JP2005345328A - 光学式物体識別装置 - Google Patents

光学式物体識別装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005345328A
JP2005345328A JP2004166694A JP2004166694A JP2005345328A JP 2005345328 A JP2005345328 A JP 2005345328A JP 2004166694 A JP2004166694 A JP 2004166694A JP 2004166694 A JP2004166694 A JP 2004166694A JP 2005345328 A JP2005345328 A JP 2005345328A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
identification device
object identification
light
optical object
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004166694A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Wada
秀夫 和田
Tsunehisa Watabe
恒久 渡部
Takayuki Taminaga
隆之 民長
Hajime Kashida
元 樫田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2004166694A priority Critical patent/JP2005345328A/ja
Priority to CNB200510092240XA priority patent/CN100390657C/zh
Priority to US11/143,630 priority patent/US7349091B2/en
Publication of JP2005345328A publication Critical patent/JP2005345328A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
  • Electric Vacuum Cleaner (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract


【課題】 被測定物の凹凸状態を正確に検出でき、高信頼性で小型の光学式物体識別装置を提供する。
【解決手段】 この光学式物体識別装置は、半導体レーザ1から出射したレーザ光を第1光束5として被測定物9に照射するコリメータレンズ2,絞り3,無偏光ビームスプリッタ4,第1集光レンズ8からなる投光部と、被測定物9で反射した反射光束7を受光する受光部12と、受光部12と被測定物9との間に配置されると共に第1光束5の偏光方向と同方向の偏光方向を選択して通過させる直線偏光子13aと、受光部12が出力した信号を処理して反射光束7のうちの上記偏光方向の光強度を測定する信号処理回路12を備えた。反射光束7の偏光状態は被測定物9の反射面の凹凸状態の情報を有している。
【選択図】 図1

Description

この発明は、光学式物体識別装置に関し、例えば、被測定物にレーザ光を照射し、このレーザ光の反射による偏光解消特性を測定することにより、被測定物の種類を識別する光学式物体識別装置に関し、例えば、じゅうたんや板間、畳などの床面の種類を判別する光学式物体識別装置に関する。
一例として、この発明は、床面の種類を判別し、じゅうたんや畳、板間などの床面の違いによる掃除機の運転状況の最適化を実現するのに好適な光学式物体識別装置に関し、さらに、上記光学式物体識別装置を内蔵した掃除機および自走式の掃除機に関する。
家庭用の電気掃除機に塔載されている床面判別センサは、機械式、吸引圧力式、超音波式、光学式のセンサに大別できる。
機械式の床面判別センサとしては、(1)可動部を床面に押し当てる方式(特許文献1(特開平2−52619号公報))、(2)多角柱あるいは歯車状のローラの回転状態により判別する方式(特許文献2(特開平2−52623号公報)及び特許文献3(特開平3−106325号公報))、(3)床面から受ける押圧により変化する導電性ゴムの抵抗値により判別する方式(特許文献4(特開平5−56888号公報)および特許文献5(特開平5−56889))等のものがある。
また、特許文献6(特開平6−78862号公報)には、吸引圧力式の床面判別センサが記載されている。この吸引圧力式の床面判別センサは、集塵フィルタ前部の圧力を検知して床面の種類を判別する。このセンサでは、床面が絨毯の場合は絨毯が吸込み口に吸着することにより真空度が上昇するのに対し、板間等は吸込み口に吸着しないため真空度が上昇しないことを利用して床面判別する。
また、特許文献7(特開平1−232255号公報)、特許文献8(特開平3−77519号公報及び特許文献9(特開平3−212249号公報)には、超音波式の床面判別センサが記載されている。この超音波式の床面判別センサでは、床面に対向して取り付けられた送波部から発信された超音波パルスが、床面との間でエコーとして複数回反射を繰り返した後、受信部で受信する。この受信信号により床面の種類を判別する。
また、特許文献10(特開平3−123522号公報)及び特許文献11(特開平3−228724号公報)には、光学式の床面判別センサが記載されている。この光学式の床面判別センサは、床面に対して水平な光を受発光する第1の受発光素子と、床面に垂直な光を受発光する第2の受発光素子を有し、これら2組の受発光素子の出力から床面の種類を判別する。
ところで、一般的に、機械式の床面判別センサなどの接触部を有する構成、特に、その接触部が接触によって可動する可動部を有する構成の装置においては、その接触部(可動部)の磨耗や機械的信頼性の経年劣化など様々な問題点が多い。
したがって、非接触で目的の効果を得ることができる光学式の床面判別センサが装置の信頼性上優れている。なお、機械式における上述の(2),(3)の各方式の床面判別センサも、接触部と可動部を有しており、その変位による物理量を測定していることから、光学式の床面判別センサに比べて、信頼性上問題がある。
一方、吸引圧力式の床面判別センサでは、掃除する床面の種類だけでなく、集塵フィルタの目詰まり等の他の要素によっても真空度が変化するので、床面の種類を誤検知する恐れがある。
また、超音波式の床面判別センサでは、送受信素子とも何らかのホーンが必要となるので、一般の掃除機に取り付けた場合には大型化し、使い勝手が悪くなる。また、耐衝撃性、低コスト化についても考慮が必要である。
また、光学式の床面判別センサでは、床面に水平に出射した光を絨毯の毛が遮り、受光量が低下することを検知して、床面が絨毯であることを判別しているが、毛足の短い絨毯の場合には上記光を遮ることがないので、床面が絨毯であることを検知するのが困難である。
以上のように、床面判別センサとしては、種々の方式が提案されているが、一長一短があるのが現状であり、基本的に絨毯かそれ以外の床面かを区別するもので、日本の一般的な室内環境である畳との識別が可能な装置ではない。
特開平2−52619号公報 特開平2−52623号公報 特開平3−106325号公報 特開平5−56888号公報 特開平5−56889号公報 特開平6−78862号公報 特開平1−232255号公報 特開平3−77519号公報 特開平3−212249号公報 特開平3−123522号公報 特開平3−228724号公報
そこで、この発明の課題は、被測定物の凹凸状態を正確に検出でき、高信頼性で小型の光学式物体識別装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の光学式物体識別装置は、半導体発光素子から出射した光を被測定物に照射する投光部と、
上記被測定物で反射した反射光を受光する受光部と、
上記受光部と上記被測定物との間に配置されると共に所定の偏光方向の偏光を通過させる偏光状態選択部と、
上記受光部が出力する信号を処理して、上記反射光のうちの上記所定の偏光方向の光の強度を測定する信号処理部とを備えたことを特徴としている。
この発明の光学式物体識別装置によれば、上記半導体発光素子が出射した光は、上記投光部から上記被測定物に照射され、上記被測定物の反射面の凹凸状態に応じて、上記光の反射光の偏光状態が変化する。
したがって、この反射光の偏光状態は、上記被測定物の反射面の凹凸状態の情報を有している。上記反射光は、上記偏光状態選択部を経由して、上記受光部に入射し、上記信号処理部は、上記受光部が出力する信号を処理することで、上記反射光の上記所定の偏光方向の光強度を測定して、上記被測定物の種類を識別する。
この発明では、上記被測定物への入射させる光の偏光状態は既知であり、既知の偏光状態の入射光に対する反射光の偏光情報を測定することによって被測定物の表面の凹凸状態を測定でき、物体識別を行うことができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記被測定物に入射させる光の偏光状態が直線偏光である。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記被測定物への入射光を直線偏光としたことにより、この入射光が一方向のみの振動である。このため、上記被測定物での反射によって、上記入射光の偏光状態が解消される偏光解消特性を評価することが容易になる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記被測定物に入射させる直線偏光が上記被測定物に対してS波である。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記被測定物に入射させる入射光束がS波であるので、上記被測定物の入射面が光学的に平滑な面である場合はS波として反射する。したがって、基準方向の偏光方向は、上記平滑な面での反射により保たれる。これにより、上記被測定物の表面の凹凸状態を高精度に評価することが可能となる。なお、逆に、上記被測定物に入射させる入射光束がP波である場合には、一部の偏光方向の成分のみが反射に寄与するので、上記被測定物の表面の凹凸状態を高精度に評価するには不適当である。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記偏光状態選択部が選択する偏光方向と上記被測定物に入射させる光の偏光方向とが略同方向である。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、受光部に入射する光の偏光方向が入射光の偏光方向と同方向であるため、反射面の凹凸による偏光解消特性をもっとも精度良く測定することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子から出射した光を第1光束と第2光束とに分割する光分岐素子と、
上記第1光束を上記被測定物上に集光して照射する第1集光手段と、
上記被測定物で反射した光のうち上記第1集光手段を通過した光を集光する第2集光手段と、
上記第2集光手段と上記受光素子との間に配置されたピンホール部とを有する。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、受光素子と第2集光手段の間にピンホール部が存在し、信号光はピンホール部面上でピンホールを通過するように集光される。このため、ノイズ光をカットすることができ、被測定物で反射した光を効率よく受光できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第2光束およびこの第2光束の反射光の迷光防止手段を有する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、信号に寄与しない光がノイズ源とならない。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記迷光防止手段が直線偏光子を有し、
上記直線偏光子は、上記第2光束の光軸上に設置されており、上記直線偏光子が通過させる偏光方向は、上記第2光束の偏光方向と直交する方向である。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第2光束の光軸上に第2光束の偏光方向に対して直交する偏光方向の光を透過する直線偏光子が設置されているので、この直線偏光子により第2光束は吸収されてしまう。このため、第2光束が装置側壁などで反射して受光部にノイズ光として混入することはない。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第2集光手段が集光レンズを含み、上記ピンホール部は上記集光レンズの焦点距離の位置に設置された。
この実施形態の光学式物体識別装置では、ピンホール部が第2集光レンズの焦点位置に配置されているので、被測定物が第1集光レンズの焦点位置にあるとき、反射光束はピンホール部面上でもっとも集光される。被測定物が第1集光レンズの焦点位置にあるとき、被測定物上で入射光はもっとも集光され、その光密度はもっとも大きくなる。したがって、このときピンホール部を通過する光量は最大となり、S/Nを向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記ピンホール部が配置された位置における反射光束の径が、上記ピンホール部の孔径よりも小さい。
この実施形態の光学式物体識別装置では、ピンホール部の孔径がピンホール部面上でのビーム径よりも大きいので、信号光がピンホール部によりカットされることはない。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1光束は上記第1集光手段のほぼ中心に入射する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1集光手段のほぼ中心に第1光束が入射するので、偏光状態が保存される正反射光成分を中心とした対称な偏光解消特性の光を受光部で受光できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1光束は上記第1集光手段の端部に入射することを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1集光手段の端部に第1光束を入射させるので、反射光束の正反射成分は第1集光手段の端部で集光される。第1光束が入射した付近で集光される反射光束は、より多くの偏光解消特性を示す光束であるので、被測定物をより高精度に識別することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子から出射した光を上記被測定物上に集光する第1集光手段を有し、
上記被測定物で反射した光のうち、上記第1集光手段に入射する光束と重なる部分を除き、この重なる部分以外の周辺部の反射光束を上記受光部に向かわせる導光手段を有し、
上記周辺部の反射光束を上記受光部で検出する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、半導体発光素子より出射した光束のうち、信号に寄与しない光の量を大幅に低減でき、発光した光の信号光への寄与率を高めることができる。したがって、半導体発光素子の発光量を低減でき、消費電流を低減することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記光分岐素子により分割された上記第2光束の進行方向を変更させる光軸変更手段を有し、上記光軸を変更した第2光束と上記第1光束は略平行な光軸を有し、上記第1および第2光束は同一の第1集光手段に入射することを特徴とする。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、半導体発光素子より出射した光の信号光への寄与率を高めることができ、装置の消費電流を低減できるとともに、特別な加工を必要としない一般的な光学部品で構成できるため、装置の作製が容易となる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子から出射した光束を第1および第2光束に分割する第1光分岐素子と、
上記被測定物で反射した光を第1および第2反射光束に分割する第2光分岐素子とを備え、
上記受光部は、
上記第1反射光束を受光する第1受光素子と、
上記第2反射光束を受光する第2受光素子とを有し、
さらに、上記第1受光素子に入射する光の偏光状態を選択する偏光状態選択素子を有し、
上記信号処理部は上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との比を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第2光分岐素子でもって反射光束を第1、第2の反射光束に2分割し、一方の第1の反射光束は偏光状態選択素子(一例として直線偏光子)を介して第1受光素子で受光して偏光解消特性を測定する。また、もう一方の第2の反射光束は直線偏光子を介さずに第2受光素子で受光して全方向の光を受光する。直線偏光子等の偏光状態選択素子を介さずに第2受光素子で受光された信号は、被測定物の反射率の情報を含んでいる。したがって、信号処理部でもって、第1受光素子が出力する信号と第2受光素子が出力する信号との比を計算することによって、被測定物の表面の反射率のばらつきによる被測定物の識別の精度低下を防ぐことができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子から出射した光束を第1および第2光束に分割する第1光分岐素子と、
上記被測定物で反射した光を第1および第2反射光束に分割する第2光分岐素子とを備え、
上記受光部は、
上記第1反射光束を受光する第1受光素子と、
上記第2反射光束を受光する第2受光素子とを有し、
さらに、上記第1受光素子に入射する光の偏光状態を選択する第1偏光状態選択素子と、
上記第2受光素子に入射する光の偏光状態を選択する第2偏光状態選択素子を有し、
上記第1偏光状態選択素子が選択する偏光方向と第2偏光状態選択素子が選択する偏光方向とが互いに略直交することを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、反射光束を第1、第2の反射光束に2分割し、第1、第2の反射光束を、選択する偏光方向が直交する第1、第2の偏光状態選択素子(例えば直線偏光子)を介して、それぞれ、第1、第2受光素子で受光する。これにより、両受光素子が出力する信号は偏光解消特性の最も特性の異なる2成分を抽出することになるので、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1偏光状態選択素子が選択する偏光方向は上記第1光束の偏光方向と略平行であり、
上記第2偏光状態選択素子が選択する偏光方向は上記第1光束の偏光方向と略垂直である。
この実施形態の光学式物体識別装置では、反射光束を第1、第2反射光束に2分割し、第1反射光束は、選択偏光方向が第1光束の偏光方向と同方向に配置された第1偏光状態選択素子(直線偏光子)を介して第1受光素子で偏光解消特性を測定する。一方、第2の反射光束は、選択偏光方向が第1光束の偏光方向と直交する方向に配置された第2偏光状態選択素子(直線偏光子)を介して第2受光素子で偏光解消特性を測定する。両受光素子が出力する信号強度は、第1、第2の偏光状態選択素子(直線偏光子)のそれぞれの選択偏光方向が直交していることから、一方の信号強度が大きい時はもう一方は小さくなる。このため、偏光解消特性をより高精度に評価することが可能となる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1および第2偏光状態選択素子が直線偏光子であることを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、直線偏光子を用いているので、特定の方向に偏光した光を受光するのに好適である。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第2光分岐素子と上記第1および第2偏光状態選択素子とを偏光ビームスプリッタで構成したことを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、偏光ビームスプリッタを用いることにより、無偏光ビームスプリッタと直線偏光子を用いた光学系に比べて、部品点数を削減することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部が上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との比を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、信号処理部で、両受光素子の出力の比を計算することにより、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部が上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との差を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、両受光素子に対応するそれぞれの偏光状態選択素子(直線偏光子)の選択偏光方向が直交していることにより、両受光素子が出力する信号強度は、一方の信号強度が大きい時はもう一方は小さくなる。このため、両出力信号の差を計算することにより、偏光解消度が小さい被測定物ほど出力信号差は大きくなり、被測定物の識別を精度よく行うことができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、
