが挙げられる。好ましくは、このような改変体は、マウス特異的N末端ドメイン(例えば、配列番号3のアミノ酸1〜819またはアミノ酸1〜837)を含む。例えば、改変体は、マウスTLR9の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(すなわち、アミノ酸1〜837)を含む融合タンパク質を含み、これは、インタクトなマウスTLR9と同様の様式で、細胞外分子と相互作用する能力を保持する。代替の改変体は、例えば、マウスTLR9の細胞質ドメイン(すなわち、アミノ酸838〜1032)を含む融合タンパク質を含み、これは、インタクトなマウスTLR9と同様の様式で、細胞内分子と相互作用する能力を保持する。さらに他の機能的に等価な改変体は、配列番号3の配列に対する、アミノ酸の短縮、欠失、点変異、または付加を含み、これは、配列番号3の機能を保持する。例えば、FLAGペプチド配列(DYKDDDDK)が、N末端に付加され得るか、または緑色蛍光タンパク質(GFP)が、C末端に付加され得る。全てのこのような付加改変体ポリペプチドは、好ましくは、、適切なリーディングフレームを維持したままこれらの配列に付加された対応する適切なコード核酸配列を有する、配列番号1または配列番号2に基づく改変された核酸を翻訳することによって作製され得る。
【0112】
機能的に等価な改変体はまた、除去されるか、または別のTLR由来の類似ドメインによって置換される部分(例えば、N末端の部分)を有するマウスTLR9(例えば、「ドメインスワッピング(domain−swapping)改変体」)を含む。このようなドメインスワッピング改変体の例としては、以下の少なくとも2つの型が挙げられる:ある種由来のTLR9ドメインを別の種由来のTLR9ドメインでスワッピングすることを含む改変体、およびTLR9由来のTLRドメインを別のTLR由来のTLRドメインでスワッピングすることを含む改変体。特定の好ましい実施形態において、このスワッピングは、異なるTLR分子間での対応するドメインを含む。特定のこのようなドメインスワッピング改変体は、特定のドメインスワッピング改変体が誘導されるインタクトな親TLR分子のいずれかまたは両方よりも、これらの改変体が優れた様式で機能し得る範囲で、文字通り機能的に等価ではない。例えば、ヒトTLR9によって媒介されるTLR/IL−1Rシグナル伝達は、CpG ODNと相互作用するこの細胞外ドメインの能力ではなく、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路に関与するこの細胞質ドメインの能力に限定され得る。このような状況において、別の種由来のTLR9に由来する、より強力な細胞質ドメインで置換することは、利点がある。このようなドメインスワッピング改変体(例えば、キメラhTLR9/mRLR9)をCpG免疫アゴニスト/アンタゴニストのためのスクリーニングアッセイにおいて使用して、種特異性を変えることなく、このアッセイの感度を増強し得る。
【0113】
他の機能的に等価な改変体は、このような改変体を調製するための方法として、当業者に公知である。機能的に等価な改変体の活性は、本明細書ならびに他のTLRおよび他の種のTLRを使用するアッセイを記載した参考文献において、提供される方法を使用して決定され得る。このような改変体は、マウスTLR9に結合し、そして/またはマウスTLRαのシグナル伝達機能を調節する化合物の同定のためのアッセイにおいて、薬物の生体適合性を評価するために、ならびにシグナル伝達活性のために必要とされるマウスTLR9の部分を決定するために、特に有用である。
【0114】
非機能的である改変体がまた、上記のように調製され得る。このような改変体は、例えば、TLR9シグナル伝達活性を試験する実験においてネガティブコントロールとして有用である。非機能的な改変体の例としては、シグナル伝達に関してmTLR9とhTLR9との両方を非機能的にする、aa915のプロリンのヒスチジンへの変異(P915H)を取り込む改変体が挙げられる。非機能的な改変体のさらなる例としては、上記のように、CpG DNA結合に関してmTLR9とhTLR9との両方を非機能的にする、MBDモチーフのD−X−YコアのA−L−Aへの変異を取り込む改変体が挙げられる。
【0115】
一つの実施形態において、マウスTLR9核酸は、真核生物細胞または原核生物細胞内のマウスTLR9核酸の発現を指向し得る遺伝子発現配列に作動可能に連結される。「遺伝子発現配列」は、任意の調節ヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列またはプロモーターエンハンサーの組み合わせ)であり、これは、作動可能に連結される核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする。マウスTLR9核酸に関して、「遺伝子発現配列」は、任意の調節ヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列またはプロモーターエンハンサーの組み合わせ)であり、これは、作動可能に連結されるマウスTLR9核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする。例えば、遺伝子発現配列は、哺乳動物またはウイルスのプロモーター(例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター)であり得る。哺乳動物の構成的プロモーターとしては、限定されないが、以下の遺伝子のプロモーターが挙げられる:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルベートキナーゼ、β−アクチンプロモーター、および他の構成的プロモーター。真核生物細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターとしては、例えば、シミアンウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、モロニーマウス白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長末端反復(LTR)由来のプロモーター、ならびに単純疱疹ウイルスのチミジンキナーゼ(TK)プロモーターが挙げられる。他の構成的プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターはまた、誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現される。例えば、メタロチオネン(MT)プロモーターを誘導して、特定の金属イオンの存在下で転写および翻訳を促進する。他の誘導性プロモーターは、当業者に公知である。
【0116】
一般に、遺伝子発現配列は、必要な場合、それぞれ、転写および翻訳の開始に関与する、5’非転写配列および5’非翻訳配列(例えば、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列など)を含む。特に、このような5’非転写配列は、作動可能に結合されたマウスTLR9核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含有するプロモーター領域を含む。この遺伝子発現配列は、所望の場合、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を必要に応じて含む。
【0117】
一般に、核酸コード配列および遺伝子発現配列は、これらの配列が、遺伝子発現配列の影響または制御下で、核酸コード配列の転写および/または翻訳を引き起こすように共有結合される場合、「作動可能に連結された」といわれる。従って、マウスTLR9核酸配列および遺伝子発現配列は、これらの配列が、遺伝子発現配列の影響または制御下で、マウスTLR9コード配列の転写および/または翻訳を引き起こすように共有結合される場合、「作動可能に連結された」といわれる。マウスTLR9配列が、機能的タンパク質に翻訳されることが所望される場合、2つのDNA配列は、以下の場合に、作動可動に連結されるといわれる:5’遺伝子発現配列におけるプロモーターの誘導が、マウスTLR9配列の転写により生じる場合、ならびにこの2つのDNA配列の間の連結の性質が、(1)フレームシフト変異の導入を生じないか、(2)プロモーター領域の、マウスTLR9配列の転写に関与する能力に干渉しないか、または(3)対応するRNA転写物の、タンパク質に翻訳される能力に干渉しない場合。従って、遺伝子発現配列が、マウスTLR9核酸配列の転写に影響を与え得、その結果、得られた転写物が、所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得る場合、この遺伝子発現配列は、マウスTLR9核酸配列に作動可能に連結される。
【0118】
本発明のマウスTLR9核酸分子およびマウスTLR9ポリペプチド(以下に記載されるマウスTLR9インヒビターを含む)は、真核生物または原核生物の細胞に、単独でまたはベクターと組み合わせて送達され得る。その最も幅広い意味で、「ベクター」は、以下を促進し得る任意のビヒクルである:(1)核酸またはポリペプチドの標的細胞への送達、(2)標的細胞による、核酸もしくはポリペプチドの取り込み、または(3)標的細胞中での核酸分子もしくはポリペプチドの発現。この特定の設定において、「ベクター」は、以下を促進し得る任意のビヒクルである:(1)マウスTLR9核酸またはポリペプチドの標的細胞への送達、(2)標的細胞によるマウスTLR9核酸もしくはポリペプチドの取り込み、または(3)標的細胞中でのマウスTLR9核酸分子もしくはポリペプチドの発現。好ましくは、このベクターは、マウスTLR9核酸またはポリペプチドを標的細胞に輸送し、このベクターの非存在下で生じる分解の程度と比較して分解が減少する。必要に応じて、「標的化リガンド」は、その標的化リガンドに対する同族レセプター(例えば、レセプター、抗体によって認識される抗原)を、その表面上で発現する細胞にベクターを選択的に送達するために、ベクターに付着され得る。この様式において、このベクター(マウスTLR9核酸またはマウスTLR9ポリペプチドを含む)が、特定の細胞に選択的に送達され得る。一般に、本発明において有用なベクターは、2種のクラスに分類される:生物学的ベクターおよび化学的/物理学的ベクター。生物学的ベクターは、標的細胞へのマウスTLR9核酸の送達/標的細胞によるマウスTLR9核酸の取り込みのためにより有用である。化学的/物理学的ベクターは、標的細胞へのマウスTLR9核酸もしくはマウスTLR9タンパク質の送達/標的細胞によるマウスTLR9核酸もしくはマウスTLR9タンパク質の取り込みのためにより有用である。
【0119】
生物学的ベクターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:プラスミド、ファージミド、ウイルス、本発明の核酸配列の挿入または取り込みによって操作されたウイルス供給源または細菌供給源由来の他のビヒクル、ならびに本発明の核酸配列に連結され得る遊離の核酸フラグメント。ウイルスベクターは、生物学的ベクターの好ましい型であり、これらとしては、以下のウイルス由来の核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない:レトロウイルス(例えば、Moloneyマウス白血病ウイルス);Harveyマウス肉腫ウイルス;マウス乳腺癌ウイルス;ラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス;アデノ随伴ウイルス;S40型ウイルス;ポリオーマウイルス;ポックスウイルス;Epstein−Barrウイルス;パピローマウイルス;疱疹ウイルス;ワクシニアウイルス;およびポリオウイルス。指定されていないが、当該分野で公知である、他のベクターを容易に使用し得る。
【0120】
好ましいウイルスベクターは、本質的でない遺伝子が目的の遺伝子で置換された、非細胞障害性の真核生物ウイルスに基づく。非細胞障害性のウイルスとしては、レトロウイルスが挙げられ、このウイルスのライフサイクルは、引き続くプロウイルスの宿主細胞DNAへの組込みを伴う、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写を含む。一般に、このレトロウイルスは、複製欠損性である(すなわち、所望のタンパク質の合成を指向し得るが、感染性粒子を製造し得ない)。このような遺伝子的に改変されたレトロウイルス発現ベクターは、インビボにおいて、高い効率で遺伝子を形質導入するための一般的な有用性を有する。複製欠損性のレトロウイルスを生成するための標準的なプロトコール(外因性遺伝物質をプラスミドに組み込む工程、プラスミドを用いたパッケージング細胞株のトランスフェクション、パッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの生成、組織培養培地からのウイルス粒子の採取、およびウイルス粒子を用いた標的細胞の感染を含む)は、Kriegler,M.,「Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual」,W.H.Freeman Co.,New York(1990)およびMurray,E.J.編,「Methods in Molecular Biology」,第7巻,Humana Press,Inc.,Clifton,New Jersey(1991)に提供される。
【0121】
特定の適用のための別の好ましいウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、二重鎖DNAウイルスである。このAAVを、複製欠損性となるように操作し得、そして広範囲の細胞型および種を感染し得る。AAVは、熱安定性および脂質溶媒安定性;多様な系統の細胞における高い形質転換頻度;および重感染阻害の欠如のような利点をさらに有し、これにより、複数の系の形質導入を可能にする。報告により、AAVは、部位特異的様式で、ヒト細胞DNAに一体化し得、これにより、挿入性突然変異誘発の可能性および挿入された遺伝子の発現の変動性を最小にする。さらに、野生型AAV感染を、選択圧の非存在下において100継代より多く組織培養物中で続ける。これは、AAVゲノム組み込みが比較的安定な事象であることを意味する。AAVはまた、染色体外の様式で機能し得る。
【0122】
発現に必要なエレメントの全てを含む発現ベクターは、市販されており、そして当業者に公知である。例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら編,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989を参照のこと。細胞は、マウスTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは改変体をコードする異種DNA(RNA)の細胞への導入によって遺伝子操作される。この異種DNA(RNA)は、宿主細胞中で異種DNAの発現を可能にするために、転写エレメントの作動可能な制御下に配置される。
【0123】
哺乳動物細胞におけるmRNAの発現のための好ましい系は、G418耐性を与える遺伝子のような選択可能なマーカー(これは、安定的にトランスフェクトされた細胞株の選択を容易にするマーカー)およびヒトCMVエンハンサープロモーター配列を含む、pRc/CMV(Invitrogen,Carlsbad,CAから入手可能)のような系である。さらに、pCEP4ベクター(Invitrogen)が、霊長類またはイヌの細胞株における発現に適切であり、このpCEP4ベクターは、Epstein Barrウイルス(EBV)複製起点(マルチコピー染色体外エレメントとしてプラスミドの維持を促進する)を含む。別の発現ベクターは、ポリペプチド伸長因子1αのプロモーターを含むpEF−BOSプラスミド(これは、インビトロでの転写を効率的に刺激する)である。このプラスミドは、MishizumaおよびNagata(Nucleic Acid Res 18:5322(1999))に記載され、そしてトランスフェクション実験におけるその使用は、例えば、Demoulin(Mol Cell Biol 16:4710−4716(1996))によって開示されている。さらに別の好ましい発現ベクターは、Stratford−Perricaudetによって記載されるアデノウイルス(これは、E1タンパク質およびE3タンパク質を欠く)である(J Clin Invest 90:626−630(1992))。
【0124】
生物学的ベクターに加えて、化学的/物理学的ベクターは、標的細胞に核酸またはポリペプチドを送達するため、および標的細胞による取り込みを促進するために証され得る。本明細書中で使用される場合、「化学的/物理学的ベクター」は、細菌学的な供給源またはウイルス供給源から誘導される分子以外の、単離された核酸またはポリペプチドを細胞に送達し得る天然分子または合成分子をいう。マウスTLR9核酸またはポリペプチドに関して、本明細書中で使用される場合、「化学的/物理学的ベクター」は、細菌学的な供給源またはウイルス供給源から誘導される分子以外の、単離されたマウスTLR9核酸またはポリペプチドを細胞に送達し得る天然分子または合成分子をいう。
【0125】
本発明の好ましい化学的/物理学的ベクターは、コロイド状の分散系である。コロイド状の分散系としては、油中水乳濁液、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロまたはインビボでの送達ベクターとして有用である人工の膜小胞である。大きな単層小胞(LUV)(これは、0.2〜4.0μmのサイズの範囲である)が、大きな高分子をカプセル化し得ることが示されている。RNA、DNA、およびインタクトなビリオンは、水性内部にカプセル化され、そして生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem Sci 6:77(1981))。リポソームを有効な核酸移入ベクターとするために、以下の特徴の1つ以上が、存在すべきである:(1)生物学的な活性を保持したままでの、高効率での目的の核酸のカプセル化;(2)非標的細胞と比較して、標的細胞に対する優先的かつ実質的な結合;(3)標的細胞の細胞質への、高効率での小胞の水性内容物の送達;および(4)遺伝子情報の正確かつ効果的な発現。
【0126】
リポソームは、特定のリガンド(例えば、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、またはタンパク質)にリポソームを連結することによって、特定の組織に標的化され得る。リポソームを特定の細胞に標的化するのに有用であり得るリガンドは、特定の細胞または組織型に依存する。さらに、ベクターが核酸をカプセル化する場合、このベクターは、核酸標的化ペプチドに連結され得、これにより、このマウスTLR9核酸を宿主細胞の核に指向する。
【0127】
リポソームは、Gibco BRLから、例えば、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETMとして市販されており、これは、カチオン性脂質(例えば、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB))から形成される。リポソームを作製する方法は、当該分野で周知であり、そして多くの刊行物に記載されている。
【0128】
一般に、核酸、特に、マウスTLR9をコードする核酸の標的細胞による取り込みを促進するために使用され得る他の例示的な組成物としては、リン酸カリウムおよび細胞内輸送の他の化学的媒介物、微量注入組成物、エレクトロポレーション組成物ならびに相同組換え組成物(例えば、標的細胞の染色体内の予め選択した位置にマウスTLR9核酸を組み込むため)が挙げられる。
【0129】
本発明はまた、いわゆる発現キットを含み、これにより、技術者が所望の発現ベクターを調製するのを可能にする。このような発現キットは、上で議論したコード配列の少なくとも別々の部分を含む。所望される場合、必要とされる上に記載した配列が含まれる限り、他の成分が、添加され得る。
【0130】
本発明が、宿主細胞および細胞株をトランスフェクトするための発現ベクター中にマウスTLR9 cDNA配列の使用を含み、これらの宿主細胞および細胞株が、原核生物(例えば、E.coli)、または真核生物(例えば、293線維芽細胞(ATCC,CRL−1573)、MonoMac−6、THP−1、U927、CHO細胞、COS細胞、酵母の発現系および昆虫細胞中での組換えバキュロウイルスの発現)であることがまた理解される。例えば、ヒト、ブタ、ヤギ、霊長類、げっ歯類、モルモットなどの哺乳動物の細胞が、特に有用である。これらは、広範な種々の組織型であり得、そして初代細胞および細胞株を含む。この発現ベクターは、適切な配列(すなわち、上述の核酸)が、プロモーターに作動可能に連結されることを必要とする。
【0131】
本発明はまた、単離されたマウスTLR9ポリペプチドを提供し、このマウスTLR9ポリペプチドは、上記のTLR9核酸によってコードされた、配列番号3のアミノ酸配列およびそのフラグメントを含む。マウスTLR9ポリペプチドはまた、このようなポリペプチドがTLR9活性を維持する場合、対立遺伝子、機能的に等価な改変体およびアナログ(開示されたマウスTLR9ポリペプチド由来のアミノ酸配列において、1個、2個、3個、4個、5個以上のアミノ酸が、変化する非対立遺伝子ポリペプチド)を含む。非対立遺伝子改変体はまた、本発明に包含され、これらは、アッセイにおけるネガティブコントロールなどとして、TLR9シグナル伝達機能のアンタゴニストとして有用である。このような対立遺伝子、改変体、アナログおよびフラグメントは、例えば、単独で、またはアッセイの成分を含む、種々の目的のための融合タンパク質として有用である。
【0132】
ポリペプチドのフラグメントは、好ましくは、特に、種々の分子のレセプターとして、インタクトなポリペプチドの明確な機能的能力を維持するフラグメントである。従って、TLR9ポリペプチドのフラグメントは、好ましくは、特に、種々の分子のレセプターとして、TLR9ポリペプチドの明確な機能的能力を維持するフラグメントである。ISNAに結合するフラグメント(例えば、CpG核酸を結合するフラグメントを含む)が、特に興味深い。ポリペプチドのフラグメントに保持され得る他の機能的能力は、シグナル伝達(例えば、マウスTLR9によるTLR/IL−1Rシグナル伝達)、抗体との相互作用、および他のポリペプチドとの相互作用(例えば、タンパク質複合体において見出される相互作用)を含む。当業者には、マウスTLR9の機能的能力を保持するフラグメントを選択するために適用され得る方法は、周知である。このフラグメントの機能的能力の確認を、このフラグメントを合成し、そして標準的な方法に従ってこの能力を試験することによって実施し得る。例えば、マウスTLR9フラグメントのシグナル伝達活性を試験するために、シグナル伝達が測定され得る細胞においてフラグメントを挿入するか、または発現する。当該分野で標準的であるこのような方法は、本明細書中にさらに記載されている。
【0133】
本発明は、上記のマウスTLR9ポリペプチドの改変体を含む。本明細書中に使用される場合、ポリペプチドの「改変体」は、ポリペプチドの一次アミノ酸配列に対して、1つ以上の改変を含むポリペプチドである。従って、マウスTLR9ポリペプチドの「改変体」は、マウスTLR9ポリペプチドの一次アミノ酸配列に対して、1つ以上の改変を含むポリペプチドである。マウスTLR9改変体を作製する改変が、種々の理由のために、マウスTLR9ポリペプチドに対して作製され、この理由としては、以下が挙げられる:1)マウスTLR9ポリペプチドの活性(例えば、シグナル伝達)を減少または排除すること;2)マウスTLR9ポリペプチドの特性(例えば、シグナル伝達、核酸リガンドまたは他のリガンド分子に対する結合親和性、発現系におけるタンパク質の安定性、またはタンパク質−タンパク質結合の安定性)を増強させること;3)マウスTLR9ポリペプチドに対して新規な活性または特性(例えば、抗原性エピトープの付加または検出可能な部分(例えば、ルシフェラーゼ、FLAGペプチド、GFP))の付加を提供すること;4)アミノ酸置換基が、分子のシグナル伝達活性に影響を与えるか、または与えないことを確立すること;あるいは5)マウスTLR9ポリペプチドの免疫原性を減少させること。マウスTLR9ポリペプチドの改変は、代表的に、マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸に対して作製され、この改変としては、欠失、点変異、短縮、アミノ酸の置換およびアミノ酸または非アミノ酸部分の付加が挙げられ得る。あるいは、改変は、ポリペプチドに対して直接的になされ得る(例えば、切除、リンカー分子の付加、検出可能な部分(例えば、ビオチン、フルオロフォア、放射線同位体、酵素、またはペプチド)の付加、脂肪酸の付加など)。
【0134】
改変はまた、マウスTLR9アミノ酸配列の全てまたは一部を含む融合タンパク質を含む。当業者は、タンパク質配列中の変化、タンパク質のコンフォメーションに対する効果を予測するための方法に精通しており、従って、公知の方法に従って、改変体マウスTLR9を設計し得る。このような方法の一つの例は、DahiyatおよびMayo、Science 178:82〜87(1997)(これによって、タンパク質が、新規に設計され得る)に記載されている。この方法は、ポリペプチド配列の一部のみを改変するために公知のタンパク質に適用され得る。DahiyatおよびMayoのコンピューターを利用した方法を適用することによって、マウスTLR9ポリペプチドの特定の改変体は、改変体が所望のコンフォメーションを保持するかどうかを決定するために提案され、そして試験され得る。
【0135】
改変体は、その生理学的な活性に関連しないポリペプチドの特徴を変えるために特異的に改変される、マウスTLR9ポリペプチドを含む。例えば、システイン残基は、望まないジスルフィド結合を防止するために、置換または欠失され得る。同様に、特定のアミノ酸(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する、酵母の発現系における二塩基性アミノ酸残基)を変化させて、発現系においてプロテアーゼによるタンパク質分解を排除することによって、マウスTLR9ポリペプチドの発現を増強し得る。
【0136】
マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸の変異は、好ましくは、コード配列のアミノ酸リーディングフレームを保存し、そして好ましくは、改変体ポリペプチドの発現に有害であり得る二次構造(例えば、ヘアピンまたはループ)を形成するようにハイブリダイズする可能性がある、核酸領域を作製しない。
【0137】
変異が、アミノ酸置換基を選択することによって、またはポリペプチドをコードする核酸中の選択された部位のランダムな変異誘発によってなされ得る。次いで、変異により所望の特性を有する改変体ポリペプチドが提供されるかどうかを決定するために、改変体ポリペプチドを発現させ、そして1以上の活性について試験する。さらなる変異が、改変体(または、非改変体マウスのTLR9ポリペプチド)に対して作製され得、この変異は、ポリペプチドのアミノ酸配列についてサイレントであるが、特定の宿主における翻訳のための好ましいコドンを提供する。例えば、E.coli中の核酸の翻訳のための好ましいコドンは、当業者に周知である。さらに他の変異は、ポリペプチドの発現を増強するために、マウスTLR9遺伝子またはcDNAクローンの非コード配列に対して作製され得る。
【0138】
マウスTLR9ポリペプチドの改変体の活性は、改変体マウスTLR9ポリペプチドをコードする遺伝子を原核生物発現ベクターまたは真核生物(例えば、哺乳動物)発現ベクターにクローニングし、ベクターを適切な宿主細胞に導入し、改変体マウスTLR9ポリペプチドを発現させ、そして本明細書中に開示されるマウスTLR9ポリペプチドの機能的能力について試験することによって試験され得る。例えば、改変体マウスTLR9ポリペプチドは、実施例において、以下に記載されるように、シグナル伝達を提供する能力について試験され得る。他の改変体ポリペプチドの調製は、当業者に公知であるように、他の活性の試験を支持し得る。
【0139】
当業者はまた、保存的アミノ酸置換が、マウスTLR9ポリペプチドにおいてなされて、上記ポリペプチドの機能的に等価な改変体(すなわち、マウスTLR9ポリペプチドの機能的能力を保持する改変体)を提供し得ることを理解する。本明細書中で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置換がなされるポリペプチドの相対的な電荷またはサイズの特徴を変更しないアミノ酸置換をいう。改変体は、当業者に公知のポリペプチド配列を変更するための方法に従って調製され得、例えば、これは、このような方法を集めた参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Soring Harbor、New York、1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら編、John Wiley & Sons,Inc.,New York)に見出される。マウスTLR9ポリペプチドの例示的な機能的に等価な改変体としては、配列番号3の保存的アミノ酸置換が挙げられる。アミノ酸の保存的置換としては、以下の群内のアミノ酸間でなされる置換が挙げられる:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。
【0140】
マウスTLR9の機能的に等価な改変体を作製するためのマウスTLR9ポリペプチドアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、代表的に、マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号1および配列番号2)の変更によってなされる。このような置換は、当業者に公知な種々の方法によってなされ得る。例えば、アミノ酸置換は、PCR指向(directed)変異、Kunkel(Kunkel、Proc Natl Acad Sci USA 82:488−492(1985)の方法に従う部位特異的変異誘発によって、またはマウスTLR9ポリペプチドをコードする遺伝子の化学的合成によってなされ得る。マウスTLR9ポリペプチドの機能的に等価な改変体フラグメントの活性は、変更されたマウスTLR9ポリペプチドをコードする遺伝子を細菌発現ベクターまたは哺乳動物発現ベクターにクローニングし、ベクターを適切な宿主細胞に導入し、変更されたマウスTLR9ポリペプチドを発現させ、そしてシグナル伝達事象を媒介するマウスTLR9ポリペプチドの能力について試験することのよって試験され得る。化学的に合成されたペプチドは、機能について直接的に試験され得る。
【0141】
当業者に周知な種々の方法論を利用して、単離されたマウスTLR9ポリペプチド分子を得ることができる。ポリペプチドは、クロマトグラフィー手段または免疫学的認識によってポリペプチドを天然に産生する細胞から精製され得る。あるいは、発現ベクターが、細胞に導入されて、ポリペプチドを産生し得る。別の方法において、mRNA転写物は、微量注入され得るかまたはそれ以外で細胞に導入されて、コードされるポリペプチドを産生し得る。網状赤血球溶解物系のような無細胞抽出物におけるmRNA翻訳はまた、ポリペプチドを産生するために使用され得る。当業者はまた、マウスTLR9ポリペプチドを単離するための公知の方法に容易に従い得る。これらとしては、限定しないが、イムノクロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびイムノアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。
【0142】
本明細書中に記載される本発明は、多くの用途を有し、これらのいくつかは、本明細書の他の箇所に記載される。例えば、本発明によって、標準的なプロトコルを使用して単離され得る大量のポリペプチドを産生するための組換え核酸の発現によって、マウスTLR9ポリペプチド分子の単離が可能になる。別の例として、マウスTLR9遺伝子の単離によって、マウスTLR9が、TLR9に関与する分子相互作用をアッセイするための方法に使用されることが可能になる。
【0143】
以下の実施例にさらに考察されるように、本発明の1つの局面に従って、ISNAに対する応答性が、マウスTLR9(および特定のホモログおよびその改変体)の発現を指向する発現ベクターを、ISNA非応答性細胞に導入することによってISNA非応答性細胞中で再構築されることが発見された。このように再構築された細胞はまた、ホスホロチオエートISNA以外の物質(例えば、E.coli DNA、ホスホジエステルCpG−ODN、およびさらにメチル化されたCpG−ODN)に対する応答性を示す。
【0144】
以下の実施例でもさらに考察されるように、本発明の特定の局面に従って、TLR9が、結合するISNAに応答してシグナルを伝達する能力を細胞に与えるだけではなく、このようなシグナル伝達応答に対する配列特異性および種特異性の両方を与えることが発見された。CpG−ODN 1668(最適なマウスISNAと報告される)に応答してシグナル伝達するマウスTLR9は、CpG−ODN 2006(最適なヒトISNAと報告される)に応答してシグナル伝達する対応するマウスTLR9よりも有意に強力であることが見出された。逆もまた真である。すなわち、CpG−ODN 2006に応答してシグナル伝達するヒトTLR9は、CpG−ODN 1668に応答してシグナル伝達する対応するヒトTLR9よりも有意に強力であることが見出された。さらに、本発明に従って、特定の型の細胞が、TLR9を優先的に発現することが発見された。例えば、TLR9は、B細胞および形質細胞様樹状細胞(CD123+DC)において強く発現されるが、T細胞、単球由来樹状細胞(MDDC)、およびCD14+単球では弱くしか発現されない。対照的に、TLR2およびTLR4は、MDDCおよびCD14+単球によって強く発現されるが、B細胞、CD123+DC、およびT細胞では相対的に弱く発現される。
【0145】
本発明はまた、マウスTLR9核酸分子またはポリペプチドに選択的に結合する薬剤、ならびに本明細書中に記載されるポリペプチドおよび核酸の改変体およびフラグメントに結合する薬剤を包含する。この薬剤としては、マウスTLR9に結合するポリペプチド、およびアンチセンス核酸が挙げられ、これらの両方が、以下にさらに詳細に記載される。これらの薬剤は、マウスTLR9媒介シグナル伝達活性を阻害または増加し得る(それぞれアンタゴニストおよびアゴニスト)。
【0146】
いくつかの薬剤は、インヒビターである。マウスTLR9インヒビターは、細胞膜を横切るマウスTLR9媒介シグナル伝達を阻害する薬剤である。
【0147】
本明細書中で使用される場合、「TLR9シグナル伝達」とは、TLR/IL−1R(TIR)シグナル伝達経路(これはまた、本明細書中において、TLRシグナル伝達経路とも呼ばれる)を活性化する、TLR9ポリペプチドの能力をいう。いずれかの特定の理論に維持されることを意味しないが、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路は、分子骨髄球示差マーカー88(MyD88)および腫瘍壊死因子(TNF)レセプター関連因子6(TRAF6)を介してシグナル伝達し、IκBキナーゼ複合体およびc−jun NH2末端キナーゼ(例えば、JNK 1/2)の活性化を導くと考えられる。Hacker Hら、J Exp Med 192:595−600(2000)。TLR9活性を阻害する分子(アンタゴニスト)は、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路のTLR9媒介活性化を阻害する分子であり、そしてTLR9活性を増加する分子(アゴニスト)は、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路のTLR9媒介活性化を増加する分子であるTLR9活性における変化は、本明細書中に開示されるアッセイのようなアッセイ(κB感受性プロモーターおよびエンハンサーの制御下の遺伝子の発現を含む)によって測定され得る。このような天然に存在する遺伝子としては、IL−1β、IL−6、IL−8、インターロイキン12のp40サブユニット(IL−12p40)、および同時刺激性分子CD80およびCD86をコードする遺伝子が挙げられる。他の遺伝子は、このような調節エレメントの制御下(以下を参照)に置かれ得、従って、TLR9シグナル伝達のレベルを報告するのに役立ち得る。さらなるヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号2に(好ましくは、配列番号2の5’末端または3’末端)付加されて、検出可能な部分またはレポーター部分(例えば、FLAG、ルシフェラーゼ(luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)および当業者に公知の他のもの)を含むキメラポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を生じ得る。これらは、以下の実施例にさらに詳細に考察される。
【0148】
1つの実施形態において、マウスTLR9インヒビターは、マウスTLR9核酸分子に選択的に結合して、細胞におけるマウスTLR9(または別の種のTLR9)の発現を減少するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、TLR9シグナル伝達活性の減少が望ましい実質的に任意の医学的条件下で望ましい。
【0149】
本明細書中で使用される場合、用語「アンチセンスオリゴヌクレオド」または「アンチセンス」は、生理学的条件下で、特定の遺伝子を含むDNAまたはその遺伝子のmRNA転写物にハイブリダイズし、それによってその遺伝子の転写および/またはそのmRNAの翻訳を阻害する、オリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、改変オリゴヌクレオチド、または改変オリゴデオキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを記載する。アンチセンス分子は、標的遺伝子または転写物とのハイブリダイゼーション時に標的遺伝子の転写または翻訳を妨害するように設計される。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さおよびその標的との相補性の程度が、選択される特定の標的(標的の配列およびその配列を含む特定の塩基を含む)に依存することを認識する。アンチセンスオリゴヌクレオチドが、生理学的条件下で、標的と選択的に結合し(すなわち、生理学的条件下で標的細胞中の任意の他の配列よりも標的配列に実質的に多くハイブリダイズする)ように構築され、そして配置されることが好ましい。
【0150】
配列番号1および配列番号2、または対立遺伝子もしくは相同性ゲノム配列および/またはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従う使用に適切な任意の多数のアンチセンス分子を容易に選択および合成し得る。阻害に対して十分に選択的でありそして強力であるために、このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的に相補的である少なくとも10個、より好ましくは少なくとも15個の連続した塩基を含むべきであるが、特定の場合において、7塩基長という短さの改変オリゴヌクレオチドが、首尾良くアンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用された。Wagner RWら、Nat Biotechnol 14:840−844(1996)。最も好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30塩基の相補的配列を含む。遺伝子またはmRNA転写物の任意の領域に対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドが選択され得るが、好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオオチドは、翻訳開始部位、転写開始部位またはプロモーター部位のようなN末端または5’上流部位に対応する。さらに、3’非翻訳領域が、標的化され得る。mRNAスプライシング部位への標的化がまた、当該分野において使用されているが、選択的mRNAスプライシングが生じる場合、あまり好ましくなくあり得る。さらに、アンチセンスは、好ましくは、mRNA二次構造が予期されず(例えば、Sainioら、Cell Mol Neurobiol 14(5):439−457(1994)を参照のこと)、そしてポリペプチドが結合することが予期されない部位に標的化される。従って、本発明はまた、配列番号1または配列番号2を含むマウスTLR9核酸に対応する対立遺伝子または相同的cDNAおよびゲノムDNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0151】
一セットの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、「天然」のデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはそれらの任意の組み合わせから構成され得る。すなわち、1つのネイティブなヌクレオチドの5’末端および別のネイティブなヌクレオチドの3’末端は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を介して、天然の系と同様に共有結合され得る。これらのオリゴヌクレオチドは、手動でまたは自動化合成機によって実行され得る当該分野で認識される方法によって調製され得る。これらはまた、ベクターによって組換え的に産生され得る。
【0152】
しかし、好ましい実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、「改変」オリゴヌクレオチドを含み得る。すなわち、オリゴヌクレオチドは、それらがそれらの標的にハイブリダイズすることを妨げられないが、安定性または標的化を増強するか、またはそれ以外でそれらの治療的効果を向上する多くの方法で改変され得る。
【0153】
用語「改変オリゴヌクレオチド」は、本明細書中で使用される場合、(1)そのヌクレオチドの少なくとも2つが、合成ヌクレオシド間結合(すなわち、1つのヌクレオチドの5’末端と別のヌクレオチド3’末端との間のホスホジエステル結合以外の結合)を介して共有結合され、そして/または(2)核酸と通常関連しない化学基が、オリゴヌクレオチドに共有結合される、オリゴヌクレオチドを記載する。好ましい合成ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、リン酸エステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミデート、カルバメート、カルボネート、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステルおよびペプチドである。
【0154】
用語「改変オリゴヌクレオチド」はまた、共有結合的に改変された塩基および/または糖を有するオリゴヌクレオチドを包含する。例えば、改変オリゴヌクレオチドは、3’位においてヒドロキシル基以外の低分子量有機基に、そして5’位においてホスフェート基以外の低分子量有機基に共有結合される骨格糖を有するオリゴヌクレオチドを含む。このように改変されたオリゴヌクレオチドは、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、改変オリゴヌクレオチドは、リボースの代わりにアラビノースのような糖を含み得る。本発明は、従って、薬学的に受容可能なキャリアとともに、マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸に、相補的であり、そして生理学的条件下でハイブリダイズ可能な改変アンチセンス分子を含む薬学的調製物を意図する。
【0155】
マウスTLR9に結合する薬剤はまた、マウスTLR9ポリペプチドおよびマウスTLR9ポリペプチドを含む複合体に結合する結合ペプチドおよび他の分子を含む。結合分子がインヒビターである場合、この分子は、マウスTLR9に結合し、その活性を阻害する。結合分子がアクチベーターである場合、この分子は、マウスTLR9に結合し、その活性を増加する。マウスTLR9結合剤がマウスTLR9に結合するか否かを決定するために、任意の公知の結合アッセイが利用され得る。例えば、結合剤は、表面上に固定化され、次いで、標識されたマウスTLR9ポリペプチドと接触する。次いで、マウスTLR9結合剤と相互作用するマウスTLR9の量またはマウスTLR9結合剤に結合しない量は、マウスTLR9結合剤がマウスTLR9に結合するか否かを決定するために定量化され得る。
【0156】
マウスTLR9結合剤は、マウスTLR9ポリペプチド、ならびにマウスTLR9ポリペプチドおよびそれらの結合パートナーの両方の複合体に、選択的にまたは優先的に結合する多数のサイズおよび型の分子を含む。これらの分子は、種々の供給源由来であり得る。例えば、マウスTLR9結合剤は、溶液中、固定形態で、またはファージディスプレーとして容易に調製され得る、変性ペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、提供され得る。コンビナトリアルライブラリーはまた、1つ以上のアミノ酸を含むペプチドから合成され得る。ライブラリーは、さらに、ペプチドおよび非ペプチド合成部分から合成され得る。
【0157】
ファージディスプレーは、本発明に従って有用な結合ペプチドを同定する際に特に効果的であり得る。簡単に述べると、従来の手順を使用して4〜80アミノ酸残基の挿入物を提示する、ファージライブラリー(例えば、m13、fd、またはλファージを使用する)が調製される。この挿入物は、例えば、完全に変性したかまたは偏った(biased)アレイを表し得る。次いで、マウスTLR9ポリペプチドに結合するファージ保有挿入物が選択され得る。このプロセスは、マウスTLR9ポリペプチドに結合するファージを再選択する数回のサイクルによって反復され得る。反復される回は、特定の配列を保有するファージの濃縮をもたらす。DNA配列分析は、発現されるポリペプチドの配列を同定するために行われ得る。マウスTLR9ポリペプチドに結合する配列の最小の直鎖状部分が決定され得る。最小の直鎖状部分およびその上流または下流の1つ以上のさらなる変性残基の一部または全てを含む挿入物を含む偏ったライブラリーを使用する手順が反復され得る。酵母ツーハイブリットスクリーニング方法を使用して、マウスTLR9ポリペプチドに結合するポリペプチドを同定し得る。従って、本発明のマウスTLR9ポリペプチド、またはそのフラグメントを使用して、ペプチドライブラリー(ファージディスプレイライブラリーを含む)をスクリーニングし、本発明のマウスTLR9ポリペプチドのペプチド結合パートナーを同定および選択し得る。このような分子は、記載されるように、スクリーニングアッセイのために、精製プロトコルのために、マウスTLR9の機能を直接妨害するために、そして当業者に明らかな他の目的のために使用され得る。
【0158】
本発明はまた、本明細種中に記載されるマウスTLR9核酸分子と関連する特定の調節配列に選択的に結合する薬剤を包含する。この薬剤は、マウスTLR9の転写調節配列および翻訳調節配列に結合するポリペプチド、ならびにアンチセンス核酸(この両方は、以下にさらに詳細に記載される)を含む。薬剤は、マウスTLR9発現、ならびにシグナル伝達活性を阻害または増加(それぞれ、アンタゴニストおよびアゴニスト)し得る。マウスTLR9核酸分子と関連する調節配列に選択的に結合する薬剤は、当業者に知られた方法を使用して同定され得る。例えば、マウスTLR9のコード領域の上流(5’)の少なくとも100、200、300、400、500以上のヌクレオチドを含むプロモーター領域は、プロモーターまたはプローブとして配列番号1または配列番号2の配列を使用して適切なゲノムDNA(例えば、ヌクレオチド配列)から単離され、次いで、プロモーター領域DNAを適切な発現ベクターに挿入して、TLR9またはいくつかの他のレポーター遺伝子の発現を制御し、TLR9プロモーターベクターを適切な宿主細胞に導入し、そして種々の試験薬剤の存在下および非存在下でのそれらのインキュベーションに続いてそれらの細胞によるTLR9またはレポーター発現についてスクリーニングすることによって同定され得る。TLR9以外のレポーター遺伝子は、例えば、酵素、サイトカイン、細胞表面抗原、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などを含み得る。TLR9プロモーターの制御下でTLR9またはレポーターの発現を阻害する薬剤は、TLR9発現インヒビターとして分類される。逆に、TLR9プロモーターの制御下でTLR9またはレポーターの発現を増強する薬剤は、TLR9発現エンハンサーとして分類される。本発明に従って、例えば、サイトカインIL−4インヒビターが、TLR9の発現を阻害することが発見された。この方法で、例えば、ISNAに対する応答を増強するために、局所的投与によって、ISNAとともに投与され得る薬剤を同定することが可能である。このような増強効果は、例えば、免疫化またはワクチン接種の設定において、所望であり得る。逆に、例えば、ISNAに対する応答を阻害するために、局所的投与によって、ISNAとともに投与され得る薬剤を同定することが可能である。このような阻害応答は、例えば、遺伝子置換療法の設定において、所望であり得る。
【0159】
従って、本発明は、一般的に、TLR9活性に関連する状態の処置において有用な薬剤に対する薬理学的薬剤またはリード化合物を同定する効率的な方法、ならびにこのような同定される化合物および薬剤を提供する。一般的に、スクリーニング方法は、マウスTLR9を介するシグナル伝達を阻害または増強する化合物についてアッセイすることを包含する。このような方法は、化合物の自動化高処理能力スクリーニングに適合可能である。このような高処理能力スクリーニング方法の例は、米国特許第6,103,479号;同第6,051,380号;同第6,051,373号;同第5,998,152号;同第5,876,946号;同第5,708,158号;同第5,443,791号;同第5,429,921号;および同第5,143,854号に記載される。
【0160】
薬理学的薬剤についての種々のアッセイが提供され、これには、標識インビトロタンパク質結合アッセイ、検出可能な分子を使用するシグナル伝達アッセイなどが挙げられる。例えば、タンパク質結合スクリーンを使用して、候補薬理学的薬剤のマウスTLR9への結合を迅速に検査する。候補薬理学的薬剤は、例えば、コンビナトリアルペプチドまたは核酸ライブラリーから誘導され得る。このようなアッセイのための簡便な試薬は、当該分野において公知である。シグナル伝達の例示的な細胞ベースのアッセイは、マウスTLR9を有する細胞を候補薬理学的薬剤と、検出可能な分子の導入が生じ得る条件下で接触させる工程を包含する。特定の条件は、当該分野において周知であり、例えば、Hacker Hら、J Exp Med 192:595−600(2000)、およびそこに引用される参考文献に記載される。候補薬理学的薬剤の存在下での検出可能な分子の減少した程度の誘導は、候補薬理学的薬剤が、マウスTLR9のシグナル伝達活性を減少することを示す。候補薬理学的薬剤の存在下での検出可能な分子の増加した程度の誘導は、候補薬理学的薬剤が、マウスTLR9のシグナル伝達活性を増加することを示す。
【0161】
本発明の方法において使用されるマウスTLR9は、単離されたポリペプチド(ここで、候補薬学的薬剤の結合が測定される)として、あるいはマウスTLR9ポリペプチドを含む細胞または他の膜カプセル化スペースとして、アッセイ混合物に添加され得る。後者のアッセイの構成において、細胞または他の膜カプセル化スペースは、マウスTLR9を、ポリペプチドとしてまたは核酸(例えば、マウスTLR9を含む発現ベクターをトランスフェクトされた細胞)として含み得る。本明細書中に記載されるアッセイにおいて、マウスTLR9ポリペプチドは、組換え的に産生され得るか、生物学的抽出物から単離され得るか、またはインビトロで合成され得る。マウスTLR9ポリペプチドは、別のペプチド(例えば、タンパク質−タンパク質結合を提供または増強し得るポリペプチド、シグナル伝達能力を増強し得るポリペプチド、検出を容易にし得るポリペプチド、またはアッセイ条件下においてマウスTLR9ポリペプチドの安定性を増強し得るポリペプチド)とマウスTLR9ポリペプチドの融合を含むキメラタンパク質を包含する。マウスTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントに融合されるポリペプチドはまた、例えば、免疫学的認識によって、または蛍光標識によって、融合タンパク質を容易に検出する手段を提供し得る。
【0162】
アッセイ混合物はまた、候補薬理学的薬剤を含む。代表的には、複数のアッセイ混合物が、異なる薬剤濃度で平行して実行されて、種々の濃度に対して異なる応答が獲得される。代表的に、これらの濃度の1つは、ネガティブコントロールとして(すなわち、0の濃度の薬剤でまたはアッセイ検出の限界より下の薬剤濃度で)、役立つ。候補薬学的薬剤は、多くの化学的クラスを包含するが、代表的には、これらは、有機化合物である。好ましくは、候補薬理学的薬剤は、小有機化合物(すなわち、50より大きく、約2500未満の分子量を有する化合物)である。ポリマー性候補薬剤は、より大きな分子量(例えば、約2500〜約12,500の範囲のオリゴヌクレオチド)を有し得る。候補薬剤は、ポリペプチドとの構造的相互作用に必要な化学官能基を含み、そして少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含み得、好ましくは、少なくとも2つの化学官能基、より好ましくは、少なくとも3つの化学官能基を含み得る。候補薬剤は、上で同定される官能基の1つ以上で置換された、環式炭素構造または複素環式構造ならびに/あるいは芳香族構造またはポリ芳香族構造を含み得る。候補薬剤はまた、核酸、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記の誘導体または構造的アナログ、あるいはこれらの組み合わせなどのような生体分子であり得る。薬剤が核酸である場合、この薬剤は、代表的に、DNA分子またはRNA分子であるが、非天然結合またはサブユニットを有する改変核酸もまた企図される。
【0163】
候補薬剤は、幅広い種々の供給源(天然化合物、合成化合物、または半合成化合物、あるいはその組み合わせのライブラリーを含む)から得られる。例えば、多くの手段が、幅広い種々の有機化合物および生体分子の無作為な合成および指向された合成に利用可能であり、これには、無作為化されたオリゴヌクレオチドの発現、合成有機コンビナトリアルライブラリー、ランダムなペプチドのファージディスプレイライブラリーなどが挙げられる。あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であるかまたは容易に作製される。さらに、天然および合成的に作製されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的、および生化学的手段によって容易に改変され得る。さらに、公知の薬理学的薬剤を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)などのような指向されたかまたは無作為化された化学修飾に供し、この薬剤の構造的アナログが生成され得る。
【0164】
従って、候補薬剤の供給源は、公知のTLR9リガンド(例えば、TLR9と相互作用する、本明細書中に示されるCpGオリゴヌクレオチド)に基づく分子のライブラリーであり、ここで、このリガンドの構造が、多少の化学的部分または異なる化学的部分を含むように、その分子の1つ以上の位置で変更される。アナログインヒビターのライブラリーを作製する際に、この分子になされるこの構造の変化は、指向され得るか、無作為であり得か、または指向および無作為な置換および/または付加の両方の組み合わせであり得る。コンビナトリアルライブラリーの調製において当業者は、既存のTLR9リガンドに基づき、このようなライブラリーを容易に調製し得る。
【0165】
種々の他の試薬はまた、この混合物中に含まれ得る。これらは、塩、緩衝液、天然タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤などのような試薬(これは、最適なタンパク質−タンパク質結合および/またはタンパク質−核酸結合を容易にするために使用され得る)を含む。このような試薬はまた、反応成分の非特異的相互作用またはバックグラウンド相互作用を減少し得る。プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤などのようなアッセイの効率を改善する他の試薬もまた使用され得る。
【0166】
前記アッセイ材料の混合物は、候補薬理学的因子が存在しなければTLR9がTLR/IL−1Rのシグナル伝達を媒介する条件下でインキュベートされる。マウスTLR9への候補薬理学的因子の結合を決定するために、この混合物は、結合を許容する条件下でインキュベートされる。成分の添加、インキュベーション温度、インキュベーション時間、およびこのアッセイの他のパラメータのオーダーは容易に決定され得る。このような実験は、アッセイパラメータの最適化のみに関し、このアッセイの基本的な組成に関しない。インキュベーション温度は、代表的に、4℃と40℃との間である。インキュベーション時間は、好ましくは、高速でハイスループットのスクリーニングを促進するために最小化され、代表的には、1分間と10時間の間である。
【0167】
インキュベーション後、シグナル伝達のレベルまたはTLR9ポリペプチドと候補薬理学的因子との間の特異的結合のレベルは、使用者に利用可能な従来の任意の方法により検出される。無細胞結合型アッセイについて、結合した成分を未結合成分から分離するために、しばしば分離工程が用いられる。この分離工程は、種々の方法において達成され得る。例えば、分離は、溶液中で達成され得るか、または、好適には、少なくとも1つの成分が固体支持体に固定化され、そこから未結合の成分が容易に分離され得る。固体支持体は、広範な種々の材料からおよび広範な種々の形状(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、樹脂粒子など)で作製され得る。基質は、好ましくは、シグナル−ノイズ比を最大化し、バックグラウンドの結合を最小化するように、ならびに分離の容易さおよび費用について選択される。
【0168】
分離は、例えば、リザーバからビーズまたはディップスティックを取り除くことにより、リザーバ(例えば、マイクロタイタープレートウェル)を空にするかまたは希釈することにより、水溶液または溶媒でビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラム、またはフィルターをリンスすることによりもたらされ得る。この分離工程は、好ましくは、複数回のリンスまたは洗浄を含む。例えば、固体支持体がマイクロタイタープレートの場合、ウェルは、洗浄溶液で数回洗浄され得る。洗浄溶液は、代表的には、特異的結合に関与しないインキュベーション混合物の成分(例えば、塩、緩衝液、界面活性剤、非特異的タンパク質など)を含む。固体支持体が磁気ビーズの場合、ビーズは、洗浄溶液で1回以上洗浄され得、そして磁石を用いて分離され得る。
【0169】
検出は、細胞に基づくアッセイの任意の従来の方法(例えば、誘導されたポリペプチドの、細胞内での測定、細胞表面での測定、または細胞により分泌された誘導されたポリペプチドの測定)においてもたらされ得る。このような細胞に基づくアッセイにおいて有用な検出方法の例として、蛍光標識細胞分離(FACS)分析、生物発光、蛍光、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、リバーストランスクリプターゼ−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)などが挙げられる。
【0170】
標識および他のアッセイ成分に基づき、標識を検出する種々の方法が、用いられ得る。例えば、標識は、固体支持体に結合している時に検出され得るか、または固体支持体から分離された後に検出され得る。標識は、光学密度または電子密度、放射性放出、非放射性エネルギー移動などを通して直接的に検出され得るか、または抗体結合、ストレプトアビジン−ビオチン結合などにより間接的に検出され得る。標識を検出する方法は、当該分野で周知である。
【0171】
マウスTLR9結合因子はまた、抗体または機能的に活性な抗体フラグメントであり得る。抗体は、免疫化学分野の当業者に周知である。本明細書中で使用する場合、用語「抗体」は、インタクトな抗体分子だけでなく、特異的な標的結合能力を保持する抗体分子のフラグメントもまた意味する。このようなフラグメントもまた当該分野で周知であり、そしてインビトロおよびインビボの両方で通常に用いられている。特に、本明細書中で用いる場合、用語「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン分子だけでなく、周知の活性フラグメントであるF(ab’)2およびFabも意味する。インタクトな抗体のFcフラグメントを欠くF(ab’)2およびFabフラグメントは、循環中からより迅速に浄化し、そしてインタクトな抗体よりも非特異的結合が少ない(Wahl RLら、J Nucl Med 24:316−325(1983))。
【0172】
モノクローナル抗体は、免疫原としてマウスTLR9またはそのフラグメントを使用する分野で公知の任意の方法により作製され得る。あるいは、抗体は、マウスTLR9に特異的な、マウスTLR9活性を阻害するポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体の調製および使用もまた、当業者に公知である。
【0173】
特に、当該分野で周知であるように、抗体分子の小部分(パラトープ)のみが、抗体のエピトープへの結合に関与する(一般的には、Clark,E.R.(1986)The Experimental Foundations of Modern Immunology,Wiley & Sons,Inc.,New York;Roitt,I.(1991)Essential Immunology,7th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford)。例えば、pFc’およびFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合に関与しない。pFc’領域が酵素により切断された抗体またはpFc’領域を持たずに生成された抗体(F(ab’)2フラグメントと称される)は、インタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素により切断された抗体またはFc領域を持たずに生成された抗体(Fabフラグメントと称される)は、インタクトな抗体分子の抗原結合部位のうちの1つを保持する。さらに言及すると、Fabフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖および抗体重鎖の一部分(Fdと称される)からなる。Fdフラグメントは、抗体の特異性の主要な決定因子であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変化させずに最大10個の異なる軽鎖と結合され得る)、そしてFdフラグメントは、単離状態でエピトープ結合能力を保持する。
【0174】
当該分野で周知のように、抗体の抗原結合部分の中に、抗原のエピトープと直接的に相互作用する相補性決定領域(CDR)、およびパラトープの三次構造を維持するフレームワーク領域(FR)が存在する(一般的には、Clark,1986;Roitt,1991)。重鎖FdフラグメントおよびIgG免疫グロブリンの軽鎖の両方の中に、3つの相補性決定領域(CDR1〜CDR3)により分離されたそれぞれ4つのフレームワーク領域(FR1〜FR4)が存在する。CDR、特に、CDR3領域、より特に重鎖CDR3は、抗体特異性の大部分を担っている。
【0175】
上記アッセイにおいて本発明に従って有用であることが同定された抗マウスTLR9モノクローナル抗体の抗原結合Fab’部分の配列、ならびに関連するFRおよびCDR領域は、当該分野で慣用的なアミノ酸配列決定法を用いて決定され得る。哺乳動物抗体の非CDR領域が、元の抗体のエピトープ特異性を保持しつつ、非特異的抗体またはヘテロ特異的抗体の対応する領域で置換され得ることは、十分に確立されている。この技術は、「ヒト化」抗体の作製および使用に有用である。ヒト化抗体において、非ヒトCDRは、機能的な抗体を生成するために、ヒトFRおよび/またはFc/pFc’領域に共有結合される。ヒト化抗体に関する技術は、マウスTLR9活性を阻害する非ヒト動物(例えばマウス)抗体が同定されている場合に特に有用である。これらの非ヒト動物抗体は、本発明に従う方法においてヒト被験体の処置に使用するためにヒト化され得る。マウス抗体をヒト化するための方法の例は、米国特許第4,816,567号、同第5,225,539号、同第5,585,089号、同第5,693,762号、および同第5、859、205号に提供されている。他の抗体(抗原結合能力を有するインタクトな抗体のフラグメントを含む)は、しばしば、「キメラ」抗体と称される。
【0176】
従って、当業者に明らかなように、本発明はまた、抗マウスTLR9モノクローナル抗体のF(ab’)2およびFabフラグメント;抗マウスTLR9抗体のFcおよび/またはFRならびに/あるいはCDR1および/またはCDR2ならびに/あるいは軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列により置換されているキメラ抗体;抗マウスTLR9抗体のFRならびに/あるいはCDR1および/またはCDR2ならびに/あるいは軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列により置換されているキメラF(ab’)2フラグメント抗体;ならびにFRならびに/あるいはCDR1および/またはCDR2ならびに/あるいは軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列により置換されているキメラFabフラグメント抗体を提供する。
【0177】
本発明に従って、マウスTLR9インヒビターもまた、配列番号3由来の「ドミナントネガティブ」なポリペプチドを含む。ドミナントネガティブなポリペプチドは、ポリペプチドの不活性な改変体であり、細胞機構と相互作用することにより、その細胞機構との相互作用において活性なポリペプチドと置き換わるか、または活性ポリペプチドと競合し、それによって活性なポリペプチドの効果を減少させる。例えば、リガンドに結合するが、そのリガンドの結合に応答してシグナルを伝達しないドミナントネガティブなレセプターは、そのレセプターの発現の生物学的効果を減少させる。以下の実施例に示すように、aa915のプロリンのヒスチジンへの置換を含むTLR9ポリペプチド(P915H変異)は、機能的に不活性であり、そしてネイティブのTLR9ポリペプチドに対してドミナントネガティブである。
【0178】
細胞中での本発明のドミナントネガティブなマウスTLR9ポリペプチドの発現の最終的な結果は、TLR9活性(例えば、TLR経路を通じたシグナル伝達)の減少である。当業者は、マウスTLR9ポリペプチドのドミナントネガティブ改変体の能力を評価することが可能であり、そして標準的な変異誘発技術を用いて、1つ以上のドミナントネガティブ改変体ポリペプチドを作製することが可能である。例えば、本明細書中に含まれるマウスTLR9ポリペプチドの技術が与えられれば、当業者は、部位特異的変異誘発、走査型変異誘発(scanning mutagenesis)、部分的な遺伝子欠失または切断などによりマウスTLR9ポリペプチドの配列を改変することが可能である(例えば、米国特許第5,580,723号およびMolecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら編,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989)。次いで、当業者は、マウスTLR9活性の減少および/またはこのような活性の保持について、変異ポリペプチドの集団を試験することが可能である。マウスTLR9ポリペプチドのドミナントネガティブ改変体を作製および試験するための他の同様の方法は、当業者に明らかである。
【0179】
本発明のこの局面に従う各々の組成物は、種々の治療目的および非治療目的に有用である。例えば、本発明のマウスTLR9核酸は、オリゴヌクレオチドプローブとして有用である。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、本明細書中で、同一または実質的に類似する核酸配列を有するゲノムライブラリークローンまたはcDNAライブラリークローンを同定するために使用され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、所望の配列にハイブリダイズし得る適切なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのセット、その改変体またはフラグメント、あるいはこのようなオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのセットのアンチセンス相補体は、当該分野で周知の手段により合成され得(例えば、Synthesis and Application of DNA and RNA,S.A.Narang編,1987,Academic Press,San Diego,CA)、そして当該分野で周知の技術により所望の配列、その改変体またはフラグメントを同定および単離するためのプローブとして使用される。核酸ハイブリダイゼーションおよびクローン同定の技術は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989により開示されている。
【0180】
所望の核酸配列、またはその改変体もしくはフラグメントの検出を容易にするために(クローニング目的であろうと、配列の存在の検出のみのためであろうと)、上記のプローブは、検出可能な基で標識され得る。このような検出基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であり得る。このような物質は、核酸ハイブリダイゼーションの分野で十分発達しており、一般的に、このような方法に有用な多くの標識が本発明に適用され得る。特に、放射性標識が有用である。十分なシグナルを提供し、そして十分な半減期を有する任意の放射性標識が用いられる。一本鎖の場合、オリゴヌクレオチドは、キナーゼ反応を用いて標識され得る。あるいは、オリゴヌクレオチドはまた、非放射性マーカー(例えば、ビオチン、酵素、または蛍光基)で標識される場合、核酸ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。例えば、Leary JJら、Proc Natl Acad Sci USA 80:4045(1983);Renz Mら、Nucleic Acids Res 12:3435(1984);およびRenz M、EMBO J 6:817(1983)を参照のこと。
【0181】
さらに、マウスTLR9核酸の相補体は、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして有用であり得、例えば、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを動物に送達することにより、マウスTLR9「ノックアウト」表現型が誘導される。遺伝子発現をブロックするためのアンチセンスRNAプローブの投与は、Lichtenstein C、Nature 333:801−802(1988)において議論されている。
【0182】
あるいは、本発明のマウスTLR9核酸は、非ヒトトランスジェニック動物を調製するために使用され得る。「トランスジェニック動物」は、細胞中に人為的に挿入され、その細胞から生じたその動物のゲノムの一部となったDNAを含む細胞を有する動物である。好ましいトランスジェニック動物は、霊長類、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、およびネコである。トランスジェニック実験に適した動物は、標準的な販売元(例えば、Charles River(Wilmington、MA)、Taconic(Germantown、NY)、Harlan(Indianapolis、IN)など)から入手され得る。特定の疾患に関連する特定の特性を有するトランスジェニック動物は、種々の薬物の効果およびその疾患に対する処置方法を研究するために使用され得、従って、多くのヒト疾患の遺伝的モデルとして役立つ。従って、本発明は、TLR9媒介シグナル伝達に関与する障害の研究のためのモデルとしての、マウスTLR9ノックアウトおよびトランスジェニック動物の使用を意図する。本発明の関連するトランスジェニック動物の作製のための当業者に公知の種々の方法が利用可能である。
【0183】
内因性TLR9遺伝子の不活性化または置換は、胚性幹細胞を用いた相同組換え系により達成され得る。TLR9−/−ノックアウト表現型を有する得られるトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、マウスTLR9についてトランスジェニックされ、そしてマウスTLR9のモジュレーター(アゴニストまたはアンタゴニスト/インヒビター)として化合物をスクリーニングするためのモデルとして使用される。この様式において、このような治療薬が同定され得る。
【0184】
