JP2005352320A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、偏光層の光軸を任意の方向に設定可能であり、製造効率のよい偏光板、それを用いた液晶表示素子用基板および液晶表示素子、さらにはこれらの製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、長尺の透明基材と、上記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有することを特徴とする偏光板を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示素子等に用いることが可能な偏光板およびその製造方法に関するものである。
近年、液晶表示素子は、各種ディスプレイ用の表示素子として目覚ましい発展を遂げており、この液晶表示素子の大型化や薄型化に伴い、液晶表示素子に用いられる偏光板に対しても様々な要求がある。
一般的に用いられている偏光板としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸し、その表面にヨウ素や二色性染料等を吸着配向させたものが挙げられる。このような偏光板では、延伸によりヨウ素や二色性染料を配向させるため、偏光板の光軸は延伸方向に限定されてしまう。偏光板を液晶表示素子に貼付する際には、一般に液晶表示素子の走査線方向に対して偏光板の光軸が45°となるように配置されるため、上記のような偏光板では所定の寸法に切断して貼付する必要があり、無駄になる部分が発生するという問題があった。
このような問題から、偏光板を液晶表示素子に貼付する際に無駄な部分が発生しないように、任意の方向に光軸をもつ偏光板が求められている。
一方、二色性染料を用いた偏光板の製造方法としては、例えば特許文献1に、二色性染料を含有する塗工液を直接基板上に塗布することにより二色性染料を配向させる方法が提案されている。この方法は、剪断力を加えながら塗工液を塗布することにより、二色性染料を配向させることができるというものである。このような方法を用いる場合、塗布方向を制御することにより二色性染料の配向方向を制御することができるので、偏光板の光軸を任意に設定することは可能であるが、長尺の基板の長尺方向に対して交差する方向に、または大型の基板の斜め方向に連続的に塗布することは困難であるという問題がある。
また、特許文献2には、二色性染料と光二量化基を有する高分子液晶とを含有する塗工液を基板上に塗布し、偏光を照射して高分子液晶を配向させ、これにより二色性染料を配向させる方法が提案されている。この方法では、偏光の照射方向を制御することにより、高分子液晶の配向方向を制御することができるので、二色性染料の配向方向も制御することができ、偏光板の光軸を任意に設定することが可能である。しかしながら、偏光の照射方向と基板との角度や距離を精密に維持し続けることは困難であるという問題がある。
特開2002−90547号公報 特開2004−12929号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、偏光層の光軸を任意の方向に設定可能であり、製造効率のよい偏光板、それを用いた液晶表示素子用基板および液晶表示素子、さらにはこれらの製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、長尺の透明基材と、上記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有することを特徴とする偏光板を提供する。
本発明によれば、配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができるので、透明基材の長尺方向と交差する方向に光軸をもつ偏光板とすることが可能である。また、長尺の透明基材を用いているので、連続的に製造可能な偏光板とすることができる。
上記発明においては、上記偏光層の光軸が、上記透明基材の長尺方向と交差していることが好ましい。このような偏光板であれば、液晶表示素子に貼付する際に不要な部分が発生しないので、コストを削減することができるからである。
また本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する偏光板であって、上記偏光層の光軸が任意の方向を向いていることを特徴とする偏光板を提供する。
本発明によれば、偏光層の光軸が任意の方向を向いているので、本発明の偏光板を液晶表示素子に貼付する際には不要な部分が発生しないという利点を有する。また、配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができ、偏光層の光軸を任意に設定することが可能であるため、容易に所望の偏光特性を有する偏光板を得ることができる。
また、本発明においては、上記二色性染料は、上記二色性染料の法線方向が上記透明基材の一定方向を向いて積み重なったカラム構造を形成し、上記カラム構造は上記配向膜の凹部に沿って配向していることが好ましい。これにより、偏光特性が良好であり、耐熱性に優れた偏光層とすることができるからである。
さらに、本発明においては、上記二色性染料は、溶液中でリオトロピック液晶相を示すものであることが好ましい。上記二色性染料は、水溶液中で自己組織化によりカラム構造を形成し、リオトロピック液晶相を示すので、このような二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、カラム構造を容易に配向させることができるからである。
また、本発明においては、上記配向膜が硬化性樹脂からなることが好ましい。硬化性樹脂であれば、配向膜の凹部または凸部の形状の安定性が向上するからである。
本発明はまた、上述した偏光板と、電極と、液晶を配向させるための液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板を提供する。本発明の液晶表示素子用基板は、上述した偏光板を有するので、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とする場合に不要な部分の発生を回避することができるという利点を有する。また、偏光板の配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができ、偏光層の光軸を任意に設定することが可能であるため、液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光板を有する液晶表示素子用基板を容易に得ることができる。さらに、長尺の透明基材を用いた場合は、連続的に製造可能であるので、製造効率のよい液晶表示素子用基板とすることができる。
また本発明は、透明基材と、上記透明基材の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、上記偏光層上に形成された電極と、上記電極上に形成された液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板であって、上記偏光層の光軸が上記液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差していることを特徴とする液晶表示素子用基板を提供する。本発明においては、上記偏光層の光軸が、液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差しているので、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とする際には、偏光層の不要部分が発生することを回避することができる。また、上記偏光層が、透明基材の内側に形成されているので、透明基材の複屈折による影響を受けることがないため、表示品位の低下を抑制することができる。
さらに本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成された電極と、上記電極の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、上記偏光層上に形成された液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板であって、上記偏光層の光軸が上記液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差していることを特徴とする液晶表示素子用基板を提供する。
本発明は、また、上述した液晶表示素子用基板を用いることを特徴とする液晶表示素子を提供する。本発明によれば、上述した液晶表示素子用基板を用いることにより、偏光板の不要な部分の発生を回避することが可能である。また、偏光板の偏光層が透明基材よりも液晶用配向膜側に設けられている場合は、上述したように透明基材の複屈折による影響を受けないため、表示品位の低下を抑制することができるともに、透明基材に用いられる材料の選択肢が広がるという利点を有する。
また本発明は、連続的に移動可能な長尺の透明基材上にパターン状の凹部または凸部を形成することにより配向膜を形成する配向膜形成工程と、
上記配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記配向膜の凹部により前記二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程、上記塗膜を乾燥させる乾燥工程、および、上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程を行うことにより偏光層を形成する偏光層形成工程と
を有することを特徴とする偏光板の製造方法を提供する。
本発明によれば、配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料を任意の方向に配向させることができるので、透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸を有する偏光板を容易に製造することが可能である。また、長尺の透明基材を用いていることから、連続的に偏光板を製造することができるので、製造効率を向上させることができる。
上記発明においては、上記配向膜形成工程は、上記二色性染料が上記透明基材の長尺方向と交差して配向するような、上記パターン状の凹部または凸部を形成する工程であることが好ましい。所定のパターン状の凹部または凸部を形成することにより、二色性染料の配向方向を制御することができるので、所望の偏光特性を有する偏光板を容易に製造することができるからである。
本発明は、また、透明基材上にパターン状の凹部または凸部を形成することにより配向膜を形成する配向膜形成工程と、
上記配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記配向膜の凹部により上記二色性染料を任意の方向に配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程、上記塗膜を乾燥させる乾燥工程、および、上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程を行うことにより偏光層を形成する偏光層形成工程と
を有することを特徴とする偏光板の製造方法を提供する。
本発明においては、配向膜の凹部または凸部のパターンを調整して形成することにより、二色性染料を任意の方向に配向させることができるので、所望の偏光特性を有する偏光板を容易に製造することが可能である。
また、本発明においては、上記偏光層形成工程の固定化工程では、上記二色性染料を架橋する方法が用いられることが好ましい。これにより、偏光特性が良好であり、耐熱性に優れた偏光層を形成することができるからである。