上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との差を計算し、
上記差と、上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との和との比、もしくは、
上記差と、上記第1受光素子が出力する信号または上記第2受光素子が出力する信号との比を計算することを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、信号処理部は、両受光素子の出力信号差と、両受光素子の出力信号の和との比、もしくは、両受光素子の出力信号差と、第1受光素子の出力信号または第2受光素子の出力信号との比を計算する。
これらの比の計算において、たとえば、上記出力信号差を分子とすると、この分子は被測定物の表面状態に起因した偏光解消特性を表し、上記両受光素子の出力信号の和を分母とすると、この分母は被測定物の表面の反射率に起因した受光信号となる。したがって、被測定物の表面の反射率のばらつきによる影響を低減した高精度な被測定物の識別が可能となる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子が半導体レーザであることを特徴とする。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、半導体発光素子として、半導体レーザを用いたので、被測定物上での光密度を高めることができ、受光信号強度を大きくすることができ、高精度な被測定物の識別が可能となる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記受光素子がフォトダイオードで形成されている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、受光素子としてフォトダイオードを用いることにより、装置構成を小型化することに適しており、またそのコストを低減することも可能であり、非常に好適である。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1受光素子および第2受光素子が同一半導体基板上に形成されていることを特徴とする。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、同一半導体基板上に第1受光素子(フォトダイオード)と第2受光素子(フォトダイオード)が形成されているので、部品点数を削減することができる。したがって、製造コストを低減できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記受光部と上記信号処理部とが同一半導体基板上に形成されている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、同一半導体基板上に受光部(一例としてフォトダイオード)と信号処理部とが形成されているので、フォトダイオード等で構成される受光部と信号処理部の回路とを結線するワイヤーが不要となり、ノイズレベルを低減できるとともに、部品点数を削減できる。したがって、製造コストを低減できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1受光素子、第2受光素子および信号処理部が同一半導体基板上に形成されていることを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、同一半導体基板上に第1および第2受光素子(フォトダイオード)と信号処理部が形成されているので、さらに部品点数が削減できるとともに、ノイズレベルも低減することができる。
また、一実施形態では、上記受光部は、複数の受光素子が整列された受光素子群を有する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、反射による偏光解消特性の位置依存性を測定することが可能であり、1つのフォトダイオードを用いる場合に比べて、より高精度に被測定物の識別が可能となる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、上記受光素子群のうちで最大強度を示す受光素子の信号強度によって、上記受光素子群の各受光素子の信号を規格化することを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、偏光解消特性の位置依存性を受光素子の信号強度の最大値で規格化しているので、被測定物の表面の反射率のばらつきによる影響を低減でき、より高精度に被測定物の識別が可能となる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1集光手段が第1集光レンズで構成されており、
この第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させることを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1集光レンズの焦点位置と被測定物表面との間の距離を変化させるので、被測定物の表面の凹凸が大きいときでも第1集光レンズの焦点位置に被測定物の表面を位置させることができる。したがって、識別可能な被測定物の範囲を広げることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1集光レンズを振動させるレンズ振動機構を有し、
上記レンズ振動機構で上記第1集光レンズのレンズ位置を変化させることによって、上記第1レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させる。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1集光レンズを振動させるレンズ振動機構を有するので、第1集光レンズの焦点位置と被測定物表面との間の距離を変化させる手段として好適である。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記レンズ振動機構がカムを有することを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、レンズ振動機構がカムで構成されているので、レンズ振動機構として好適である。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記カムのカム曲線が正弦波カーブであることを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、カムのカム曲線が正弦波カーブであるので、レンズの振動状態を簡単な計算で算出でき、任意の時間でのレンズ位置が容易に得られ、適切な反射光信号を信号処理部で処理することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記レンズ振動機構がソレノイドコイルを有することを特徴とする。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、ソレノイドコイルによる吸引力または押出し力とバネを用いたレンズ振動機構を構成できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記レンズ振動機構が回転運動を直線往復運動に変換するクランク機構を有する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、レンズ振動機構としてクランク機構を用いることによりレンズ振動機構の構成を簡便にすることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記レンズ振動機構がアクチュエータを有することを特徴とする。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、レンズ振動機構としてアクチュエータを用いることにより装置構成を小型化することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記レンズ振動機構は、レンズ保持具に取り付けられた羽根で風を受けてレンズを振動させることを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、レンズ振動機構としてモータなどの駆動力を要する部品が不要であるから、装置構成の製造コストを低減できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1集光レンズが累進レンズからなり、上記第1光束が上記累進レンズに入射する位置を変化させることにより、上記第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させることを特徴とする。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、累進レンズを用いることにより装置構成を小型化することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記累進レンズを上記第1光束と略垂直な平面内で移動させることによって、上記累進レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させる。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1集光レンズをなす上記累進レンズの振動幅を低減できるので、装置構成を小型化できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、液晶を含む光スイッチを上記累進レンズに入射する第1光束の光軸上に配置した。
この実施形態の光学式物体識別装置では、液晶を用いた光スイッチを用いることにより、上記装置を構成するどの部品も振動させることなく、第1集光レンズをなす累進レンズの焦点位置と被測定物表面との間の距離を変化させることができる。このため、装置構成の簡便化や小型化、信頼性を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離の変化量を、上記被測定物の表面の凹凸レベル差よりも大きくすることを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、被測定物の表面の凹凸レベル差よりも、第1集光レンズの焦点位置と被測定物表面との間の距離の変化量が大きいので、確実に第1集光レンズの焦点位置からの反射光信号を得ることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離の変化量が、5mm乃至15mmである。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1集光レンズの焦点位置と被測定物表面との間の距離の変化量を5mm〜15mmとすることにより、識別できる測定対象の大多数をカバーすることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1光束を上記被測定物上に集光して照射する第1集光手段と、
上記被測定物で反射した光のうち上記第1集光手段を通過した光を集光する第2集光手段とを有し、
上記第2集光手段と上記第1および第2受光素子との間に配置されたピンホール部を有し、
上記第1集光手段が第1集光レンズで構成されており、
この第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させる機構を有し、
上記信号処理部は、
上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と略等しくなるフォーカス時における上記第1受光素子の出力であるフォーカス信号と、
上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と異なるデフォーカス時の上記第2受光素子の出力であるデフォーカス信号との比を計算することを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置によれば、反射光信号を2つに分割してフォーカス時とデフォーカス時の信号を用いることにより、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1光束を上記被測定物上に集光して照射する第1集光手段と、
上記被測定物で反射した光のうち上記第1集光手段を通過した光を集光する第2集光手段とを有し、
上記第2集光手段と上記第1および第2受光素子との間に配置されたピンホール部を有し、
上記第1集光手段が第1集光レンズで構成されており、
この第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させる機構を有し、
上記信号処理部は、
上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と略等しくなるフォーカス時における上記第1受光素子の出力であるフォーカス信号と、
上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と異なるデフォーカス時の上記第2受光素子の出力であるデフォーカス信号とを処理することを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、反射光を第1、第2反射光束の2つに分割して、それぞれ、第1、第2受光素子で受光し、第1受光素子が出力するフォーカス時のフォーカス信号と第2受光素子が出力するデフォーカス時のデフォーカス信号を直交する偏光成分として測定する。これにより、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、上記フォーカス信号と上記デフォーカス信号の比を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、直交する偏光成分であるフォーカス信号とデフォーカス信号との比を計算することにより、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、上記フォーカス信号と上記デフォーカス信号との差を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部が、上記フォーカス信号と上記デフォーカス信号との差を計算することにより、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、上記フォーカス信号と上記デフォーカス信号との差を計算し、上記差と上記フォーカス信号との比を計算することを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、被測定物の表面の反射率のばらつきによる影響を低減できるため、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子に変調信号を印加することにより光強度変調をかけ、
上記信号処理部は、
上記変調信号がHレベルである時に上記受光部が出力する第1出力信号と上記変調信号がLレベルである時に上記受光部が出力する第2出力信号との差を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、半導体発光素子に強度変調をかけて変調信号のHレベル時とLレベル時の第1出力信号と第2出力信号との差を計算する。これにより、受光部に入射する外乱光ノイズの影響を除去できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子に印加する変調信号が矩形波であることを特徴とする。
上記実施形態の光学式物体識別装置では、半導体発光素子に印加する変調信号が矩形波であるので、外乱光ノイズの除去効果を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記Lレベル時の半導体発光素子の発光量が略0Wである。
この実施形態の光学式物体識別装置では、Lレベル時の発光量が略0Wであるので、Lレベル時の第2出力信号により外乱光ノイズのみを測定することができる。したがって、外乱光ノイズの除去効果を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記光強度変調の上記変調周波数が50kHz以上であることを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、一般的な外乱光ノイズの周波数帯以上で半導体発光素子を変調しているので、外乱光ノイズの除去効果を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記光強度変調の変調周波数が100Hzから10kHzであることを特徴とする。
この実施の形態の光学式物体識別装置では、一般的な外乱光ノイズの周波数帯と半導体発光素子の変調周波数がオーバーラップしないので、外乱光ノイズの除去効果を高めることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、
上記変調信号がHレベルのときに、受光部からの第1出力信号をそのまま通過させると共に、上記変調信号がLレベルのときに、上記変調信号がHレベルのときの上記第1出力信号をサンプルホールドする第1サンプルホールド回路と、
上記変調信号がLレベルのときに、受光部からの第2出力信号をそのまま通過させると共に、上記変調信号がHレベルのときに、上記変調信号がLレベルのときの上記第2出力信号をサンプルホールドする第2サンプルホールド回路と、
上記第1サンプルホールド回路が出力する信号と上記第2サンプルホールド回路が出力する信号との差動を取る差動回路とを備えた。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1サンプルホールド回路はHレベル時の第1出力信号をサンプルホールドするとともに、第2サンプルホールド回路はLレベル時の第2出力信号をサンプルホールドする。そして、差動回路は、第1出力信号と第2出力信号との差を計算する。これにより、外乱光ノイズを除去する回路構成を実現することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、
上記受光部で検出した信号を増幅する増幅部と、
上記増幅部の増幅度を、上記受光部の信号強度に応じて切り替える増幅度切替部とを有する。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記増幅度切替部は、
所定の時刻における上記増幅部の信号強度をホールドし、このホールドした値と基準値とを比較することにより、上記増幅部の増幅度を決定する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、所定の時刻の信号強度をホールドすることにより、経時変化する信号強度における所望の時刻での信号強度を用いて増幅度を切り替えることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、
上記受光部で検出した信号を増幅する増幅部と、
上記増幅部の増幅度を、上記受光部の信号強度に応じて切り替える増幅度切替部とを有し、
上記増幅度切替部は、
所定の時刻における上記増幅部の信号強度をホールドし、このホールドした値と基準値とを比較することにより、上記増幅部の増幅度を決定し、
さらに、上記増幅部は第1増幅器と第2増幅器を有し、上記増幅度切替部は第1増幅度切替器と第2増幅度切替器とピークホールド回路部とサンプルホールド回路部とを有し、
上記信号処理部は、
上記第1受光素子で検出された信号が入力されると共に上記第1増幅器と上記ピークホールド回路と上記第1増幅度切替器とを有する第1信号処理回路と、
上記第2受光素子で検出された信号が入力されると共に上記第2増幅器と上記サンプルホールド回路と上記第2増幅度切替器とを有する第2信号処理回路とを有し、
上記第1増幅度切替器は、上記ピークホールド回路の出力値に基づいて上記第1増幅器の増幅度を決定し、
上記第2増幅度切替器は、上記サンプルホールド回路の出力に基づいて上記第2増幅器の増幅度を決定することを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1増幅度切替部は上記ピークホールド回路の出力値に基づいて第1増幅器の増幅度を決定する一方、第2増幅度切替部は上記サンプルホールド回路の出力値に基づいて上記第2増幅器の増幅度を決定する。このように、第1増幅器の増幅度決定に対してピークホールド回路を用い、第2増幅器の増幅度決定に対してサンプルホールド回路を用いるのが好適である。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、
上記増幅部の出力信号をホールドする機能を有し、