さらに、マウスTLR9の正常バージョンまたは変異バージョンが、生殖細胞系に挿入され、マウスTLR9の正常形態または変異形態を保存的または誘導的に発現するトランスジェニック動物が作製され得る。これらの動物は、細胞でのマウスTLR9の役割および機能を規定するための研究において有用である。
【0185】
一般的に、活性化合物の用量は、1日当たり約0.01mg/kg〜1日あたり1000mg/kgである。50〜500mg/kgの範囲の用量が1日あたり1回または数回の投与において適切である。より少ない用量は、他の形態の投与(例えば、静脈内投与)によりもたらされる。被験体における応答が適用された最初の用量で不十分である場合、より多い用量(または異なる、より局在的な送達経路による効果的に多い用量)が、患者の耐性が許容する範囲内で用いられ得る。1日あたり複数の投薬は、化合物の適切な全身レベルを達成するために考慮されるが、遅延放出薬物または化合物が持続放出薬物として調製される場合、より少ない用量が、代表的に、与えられる。
【0186】
本発明に従って有用なマウスTLR9のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチドは、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ得る。従って、本発明はまた、本発明のこの局面の組成物を含む薬学的組成物およびこの薬学的組成物を調製するための方法もまた提供する。薬学的組成物は、本発明に従って有用なアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチド、ならびに、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアのいずれか1つまたはその組み合わせを含む。各々の薬学的組成物は、本発明に従って有用なマウスTLR9のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、またはポリペプチド、およびそれらの組み合わせを選択し、そして必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアをそれと組み合わせることにより調製される。
【0187】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、本明細書中で使用される場合、1つ以上の適合性の固体充填剤または液体充填剤、希釈剤、あるいはヒトへの投与に適したカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」は、その適用を容易にするために活性成分と組合される有機成分または無機成分、天然成分または合成成分をいう。薬学的組成物の成分はまた、所望の薬学的効果を実質的に損なう相互作用が存在しないような様式で、本発明の分子と、および互いに混合され得る。
【0188】
薬学的組成物は、以下に挙げられる(しかし、これらに限定されない)適切な緩衝剤を含み得る:酢酸含有塩;クエン酸含有塩;およびリン酸含有塩。
【0189】
薬学的組成物はまた、必要に応じて、適切な防腐剤(例えば、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、パラベン、およびチメロサール)を含み得る。
【0190】
投与される場合、本発明の薬学的調製物は、薬学的に受容可能な量および薬学的に受容可能な組成で適用される。このような調製物は、慣用的に、塩、緩衝化剤、防腐剤、適合性キャリア、および必要に応じて他の治療剤が含まれ得る。医薬において使用される場合、塩は、薬学的に受容可能であるべきであるが、薬学的に受容可能でない塩が、薬学的に受容可能なその塩を調製するために従来的に使用され得、そしてこれも本発明の範囲から除外されない。このような薬理学的および薬学的に受容可能な塩として、以下の酸から調製される塩が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩)として調製され得る。
【0191】
種々の投与経路が利用可能である。当然のことながら、選択される特定の様式は、選択される特定の化合物、処置される状態の重篤度、および治療効果のために必要とされる用量に依存する。一般的に言うと、本発明の方法は、医学的に受容可能な任意の投与様式を用いて実施され得る。これは、臨床的に受容可能でない副作用を伴わずに活性成分の効果レベルを生じる任意の様式を意味する。このような投与様式として、経口経路、直腸経路、局所経路、鼻経路、皮内経路、または非経口経路が挙げられる。用語「非経口」とは皮下、経皮、静脈内、動脈内、くも膜下、筋肉内、腹腔内、粘膜内(胃腸粘膜を除く)、肺、病巣内、および注入が挙げられるがこれらに限定されない。
【0192】
薬学的組成物は、従来的に、単位用量形態で調製され得、そして薬学分野で周知の任意の方法により調製され得る。全ての方法は、活性剤を、1つ以上のアクセサリー成分を構成するキャリアと一体にする工程を包含する。一般的に、この組成物は、活性成分を、液体キャリア、繊細に分離された固体キャリア、またはその両方と不均一かつ緊密に一体化し、次いで、必要な場合、生成物を形成することにより調製される。
【0193】
経口投与に適した組成物は、別個の単位(例えば、カプセル、錠剤、ロゼンジ)として存在し得、各々は、予め決定された量の活性成分を含む。他の組成物は、水性液体または非水性液体(例えば、シロップ、エリキシル、エマルジョン)中の懸濁物を含む。
【0194】
非経口投与に適した組成物は、好適には、マウスTLR9のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、またはポリペプチドの滅菌水性調製物を含み、好ましくは、レシピエントの血液と等張性である。この水性調製物は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の方法に従い処方され得る。滅菌性の注入可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌性の注入可能な溶液または懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。受容可能なビヒクルおよび溶媒の中で、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液が用いられ得る。さらに、滅菌性の固定油が、溶媒または懸濁媒体として従来的に用いられる。この目的のために、合成性のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む無刺激の固定油が用いられ得る。経口投与、皮下投与、静脈内投与、くも膜下投与、筋肉内投与などに適したキャリア処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PAにおいて見出される。
【0195】
他の送達系として、時間放出系、遅延放出系、または持続放出系(例えば、上述の生物学的/化学的ベクター)が挙げられ得る。このような系は、活性成分の反復投与を回避し得、これにより、被験体および医者への利便性が増加する。多くの型の放出送達系は、当業者に利用可能であり、そして公知である。長期持続性放出移植片は、少なくとも30日の間(好ましくは60日の間)の治療レベルの活性成分を送達するために構築および改変される。長期持続性放出移植片は当業者に周知であり、上記の放出系のいくつかを含む。
【0196】
別の局面において、本発明は、マウスTLR7およびTLR8をコードするcDNA(本明細書中でそれぞれマウスTLR7およびTLR8、それと同等にmTLR7およびmTLR8と称される)の同定に関する。マウスTLR7のヌクレオチド配列は、配列番号173として示され、マウスTLR7のcDNAのコード領域は配列番号174として示され、そしてマウスTLR7のアミノ酸配列は配列番号175として示される。緊密に関連するヒトTLR7(同等に、hTLR7)は、登録番号AF245702およびAF240467の下でGenBankに以前に登録された。配列番号173において示されるマウスTLR7のcDNAのヌクレオチド配列は3357ヌクレオチド長であり、そして塩基117−3266にわたり、3150ヌクレオチドにわたる(終止コドンを除く)ORF(配列番号174として示される)を含む。配列番号175として示されるマウスTLR7のアミノ酸配列は1050アミノ酸長である。
【0197】
マウスTLR8のヌクレオチド配列は、配列番号190として示され、マウスTLR8のcDNAのコード領域は配列番号191として示され、そしてマウスTLR8のアミノ酸配列は配列番号192として示される。緊密に関連するヒトTLR8(同等に、hTLR8)は、登録番号AF245703およびAF246971の下でGenBankに以前に登録された。
【0198】
ヒトおよびマウスの両方のTLR9、ヒトTLR7、およびTLR8の各々は、1つのCXXCモチーフおよび1つのMBDモチーフを含む。hTLR7 CXXCモチーフは、アミノ酸258〜273を含み、そしてhTLR8 CXXCは、アミノ酸225〜270を含む。
【0199】
【化13】
ヒトおよびマウスのTLR9、ヒトTLR7、およびTLR8はまた、単一のMBDモチーフを有する。hTLR7 MBDは、アミノ酸545〜575にまたがり、そしてhTLR8 MBDモチーフはアミノ酸533〜563にまたがる。
【0200】
【化14】
MBDモチーフにおけるコアD−X−Yは、MBD−1タンパク質のCpG結合に関与し、そしてTLR9において保存されているが、TLR8およびTLR7においては部分的に保存されているのみである(YからDまたはL)。他の不一致は、高度に保存されているか、または中程度に保存されている;例えば、RからK、Q、またはDへ。これらの変化により、MBD−1がメチル−CpGバインダーであり、そしてTLR9がCpG−DNAのバインダーであることが説明され得る。hTLR7およびTLR8におけるコア配列(D−X−Y)における改変(それぞれ、D−X−LおよびD−X−D)は、異なる核酸モチーフの認識のための構造的基礎である可能性がある。CXXCドメインの存在と合わせて、TLR7およびTLR8は、確かに、生得的な免疫系に関連する核酸結合レポーターである可能性があり、従って臨床的な価値を有する可能性がある。
【0201】
本発明は、1つの局面において、マウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドならびにそれらに関連する治療剤に関する。本発明はまた、前記のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドの単離された機能的に等価な改変体、有用なアナログおよびフラグメント;前記のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドの相補体;および前記のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドに選択的に結合する分子を包含する。
【0202】
本発明のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドは単離されている。マウスTLR7およびTLR8核酸およびポリペプチドに関して用語「単離された」は、本明細書中の他で用いられるのと同一の意味を有する。
【0203】
本明細書中で用いる場合、マウスTLR7核酸は、マウスTLR7ポリペプチドをコードする単離された核酸分子をいう。このような核酸分子は、配列番号175の配列およびそのフラグメントを含むマウスTLR7ポリペプチドをコードする。この核酸分子は、配列番号173、配列番号174の核酸配列、および遺伝子コードの縮重に起因して、コドン配列において配列番号173および配列番号174の配列と異なるヌクレオチド配列を含む。
【0204】
また、本明細書中で使用される場合、マウスTLR8核酸とは、マウスTLR8ポリペプチドをコードする単離された核酸分子をいう。このような核酸分子は、配列番号193の配列およびそのフラグメントを含むマウスTLR8ポリペプチドをコードする。この核酸分子は、配列番号190、配列番号191のヌクレオチド配列、ならびに遺伝コードの縮重に起因してコドン配列が配列番号190および配列番号191の配列とは異なるヌクレオチド配列を含む。
【0205】
本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸はまた、前述の核酸の対立遺伝子およびフラグメントを含む。このようなフラグメントは、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおいてプローブとして、そしてポリメラーゼ連鎖反応においてプライマーとして、使用され得る。好ましいマウスTLR7核酸は、配列番号173および配列番号174の核酸配列を含む。好ましいマウスTLR8核酸は、配列番号190および配列番号191の核酸配列を含む。前述の核酸の相補体もまた、本発明に包含される。
【0206】
本明細書中で使用される場合、マウスTLR7核酸またはマウスTLR7ポリペプチドはまた、マウスTLR7のホモログおよび対立遺伝子を包含する。同様に、本明細書中で使用される場合、マウスTLR8核酸またはマウスTLR8ポリペプチドもまた、マウスTLR8のホモログおよび対立遺伝子を包含する。マウスTLR7およびマウスTLR8のホモログおよび対立遺伝子は、マウスTLR9のホモログおよび対立遺伝子に関して本明細書中で以前に示された、ヌクレオチドおよびアミノ酸の同一性の程度に従う。
【0207】
本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸の対立遺伝子は、従来技術によって同定され得る。例えば、マウスTLR7の対立遺伝子は、ストリンジェントな条件下で、配列番号173または配列番号174の少なくとも1つのフラグメントを含むプローブを、cDNAライブラリーとハイブリダイズさせ、そして陽性クローンを選択することによって単離され得る。従って、本発明の1つの局面は、マウスTLR7ポリペプチドをコードし、そしてストリンジェントな条件下で配列番号173または配列番号174からなる核酸分子にハイブリダイズする核酸配列である。同様に、本発明の1つの局面は、マウスTLR8ポリペプチドをコードし、そしてストリンジェントな条件下で配列番号190または配列番号191からなる核酸分子にハイブリダイズする核酸配列である。この文脈におけるストリンジェントな条件は、本明細書中の別の箇所に記載したのと同じ意味を有し、適切なハイブリダイゼーション緩衝液および約65℃の温度の使用を含む。
【0208】
マウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸のスクリーニングにおいて、サザンブロットを、放射性プローブと一緒に、本明細書に以前に記載されたストリンジェントな条件を使用して実行し得る。DNAが最終的に移されるメンブレンの洗浄後、このメンブレンを、X線フィルムに対して配置して、放射性シグナルを検出し得る。対応する非放射性の方法もまた、当該分野で周知であり、かつ類似の効果のために使用され得る。
【0209】
本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸はまた、本明細書中に上記したように、ネイティブの物質中に存在するコドンの代替のコドンを含む縮重核酸も含む。
【0210】
本発明はまた、1つ以上のヌクレオチドの付加、置換および欠失を含む改変核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従う改変核酸分子は、完全にネイティブなヒトTLR7核酸分子(配列番号168、配列番号169、GenBank登録番号AF245702およびGenBank登録番号AF240467)および完全にネイティブなヒトTLR8核酸分子(配列番号182、配列番号183、GenBank登録番号AF245703およびGenBank登録番号AF246971)を排除する。好ましい実施形態において、これらの改変核酸分子および/またはそれがコードするポリペプチドは、未改変核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1つの活性または機能(例えば、シグナル伝達活性など)を保持する。特定の実施形態において、この改変核酸分子は、改変ポリペプチド、好ましくは、本明細書中の別の箇所に記載されたような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。この改変核酸分子は、未改変核酸分子と構造的に関連し、そしてより好ましい実施形態においては、未改変核酸分子と構造的に十分に関連するので、当業者に公知のストリンジェントな条件下で、この改変核酸分子と未改変核酸分子とはハイブリダイズする。
【0211】
本発明はまた、マウスTLR7のヌクレオチド配列(配列番号173および配列番号174)およびマウスTLR8のヌクレオチド配列(配列番号190および配列番号191)の単離されたフラグメントを提供する。これらのフラグメントは、サザンブロットアッセイにおいてプローブとして使用されて、このような核酸を同定し得るか、またはPCRを使用するような増幅アッセイにおいて使用され得る。より小さいフラグメントは、12、13、14、15、16、17、18、20、22、25、30、40、50または75ヌクレオチド、およびその間の全ての整数のヌクレオチドを含むフラグメントであり、そして、例えば、核酸増幅手順のためのプライマーとして有用である。当業者に公知なように、例えば、200、250、300、400またはそれ以上のヌクレオチドのより大きいプローブは、サザンブロットのような特定の用途のために好ましいが、より小さいフラグメントは、PCRのような用途のために好ましい。フラグメントはまた、抗体の生成またはポリペプチドフラグメントの結合の決定のための融合タンパク質を生成するために使用され得る。同様に、フラグメントは、例えば、抗体の調製、免疫アッセイなどにおいて有用な、マウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドの非融合フラグメントを生成するために使用され得る。前述の核酸フラグメントは、さらに、マウスTLR7およびマウスTLR8の核酸およびポリペプチドの発現を阻害するためにアンチセンス分子として使用され得る。
【0212】
本発明はまた、マウスTLR7およびマウスTLR8の機能的に等価な改変体を含み、これには、マウスTLR7およびマウスTLR8の少なくとも1つの機能的特性を保持する、改変核酸および改変ポリペプチドが含まれる。好ましくはこのような改変体は、マウス特異的なN末端ドメインを含む。
【0213】
機能的に等価な改変体はまた、一部(例えば、N末端の)が除去されたか、または別のTLR由来の類似のドメインによって置換された、マウスTLR7またはマウスTLR8を含む(例えば、「ドメイン交換(domain−swapping)」改変体)。このようなドメイン交換改変体の例としては、別の種由来のTLR7ドメインの交換および別のTLR由来のTLRドメインの交換に関与する改変体が挙げられる。
【0214】
他の機能的に等価な改変体ならびにこのような改変体を調製するための方法は、当業者に公知である。機能的に等価な改変体の活性は、本明細書中ならびに他のTLRおよび他種のTLRを使用するアッセイを記載した参考文献中に提供される方法を使用して、決定され得る。このような改変体は、とりわけ、薬物のバイオアベイラビリティーの評価のために、マウスTLR7およびマウスTLR8に結合する化合物および/またはマウスTLR7およびマウスTLR8のシグナル伝達機能を調節する化合物の同定のためのアッセイにおいて、そしてシグナル伝達活性に必要なマウスTLR7およびマウスTLR8の部分を決定するために、有用である。
【0215】
非機能的な改変体もまた、上記のように調製され得る。このような改変体は、例えば、TLR7およびTLR8のシグナル伝達活性を試験する実験においてネガティブコントロールとして有用である。非機能的な改変体の例としては、リガンド結合またはシグナル伝達活性に重要であると考えられるアミノ酸の短縮または変異を組み込んでいる改変体が挙げられる。
【0216】
特定の実施形態において、マウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸は、真核生物細胞および原核生物細胞内でマウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸の発現を指向し得る遺伝子発現配列に、作動可能に連結される。用語「遺伝子発現配列」および「作動可能に連結される」は、本明細書中で上で定義した通りである。
【0217】
本発明のマウスTLR7核酸分子およびマウスTLR8核酸分子、ならびにマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドは、真核生物細胞または原核生物細胞に、単独でか、またはベクターと組み合わせて送達され得る。マウスTLR7核酸分子およびマウスTLR8核酸分子に適用する場合、「ベクター」は、以下を促進し得る任意のビヒクルである:(1)マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドの、標的細胞への送達、(2)マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドの、標的細胞による取り込み、あるいは(3)マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸分子またはポリペプチドの、標的細胞における発現。
【0218】
生物学的ベクターに加えて、化学的/物理的ベクターが使用されて、マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドを標的細胞に送達し得、そして標的細胞による取り込みを促進し得る。マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドに関して本明細書中で使用される場合、「化学的/物理的ベクター」とは、単離されたマウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドを細胞に対して送達し得る、細菌学的供給源またはウイルス供給源由来のもの以外の、天然または合成の分子をいう。
【0219】
標的細胞によるマウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸の取り込みを促進するために使用され得る他の例示的組成物としては、リン酸カルシウム、および細胞内輸送の化学的中間体、マイクロインジェクション組成物、エレクトロポレーションならびに(例えば、標的細胞染色体内の予め選択された位置へ、マウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸を組み込むための)相同組換え組成物が挙げられる。
【0220】
本発明が、宿主細胞および細胞株(原核生物(例えば、E.coli)または真核生物(例えば、293繊維芽細胞(ATCC、CRL−1573)、MonoMac−6、THP−1、U927、CHO細胞、COS細胞、酵母発現系および昆虫における組換えバキュウロウイルス発現))をトランスフェクトするために、発現ベクター中のマウスTLR7cDNA配列およびマウスTLR8cDNA配列の使用を包含することもまた認識される。特に有用なものは、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、ブタ、ヤギ、霊長類、モルモットなど)である。これらは、広範な種々の組織型のものであり得、そして霊長類の細胞および細胞株を含む。適切な配列(すなわち、前出に記載の核酸)を必要とする発現ベクターは、プロモーターに作動可能に連結される。
【0221】
本発明はまた、上記のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸によってコードされる、単離されたマウスTLR7ポリペプチドおよび単離されたマウスTLR8ポリペプチド(これは、配列番号175、配列番号192およびこれらのフラグメントのアミノ酸配列を含む)を提供する。マウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドはまた、対立遺伝子、機能的に等価な改変体およびアナログ(これらの非対立遺伝子ポリペプチドは、1、2、3、4、5またはそれ以上のアミノ酸が、開示されたマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドのアミノ酸とは異なる)を包含するが、但し、このようなポリペプチドは、マウスTLR7またはマウスTLR8の活性を保持する。非機能的な改変体もまた、本発明に包含される;これらは、TLR7およびTLR8のシグナル伝達機能のアンタゴニストとして、アッセイにおけるネガティブコントロールなどとして有用である。このような対立遺伝子、改変体、アナログおよびフラグメントは、例えば、単独で、または種々の目的のための融合タンパク質として(アッセイの成分としてを含む)、有用である。
【0222】
本発明はまた、上記のマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドの改変体を包含する。マウスTLR7改変体またはマウスTLR8改変体を作製する改変は、以下を含む種々の理由のために、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対してなされ得る:1)マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの活性(例えば、シグナル伝達)を減少または排除するため;2)マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの特性(例えば、シグナル伝達、核酸リガンドもしくは他のリガンド分子に対する結合親和性、発現系におけるタンパク質の安定性、またはタンパク質−タンパク質結合の安定性)を増強するため;3)マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対する新規活性または特性(例えば、抗原性エピトープの付加、または検出可能部分(例えば、ルシフェラーゼ、FLAGペプチド、GFP)の付加)を提供するため;4)分子のシグナル伝達活性に影響するかまたは影響しないアミノ酸置換を確立するため;あるいは5)免疫原性を減少させるため。マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対する改変は、代表的に、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドをコードする核酸に対してなされ、そして改変としては、欠失、点変異、短縮、アミノ酸置換およびアミノ酸または非アミノ酸部分の付加が挙げられ得る。あるいは、改変は、例えば、切断、リンカー分子の付加、検出可能部分(例えば、ビオチン、蛍光団、放射性同位体、酵素またはペプチド)の付加、脂肪酸の付加などによって、ポリペプチドに対して直接なされ得る。
【0223】
改変はまた、マウスTLR7アミノ酸配列またはマウスTLR8アミノ酸配列の全てまたは一部を含む融合タンパク質を包含する。
【0224】
改変体としては、その生理学的活性に無関係な各ポリペプチドの特徴を特異的に変更するように改変されたマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドが挙げられる。例えば、システイン残基は、望まれないジスルフィド結合を予防するために置換または欠失され得る。同様に、特定のアミノ酸は、発現系におけるプロテアーゼによるタンパク質分解を排除することによって、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの発現を増強するように変化され得る(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母発現系における二塩基性アミノ酸残基)。
【0225】
マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドをコードする核酸の変異は、好ましくは、コード配列のアミノ酸リーディングフレームを保存し、そして好ましくは、ハイブリダイズして二次構造(例えば、ヘアピンまたはループ(これらは、改変体ポリペプチドの発現に対して有害であり得る))を形成する可能性のある領域を核酸中に作製しない。マウスTLR7またはマウスTLR8の変異を作製する方法は、マウスTLR9の変異の作製に関して本明細書中の別の箇所に記載される通りである。
【0226】
マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの改変体の活性を、原核生物または真核生物(例えば、哺乳動物)の発現ベクター中に、改変体マウスTLR7ポリペプチドまたは改変体マウスTLR8ポリペプチドをコードする遺伝子をクローニングし、このベクターを適切な宿主細胞に導入し、改変体マウスTLR7ポリペプチドまたは改変体マウスTLR8ポリペプチドを発現させ、そしてこのマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの機能的能力を、本明細書中に開示のように試験することによって、試験し得る。
【0227】
当業者はまた、保存的アミノ酸置換がマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチド中に作製されて、上記のポリペプチドの機能的に等価な改変体(すなわち、マウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドの機能的能力を保持する改変体)を提供し得ることを認識する。
【0228】
当業者に周知の種々の方法論を使用して、マウスTLR9ポリペプチドに関して上記されたように、単離されたマウスTLR7ポリペプチド分子およびマウスTLR8ポリペプチド分子を獲得し得る。
【0229】
本明細書中に記載される発明は、多数の用途を有し、このうちいくつかは、本明細書中の別の箇所に記載される。例えば、本発明は、マウスTLR7ポリペプチド分子およびマウスTLR8ポリペプチド分子の単離を可能にし、これは、例えば、標準的なプロトコールを使用して単離され得る大量のポリペプチドを生成するための組換え核酸の発現による。別の例として、マウスTLR7遺伝子の単離は、マウスTLR7が、TLR7が関与する分子相互作用をアッセイするための方法において使用されることを可能にする。
【0230】
本発明はまた、マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸分子またはポリペプチドに選択的に結合する因子、ならびに本明細書中に記載されるようなポリペプチドおよび核酸の改変体およびフラグメントに結合する因子を包含する。この因子としては、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合するポリペプチド、およびアンチセンス核酸が挙げられ、これらは両方とも、以下により詳細に記載される。いくつかの因子は、マウスTLR7が媒介するシグナル伝達活性を阻害または増大し得(それぞれ、アンタゴニストおよびアゴニスト)、そしていくつかは、マウスTLR8が媒介するシグナル伝達活性を阻害または増大し得る。
【0231】
1つの実施形態において、マウスTLR7インヒビターは、マウスTLR7核酸分子に選択的に結合して、細胞中のマウスTLR7(または別種のTLR7)の発現を減少させる、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、TLR7シグナル伝達活性の減少が所望される、実質的に任意の医学的状態において所望される。配列番号173および配列番号174に基づいて、または対立遺伝子もしくはホモログのゲノム配列および/もしくはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従って使用するための、任意の多数の適切なアンチセンス分子を、容易に選択および合成し得る。
【0232】
1つの実施形態において、マウスTLR8インヒビターは、マウスTLR8核酸分子に選択的に結合して、細胞中のマウスTLR8(または別種のTLR8)の発現を減少させる、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、TLR8シグナル伝達活性の減少が所望される、実質的に任意の医学的状態において所望される。配列番号190および配列番号191に基づいて、または対立遺伝子もしくはホモログのゲノム配列および/もしくはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従って使用するための、任意の多数の適切なアンチセンス分子を、容易に選択および合成し得る。
【0233】
マウスTLR7またはマウスTLR8についてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書中に上記したような、「天然」オリゴヌクレオチドおよび「改変」オリゴヌクレオチドを含み得る。
【0234】
マウスTLR7またはマウスTLR8を結合する因子としてはまた、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチド、およびそれぞれマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドを含む複合体に結合する、結合ペプチドあるいは他の分子が挙げられる。結合分子がインヒビターである場合、この分子は、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合し、その活性を阻害する。結合分子がアクチベーターである場合、この分子は、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合して、その活性を増大させる。マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子が、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合するか否かを決定するために、任意の公知の結合アッセイが使用され得る。例えば、この結合因子は、表面に固定化され、次いで標識されたマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドと接触させられ得る。次いで、マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子と相互作用するマウスTLR7またはマウスTLR8の量、あるいはマウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子に結合しないマウスTLR7またはマウスTLR8の量を定量して、マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子がマウスTLR7またはマウスTLR8に結合するか否かを決定し得る。
【0235】
マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子としては、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対して、およびマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドとそれらの結合パートナーとを含む複合体に対して、選択的または優先的に結合する、多数のサイズおよび型の分子が挙げられる。これらの分子は、種々の供給源に由来し得る。例えば、マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子は、固定化形態の、またはファージディスプレイライブラリーとしての変性ペプチドライブラリー(これは、溶液中に容易に調製され得る)をスクリーニングすることによって提供され得る。組み合わせライブラリーもまた、1以上のアミノ酸を含むペプチドから合成され得る。ライブラリーは、さらに、ペプトイドおよび非ペプチド合成部分から合成され得る。
【0236】
マウスTLR7結合ペプチドおよびマウスTLR8結合ペプチドを同定するために有用な例示的方法は、マウスTLR9結合ペプチドを同定するための方法に関して本明細書中に記載された方法と類似であるので、ここでは繰り返さない。
【0237】
従って、本発明は一般に、TLR7活性およびTLR8活性に関連する状態の処置において有用な因子について、薬理学的因子またはリード化合物を同定する有効な方法、ならびにこうして同定された化合物および因子を提供する。一般に、このスクリーニング方法は、マウスTLR7またはマウスTLR8の発現あるいはマウスTLR7またはマウスTLR8を介したシグナル伝達を阻害または増強する化合物についてアッセイする工程を包含する。このような方法は、化合物の自動化されたハイスループットスクリーニングに適用可能である。
【0238】
薬理学的因子についての種々のアッセイが提供され、これには、標識インビトロタンパク質結合アッセイ、検出可能な分子を使用するシグナル伝達アッセイなどが含まれる。例えば、タンパク質結合スクリーニングは、マウスTLR7またはマウスTLR8に対する候補薬理学的因子の結合を迅速に試験するために使用される。候補薬学的因子は、例えば、組み合わせのペプチドライブラリーまたは核酸ライブラリーに由来し得る。このようなアッセイのための従来の試薬は、当該分野で公知である。例示的な細胞ベースのシグナル伝達アッセイは、それによって検出可能な分子の誘導が生じ得る条件下で、マウスTLR7またはマウスTLR8を有する細胞を、候補薬学的因子と接触させる工程を包含する。候補薬理学的因子の存在下での、検出可能な分子の誘導の減少した程度は、この候補薬理学的因子が、マウスTLR7またはマウスTLR8のシグナル伝達活性を減少させることを示す。候補薬理学的因子の存在下での、検出可能な分子の誘導の増大した程度は、この候補薬理学的因子が、マウスTLR7またはマウスTLR8のシグナル伝達活性を増大させることを示す。
【0239】
本発明の方法において使用されるマウスTLR7またはマウスTLR8は、単離されたポリペプチド(ここで、候補薬理学的因子の結合が測定される)としてか、または細胞もしくは他の膜カプセル化空間(これは、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドを含む)として、アッセイ混合物に添加され得る。後者のアッセイ構成において、細胞または他の膜カプセル化空間は、ポリペプチドまたは核酸として、マウスTLR7またはマウスTLR8を含み得る(例えば、マウスTLR7をコードする核酸分子を含む発現ベクターによって形質転換された細胞)。本明細書中に記載されるアッセイにおいて、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドは、組換え的に生成され得るか、生物学的抽出物から単離される得か、またはインビトロで合成され得る。マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドは、別のポリペプチド(例えば、タンパク質−タンパク質結合を提供もしくは増強し得るか、シグナル伝達能力を増強し得るか、検出を容易にし得るか、またはアッセイ条件下でマウスTLR7ポリペプチドもしくはマウスTLR8ポリペプチドの安定性を増強し得るポリペプチド)との、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの融合を含む、キメラタンパク質を包含する。マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドあるいはこれらのフラグメントに融合したポリペプチドはまた、例えば、免疫学的認識または蛍光標識によって融合タンパク質を容易に検出する手段を提供し得る。
【0240】
このアッセイ混合物はまた、マウスTLR9に関して上記されたように、候補薬理学的因子を含む。候補薬理学的因子は、広範な種々の供給源(天然、合成、または半合成の化合物、あるいはこれらの任意の組み合わせのライブラリーを含む)から獲得される。現在、マウスTLR7およびマウスTLR8の天然のリガンドは未知であるが、CpG−ODNは含まないようである。
【0241】
種々の他の試薬がまた、アッセイ混合物中に含まれ得る。これらとしては、最適のタンパク質−タンパク質結合および/またはタンパク質−核酸結合を促進するために使用され得る、塩、緩衝液、中性タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤などの試薬が挙げられる。このような試薬はまた、反応成分の非特異的相互作用またはバックグラウンド相互作用を減少させ得る。アッセイ効率を改善する他の試薬(例えば、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤など)もまた使用され得る。
【0242】
上記アッセイ材料の混合物を、候補薬理学的因子の存在について、マウスTLR7またはマウスTLR8が、マウスTLR7媒介性またはマウスTLR8媒介性のシグナル伝達、好ましくはTLR/IL−1Rシグナル伝達を媒介するような条件下で、インキュベートする。候補薬理学的因子のマウスTLR7またはマウスTLR8に対する結合を決定するために、この混合物を、結合を可能にする条件下でインキュベートする。成分の添加の順番、インキュベーション温度、インキュベーション時間およびこのアッセイの他のパラメーターは、容易に決定され得る。このような実験は、単に、アッセイパラメーターの最適化のみを伴い、このアッセイの基本的な組成物の最適化を伴わない。インキュベーション温度は、代表的には、4℃と40℃との間である。インキュベーション時間は、好ましくは、迅速な高スループットスクリーニングを容易にするために最小化され、そして代表的には1分と10時間との間である。
【0243】
インキュベーション後、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドと候補薬理学的因子との間のシグナル伝達レベルまたは特異的結合レベルは、本明細書中の別の箇所に記載のように、使用者に利用可能な任意の従来方法によって検出される。
【0244】
マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子はまた、抗体または機能的に活性な抗体フラグメントであり得る。抗体(モノクローナル抗体および抗体フラグメントを含む)は、免疫学の科学分野の当業者に周知であり、本明細書中の別の箇所に記載された通りである。モノクローナル抗体は、マウスTLR7もしくはマウスTLR8またはこれらのフラグメントを免疫原として使用する、当該分野で公知の方法のいずれかによって作製され得る。あるいは、この抗体は、マウスTLR7活性またはマウスTLR8活性を阻害する、マウスTLR7またはマウスTLR8に特異的なポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体の調製および使用もまた、当業者に公知である。
【0245】
上記で提供されたアッセイにおいて本発明に従って有用であると同定された、抗マウスTLR7モノクローナル抗体または抗マウスTLR8モノクローナル抗体の抗原結合Fab’部分、ならびに関連のFR領域およびCDR領域の配列は、当該分野で慣用的なアミノ酸配列決定方法を使用して決定され得る。このような配列情報は、本明細書中の別の箇所に記載のように、ヒト化抗体およびキメラ抗体、ならびに種々の融合タンパク質および結合フラグメントを作製するために使用され得る。
【0246】
従って、当業者に明らかなように、本発明はまた、抗マウスTLR7モノクローナル抗体または抗マウスTLR8モノクローナル抗体のF(ab’)2フラグメントおよびFabフラグメント;抗マウスTLR7抗体または抗マウスTLR8抗体のFc領域および/またはFR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒトの配列によって置換されているキメラ抗体;抗マウスTLR7抗体または抗マウスTLR8抗体のFR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒトの配列によって置換されているキメラF(ab’)2フラグメント抗体;ならびにFR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒトの配列によって置換されているキメラFabフラグメント抗体、を提供する。
【0247】
本発明に従えば、マウスTLR7インヒビターおよびマウスTLR8インヒビターはまた、それぞれ、配列番号175または配列番号192由来の「ドミナントネガティブ」ポリペプチドを含む。細胞中の本発明のドミナントネガティブマウスTLR7ポリペプチドまたはドミナントネガティブマウスTLR8ポリペプチドの発現の最終結果は、TIR経路を通じたシグナル伝達のようなTLR7またはマウスTLR8活性の減少である。当業者は、マウスTLR7のドミナントネガティブ改変体またはドミナントネガティブマウスTLR8ポリペプチドが、標準的な突然変異誘発技術を用いて、1つ以上のドミナントネガティブ改変体ポリペプチドを作製する能力を評価し得る。
【0248】
本発明のこの局面に従う各々の組成物は、種々の治療目的および非治療目的のために有用である。例えば、本発明のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸は、オリゴヌクレオチドプローブとして有用である。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、同一の核酸配列または実質的に類似の核酸配列を保有するゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーのクローンを同定するために、本明細書において用いられ得る。ハイブリダイゼーション、プローブの合成、および欠失の方法は一般に、本明細書において他のいずれかに記載されている。
【0249】
さらに、マウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸の相補体は、例えば、マウスTLR7またはマウスTLR8の「ノックアウト」表現型を誘導するために動物にアンチセンスオリゴヌクレオチドを送達することによって、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして有用であり得る。
【0250】
あるいは、本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸は、非ヒトトランスジェニック動物を作成するために用いられ得る。従って、本発明は、TLR7媒介シグナル伝達およびマウスTLR8媒介シグナル伝達に関与する障害の研究のためのモデルとして、マウスTLR7およびマウスTLR8のノックアウト動物およびトランスジェニック動物の使用を意図する。当業者に公知の種々の方法が、本発明に関連したトランスジェニック動物の産生のために利用可能である。
【0251】
内因性TLR7またはTLR8の遺伝子の不活性化または置換は、胚性幹細胞を用いた相同組み換えシステムによって達成され得る。TLR7−/−またはTLR8−/−ノックアウト表現型を有する、得られたトランスジェニック非ヒト動物は、マウスTLR7またはマウスTLR8に対してトランスジェニックにされ、そしてマウスTLR7またはマウスTLR8の調節因子(アゴニストまたはアンタゴニスト/インヒビター)として化合物をスクリーニングするためのモデルとして用いられ得る。この様式において、このような治療薬が同定され得る。
【0252】
さらに、マウスTLR7またはマウスTLR8の正常バージョンまたは変異バージョンが生殖細胞株に挿入され、マウスTLR7またはマウスTLR8の正常型または変異型を構成的にまたは誘導性に発現するトランスジェニック動物を産生し得る。これらの動物は、細胞におけるマウスTLR7またはマウスTLR8の役割および機能を規定する研究において有用である。
【0253】
本発明による有用なマウスTLR7およびマウスTLR8のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチドは、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせられ得る。従って、本発明はまた、薬学的組成物、および本発明のこの局面の組成物を含む薬学的組成物を調製するための方法を提供する。この薬学的組成物は、本発明による有用なマウスTLR7およびマウスTLR8のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチドの1つまたは任意の組み合わせ、ならびに必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む。各薬学的組成物は、本発明に従う有用なマウスTLR7およびマウスTLR8のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、またはポリペプチド、ならびにそれらの任意の組み合わせを選択することによって、そして必要に応じてそれを薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせることによって調製される。
【0254】
種々の投与経路が、本明細書に以前に記載されたように利用可能である。選択された特定の様式は、当然ながら、選択された特定の化合物、処置されている状態の重篤度、および治療有効性に必要な投与量に依存する。
【0255】
同様に、マウスTLR9に関して上記の考察を類推すれば、単位用量の固体、液体、徐放性処方物などを含む種々の処方物が意図される。
【0256】
(スクリーニングアッセイ)
別の局面において、本発明は、TLR7、TLR8、およびTLR9を介するISNA誘導免疫調節において、ISNA模倣物、アゴニスト、またはアンタゴニストとして作用する候補化合物をスクリーニングするための方法を提供する。好ましくは、スクリーニング方法は、例えば、ロボットのまたは自動化されたアレイ取り扱いデバイスと組み合わせてサンプルのマルチウェルアレイの使用を通じて達成され得るような、ハイスループットスクリーニングアッセイを提供するように適合され得る。
【0257】
免疫刺激核酸としては、CpG核酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0258】
本明細書に用いられるような「CpG核酸」または「CpG免疫刺激核酸」は、少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む核酸(シトシン−グアニンジヌクレオチド配列、すなわち、「CpG DNA」または5’シトシン、続いて3’グアニンを含み、そしてリン酸結合で連結されたDNA)であり、そして免疫系の成分を活性化する。CpG核酸の全体が、メチル化されていなくてもよいし、部分がメチル化されていなくてもよいが、5’CG3’の少なくともCは、メチル化されていてはならない。
【0259】
1つの実施形態において、CpG核酸は、少なくとも以下の式によって示され:
5’−N1X1CGX2N2−3’
ここで、X1およびX2は、ヌクレオチドであり、Nは任意のヌクレオチドであり、そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である。いくつかの実施形態において、X1はアデニン、グアニン、またはチミンであり、そして/またはX2は、シトシン、アデノン、またはチミンである。他の実施形態において、X1は、シトシンであり、そして/またはX2は、グアニンである。
【0260】
他の実施形態において、CpG核酸は、少なくとも以下の式によって示され:
5’−N1X1X2CGX3X4N2−3’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドであり、Nは任意のヌクレオチドであり、そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpT、およびTpGからなる群より選択されるヌクレオチドであり;そしてX3X4は、TpT、CpT、ApT、TpG、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、およびCpAからなる群より選択されるヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpAまたはGpTであり、そしてX3X4は、TpTである。他の実施形態において、X1またはX2またはその両方は、プリンであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンであるか、あるいはX1X2はGpAであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンである。
【0261】
別の実施形態において、CpG核酸は少なくとも以下の式によって示され:
5’−TCN1TX1X2CGX3X4−3’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドであり;Nは任意のヌクレオチドであり;そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpT、およびTpGからなる群より選択されるヌクレオチドであり;そしてX3X4は、TpT、CpT、ApT、TpG、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、およびCpAからなる群より選択されるヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpAまたはGpTであり、そしてX3X4は、TpTである。他の実施形態において、X1またはX2またはその両方は、プリンであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンであるか、あるいはX1X2はGpAであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンである。
【0262】
本発明に従うCpG核酸の例としては、表1に列挙される核酸(例えば、配列番号21〜29、31〜42、44、46〜50、52〜62、64〜75、77〜88、90〜117、119〜124)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0263】
【表1】
他のISNAとしては、T−リッチ核酸、ポリG核酸、およびリン酸修飾骨格(例えば、ホスホロチオエート骨格)を有する核酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0264】
「Tリッチ核酸」または「Tリッチ免疫刺激核酸」は、少なくとも1つのポリT配列を含み、そして/または25%より大きいTヌクレオチド残基からなるヌクレオチドを有し、そして免疫系の成分を活性化する核酸である。ポリT配列を有する核酸は、5’TTTT3’のように、列中に少なくとも4つのTを含む。好ましくは、Tリッチ核酸は、1より多いポリT配列を含む。好ましい実施形態において、Tリッチ核酸は、2,3,4などのポリT配列を有し得る。本発明に従って発見された最も高度に免疫刺激性のTリッチオリゴヌクレオチドは、全体としてTヌクレオチド残基からなる核酸である。他のTリッチ核酸は、25%より大きいTヌクレオチド残基からなるヌクレオチド組成を有するが、ポリT配列を含む必要はない。これらのTリッチ核酸において、Tヌクレオチド残基は、他のタイプのヌクレオチド残基(すなわち、G、CおよびA)によってお互いに分離され得る。いくつかの実施形態において、Tリッチ核酸は、Tヌクレオチド残基が30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および99%より大きい、そしてあらゆるその間の%のヌクレオチド組成物を有する。好ましくは、Tリッチ核酸は、少なくとも1つのポリT配列、および25%より大きいTヌクレオチド残基のヌクレオチド組成物を有する。
【0265】
1つの実施形態において、Tリッチ核酸は、少なくとも以下の式によって示され:
5’X1X2TTTTX3X43’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドである。1つの実施形態において、X1X2は、TTであり、そして/またはX3X4は、TTである。別の実施形態において、X1X2は、以下のヌクレオチドのいずれか1つであり:TA、TG、TC、AT、AA、AG、AC、CT、CC、CA、CG、GT、GG、GA、およびGC;そしてX3X4は、以下のヌクレオチドのいずれか1つである:TA、TG、TC、AT、AA、AG、AC、CT、CC、CA、CG、GT、GG、GA、およびGC。
【0266】
いくつかの実施形態において、Tリッチ核酸は、ポリC(CCCC)、ポリA(AAAA)、ポリG(GGGG)、CpGモチーフ、または複数のGCを含まないことが好ましい。他の実施形態において、Tリッチ核酸は、これらのモチーフを含む。従って、本発明のいくつかの実施形態において、Tリッチ核酸は、CpGジヌクレオチドを含み、そして他の実施形態において、Tリッチ核酸は、CpGジヌクレオチドを含まない。CpGジヌクレオチドは、メチル化されていてもいなくてもよい。
【0267】
ポリG含有核酸はまた免疫刺激性である。PisetskyおよびReich,1993 Mol.Biol.Reports,18:217〜221;KriegerおよびHerz,1994、Ann.Rev.Biochem.63:601〜637;Macayaら、1993、PNAS,90:3745〜3749;Wyattら、1994、PNAS,91:1356〜1360;Rando、およびHogan,1998、Applied Antisense Oligonucleotide Technology編、KriegおよびStein、第335〜352頁;およびKimuraら、1994、J.Biochem.116,991〜994を含む種々の参考文献がまた、ポリG核酸の免疫刺激特性を記載している。
【0268】
ポリG核酸は好ましくは、以下の式を有する核酸であり:
5’X1X2GGGX3X43’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドである。好ましい実施形態において、少なくとも1つのX3およびX4は、Gである。他の実施形態において、X3およびX4の両方は、Gである。なお他の実施形態において、好ましい式は、5’GGGNGGG3’、または5’GGGNGGGNGGG3’であり、ここでNは、0ヌクレオチド〜20ヌクレオチドを示す。他の実施形態において、ポリG核酸は、メチル化されていないCGジヌクレオチドを含まない。他の実施形態において、ポリG核酸は、少なくとも1つのメチル化されていないCGジヌクレオチドを含む。
【0269】
修飾骨格(例えば、ホスホロチオエート骨格)を有する核酸はまた、免疫刺激核酸のクラス内におさまる。米国特許第5,723,335号および同第5,663,153号(Hutchersonらに発行)および関連のPCT公開WO95/26204は、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドアナログを用いる免疫刺激を記載する。これらの特許は、ホスホロチオエート骨格が、非配列特異的な様式で免疫系を刺激する能力を記載している。
【0270】
ISNAは、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。一般に二本鎖分子は、インビボでより安定であり得るが、一本鎖分子は、活性が増大しているかもしれない。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドすなわち、リン酸基および交換可能な有機塩基に連結された糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子をいう。この塩基は、置換されたピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミン(T)、またはウラシル(U))、または置換されたプリン(例えば、アデニン(A)、またはグアニン(G))、または改変された塩基のいずれかである。本明細書において用いる場合、この用語は、オリゴヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドをいう。この用語はまた、ポリヌクレオチド(すなわち、ポリヌクレオチド、マイナスホスフェート)、および任意の他の有機塩基含有ポリマーを含む。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」はまた、共有結合的に修飾された塩基および/または糖を有する核酸またはオリゴヌクレオチドを包含する。例えば、それらは、3’位置でヒドロキシル基以外の、5’位置でホスフェート基以外の低分子量有機基に共有結合している骨格糖を有する核酸を含む。従って、改変された核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、改変された核酸は、リボースの変わりにアラビノースのような糖を含み得る。従って、この核酸は、骨格組成において異種(外来)であり、それによってペプチド−核酸(核酸塩基を有するアミノ酸骨格を有する)のような、一緒に連結されたポリマー単位の任意の可能な組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、この核酸は骨格組成において同種である。
【0271】
ISNAの置換されたプリンおよびピリミジンは、標準的なプリンおよびピリミジン(例えば、システイン)、ならびに塩基アナログ(例えば、C−5プロピン置換された塩基)を含む。Wager RWら、Nat Biotechnol 14:840〜844(1996)。プリンおよびピリミジンはとしては、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、および他の天然に存在する核酸塩基および天然に存在しない核酸塩基、置換された芳香族部分および置換されていない芳香族部分が挙げられるがこれらに限定されない。
【0272】
ISNAは、塩基またはヌクレオチドの連結ポリマーである。核酸の連結単位について、本明細書において用いる場合、「連結した(された)(linked)」または「連結(linkage)」とは、2つのものが任意の物理化学的な手段でお互いに結合していることを意味する。当業者に公知の任意の共有結合的な連結、または非共有結合的な連結が包含される。このような連結は、当業者に周知である。天然の連結(核酸の個々の単位に対する接続が通常天然に見出される)が最も一般的である。しかし、核酸の個々の単位は、合成連結または改変された連結によって連結されてもよい。
【0273】
核酸が文字の配列で示されている時はいつも、ヌクレオチドは左から右に5’〜3’方向であること、そして他に注記しない限り、「A」はアデニンを示し、「C」はシトシンを示し、「G」はグアニンを示し、「T」はチミジンを示し、そして「U」は、ウラシルを示すことが理解される。
【0274】
本発明による有用な免疫刺激性核酸分子は、天然の核酸供給源(例えば、ゲノム核またはミトコンドリアDNAまたはcDNA)から得られ得るか、または合成である(例えば、オリゴヌクレオチド合成によって生成される)。既存の核酸供給源から単離された核酸は、本明細書において、ネイティブ、天然、または単離された核酸と称される。本発明による有用な核酸は、真核生物供給源、原核生物供給源、核DNA、ミトコンドリアDNAなどを含む任意の供給源から単離され得る。従って、核酸という用語は、合成核酸および単離された核酸の両方を包含する。
【0275】
用語「単離された」とは、ISNAに関して本明細書において用いる場合、その意図される用途に実際的でかつ適切である程度まで、天然で通常関連する成分(例えば、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、またはインビボ系)を実質的に含まないか、またはそのような成分から分離されたことを意味する。詳細には、核酸は、例えば、薬学的な調製物の生成において有用であるように、実質的に純粋であり、そして宿主細胞の他の生物学的構成要素を実質的に含まない。本発明の単離された核酸は、薬学的な調製物中で薬学的に受容可能なキャリアと混合され得るので、核酸は、この調製物の重量あたりわずかな割合しか含まれないかもしれない。核酸は、それでもなお、生存している系においては関与し得る物質から実質的に分離されているという点で実質的に純粋である。
【0276】
ISNAは、プラスミドにおいて大規模で実施され得(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら、編、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor、New York、1989を参照のこと)、そして小片に分割されるか、または全体で投与され得る。被験体に投与された後、このプラスミドは、オリゴヌクレオチドに分解され得る。当業者は、標準的な技術(例えば、制限酵素、エキソヌクレアーゼ、またはエンドヌクレアーゼを使用する技術)を用いて、ウイルス、細菌、真核生物、核酸などを精製し得る。
【0277】
本発明における使用のために、ISNAは、当該分野で周知の多数の手順のいずれかを用いて新しく合成され得る。例えば、βシアノエチルホスホルアミダイト法(Beaucage SL、およびCaruthers MH、Tetrahedron Let 22:1859(1981));ヌクレオシドH−ホスフェート法(Gareggら、Tetrahedron Let 27:4051〜4054(1986);Froehlerら、Nucleic Acid Res 14:5399〜5407(1986);Gareggら、Tetrahedron Let 27:4055〜4058(1986);Gaffneyら、Tetrahedron Let 29:2619〜2622(1988))。これらの化学は、市場において利用可能な種々の自動化されたオリゴヌクレオチドシンセサイザーによって実施され得る。
【0278】
改変骨格(例えば、ホスホロチオエート骨格)を有するISNAもまた、免疫刺激性核酸のクラス内におさまる。米国特許第5,723,335号および同第5,663,153号(Hutchersonらに発行)および関連のPCT公開WO95/26204は、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドアナログを用いる免疫刺激を記載している。これらの特許は、ホスホロチオエート骨格が非配列特異的な様式で免疫応答を刺激する能力を記載している。
【0279】
ISNAは、少なくとも6ヌクレオチドの任意のサイズであり得るが、いくつかの実施形態においては、6〜100ヌクレオチドのサイズの範囲であり、またはいくつかの実施形態では8〜35ヌクレオチドのサイズの範囲である。免疫刺激核酸は、プラスミドにおいて大規模に生成され得る。これらは、プラスミド形態で投与されてもよいし、あるいはそれらは投与の前にオリゴヌクレオチドに分解されてもよい。
【0280】
「回文構造の配列(パリンドローム配列)」とは、逆位反復(すなわち、ABCDEE’D’C’B’A’のような配列、ここでAおよびA’,BおよびB’などは、通常のワトソン−クリック塩基対を形成し得る塩基であり、このパリンドロームは少なくとも6ヌクレオチドを含む)を意味する。インビボにおいて、このような配列は、二本鎖構造を形成し得る。1実施形態において、核酸は、回文構造の配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸がCpG核酸である場合、この文脈で用いられる回文構造の配列とは、CpGがパリンドロームの一部であり、そして必要に応じてパリンドロームの中心であるパリンドロームをいう。別の実施形態において、核酸はパリンドロームを含まない。パリンドロームを含まない核酸は、パリンドロームである6ヌクレオチド以上の長さのいずれの領域も有さない。パリンドロームを含まない核酸は、回文構造である6ヌクレオチド未満の領域を含み得る。
【0281】
「安定化されたISNA」とは、インビボの分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレオチドを介する)に対して比較的耐性である核酸分子を意味する。安定化は、長さまたは二次構造の関数であり得る。数十〜数百kbsの長さである核酸は、インビボ分解に対して比較的耐性である。より短い核酸については、二次構造が、それらの効果を安定化しかつ増大し得る。例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端が上流領域に対して半相補性を有し、それによって3’末端が折り畳み得、そしていわゆるステムループ構造を形成し得るような場合、このオリゴヌクレオチドは安定化し、従ってさらに活性を示す。
【0282】
本発明のいくつかの安定化されたISNAは、改変された骨格を有する。オリゴヌクレオチド骨格の改変が、インビボで投与された場合、ISNAの活性を強化することが実証された。核酸(オリゴヌクレオチドの5’末端で少なくとも2つのホスホロチオエート連結、および3’末端で複数(好ましくは5個)のホスホロチオエート連結を含む)は、最大の活性を提供し得、そして細胞内のエキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを保護し得る。他の改変されたオリゴヌクレオチドとしては、ホスホジエステル改変オリゴヌクレオチド、ホスホジエステルおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの組み合わせ、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。免疫細胞に対するこれらの組み合わせの各々およびそれらの特別な効果は、米国特許第6,194,388号、および同第6,207,646号(本明細書においてその内容全体が参考として援用される)にさらに詳細に考察される。これらの改変されたオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性の強化、細胞取り込みの増大、タンパク質結合の増大、および/または細胞内局在化の変化に起因して、より刺激性の活性を示し得る。ホスホロチオエート核酸およびホスホジエステル核酸の両方が免疫細胞において活性である。
【0283】
他の安定化されたISNAとしては、以下が挙げられる:非イオン性DNAアナログ(例えば、アルキルホスフェートおよびアリールホスフェート)(ここで荷電したホスホネート酸素は、アルキル基またはアリール基で置換されている)、ホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステル(ここで荷電された酸素部分はアルキル化されている)。いずれかの末端で、または両方の末端でジオール(例えば、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコール)を含むオリゴヌクレオチドはまた、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることが示されている。
【0284】
インビボ使用に関して、ISNAは好ましくは、分解(例えば、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼを介する)に対して比較的耐性である。二次構造(例えばステムループ)は、分解に対して核酸を安定化し得る。あるいは、核酸安定化は、リン酸骨格の改変を介して達成され得る。安定化された核酸の1つのタイプは、ホスホロチオエート改変骨格の少なくとも一部を有する。ホスホロチオエートは、ホスホラミデートまたはH−ホスホネート化学のいずれかを使用して自動化技術を用いて合成され得る。アリールホスホネートおよびアルキルホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載のように作成され得;そしてアルキルホスホトリエステル(ここで荷電された酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載のように、アルキル化されている)は、市販の試薬を用いて自動化された固相合成によって調製され得る。他のDNA骨格改変および置換を作成するための方法が記載されている。Uhlmann EおよびPeyman A、Chem Rev 90:544(1990);Goodchild J,Bioconjugate Chem 1:165(1990)。
【0285】
本発明によって有用な免疫刺激核酸の他の供給源としては、標準的なウイルスおよび細菌ベクター(その多くが市販されている)が挙げられる。広義では、「ベクター」は、細胞に対して核酸を送達し、核酸の移入を促進するために通常用いられる任意の核酸材料である。本明細書において用いられるベクターは、空のベクターまたは発現され得る遺伝子を運ぶベクターであり得る。ベクターが遺伝子を運ぶ場合、このベクターは一般に遺伝子を標的細胞に輸送するが、このときベクターの非存在下で生じる分解の程度に対して分解は低下している。この場合、ベクターは必要に応じて、標的細胞(例えば、免疫細胞)における遺伝子の発現を増強するような遺伝子発現配列を含む。ただし、この細胞において遺伝子が発現されることは必要ではない。
【0286】
特定のスクリーニングアッセイのための基礎は、細胞における機能的なTLR7、TLR8、またはTLR9の存在である。ある場合の機能的なTLRは、細胞によって天然に発現される。他の場合、機能的なTLRの発現は、細胞または細胞株への種特異的なTLR9の導入または再構成(この細胞または細胞株はさもなければTLRを欠くか、ISNAに対する反応性を欠く)を包含し得、これによってISNAとの接触に応答してTLR/IL−1Rシグナル伝達経路を活性化し得る細胞または細胞株を生じる。TLR9またはISNA反応性を欠く細胞株の例としては、293線維芽細胞(ATCC CRL−1573)、MonoMac−6、THP−1、U937、CHO、および任意のTLR9ノックアウトが挙げられるがこれらに限定されない。細胞または細胞株への種特異的なTLRの導入は好ましくは、遺伝子発現配列(上記のような)に作動可能に連結されたTLRコード核酸配列での細胞または細胞株の一過性のトランスフェクションまたは安定なトランスフェクションによって達成される。