さらに、本発明においては、上記偏光層形成用塗工液が水系であり、上記二色性染料が、上記水系の偏光層形成用塗工液中でリオトロピック液晶相を示し、かつ、上記偏光層中でカラム構造を形成するものであることが好ましい。このような二色性染料は、水溶液中で自己組織化によりカラム構造を形成し、リオトロピック液晶相を示すので、この二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、カラム構造を容易に配向させることができるからである。
また、本発明においては、上記偏光層形成工程の塗膜形成工程では、上記偏光層形成用塗工液に対し剪断応力が加わらない塗布方法が用いられることが好ましい。このような方法を用いることにより、上記二色性染料を上記配向膜の凹部に沿って容易に配向させることができるからである。
さらに、本発明においては、上記配向膜形成工程は、硬化性樹脂組成物を上記透明基材上またはパターン状の凸部を有する凹部形成用基板上に塗布する塗布工程と、上記透明基材および上記凹部形成用基板を、上記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる配置工程と、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程と、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から上記凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部を形成する凹部形成工程とを有することが好ましい。凹部形成用基板の凸部のパターンを調整することにより、複製されたパターン状の凹部を利用して、例えば二色性染料を透明基材の長尺方向に対して交差する方向に配向させることが可能となるからである。また、このような凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、例えば透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光板を大量に製造できるため、製造効率が向上するという利点を有するからである。
本発明はまた、上述した偏光板の製造方法により偏光板を形成する偏光板形成工程と、上記偏光板上に電極を形成する電極形成工程と、液晶を配向させるための液晶用配向膜を形成する液晶用配向膜形成工程とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述した偏光板の製造方法を用いることにより、液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とする場合に不要な部分の発生を回避することができる液晶表示素子用基板を製造することが可能である。
本発明においては、配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができるので、偏光板の光軸を任意の方向に設定することが可能であるという効果を奏する。
以下、本発明の偏光板、それを用いた液晶表示素子用基板および液晶表示素子、ならびにこれらの製造方法について詳細に説明する。
A.偏光板
まず、本発明の偏光板について説明する。本発明の偏光板は、透明基材および偏光層の態様により2つの実施態様に分けることができる。本発明の偏光板の第1実施態様は、長尺の透明基材と、上記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有することを特徴とするものである。また、本発明の偏光板の第2実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する偏光板であって、上記偏光層の光軸が任意の方向を向いていることを特徴とするものである。以下、各実施態様について詳述する。
1.第1実施態様
本発明の偏光板の第1実施態様は、長尺の透明基材と、上記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の偏光板について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施態様の偏光板の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施態様の偏光板11は、長尺の透明基材1と、この透明基材1上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜2と、この配向膜2上に形成され、二色性染料を含有する偏光層3とを有するものである。
本実施態様によれば、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜が形成されていることから、この配向膜上に、例えば上記二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、その表面の凹部を利用して二色性染料を配向させることが可能となる。例えば図2に示すように二色性染料13が、その法線方向nが透明基材1の一定方向を向くように積み重なってカラム構造13´を形成している場合、このカラム構造13´が配向膜表面の凹部に沿って配列するので、偏光性を示す層を形成することができるのである。
また、図2における配向膜2はストライプ状の凹部のパターンを有しており、上述したように二色性染料13からなるカラム構造13´は凹部に沿って配向するので、カラム構造13´の配向方向は、ストライプ状の凹部のパターンの溝方向(紙面の横断方向)と略平行になる。よって、この偏光層の光軸の向きは、ストライプ状の凹部のパターンの溝方向と略平行になる。
このように、配向膜がストライプ状の凹部のパターンを有する場合は、ストライプ状の凹部のパターンの溝方向と、二色性染料からなるカラム構造の配向方向と、偏光層の光軸とが、略平行の関係になる。
本実施態様においては、上述したように凹部に沿って二色性染料からなるカラム構造が配列するので、凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができ、透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光板を得ることが可能である。また、このような偏光板は、液晶表示素子に貼付する際に不要な部分が発生しないので、製造コストを削減することができるという利点を有する。さらに、上記偏光層は、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜が形成された長尺の透明基材上に、二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を連続的に塗布することにより形成することができるので、製造効率のよい偏光板とすることができる。
以下、このような偏光板の各構成について説明する。
(1)配向膜
まず、本実施態様に用いられる配向膜について説明する。本実施態様に用いられる配向膜は、後述する長尺の透明基材上に形成され、かつ、表面にパターン状の凹部または凸部を有するものである。本実施態様においては、凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができるので、透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光板を得ることができるのである。
本実施態様における配向膜の凹部または凸部のパターンの形状としては、二色性染料を配向させた際、偏光性を有する層とすることが可能となる形状であれば特に限定されるものではないが、中でもストライプ状に一定の間隔で規則的に形成されているパターンであることが好ましい。さらには、後述する長尺の透明基材の長尺方向と交差するように、二色性染料からなるカラム構造を配向させることができるような形状であることが好ましい。これにより、偏光層の光軸を透明基材の長尺方向と交差する方向に設定することができるからである。
上記凹部の幅としては、後述する二色性染料の種類等により適宜選択されるものであるが、通常0.1μm〜10μmの範囲内、好ましくは0.2μm〜1μmの範囲内、特に0.2μm〜0.4μmの範囲内とすることが好ましい。凹部の幅を上記範囲よりも狭く形成するのは製造法的に困難であり、逆に凹部の幅を広くし過ぎると二色性染料からなるカラム構造を配列させることが困難となる場合があるからである。ここで、凹部の幅とは、例えば図3のaで示される幅であり、凹状に形成されている部分の幅をいうこととする。
また、凹部の深さとしては、通常0.05μm〜1μmの範囲内、中でも0.1μm〜0.2μmの範囲内であることが好ましい。凹部の深さが浅すぎると二色性染料からなるカラム構造を配向させる性能が低くなり、逆に凹部の深さが深すぎると二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を配向膜上に塗布する際に塗りムラが生じる可能性があるからである。ここで、凹部の深さとは、例えば図3のbで示される深さであり、凹部内の最深部から凹部の端部までの高さをいうこととする。
さらに、凹部のパターンがストライプ状である場合、凹部の間隔は、後述する二色性染料の種類等により異なるものであるが、通常隣接する凹部の端と凹部の端との間隔、すなわち凸部の幅が可視光の波長の半分以下とされ、好ましくは0.05μm〜2μmの範囲内、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲内、特に0.1μm〜0.2μmの範囲内とされることが好ましい。隣接する凹部の端の間隔を上記範囲よりも狭く形成するのは製造法的に困難であり、逆に隣接する凹部の端の間隔を広くし過ぎると二色性染料からなるカラム構造を配列させることが困難となる場合があるからである。また、隣接する凹部の端と凹部の端との間隔が可視光の波長に近い値であると、光の回折により光学的に色付き等の不具合が生じる可能性があるからである。ここで、隣接する凹部の端と凹部の端との間隔とは、例えば図3のcで示される間隔である。
また、凹部のピッチとしては、後述する二色性染料の種類等により適宜選択されるものであるが、通常0.1μm〜10μmの範囲内、好ましくは0.2μm〜1μmの範囲内、特に0.2μm〜0.4μmの範囲内とすることが好ましい。凹部のピッチを上記範囲よりも狭く形成するのは製造法的に困難であり、逆に凹部のピッチを広くし過ぎると二色性染料からなるカラム構造を配列させることが困難となる場合があるからである。ここで、凹部のピッチとは、例えば図3のdで示されるピッチであり、隣接する凹部の中心から凹部の中心までの距離をいうこととする。
上記配向膜の凹部の断面形状としては特に限定されるものではなく、例えば図1に示すように凹部の断面形状が矩形であってもよく、また凹部の断面形状が台形等、その他の形状であってもよい。本発明においては、中でも凹部の断面形状が矩形であることが、後述する二色性染料からなるカラム構造を容易に一定方向に整列して配向させることが可能となる面から好ましい。
本実施態様に用いられる配向膜は、硬化性樹脂からなることが好ましい。硬化性樹脂からなる配向膜は、目的とするパターン状の凹部に対応するパターン状の凸部を表面に有する凹部形成用基板を準備し、この凹部形成用基板と後述する透明基材との間に硬化性樹脂組成物を挟んで硬化させることにより、容易にパターン状の凹部を形成することができるからである。また、硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化性樹脂からなることにより、凹部のパターンを安定化させることができるからである。
