JP2005350586A - 水性顔料インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】発色性に優れた水性顔料インク組成物を提供する。
【解決手段】水と、水溶性有機溶媒と、顔料と、0.1重量%以上5重量%以下のシクロデキストリンとを含有する水性顔料インク組成物とする。シクロデキストリンを含有することで、顔料の発色性を高めることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水性顔料インク組成物に関する。
インクジェットプリンター用のインクとして顔料を用いたインクがある。顔料は、染料に比べて、耐光性および耐水性に優れているため、顔料を用いたインク組成物は、記録後良好な記録物堅牢性を長期間にわたって維持することができるという利点がある。
一方、顔料は、一般に水に不溶であるため、顔料を水系インク組成物に用いる場合には、顔料を水分散性樹脂などの分散剤とともに混合して水に安定分散させる必要がある。顔料を水に安定的に分散させるのに好ましい方法として、顔料を樹脂で内包して分散させるいわゆるポリマー被覆顔料が知られている(特許文献1)。また、耐光性の低い染料系のインク組成物にシクロデキストリンを添加して耐光性を向上させることも知られている。
特開2001−152053号 特開2003−73591号
顔料を用いた水性インク組成物においては色の鮮やかさなど発色性をより一層向上させることが求められている。特に、光沢を有していない普通紙上において発色性を向上させることが求められている。一方、水に不溶な顔料を用いた水性インク組成物においてシクロデキストリンが発色性向上に寄与することは知られていない。
そこで、本発明は、発色性に優れた水性顔料インク組成物を提供することを、その目的とする。また、本発明は、記録物堅牢性と発色性に優れるインクジェット記録方法およびインクジェット記録物を提供することを他の目的とする。
本発明者らは、水性顔料インク組成物に含める顔料以外の成分について検討したところ、シクロデキストリンを所定量添加することによって、水性顔料インク組成物の発色性が向上することを見出し、本発明を完成した。本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明によれば、水性顔料インク組成物であって、水と、水溶性有機溶媒と、顔料と、0.1重量%以上5重量%以下のシクロデキストリンと、を含有する、組成物が提供される。この水性顔料インク組成物においては、前記シクロデキストリンは、0.1重量%以上2重量%以下であることが好ましい。また、前記シクロデキストリンは、そのシクロデキストリン環におけるグルコースの繰り返し単位が6以上8以下であることが好ましい。さらに、前記シクロデキストリンは、そのシクロデキストリン環において置換基を有していないかあるいは1つあるいは2以上のヒドロキシル基が炭素数1〜3のアルキル基を有するアルコキシル基で置換されていることが好ましい。
さらに、上記いずれかの組成物において、ポリマーが顔料粒子を被覆した形態で含まれていることが好ましく、前記ポリマー被覆顔料100重量部に対して、前記シクロデキストリンを2重量部以上50重量部以下含むことが好ましく、また、当該ポリマーは、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体であることが好ましい。また、上記いずれかの組成物において、グリセリンを含有することが好ましい形態である。さらに、上記いずれかの組成物において、光沢を有しない記録媒体用インクであることが好ましい。さらにまた、上記いずれかに記載の組成物は、インクジェット記録用インクであることが好ましい。
また、本発明によれば、インクジェット記録方法であって、上記いずれかの水性顔料インク組成物をインクジェット記録方式により記録媒体表面に付与する工程と、を備える、方法が提供される。また、本発明によれば、インクジェット記録物であって、記録媒体表面に上記いずれかの水性顔料インク組成物からなるインクジェット記録方式によるドットパターンを有する、記録物が提供される。
本発明の水性顔料インク組成物は、水と、有機溶媒と、顔料と、所定量のシクロデキストリンとを含有している。以下、本発明のインク組成物について説明するとともに、その製造方法、インクジェット記録方法、インクジェット記録物について説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」の両者を、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタアクリレート」の両者を意味するものとする。また、以下、本明細書においては、特に断りのない限り、「%」は重量%を示し、「部」は重量部を意味するものとする。
(水性顔料インク組成物)
本発明の水性顔料インク組成物(以下、単に本インク組成物という。)は、ブラックインク組成物、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、グリーンインク組成物、ブラウンインク組成物、オレンジインク組成物などの各種カラーインク組成物を包含している。
(顔料)