【0287】
種特異的TLR(TLR7、TLR8、およびTLR9を含む)は、マウスTLRに限定されず、むしろマウスまたは非マウス供給源由来のTLRを含み得る。非マウス供給源の例としては、ヒト、ウシ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、およびウマが挙げられるがこれらに限定されない。他の種としては、ニワトリおよび魚類(例えば、養殖魚種)が挙げられる。
【0288】
種特異的TLR(TLR7、TLR8、およびTLR9を含む)はまた、ネイティブなTLRポリマーに限定されない。特定の実施形態において、TLRは例えば、細胞外ドメインおよび細胞質ドメインが、異なる種由来のTLRポリペプチドに由来するキメラTLRであり得る。このようなキメラTLRポリペプチドは、上記のように、例えば、ヒトTLR細胞外ドメインおよびマウスTLR細胞質ドメイン(各ドメインは、各種の対応するTLR7、TLR8、またはTLR9に由来する)を含み得る。別の実施形態において、このようなキメラTLRポリペプチドは、異なるTLR種の改変体またはアロタイプで作成されたキメラを含み得る。ISNA模倣物、アゴニスト、およびアンタゴニストをスクリーニングする目的のために有用な他のキメラTLRポリペプチドは、第一タイプのTLR(例えば、TLR9)、および第一タイプのTLRと同じかもしくは別の種の別のTLR(例えば、TLR7またはTLR8)で作成されたキメラポリペプチドを含み得る。また、2つ以上のポリペプチド由来の配列、例えば、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメイン(全て異なるポリペプチド供給源由来)を組み込むキメラポリペプチドも、このようなドメインの少なくとも1つがTLR7、TLR8、またはTLR9のポリペプチド由来であるという条件で、企図される。さらなる例として、1つのTLR9の細胞外ドメイン、別のTLR9の細胞内ドメイン、および非TLRレポーター(例えば、ルシフェラーゼ、GFPなど)を含む構築物もまた企図される。当業者は、このようなキメラTLRポリペプチドをコードするDNA配列を設計および生成する方法を認識している。
【0289】
スクリーニングアッセイは、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路またはISNAに対する応答をアッセイするために有用な他のアッセイのいずれかに基づく、多数の可能な読み出し系のいずれかを有し得る。CpG免疫刺激性配列による免疫細胞活性化は、ある点ではエンドソームプロセシングに依存することが報告されている。TLR9がこのエンドソーム経路に直接関与するか否か、またはTLR9とエンドソームとの間に数種の中間体が存在しているか否かは、まだ知られていない。
【0290】
好ましい実施形態において、スクリーニングアッセイのための読み出しは、ネイティブの遺伝子の使用に基づくか、またはあるいは、同時トランスフェクトされるか、さもなければTLR/IL−1Rシグナル伝達経路に感応性であるレポーター遺伝子構築物(MyD88、TRAF6、p38、および/またはERKを含む)を同時導入される。Haecker Hら、EMBO J 18:6973〜6982(1999)。これらの経路は、キナーゼ(κBキナーゼ複合体およびc−Jun N末端キナーゼを含む)を活性化させる。従って、アッセイのために特に有用なレポーター遺伝子およびレポーター遺伝子構築物は、NF−κBに応答性のプロモーターに作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含み得る。このようなプロモーターの例としては、限定しないが、NF−κB、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−12 p40、CD80、CD86およびTNF−αが挙げられる。TLR7−応答性プロモーター、TLR8−応答性プロモーターまたはTLR9−応答性プロモーターに作動可能に連結されたレポーター遺伝子としては、限定しないが、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)など)、生物発光(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP、米国特許第5,491,084号)など)、表面発現分子(例えば、CD25)、および分泌分子(例えば、IL−8、IL−12 p40、TNF−α)が挙げられ得る。好ましい実施形態において、レポーターは、IL−8、TNF−α、NF−κB−ルシフェラーゼ(NF−κB−luc;Haecker Hら、EMBO J 18:6973〜6982(1999))、IL−12 p40−luc(Murphy TLら、Mol Cell Biol 15:5258〜5267(1995))、ならびにTNF−luc(Haecker Hら、EMBO J 18:6973〜6982(1999))から選択される。酵素活性読み出しに依存するアッセイにおいて、基質がアッセイの一部として供給され、そして検出は、化学発光、蛍光、着色、放射活性レベルの取り込み、薬物耐性、または酵素活性の他のマーカーの測定を含み得る。分子の表面発現に依存するアッセイについて、検出は、FACS分析または機能的アッセイを使用して達成され得る。分泌分子は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)またはバイオアッセイを使用してアッセイされ得る。このような多くの読み出し系が当該分野で周知であり、そして市販されている。
【0291】
別の局面において、本発明は、免疫刺激性核酸分子(ISNA)を同定するためのスクリーニング方法を提供する。この方法は、以下の工程を必要とする:TLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験核酸分子と接触させる工程;試験核酸分子の存在下で、機能的TLRと試験核酸分子との間の相互作用の結果として生じるTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在の有無を検出する工程;ならびに、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在が検出された場合に、この試験核酸分子がISNAであるか否かを決定する工程。「機能的TLR」および「細胞発現機能的TLR」は、本明細書中の他の箇所で記載される通りである。TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路に対して応答性のプロモーター(NF−κBに対して応答性のプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない)の制御下での遺伝子の導入を含む。従って、生物学的応答は、例えば、IL−8の分泌、およびNF−κB−luc、IL−12 p40−lucまたはTNF−lucでトランスフェクトされた細胞におけるルシフェラーゼ活性を含み得る。試験核酸分子は、DNA、RNAまたは本明細書中に記載されるような改変された核酸分子を含み得る。いくつかの実施形態において、この試験核酸分子は、CpG核酸である。
【0292】
好ましくは、この試験核酸分子は、参照ISNAの配列改変体であり、これらは、特定の参照ISNAと比較して、少なくとも1つの代替的塩基、少なくとも1つの代替的ヌクレオチド間骨格結合、または少なくとも1つの代替的糖部分を含む。好ましい実施形態において、試験核酸分子は、このような試験核酸分子のライブラリーのメンバーである。
【0293】
本方法の1つの実施形態に従って、参照ISNAに対する比較がなされ得る。この参照ISNAは、任意のISNA(CpG核酸を含む)であり得る。好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、複数の試験核酸を使用して達成され得る。好ましくは、試験応答と参照応答との比較は、各例における応答の定量的な測定の比較に基づく。
【0294】
本方法を使用して、TLRシグナル伝達経路によって媒介される類似の特異的応答を誘導する試験核酸分子の能力に基づいて、それらの試験核酸分子のサブセットを分泌させ得る。例えば、本方法を使用して、優勢にB細胞を活性化させるCpG核酸として、または優勢にIFN−αを誘導するCpG核酸として、試験CpG核酸を分類し得る。ISNAの他の新たなクラスは、本方法を使用して同定および特徴づけされ得る。
【0295】
本方法の適用によって、ISNAを同定すること、所定のTLRの配列特異性を描写すること、および、ISNA配列を最適化することもまた可能になる。ISNAの同定は、上記のような候補ISNAをスクリーニングすること、および規定されるような応答を誘導する任意のISNAを選択することを含む。配列特異性の描写は、特定のTLR9について、上記のような候補ISNAをスクリーニングすること、規定されるような応答を誘導する任意のISNAを選択すること、およびそれらの配列に基づいて応答を誘導するISNAと応答を誘導しないISNAとに分類することを含む。ISNA配列の最適化は、上記のような方法を繰返し適用することを含み、この方法は、任意の所定の段階またはスクリーニング回数において最良の配列を選択する工程、および次のスクリーニングにおける基準または参照としてとしてそれを代用する工程をさらに包含する。この後者のプロセスは、スクリーニングするための候補ISNAを選択および作製する際に、変更するためのパラメータの選択をさらに含み得る。
【0296】
別の局面において、本発明は、ISNAの種特異性を同定するためのスクリーニング方法を提供する。この方法は、以下を包含する:第一種のTLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;第二種のTLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程であり、このTLRシグナル伝達経路が、第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連する、工程;TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程であり、このTLRシグナル伝達経路が、第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連する、工程;ならびに、(a)第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連するTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連するTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答とを比較する工程。この機能的TLRは、細胞によって発現されても、無細胞系の一部であってもよい。この機能的TLRは、別のTLRまたは別のタンパク質(例えば、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、NF−κB、もしくはそれらの機能的ホモログおよび誘導体)のいずれかとの複合体の一部であり得る。従って、例えば、所定のODNは、種々の種由来のTLR7、TLR8またはTLR9でトランスフェクトされた293繊維芽細胞のパネルに対して試験され得、そしてTLR/IL−1R活性経路に対して応答性のレポーター構築物(例えば、NF−κB−luc)と、必要に応じて同時トランスフェクトされ得る。従って、別の局面において、本発明は、所定の核酸配列に対する種選択性をスクリーニングするための方法を提供する。
【0297】
上記で言及されるように、1つの局面において、本発明は、TLRシグナル伝達活性または参照ISNAの対応するTLRシグネル伝達活性に対する試験化合物を比較するためのスクリーニング方法を提供する。この方法は、一般的には、TLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、参照ISNAと接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される参照応答を検出する工程;TLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験化合物と接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される試験応答を検出する工程;ならびに、試験応答を参照応答と比較して、試験化合物のTLRシグナル伝達活性をISNAと比較する工程を包含する。試験化合物および参照ISNAが独立してTLRと接触するアッセイを使用して、ISNA模倣物である試験化合物を同定し得る。試験化合物および参照ISNAが同時にTLRと接触するアッセイを使用して、ISNAアゴニストおよびISNAアンタゴニストである試験化合物を同定し得る。
【0298】
本明細書中で使用される場合、ISNA模倣物は、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を引き起こす化合物である。本明細書中で使用される場合、用語「TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答」とは、ISNA−TLR相互作用に特徴的である応答をいう。本明細書中で実証されるように、ISNA−TLR相互作用に特徴的である応答は、ISNA特異的プロモーター(例えば、NF−κBプロモーター)の制御下での遺伝子の導入、Th1サイトカインレベルの増加などを含む。NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子は、天然にNF−κBプロモーターを含む遺伝子であり得るか、またはNF−κBプロモーターが挿入されている構築物中の遺伝子であり得る。天然にNF−κBプロモーターを含む遺伝子としては、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−lucおよびTNF−lucが挙げられるがこれらに限定されない。Th1サイトカインレベルの増加は、ISNA−TLR相互作用に特徴的な別の尺度である。Th1サイトカインレベルの増加は、ISNA−TLR相互作用に対するTh1試験核酸分子の、増加した産生または低下した安定性または増加した分泌から起こり得る。Th1サイトカインとしては、IL−2、IFN−γおよびIL−12が挙げられるがこれらに限定されない。ISNA−TLR相互作用に特徴的である他の応答としては、Th2サイトカインレベルの減少が挙げられるがこれらに限定されない。Th2サイトカインとしては、IL−4、IL−5およびIL−10が挙げられるがこれらに限定されない。
【0299】
ISNA−TLR相互作用に特徴的である応答は、直接的な応答または間接的な応答であり得る。直接的な応答は、ISNA−TLR相互作用の結果として、直接的に起こる応答である。間接的な応答は、それが起こる前に他のパラメータの変更を含む応答である。
【0300】
本明細書中で使用される場合、ISNAアゴニストは、TLRシグナル伝達経路によって媒介されるISNAに対する増強された応答を引き起こす化合物である。従って、本明細書中で使用される場合、ISNAアゴニストは、参照ISNAによって通常誘導される免疫応答の少なくとも1つの局面の増加を引き起こす化合物である。例えば、ISNAによって通常誘導される免疫応答は、特に、免疫刺激性CpG核酸に対するTLR7−媒介シグナル伝達、TLR8−媒介シグナル伝達またはTLR9−媒介シグナル伝達を含み得る。ISNAアゴニストは、いくつかの実施形態において、TLR7、TLR8またはTLR9に結合するためにISNAと競合する。他の実施形態において、ISNAアゴニストは、ISNAに結合するための部位からとは異なるTLR7、TLR8またはTLR9上の部位に結合する。さらに他の実施形態において、ISNAアゴニストは、別の分子またはTLR7、TLR8またはTLR9とは異なる経路を介して作用する。
【0301】
本明細書中で使用される場合、ISNAアンタゴニストは、TLRシグナル伝達経路によって媒介されるISNAに対する減少した応答を引き起こす化合物である。従って、本明細書中で使用される場合、ISNAアンタゴニストは、参照ISNAによって通常誘導される免疫応答の少なくとも1つの局面の減少を引き起こす化合物である。例えば、ISNAによって通常誘導される免疫応答は、特に、免疫刺激性CpG核酸に対するTLR7−媒介シグナル伝達、TLR8−媒介シグナル伝達またはTLR9−媒介シグナル伝達を含み得る。ISNAアンタゴニストは、いくつかの実施形態において、TLR7、TLR8またはTLR9に結合するためにISNAと競合する。他の実施形態において、ISNAアンタゴニストは、ISNAに結合するための部位とは異なるTLR7、TLR8またはTLR9上の部位に結合する。さらに他の実施形態において、ISNAアンタゴニストは、別の分子またはTLR7、TLR8またはTLR9とは異なる経路を介して作用する。
【0302】
試験化合物のTLRシグナル伝達活性をISNAのシグナル伝達活性と比較するためのスクリーニング方法は、試験化合物の不在下で、参照ISNAが免疫応答の少なくとも1つの局面を誘導するのが可能な条件下で、少なくとも1つの試験化合物を、TLR7、TLR8およびTLR9から選択される機能的TLRと接触させる工程を包含する。この機能的TLRは、細胞によって発現されても、無細胞系の一部であってもよい。機能的TLRを発現する細胞は、天然にTLRを発現する細胞であるか、またはTLR発現ベクターを導入している細胞であるか、またはTLRが細胞によって発現されるのが可能な様式においてTLRを発現し、かつTLRのシグナル伝達部分によって天然でシグナル伝達が可能な条件下でシグナルを伝達するように操作された細胞である。TLRは、ネイティブのTLRであり得るか、または上記のような、そのフラグメントまたは改変体であり得る。これらの方法に従って、試験化合物を、参照ISNAを機能的TLRまたはTLR発現細胞と接触させる前、接触させた後、または接触と同時に、機能的TLRまたはTLR発現細胞と接触させる。機能的TLRまたはTLR発現細胞の応答が測定され、そして試験化合物の不在下と同じ条件下で得られるかまたは得られるであろう、対応する応答と比較される。試験化合物の不在下での応答は、同時コントロールまたは歴史的コントロールとして決定され得ることが明らかである。このような応答の例としては、限定することなしに、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答、サイトカインの分泌、細胞増殖および細胞活性が挙げられる。好ましい実施形態において、応答の測定は、IL−8分泌の検出(例えば、ELISAによる)を含む。別の好ましい実施形態において、この応答の測定は、ルシフェラーゼ活性(例えば、NF−κB−luc、IL−12 p40−lucまたはTNF−luc)の検出を含む。
【0303】
参照ISNAの例としては、限定することなしに、表1(上記)に列挙されるものが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態において、参照ISNAはCpG核酸である。
【0304】
試験化合物としては、ペプチド核酸(PNA)、抗体、ポリペプチド、炭水化物、脂質、ホルモンおよび低分子が挙げられるがこれらに限定されない。試験化合物はさらに、上記の代替物のいずれかまたはそれらの組み合わせを取り込んだ参照ISNAの改変体を含み得る。試験化合物は、化合物のコンビナトリアルライブラリーのメンバーとして生成され得る。
【0305】
好ましい実施形態において、試験化合物、試験核酸分子、試験ISNAおよび候補薬理学的薬剤をスクリーニングするための方法は、例えば、アレイベースのアッセイ系および少なくとも1つ自動化工程または半自動化工程を組み込むことによって、大規模に、ハイスループットを用いて行われ得る。例えば、アッセイは、複数のウェルプレートを使用して設定され得、ここにおいて、細胞は個々のウェルに分配され、そして試薬が、複数ウェルプレートのジオメトリに適した、複数ウェル送達デバイスを使用する系統的な様式において、加えられる。ハイスループットスクリーニングアッセイにおける使用に適した、手動およびロボットの複数ウェル送達デバイスは、当業者に周知である。各ウェルまたはアレイエレメントを、特定の試験条件(例えば、試験化合物)に対して、一対一の様式でマッピングし得る。読み出しはまた、この複数ウェルアレイにおいて、好ましくは、複数ウェルプレートリーダーデバイスなどを使用して、行われ得る。このようなデバイスの例は、当該分野で周知であり、かつ商業的な供給源から入手可能である。サンプルおよび試薬の操作を自動化して、スクリーニングアッセイのスループット能力をさらに増強させ得、その結果、数十、数百、数千または数百万の並列アッセイを、1日または1週間で行い得る。完全にロボット化されたシステムは、合成化合物のコンビナトリアルライブラリーの作製および分析のような適用について当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,443,791号および同第5,708,158号を参照のこと。
【0306】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解される。しかしながら、これらの実施例は、単に本発明の実施形態を例示することが意図されており、本発明の範囲を限定するように構成されてはいない。
【0307】
(実施例)
(実施例1.マウスTLR9をクローニングする方法)
tfastaを使用する、マウスESTデータベースとヒトTLR9タンパク質配列のアライメントは、マウスEST配列を有する7ヒット(aa197442、ai451215、aa162495、aw048117、ai463056、aw048548、およびaa273731)を得た。マウスTLR9 cDNAの5’末端および3’末端を増幅させるためのRACE−PCRにおける使用のためのaa197442 EST配列に結合する2つのプライマーを、設計した。RACE PCRのために使用されるライブラリーは、Clonetechから市販されている、マウス脾臓マラソンレディーcDNAであった。この方法によって得られた1800bpの長さを有する5’フラグメントを、Promega pGEM−T Easyベクターにクローニングした。5’末端を配列決定した後、さらなるプライマーを、完全なマウスTLR9 cDNAの増幅のために設計した。5’末端についてのプライマーを、5’RACE産物の配列から獲得し、それによって3’末端についてのプライマーを、マウスEST配列aa273731から選択した。
【0308】
3つの独立したPCR反応を、マウスマクロファージRAW264.7(ATCC TIB−71)cDNAをテンプレートとして使用して設定し、そして得られた増幅産物を、pGEM−T Easyベクターにクローニングした。挿入物を完全に配列決定し、タンパク質中に翻訳し、そしてヒトタンパク質配列に対して整列させた。3つのクローンうちの1つを、アライメント比較(クローンmtlr932e.pep)に基づいて誤りのないようにした。mTLR9についてのcDNA配列は、配列番号1であり、表2に示す。ATG開始コドンは、40塩基で生じ、TAG終止コドンは、3136塩基で生じる。配列番号1の40〜3135塩基に対応する配列番号2(表3)は、配列番号3のポリペプチドについてのコード領域である。
【0309】
(表2.マウスTLR9についてのcDNA配列(5’側〜3’側;配列番号1))
【0310】
【表2】
(表3.マウスTLR9についてのコード領域(配列番号2))
【0311】
【表3】
1032アミノ酸残基を含む、マウスTLR9についての推定アミノ酸配列(配列番号3)を、mtlr932e.pepとの整列した配列比較において、以下の表4に示す。1032アミノ酸残基を含む、ヒトTLR9についての推定アミノ酸配列(配列番号6)を、htlr9.proとの整列した配列比較において、以下の表4に示す。
【0312】
(表4.マウスTLR9およびヒトTLR9についてのアミノ酸配)
【0313】
【表4】
以下の配列番号は、表4に示される配列に対応している:htlr9.pro:配列番号6;mtlr932e.pep:配列番号3;aa197442.pep:配列番号8;mousepep1:配列番号17;humanpep1:配列番号19;aa162495.pep:配列番号14;ai451215.pep:配列番号16;aa273731.pep:配列番号10;ai463056.pep:配列番号12;humanpep2:配列番号20;およびmousepep2:配列番号18。
【0314】
(実施例2.293繊維芽細胞におけるTLR9シグナル伝達の再構成)
pT−Advベクター(Clonetechから)中の、クローン化したマウスTLR9 cDNA(上記参照)およびヒトTLR9 cDNA(B.Beutler,Howard Hughes Medical Institute,Dallas,TXから贈呈された)を、EcoRI部位を用いて、Invitrogenからの発現ベクターpcDNA3.1(−)にクローニングした。「機能の獲得(gain of function)」アッセイを使用して、CpG DNA非応答性ヒト293繊維芽細胞(ATCC,CRL−1573)における、ヒトTLR9(hTLR9)およびマウスTLR9(mTLR9)のシグナル伝達を再構成することが可能であった。上記で言及した発現ベクターを、リン酸カルシウム法を使用して、293線維芽細胞にトランスフェクトした。
【0315】
NF−κB活性は、IL−1/TLRシグナル伝達経路の中枢であるので(Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253〜258(1998);Muzio Mら、J Exp Med 187:2097〜2101(1998))、細胞を、hTLR9でトランスフェクトするか、またはhTLR9およびNF−κB−駆動ルシフェラーゼレポーター構築物で同時トランスフェクトした。ヒト繊維芽細胞の293細胞を、hTLR9(図1A)および6回のNF−κB−ルシフェラーゼレポータープラスミド(NF−κB−luc,Patrick Baeuerle,Munich,Germanyによって適切に提供される)、またはhTLR9単独(図1B)で過渡的にトランスフェクした。CpG−ODN(2006、2μM、TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT、配列番号112)、GpC−ODN(2006−GC、2μM、TGCTGCTTTTGTGCTTTTGTGCTT、配列番号118)、LPS(100ng/ml)または媒介物で刺激した後、ルシフェラーゼ読み出しによるNF−κB活性(8時間、図1A)またはELISAによるIL−8産物(48時間、図1B)をモニタリングした。結果を、3つの独立した実験で表わす。図1は、LPSではなくCpG−DNAに応答するhTLR9を発現する細胞を示す。
【0316】
図2は、mTLR9のトランスフェクトのための同じ原理を示す。ヒト繊維芽細胞の293細胞を、mTLR9およびNF−κB−luc構築物で過渡的にトランスフェクトした(図2)。類似のデータをIL−8産物について得た(図示せず)。従って、293細胞におけるTLR9(ヒトおよびマウス)の発現は、LPS応答のhTLR4再構成と類似のCpG−DNA刺激に対する機能の増加を生じる。
【0317】
ヒトTLR9、マウスTLR9またはNF−κB−lucレポータプラスミドを有するTLR9を発現する安定なクローンを作製するために、293細胞を、16μgのDNAを用いて10cmプレート(2×106細胞/プレート)でトランスフェクトし、そして0.7mg/ml G418(PAA Laboratories GmbH,Coelbe,Germany)を用いて選択した。クローンを、例えば、図3に示されるように、RT−PCRによるTLR9発現について試験した。このクローンをまた、ODNでの刺激後に、IL−8産生またはNF−κB−ルシフェラーゼ活性についてスクリーニングした。4つの異なる型のクローンを作製した。
【0318】
293−hTLR9−luc:ヒトTLR9および6倍NF−κB−ルシフェラーゼレポーターを発現する
293−mTLR9−luc:マウスTLR9および6倍NF−κB−ルシフェラーゼレポーターを発現する
293−hTLR9:ヒトTLR9を発現する
293−mTLR9:マウスTLR9を発現する。
【0319】
図4は、NF−κB活性をモニタリングすることによって測定されるように、CpG−ODN(2006、2μM)、GpC−ODN(2006−GC、2μM)、Me−CpG−ODN(2006 メチル化、2μM;TZGTZGTTTTGTZGTTTTGTZGTT、Z=5−メチルシチジン、配列番号128)、LPS(100ng/ml)、または媒介物で刺激した後の、安定な293−hTLR9−lucクローンの応答性を示す。安定なクローン293−hTLR9とのIL−8産生を使用して、類似の結果が得られた。293−mTLR9−lucはまた、NF−κB活性をモニタリングすることによって測定されるように(図5)、CpG−ODN(1668、2μM;TCCATGACGTTCCTGATGCT、配列番号84)、GpC−ODN(1668−GC、2μM;TCCATGAGCTTCCTGATGCT、配列番号85)、Me−CpG−ODN(1668 メチル化、2μM;TCCATGAZGTTCCTGATGCT、Z=5−メチルシチジン、配列番号207)、LPS(100ng/ml)、または媒介物で刺激した。安定なクローン293−mTLR9とのIL−8産物を使用して、類似の結果が得られた。これらの結果を、少なくとも2つの独立した実験で表わす。これらの結果は、CpG−DNA非応答性細胞株は、モチーフ特異的な様式においてCpG DNAに応答するように、TLR9で遺伝的に、安定に補完され得ることを示す。これらの細胞を、複数種においてTLR9によって駆動される生得免疫応答について、任意のリガンドをスクリーニングために使用し得る。
【0320】
(実施例3.酵母細胞(Pichia pastoris)における、可溶性組換えヒトTLR9の発現)
アミノ酸1〜811をコードする、ヒトTLR9 cDNAを、以下のプライマー:5’−ATAGAATTCAATAATGGGTTTCTGCCGCAGCGCCCT−3’(配列番号194)および5’−ATATCTAGATCCAGGCAGAGGCGCAGGTC−3’(配列番号195)を使用して、PCRによって増幅し、EcoRIおよびXbaIで消化し、酵母発現ベクターpPICZB(Invitrogen,Groningen,Netherlands)にクローニングし、そして酵母細胞(Pichia pastoris)にトランスフェクトした。クローンを、抗菌性ゼオジン(zeozin)を用いて選択し、そして可溶性ヒトTLR9のタンパク質産生を、メタノールを用いて誘導した(図6を参照のこと:SDS−PAGE,Coomassie染色、矢印 hTLR9;レーン1:メタノールで誘導した培養物の上清;レーン2:誘導していない培養物の上清)。従って、TLR9タンパク質を、トランスフェクト体から単離し得、そしてさらに、タンパク質研究およびワクチン接種目的のために使用し得る。
【0321】
(実施例4.CpG−DNA応答性に関連するhTLR9発現)
細菌DNAは、マウスおよびヒトの両方のB細胞に対するマイトジェンとして記載されている。LPSもまた、マウスB細胞に対するマイトジェンであるが、LPSはヒトB細胞に対するマイトジェンではないことが一般に受け入れられている。図7は、ヒトB細胞が、E.coli DNAまたはCpG−ODNを用いた後に増殖するが、DNase消化したE.coli DNAまたはコントロールGpC−ODNは用いた刺激の後に増殖しないことを示す。精製したヒトB細胞を、50μg/ml E.coli DNA、匹敵する量のDNase I消化したE.coli DNA、2μM CpG−ODN(2006)、2μM GpC−ODN(2006−GC)、または100ng/ml LPSで刺激した。B細胞増幅を、3Hチミジン取り込みによって2日目にモニタリングした。これらのデータは、マイトジェンであるE.coli DNA調製物内のDNAであり、そして必要とされるODN内のCpGモチーフであることを示す。
【0322】
ヒト樹状細胞(DC)は、CpG−DNAに応答性であると主張されている。CpG−DNAに応答性であるヒト樹状細胞を分析する間、本発明者らは、LPSではなくCpG−DNAに曝されると、プラスマ細胞様DC(CD123+DC)がIFN−α、TNF、GM−CSFおよびIL−8を産生することを示した(図8および未公開データ)。単球を誘導する樹状細胞(MDDC)の刺激に対して、逆も当てはまる(図8および未公開データ)。精製したCD123+DCまたはMDDCを、50μg/ml E.coli DNA、匹敵する量のDNase I消化したE.coli DNA、2μM CpG−ODN(2006)、2μM GpC−ODN(2006−GC)、または100ng/ml LPSで刺激した(図8)。IL−8およびTNF濃度を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって決定した。CD123+DC応答は、制限されたDNA−モチーフおよびCpG−モチーフであった。しかしながら、単球を誘導する樹状細胞(MDDC)は、逆応答パターン、CpG−DNAではなくLPSに対する応答を示した。この隔離した応答に起因して、本発明者らは、TLR発現を分析した。
【0323】
本発明者らは、CpG−DNAがToll/IL−1R(TIR)シグナル伝達経路を利用する(このことはCpG−DNAシグナル伝達レセプター中のTIRドメインについての必要性を意味する)ことを示した。Haecker Hら、J Exp Med 192:595−600(2000)。TLR−9欠損マウスが、CpG−ODNに応答しないことをさらに示した。Hemmi Hら、Nature 408:740−5。半定量的RT−PCRにより、B細胞およびCD123+DCの両方がhTLR9に対して陽性シグナルを生じたが、MDDC、単球およびT細胞は、弱く、ネガティブであった(図9)。cDNAを、以下から調製した:単球由来樹状細胞(MDDC)、レーン1;精製CD14+単球、レーン2;B細胞、レーン3;CD123+ DC、レーン4;CD4+ T細胞、レーン5;およびCD8+ T細胞、レーン6.cDNA量を、GAPDH量に基づいて、TAG−MAN PCR(Perkin−Elmer)により、標準化した。RT−PCRを、1:5で希釈したヒトTLR2、4、および9についての標準化したcDNA(GAPDHは、1:125で希釈した)について、30サイクル実施した。本発明者らはまた、hTLR2およびhTLR4の発現についても試験した。MDDCおよび単球は、陽性であったが、B細胞、T細胞およびCD123+DCは、弱く、ネガティブであった(図9)。PCRによりもたらされた弱いシグナルは、混入した細胞により説明され得るが、強いポジティブシグナルは、発現を意味する。これらのデータは、hTLR9 mRNA発現とB細胞との間の明らかな相関またはCD123+ DCのCpG−DNAに対する応答性を実証した(図7および8)。相関はまた、hTLR2およびhTLR4の発現ならびにMDDCのLPSに対する応答性を示した(図8)。このデータは、hTLR9が、CpG−DNA応答性に対する関連レセプターであり、その発現が応答性を示すことを実証する。TLR9発現が調節され得た場合、CpG−DNA応答の作用性または拮抗作用が達成され得る。
【0324】
(実施例5.TLR9シグナル伝達の種特異性)
CGジヌクレオチドに囲まれた隣接配列の繰り返しの実験により、CpGモチーフが同定された。逆説的に、または予想外の状態により、ヒトの最適化CpGモチーフ、GTCGTT(配列番号66)は、マウスモチーフであるGACGTT(配列番号129)と異なっている。ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)(図10A)およびマウス脾臓細胞(図10B)を、ODN 2006(黒丸、TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT、配列番号112)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角、TCCATGACGTTCCTGATGCT、配列番号84)またはODN 1668−GC(白三角、TCCATGAGCTTCCTGATGCT、配列番号85)で、指示された濃度で刺激し、IL−12生成物を、8時間後にモニターした。図10Aは、最適化ヒトODN、2006の滴定を示し、PBMCがIL−12生成物を誘導することを示す。しかし最適化マウス配列、1668は、PBMCからIL−12を誘導することにおいて、かなり有効でなかった。2つのコントロールCpG−ODNは、基本的にネガティブであった。マウス脾臓細胞については、最適化IL−12を誘導するマウス配列において、逆が真であり(図10B)、一方ヒト配列は、いわんや有効でなかった。1668に対するマウス脾臓細胞のKac(最大の半分まで活性化する濃度)は、2006に対するヒトPBMCより大きいかったことに有目すべきである(図10A〜図10B)。
【0325】
安定なTLR9トランスフェクト体は、初代細胞のCpG−DNAに対する応答性を反映したので(図4および図5)、安定なトランスフェクト体は、潜在的に種特異的なCpG−モチーフをTLR9レセプターを介して識別し得ることが仮定された。従って、293−hTLR9−lucクローン(ヒトTLR9および6倍のNF−κB−lucレポーターを発現する)、293−mTLR9−lucクローン(マウスTLR9および6倍のNF−κB−lucレポーターを発現する)、293−hTLR9クローン(ヒトTLR9を発現する)および293−mTLR9クローン(マウスTLR9を発現する)を、CpG−DNAモチーフ応答性について試験した。図11は、2006または1668およびこれらのコントロール対hTLR9細胞またはmTLR9細胞のいずれかについての滴定曲線を示す。読み取られて示されるものは、NF−κB誘導性ルシフェラーゼとIL−8生成についての両方である。6つの連なったNF−κB結合部位を含む最小プロモーターに調節されるホタルルシフェラーゼの発現誘導の測定により決定されるたように、293hTLR9−luc細胞および293mTLR9−luc細胞の両方を、CpG−DNAで刺激することは、NF−κB活性化を生じた。細胞ルシフェラーゼの溶解を、酵素反応に基づいて、光子を生じるルシフェラーゼにより測光的に検出し得る。IL−8生成は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いてモニターした。図11は、ODN 2006(黒丸)、ODN2006−GC(白丸)、ODN1668(黒三角)またはODN1668−GC(白三角)で、示された濃度で刺激したクローンを示し、NF−κB活性化またはIL−8生成を、10時間後および48時間後にそれぞれ測定した。図11に示される結果は、3つの独立した実験を示す。CpG−モチーフ配列特異性は際立って、TLR9により種特異的様式で与えられる。さらに、2006または1668のいずれかについての最大の半分の濃度は、初代細胞において決定された濃度とほぼ同じであるように思われる(図10および図11を比較)。これらのデータは、TLR9がCpG−DNAレセプターであることを示し、そしてCpG−DNA配列に対する精巧な特異性が、TLR9により与えられることを実証する。
【0326】
(実施例6.ホスホロチオエートODN以外の基質に対する応答性を試験するための安定なTLR9クローンの使用)
前記実施例において記載されるように、安定なTLR9クローンは、最初にホスホロチオエートODN応答性の忠実度についてスクリーニングされた。293−hTLR9細胞は、CpG−モチーフ依存性の様式においてCpG−DNAに対する応答性を実証し、LPSに対しては応答性がないことを実証した(図4および5)。本実施例において、安定なTLR9トランスフェクト体を、さらなるDNAに対する応答性について試験した。293−hTLR9−luc細胞中で、NF−κB活性化を、E.coli DNA(黒棒)またはDNAse Iで消化したE.coli DNA(灰色棒)で刺激した後、モニターした。図12は、E.coli DNA用量依存性の、ホスホロチオエートCpG−ODNに対して比較可能なレベルまでのNF−κB誘導性ルシフェラーゼ発現を例証する(図11)。活性をDNase I消化により破壊し、DNAに対する応答特異性を示し混入細菌産物に対しては応答特異性を示さないことを示した。安定なTLR9トランスフェクト体を用いて、様々な種由来のDNAの活性または免疫系刺激を目的とするベクターDNAの活性をスクリーニングし得る。特に、TLR9トランスフェクト体を用いて、様々な種の病原体由来のDNA、DNA構築物、ワクチンとしての使用を目的とするDNA、遺伝子置換治療、および核酸ベクターの免疫刺激活性をスクリーニングし、比較し得る。
【0327】
293−hTLR9−luc細胞をまた、示された濃度において、ODN2006(黒丸)、ODN2006−GC(白丸)、ODN1668(黒三角)またはODN1668−GC(白三角)のホスホロジエステル改変体で刺激し、NF−κB活性化を12時間後にモニターした(図13A)。同様に、293−mTLR9−luc細胞をまた、示された濃度において、ODN2006(黒丸)、ODN2006−GC(白丸)、ODN1668(黒三角)またはODN1668−GC(白三角)のホスホロジエステル改変体で刺激し、NF−κB活性化を12時間後にモニターした(図13B)。これらのアッセイは、安定なTLR9トランスフェクト体が、ホスホロチオエート修飾ODN以外のDNAに応答することを示す。これらのデータは、安定なTLRトランスフェクト体の、TLR9レセプターのアゴニストについてスクリーニングすることについての有用性を実証する。
【0328】
(実施例7.TLR9は、CpG−ODN活性を例証する)
2006および1668は、CpG−モチーフ相異の点から議論されるが、これらは、いくつかの局面において、非常に異なる(比較についての表5を参照)。長さは、24対20ヌクレオチドと異なり、2006は、1668中の1つと比較して、4つのCGジヌクレオチドを有する。さらなる相異は、5’および3’末端に対応するCG位置であり、5’配列もまた異なる。モチーフ特異性が、モチーフの本質であるか、全体的な配列環境ではないことか否かを決定するために、この実験のためにいくつかの配列を生成して、これらの可変定数を維持した。開始点として、1668配列を、中心のCをTに、そして遠位のTGをCGに改変することによって改変し、このことによって、第2のCGを、生じた配列5000中に作製した(配列番号130、表5)。次いで、ヌクレオチド点変異を作製し、2006様配列、5007(配列番号98)にした。ODN5002(配列番号132)は、12位および19位におけるCがTに変換されたことを除いて、1668とほぼ同様である。ODN5007の最後の16ヌクレオチドは、Tが加わっていることを除いて2006の最後の15ヌクレオチドと同様である。最大活性の半分(Kac)のODN濃度を、293−hTLR9−luc細胞または293−mTLR9−luc細胞のいずれか、およびNF−κB誘導性ルシフェラーゼ発現を読み出した情報を用いて、ODN滴定曲線を生じることによって決定した。例の曲線は、図14において提供される。安定なトランスフェクト体293−hTLR9−lucおよび293mTLR9−lucを、ODN5002(黒丸)またはODN5007(白丸)で、示された濃度において刺激し、NF−κB活性化を12時間後にモニターした。図14に示す結果は、3つの独立した実験を例証する。複数のODNについてのKacに対する値は、表5に示される。同様の結果を、293−hTLR9細胞および293−mTLR9細胞で、IL−8を用いて試験したODNについて読み出した情報として得た。
【0329】
(表5.ヒトおよびマウスTLR9シグナル伝達活性のCpG−ODN配列特異性)
【0330】
【表5】
本発明者らによって以前に公表されていない研究において、マウスCpG−モチーフをGACGTTCからGACGTCAに変換するCA置換が、有害であることに着目した。本発明者らのモチーフを拡張するために、3より多いODNを作製して、この影響を分析した(5008−5010、配列番号137−139、表5)。
【0331】
293−hTLR9−lucクローンによって示された活性は、マウス配列をヒト配列に変換した進行性ヌクレオチド置換で増大した(表5、配列5000−5007)。この変換は、293−mTLR9−lucクローンについて当てはまり、これは、マウス配列について最高の活性を示した。元来仮定されたCpG−モチーフは、プリン−プリン−CG−ピリミジン−ピリミジンであった。TLR9遺伝子相補性によって決定されるモチーフ規定に対して最も際立つことは、CGの5’直後のプリンのAからTへの変換に対する非保存性ピリミジンである(表5)。これらの変換は、293−hTLR9−luc応答性を改善したが、293−mTLR9−luc応答性を減少した。これらの結果は、好ましいマウスモチーフが、ACGを含む一方、好ましいヒト配列がTCGを含むことの概念を支持する。マウスモチーフ中のピリミジン変換TからC(ACGTT対ACGTC)(5002対5009))に対する保存的ピリミジンは、293−mTLR9応答性を完全に破壊した。CpG−モチーフの完全な反復性分析ではないが、このデータは、本発明者らのモチーフの理解を高める。より重要なことに、これらのデータは、TLR9による直接のCpG−モチーフの使用を強く支持する。
【0332】
(実施例8.アンタゴニストの規定)
DNA取りこみおよびエンドソームの成熟が、CpG−DNAによるシグナル開始に必要であることが実証された。DNAがエンドソーム/リソソーム画分に入るために、非CpG依存性の取りこみレセプターが必要とされ得ると仮定されている。293細胞をmTLR9で一過性にトランスフェクトして、培地のみか1.0μM CpG−ODN 1668で処置した(図15)。さらに、1668処置TLR9トランスフェクト体を、種々の用量の非CpG ODN(PZ2;5’−CTCCTAGTGGGGGTGTCCTAT−3’、配列番号43)に同時に曝した。IL−8生成を、48時間後ELISAによりモニターした。図15は、PZ2が、用量依存的様式で、CpG ODNで刺激されたTLR9トランスフェクト細胞の活性化を拮抗し得たことを示す。
【0333】
図16は、安定なTLR9トランスフェクト体(293−hTLR9−luc細胞)が、非CpG−ODN遮断に対して感受性であることを例証する。293−hTLR9−luc細胞を、示したように、CpG−ODN(0.5μM)(黒棒)またはTNF−α(10ng/ml)(灰色棒)と、漸増濃度のブロッキングODN(5’−HHHHHHHHHHHHHHWGGGGG−3’、配列番号140;H=A、T、C;W=A、T)とインキュベートした。NF−κB活性化を、12時間後にモニターしたこのNF−κB活性化を、パーセント収率として表す。したがって、mTLR9とhTLR9の両方の活性は、非刺激的ODNにより遮断され得る。この遮断は、TNF誘導性NF−κBシグナルが減少しなかったので、ブロッキングODNに対して特異的である。従って、CpG−DNAの拮抗は、安定なTLR9細胞において規定され得るので、ハイスループットスクリーニングをTLR9アンタゴニストに対してなし得る。
【0334】
バフィロマイシンAは、エンドソームの成熟に必要である、エンドソーム内へのH+移入に必要な、プロトンポンプに有害である。図17は、293−hTLR9−luc細胞中のエンドソーム成熟の遮断が、NF−κBのCpG−ODN誘導を十分に遮断することを示す。293−hTLR9−luc細胞を、10nMバフィロマイシンA(灰色棒)またはジメチルスルホキシド(DMSO)コントロール(黒棒)で30分間プレインキュベートし、そしてCpG−ODN(2006、0.5μM)、IL−1(10ng/ml)またはTNF−α(10ng/ml)で、示したように刺激した。NF−κB活性化を、12時間後にモニターし、パーセント収率として示す。IL−1とTNFの両方のNF−κBが、不十分であったので、遮断は、CpG−DNA産生シグナルに対して特異的であった。これらのデータは、hTLR9と安定して相補的である293細胞が、細胞取りこみおよびエンドソーム成熟がCpG−DNAによるシグナルの誘導に必要であることにおいて、一次CpG−DNA応答性初代細胞に類似した様式の挙動をとることを示す。従って、安定なトランスフェクト体は、TLR9薬物アンタゴニストに対する指標として使用され得る。
【0335】
CpG−DNAシグナルは、Toll/IL−1R−様経路を介して生じるように思われる。マウスにおいて、CpG−DNAシグナル伝達は、MyD88、IRAKおよびTRAF6に依存することが示された。Hacker Hら、JExp Med 192:595−600(2000)。Hemmiらは、mTLR9欠損マウスが、CpG−ODN刺激においての、IRAKの活性化を欠くことを示した。Hemmi Hら、Nature 408:740−5(2000)。図18は、ヒトTLR9を介したCpG−DNAシグナル伝達が、MyD88依存性であったことを示す。hTLR9(293−hTLR9)を、6倍のNF−κBルシフェラーゼレポータープラスミドおよび漸増濃度のドミナントネガティブヒトMyD88発現ベクターで同時トランスフェクトした。細胞を刺激しないか(黒丸)、CpG−ODN(2006、2μM)(白丸)またはTNF−α(10ng/ml)(黒三角)で刺激して、NF−κB活性化を12時間後にモニターした。結果は、少なくとも2つの独立した実験を表す。図18は、ドミナントネガティブなMyD88が、CpG−DNAで刺激した後の293−hTLR9細胞においてのNF−κB誘導を阻害することを示す。MyD88の阻害は、TNF誘導性シグナル伝達を介したNF−κB誘導に影響しなかった。共通して、これらのデータは、MyD88の、TLRシグナル伝達についての中心的役割およびCpG−DNA開始シグナルにおけるMyD88の特定の役割を確認する。従って、TLR9でトランスフェクトされたヒト細胞を、指標として用いて、遺伝子的メカニズムを介してCpG−DNAに拮抗する分子を見つけ得る。
【0336】
(実施例9.抗体生成)
ヒトおよびマウスのTLR9に対するペプチドをキャリアタンパク質に結合するよう設計し、そしてウサギに注射して、抗ペプチドポリクローナル抗血清を得た。マウスペプチド1(mousepep 1、表4を参照)を、ESTaa197442中で見出し得、そしてペプチド2(mousepep 2、表4を参照)を、ESTaa273731およびai463056中で見出し得る。ヒトペプチド1(humanpep 1、表4を参照)およびペプチド2(humanpep 2、表4を参照)を、公開されたヒト配列から取得した。
【0337】
3つのウサギ抗血清をこの方法により得た:抗mousepep 1(マウスTLR9の細胞外ドメインに特異的);抗humanpep 1(hTLR9の細胞外ドメインに特異的);およびmousepep 2およびhumanpep 2の組み合わせに対する抗血清(マウスおよびヒトTLR9の両方の細胞質ドメインに特異的)。抗FLAG抗体での免疫沈降物を、PAGEにより電気泳動し、標準的なウエスタンブロット技術を用いて、膜に転写し、種々の抗血清で探索した。図19は、hTLR9−FLAGおよびmTLR9−FLAGに対する応答性を示す。これらのブロットの中のTLR9を、矢印で示し、低分子量のバンドは、抗FLAG抗体を示す。
【0338】
(実施例10.CXXCドメインに隣接した変異(hTLR9−CXXCm、mTLR9−CXXCh))
CXXCモチーフは、ジンクフィンガーモチーフに似ており、DNA結合タンパク質および特定の特異的CpG結合タンパク質において見出される(例えば、メチル−CpG結合タンパク質−1)(MBD−1)。Fujita Nら、Mol Cell Biol 20:5107−5118(2000)。ヒトおよびマウスTLR9は、2つのCXXCモチーフを含む。CXXCドメインは、極性および大きさにおいて全く異なる6アミノ酸(aa)が後に続き、ヒトおよびマウスのTLR9間で高度に保存される。部位特異的変異キット(Stratagene、La Jolla、CA、USA)を使用することによって、これらの6つのアミノ酸残基(ヒト:PRHFPQ 269−274);マウス:GQKSLH 269−274)を、ヒトおよびマウスのTLR9間で相互交換した。これらの変異を、製造業者のプロトコルに従って、以下のプライマーを使用することにより作製した:
ヒトTLR9に対して、
5’−CTGCATGGAGTGCGGCCAAAAGTCCCTCCACCTACATCCCGATAC−3’(配列番号141)および
5’−GTATCGGGATGTAGGTGGAGGGACTTTTGGCCGCACTCCATGCAG−3’(配列番号142)、ならびにマウスTLR9に対して以下のプライマー:
5’−CTGTATAGAATGTCCTCGTCACTTCCCCCAGCTGCACCCTGAGAC−3’(配列番号143)および
5’−GTCTCAGGGTGCAGCTGGGGGAAGTGACGAGGACATTCTATACAG−3’(配列番号144)。
【0339】
CXXCモチーフ:CXXCXXXXXXCXXC(配列番号145)
野生型hTLR9:CRRCDHAPNPCMECPRHFPQ (aa 255−274 配列番号146)
hTLR9−CXXCm:CRRCDHAPNPCMECGQKSLH (aa 255−274 配列番号147)
野生型mTLR9:CRRCDHAPNPCMICGQKSLH (aa 255−274 配列番号148)
mTLR9−CXXCh:CRRCDHAPNPCMICPRHFPQ (aa 255−274 配列番号149)
hTLR9改変体であるhTLR9−CXXCmの刺激について、293細胞を、一過性にhTLR9またはhTLR9−CXXCmでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度において、ODN2006およびODN1668で刺激した(図20)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。このデータは、hTLR9が、ヒトCXXCドメインをマウスCXXCドメインに変更されたことにより、改善され得ることを示す。mTLR9改変体mTLR9−CXXChの刺激について、293細胞を一過性に、mTLR9またはmTLR9−CXXChでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度において、ODN2006およびODN1668で刺激した(図21)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。ヒトCXXCドメインは、mTLR9−CXXCh活性を、野生型mTLR9比較して減じ得るように思われる。
【0340】
(実施例11.MBDモチーフ中の変異(hTLR9−MBDmut、mTLR9−MBDmut))
MBDモチーフは、最近記載された、MBD−1タンパク質中のCpG結合のためのドメインである。Fujita Nら、Mol Cell Biol 20:5107−5118(2000);Ohki Iら、EMBO J 18:6653−6661(1999)。ヒトおよびマウスのTLR9は、このモチーフを524−554位および525−555位においてそれぞれ含む。
【0341】
MBD−1 R−XXXXXXX−R−X−D−X−Y−XXXXXXXXX−R−S−XXXXXX−Y (配列番号125)
hTLR9 Q−XXXXXXX−K−X−D−X−Y−XXXXXXXXX−R−L−XXXXXX−Y (配列番号126)
mTLR9 Q−XXXXXXX−K−X−D−X−Y−XXXXXXXXX−Q−L−XXXXXX−Y (配列番号127)
このドメインのコアは、ヒトTLR9(aa 534−536)およびマウスTLR9(aa 535−537)中のD−L−Yからなる。部位特異的変異誘発を介して、ヒトTLR9中のD534およびY536、ならびにマウスTLR9中のD535およびY537を、アラニンに変異して、ヒトTLR9(aa 534−536)およびマウスTLR9(aa 535−537)について、配列A−L−Aを作製した。これらの変異を、製造業者のプロトコルに従って、以下のプライマーを使用して作製した:
ヒトTLR9について
5’−CACAATAAGCTGGCCCTCGCCCACGAGCACTC−3’(配列番号150)および
5’−GAGTGCTCGTGGGCGAGGGCCAGCTTATTGTG−3’(配列番号151)、ならびにマウスTLR9について以下のプライマー:
5’−CATAACAAACTGGCCTTGGCCCACTGGAAATC−3’(配列番号152)および
5’−GATTTCCAGTGGGCCAAGGCCAGTTTGTTATG−3’(配列番号153)。
【0342】
mTLR9改変体(mTLR9−MBD−mut)の刺激について、293細胞を、一過性にmTLR9またはmTLR9−MBD−mutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図22)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。hTLR9改変体(hTLR9−MBD−mut)の刺激について、293細胞を、一過性にhTLR9またはhTLR9−MBD−mutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図23)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。TLR9中の推定CpG結合ドメインDXYの破壊は、レセプター活性を破壊した。これらのデータは、MBDモチーフが恐らくCpG−DNA結合に関与し、従って、これを操作してCpG−DNAの結合および効率をより理解し得ることを実証する。
【0343】
(実施例12.TIR−ドメイン中のプロリンからヒスチジンへの変異(hTLR9−PHmut、mTLR9−PHmut))
Toll様レセプターは、細胞質Toll/IL−1レセプター(TIR)ホモロジードメインを有し、これは、アダプター分子MyD88の結合後のシグナル伝達を開始する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253−8(1998);Kopp EBら、Curr Opin Immunol 11:15−8(1999)。他による報告は、マウスTLR4中のシグナル伝達TIRドメイン中の1つの点変異(Pro712からHisへ)またはヒトTLR2中のシグナル伝達TIRドメイン中の1つの点変異(Pro681からhisへ)、またはリポ多糖もしくはグラム陽性細菌に対する宿主の免疫応答を破壊することを示した。Poltorak Aら、Science 282:2085−8(1998);Underhill DMら、Nature 401:811−5(1999)。部位特異的変異誘発を介して、ヒトおよびマウスのTLR9の915位における等価のプロリンを、ヒスチジンに変異した(Pro915からHisへ)。これらの変異を、製造業者のプロトコルに従って、以下のプライマーの使用により作製した:
ヒトTLR9について、
5’−GCGACTGGCTGCATGGCAAAACCCTCTTTG−3’(配列番号154)および
5’−CAAAGAGGGTTTTGCCATGCAGCCAGTCGC−3’(配列番号155)ならびにマウスTLR9について以下のプライマー:
5’−CGAGATTGGCTGCATGGCCAGACGCTCTTC−3’(配列番号156)および
5’−GAAGAGCGTCTGGCCATGCAGCCAATCTCG−3’(配列番号157)。
【0344】
mTLR9改変体(mTLR9−PHmut)の刺激について、293細胞を、一過性にmTLR9またはmTLR9−PHmutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図22)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。hTLR9改変体(hTLR9−pHmut)の刺激について、293細胞を、一過性にhTLR9またはhTLR9−PHmutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図23)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。これらのデータは、TLR9活性がProからHisへの変異により破壊され得ることを実証する。この変異は、TLR9活性を阻害するドミナントネガティブとして使用される潜在性を有し、従って、遺伝性変異体は、リガンドまたはシグナル伝達パートナーに対し競合し、シグナル伝達を破壊し得た。
【0345】
(実施例13.マウスTLR9とヒトTLR9(hTLR9−TIRm、mTLR9−TIRh)との間のTIRドメインの交換)
Toll様レセプターは、アダプター分子MyD88の結合後のシグナル伝達を開始する細胞質Toll/IL−1レセプター(TIR)相同性ドメインを有する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253−8(1998);Kopp EBら、Curr Opin Immunol 11:15−8(1999)。これはまた、TLR9についてもあてはまる。ヒト細胞外TLR9およびマウスTIRドメイン(hTLR9−TIRm)またはマウス細胞外TLR9およびヒトTIRドメイン(mTLR9−TIRh)からなる分子を作製するために、以下のアプローチを選択した。部位特異的変異誘発を介して、ClaI制限部位を、ヒトTLR9およびマウスTLR9に導入した。ヒトTLR9について、DNA配列5’−GGCCTCAGCATCTTT−3’(3026−3040、配列番号158)を、5’−GGCCTATCGATTTTT−3’(配列番号159)に変異させ、ClaI部位(配列の下線部)を導入するが、アミノ酸配列(GLSIF、aa798−802)は変化させなかった。マウスTLR9について、DNA配列5’−GGCCGTAGCATCTTC−3’(2434−2447、配列番号160)を、5’−GGCCTATCGATTTTT−3’(配列番号161)に変異させ、ClaI部位を導入し、野生型マウスTLR9配列(GRSIF、aa799−803)と1位置(aa800)異なるがヒト配列と同一であるアミノ酸配列(GLSIF、aa799−803)を作製した。
【0346】
(hTLR9−TIRm)ヒトTLR9について使用したプライマーは、5’−CAGCTCCAGGGCCTATCGATTTTTGCACAGGACC−3’(配列番号162)および5’−GGTCCTGTGCAAAAATCGATAGGCCCTGGAGCTG−3’(配列番号163)であった。マウスTIRドメインに連結されたヒトTLR9の細胞外部分を含む発現ベクターを作製するために、ヒト発現ベクターをClaIおよび制限量のEcoRIで切断し、マウスTLR9発現ベクターのClaIおよびEcoRI消化によって作製されたマウスTIRドメインをコードするフラグメントを、hTLR9の細胞外部分を含むベクターフラグメント中に連結した。E.coliへのトランスフェクションにより、発現ベクターhTLR9−TIRm(ヒト細胞外TLR9−マウスTIR−ドメイン)を得た。
【0347】
(mTLR9−TIRh)マウスTLR9について使用したプライマーは、5’−CAGCTGCAGGGCCTATCGATTTTCGCACAGGACC−3’(配列番号164)および5’−GGTCCTGTGCGAAAATCGATAGGCCCTGCAGCTG−3’(配列番号165)であった。ヒトTIRドメインに連結されたマウスTLR9の細胞外部分を含む発現ベクターを作製するために、マウス発現ベクターをClaIおよび制限量のEcoRIで切断し、ヒトTLR9発現ベクターのClaIおよびEcoRI消化によって作製されたヒトTIRドメインをコードするフラグメントを、mTLR9の細胞外部分を含むベクターフラグメント中に連結した。E.coliへのトランスフェクションにより、発現ベクターmTLR9−TIRh(マウス細胞外TLR9−ヒトTIR−ドメイン)を得た。
【0348】
mTLR9改変体(mTLR9−TIRh)の刺激のために、293細胞を、mTLR9またはmTLR9−TIRhで一過的にトランスフェクトし、そして示された濃度でODN2006およびODN1668で16時間後に刺激した(図24)。刺激の48時間後、上清を収集し、IL−8生成をELISAによって測定した。hTLR9改変体(hTLR9−TIRm)の刺激のために、293細胞を、hTLR9またはhTLR9−TIRmで一過的にトランスフェクトし、そして示された濃度でODN2006およびODN1668で16時間後に刺激した(図25)。刺激の48時間後、上清を収集し、IL−8生成をELISAによって測定した。マウスTLR9−TIRドメインのヒトTLR9−TIRドメインでの置換は、mTLR9活性に有意に影響しなかった。しかし、ヒトTLR9−TIRドメインのマウスTLR9−TIRドメインでの置換は、hTLR9活性に負の影響を与えるようである。これらのデータは、TLR9活性に影響する操作が行なわれたことを実証する。
【0349】
(実施例14.緑色蛍光タンパク質とのTLR9融合タンパク質(hTLR9−GFP、mTLR9−GFP))
ヒトTLR9およびマウスTLR9を、ベクターpEGFP−N1(Clontech,Palo Alto,CA,USA)に個々にクローニングして、C末端の緑色蛍光タンパク質(GFP)に融合したN末端TLR9タンパク質からなるヒトおよびマウス融合タンパク質をコードする発現ベクターを作製する。これらの構築物を使用して、TLR9の局在化および発現をトレースし得る。このような検出を、FACS分析、共焦点顕微鏡およびウエスタンブロットにおける染色のため、またはポリペプチドの精製および引き続く抗体産生のために使用し得る。
【0350】
(実施例15.FLAGペプチドとのTLR9融合タンパク質(hTLR9−FLAG、mTLR9−FLAG))
ヒトTLR9およびマウスTLR9を、ベクターpFLAG−CMV−1(Sigma,St.Louis,MO,USA)中に個々にクローニングして、N末端リーダーペプチド(タンパク質のプロセシングの間に細胞内で切断されるプレプロトリプシン)、FLAGペプチド(DYKDDDDK)およびそれ自身シグナルペプチドを含まないTLR9からなるヒトおよびマウス融合タンパク質をコードする発現ベクターを作製する。これらの構築物を使用して、例えば、抗FLAG抗体を使用して、TLR9の局在化および発現をトレースし得る。このような検出を、FACS分析、共焦点顕微鏡およびウエスタンブロットにおける染色のため、またはポリペプチドの精製および引き続く抗体産生のために使用し得る。
【0351】
(実施例16.ヒトTLR7をクローニングする方法)
GenBankデータベース中の2つの登録番号(AF245702およびAF240467)は、ヒトTLR7についてのDNA配列を記載する。ヒトTLR7についての発現ベクターを作製するために、ヒトTLR7 cDNAを、プライマー5’−CACCTCTCATGCTCTGCTCTCTTC−3’(配列番号166)および5’−GCTAGACCGTTTCCTTGAACACCTG−3’(配列番号167)を使用して、ヒト末梢単核血球(PBMC)から作製したcDNAより増幅した。フラグメントを、pGRM−T Easyベクター(Promega)にクローニングし、制限酵素NotIで切断し、そしてNotI消化pCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。インサートを完全に配列決定し、そしてタンパク質に翻訳した。hTLR7についてのcDNA配列は、配列番号168であり、表6に示す。オープンリーディングフレームは、塩基124で開始し、塩基3273で終わり、そして1049アミノ酸のタンパク質をコードする。配列番号168(表6)の塩基124〜3273に対応する配列番号169(表7)は、配列番号170(表8)のポリペプチドのコード領域である。
【0352】
クローニングされたhTLR7 cDNAのタンパク質配列は、GenBank登録番号AF240467の元で記載される配列と一致する。GenBank登録番号AF245702の元で寄託された配列は、725位(LからH)および738位(LからP)における2つのアミノ酸変異を含む。
【0353】
【表6】
表8において、配列は以下のように割り当てられる:hTLR7.pep、配列番号170;AF240467.pep、配列番号171;AF245702.pep、配列番号172。
【0354】
(実施例17.マウスTLR7をクローニングする方法)
tfastaを使用するヒトTLR7タンパク質配列のマウスESTデータベースとの整列は、マウスEST配列bb116163、aa266744、bb210780およびaa276879との4つのヒットを生じた。マウスTLR7 cDNAの5’末端および3’末端を増幅するために、RACE−PCRにおける使用のためのaa266744配列に結合する2つのプライマーを設計した。RACE PCRについて使用したライブラリーは、Clontechから市販されているマウス脾臓marathon−ready cDNAであった。この方法によって得られた3000bpの長さを有する5’フラグメントを、Promega pGEM−T Easyベクターにクローニングした。5’末端の配列決定後、さらなるプライマーをマウスTLR7 cDNAを完成するための増幅のために設計した。5’末端についてのプライマーを、5’RACE産物の配列から得て、一方、3’末端についてのプライマーを、マウスEST配列aa266744から選択した。
【0355】
プライマー5’−CTCCTCCACCAGACCTCTTGATTCC−3’(配列番号208)および5’−CAAGGCATGTCCTAGGTGGTGACATTC−3’(配列番号209)を用いて、鋳型としてマウスマクロファージRAW264.7(ATCC TIB−71)cDNAを使用して、3つの独立したPCR反応を設定した。得られた増幅産物を、pGRM−T Easyべクターにクローニングして、完全に配列決定した(配列番号173;表9)。mTLR7(配列番号174;表10)のオープンリーディングフレームは、塩基49で開始し、塩基3201で終わり、そして1050アミノ酸(配列番号175;表11)のタンパク質をコードする。マウスTLR7 cDNAについての発現ベクターを作製するために、pGRM−T EasyベクターおよびmTLR7インサートを、NotIで切断し、フラグメントを単離し、そしてNotIで消化したpCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。
【0356】
【表7】
表11において、配列は以下のように割り当てられる:mTLR7.pep、配列番号175;hTLR7.pep、配列番号170;bb210788.pep、配列番号176;aa276879.pep、配列番号177;aa266744.pep、配列番号178;およびbb116163.pep、配列番号179。
【0357】
(実施例18.ヒトTLR8をクローニングする方法)
GenBankデータベース中の2つの登録番号(AF245703およびAF246971)は、ヒトTLR8についてのDNA配列を記載する。ヒトTLR8についての発現ベクターを作製するために、ヒトTLR8 cDNAを、プライマー5’−CTGCGCTGCTGCAAGTTACGGAATG−3’(配列番号180)および5’−GCGCGAAATCATGACTTAACGTCAG−3’(配列番号181)を使用して、ヒト末梢単核血球(PBMC)から作製したcDNAより増幅した。フラグメントを、pGRM−T Easyベクター(Promega)にクローニングし、制限酵素NotIで切断し、そしてNotI消化pCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。インサートを完全に配列決定し、そしてタンパク質に翻訳した。hTLR8についてのcDNA配列は、配列番号182であり、表12に示す。オープンリーディングフレームは、塩基83で開始し、塩基3208で終わり、そして1041アミノ酸のタンパク質をコードする。配列番号182(表12)の塩基83〜3205に対応する配列番号183(表13)は、配列番号184(表14)のポリペプチドのコード領域である。
【0358】
クローニングされたhTLR8 cDNAのタンパク質配列は、GenBank登録番号AF245703の元で記載される配列と一致する。GenBank登録番号AF246971の元で寄託された配列は、N末端の15アミノ酸(MKESSLQNSSCSLGKETKK;配列番号185)の挿入物ならびに217位(PからS)、266位(LからP)および867位(VからI)における3つの単一アミノ酸変化を含む。
【0359】
【表8】
表14において、配列は以下のように割り当てられる:hTLR8.pep、配列番号184;AF245703.pep、配列番号186;およびAF246971.pep、配列番号187。
【0360】
(実施例19.マウスTLR8をクローニングする方法)
tfastaを使用するヒトTLR8タンパク質配列のマウスESTデータベースとの整列は、マウスEST配列bf135656との1つのヒットを生じた。マウスTLR8 cDNAの5’末端および3’末端を増幅するために、RACE−PCRにおける使用のためのbf135656配列に結合する2つのプライマーを設計した。RACE PCRについて使用したライブラリーは、Clontechから市販されているマウス脾臓marathon−ready cDNAであった。この方法によって得られた2900bpの長さを有する5’フラグメントおよび2900bpの長さを有する3’フラグメントを、Promega pGEM−T Easyベクターにクローニングした。各々のフラグメントの5’末端および3’末端の配列決定後、mTLR8の部分配列を得て、完全なTLR8 cDNAの増幅のためのプライマーの設計を可能にした。