本実施態様に用いられる硬化性樹脂組成物としては、エネルギー線の照射により硬化するエネルギー線硬化性樹脂組成物、または熱により硬化する熱硬化性樹脂組成物を挙げることができる。本実施態様においては、中でもエネルギー線硬化性樹脂組成物が好ましい。上記エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、紫外線の照射により硬化するUV硬化性樹脂組成物、電子線の照射により硬化する電子線硬化性樹脂組成物等を挙げることができるが、中でもUV硬化性樹脂組成物が好ましい。エネルギー線として紫外線を用いる方法は、既に確立された技術であることから、本実施態様への応用が容易であるからである。
上記UV硬化性樹脂組成物としては、紫外線の照射により硬化するものであれば、特に限定されないが、多官能モノマー成分および/またはオリゴマー成分および/またはポリマー成分が光重合して硬化するものであることが好ましい。
上記多官能モノマー成分としては、特に限定されるものではないが、多官能アクリレートモノマーが好適に用いられる。具体的には、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を例示することができる。
上記オリゴマー成分としては、特に限定されるものではないが、例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシ、ビニルエーテル、ポリエン・チオール系等を挙げることができる。
また、上記ポリマー成分としては、特に限定されるものではないが、例えば光架橋型ポリマーが挙げられ、具体的には光二量化反応を起こすポリビニルケイ皮酸系樹脂等を使用することができる。
さらに、上記UV硬化性樹脂組成物に添加する光重合開始剤としては、紫外光、例えば365nm以下の紫外光で活性化し得る光ラジカル重合開始剤が用いられる。具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明では、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような光重合開始剤の含有量は、UV硬化性樹脂組成物中に、0.5〜30重量%の範囲内、特に1〜10重量%の範囲内とすることが好ましい。
また、上記UV硬化性樹脂組成物に使用可能な溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;α−またはβ−テルピネオール等のテルペン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類を例示することができる。また、これらの溶剤の中から1種または2種以上を混合して使用することができる。
本実施態様においては、UV硬化性樹脂組成物に溶剤を添加せずに塗布する場合もある。よって、このような溶剤の含有量は、UV硬化性樹脂組成物中に、0〜99.9重量%の範囲内、特に0〜80重量%の範囲内とすることが好ましい。
上記光重合開始剤、および溶剤を上述した範囲内に設定した理由は、以下の通りである。本実施態様においては、上記硬化性樹脂組成物を透明基材および凹部形成用基板の間に挟んで硬化することにより、パターン状の凹部を有する配向膜を形成することができる。よって、硬化性樹脂組成物は凹部形成用基板の凹凸の隙間に入り込むような所定の粘度を有していることが好ましく、光重合開始剤および溶剤が上述した範囲内であることにより、所望の粘度を有する硬化性樹脂組成物とすることができるのである。
また、上記配向膜の膜厚としては、偏光板の種類によって異なるものではあるが、凹部の厚みが通常1μm以下、好ましくは0.2μm以下とする。凹部の厚みが厚すぎると、本実施態様の偏光板が重厚となる可能性があるからである。また、偏光板の薄型化を考慮すると凹部の厚みは薄い方が好ましいが、薄すぎるものを形成するのは困難であることから、凹部の厚みは通常0.1μm以上である。ここで、凹部の厚みとは、例えば図3のeで示されるような凹部が形成されている部分の厚みをいう。
本実施態様においては、通常、このようなパターン状の凹部または凸部を形成する場合、配向膜表面は撥水性が高くなり、二色性染料がうまく配向しない可能性がある。この配向膜上に、後述する偏光層を形成する偏光層形成用塗工液が塗布されることから、上記配向膜は親水性であることが好ましく、上記配向膜上に親水性層が設けられていてもよく、また上記配向膜表面が親水化処理されたものであってもよい。上記配向膜の表面を親水性となるように表面処理する方法としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親水性表面処理等が挙げられ、また配向膜上に形成する親水性層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。
なお、配向膜の形成方法に関しては、後述する「D.偏光板の製造方法」の項に記載するため、ここでの説明は省略する。
(2)偏光層
次に、本実施態様に用いられる偏光層について説明する。本実施態様に用いられる偏光層は、二色性染料を含有する層であり、その二色性染料が、上記配向膜の凹部により一定方向に整列して配向されているものであれば、特に限定されるものではない。
本実施態様においては、偏光層の光軸が透明基材の長尺方向と交差していることが好ましい。このような偏光板であれば、液晶表示素子に貼付する際の不要な部分の発生を回避することができるからである。本実施態様によれば、上述したように配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができるので、上記偏光層の光軸と透明基材の長尺方向とのなす角度を任意の角度に設定することができるのである。
なお、上記偏光層の光軸と透明基材の長尺方向とのなす角度は、予め偏光板の光軸の方向がわかっている市販の偏光板と、本発明の偏光板とを重ね合わせて、角度を変化させながら透過率を測定し、透過率が最小となったときが、本発明の偏光板および市販の偏光板の光軸が90°となるときであることから、測定することができる。
また一般に、偏光板を液晶表示素子に貼付する際には、液晶表示素子の走査線方向に対して偏光板の光軸が所定の角度、例えば45°となるように配置されることから、上記偏光層の光軸が、透明基材の長尺方向に対して例えば45°となるように設定されていれば、貼付する際の不要な部分の発生を回避することができる。このように上記偏光層の光軸を透明基材の長尺方向に対して45°方向に設定する場合は、上記偏光層の光軸と透明基材の長尺方向とのなす角度は45°±2°の範囲であることが好ましく、中でも45°±0.5°の範囲であることが好ましい。また、例えば偏光層の光軸を透明基材の長尺方向に対して直交するように設定する場合は、上記偏光層の光軸と透明基材の長尺方向とのなす角度は90°±2°の範囲であることが好ましく、より好ましくは90°±0.5°の範囲である。
本実施態様に用いられる二色性染料としては、上記配向膜の凹部により配向するものであり、配向することにより偏光性を有する層を形成することができるものであれば特に限定されるものではない。このような二色性染料としては、例えばアントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ナフタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、インダンスレン系色素、アクリジン系色素、ペリレン系色素、ピラゾロン系色素、アクリドン系色素、ピランスロン系色素、およびイソビオラントロン系色素からなる群より選ばれる色素等が挙げられる。
また、本実施態様に用いられる二色性染料は、二色性染料の法線方向が基材の一定方向を向いて積み重なったカラム構造を形成するものであることが好ましい。上記二色性染料の自己組織化により形成されたカラム構造は、上記配向膜の凹部に沿って一定方向に容易に配向するため、偏光特性のよい偏光層とすることができるからである。
図2は、本実施態様に用いられる偏光層の概略斜視図である。図2に示すように、この偏光層においては、二色性染料13は、配向膜2の凹部に沿って、二色性染料13の法線方向nが透明基材1の一定方向を向いて積層してカラム構造13´を形成し、このようなカラム構造13´が複数配列して偏光層を構成している。このように二色性染料13が配列して構成される偏光層においては、複数のカラム構造13´のカラムの軸方向が基材1の一定方向を向いているので、偏光性を有する層とすることができる。
このような二色性染料としては、柱状に積層することによりカラム構造を形成することができるものであれば特に限定されるものではない。カラム構造を形成する二色性染料としては、例えば、スルホン酸基等の親水性基を有する二色性染料、または長鎖のアルキル基等の疎水性基を有する二色性染料が挙げられる。中でも、親水性基を有する二色性染料を用いることが好ましい。親水性基を有する二色性染料は、この親水性基が小さく、隣接するカラム構造同士の距離が近いため、容易にカラム構造を配列させることができるからである。また、スルホン酸基等の親水部を中和して水に難溶もしくは不溶とすることで固定化処理が容易となるからである。上記親水性基としては、スルホン酸基、スルホン酸ナトリウム基、スルホン酸アンモニウム基、スルホン酸リチウム基、スルホン酸カリウム基等のスルホン酸系の親水性基、カルボキシル基、カルボン酸ナトリウム基、カルボン酸アンモニウム基、カルボン酸リチウム基、カルボン酸カリウム基等のカルボン酸系の親水性基、水酸基、アミノ基などが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸系の親水性基であることが好ましい。
なお、二色性染料がカラム構造を形成しているとは、X線回折装置を用いて測定することにより確認することがきる。
本実施態様に用いられる二色性染料としては、上記の中でも、溶液中でリオトロピック液晶相を示すものであることが好ましい。上記二色性染料は、溶液中でカラム構造を形成し、リオトロピック液晶相を示すので、このような二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、カラム構造を容易に配向させることができるからである。
このような溶液中でリオトロピック液晶相を示す二色性染料としては、水溶液中でリオトロピック液晶相を示す二色性染料、または有機溶媒中でリオトロピック液晶相を示す二色性染料が挙げられる。上記の溶液の種類は、上記二色性染料の置換基によって異なるものであり、二色性染料がスルホン酸基等の親水性基を有する場合は水溶液が用いられ、長鎖のアルキル基等の疎水性基を有する場合は有機溶媒が用いられる。これらの中でも、水溶液中でリオトロピック液晶相を示す二色性染料を用いることが好ましい。上記二色性染料が親水性基を有し、水溶液中でリオトロピック液晶相を示すものであることにより、後述する二色性染料の配向状態を固定化する際の処理が簡便になるからである。
上述したカラム構造を形成し、水溶液中でリオトロピック液晶相を示す二色性染料の具体例としては、下記化学式で示される物質が挙げられる。
Figure 2005352320
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上記各化学式中のアルキル基は、炭素原子1〜4個を有するものであることが好ましい。また、上記各化学式中のハロゲンとしては、Cl、Brであることが好ましい。さらに、上記各化学式中のカチオンとしては、H、Li、Na、K、CsまたはNH が挙げられる。これらの物質は単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本実施態様においては、上記の中でも、上記化学式I〜Vで表される物質が好適に用いられる。