上記基準値と比較するために上記増幅部の出力信号をホールドするタイミングを、上記半導体発光素子に印加する変調信号を用いて決定する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、半導体発光素子の変調信号として用いられるパルス信号を用いることで、増幅部の出力信号を必要な時刻にホールドすることが容易に可能となる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1信号処理回路は、
上記フォーカス時の上記第1受光素子の出力であるフォーカス信号のピーク値を上記ピークホールド回路がホールドする時刻を基準時刻として検出するピーク位置検出部を有し、
上記第2信号処理回路は、
上記ピーク位置検出部が検出した上記基準時刻と上記半導体発光素子に印加する変調信号とに基づいて、上記デフォーカス時の上記第2受光素子の出力であるデフォーカス信号を上記サンプルホールド回路がサンプルホールドするタイミングを決定するタイミング検出部を有することを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1信号処理回路のピーク位置検出部によりフォーカス信号のピーク位置が検出された時刻を基準時刻として用いて、第2信号処理回路のサンプルホールド回路でデフォーカス信号をサンプルホールドする時刻を決定する。これにより、容易にかつ精度よくデフォーカス信号をサンプルホールドするタイミングを決定することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記増幅度切替部は、
上記増幅部の出力信号レベルが設定された基準値範囲外であるときに、上記増幅部の増幅度を1段階ずつ増加もしくは減少させる。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記増幅度切替器が増幅度を切り替えるとき、1段階ずつ切り替えるようにすることにより、目的の増幅度を選択するための回路機能を有する回路構成を簡単化できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部が有する上記増幅部は、複数の増幅器が直列接続された増幅器群を有することを特徴とする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、増幅部の構成を複数の増幅器の直列接続とすることにより、増幅度の大きな回路構成が必要な場合においても、複数の増幅器で増幅度を分割することができるので、回路動作を安定化させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記増幅度切替部は、
上記増幅部を所定の増幅度にするときに、上記増幅器群のうちの所定の増幅器の入力接続抵抗を開放にする。
この実施形態の光学式物体識別装置では、信号を増幅するダイナミックレンジが非常に広い場合においては、上記増幅器群の中では増幅度の小さいものを用いる必要が出てくるが、増幅器の入力抵抗を解放にすることにより、増幅度を1にすることができる。これにより、増幅度のダイナミックレンジが広く、かつ安定した回路動作を実現することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1信号処理回路は、上記フォーカス信号を含む第1信号を出力し、
上記第2信号処理回路は、上記デフォーカス信号を含む第2信号を出力し、
上記信号処理部は、
上記第1信号と第2信号をデジタル信号化するA/D変換部を有し、
上記第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号と、上記A/D変換部でデジタル信号化された第1および第2信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算するデジタル信号処理回路を有する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記信号処理部は、上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比や差を計算する手段として、第1、第2の各信号処理回路から出力された第1、第2の信号をA/D変換部でA/D変換してデジタル信号処理回路でデジタル処理することにより、簡便に所望の計算を行うことができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、
上記デジタル信号化された第1信号および第2信号を蓄積するメモリを有し、
上記メモリは、上記第1信号と第2信号のそれぞれについて、少なくとも上記焦点位置の変動における半周期分の波形データを格納できる記憶容量を有する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、デジタル信号化された第1、第2の各信号の波形データを少なくとも半周期分以上蓄積できるメモリを有することにより、目的とする時刻の信号をメモリから取り出して確実に用いることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、
上記デジタル信号化された第1信号および第2信号を蓄積するメモリを有し、
上記メモリは、上記第1信号と第2信号のそれぞれについて、上記焦点位置の変動における1周期分の波形データを保存する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、デジタル信号化された第1、第2の各信号の波形データを1周期分蓄積することにより、さらに効率良く目的とする時刻の信号を用いることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1信号処理回路は、
上記フォーカス信号のピーク値を上記ピークホールド回路がホールドする時刻を基準時刻として検出するピーク位置検出部を有し、
上記第2信号処理回路は、
上記ピーク位置検出部が検出した上記基準時刻と上記半導体発光素子に印加する変調信号とに基づいて、上記デフォーカス信号を上記サンプルホールド回路部がサンプルホールドするタイミングを決定するタイミング検出部を有し、
上記A/D変換部は、
上記第1信号処理回路が有する上記ピーク位置検出部が上記基準時刻を検出したことをトリガ信号としてA/D変換を開始し、
上記デジタル信号処理回路がA/D変換したデジタルデータを保存するメモリを備えた。
この実施形態の光学式物体識別装置では、第1信号処理回路のピーク位置検出部が検出したフォーカス信号のピーク位置に対する基準時刻をトリガ信号として上記A/D変換部によるA/D変換を開始する。そして、上記A/D変換した各信号波形をメモリに蓄積することにより、所望のデータの計算を行う手段を簡便に構成できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記第1信号処理回路が有する上記ピーク位置検出部が検出した上記基準時刻から上記メモリにデジタルデータを蓄積する過程において、
上記基準時刻から上記第2信号処理回路が有する上記タイミング検出部が決定したタイミングで上記サンプルホールド回路部がサンプルホールドを開始する時刻までの間に、上記ピーク位置検出部が新たな基準時刻を検出したときに、この新たな基準時刻までに上記メモリに格納されたデジタルデータをすべてクリアし、
上記A/D変換部は、上記ピーク位置検出部が上記新たな基準時刻を検出したことをトリガ信号として、第1および第2信号のA/D変換を開始し、上記メモリにデジタルデータを保存する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記構成の第1、第2の信号処理回路により、被測定物の表面の凹凸が大きく、第1信号処理回路でピーク位置が検出されてから第2信号処理回路で所望のサンプルホールドを開始する時刻までに、再度、第1信号処理回路でピーク位置が検出された場合でも、その新たなピーク位置検出の時刻から再度メモリに信号波形のデジタルデータを蓄積し始める。これにより、誤った波形を用いて計算を行うことがなく、被測定物の識別の精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、
上記ピーク位置検出部が検出した基準時刻に基づいて、上記メモリに保存されたデジタルデータの中から、上記第1信号に含まれる上記基準時刻におけるフォーカス信号を取り出し、かつ、上記第2信号に含まれる所定の時刻におけるデフォーカス信号を取り出し、
上記第1信号処理回路の第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2信号処理回路の第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、メモリに蓄積された信号波形のデジタルデータの中から上記第1信号による基準時刻のフォーカス信号と、第2信号による所定時刻のデフォーカス信号を取り出して計算する。この信号処理に際し、デジタル信号処理回路は、第1信号処理回路部と第2信号処理回路部の第1信号と第2の信号によるそれぞれ基準時刻と所定の時刻を表す所望のタイミング信号と第1、第2増幅度信号を用いる。これにより、信号処理が簡便化し迅速に計算を行うことができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、
上記メモリに保存されたデジタルデータの内の上記デジタル信号化された第1信号に基づいて、上記第1信号のピーク位置を検出するデジタル信号演算部を有し、
上記デジタル信号演算部が検出したピーク位置の時刻データを基準時刻とし、この基準時刻におけるフォーカス信号を取り出し、
上記メモリに保存されたデジタルデータの内の上記デジタル信号化された第2信号から、上記基準時刻及び上記変調信号に基づくタイミング検出部で決まる所定の時刻におけるデフォーカス信号を取り出し、
上記第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号との比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号との差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号との差とフォーカス信号との比を計算することを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、上記デジタル信号演算部を有し、メモリに蓄積された信号波形を表すデジタルデータを用いて、第1信号のピーク位置の時刻データ(基準時刻)や第2信号の所望の時刻のデフォーカス信号をデジタル信号処理する。これにより、第1信号処理回路や第2信号処理回路のタイミング計測用の回路が不要となり、回路構成を簡便化できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、
上記メモリに保存されたデジタルデータの中から上記フォーカス信号および上記デフォーカス信号を取り出す過程において、
上記メモリに保存されたデジタルデータの内の、上記基準時刻の前と後の複数時刻、または上記基準時刻の前の複数時刻、または上記基準時刻の後の複数時刻における複数のフォーカス信号の平均値をフォーカス信号として取り出し、
上記メモリに保存されたデジタルデータの内の、上記基準時刻及び上記変調信号に基づくタイミング検出部で決まる所定の時刻の前と後の複数時刻、または上記基準時刻の前の複数時刻、または上記基準時刻の後の複数時刻における複数のデフォーカス信号の平均値をデフォーカス信号として取り出し、
上記第1信号処理回路の第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2信号処理回路の第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、メモリに蓄積された信号波形を表すデジタルデータから所望の時刻でのフォーカス信号およびデフォーカス信号を取り出す際、所望の時刻付近の複数のフォーカス信号およびデフォーカス信号の信号強度の平均値を用いる。これにより、ノイズによる誤差を低減することができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記デジタル信号処理回路は、
上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算して、上記被測定物を識別する過程において、
上記計算を複数回行い、この複数回の計算結果の平均を計算して上記被測定物を識別することを特徴としている。
この実施形態の光学式物体識別装置では、フォーカス信号とデフォーカス信号を用いた複数回の計算結果を平均して被測定物の識別を行うことにより、被測定物の識別精度を向上させることができる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記被測定物との間の距離が所定値より大きいときは、上記半導体発光素子の発光をオフまたは低下させる。
この実施形態の光学式物体識別装置では、被測定物との距離が所定値以上になったときに半導体発光素子の出力をオフまたは低下させることにより、測定不要時の待機電力を低減でき、さらに出射した光が人体等に危害を加えることを防止できる。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、上記半導体発光素子の発光状態はレーザ製品の安全基準のクラス1を満足する。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記装置からのレーザ光が万一人間の目に直接入射したとしても人体に危害を与えることはない。
また、一実施形態の光学式物体識別装置では、筐体の一部に形成された光学窓を有し、上記第1集光レンズと上記光学窓との間の距離は、上記第1集光レンズの焦点距離よりも短い。
この実施形態の光学式物体識別装置では、上記構成とすることにより、第1光束が出射する光学窓に埃など光を散乱させる物体が付着した場合でも、付着物からの反射光は第1集光レンズの焦点距離外にあるので、受光部にはほとんど入射しない。したがって、被測定物の識別時の誤作動を防ぐことができる。
また、一実施形態の掃除機では、上記光学式物体識別装置を掃除機のヘッド部に搭載した。この掃除機によれば、被測定物となる床面の識別を自動的に行うことができて好適である。
また、一実施形態の自走式掃除機では、上記光学式物体識別装置を搭載したことで、自走しつつ床面の種類を自動的に検出することが可能となり最も好適である。
この発明の光学式物体識別装置によれば、被測定物に光を照射し、その反射光の偏光解消特性を評価することにより、表面粗度に対応した受光信号の変化が得られるので、被測定物の種類を識別することができる。
また、この発明の光学式物体識別装置を掃除機や自走式掃除機に搭載することにより、床面の種類を自動的に判別し掃除機の運転状況を最適化させる機能を持たせることが可能となる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態の光学式物体識別装置の概略構成図である。図1では光線の軌跡や主要な光学部品を図示し、光学部品を保持する部品などの図示は省略している。ここで、光源である半導体発光素子としては発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))や半導体レーザ(LD(Laser Diode))などがあり、被測定物9上での光密度が所望の値以上を示せばどちらでもよい。ただし、LEDよりLDの方がコリメート性が高く、ビーム径をより小さく集光することができ、単位面積あたりの光量を高めることができるので、LDの方が好適である。以上より、この発明の実施形態では、半導体発光素子の一例としてLDを示し、以下の実施の形態では、半導体発光素子の一例としてLDを採用した。
この第1の実施形態の光学式物体識別装置は、半導体レーザ1と、コリメータレンズ2と、円形開口を有する絞り3と、無偏光ビームスプリッタ4と、第1集光レンズ8とを備える。上記半導体レーザ1、コリメータレンズ2、絞り3、光分岐素子としての無偏光ビームスプリッタ4、第1集光手段としての第1集光レンズ8が投光部をなす。
また、この第1実施形態は、第2集光レンズ10と、ピンホール部11と、偏光状態選択部をなす直線偏光子13aと、フォトダイオード等の受光素子で構成された受光部12と、信号処理部としての信号処理回路14とを備える。
半導体レーザ1より出射した光は、コリメータレンズ(CL)2により平行光束に変換され、円形開口の絞り3によりビーム中心付近の光強度がほぼ一様となる部分のみが絞り3を通過して、ビーム断面形状が円形に変形される。その後、無偏光ビームスプリッタ4を通過する第1光束5と、無偏光ビームスプリッタ4で反射し被測定物9の表面と略平行に進行する第2光束6とに分割される。
ここで、無偏光ビームスプリッタ4で反射した第2光束6は光学系から外れる。この第2光束6は、例えば、光学系を囲う筐体側壁(図示せず)などで反射し、ノイズ光として受光部12で検出されてしまうことがある。このノイズ光を除去するために、第2光束6の光軸上に第2光束6の偏光方向と直交するように、迷光防止手段としての直線偏光子13bを設置してある。これにより直線偏光子13bを第2光束6は通過できないため、筐体側壁に照射されることはなく、ノイズ光源となることはない。
無偏光ビームスプリッタ4を通過した第1光束5は、第1集光レンズ8の中心に入射し、第1集光レンズ8により被測定物9上に集光される。ここで、被測定物9は第1集光レンズ8のほぼ焦点距離に配置される。被測定物9で反射した第1光束5は全方位に拡散する。ここで、第1集光レンズ8と被測定物9との間の距離が第1集光レンズ8のほぼ焦点距離であるので、被測定物9で反射した光のうち、第1集光レンズ8を通過した光は、図1に示すように、第1集光レンズ8のレンズ径を有する平行反射光束7を形成する。一方、被測定物9で反射した光のうち、第1集光レンズ8を通過しない光は拡散し以後信号に寄与しない。
また、図1に示す光学式物体識別装置では、上記第1集光レンズ8を通過しない反射光は受光部12に入射しないような遮光手段(図示せず)が設けられている。以上の遮光手段は以後の実施の形態においても同様に設けられているが、説明は省略する。
反射光束7は第1集光レンズ8で平行光束となった後、無偏光ビームスプリッタ4に再び入射して無偏光ビームスプリッタ4を通過する光束と無偏光ビームスプリッタ4で反射する光束に分割される。ただし、図1では無偏光ビームスプリッタ4を通過する光束は省略している。無偏光ビームスプリッタ4で反射した光束は第2集光レンズ10で集光され、この第2集光レンズ10の焦点距離に配置されたピンホール11を通過した光束は、偏光状態選択部としての直線偏光子13aを経由して受光素子12で検出される。
ピンホール部11は第2集光レンズ10の焦点位置に配置されているので、被測定物9が第1集光レンズ8の焦点位置以外にあるときは、第2集光レンズ10で集光された反射光束7はピンホール部11面上でデフォーカス状態となり、ピンホール部11のピンホール11aを通過する光量が大幅に減少する。
このように配置することにより、第1集光レンズ8の焦点距離に配置された被測定物9について、受光部12への光信号の信号強度を大きくすることができ、被測定物9上でのビーム径も小さくできる。これにより、反射光束7の光量が大きくなり、被測定物9を高精度に識別することが可能となる。
受光部12では、入射した光信号を電気信号に変換した後、この電気信号を後段の信号処理回路14に送る。
ところで、被測定物9に照射された第1光束5は、被測定物9の表面で反射し散乱する。一般に、光が反射する際、反射表面の形状によって反射光の偏光状態は変化する。たとえば、光学ミラーの表面のように、入射光の波長より十分に小さい面精度をもつ表面での反射では、入射光の偏光状態は保持されるが、入射光の波長に対して反射表面の凹凸のレベル差が大きいときは反射光が多重散乱を起こすので、偏光解消特性を示す。
言い換えれば、反射光の偏光情報を測定することによって、被測定物9の表面の凹凸状態を知ることができる。この実施の形態では、図1に示すように、受光部12の直前に、偏光状態選択部としての直線偏光子13aが設置されており、受光部12は特定の方向に振動する偏光成分のみを検出するようになっている。
いま、図1において、LD(半導体レーザ)1から出射する光の直線偏光が紙面に垂直な方向であるとすると、直線偏光子13aも紙面に垂直な偏光方向の光を通過させるように配置されている。このように配置することにより、受光部12で反射光束7のうちの上記偏光方向の成分の光強度を測定し、その光強度のレベルを信号処理回路14で検出する。
ここで、被測定物9の表面の凹凸の程度に応じて、上記反射光束7の偏光の解消度が依存することから、上記信号処理回路14で上記偏光方向の成分の光強度を測定することによって、被測定物9の種類(材質)を判別することができる。特に、既知の複数の異なる材質(表面形状)の被測定物の中から、被測定物9の種類(材質)を識別する場合に、信号処理回路14が有するメモリMに、予め既知の複数の異なる材質の被測定物による偏光解消度の情報を入力し、この既知の情報と測定結果と比較することによって、より効果的に測定対象の被測定物9の種類(表面形状)を判別できる。