顔料としては、特に限定されず、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。また、各種顔料は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅などの金属酸化物類、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類等を使用できる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが使用できる。
黒インクとして使用される顔料として、鉄酸化物であるC.I.ピグメントブラック11を、カーボンブラックであるC.I.ピグメントブラック7を、アニリンブラックであるC.I.ピグメントブラック1をそれぞれ挙げることができ、更に詳しくは、以下のカーボンブラックが例示される。すなわち、三菱化学製のNo.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B等が、コロンビア社製のRaven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R,Regal 330R,Rega 1660R,Mogul L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,Color Black FW200,Color BlackS150,Color Black S160,Color Black S170,Printex 35,Printex U,Printex V,Printex 140U,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black 4等が使用できる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、151、153、154、 マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48(Ca)、48(Mn)、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57(Ca)、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、 シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、15:34、16、17:1、22、56、60、63、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 60、 グリーンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等を挙げることができる。ただし、顔料の種類はこれらに限定されるものではない。
顔料は、平均粒子径が0.5μm以下であることが好ましく、粒子径が0.5μm以下の粒子からなる顔料がより好ましい。さらには、0.01μm以上0.15μm以下の粒子からなる顔料が好ましい。インク組成物におけるこれらの顔料の含有量は、2%以上8%以下の範囲が好ましく、より好ましくは3%以上8%以下の範囲である。
(ポリマー被覆顔料)
本インク組成物においては、顔料は、ポリマーが顔料を被覆した着色剤(ポリマー被覆顔料)として含まれていることが好ましい。以下、ポリマー被覆顔料について説明する。かかるマイクロカプセル化顔料は、特に、下記する顔料が、高分子化合物によって被覆されてなるものが好ましい。顔料としては、ブラックインクはカーボンブラックを、シアンインクはC.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4を、マゼンタインクはC.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red169、C.I.Pigment Red81:2、C.I.Pigment Red 176、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 185、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 208、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Violet 32、C.I.Pigment Violet 19を、イエローインクはC.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 109、C.I.Pigment Yellow 110、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 129、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow185等から選択される一種以上が好ましい。本インク組成物中のポリマー被覆顔料の含有量は、本インク組成物の全重量に対して2%以上8%以下の範囲が好ましく、より好ましくは3%以上8%以下の範囲である。さらに好ましくは、4%以上6%以下である。