また、上記二色性染料としては、上述したようなリオトロピック液晶相を示すものに限定されるものではなく、サーモトロピック液晶相を示すものであってもよい。
さらに、本実施態様に用いられる偏光層としては、上記二色性染料の他に、液晶材料を含有していてもよい。例えば、二色性染料が配向膜の凹部に沿って配向しにくいものであったとしても、液晶材料を凹部に沿って配向させることにより、この液晶材料の配向方向に沿って二色性染料を配向させることができるからである。上記液晶材料としては、一般に偏光層に用いることができる液晶材料を使用することができる。また、上記液晶材料と二色性染料との液晶組成物は、リオトロピック液晶相を示すものであっても、サーモトロピック液晶相を示すものであってもよいが、通常はサーモトロピック液晶相を示すものが用いられる。
上記偏光層の膜厚は、上記二色性染料の種類や偏光板の目的とする透過率等により、異なるものであるが、通常50nm〜2000nmとし、中でも100nm〜1000nmの範囲内とすることが好ましい。
なお、偏光層の形成方法に関しては、後述する「D.偏光板の製造方法」の項に記載するため、ここでの説明は省略する。
(3)長尺の透明基材
次に、本実施態様に用いられる長尺の透明基材について説明する。本実施態様に用いられる長尺の透明基材としては、一般に偏光板に用いられるものであれば特に限定されるものはなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。中でも、可撓性を有し、光透過率が80%以上の透明なフレキシブル材が好ましく、特に光学的等方性を有するものが好ましい。このような材料としては、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、およびシクロオレフィン系樹脂等のフィルム、さらにポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン、およびポリエーテルスルホン等のフィルムを使用することができる。これらの中でも、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムが好適である。上記材料からなる市販品としては、ゼネオックス(日本ゼオン(株)製)、アートン(JSR(株)製)、フジタック(富士写真フィルム(株)製)等が挙げられる。
本発明においては、上述したように、長尺の透明基材の上に硬化性樹脂組成物を塗布し、透明基材および凹部形成用基板の間に硬化性樹脂組成物を挟みこむことによりパターン状の凹部を形成して配向膜とし、この配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布して偏光層を形成することにより、偏光板を作製することが可能であることから、透明基材が可撓性を有する光透過率が80%以上の透明なフレキシブル材であれば、ロールトゥロールプロセスを経ることにより、連続的に偏光板を作製することができ、製造効率のよい偏光板とすることが可能である。
また、長尺の透明基材と配向膜との密着性を向上させるために、透明基材に表面処理を行ってもよい。具体的には、グロー放電処理、コロナ放電処理、UV処理、ケン化処理等を用いることができる。また、透明基材上にプライマー層を形成してもよい。さらに、硬化性樹脂から透明基材を保護する目的でプライマー層(バリア層)を設けてもよい。このようなプライマー層としては、例えばシラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
さらに、上記長尺の透明基材上には、機能層が形成されていてもよい。本実施態様に用いられる機能層としては、一般に液晶表示素子に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えばカラーフィルタ層等を挙げることができる。カラーフィルタ層としては、一般に液晶表示素子のカラーフィルタ層として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、顔料や樹脂を用いたものを使用することができる。また、各色の間にブラックマトリックスが形成されていてもよい。
(4)偏光板
次に、本実施態様の偏光板について説明する。本実施態様の偏光板は、上述した透明基材上に上記配向膜が形成され、この配向膜上に二色性染料を含有する偏光層が形成されているものであって、上記二色性染料が上記配向膜の凹部により一定方向に整列して配向しているものであれば、特に限定されるものではない。
本実施態様の偏光板の膜厚は、その偏光板の用途や種類により適宜選択されるものであるが、通常50μm〜1000μmの範囲内とすることができる。
本実施態様においては、上記透明基材上に金属等からなる反射層が形成された反射型偏光板とするものであってもよく、また、上記透明基材上にある程度可視光に対して透過性を有するように上記反射層が形成された半透過反射型偏光板とするものであってもよい。
このような反射層としては、例えばアルミニウムや銀等のような高反射率の金属を、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成することができ、例えば反射型偏光板を形成する場合には、膜厚を通常10nm〜100nmの範囲内、また半透過反射型偏光板を形成する場合には、膜厚を通常10nm〜30nmの範囲内とすることができる。また、上記金属からなる反射層を形成した場合には、上記反射層の劣化を防止するために、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂等の保護層を形成することが好ましい。また、必要に応じて光拡散層等が形成されたものであってもよい。
2.第2実施態様
次に、本発明の偏光板の第2実施態様について説明する。本発明の偏光板の第2実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する偏光板であって、上記偏光層の光軸が任意の方向を向いていることを特徴とするものである。
本実施態様においては、上記第1実施態様に記載したように、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜上に、二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、凹部に沿って二色性染料からなるカラム構造を配列させることができるので、凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料からなるカラム構造の配向方向を制御することができ、偏光層の光軸を任意に設定することが可能である。また、このように偏光層の光軸が所定の方向を向いている偏光板は、液晶表示素子に貼付する際に不要な部分が発生しないという利点を有する。
なお、配向膜、偏光層、および偏光板のその他の点については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。以下、本実施態様の偏光板に用いられる透明基材について説明する。
(1)透明基材
本実施態様に用いられる透明基材としては、一般に偏光板に用いられるものであれば特に限定されるものはなく、長尺の透明基材であってもよく、ウェブ状の透明基材であってもよい。このような透明基材としては、例えば上記第1実施態様の長尺の透明基材の項に記載したものを用いることができる。
B.液晶表示素子用基板
次に、本発明の液晶表示素子用基板について説明する。
本発明の液晶表示素子用基板は、上述した偏光板と、電極と、液晶を配向させるための液晶用配向膜とを有することを特徴とするものである。
本発明の液晶表示素子用基板は、上述した偏光板を有するので、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とする場合に不要な部分の発生を回避することができるという利点を有する。また、偏光板の配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料の配向方向を制御することができ、偏光層の光軸を任意に設定することが可能であるため、液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光層を有する液晶表示素子用基板を容易に得ることができる。さらに、長尺の透明基材を用いた場合は、連続的に製造可能であるので、製造効率のよい液晶表示素子用基板とすることができる。
本発明においては、液晶表示素子用基板は、上述した偏光板と電極と液晶用配向膜とが積層されたものであれば特に限定されるものではないが、好ましい態様として、透明基材と、上記透明基材の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、上記偏光層上に形成された電極と、上記電極上に形成された液晶用配向膜とを有するものである第1の態様と、透明基材と、上記透明基材の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、上記偏光層上に形成された電極と、上記電極上に形成された液晶用配向膜とを有するものである第2の態様とが挙げられる。
以下、各態様について説明する。
1.第1の態様
本発明の液晶表示素子用基板の第1の態様は、透明基材と、上記透明基材の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、上記偏光層上に形成された電極と、上記電極上に形成された液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板であって、上記偏光層の光軸が上記液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差していることを特徴とするものである。
本態様においては、上記偏光層の光軸が、液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差しているので、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とする際には、偏光層の不要部分が発生することを回避することができる。また、上記偏光層が、透明基材の内側に形成されているので、透明基材が複屈折を有する場合であっても、この透明基材の複屈折による影響を受けることがなく、偏光状態が乱れることがないため、表示品位の低下を抑制することができる。さらに、透明基材に用いられる材料の選択肢が広がるという利点も有する。
本態様に用いられる液晶用配向膜としては、液晶を配向させることができるものであれば特に限定はされなく、例えばラビング処理、光配向処理等を施したものを用いることができる。この液晶用配向膜の形成位置としては、液晶表示素子用基板の最表面であれば特に限定されるものではない。
また、本態様に用いられる電極としては、一般に液晶表示素子の電極として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)等の透明電極や、クロム、アルミニウム等の金属電極などが挙げられる。この電極の形成位置としては、偏光層と液晶用配向膜との間であれば特に限定されるものではない。
なお、透明基材、配向膜および偏光層については、上述した「A.偏光板」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.第2の態様
本発明の液晶表示素子用基板の第2の態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成された電極と、上記電極の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、上記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、上記偏光層上に形成された液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板であって、上記偏光層の光軸が上記液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差していることを特徴とするものである。