また、第1光束5は、被測定物9にほぼ垂直に入射しており、S波として入射している。ここで、S波について簡単に説明すると、入射光とその正反射光の光軸を含む入射面に対して、入射光の振動方向が垂直であるときに、この入射光はS波となる。一方、上記入射面に対して、入射光の振動方向が平行であるときに、この入射光はP波となる。P波は反射面に対して光の振動方向が垂直になる成分が存在し、この垂直な振動方向は、受光素子12の直前に配置した直線偏光子13aが通過させる光の振動方向とは垂直の関係になる。このため、上記P波が含む上記振動方向が垂直の成分は、反射による偏光の解消度に対してノイズ成分となる。したがって、第1光束5は被測定物9の表面に対して垂直に入射するようにし、S波として入射させるのが好ましい。
被測定物9は、第1集光レンズ8の焦点位置に配置されているため、被測定物9で反射、拡散した光は第1集光レンズ8により平行光束となる。また、ピンホール部11は第2集光レンズ10の焦点位置に配置されているため、反射光束7はピンホール部11面上で最も集光される。一般に、理想的に反射光を平行光束であるとしたとき、最も集光された面でのビーム径(ビームウエスト)は使用するレンズにもよるが、数μmから数十μm程度の大きさになる。ピンホール11aの径は上記ビームウエストよりいくらか大きくなっている。
このような配置にすることにより、被測定物9が第1集光レンズ8の焦点距離から外れたとき、反射光束は平行光束とはならず、ピンホール部11の表面上で反射光束はデフォーカス状態となり、ほとんどピンホール部11を通過しない。このため、識別に必要な信号として、S/Nの大きい焦点付近に被測定物9があるときの信号を抽出して識別を行うことにより、誤検知を防ぎ、識別精度を向上させることができる。この実施形態の冒頭で説明したように、半導体発光素子としては、上記のようにS/Nを向上させるためにも、被測定物9上でより集光して光密度を上げることができる半導体レーザ(LD)が好適である。
一方、受光部12としては、光信号を電気信号に変換するものであれば、この発明の機能を満足することができるが、特に、フォトダイオードを用いることにより、装置構成を小型化することに適しており、またそのコストを低減することも可能であり、非常に好適である。さらに、フォトダイオードと後段の信号処理回路14とを同一の半導体基板上に作製した場合には、フォトダイオードと信号処理回路14との間を結線するワイヤー等にのってくるノイズを大幅に低減できる。さらに、フォトダイオードと信号処理回路14とを同一基板上に作り込んだ場合には、チップ面積を縮小でき、コスト低減が可能となる。
また、受光部を、複数のフォトダイオードが整列した構造とすることも可能である。例えば、分割型のフォトダイオードを1列に複数個並べた構造やCCD、CMOSイメージャなどの撮像素子を用いることも可能である。
1つのフォトダイオードで受光部を構成した場合には、この1つのフォトダイオードから得られる情報は光強度のみであるが、上述のように複数のフォトダイオードを備えた構造の受光部を用いた場合、複数のフォトダイオードの出力信号によって光強度の分布を測定することができる。これにより、強度のみの測定に比べて、測定対象である被測定物9をより精密に識別することが可能となる。
図2は、上述のごとく複数のフォトダイオードを備えた受光部12とした場合に、各位置のフォトダイオードが検出した光強度を、上記各位置の光強度のうちの最大値で規格化した値(規格化値)の分布を示す。
被測定物9の表面が平滑である場合は、反射光束7は偏光解消度が低いので、偏光状態選択部としての直線偏光子13aを通過する光は光軸中心近傍が強くなる。したがって、図2に波形(3)で示すように、光軸を中心としたシャープな光強度分布となる。
一方、被測定物9の表面の凹凸が大きく、反射光束7が多重散乱を起こす度合いが大きい場合においては、図2に波形(1)で示すように、光強度分布の形状はその最大値が低く、かつ、ブロードな光強度分布となる。また、図2に示す波形(2)は、被測定物9の表面の凹凸が、図2の波形(1)の場合よりも凹凸が小さいと共に図2の波形(3)の場合よりも凹凸が大きい場合の光強度分布の形状を示している。
なお、上述した受光部を複数の受光素子からなる受光素子群で構成したことによる効果は、以後の実施の形態でも当てはまるが、以後の実施形態では説明を省略する。
次に、図3(A)に、上記第1の実施形態の変形例の光学式物体識別装置の概略構成を示す。この変形例では、図3(A)に示すように、構成部品はすべて図1に示す第1実施形態と同じであり、第1集光レンズ8への第1光束5の入射位置が第1実施形態と異なっている。
また、この変形例では、第1光束5がS波として被測定物9に入射するので、半導体レーザ1の出射光の偏光方向は紙面に垂直方向であり、これに合わせて直線偏光子13aが通過させる光の偏光方向も紙面に垂直方向に設定されている。
この変形例においては、第1光束5が第1集光レンズ8のエッジ部8aに入射しているので、第1光束5は所定の入射角をもって被測定物9に入射する。被測定物9で第1光束5が反射したときに、偏光が保持された成分は正反射方向にもっとも強くなることから、被測定物9への入射光(第1光束5)を斜入射にすることによって、反射、拡散による偏光解消の空間分布が変化する。
この変形例では、第1集光レンズ8の中心部に第1光束5を入射させる第1の実施形態に比べて、第1集光レンズ8で集光されて受光部12で検出される所定方向の偏光方向の光強度は変化する。この変形例では、特に、被測定物9で後方散乱する光をより多く受光部12へと導くことができるので、受光部12に向かう反射光束7は偏光解消した光の成分が多くなる。したがって、この変形例では、上述の第1実施形態に比べて、さらに高精度に被測定物9の識別が可能となる。
また、この変形例では、正反射軸に対して光強度が最大となることから、受光部12が上述した複数の受光素子が整列して配置された受光素子群で構成されている場合には、この受光部12が検出する光強度分布のピーク強度位置は受光素子群の中央から端側に移動する。この場合における光強度分布は、図3(B)に示すように、光強度分布におけるテイル(尾部)の形状をより詳細に測定することができ、被測定物9を高精度に識別することが可能となる。
(第2の実施形態)
図4に、この発明の第2の実施形態の光学式物体識別装置の概略構成を示す。図4では、光線の軌跡や主要な光学部品を図示し、光学部品を保持する部品などの図示は省略している。また、図4において、図1に示した第1の実施形態の構成部と同一構成部には、図1における構成部と同一参照番号を付してあり、説明は省略する。この第2実施形態は、前述の第1実施形態の変形例の無偏光ビームスプリッタ4に替えて、導光手段としてのミラー15を備えた点が、前述の第1実施形態の変形例と異なる。
この第2の実施形態では、絞り3を出射した第1光束5は直接第1集光レンズ8のエッジ部8aに入射し、第1集光レンズ8の焦点距離に配置された被測定物9上に集光される。また、第1光束5は被測定物9にS波として入射するので、半導体レーザ1の偏光方向は紙面に垂直方向であり、これに合わせて直線偏光子13が通過させる偏光方向も紙面に垂直方向に設置されている。被測定物9によって、反射、拡散した光は再び第1集光レンズ8によって平行反射光束7となる。
この第2実施形態は、導光手段としてのミラー15を有し、このミラー15は平行反射光束7の進行方向を変えて受光部12に向ける。このミラー15は、第1光束5と重ならないように配置されている。
このように、ミラー15を配置することによって、第1の実施形態やその変形例において、第2光束6として失われる余分な光を無くすことができる。したがって、半導体レーザ1から出射した光量のうちの信号光として利用できる光量の割合を高めることができる。これにより、半導体レーザ1の発光強度を低減させることができ、装置全体の消費電流を低減することが可能となる。
なお、上記導光手段としては、例えば、第1光束5のビーム径より大きな径の穴が形成されたミラーが最も好適(図示せず)で、このミラーの穴を第1光束5が通過するように配置するのがより好ましい。
(第3の実施形態)
次に、図5に、この発明の第3の実施形態の光学式物体識別装置の概略構成を示す。図5では、光線の軌跡や主要な光学部品を図示し、光学部品を保持する部品などの図示は省略している。また、図5において、図1に示した第1の実施形態の構成部と同一構成部には、図1における構成部と同一参照番号を付してあり、説明は省略する。
この第3実施形態は、直線偏光子13bを有しておらず、無偏光ビームスプリッタ4に隣接して、光軸変更手段としてのミラー15を備えた点が前述の第1実施形態と異なる。
この第3の実施形態では、無偏光ビームスプリッタ4を通過した第1光束5は第1集光レンズ8に入射する一方、無偏光ビームスプリッタ4を反射した第2光束6はミラー15で反射されて進行方向が第1光束5と平行になり、第1光束5と同様に、第1集光レンズ8に入射する。第1集光レンズ8に入射した両光束5,6は、レンズ8の焦点位置に配置されている被測定物9上の同一点に照射される。
被測定物9で反射した両光束5,6は、再び、第1集光レンズ8で屈折して平行反射光束7となる。図5に破線で示すように、この反射光束7の一部は、無偏光ビームスプリッタ4により進行方向が変えられ、かつ、反射光束7の別の一部はミラー15により進行方向が変えられる。これにより、反射光束7は受光部12に向かう同一光束となって、第2集光レンズ10に入射する。この第2集光レンズ10に入射後の光束7の処理は第1の実施形態や第2の実施形態と同様である。
この第3実施形態のような光学系によれば、第1実施形態やその変形例において第2光束6により失われる余分な光を無くすことができるので、前述の第2の実施形態と同様に、半導体レーザ1から出射した全光量のうち信号光として利用できる光量の割合を高めることができる。これにより、半導体レーザ1の発光強度を低減させることができ、装置全体の消費電流を低減することが可能となる。
さらに、この第3実施形態では、ビームスプリッタ4とミラー15とを同一ユニットに組み込んだ一般的な光学部品を採用することができるので、第2実施形態で例示したようなミラーへの特別な穴加工を必要とせず、非常に容易に実現することが可能である。
(第4の実施形態)
次に、図6に、この発明の第4の実施形態の光学式物体識別装置の概略構成を示す。図6では、光線の軌跡や主要な光学部品を図示し、光学部品を保持する部品などの図示は省略している。また、図6において、図1に示した第1の実施形態の構成部と同一構成部には、図1における構成部と同一参照番号を付している。
この第4実施形態は、第1実施形態における無偏光ビームスプリッタ4と同じ構成の第1光分岐素子としての第1無偏光ビームスプリッタ4aに加えて、第2光分岐素子としての第2無偏光ビームスプリッタ4bを備える。この第2無偏光ビームスプリッタ4bは、ピンホール部11と直線偏光子13aとの間に配置され、ピンホール部11と第2無偏光ビームスプリッタ4bとの間には、第3集光レンズ10bが配置されている。また、第2無偏光ビームスプリッタ4bと直線偏光子13aとの間には、第4集光レンズ10dが配置されている。
また、上記第2無偏光ビームスプリッタ4bで反射した光を第2の受光素子12aに向けて反射するミラー15と、ミラー15と第2の受光素子12aとの間に配置されたもう1つの第4集光レンズ10cを備える。この第2の受光素子12aと第1の受光素子12bとが受光部を構成している。
この第4実施形態では、被測定物9で反射して第1集光レンズ8により平行光束となった反射光束7は、第1無偏光ビームスプリッタ4aと第2集光レンズ10aを経由して、ピンホール部11を通過した後、第3集光レンズ10bに入射する。この第3集光レンズ10bの焦点位置にピンホール部11が配置されている。
したがって、反射光束7は、第3集光レンズ10bによって再び平行光束となり、第2無偏光ビームスプリッタ4bで2分割されて第2反射光束7aと第1反射光束7bとなる。ここで、図6に示すように、第2反射光束7aは第2無偏光ビームスプリッタ4bで上方に反射した光束を表し、第1反射光束7bは第2無偏光ビームスプリッタ4bを通過した光束を表している。第2反射光束7aは、ミラー15によって進行方向が変えられて、第1反射光束7bと平行となる。これにより、進行方向が同方向となった第2,第1の両光束7a,7bは、それぞれ、第4集光レンズ10cおよび10dによって集光され、第2受光素子12aと第1受光素子12bで検出される。ただし、第1受光素子12bと第4集光レンズ10dの間には直線偏光子13aが配置されていて、この直線偏光子13aは透過させる偏光方向が第1光束5の偏光方向と同方向となるように配置されている。
この第4実施形態では、第2受光素子12aは、第2無偏光ビームスプリッタ4bで分割された第2反射光束7aのうちの全ての偏光方向の光を受光する。これに対し、第1受光素子12bは、直線偏光子13aを経由して第1反射光束7bを受光するので、この直線偏光子13aが選択する所定の偏光方向の成分の光を受光する。これにより、先述の第1〜第3実施形態で説明した如く、この第1受光素子12bで検出される信号は、被測定物9の表面状態を反映している。
ところで、被測定物9は様々な反射率をもっていることから、第1受光素子12bで検出した強度信号の絶対値のみで被測定物9の表面状態を測定した場合には、上記強度信号の絶対値への寄与に関して、被測定物9表面での偏光乱れが支配的なのか、単に被測定物9の反射率の大小が支配的なのかを区別できない。言い換えれば、被測定物9による偏光解消度が大きくても被測定物9表面の反射率が大きい場合は、上記強度信号は在る一定以上の出力強度を示すことがあり、誤検知を引き起こす恐れがある。
これに対し、この第4実施形態では、第2受光素子12aで第2反射光束7aの全ての偏光方向の光を受光するので、第2受光素子12aが出力する信号は被測定物9の反射率を測定していることに等しい。よって、信号処理回路14は、これら第2,第1の両受光素子12a,12bの出力の比を計算する。この計算した出力信号の比でもって、被測定物9の表面状態を測定する。これにより、被測定物9の表面状態を測定するに際して、被測定物9の表面の反射率による信号強度のばらつきの影響を低減することができる。したがって、この第4実施形態によれば、被測定物9の表面状態の高精度な識別が可能となる。
(第5の実施形態)
次に、図7に、この発明の第5の実施形態の光学式物体識別装置の概略構成を示す。図7では光線の軌跡や主要な光学部品のみを図示し、光学部品を保持する部品などの図示は省略している。また、図7において、図6に示した第4の実施形態の構成部と同一構成部には、図6における構成部と同一参照番号を付している。
この第5の実施形態は、第4集光レンズ10cと第2受光素子12aとの間に配置された第2偏光状態選択素子としての第2直線偏光子13cを備えた点が、前述の第4実施形態と異なる。なお、この第5実施形態は、前述の第4実施形態と同じ直線偏光子13aを第1偏光状態選択素子としての第1直線偏光子13aとして備えている。この第5の実施形態では、第2受光素子12aと第4集光レンズ10cの光軸上に第2直線偏光子13cが設置されている。
上記第1直線偏光子13aが選択する偏光方向と第2直線偏光子13cが選択する偏光方向とは互いに略直交し、上記第1直線偏光子13aが選択する偏光方向は上記第1光束5の偏光方向と略平行であり、上記第2直線偏光子13cが選択する偏光方向は上記第1光束5の偏光方向と略垂直である。
すなわち、この第2直線偏光子13cが選択する偏光方向は、第1直線偏光子13aが選択する偏光方向と直交するように配置されており、半導体レーザ1が出射した第1光束5の偏光方向と直交する方向に配置されている。
先述したように、第1光束5が被測定物9で反射した後の反射光束7の偏光状態は、被測定物9の表面状態に起因する。このため、被測定物9の反射表面がより平滑であるほど、反射光束7の偏光方向は入射光束(第1光束5)の偏光方向と同じ成分の割合が高く、入射光束(第1光束5)の偏光方向と直交する偏光方向の割合は低くなる。例えば、反射光束7の光量を2I(任意単位)とすると、反射光束7は、光量Iの第2反射光束7aと光量Iの第1反射光束7bと分割される。これら第1、第2の反射光束7b、7aの光量Iは全ての偏光方向成分を含んだ光量となっている。
いま、被測定物9の表面状態をある状態に仮定して、第1,第2の反射光束7b,7aにおいて、それぞれ、第1光束5と同一方向に偏光している成分の光量をαI、それと直交している成分をβI、その他の偏光方向の和の成分が(1−α−β)Iとする。このとき、第1の反射光束7bは、第1直線偏光子13aを通過することで、光量αIとなり、第1受光素子12bに入射する一方、第2の反射光束7aは、第2直線偏光子13cを通過することで、光量βIとなり、第2受光素子12aに入射する。
したがって、この第5実施形態による測定結果、つまり信号処理回路14が第1受光素子12bからの出力信号と第2受光素子2aからの出力信号との比を計算した結果、αI/βI = α/βという結果が得られる。
これに対し、第4の実施形態においては、信号処理回路14が第1受光素子12bからの出力信号と第2受光素子2aからの出力信号との比を計算した結果、αI/I = αという結果が得られる。
ここで、係数αやβは共に、1以下の値であり、αが大きいほどβは小さくなるので、この第5実施形態で計算した比α/βによれば、第4実施形態で計算した比αに比べて、被測定物9の表面状態による偏光解消の影響をよりよく反映したものとなる。したがって、この第5実施形態によれば、第4実施形態に比べて識別精度が向上する。
なお、この第5実施形態において、信号処理回路14によって上記比を計算するかわりに、第1受光素子12bからの出力信号と第2受光素子12aからの出力信号との差を計算してもよい。この場合にも、識別精度を向上させることができる。ただし、被測定物9表面の反射率のばらつきによる誤差を低減するために、上記差を計算した後、この差と、両受光素子12a,12bの出力信号の和との比を計算する方が好ましい。つまり、この計算結果は、(α−β)/(α+β)となる。被測定物9における反射表面がより平滑であるほど、αとβの差は大きく、表面が粗いほどαとβの値の差は小さくなるので、より高精度に被測定物9の識別が可能となる。なお、分母(α+β)の値は1を超えない値であり、被測定物9の表面の反射率に起因する計算結果のばらつきを低減している。
また、この第5実施形態と同様の効果は、図7に示す第2無偏光ビームスプリッタ4bを偏光ビームスプリッタに置き換えて、第1直線偏光子13aと第2直線偏光子13cを除去した構成でも得られる。偏光ビームスプリッタとは、入射する光束を、通過光の偏光方向と反射光の偏光方向とが直交するように分割するものである。この場合、図7に示す構成と全く同様の効果が得られ、部品点数も直線偏光子を有さない分だけ削減できる。
また、上記第4および第5の実施形態における光学系を、図8(A)に示すように、光学窓80aを有する筐体80内に収容した構成としてもよい。光学窓80aから第1光束5が出射される。この構成では、無偏光ビームスプリッタ4bとミラー15とをユニット化し、第4集光レンズ10c,10dを同一プレートに作製したレンズ群を用いることにより、第2反射光束7aと第1反射光束7bとの間の距離を縮小することができる。これにより、第2受光素子(フォトダイオード)12aと第1受光素子(フォトダイオード)12bを同一半導体基板上に作製することが可能となり、製造コストを削減することができる。
さらに、図8(C)に示すように、フォトダイオード12a,12b間に信号処理回路14a,14bを作り込むことにより、先述したように大幅なノイズ低減効果があるばかりでなく、大幅なコスト削減を実現することができる。なお、図8(B)は、半導体レーザ1、コリメータレンズ2、絞り3、第1無偏光ビームスプリッタ4a、および第1集光レンズ8を1つの筐体81に収容した場合の投光部を示している。
(第6の実施形態)
次に、この発明の光学式物体識別装置の第6実施形態を説明する。上述のように、第1から第5の実施形態の各光学式物体識別装置では、第2集光レンズ10の焦点位置にピンホール部11が配置されているので、被測定物9が第1集光レンズ8の焦点位置にある時に強い信号を得ることができる。
しかし、実際には被測定物9の表面の高低差の大きさは多様であり、識別したい物体によっては、第1集光レンズ8の焦点位置に被測定物9表面がほとんど位置しないことが懸念される。
この第6実施形態は、このような被測定物9の表面の高低差が大きく、第1集光レンズ8の焦点位置に被測定物9が位置する確率が低い場合であっても適用可能な光学式物体識別装置を提供するものである。
図9Aには、被測定物9の表面に高低差がある場合に対応する光学式物体識別装置の一部の構成を模式的に示す。図9Aに示すように、第1集光レンズ8が、被測定物9の表面に対して領域Aに位置しているときは、第1集光レンズ8の焦点距離fの位置に被測定物9の表面が存在している。この場合は、強い受光信号が得られ、被測定物9の識別を精度良く行うことが可能である。
しかし、図9Aにおいて、第1集光レンズ8が領域Bに位置しているときは、この第1集光レンズ8の焦点位置と被測定物9の表面とが離隔して、被測定物9の表面が第1集光レンズ8の焦点位置に位置しなくなる。
そこで、第1集光レンズ8を、被測定物9との間の距離が変化するように、図9Aに矢印Gで示す方向に振動させる。この振動により、第1集光レンズ8の焦点位置を、図9Aに破線で示すように、被測定物9の表面に位置させることが可能となる。
なお、この第1集光レンズ8を振動させるレンズ振動系はアクチュエータで構成されてもよい。しかし、アクチュエータは駆動範囲が小さいので、表面の高低差の大きい被測定物9に対して、第1集光レンズ8の焦点位置を被測定物9の表面に位置させることは非常に困難である。