【0361】
プライマー5’−GAGAGAAACAAACGTTTTACCTTC−3’(配列番号188)および5’−GATGGCAGAGTCGTGACTTCCC−3’(配列番号189)を用いて、鋳型としてClontechからのマウス脾臓cDNAを使用して、3つの独立したPCR反応を設定した。得られた増幅産物を、pGRM−T Easyべクターにクローニングして、完全に配列決定して、タンパク質に翻訳して、ヒトTLR8タンパク質配列と整列させた(GenBank登録番号AF245703)。mTLR8についてのcDNA配列は配列番号190であり、表15に示す。mTLR8のオープンリーディングフレームは、塩基59で開始し、塩基3157で終わり、そして1032アミノ酸のタンパク質をコードする。配列番号190(表15)の塩基59〜3154に対応する配列番号191(表16)は、配列番号192(表17)のポリペプチドのコード領域である。マウスTLR8 cDNAについての発現ベクターを作製するために、mTLRインサートを有するpGRM−T Easyベクターを、NotIで切断し、フラグメントを単離し、そしてNotIで消化したpCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。
【0362】
【表9】
表17において、配列は以下のように割り当てられる:mTLR8.pep、配列番号192;hTLR8.pep、配列番号184;およびbf135656.pep、配列番号193。
【0363】
(実施例20.TLR8およびTLR7を発現する一過的トランスフェクト体)
クローニングされたヒトTLR7およびヒトTLR8のcDNA(本発明者らの結果)を、NotI部位を使用して、Invitrogenからの発現ベクターpCDNA3.1(−)にクローニングした。「機能獲得(gain of function)」を利用して、hTLR7およびhTLR8の発現ベクターを、リン酸カルシウム方法を使用して、ヒト293線維芽細胞(ATCC、CRL−1573)において一過的に発現させた。CpG−ODN(2006または1668(2μl))またはLPS(100ng/ml)での刺激後、活性化を、IL−8生成によってモニターした。使用された刺激のいずれも、hTLR7またはhTLR8のいずれかでトランスフェクトした293細胞を活性化しなかった。
【0364】
(実施例21.TLR9、TLR8、およびTLR7修飾因子のスクリーニング)
ヒトTLRレセプター9、ヒトTLRレセプター8、およびヒトTLRレセプター7は、プロモーター構造における差異に起因し得る組織間で示差的に発現される。Du Xら、Eur Cytokine Netw 11:362−71(2000);Chuang THら、Eur Cytokine Netw 11:372−8(2000)。ヒトToll様レセプター9、ヒトToll様レセプター8、ヒトToll様レセプター7について、ゲノム位置が規定され、そして配列決定されている。TLR9は、第3染色体上に位置し(GenBank登録番号NT 005985、AC006252)、TLR7は、X染色体上に位置し(GenBank登録番号NT 011774、AC005859、AC003046)、そしてTLR7に近いTLR8もまた、X染色体上に位置する(GenBank登録番号NT 011774、AC005859)。プロモーター領域における差異を確認するために、各遺伝子の推定プロモーター領域を、複数のクローニング部位に隣接してルシフェラーゼ遺伝子(luc)を含むpGL2−Basic(Promega,Madison,WI,USA)のようなレポーターベクターにクローニングする。種々の細胞株におけるこれらの構築物の一過的なトランスフェション後、種々の刺激を、ルシフェラーゼ活性によって検出される、挿入されたプロモーター領域の活性化について試験し得る。mTLR9、mTLR8およびmTLR7のクローニングによって定義されるプロモーター領域を、同じ様式で使用し得る。TLR9、TLR8、またはTLR7の発現をアゴナイズまたはアンタゴナイズする化合物の規定を使用して、スクリーニングによって規定される核酸リガンドまたは任意のTLR9、TLR8、もしくはTLR7リガンドに対する応答を強化またはくじき得る。これらの構築物を、TLR9の安定なトランスフェクト体の使用に類似した安定なトランスフェクション後のハイスループットスクリーニングに適合させ得る。
【0365】
前述の特許、特許出願および参考文献の各々は、本明細書中に参考として援用される。本発明は特定の実施形態に関して記載されるが、多数の改変および変化が、本発明の精神から逸脱することなく当業者によって行なわれ得ることが理解されるはずである。このような改変、変化および等価物は、上述の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0366】
(実施例22.ヒトIgG1 Fcに融合されたマウス細胞外TLR9ドメインおよびヒト細胞外TLR9ドメインをクローニングする方法)
センスおよびアンチセンスプライマーの5’TATGGATCCTCTTGTGACAAAACTCACACATGC(配列番号216)および5’ATAAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGAGAG(配列番号217)を使用して、ヒトB細胞cDNAからヒトIgG1 Fcを増幅し、制限エンドヌクレアーゼBamHIおよびHindIIIを用いる消化後にpCDNA3.1(−)(Invitrogen)に連結し、ベクターpcDNA−IgGFcを作製する。ヒトTLR9(アミノ酸1〜815)の細胞外ドメインを、センスおよびアンチセンスプライマーの5’TATGAATTCCCACCATGGGTTTCTGCCGCAG(配列番号218)および5’ATAGGATCCCCGGGGCACCAGGCCGCCGCCGCGGCCGCCGGAGAGGGCCTCATCCAGGC(配列番号219)を用いて増幅した。プライマーは、ヒトTLR9の細胞外ドメインを増幅し、そしてアミノ酸815に隣接して、さらなるNotI制限部位、グリシンリンカーおよびトロンビンプロテアーゼ認識部位を作製する。アミノ酸812で開始するこの領域の翻訳された配列は、DEALSGGRGGGLVPRGS(配列番号220)である。このフラグメントをEcoRIおよびBamHIで切断し、そしてpcDNA−IgGFcにクローニングし、ヒトIgG1(pcDNAhTLR9IgGFc)のFc部分に融合されたヒトTLR9の細胞外ドメインの融合部分をコードするベクターを作製する。発現された細胞外TLR9タンパク質を、トロンビンでの消化によってIgG1 Fcフラグメントから分離し得る(図を参照のこと)。
【0367】
マウスTLR9の細胞外部分(アミノ酸1〜816)を、センスおよびアンチセンスプライマーの5’TATATGCGGCCGCCCACCATGGTTCTCCGTCGAAG(配列番号221)および5’TATATGCGGCCGCCAGAGAGGACCTCATCCAGGC(配列番号222)を用いて増幅し、そしてPCRフラグメントおよびベクターのNotI消化後にpcDNAhTLR9IgGFcにクローニングした。この手順は、TLR9のヒト細胞外部分をマウスの対応物と交換した。
【0368】
(実施例23.ヒトIgG1 Fcに融合されたTLR9の細胞外ドメインの発現方法および精製方法)
ヒトTLR9またはマウスTLR9のヒトIgGFc融合タンパク質をコードするベクターDNAを、Ca2PO4法によって293線維芽細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、0.7mg/ml G418で選択し、クローニングした。融合タンパク質の発現を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によってモニターした。細胞を、溶解緩衝液(PBS,1%Triton X−100)中で溶解し、そして上清を、ヒトIgG−Fcに対するポリクローナル抗体でコーティングしたELISAプレートに適用した。結合した融合タンパク質を、ヒトIgG−Fcに対するビオチン化ポリクローナル抗体およびストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体と共にインキュベートすることによって検出した。
【0369】
融合タンパク質の精製のために、109細胞からの細胞溶解物を生成し、そしてヒトIgG−Fcに固く結合するプロテインAセファロースと共にインキュベートした。プロテアーゼトロンビンとのインキュベーションは、ヒトTLR9の可溶性細胞外ドメインを放出する。図27は、銀染色したSDSゲルによって可視化したTLR9融合タンパク質の例を示す。図27は、トランスフェクトされた細胞の溶解物は、疑似トランスフェクト細胞の溶解物またはトランスフェクトされた上清もしくは疑似トランスフェクト細胞のいずれにおいても存在しない100kDと150kDとの間で移動する強いバンドを含んだ。バンドのみかけの分子量は、トロンビン処理後に減少し、細胞外TLR9ドメインとFcフラグメントとの間に挿入されるトロンビンプロテアーゼ認識部位における切断と一致する。
【0370】
(実施例24.ヒトIgG1 Fcに融合されたマウスおよびヒトの細胞外TLR7ドメインおよびTLR8ドメインをクローニングする方法、ならびに293細胞におけるその発現)
マウスTLR7(アミノ酸1〜837)、ヒトTLR7(アミノ酸1〜836)、マウスTLR8(アミノ酸1〜816)およびヒトTLR8(アミノ酸1〜825)の細胞外ドメインを、それぞれ、プライマー対:
【0371】
【化15】
を用いて増幅した。フラグメントを、NotI消化後にpcDNA−IgGFcにクローニングした。
【0372】
ヒトIgGFc融合タンパク質に融合されたヒトまたはマウスのTLR7またはTLR8の細胞外ドメインをコードするベクターDNAを、Ca2PO4法によって、293線維芽細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、0.7mg/ml G418で選択し、クローニングした。融合タンパク質の発現を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によってモニターした。細胞を、溶解緩衝液(PBS,1%Triton X−100)中で溶解し、そして上清を、ヒトIgG−Fcに対するポリクローナル抗体でコーティングしたELISAプレートに適用した。結合した融合タンパク質を、ヒトIgG−Fcに対するビオチン化ポリクローナル抗体およびストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体と共にインキュベートすることによって検出した。
【0373】
(実施例25.マウスTLR9およびヒトTLR9に対する抗体産生の方法ならびに活性の特徴付け)
C57/B6マウスを、10nmolのCpG−ODN 1668と混合した20μgのヒトTLR9の細胞外ドメインの腹腔内投与によって3回免疫した。免疫したマウスから得たB細胞を、標準的なプロトコルを使用して、非抗体産生B細胞ハイブリドーマP3XAG8と融合させた。ハイブリドーマ上清を、マウスTLR9およびヒトTLR9融合タンパク質を使用して、ELISAにおける反応性についてスクリーニングした。陽性のハイブリドーマの同定のために、ELISAプレートを、ヒトIgG−Fcに対するポリクローナル抗体でコーティングし、そしてマウスTLR9 IgG−Fc融合タンパク質またはヒトTLR9 IgG−Fc融合タンパク質を含む溶解物と共にインキュベートした。次いで、プレートを個々のハイブリドーマ上清と共にインキュベートし、そして結合したTLR9特異的抗体を、マウスIgGに対するビオチン化ポリクローナル抗体およびストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体と共にインキュベートすることによって検出した。
【0374】
IgG1アイソタイプ、IgG2aアイソタイプおよびIgG2bアイソタイプである10個の抗体を単離した。これらを、ヒトTLR9およびマウスTLR9に対する反応性、ならびにウエスタンブロッティングまたは細胞内染色におけるこれらの性能について試験した。表18は、名称(ID)、アイソタイプ、反応性ならびにウエスタンブロッティングおよび細胞内染色における性能を示す。
【0375】
全ての単離された抗体を、標準的なプロテインA親和性クロマトグラフィーを使用して容易に精製した。
【0376】
(表18.マウスTLR9およびヒトTLR9に対して惹起されたモノクローナル抗体)
【0377】
【表10】
(実施例26.細胞内染色のための方法)
疑似トランスフェクトした293細胞およびヒトTLR9でトランスフェクトした293細胞を、カバースリップ上に播種し、一晩培養した。後日、細胞をPBS中で洗浄し、そして室温で10分間2%ホルマリンで固定した。細胞を、PBS中0.2%サポニンで浸透し、そして2μg/ml抗ヒトTLR9特異的抗体2−1E2と共に1時間インキュベートした。2回の洗浄工程後、細胞をAlexis488結合体化ヤギ抗マウスIgG抗体とインキュベートし、そしてTLR9を、Zeiss LSM510顕微鏡の共焦点顕微鏡を利用して可視化した。結果は、疑似トランスフェクト293細胞ではなく、ヒトTLR9でトランスフェクトした293細胞の細胞質が、ヒトTLR9に対して陽性で染色したことを示した。
【0378】
(実施例27.ウエスタンブロッティングのための方法)
マウスTLR9 IgG1−Fc融合タンパク質、ヒトTLR9 IgG1−Fc融合タンパク質またはマウスTLR2 IgG1−Fc融合タンパク質でトランスフェクトした293細胞の溶解物を、SDS−PAGEによって分離した。製造業者のプロトコルに従って、BioRad半乾燥ブロッターを利用してナイロン膜に転写した。この膜を、2μg/mlのヒトTLR9特異的抗体2−1E2と共にインキュベートし、そしてTLR9を、ポリクローナルヤギ抗ペルオキシダーゼ結合体によって検出した。ペルオキシダーゼ活性を、ECL試薬(Amersham)を用いてモニターし、そしてフィルム上で膜をインキュベートする(図29を参照のこと)。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、種々の刺激(CpG−ODN、GpC−ODN、LPSおよび培地を含む)への暴露に応答して、ヒトTLR9でトランスフェクトされた293線維芽細胞により産生される、(A)NF−κBの誘導および(B)IL−8の量、を示す二組の棒グラフである。
【図2】
図2は、種々の刺激(CpG−ODN、メチル化CpG−ODN(Me−CpG−ODN)、GpC−ODN、LPSおよび培地を含む)への暴露に応答して、マウスTLR9でトランスフェクトされた293線維芽細胞により産生されたNF−κBの誘導を示す棒グラフである。
【図3】
図3は、トランスフェクトしていないコントロール293細胞、mTLR9でトランスフェクトした293細胞(293−mTLR9)、およびhTLR9でトランスフェクトした293細胞(293−hTLR9)における、マウスTLR9(mTLR9)、ヒトTLR9(hTLR9)およびグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)についての逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイの結果を示す、一連のゲル画像である。
【図4】
図4は、安定にトランスフェクトされた293−hTLR9細胞における、種々の刺激によるNF−κB−lucの誘導の程度を示すグラフである。
【図5】
図5は、安定にトランスフェクトされた293−mTLR9細胞における、種々の刺激によるNF−κB−lucの誘導の程度を示すグラフである。
【図6】
図6は、誘導された(レーン1)かまたは誘導されていない(レーン2)、hTLR9でトランスフェクトされた酵母細胞の上清中の可溶性hTLR9の存在を示す、Coomassie染色したポリアクリルアミドゲルの画像である。
【図7】
図7は、種々の刺激(Escherichia coli(E.coli)DNA、DNaseで消化したE.coli DNA、CpG−ODN、GpC−ODNおよびLPSを含む)に応答する、ヒトB細胞の増殖を示すグラフである。
【図8】
図8は、種々の刺激(E.coli DNA、DNaseで消化したE.coli DNA、CpG−ODN、GpC−ODNおよびLPSを含む)に応答する、プラズマ細胞の樹状細胞(CD123+DC)および単球由来の樹状細胞(MDDC)におけるIL−8(上)およびTNF(下)の誘導を示す二組の棒グラフである。
【図9】
図9は、ヒト末梢血細胞:MDDC(レーン1)、精製CD14+単球(レーン2)、B細胞(レーン3)、CD123+DC(レーン4)、CD4+T細胞(レーン5)、およびCD8+T細胞(レーン6)における、ヒトTLR9 mRNA、ヒトTLR2 mRNA、およびヒトTLR4 mRNAの相対発現レベルを比較した、半定量的RT−PCRの結果を示す染色したゲルの一連の画像である。GAPDHは、cDNAの量を定量するためのコントロールである。
【図10】
図10は、示された濃度の種々のODN(ODN 2006(黒丸)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角)およびODN 1668−GC(白三角)を含む)に応答する、(A)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)および(B)マウス脾細胞において誘導されるIL−12の量を示す一組のグラフである。
【図11】
図11は、示された濃度の種々のODN(ODN 2006(黒丸)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角)、およびODN 1668−GC(白三角)を含む)で刺激された際の、hTLR9(左パネル)またはmTLR9(右パネル)でトランスフェクトされた293細胞の応答性を示す4つ組のグラフである。応答は、NF−κB−luc(上パネル)およびIL−8(下パネル)の誘導という形で示される。
【図12】
図12は、E.coli DNA(黒棒)およびDNase−で消化したE.coli DNA(灰色の棒)に対する、293−hTLR9細胞の用量応答を示す棒グラフである。
【図13】
図13は、示された濃度のホスホジエステル形態のODN 2006(黒丸)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角)、およびODN 1668−GC(白三角)に対する、(A)293−hTLR9および(B)293−mTLR9細胞の応答性を示す一組のグラフである。
【図14】
図14は、示された濃度のODN 5002(黒丸)およびODN 5007(白丸)に対する293−hTLR9細胞および293−mTLR9細胞の応答性を示す一組のグラフである。
【図15】
図15は、CpG−ODN 1668に対するmTLR9でトランスフェクトした293細胞の応答が、非CpG−ODN PZ2に同時暴露することにより用量依存的な様式で阻害されることを示す、棒グラフである。
【図16】
図16は、ブロッキング非CpG−ODNの示された量の存在下における、CpG−ODN(黒棒)またはTNF(灰色の棒)に対する293−hTLR9細胞の応答を示す棒グラフである。
【図17】
図17は、Bafilomycin A(灰色の棒)の存在下における、IL−1でもTNFでもなく、CpG−ODNに対する293−hTLR9の応答の妨害を示す棒グラフである。ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いるコントロール処理は、黒色の棒で示す。
【図18】
図18は、CpG−ODN(白丸)、TNF−α(黒丸)またはコントロール(黒三角)で刺激した293−hTLR9細胞におけるNF−κBの誘導に対する、種々の濃度のドミナントネガティブなヒトMyD88の影響を示すグラフである。
【図19】
図19は、精製hTLR9−GLAGおよびmTLR9−FLAG:(上パネル)抗ヒトおよび抗マウス細胞内;(中)抗マウス細胞外;および(下)抗ヒト細胞外に対する、種々のポリクローナル抗体の応答を示す、一連の3つのウエスタンブロット画像である。矢印は、各ブロットにおけるTLR9の位置を示す。
【図20】
図20は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のhTLR9およびhTLR9改変体形態のhTLR9−CXXCmの応答性を示す棒グラフである。
【図21】
図21は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のmTLR9およびmTLR9改変体形態のmTLR9−CXXCmの応答性を示す棒グラフである。
【図22】
図22は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のmTLR9、mTLR9改変体形態のmTLR9−Phmut、およびmTLR9改変体形態のmTLR9−MBDmutの応答性を示す棒グラフである。
【図23】
図23は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のhTLR9、hTLR9改変体形態のhTLR9−PHmut、およびhTLR9改変体形態のhTLR9−MBDmutの応答性を示す棒グラフである。
【図24】
図24は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のmTLR9およびmTLR9改変体形態のmTLR9−TIRhの応答性を示す棒グラフである。
【図25】
図25は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のhTLR9およびhTLR9改変体形態のhTLR9−TIRmの応答性を示す棒グラフである。
【図26】
図26は、ヒトTLR7、TLR8、およびTLR9ポリペプチドの種々の特徴を表す一連の線形マップである。
【図27】
図27は、融合タンパク質の銀染色ポリアクリルアミドゲルの画像および概略図であり、ここでヒトTLR9(hTLR9)の細胞外ドメインは、介在するトロンビンプロテアーゼ認識部位を有するヒトIgG1 Fcドメイン(hIgG−FC)に融合される。左から右へ、ゲルを、(1)形質転換体の上清;(2)トロンビンで処理された形質転換体の溶解物;(3)形質転換体の未処理の溶解物;(4)分子量マーカー;(5)モック形質転換体の上清;(6)トロンビンで処理したモック形質転換体の溶解物;および(7)モック形質転換体の未処理の溶解物で負荷した。可溶性hTLR9およびFcは、トロンビン処理の後にインタクトなhTLR9−IgG−Fcから放出された産物である。分子量は、銀染色ゲル画像の右側に沿って示される。
(関連出願)
本発明は、米国仮出願60/233,035(2000年9月15日出願);米国仮出願60/263,657(2001年1月23日出願);米国仮出願60/291,726(2001年5月17日出願);および米国仮出願60/300,210(2001年6月22日出願)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、免疫刺激核酸によるシグナル伝達に関する。
【0003】
(発明の背景)
細菌DNAは、強力な免疫調節物質である。Yamamoto Sら、Microbiol Immunol 36:983−997(1992)。病原体由来のリガンドが、宿主の生得免疫応答および適応免疫応答を開始する未同定の病原体認識レセプターによって認識されるとの仮説が立てられている。Wagner H,Adv Immunol 73:329−368(1999)。CpGモチーフを含有するオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)は、細菌DNAの生物学を模倣し得る。Krieg AMら、Nature 374:546−549(1995)。CpG ODNおよびDNAベクターは、近年、免疫刺激性の、造血特性およびアジュバント特性に起因して、臨床的な価値が示されている。
【0004】
適応免疫系は、リコンビナーゼ活性化遺伝子(RAG−1およびRAG−2)の前駆物を保有するトランスポゾンが、初期の顎のある脊椎動物の生殖細胞系に挿入された、約4億5000万年前に現れた。Agarwal A.ら、Nature 394:744(1998)。適応免疫応答を開始する能力によって、生物は、既に遭遇した病原を記憶することが可能となり、そして天然の選択によって、適応免疫応答が脊椎動物の実質的に普遍の特徴となった。しかし、このことによって、宿主防御の以前の形態である生得免疫系の放棄は導かれなかった。実際、この宿主防御の以前の形態は、同時刺激分子の発現を制御することによって、最初の適応免疫応答を刺激し、そしてこれを指向させるという、第2の機能をはたらくように選択される。
【0005】
この10年間、生得免疫系の細胞が、細菌病原体と関連する保存された分子パターンに対するレセプターを保有すると推定されている。このモデルに従って、病原体由来のタンパク質抗原がプロセスされ、そして特定のT細胞応答に対する刺激物として作用するペプチドとして提示される場合、抗原提示細胞上のパターン認識レセプター(PRR)もまた、同時刺激分子、サイトカイン、およびケモカインの合成を誘導する。これらの活性化された抗原提示細胞は、全ての適応免疫応答に必須である抗原特異的T細胞を誘引し、かつこれを活性化するように作用する。Janeway CAJ,Cold Spring Harbor Symp Quant Biol 54:1(1989);Fearon DTら、Science 272:50(1996);およびMedzhitov Rら、Cell 91:295(1997)。同時刺激を誘導し得る物質として、細菌リポ多糖(LPS)、合成二本鎖RNA、グリカンおよびマンナンが挙げられ得ることは公知であった。さらに、実験の証拠によって、T細胞に対するプロセスされた抗原リガンドが、同時刺激分子と同じ細胞上にあることが、示された。このことは、自己寛容を維持することに関して非常に重要なことであり;同時刺激分子の傍観者的な提示は、寛容が、感染が生じたときは必ず失われるということを意味する。
【0006】
このモデルを検証するためには、病原体リガンドが結合した際に、同時刺激分子およびサイトカインの産生を導くシグナル伝達カスケードを開始する、細菌パターンに対するレセプターを同定する必要があった。マンノース結合タンパク質(MBP)のような分子は、この役割について適任ではない。なぜなら、このような分子は、タンパク質分解カスケードを活性化するか、または食作用を促進するが、同時刺激を誘導することは知られていないからである。飛躍的な進歩によって、最初にcDNAとしてクローニングされ、そして後にhTLR4(ヒトToll様レセプター)と命名された、Drosophila Tollのヒトホモログの同定がもたらされた。Medzhitov Rら、Nature 388:394(1997);Rock FLら、Proc Natl Acad Sci USA 95:588(1998);Chaudhary PMら、Blood 91:4020−4027(1998)。
【0007】
Toll様レセプター(TLR)は、病原体認識および生得免疫系の活性化を促進する、生殖細胞系にコードされる膜貫通タンパク質のファミリーである。Hoffmann JAら、Science 284、1313−1318(1999);Rock FLら、Proc Natl Acad Sci USA 95:588−593(1998)。TLRは、保存された病原体由来リガンドとかみ合い、そして引き続いてTLR/IL−1Rシグナル伝達経路を活性化して、種々のエフェクター遺伝子を誘導する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253−258(1998);Muzio Mら、J Exp Med 187:2097−2101(1998)。
【0008】
現在までに、10個の異なる哺乳動物TLRが記載されている。Rock FLら、Proc Natl Acad Sci USA 95:588−593(1998);Chaudhary PMら、Blood 91:4020−4027(1998);Takeuchi Oら、Gene 231:59−65(1999);Aderem A.ら、Nature 406:782−7(2000)。現在までに、遺伝子データによって、TLRが特有な機能を有し、かつ豊富には存在しないことが示唆されている。これらTLRのほとんどに対するリガンドおよびこれらTLRのほとんどの機能は、TLR2およびTLR4以外、解明されるべきままである。
【0009】
LPS結合およびシグナル伝達レセプター複合体が、CD14(グリコシル−ホスホイノシトールテイルによって細胞表面に保持された末梢膜タンパク質)に結合したLPSとhTLR4が相互作用する場合に、集合することが明らかとなっている。LPS結合タンパク質(LBP)の存在は、シグナル伝達をさらに増大させる。hTLR4タンパク質は、LPSと複合体化するCD14と相互作用するロイシンリッチ反復配列をその細胞外ドメインの中に有する。次いで、TLR4は、膜を介してLPSシグナルを伝達する。なぜなら、この遺伝子の破壊的な変異が、マウスにおいてLPS非応答性状態を導くからである。そしてこのことはまた、グラム陰性細菌のクリアランスにおいて欠損している。Poltorak Aら、Science 282:2085(1998);Qureshi STら、J Exp Med 189:615−625(1999);Eden CSら、J Immunol 140:180(1988)。ヒトが、(ハエと同様に)多数のToll様レセプター(TLR)を有することが明らかになっている。
【0010】
TLR4および他のTLRは、細胞質Toll/IL−1レセプター(TIR)相同性ドメインを有する。このドメインは、TIRドメインの類似:類似相互作用によってTLR4と相互作用するアダプタータンパク質(MyD88)上の類似のドメインと通じる。次の相互作用は、そのそれぞれの「死のドメイン」と介する、アダプターとキナーゼとの間の相互作用である。このキナーゼは、次に、腫瘍壊死因子(TNF)レセプター関連因子6(TRAF6)と相互作用する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253(1998);Kopp EBら、Curr Opin Immunol 11:15(1999)。TRAF6の後、2つの連続したキナーゼ活性化工程が、阻害タンパク質IκBのリン酸化、およびNF−κBからのIκBの分離を導く。この最初のキナーゼは、NF−κB誘導キナーゼに対する、NIKとして公知の有糸***促進因子活性化キナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKK)である。このキナーゼの標的は、2つの鎖(IκBキナーゼα(IKKα)およびIκBキナーゼβ(IKKβ)と称される)から構成される別のキナーゼであり、これは、IκBをリン酸化するIKKα:IKKβのヘテロダイマーを一緒に形成する。NF−κBは核に転移し、そのプロモーターおよびエンハンサー中にκB結合部位を有する遺伝子(例えば、インターロイキン−1β(IL−1β)、IL−6、IL−8、IL−12のp40タンパク質、ならびに同時刺激分子であるCD80およびCD86をコードする遺伝子)を活性化する。
【0011】
CpG DNAに応答するこの型の細胞(B細胞、樹状細胞(DC)およびマクロファージ)はまた、病原体由来のパターンを認識する他の因子(例えば、LPS)によって刺激される。一般的に、生得免疫系のPRRは、細胞表面上に位置し、この場所でPRRはおそらく、微生物を最適に検出することができる。DNAに結合する細胞表面タンパク質は十分に記載され、そしてCpGモチーフによって免疫活性化を媒介すると考えられている(Liang Hら、J Clin Invest 98:1119−1129(1998))が、この結合は、配列非依存的であり、そして細胞の活性化をもたらさない。Krieg AMら、Nature 374:546−549(1995);Yamamoto Tら、Microbiol Immunol 38:831−836(1994);Hacker Hら、EMBO J 17:6230−6240(1998)。細胞取り込みを防ぐために固定化されたCpG ODNは非刺激性であるので(Krieg AMら、Nature 374:546−549(1995);Manzel Lら、Antisense Nucleic Acid Drug Dev 9:459−464(1999))、CpG ODNはおそらく、細胞内レセプターに結合することによって作用するようである。この仮説の支持するものとして、ODNのエンドソーム酸性化/ODNのプロセシングを妨害するクロロキンのような薬物は、CpG DNAの免疫刺激効果を特異的にブロックする。Hacker Hら、EMBO J 17:6230−6240(1998);Macfarlane DEら、J Immunol 160:1122−1131(1998);Yi AKら、J Immunol 160:4755−4761(1998)。エンドソーム工程は、CpG誘導シグナル伝達経路に欠かせないと考えられている。Hacker Hら、EMBO J 17:6230−6240(1998);Yi AKら、J Immunol 160:4755−4761(1998)。細菌DNAの非メチル化CpGモチーフ中に含まれる情報が遺伝子発現における変化をどのように誘発するかということは、これまでに明らかにされていない。
【0012】
細菌DMAに対するレセプターが未知なので、直接的な結合分析を介した最適なCpGモチーフについてのスクリーニングの開発は、制限されている。さらなる複雑化は、CpG配列に対する種特異的選択性、すなわち、1つの種についての最適配列が、別の種について最適ではないかもしれない、ということである。
【0013】
(発明の要旨)
マウスの3つのToll様レセプター(Toll様レセプター7(TLR7)、TLR8、およびTLR9)をコードする核酸が、本発明者らによってここで同定され、単離され、クローニングされ、そして配列決定された。本発明は、一般的に、TLRをコードする単離された核酸分子およびこれらの核酸分子の単離されたフラグメント;単離されたTLRポリペプチドおよびこれらのポリペプチドの単離されたフラグメント;上記の核酸分子を含む発現べベクター;上記の発現ベクターを有する宿主細胞;TLRポリペプチドおよびそのフラグメントを含む融合タンパク質;ならびに、これらのTLRと相互作用する因子(特に、これらのTLR分子の発現を変更し、そしてこれらのTLR分子と関連するシグナル伝達を変更する、因子)を同定、比較、および最適化するのに有用なスクリーニング方法を提供する。好ましい実施形態において、スクリーニング方法は、高スループットのスクリーニング方法である。
【0014】
本発明は、いくつかの局面において、TLR9が、免疫刺激核酸(ISNA)誘導性の免疫刺激に関与するという驚くべき発見から生じている。本発明はまた、一部、TLR9が、配列特異的様式および種特異的様式の両方で、ISNAに応答した免疫活性化シグナルを変換するという驚くべき発見から生じている。
【0015】
第一の局面において、本発明は、全長マウスTLR9をコードする単離された核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従って、以下:(a)ストリンジェントな条件下で配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズする、核酸分子であって、この核酸分子は、配列番号3に記載アミノ酸配列を有するマウスTLR9をコードする、核酸分子;(b)遺伝暗号の縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる、核酸分子;ならびに(c)(a)または(b)の相補体、からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される。特定の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号3をコードし、ここで、配列番号3は、全長マウスTLR9の推定アミノ酸配列を示す。いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号1または配列番号2のヌクレオチド配列を含み、ここで、これらは、それぞれ、マウスTLR9の全長cDNAおよびオープンリーディングフレームに対応する。
【0016】
本明細書中に使用される場合、用語「ストリンジェントな条件」は、塩、温度、有機溶媒、および必要に応じて当業者が精通する他の因子を含むパラメーターに基づく、組み合わせた条件をいう。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、このような方法を編集する参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambrookら、編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら、編、John Wiley & Sons,Inc.、New York)中に見出され得る。より詳細には、本明細書中に使用される場合、ストリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02% Ficoll、0.02% ポリビニルピロリドン、0.02% ウシ血清アルブミン、2.5mM NaH2PO4(pH7)、0.5% SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションをいう。SSCは、0.15M 塩化ナトリウム/0.15M クエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり;そして、EDTAは、エチレンジアミンテトラ酢酸である。ハイブリダイゼーション後、DNAが転写される膜は、室温にて2×SSCで洗浄され、次いで、室温から68℃までにて0.1〜0.5×SSC/0.1×SDSを用いて洗浄される。類似のストリンジェンシーの程度を生じる使用され得る他の条件、試薬などが、存在する。当業者はこのような条件に精通し、従ってこれらをここには提供しない。しかし、本発明のマウスTLR核酸の対立遺伝子の明らかな同定を可能にする様式で、当業者がこの条件を操作し得ることが、理解される。当業者はまた、後で慣用的に単離されるような分子の発現について細胞およびライブラリーをスクリーニングするための方法論、その後の適切な核酸分子の単離および配列決定に精通する。
【0017】
第二の局面において、本発明は、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供する。単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸
【0018】
【化4】
からなる群より選択されるマウスTLR9の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、このTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、マウスTLR9の少なくとも1つのアミノ酸以外はヒトTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントと同一であるアミノ酸配列を有する。本発明この局面に従う特定の実施形態において、TLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントはさらに、配列番号3のアミノ酸949、972、975、976、994、997、1000、1003、1004、1010、1011、1018、1023、および1027からなる群より選択されるマウスTLR9の少なくとも1つのアミノ酸を含む。従って、詳細には、C末端95アミノ酸およびそのフラグメントに限定されたTLR9フラグメントが、本発明の局面から除外される。
【0019】
特定の実施形態において、本発明この局面に従うTLR9ポリペプチドおよびそのフラグメントは、上記の特定の部位における1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみヒトTLR9およびそのフラグメントと異なる、これらのTLR9ポリペプチドおよびそのフラグメントを除外する。当該分野で周知のように、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換がなされたポリペプチドの相対的な電荷も大きさの特徴も一般的に変更しない、アミノ酸置換をいう。アミノ酸の保存的置換としては、代表的に、以下の群内のアミノ酸間でなされる置換が挙げられる:ミチオニン(M)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V);フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H);アラニン(A)、グリシン(G);セリン(S)、スレオニン(T);グルタミン(Q)、アスパラギン(N);ならびにグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)。
【0020】
本発明のこの局面および本発明の他の局面に従って、TLR「ポリペプチドおよびそのフラグメント」を参照して、「そのフラグメント」は、少なくとも約8アミノ酸長である連続するアミノ酸残基のストレッチを有する、ポリペプチドフラグメントをいう。一般的に、このフラグメントは、少なくとも約10アミノ酸長であり;より一般的には少なくとも12アミノ酸長であり;しばしば、少なくとも約14アミノ酸長であり;より頻繁には、少なくとも約16アミノ酸長であり;代表的には少なくとも18アミノ酸長であり;より代表的には、少なくとも20アミノ酸長であり;通常、少なくとも22アミノ酸長であり;そしてより通常では、少なくとも24アミノ酸長である。特定の好ましい実施形態は、例えば、全長TLRポリペプチドまでのより長いフラグメント(例えば、少なくとも約30アミノ酸長、少なくとも約40アミノ酸長、少なくとも約50アミノ酸長、少なくとも約100アミノ酸長、少なくとも約200アミノ酸長など)、および全長TLRポリペプチドよりも短い単一アミノ酸であるフラグメントを含む。
【0021】
特定の実施形態において、ヒトTLR9は、配列番号6に記載アミノ酸配列を有する。
【0022】
好ましい実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号3および配列番号3のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。本発明のこの局面に従ういくつかの実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、上記のヒトTLR9ポリペプチドおよびマウスTLR9ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0023】
特定の好ましい実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR9の細胞質外ドメイン(本明細書中、細胞外ドメインとも称される)またはその一部である。本明細書中により詳細にさらに記載されるように、TLR7、TLR8およびTLR9は、特定の構造ドメインおよび機能ドメインを有する。これらのTLRの構造ドメインとしては、細胞質外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。細胞質外ドメインは、エンドソーム/リソソーム小胞の内腔中に伸びる。細胞質ドメインとしては、Toll/インターロイキン1レセプター様ドメイン(Toll/IL−1Rドメイン、TIR相同性ドメイン、またはTIRドメインとも称される)が挙げられる。マウスTLR9において、細胞質外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインは、それぞれ、アミノ酸1〜約819、約820〜約837、ならびに約838〜約1032に対応する。
【0024】
上記のように、TLR9が、当該分野で免疫刺激核酸(ISNA)(CpG核酸を含む)と称される特定の核酸分子によって誘導される免疫活性化に関与するということが、本発明に従って発見された。ISNAのTLR9への結合は、TLR9のTIRドメインを含むシグナル伝達を導くと、本発明者らによって考えられている。従って、本発明この局面に従う特定の実施形態において、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントは、ISNA(CpG核酸であるISNAを含む)に選択的に結合する。
【0025】
免疫刺激核酸(例えば、CpG核酸)と相互作用すると本発明者らによって考えられている細胞質外ドメインの一部である、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントもまた、本発明のこの局面に従って含まれる。特定の実施形態において、このような部分としては、配列番号126、127、210、および211のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む。特定の実施形態において、本発明者らによって免疫刺激核酸と相互作用すると考えられている細胞質外ドメインの部分としては、配列番号196、197、および198のいずれか1つに記載のCXXCモチーフが挙げられる。
【0026】
本発明の第三の局面に従って、上記の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子が提供される。本発明のこの局面に従う単離された核酸分子は、詳細には、以下のGenBank登録番号:
【0027】
【化5】
によって同定される特定の発現配列タグ(EST)を除外する。
【0028】
第四の局面において、本発明は、全長マウスTLR7をコードする単離された核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従って、以下:(a)ストリンジェントな条件下で配列番号173に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズする、核酸分子であって、この核酸分子は、配列番号175に記載アミノ酸配列を有するマウスTLR7をコードする、核酸分子;(b)遺伝暗号の縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる、核酸分子;ならびに(c)(a)または(b)の相補体、からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される。特定の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号175をコードし、ここで、配列番号175は、全長マウスTLR7の推定アミノ酸配列を示す。いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号173または配列番号174のヌクレオチド配列を含み、ここで、これらは、それぞれ、マウスTLR7の全長cDNAおよびオープンリーディングフレームに対応する。
【0029】
第五の局面において、本発明は、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供する。単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号175のアミノ酸
【0030】
【化6】
からなる群より選択されるマウスTLR7の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、このTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、マウスTLR7の少なくとも1つのアミノ酸以外はヒトTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントと同一であるアミノ酸配列を有する。
【0031】
特定の実施形態において、本発明のこの局面に従うTLR7ポリペプチドおよびそのフラグメントは、上記の特定の部位における1つ以上の保存的アミノ酸置換によってのみヒトTLR7およびそのフラグメントと異なる、これらのTLR7ポリペプチドおよびそのフラグメントを除外する。
【0032】
特定の実施形態において、ヒトTLR7は、配列番号170に記載アミノ酸配列を有する。
【0033】
好ましい実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号175および配列番号175のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。本発明のこの局面に従ういくつかの実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、上記のヒトTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR7ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0034】
特定の好ましい実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR7の細胞質外ドメインまたはその一部である。本発明のこの局面による特定の実施形態において、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントは、ISNA(CpG核酸であるISNAを含む)に選択的に結合する。本発明のこの局面によれば、CpG核酸のような免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの一部である、単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントもまた含まれる。特定の実施形態において、このような部分は、配列番号203、配列番号204、配列番号212、および配列番号213のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む。特定の実施形態において、免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの部分は、配列番号196、配列番号199、および配列番号200のいずれか1つに記載のCXXCモチーフを含む。
【0035】
本発明の第六の局面によれば、上記単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子が提供される。本発明のこの局面による、単離された核酸分子は、以下のGenBank登録番号によって同定される、特定のESTを特に排除する:
【0036】
【化7】
本発明の第七の局面において、本発明は、マウス全長TLR8をコードする、単離された核酸分子を提供する。本発明のこの局面によれば、以下からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される:(a)配列番号190に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、そして配列番号192に記載のアミノ酸配列を有するマウスTLR8をコードする、核酸分子;(b)遺伝コードの縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる核酸分子;および(c)(a)または(b)の相補体。特定の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号192をコードし、ここで配列番号192は、マウス全長TLR8の推定アミノ酸配列を表す。いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号190または配列番号191のヌクレオチド配列を含み、ここでこれらは、マウスTLR8の全長cDNAおよびオープンリーディングフレームにそれぞれ対応する。
【0037】
本発明は、第八の局面において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供する。単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号192のアミノ酸:
【0038】
【化8】
からなる群より選択されるマウスTLR8の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、TLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、このマウスTLR8の少なくとも1つのアミノ酸を除いて、ヒトTLR8ポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有する。
【0039】
特定の実施形態において、本発明によるTLR8ポリペプチドおよびそのフラグメントは、上記特定の部位において、1つ以上の保存的アミノ酸置換のみによって、ヒトTLR8およびそのフラグメントと異なる、TLR8ポリペプチドおよびそのフラグメントを排除する。
【0040】
特定の実施形態において、ヒトTLR8は、配列番号184に記載のアミノ酸配列を有する。
【0041】
好ましい実施形態において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号192および配列番号192のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。本発明のこの局面によるいくつかの実施形態において、単離されたTLR8ペプチドまたはそのフラグメントは、上記ヒトTLR8ポリペプチドとマウスTLR8ポリペプチドとの組み合わせを含む。
【0042】
特定の好ましい実施形態において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR8の細胞質外ドメインまたはその一部である。本発明のこの局面による特定の実施形態において、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントは、ISNA(CpG核酸であるISNAを含む)と特異的に結合する。本発明のこの局面によれば、CpG核酸のような免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの一部である、単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントもまた含まれる。特定の実施形態において、このような部分は、配列番号205、配列番号206、配列番号214、および配列番号215のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む。特定の実施形態において、免疫刺激核酸と相互作用すると本発明者らが考える細胞質外ドメインの部分は、配列番号196、配列番号201、および配列番号202のいずれか1つに記載のCXXCモチーフを含む。
【0043】
本発明の第九の局面によれば、上記単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子が提供される。本発明のこの局面による、単離された核酸分子は、以下のGenBank登録番号によって同定される、特定のESTを特に排除する:
【0044】
【化9】
さらなる局面において、本発明は、プロモーターに作動可能に結合した、上記単離された核酸分子を含む、TLR発現ベクターを提供する。従って、TLR9に関する特定の実施形態において、この発現ベクターは、プロモーターに作動可能に結合した、本発明の第一の局面または第三の局面による、単離された核酸分子を含む。TLR7に関する他の実施形態において、この発現ベクターは、プロモーターに作動可能に結合した、本発明の第四の局面または第六の局面による、単離された核酸分子を含む。TLR8に関するなお他の実施形態において、この発現ベクターは、プロモーターに作動可能に結合した、本発明の第七の局面または第九の局面による、単離された核酸分子を含む。
【0045】
本発明のこの局面による発現ベクターは、これらが適切な条件下で細胞に組み込まれる場合に、組み込まれた単離された核酸分子によってコードされる遺伝子産物の発現を指向するように、設計および構築される。例えば、プロモーターは、構成的に活性であり得るか、またはこのプロモーターは、適切な誘発因子化合物もしくは抑制因子化合物との相互作用の際に、誘導性または抑制性であり得る。
【0046】
別の局面によれば、本発明のTLR発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。任意の適切な方法が使用され得るが、発現ベクターは、代表的に、トランスフェクションまたは形質転換によって、細胞に導入される。TLR発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞は、いくつかの実施形態において、別のポリペプチドの発現のために有用な別の発現ベクターと、同時形質転換または同時トランスフェクトされる。あるいは、宿主細胞は、本発明のTLRポリペプチドまたはそのフラグメント、ならびに(i)少なくとも1つのさらなるTLRポリペプチドまたはそのフラグメント、あるいは(ii)少なくとも1つの非TLRポリペプチドまたはそのフラグメントの発現を指向し得る発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされ得る。特定の好ましい実施形態において、この宿主細胞は、TLR7 TLR8、およびTLR9の任意の組み合わせに対する別個の発現ベクターを含む。いくつかの実施形態において、同時形質転換または同時トランスフェクトされた発現ベクターは、TLR発現またはTLR関連シグナル伝達の検出または調節のために、有用であり得る。具体的には、特定の好ましい実施形態において、この宿主細胞は、TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物を提供する発現ベクターを含む。
【0047】
別の局面において、本発明は、本発明の単離されたTLRポリペプチドおよびそのフラグメントを選択的に結合する薬剤を提供する。特定の実施形態において、この薬剤は、ヒトTLRポリペプチドまたはそのフラグメントに結合せず、ここでヒトTLRは、TLR7、TLR8、およびTLR9から選択される。特定の実施形態において、この薬剤はポリペプチドであり、好ましくは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab’)2抗体フラグメント、Fv抗体フラグメント、CDR3領域を含む抗体フラグメント、および融合タンパク質、ならびに任意のこのような抗体または抗体フラグメントを含む、他のポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドである。
【0048】
上記単離された核酸分子を選択的に結合する薬剤もまた、提供され、この核酸分子は、好ましくは、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、上記単離された核酸分子のいずれ環選択的に結合する、アンチセンス核酸分子である。いくつかの実施形態において、この薬剤は、本発明の第一、第三、第四、第五、第六、および第八の局面のいずれかによって提供される単離された核酸分子に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子である。特定の好ましい実施形態において、この薬剤は、本発明の第一、第三、第四、第五、第六、および第八の局面のいずれかによって提供される単離された核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を有する、単離された核酸分子である。
【0049】
本発明のなお他の局面において、細胞においてTLR発現およびTLRシグナル伝達を阻害するための方法が、提供される。この方法は、この細胞を、この細胞におけるTLR発現およびTLRシグナル伝達を阻害するに効果的な量の薬剤と接触させる工程を包含し、ここで、このTLRは、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、この細胞と接触される薬剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab’)2抗体フラグメント、Fv抗体フラグメント、CDR3領域を含む抗体フラグメント、および融合タンパク質、ならびに任意のこのような抗体または抗体フラグメントを含む、他のポリペプチドからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、この細胞は、TLRに対して特異的なアンチセンス核酸と、この細胞におけるTLR発現を阻害するために効果的な量で接触される。いくつかの実施形態において、この細胞は、サイトカインまたは低分子のような薬剤と、この細胞におけるTLR発現を阻害するために効果的な量で接触される。
【0050】
なお別の局面において、本発明は、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントと相互作用する核酸分子を同定するための方法を提供する。この方法は、TLR7、TLR8、TLR9、およびその核酸結合フラグメントからなる群より選択されるTLRポリペプチドを、試験核酸分子と接触させる工程;ならびにこの試験核酸分子とTLRポリペプチドまたはそのフラグメントとの相互作用を測定する工程を包含する。TLRの核酸結合フラグメントは、好ましくは、細胞質外ドメインまたはそのサブ部分(例えば、少なくともMBDモチーフまたはCXXCモチーフ、あるいはMBDモチーフとCXXCモチーフとの両方を含むもの)を含む。
【0051】
TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR7である。同様に、TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR8である。また、TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR9である。
【0052】
TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法に関する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、細胞において発現される。TLRポリペプチドまたはそのフラグメントを発現する細胞は、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントを天然に発現し得るか、あるいは本発明の他の局面によって提供されるような宿主細胞であり得る。
【0053】
TLRポリペプチドおよびそのフラグメントの使用方法を包含する、本発明のこの局面および他の局面において、いくつかの実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、単離されたTLRポリペプチドまたはそのフラグメントである。特定の好ましい実施形態において、この単離されたTLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、固体支持体(例えば、マルチウェルプレート、スライド、BIAcoreチップ、ビーズ、カラムなど)に固定されている。この固定は、本発明の方法によって実施されるアッセイの目的に適切な、任意の化学的方法または物理的方法によって、達成され得る。
【0054】
特定の実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、抗体のFcフラグメントと融合している。このような融合分子のFcフラグメント部分は、例えば、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントを基質に付着させるため、あるいはTLRポリペプチドまたはそのフラグメントの存在を検出するための標的を提供するために、有用であり得る。Fcフラグメントは、任意の適切な脊椎動物種から選択され得、そして代表的に、IgGクラスの抗体に属する抗体由来であるが、このことは必須ではない。例えば、Fcは、ヒトFcγまたはマウスFcγであり得る。特定の実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントとFcフラグメントとの間の接合部またはその近くに特異的な切断部位を伴って、抗体のFcフラグメントと融合する。1つの好ましい実施形態において、この切断部位は、トロンビンプロテアーゼ認識部位である。好ましい実施形態において、Fcフラグメントと融合したTLRポリペプチドまたはそのフラグメントは、TLR細胞質外ドメインを含む。
【0055】
特定の実施形態において、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントおよび試験核酸分子が関与する相互作用は、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントと、試験核酸分子との間の結合である。
【0056】
本発明のこの局面による特定の実施形態において、この測定は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、生体分子相互作用アッセイ(BIA)、電気移動性シフトアッセイ(EMSA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、およびウェスタンブロットからなる群より選択される方法によって達成される。
【0057】
特定の実施形態において、この測定は、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程を包含する方法によって、達成される。例えば、TLRシグナル伝達毛色によって媒介される応答は、NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子の誘導、およびサイトカインの分泌からなる群より選択され得る。特定の好ましい実施形態において、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子は、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される。特定の好ましい実施形態において、分泌されるサイトカインは、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される。
【0058】
別の実施形態において、本発明のこの局面による方法は、試験核酸分子が免疫刺激性核酸であるか否かを決定するために使用され得る。この方法は、(a)試験核酸分子の存在下で測定される場合の、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)試験核酸分子の非存在下で測定される場合の、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答とを比較する工程;および(a)が(b)を超える場合に、この試験核酸分子が免疫刺激的核酸であると決定する工程を、さらに包含する。
【0059】
なお別の実施形態において、本発明のこの局面による方法は、試験核酸分子に対する応答が、参照核酸分子に対する応答より強いか弱いかを決定するために、使用され得る。この方法は、この応答を、TLRポリペプチドが参照核酸分子に独立して接触された場合の参照応答と比較する工程;およびこの応答が参照応答より強いか弱いかを決定する工程を、さらに包含する。この実施形態において、この試験核酸分子および参照核酸分子は、競合も相互作用も起こし得ない。例えば、参照応答は、並行コントロールまたは歴史的コントロールであり得る。
【0060】
別の実施形態において、この方法は、この応答を、TLRポリペプチドが参照核酸分子と並行的に接触される場合の参照応答と比較する工程;およびこの応答が参照応答より強いか弱いかを決定する工程を、さらに包含する。この実施形態において、試験核酸分子および参照核酸分子は、潜在的に、競合または相互作用し得る。なぜならこれらは、たとえば単一の反応において、両方が存在するからである。
【0061】
別の局面において、本発明は、免疫刺激的核酸を同定するためのスクリーニング方法を提供する。この局面による方法は、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験核酸分子と接触させる工程;この機能的TLRと試験核酸分子との間の相互作用の結果として発生する、試験核酸分子の存在下での、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在または非存在を決定する工程;およびTLRシグナル媒介経路によって媒介される応答の存在が検出される場合に、その試験核酸分子がISNAであると決定する工程を包含する。機能的TLRとは、リガンドと結合し得、そしてこの結合の結果として、少なくとも1つの工程またはさらなるポリペプチドが、このTLRシグナル伝達経路に関与する、TLRポリペプチドまたはそのフラグメントをいう。
【0062】
1つの実施形態において、本発明のこの局面による方法は、(a)機能的TLRと試験核酸分子との間の相互作用の結果として生じる、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)機能的TLRと参照ISNAとの間の相互作用の結果として生じる応答とを比較する、さらなる工程を包含する。本発明のこのスクリーニングアッセイおよび他のスクリーニングアッセイにおいて、好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、複数の試験核酸に対して実施される。特定の好ましい実施形態において、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、定量的に測定され、そしてTLRシグナル伝達経路によって媒介される、複数の試験核酸分子の各々に付随する応答は、機能的TLRと参照ISNAとの間の相互作用の結果として生じる応答と比較される。
【0063】
特定の好ましい実施形態において、複数の試験核酸分子のサブセットは、そのサブセットが、TLRシグナル伝達経路によって媒介される特異的応答を生じる能力に基づいて、選択される。例えば、特定の応答は、特定のサイトカインまたはサイトカインのパネル(例えば、Th1サイトカイン)の誘導、あるいは特定のサイトカインまたはサイトカインのパネル(例えば、Th2サイトカイン)の阻害であり得る。特定の応答は、特定のクラスまたはサブクラスの抗体、あるいは抗体のクラスまたはサブクラスのパネル(例えば、Th1関連抗体またはTh2関連抗体)の、誘導あるいは阻害であり得る。いくつかの実施形態における特異的応答は、特定の型の免疫細胞(例えば、B細胞、樹状細胞(DC)、およびナチュラルキラー(NK)細胞)の活性化または阻害であり得る。いくつかの実施形態において、特異的応答は、特定の型の免疫細胞(例えば、B細胞、T細胞、NK細胞、樹状細胞、単球/マクロファージ)の増殖の誘導または阻害であり得る。従って、複数の試験核酸のサブセットは、このサブセットの試験核酸と、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の特定の型との間の、共通の関連に基づいて、選択される。TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の特定の型は、代表的に、免疫細胞応答であるが、このことは必須ではない。
【0064】
特定の実施形態において、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子の誘導、およびサイトカインの分泌からなる群より選択される。特定の好ましい実施形態において、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子は、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される。特定の好ましい実施形態において、サイトカインは、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される。
【0065】
特定の好ましい実施形態において、参照ISNAは、CpG核酸である。
【0066】
特定の好ましい実施形態において、試験核酸分子は、CpG核酸である。
【0067】
機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する本発明のこの局面および他の局面によれば、いくつかの実施形態において、この機能的TLRは、細胞において発現される。いくつかの実施形態において、この機能低TLRは、細胞によって天然に発現される。特定の好ましい実施形態において、この細胞は、機能的TLRを天然に発現する、単離された哺乳動物細胞である。細胞がTLRを天然に発現するのであっても、細胞が、プロモーターに作動可能に結合したTLRをコードする単離された核酸分子を有する、TLRを発現するベクターが、この細胞に導入されたことに起因して発現するのであっても、いくつかの実施形態において、この細胞はさらに、プロモーターに作動可能に連結した、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択されるレセプターをコードする単離された核酸分子を含む発現ベクターを、さらに含む。
【0068】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、この機能的TLRは、無細胞系の一部である。