顔料を被覆するポリマーは、親水性を有するポリマーであればよい。当該ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル−マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体、スチレン−イタコン酸エステル−イタコン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−イタコン酸共重合体、スチレン−フマール酸共重合体、スチレン−フマール酸エステル−フマール酸等の他のビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー及びエポキシ樹脂等うち1種あるいは2種以上を併せて用いることもできる。なかでも、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体およびスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体を好ましく用いることができる。さらに、好ましくは、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体を用いる。
これらのポリマーは、二重結合としてアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーやオリゴマー類を、重合開始剤を使用する公知の重合法に従って重合することにより得ることができる。ここで、モノマーとしては、例えば、スチレン、ブチルメタクリレート、(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、含フッ素,含塩素または含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等の1官能基性モノマーを用いることができる。また、樹脂に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアクリル基やメタクリル基を有する化合物を用いることができる。
重合開始剤は、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムの他に、過硫酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどラジカル重合に用いられる一般的な開始剤を用いることができるが、水溶性の重合開始剤が好ましく用いられる。
このようなポリマーによって顔料を被覆する方法としては、転相乳化法、酸折法、強制乳化法を挙げることができる。転相乳化法の一例としては、ポリマーと顔料と有機溶媒と当該有機溶媒に対して過剰量の水とを含む混合液を調製し、この混合液中の水相に前記ポリマーの少なくとも一部が前記顔料を被覆した状態で分散させる顔料分散工程と、前記水相に存在するポリマー及び顔料を前記水相の少なくとも一部とともにあるいは前記水相から分離した状態で用いて水性顔料インク組成物を調製する組成物調製工程と、を備える方法を挙げることができる。例えば、顔料を有機溶媒中に分散させることにより顔料分散液を調製し、ポリマーを水に分散ないし溶解させたポリマー分散液を調製し、顔料分散液とポリマー分散液とを混合してポリマーが顔料表面近傍に偏在して顔料を被覆した状態を水相に形成することで顔料をポリマー被覆顔料として分散することができる。また、顔料分散液とポリマー分散液とを有機溶媒中に添加して得た分散液に対して中和剤および必要に応じて界面活性剤を加えた混合液を有機溶媒相とし、この有機溶媒相または水のいずれか一方を攪拌しながら他方に投入して(有機溶媒相に水を投入するか、または、水中に該有機溶媒相を投入して)、両者を混合することで、顔料とポリマーとを有機溶媒相から水相へと転相乳化させ、これによりポリマーで顔料を被覆することもできる。
上記顔料分散液または混合液を構成する有機溶媒は、特に限定されるものではないが、有機溶媒の留去の容易さを考慮すると低沸点の有機溶媒が好ましい。例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒、酢酸エチル等のエステル系有機溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系有機溶媒、ベンゼン等の芳香族炭化水素系有機溶媒などを挙げることができる。顔料の分散は、超音波ホモジナイザー、ハイスピードミキサー、ジェットミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、オングミル、ロールミル、アトライター、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミルなどの適当な分散機を用いて行うことができる。
なお、カルボキシル基を有するポリマーを水相に溶解ないし分散させるには、既に述べたように、各種の無機アルカリの他、各種の有機アミンを用いることができるが、好ましくは無機アルカリを使用する。
転相乳化法における顔料分散工程は、ポリマーと顔料とが接触しポリマーが顔料表面に付着できるように、適当な剪断を与えながら混合撹拌する装置を用いて行うのが好ましい。水相からポリマーと顔料とを分離するには、顔料分散液とポリマー水溶液との混合液から溶剤を加熱等の方法により除去する他、遠心分離、水洗、限外ろ過、加圧ろ過等の方法を適宜選択して行うことができる
ポリマー被覆顔料の平均粒径は400nm以下であることが好ましく、より好ましくは、200nm以下である。200nm以下であると良好な分散安定性が得られるからである。さらに好ましくは、150nm以下であり、最も好ましくは100nm以下である。また、平均粒径は30nm以上であることが好ましい。30nm以上であると良好な分散安定性が得られるからである。より好ましくは、50nm以上である。なお、ポリマー被覆顔料の平均粒径は、光散乱法で測定することができるが、これと同等の正確性及び精度で測定できる他の方法を採用して平均粒径を測定することもできる。光散乱法による平均粒径の測定にあたっては、例えば、ゼータサイザー3000HS(マルバーン社(英国)製)を用いることができる。