本態様においては、上記偏光層の光軸が、液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差しているので、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とする際には、偏光層の不要部分が発生することを回避することができる。また、上記偏光層が、透明基材の内側に形成されているので、上述したように透明基材の複屈折による影響を受けることがないため、表示品位の低下を抑制することができ、透明基材に用いられる材料の選択肢が広がるという利点を有する。
本態様に用いられる電極としては、一般に液晶表示素子の電極として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)等の透明電極や、クロム、アルミニウム等の金属電極などが挙げられる。この電極の形成位置としては、透明基材と偏光層との間であれば特に限定されるものではなく、透明基材上に機能層が形成されている場合には透明基材と機能層との間であってもよい。
なお、透明基材、機能層、配向膜および偏光層については上述した「A.偏光板」の項に記載したものと同様であり、液晶用配向膜については上記第1の態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
C.液晶表示素子
次に、本発明の液晶表示素子について説明する。
本発明の液晶表示素子は、上記の液晶表示素子用基板を用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した液晶表示素子用基板を用いることにより、偏光板の不要な部分の発生を回避することができるという利点を有する。また、例えば2枚の上記液晶表示素子用基板間に液晶層が形成されている液晶表示素子では、偏光層が透明基材の内側に設けられていると、透明基材が複屈折を有するものであっても、一方の偏光層を透過した偏光が、液晶層、もう一方の偏光層、透明基材の順に出射されるため、透明基材の複屈折による影響を受けることなく光が出射され、偏光状態が乱れることがないので、表示品位の低下を抑制することができる。また、透明基材に用いる材料の選択肢が広がるという利点を有する。
本発明の液晶表示素子は、上述した液晶表示素子用基板を用いたものであれば特に限定はされないが、通常は液晶表示素子用基板と液晶層とを有するものとする。例えば、2枚の液晶表示素子用基板の間に液晶層が形成されたもの、あるいは、上述した偏光板を液晶表示素子の前面偏光板もしくは背面偏光板として用いたものであって、液晶表示素子用基板および対向基板の間に液晶層が形成されたものなどが挙げられる。
本発明に用いられる液晶層としては、通常液晶表示素子に用いられる液晶から構成されるものであればよい。
D.偏光板の製造方法
次に、本発明の偏光板の製造方法について説明する。本発明の偏光板の製造方法は、用いる透明基材および偏光層形成工程の態様により2つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様について説明する。
1.第3実施態様
本発明の偏光板の製造方法の第3実施態様は、連続的に移動可能な長尺の透明基材上にパターン状の凹部または凸部を形成することにより配向膜を形成する配向膜形成工程と、
上記配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記配向膜の凹部により上記二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程、上記塗膜を乾燥させる乾燥工程、および、上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程を行うことにより偏光層を形成する偏光層形成工程と
を有することを特徴とするものである。
本実施態様の偏光板の製造方法について図面を参照しながら説明する。図4は、本実施態様の偏光板の製造方法の一例を示す工程図である。図4に示すように、本実施態様の偏光板の製造方法においては、まず、連続的に移動可能な長尺の透明基材1上に硬化性樹脂組成物12を塗布し(図4(a))、透明基材1およびパターン状の凸部を有する凹部形成用基板4を硬化性樹脂組成物12を挟んで重ね合わせ、エネルギー14を照射することにより硬化性樹脂組成物12を硬化させる(図4(b))。さらに、凹部形成用基板4を剥離することにより(図4(c))、パターン状の凹部を有する配向膜2が形成される(図4(d))、配向膜形成工程が行われる。次に、配向膜2上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液13を塗布し、配向膜2の凹部により二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜工程(図4(e))、および、この塗膜を乾燥させる乾燥工程を行い、最後に上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程を行うことにより、偏光層3を形成する(図4(f))、偏光層形成工程が行われる。
本実施態様によれば、上記配向膜形成工程により表面にパターン状の凹部または凸部を有する配向膜が形成されることから、この配向膜の凹部に沿って例えば二色性染料をカラム構造が形成されるように一定方向に整列して配向させることができ、偏光層を形成することが可能となる。また、配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料を任意の方向に配向させることができるので、透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸を有する偏光板を容易に製造することが可能である。さらに、長尺の透明基材を用いているので、連続的に偏光板を製造することができ、製造効率を向上させることができる。
以下、このような偏光板の製造方法の各工程について説明する。
(1)配向膜形成工程
本実施態様おいては、まず、連続的に移動可能な長尺の透明基材上にパターン状の凹部または凸部を形成することにより配向膜を形成する配向膜形成工程が行われる。
本実施態様における配向膜形成工程は、後述する偏光層形成工程に用いられる偏光層形成用塗工液に含有される二色性染料が、透明基材の長尺方向と交差して配向するようなパターン状の凹部または凸部を形成する工程であることが好ましい。この際、用いられる二色性染料がカラム構造を形成するものである場合は、二色性染料からなるカラム構造が透明基材の長尺方向に対して交差するように配向することが好ましい。これにより、透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光板を製造することが可能となるからである。このような偏光板は、液晶表示素子に貼付する際に不要な部分が発生しないという利点を有している。
また、本実施態様における配向膜形成工程は、硬化性樹脂組成物を透明基材上またはパターン状の凸部を有する凹部形成用基板上に塗布する塗布工程と、上記透明基材および上記凹部形成用基板を、上記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる配置工程と、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程と、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から上記凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部を形成する凹部形成工程とを有することが好ましい。凹部形成用基板の凸部のパターンを適宜選択することにより、配向膜表面に複写されたパターン状の凹部を利用して二色性染料からなるカラム構造を透明基材の長尺方向に対して交差する方向に配向させることができるので、任意の方向に光軸をもつ偏光板を製造することが可能となるからである。また、このような凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、所望の偏光特性を有する偏光板を大量に製造でき、製造効率を向上させることができるからである。
以下、このような配向膜形成工程の各工程について説明する。
(i)塗布工程
本実施態様における配向膜形成工程においては、まず、基材上またはパターン状の凸部を有する凹部形成用基板上に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程が行われる。以下、本工程に用いられる凹部形成用基板および硬化性樹脂組成物の塗布方法について説明する。
(凹部形成用基板)
本工程に用いられる凹部形成用基板は、表面にパターン状の凸部を有するものである。また、この凸部は、目的とする配向膜の凹部に対して対称となるように形成されているものである。上記凸部の形状としては、目的とする配向膜の凹部を形成することができるようなものであれば、特に限定されるものではない。また、上記凹部形成用基板は、二色性染料からなるカラム構造が長尺の透明基材の長尺方向に対して交差して配向するような配向膜の凹部を形成するための凸部を有することが好ましい。凹部形成用基板の凸部を上述したようなものとすることにより、透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光板を容易に製造することができるからである。なお、凸部の幅、高さ、形状およびパターン等は、上述した「A.偏光板」に記載した配向膜の凹部と対応するものであるので、ここでの説明は省略する。
また、上記凹部形成用基板としては、可撓性を有するもの、例えば樹脂フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス等であってもよい。本実施態様においては、凹部形成用基板は繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有する材料が好適に用いられる。具体的には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。このような材料は、後述する凸部の形成方法により、適宜選択されるものである。さらに、上記凹部形成用基板は、後述する硬化工程における硬化性樹脂組成物を硬化させる際のエネルギーの照射方法により適宜選択される。すなわち、凹部形成用基板側からエネルギー線を照射する場合は、透明な材料であることが必要であるが、基材側からエネルギー線を照射する場合は、特に透明な材料に限定されるものではない。
上記凹部形成用基板は、凹凸用円筒ドラムにより移動していてもよく、さらには凹部形成用基板自体が凹凸用円筒ドラムを構成している、すなわち凹凸用円筒ドラムの表面にパターン状の凸部が形成されていてもよい。ロールトゥロールプロセスを経ることにより、透明基材上に凹部を連続的に複製することができ、製造効率が向上するからである。また、このような凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、任意の方向に光軸をもつ偏光板を大量に製造できるため、製造効率をより一層向上させることができる。