【0069】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、この機能的TLRは、別のTLRとの複合体の一部である。特定の好ましい実施形態において、この複合体は、TLR9とTLR7との複合体である。特定の好ましい実施形態において、この複合体は、TLR9とTLR8との複合体である。
【0070】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、この機能的TLRは、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、NF−κB、ならびにその機能的ホモログおよび誘導体からなる群より選択される非TLRとの、複合体の一部である。
【0071】
さらに、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子の誘導、およびサイトカインの分泌からなる群より選択される。
【0072】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、NF−κBプロモーターの制御下にある遺伝子は、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される。
【0073】
また、機能的TLRがスクリーニングアッセイに関与する、本発明のこの局面および他の局面によれば、特定の実施形態において、分泌されるサイトカインは、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される。
【0074】
さらなる局面において、本発明は、試験化合物のTLRシグナル伝達活性を、ISNAと比較するための、スクリーニング方法を提供する。この方法は、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、参照ISNAと接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される参照応答を検出する工程;TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験化合物と接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される参照応答を検出する工程;ならびにこの試験応答を参照応答と比較して、試験化合物のTLRシグナル伝達活性をISNAと比較する工程を包含する。
【0075】
本発明のこの局面による特定の実施形態において、参照ISNAは、CpG核酸である。
【0076】
本発明のこの局面による特定の実施形態において、試験化合物は、ポリペプチドである。特定の実施形態において、試験化合物は、化合物のコンビナトリアルライブラリーの一部である。
【0077】
特定の実施形態において、機能的TLRは、参照ISNAおよび試験化合物と、独立して接触される。従って、特定の実施形態において、このスクリーニング方法は、ISNA模倣物を同定するための方法であり、そして試験応答が、参照ISNAを用いて得られた参照応答と類似している場合には、その試験化合物はISNA模倣物であると決定される。試験応答と参照応答とが、定量的に類似しない場合でさえも、定性的に類似である場合に、試験応答は、参照応答に類似である。従って、例えば、試験応答および参照応答は、両方の応答がTh−1様免疫応答の誘導を含む場合に、類似であるとみなされる。試験応答は、参照応答より定性的に低いか、およそ同じであるか、またはより大きくあり得る。
【0078】
特定の他の実施形態において、機能的TLRは、参照ISNAおよび試験化合物と接触されて、TLRシグナル伝達経路によって媒介される試験−参照応答を連続的に発生させ、ここで、試験−参照応答は、参照応答と比較され得る。特定の好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、ISNAアゴニストを同定するための方法であり、ここで、試験−参照応答が参照応答より大きい場合には、その試験化合物は、ISNAアゴニストである。特定の好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、ISNAアンタゴニストを同定するための方法であり、ここで、試験−参照応答が参照応答より小さい場合には、その試験化合物は、ISNAアンタゴニストである。
【0079】
さらなる局面において、本発明は、ISNAに特異的な種を同定するためのスクリーニング方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される、第一種の機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される、第二種の機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程;第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程;ならびに(a)第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させるに関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答とを比較する工程を包含する。好ましい実施形態において、第一種のTLRは、第二種のTLRに対応する。例えば、第一種のTLRは、ヒトTLR9であり、そして第二種のTLRは、マウスTLR9である。特定の実施形態において、機能的TLRは、先に記載されたように、細胞において発現されても、無細胞系の一部であっても、別のTLRまたは非TLRタンパク質との複合体の一部であってもよい。
【0080】
なお別の局面において、本発明は、TLR9シグナル伝達活性に関連する疾患の処置において有用な、薬理学的薬剤のためのリード化合物を同定するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の第二の局面において提供されたような、TLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントを含む細胞を提供する工程;候補薬理学的薬物の非存在下では、第一の量のTLR9シグナル伝達活性を引き起こす条件下で、この細胞を候補薬理学的薬剤と接触させる工程;ならびにTLR9シグナル伝達活性に対する薬理学的薬剤の影響の測定値として、TLR9シグナル伝達活性の第二の量を決定する工程であって、ここで、第一の量より少ない、第二の量のTLR9シグナル伝達活性は、その候補薬理学的薬物が、TLR9シグナル伝達活性を減少させる薬理学的薬剤のためのリード化合物であること、および第一の量より多い、第二の量のTLR9シグナル伝達活性は、その候補薬理学的薬物が、TLR9シグナル伝達活性を増加させる薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを決定する工程を、包含する。
【0081】
本発明のこれらおよび他の局面を、以下にさらに詳細に記載する。
【0082】
(選択した配列の簡単な説明)
配列番号1は、マウスTLR9のcDNAをコードするヌクレオチド配列である。
【0083】
配列番号2は、マウスTLR9のコード領域をコードするヌクレオチド配列である。
【0084】
配列番号3は、配列番号1によってコードされるマウスTLR9のアミノ酸配列である。
【0085】
配列番号173は、マウスTLR7のcDNAをコードするヌクレオチド配列である。
【0086】
配列番号174は、マウスTLR7のコード領域をコードするヌクレオチド配列である。
【0087】
配列番号175は、配列番号173によりコードされるマウスTLR7のアミノ酸配列である。
【0088】
配列番号190は、マウスTLR8のcDNAをコードするヌクレオチド配列である。
【0089】
配列番号191は、マウスTLR8のコード領域をコードするヌクレオチド配列である。
【0090】
配列番号192は、配列番号190によってコードされるマウスTLR8のアミノ酸配列である。
【0091】
(発明の詳細な説明)
1つの局面において、本発明は、マウスTLR9(本明細書中でマウス(murine)TLR9と称され、mTLR9と同等である)をコードするcDNAの同定を包含する。マウスTLR9のcDNAのヌクレオチド配列は、配列番号1と示され、マウスTLR9のcDNAのコード領域は、配列番号2と示され、そしてマウスTLR9のアミノ酸配列は、配列番号3と示される。密接に関連したヒトTLR9(hTLR9と同等)は、GenBankに、登録番号AF245704およびNM 017742として寄託された。
【0092】
配列番号1と示されるマウスTLR9のcDNAのヌクレオチド配列は、3200ヌクレオチド長であり、そして配列番号2と示されるオープンリーディングフレーム(ORF、塩基40〜3135)(これは、3096ヌクレオチドにわたる(停止コドンを除く))を含む。配列番号3と示されるマウスTLR9のアミノ酸配列は、1032アミノ酸(aa)長であり、細胞外ドメイン(aa 1〜819)、膜貫通ドメイン(aa 820〜837)、および細胞内ドメイン(aa 838〜1032)を含むと考えられる。
【0093】
従って、ヒトTLR9のアミノ酸配列(配列番号6)およびマウスTLR9のアミノ酸配列(配列番号3)の両方は、1032アミノ酸長である。マウスおよびヒトのTLR9分子の整列されたアミノ酸配列の比較により、マウスTLR9のaa 435における一塩基挿入およびヒトTLR9のaa 860における一塩基挿入が明らかとなる(以下の表4を参照のこと)。
【0094】
本明細書中で示されるポリペプチドの多くはヒトTLR9と同一であるが、マウスTLR9はいくつかの単一アミノ酸の差異を有する。これらのアミノ酸の差異は、特に、以下の配列番号3のアミノ酸である:
【0095】
【化10】
いくつかの形態において、マウスタンパク質mTLR9は、N末端にシグナル配列(アミノ酸1〜26)を含み、このシグナル配列は、小胞体へ、続く細胞表面または細胞内成分への輸送を可能にする。膜貫通領域(アミノ酸820〜837)は、このタンパク質を細胞膜に固定する。細胞質テールは、Toll/IL−1レセプター(TIR)相同性ドメインを含み、このドメインは、リガンドが結合すると、シグナル伝達の機能を果たすと考えられる。ロイシンリッチ反復(LRR)は、細胞外領域で見出され得(TLRの共通の特徴)、そしてリガンド結合または分子の二量化に関与し得る。
【0096】
マウスTLR9およびヒトTLR9の両方は、他のTLRと比較して、約180アミノ酸のN末端伸長を有する。挿入物はまた、アミノ酸253〜268で生じ、これはTLR1〜6では見出されず、ヒトTLR7およびヒトTLR8に存在する(図26を参照のこと)。この挿入は、CXXCドメインの形成に関与する2つのCXXCモチーフを有する。このCXXCドメインは、ジンクフィンガーモチーフと類似しており、そしてDNA結合タンパク質および特定の特異的CpG結合タンパク質(例えば、メチル−CpG結合タンパク質−1(MBD−1))において見出される。Fujita Nら、Mol Cell Biol 20:5107−5118(2000)。ヒトTLR9 CXXCドメインおよびマウスTLR9 CXXCドメインの両方は、aa 253〜368で生じる。
【0097】
【化11】
CpG結合に関与するさらなるモチーフは、MBDモチーフであり、これもまた、配列番号125として以下に列挙されるMBD−1において見出される。Fujita,Nら、Mol Cell Biol 20:5107−18(2000);Ohki Iら、EMBO J 18:6653−6661(1999)。hTLR9のアミノ酸524〜554およびmTLR9のaa 525〜555は、以下に示されるMBD−1のMBDモチーフに対応する:
【0098】
【化12】
MBD−1およびTLR9のシグナル伝達機能は非常に異なるが、コアD−X−YはCpG結合に関与し、そして保存される。MBDモチーフのC末端オクタマーS−XXXXXX−Yは、結合に関与し得ず、SはLR9によって保存されない。他のミスマッチは、高度に保存されるかまたは中程度に保存される;例えば、RからKまたはRからQ。これらの変化は、MBD−1をメチル−CpGバインダーとして説明し得、そしてTLR9を非メチル−CpGバインダーとして説明し得る。マウスTLR9とヒトTLR9との間の差異は、CpGモチーフ配列の選択性における種間の差異を説明し得る。種間の配列選択性については、図14を参照のこと。
【0099】
以下の実施例11において議論され、そして図22および23に示されるように、MBDモチーフのD−X−Yコアは、mTLR9(aa 535〜537)およびhTLR9(aa 534〜536)の両方において、D−L−Yとして生じる。D−X−YコアにおけるDのAでの置換およびYのAでの置換は、D−L−Yの代わりにA−L−Aを生じ、この置換は、mTLR9およびhTLR9のレセプター活性を同様に破壊する。
【0100】
1つの局面において、本発明はマウスTLR9の核酸およびポリペプチド、ならびにそれに関連する治療剤を包含する。本発明はまた、上記の核酸およびポリペプチドの、単離された機能的に等価な改変体、有用なアナログおよびフラグメント;上記の核酸の相補体;ならびに上記の核酸およびポリペプチドに選択的に結合する分子に関する。
【0101】
本発明のマウスTLR9核酸およびマウスTLR9ポリペプチドは単離される。本明細書中で核酸に関して使用する場合、用語「単離された」とは、以下を意味する:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、インビトロで増幅されていること;(ii)クローニングによって組換え生成されていること;(iii)例えば、切断およびゲル分離によって精製されていること;または(iv)例えば、化学合成によって合成されること。単離された核酸は、当該分野で周知の組換えDNA技術によって、容易に操作される核酸である。従って、5’および3’制限部位が既知であるかまたはPCRプライマー配列が開示されたベクターに含まれるヌクレオチド配列は、単離されたとみなされるが、天然の宿主におけるそのネイティブな状態で存在する核酸配列は、単離されたとみなされない。単離された核酸は、実質的に精製され得るが、その必要はない。例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内の単離された核酸は、この核酸が存在する細胞において極わずかな割合の物質を含み得るという点で、純粋ではない。しかし、このような核酸は当業者に公知の標準的な技術によって容易に使用されるため、この用語が本明細書中で使用される場合、この核酸は単離されている。本明細書中で使用されるような単離された核酸は、天然に存在する染色体ではない。
【0102】
ポリペプチドに関して本明細書中で使用する場合、「単離された」とは、その天然の環境から単離され、そしてその同定または使用を可能にするのに充分な質で存在することを意味する。タンパク質またはポリペプチドを言及する場合、単離されたとは、例えば、以下を意味する:(i)発現クローニングによって選択的に生成されること;または(ii)例えば、クロマトグラフィーまたは電気泳動によって精製されること。単離されたタンパク質またはポリペプチドは、実質的に純粋であり得るが、その必要はない。用語「実質的に純粋」とは、このタンパク質またはポリペプチドが、それらが天然の系またはインビボ系において共に見出され得る実質的に他の物質を、それらの意図する用途に実用的かつ適切な程度まで含まないことを意味する。実質的に純粋なポリペプチドは、当該分野で周知の技術によって生成され得る。単離されたタンパク質は、薬剤調製において薬学的に受容可能なキャリアと混合され得るため、このタンパク質は、少ない重量%の調製物のみを含み得る。それにもかかわらずこのタンパク質は、このタンパク質が生きた系で会合し得る物質から分離されているという点で単離されている(すなわち、他のタンパク質から単離されている)。
【0103】
本明細書中で使用する場合、マウスTLR9核酸とは、マウスTLR9ポリペプチドをコードする単離された核酸分子をいう。このような核酸分子は、配列番号3の配列を含むマウスTLR9ポリペプチドおよびそのフラグメントをコードする。核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列、配列番号2のヌクレオチド配列、ならびに遺伝コードの縮重に起因してコドン配列においてこの配列番号1および配列番号2の配列と異なるヌクレオチド配列を含む。本発明のTLR9核酸はまた、上記の核酸の対立遺伝子、および上記の核酸のフラグメントを含む。このようなフラグメントは、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおけるプローブとして、およびポリメラーゼ連鎖反応におけるプライマーとして使用され得る。好ましいマウスTLR9核酸は、配列番号1および配列番号2の核酸配列を含む。上記の核酸の相補体もまた、本発明によって包含される。
【0104】
本明細書中で使用する場合、マウスTLR9核酸またはマウスTLR9ポリペプチドはまた、マウスTLR9のホモログおよび対立遺伝子を包含する。一般的に、ホモログおよび対立遺伝子は、代表的に、それぞれ、特定された核酸およびポリペプチドの配列に対して、少なくとも40%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも50%のアミノ酸同一性を共有する。従って、マウスTLR9のホモログおよび対立遺伝子は、代表的に、それぞれ、マウスTLR9核酸およびTLR9ポリペプチドの配列に対して、少なくとも40%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも50%のアミノ酸同一性を共有する。いくつかの例において、ホモログおよび対立遺伝子は、少なくとも50%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも65%のアミノ酸同一性を共有し、さらに他の例において、少なくとも60%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも75%のアミノ酸同一性を共有する。好ましくは、このホモログおよび対立遺伝子は、少なくとも80%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも90%のアミノ酸同一性を共有し、さらに好ましくは、少なくとも90%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも95%のアミノ酸同一性を共有する。最も好ましくは、このホモログおよび対立遺伝子は、少なくとも95%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも99%のアミノ酸同一性を共有する。同一性は、National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda,Maryland)により開発された種々の公的に利用可能なソフトウエアツール(これは、インターネット(ftp:/ncbi.nlm.nih.gov./pub/)を介して得られ得る)を使用して計算され得る。代表的なツールとしては、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能な、デフォルト設定で使用されるBLASTシステムが挙げられる。PairwiseおよびClustalW整列(BLOSUM30マトリクス設定)ならびにKyte−Doolittleヒドロパシー分析は、例えば、MacVector配列分析ソフトウエア(Oxford Molecular Group)を使用して得られ得る。上記の核酸のWatson−Crick相補体もまた、本発明によって包含される。
【0105】
本発明のマウスTLR9核酸の対立遺伝子は、従来の技術によって同定され得る。例えば、マウスTLR9の対立遺伝子は、少なくとも配列番号1または配列番号2のフラグメントを含むプローブを、ストリンジェントな条件下で、cDNAライブラリにハイブリダイズし、そして陽性クローンを選択することによって、単離され得る。従って、本発明の局面は、マウスTLR9ポリペプチドをコードし、配列番号1または配列番号2からなる核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列である。
【0106】
マウスTLR核酸のスクリーニングにおいて、サザンブロットは、放射性プローブと共に、上記のストリンジェントな条件を使用して実施され得る。DNAが最終的に移される膜を洗浄した後、この膜をX線フィルムに接して配置して、放射性シグナルを検出する。対応する非放射性方法もまた、当該分野で周知であり、類似の効果を得るために使用され得る。
【0107】
本発明のマウスTLR核酸はまた、天然の物質に存在する核酸に対する代替のコドンを含む縮重核酸を含む。例えば、セリン残基は、コドンAGC、AGTおよびTCA、TCC、TCGおよびTCTによりコードされる。この6個のコドンの各々は、セリン残基をコードする目的に対して等価である。従って、このセリンコードヌクレオチドトリプレットのいずれかは、タンパク質合成器をインビトロまたはインビボで指向して、セリン残基を伸長しているマウスTLRポリペプチドに組み込むために使用され得ることが、当業者に明らかである。同様に、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CCA、CCC、CCGおよびCCT(プロリンコドン);CGA、CGC、CGG、CGT、AGAおよびAGG(アルギニンコドン);ACA、ACC、ADGおよびACT(スレオニンコドン);AACおよびAAT(アスパラギンコドン);ならびにATA、ATCおよびATT(イソロイシンコドン)。当業者に周知のように、他の特定のアミノ酸残基も同様に、複数のヌクレオチド配列によってコードされ得る。従って、本発明は、遺伝コードの縮重に起因して、コドン配列において生物学的に単離された核酸とは異なる縮重核酸を包含する。それにもかかわらず、特定の宿主生物における特定のコドンの使用の優先度があることが、当業者によって十分に理解されており、その結果、実施において、上記のコドン縮重は、特定の宿主における特定の縮重コドンを選択するためまたは回避するために好ましくあり得る。
【0108】
本発明はまた、1つ以上のヌクレオチドの付加、置換および欠失を含む改変された核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従う改変された核酸分子は、完全にネイティブなヒトTLR9核酸分子(GenBank登録番号AF245704(配列番号4)およびGenBank登録番号NM 017442(配列番号5))を排除する。好ましい実施形態において、これらの改変されていない核酸分子および/またはこれらがコードするポリペプチドは、この改変された核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1つの活性または機能(例えば、シグナル伝達活性など)を保持する。特定の実施形態において、この改変された核酸分子は、改変されたポリペプチド、好ましくは、本明細書中のいずれかの場所に記載されるような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。この改変された核酸分子は、改変されていない核酸分子と構造的に関連しており、そして好ましい実施形態において、改変されていない核酸分子と十分に構造的に関連しており、その結果、この改変された核酸分子および改変されていない核酸分子は、当業者に公知のストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
【0109】
例えば、単一アミノ酸の変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子が調製され得る。これらの核酸分子の各々は、本明細書中に記載されるような遺伝コードの縮重に対応するヌクレオチド変化を除いて、1,2または3個のヌクレオチド置換を有し得る。同様に、2アミノ酸の変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子が調製され得、これは例えば、2〜6ヌクレオチドの変化を有する。これらのような多数の改変された核酸分子は、当業者によって容易に想定され、例えば、アミノ酸2および3、2および4、2および5、2および6などをコードするコドンにおけるヌクレオチドの置換を含む。上記の例において、2つのアミノ酸の各組み合わせは、改変された核酸分子のセット、ならびにこのアミノ酸置換をコードする全てのヌクレオチド置換に含まれる。さらなる置換(すなわち3以上)、付加または欠失を有する(例えば、停止コドンまたはスプライス部位の導入による)を有するポリペプチドをコードするさらなる核酸分子がまた調製され得、そして当業者によって容易に想定されるように、本発明により包含される。任意の上記の核酸またはポリペプチドは、慣用的な実験によって、本明細書中で開示される核酸および/またはポリペプチドに対する構造的環系または活性の保持について試験され得る。
【0110】
本発明はまた、配列番号1および配列番号2の単離されたフラグメントを提供する。このフラグメントは、このような核酸を同定するためにサザンブロットアッセイのプローブとして使用され得るか、またはこのフラグメントは、PCRを使用するアッセイのような増幅アッセイにおいて使用され得る。より小さなフラグメントは、12、13、14、15、16、17、18、20、22、25、30、40、50、または75個のヌクレオチド、およびそれらの間の全ての整数のヌクレオチドを含む、フラグメントであり、そして例えば、核酸増幅手順のためのプライマーとして有用である。当業者に公知であるように、より大きなプローブ(例えば、200、250、300、400またはそれより多くのヌクレオチド)は、特定の使用(例えば、サザンブロット)のために好ましいが、より小さなフラグメントは、PCRのような使用のために好ましい。フラグメントをまた使用して、抗体を産生するためのポリペプチドフラグメントまたは結合を決定するための融合タンパク質を産生し得る。同様に、フラグメントを使用して、例えば、抗体の調製、免疫アッセイなどに有用なマウスTLR9ポリペプチドの非融合フラグメントを産生し得る。上記の核酸フラグメントをアンチセンス分子としてさらに使用して、特に以下でより詳細に記載されるような治療目的のために、マウスTLR9核酸およびポリペプチドの発現を阻害し得る。
【0111】
本発明はまた、マウスTLR9の機能的に等価な改変体を含み、これには、マウスTLR9の1つ以上の機能特性を保持する、改変体核酸および改変体ポリペプチドが挙げられる。好ましくは、このような改変体は、マウス特異的N末端ドメイン(例えば、配列番号3のアミノ酸1〜819またはアミノ酸1〜837)を含む。例えば、改変体は、マウスTLR9の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(すなわち、アミノ酸1〜837)を含む融合タンパク質を含み、これは、インタクトなマウスTLR9と同様の様式で、細胞外分子と相互作用する能力を保持する。代替の改変体は、例えば、マウスTLR9の細胞質ドメイン(すなわち、アミノ酸838〜1032)を含む融合タンパク質を含み、これは、インタクトなマウスTLR9と同様の様式で、細胞内分子と相互作用する能力を保持する。さらに他の機能的に等価な改変体は、配列番号3の配列に対する、アミノ酸の短縮、欠失、点変異、または付加を含み、これは、配列番号3の機能を保持する。例えば、FLAGペプチド配列(DYKDDDDK)が、N末端に付加され得るか、または緑色蛍光タンパク質(GFP)が、C末端に付加され得る。全てのこのような付加改変体ポリペプチドは、好ましくは、、適切なリーディングフレームを維持したままこれらの配列に付加された対応する適切なコード核酸配列を有する、配列番号1または配列番号2に基づく改変された核酸を翻訳することによって作製され得る。
【0112】
機能的に等価な改変体はまた、除去されるか、または別のTLR由来の類似ドメインによって置換される部分(例えば、N末端の部分)を有するマウスTLR9(例えば、「ドメインスワッピング(domain−swapping)改変体」)を含む。このようなドメインスワッピング改変体の例としては、以下の少なくとも2つの型が挙げられる:ある種由来のTLR9ドメインを別の種由来のTLR9ドメインでスワッピングすることを含む改変体、およびTLR9由来のTLRドメインを別のTLR由来のTLRドメインでスワッピングすることを含む改変体。特定の好ましい実施形態において、このスワッピングは、異なるTLR分子間での対応するドメインを含む。特定のこのようなドメインスワッピング改変体は、特定のドメインスワッピング改変体が誘導されるインタクトな親TLR分子のいずれかまたは両方よりも、これらの改変体が優れた様式で機能し得る範囲で、文字通り機能的に等価ではない。例えば、ヒトTLR9によって媒介されるTLR/IL−1Rシグナル伝達は、CpG ODNと相互作用するこの細胞外ドメインの能力ではなく、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路に関与するこの細胞質ドメインの能力に限定され得る。このような状況において、別の種由来のTLR9に由来する、より強力な細胞質ドメインで置換することは、利点がある。このようなドメインスワッピング改変体(例えば、キメラhTLR9/mRLR9)をCpG免疫アゴニスト/アンタゴニストのためのスクリーニングアッセイにおいて使用して、種特異性を変えることなく、このアッセイの感度を増強し得る。
【0113】
他の機能的に等価な改変体は、このような改変体を調製するための方法として、当業者に公知である。機能的に等価な改変体の活性は、本明細書ならびに他のTLRおよび他の種のTLRを使用するアッセイを記載した参考文献において、提供される方法を使用して決定され得る。このような改変体は、マウスTLR9に結合し、そして/またはマウスTLRαのシグナル伝達機能を調節する化合物の同定のためのアッセイにおいて、薬物の生体適合性を評価するために、ならびにシグナル伝達活性のために必要とされるマウスTLR9の部分を決定するために、特に有用である。
【0114】
非機能的である改変体がまた、上記のように調製され得る。このような改変体は、例えば、TLR9シグナル伝達活性を試験する実験においてネガティブコントロールとして有用である。非機能的な改変体の例としては、シグナル伝達に関してmTLR9とhTLR9との両方を非機能的にする、aa915のプロリンのヒスチジンへの変異(P915H)を取り込む改変体が挙げられる。非機能的な改変体のさらなる例としては、上記のように、CpG DNA結合に関してmTLR9とhTLR9との両方を非機能的にする、MBDモチーフのD−X−YコアのA−L−Aへの変異を取り込む改変体が挙げられる。
【0115】
一つの実施形態において、マウスTLR9核酸は、真核生物細胞または原核生物細胞内のマウスTLR9核酸の発現を指向し得る遺伝子発現配列に作動可能に連結される。「遺伝子発現配列」は、任意の調節ヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列またはプロモーターエンハンサーの組み合わせ)であり、これは、作動可能に連結される核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする。マウスTLR9核酸に関して、「遺伝子発現配列」は、任意の調節ヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列またはプロモーターエンハンサーの組み合わせ)であり、これは、作動可能に連結されるマウスTLR9核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする。例えば、遺伝子発現配列は、哺乳動物またはウイルスのプロモーター(例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター)であり得る。哺乳動物の構成的プロモーターとしては、限定されないが、以下の遺伝子のプロモーターが挙げられる:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルベートキナーゼ、β−アクチンプロモーター、および他の構成的プロモーター。真核生物細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターとしては、例えば、シミアンウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、モロニーマウス白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長末端反復(LTR)由来のプロモーター、ならびに単純疱疹ウイルスのチミジンキナーゼ(TK)プロモーターが挙げられる。他の構成的プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターはまた、誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現される。例えば、メタロチオネン(MT)プロモーターを誘導して、特定の金属イオンの存在下で転写および翻訳を促進する。他の誘導性プロモーターは、当業者に公知である。
【0116】
一般に、遺伝子発現配列は、必要な場合、それぞれ、転写および翻訳の開始に関与する、5’非転写配列および5’非翻訳配列(例えば、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列など)を含む。特に、このような5’非転写配列は、作動可能に結合されたマウスTLR9核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含有するプロモーター領域を含む。この遺伝子発現配列は、所望の場合、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を必要に応じて含む。
【0117】
一般に、核酸コード配列および遺伝子発現配列は、これらの配列が、遺伝子発現配列の影響または制御下で、核酸コード配列の転写および/または翻訳を引き起こすように共有結合される場合、「作動可能に連結された」といわれる。従って、マウスTLR9核酸配列および遺伝子発現配列は、これらの配列が、遺伝子発現配列の影響または制御下で、マウスTLR9コード配列の転写および/または翻訳を引き起こすように共有結合される場合、「作動可能に連結された」といわれる。マウスTLR9配列が、機能的タンパク質に翻訳されることが所望される場合、2つのDNA配列は、以下の場合に、作動可動に連結されるといわれる:5’遺伝子発現配列におけるプロモーターの誘導が、マウスTLR9配列の転写により生じる場合、ならびにこの2つのDNA配列の間の連結の性質が、(1)フレームシフト変異の導入を生じないか、(2)プロモーター領域の、マウスTLR9配列の転写に関与する能力に干渉しないか、または(3)対応するRNA転写物の、タンパク質に翻訳される能力に干渉しない場合。従って、遺伝子発現配列が、マウスTLR9核酸配列の転写に影響を与え得、その結果、得られた転写物が、所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得る場合、この遺伝子発現配列は、マウスTLR9核酸配列に作動可能に連結される。
【0118】
本発明のマウスTLR9核酸分子およびマウスTLR9ポリペプチド(以下に記載されるマウスTLR9インヒビターを含む)は、真核生物または原核生物の細胞に、単独でまたはベクターと組み合わせて送達され得る。その最も幅広い意味で、「ベクター」は、以下を促進し得る任意のビヒクルである:(1)核酸またはポリペプチドの標的細胞への送達、(2)標的細胞による、核酸もしくはポリペプチドの取り込み、または(3)標的細胞中での核酸分子もしくはポリペプチドの発現。この特定の設定において、「ベクター」は、以下を促進し得る任意のビヒクルである:(1)マウスTLR9核酸またはポリペプチドの標的細胞への送達、(2)標的細胞によるマウスTLR9核酸もしくはポリペプチドの取り込み、または(3)標的細胞中でのマウスTLR9核酸分子もしくはポリペプチドの発現。好ましくは、このベクターは、マウスTLR9核酸またはポリペプチドを標的細胞に輸送し、このベクターの非存在下で生じる分解の程度と比較して分解が減少する。必要に応じて、「標的化リガンド」は、その標的化リガンドに対する同族レセプター(例えば、レセプター、抗体によって認識される抗原)を、その表面上で発現する細胞にベクターを選択的に送達するために、ベクターに付着され得る。この様式において、このベクター(マウスTLR9核酸またはマウスTLR9ポリペプチドを含む)が、特定の細胞に選択的に送達され得る。一般に、本発明において有用なベクターは、2種のクラスに分類される:生物学的ベクターおよび化学的/物理学的ベクター。生物学的ベクターは、標的細胞へのマウスTLR9核酸の送達/標的細胞によるマウスTLR9核酸の取り込みのためにより有用である。化学的/物理学的ベクターは、標的細胞へのマウスTLR9核酸もしくはマウスTLR9タンパク質の送達/標的細胞によるマウスTLR9核酸もしくはマウスTLR9タンパク質の取り込みのためにより有用である。
【0119】
生物学的ベクターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:プラスミド、ファージミド、ウイルス、本発明の核酸配列の挿入または取り込みによって操作されたウイルス供給源または細菌供給源由来の他のビヒクル、ならびに本発明の核酸配列に連結され得る遊離の核酸フラグメント。ウイルスベクターは、生物学的ベクターの好ましい型であり、これらとしては、以下のウイルス由来の核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない:レトロウイルス(例えば、Moloneyマウス白血病ウイルス);Harveyマウス肉腫ウイルス;マウス乳腺癌ウイルス;ラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス;アデノ随伴ウイルス;S40型ウイルス;ポリオーマウイルス;ポックスウイルス;Epstein−Barrウイルス;パピローマウイルス;疱疹ウイルス;ワクシニアウイルス;およびポリオウイルス。指定されていないが、当該分野で公知である、他のベクターを容易に使用し得る。
【0120】
好ましいウイルスベクターは、本質的でない遺伝子が目的の遺伝子で置換された、非細胞障害性の真核生物ウイルスに基づく。非細胞障害性のウイルスとしては、レトロウイルスが挙げられ、このウイルスのライフサイクルは、引き続くプロウイルスの宿主細胞DNAへの組込みを伴う、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写を含む。一般に、このレトロウイルスは、複製欠損性である(すなわち、所望のタンパク質の合成を指向し得るが、感染性粒子を製造し得ない)。このような遺伝子的に改変されたレトロウイルス発現ベクターは、インビボにおいて、高い効率で遺伝子を形質導入するための一般的な有用性を有する。複製欠損性のレトロウイルスを生成するための標準的なプロトコール(外因性遺伝物質をプラスミドに組み込む工程、プラスミドを用いたパッケージング細胞株のトランスフェクション、パッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの生成、組織培養培地からのウイルス粒子の採取、およびウイルス粒子を用いた標的細胞の感染を含む)は、Kriegler,M.,「Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual」,W.H.Freeman Co.,New York(1990)およびMurray,E.J.編,「Methods in Molecular Biology」,第7巻,Humana Press,Inc.,Clifton,New Jersey(1991)に提供される。
【0121】
特定の適用のための別の好ましいウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、二重鎖DNAウイルスである。このAAVを、複製欠損性となるように操作し得、そして広範囲の細胞型および種を感染し得る。AAVは、熱安定性および脂質溶媒安定性;多様な系統の細胞における高い形質転換頻度;および重感染阻害の欠如のような利点をさらに有し、これにより、複数の系の形質導入を可能にする。報告により、AAVは、部位特異的様式で、ヒト細胞DNAに一体化し得、これにより、挿入性突然変異誘発の可能性および挿入された遺伝子の発現の変動性を最小にする。さらに、野生型AAV感染を、選択圧の非存在下において100継代より多く組織培養物中で続ける。これは、AAVゲノム組み込みが比較的安定な事象であることを意味する。AAVはまた、染色体外の様式で機能し得る。
【0122】
発現に必要なエレメントの全てを含む発現ベクターは、市販されており、そして当業者に公知である。例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら編,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989を参照のこと。細胞は、マウスTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは改変体をコードする異種DNA(RNA)の細胞への導入によって遺伝子操作される。この異種DNA(RNA)は、宿主細胞中で異種DNAの発現を可能にするために、転写エレメントの作動可能な制御下に配置される。
【0123】
哺乳動物細胞におけるmRNAの発現のための好ましい系は、G418耐性を与える遺伝子のような選択可能なマーカー(これは、安定的にトランスフェクトされた細胞株の選択を容易にするマーカー)およびヒトCMVエンハンサープロモーター配列を含む、pRc/CMV(Invitrogen,Carlsbad,CAから入手可能)のような系である。さらに、pCEP4ベクター(Invitrogen)が、霊長類またはイヌの細胞株における発現に適切であり、このpCEP4ベクターは、Epstein Barrウイルス(EBV)複製起点(マルチコピー染色体外エレメントとしてプラスミドの維持を促進する)を含む。別の発現ベクターは、ポリペプチド伸長因子1αのプロモーターを含むpEF−BOSプラスミド(これは、インビトロでの転写を効率的に刺激する)である。このプラスミドは、MishizumaおよびNagata(Nucleic Acid Res 18:5322(1999))に記載され、そしてトランスフェクション実験におけるその使用は、例えば、Demoulin(Mol Cell Biol 16:4710−4716(1996))によって開示されている。さらに別の好ましい発現ベクターは、Stratford−Perricaudetによって記載されるアデノウイルス(これは、E1タンパク質およびE3タンパク質を欠く)である(J Clin Invest 90:626−630(1992))。
【0124】
生物学的ベクターに加えて、化学的/物理学的ベクターは、標的細胞に核酸またはポリペプチドを送達するため、および標的細胞による取り込みを促進するために証され得る。本明細書中で使用される場合、「化学的/物理学的ベクター」は、細菌学的な供給源またはウイルス供給源から誘導される分子以外の、単離された核酸またはポリペプチドを細胞に送達し得る天然分子または合成分子をいう。マウスTLR9核酸またはポリペプチドに関して、本明細書中で使用される場合、「化学的/物理学的ベクター」は、細菌学的な供給源またはウイルス供給源から誘導される分子以外の、単離されたマウスTLR9核酸またはポリペプチドを細胞に送達し得る天然分子または合成分子をいう。
【0125】
本発明の好ましい化学的/物理学的ベクターは、コロイド状の分散系である。コロイド状の分散系としては、油中水乳濁液、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロまたはインビボでの送達ベクターとして有用である人工の膜小胞である。大きな単層小胞(LUV)(これは、0.2〜4.0μmのサイズの範囲である)が、大きな高分子をカプセル化し得ることが示されている。RNA、DNA、およびインタクトなビリオンは、水性内部にカプセル化され、そして生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem Sci 6:77(1981))。リポソームを有効な核酸移入ベクターとするために、以下の特徴の1つ以上が、存在すべきである:(1)生物学的な活性を保持したままでの、高効率での目的の核酸のカプセル化;(2)非標的細胞と比較して、標的細胞に対する優先的かつ実質的な結合;(3)標的細胞の細胞質への、高効率での小胞の水性内容物の送達;および(4)遺伝子情報の正確かつ効果的な発現。
【0126】
リポソームは、特定のリガンド(例えば、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、またはタンパク質)にリポソームを連結することによって、特定の組織に標的化され得る。リポソームを特定の細胞に標的化するのに有用であり得るリガンドは、特定の細胞または組織型に依存する。さらに、ベクターが核酸をカプセル化する場合、このベクターは、核酸標的化ペプチドに連結され得、これにより、このマウスTLR9核酸を宿主細胞の核に指向する。
【0127】
リポソームは、Gibco BRLから、例えば、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETMとして市販されており、これは、カチオン性脂質(例えば、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB))から形成される。リポソームを作製する方法は、当該分野で周知であり、そして多くの刊行物に記載されている。
【0128】
一般に、核酸、特に、マウスTLR9をコードする核酸の標的細胞による取り込みを促進するために使用され得る他の例示的な組成物としては、リン酸カリウムおよび細胞内輸送の他の化学的媒介物、微量注入組成物、エレクトロポレーション組成物ならびに相同組換え組成物(例えば、標的細胞の染色体内の予め選択した位置にマウスTLR9核酸を組み込むため)が挙げられる。
【0129】
本発明はまた、いわゆる発現キットを含み、これにより、技術者が所望の発現ベクターを調製するのを可能にする。このような発現キットは、上で議論したコード配列の少なくとも別々の部分を含む。所望される場合、必要とされる上に記載した配列が含まれる限り、他の成分が、添加され得る。
【0130】
本発明が、宿主細胞および細胞株をトランスフェクトするための発現ベクター中にマウスTLR9 cDNA配列の使用を含み、これらの宿主細胞および細胞株が、原核生物(例えば、E.coli)、または真核生物(例えば、293線維芽細胞(ATCC,CRL−1573)、MonoMac−6、THP−1、U927、CHO細胞、COS細胞、酵母の発現系および昆虫細胞中での組換えバキュロウイルスの発現)であることがまた理解される。例えば、ヒト、ブタ、ヤギ、霊長類、げっ歯類、モルモットなどの哺乳動物の細胞が、特に有用である。これらは、広範な種々の組織型であり得、そして初代細胞および細胞株を含む。この発現ベクターは、適切な配列(すなわち、上述の核酸)が、プロモーターに作動可能に連結されることを必要とする。
【0131】
本発明はまた、単離されたマウスTLR9ポリペプチドを提供し、このマウスTLR9ポリペプチドは、上記のTLR9核酸によってコードされた、配列番号3のアミノ酸配列およびそのフラグメントを含む。マウスTLR9ポリペプチドはまた、このようなポリペプチドがTLR9活性を維持する場合、対立遺伝子、機能的に等価な改変体およびアナログ(開示されたマウスTLR9ポリペプチド由来のアミノ酸配列において、1個、2個、3個、4個、5個以上のアミノ酸が、変化する非対立遺伝子ポリペプチド)を含む。非対立遺伝子改変体はまた、本発明に包含され、これらは、アッセイにおけるネガティブコントロールなどとして、TLR9シグナル伝達機能のアンタゴニストとして有用である。このような対立遺伝子、改変体、アナログおよびフラグメントは、例えば、単独で、またはアッセイの成分を含む、種々の目的のための融合タンパク質として有用である。
【0132】
ポリペプチドのフラグメントは、好ましくは、特に、種々の分子のレセプターとして、インタクトなポリペプチドの明確な機能的能力を維持するフラグメントである。従って、TLR9ポリペプチドのフラグメントは、好ましくは、特に、種々の分子のレセプターとして、TLR9ポリペプチドの明確な機能的能力を維持するフラグメントである。ISNAに結合するフラグメント(例えば、CpG核酸を結合するフラグメントを含む)が、特に興味深い。ポリペプチドのフラグメントに保持され得る他の機能的能力は、シグナル伝達(例えば、マウスTLR9によるTLR/IL−1Rシグナル伝達)、抗体との相互作用、および他のポリペプチドとの相互作用(例えば、タンパク質複合体において見出される相互作用)を含む。当業者には、マウスTLR9の機能的能力を保持するフラグメントを選択するために適用され得る方法は、周知である。このフラグメントの機能的能力の確認を、このフラグメントを合成し、そして標準的な方法に従ってこの能力を試験することによって実施し得る。例えば、マウスTLR9フラグメントのシグナル伝達活性を試験するために、シグナル伝達が測定され得る細胞においてフラグメントを挿入するか、または発現する。当該分野で標準的であるこのような方法は、本明細書中にさらに記載されている。
【0133】
本発明は、上記のマウスTLR9ポリペプチドの改変体を含む。本明細書中に使用される場合、ポリペプチドの「改変体」は、ポリペプチドの一次アミノ酸配列に対して、1つ以上の改変を含むポリペプチドである。従って、マウスTLR9ポリペプチドの「改変体」は、マウスTLR9ポリペプチドの一次アミノ酸配列に対して、1つ以上の改変を含むポリペプチドである。マウスTLR9改変体を作製する改変が、種々の理由のために、マウスTLR9ポリペプチドに対して作製され、この理由としては、以下が挙げられる:1)マウスTLR9ポリペプチドの活性(例えば、シグナル伝達)を減少または排除すること;2)マウスTLR9ポリペプチドの特性(例えば、シグナル伝達、核酸リガンドまたは他のリガンド分子に対する結合親和性、発現系におけるタンパク質の安定性、またはタンパク質−タンパク質結合の安定性)を増強させること;3)マウスTLR9ポリペプチドに対して新規な活性または特性(例えば、抗原性エピトープの付加または検出可能な部分(例えば、ルシフェラーゼ、FLAGペプチド、GFP))の付加を提供すること;4)アミノ酸置換基が、分子のシグナル伝達活性に影響を与えるか、または与えないことを確立すること;あるいは5)マウスTLR9ポリペプチドの免疫原性を減少させること。マウスTLR9ポリペプチドの改変は、代表的に、マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸に対して作製され、この改変としては、欠失、点変異、短縮、アミノ酸の置換およびアミノ酸または非アミノ酸部分の付加が挙げられ得る。あるいは、改変は、ポリペプチドに対して直接的になされ得る(例えば、切除、リンカー分子の付加、検出可能な部分(例えば、ビオチン、フルオロフォア、放射線同位体、酵素、またはペプチド)の付加、脂肪酸の付加など)。
【0134】
改変はまた、マウスTLR9アミノ酸配列の全てまたは一部を含む融合タンパク質を含む。当業者は、タンパク質配列中の変化、タンパク質のコンフォメーションに対する効果を予測するための方法に精通しており、従って、公知の方法に従って、改変体マウスTLR9を設計し得る。このような方法の一つの例は、DahiyatおよびMayo、Science 178:82〜87(1997)(これによって、タンパク質が、新規に設計され得る)に記載されている。この方法は、ポリペプチド配列の一部のみを改変するために公知のタンパク質に適用され得る。DahiyatおよびMayoのコンピューターを利用した方法を適用することによって、マウスTLR9ポリペプチドの特定の改変体は、改変体が所望のコンフォメーションを保持するかどうかを決定するために提案され、そして試験され得る。
【0135】
改変体は、その生理学的な活性に関連しないポリペプチドの特徴を変えるために特異的に改変される、マウスTLR9ポリペプチドを含む。例えば、システイン残基は、望まないジスルフィド結合を防止するために、置換または欠失され得る。同様に、特定のアミノ酸(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する、酵母の発現系における二塩基性アミノ酸残基)を変化させて、発現系においてプロテアーゼによるタンパク質分解を排除することによって、マウスTLR9ポリペプチドの発現を増強し得る。
【0136】
マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸の変異は、好ましくは、コード配列のアミノ酸リーディングフレームを保存し、そして好ましくは、改変体ポリペプチドの発現に有害であり得る二次構造(例えば、ヘアピンまたはループ)を形成するようにハイブリダイズする可能性がある、核酸領域を作製しない。
【0137】
変異が、アミノ酸置換基を選択することによって、またはポリペプチドをコードする核酸中の選択された部位のランダムな変異誘発によってなされ得る。次いで、変異により所望の特性を有する改変体ポリペプチドが提供されるかどうかを決定するために、改変体ポリペプチドを発現させ、そして1以上の活性について試験する。さらなる変異が、改変体(または、非改変体マウスのTLR9ポリペプチド)に対して作製され得、この変異は、ポリペプチドのアミノ酸配列についてサイレントであるが、特定の宿主における翻訳のための好ましいコドンを提供する。例えば、E.coli中の核酸の翻訳のための好ましいコドンは、当業者に周知である。さらに他の変異は、ポリペプチドの発現を増強するために、マウスTLR9遺伝子またはcDNAクローンの非コード配列に対して作製され得る。
【0138】
マウスTLR9ポリペプチドの改変体の活性は、改変体マウスTLR9ポリペプチドをコードする遺伝子を原核生物発現ベクターまたは真核生物(例えば、哺乳動物)発現ベクターにクローニングし、ベクターを適切な宿主細胞に導入し、改変体マウスTLR9ポリペプチドを発現させ、そして本明細書中に開示されるマウスTLR9ポリペプチドの機能的能力について試験することによって試験され得る。例えば、改変体マウスTLR9ポリペプチドは、実施例において、以下に記載されるように、シグナル伝達を提供する能力について試験され得る。他の改変体ポリペプチドの調製は、当業者に公知であるように、他の活性の試験を支持し得る。
【0139】
当業者はまた、保存的アミノ酸置換が、マウスTLR9ポリペプチドにおいてなされて、上記ポリペプチドの機能的に等価な改変体(すなわち、マウスTLR9ポリペプチドの機能的能力を保持する改変体)を提供し得ることを理解する。本明細書中で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置換がなされるポリペプチドの相対的な電荷またはサイズの特徴を変更しないアミノ酸置換をいう。改変体は、当業者に公知のポリペプチド配列を変更するための方法に従って調製され得、例えば、これは、このような方法を集めた参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Soring Harbor、New York、1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら編、John Wiley & Sons,Inc.,New York)に見出される。マウスTLR9ポリペプチドの例示的な機能的に等価な改変体としては、配列番号3の保存的アミノ酸置換が挙げられる。アミノ酸の保存的置換としては、以下の群内のアミノ酸間でなされる置換が挙げられる:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。
【0140】
マウスTLR9の機能的に等価な改変体を作製するためのマウスTLR9ポリペプチドアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、代表的に、マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号1および配列番号2)の変更によってなされる。このような置換は、当業者に公知な種々の方法によってなされ得る。例えば、アミノ酸置換は、PCR指向(directed)変異、Kunkel(Kunkel、Proc Natl Acad Sci USA 82:488−492(1985)の方法に従う部位特異的変異誘発によって、またはマウスTLR9ポリペプチドをコードする遺伝子の化学的合成によってなされ得る。マウスTLR9ポリペプチドの機能的に等価な改変体フラグメントの活性は、変更されたマウスTLR9ポリペプチドをコードする遺伝子を細菌発現ベクターまたは哺乳動物発現ベクターにクローニングし、ベクターを適切な宿主細胞に導入し、変更されたマウスTLR9ポリペプチドを発現させ、そしてシグナル伝達事象を媒介するマウスTLR9ポリペプチドの能力について試験することのよって試験され得る。化学的に合成されたペプチドは、機能について直接的に試験され得る。
【0141】
当業者に周知な種々の方法論を利用して、単離されたマウスTLR9ポリペプチド分子を得ることができる。ポリペプチドは、クロマトグラフィー手段または免疫学的認識によってポリペプチドを天然に産生する細胞から精製され得る。あるいは、発現ベクターが、細胞に導入されて、ポリペプチドを産生し得る。別の方法において、mRNA転写物は、微量注入され得るかまたはそれ以外で細胞に導入されて、コードされるポリペプチドを産生し得る。網状赤血球溶解物系のような無細胞抽出物におけるmRNA翻訳はまた、ポリペプチドを産生するために使用され得る。当業者はまた、マウスTLR9ポリペプチドを単離するための公知の方法に容易に従い得る。これらとしては、限定しないが、イムノクロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびイムノアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。
【0142】
本明細書中に記載される本発明は、多くの用途を有し、これらのいくつかは、本明細書の他の箇所に記載される。例えば、本発明によって、標準的なプロトコルを使用して単離され得る大量のポリペプチドを産生するための組換え核酸の発現によって、マウスTLR9ポリペプチド分子の単離が可能になる。別の例として、マウスTLR9遺伝子の単離によって、マウスTLR9が、TLR9に関与する分子相互作用をアッセイするための方法に使用されることが可能になる。
【0143】
以下の実施例にさらに考察されるように、本発明の1つの局面に従って、ISNAに対する応答性が、マウスTLR9(および特定のホモログおよびその改変体)の発現を指向する発現ベクターを、ISNA非応答性細胞に導入することによってISNA非応答性細胞中で再構築されることが発見された。このように再構築された細胞はまた、ホスホロチオエートISNA以外の物質(例えば、E.coli DNA、ホスホジエステルCpG−ODN、およびさらにメチル化されたCpG−ODN)に対する応答性を示す。
【0144】
以下の実施例でもさらに考察されるように、本発明の特定の局面に従って、TLR9が、結合するISNAに応答してシグナルを伝達する能力を細胞に与えるだけではなく、このようなシグナル伝達応答に対する配列特異性および種特異性の両方を与えることが発見された。CpG−ODN 1668(最適なマウスISNAと報告される)に応答してシグナル伝達するマウスTLR9は、CpG−ODN 2006(最適なヒトISNAと報告される)に応答してシグナル伝達する対応するマウスTLR9よりも有意に強力であることが見出された。逆もまた真である。すなわち、CpG−ODN 2006に応答してシグナル伝達するヒトTLR9は、CpG−ODN 1668に応答してシグナル伝達する対応するヒトTLR9よりも有意に強力であることが見出された。さらに、本発明に従って、特定の型の細胞が、TLR9を優先的に発現することが発見された。例えば、TLR9は、B細胞および形質細胞様樹状細胞(CD123+DC)において強く発現されるが、T細胞、単球由来樹状細胞(MDDC)、およびCD14+単球では弱くしか発現されない。対照的に、TLR2およびTLR4は、MDDCおよびCD14+単球によって強く発現されるが、B細胞、CD123+DC、およびT細胞では相対的に弱く発現される。
【0145】
本発明はまた、マウスTLR9核酸分子またはポリペプチドに選択的に結合する薬剤、ならびに本明細書中に記載されるポリペプチドおよび核酸の改変体およびフラグメントに結合する薬剤を包含する。この薬剤としては、マウスTLR9に結合するポリペプチド、およびアンチセンス核酸が挙げられ、これらの両方が、以下にさらに詳細に記載される。これらの薬剤は、マウスTLR9媒介シグナル伝達活性を阻害または増加し得る(それぞれアンタゴニストおよびアゴニスト)。
【0146】
いくつかの薬剤は、インヒビターである。マウスTLR9インヒビターは、細胞膜を横切るマウスTLR9媒介シグナル伝達を阻害する薬剤である。
【0147】
本明細書中で使用される場合、「TLR9シグナル伝達」とは、TLR/IL−1R(TIR)シグナル伝達経路(これはまた、本明細書中において、TLRシグナル伝達経路とも呼ばれる)を活性化する、TLR9ポリペプチドの能力をいう。いずれかの特定の理論に維持されることを意味しないが、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路は、分子骨髄球示差マーカー88(MyD88)および腫瘍壊死因子(TNF)レセプター関連因子6(TRAF6)を介してシグナル伝達し、IκBキナーゼ複合体およびc−jun NH2末端キナーゼ(例えば、JNK 1/2)の活性化を導くと考えられる。Hacker Hら、J Exp Med 192:595−600(2000)。TLR9活性を阻害する分子(アンタゴニスト)は、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路のTLR9媒介活性化を阻害する分子であり、そしてTLR9活性を増加する分子(アゴニスト)は、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路のTLR9媒介活性化を増加する分子であるTLR9活性における変化は、本明細書中に開示されるアッセイのようなアッセイ(κB感受性プロモーターおよびエンハンサーの制御下の遺伝子の発現を含む)によって測定され得る。このような天然に存在する遺伝子としては、IL−1β、IL−6、IL−8、インターロイキン12のp40サブユニット(IL−12p40)、および同時刺激性分子CD80およびCD86をコードする遺伝子が挙げられる。他の遺伝子は、このような調節エレメントの制御下(以下を参照)に置かれ得、従って、TLR9シグナル伝達のレベルを報告するのに役立ち得る。さらなるヌクレオチド配列が、配列番号1または配列番号2に(好ましくは、配列番号2の5’末端または3’末端)付加されて、検出可能な部分またはレポーター部分(例えば、FLAG、ルシフェラーゼ(luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)および当業者に公知の他のもの)を含むキメラポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を生じ得る。これらは、以下の実施例にさらに詳細に考察される。
【0148】
1つの実施形態において、マウスTLR9インヒビターは、マウスTLR9核酸分子に選択的に結合して、細胞におけるマウスTLR9(または別の種のTLR9)の発現を減少するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、TLR9シグナル伝達活性の減少が望ましい実質的に任意の医学的条件下で望ましい。
【0149】
本明細書中で使用される場合、用語「アンチセンスオリゴヌクレオド」または「アンチセンス」は、生理学的条件下で、特定の遺伝子を含むDNAまたはその遺伝子のmRNA転写物にハイブリダイズし、それによってその遺伝子の転写および/またはそのmRNAの翻訳を阻害する、オリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、改変オリゴヌクレオチド、または改変オリゴデオキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを記載する。アンチセンス分子は、標的遺伝子または転写物とのハイブリダイゼーション時に標的遺伝子の転写または翻訳を妨害するように設計される。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さおよびその標的との相補性の程度が、選択される特定の標的(標的の配列およびその配列を含む特定の塩基を含む)に依存することを認識する。アンチセンスオリゴヌクレオチドが、生理学的条件下で、標的と選択的に結合し(すなわち、生理学的条件下で標的細胞中の任意の他の配列よりも標的配列に実質的に多くハイブリダイズする)ように構築され、そして配置されることが好ましい。
【0150】
配列番号1および配列番号2、または対立遺伝子もしくは相同性ゲノム配列および/またはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従う使用に適切な任意の多数のアンチセンス分子を容易に選択および合成し得る。阻害に対して十分に選択的でありそして強力であるために、このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的に相補的である少なくとも10個、より好ましくは少なくとも15個の連続した塩基を含むべきであるが、特定の場合において、7塩基長という短さの改変オリゴヌクレオチドが、首尾良くアンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用された。Wagner RWら、Nat Biotechnol 14:840−844(1996)。最も好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30塩基の相補的配列を含む。遺伝子またはmRNA転写物の任意の領域に対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドが選択され得るが、好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオオチドは、翻訳開始部位、転写開始部位またはプロモーター部位のようなN末端または5’上流部位に対応する。さらに、3’非翻訳領域が、標的化され得る。mRNAスプライシング部位への標的化がまた、当該分野において使用されているが、選択的mRNAスプライシングが生じる場合、あまり好ましくなくあり得る。さらに、アンチセンスは、好ましくは、mRNA二次構造が予期されず(例えば、Sainioら、Cell Mol Neurobiol 14(5):439−457(1994)を参照のこと)、そしてポリペプチドが結合することが予期されない部位に標的化される。従って、本発明はまた、配列番号1または配列番号2を含むマウスTLR9核酸に対応する対立遺伝子または相同的cDNAおよびゲノムDNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0151】
一セットの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、「天然」のデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはそれらの任意の組み合わせから構成され得る。すなわち、1つのネイティブなヌクレオチドの5’末端および別のネイティブなヌクレオチドの3’末端は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を介して、天然の系と同様に共有結合され得る。これらのオリゴヌクレオチドは、手動でまたは自動化合成機によって実行され得る当該分野で認識される方法によって調製され得る。これらはまた、ベクターによって組換え的に産生され得る。
【0152】
しかし、好ましい実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、「改変」オリゴヌクレオチドを含み得る。すなわち、オリゴヌクレオチドは、それらがそれらの標的にハイブリダイズすることを妨げられないが、安定性または標的化を増強するか、またはそれ以外でそれらの治療的効果を向上する多くの方法で改変され得る。
【0153】
用語「改変オリゴヌクレオチド」は、本明細書中で使用される場合、(1)そのヌクレオチドの少なくとも2つが、合成ヌクレオシド間結合(すなわち、1つのヌクレオチドの5’末端と別のヌクレオチド3’末端との間のホスホジエステル結合以外の結合)を介して共有結合され、そして/または(2)核酸と通常関連しない化学基が、オリゴヌクレオチドに共有結合される、オリゴヌクレオチドを記載する。好ましい合成ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、リン酸エステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミデート、カルバメート、カルボネート、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステルおよびペプチドである。
【0154】
用語「改変オリゴヌクレオチド」はまた、共有結合的に改変された塩基および/または糖を有するオリゴヌクレオチドを包含する。例えば、改変オリゴヌクレオチドは、3’位においてヒドロキシル基以外の低分子量有機基に、そして5’位においてホスフェート基以外の低分子量有機基に共有結合される骨格糖を有するオリゴヌクレオチドを含む。このように改変されたオリゴヌクレオチドは、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、改変オリゴヌクレオチドは、リボースの代わりにアラビノースのような糖を含み得る。本発明は、従って、薬学的に受容可能なキャリアとともに、マウスTLR9ポリペプチドをコードする核酸に、相補的であり、そして生理学的条件下でハイブリダイズ可能な改変アンチセンス分子を含む薬学的調製物を意図する。
【0155】
マウスTLR9に結合する薬剤はまた、マウスTLR9ポリペプチドおよびマウスTLR9ポリペプチドを含む複合体に結合する結合ペプチドおよび他の分子を含む。結合分子がインヒビターである場合、この分子は、マウスTLR9に結合し、その活性を阻害する。結合分子がアクチベーターである場合、この分子は、マウスTLR9に結合し、その活性を増加する。マウスTLR9結合剤がマウスTLR9に結合するか否かを決定するために、任意の公知の結合アッセイが利用され得る。例えば、結合剤は、表面上に固定化され、次いで、標識されたマウスTLR9ポリペプチドと接触する。次いで、マウスTLR9結合剤と相互作用するマウスTLR9の量またはマウスTLR9結合剤に結合しない量は、マウスTLR9結合剤がマウスTLR9に結合するか否かを決定するために定量化され得る。
【0156】
マウスTLR9結合剤は、マウスTLR9ポリペプチド、ならびにマウスTLR9ポリペプチドおよびそれらの結合パートナーの両方の複合体に、選択的にまたは優先的に結合する多数のサイズおよび型の分子を含む。これらの分子は、種々の供給源由来であり得る。例えば、マウスTLR9結合剤は、溶液中、固定形態で、またはファージディスプレーとして容易に調製され得る、変性ペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、提供され得る。コンビナトリアルライブラリーはまた、1つ以上のアミノ酸を含むペプチドから合成され得る。ライブラリーは、さらに、ペプチドおよび非ペプチド合成部分から合成され得る。
【0157】
ファージディスプレーは、本発明に従って有用な結合ペプチドを同定する際に特に効果的であり得る。簡単に述べると、従来の手順を使用して4〜80アミノ酸残基の挿入物を提示する、ファージライブラリー(例えば、m13、fd、またはλファージを使用する)が調製される。この挿入物は、例えば、完全に変性したかまたは偏った(biased)アレイを表し得る。次いで、マウスTLR9ポリペプチドに結合するファージ保有挿入物が選択され得る。このプロセスは、マウスTLR9ポリペプチドに結合するファージを再選択する数回のサイクルによって反復され得る。反復される回は、特定の配列を保有するファージの濃縮をもたらす。DNA配列分析は、発現されるポリペプチドの配列を同定するために行われ得る。マウスTLR9ポリペプチドに結合する配列の最小の直鎖状部分が決定され得る。最小の直鎖状部分およびその上流または下流の1つ以上のさらなる変性残基の一部または全てを含む挿入物を含む偏ったライブラリーを使用する手順が反復され得る。酵母ツーハイブリットスクリーニング方法を使用して、マウスTLR9ポリペプチドに結合するポリペプチドを同定し得る。従って、本発明のマウスTLR9ポリペプチド、またはそのフラグメントを使用して、ペプチドライブラリー(ファージディスプレイライブラリーを含む)をスクリーニングし、本発明のマウスTLR9ポリペプチドのペプチド結合パートナーを同定および選択し得る。このような分子は、記載されるように、スクリーニングアッセイのために、精製プロトコルのために、マウスTLR9の機能を直接妨害するために、そして当業者に明らかな他の目的のために使用され得る。
【0158】