(高分子分散剤)
本インク組成物において、顔料はポリマー被覆顔料として分散されている他、高分子分散剤によって分散されていてもよい。高分子分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩を挙げることができる。好ましくは、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂を用いる。これらの高分子分散剤の添加量は、顔料に対して1%以上50%以下程度が好ましく、より好ましくは2%以上30%以下の範囲である。
なお、これら顔料の高分子分散剤による分散は、超音波ホモジナイザー、ハイスピードミキサー、ジェットミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、オングミル、ロールミル、アトライター、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル等などの適当な分散機を用いて行なうことができる。
(シクロデキストリン)
本発明においてシクロデキストリンは、環状のオリゴ糖であって、典型的にはグルコース単量体が環状に配列された環構造を有する化合物である。環構造を構成するグルコース単量体の数は、通常6個以上であり、12個程度のグルコース単量体からなる環構造を有するシクロデキストリンも知られている。本発明において好ましくは、6個のグルコース単量体からなるα−シクロデキストリン、7個のグルコース単量体からなるβ−シクロデキストリン、8個のグルコース単量体からなるγ−シクロデキストリンを用いることができる。
本発明のインク組成物に用いるシクロデキストリンは、置換基を有していてもよい。その場合の置換基は、シクロデキストリン環の少なくとも一つのヒドロキシル基全体あるいはヒドロキシル基の水素原子を置換する。置換基としては、特に限定しないが、例えば、1個以上のヒドロキシル基を、−CHOH、−CHCHOH等で置換するヒドロキシアルキル基;1個以上のヒドロキシル基を−OAc,−OC(O)CHCH,−OC(O)(CHCH、−OC(O)(CHCH3、−OC(O)CF、−OC(O)Ph等のような基で置換するアシル基;1個以上のヒドロキシル基を−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−OC(CH,−OPh等のようなアルコキシル基あるいはアリールオキシ基で置換するアルキル基及びアリール基;1個以上のヒドロキシル基を−OTs等で置換するトシル(4−メチルベンゼンスルホニル)又はその関連基;1個以上のヒドロキシル基を−OMs又は同種の基で置換するメシル(メタンスルホニル、Ms)又はその関連基;1個以上のヒドロキシル基を環式アミン及び芳香族アミンを含む第一、第二又は、第三アミン基のような基で置換するアミノ基;1個以上のヒドロキシル基を−N又は同種の基で置換するアジド基;1個以上のヒドロキシル基を−F,−Cl,−Br又は−Iで置換するハロ置換基;1個以上のヒドロキシル基を−ON0で置換するニトロ基;1個以上のヒドロキシル基を−OPO、−OPO(ここでRはアルキル又はアリールである)、−OPOHRのような基で置換するか、または2個の隣接するヒドロキシル基が−OP(O)(CH)O−又は同種の基で置換するリン含有基;イミダゾール基及びその誘導体;ピリジン基及びその誘導体;1個以上のヒドロキシル基が−SCH、−SCHCH、−S(CHCH、−SC(CH、−OSO Na、−OCHSO Na、−OCHCHSO Na、−O(CHSO Na等のような基で置換する含硫官能基;アルコール、アルデヒド、ケトン、又はオキシム基;カルボン酸基及びその誘導体;カーボネート及びカルバメート基;1個以上のヒドロキシル基が−OSi(CH、−OSi(CHH、−CHOSi(CH、−CHOSi(CHH、−OB(CHCH、−CHOB(CHCH、−CHOSn((CHCH等のような基で置換するケイ素、ホウ素又はスズ含有基;ヒドロキシルエチル基、ヒドロキシルプロピル基等のようなヒドロキシルアルキル基;または任意の適当な置換基を挙げることができる。これらのなかでも、本インク組成物に用いるシクロデキストリンは、1個以上のヒドロキシル基を−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−OC(CH,−OPh等のような基で置換するアルキル基及びアリール基で置換されていることが好ましい。これらの置換基によりシクロデキストリン環のヒドロキシル基が−OCH、−OCHCH、−O(CHCHなどの炭素数1〜3のアルキル基を有するアルコキシル基に置換されていることにより、本インク組成物における溶解性が向上されるからである。アシコキシル基は好ましくは、−OCHである。
置換基によるシクロデキストリン環のヒドロキシル基あるいは水素原子の置換量(置換基モル数/グルコース1モル)は、特に限定しないが、1モル以上2.5モル以下であることが好ましい。