次に、図9Bに、第6の実施形態の具体的な構成例1の概略構成を示す。この構成例1は、基本的に、前述の第5実施形態の構成を備えており、第1集光レンズ8を振動させる機構を備えた点が、前述の第5実施形態と異なる。したがって、この構成例1では、前述の第5実施形態と異なる点を重点的に説明する。
図9Bに示すように、レンズ振動系はバネ19とソレノイドコイル17から構成することができる。ソレノイドコイル17には、パルス電源16がつながっている。第1集光レンズ8は、レンズホルダ18で保持され、レンズホルダ18には鉄心21が固定されている。また、レンズホルダ18には、鉄心21の反対側にコイルバネ19の一端が連結され、コイルバネ19の他端は固定板20に連結されている。上記鉄心21は、ソレノイドコイル17の略中心軸に沿って部分的に差し込まれている。
上記レンズ振動系の構成によれば、ソレノイドコイル17が鉄心21を吸引する力と、バネ19による復元力でもって、レンズホルダ18を矢印Gの方向へ振動させることで、第1集光レンズ18を矢印Gの方向へ振動させることができる。このソレノイドコイル17には、パルス電源16からのパルス変調された電流が流れている。パルス電源16から出たパルス信号がオンの場合に、ソレノイドコイル17に吸引力が働き、第1集光レンズ18がソレノイド17側に振れる。一方、上記パルス信号がオフの場合は、固定台20に固定されたバネ19による引張り力が働き、第1集光レンズ18が被測定物9側に振れる。
このパルス信号の変調周波数により任意の周波数のレンズ振動が可能である。このソレノイドコイル17を用いた振動系では、可動範囲が大きいので、検出表面の高低差の大きい被測定物9に対しても、第1集光レンズ8の振動範囲のうちのいずれかの位置において、第1集光レンズ8の焦点位置を被測定物9の表面に位置させることが可能となる。
次に、図10(A),(B)に、第6の実施形態の構成例2の概略構成を示す。図10(A)は被測定物9の表面の法線を含む所定の平面に向かって上記構成例2を見た様子を示す模式図であり、図10(B)は上記平面に垂直な平面に向かって上記構成例2を見た様子を示す模式図である。
この構成例2では、レンズ振動系をカム28とモータ22とで構成している。モータ22はモータ固定板23に固定され、モータ固定板23はベース31に固定されている。モータ22の回転軸にカム28が直結されている。このモータ固定板23はスプリング24でもって補助板26に接続されている。
上記補助板26の一端部にベアリング27が軸支され、このベアリング27は、上記スプリング24の付勢力でもってカム28に向かって付勢されている。
上記補助板26の他端部にレンズホルダ30が固定され、このレンズホルダ30に第1集光レンズ8が装着されている。また、この補助板26の中間部にはガイド25が固定されている。このガイド25は、別の補助板29に案内されて光軸Jに沿って摺接可能になっている。この補助板29は固定台88に固定され、固定台88はベース31に固定されている。
ガイド25は光軸Jと同方向の一次元の方向にのみ動くことができる。スプリング24は、カム28が回転したときにベアリング27とカム28との間にすき間ができない程度のばね定数を必要とする。また、モータ22には、カム28を回転させる程度のトルクが必要である。図10(B)に示すように、カム28の回転中心軸の延長線が、光軸Jと交わるように、ベース31からのモータ22の高さを設定している。このカム28の形状を適切に選択することによって、第1集光レンズ8が所望のレンズ振動振幅を有するように設定可能である。このカム28の外周輪郭形状をサインカーブ形状にして、カム28をサインカーブカムとすることによって、任意の時間におけるレンズ位置を計算することができる。この場合、カム28の中心Pから外径までの距離Rを、R=r+asinθ (mm)と書くことができる。例えば、a=5mmとすることにより、振幅5(mm)、つまり振動幅10mmのサインカーブに対応して、第1集光レンズ8が光軸Jに沿って直線状に振動する。
次に、図11Aに、第6実施形態の構成例3の概略構成を示す。図11Aにおいて、中央にこの構成例3の主断面を模式的に示し、上方に上面形状を模式的に示し、下方に部分横断面を模式的に示し、左方に側方から見た部分断面形状を模式的に示す。この構成例3では、レンズ振動系を、モータ22の回転運動をレンズ振動の往復運動に変換するようなクランク機構をもつ振動系で構成した。
図11Aに示すように、第1集光レンズ8はレンズホルダ30に保持されてスライダ33に固定されている。このスライダ33は、筐体83内で位置固定されたガイド32に沿って、光軸に沿った一次元方向にのみ滑る。スライダ33は円板34の中心からずれた箇所に軸支されて取り付けられている。この円板34は真円である。モータ22は円板34に直結しているので、モータ22が1回転する間に第1集光レンズ8が光軸に沿って1周期だけ往復振動する。円板34の半径がレンズ振動の振幅に相当するので、円板34の半径を被測定物9の表面の高低差以上に設定すればよい。
この構成例3の構造ではバネを使わないので、バネが伸びるといった不具合を生じる心配がなく、機械的信頼性も高い。上記構成例2で示したカム28を用いたレンズ振動系においては、バネ24に伸びが生じるとバネ定数が小さくなり、ベアリング27がカム28から離れるようになり、レンズの振動が設計と異なるようになってしまう。これに対して、この構成例3においてはそのような心配もない。
次に、図11Bに、上記第6実施形態の構成例4の概略構成を示す。図11Bにおいて中央にこの構成例4の断面を模式的に示し、左方にプロペラ36を回転軸の方向に見た様子を示す。図11Bに示す構成例4では、レンズ振動系は水や風の流れを利用した振動系としている。この図11Bの構成例4では、前述の図11Aの構成例3で用いたモータ22に替えて、回転軸に取り付けられたプロペラ36を有する点が、前述の構成例3と異なる。
すなわち、この構成例4の光学式物体識別装置を水や風の流路Mに隣接して設置し、流路Mにおける媒質の流れる力を利用してプロペラ36が回転運動を得て、クランク機構により第1集光レンズ8を往復運動させて振動させる。この構成例4では、モータのような動力源を必要としないため、装置の消費電力を大幅に低減できる。
また、この図11Bの構成例4は、第12実施形態で後述する如く、本発明の光学式物体識別装置を掃除機や自走式掃除機に応用したときに特に有効な実施形態となる。つまり、この構成例4は、掃除機の吸気を媒質流れとして利用することにより第1集光レンズ8を振動させることが可能である。この場合、一般的に、被測定物9として識別すべき床面としてはフローリングなどの板面、畳、絨毯などの毛織物が考えられるが、このような測定対象の表面の高低差は、およそ10mm程度でカバーでき、毛足の長いものを含めると焦点位置の振動範囲は、5mmから15mmに設定することが好適である。この振動範囲は、全ての実施の形態について同様に成り立つものであるが、この構成例4のみで説明を加えるに留める。
次に、図11Cに、上記第6実施形態の変形例1が第1集光レンズとして備える累進レンズ37を示す。図11Cに示す累進レンズ37は、一枚のレンズの中に焦点距離の異なる複数の領域をもつレンズである。この累進レンズ37は、図11Cに示すように、7つに分割された領域A〜Gを有し、各領域A〜Gはそれぞれ互いに異なる焦点距離FA〜FGを有する。この累進レンズ37では、領域A〜Gのうちで、光の入射位置が変わることによって焦点の位置をFA〜FGに変化させることができる。
次に、図11Dに、上記累進レンズ37を備える変形例1の概略構成を示す。この変形例1は、第4,第5の実施形態の一例として図8(A)に示した基本構成を有する。この変形例1では、モータ22の回転軸に連結された円板34と、この円板34に一端が軸支されたスライダ33とを有する。モータ22を駆動することで、円板34が回転し、上記スライダ33は、筐体80内で位置固定されたガイド32に沿って、第1光束5の光軸と直交する方向(白抜きの矢印で示す方向)に往復運動する。これにより、このスライダ33の他端に固定されたレンズホルダに装着された上記累進レンズ37を半径方向に振動させる。これにより、上記累進レンズ37に入射する第1光束5の位置を半径方向に変化させることで、焦点位置を変化させて、表面高低差が大きい被測定物9の識別を可能とする。
次に、図11(E)に、累進レンズ37と液晶スイッチ38を備えた光学式物体識別装置を、上記第6実施形態の変形例2として示す。この変形例2は、前述の変形例1におけるモータ22,スライダ33,ガイド32,円板34等で構成するクランク機構に替えて、液晶スイッチ38を有する。
この変形例2では、累進レンズ37よりも半導体レーザ1側に液晶スイッチ38が配置されている。この液晶スイッチ38は、液晶を、透過する偏光方向が直交した2つの直線偏光子39a,39bで挟み込むことで構成されている。この液晶スイッチ38は、液晶を用いて特定の領域のみ光を透過させることができるようにした光学部品である。液晶は、印加される電気信号をオンあるいはオフとすることにより、入射した光の偏光方向をそのまま出射するか、90°偏向させて出射するかを選択的に機能させることができる。このため、この液晶スイッチ38において、たとえば、領域HA〜HGのうちの領域HEに印加させる電気信号だけをオンにして、入射光5aを偏向させる。これにより、入射光5aのうちの領域HEに入射した光だけが、直線偏光子39bを透過し、入射光5bとして累進レンズ37の領域Eに入射し、この入射光5bは累進レンズ37の入射領域Eに対応する焦点位置FEにて集光される。
このように、上記液晶スイッチ38において領域HA〜HGのうちの所望の領域に印加する電気信号のみをオンにすることで、この領域のみが入射光を透過する。したがって、累進レンズ37の領域A〜Gのうちの所望の領域のみに入射光を入射させて、焦点距離FA〜FGのうちの所望の所望の焦点距離に入射光を集光できる。
これにより、表面の高低差の大きい被測定物9の識別が可能となる。この図11Eに示した変形例2の構造では、上述した構成例1〜4および変形例1と異なり、レンズの振動機構が存在しない。このため、レンズを振動させることによる物理的スペースや振動による各部品のズレなど様々な問題を考慮する必要がなく、光学系の設計を容易にすることができる。
上述した如く、この第6の実施形態の光学式物体識別装置の構成例1〜4および変形例1,2では、第1集光レンズ8の位置を振動させたり、第1集光レンズとしての累進レンズ37への入射位置を変化させるなどして、焦点の位置を被測定物9の表面の高低差より大きく変化させて、被測定物9の表面の高低差が大きい場合に対しても対応できるようになっている。
しかし、このように第1集光レンズの焦点位置を変動させることによって、第1,第2受光素子12b,12aからなる受光部12が出力する信号は被測定物9の表面が焦点位置にあるときのフォーカス信号と、被測定物9の表面が焦点位置から外れたときのデフォーカス信号の両者が時間の関数として信号処理回路14へ入力され観測される。
先の第5の実施形態において、被測定物の識別の精度を向上させるために、受光信号を分割してそれらの比や差を計算して識別に用いるような構成を説明したが、この第5の実施形態は同じ時刻での信号を扱っており、特に被測定物表面が第1集光レンズ8の焦点位置に来たときの信号を抽出して信号処理するものであった。
この第6の実施形態においては、第1集光レンズ8の焦点位置は常に振動しており、上述のフォーカス信号とデフォーカス信号が時間的に連続に観測されるので、比や差を計算するときに、フォーカス信号とデフォーカス信号を用いることも可能である。また、図7の第5実施形態においても、被測定物9の表面の凹凸によりデフォーカス信号が観測されるが、その時間的変化は被測定物9の表面形状にゆだねられる。つまり、第5実施形態では、意図的に焦点位置を変動させる第6実施形態とは相違するので、既知の距離だけデフォーカスしたときの信号を検出することは、非常に困難である。
これに対して、この第6実施形態の構成では、第1集光レンズ8の焦点位置を、予め計算された時間的変化をさせることが可能であるので、受光部12の出力波形から焦点位置を特定した上で、意図的に焦点位置から特定の距離だけデフォーカスした信号を検出することが可能となる。
なお、第5実施形態で説明したように、第1受光素子12bと第2受光素子12aの出力信号を識別信号として用いるのには表面の反射率の影響を低減できるように、規格化をすることが好ましい。このとき、規格化をする分母に相当する信号としてデフォーカス信号を用いることにより、さらに識別信号の信号成分を大きくできる。
このことを、上述した第5の実施形態で示した式を用いて説明すると、入射光つまり第1光束5と同じ偏光方向の信号強度は、フォーカス信号を用い、光量αIとして表せる。また、上記第1光束5の偏光方向と直交する偏光方向の成分を光量γIとする。
いま、上記係数γは、あるデフォーカス量の時の偏光解消度に関する定数であるとすると、上述の第5実施形態のおける係数β(フォーカス時)に比べると、β≫γが成立する。したがって、(α/β)≪(α/γ)が成り立つ。したがって、信号処理回路14において、フォーカス時における光量αIをデフォーカス時における光量γIで規格化することで、フォーカス時における光量αIをフォーカス時における光量βIで規格化する場合に比べて、信号のレベルが大きくなる。このように、デフォーカス信号を利用することによって、被測定物9を識別する精度をさらに向上させることができる。
(第7の実施の形態)
次に、この発明の光学式物体識別装置の第7実施形態を説明する。この第7実施形態は、上述の第1実施形態において、半導体レーザ1に変調信号を印加することにより、光強度変調をかける点が、上述の第1実施形態と異なる。したがって、この第7実施形態では、上述の第1実施形態と異なる点を重点的に説明する。なお、この第7実施形態は、上述の第2〜第6実施形態にも適用できる。
光学式センサの場合、外乱光対策は必須である。この第7実施形態では、半導体レーザ1をパルス発光させ、外乱光に起因するノイズを電気的に除去する機能を持たせている。以下、図12Aに示すタイミングチャートを参照して、詳細に説明する。
図12Aにおいて、符号40はLD(半導体レーザ)変調パルス、41はLD変調パルスを反転したパルスである。また、42は受光部12の出力信号から外乱光ノイズを除いた原信号であり、43は受光部12の出力信号のうちのDC外乱光ノイズである。また、44は受光部12の出力信号のうちのAC外乱光ノイズである。また、45は、信号処理回路14が受光部12の出力信号をLD変調パルス40に同期してサンプルホールドした後の第1処理信号である。また、46は、信号処理回路14が受光部12の出力信号を、LD変調パルスを反転したパルス41に同期してサンプルホールドした後の第2処理信号である。また、47は、上記第1処理信号45から上記第2処理信号を差し引いた(差動を取った)第3処理信号である。
まず、外乱光除去の考え方を説明する。信号処理回路14は、LD変調パルス40がオンの時には、受光部12が出力する出力信号から、LD変調パルス40がオンする直前の受光部12の出力信号を差し引く(差動を取る)。つまり、信号処理回路14は、(原信号42+DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)から(DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)を差し引いて、外乱光によるノイズを除去した原信号42に相当する差動信号47を得る。
一方、LD変調パルス40がオフの時には、信号処理回路14は、LD変調パルス40がオフする直前の受光部12の出力信号から、LD変調パルス40がオフしている時の受光部12の出力信号を差し引く(差動を取る)。つまり、信号処理回路14は、(原信号42+DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)から、(DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)を差し引いて、外乱光によるノイズを除去した原信号42に対応した差動信号47を得る。
次に、図12Bを参照して、信号処理回路14が、上述の信号処理を実現する構成を説明する。この信号処理回路14は、第1のサンプルホールド回路SH1と第2のサンプルホールド回路SH2と差動アンプDAを備えている。
受光部12の出力信号PDは、2つに分かれて、第1のサンプルホールド回路SH1と第2のサンプルホールド回路SH2に入る。この第1のサンプルホールド回路SH1では、LD変調パルス40がオン時の第1波形信号を作成し、第2のサンプルホールド回路SH2では、LD変調パルス40がオフ時の第2波形信号を作成する。
第1のサンプルホールド回路SH1では、LD変調パルス40がオンの時には、この時の受光部12の出力信号PD(原信号42+DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)をそのまま通過させる。
一方、LD変調パルス40がオフの時には、第1のサンプルホールド回路SH1は、LD変調パルス40がオフする直前の出力信号PD(原信号42+DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)をサンプルホールドする。その結果、第1のサンプルホールド回路SH1は、(原信号42+DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)に相当する第1処理信号45を得る。
一方、第2のサンプルホールド回路SH2では、LD変調パルス40がオフの時には、この時の受光部12の出力信号PD(DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)をそのまま通過させる。一方、LD変調パルス40がオンの時には、第2のサンプルホールド回路SH2は、LD変調パルス40がオンする直前の出力信号PD(DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)をサンプルホールドする。その結果、第2のサンプルホールド回路SH2は、(DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)に相当する第2処理信号46を得る。
そして、差動アンプDAは、第1のサンプルホールド回路SH1が出力する第1処理信号45から、第2のサンプルホールド回路SH2が出力する第2処理信号46を差し引く(差動を取る)。すなわち、差動アンプDAは、(原信号42+DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)に相当する第1処理信号45から、(DC外乱光信号43+AC外乱光信号44)に相当する第2処理信号46を差し引き(差動を取り)、受光部12の出力信号PDから外乱光によるノイズを除去した差動信号47を得る。
なお、太陽光のようなDC外乱光および50Hz/60Hzの照明(蛍光灯)あるいは30〜50kHz程度のインバータ蛍光灯のようなAC外乱光を除去するためには、LD変調パルス40をインバータ蛍光灯の周波数より高い50kHz以上の変調周波数とするのがよい。望ましくは、LD変調パルス40をインバータ蛍光灯の周波数より十分高い1MHz程度の変調周波数とするのがよい。あるいは、LD変調パルス40を100〜10kHz程度のLD変調周波数として、インバータ蛍光灯の周波数成分についてはLPF(ローパスフィルタ)で分離してもよい。
(第8の実施形態)
次に、この発明の第8実施形態の光学式物体識別装置を説明する。この第8実施形態は、信号処理回路14の構成が上述の第6実施形態と異なる。
上述の第6実施形態の最後に説明した如く、第1集光レンズ8のフォーカス時ばかりではなく、デフォーカス時にも受光部12が出力する信号を信号処理回路14で信号処理することが望ましい。
ところで、デフォーカス時のデフォーカス信号のレベルとフォーカス時のフォーカス信号のレベルとのダイナミックレンジはある条件では4000倍を越える。このため、被測定物9の種類が変わった場合を含めて1つのレンジで増幅するのは困難となる。
したがって、この第8実施形態では、図13Cに示すように、信号処理回路14は、受光部12からの出力信号を増幅する増幅部としてのアンプ部AMPと、上記受光部12からの出力信号のレベルをモニターして、この出力信号のレベルに応じて、アンプ部AMPのゲインを切り換える増幅度切替部GSを備える。この増幅度切替部GSにより、アンプ部AMPで増幅された出力信号が最適なレベルになるようにしている。
以下、図13Aおよび図13Bに示すタイミングチャートを参照して、この第8実施形態の信号処理回路14の動作を詳細に説明する。
図13Aには、半導体レーザ1の出射光(LD出射光)と同じ偏光方向の信号を示す。図13Aにおいて、信号14-1は、受光部12の出力信号である。この出力信号14-1は、半導体レーザ1がパルス変調されていることから、半導体レーザ1の所定の周期(例えば13.3μ秒)の発光パルスに応じてオンオフしている。
信号14-2は、半導体レーザ1がオンの時のPD出力信号14-1をサンプルホールドした第1サンプルホールド信号14-2である。また、信号14-3は、半導体レーザ1がオフの時のPD出力信号14-1を第2サンプルホールド信号14-3である。この第2サンプルホールド信号14-3は、外乱光レベルを示す。また、信号14-4は、上記第1サンプルホールド信号14-2から第2サンプルホールド信号14-3を差し引いた(差動を取った)差動信号14-4である。