本発明はまた、本明細種中に記載されるマウスTLR9核酸分子と関連する特定の調節配列に選択的に結合する薬剤を包含する。この薬剤は、マウスTLR9の転写調節配列および翻訳調節配列に結合するポリペプチド、ならびにアンチセンス核酸(この両方は、以下にさらに詳細に記載される)を含む。薬剤は、マウスTLR9発現、ならびにシグナル伝達活性を阻害または増加(それぞれ、アンタゴニストおよびアゴニスト)し得る。マウスTLR9核酸分子と関連する調節配列に選択的に結合する薬剤は、当業者に知られた方法を使用して同定され得る。例えば、マウスTLR9のコード領域の上流(5’)の少なくとも100、200、300、400、500以上のヌクレオチドを含むプロモーター領域は、プロモーターまたはプローブとして配列番号1または配列番号2の配列を使用して適切なゲノムDNA(例えば、ヌクレオチド配列)から単離され、次いで、プロモーター領域DNAを適切な発現ベクターに挿入して、TLR9またはいくつかの他のレポーター遺伝子の発現を制御し、TLR9プロモーターベクターを適切な宿主細胞に導入し、そして種々の試験薬剤の存在下および非存在下でのそれらのインキュベーションに続いてそれらの細胞によるTLR9またはレポーター発現についてスクリーニングすることによって同定され得る。TLR9以外のレポーター遺伝子は、例えば、酵素、サイトカイン、細胞表面抗原、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などを含み得る。TLR9プロモーターの制御下でTLR9またはレポーターの発現を阻害する薬剤は、TLR9発現インヒビターとして分類される。逆に、TLR9プロモーターの制御下でTLR9またはレポーターの発現を増強する薬剤は、TLR9発現エンハンサーとして分類される。本発明に従って、例えば、サイトカインIL−4インヒビターが、TLR9の発現を阻害することが発見された。この方法で、例えば、ISNAに対する応答を増強するために、局所的投与によって、ISNAとともに投与され得る薬剤を同定することが可能である。このような増強効果は、例えば、免疫化またはワクチン接種の設定において、所望であり得る。逆に、例えば、ISNAに対する応答を阻害するために、局所的投与によって、ISNAとともに投与され得る薬剤を同定することが可能である。このような阻害応答は、例えば、遺伝子置換療法の設定において、所望であり得る。
【0159】
従って、本発明は、一般的に、TLR9活性に関連する状態の処置において有用な薬剤に対する薬理学的薬剤またはリード化合物を同定する効率的な方法、ならびにこのような同定される化合物および薬剤を提供する。一般的に、スクリーニング方法は、マウスTLR9を介するシグナル伝達を阻害または増強する化合物についてアッセイすることを包含する。このような方法は、化合物の自動化高処理能力スクリーニングに適合可能である。このような高処理能力スクリーニング方法の例は、米国特許第6,103,479号;同第6,051,380号;同第6,051,373号;同第5,998,152号;同第5,876,946号;同第5,708,158号;同第5,443,791号;同第5,429,921号;および同第5,143,854号に記載される。
【0160】
薬理学的薬剤についての種々のアッセイが提供され、これには、標識インビトロタンパク質結合アッセイ、検出可能な分子を使用するシグナル伝達アッセイなどが挙げられる。例えば、タンパク質結合スクリーンを使用して、候補薬理学的薬剤のマウスTLR9への結合を迅速に検査する。候補薬理学的薬剤は、例えば、コンビナトリアルペプチドまたは核酸ライブラリーから誘導され得る。このようなアッセイのための簡便な試薬は、当該分野において公知である。シグナル伝達の例示的な細胞ベースのアッセイは、マウスTLR9を有する細胞を候補薬理学的薬剤と、検出可能な分子の導入が生じ得る条件下で接触させる工程を包含する。特定の条件は、当該分野において周知であり、例えば、Hacker Hら、J Exp Med 192:595−600(2000)、およびそこに引用される参考文献に記載される。候補薬理学的薬剤の存在下での検出可能な分子の減少した程度の誘導は、候補薬理学的薬剤が、マウスTLR9のシグナル伝達活性を減少することを示す。候補薬理学的薬剤の存在下での検出可能な分子の増加した程度の誘導は、候補薬理学的薬剤が、マウスTLR9のシグナル伝達活性を増加することを示す。
【0161】
本発明の方法において使用されるマウスTLR9は、単離されたポリペプチド(ここで、候補薬学的薬剤の結合が測定される)として、あるいはマウスTLR9ポリペプチドを含む細胞または他の膜カプセル化スペースとして、アッセイ混合物に添加され得る。後者のアッセイの構成において、細胞または他の膜カプセル化スペースは、マウスTLR9を、ポリペプチドとしてまたは核酸(例えば、マウスTLR9を含む発現ベクターをトランスフェクトされた細胞)として含み得る。本明細書中に記載されるアッセイにおいて、マウスTLR9ポリペプチドは、組換え的に産生され得るか、生物学的抽出物から単離され得るか、またはインビトロで合成され得る。マウスTLR9ポリペプチドは、別のペプチド(例えば、タンパク質−タンパク質結合を提供または増強し得るポリペプチド、シグナル伝達能力を増強し得るポリペプチド、検出を容易にし得るポリペプチド、またはアッセイ条件下においてマウスTLR9ポリペプチドの安定性を増強し得るポリペプチド)とマウスTLR9ポリペプチドの融合を含むキメラタンパク質を包含する。マウスTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントに融合されるポリペプチドはまた、例えば、免疫学的認識によって、または蛍光標識によって、融合タンパク質を容易に検出する手段を提供し得る。
【0162】
アッセイ混合物はまた、候補薬理学的薬剤を含む。代表的には、複数のアッセイ混合物が、異なる薬剤濃度で平行して実行されて、種々の濃度に対して異なる応答が獲得される。代表的に、これらの濃度の1つは、ネガティブコントロールとして(すなわち、0の濃度の薬剤でまたはアッセイ検出の限界より下の薬剤濃度で)、役立つ。候補薬学的薬剤は、多くの化学的クラスを包含するが、代表的には、これらは、有機化合物である。好ましくは、候補薬理学的薬剤は、小有機化合物(すなわち、50より大きく、約2500未満の分子量を有する化合物)である。ポリマー性候補薬剤は、より大きな分子量(例えば、約2500〜約12,500の範囲のオリゴヌクレオチド)を有し得る。候補薬剤は、ポリペプチドとの構造的相互作用に必要な化学官能基を含み、そして少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含み得、好ましくは、少なくとも2つの化学官能基、より好ましくは、少なくとも3つの化学官能基を含み得る。候補薬剤は、上で同定される官能基の1つ以上で置換された、環式炭素構造または複素環式構造ならびに/あるいは芳香族構造またはポリ芳香族構造を含み得る。候補薬剤はまた、核酸、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記の誘導体または構造的アナログ、あるいはこれらの組み合わせなどのような生体分子であり得る。薬剤が核酸である場合、この薬剤は、代表的に、DNA分子またはRNA分子であるが、非天然結合またはサブユニットを有する改変核酸もまた企図される。
【0163】
候補薬剤は、幅広い種々の供給源(天然化合物、合成化合物、または半合成化合物、あるいはその組み合わせのライブラリーを含む)から得られる。例えば、多くの手段が、幅広い種々の有機化合物および生体分子の無作為な合成および指向された合成に利用可能であり、これには、無作為化されたオリゴヌクレオチドの発現、合成有機コンビナトリアルライブラリー、ランダムなペプチドのファージディスプレイライブラリーなどが挙げられる。あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であるかまたは容易に作製される。さらに、天然および合成的に作製されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的、および生化学的手段によって容易に改変され得る。さらに、公知の薬理学的薬剤を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)などのような指向されたかまたは無作為化された化学修飾に供し、この薬剤の構造的アナログが生成され得る。
【0164】
従って、候補薬剤の供給源は、公知のTLR9リガンド(例えば、TLR9と相互作用する、本明細書中に示されるCpGオリゴヌクレオチド)に基づく分子のライブラリーであり、ここで、このリガンドの構造が、多少の化学的部分または異なる化学的部分を含むように、その分子の1つ以上の位置で変更される。アナログインヒビターのライブラリーを作製する際に、この分子になされるこの構造の変化は、指向され得るか、無作為であり得か、または指向および無作為な置換および/または付加の両方の組み合わせであり得る。コンビナトリアルライブラリーの調製において当業者は、既存のTLR9リガンドに基づき、このようなライブラリーを容易に調製し得る。
【0165】
種々の他の試薬はまた、この混合物中に含まれ得る。これらは、塩、緩衝液、天然タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤などのような試薬(これは、最適なタンパク質−タンパク質結合および/またはタンパク質−核酸結合を容易にするために使用され得る)を含む。このような試薬はまた、反応成分の非特異的相互作用またはバックグラウンド相互作用を減少し得る。プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤などのようなアッセイの効率を改善する他の試薬もまた使用され得る。
【0166】
前記アッセイ材料の混合物は、候補薬理学的因子が存在しなければTLR9がTLR/IL−1Rのシグナル伝達を媒介する条件下でインキュベートされる。マウスTLR9への候補薬理学的因子の結合を決定するために、この混合物は、結合を許容する条件下でインキュベートされる。成分の添加、インキュベーション温度、インキュベーション時間、およびこのアッセイの他のパラメータのオーダーは容易に決定され得る。このような実験は、アッセイパラメータの最適化のみに関し、このアッセイの基本的な組成に関しない。インキュベーション温度は、代表的に、4℃と40℃との間である。インキュベーション時間は、好ましくは、高速でハイスループットのスクリーニングを促進するために最小化され、代表的には、1分間と10時間の間である。
【0167】
インキュベーション後、シグナル伝達のレベルまたはTLR9ポリペプチドと候補薬理学的因子との間の特異的結合のレベルは、使用者に利用可能な従来の任意の方法により検出される。無細胞結合型アッセイについて、結合した成分を未結合成分から分離するために、しばしば分離工程が用いられる。この分離工程は、種々の方法において達成され得る。例えば、分離は、溶液中で達成され得るか、または、好適には、少なくとも1つの成分が固体支持体に固定化され、そこから未結合の成分が容易に分離され得る。固体支持体は、広範な種々の材料からおよび広範な種々の形状(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、樹脂粒子など)で作製され得る。基質は、好ましくは、シグナル−ノイズ比を最大化し、バックグラウンドの結合を最小化するように、ならびに分離の容易さおよび費用について選択される。
【0168】
分離は、例えば、リザーバからビーズまたはディップスティックを取り除くことにより、リザーバ(例えば、マイクロタイタープレートウェル)を空にするかまたは希釈することにより、水溶液または溶媒でビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラム、またはフィルターをリンスすることによりもたらされ得る。この分離工程は、好ましくは、複数回のリンスまたは洗浄を含む。例えば、固体支持体がマイクロタイタープレートの場合、ウェルは、洗浄溶液で数回洗浄され得る。洗浄溶液は、代表的には、特異的結合に関与しないインキュベーション混合物の成分(例えば、塩、緩衝液、界面活性剤、非特異的タンパク質など)を含む。固体支持体が磁気ビーズの場合、ビーズは、洗浄溶液で1回以上洗浄され得、そして磁石を用いて分離され得る。
【0169】
検出は、細胞に基づくアッセイの任意の従来の方法(例えば、誘導されたポリペプチドの、細胞内での測定、細胞表面での測定、または細胞により分泌された誘導されたポリペプチドの測定)においてもたらされ得る。このような細胞に基づくアッセイにおいて有用な検出方法の例として、蛍光標識細胞分離(FACS)分析、生物発光、蛍光、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、リバーストランスクリプターゼ−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)などが挙げられる。
【0170】
標識および他のアッセイ成分に基づき、標識を検出する種々の方法が、用いられ得る。例えば、標識は、固体支持体に結合している時に検出され得るか、または固体支持体から分離された後に検出され得る。標識は、光学密度または電子密度、放射性放出、非放射性エネルギー移動などを通して直接的に検出され得るか、または抗体結合、ストレプトアビジン−ビオチン結合などにより間接的に検出され得る。標識を検出する方法は、当該分野で周知である。
【0171】
マウスTLR9結合因子はまた、抗体または機能的に活性な抗体フラグメントであり得る。抗体は、免疫化学分野の当業者に周知である。本明細書中で使用する場合、用語「抗体」は、インタクトな抗体分子だけでなく、特異的な標的結合能力を保持する抗体分子のフラグメントもまた意味する。このようなフラグメントもまた当該分野で周知であり、そしてインビトロおよびインビボの両方で通常に用いられている。特に、本明細書中で用いる場合、用語「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン分子だけでなく、周知の活性フラグメントであるF(ab’)2およびFabも意味する。インタクトな抗体のFcフラグメントを欠くF(ab’)2およびFabフラグメントは、循環中からより迅速に浄化し、そしてインタクトな抗体よりも非特異的結合が少ない(Wahl RLら、J Nucl Med 24:316−325(1983))。
【0172】
モノクローナル抗体は、免疫原としてマウスTLR9またはそのフラグメントを使用する分野で公知の任意の方法により作製され得る。あるいは、抗体は、マウスTLR9に特異的な、マウスTLR9活性を阻害するポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体の調製および使用もまた、当業者に公知である。
【0173】
特に、当該分野で周知であるように、抗体分子の小部分(パラトープ)のみが、抗体のエピトープへの結合に関与する(一般的には、Clark,E.R.(1986)The Experimental Foundations of Modern Immunology,Wiley & Sons,Inc.,New York;Roitt,I.(1991)Essential Immunology,7th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford)。例えば、pFc’およびFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合に関与しない。pFc’領域が酵素により切断された抗体またはpFc’領域を持たずに生成された抗体(F(ab’)2フラグメントと称される)は、インタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素により切断された抗体またはFc領域を持たずに生成された抗体(Fabフラグメントと称される)は、インタクトな抗体分子の抗原結合部位のうちの1つを保持する。さらに言及すると、Fabフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖および抗体重鎖の一部分(Fdと称される)からなる。Fdフラグメントは、抗体の特異性の主要な決定因子であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変化させずに最大10個の異なる軽鎖と結合され得る)、そしてFdフラグメントは、単離状態でエピトープ結合能力を保持する。
【0174】
当該分野で周知のように、抗体の抗原結合部分の中に、抗原のエピトープと直接的に相互作用する相補性決定領域(CDR)、およびパラトープの三次構造を維持するフレームワーク領域(FR)が存在する(一般的には、Clark,1986;Roitt,1991)。重鎖FdフラグメントおよびIgG免疫グロブリンの軽鎖の両方の中に、3つの相補性決定領域(CDR1〜CDR3)により分離されたそれぞれ4つのフレームワーク領域(FR1〜FR4)が存在する。CDR、特に、CDR3領域、より特に重鎖CDR3は、抗体特異性の大部分を担っている。
【0175】
上記アッセイにおいて本発明に従って有用であることが同定された抗マウスTLR9モノクローナル抗体の抗原結合Fab’部分の配列、ならびに関連するFRおよびCDR領域は、当該分野で慣用的なアミノ酸配列決定法を用いて決定され得る。哺乳動物抗体の非CDR領域が、元の抗体のエピトープ特異性を保持しつつ、非特異的抗体またはヘテロ特異的抗体の対応する領域で置換され得ることは、十分に確立されている。この技術は、「ヒト化」抗体の作製および使用に有用である。ヒト化抗体において、非ヒトCDRは、機能的な抗体を生成するために、ヒトFRおよび/またはFc/pFc’領域に共有結合される。ヒト化抗体に関する技術は、マウスTLR9活性を阻害する非ヒト動物(例えばマウス)抗体が同定されている場合に特に有用である。これらの非ヒト動物抗体は、本発明に従う方法においてヒト被験体の処置に使用するためにヒト化され得る。マウス抗体をヒト化するための方法の例は、米国特許第4,816,567号、同第5,225,539号、同第5,585,089号、同第5,693,762号、および同第5、859、205号に提供されている。他の抗体(抗原結合能力を有するインタクトな抗体のフラグメントを含む)は、しばしば、「キメラ」抗体と称される。
【0176】
従って、当業者に明らかなように、本発明はまた、抗マウスTLR9モノクローナル抗体のF(ab’)2およびFabフラグメント;抗マウスTLR9抗体のFcおよび/またはFRならびに/あるいはCDR1および/またはCDR2ならびに/あるいは軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列により置換されているキメラ抗体;抗マウスTLR9抗体のFRならびに/あるいはCDR1および/またはCDR2ならびに/あるいは軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列により置換されているキメラF(ab’)2フラグメント抗体;ならびにFRならびに/あるいはCDR1および/またはCDR2ならびに/あるいは軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列により置換されているキメラFabフラグメント抗体を提供する。
【0177】
本発明に従って、マウスTLR9インヒビターもまた、配列番号3由来の「ドミナントネガティブ」なポリペプチドを含む。ドミナントネガティブなポリペプチドは、ポリペプチドの不活性な改変体であり、細胞機構と相互作用することにより、その細胞機構との相互作用において活性なポリペプチドと置き換わるか、または活性ポリペプチドと競合し、それによって活性なポリペプチドの効果を減少させる。例えば、リガンドに結合するが、そのリガンドの結合に応答してシグナルを伝達しないドミナントネガティブなレセプターは、そのレセプターの発現の生物学的効果を減少させる。以下の実施例に示すように、aa915のプロリンのヒスチジンへの置換を含むTLR9ポリペプチド(P915H変異)は、機能的に不活性であり、そしてネイティブのTLR9ポリペプチドに対してドミナントネガティブである。
【0178】
細胞中での本発明のドミナントネガティブなマウスTLR9ポリペプチドの発現の最終的な結果は、TLR9活性(例えば、TLR経路を通じたシグナル伝達)の減少である。当業者は、マウスTLR9ポリペプチドのドミナントネガティブ改変体の能力を評価することが可能であり、そして標準的な変異誘発技術を用いて、1つ以上のドミナントネガティブ改変体ポリペプチドを作製することが可能である。例えば、本明細書中に含まれるマウスTLR9ポリペプチドの技術が与えられれば、当業者は、部位特異的変異誘発、走査型変異誘発(scanning mutagenesis)、部分的な遺伝子欠失または切断などによりマウスTLR9ポリペプチドの配列を改変することが可能である(例えば、米国特許第5,580,723号およびMolecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら編,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989)。次いで、当業者は、マウスTLR9活性の減少および/またはこのような活性の保持について、変異ポリペプチドの集団を試験することが可能である。マウスTLR9ポリペプチドのドミナントネガティブ改変体を作製および試験するための他の同様の方法は、当業者に明らかである。
【0179】
本発明のこの局面に従う各々の組成物は、種々の治療目的および非治療目的に有用である。例えば、本発明のマウスTLR9核酸は、オリゴヌクレオチドプローブとして有用である。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、本明細書中で、同一または実質的に類似する核酸配列を有するゲノムライブラリークローンまたはcDNAライブラリークローンを同定するために使用され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、所望の配列にハイブリダイズし得る適切なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのセット、その改変体またはフラグメント、あるいはこのようなオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのセットのアンチセンス相補体は、当該分野で周知の手段により合成され得(例えば、Synthesis and Application of DNA and RNA,S.A.Narang編,1987,Academic Press,San Diego,CA)、そして当該分野で周知の技術により所望の配列、その改変体またはフラグメントを同定および単離するためのプローブとして使用される。核酸ハイブリダイゼーションおよびクローン同定の技術は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989により開示されている。
【0180】
所望の核酸配列、またはその改変体もしくはフラグメントの検出を容易にするために(クローニング目的であろうと、配列の存在の検出のみのためであろうと)、上記のプローブは、検出可能な基で標識され得る。このような検出基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であり得る。このような物質は、核酸ハイブリダイゼーションの分野で十分発達しており、一般的に、このような方法に有用な多くの標識が本発明に適用され得る。特に、放射性標識が有用である。十分なシグナルを提供し、そして十分な半減期を有する任意の放射性標識が用いられる。一本鎖の場合、オリゴヌクレオチドは、キナーゼ反応を用いて標識され得る。あるいは、オリゴヌクレオチドはまた、非放射性マーカー(例えば、ビオチン、酵素、または蛍光基)で標識される場合、核酸ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。例えば、Leary JJら、Proc Natl Acad Sci USA 80:4045(1983);Renz Mら、Nucleic Acids Res 12:3435(1984);およびRenz M、EMBO J 6:817(1983)を参照のこと。
【0181】
さらに、マウスTLR9核酸の相補体は、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして有用であり得、例えば、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを動物に送達することにより、マウスTLR9「ノックアウト」表現型が誘導される。遺伝子発現をブロックするためのアンチセンスRNAプローブの投与は、Lichtenstein C、Nature 333:801−802(1988)において議論されている。
【0182】
あるいは、本発明のマウスTLR9核酸は、非ヒトトランスジェニック動物を調製するために使用され得る。「トランスジェニック動物」は、細胞中に人為的に挿入され、その細胞から生じたその動物のゲノムの一部となったDNAを含む細胞を有する動物である。好ましいトランスジェニック動物は、霊長類、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、およびネコである。トランスジェニック実験に適した動物は、標準的な販売元(例えば、Charles River(Wilmington、MA)、Taconic(Germantown、NY)、Harlan(Indianapolis、IN)など)から入手され得る。特定の疾患に関連する特定の特性を有するトランスジェニック動物は、種々の薬物の効果およびその疾患に対する処置方法を研究するために使用され得、従って、多くのヒト疾患の遺伝的モデルとして役立つ。従って、本発明は、TLR9媒介シグナル伝達に関与する障害の研究のためのモデルとしての、マウスTLR9ノックアウトおよびトランスジェニック動物の使用を意図する。本発明の関連するトランスジェニック動物の作製のための当業者に公知の種々の方法が利用可能である。
【0183】
内因性TLR9遺伝子の不活性化または置換は、胚性幹細胞を用いた相同組換え系により達成され得る。TLR9−/−ノックアウト表現型を有する得られるトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、マウスTLR9についてトランスジェニックされ、そしてマウスTLR9のモジュレーター(アゴニストまたはアンタゴニスト/インヒビター)として化合物をスクリーニングするためのモデルとして使用される。この様式において、このような治療薬が同定され得る。
【0184】
さらに、マウスTLR9の正常バージョンまたは変異バージョンが、生殖細胞系に挿入され、マウスTLR9の正常形態または変異形態を保存的または誘導的に発現するトランスジェニック動物が作製され得る。これらの動物は、細胞でのマウスTLR9の役割および機能を規定するための研究において有用である。
【0185】
一般的に、活性化合物の用量は、1日当たり約0.01mg/kg〜1日あたり1000mg/kgである。50〜500mg/kgの範囲の用量が1日あたり1回または数回の投与において適切である。より少ない用量は、他の形態の投与(例えば、静脈内投与)によりもたらされる。被験体における応答が適用された最初の用量で不十分である場合、より多い用量(または異なる、より局在的な送達経路による効果的に多い用量)が、患者の耐性が許容する範囲内で用いられ得る。1日あたり複数の投薬は、化合物の適切な全身レベルを達成するために考慮されるが、遅延放出薬物または化合物が持続放出薬物として調製される場合、より少ない用量が、代表的に、与えられる。
【0186】
本発明に従って有用なマウスTLR9のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチドは、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされ得る。従って、本発明はまた、本発明のこの局面の組成物を含む薬学的組成物およびこの薬学的組成物を調製するための方法もまた提供する。薬学的組成物は、本発明に従って有用なアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチド、ならびに、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアのいずれか1つまたはその組み合わせを含む。各々の薬学的組成物は、本発明に従って有用なマウスTLR9のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、またはポリペプチド、およびそれらの組み合わせを選択し、そして必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアをそれと組み合わせることにより調製される。
【0187】
用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、本明細書中で使用される場合、1つ以上の適合性の固体充填剤または液体充填剤、希釈剤、あるいはヒトへの投与に適したカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」は、その適用を容易にするために活性成分と組合される有機成分または無機成分、天然成分または合成成分をいう。薬学的組成物の成分はまた、所望の薬学的効果を実質的に損なう相互作用が存在しないような様式で、本発明の分子と、および互いに混合され得る。
【0188】
薬学的組成物は、以下に挙げられる(しかし、これらに限定されない)適切な緩衝剤を含み得る:酢酸含有塩;クエン酸含有塩;およびリン酸含有塩。
【0189】
薬学的組成物はまた、必要に応じて、適切な防腐剤(例えば、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、パラベン、およびチメロサール)を含み得る。
【0190】
投与される場合、本発明の薬学的調製物は、薬学的に受容可能な量および薬学的に受容可能な組成で適用される。このような調製物は、慣用的に、塩、緩衝化剤、防腐剤、適合性キャリア、および必要に応じて他の治療剤が含まれ得る。医薬において使用される場合、塩は、薬学的に受容可能であるべきであるが、薬学的に受容可能でない塩が、薬学的に受容可能なその塩を調製するために従来的に使用され得、そしてこれも本発明の範囲から除外されない。このような薬理学的および薬学的に受容可能な塩として、以下の酸から調製される塩が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩)として調製され得る。
【0191】
種々の投与経路が利用可能である。当然のことながら、選択される特定の様式は、選択される特定の化合物、処置される状態の重篤度、および治療効果のために必要とされる用量に依存する。一般的に言うと、本発明の方法は、医学的に受容可能な任意の投与様式を用いて実施され得る。これは、臨床的に受容可能でない副作用を伴わずに活性成分の効果レベルを生じる任意の様式を意味する。このような投与様式として、経口経路、直腸経路、局所経路、鼻経路、皮内経路、または非経口経路が挙げられる。用語「非経口」とは皮下、経皮、静脈内、動脈内、くも膜下、筋肉内、腹腔内、粘膜内(胃腸粘膜を除く)、肺、病巣内、および注入が挙げられるがこれらに限定されない。
【0192】
薬学的組成物は、従来的に、単位用量形態で調製され得、そして薬学分野で周知の任意の方法により調製され得る。全ての方法は、活性剤を、1つ以上のアクセサリー成分を構成するキャリアと一体にする工程を包含する。一般的に、この組成物は、活性成分を、液体キャリア、繊細に分離された固体キャリア、またはその両方と不均一かつ緊密に一体化し、次いで、必要な場合、生成物を形成することにより調製される。
【0193】
経口投与に適した組成物は、別個の単位(例えば、カプセル、錠剤、ロゼンジ)として存在し得、各々は、予め決定された量の活性成分を含む。他の組成物は、水性液体または非水性液体(例えば、シロップ、エリキシル、エマルジョン)中の懸濁物を含む。
【0194】
非経口投与に適した組成物は、好適には、マウスTLR9のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、またはポリペプチドの滅菌水性調製物を含み、好ましくは、レシピエントの血液と等張性である。この水性調製物は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の方法に従い処方され得る。滅菌性の注入可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌性の注入可能な溶液または懸濁物(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。受容可能なビヒクルおよび溶媒の中で、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液が用いられ得る。さらに、滅菌性の固定油が、溶媒または懸濁媒体として従来的に用いられる。この目的のために、合成性のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む無刺激の固定油が用いられ得る。経口投与、皮下投与、静脈内投与、くも膜下投与、筋肉内投与などに適したキャリア処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PAにおいて見出される。
【0195】
他の送達系として、時間放出系、遅延放出系、または持続放出系(例えば、上述の生物学的/化学的ベクター)が挙げられ得る。このような系は、活性成分の反復投与を回避し得、これにより、被験体および医者への利便性が増加する。多くの型の放出送達系は、当業者に利用可能であり、そして公知である。長期持続性放出移植片は、少なくとも30日の間(好ましくは60日の間)の治療レベルの活性成分を送達するために構築および改変される。長期持続性放出移植片は当業者に周知であり、上記の放出系のいくつかを含む。
【0196】
別の局面において、本発明は、マウスTLR7およびTLR8をコードするcDNA(本明細書中でそれぞれマウスTLR7およびTLR8、それと同等にmTLR7およびmTLR8と称される)の同定に関する。マウスTLR7のヌクレオチド配列は、配列番号173として示され、マウスTLR7のcDNAのコード領域は配列番号174として示され、そしてマウスTLR7のアミノ酸配列は配列番号175として示される。緊密に関連するヒトTLR7(同等に、hTLR7)は、登録番号AF245702およびAF240467の下でGenBankに以前に登録された。配列番号173において示されるマウスTLR7のcDNAのヌクレオチド配列は3357ヌクレオチド長であり、そして塩基117−3266にわたり、3150ヌクレオチドにわたる(終止コドンを除く)ORF(配列番号174として示される)を含む。配列番号175として示されるマウスTLR7のアミノ酸配列は1050アミノ酸長である。
【0197】
マウスTLR8のヌクレオチド配列は、配列番号190として示され、マウスTLR8のcDNAのコード領域は配列番号191として示され、そしてマウスTLR8のアミノ酸配列は配列番号192として示される。緊密に関連するヒトTLR8(同等に、hTLR8)は、登録番号AF245703およびAF246971の下でGenBankに以前に登録された。
【0198】
ヒトおよびマウスの両方のTLR9、ヒトTLR7、およびTLR8の各々は、1つのCXXCモチーフおよび1つのMBDモチーフを含む。hTLR7 CXXCモチーフは、アミノ酸258〜273を含み、そしてhTLR8 CXXCは、アミノ酸225〜270を含む。
【0199】
【化13】
ヒトおよびマウスのTLR9、ヒトTLR7、およびTLR8はまた、単一のMBDモチーフを有する。hTLR7 MBDは、アミノ酸545〜575にまたがり、そしてhTLR8 MBDモチーフはアミノ酸533〜563にまたがる。
【0200】
【化14】
MBDモチーフにおけるコアD−X−Yは、MBD−1タンパク質のCpG結合に関与し、そしてTLR9において保存されているが、TLR8およびTLR7においては部分的に保存されているのみである(YからDまたはL)。他の不一致は、高度に保存されているか、または中程度に保存されている;例えば、RからK、Q、またはDへ。これらの変化により、MBD−1がメチル−CpGバインダーであり、そしてTLR9がCpG−DNAのバインダーであることが説明され得る。hTLR7およびTLR8におけるコア配列(D−X−Y)における改変(それぞれ、D−X−LおよびD−X−D)は、異なる核酸モチーフの認識のための構造的基礎である可能性がある。CXXCドメインの存在と合わせて、TLR7およびTLR8は、確かに、生得的な免疫系に関連する核酸結合レポーターである可能性があり、従って臨床的な価値を有する可能性がある。
【0201】
本発明は、1つの局面において、マウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドならびにそれらに関連する治療剤に関する。本発明はまた、前記のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドの単離された機能的に等価な改変体、有用なアナログおよびフラグメント;前記のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドの相補体;および前記のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドに選択的に結合する分子を包含する。
【0202】
本発明のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸およびポリペプチドは単離されている。マウスTLR7およびTLR8核酸およびポリペプチドに関して用語「単離された」は、本明細書中の他で用いられるのと同一の意味を有する。
【0203】
本明細書中で用いる場合、マウスTLR7核酸は、マウスTLR7ポリペプチドをコードする単離された核酸分子をいう。このような核酸分子は、配列番号175の配列およびそのフラグメントを含むマウスTLR7ポリペプチドをコードする。この核酸分子は、配列番号173、配列番号174の核酸配列、および遺伝子コードの縮重に起因して、コドン配列において配列番号173および配列番号174の配列と異なるヌクレオチド配列を含む。
【0204】
また、本明細書中で使用される場合、マウスTLR8核酸とは、マウスTLR8ポリペプチドをコードする単離された核酸分子をいう。このような核酸分子は、配列番号193の配列およびそのフラグメントを含むマウスTLR8ポリペプチドをコードする。この核酸分子は、配列番号190、配列番号191のヌクレオチド配列、ならびに遺伝コードの縮重に起因してコドン配列が配列番号190および配列番号191の配列とは異なるヌクレオチド配列を含む。
【0205】
本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸はまた、前述の核酸の対立遺伝子およびフラグメントを含む。このようなフラグメントは、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおいてプローブとして、そしてポリメラーゼ連鎖反応においてプライマーとして、使用され得る。好ましいマウスTLR7核酸は、配列番号173および配列番号174の核酸配列を含む。好ましいマウスTLR8核酸は、配列番号190および配列番号191の核酸配列を含む。前述の核酸の相補体もまた、本発明に包含される。
【0206】
本明細書中で使用される場合、マウスTLR7核酸またはマウスTLR7ポリペプチドはまた、マウスTLR7のホモログおよび対立遺伝子を包含する。同様に、本明細書中で使用される場合、マウスTLR8核酸またはマウスTLR8ポリペプチドもまた、マウスTLR8のホモログおよび対立遺伝子を包含する。マウスTLR7およびマウスTLR8のホモログおよび対立遺伝子は、マウスTLR9のホモログおよび対立遺伝子に関して本明細書中で以前に示された、ヌクレオチドおよびアミノ酸の同一性の程度に従う。
【0207】
本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸の対立遺伝子は、従来技術によって同定され得る。例えば、マウスTLR7の対立遺伝子は、ストリンジェントな条件下で、配列番号173または配列番号174の少なくとも1つのフラグメントを含むプローブを、cDNAライブラリーとハイブリダイズさせ、そして陽性クローンを選択することによって単離され得る。従って、本発明の1つの局面は、マウスTLR7ポリペプチドをコードし、そしてストリンジェントな条件下で配列番号173または配列番号174からなる核酸分子にハイブリダイズする核酸配列である。同様に、本発明の1つの局面は、マウスTLR8ポリペプチドをコードし、そしてストリンジェントな条件下で配列番号190または配列番号191からなる核酸分子にハイブリダイズする核酸配列である。この文脈におけるストリンジェントな条件は、本明細書中の別の箇所に記載したのと同じ意味を有し、適切なハイブリダイゼーション緩衝液および約65℃の温度の使用を含む。
【0208】
マウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸のスクリーニングにおいて、サザンブロットを、放射性プローブと一緒に、本明細書に以前に記載されたストリンジェントな条件を使用して実行し得る。DNAが最終的に移されるメンブレンの洗浄後、このメンブレンを、X線フィルムに対して配置して、放射性シグナルを検出し得る。対応する非放射性の方法もまた、当該分野で周知であり、かつ類似の効果のために使用され得る。
【0209】
本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸はまた、本明細書中に上記したように、ネイティブの物質中に存在するコドンの代替のコドンを含む縮重核酸も含む。
【0210】
本発明はまた、1つ以上のヌクレオチドの付加、置換および欠失を含む改変核酸分子を提供する。本発明のこの局面に従う改変核酸分子は、完全にネイティブなヒトTLR7核酸分子(配列番号168、配列番号169、GenBank登録番号AF245702およびGenBank登録番号AF240467)および完全にネイティブなヒトTLR8核酸分子(配列番号182、配列番号183、GenBank登録番号AF245703およびGenBank登録番号AF246971)を排除する。好ましい実施形態において、これらの改変核酸分子および/またはそれがコードするポリペプチドは、未改変核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1つの活性または機能(例えば、シグナル伝達活性など)を保持する。特定の実施形態において、この改変核酸分子は、改変ポリペプチド、好ましくは、本明細書中の別の箇所に記載されたような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。この改変核酸分子は、未改変核酸分子と構造的に関連し、そしてより好ましい実施形態においては、未改変核酸分子と構造的に十分に関連するので、当業者に公知のストリンジェントな条件下で、この改変核酸分子と未改変核酸分子とはハイブリダイズする。
【0211】
本発明はまた、マウスTLR7のヌクレオチド配列(配列番号173および配列番号174)およびマウスTLR8のヌクレオチド配列(配列番号190および配列番号191)の単離されたフラグメントを提供する。これらのフラグメントは、サザンブロットアッセイにおいてプローブとして使用されて、このような核酸を同定し得るか、またはPCRを使用するような増幅アッセイにおいて使用され得る。より小さいフラグメントは、12、13、14、15、16、17、18、20、22、25、30、40、50または75ヌクレオチド、およびその間の全ての整数のヌクレオチドを含むフラグメントであり、そして、例えば、核酸増幅手順のためのプライマーとして有用である。当業者に公知なように、例えば、200、250、300、400またはそれ以上のヌクレオチドのより大きいプローブは、サザンブロットのような特定の用途のために好ましいが、より小さいフラグメントは、PCRのような用途のために好ましい。フラグメントはまた、抗体の生成またはポリペプチドフラグメントの結合の決定のための融合タンパク質を生成するために使用され得る。同様に、フラグメントは、例えば、抗体の調製、免疫アッセイなどにおいて有用な、マウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドの非融合フラグメントを生成するために使用され得る。前述の核酸フラグメントは、さらに、マウスTLR7およびマウスTLR8の核酸およびポリペプチドの発現を阻害するためにアンチセンス分子として使用され得る。
【0212】
本発明はまた、マウスTLR7およびマウスTLR8の機能的に等価な改変体を含み、これには、マウスTLR7およびマウスTLR8の少なくとも1つの機能的特性を保持する、改変核酸および改変ポリペプチドが含まれる。好ましくはこのような改変体は、マウス特異的なN末端ドメインを含む。
【0213】
機能的に等価な改変体はまた、一部(例えば、N末端の)が除去されたか、または別のTLR由来の類似のドメインによって置換された、マウスTLR7またはマウスTLR8を含む(例えば、「ドメイン交換(domain−swapping)」改変体)。このようなドメイン交換改変体の例としては、別の種由来のTLR7ドメインの交換および別のTLR由来のTLRドメインの交換に関与する改変体が挙げられる。
【0214】
他の機能的に等価な改変体ならびにこのような改変体を調製するための方法は、当業者に公知である。機能的に等価な改変体の活性は、本明細書中ならびに他のTLRおよび他種のTLRを使用するアッセイを記載した参考文献中に提供される方法を使用して、決定され得る。このような改変体は、とりわけ、薬物のバイオアベイラビリティーの評価のために、マウスTLR7およびマウスTLR8に結合する化合物および/またはマウスTLR7およびマウスTLR8のシグナル伝達機能を調節する化合物の同定のためのアッセイにおいて、そしてシグナル伝達活性に必要なマウスTLR7およびマウスTLR8の部分を決定するために、有用である。
【0215】
非機能的な改変体もまた、上記のように調製され得る。このような改変体は、例えば、TLR7およびTLR8のシグナル伝達活性を試験する実験においてネガティブコントロールとして有用である。非機能的な改変体の例としては、リガンド結合またはシグナル伝達活性に重要であると考えられるアミノ酸の短縮または変異を組み込んでいる改変体が挙げられる。
【0216】
特定の実施形態において、マウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸は、真核生物細胞および原核生物細胞内でマウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸の発現を指向し得る遺伝子発現配列に、作動可能に連結される。用語「遺伝子発現配列」および「作動可能に連結される」は、本明細書中で上で定義した通りである。
【0217】
本発明のマウスTLR7核酸分子およびマウスTLR8核酸分子、ならびにマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドは、真核生物細胞または原核生物細胞に、単独でか、またはベクターと組み合わせて送達され得る。マウスTLR7核酸分子およびマウスTLR8核酸分子に適用する場合、「ベクター」は、以下を促進し得る任意のビヒクルである:(1)マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドの、標的細胞への送達、(2)マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドの、標的細胞による取り込み、あるいは(3)マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸分子またはポリペプチドの、標的細胞における発現。
【0218】
生物学的ベクターに加えて、化学的/物理的ベクターが使用されて、マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドを標的細胞に送達し得、そして標的細胞による取り込みを促進し得る。マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドに関して本明細書中で使用される場合、「化学的/物理的ベクター」とは、単離されたマウスTLR7またはマウスTLR8の核酸またはポリペプチドを細胞に対して送達し得る、細菌学的供給源またはウイルス供給源由来のもの以外の、天然または合成の分子をいう。
【0219】
標的細胞によるマウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸の取り込みを促進するために使用され得る他の例示的組成物としては、リン酸カルシウム、および細胞内輸送の化学的中間体、マイクロインジェクション組成物、エレクトロポレーションならびに(例えば、標的細胞染色体内の予め選択された位置へ、マウスTLR7核酸またはマウスTLR8核酸を組み込むための)相同組換え組成物が挙げられる。
【0220】
本発明が、宿主細胞および細胞株(原核生物(例えば、E.coli)または真核生物(例えば、293繊維芽細胞(ATCC、CRL−1573)、MonoMac−6、THP−1、U927、CHO細胞、COS細胞、酵母発現系および昆虫における組換えバキュウロウイルス発現))をトランスフェクトするために、発現ベクター中のマウスTLR7cDNA配列およびマウスTLR8cDNA配列の使用を包含することもまた認識される。特に有用なものは、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、ブタ、ヤギ、霊長類、モルモットなど)である。これらは、広範な種々の組織型のものであり得、そして霊長類の細胞および細胞株を含む。適切な配列(すなわち、前出に記載の核酸)を必要とする発現ベクターは、プロモーターに作動可能に連結される。
【0221】
本発明はまた、上記のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸によってコードされる、単離されたマウスTLR7ポリペプチドおよび単離されたマウスTLR8ポリペプチド(これは、配列番号175、配列番号192およびこれらのフラグメントのアミノ酸配列を含む)を提供する。マウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドはまた、対立遺伝子、機能的に等価な改変体およびアナログ(これらの非対立遺伝子ポリペプチドは、1、2、3、4、5またはそれ以上のアミノ酸が、開示されたマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドのアミノ酸とは異なる)を包含するが、但し、このようなポリペプチドは、マウスTLR7またはマウスTLR8の活性を保持する。非機能的な改変体もまた、本発明に包含される;これらは、TLR7およびTLR8のシグナル伝達機能のアンタゴニストとして、アッセイにおけるネガティブコントロールなどとして有用である。このような対立遺伝子、改変体、アナログおよびフラグメントは、例えば、単独で、または種々の目的のための融合タンパク質として(アッセイの成分としてを含む)、有用である。
【0222】
本発明はまた、上記のマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドの改変体を包含する。マウスTLR7改変体またはマウスTLR8改変体を作製する改変は、以下を含む種々の理由のために、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対してなされ得る:1)マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの活性(例えば、シグナル伝達)を減少または排除するため;2)マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの特性(例えば、シグナル伝達、核酸リガンドもしくは他のリガンド分子に対する結合親和性、発現系におけるタンパク質の安定性、またはタンパク質−タンパク質結合の安定性)を増強するため;3)マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対する新規活性または特性(例えば、抗原性エピトープの付加、または検出可能部分(例えば、ルシフェラーゼ、FLAGペプチド、GFP)の付加)を提供するため;4)分子のシグナル伝達活性に影響するかまたは影響しないアミノ酸置換を確立するため;あるいは5)免疫原性を減少させるため。マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対する改変は、代表的に、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドをコードする核酸に対してなされ、そして改変としては、欠失、点変異、短縮、アミノ酸置換およびアミノ酸または非アミノ酸部分の付加が挙げられ得る。あるいは、改変は、例えば、切断、リンカー分子の付加、検出可能部分(例えば、ビオチン、蛍光団、放射性同位体、酵素またはペプチド)の付加、脂肪酸の付加などによって、ポリペプチドに対して直接なされ得る。
【0223】
改変はまた、マウスTLR7アミノ酸配列またはマウスTLR8アミノ酸配列の全てまたは一部を含む融合タンパク質を包含する。
【0224】
改変体としては、その生理学的活性に無関係な各ポリペプチドの特徴を特異的に変更するように改変されたマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドが挙げられる。例えば、システイン残基は、望まれないジスルフィド結合を予防するために置換または欠失され得る。同様に、特定のアミノ酸は、発現系におけるプロテアーゼによるタンパク質分解を排除することによって、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの発現を増強するように変化され得る(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母発現系における二塩基性アミノ酸残基)。
【0225】
マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドをコードする核酸の変異は、好ましくは、コード配列のアミノ酸リーディングフレームを保存し、そして好ましくは、ハイブリダイズして二次構造(例えば、ヘアピンまたはループ(これらは、改変体ポリペプチドの発現に対して有害であり得る))を形成する可能性のある領域を核酸中に作製しない。マウスTLR7またはマウスTLR8の変異を作製する方法は、マウスTLR9の変異の作製に関して本明細書中の別の箇所に記載される通りである。
【0226】
マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの改変体の活性を、原核生物または真核生物(例えば、哺乳動物)の発現ベクター中に、改変体マウスTLR7ポリペプチドまたは改変体マウスTLR8ポリペプチドをコードする遺伝子をクローニングし、このベクターを適切な宿主細胞に導入し、改変体マウスTLR7ポリペプチドまたは改変体マウスTLR8ポリペプチドを発現させ、そしてこのマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの機能的能力を、本明細書中に開示のように試験することによって、試験し得る。
【0227】
当業者はまた、保存的アミノ酸置換がマウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチド中に作製されて、上記のポリペプチドの機能的に等価な改変体(すなわち、マウスTLR7ポリペプチドおよびマウスTLR8ポリペプチドの機能的能力を保持する改変体)を提供し得ることを認識する。
【0228】
当業者に周知の種々の方法論を使用して、マウスTLR9ポリペプチドに関して上記されたように、単離されたマウスTLR7ポリペプチド分子およびマウスTLR8ポリペプチド分子を獲得し得る。
【0229】
本明細書中に記載される発明は、多数の用途を有し、このうちいくつかは、本明細書中の別の箇所に記載される。例えば、本発明は、マウスTLR7ポリペプチド分子およびマウスTLR8ポリペプチド分子の単離を可能にし、これは、例えば、標準的なプロトコールを使用して単離され得る大量のポリペプチドを生成するための組換え核酸の発現による。別の例として、マウスTLR7遺伝子の単離は、マウスTLR7が、TLR7が関与する分子相互作用をアッセイするための方法において使用されることを可能にする。
【0230】
本発明はまた、マウスTLR7またはマウスTLR8の核酸分子またはポリペプチドに選択的に結合する因子、ならびに本明細書中に記載されるようなポリペプチドおよび核酸の改変体およびフラグメントに結合する因子を包含する。この因子としては、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合するポリペプチド、およびアンチセンス核酸が挙げられ、これらは両方とも、以下により詳細に記載される。いくつかの因子は、マウスTLR7が媒介するシグナル伝達活性を阻害または増大し得(それぞれ、アンタゴニストおよびアゴニスト)、そしていくつかは、マウスTLR8が媒介するシグナル伝達活性を阻害または増大し得る。
【0231】
1つの実施形態において、マウスTLR7インヒビターは、マウスTLR7核酸分子に選択的に結合して、細胞中のマウスTLR7(または別種のTLR7)の発現を減少させる、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、TLR7シグナル伝達活性の減少が所望される、実質的に任意の医学的状態において所望される。配列番号173および配列番号174に基づいて、または対立遺伝子もしくはホモログのゲノム配列および/もしくはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従って使用するための、任意の多数の適切なアンチセンス分子を、容易に選択および合成し得る。
【0232】
1つの実施形態において、マウスTLR8インヒビターは、マウスTLR8核酸分子に選択的に結合して、細胞中のマウスTLR8(または別種のTLR8)の発現を減少させる、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、TLR8シグナル伝達活性の減少が所望される、実質的に任意の医学的状態において所望される。配列番号190および配列番号191に基づいて、または対立遺伝子もしくはホモログのゲノム配列および/もしくはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従って使用するための、任意の多数の適切なアンチセンス分子を、容易に選択および合成し得る。
【0233】
マウスTLR7またはマウスTLR8についてのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書中に上記したような、「天然」オリゴヌクレオチドおよび「改変」オリゴヌクレオチドを含み得る。
【0234】
マウスTLR7またはマウスTLR8を結合する因子としてはまた、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチド、およびそれぞれマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドを含む複合体に結合する、結合ペプチドあるいは他の分子が挙げられる。結合分子がインヒビターである場合、この分子は、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合し、その活性を阻害する。結合分子がアクチベーターである場合、この分子は、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合して、その活性を増大させる。マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子が、マウスTLR7またはマウスTLR8に結合するか否かを決定するために、任意の公知の結合アッセイが使用され得る。例えば、この結合因子は、表面に固定化され、次いで標識されたマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドと接触させられ得る。次いで、マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子と相互作用するマウスTLR7またはマウスTLR8の量、あるいはマウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子に結合しないマウスTLR7またはマウスTLR8の量を定量して、マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子がマウスTLR7またはマウスTLR8に結合するか否かを決定し得る。
【0235】
マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子としては、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドに対して、およびマウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドとそれらの結合パートナーとを含む複合体に対して、選択的または優先的に結合する、多数のサイズおよび型の分子が挙げられる。これらの分子は、種々の供給源に由来し得る。例えば、マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子は、固定化形態の、またはファージディスプレイライブラリーとしての変性ペプチドライブラリー(これは、溶液中に容易に調製され得る)をスクリーニングすることによって提供され得る。組み合わせライブラリーもまた、1以上のアミノ酸を含むペプチドから合成され得る。ライブラリーは、さらに、ペプトイドおよび非ペプチド合成部分から合成され得る。
【0236】
マウスTLR7結合ペプチドおよびマウスTLR8結合ペプチドを同定するために有用な例示的方法は、マウスTLR9結合ペプチドを同定するための方法に関して本明細書中に記載された方法と類似であるので、ここでは繰り返さない。
【0237】
従って、本発明は一般に、TLR7活性およびTLR8活性に関連する状態の処置において有用な因子について、薬理学的因子またはリード化合物を同定する有効な方法、ならびにこうして同定された化合物および因子を提供する。一般に、このスクリーニング方法は、マウスTLR7またはマウスTLR8の発現あるいはマウスTLR7またはマウスTLR8を介したシグナル伝達を阻害または増強する化合物についてアッセイする工程を包含する。このような方法は、化合物の自動化されたハイスループットスクリーニングに適用可能である。
【0238】
薬理学的因子についての種々のアッセイが提供され、これには、標識インビトロタンパク質結合アッセイ、検出可能な分子を使用するシグナル伝達アッセイなどが含まれる。例えば、タンパク質結合スクリーニングは、マウスTLR7またはマウスTLR8に対する候補薬理学的因子の結合を迅速に試験するために使用される。候補薬学的因子は、例えば、組み合わせのペプチドライブラリーまたは核酸ライブラリーに由来し得る。このようなアッセイのための従来の試薬は、当該分野で公知である。例示的な細胞ベースのシグナル伝達アッセイは、それによって検出可能な分子の誘導が生じ得る条件下で、マウスTLR7またはマウスTLR8を有する細胞を、候補薬学的因子と接触させる工程を包含する。候補薬理学的因子の存在下での、検出可能な分子の誘導の減少した程度は、この候補薬理学的因子が、マウスTLR7またはマウスTLR8のシグナル伝達活性を減少させることを示す。候補薬理学的因子の存在下での、検出可能な分子の誘導の増大した程度は、この候補薬理学的因子が、マウスTLR7またはマウスTLR8のシグナル伝達活性を増大させることを示す。
【0239】
本発明の方法において使用されるマウスTLR7またはマウスTLR8は、単離されたポリペプチド(ここで、候補薬理学的因子の結合が測定される)としてか、または細胞もしくは他の膜カプセル化空間(これは、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドを含む)として、アッセイ混合物に添加され得る。後者のアッセイ構成において、細胞または他の膜カプセル化空間は、ポリペプチドまたは核酸として、マウスTLR7またはマウスTLR8を含み得る(例えば、マウスTLR7をコードする核酸分子を含む発現ベクターによって形質転換された細胞)。本明細書中に記載されるアッセイにおいて、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドは、組換え的に生成され得るか、生物学的抽出物から単離される得か、またはインビトロで合成され得る。マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドは、別のポリペプチド(例えば、タンパク質−タンパク質結合を提供もしくは増強し得るか、シグナル伝達能力を増強し得るか、検出を容易にし得るか、またはアッセイ条件下でマウスTLR7ポリペプチドもしくはマウスTLR8ポリペプチドの安定性を増強し得るポリペプチド)との、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドの融合を含む、キメラタンパク質を包含する。マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドあるいはこれらのフラグメントに融合したポリペプチドはまた、例えば、免疫学的認識または蛍光標識によって融合タンパク質を容易に検出する手段を提供し得る。
【0240】
このアッセイ混合物はまた、マウスTLR9に関して上記されたように、候補薬理学的因子を含む。候補薬理学的因子は、広範な種々の供給源(天然、合成、または半合成の化合物、あるいはこれらの任意の組み合わせのライブラリーを含む)から獲得される。現在、マウスTLR7およびマウスTLR8の天然のリガンドは未知であるが、CpG−ODNは含まないようである。
【0241】
種々の他の試薬がまた、アッセイ混合物中に含まれ得る。これらとしては、最適のタンパク質−タンパク質結合および/またはタンパク質−核酸結合を促進するために使用され得る、塩、緩衝液、中性タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤などの試薬が挙げられる。このような試薬はまた、反応成分の非特異的相互作用またはバックグラウンド相互作用を減少させ得る。アッセイ効率を改善する他の試薬(例えば、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤など)もまた使用され得る。
【0242】
上記アッセイ材料の混合物を、候補薬理学的因子の存在について、マウスTLR7またはマウスTLR8が、マウスTLR7媒介性またはマウスTLR8媒介性のシグナル伝達、好ましくはTLR/IL−1Rシグナル伝達を媒介するような条件下で、インキュベートする。候補薬理学的因子のマウスTLR7またはマウスTLR8に対する結合を決定するために、この混合物を、結合を可能にする条件下でインキュベートする。成分の添加の順番、インキュベーション温度、インキュベーション時間およびこのアッセイの他のパラメーターは、容易に決定され得る。このような実験は、単に、アッセイパラメーターの最適化のみを伴い、このアッセイの基本的な組成物の最適化を伴わない。インキュベーション温度は、代表的には、4℃と40℃との間である。インキュベーション時間は、好ましくは、迅速な高スループットスクリーニングを容易にするために最小化され、そして代表的には1分と10時間との間である。
【0243】
インキュベーション後、マウスTLR7ポリペプチドまたはマウスTLR8ポリペプチドと候補薬理学的因子との間のシグナル伝達レベルまたは特異的結合レベルは、本明細書中の別の箇所に記載のように、使用者に利用可能な任意の従来方法によって検出される。
【0244】
マウスTLR7結合因子またはマウスTLR8結合因子はまた、抗体または機能的に活性な抗体フラグメントであり得る。抗体(モノクローナル抗体および抗体フラグメントを含む)は、免疫学の科学分野の当業者に周知であり、本明細書中の別の箇所に記載された通りである。モノクローナル抗体は、マウスTLR7もしくはマウスTLR8またはこれらのフラグメントを免疫原として使用する、当該分野で公知の方法のいずれかによって作製され得る。あるいは、この抗体は、マウスTLR7活性またはマウスTLR8活性を阻害する、マウスTLR7またはマウスTLR8に特異的なポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体の調製および使用もまた、当業者に公知である。
【0245】
上記で提供されたアッセイにおいて本発明に従って有用であると同定された、抗マウスTLR7モノクローナル抗体または抗マウスTLR8モノクローナル抗体の抗原結合Fab’部分、ならびに関連のFR領域およびCDR領域の配列は、当該分野で慣用的なアミノ酸配列決定方法を使用して決定され得る。このような配列情報は、本明細書中の別の箇所に記載のように、ヒト化抗体およびキメラ抗体、ならびに種々の融合タンパク質および結合フラグメントを作製するために使用され得る。
【0246】
従って、当業者に明らかなように、本発明はまた、抗マウスTLR7モノクローナル抗体または抗マウスTLR8モノクローナル抗体のF(ab’)2フラグメントおよびFabフラグメント;抗マウスTLR7抗体または抗マウスTLR8抗体のFc領域および/またはFR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒトの配列によって置換されているキメラ抗体;抗マウスTLR7抗体または抗マウスTLR8抗体のFR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒトの配列によって置換されているキメラF(ab’)2フラグメント抗体;ならびにFR領域および/またはCDR1領域および/またはCDR2領域および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒトの配列によって置換されているキメラFabフラグメント抗体、を提供する。
【0247】
本発明に従えば、マウスTLR7インヒビターおよびマウスTLR8インヒビターはまた、それぞれ、配列番号175または配列番号192由来の「ドミナントネガティブ」ポリペプチドを含む。細胞中の本発明のドミナントネガティブマウスTLR7ポリペプチドまたはドミナントネガティブマウスTLR8ポリペプチドの発現の最終結果は、TIR経路を通じたシグナル伝達のようなTLR7またはマウスTLR8活性の減少である。当業者は、マウスTLR7のドミナントネガティブ改変体またはドミナントネガティブマウスTLR8ポリペプチドが、標準的な突然変異誘発技術を用いて、1つ以上のドミナントネガティブ改変体ポリペプチドを作製する能力を評価し得る。
【0248】
本発明のこの局面に従う各々の組成物は、種々の治療目的および非治療目的のために有用である。例えば、本発明のマウスTLR7およびマウスTLR8核酸は、オリゴヌクレオチドプローブとして有用である。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、同一の核酸配列または実質的に類似の核酸配列を保有するゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーのクローンを同定するために、本明細書において用いられ得る。ハイブリダイゼーション、プローブの合成、および欠失の方法は一般に、本明細書において他のいずれかに記載されている。
【0249】
さらに、マウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸の相補体は、例えば、マウスTLR7またはマウスTLR8の「ノックアウト」表現型を誘導するために動物にアンチセンスオリゴヌクレオチドを送達することによって、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして有用であり得る。
【0250】
あるいは、本発明のマウスTLR7核酸およびマウスTLR8核酸は、非ヒトトランスジェニック動物を作成するために用いられ得る。従って、本発明は、TLR7媒介シグナル伝達およびマウスTLR8媒介シグナル伝達に関与する障害の研究のためのモデルとして、マウスTLR7およびマウスTLR8のノックアウト動物およびトランスジェニック動物の使用を意図する。当業者に公知の種々の方法が、本発明に関連したトランスジェニック動物の産生のために利用可能である。
【0251】
内因性TLR7またはTLR8の遺伝子の不活性化または置換は、胚性幹細胞を用いた相同組み換えシステムによって達成され得る。TLR7−/−またはTLR8−/−ノックアウト表現型を有する、得られたトランスジェニック非ヒト動物は、マウスTLR7またはマウスTLR8に対してトランスジェニックにされ、そしてマウスTLR7またはマウスTLR8の調節因子(アゴニストまたはアンタゴニスト/インヒビター)として化合物をスクリーニングするためのモデルとして用いられ得る。この様式において、このような治療薬が同定され得る。
【0252】
さらに、マウスTLR7またはマウスTLR8の正常バージョンまたは変異バージョンが生殖細胞株に挿入され、マウスTLR7またはマウスTLR8の正常型または変異型を構成的にまたは誘導性に発現するトランスジェニック動物を産生し得る。これらの動物は、細胞におけるマウスTLR7またはマウスTLR8の役割および機能を規定する研究において有用である。
【0253】