このような凸部の形成方法としては、例えばガラスや樹脂フィルム等をパターニングする方法、ガラス等の表面に感光性樹脂層等を塗布して、この感光性樹脂層をパターニングする方法などを用いることができる。パターニング方法としては、一般的な方法を用いることが可能であり、例えばフォトリソグラフィー法、スパッタ法、また機械的に切削する方法等が挙げられる。さらに、斜め蒸着法、ラビング法等を用いることもできる。
(硬化性樹脂組成物の塗布方法)
本工程においては、例えば図4(a)に示すように硬化性樹脂組成物12は透明基材1上に塗布してもよく、図示しないが凹部形成用基板上に塗布してもよいものである。また、透明基材と凹部形成用基板とを所定の間隙をおいて固定し、その間に硬化性樹脂組成物を流し込み、塗布するものであってもよい。
上記硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップコート法、カーテンコート法(ダイコート法)等が挙げられる。
塗布された硬化性樹脂組成物の膜厚としては、0.1〜30μmの範囲内、中でも0.2〜10μmの範囲内であることが好ましい。硬化性樹脂組成物の膜厚が薄すぎると、硬化性樹脂組成物への凹部の複製が十分に行われない可能性があるからである。また、膜厚が厚すぎると、本実施態様により製造された偏光板の薄型化が困難となり、さらに透明基材がフィルムである場合、塗布面がカールしやすくなる可能性があるからである。
また、上記硬化性樹脂組成物が所望の膜厚となるように、塗布量を制御して上述した方法により塗布してもよく、塗布した後に余剰な硬化性樹脂組成物を取り除いてもよい。余剰な硬化性樹脂組成物を取り除く方法としては、ローラーを用いて取り除く方法、ドクターを用いて掻き取る方法等が挙げられる。また、このような余剰な硬化性樹脂組成物を取り除く工程は、塗布工程後に行ってもよく、後述する配置工程後に行ってもよい。
なお、長尺の透明基材および硬化性樹脂組成物については、上述した「A.偏光板」の第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(ii)配置工程
次に、本実施態様における配向膜形成工程の配置工程について説明する。本発明における配置工程は、上記透明基材および上記凹部形成用基板を、上記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる工程である。
上記透明基材および凹部形成用基板の配置方法としては、塗布された硬化性樹脂組成物が透明基材および凹部形成用基板と接するように配置されていれば特に限定はされないが、硬化性樹脂組成物が透明基材と密着するように配置されることが好ましい。硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化性樹脂からなる配向膜は基材上に形成されるため、硬化性樹脂組成物が透明基材と密着することが好ましいからである。また、上記透明基材と上記凹部形成用基板とは、硬化性樹脂組成物が目的の膜厚となるように、間隙をおいて配置されることが好ましい。
また、上記透明基材と上記硬化性樹脂組成物との密着性を向上させるために、透明基材に表面処理行うことが好ましい。具体的には、グロー放電処理、コロナ放電処理、UV処理、ケン化処理等を用いることができる。また、透明基材上にプライマー層を形成してもよい。さらに、硬化性樹脂から透明基材を保護する目的でプライマー層(バリア層)を設けてもよい。このようなプライマー層としては、例えばシラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
(iii)硬化工程
本実施態様における配向膜形成工程においては、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程が行われる。
上記硬化性樹脂組成物を硬化させる方法としては、エネルギー線を照射する方法、加熱する方法等を挙げることができるが、本実施態様においてはエネルギー線を照射する方法を用いることが好ましい。本実施態様でいうエネルギー線とは、硬化性樹脂組成物に含まれるモノマーおよびポリマーに対して重合を起こさせる能力があるエネルギー線を示すものである。また、上述した「A.偏光板」の項で説明したように、必要であれば硬化性樹脂組成物中に重合開始剤が含まれていてもよい。
エネルギー線としては、硬化性樹脂組成物を重合させることが可能なエネルギー線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nm、好ましくは250〜450nm、さらに好ましくは300〜400nmの照射光が用いられる。
本発明においては、紫外線(UV)をエネルギー線として照射する方法が好ましい方法であるといえる。活性放射線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる光重合開始剤を含めて、本実施態様への応用が容易であるからである。
この照射光の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例示できる。なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。照射強度は、硬化性樹脂組成物の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜調整されて照射される。
また、硬化性樹脂組成物を硬化することにより得られる硬化性樹脂の膜厚としては、0.1〜30μmの範囲内、中でも0.2〜10μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より厚い場合は、本発明により製造された偏光板の薄型化が困難となる可能性があるからである。また、膜厚が上記範囲より薄い場合は、強靭性に劣るからである。
本発明において、硬化工程は、上記塗布工程後、上記配置工程後、または凹部形成工程中のいずれに行ってもよいものである。すなわち、硬化性樹脂組成物を透明基材または凹部形成用基板上に塗布した後に硬化させる(塗布工程後、第3の態様)、硬化性樹脂組成物を挟んで透明基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置した後に硬化させる(配置工程後、第4の態様)、または、硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離した後に硬化させる(凹部形成工程中、第5の態様)のいずれの場合で行ってもよいものである。以下、各態様について説明する。
(第3の態様)
本実施態様において、硬化工程の第3の態様は、硬化性樹脂組成物を透明基材または凹部形成用基板上に塗布し、エネルギーを照射して上記硬化性樹脂組成物を硬化し、硬化して得られる硬化性樹脂を挟んで透明基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置し、上記硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離し、パターン状の凹部を形成するものである。本態様においては、例えば図5に示すように、硬化性樹脂組成物12を透明基材1上に塗布した後に、エネルギー14を照射して上記硬化性樹脂組成物12を硬化させる。図5においては、硬化性樹脂組成物12を透明基材1上に塗布しているが、凹部形成用基板上に塗布してもよい。
この際、上記硬化性樹脂組成物を硬化させるためのエネルギー線の照射方向としては、透明基材または凹部形成用基板側からでもよく、硬化性樹脂組成物側からでもよい。ただし、凹部形成用基板上に硬化性樹脂組成物を塗布し、凹部形成用基板側から照射する場合は、凹部形成用基板が透明材料である必要がある。
また、透明基材上に硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させる場合は、硬化して得られる硬化性樹脂の表面に凹部形成用基板を配置して、凹部を複製することから、硬化後も硬化性樹脂は所定の粘度を有している必要がある。よって、硬化性樹脂組成物を完全に硬化させないことが好ましく、硬化性樹脂の表面に凹部形成用基板を配置した後、または硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離した後に、再度硬化させてもよい。
(第4の態様)
本実施態様において、硬化工程の第4の態様は、硬化性樹脂組成物を透明基材または凹部形成用基板上に塗布し、上記硬化性樹脂組成物を挟んで透明基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置し、エネルギーを照射して上記硬化性樹脂組成物を硬化し、硬化して得られる硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離し、凹部を形成するものである。本態様においては、例えば図4(b)に示すように、硬化性樹脂組成物12を挟んで透明基材1および凹部形成用基板4を重ね合わせて配置した後に、エネルギー14を照射して上記硬化性樹脂組成物12を硬化させる。
この際、上記硬化性樹脂組成物を硬化させるためのエネルギー線の照射方向としては、凹部形成用基板側からでもよく、透明基材側からでもよい。ただし、凹部形成用基板側から照射する場合は、凹部形成用基板が透明材料である必要がある。
(第5の態様)
本実施態様において、硬化工程の第5の態様は、硬化性樹脂組成物を透明基材または凹部形成用基板上に塗布し、上記硬化性樹脂組成物を挟んで透明基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置し、上記硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離し、エネルギーを照射して上記硬化性樹脂組成物を硬化し、凹部を形成するものである。本態様においては、例えば図6に示すように、硬化性樹脂組成物12から凹部形成用基板4を剥離した後に、エネルギー14を照射して上記硬化性樹脂組成物12を硬化させる。
この際、上記硬化性樹脂組成物を硬化させるためのエネルギー線の照射方向としては、硬化性樹脂組成物側からでもよく、透明基材側からでもよい。
また、硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離した後に、硬化性樹脂組成物を硬化させることから、硬化性樹脂組成物は凹部形成用基板を剥離した後も凹部のパターンを維持している必要がある。よって、硬化性樹脂組成物が所定の粘度を有するように、硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離する前に、予め半硬化状態とさせてもよい。
(iv)凹部形成工程
本実施態様における配向膜形成工程においては、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部を形成する凹部形成工程が行われる。
上記硬化性樹脂組成物もしくは上記硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離する方法としては、硬化性樹脂組成物もしくは硬化性樹脂が凹部形成用基板からは剥がれ、透明基材には密着しており、かつパターン状の凹部が形成されていれば、特に限定されるものではない。
また、本発明においては、凹部形成用基板が凹凸用円筒ドラムにより移動し、長尺の透明基材が基材用円筒ドラムにより移動しており、上記二つの円筒ドラム上で硬化性樹脂組成物または硬化性樹脂を挟んで透明基材および凹部形成用基板を重ね合わせ、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から上記凹部形成用基板を剥離し、上記透明基材上に連続的に凹部を複製することにより、パターン状の凹部を有する配向膜が形成されることが好ましい。さらに、上記凹部形成用基板が、凹凸用円筒ドラムであることが好ましい。ロールトゥロールプロセスを経ることにより、透明基材上に凹部の複製を連続的に行うことができ、製造効率が向上するからである。また、このような凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、透明基材の長尺方向に対して交差する方向に光軸をもつ偏光板を大量に製造できるからである。