本インク組成物においては、上記した各種のシクロデキストリンの1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シクロデキストリンは、本インク組成物において、ポリマー被覆顔料が高分子分散剤によって分散される顔料の発色性を向上させるのに有効量含まれていればよいが、本インク組成物の全重量に対して0.1%以上含まれていることが好ましい。0.1%未満であると本インク組成物の発色性向上に寄与しないからである。より好ましくは、1%以上である。また、シクロデキストリンは5%以下含まれていることが好ましい。5%を超えると、本インク組成物におけるシクロデキストリンの溶解性や分散性が顕著に低下して、本インク組成物の保存安定性やインクジェット記録時の抗目詰まり性が低下するからである。より好ましくは3%以下である。3%以下であると、良好なインク保存安定性や抗目詰まり性を十分に確保できる。さらに好ましくは、2%以下である。したがって、シクロデキストリンは、本インク組成物の全重量に対して0.1%以上5%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1%以上3%以下であり、さらに好ましくは0.1%以上2%以下であり、もっとも好ましくは1%以上2%以下である。
(水および水溶性有機溶媒)
本インク組成物は、水及び水溶性有機溶媒を含有する。水溶性有機溶媒としては、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、ジメチルスルホキシド、スルホラン、モルホリン、N−エチルモルホリン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶媒を挙げることができ、これらから一種以上選択して用いるのが好ましい。これらの極性溶媒を含有する場合、その含有量は、本インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.01%以上20%以下であり、より好ましくは1%以上10%以下である。
(湿潤剤等)
また、本インク組成物をインクジェット記録用インクとするにあたっては、保水性と湿潤性をもたらす目的で、高沸点水溶性有機溶媒あるいは親水性添加剤からなる湿潤剤を含有するのが好ましい。高沸点水溶性有機溶媒とは、沸点が100℃以上の水溶性有機溶媒である。例えば、高沸点の水溶性有機溶媒が用いることができ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類等を挙げることができる。これらの高沸点水溶性有機溶媒は1種または2種以上混合して使用することができる。これらの高沸点水溶性有機溶媒の含有量は、本インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.01%以上20%以下の範囲程度であり、より好ましくは5%以上20%以下の範囲である。
さらに、本インク組成物は、水溶性有機溶媒の記録媒体に対する浸透を促進する目的で、浸透剤を含有するのが好ましい。水溶性有機溶媒が記録媒体に対して素早く浸透することによって、画像の滲みが少ない記録物を確実に得ることができる。このような浸透剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類(グリコールエーテル類ともいう)、および1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の直鎖アルカンジオール類から適宜選択することができる。
なかでも、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等の“繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、炭素数4〜10のアルキルエーテル”が好ましく、特に、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される1種以上の化合物であるのが好ましい。より好ましくは、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルである。また、これらのアルキレングリコールのアルキルエーテルとともに、あるいは別個に1,2−ヘキサンジオールあるいは1,2−へプタンジオールなどの炭素数5〜8の1,2−アルカンジオールを併用することが好ましい。これらの浸透剤の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
また、本インク組成物は、界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を含んでいることが好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸、アシルメチルタウリン酸、ジアルキルスルホ琥珀酸等のスルホン酸型、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;脂肪酸塩、アルキルザルコシン塩などのカルボン酸型;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩などのリン酸型エステル型;等が挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどのエチレンオキシド付加型;グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、シュガーアルキルエステルなどのポリオールエステル型;多価アルコールアルキルエーテルなどのポリエーテル型;アルカノールアミン脂肪酸アミドなどのアルカノールアミド型が挙げられる。