本発明による有用なマウスTLR7およびマウスTLR8のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチドは、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせられ得る。従って、本発明はまた、薬学的組成物、および本発明のこの局面の組成物を含む薬学的組成物を調製するための方法を提供する。この薬学的組成物は、本発明による有用なマウスTLR7およびマウスTLR8のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、およびポリペプチドの1つまたは任意の組み合わせ、ならびに必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含む。各薬学的組成物は、本発明に従う有用なマウスTLR7およびマウスTLR8のアンタゴニスト、アゴニスト、核酸、またはポリペプチド、ならびにそれらの任意の組み合わせを選択することによって、そして必要に応じてそれを薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせることによって調製される。
【0254】
種々の投与経路が、本明細書に以前に記載されたように利用可能である。選択された特定の様式は、当然ながら、選択された特定の化合物、処置されている状態の重篤度、および治療有効性に必要な投与量に依存する。
【0255】
同様に、マウスTLR9に関して上記の考察を類推すれば、単位用量の固体、液体、徐放性処方物などを含む種々の処方物が意図される。
【0256】
(スクリーニングアッセイ)
別の局面において、本発明は、TLR7、TLR8、およびTLR9を介するISNA誘導免疫調節において、ISNA模倣物、アゴニスト、またはアンタゴニストとして作用する候補化合物をスクリーニングするための方法を提供する。好ましくは、スクリーニング方法は、例えば、ロボットのまたは自動化されたアレイ取り扱いデバイスと組み合わせてサンプルのマルチウェルアレイの使用を通じて達成され得るような、ハイスループットスクリーニングアッセイを提供するように適合され得る。
【0257】
免疫刺激核酸としては、CpG核酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0258】
本明細書に用いられるような「CpG核酸」または「CpG免疫刺激核酸」は、少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む核酸(シトシン−グアニンジヌクレオチド配列、すなわち、「CpG DNA」または5’シトシン、続いて3’グアニンを含み、そしてリン酸結合で連結されたDNA)であり、そして免疫系の成分を活性化する。CpG核酸の全体が、メチル化されていなくてもよいし、部分がメチル化されていなくてもよいが、5’CG3’の少なくともCは、メチル化されていてはならない。
【0259】
1つの実施形態において、CpG核酸は、少なくとも以下の式によって示され:
5’−N1X1CGX2N2−3’
ここで、X1およびX2は、ヌクレオチドであり、Nは任意のヌクレオチドであり、そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である。いくつかの実施形態において、X1はアデニン、グアニン、またはチミンであり、そして/またはX2は、シトシン、アデノン、またはチミンである。他の実施形態において、X1は、シトシンであり、そして/またはX2は、グアニンである。
【0260】
他の実施形態において、CpG核酸は、少なくとも以下の式によって示され:
5’−N1X1X2CGX3X4N2−3’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドであり、Nは任意のヌクレオチドであり、そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpT、およびTpGからなる群より選択されるヌクレオチドであり;そしてX3X4は、TpT、CpT、ApT、TpG、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、およびCpAからなる群より選択されるヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpAまたはGpTであり、そしてX3X4は、TpTである。他の実施形態において、X1またはX2またはその両方は、プリンであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンであるか、あるいはX1X2はGpAであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンである。
【0261】
別の実施形態において、CpG核酸は少なくとも以下の式によって示され:
5’−TCN1TX1X2CGX3X4−3’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドであり;Nは任意のヌクレオチドであり;そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpT、およびTpGからなる群より選択されるヌクレオチドであり;そしてX3X4は、TpT、CpT、ApT、TpG、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、およびCpAからなる群より選択されるヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、X1X2は、GpAまたはGpTであり、そしてX3X4は、TpTである。他の実施形態において、X1またはX2またはその両方は、プリンであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンであるか、あるいはX1X2はGpAであり、そしてX3またはX4またはその両方は、ピリミジンである。
【0262】
本発明に従うCpG核酸の例としては、表1に列挙される核酸(例えば、配列番号21〜29、31〜42、44、46〜50、52〜62、64〜75、77〜88、90〜117、119〜124)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0263】
【表1】
他のISNAとしては、T−リッチ核酸、ポリG核酸、およびリン酸修飾骨格(例えば、ホスホロチオエート骨格)を有する核酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0264】
「Tリッチ核酸」または「Tリッチ免疫刺激核酸」は、少なくとも1つのポリT配列を含み、そして/または25%より大きいTヌクレオチド残基からなるヌクレオチドを有し、そして免疫系の成分を活性化する核酸である。ポリT配列を有する核酸は、5’TTTT3’のように、列中に少なくとも4つのTを含む。好ましくは、Tリッチ核酸は、1より多いポリT配列を含む。好ましい実施形態において、Tリッチ核酸は、2,3,4などのポリT配列を有し得る。本発明に従って発見された最も高度に免疫刺激性のTリッチオリゴヌクレオチドは、全体としてTヌクレオチド残基からなる核酸である。他のTリッチ核酸は、25%より大きいTヌクレオチド残基からなるヌクレオチド組成を有するが、ポリT配列を含む必要はない。これらのTリッチ核酸において、Tヌクレオチド残基は、他のタイプのヌクレオチド残基(すなわち、G、CおよびA)によってお互いに分離され得る。いくつかの実施形態において、Tリッチ核酸は、Tヌクレオチド残基が30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および99%より大きい、そしてあらゆるその間の%のヌクレオチド組成物を有する。好ましくは、Tリッチ核酸は、少なくとも1つのポリT配列、および25%より大きいTヌクレオチド残基のヌクレオチド組成物を有する。
【0265】
1つの実施形態において、Tリッチ核酸は、少なくとも以下の式によって示され:
5’X1X2TTTTX3X43’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドである。1つの実施形態において、X1X2は、TTであり、そして/またはX3X4は、TTである。別の実施形態において、X1X2は、以下のヌクレオチドのいずれか1つであり:TA、TG、TC、AT、AA、AG、AC、CT、CC、CA、CG、GT、GG、GA、およびGC;そしてX3X4は、以下のヌクレオチドのいずれか1つである:TA、TG、TC、AT、AA、AG、AC、CT、CC、CA、CG、GT、GG、GA、およびGC。
【0266】
いくつかの実施形態において、Tリッチ核酸は、ポリC(CCCC)、ポリA(AAAA)、ポリG(GGGG)、CpGモチーフ、または複数のGCを含まないことが好ましい。他の実施形態において、Tリッチ核酸は、これらのモチーフを含む。従って、本発明のいくつかの実施形態において、Tリッチ核酸は、CpGジヌクレオチドを含み、そして他の実施形態において、Tリッチ核酸は、CpGジヌクレオチドを含まない。CpGジヌクレオチドは、メチル化されていてもいなくてもよい。
【0267】
ポリG含有核酸はまた免疫刺激性である。PisetskyおよびReich,1993 Mol.Biol.Reports,18:217〜221;KriegerおよびHerz,1994、Ann.Rev.Biochem.63:601〜637;Macayaら、1993、PNAS,90:3745〜3749;Wyattら、1994、PNAS,91:1356〜1360;Rando、およびHogan,1998、Applied Antisense Oligonucleotide Technology編、KriegおよびStein、第335〜352頁;およびKimuraら、1994、J.Biochem.116,991〜994を含む種々の参考文献がまた、ポリG核酸の免疫刺激特性を記載している。
【0268】
ポリG核酸は好ましくは、以下の式を有する核酸であり:
5’X1X2GGGX3X43’
ここで、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドである。好ましい実施形態において、少なくとも1つのX3およびX4は、Gである。他の実施形態において、X3およびX4の両方は、Gである。なお他の実施形態において、好ましい式は、5’GGGNGGG3’、または5’GGGNGGGNGGG3’であり、ここでNは、0ヌクレオチド〜20ヌクレオチドを示す。他の実施形態において、ポリG核酸は、メチル化されていないCGジヌクレオチドを含まない。他の実施形態において、ポリG核酸は、少なくとも1つのメチル化されていないCGジヌクレオチドを含む。
【0269】
修飾骨格(例えば、ホスホロチオエート骨格)を有する核酸はまた、免疫刺激核酸のクラス内におさまる。米国特許第5,723,335号および同第5,663,153号(Hutchersonらに発行)および関連のPCT公開WO95/26204は、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドアナログを用いる免疫刺激を記載する。これらの特許は、ホスホロチオエート骨格が、非配列特異的な様式で免疫系を刺激する能力を記載している。
【0270】
ISNAは、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。一般に二本鎖分子は、インビボでより安定であり得るが、一本鎖分子は、活性が増大しているかもしれない。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドすなわち、リン酸基および交換可能な有機塩基に連結された糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子をいう。この塩基は、置換されたピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミン(T)、またはウラシル(U))、または置換されたプリン(例えば、アデニン(A)、またはグアニン(G))、または改変された塩基のいずれかである。本明細書において用いる場合、この用語は、オリゴヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドをいう。この用語はまた、ポリヌクレオチド(すなわち、ポリヌクレオチド、マイナスホスフェート)、および任意の他の有機塩基含有ポリマーを含む。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」はまた、共有結合的に修飾された塩基および/または糖を有する核酸またはオリゴヌクレオチドを包含する。例えば、それらは、3’位置でヒドロキシル基以外の、5’位置でホスフェート基以外の低分子量有機基に共有結合している骨格糖を有する核酸を含む。従って、改変された核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、改変された核酸は、リボースの変わりにアラビノースのような糖を含み得る。従って、この核酸は、骨格組成において異種(外来)であり、それによってペプチド−核酸(核酸塩基を有するアミノ酸骨格を有する)のような、一緒に連結されたポリマー単位の任意の可能な組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、この核酸は骨格組成において同種である。
【0271】
ISNAの置換されたプリンおよびピリミジンは、標準的なプリンおよびピリミジン(例えば、システイン)、ならびに塩基アナログ(例えば、C−5プロピン置換された塩基)を含む。Wager RWら、Nat Biotechnol 14:840〜844(1996)。プリンおよびピリミジンはとしては、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、および他の天然に存在する核酸塩基および天然に存在しない核酸塩基、置換された芳香族部分および置換されていない芳香族部分が挙げられるがこれらに限定されない。
【0272】
ISNAは、塩基またはヌクレオチドの連結ポリマーである。核酸の連結単位について、本明細書において用いる場合、「連結した(された)(linked)」または「連結(linkage)」とは、2つのものが任意の物理化学的な手段でお互いに結合していることを意味する。当業者に公知の任意の共有結合的な連結、または非共有結合的な連結が包含される。このような連結は、当業者に周知である。天然の連結(核酸の個々の単位に対する接続が通常天然に見出される)が最も一般的である。しかし、核酸の個々の単位は、合成連結または改変された連結によって連結されてもよい。
【0273】
核酸が文字の配列で示されている時はいつも、ヌクレオチドは左から右に5’〜3’方向であること、そして他に注記しない限り、「A」はアデニンを示し、「C」はシトシンを示し、「G」はグアニンを示し、「T」はチミジンを示し、そして「U」は、ウラシルを示すことが理解される。
【0274】
本発明による有用な免疫刺激性核酸分子は、天然の核酸供給源(例えば、ゲノム核またはミトコンドリアDNAまたはcDNA)から得られ得るか、または合成である(例えば、オリゴヌクレオチド合成によって生成される)。既存の核酸供給源から単離された核酸は、本明細書において、ネイティブ、天然、または単離された核酸と称される。本発明による有用な核酸は、真核生物供給源、原核生物供給源、核DNA、ミトコンドリアDNAなどを含む任意の供給源から単離され得る。従って、核酸という用語は、合成核酸および単離された核酸の両方を包含する。
【0275】
用語「単離された」とは、ISNAに関して本明細書において用いる場合、その意図される用途に実際的でかつ適切である程度まで、天然で通常関連する成分(例えば、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、またはインビボ系)を実質的に含まないか、またはそのような成分から分離されたことを意味する。詳細には、核酸は、例えば、薬学的な調製物の生成において有用であるように、実質的に純粋であり、そして宿主細胞の他の生物学的構成要素を実質的に含まない。本発明の単離された核酸は、薬学的な調製物中で薬学的に受容可能なキャリアと混合され得るので、核酸は、この調製物の重量あたりわずかな割合しか含まれないかもしれない。核酸は、それでもなお、生存している系においては関与し得る物質から実質的に分離されているという点で実質的に純粋である。
【0276】
ISNAは、プラスミドにおいて大規模で実施され得(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら、編、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor、New York、1989を参照のこと)、そして小片に分割されるか、または全体で投与され得る。被験体に投与された後、このプラスミドは、オリゴヌクレオチドに分解され得る。当業者は、標準的な技術(例えば、制限酵素、エキソヌクレアーゼ、またはエンドヌクレアーゼを使用する技術)を用いて、ウイルス、細菌、真核生物、核酸などを精製し得る。
【0277】
本発明における使用のために、ISNAは、当該分野で周知の多数の手順のいずれかを用いて新しく合成され得る。例えば、βシアノエチルホスホルアミダイト法(Beaucage SL、およびCaruthers MH、Tetrahedron Let 22:1859(1981));ヌクレオシドH−ホスフェート法(Gareggら、Tetrahedron Let 27:4051〜4054(1986);Froehlerら、Nucleic Acid Res 14:5399〜5407(1986);Gareggら、Tetrahedron Let 27:4055〜4058(1986);Gaffneyら、Tetrahedron Let 29:2619〜2622(1988))。これらの化学は、市場において利用可能な種々の自動化されたオリゴヌクレオチドシンセサイザーによって実施され得る。
【0278】
改変骨格(例えば、ホスホロチオエート骨格)を有するISNAもまた、免疫刺激性核酸のクラス内におさまる。米国特許第5,723,335号および同第5,663,153号(Hutchersonらに発行)および関連のPCT公開WO95/26204は、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドアナログを用いる免疫刺激を記載している。これらの特許は、ホスホロチオエート骨格が非配列特異的な様式で免疫応答を刺激する能力を記載している。
【0279】
ISNAは、少なくとも6ヌクレオチドの任意のサイズであり得るが、いくつかの実施形態においては、6〜100ヌクレオチドのサイズの範囲であり、またはいくつかの実施形態では8〜35ヌクレオチドのサイズの範囲である。免疫刺激核酸は、プラスミドにおいて大規模に生成され得る。これらは、プラスミド形態で投与されてもよいし、あるいはそれらは投与の前にオリゴヌクレオチドに分解されてもよい。
【0280】
「回文構造の配列(パリンドローム配列)」とは、逆位反復(すなわち、ABCDEE’D’C’B’A’のような配列、ここでAおよびA’,BおよびB’などは、通常のワトソン−クリック塩基対を形成し得る塩基であり、このパリンドロームは少なくとも6ヌクレオチドを含む)を意味する。インビボにおいて、このような配列は、二本鎖構造を形成し得る。1実施形態において、核酸は、回文構造の配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸がCpG核酸である場合、この文脈で用いられる回文構造の配列とは、CpGがパリンドロームの一部であり、そして必要に応じてパリンドロームの中心であるパリンドロームをいう。別の実施形態において、核酸はパリンドロームを含まない。パリンドロームを含まない核酸は、パリンドロームである6ヌクレオチド以上の長さのいずれの領域も有さない。パリンドロームを含まない核酸は、回文構造である6ヌクレオチド未満の領域を含み得る。
【0281】
「安定化されたISNA」とは、インビボの分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレオチドを介する)に対して比較的耐性である核酸分子を意味する。安定化は、長さまたは二次構造の関数であり得る。数十〜数百kbsの長さである核酸は、インビボ分解に対して比較的耐性である。より短い核酸については、二次構造が、それらの効果を安定化しかつ増大し得る。例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端が上流領域に対して半相補性を有し、それによって3’末端が折り畳み得、そしていわゆるステムループ構造を形成し得るような場合、このオリゴヌクレオチドは安定化し、従ってさらに活性を示す。
【0282】
本発明のいくつかの安定化されたISNAは、改変された骨格を有する。オリゴヌクレオチド骨格の改変が、インビボで投与された場合、ISNAの活性を強化することが実証された。核酸(オリゴヌクレオチドの5’末端で少なくとも2つのホスホロチオエート連結、および3’末端で複数(好ましくは5個)のホスホロチオエート連結を含む)は、最大の活性を提供し得、そして細胞内のエキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを保護し得る。他の改変されたオリゴヌクレオチドとしては、ホスホジエステル改変オリゴヌクレオチド、ホスホジエステルおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの組み合わせ、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。免疫細胞に対するこれらの組み合わせの各々およびそれらの特別な効果は、米国特許第6,194,388号、および同第6,207,646号(本明細書においてその内容全体が参考として援用される)にさらに詳細に考察される。これらの改変されたオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性の強化、細胞取り込みの増大、タンパク質結合の増大、および/または細胞内局在化の変化に起因して、より刺激性の活性を示し得る。ホスホロチオエート核酸およびホスホジエステル核酸の両方が免疫細胞において活性である。
【0283】
他の安定化されたISNAとしては、以下が挙げられる:非イオン性DNAアナログ(例えば、アルキルホスフェートおよびアリールホスフェート)(ここで荷電したホスホネート酸素は、アルキル基またはアリール基で置換されている)、ホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステル(ここで荷電された酸素部分はアルキル化されている)。いずれかの末端で、または両方の末端でジオール(例えば、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコール)を含むオリゴヌクレオチドはまた、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることが示されている。
【0284】
インビボ使用に関して、ISNAは好ましくは、分解(例えば、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼを介する)に対して比較的耐性である。二次構造(例えばステムループ)は、分解に対して核酸を安定化し得る。あるいは、核酸安定化は、リン酸骨格の改変を介して達成され得る。安定化された核酸の1つのタイプは、ホスホロチオエート改変骨格の少なくとも一部を有する。ホスホロチオエートは、ホスホラミデートまたはH−ホスホネート化学のいずれかを使用して自動化技術を用いて合成され得る。アリールホスホネートおよびアルキルホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載のように作成され得;そしてアルキルホスホトリエステル(ここで荷電された酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載のように、アルキル化されている)は、市販の試薬を用いて自動化された固相合成によって調製され得る。他のDNA骨格改変および置換を作成するための方法が記載されている。Uhlmann EおよびPeyman A、Chem Rev 90:544(1990);Goodchild J,Bioconjugate Chem 1:165(1990)。
【0285】
本発明によって有用な免疫刺激核酸の他の供給源としては、標準的なウイルスおよび細菌ベクター(その多くが市販されている)が挙げられる。広義では、「ベクター」は、細胞に対して核酸を送達し、核酸の移入を促進するために通常用いられる任意の核酸材料である。本明細書において用いられるベクターは、空のベクターまたは発現され得る遺伝子を運ぶベクターであり得る。ベクターが遺伝子を運ぶ場合、このベクターは一般に遺伝子を標的細胞に輸送するが、このときベクターの非存在下で生じる分解の程度に対して分解は低下している。この場合、ベクターは必要に応じて、標的細胞(例えば、免疫細胞)における遺伝子の発現を増強するような遺伝子発現配列を含む。ただし、この細胞において遺伝子が発現されることは必要ではない。
【0286】
特定のスクリーニングアッセイのための基礎は、細胞における機能的なTLR7、TLR8、またはTLR9の存在である。ある場合の機能的なTLRは、細胞によって天然に発現される。他の場合、機能的なTLRの発現は、細胞または細胞株への種特異的なTLR9の導入または再構成(この細胞または細胞株はさもなければTLRを欠くか、ISNAに対する反応性を欠く)を包含し得、これによってISNAとの接触に応答してTLR/IL−1Rシグナル伝達経路を活性化し得る細胞または細胞株を生じる。TLR9またはISNA反応性を欠く細胞株の例としては、293線維芽細胞(ATCC CRL−1573)、MonoMac−6、THP−1、U937、CHO、および任意のTLR9ノックアウトが挙げられるがこれらに限定されない。細胞または細胞株への種特異的なTLRの導入は好ましくは、遺伝子発現配列(上記のような)に作動可能に連結されたTLRコード核酸配列での細胞または細胞株の一過性のトランスフェクションまたは安定なトランスフェクションによって達成される。
【0287】
種特異的TLR(TLR7、TLR8、およびTLR9を含む)は、マウスTLRに限定されず、むしろマウスまたは非マウス供給源由来のTLRを含み得る。非マウス供給源の例としては、ヒト、ウシ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、およびウマが挙げられるがこれらに限定されない。他の種としては、ニワトリおよび魚類(例えば、養殖魚種)が挙げられる。
【0288】
種特異的TLR(TLR7、TLR8、およびTLR9を含む)はまた、ネイティブなTLRポリマーに限定されない。特定の実施形態において、TLRは例えば、細胞外ドメインおよび細胞質ドメインが、異なる種由来のTLRポリペプチドに由来するキメラTLRであり得る。このようなキメラTLRポリペプチドは、上記のように、例えば、ヒトTLR細胞外ドメインおよびマウスTLR細胞質ドメイン(各ドメインは、各種の対応するTLR7、TLR8、またはTLR9に由来する)を含み得る。別の実施形態において、このようなキメラTLRポリペプチドは、異なるTLR種の改変体またはアロタイプで作成されたキメラを含み得る。ISNA模倣物、アゴニスト、およびアンタゴニストをスクリーニングする目的のために有用な他のキメラTLRポリペプチドは、第一タイプのTLR(例えば、TLR9)、および第一タイプのTLRと同じかもしくは別の種の別のTLR(例えば、TLR7またはTLR8)で作成されたキメラポリペプチドを含み得る。また、2つ以上のポリペプチド由来の配列、例えば、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメイン(全て異なるポリペプチド供給源由来)を組み込むキメラポリペプチドも、このようなドメインの少なくとも1つがTLR7、TLR8、またはTLR9のポリペプチド由来であるという条件で、企図される。さらなる例として、1つのTLR9の細胞外ドメイン、別のTLR9の細胞内ドメイン、および非TLRレポーター(例えば、ルシフェラーゼ、GFPなど)を含む構築物もまた企図される。当業者は、このようなキメラTLRポリペプチドをコードするDNA配列を設計および生成する方法を認識している。
【0289】
スクリーニングアッセイは、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路またはISNAに対する応答をアッセイするために有用な他のアッセイのいずれかに基づく、多数の可能な読み出し系のいずれかを有し得る。CpG免疫刺激性配列による免疫細胞活性化は、ある点ではエンドソームプロセシングに依存することが報告されている。TLR9がこのエンドソーム経路に直接関与するか否か、またはTLR9とエンドソームとの間に数種の中間体が存在しているか否かは、まだ知られていない。
【0290】
好ましい実施形態において、スクリーニングアッセイのための読み出しは、ネイティブの遺伝子の使用に基づくか、またはあるいは、同時トランスフェクトされるか、さもなければTLR/IL−1Rシグナル伝達経路に感応性であるレポーター遺伝子構築物(MyD88、TRAF6、p38、および/またはERKを含む)を同時導入される。Haecker Hら、EMBO J 18:6973〜6982(1999)。これらの経路は、キナーゼ(κBキナーゼ複合体およびc−Jun N末端キナーゼを含む)を活性化させる。従って、アッセイのために特に有用なレポーター遺伝子およびレポーター遺伝子構築物は、NF−κBに応答性のプロモーターに作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含み得る。このようなプロモーターの例としては、限定しないが、NF−κB、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−12 p40、CD80、CD86およびTNF−αが挙げられる。TLR7−応答性プロモーター、TLR8−応答性プロモーターまたはTLR9−応答性プロモーターに作動可能に連結されたレポーター遺伝子としては、限定しないが、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)など)、生物発光(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP、米国特許第5,491,084号)など)、表面発現分子(例えば、CD25)、および分泌分子(例えば、IL−8、IL−12 p40、TNF−α)が挙げられ得る。好ましい実施形態において、レポーターは、IL−8、TNF−α、NF−κB−ルシフェラーゼ(NF−κB−luc;Haecker Hら、EMBO J 18:6973〜6982(1999))、IL−12 p40−luc(Murphy TLら、Mol Cell Biol 15:5258〜5267(1995))、ならびにTNF−luc(Haecker Hら、EMBO J 18:6973〜6982(1999))から選択される。酵素活性読み出しに依存するアッセイにおいて、基質がアッセイの一部として供給され、そして検出は、化学発光、蛍光、着色、放射活性レベルの取り込み、薬物耐性、または酵素活性の他のマーカーの測定を含み得る。分子の表面発現に依存するアッセイについて、検出は、FACS分析または機能的アッセイを使用して達成され得る。分泌分子は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)またはバイオアッセイを使用してアッセイされ得る。このような多くの読み出し系が当該分野で周知であり、そして市販されている。
【0291】
別の局面において、本発明は、免疫刺激性核酸分子(ISNA)を同定するためのスクリーニング方法を提供する。この方法は、以下の工程を必要とする:TLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験核酸分子と接触させる工程;試験核酸分子の存在下で、機能的TLRと試験核酸分子との間の相互作用の結果として生じるTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在の有無を検出する工程;ならびに、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在が検出された場合に、この試験核酸分子がISNAであるか否かを決定する工程。「機能的TLR」および「細胞発現機能的TLR」は、本明細書中の他の箇所で記載される通りである。TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答は、TLR/IL−1Rシグナル伝達経路に対して応答性のプロモーター(NF−κBに対して応答性のプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない)の制御下での遺伝子の導入を含む。従って、生物学的応答は、例えば、IL−8の分泌、およびNF−κB−luc、IL−12 p40−lucまたはTNF−lucでトランスフェクトされた細胞におけるルシフェラーゼ活性を含み得る。試験核酸分子は、DNA、RNAまたは本明細書中に記載されるような改変された核酸分子を含み得る。いくつかの実施形態において、この試験核酸分子は、CpG核酸である。
【0292】
好ましくは、この試験核酸分子は、参照ISNAの配列改変体であり、これらは、特定の参照ISNAと比較して、少なくとも1つの代替的塩基、少なくとも1つの代替的ヌクレオチド間骨格結合、または少なくとも1つの代替的糖部分を含む。好ましい実施形態において、試験核酸分子は、このような試験核酸分子のライブラリーのメンバーである。
【0293】
本方法の1つの実施形態に従って、参照ISNAに対する比較がなされ得る。この参照ISNAは、任意のISNA(CpG核酸を含む)であり得る。好ましい実施形態において、このスクリーニング方法は、複数の試験核酸を使用して達成され得る。好ましくは、試験応答と参照応答との比較は、各例における応答の定量的な測定の比較に基づく。
【0294】
本方法を使用して、TLRシグナル伝達経路によって媒介される類似の特異的応答を誘導する試験核酸分子の能力に基づいて、それらの試験核酸分子のサブセットを分泌させ得る。例えば、本方法を使用して、優勢にB細胞を活性化させるCpG核酸として、または優勢にIFN−αを誘導するCpG核酸として、試験CpG核酸を分類し得る。ISNAの他の新たなクラスは、本方法を使用して同定および特徴づけされ得る。
【0295】
本方法の適用によって、ISNAを同定すること、所定のTLRの配列特異性を描写すること、および、ISNA配列を最適化することもまた可能になる。ISNAの同定は、上記のような候補ISNAをスクリーニングすること、および規定されるような応答を誘導する任意のISNAを選択することを含む。配列特異性の描写は、特定のTLR9について、上記のような候補ISNAをスクリーニングすること、規定されるような応答を誘導する任意のISNAを選択すること、およびそれらの配列に基づいて応答を誘導するISNAと応答を誘導しないISNAとに分類することを含む。ISNA配列の最適化は、上記のような方法を繰返し適用することを含み、この方法は、任意の所定の段階またはスクリーニング回数において最良の配列を選択する工程、および次のスクリーニングにおける基準または参照としてとしてそれを代用する工程をさらに包含する。この後者のプロセスは、スクリーニングするための候補ISNAを選択および作製する際に、変更するためのパラメータの選択をさらに含み得る。
【0296】
別の局面において、本発明は、ISNAの種特異性を同定するためのスクリーニング方法を提供する。この方法は、以下を包含する:第一種のTLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;第二種のTLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程であり、このTLRシグナル伝達経路が、第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連する、工程;TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程であり、このTLRシグナル伝達経路が、第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連する、工程;ならびに、(a)第一種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連するTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と、(b)第二種の機能的TLRを試験ISNAと接触させることに関連するTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答とを比較する工程。この機能的TLRは、細胞によって発現されても、無細胞系の一部であってもよい。この機能的TLRは、別のTLRまたは別のタンパク質(例えば、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、NF−κB、もしくはそれらの機能的ホモログおよび誘導体)のいずれかとの複合体の一部であり得る。従って、例えば、所定のODNは、種々の種由来のTLR7、TLR8またはTLR9でトランスフェクトされた293繊維芽細胞のパネルに対して試験され得、そしてTLR/IL−1R活性経路に対して応答性のレポーター構築物(例えば、NF−κB−luc)と、必要に応じて同時トランスフェクトされ得る。従って、別の局面において、本発明は、所定の核酸配列に対する種選択性をスクリーニングするための方法を提供する。
【0297】
上記で言及されるように、1つの局面において、本発明は、TLRシグナル伝達活性または参照ISNAの対応するTLRシグネル伝達活性に対する試験化合物を比較するためのスクリーニング方法を提供する。この方法は、一般的には、TLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、参照ISNAと接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される参照応答を検出する工程;TLR7、TLR8およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験化合物と接触させる工程、ならびにTLRシグナル伝達経路によって媒介される試験応答を検出する工程;ならびに、試験応答を参照応答と比較して、試験化合物のTLRシグナル伝達活性をISNAと比較する工程を包含する。試験化合物および参照ISNAが独立してTLRと接触するアッセイを使用して、ISNA模倣物である試験化合物を同定し得る。試験化合物および参照ISNAが同時にTLRと接触するアッセイを使用して、ISNAアゴニストおよびISNAアンタゴニストである試験化合物を同定し得る。
【0298】
本明細書中で使用される場合、ISNA模倣物は、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を引き起こす化合物である。本明細書中で使用される場合、用語「TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答」とは、ISNA−TLR相互作用に特徴的である応答をいう。本明細書中で実証されるように、ISNA−TLR相互作用に特徴的である応答は、ISNA特異的プロモーター(例えば、NF−κBプロモーター)の制御下での遺伝子の導入、Th1サイトカインレベルの増加などを含む。NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子は、天然にNF−κBプロモーターを含む遺伝子であり得るか、またはNF−κBプロモーターが挿入されている構築物中の遺伝子であり得る。天然にNF−κBプロモーターを含む遺伝子としては、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−lucおよびTNF−lucが挙げられるがこれらに限定されない。Th1サイトカインレベルの増加は、ISNA−TLR相互作用に特徴的な別の尺度である。Th1サイトカインレベルの増加は、ISNA−TLR相互作用に対するTh1試験核酸分子の、増加した産生または低下した安定性または増加した分泌から起こり得る。Th1サイトカインとしては、IL−2、IFN−γおよびIL−12が挙げられるがこれらに限定されない。ISNA−TLR相互作用に特徴的である他の応答としては、Th2サイトカインレベルの減少が挙げられるがこれらに限定されない。Th2サイトカインとしては、IL−4、IL−5およびIL−10が挙げられるがこれらに限定されない。
【0299】
ISNA−TLR相互作用に特徴的である応答は、直接的な応答または間接的な応答であり得る。直接的な応答は、ISNA−TLR相互作用の結果として、直接的に起こる応答である。間接的な応答は、それが起こる前に他のパラメータの変更を含む応答である。
【0300】
本明細書中で使用される場合、ISNAアゴニストは、TLRシグナル伝達経路によって媒介されるISNAに対する増強された応答を引き起こす化合物である。従って、本明細書中で使用される場合、ISNAアゴニストは、参照ISNAによって通常誘導される免疫応答の少なくとも1つの局面の増加を引き起こす化合物である。例えば、ISNAによって通常誘導される免疫応答は、特に、免疫刺激性CpG核酸に対するTLR7−媒介シグナル伝達、TLR8−媒介シグナル伝達またはTLR9−媒介シグナル伝達を含み得る。ISNAアゴニストは、いくつかの実施形態において、TLR7、TLR8またはTLR9に結合するためにISNAと競合する。他の実施形態において、ISNAアゴニストは、ISNAに結合するための部位からとは異なるTLR7、TLR8またはTLR9上の部位に結合する。さらに他の実施形態において、ISNAアゴニストは、別の分子またはTLR7、TLR8またはTLR9とは異なる経路を介して作用する。
【0301】
本明細書中で使用される場合、ISNAアンタゴニストは、TLRシグナル伝達経路によって媒介されるISNAに対する減少した応答を引き起こす化合物である。従って、本明細書中で使用される場合、ISNAアンタゴニストは、参照ISNAによって通常誘導される免疫応答の少なくとも1つの局面の減少を引き起こす化合物である。例えば、ISNAによって通常誘導される免疫応答は、特に、免疫刺激性CpG核酸に対するTLR7−媒介シグナル伝達、TLR8−媒介シグナル伝達またはTLR9−媒介シグナル伝達を含み得る。ISNAアンタゴニストは、いくつかの実施形態において、TLR7、TLR8またはTLR9に結合するためにISNAと競合する。他の実施形態において、ISNAアンタゴニストは、ISNAに結合するための部位とは異なるTLR7、TLR8またはTLR9上の部位に結合する。さらに他の実施形態において、ISNAアンタゴニストは、別の分子またはTLR7、TLR8またはTLR9とは異なる経路を介して作用する。
【0302】
試験化合物のTLRシグナル伝達活性をISNAのシグナル伝達活性と比較するためのスクリーニング方法は、試験化合物の不在下で、参照ISNAが免疫応答の少なくとも1つの局面を誘導するのが可能な条件下で、少なくとも1つの試験化合物を、TLR7、TLR8およびTLR9から選択される機能的TLRと接触させる工程を包含する。この機能的TLRは、細胞によって発現されても、無細胞系の一部であってもよい。機能的TLRを発現する細胞は、天然にTLRを発現する細胞であるか、またはTLR発現ベクターを導入している細胞であるか、またはTLRが細胞によって発現されるのが可能な様式においてTLRを発現し、かつTLRのシグナル伝達部分によって天然でシグナル伝達が可能な条件下でシグナルを伝達するように操作された細胞である。TLRは、ネイティブのTLRであり得るか、または上記のような、そのフラグメントまたは改変体であり得る。これらの方法に従って、試験化合物を、参照ISNAを機能的TLRまたはTLR発現細胞と接触させる前、接触させた後、または接触と同時に、機能的TLRまたはTLR発現細胞と接触させる。機能的TLRまたはTLR発現細胞の応答が測定され、そして試験化合物の不在下と同じ条件下で得られるかまたは得られるであろう、対応する応答と比較される。試験化合物の不在下での応答は、同時コントロールまたは歴史的コントロールとして決定され得ることが明らかである。このような応答の例としては、限定することなしに、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答、サイトカインの分泌、細胞増殖および細胞活性が挙げられる。好ましい実施形態において、応答の測定は、IL−8分泌の検出(例えば、ELISAによる)を含む。別の好ましい実施形態において、この応答の測定は、ルシフェラーゼ活性(例えば、NF−κB−luc、IL−12 p40−lucまたはTNF−luc)の検出を含む。
【0303】
参照ISNAの例としては、限定することなしに、表1(上記)に列挙されるものが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態において、参照ISNAはCpG核酸である。
【0304】
試験化合物としては、ペプチド核酸(PNA)、抗体、ポリペプチド、炭水化物、脂質、ホルモンおよび低分子が挙げられるがこれらに限定されない。試験化合物はさらに、上記の代替物のいずれかまたはそれらの組み合わせを取り込んだ参照ISNAの改変体を含み得る。試験化合物は、化合物のコンビナトリアルライブラリーのメンバーとして生成され得る。
【0305】
好ましい実施形態において、試験化合物、試験核酸分子、試験ISNAおよび候補薬理学的薬剤をスクリーニングするための方法は、例えば、アレイベースのアッセイ系および少なくとも1つ自動化工程または半自動化工程を組み込むことによって、大規模に、ハイスループットを用いて行われ得る。例えば、アッセイは、複数のウェルプレートを使用して設定され得、ここにおいて、細胞は個々のウェルに分配され、そして試薬が、複数ウェルプレートのジオメトリに適した、複数ウェル送達デバイスを使用する系統的な様式において、加えられる。ハイスループットスクリーニングアッセイにおける使用に適した、手動およびロボットの複数ウェル送達デバイスは、当業者に周知である。各ウェルまたはアレイエレメントを、特定の試験条件(例えば、試験化合物)に対して、一対一の様式でマッピングし得る。読み出しはまた、この複数ウェルアレイにおいて、好ましくは、複数ウェルプレートリーダーデバイスなどを使用して、行われ得る。このようなデバイスの例は、当該分野で周知であり、かつ商業的な供給源から入手可能である。サンプルおよび試薬の操作を自動化して、スクリーニングアッセイのスループット能力をさらに増強させ得、その結果、数十、数百、数千または数百万の並列アッセイを、1日または1週間で行い得る。完全にロボット化されたシステムは、合成化合物のコンビナトリアルライブラリーの作製および分析のような適用について当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,443,791号および同第5,708,158号を参照のこと。
【0306】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解される。しかしながら、これらの実施例は、単に本発明の実施形態を例示することが意図されており、本発明の範囲を限定するように構成されてはいない。
【0307】
(実施例)
(実施例1.マウスTLR9をクローニングする方法)
tfastaを使用する、マウスESTデータベースとヒトTLR9タンパク質配列のアライメントは、マウスEST配列を有する7ヒット(aa197442、ai451215、aa162495、aw048117、ai463056、aw048548、およびaa273731)を得た。マウスTLR9 cDNAの5’末端および3’末端を増幅させるためのRACE−PCRにおける使用のためのaa197442 EST配列に結合する2つのプライマーを、設計した。RACE PCRのために使用されるライブラリーは、Clonetechから市販されている、マウス脾臓マラソンレディーcDNAであった。この方法によって得られた1800bpの長さを有する5’フラグメントを、Promega pGEM−T Easyベクターにクローニングした。5’末端を配列決定した後、さらなるプライマーを、完全なマウスTLR9 cDNAの増幅のために設計した。5’末端についてのプライマーを、5’RACE産物の配列から獲得し、それによって3’末端についてのプライマーを、マウスEST配列aa273731から選択した。
【0308】
3つの独立したPCR反応を、マウスマクロファージRAW264.7(ATCC TIB−71)cDNAをテンプレートとして使用して設定し、そして得られた増幅産物を、pGEM−T Easyベクターにクローニングした。挿入物を完全に配列決定し、タンパク質中に翻訳し、そしてヒトタンパク質配列に対して整列させた。3つのクローンうちの1つを、アライメント比較(クローンmtlr932e.pep)に基づいて誤りのないようにした。mTLR9についてのcDNA配列は、配列番号1であり、表2に示す。ATG開始コドンは、40塩基で生じ、TAG終止コドンは、3136塩基で生じる。配列番号1の40〜3135塩基に対応する配列番号2(表3)は、配列番号3のポリペプチドについてのコード領域である。
【0309】
(表2.マウスTLR9についてのcDNA配列(5’側〜3’側;配列番号1))
【0310】
【表2】
(表3.マウスTLR9についてのコード領域(配列番号2))
【0311】
【表3】
1032アミノ酸残基を含む、マウスTLR9についての推定アミノ酸配列(配列番号3)を、mtlr932e.pepとの整列した配列比較において、以下の表4に示す。1032アミノ酸残基を含む、ヒトTLR9についての推定アミノ酸配列(配列番号6)を、htlr9.proとの整列した配列比較において、以下の表4に示す。
【0312】
(表4.マウスTLR9およびヒトTLR9についてのアミノ酸配)
【0313】
【表4】
以下の配列番号は、表4に示される配列に対応している:htlr9.pro:配列番号6;mtlr932e.pep:配列番号3;aa197442.pep:配列番号8;mousepep1:配列番号17;humanpep1:配列番号19;aa162495.pep:配列番号14;ai451215.pep:配列番号16;aa273731.pep:配列番号10;ai463056.pep:配列番号12;humanpep2:配列番号20;およびmousepep2:配列番号18。
【0314】
(実施例2.293繊維芽細胞におけるTLR9シグナル伝達の再構成)
pT−Advベクター(Clonetechから)中の、クローン化したマウスTLR9 cDNA(上記参照)およびヒトTLR9 cDNA(B.Beutler,Howard Hughes Medical Institute,Dallas,TXから贈呈された)を、EcoRI部位を用いて、Invitrogenからの発現ベクターpcDNA3.1(−)にクローニングした。「機能の獲得(gain of function)」アッセイを使用して、CpG DNA非応答性ヒト293繊維芽細胞(ATCC,CRL−1573)における、ヒトTLR9(hTLR9)およびマウスTLR9(mTLR9)のシグナル伝達を再構成することが可能であった。上記で言及した発現ベクターを、リン酸カルシウム法を使用して、293線維芽細胞にトランスフェクトした。
【0315】
NF−κB活性は、IL−1/TLRシグナル伝達経路の中枢であるので(Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253〜258(1998);Muzio Mら、J Exp Med 187:2097〜2101(1998))、細胞を、hTLR9でトランスフェクトするか、またはhTLR9およびNF−κB−駆動ルシフェラーゼレポーター構築物で同時トランスフェクトした。ヒト繊維芽細胞の293細胞を、hTLR9(図1A)および6回のNF−κB−ルシフェラーゼレポータープラスミド(NF−κB−luc,Patrick Baeuerle,Munich,Germanyによって適切に提供される)、またはhTLR9単独(図1B)で過渡的にトランスフェクした。CpG−ODN(2006、2μM、TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT、配列番号112)、GpC−ODN(2006−GC、2μM、TGCTGCTTTTGTGCTTTTGTGCTT、配列番号118)、LPS(100ng/ml)または媒介物で刺激した後、ルシフェラーゼ読み出しによるNF−κB活性(8時間、図1A)またはELISAによるIL−8産物(48時間、図1B)をモニタリングした。結果を、3つの独立した実験で表わす。図1は、LPSではなくCpG−DNAに応答するhTLR9を発現する細胞を示す。
【0316】
図2は、mTLR9のトランスフェクトのための同じ原理を示す。ヒト繊維芽細胞の293細胞を、mTLR9およびNF−κB−luc構築物で過渡的にトランスフェクトした(図2)。類似のデータをIL−8産物について得た(図示せず)。従って、293細胞におけるTLR9(ヒトおよびマウス)の発現は、LPS応答のhTLR4再構成と類似のCpG−DNA刺激に対する機能の増加を生じる。
【0317】
ヒトTLR9、マウスTLR9またはNF−κB−lucレポータプラスミドを有するTLR9を発現する安定なクローンを作製するために、293細胞を、16μgのDNAを用いて10cmプレート(2×106細胞/プレート)でトランスフェクトし、そして0.7mg/ml G418(PAA Laboratories GmbH,Coelbe,Germany)を用いて選択した。クローンを、例えば、図3に示されるように、RT−PCRによるTLR9発現について試験した。このクローンをまた、ODNでの刺激後に、IL−8産生またはNF−κB−ルシフェラーゼ活性についてスクリーニングした。4つの異なる型のクローンを作製した。
【0318】
293−hTLR9−luc:ヒトTLR9および6倍NF−κB−ルシフェラーゼレポーターを発現する
293−mTLR9−luc:マウスTLR9および6倍NF−κB−ルシフェラーゼレポーターを発現する
293−hTLR9:ヒトTLR9を発現する
293−mTLR9:マウスTLR9を発現する。
【0319】
図4は、NF−κB活性をモニタリングすることによって測定されるように、CpG−ODN(2006、2μM)、GpC−ODN(2006−GC、2μM)、Me−CpG−ODN(2006 メチル化、2μM;TZGTZGTTTTGTZGTTTTGTZGTT、Z=5−メチルシチジン、配列番号128)、LPS(100ng/ml)、または媒介物で刺激した後の、安定な293−hTLR9−lucクローンの応答性を示す。安定なクローン293−hTLR9とのIL−8産生を使用して、類似の結果が得られた。293−mTLR9−lucはまた、NF−κB活性をモニタリングすることによって測定されるように(図5)、CpG−ODN(1668、2μM;TCCATGACGTTCCTGATGCT、配列番号84)、GpC−ODN(1668−GC、2μM;TCCATGAGCTTCCTGATGCT、配列番号85)、Me−CpG−ODN(1668 メチル化、2μM;TCCATGAZGTTCCTGATGCT、Z=5−メチルシチジン、配列番号207)、LPS(100ng/ml)、または媒介物で刺激した。安定なクローン293−mTLR9とのIL−8産物を使用して、類似の結果が得られた。これらの結果を、少なくとも2つの独立した実験で表わす。これらの結果は、CpG−DNA非応答性細胞株は、モチーフ特異的な様式においてCpG DNAに応答するように、TLR9で遺伝的に、安定に補完され得ることを示す。これらの細胞を、複数種においてTLR9によって駆動される生得免疫応答について、任意のリガンドをスクリーニングために使用し得る。
【0320】
(実施例3.酵母細胞(Pichia pastoris)における、可溶性組換えヒトTLR9の発現)
アミノ酸1〜811をコードする、ヒトTLR9 cDNAを、以下のプライマー:5’−ATAGAATTCAATAATGGGTTTCTGCCGCAGCGCCCT−3’(配列番号194)および5’−ATATCTAGATCCAGGCAGAGGCGCAGGTC−3’(配列番号195)を使用して、PCRによって増幅し、EcoRIおよびXbaIで消化し、酵母発現ベクターpPICZB(Invitrogen,Groningen,Netherlands)にクローニングし、そして酵母細胞(Pichia pastoris)にトランスフェクトした。クローンを、抗菌性ゼオジン(zeozin)を用いて選択し、そして可溶性ヒトTLR9のタンパク質産生を、メタノールを用いて誘導した(図6を参照のこと:SDS−PAGE,Coomassie染色、矢印 hTLR9;レーン1:メタノールで誘導した培養物の上清;レーン2:誘導していない培養物の上清)。従って、TLR9タンパク質を、トランスフェクト体から単離し得、そしてさらに、タンパク質研究およびワクチン接種目的のために使用し得る。
【0321】
(実施例4.CpG−DNA応答性に関連するhTLR9発現)
細菌DNAは、マウスおよびヒトの両方のB細胞に対するマイトジェンとして記載されている。LPSもまた、マウスB細胞に対するマイトジェンであるが、LPSはヒトB細胞に対するマイトジェンではないことが一般に受け入れられている。図7は、ヒトB細胞が、E.coli DNAまたはCpG−ODNを用いた後に増殖するが、DNase消化したE.coli DNAまたはコントロールGpC−ODNは用いた刺激の後に増殖しないことを示す。精製したヒトB細胞を、50μg/ml E.coli DNA、匹敵する量のDNase I消化したE.coli DNA、2μM CpG−ODN(2006)、2μM GpC−ODN(2006−GC)、または100ng/ml LPSで刺激した。B細胞増幅を、3Hチミジン取り込みによって2日目にモニタリングした。これらのデータは、マイトジェンであるE.coli DNA調製物内のDNAであり、そして必要とされるODN内のCpGモチーフであることを示す。
【0322】
ヒト樹状細胞(DC)は、CpG−DNAに応答性であると主張されている。CpG−DNAに応答性であるヒト樹状細胞を分析する間、本発明者らは、LPSではなくCpG−DNAに曝されると、プラスマ細胞様DC(CD123+DC)がIFN−α、TNF、GM−CSFおよびIL−8を産生することを示した(図8および未公開データ)。単球を誘導する樹状細胞(MDDC)の刺激に対して、逆も当てはまる(図8および未公開データ)。精製したCD123+DCまたはMDDCを、50μg/ml E.coli DNA、匹敵する量のDNase I消化したE.coli DNA、2μM CpG−ODN(2006)、2μM GpC−ODN(2006−GC)、または100ng/ml LPSで刺激した(図8)。IL−8およびTNF濃度を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって決定した。CD123+DC応答は、制限されたDNA−モチーフおよびCpG−モチーフであった。しかしながら、単球を誘導する樹状細胞(MDDC)は、逆応答パターン、CpG−DNAではなくLPSに対する応答を示した。この隔離した応答に起因して、本発明者らは、TLR発現を分析した。
【0323】
本発明者らは、CpG−DNAがToll/IL−1R(TIR)シグナル伝達経路を利用する(このことはCpG−DNAシグナル伝達レセプター中のTIRドメインについての必要性を意味する)ことを示した。Haecker Hら、J Exp Med 192:595−600(2000)。TLR−9欠損マウスが、CpG−ODNに応答しないことをさらに示した。Hemmi Hら、Nature 408:740−5。半定量的RT−PCRにより、B細胞およびCD123+DCの両方がhTLR9に対して陽性シグナルを生じたが、MDDC、単球およびT細胞は、弱く、ネガティブであった(図9)。cDNAを、以下から調製した:単球由来樹状細胞(MDDC)、レーン1;精製CD14+単球、レーン2;B細胞、レーン3;CD123+ DC、レーン4;CD4+ T細胞、レーン5;およびCD8+ T細胞、レーン6.cDNA量を、GAPDH量に基づいて、TAG−MAN PCR(Perkin−Elmer)により、標準化した。RT−PCRを、1:5で希釈したヒトTLR2、4、および9についての標準化したcDNA(GAPDHは、1:125で希釈した)について、30サイクル実施した。本発明者らはまた、hTLR2およびhTLR4の発現についても試験した。MDDCおよび単球は、陽性であったが、B細胞、T細胞およびCD123+DCは、弱く、ネガティブであった(図9)。PCRによりもたらされた弱いシグナルは、混入した細胞により説明され得るが、強いポジティブシグナルは、発現を意味する。これらのデータは、hTLR9 mRNA発現とB細胞との間の明らかな相関またはCD123+ DCのCpG−DNAに対する応答性を実証した(図7および8)。相関はまた、hTLR2およびhTLR4の発現ならびにMDDCのLPSに対する応答性を示した(図8)。このデータは、hTLR9が、CpG−DNA応答性に対する関連レセプターであり、その発現が応答性を示すことを実証する。TLR9発現が調節され得た場合、CpG−DNA応答の作用性または拮抗作用が達成され得る。
【0324】
(実施例5.TLR9シグナル伝達の種特異性)
CGジヌクレオチドに囲まれた隣接配列の繰り返しの実験により、CpGモチーフが同定された。逆説的に、または予想外の状態により、ヒトの最適化CpGモチーフ、GTCGTT(配列番号66)は、マウスモチーフであるGACGTT(配列番号129)と異なっている。ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)(図10A)およびマウス脾臓細胞(図10B)を、ODN 2006(黒丸、TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT、配列番号112)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角、TCCATGACGTTCCTGATGCT、配列番号84)またはODN 1668−GC(白三角、TCCATGAGCTTCCTGATGCT、配列番号85)で、指示された濃度で刺激し、IL−12生成物を、8時間後にモニターした。図10Aは、最適化ヒトODN、2006の滴定を示し、PBMCがIL−12生成物を誘導することを示す。しかし最適化マウス配列、1668は、PBMCからIL−12を誘導することにおいて、かなり有効でなかった。2つのコントロールCpG−ODNは、基本的にネガティブであった。マウス脾臓細胞については、最適化IL−12を誘導するマウス配列において、逆が真であり(図10B)、一方ヒト配列は、いわんや有効でなかった。1668に対するマウス脾臓細胞のKac(最大の半分まで活性化する濃度)は、2006に対するヒトPBMCより大きいかったことに有目すべきである(図10A〜図10B)。
【0325】
安定なTLR9トランスフェクト体は、初代細胞のCpG−DNAに対する応答性を反映したので(図4および図5)、安定なトランスフェクト体は、潜在的に種特異的なCpG−モチーフをTLR9レセプターを介して識別し得ることが仮定された。従って、293−hTLR9−lucクローン(ヒトTLR9および6倍のNF−κB−lucレポーターを発現する)、293−mTLR9−lucクローン(マウスTLR9および6倍のNF−κB−lucレポーターを発現する)、293−hTLR9クローン(ヒトTLR9を発現する)および293−mTLR9クローン(マウスTLR9を発現する)を、CpG−DNAモチーフ応答性について試験した。図11は、2006または1668およびこれらのコントロール対hTLR9細胞またはmTLR9細胞のいずれかについての滴定曲線を示す。読み取られて示されるものは、NF−κB誘導性ルシフェラーゼとIL−8生成についての両方である。6つの連なったNF−κB結合部位を含む最小プロモーターに調節されるホタルルシフェラーゼの発現誘導の測定により決定されるたように、293hTLR9−luc細胞および293mTLR9−luc細胞の両方を、CpG−DNAで刺激することは、NF−κB活性化を生じた。細胞ルシフェラーゼの溶解を、酵素反応に基づいて、光子を生じるルシフェラーゼにより測光的に検出し得る。IL−8生成は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いてモニターした。図11は、ODN 2006(黒丸)、ODN2006−GC(白丸)、ODN1668(黒三角)またはODN1668−GC(白三角)で、示された濃度で刺激したクローンを示し、NF−κB活性化またはIL−8生成を、10時間後および48時間後にそれぞれ測定した。図11に示される結果は、3つの独立した実験を示す。CpG−モチーフ配列特異性は際立って、TLR9により種特異的様式で与えられる。さらに、2006または1668のいずれかについての最大の半分の濃度は、初代細胞において決定された濃度とほぼ同じであるように思われる(図10および図11を比較)。これらのデータは、TLR9がCpG−DNAレセプターであることを示し、そしてCpG−DNA配列に対する精巧な特異性が、TLR9により与えられることを実証する。
【0326】
(実施例6.ホスホロチオエートODN以外の基質に対する応答性を試験するための安定なTLR9クローンの使用)
前記実施例において記載されるように、安定なTLR9クローンは、最初にホスホロチオエートODN応答性の忠実度についてスクリーニングされた。293−hTLR9細胞は、CpG−モチーフ依存性の様式においてCpG−DNAに対する応答性を実証し、LPSに対しては応答性がないことを実証した(図4および5)。本実施例において、安定なTLR9トランスフェクト体を、さらなるDNAに対する応答性について試験した。293−hTLR9−luc細胞中で、NF−κB活性化を、E.coli DNA(黒棒)またはDNAse Iで消化したE.coli DNA(灰色棒)で刺激した後、モニターした。図12は、E.coli DNA用量依存性の、ホスホロチオエートCpG−ODNに対して比較可能なレベルまでのNF−κB誘導性ルシフェラーゼ発現を例証する(図11)。活性をDNase I消化により破壊し、DNAに対する応答特異性を示し混入細菌産物に対しては応答特異性を示さないことを示した。安定なTLR9トランスフェクト体を用いて、様々な種由来のDNAの活性または免疫系刺激を目的とするベクターDNAの活性をスクリーニングし得る。特に、TLR9トランスフェクト体を用いて、様々な種の病原体由来のDNA、DNA構築物、ワクチンとしての使用を目的とするDNA、遺伝子置換治療、および核酸ベクターの免疫刺激活性をスクリーニングし、比較し得る。
【0327】
293−hTLR9−luc細胞をまた、示された濃度において、ODN2006(黒丸)、ODN2006−GC(白丸)、ODN1668(黒三角)またはODN1668−GC(白三角)のホスホロジエステル改変体で刺激し、NF−κB活性化を12時間後にモニターした(図13A)。同様に、293−mTLR9−luc細胞をまた、示された濃度において、ODN2006(黒丸)、ODN2006−GC(白丸)、ODN1668(黒三角)またはODN1668−GC(白三角)のホスホロジエステル改変体で刺激し、NF−κB活性化を12時間後にモニターした(図13B)。これらのアッセイは、安定なTLR9トランスフェクト体が、ホスホロチオエート修飾ODN以外のDNAに応答することを示す。これらのデータは、安定なTLRトランスフェクト体の、TLR9レセプターのアゴニストについてスクリーニングすることについての有用性を実証する。
【0328】
(実施例7.TLR9は、CpG−ODN活性を例証する)
2006および1668は、CpG−モチーフ相異の点から議論されるが、これらは、いくつかの局面において、非常に異なる(比較についての表5を参照)。長さは、24対20ヌクレオチドと異なり、2006は、1668中の1つと比較して、4つのCGジヌクレオチドを有する。さらなる相異は、5’および3’末端に対応するCG位置であり、5’配列もまた異なる。モチーフ特異性が、モチーフの本質であるか、全体的な配列環境ではないことか否かを決定するために、この実験のためにいくつかの配列を生成して、これらの可変定数を維持した。開始点として、1668配列を、中心のCをTに、そして遠位のTGをCGに改変することによって改変し、このことによって、第2のCGを、生じた配列5000中に作製した(配列番号130、表5)。次いで、ヌクレオチド点変異を作製し、2006様配列、5007(配列番号98)にした。ODN5002(配列番号132)は、12位および19位におけるCがTに変換されたことを除いて、1668とほぼ同様である。ODN5007の最後の16ヌクレオチドは、Tが加わっていることを除いて2006の最後の15ヌクレオチドと同様である。最大活性の半分(Kac)のODN濃度を、293−hTLR9−luc細胞または293−mTLR9−luc細胞のいずれか、およびNF−κB誘導性ルシフェラーゼ発現を読み出した情報を用いて、ODN滴定曲線を生じることによって決定した。例の曲線は、図14において提供される。安定なトランスフェクト体293−hTLR9−lucおよび293mTLR9−lucを、ODN5002(黒丸)またはODN5007(白丸)で、示された濃度において刺激し、NF−κB活性化を12時間後にモニターした。図14に示す結果は、3つの独立した実験を例証する。複数のODNについてのKacに対する値は、表5に示される。同様の結果を、293−hTLR9細胞および293−mTLR9細胞で、IL−8を用いて試験したODNについて読み出した情報として得た。
【0329】
(表5.ヒトおよびマウスTLR9シグナル伝達活性のCpG−ODN配列特異性)
【0330】
【表5】
本発明者らによって以前に公表されていない研究において、マウスCpG−モチーフをGACGTTCからGACGTCAに変換するCA置換が、有害であることに着目した。本発明者らのモチーフを拡張するために、3より多いODNを作製して、この影響を分析した(5008−5010、配列番号137−139、表5)。
【0331】
293−hTLR9−lucクローンによって示された活性は、マウス配列をヒト配列に変換した進行性ヌクレオチド置換で増大した(表5、配列5000−5007)。この変換は、293−mTLR9−lucクローンについて当てはまり、これは、マウス配列について最高の活性を示した。元来仮定されたCpG−モチーフは、プリン−プリン−CG−ピリミジン−ピリミジンであった。TLR9遺伝子相補性によって決定されるモチーフ規定に対して最も際立つことは、CGの5’直後のプリンのAからTへの変換に対する非保存性ピリミジンである(表5)。これらの変換は、293−hTLR9−luc応答性を改善したが、293−mTLR9−luc応答性を減少した。これらの結果は、好ましいマウスモチーフが、ACGを含む一方、好ましいヒト配列がTCGを含むことの概念を支持する。マウスモチーフ中のピリミジン変換TからC(ACGTT対ACGTC)(5002対5009))に対する保存的ピリミジンは、293−mTLR9応答性を完全に破壊した。CpG−モチーフの完全な反復性分析ではないが、このデータは、本発明者らのモチーフの理解を高める。より重要なことに、これらのデータは、TLR9による直接のCpG−モチーフの使用を強く支持する。
【0332】
(実施例8.アンタゴニストの規定)
DNA取りこみおよびエンドソームの成熟が、CpG−DNAによるシグナル開始に必要であることが実証された。DNAがエンドソーム/リソソーム画分に入るために、非CpG依存性の取りこみレセプターが必要とされ得ると仮定されている。293細胞をmTLR9で一過性にトランスフェクトして、培地のみか1.0μM CpG−ODN 1668で処置した(図15)。さらに、1668処置TLR9トランスフェクト体を、種々の用量の非CpG ODN(PZ2;5’−CTCCTAGTGGGGGTGTCCTAT−3’、配列番号43)に同時に曝した。IL−8生成を、48時間後ELISAによりモニターした。図15は、PZ2が、用量依存的様式で、CpG ODNで刺激されたTLR9トランスフェクト細胞の活性化を拮抗し得たことを示す。
【0333】
図16は、安定なTLR9トランスフェクト体(293−hTLR9−luc細胞)が、非CpG−ODN遮断に対して感受性であることを例証する。293−hTLR9−luc細胞を、示したように、CpG−ODN(0.5μM)(黒棒)またはTNF−α(10ng/ml)(灰色棒)と、漸増濃度のブロッキングODN(5’−HHHHHHHHHHHHHHWGGGGG−3’、配列番号140;H=A、T、C;W=A、T)とインキュベートした。NF−κB活性化を、12時間後にモニターしたこのNF−κB活性化を、パーセント収率として表す。したがって、mTLR9とhTLR9の両方の活性は、非刺激的ODNにより遮断され得る。この遮断は、TNF誘導性NF−κBシグナルが減少しなかったので、ブロッキングODNに対して特異的である。従って、CpG−DNAの拮抗は、安定なTLR9細胞において規定され得るので、ハイスループットスクリーニングをTLR9アンタゴニストに対してなし得る。
【0334】
バフィロマイシンAは、エンドソームの成熟に必要である、エンドソーム内へのH+移入に必要な、プロトンポンプに有害である。図17は、293−hTLR9−luc細胞中のエンドソーム成熟の遮断が、NF−κBのCpG−ODN誘導を十分に遮断することを示す。293−hTLR9−luc細胞を、10nMバフィロマイシンA(灰色棒)またはジメチルスルホキシド(DMSO)コントロール(黒棒)で30分間プレインキュベートし、そしてCpG−ODN(2006、0.5μM)、IL−1(10ng/ml)またはTNF−α(10ng/ml)で、示したように刺激した。NF−κB活性化を、12時間後にモニターし、パーセント収率として示す。IL−1とTNFの両方のNF−κBが、不十分であったので、遮断は、CpG−DNA産生シグナルに対して特異的であった。これらのデータは、hTLR9と安定して相補的である293細胞が、細胞取りこみおよびエンドソーム成熟がCpG−DNAによるシグナルの誘導に必要であることにおいて、一次CpG−DNA応答性初代細胞に類似した様式の挙動をとることを示す。従って、安定なトランスフェクト体は、TLR9薬物アンタゴニストに対する指標として使用され得る。