また、信号14-5は、上記差動信号14-1を微分した微分信号14-5である。また、信号14-6は、上記PD出力信号14-1をボトムホールドしたボトムホールド信号14-6である。
一方、図13Bには、半導体レーザ1の出射光の偏光方向と直交する偏光方向を有する信号を示す。図13Bにおいて、信号14-7は、受光部12の出力信号である。信号14-8は、半導体レーザ1がオンのときの出力信号14-7のレベルをサンプルホールドした第1サンプルホールド信号14-8である。また、信号14-9は、半導体レーザ1がオフのときの出力信号14-7のレベルをサンプルホールドした第2サンプルホールド信号14-9である。また、信号14-10は、第1サンプルホールド信号14-8から第2サンプルホールド信号14-9を差し引いた(差動を取った)差動信号14-10である。
信号14-11は、上記差動信号14-10の微分信号14-11である。また、信号14-12は、第1サンプルホールド信号14-8をサンプルホールドタイミングSTでサンプルホールドした第3サンプルホールド信号14-12である。
次に、半導体レーザ1の出射光と同じ偏光方向の光については、信号処理回路14は、フォーカス時の信号(フォーカス信号)を検出し、半導体レーザ1の出射光の偏光方向と直交する偏光方向の光については、デフォーカス時の信号(フォーカス信号)を検出する場合について説明する。なお、これ以外の場合についても考え方は同様である。
まず、アンプ部AMPのゲイン切換えの基本的な考え方を述べる。増幅度切替部GSは、受光部12の出力信号14-1,14-7を受けて、半導体レーザ1の出射光と同じ偏光方向の光による出力信号14-1については、フォーカス時のレベルをモニターし、このフォーカス時の出力信号14-1のレベルが下限設定レベルを下回る場合にはアンプ部AMPのゲインを1段上げ、逆に、フォーカス時の出力信号14-1のレベルが上限設定レベルを越える場合にはアンプ部AMPのゲインを1段下げる。
以下詳細に述べる。図13Aに示す出力信号14-1は、上述のごとく、半導体レーザ1の出射光と同じ偏光方向の光による受光部12の出力信号である。この出力信号は、例えば、図9Bに示す第1受光素子12bの出力信号である。なお、図13Aには、半導体レーザ1が周波数75kHzの変調パルスで変調された場合を示している。
増幅度切替部GSは、フォーカス時の信号レベルをモニターするために、出力信号14-1をボトムホールドしてボトムホールド信号14-6を生成する。そして、増幅度切替部GSは上記ボトムホールド信号14-6のレベルが下限設定レベルを下回る場合には、アンプ部AMPのゲインを1段上げ、信号14-6のレベルが上限設定レベルを上回る場合にはアンプ部AMPのゲインを1段下げる動作を行う。なお、増幅度切替部GSは、出力信号14-1のボトムホールド信号に替えてサンプルホールド信号を生成し、このサンプルホールド信号と下限および上限設定レベルとを比較するようにしてもよい。この場合、増幅度切替部GSは、上記サンプルホールド信号のレベルが下限設定レベルを下回る場合にはアンプゲインを1段上げ、上限設定レベルを上回る場合にはアンプゲインを1段下げる動作を行う。ここで、増幅度切替部GSがアンプ部AMPのゲインを切換えるタイミングは、差動信号14−4を微分した微分信号14−5がマイナスからプラスに転じる瞬間としている。
一方、図13Bに示す出力信号14-7は、上述のごとく、半導体レーザ1の出射光の偏光方向と直交する偏光方向の光による受光部12の出力信号である。この出力信号は、例えば、図9Bに示す第2受光素子12aの出力信号である。なお、図13Bには、半導体レーザ1が75kHzの変調パルスで変調された場合を示している。
増幅度切替部GSは、デフォーカス時の信号レベルをモニターするために、第3サンプルホールド信号14-12をモニタする。この第3サンプルホールド信号14-12は、上述のごとく、半導体レーザ1がオンのときの出力信号14-7のレベルをサンプルホールドした第1サンプルホールド信号14-8を、サンプルホールドタイミングSTでサンプルホールドした信号である。
上記増幅度切替部GSは、上記第3サンプルホールド信号14-12のレベルが下限設定レベルを下回る場合にはアンプ部AMPのゲインを1段上げ、信号14-12のレベルが上限設定レベルを上回る場合にはアンプ部AMPのゲインを1段下げる動作を行う。
ここで、サンプルホールドするタイミングSTは、差動信号14−10を微分した微分信号14−11がマイナスからプラスに転じる瞬間を起点としたタイマーがタイムアップした瞬間としている。このタイマーは、発光パルスを設定数カウントする。
また、上記サンプルホールドの解除タイミングは、差動信号14−10を微分した微分信号14−11がマイナスからプラスに転じる瞬間から所定時間t0だけ経過した瞬間としている。さらに、アンプ部AMPのゲインを切換えるタイミングは、差動信号波形14−10を微分した微分信号14−11がマイナスからプラスに転じる瞬間としている。
上記増幅度切替部GSがアンプ部AMPのゲインを切換える構成は、一例として、図14に示す回路構成の多段階ゲイン切り替えアンプ部を採用することで実現できる。すなわち、ゲイン設定抵抗Rを複数本並べ、アナログスイッチ141,142によるスイッチ機能を用いて、アンプ部AMPのゲインを切換えればよい。受光部12の出力信号14-1,出力信号14-7が微小でアンプ部AMPの増幅度を高く設定しなければならない場合、一段で増幅度を大きくしすぎると安定性の問題があるので、図14に例示するように、適切な増幅度のアンプampを複数段接続した構成とする。この場合も、アナログスイッチ141,142でもって、複数のアンプampのゲイン設定抵抗を同時に切換えればよい。
また、アンプ部AMPを複数段構成にした場合、各段のアンプampのゲインを均等に設定すると各段の増幅度が1倍をわずかしか上回らないことがある。
このような場合、図14に例示する適当な段数分のゲイン設定抵抗をオープンとし(この段のゲインは1)、他の段のゲインを大きめに設定するのがよい。その理由は、各段のアンプのゲインを1近くに設定した場合、周波数特性上ピーキングが大きくなるからである。
このように、信号処理回路14のアンプ部AMPを、図14に示す構成とすることにより、広いダイナミックレンジを有し、受光部12の出力信号を適切に増幅して信号処理を行うことが可能となる。
(第9の実施形態)
次に、図15Aのブロック図に、この発明の光学式物体識別装置の第9実施形態が備える信号処理部の構成を示す。なお、このブロック図には、第1,第2の受光素子12b,12a、および半導体レーザ1と、この半導体レーザ1をパルス変調で駆動するための発振分周回路54,LD変調信号部56を示している。図15Aにおいて、多段階ゲイン切替アンプ部48とゲイン切替制御部50とノイズ除去部52が第1信号処理回路を構成し、多段階ゲイン切替アンプ部49とゲイン切替制御部51とノイズ除去部53が第2信号処理回路を構成している。また、上記第1および第2信号処理回路と、A/D変換器55と、信号処理器57が信号処理部を構成している。
この第9実施形態の上記信号処理部は、上述の第5、第6、第7、第8の実施形態が備える信号処理回路14に適用できる。
さらに説明を加えると、この第9実施形態は、図7に示す第5実施形態の光学系を有し、図9Aから図11Eに示す焦点位置変動機構のうちのいずれかの焦点位置変動機構を有する。また、この第9実施形態の光学式物体識別装置は、図12Bに示した外乱光ノイズ除去回路を有し、図13C,図14に示す増幅度切り替え回路を有する。
この第9実施形態では、信号処理機能について説明する。この第9実施形態では、図15Aに示す第1の受光素子12bは、図7に例示した第1直線偏光子13aを経由して第1の反射光束7bを受光し、図15Aに示す第2の受光素子12aは、図7に例示した第2直線偏光子13cを経由して第2の反射光束7aを受光する。第1直線偏光子13aと第2直線偏光子13bとは、透過させる光の偏光方向が互いに直交する。
ここで、各直線偏光子13a,13bの直交する偏光方向の向きの記述の仕方について定義する。すなわち、半導体レーザ1の出射光の偏光方向と同じ方向の偏光成分を「//偏光成分」と記述し、この//偏光成分と直交する方向の偏光成分を「⊥偏光成分」と記述する。第2受光素子12aが出力する信号と第1受光素子12bが出力する信号は、A/D変換器55へ入力されるまでは、実質的に同様の流れとなる。
第1受光素子12bが出力する//偏光成分信号について説明する。第1受光素子12bが//偏光成分を検出することで、出力する//偏光成分信号は、図14に示す構成の多段階ゲイン切り替えアンプ部48で増幅される。このアンプ部48の出力は、//偏光成分側ゲイン切替制御部50へ送られ、この制御部50でゲインの切り上げ、固定、切り下げを判断し、適切な信号レベルになるまでこのルーチンを繰り返す。適切な信号レベルになった//偏光成分信号は、//偏光成分側ノイズ除去部52に送られる。このノイズ除去部52では、図12A,12Bを参照して説明したように、外乱光ノイズ除去を行い、//偏光成分信号として、A/D変換器55へ送られる。このとき、ゲイン切り替え制御部50で決定した増幅度を表す//偏光成分側ゲインコントロール信号(アンプ増幅度信号)も同時にA/D変換器55に送られる。
一方、第2受光素子12aが⊥偏光成分を検出することで出力する⊥偏光成分信号は、図14に示す構成の多段階ゲイン切替アンプ部49で増幅される。このアンプ部49の出力は、⊥偏光成分側ゲイン切り替え制御部51へ送られ、この制御部51でゲインの切り上げ、固定、切り下げを判断し、適切な信号レベルになるまでこのルーチンを繰り返す。適切な信号レベルになった⊥偏光成分信号は、⊥偏光成分側ノイズ除去部53に送られる。このノイズ除去部53では、図12A,12Bを参照して説明したように、外乱光ノイズ除去を行い、⊥偏光成分信号として、A/D変換器55へ送られる。このとき、ゲイン切り替え制御部51で決定した増幅度を表す⊥偏光成分側ゲインコントロール信号(アンプ増幅度信号)も同時にA/D変換器55に送られる。
このA/D変換器55では、上記//偏光成分信号と、//偏光成分側アンプ増幅度信号と、⊥偏光成分光信号と、⊥偏光成分側アンプ増幅度信号との合計4chの信号を同時サンプリングする方式になっている。
図15Bに、このA/D変換器55と信号処理器57との間のデータ処理を表すフローチャートを示す。
まず、A/D変換器55は、レンズ振動一周期分の信号データを取り込む(レンズ振動系を有する場合)。また、このA/D変換器55によるA/D変換のトリガは即トリガとする(ステップAD1-ST1)。
次に、A/D変換器55は、A/D変換を行い、上記レンズ振動一周期分の信号データを、信号処理器57が有するメモリMに取り込む(ステップAD1-ST2)。この信号データのサンプリング周期は、レンズ1周期分で数千点程度の信号データを取得する時間間隔であることが好適である。
フォーカス時の//偏光成分信号の信号強度は、A/D変換器55がA/D変換してメモリMに格納した//偏光成分信号の強度を表す信号データ列において、フォーカス時の信号データを基準にした複数点の信号データの平均値とすることが望ましい。これはノイズの影響を低減し、被測定物9の判別の精度を向上させるためである。また、A/D変換された//偏光成分信号の増幅度を表す信号データ列に基づいて、フォーカス時刻におけるアンプ部48の増幅率αが決定される(ステップAD1-ST4)。
また、デフォーカス時の時刻は、フォーカス時の時刻を基準として決定する。レンズ振動の時間に対する位置を数式で与えるために、レンズ駆動系において、一例として、図10に示したようなサインカーブカム28を使用している。
これにより、第1集光レンズ8の焦点位置からのずれXが、X=a・sinωt(mm)で与えられて、レンズ振動の振動数ωと振幅aが既知であり、所望のデフォーカスの位置Xを与えれば、デフォーカスの位置Xにおける時刻tを算出できる。レンズ駆動用のモータ22に流れる電流を一定にすることにより、レンズ振動の振動数ωを一定にすることができる。上記算出により得られた時刻tを、デフォーカス時の時刻とする(ステップAD1-ST5)。
このデフォーカス時の信号強度は、⊥偏光成分信号の強度を表す信号データ列において、デフォーカス時刻における複数点の信号データを平均化した強度とする。この平均化は、//偏光成分信号での説明と同様、ノイズの影響を低減するためである。また、A/D変換された⊥偏光成分信号の増幅度を表す信号データ列に基づいて、デフォーカス時刻におけるアンプ部49の増幅率βが決定される(ステップAD1-ST6)。
上述の信号増幅率αで、上記フォーカス時の信号強度S//を除算することにより、アンプ部48を通過する前のフォーカス時の// 偏光成分信号の強度(S///α)を算出する(ステップAD1-ST7)。また、上述の信号増幅率βで、上記デフォーカス時の信号強度Sを除算することにより、アンプ部49を通過する前のデフォーカス時の⊥偏光成分信号の強度(S/β)を算出する(ステップAD1-ST8)。
次に、このフォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)とデフォーカス時の⊥偏光成分信号の強度(S/β)との比(S///α)/(S/β)を算出する。
なお、前述の第5,第6実施形態で説明したように、フォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)とデフォーカス時の⊥偏光成分信号の強度(S/β)との差((S///α)−(S/β))を算出してもよい。さらには、この差((S///α)−(S/β))と、フォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)との比を算出してもよい(ステップAD1-ST9)。
このステップAD1-ST9において算出した比あるいは差の値を、メモリMに予めインプットされている既知の被測定物についての統計データと比較して、被測定物9の種類を識別する(ステップAD1-ST10)。すなわち、複数の異なる種類の材質の被測定物について、予め上述のように測定して算出した値をメモリMに既知データとして予めインプットしておくとよい。
こうして、被測定物9の種類を識別し、この識別の結果を識別結果表示器58に出力した後、すぐに、再び、ステップAD1-ST1の処理に戻り、A/D変換がスタートする。より確実な結果を得るために、ステップAD1-ST1からステップAD1-ST9までの処理の結果である(フォーカス時の//偏光成分信号強度)/(デフォーカス時の⊥偏光成分信号強度)比を算出する。この処理を複数回繰り返し、この複数回の処理で得た複数の信号比の平均値を算出し、この算出した平均値でもって、被測定物9の種類を識別することも考えられる。なお、図示しない制御部は、ステップAD1-ST1からステップAD1-ST10までの信号処理を、作業者から測定終了の通知がなされるまで継続させる。
(第9実施形態の変形例1)
次に、図15Cに示すフローチャートを参照して、上記第9実施形態の変形例1を説明する。
この変形例1では、図15Cのフローチャートに示すように、フォーカス時の//偏光成分信号のピーク位置(時刻)の検出を行う。
まず、図15Aにおける上記信号処理部(信号処理回路14)は、第1受光素子12bが出力する//偏光成分信号をモニタリングしている(ステップAD2-ST1)。
次に、上記信号処理部が備える極値判定回路ZCは、上記//偏光成分信号が極小値をとったと判断すると、A/D変換器55によるA/D変換スタートのトリガを発生する(ステップAD2-ST2)。この極値判定回路ZCは、微分回路とゼロクロス判定回路などから構成される。
A/D変換器55は、上記トリガにより、//偏光成分信号と⊥偏光成分信号の2ch同時A/D変換をスタートする(ステップAD2-ST3)。
このA/D変換がスタートしたと同時に、信号処理器57はA/D変換器55から、//偏光成分信号のアンプ増幅率αと⊥偏光成分信号のアンプ増幅率βを取り込む(ステップAD2-ST4)。
上記A/D変換がスタートした後も、極値判定回路ZCは、//偏光成分信号をモニタリングしておき、極値判定回路ZCは、上記//偏光成分信号が極小値を取ったと判定したときに、このときまでに、A/D変換器55がA/D変換で獲得したデータをクリアし、A/D変換器55はA/D変換をやりなおす。
通常、第1集光レンズ8の振動の半周期の期間内に、1つのピークをもつ//偏光成分信号の波形が得られるが、被測定物9の表面の高低差が大きい場合などは、第1集光レンズ8の振動の半周期の期間内に、上記//偏光成分信号が2つ以上のピークを持つ波形になることがある。この//偏光成分信号が複数のピーク波形を有する場合に対応するために、//偏光成分信号の波形が2つ以上のピークを持つ場合には、振動の半周期において最も時間の遅いピークを真のピークとみなす(ステップAD2-ST5)。
上記A/D変換はレンズ振動周期の1/4周期分のデータを取得して終了する。これにより表面判別に使用するデータのみを取得できるので、上述の図15Bのフローチャートで説明したレンズ振動1周期分の信号データを信号処理器57に取り込む場合に比べて、A/D変換にかかる時間を大幅に削減できる(ステップAD2-ST6)。
しかし、A/D変換により取り込むデータ量は、レンズ振動周期の1/4周期分に限定したものではなく、第9の実施形態と同様に、レンズ振動周期の1周期分を取り込んでもよい。上記レンズ振動におけるフォーカス時の時刻は、トリガが発生した時刻(A/D変換がスタートした時刻)とする。また、フォーカス信号は、フォーカスした時刻より後の複数点の平均値とする。これにより、ノイズなどの影響を低減することができる(ステップAD2-ST7)。
また、デフォーカス時の時刻は、上記トリガが発生した時刻を基準として求める。レンズ振動の時間に対する位置を数式で与えるために、レンズ駆動系において、一例として、サイン・カーブ・カムを使用している。これにより、第1集光レンズ8の焦点位置からのずれxが、x=a・sinωt(mm)で与えられて、レンズ振動の振動数ωと振動幅aが既知であり、所望のデフォーカスの位置xを与えれば、時刻tが算出できる。第1集光レンズ8を駆動するモータに流れる電流を一定にすることにより、レンズ振動の振動数ωを一定にすることができる。このように、トリガが発生した時刻から時間t経過した時刻がデフォーカス時の時刻となる(ステップAD2-ST8)。
デフォーカス時の信号強度は、⊥偏光成分信号の強度を表す信号データ列において、デフォーカス時刻における複数点の信号データを平均化した強度とする(ステップAD2-ST9)。
次に、図15Bのフローチャートによる場合と同様に、信号増幅率αを用いて、アンプ部48を通過する前のフォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)を算出し(ステップAD2-ST10)、信号増幅率βを用いて、アンプ部49を通過する前のデフォーカス⊥偏光成分信号の強度(S/β)を算出する(ステップAD2-ST11)。
次に、フォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)とデフォーカス時の⊥偏光成分信号の強度(S/β)との比(S///α)/(S/β)を算出する。なお、前述の第5,第6の実施形態で説明したように、上記比に替えて、フォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)とデフォーカス時の⊥偏光成分信号の強度(S/β)との差、あるいは、この差とフォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)との比等を算出してもかまわない(ステップAD2-ST12)。
このステップAD2-ST12で算出した値を、メモリMに予めインプットされている既知の材質の被測定物の表面についての算出値の統計データと比較して、検出対象の被測定物9の表面状態を判別する(ステップAD2-ST13)。すなわち、複数の異なる種類の材質の被測定物について、予め上述のように測定して算出した値をメモリMに既知データとして予めインプットしておくとよい。
こうして、被測定物9の表面を判別し、判別した結果を識別結果表示器58に出力した後、すぐにまた、ステップAD2-ST1の処理に戻り、//偏光成分信号をモニタリングし、極値判定回路ZCのトリガ発生を待つ。
以上の処理を複数回行なうことにより、複数個の(フォーカス//偏光成分受光信号)/(デフォーカス⊥偏光成分受光信号)比の平均化を行い、複数個の平均値によって、より精度の高い表面判別を行なうことが可能となる。
(第9の実施形態の変形例2)
次に、図16Aのブロック図に、上記第9実施形態の変形例2が備える信号処理部の構成を示す。図16Aに示すように、この信号処理部は、図15Aにおけるアンプ部48および49以降の処理をデジタル信号処理で行なう方式である。//偏光成分側の第1受光素子12bは、第1の反射光束7bを受光し、光信号から電気信号に変換する。半導体レーザ1が出射する出射光はパルス変調されているので、このパルス変調の周波数に追従できる応答速度を備えた受光素子12bが望ましい。
//偏光成分側の第1受光素子12bで電気信号に変換された//偏光成分信号は、アンプ部48により増幅される。このアンプ部48は、ゲインを多段階に切り替えることができる。このゲイン切替のコントロール信号は、信号処理器57から、アンプ部48に出力される。