また、アセチレングリコール系化合物を用いることも好ましく、特に上記したグリコールエーテル類と併用することが好ましい。例えば、下記一般式(1)で表わされるアセチレングリコール系化合物を使用することができる。
Figure 2005350586
上記式(1)において、m及びnは、それぞれ0≦m+n≦50を満たす数である。また、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基(好ましくは炭素数6以下のアルキル基)である。上記式(1)で表される化合物の中でも、特に好ましくは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。上記式(1)で表される化合物は、アセチレングリコール系界面活性剤として市販されている市販品を利用することも可能であり、その具体例としては、サーフィノール104、82、440、465、485またはTG(いずれもエアープロダクツアンドケミカルズ製、商品名)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上、日信化学工業製、商品名)が挙げられる。
また、アセチレンアルコール系界面活性剤も使用でき、具体例としては、オルフィンP、オルフィンB(日信化学工業製、商品名)、サーフィノール61(エアープロダクツアンドケミカルズ製、商品名)を挙げることができる。なお、アセチレンアルコール系界面活性剤を使用する際に、溶解助剤を使用することもできる。溶解助剤としては、好ましくは、ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。さらに、ポリシロキサン系界面活性剤も使用でき、その好ましい具体例としては、BYK−301,302,307,325,331,341,345,346,348,375(ビックケミー社製)が挙げられる。これらの界面活性剤の含有量は、インクジェット記録用インクの全重量に対して、好ましくは0.01〜10重量%の範囲であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
なお、インク組成物は、pH調整剤を含有することもでき、好ましくは、pHは5〜12の範囲、より好ましくは、6〜10の範囲に設定される。pH調整剤としては、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム、酒石酸水素カリウムなどのカリウム金属類、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、トリエタノールアミン、モルホリン、プロパノールアミンなどのアミン類などが好ましい。
また、インク組成物は、防カビ剤、防腐、防錆の目的で、安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA2Na)等)、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、1,2−ベンチアゾリン−3−オン〔製品名:プロキセルXL(アビシア製)〕、3,4−イソチアゾリン−3−オン、4,4−ジメチルオキサゾリジン等を含むことができる。さらに、インク組成物は、記録ヘッドのノズルが乾燥するのを防止する目的で、尿素、チオ尿素、及び/又はエチレン尿素等を含むことができる。
本インク組成物は、顔料、特に、ポリマー被覆顔料を含んでいても良好な発色性を有している。特に、普通紙など光沢を有しない記録媒体上における良好な発色性を有している。したがって、本インク組成物によれば、耐光性や耐水性に加えて良好な発色性を備えた水性顔料インク組成物を提供することができる。特に、本インク組成物は、顔料の安定分散がシクロデキストリンによって妨げられることなく維持されインクジェット記録用として用いたときにおいても良好な吐出安定性を得ることができる。したがって、本インク組成物はインクジェット記録用インク組成物として好ましく用いることができる。また、本インク組成物は、普通紙などの光沢を有しない記録媒体に対して付与しても良好な発色性を示すため、光沢を有しない記録媒体用として用いるインク組成物として好ましく、光沢を有しない記録媒体を記録対象とするインクジェット記録用インク組成物としてより好ましい。
また、本インク組成物によれば、本インク組成物を記録媒体に付着させて記録媒体に印刷を行う記録方法も提供される。本記録方法によれば、インクの発色性に優れるため、再現性の良好な画像あるいは彩度の高い画像が記録された記録物を得ることができる。記録方式としては、インクジェット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印刷方式が挙げられるが、特に、本インク組成物を用いる記録方法としては、インクジェット記録方式が好ましく、より好ましくは電気信号に基づく電歪素子の振動によって吐出させるインクジェット記録方式であり、さらに好ましくはピエゾ素子を用いたインクジェット記録方式である。特に、光沢を有しない記録媒体を記録対象とすることが好ましい。また、本インク組成を用いたインクジェット記録方法によって印刷された記録物は、記録媒体(特に光沢を有しない記録媒体)上に再現性に優れた画像あるいはこれに加えて彩度の高い画像を備えているとともに、本インク組成物が顔料を着色材として含有しており長期の安定性に優れることから写真等の画像の記録物として好ましいものとなっている。