【0335】
CpG−DNAシグナルは、Toll/IL−1R−様経路を介して生じるように思われる。マウスにおいて、CpG−DNAシグナル伝達は、MyD88、IRAKおよびTRAF6に依存することが示された。Hacker Hら、JExp Med 192:595−600(2000)。Hemmiらは、mTLR9欠損マウスが、CpG−ODN刺激においての、IRAKの活性化を欠くことを示した。Hemmi Hら、Nature 408:740−5(2000)。図18は、ヒトTLR9を介したCpG−DNAシグナル伝達が、MyD88依存性であったことを示す。hTLR9(293−hTLR9)を、6倍のNF−κBルシフェラーゼレポータープラスミドおよび漸増濃度のドミナントネガティブヒトMyD88発現ベクターで同時トランスフェクトした。細胞を刺激しないか(黒丸)、CpG−ODN(2006、2μM)(白丸)またはTNF−α(10ng/ml)(黒三角)で刺激して、NF−κB活性化を12時間後にモニターした。結果は、少なくとも2つの独立した実験を表す。図18は、ドミナントネガティブなMyD88が、CpG−DNAで刺激した後の293−hTLR9細胞においてのNF−κB誘導を阻害することを示す。MyD88の阻害は、TNF誘導性シグナル伝達を介したNF−κB誘導に影響しなかった。共通して、これらのデータは、MyD88の、TLRシグナル伝達についての中心的役割およびCpG−DNA開始シグナルにおけるMyD88の特定の役割を確認する。従って、TLR9でトランスフェクトされたヒト細胞を、指標として用いて、遺伝子的メカニズムを介してCpG−DNAに拮抗する分子を見つけ得る。
【0336】
(実施例9.抗体生成)
ヒトおよびマウスのTLR9に対するペプチドをキャリアタンパク質に結合するよう設計し、そしてウサギに注射して、抗ペプチドポリクローナル抗血清を得た。マウスペプチド1(mousepep 1、表4を参照)を、ESTaa197442中で見出し得、そしてペプチド2(mousepep 2、表4を参照)を、ESTaa273731およびai463056中で見出し得る。ヒトペプチド1(humanpep 1、表4を参照)およびペプチド2(humanpep 2、表4を参照)を、公開されたヒト配列から取得した。
【0337】
3つのウサギ抗血清をこの方法により得た:抗mousepep 1(マウスTLR9の細胞外ドメインに特異的);抗humanpep 1(hTLR9の細胞外ドメインに特異的);およびmousepep 2およびhumanpep 2の組み合わせに対する抗血清(マウスおよびヒトTLR9の両方の細胞質ドメインに特異的)。抗FLAG抗体での免疫沈降物を、PAGEにより電気泳動し、標準的なウエスタンブロット技術を用いて、膜に転写し、種々の抗血清で探索した。図19は、hTLR9−FLAGおよびmTLR9−FLAGに対する応答性を示す。これらのブロットの中のTLR9を、矢印で示し、低分子量のバンドは、抗FLAG抗体を示す。
【0338】
(実施例10.CXXCドメインに隣接した変異(hTLR9−CXXCm、mTLR9−CXXCh))
CXXCモチーフは、ジンクフィンガーモチーフに似ており、DNA結合タンパク質および特定の特異的CpG結合タンパク質において見出される(例えば、メチル−CpG結合タンパク質−1)(MBD−1)。Fujita Nら、Mol Cell Biol 20:5107−5118(2000)。ヒトおよびマウスTLR9は、2つのCXXCモチーフを含む。CXXCドメインは、極性および大きさにおいて全く異なる6アミノ酸(aa)が後に続き、ヒトおよびマウスのTLR9間で高度に保存される。部位特異的変異キット(Stratagene、La Jolla、CA、USA)を使用することによって、これらの6つのアミノ酸残基(ヒト:PRHFPQ 269−274);マウス:GQKSLH 269−274)を、ヒトおよびマウスのTLR9間で相互交換した。これらの変異を、製造業者のプロトコルに従って、以下のプライマーを使用することにより作製した:
ヒトTLR9に対して、
5’−CTGCATGGAGTGCGGCCAAAAGTCCCTCCACCTACATCCCGATAC−3’(配列番号141)および
5’−GTATCGGGATGTAGGTGGAGGGACTTTTGGCCGCACTCCATGCAG−3’(配列番号142)、ならびにマウスTLR9に対して以下のプライマー:
5’−CTGTATAGAATGTCCTCGTCACTTCCCCCAGCTGCACCCTGAGAC−3’(配列番号143)および
5’−GTCTCAGGGTGCAGCTGGGGGAAGTGACGAGGACATTCTATACAG−3’(配列番号144)。
【0339】
CXXCモチーフ:CXXCXXXXXXCXXC(配列番号145)
野生型hTLR9:CRRCDHAPNPCMECPRHFPQ (aa 255−274 配列番号146)
hTLR9−CXXCm:CRRCDHAPNPCMECGQKSLH (aa 255−274 配列番号147)
野生型mTLR9:CRRCDHAPNPCMICGQKSLH (aa 255−274 配列番号148)
mTLR9−CXXCh:CRRCDHAPNPCMICPRHFPQ (aa 255−274 配列番号149)
hTLR9改変体であるhTLR9−CXXCmの刺激について、293細胞を、一過性にhTLR9またはhTLR9−CXXCmでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度において、ODN2006およびODN1668で刺激した(図20)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。このデータは、hTLR9が、ヒトCXXCドメインをマウスCXXCドメインに変更されたことにより、改善され得ることを示す。mTLR9改変体mTLR9−CXXChの刺激について、293細胞を一過性に、mTLR9またはmTLR9−CXXChでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度において、ODN2006およびODN1668で刺激した(図21)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。ヒトCXXCドメインは、mTLR9−CXXCh活性を、野生型mTLR9比較して減じ得るように思われる。
【0340】
(実施例11.MBDモチーフ中の変異(hTLR9−MBDmut、mTLR9−MBDmut))
MBDモチーフは、最近記載された、MBD−1タンパク質中のCpG結合のためのドメインである。Fujita Nら、Mol Cell Biol 20:5107−5118(2000);Ohki Iら、EMBO J 18:6653−6661(1999)。ヒトおよびマウスのTLR9は、このモチーフを524−554位および525−555位においてそれぞれ含む。
【0341】
MBD−1 R−XXXXXXX−R−X−D−X−Y−XXXXXXXXX−R−S−XXXXXX−Y (配列番号125)
hTLR9 Q−XXXXXXX−K−X−D−X−Y−XXXXXXXXX−R−L−XXXXXX−Y (配列番号126)
mTLR9 Q−XXXXXXX−K−X−D−X−Y−XXXXXXXXX−Q−L−XXXXXX−Y (配列番号127)
このドメインのコアは、ヒトTLR9(aa 534−536)およびマウスTLR9(aa 535−537)中のD−L−Yからなる。部位特異的変異誘発を介して、ヒトTLR9中のD534およびY536、ならびにマウスTLR9中のD535およびY537を、アラニンに変異して、ヒトTLR9(aa 534−536)およびマウスTLR9(aa 535−537)について、配列A−L−Aを作製した。これらの変異を、製造業者のプロトコルに従って、以下のプライマーを使用して作製した:
ヒトTLR9について
5’−CACAATAAGCTGGCCCTCGCCCACGAGCACTC−3’(配列番号150)および
5’−GAGTGCTCGTGGGCGAGGGCCAGCTTATTGTG−3’(配列番号151)、ならびにマウスTLR9について以下のプライマー:
5’−CATAACAAACTGGCCTTGGCCCACTGGAAATC−3’(配列番号152)および
5’−GATTTCCAGTGGGCCAAGGCCAGTTTGTTATG−3’(配列番号153)。
【0342】
mTLR9改変体(mTLR9−MBD−mut)の刺激について、293細胞を、一過性にmTLR9またはmTLR9−MBD−mutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図22)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。hTLR9改変体(hTLR9−MBD−mut)の刺激について、293細胞を、一過性にhTLR9またはhTLR9−MBD−mutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図23)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。TLR9中の推定CpG結合ドメインDXYの破壊は、レセプター活性を破壊した。これらのデータは、MBDモチーフが恐らくCpG−DNA結合に関与し、従って、これを操作してCpG−DNAの結合および効率をより理解し得ることを実証する。
【0343】
(実施例12.TIR−ドメイン中のプロリンからヒスチジンへの変異(hTLR9−PHmut、mTLR9−PHmut))
Toll様レセプターは、細胞質Toll/IL−1レセプター(TIR)ホモロジードメインを有し、これは、アダプター分子MyD88の結合後のシグナル伝達を開始する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253−8(1998);Kopp EBら、Curr Opin Immunol 11:15−8(1999)。他による報告は、マウスTLR4中のシグナル伝達TIRドメイン中の1つの点変異(Pro712からHisへ)またはヒトTLR2中のシグナル伝達TIRドメイン中の1つの点変異(Pro681からhisへ)、またはリポ多糖もしくはグラム陽性細菌に対する宿主の免疫応答を破壊することを示した。Poltorak Aら、Science 282:2085−8(1998);Underhill DMら、Nature 401:811−5(1999)。部位特異的変異誘発を介して、ヒトおよびマウスのTLR9の915位における等価のプロリンを、ヒスチジンに変異した(Pro915からHisへ)。これらの変異を、製造業者のプロトコルに従って、以下のプライマーの使用により作製した:
ヒトTLR9について、
5’−GCGACTGGCTGCATGGCAAAACCCTCTTTG−3’(配列番号154)および
5’−CAAAGAGGGTTTTGCCATGCAGCCAGTCGC−3’(配列番号155)ならびにマウスTLR9について以下のプライマー:
5’−CGAGATTGGCTGCATGGCCAGACGCTCTTC−3’(配列番号156)および
5’−GAAGAGCGTCTGGCCATGCAGCCAATCTCG−3’(配列番号157)。
【0344】
mTLR9改変体(mTLR9−PHmut)の刺激について、293細胞を、一過性にmTLR9またはmTLR9−PHmutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図22)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。hTLR9改変体(hTLR9−pHmut)の刺激について、293細胞を、一過性にhTLR9またはhTLR9−PHmutでトランスフェクトし、16時間後に、示された濃度においてODN2006およびODN1668で刺激した(図23)。刺激の48時間後において、上清を回収し、IL−8生成物をELISAで測定した。これらのデータは、TLR9活性がProからHisへの変異により破壊され得ることを実証する。この変異は、TLR9活性を阻害するドミナントネガティブとして使用される潜在性を有し、従って、遺伝性変異体は、リガンドまたはシグナル伝達パートナーに対し競合し、シグナル伝達を破壊し得た。
【0345】
(実施例13.マウスTLR9とヒトTLR9(hTLR9−TIRm、mTLR9−TIRh)との間のTIRドメインの交換)
Toll様レセプターは、アダプター分子MyD88の結合後のシグナル伝達を開始する細胞質Toll/IL−1レセプター(TIR)相同性ドメインを有する。Medzhitov Rら、Mol Cell 2:253−8(1998);Kopp EBら、Curr Opin Immunol 11:15−8(1999)。これはまた、TLR9についてもあてはまる。ヒト細胞外TLR9およびマウスTIRドメイン(hTLR9−TIRm)またはマウス細胞外TLR9およびヒトTIRドメイン(mTLR9−TIRh)からなる分子を作製するために、以下のアプローチを選択した。部位特異的変異誘発を介して、ClaI制限部位を、ヒトTLR9およびマウスTLR9に導入した。ヒトTLR9について、DNA配列5’−GGCCTCAGCATCTTT−3’(3026−3040、配列番号158)を、5’−GGCCTATCGATTTTT−3’(配列番号159)に変異させ、ClaI部位(配列の下線部)を導入するが、アミノ酸配列(GLSIF、aa798−802)は変化させなかった。マウスTLR9について、DNA配列5’−GGCCGTAGCATCTTC−3’(2434−2447、配列番号160)を、5’−GGCCTATCGATTTTT−3’(配列番号161)に変異させ、ClaI部位を導入し、野生型マウスTLR9配列(GRSIF、aa799−803)と1位置(aa800)異なるがヒト配列と同一であるアミノ酸配列(GLSIF、aa799−803)を作製した。
【0346】
(hTLR9−TIRm)ヒトTLR9について使用したプライマーは、5’−CAGCTCCAGGGCCTATCGATTTTTGCACAGGACC−3’(配列番号162)および5’−GGTCCTGTGCAAAAATCGATAGGCCCTGGAGCTG−3’(配列番号163)であった。マウスTIRドメインに連結されたヒトTLR9の細胞外部分を含む発現ベクターを作製するために、ヒト発現ベクターをClaIおよび制限量のEcoRIで切断し、マウスTLR9発現ベクターのClaIおよびEcoRI消化によって作製されたマウスTIRドメインをコードするフラグメントを、hTLR9の細胞外部分を含むベクターフラグメント中に連結した。E.coliへのトランスフェクションにより、発現ベクターhTLR9−TIRm(ヒト細胞外TLR9−マウスTIR−ドメイン)を得た。
【0347】
(mTLR9−TIRh)マウスTLR9について使用したプライマーは、5’−CAGCTGCAGGGCCTATCGATTTTCGCACAGGACC−3’(配列番号164)および5’−GGTCCTGTGCGAAAATCGATAGGCCCTGCAGCTG−3’(配列番号165)であった。ヒトTIRドメインに連結されたマウスTLR9の細胞外部分を含む発現ベクターを作製するために、マウス発現ベクターをClaIおよび制限量のEcoRIで切断し、ヒトTLR9発現ベクターのClaIおよびEcoRI消化によって作製されたヒトTIRドメインをコードするフラグメントを、mTLR9の細胞外部分を含むベクターフラグメント中に連結した。E.coliへのトランスフェクションにより、発現ベクターmTLR9−TIRh(マウス細胞外TLR9−ヒトTIR−ドメイン)を得た。
【0348】
mTLR9改変体(mTLR9−TIRh)の刺激のために、293細胞を、mTLR9またはmTLR9−TIRhで一過的にトランスフェクトし、そして示された濃度でODN2006およびODN1668で16時間後に刺激した(図24)。刺激の48時間後、上清を収集し、IL−8生成をELISAによって測定した。hTLR9改変体(hTLR9−TIRm)の刺激のために、293細胞を、hTLR9またはhTLR9−TIRmで一過的にトランスフェクトし、そして示された濃度でODN2006およびODN1668で16時間後に刺激した(図25)。刺激の48時間後、上清を収集し、IL−8生成をELISAによって測定した。マウスTLR9−TIRドメインのヒトTLR9−TIRドメインでの置換は、mTLR9活性に有意に影響しなかった。しかし、ヒトTLR9−TIRドメインのマウスTLR9−TIRドメインでの置換は、hTLR9活性に負の影響を与えるようである。これらのデータは、TLR9活性に影響する操作が行なわれたことを実証する。
【0349】
(実施例14.緑色蛍光タンパク質とのTLR9融合タンパク質(hTLR9−GFP、mTLR9−GFP))
ヒトTLR9およびマウスTLR9を、ベクターpEGFP−N1(Clontech,Palo Alto,CA,USA)に個々にクローニングして、C末端の緑色蛍光タンパク質(GFP)に融合したN末端TLR9タンパク質からなるヒトおよびマウス融合タンパク質をコードする発現ベクターを作製する。これらの構築物を使用して、TLR9の局在化および発現をトレースし得る。このような検出を、FACS分析、共焦点顕微鏡およびウエスタンブロットにおける染色のため、またはポリペプチドの精製および引き続く抗体産生のために使用し得る。
【0350】
(実施例15.FLAGペプチドとのTLR9融合タンパク質(hTLR9−FLAG、mTLR9−FLAG))
ヒトTLR9およびマウスTLR9を、ベクターpFLAG−CMV−1(Sigma,St.Louis,MO,USA)中に個々にクローニングして、N末端リーダーペプチド(タンパク質のプロセシングの間に細胞内で切断されるプレプロトリプシン)、FLAGペプチド(DYKDDDDK)およびそれ自身シグナルペプチドを含まないTLR9からなるヒトおよびマウス融合タンパク質をコードする発現ベクターを作製する。これらの構築物を使用して、例えば、抗FLAG抗体を使用して、TLR9の局在化および発現をトレースし得る。このような検出を、FACS分析、共焦点顕微鏡およびウエスタンブロットにおける染色のため、またはポリペプチドの精製および引き続く抗体産生のために使用し得る。
【0351】
(実施例16.ヒトTLR7をクローニングする方法)
GenBankデータベース中の2つの登録番号(AF245702およびAF240467)は、ヒトTLR7についてのDNA配列を記載する。ヒトTLR7についての発現ベクターを作製するために、ヒトTLR7 cDNAを、プライマー5’−CACCTCTCATGCTCTGCTCTCTTC−3’(配列番号166)および5’−GCTAGACCGTTTCCTTGAACACCTG−3’(配列番号167)を使用して、ヒト末梢単核血球(PBMC)から作製したcDNAより増幅した。フラグメントを、pGRM−T Easyベクター(Promega)にクローニングし、制限酵素NotIで切断し、そしてNotI消化pCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。インサートを完全に配列決定し、そしてタンパク質に翻訳した。hTLR7についてのcDNA配列は、配列番号168であり、表6に示す。オープンリーディングフレームは、塩基124で開始し、塩基3273で終わり、そして1049アミノ酸のタンパク質をコードする。配列番号168(表6)の塩基124〜3273に対応する配列番号169(表7)は、配列番号170(表8)のポリペプチドのコード領域である。
【0352】
クローニングされたhTLR7 cDNAのタンパク質配列は、GenBank登録番号AF240467の元で記載される配列と一致する。GenBank登録番号AF245702の元で寄託された配列は、725位(LからH)および738位(LからP)における2つのアミノ酸変異を含む。
【0353】
【表6】
表8において、配列は以下のように割り当てられる:hTLR7.pep、配列番号170;AF240467.pep、配列番号171;AF245702.pep、配列番号172。
【0354】
(実施例17.マウスTLR7をクローニングする方法)
tfastaを使用するヒトTLR7タンパク質配列のマウスESTデータベースとの整列は、マウスEST配列bb116163、aa266744、bb210780およびaa276879との4つのヒットを生じた。マウスTLR7 cDNAの5’末端および3’末端を増幅するために、RACE−PCRにおける使用のためのaa266744配列に結合する2つのプライマーを設計した。RACE PCRについて使用したライブラリーは、Clontechから市販されているマウス脾臓marathon−ready cDNAであった。この方法によって得られた3000bpの長さを有する5’フラグメントを、Promega pGEM−T Easyベクターにクローニングした。5’末端の配列決定後、さらなるプライマーをマウスTLR7 cDNAを完成するための増幅のために設計した。5’末端についてのプライマーを、5’RACE産物の配列から得て、一方、3’末端についてのプライマーを、マウスEST配列aa266744から選択した。
【0355】
プライマー5’−CTCCTCCACCAGACCTCTTGATTCC−3’(配列番号208)および5’−CAAGGCATGTCCTAGGTGGTGACATTC−3’(配列番号209)を用いて、鋳型としてマウスマクロファージRAW264.7(ATCC TIB−71)cDNAを使用して、3つの独立したPCR反応を設定した。得られた増幅産物を、pGRM−T Easyべクターにクローニングして、完全に配列決定した(配列番号173;表9)。mTLR7(配列番号174;表10)のオープンリーディングフレームは、塩基49で開始し、塩基3201で終わり、そして1050アミノ酸(配列番号175;表11)のタンパク質をコードする。マウスTLR7 cDNAについての発現ベクターを作製するために、pGRM−T EasyベクターおよびmTLR7インサートを、NotIで切断し、フラグメントを単離し、そしてNotIで消化したpCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。
【0356】
【表7】
表11において、配列は以下のように割り当てられる:mTLR7.pep、配列番号175;hTLR7.pep、配列番号170;bb210788.pep、配列番号176;aa276879.pep、配列番号177;aa266744.pep、配列番号178;およびbb116163.pep、配列番号179。
【0357】
(実施例18.ヒトTLR8をクローニングする方法)
GenBankデータベース中の2つの登録番号(AF245703およびAF246971)は、ヒトTLR8についてのDNA配列を記載する。ヒトTLR8についての発現ベクターを作製するために、ヒトTLR8 cDNAを、プライマー5’−CTGCGCTGCTGCAAGTTACGGAATG−3’(配列番号180)および5’−GCGCGAAATCATGACTTAACGTCAG−3’(配列番号181)を使用して、ヒト末梢単核血球(PBMC)から作製したcDNAより増幅した。フラグメントを、pGRM−T Easyベクター(Promega)にクローニングし、制限酵素NotIで切断し、そしてNotI消化pCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。インサートを完全に配列決定し、そしてタンパク質に翻訳した。hTLR8についてのcDNA配列は、配列番号182であり、表12に示す。オープンリーディングフレームは、塩基83で開始し、塩基3208で終わり、そして1041アミノ酸のタンパク質をコードする。配列番号182(表12)の塩基83〜3205に対応する配列番号183(表13)は、配列番号184(表14)のポリペプチドのコード領域である。
【0358】
クローニングされたhTLR8 cDNAのタンパク質配列は、GenBank登録番号AF245703の元で記載される配列と一致する。GenBank登録番号AF246971の元で寄託された配列は、N末端の15アミノ酸(MKESSLQNSSCSLGKETKK;配列番号185)の挿入物ならびに217位(PからS)、266位(LからP)および867位(VからI)における3つの単一アミノ酸変化を含む。
【0359】
【表8】
表14において、配列は以下のように割り当てられる:hTLR8.pep、配列番号184;AF245703.pep、配列番号186;およびAF246971.pep、配列番号187。
【0360】
(実施例19.マウスTLR8をクローニングする方法)
tfastaを使用するヒトTLR8タンパク質配列のマウスESTデータベースとの整列は、マウスEST配列bf135656との1つのヒットを生じた。マウスTLR8 cDNAの5’末端および3’末端を増幅するために、RACE−PCRにおける使用のためのbf135656配列に結合する2つのプライマーを設計した。RACE PCRについて使用したライブラリーは、Clontechから市販されているマウス脾臓marathon−ready cDNAであった。この方法によって得られた2900bpの長さを有する5’フラグメントおよび2900bpの長さを有する3’フラグメントを、Promega pGEM−T Easyベクターにクローニングした。各々のフラグメントの5’末端および3’末端の配列決定後、mTLR8の部分配列を得て、完全なTLR8 cDNAの増幅のためのプライマーの設計を可能にした。
【0361】
プライマー5’−GAGAGAAACAAACGTTTTACCTTC−3’(配列番号188)および5’−GATGGCAGAGTCGTGACTTCCC−3’(配列番号189)を用いて、鋳型としてClontechからのマウス脾臓cDNAを使用して、3つの独立したPCR反応を設定した。得られた増幅産物を、pGRM−T Easyべクターにクローニングして、完全に配列決定して、タンパク質に翻訳して、ヒトTLR8タンパク質配列と整列させた(GenBank登録番号AF245703)。mTLR8についてのcDNA配列は配列番号190であり、表15に示す。mTLR8のオープンリーディングフレームは、塩基59で開始し、塩基3157で終わり、そして1032アミノ酸のタンパク質をコードする。配列番号190(表15)の塩基59〜3154に対応する配列番号191(表16)は、配列番号192(表17)のポリペプチドのコード領域である。マウスTLR8 cDNAについての発現ベクターを作製するために、mTLRインサートを有するpGRM−T Easyベクターを、NotIで切断し、フラグメントを単離し、そしてNotIで消化したpCDNA3.1発現ベクター(Invitrogen)に連結した。
【0362】
【表9】
表17において、配列は以下のように割り当てられる:mTLR8.pep、配列番号192;hTLR8.pep、配列番号184;およびbf135656.pep、配列番号193。
【0363】
(実施例20.TLR8およびTLR7を発現する一過的トランスフェクト体)
クローニングされたヒトTLR7およびヒトTLR8のcDNA(本発明者らの結果)を、NotI部位を使用して、Invitrogenからの発現ベクターpCDNA3.1(−)にクローニングした。「機能獲得(gain of function)」を利用して、hTLR7およびhTLR8の発現ベクターを、リン酸カルシウム方法を使用して、ヒト293線維芽細胞(ATCC、CRL−1573)において一過的に発現させた。CpG−ODN(2006または1668(2μl))またはLPS(100ng/ml)での刺激後、活性化を、IL−8生成によってモニターした。使用された刺激のいずれも、hTLR7またはhTLR8のいずれかでトランスフェクトした293細胞を活性化しなかった。
【0364】
(実施例21.TLR9、TLR8、およびTLR7修飾因子のスクリーニング)
ヒトTLRレセプター9、ヒトTLRレセプター8、およびヒトTLRレセプター7は、プロモーター構造における差異に起因し得る組織間で示差的に発現される。Du Xら、Eur Cytokine Netw 11:362−71(2000);Chuang THら、Eur Cytokine Netw 11:372−8(2000)。ヒトToll様レセプター9、ヒトToll様レセプター8、ヒトToll様レセプター7について、ゲノム位置が規定され、そして配列決定されている。TLR9は、第3染色体上に位置し(GenBank登録番号NT 005985、AC006252)、TLR7は、X染色体上に位置し(GenBank登録番号NT 011774、AC005859、AC003046)、そしてTLR7に近いTLR8もまた、X染色体上に位置する(GenBank登録番号NT 011774、AC005859)。プロモーター領域における差異を確認するために、各遺伝子の推定プロモーター領域を、複数のクローニング部位に隣接してルシフェラーゼ遺伝子(luc)を含むpGL2−Basic(Promega,Madison,WI,USA)のようなレポーターベクターにクローニングする。種々の細胞株におけるこれらの構築物の一過的なトランスフェション後、種々の刺激を、ルシフェラーゼ活性によって検出される、挿入されたプロモーター領域の活性化について試験し得る。mTLR9、mTLR8およびmTLR7のクローニングによって定義されるプロモーター領域を、同じ様式で使用し得る。TLR9、TLR8、またはTLR7の発現をアゴナイズまたはアンタゴナイズする化合物の規定を使用して、スクリーニングによって規定される核酸リガンドまたは任意のTLR9、TLR8、もしくはTLR7リガンドに対する応答を強化またはくじき得る。これらの構築物を、TLR9の安定なトランスフェクト体の使用に類似した安定なトランスフェクション後のハイスループットスクリーニングに適合させ得る。
【0365】
前述の特許、特許出願および参考文献の各々は、本明細書中に参考として援用される。本発明は特定の実施形態に関して記載されるが、多数の改変および変化が、本発明の精神から逸脱することなく当業者によって行なわれ得ることが理解されるはずである。このような改変、変化および等価物は、上述の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0366】
(実施例22.ヒトIgG1 Fcに融合されたマウス細胞外TLR9ドメインおよびヒト細胞外TLR9ドメインをクローニングする方法)
センスおよびアンチセンスプライマーの5’TATGGATCCTCTTGTGACAAAACTCACACATGC(配列番号216)および5’ATAAAGCTTTCATTTACCCGGAGACAGGGAGAG(配列番号217)を使用して、ヒトB細胞cDNAからヒトIgG1 Fcを増幅し、制限エンドヌクレアーゼBamHIおよびHindIIIを用いる消化後にpCDNA3.1(−)(Invitrogen)に連結し、ベクターpcDNA−IgGFcを作製する。ヒトTLR9(アミノ酸1〜815)の細胞外ドメインを、センスおよびアンチセンスプライマーの5’TATGAATTCCCACCATGGGTTTCTGCCGCAG(配列番号218)および5’ATAGGATCCCCGGGGCACCAGGCCGCCGCCGCGGCCGCCGGAGAGGGCCTCATCCAGGC(配列番号219)を用いて増幅した。プライマーは、ヒトTLR9の細胞外ドメインを増幅し、そしてアミノ酸815に隣接して、さらなるNotI制限部位、グリシンリンカーおよびトロンビンプロテアーゼ認識部位を作製する。アミノ酸812で開始するこの領域の翻訳された配列は、DEALSGGRGGGLVPRGS(配列番号220)である。このフラグメントをEcoRIおよびBamHIで切断し、そしてpcDNA−IgGFcにクローニングし、ヒトIgG1(pcDNAhTLR9IgGFc)のFc部分に融合されたヒトTLR9の細胞外ドメインの融合部分をコードするベクターを作製する。発現された細胞外TLR9タンパク質を、トロンビンでの消化によってIgG1 Fcフラグメントから分離し得る(図を参照のこと)。
【0367】
マウスTLR9の細胞外部分(アミノ酸1〜816)を、センスおよびアンチセンスプライマーの5’TATATGCGGCCGCCCACCATGGTTCTCCGTCGAAG(配列番号221)および5’TATATGCGGCCGCCAGAGAGGACCTCATCCAGGC(配列番号222)を用いて増幅し、そしてPCRフラグメントおよびベクターのNotI消化後にpcDNAhTLR9IgGFcにクローニングした。この手順は、TLR9のヒト細胞外部分をマウスの対応物と交換した。
【0368】
(実施例23.ヒトIgG1 Fcに融合されたTLR9の細胞外ドメインの発現方法および精製方法)
ヒトTLR9またはマウスTLR9のヒトIgGFc融合タンパク質をコードするベクターDNAを、Ca2PO4法によって293線維芽細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、0.7mg/ml G418で選択し、クローニングした。融合タンパク質の発現を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によってモニターした。細胞を、溶解緩衝液(PBS,1%Triton X−100)中で溶解し、そして上清を、ヒトIgG−Fcに対するポリクローナル抗体でコーティングしたELISAプレートに適用した。結合した融合タンパク質を、ヒトIgG−Fcに対するビオチン化ポリクローナル抗体およびストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体と共にインキュベートすることによって検出した。
【0369】
融合タンパク質の精製のために、109細胞からの細胞溶解物を生成し、そしてヒトIgG−Fcに固く結合するプロテインAセファロースと共にインキュベートした。プロテアーゼトロンビンとのインキュベーションは、ヒトTLR9の可溶性細胞外ドメインを放出する。図27は、銀染色したSDSゲルによって可視化したTLR9融合タンパク質の例を示す。図27は、トランスフェクトされた細胞の溶解物は、疑似トランスフェクト細胞の溶解物またはトランスフェクトされた上清もしくは疑似トランスフェクト細胞のいずれにおいても存在しない100kDと150kDとの間で移動する強いバンドを含んだ。バンドのみかけの分子量は、トロンビン処理後に減少し、細胞外TLR9ドメインとFcフラグメントとの間に挿入されるトロンビンプロテアーゼ認識部位における切断と一致する。
【0370】
(実施例24.ヒトIgG1 Fcに融合されたマウスおよびヒトの細胞外TLR7ドメインおよびTLR8ドメインをクローニングする方法、ならびに293細胞におけるその発現)
マウスTLR7(アミノ酸1〜837)、ヒトTLR7(アミノ酸1〜836)、マウスTLR8(アミノ酸1〜816)およびヒトTLR8(アミノ酸1〜825)の細胞外ドメインを、それぞれ、プライマー対:
【0371】
【化15】
を用いて増幅した。フラグメントを、NotI消化後にpcDNA−IgGFcにクローニングした。
【0372】
ヒトIgGFc融合タンパク質に融合されたヒトまたはマウスのTLR7またはTLR8の細胞外ドメインをコードするベクターDNAを、Ca2PO4法によって、293線維芽細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、0.7mg/ml G418で選択し、クローニングした。融合タンパク質の発現を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によってモニターした。細胞を、溶解緩衝液(PBS,1%Triton X−100)中で溶解し、そして上清を、ヒトIgG−Fcに対するポリクローナル抗体でコーティングしたELISAプレートに適用した。結合した融合タンパク質を、ヒトIgG−Fcに対するビオチン化ポリクローナル抗体およびストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体と共にインキュベートすることによって検出した。
【0373】
(実施例25.マウスTLR9およびヒトTLR9に対する抗体産生の方法ならびに活性の特徴付け)
C57/B6マウスを、10nmolのCpG−ODN 1668と混合した20μgのヒトTLR9の細胞外ドメインの腹腔内投与によって3回免疫した。免疫したマウスから得たB細胞を、標準的なプロトコルを使用して、非抗体産生B細胞ハイブリドーマP3XAG8と融合させた。ハイブリドーマ上清を、マウスTLR9およびヒトTLR9融合タンパク質を使用して、ELISAにおける反応性についてスクリーニングした。陽性のハイブリドーマの同定のために、ELISAプレートを、ヒトIgG−Fcに対するポリクローナル抗体でコーティングし、そしてマウスTLR9 IgG−Fc融合タンパク質またはヒトTLR9 IgG−Fc融合タンパク質を含む溶解物と共にインキュベートした。次いで、プレートを個々のハイブリドーマ上清と共にインキュベートし、そして結合したTLR9特異的抗体を、マウスIgGに対するビオチン化ポリクローナル抗体およびストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体と共にインキュベートすることによって検出した。
【0374】
IgG1アイソタイプ、IgG2aアイソタイプおよびIgG2bアイソタイプである10個の抗体を単離した。これらを、ヒトTLR9およびマウスTLR9に対する反応性、ならびにウエスタンブロッティングまたは細胞内染色におけるこれらの性能について試験した。表18は、名称(ID)、アイソタイプ、反応性ならびにウエスタンブロッティングおよび細胞内染色における性能を示す。
【0375】
全ての単離された抗体を、標準的なプロテインA親和性クロマトグラフィーを使用して容易に精製した。
【0376】
(表18.マウスTLR9およびヒトTLR9に対して惹起されたモノクローナル抗体)
【0377】
【表10】
(実施例26.細胞内染色のための方法)
疑似トランスフェクトした293細胞およびヒトTLR9でトランスフェクトした293細胞を、カバースリップ上に播種し、一晩培養した。後日、細胞をPBS中で洗浄し、そして室温で10分間2%ホルマリンで固定した。細胞を、PBS中0.2%サポニンで浸透し、そして2μg/ml抗ヒトTLR9特異的抗体2−1E2と共に1時間インキュベートした。2回の洗浄工程後、細胞をAlexis488結合体化ヤギ抗マウスIgG抗体とインキュベートし、そしてTLR9を、Zeiss LSM510顕微鏡の共焦点顕微鏡を利用して可視化した。結果は、疑似トランスフェクト293細胞ではなく、ヒトTLR9でトランスフェクトした293細胞の細胞質が、ヒトTLR9に対して陽性で染色したことを示した。
【0378】
(実施例27.ウエスタンブロッティングのための方法)
マウスTLR9 IgG1−Fc融合タンパク質、ヒトTLR9 IgG1−Fc融合タンパク質またはマウスTLR2 IgG1−Fc融合タンパク質でトランスフェクトした293細胞の溶解物を、SDS−PAGEによって分離した。製造業者のプロトコルに従って、BioRad半乾燥ブロッターを利用してナイロン膜に転写した。この膜を、2μg/mlのヒトTLR9特異的抗体2−1E2と共にインキュベートし、そしてTLR9を、ポリクローナルヤギ抗ペルオキシダーゼ結合体によって検出した。ペルオキシダーゼ活性を、ECL試薬(Amersham)を用いてモニターし、そしてフィルム上で膜をインキュベートする(図29を参照のこと)。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、種々の刺激(CpG−ODN、GpC−ODN、LPSおよび培地を含む)への暴露に応答して、ヒトTLR9でトランスフェクトされた293線維芽細胞により産生される、(A)NF−κBの誘導および(B)IL−8の量、を示す二組の棒グラフである。
【図2】
図2は、種々の刺激(CpG−ODN、メチル化CpG−ODN(Me−CpG−ODN)、GpC−ODN、LPSおよび培地を含む)への暴露に応答して、マウスTLR9でトランスフェクトされた293線維芽細胞により産生されたNF−κBの誘導を示す棒グラフである。
【図3】
図3は、トランスフェクトしていないコントロール293細胞、mTLR9でトランスフェクトした293細胞(293−mTLR9)、およびhTLR9でトランスフェクトした293細胞(293−hTLR9)における、マウスTLR9(mTLR9)、ヒトTLR9(hTLR9)およびグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)についての逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイの結果を示す、一連のゲル画像である。
【図4】
図4は、安定にトランスフェクトされた293−hTLR9細胞における、種々の刺激によるNF−κB−lucの誘導の程度を示すグラフである。
【図5】
図5は、安定にトランスフェクトされた293−mTLR9細胞における、種々の刺激によるNF−κB−lucの誘導の程度を示すグラフである。
【図6】
図6は、誘導された(レーン1)かまたは誘導されていない(レーン2)、hTLR9でトランスフェクトされた酵母細胞の上清中の可溶性hTLR9の存在を示す、Coomassie染色したポリアクリルアミドゲルの画像である。
【図7】
図7は、種々の刺激(Escherichia coli(E.coli)DNA、DNaseで消化したE.coli DNA、CpG−ODN、GpC−ODNおよびLPSを含む)に応答する、ヒトB細胞の増殖を示すグラフである。
【図8】
図8は、種々の刺激(E.coli DNA、DNaseで消化したE.coli DNA、CpG−ODN、GpC−ODNおよびLPSを含む)に応答する、プラズマ細胞の樹状細胞(CD123+DC)および単球由来の樹状細胞(MDDC)におけるIL−8(上)およびTNF(下)の誘導を示す二組の棒グラフである。
【図9】
図9は、ヒト末梢血細胞:MDDC(レーン1)、精製CD14+単球(レーン2)、B細胞(レーン3)、CD123+DC(レーン4)、CD4+T細胞(レーン5)、およびCD8+T細胞(レーン6)における、ヒトTLR9 mRNA、ヒトTLR2 mRNA、およびヒトTLR4 mRNAの相対発現レベルを比較した、半定量的RT−PCRの結果を示す染色したゲルの一連の画像である。GAPDHは、cDNAの量を定量するためのコントロールである。
【図10】
図10は、示された濃度の種々のODN(ODN 2006(黒丸)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角)およびODN 1668−GC(白三角)を含む)に応答する、(A)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)および(B)マウス脾細胞において誘導されるIL−12の量を示す一組のグラフである。
【図11】
図11は、示された濃度の種々のODN(ODN 2006(黒丸)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角)、およびODN 1668−GC(白三角)を含む)で刺激された際の、hTLR9(左パネル)またはmTLR9(右パネル)でトランスフェクトされた293細胞の応答性を示す4つ組のグラフである。応答は、NF−κB−luc(上パネル)およびIL−8(下パネル)の誘導という形で示される。
【図12】
図12は、E.coli DNA(黒棒)およびDNase−で消化したE.coli DNA(灰色の棒)に対する、293−hTLR9細胞の用量応答を示す棒グラフである。
【図13】
図13は、示された濃度のホスホジエステル形態のODN 2006(黒丸)、ODN 2006−GC(白丸)、ODN 1668(黒三角)、およびODN 1668−GC(白三角)に対する、(A)293−hTLR9および(B)293−mTLR9細胞の応答性を示す一組のグラフである。
【図14】
図14は、示された濃度のODN 5002(黒丸)およびODN 5007(白丸)に対する293−hTLR9細胞および293−mTLR9細胞の応答性を示す一組のグラフである。
【図15】
図15は、CpG−ODN 1668に対するmTLR9でトランスフェクトした293細胞の応答が、非CpG−ODN PZ2に同時暴露することにより用量依存的な様式で阻害されることを示す、棒グラフである。
【図16】
図16は、ブロッキング非CpG−ODNの示された量の存在下における、CpG−ODN(黒棒)またはTNF(灰色の棒)に対する293−hTLR9細胞の応答を示す棒グラフである。
【図17】
図17は、Bafilomycin A(灰色の棒)の存在下における、IL−1でもTNFでもなく、CpG−ODNに対する293−hTLR9の応答の妨害を示す棒グラフである。ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いるコントロール処理は、黒色の棒で示す。
【図18】
図18は、CpG−ODN(白丸)、TNF−α(黒丸)またはコントロール(黒三角)で刺激した293−hTLR9細胞におけるNF−κBの誘導に対する、種々の濃度のドミナントネガティブなヒトMyD88の影響を示すグラフである。
【図19】
図19は、精製hTLR9−GLAGおよびmTLR9−FLAG:(上パネル)抗ヒトおよび抗マウス細胞内;(中)抗マウス細胞外;および(下)抗ヒト細胞外に対する、種々のポリクローナル抗体の応答を示す、一連の3つのウエスタンブロット画像である。矢印は、各ブロットにおけるTLR9の位置を示す。
【図20】
図20は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のhTLR9およびhTLR9改変体形態のhTLR9−CXXCmの応答性を示す棒グラフである。
【図21】
図21は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のmTLR9およびmTLR9改変体形態のmTLR9−CXXCmの応答性を示す棒グラフである。
【図22】
図22は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のmTLR9、mTLR9改変体形態のmTLR9−Phmut、およびmTLR9改変体形態のmTLR9−MBDmutの応答性を示す棒グラフである。
【図23】
図23は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のhTLR9、hTLR9改変体形態のhTLR9−PHmut、およびhTLR9改変体形態のhTLR9−MBDmutの応答性を示す棒グラフである。
【図24】
図24は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のmTLR9およびmTLR9改変体形態のmTLR9−TIRhの応答性を示す棒グラフである。
【図25】
図25は、異なる濃度における種々の刺激に対する、ネイティブ形態のhTLR9およびhTLR9改変体形態のhTLR9−TIRmの応答性を示す棒グラフである。
【図26】
図26は、ヒトTLR7、TLR8、およびTLR9ポリペプチドの種々の特徴を表す一連の線形マップである。
【図27】
図27は、融合タンパク質の銀染色ポリアクリルアミドゲルの画像および概略図であり、ここでヒトTLR9(hTLR9)の細胞外ドメインは、介在するトロンビンプロテアーゼ認識部位を有するヒトIgG1 Fcドメイン(hIgG−FC)に融合される。左から右へ、ゲルを、(1)形質転換体の上清;(2)トロンビンで処理された形質転換体の溶解物;(3)形質転換体の未処理の溶解物;(4)分子量マーカー;(5)モック形質転換体の上清;(6)トロンビンで処理したモック形質転換体の溶解物;および(7)モック形質転換体の未処理の溶解物で負荷した。可溶性hTLR9およびFcは、トロンビン処理の後にインタクトなhTLR9−IgG−Fcから放出された産物である。分子量は、銀染色ゲル画像の右側に沿って示される。
Claims (120)
- 単離された核酸分子であって、該核酸分子は、以下:
(a)配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するマウスTLR9をコードする、核酸分子、
(b)遺伝暗号の縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる、核酸分子、ならびに
(c)(a)または(b)の相補体、
からなる群より選択される単離される、核酸分子。 - 前記単離された核酸分子が配列番号3をコードする、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 前記単離された核酸分子が、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 前記単離された核酸分子が、配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、配列番号3のアミノ酸949、972、975、976、994、997、1000、1003、1004、1010、1011、1018、1023、および1027からなる群より選択されるマウスTLR9の少なくとも1つのアミノ酸をさらに含む、単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 前記ヒトTLR9が配列番号6に記載のアミノ酸配列を有する、請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 配列番号3および配列番号3のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- TLR9の細胞質外ドメインである、請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 配列番号126または配列番号127に記載のMBDモチーフを含む、請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 免疫刺激核酸(ISNA)に選択的に結合する、請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- CpG核酸に選択的に結合する、請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 請求項5に記載の単離されたTLR9ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子。
- プロモーターに作動可能に連結された請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
- 請求項14に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
- 請求項15に記載の宿主細胞であって、以下:
(a)プロモーターに作動可能に連結された、単離されたTLR7ポリペプチドをコードする核酸分子を含む、発現ベクター、および
(b)プロモーターに作動可能に連結された、単離されたTLR8ポリペプチドをコードする核酸分子を含む、発現ベクター
からなる群より選択される少なくとも1つの発現ベクターをさらに含む、宿主細胞。 - TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物をさらに含む、請求項15に記載の宿主細胞。
- プロモーターに作動可能に連結された請求項13に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
- 請求項18に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
- 請求項19に記載の宿主細胞であって、以下:
(a)プロモーターに作動可能に連結された、単離されたTLR7ポリペプチドをコードする核酸分子を含む、発現ベクター、および
(b)プロモーターに作動可能に連結された、単離されたTLR8ポリペプチドをコードする核酸分子を含む、発現ベクター
からなる群より選択される少なくとも1つの発現ベクターをさらに含む、宿主細胞。 - TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物をさらに含む、請求項19に記載の宿主細胞。
- 単離された核酸分子であって、該核酸分子は、以下:
(a)配列番号173に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号175に記載のアミノ酸配列を有するマウスTLR7をコードする、核酸分子、
(b)遺伝暗号の縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる、核酸分子、ならびに
(c)(a)または(b)の相補体、
からなる群より選択される単離される、核酸分子。 - 前記単離された核酸分子が配列番号175をコードする、請求項22に記載の単離された核酸分子。
- 前記単離された核酸分子が、配列番号173に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項22に記載の単離された核酸分子。
- 前記単離された核酸分子が、配列番号174に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項22に記載の単離された核酸分子。
- 前記ヒトTLR7が配列番号170に記載のアミノ酸配列を有する、請求項26に記載の単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 配列番号175および配列番号175のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項26に記載の単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- TLR7の細胞質外ドメインである、請求項26に記載の単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 配列番号203、204、212および213のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む、請求項26に記載の単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- ISNAに選択的に結合する、請求項26に記載の単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- CpG核酸に選択的に結合する、請求項26に記載の単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 請求項26に記載の単離されたTLR7ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子。
- プロモーターに作動可能に連結された請求項22に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
- 請求項34に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
- TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物をさらに含む、請求項35に記載の宿主細胞。
- プロモーターに作動可能に連結された請求項33に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
- 請求項37に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
- TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物をさらに含む、請求項38に記載の宿主細胞。
- 単離された核酸分子であって、該核酸分子は、以下:
(a)配列番号190に記載のヌクレオチド配列を有する核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号192に記載のアミノ酸配列を有するマウスTLR8をコードする、核酸分子、
(b)遺伝暗号の縮重に起因して、コドン配列が(a)の核酸分子と異なる、核酸分子、ならびに
(c)(a)または(b)の相補体、
からなる群より選択される単離される、核酸分子。 - 前記単離された核酸分子が配列番号192をコードする、請求項40に記載の単離された核酸分子。
- 前記単離された核酸分子が、配列番号190に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項40に記載の単離された核酸分子。
- 前記単離された核酸分子が、配列番号191に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項40に記載の単離された核酸分子。
- 前記ヒトTLR8が配列番号184に記載のアミノ酸配列を有する、請求項44に記載の単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 配列番号192および配列番号192のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項44に記載の単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- TLR8の細胞質外ドメインである、請求項44に記載の単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 配列番号205、206、214、および215のいずれか1つに記載のMBDモチーフを含む、請求項44に記載の単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- ISNAに選択的に結合する、請求項44に記載の単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- CpG核酸に選択的に結合する、請求項44に記載の単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメント。
- 請求項44に記載の単離されたTLR8ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子。
- プロモーターに作動可能に連結された請求項40に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
- 請求項52に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
- TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物をさらに含む、請求項53に記載の宿主細胞。
- プロモーターに作動可能に連結された請求項51に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
- 請求項55に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
- TIRドメインと相互作用し得るレポーター構築物をさらに含む、請求項56に記載の宿主細胞。
- 請求項1または請求項13に記載の単離された核酸分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子。
- 細胞中のTLR9シグナル伝達活性を阻害するための方法であって、該細胞を、該細胞におけるTLR9ポリペプチドの発現を阻害するのに有効な量の請求項58に記載の単離された核酸分子と接触させる工程を包含する、方法。
- 請求項1または請求項13に記載の単離された核酸分子のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
- 細胞中のTLR9シグナル伝達活性を阻害するための方法であって、該細胞を、該細胞におけるTLR9ポリペプチドの発現を阻害するのに有効な量の請求項60に記載の単離された核酸分子と接触させる工程を包含する、方法。
- TLRポリペプチドまたはそのフラグメントと相互作用する核酸分子を同定するための方法であって、該方法は、以下:
TLR7、TLR8、TLR9、およびこれらの核酸結合フラグメントからなる群より選択されるTLRポリペプチドを、試験核酸分子と接触させる工程;ならびに
該試験核酸分子と該TLRポリペプチドまたはそのフラグメントとの相互作用を測定する工程を包含する、
方法。 - 前記TLRポリペプチドまたはそのフラグメントが細胞中で発現される、請求項62に記載の方法。
- 前記TLRポリペプチドまたはそのフラグメントが単離されたTLRポリペプチドまたはそのフラグメントである、請求項62に記載の方法。
- 前記単離されたTLRポリペプチドまたはそのフラグメントが固体支持体に固定される、請求項64に記載の方法。
- 前記TLRポリペプチドまたはそのフラグメントが抗体のFcフラグメントに融合される、請求項62に記載の方法。
- 前記TLRポリペプチドまたはそのフラグメントがTLR細胞質外ドメインを含む、請求項66に記載の方法。
- 前記相互作用が結合である、請求項62に記載の方法。
- 請求項68に記載の方法であって、前記測定が、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、生体分子相互作用アッセイ(BIA)、電気移動性シフトアッセイ(EMSA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、およびウエスタンブロットからなる群より選択される方法によって達成される、方法。
- 前記測定が、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程を包含する方法によって達成される、請求項63に記載の方法。
- 請求項70に記載の方法であって、前記TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答が、NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子誘導およびサイトカインの分泌からなる群より選択される、方法。
- 前記NF−κBプロモーターの制御下の遺伝子が、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される、請求項71に記載の方法。
- 前記サイトカインが、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される、請求項71に記載の方法。
- 請求項70に記載の方法であって、該方法は、
(a)前記試験核酸分子の存在下で測定されるTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を、(b)該試験核酸分子の非存在下で測定されるTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答と比較する工程;ならびに
(a)が(b)を超えた場合に、該試験核酸分子がISNAであると決定する工程、
をさらに包含する、方法。 - 請求項70に記載の方法であって、該方法は、
前記応答を、前記TLRポリペプチドを参照核酸分子と独立して接触させた場合の参照応答と比較する工程;および
該応答が該参照応答よりも強いかまたは弱いかを決定する工程、
をさらに包含する、方法。 - 請求項70に記載の方法であって、該方法は、
前記応答を、前記TLRポリペプチドを参照核酸分子と同時に接触させた場合の参照応答と比較する工程;および
該応答が該参照応答よりも強いかまたは弱いかを決定する工程、
をさらに包含する、方法。 - 前記TLRポリペプチドまたはそのフラグメントがTLR7である、請求項62に記載の方法。
- 前記TLRポリペプチドまたはそのフラグメントがTLR8である、請求項62に記載の方法。
- 前記TLRポリペプチドまたはそのフラグメントがTLR9である、請求項62に記載の方法。
- ISNAを同定するためのスクリーニング方法であって、該方法は、
TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを試験核酸分子と接触させる工程;
該機能的TLRと該試験核酸分子との間の相互作用の結果として生じる、該試験核酸分子の存在下でのTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在または非存在を決定する工程;ならびに
該TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答の存在が検出された場合、該試験核酸分子がISNAであることを決定する工程、
を包含する、方法。 - 請求項80に記載の方法であって、
前記機能的TLRと前記試験核酸分子との間の相互作用の結果として生じる、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を、機能的TLRおよび参照ISNAとの間の相互作用の結果として生じる応答と比較する工程、
をさらに包含する、方法。 - 前記スクリーニング方法が複数の試験核酸分子上で実行される、請求項81に記載の方法。
- 請求項82に記載の方法であって、前記TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答が、定量的に測定され、そして該複数の試験核酸分子の各々と関連するTLRシグナル伝達経路によって媒介される応答が、機能的TLRと参照ISNAとの間の相互作用の結果として生じる応答と比較される、方法。
- 請求項83に記載の方法であって、前記複数の試験核酸分子のうちのサブセットが、前記TLRシグナル伝達経路によって媒介される特定の応答を生成する該サブセットの能力に基づいて選択される、方法。
- 前記機能的TLRが細胞中で発現される、請求項80に記載の方法。
- 前記細胞が、前記機能的TLRを天然に発現する単離された哺乳動物細胞である、請求項85に記載の方法。
- 請求項86に記載の方法であって、ここで、前記細胞が、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択されるレポーター構築物をコードする単離された核酸分子を含む発現ベクターを含む、方法。
- 前記機能的TLRが無細胞系の一部である、請求項80に記載の方法。
- 前記機能的TLRが別のTLRとの複合体の一部である、請求項80に記載の方法。
- 前記複合体がTLR9およびTLR7の複合体である、請求項89に記載の方法。
- 前記複合体がTLR9およびTLR8の複合体である、請求項89に記載の方法。
- 請求項80に記載の方法であって、前記機能的TLRが、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、NF−κB、ならびにこれらの機能的ホモログおよび誘導体からなる群より選択される非TLRタンパク質との複合体の一部である、方法。
- 前記参照ISNAがCpG核酸である、請求項80に記載の方法。
- 前記試験核酸分子がCpG核酸である、請求項80に記載の方法。
- 請求項80に記載の方法であって、ここで、前記TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答が、NF−κBプロモーターの制御下での遺伝子誘導およびサイトカインの分泌からなる群より選択される、方法。
- 前記NF−κBプロモーターの制御下の遺伝子が、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択される、請求項95に記載の方法。
- 前記サイトカインが、IL−8、TNF−α、およびIL−12 p40からなる群より選択される、請求項95に記載の方法。
- 試験化合物とISNAのTLRシグナル伝達活性を比較するためのスクリーニング方法であって、該方法は、以下:
TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、参照ISNAと接触させる工程、およびTLRシグナル伝達経路によって媒介される参照応答を検出する工程;
TLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験化合物と接触させる工程、およびTLRシグナル伝達経路によって媒介される試験応答を検出する工程;ならびに
該試験応答を参照応答と比較して、該試験化合物とISNAのTLRシグナル伝達活性を比較する工程、
を包含する、方法。 - 前記機能的TLRを、前記参照ISNAおよび前記試験化合物と独立して接触させる、請求項98に記載の方法。
- 請求項99に記載の方法であって、前記スクリーニング方法は、ISNA模倣物を同定するための方法であって、前記試験応答が前記参照応答と類似する場合、該試験化合物はISNA模倣物である、方法。
- 請求項98に記載の方法であって、前記機能的TLRを、前記参照ISNAおよび前記試験化合物と同時に接触させて、TLRシグナル伝達経路によって媒介される試験−参照応答を生成し、該試験−参照応答が前記参照応答に対して比較され得る、方法。
- 請求項101に記載の方法であって、前記スクリーニング方法は、ISNAアゴニストを同定するための方法であって、前記試験−参照応答が前記参照応答よりも大きい場合、前記試験化合物がISNAアゴニストである、方法。
- 請求項101に記載の方法であって、前記スクリーニング方法は、ISNAアンタゴニストを同定するための方法であって、前記試験−参照応答が前記参照応答よりも小さい場合、前記試験化合物がISNAアンタゴニストである、方法。
- 前記機能的TLRが、細胞中で発現される、請求項98に記載の方法。
- 前記細胞が、前記機能的TLR9を天然に発現する単離された哺乳動物細胞である、請求項104に記載の方法。
- 請求項105に記載の方法であって、前記細胞は、IL−8、IL−12 p40、NF−κB−luc、IL−12 p40−luc、およびTNF−lucからなる群より選択されるレポーター構築物をコードする単離された核酸分子を含む発現ベクターを含む、方法。
- 前記機能的TLRが無細胞系の一部である、請求項98に記載の方法。
- 前記機能的TLRが別のTLRとの複合体の一部である、請求項98に記載の方法。
- 請求項98に記載の方法であって、前記機能的TLRが、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、NF−κB、ならびにこれらの機能的ホモログおよび誘導体からなる群より選択される非TLRタンパク質との複合体の一部である、方法。
- 前記参照ISNAがCpG核酸である、請求項98に記載の方法。
- 前記試験化合物が核酸分子ではない、請求項98に記載の方法。
- 前記試験化合物がポリペプチドである、請求項98に記載の方法。
- 前記試験化合物が化合物のコンビナトリアルライブラリーの一部である、請求項98に記載の方法。
- ISNAの種特異性を同定するためのスクリーニング方法であって、該方法は、以下:
第1の種のTLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、試験ISNAと接触させる工程;
第2の種のTLR7、TLR8、およびTLR9からなる群より選択される機能的TLRを、該試験ISNAと接触させる工程;
該第1の種の機能的TLRを該試験ISNAと接触させることと関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程;
該第2の種の機能的TLRを該試験ISNAと接触させることと関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される応答を測定する工程;ならびに
(a)該第1の種の機能的TLRを該試験ISNAと接触させることと関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される該応答を、(b)該第2の種の機能的TLRを該試験ISNAと接触させることと関連する、TLRシグナル伝達経路によって媒介される該応答を、比較する工程、
を包含する、方法。 - 前記機能的TLRが、細胞中で発現される、請求項114に記載の方法。
- 前記細胞が、前記機能的TLRを天然に発現する単離された哺乳動物細胞である、請求項115に記載の方法。
- 前記機能的TLRが、無細胞系の一部である、請求項114に記載の方法。
- 前記機能的TLRが、別のTLRとの複合体の一部である、請求項114に記載の方法。
- 請求項114に記載の方法であって、ここで、前記機能的TLRが、MyD88、IRAK、TRAF6、IκB、NF−κB、ならびにこれらの機能的ホモログおよび誘導体からなる群より選択される非TLRタンパク質との複合体の一部である、方法。
- TLR9シグナル伝達活性と関連する疾患の処置において有用な薬理学的因子について、リード化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下:
請求項5に提供されるTLR9を含む細胞を提供する工程;
候補薬理学的因子の非存在下で、該細胞を該候補薬理学的因子と接触させて、TLR9シグナル伝達活性の第1の量を生じる工程;および
該TLR9シグナル伝達活性に対する該薬理学的因子の効果の測定として、TLR9シグナル伝達活性の第2の量を決定する工程、
を包含し、ここで、
該第1の量よりも低い該TLR9シグナル伝達活性の第2の量は、該候補薬理学的因子がTLR9シグナル伝達活性を低減する薬理学的因子のリード化合物であることを示し、ここで、
該第1の量よりも高い該TLR9シグナル伝達活性の第2の量は、該候補薬理学的因子がTLR9シグナル伝達活性を増大させる薬理学的因子のリード化合物であることを示す、方法。
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