上述したロールトゥロールプロセスについて図を用いて説明する。図7に、本実施態様における配向膜形成工程の一例を示す。図7に示すように、凹部形成用基板は凹凸用円筒ドラム32であり、長尺の透明基材1は供給ロール33から供給され、基材用円筒ドラム31を通って図示略の巻き取りロールにより巻き取られている。凹部形成用基板32上に硬化性樹脂組成物12を塗布し、上記二つの円筒ドラム31および32上で上記硬化性樹脂組成物12を挟んで透明基材1と凹部形成用基板32とを重ね合わせ、上記硬化性樹脂組成物12を上記凹部形成用基板32から剥離し、光源34からエネルギーを照射して上記硬化性樹脂組成物12を硬化して硬化性樹脂12´として、上記硬化性樹脂12´からなる凹部を連続的に形成することにより、パターン状の凹部を有する配向膜が形成される。
本実施態様においては、上記配向膜形成工程の後、凹部を有する配向膜表面を親水化する親水化処理工程が行われることが好ましい。通常、上述した配向膜形成工程を行うと、形成された配向膜表面は撥水性が高くなり、二色性染料が十分に配向しない可能性があるからである。なお、親水化処理方法に関しては、上述した「A.偏光板」の配向膜の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(2)偏光層形成工程
次に、本実施態様における偏光層形成工程について説明する。本実施態様における偏光層形成工程は、上記配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記配向膜の凹部により上記二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程と、上記塗膜を乾燥させる乾燥工程と、上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程とを行うことにより偏光層を形成する工程である。
以下、このような偏光層形成工程における各工程について説明する。
(i)塗膜形成工程
本実施態様における塗膜形成工程は、配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記二色性染料を配向させて塗膜を形成する工程である。
本工程に用いられる偏光層形成用塗工液は、二色性染料を含有するものである。なお、二色性染料については、上述した「A.偏光板」の偏光層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記偏光層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上記二色性染料に導入された置換基によって適宜選択される。例えばスルホン酸基等の親水性基が導入されている場合は、溶媒としては水が用いられる。一方、長鎖のアルキル基等の疎水性基が導入されている場合は、有機溶媒が用いられる。このような有機溶媒としては、一般的なものを使用することができる。また、上記偏光層形成用塗工液は、必要に応じて例えばポリエチレングリコール等の界面活性剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
また、本実施態様に用いられる偏光層形成用塗工液は、上記の中でも、水系であることが好ましい。本実施態様に用いられる二色性染料として、水溶液中でリオトロピック液晶相を示すものが好適に用いられるからである。
上記偏光層形成用塗工液は、上記二色性染料の他に、液晶材料を含有していてもよい。例えば、二色性染料が配向膜の凹部により配向しにくい場合であっても、液晶材料を配向膜の凹部に沿って配向させ、この液晶材料の配向方向に沿って二色性染料を配向させることができるからである。なお、液晶材料については、上述した「A.偏光板」の偏光層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様に用いられる偏光層形成用塗工液の塗布方法としては、上記二色性染料からなるカラム構造を配向膜の凹部に沿って配向させることができる方法であれば特に限定はされないが、剪断応力が加わらない方法であることが好ましい。剪断応力が加わる方法を用いると、偏光層形成用塗工液の塗布方向に二色性染料からなるカラム構造が配向し、上記配向膜の凹部に沿って二色性染料からなるカラム構造が配向しにくくなる可能性があるからである。このような剪断応力が加わらない塗布方法としては、例えばスプレーコート、ディップコート、インクジェット法、フレキソ印刷法等が挙げられる。これらの中でもインクジェット法が好ましく用いられる。
(ii)乾燥工程
本実施態様における乾燥工程は、上記塗膜形成工程にて形成された塗膜を乾燥する工程であり、上記偏光層形成用塗工液中に含有される溶媒を乾燥させる工程である。本実施態様においては、この乾燥工程を設けることにより、後述する固定化工程を円滑に行うようにしている。
本実施態様に用いられる乾燥方法としては、二色性染料からなるカラム構造の配向性を阻害したり、また、配向膜の凹部または凸部のパターンを変形させたりするものでなければ特に限定されるものではなく、一般的に溶媒の乾燥に用いられている方法、例えば加熱乾燥、常温乾燥、凍結乾燥、遠赤外乾燥等を用いることができる。
(iii)固定化工程
本実施態様における固定化工程は、上記二色性染料の配向状態を固定化する工程である。本実施態様においては、このような固定化工程を行うことにより、偏光層に耐水性を付与することができ、空気中の湿気等により二色性染料の配向性が乱れることなく、配向安定性に優れたものとすることができる。
本実施態様に用いられる二色性染料の配向状態の固定化方法としては、二色性染料を架橋させる方法を用いることができる。この二色性染料の架橋方法としては、上記二色性染料に導入された置換基によって異なるものである。
上記二色性染料がスルホン酸基等の親水性基を有する場合は、この親水性基を疎水化処理する架橋方法が用いられる。上記二色性染料の親水性基を疎水化処理すると、隣接する二色性染料間で架橋が形成され、二色性染料の配向状態が固定化されるのである。上記二色性染料が水溶液中でリオトロピック液晶相を示すものであるときは、このような疎水化処理を行わないと、耐水性が悪く、空気中の湿気等により配向状態が乱れ易く、不安定となる場合がある。
また、上記疎水化処理の際に用いられる疎水化処理液としては、上記親水性基を疎水化できるものであれば特に限定されるものではなく、用いられる二色性染料の親水性基により異なるものであるが、隣接する二色性染料間で架橋を形成できるものであることが好ましい。このような疎水化処理液としては、例えばマグネシウム、カルシウム、バリウム等の2価の金属の塩の水溶液を用いることができる。具体的には、塩化バリウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液等が挙げられる。
隣接する二色性染料が架橋される機構は以下の通りである。例えば、二色性染料がSONa基を有しており、塩化バリウム水溶液を用いて疎水化処理する場合、二色性染料のSONa基のSOイオンと、塩化バリウム水溶液中のBaイオンとが結合することにより、隣接する二色性染料が架橋され、配向状態が固定化されるのである。すなわち、二色性染料の法線方向が一定方向を向いて積み重なった状態で、隣接する二色性染料が架橋されるので、カラム構造が固定化されるのである。
また、疎水化処理の方法としては、上記親水性の置換基を疎水化できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記偏光層形成用塗工液を乾燥させた後、上記疎水化処理液を塗布する方法、上記疎水化処理液に浸漬する方法などが挙げられる。この疎水化処理液の塗布後または浸漬後は、洗浄および乾燥することにより、偏光層とすることができる。
一方、上記二色性染料が長鎖のアルキル基等の疎水性基を有する場合は、例えば二色性染料のコア部分あるいはアルキル側鎖の一部に重合性基を導入し、この重合性基を重合させることにより、二色性染料を線状または網目状に架橋させ、配向状態を固定化する架橋方法が用いられる。
さらに、上記偏光層形成用塗工液が上述した液晶材料を含有する場合は、この液晶材料を重合させることによっても二色性染料の配向状態を固定化することができる。この場合、上記液晶材料は重合性基を有している必要がある。
2.第4実施態様
次に、本発明の偏光板の製造方法の第4実施態様について説明する。本発明の偏光板の製造方法の第4実施態様は、透明基材上にパターン状の凹部または凸部を形成することにより配向膜を形成する配向膜形成工程と、
上記配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記配向膜の凹部により上記二色性染料を任意の方向に配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程、上記塗膜を乾燥させる乾燥工程、および、上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程を行うことにより偏光層を形成する偏光層形成工程と
を有することを特徴とするものである。
本実施態様によれば、上記配向膜形成工程にて形成される配向膜の凹部または凸部のパターンを調整することにより、二色性染料を任意の方向に配向させることができるので、任意の方向に光軸を有する偏光板を容易に製造することが可能である。
なお、配向膜形成工程、偏光層形成工程については、上述した第3実施態様に記載したものと同様であり、透明基材については上述した「A.偏光板」の第2実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
E.液晶表示素子用基板の製造方法
次に、本発明の液晶表示素子用基板の製造方法について説明する。
本発明の液晶表示素子用基板の製造方法は、上述した偏光板の製造方法により偏光板を形成する偏光板形成工程と、上記偏光板上に電極を形成する電極形成工程と、液晶を配向させるための液晶用配向膜を形成する液晶用配向膜形成工程とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した偏光板の製造方法を用いることにより、液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とする場合に不要な部分の発生を回避することができる液晶表示素子用基板を製造することが可能である。
以下、このような液晶表示素子用基板の製造方法の各工程について説明する。なお、偏光板形成工程については、上述した「D.偏光板の製造方法」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
1.電極形成工程
まず、本発明の液晶表示素子用基板の製造方法における電極形成工程について説明する。電極形成工程は、上記偏光板上に電極を形成する工程である。上記電極の形成方法としては、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の蒸着方法により形成することができる。
本発明において、電極層形成工程は、上述した「B.液晶表示素子用基板」に記載した電極を形成することができる工程であれば特に限定されるものではないが、上述した「D.偏光板の製造方法」の項に記載した配向膜形成工程前に行われるか、あるいは偏光層形成工程後に行われることが好ましい。これにより、好ましい態様の液晶表示素子用基板を製造することができるからである。なお、電極のその他の点に関しては、上述した「B.液晶表示素子用基板」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.液晶用配向膜形成工程