次に、本発明の具体例について説明する。なお、本発明はこれら具体例のみに限定されない。なお、以下の分散体の製造例において用いた各種測定方法は以下のとおりである。
(1)分散体の製造例
<ポリマー被覆顔料1の製造>
分散体1においては、顔料としてピグメントブルー15:4(クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させる。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を調製した。
<分散体1の製造>
上記分散ポリマー溶液40部とジェットミル(三興商事株式会社製)で1時間粉砕処理し、粒径を100nm程度としたピグメントブルー15:4 30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌した。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターでろ過して固形分(分散ポリマーとピグメントブルー15:4)が20%の分散体1とした。なお、分散ポリマーとピグメントブルー15:4の重量比は、40:60であった。
<ポリマー被覆顔料2,3および分散体2、3の製造>
上記したピグメントブルー15:4に替えて平均粒径100nm程度のピグメントレッド122(クラリアント製)を用いた以外は、分散体1と同様の手法によって分散体2を調製した。なお、分散ポリマーとピグメントレッド122の重量比は、45:55であった。また、平均粒径100nm程度のピグメントイエロー180(クラリアント製)を用いたこと以外は、分散体1と同様の手法によって分散体3を調製した。なお、分散ポリマーとピグメントイエロー180の重量比は、40:60であった。
(インクジェットインクの調製例)
水性顔料インク組成物の具体例としてのインクジェット記録用インクに好適な基本組成を表1〜表3に示す。また、各インク組成物に用いたシクロデキストリン種類(α、β、γ)との置換基の有無について表4に示す。なお、シクロデキストリンの無置換体として、α−シクロデキストリン(CAVAMAX W6)、β−シクロデキストリン(CAVAMAX W7)およびγ−シクロデキストリン(CAVAMAX W8)を用いた(いずれも、Wacker−Chemie GmbH製)。また、シクロデキストリンの置換体(ヒドロキシル基がメトキシル基で置換されたもの)として、α−シクロデキストリン置換体(置換率(推定)1.5〜2.0/無水グルコース単位)、β−シクロデキストリン置換体(置換率(推定)1.6〜1.9/無水グルコース単位CAVASOL W7M)、およびγ−シクロデキストリン置換体(置換率(推定)1.5〜2.0/無水グルコース単位)とを用いた(いずれも、Wacker−Chemie GmbH製)。
表1〜3の組成に基づいて、シアン、マゼンタおよびイエローの各色について24種類のインク組成物を調製するとともに、それぞれシクロデキストリン無添加の対照インク組成物を調製した。表1には、分散体1を用いたシアンインク組成物として好ましい基本組成を示すとともに、シクロデキストリンの種類とその使用量を異ならせた24種類のシアンインク組成物(C1〜C24)の組成を示す。表2には、分散体2を用いたマゼンタインク組成物として好ましい基本組成を示すとともに、シクロデキストリンの種類とその使用量を異ならせた24種類のマゼンタインク組成物(M1〜M24)の組成を示す。表3には、分散体1を用いたイエローインク組成物として好ましい基本組成を示すとともに、シクロデキストリンの種類とその使用量を異ならせた24種類のイエローインク組成物(Y1〜Y24)の組成を示す。対照例としてシクロデキストリンを添加しないインク組成物(C0、M0、Y0)も表1〜3に基づいて調製した。尚、表4には、各色24種類のインク組成物について使用したシクロデキストリンのシクロデキストリン環のグルコース単量体の数と置換の有無とをそれぞれ示した。
Figure 2005350586
Figure 2005350586
Figure 2005350586
Figure 2005350586
(インクジェットインクの評価)
(光沢を有しない記録媒体における発色性の評価)
実施例2で調製した各種インクジェット記録用インクを、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターEM930Cのシアン、マゼンタ、イエローの各ノズル列を使用して、各色の印字デューティ値が100%のベタパターンを解像度360×360dpiおよび720×720dpiで印字した。記録媒体としては、光沢を有しない記録媒体である普通紙のZerox4024紙、XeroxP紙(いずれもゼロックス製)、Reymat紙(AUSSEDAT REY製)、Hammermill Copy Plus(HMCP)紙(Hammermill製)、GeoCycle紙(Georgia Pacific製)を用いた。発色性の評価は、反射光学濃度(OD)を指標とした。ODの測定はグレタグ分光光度計(GRETAG MACBETH SPECTROSCAN SPM−50(GRETAG社製)を用いてL*、a*及びb*を測定し、そのスカラー値として計算した。図1〜図3に、シアンインク組成物C、マゼンタインク組成物Mおよびイエローインク組成物Yについての結果を示す。