また、⊥偏光成分側の第2受光素子12aは、第2の反射光束7aを受光し、光信号から電気信号に変換する。⊥偏光成分側の第1受光素子12bで電気信号に変換された⊥偏光成分信号は、アンプ部49により増幅される。このアンプ部49は、ゲインを多段階に切り替えることができる。このゲイン切替のコントロール信号は、信号処理器57から、アンプ部49に出力される。
発振分周回路54からは半導体レーザ1のパルス変調に使われるベースバンド信号が出力されている。このベースバンド信号は、クロック信号として、A/D変換器55にも入力される。このA/D変換器55でA/D変換された各データを用いて、被測定物9の識別が行なわれる。また、信号処理器57では、入力信号強度によってゲインコントロール信号が決定され、アンプ部48およびアンプ部49のゲインが最適なものに切り替えられ、次回のA/D変換のためのデータ取得時に反映される。
次に、図16Bに示すフローチャートを参照して、図16Aに示すA/D変換器55および信号処理器57の中での処理を説明する。
まず、A/D変換器55は、//偏光成分信号と⊥偏光成分信号とを同時にサンプリングする。A/D変換器55によるA/D変換のトリガは即トリガとする(ステップAD3-ST1)。
次に、A/D変換器55によるA/D変換によって、レンズ振動周期の一周期分の波形の信号データを、信号処理器57が有するメモリMに取り込み、A/D変換をストップさせる(ステップAD3-ST2)。
次に、信号処理器57は、//偏光成分信号と⊥偏光成分信号の両方において、LDパルス変調用のクロック信号を基準として、差動演算を行なう。つまり、前述の第8実施形態において図13Aと図13Bを参照して説明した如く、//偏光成分信号について、クロック信号の”1”の時刻における信号とクロック信号の”0”の時刻における信号との差動演算を行う。また、図13Bを参照して説明した如く、⊥偏光成分信号について、クロック信号の”1”の時刻における信号とクロック信号の”0”の時刻における信号との差動演算を行う。この差動演算によって、外乱光ノイズの影響を低減する(ステップAD3-ST3)。
次に、//偏光成分信号についてピークサーチをして、//偏光成分信号のピークの時刻をレンズ振動のフォーカス時の時刻とする(ステップAD3-ST4)。
このフォーカス時の//偏光成分信号の強度は、A/D変換器55のA/D変換によって、メモリMに格納された//偏光成分信号の強度データ列において、フォーカス時の信号の強度データを基準にした複数点の強度データの平均強度とする。これは、スパイクノイズの影響を低減し、被測定物の識別の精度を向上させるためである。このフォーカス時の//偏光成分信号の強度を参考に、信号処理器57は、次回の//偏光成分側アンプ部48のゲイン切替コントロール信号を決定する。つまり、信号処理器57は、//偏光成分の光強度が弱いと、アンプ部48のゲインを上げる方向にゲイン切替コントロール信号を変更する。逆に、//偏光成分の光強度が強いと、信号処理器57は、アンプ部48のゲインを下げる方向に、ゲイン切替コントロール信号を変更する。また、光強度が調度良いと信号処理器57は、ゲイン切替コントロール信号を変更せず、アンプ部48のゲインをそのままに持続する(ステップAD3-ST5)。
一方、デフォーカス時の時刻は、フォーカス時の時刻を基準として決定する。レンズ振動の時間に対する位置を数式で与えるために、レンズ駆動系において、一例として、サイン・カーブ・カムを使用している。これにより、第1集光レンズ8の焦点位置からのずれxが、x=a・sinωt(mm)で与えられて、レンズ振動の振動数ωと振動幅aが既知であり、所望のデフォーカスの位置xを与えれば、時刻tが算出できる。第1集光レンズ8を駆動するモータに流れる電流を一定にすることにより、レンズ振動の振動数ωを一定にすることができる。このように与えられた時刻tをデフォーカス時の時刻とする(ステップAD3-ST6)。
デフォーカス時の信号強度は、⊥偏光成分信号の強度を表す信号データ列において、デフォーカス時刻における複数点の信号データを平均化した強度とする。この平均化は、//偏光成分信号の場合と同様に、ノイズの影響を低減するためである。また、⊥偏光成分側のアンプ部49のゲイン切替コントロール信号は、//偏光成分側のアンプ部48のゲイン切替コントロール信号と同様のやり方で決定される(ステップAD3-ST7)。
ここで、前回A/D変換されたときの//偏光成分信号についてのアンプ部48に対するゲイン切替コントロール信号を信号処理器57のメモリMに残しておく。このことで、今回のフォーカス時刻におけるアンプ部48の増幅率αが決定される。また、フォーカス位置における//偏光成分信号の強度をαで除算することにより、//偏光成分側の受光素子12bで受光された光による//偏光成分信号の強度(S///α)を算出することができる(ステップAD3-ST8)。
また、⊥偏光成分信号も同様に、前回のアンプ部49に対するゲイン切替コントロール信号を信号処理器57のメモリMに残しておくことで、今回のデフォーカス時刻における⊥偏光成分側アンプ部49の増幅率βが決定される。⊥偏光成分信号のデフォーカス位置における信号強度を増幅率βで除算することによって、⊥偏光成分側の受光素子12aで受光された光による⊥偏光成分信号の強度(S/β)を算出することができる(ステップAD3-ST9)。
このステップAD3-ST8とステップAD3-ST9とで計算されたフォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)とデフォーカス時の⊥偏光成分信号の強度(S/β)との比((S///α)/(S/β))を算出する(ステップAD3-ST10)。
また、フォーカス時の//偏光成分信号とデフォーカス時の⊥偏光成分信号の計算方法は、第5や第6の実施形態で説明したように、両者の差や、両者の差とフォーカス時の//偏光成分信号との比等でもかまわない。
次に、ステップAD3-ST10で算出した値を、メモリMに予めインプットされている既知の被測定物についての統計データと比較して、被測定物を識別する(ステップAD3-ST11)。
次に、信号処理器57は、上記被測定物の識別結果を表面判別結果表示器58に出力し、//偏光成分側アンプ部48と⊥偏光成分側アンプ部49に対してゲイン切替コントロール信号を出力する(ステップAD3-ST12)。
このステップAD3-ST12において、信号処理器57が信号処理結果を出力した後すぐに、再び、ステップAD3-ST1の処理に戻り、A/D変換がスタートする。
なお、より確実な結果を得るためには、ステップ(AD3-ST1)からステップ(AD3-ST12)までの処理の結果として、フォーカス時の//偏光成分信号の強度(S///α)とデフォーカス時の⊥偏光成分信号の強度(S/β)との比((S///α)/(S/β))を算出し、この比((S///α)/(S/β))をメモリに格納するという処理を複数回繰り返す。そして、この比の複数回の平均値を算出し、この平均値によって、被測定物を識別するようにしてもよい。この場合、信号処理器57は、作業者から測定終了の通知操作をがなされるまで、ステップ(AD3-ST1)からステップ(AD3-ST12)までの処理を継続する。
(第10の実施形態)
次に、この発明の光学式物体識別装置の第10実施形態について説明する。この第10実施形態は、前述の第1〜第9実施形態に対して適用可能な実施形態である。
光源として半導体レーザ1を使う場合、アイセーフを考慮することが必要である。特に、電気掃除機等の家電製品に塔載する場合には、クラス1を満足することが望ましい。
電気掃除機に塔載する場合には、基本的なこととして、掃除機が床面に設置されている時以外は、半導体レーザ1がオンしない仕掛けが必要である。この発明の光学式物体識別装置として床面判別センサを搭載している電気掃除機の場合、アイセーフのクラス1を満足するレベルの半導体レーザ1の発光によって、床面からの反射の有無を検出することで、床面の判定が可能である。もちろん、別のセンサにて追加的に検出してもよい。
また、この床面判別センサが備える半導体発光素子としての半導体レーザ1をパルス変調する動作条件として、例えば、図17(A)に示すパルス波形または図17(B)に示すパルス波形の信号でもって、半導体レーザ1を駆動することによって、アイセーフのクラス1を満足することができる。
(第11の実施形態)
次に、この発明の光学式物体識別装置の第11実施形態を説明する。この第11実施形態は、レンズ振動機構の一例としてクランク機構を備えた図11Aに示す第6実施形態の構成例3の構成を有する。図11Aに示すように、光学系と信号処理回路14をなす集積回路(IC)を納めている筐体83に取り付けられた光学窓35から第1光束5が出射し、被測定物9で反射した反射光束7は光学窓35を透過して、筐体83内に入射する。光学窓35は第1集光レンズ8がレンズ振動する範囲内のどの位置にあるときにも、第1集光レンズ8の焦点位置以内になるように設置されている。
先述のように、被測定物9での反射光束の偏光乱れによって、被測定物9を識別するので、光学窓35に埃などの光の散乱体が付着すると、光の偏光状態を乱すノイズ源となってしまう。
しかし、この第11実施形態では、ピンホール部11が第4集光レンズ10aおよび10bの焦点位置に配置されているので、第1集光レンズ8の焦点位置以外からの光は、受光素子12aおよび12bはほとんど受光することはない。このため、第1集光レンズ8のいかなる振動状態においても、この第1集光レンズ8の焦点距離以内に光学窓35を配置する構成によって、光学窓35に埃が付着したとしても、この埃に第1光束がフォーカスすることはなく、この埃がノイズ要因となることはなく、被測定物9の識別に際し、埃や汚れなどによる影響を除去することができる。
(第12の実施形態)
図18(A)は、この発明の上記実施の形態のいずれかで示した光学式物体識別装置を掃除機に適用した概略構成図を示している。図18(A)において上方に掃除機Aの全体的な概略を示し、図18(A)において下方に、掃除機Aのヘッド部Eを拡大して示す。ヘッド部Eは車輪Cを備えており、ヘッド部Eの内部に上記光学式物体識別装置Bが組み込まれている。ヘッド部Eの下面に光学窓(図示せず)が形成されており、この光学窓から第1光束5が出射している。
また、図18(B)には、この発明の各上記実施の形態のいずれかで示した光学式物体識別装置を自走式の掃除機A2に適用した概略構成を示している。自走式掃除機本体の下面に光学窓(図示せず)が形成されており、図18(A)の掃除機Aと同様、上記光学窓から第1光束5が出射している。なお、Cは車輪であり、Dは本体下面の外縁に取り付けられたガイド部材である。
一般に、掃除機で清掃を行う床面の種類としては、フローリングなどの板間、畳、じゅうたんなどの毛織物があり、現在、一般に普及している掃除機では床面の種類に応じてその運転状態を掃除機の操作者が手動で切り替える必要があり、非常に面倒である。
さらに、自動的に移動し清掃を行う自走式の掃除機においては、操作者が運転状態を切り替えることができず、床面の種類を判別するセンサーが必要不可欠である。このような掃除機において、本発明による上記実施形態の光学式物体識別装置を備えることで、精度よく床面の種類を判別することができる。すなわち、上記実施形態で説明したように、あらかじめ既知の床面(板、畳、じゅうたんなど)による光の反射による偏光解消情報を信号処理回路14のメモリに入力しておき、既知の偏光解消情報と測定対象物の測定結果とを比較することにより、精度よく床面の種類を判別することができる。また、第7実施形態の光学式物体識別装置では、太陽光や蛍光灯などの外乱光を除去する機能も持っているので、照明下の屋内など明るい環境においても使用可能であり、掃除機、特に自走式掃除機に対して非常に有効である。
この発明の光学式物体識別装置の第1実施形態の構成を示す図である。 上記第1実施形態において受光素子群を有する受光部を備えた場合の受光強度分布を示す概念図である。 図3(A)は上記第1実施形態の変形例の構成を示す図であり、図3(B)は上記変形例における光強度分布を示す図である。 この発明の第2実施形態の構成を示す図である。 この発明の第3実施形態の構成を示す図である。 この発明の第4実施形態の構成を示す図である。 この発明の第5実施形態の構成を示す図である。 図8(A)は上記第5実施形態において光学系を筐体80内に収容した構成を示す図であり、図8(B)は投光部を筐体内に収容した一例を示す図であり、図8(C)はフォトダイオードを信号処理回路を同一の半導体基板に形成した一例を示す図である。 この発明の第6実施形態の光学式物体識別装置の概念を説明するための図であり、表面の高低差がある被測定物と第1集光レンズとの位置関係を示す模式図である。 上記第6実施形態の構成例1を示す概略図である。 図10(A)は上記第6実施形態の構成例2の1つの側面図であり、図10(B)は上記構成例2の別の側面図である。 上記第6実施形態の構成例3を示す図である。 上記第6実施形態の構成例4を示す図である。 上記第6実施形態の変形例1が備える累進レンズを示す図である。 上記第6実施形態の変形例1の概略構成を示す図である。 上記第6実施形態の変形例2の概略構成を示す図である。 この発明の第7実施形態の信号処理動作を説明するタイミングチャートである。 上記第7実施形態が備える信号処理回路が有する回路を示すブロック図である。 この発明の第8実施形態の光学式物体識別装置の信号処理動作を説明するタイミングチャートである。 この発明の第8実施形態の光学式物体識別装置の信号処理動作を説明するタイミングチャートである。 上記第8実施形態の信号処理回路が有する回路を示すブロック図である。 上記第8実施形態の信号処理回路が有するより具体的な回路構成を示す図である。 この発明の第9実施形態の信号処理系の構成を示す回路ブロック図である。 上記第9実施形態における信号処理動作を示すフローチャートである。 上記第9実施形態の変形例1における信号処理動作を示すフローチャートである。 上記第9実施形態の変形例2の信号処理系の構成を示す回路ブロック図である。 上記第9実施形態の変形例2の信号処理系の動作を示すフローチャートである。 図17(A),(B)はこの発明の第10実施形態の光学式物体識別装置を実現するための半導体レーザの発光パルス波形の一例を示す波形図である。 図18(A)はこの発明の第12実施形態としての掃除機の構成を示す模式図であり、図18(B)はこの発明の実施形態としての自走式掃除機の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 半導体レーザ
2 コリメータレンズ
3 絞り
4 ビームスプリッタ
5 第1光束
6 第2光束
7 反射光束
8 第1集光レンズ
9 被測定物
10 第2集光レンズ
11 ピンホール部
12 受光部
12a 第2受光素子
12b 第1受光素子
13a,13b,13c 直線偏光子
14 信号処理回路
15 ミラー
16 パルス電源
17 ソレノイドコイル
18 レンズホルダ
19 バネ
20 固定板
21 鉄芯
22 モータ
23 モータ固定板
24 スプリング
25 ガイド
26 補助板
27 ベアリング
28 固定台
29 補助板
30 レンズホルダ
31 ベース
32 ガイド
33 スライダ
34 円板
35 窓
36 プロペラ
37 累進レンズ
38 液晶スイッチ
39a,39b 直線偏光子
40 LD変調パルス
41 反転パルス
42 原信号
43 DC外乱光信号
44 AC外乱光信号
45 第1処理信号
46 第2処理信号
47 差動信号
48 //偏光成分側多段階ゲイン切替アンプ部
49 ⊥偏光成分側多段階ゲイン切替アンプ部
50 //偏光成分側ゲイン切替制御部
51 ⊥偏光成分側ゲイン切替制御部
52 //偏光成分側ノイズ除去部
53 ⊥偏光成分側ノイズ除去部
54 発振分周回路
55 A/D変換器
56 LD変調信号部
57 信号処理器
58 識別結果表示器


Claims (74)

  1. 半導体発光素子から出射した光を被測定物に照射する投光部と、
    上記被測定物で反射した反射光を受光する受光部と、
    上記受光部と上記被測定物との間に配置されると共に所定の偏光方向の偏光を通過させる偏光状態選択部と、
    上記受光部が出力する信号を処理して、上記反射光のうちの上記所定の偏光方向の光の強度を測定する信号処理部とを備えたことを特徴とする光学式物体識別装置。
  2. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記被測定物に入射させる光の偏光状態が直線偏光であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  3. 請求項2に記載の光学式物体識別装置において、
    上記被測定物に入射させる直線偏光が上記被測定物に対してS波であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  4. 請求項2に記載の光学式物体識別装置において、
    上記偏光状態選択部が選択する偏光方向と上記被測定物に入射させる光の偏光方向とが略同方向であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  5. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子から出射した光を第1光束と第2光束とに分割する光分岐素子と、
    上記第1光束を上記被測定物上に集光して照射する第1集光手段と、
    上記被測定物で反射した光のうち上記第1集光手段を通過した光を集光する第2集光手段と、
    上記第2集光手段と上記受光素子との間に配置されたピンホール部とを有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  6. 請求項5に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第2光束およびこの第2光束の反射光の迷光防止手段を有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  7. 請求項6に記載の光学式物体識別装置において、
    上記迷光防止手段が直線偏光子を有し、
    上記直線偏光子は、上記第2光束の光軸上に設置されており、上記直線偏光子が通過させる偏光方向は、上記第2光束の偏光方向と直交する方向であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  8. 請求項5に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第2集光手段が集光レンズを含み、
    上記ピンホール部が上記集光レンズの焦点距離の位置に設置されたことを特徴とする光学式物体識別装置。
  9. 請求項5に記載の光学式物体識別装置において、
    上記ピンホール部が配置された位置における反射光束の径が、上記ピンホール部の孔径よりも小さいことを特徴とする光学式物体識別装置。
  10. 請求項5に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1光束は上記第1集光手段の略中心に入射することを特徴とする光学式物体識別装置。
  11. 請求項5に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1光束は上記第1集光手段の端部に入射することを特徴とする光学式物体識別装置。
  12. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子から出射した光を上記被測定物上に集光する第1集光手段を有し、
    上記被測定物で反射した光のうち、上記第1集光手段に入射する光束と重なる部分を除き、この重なる部分以外の周辺部の反射光束を上記受光部に向かわせる導光手段を有し、
    上記周辺部の反射光束を上記受光部で検出することを特徴とする光学式物体識別装置。
  13. 請求項5に記載の光学式物体識別装置において、
    上記光分岐素子により分割された上記第2光束の進行方向を変更させる光軸変更手段を有し、
    上記光軸を変更した第2光束と上記第1光束とは略平行な光軸を有し、
    上記第1および第2光束は同一の第1集光手段に入射することを特徴とする光学式物体識別装置。
  14. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子から出射した光束を第1および第2光束に分割する第1光分岐素子と、
    上記被測定物で反射した光を第1および第2反射光束に分割する第2光分岐素子とを備え、
    上記受光部は、
    上記第1反射光束を受光する第1受光素子と、
    上記第2反射光束を受光する第2受光素子とを有し、
    さらに、上記第1受光素子に入射する光の偏光状態を選択する偏光状態選択素子を有し、
    上記信号処理部は上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  15. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子から出射した光束を第1および第2光束に分割する第1光分岐素子と、
    上記被測定物で反射した光を第1および第2反射光束に分割する第2光分岐素子とを備え、
    上記受光部は、
    上記第1反射光束を受光する第1受光素子と、
    上記第2反射光束を受光する第2受光素子とを有し、