次に、本発明における液晶用配向膜形成工程について説明する。本発明における液晶用配向膜形成工程は、液晶を配向させるための液晶用配向膜を形成する工程である。液晶用配向膜の形成方法としては、一般的な配向膜の形成方法を用いることができ、例えばラビング処理、光配向処理等が挙げられる。
本発明において、液晶用配向膜は液晶表示素子用基板の最表面に形成されることから、液晶用配向膜形成工程は、上記偏光板形成工程および電極層形成工程後に行われるものである。なお、液晶用配向膜のその他の点に関しては、上述した「B.液晶表示素子用基板」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.その他
本発明の液晶表示素子用基板の製造方法を用いて、液晶表示素子を製造することができる。この場合、2枚の液晶表示素子用基板を、それぞれの液晶用配向膜が向かい合うように配置し、その間に液晶層を形成することにより、液晶表示素子を製造することができる。
例えば、一方の液晶表示素子用基板の液晶用配向膜上にスペーサーとしてビーズを分散させ、周囲にシール剤を塗布して、2枚の液晶表示素子用基板をそれぞれの液晶用配向膜が対向するように貼り合わせ、熱圧着させる。そして、注入口からキャピラリー効果を利用して液晶を加熱して等方相またはネマチック相の状態で注入し、注入口を紫外線硬化樹脂等により封鎖する。その後、液晶を徐冷することにより配向させることより、液晶表示素子を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例]
(配向膜の形成)
二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム社製、製品名:テオネックスQ65)上に、下記組成のUV硬化型アクリレート樹脂組成物を塗布し、この上に電子ビーム描画法により凸部を形成した凹部形成用基板をのせて、100kg/cmの加重を1分間かけた。この状態で、UV光を100mJ/cm照射し、さらに凹部形成用基板を剥離した後、UV光を3000mJ/cm照射し、幅0.2μm、ピッチ0.4μm、深さ0.2μmのストライプ状の凹部のパターンを形成した。この際、凹部は、ストライプ状のパターンの溝方向がフィルムの長尺方向に対して45°となるよう形成した。このようにして形成した配向膜の表面をプラズマ処理することにより、親水化処理を行った。
<UV硬化型アクリレート樹脂組成物>
・ゴーセラックUV−7500B(日本合成化薬社製) 40重量部
・1,6−ヘキサンジオールアクリレート(日本化薬社製) 35重量部
・ペンタエリスリトールアクリレート(東亜合成化学社製) 21重量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製)
2重量部
・ベンゾフェノン(日本化薬社製) 2重量部
(偏光層の形成)
上記配向膜上に、二色性染料を含有するインキ(Optiva社製、製品名:N015)をインクジェットを用いて塗布し、乾燥させ、15%の塩化バリウム水溶液に約1秒間浸漬させた。その後、洗浄して、再度乾燥することにより、0.3μm厚の偏光層を形成した。これにより、偏光板を得た。
(偏光度の測定)
上記の偏光板を、市販の偏光板(日東電工社製、製品名:SEG1425DU)と重ね合わせて、分光放射計(トプコン社製、商品名:SR−3)を用いて透過率を測定した。上記の偏光板におけるストライプ状のパターンの溝方向と、市販の偏光板の光軸とを平行に重ね合わせたときの透過率は32.5%となり、直交させて重ね合わせたときの透過率は0.7%となり、偏光度95.8%の偏光板を得た。また、重ね合わせる角度を任意に変えて偏光度を測定した結果、上記の偏光板におけるストライプ状のパターンの溝方向と、市販の偏光板の光軸とを平行に重ね合わせたときに、最も高い偏光度が得られた。
本発明の偏光板の一例を示す概略断面図である。 二色性染料を説明するための説明図である。 配向膜のパターン状の凹部を説明するための説明図である。 本発明の偏光板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の偏光板の製造方法における硬化工程を説明するための説明図である。 本発明の偏光板の製造方法における硬化工程を説明するための説明図である。 本発明の偏光板の製造方法における配向膜形成工程の一例を示す工程図である。
符号の説明
1 … 長尺の透明基材
2 … 配向膜
3 … 偏光層
11 … 偏光板

Claims (18)

  1. 長尺の透明基材と、前記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、前記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有することを特徴とする偏光板。
  2. 前記偏光層の光軸が、前記透明基材の長尺方向と交差していることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 透明基材と、前記透明基材上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、前記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する偏光板であって、前記偏光層の光軸が任意の方向を向いていることを特徴とする偏光板。
  4. 前記二色性染料は、前記二色性染料の法線方向が前記透明基材の一定方向を向いて積み重なったカラム構造を形成し、前記カラム構造は前記配向膜の凹部に沿って配向していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の偏光板。
  5. 前記二色性染料は、溶液中でリオトロピック液晶相を示すものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の偏光板。
  6. 前記配向膜は、硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の偏光板。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の偏光板と、電極と、液晶を配向させるための液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板。
  8. 透明基材と、前記透明基材の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、前記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、前記偏光層上に形成された電極と、前記電極上に形成された液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板であって、前記偏光層の光軸が前記液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差していることを特徴とする液晶表示素子用基板。
  9. 透明基材と、前記透明基材上に形成された電極と、前記電極の直上に形成され、パターン状の凹部または凸部を有する配向膜と、前記配向膜上に形成され、二色性染料を含有する偏光層と、前記偏光層上に形成された液晶用配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板であって、前記偏光層の光軸が前記液晶表示素子用基板の走査線方向に対して交差していることを特徴とする液晶表示素子用基板。
  10. 請求項7から請求項9までのいずれかの請求項に記載の液晶表示素子用基板を用いることを特徴とする液晶表示素子。
  11. 連続的に移動可能な長尺の透明基材上にパターン状の凹部または凸部を形成することにより配向膜を形成する配向膜形成工程と、
    前記配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、前記配向膜の凹部により前記二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程、前記塗膜を乾燥させる乾燥工程、および、前記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程を行うことにより偏光層を形成する偏光層形成工程と
    を有することを特徴とする偏光板の製造方法。
  12. 前記配向膜形成工程は、前記二色性染料が前記透明基材の長尺方向と交差して配向するような、前記パターン状の凹部または凸部を形成する工程であることを特徴とする請求項11に記載の偏光板の製造方法。
  13. 透明基材上にパターン状の凹部または凸部を形成することにより配向膜を形成する配向膜形成工程と、
    前記配向膜上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、前記配向膜の凹部により前記二色性染料を任意の方向に配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程、前記塗膜を乾燥させる乾燥工程、および、前記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程を行うことにより偏光層を形成する偏光層形成工程と
    を有することを特徴とする偏光板の製造方法。
  14. 前記偏光層形成工程の固定化工程では、前記二色性染料を架橋する方法が用いられることを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれかの請求項に記載の偏光板の製造方法。
  15. 前記偏光層形成用塗工液は水系であり、前記二色性染料は、前記水系の偏光層形成用塗工液中でリオトロピック液晶相を示し、かつ、前記偏光層中でカラム構造を形成するものであることを特徴とする請求項11から請求項14までのいずれかの請求項に記載の偏光板の製造方法。
  16. 前記偏光層形成工程の塗膜形成工程では、前記偏光層形成用塗工液に対し剪断応力が加わらない塗布方法が用いられることを特徴とする請求項11から請求項15までのいずれかの請求項に記載の偏光板の製造方法。
  17. 前記配向膜形成工程は、硬化性樹脂組成物を前記透明基材上またはパターン状の凸部を有する凹部形成用基板上に塗布する塗布工程と、前記透明基材および前記凹部形成用基板を、前記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる配置工程と、前記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程と、前記硬化性樹脂組成物または前記硬化性樹脂から前記凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部を形成する凹部形成工程とを有することを特徴とする請求項11から請求項16までのいずれかの請求項に記載の偏光板の製造方法。
  18. 請求項11から請求項17までのいずれかの請求項に記載の偏光板の製造方法により偏光板を形成する偏光板形成工程と、前記偏光板上に電極を形成する電極形成工程と、液晶を配向させるための液晶用配向膜を形成する液晶用配向膜形成工程とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板の製造方法。
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