なお、いずれの分散体についても、シクロデキストリンの未置換体5%含有組成物の調製を試みたが、シクロデキストリンがインク組成物に溶解せず調製不能であった。また、いずれの分散体についても、シクロデキストリン置換体の10%含有組成物を調製したが、ノズルの目詰まりにより印字不能であった。
図1〜3に示すように、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物およびイエローインク組成物のいずれについても、印字デューティに関わらず、シクロデキストリン無添加の対照例よりも明らかにシクロデキストリンを添加したインク組成物において高いOD値が得られていた。したがって、シクロデキストリンによる発色性向上効果は明らかに認められた。また、シクロデキストリンの添加量が増えるとOD値も増大する傾向があるとともに、添加量が2%を超え3%あるいは5%になるとOD値が低下する傾向および用紙の種類によりOD値のバラツキが生じる傾向があった。
以上のことから、シクロデキストリンは、インク組成物の全重量に対して0.1%以上含まれていることが好ましく、効果の確実性からは1%以上が好ましい。また、5%を超えてはインク組成物の調製や保存安定性や抗目詰まり性に不都合がある一方5%以下では良好な保存安定性が抗目詰まり性が得られ、3%以下では、インク組成物(特にインクジェット記録用インク)としての安定性や抗目詰まり性を一層十分に確保できることがわかった。したがって、水性顔料インク組成物の全重量に対するシクロデキストリンの添加量は5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下であることがわかった。
また、ポリマー被覆顔料の含有量との関係においては、ポリマー被覆顔料100部に対して、シクロデキストリン50部を超えると各種の用紙に対して安定した発色性向上効果を奏し得なくなる傾向がある一方、50部以下においては、良好な発色性向上効果とインク組成物(特にインクジェット記録用インク)としての安定性や抗目詰まり性を十分に確保できることがわかった。また、ポリマー被覆顔料100部に対してシクロデキストリン2部以上であることが好ましく、より好ましくは、20部以上であると、確実に優れた発色性を得ることができるといえる。
なお、シクロデキストリン環を構成するグルコース単量体の数が6〜8では、大きなOD値の差は認められず、ほぼ同程度の発色性向上効果が認められた。また、ヒドロキシル基をメトキシル化したものもほぼ同程度の発色性を発揮できることがわかった。なお、メトキシル化によってインク組成物への溶解度が高まることがわかった。
シアンインク組成物Cについての反射光学濃度測定結果を示す表。 マゼンタインク組成物Mについての反射光学濃度測定結果を示す表。 イエローインク組成物Yについての反射光学濃度測定結果を示す表。

Claims (11)

  1. 水性顔料インク組成物であって、
    水と、
    水溶性有機溶媒と、
    顔料と、
    0.1重量%以上5重量%以下のシクロデキストリンと、
    を含有する、組成物。
  2. 前記シクロデキストリンは、0.1重量%以上2重量%以下である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記シクロデキストリンは、そのシクロデキストリン環におけるグルコースの繰り返し単位が6以上8以下である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記シクロデキストリンは、そのシクロデキストリン環において置換基を有していないかあるいは1つあるいは2以上のヒドロキシル基が炭素数1〜3のアルキル基を有するアルコキシル基で置換されている、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記顔料は、ポリマーが顔料粒子を被覆した形態で含まれている、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 前記ポリマー被覆顔料100重量部に対して、前記シクロデキストリンを2重量部以上50重量部以下含む、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記ポリマーは、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体である、請求項5又は6に記載の組成物。
  8. 光沢を有しない記録媒体用インクである、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. インクジェット記録用インクである、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
  10. インクジェット記録方法であって、
    請求項1〜7のいずれかに記載の水性顔料インク組成物をインクジェット記録方式により記録媒体表面に付与する工程と、
    を備える、方法。
  11. インクジェット記録物であって、
    記録媒体表面に請求項1〜7のいずれかに記載の水性顔料インク組成物からなるインクジェット記録方式によるドットパターンを有する、記録物。
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