    さらに、上記第1受光素子に入射する光の偏光状態を選択する第1偏光状態選択素子と、
    上記第2受光素子に入射する光の偏光状態を選択する第2偏光状態選択素子を有し、
    上記第1偏光状態選択素子が選択する偏光方向と第2偏光状態選択素子が選択する偏光方向とが互いに略直交することを特徴とする光学式物体識別装置。
  16. 請求項15に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1偏光状態選択素子が選択する偏光方向は上記第1光束の偏光方向と略平行であり、
    上記第2偏光状態選択素子が選択する偏光方向は上記第1光束の偏光方向と略垂直であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  17. 請求項15に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1および第2偏光状態選択素子が直線偏光子であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  18. 請求項15に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第2光分岐素子と上記第1、第2偏光状態選択素子とを、偏光ビームスプリッタで構成したことを特徴とする光学式物体識別装置。
  19. 請求項15に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部が上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  20. 請求項15に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部が、上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との差を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  21. 請求項15に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との差を計算し、
    上記差と、上記第1受光素子が出力する信号と上記第2受光素子が出力する信号との和との比、もしくは、
    上記差と、上記第1受光素子が出力する信号または上記第2受光素子が出力する信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  22. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子が半導体レーザであることを特徴とする光学式物体識別装置。
  23. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記受光部がフォトダイオードを有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  24. 請求項14乃至21のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1受光素子および第2受光素子が同一半導体基板上に形成されていることを特徴とする光学式物体識別装置。
  25. 請求項23に記載の光学式物体識別装置において、
    上記受光部と上記信号処理部とが同一半導体基板上に形成されていることを特徴とする光学式物体識別装置。
  26. 請求項24に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1受光素子、第2受光素子および上記信号処理部が同一半導体基板上に形成されていることを特徴とする光学式物体識別装置。
  27. 請求項1に記載の光学式物体識別装置において、
    上記受光部は、複数の受光素子が整列された受光素子群を有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  28. 請求項27に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、上記受光素子群のうちで最大強度を示す受光素子の信号強度によって、上記受光素子群の各受光素子の信号を規格化することを特徴とする光学式物体識別装置。
  29. 請求項1乃至28のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1集光手段が第1集光レンズで構成されており、
    この第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させることを特徴とする光学式物体識別装置。
  30. 請求項29に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1集光レンズを振動させるレンズ振動機構を有し、
    上記レンズ振動機構で上記第1集光レンズのレンズ位置を変化させることによって、上記第1レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させることを特徴とする光学式物体識別装置。
  31. 請求項30に記載の光学式物体識別装置において、
    上記レンズ振動機構がカムを有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  32. 請求項31に記載の光学式物体識別装置において、
    上記カムのカム曲線が正弦波カーブであることを特徴とする光学式物体識別装置。
  33. 請求項30に記載の光学式物体識別装置において、
    上記レンズ振動機構がソレノイドコイルを有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  34. 請求項30に記載の光学式物体識別装置において、
    上記レンズ振動機構が回転運動を直線往復運動に変換するクランク機構を有すること特徴とする光学式物体識別装置。
  35. 請求項30に記載の光学式物体識別装置において、
    上記レンズ振動機構がアクチュエータを有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  36. 請求項30に記載の光学式物体識別装置において、
    上記レンズ振動機構は、レンズ保持具に取り付けられた羽根で風を受けて
    レンズを振動させることを特徴とする光学式物体識別装置。
  37. 請求項29に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1集光レンズが累進レンズからなり、
    上記第1光束が上記累進レンズに入射する位置を変化させることにより、上記第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させることを特徴とする光学式物体識別装置。
  38. 請求項37に記載の光学式物体識別装置において、
    上記累進レンズを上記第1光束と略垂直な平面内で移動させることによって、上記累進レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させることを特徴とする光学式物体識別装置。
  39. 請求項37に記載の光学式物体識別装置において、
    液晶を含む光スイッチを上記累進レンズに入射する第1光束の光軸上に配置したことを特徴する光学式物体識別装置。
  40. 請求項29乃至39のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離の変化量を、上記被測定物の表面の凹凸のレベル差よりも大きくすることを特徴とする光学式物体識別装置。
  41. 請求項40に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離の変化量が、5mm乃至15mmであることを特徴とする光学式物体識別装置。
  42. 請求項14に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1光束を上記被測定物上に集光して照射する第1集光手段と、
    上記被測定物で反射した光のうち上記第1集光手段を通過した光を集光する第2集光手段とを有し、
    上記第2集光手段と上記第1および第2受光素子との間に配置されたピンホール部を有し、
    上記第1集光手段が第1集光レンズで構成されており、
    この第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させる機構を有し、
    上記信号処理部は、
    上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と略等しくなるフォーカス時における上記第1受光素子の出力であるフォーカス信号と、
    上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と異なるデフォーカス時の上記第2受光素子の出力であるデフォーカス信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  43. 請求項15に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1光束を上記被測定物上に集光して照射する第1集光手段と、
    上記被測定物で反射した光のうち上記第1集光手段を通過した光を集光する第2集光手段とを有し、
    上記第2集光手段と上記第1および第2受光素子との間に配置されたピンホール部を有し、
    上記第1集光手段が第1集光レンズで構成されており、
    この第1集光レンズの焦点位置と上記被測定物表面との間の距離を変化させる機構を有し、
    上記信号処理部は、
    上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と略等しくなるフォーカス時における上記第1受光素子の出力であるフォーカス信号と、
    上記第1集光レンズと上記被測定物表面との間の距離が上記第1集光レンズの焦点距離と異なるデフォーカス時の上記第2受光素子の出力であるデフォーカス信号とを処理することを特徴とする光学式物体識別装置。
  44. 請求項43に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記フォーカス信号と上記デフォーカス信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  45. 請求項43に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記フォーカス信号と上記デフォーカス信号との差を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  46. 請求項43に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記フォーカス信号と上記デフォーカス信号との差を計算し、
    上記差と、上記フォーカス信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  47. 請求項1乃至46のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子に変調信号を印加することにより光強度変調をかけ、
    上記信号処理部は、
    上記変調信号がHレベルである時に上記受光部が出力する第1出力信号と上記変調信号がLレベルである時に上記受光部が出力する第2出力信号との差を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  48. 請求項47に記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子に印加する変調信号が矩形波であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  49. 請求項47に記載の光学式物体識別装置において、
    上記Lレベル時の上記半導体発光素子の発光量が略0Wであることを特徴とする光学式物体識別装置。
  50. 請求項47に記載の光学式物体識別装置において、
    上記光強度変調の変調周波数が50kHz以上であることを特徴とする光学式物体識別装置。
  51. 請求項47に記載の光学式物体識別装置において、
    上記光強度変調の変調周波数が100Hz乃至10kHzであることを特徴とする光学式物体識別装置。
  52. 請求項47に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記変調信号がHレベルのときに、受光部からの第1出力信号をそのまま通過させると共に、上記変調信号がLレベルのときに、上記変調信号がHレベルのときの上記第1出力信号をサンプルホールドする第1サンプルホールド回路と、
    上記変調信号がLレベルのときに、受光部からの第2出力信号をそのまま通過させると共に、上記変調信号がHレベルのときに、上記変調信号がLレベルのときの上記第2出力信号をサンプルホールドする第2サンプルホールド回路と、
    上記第1サンプルホールド回路が出力する信号と上記第2サンプルホールド回路が出力する信号との差動を取る差動回路とを備えたことを特徴とする光学式物体識別装置。
  53. 請求項1乃至52のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記受光部で検出した信号を増幅する増幅部と、
    上記増幅部の増幅度を、上記受光部の信号強度に応じて切り替える増幅度切替部とを有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  54. 請求項53に記載の光学式物体識別装置において、
    上記増幅度切替部は、
    所定の時刻における上記増幅部の信号強度をホールドし、このホールドした値と基準値とを比較することにより、上記増幅部の増幅度を決定することを特徴とする光学式物体識別装置。
  55. 請求項42または43に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記受光部で検出した信号を増幅する増幅部と、
    上記増幅部の増幅度を、上記受光部の信号強度に応じて切り替える増幅度切替部とを有し、
    上記増幅度切替部は、
    所定の時刻における上記増幅部の信号強度をホールドし、このホールドした値と基準値とを比較することにより、上記増幅部の増幅度を決定し、
    さらに、上記増幅部は第1増幅器と第2増幅器を有し、上記増幅度切替部は第1増幅度切替器と第2増幅度切替器とピークホールド回路部とサンプルホールド回路部とを有し、
    上記信号処理部は、
    上記第1受光素子で検出された信号が入力されると共に上記第1増幅器と上記ピークホールド回路と上記第1増幅度切替器とを有する第1信号処理回路と、
    上記第2受光素子で検出された信号が入力されると共に上記第2増幅器と上記サンプルホールド回路と上記第2増幅度切替器とを有する第2信号処理回路とを有し、
    上記第1増幅度切替器は、上記ピークホールド回路の出力値に基づいて上記第1増幅器の増幅度を決定し、
    上記第2増幅度切替器は、上記サンプルホールド回路の出力に基づいて上記第2増幅器の増幅度を決定することを特徴とする光学式物体識別装置。
  56. 請求項54に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部は、
    上記増幅部の出力信号をホールドする機能を有し、
    上記基準値と比較するために上記増幅部の出力信号をホールドするタイミングを、上記半導体発光素子に印加する変調信号を用いて決定することを特徴とする光学式物体識別装置。
  57. 請求項55に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1信号処理回路は、
    上記フォーカス時の上記第1受光素子の出力であるフォーカス信号のピーク値を上記ピークホールド回路がホールドする時刻を基準時刻として検出するピーク位置検出部を有し、
    上記第2信号処理回路は、
    上記ピーク位置検出部が検出した上記基準時刻と上記半導体発光素子に印加する変調信号とに基づいて、上記デフォーカス時の上記第2受光素子の出力であるデフォーカス信号を上記サンプルホールド回路がサンプルホールドするタイミングを決定するタイミング検出部を有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  58. 請求項53に記載の光学式物体識別装置において、
    上記増幅度切替部は、
    上記増幅部の出力信号レベルが設定された基準値範囲外であるときに、上記増幅部の増幅度を1段階ずつ増加もしくは減少させることを特徴とする光学式物体識別装置。
  59. 請求項53に記載の光学式物体識別装置において、
    上記信号処理部が有する上記増幅部は、
    複数の増幅器が直列接続された増幅器群を有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  60. 請求項59に記載の光学式物体識別装置において、
    上記増幅度切替部は、
    上記増幅部を所定の増幅度にするときに、上記増幅器群のうちの所定の増幅器の入力接続抵抗を開放にすることを特徴とする光学式物体識別装置。
  61. 請求項55に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1信号処理回路は、上記フォーカス信号を含む第1信号を出力し、
    上記第2信号処理回路は、上記デフォーカス信号を含む第2信号を出力し、
    上記信号処理部は、
    上記第1信号と第2信号をデジタル信号化するA/D変換部を有し、
    上記第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号と、上記A/D変換部でデジタル信号化された第1および第2信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算するデジタル信号処理回路を有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  62. 請求項61に記載の光学式物体識別装置において、
    上記デジタル信号処理回路は、
    上記デジタル信号化された第1信号および第2信号を蓄積するメモリを有し、
    上記メモリは、上記第1信号と第2信号のそれぞれについて、上記焦点位置の変動における少なくとも半周期分の波形データを格納できる記憶容量を有することを特徴とする光学式物体識別装置。
  63. 請求項61に記載の光学式物体識別装置において、
    上記デジタル信号処理回路は、
    上記デジタル信号化された第1信号および第2信号を蓄積するメモリを有し、
    上記メモリは、上記第1信号と第2信号のそれぞれについて、上記焦点位置の変動における1周期分の波形データを保存することを特徴とする光学式物体識別装置。
  64. 請求項61に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1信号処理回路は、
    上記フォーカス信号のピーク値を上記ピークホールド回路がホールドする時刻を基準時刻として検出するピーク位置検出部を有し、
    上記第2信号処理回路は、
    上記ピーク位置検出部が検出した上記基準時刻と上記半導体発光素子に印加する変調信号とに基づいて、上記デフォーカス信号を上記サンプルホールド回路部がサンプルホールドするタイミングを決定するタイミング検出部を有し、
    上記A/D変換部は、
    上記第1信号処理回路が有する上記ピーク位置検出部が上記基準時刻を検出したことをトリガ信号としてA/D変換を開始し、
    上記デジタル信号処理回路がA/D変換したデジタルデータを保存するメモリを備えたことを特徴とする光学式物体識別装置。
  65. 請求項64に記載の光学式物体識別装置において、
    上記第1信号処理回路が有する上記ピーク位置検出部が検出した上記基準時刻から上記メモリにデジタルデータを蓄積する過程において、
    上記基準時刻から上記第2信号処理回路が有する上記タイミング検出部が決定したタイミングで上記サンプルホールド回路部がサンプルホールドを開始する時刻までの間に、上記ピーク位置検出部が新たな基準時刻を検出したときに、この新たな基準時刻までに上記メモリに格納されたデジタルデータをすべてクリアし、
    上記A/D変換部は、上記ピーク位置検出部が上記新たな基準時刻を検出したことをトリガ信号として、第1および第2信号のA/D変換を開始し、上記メモリにデジタルデータを保存することを特徴とする光学式物体識別装置。
  66. 請求項61に記載の光学式物体識別装置において、
    上記デジタル信号処理回路は、
    上記ピーク位置検出部が検出した基準時刻に基づいて、上記メモリに保存されたデジタルデータの中から、上記第1信号に含まれる上記基準時刻におけるフォーカス信号を取り出し、かつ、上記第2信号に含まれる所定の時刻におけるデフォーカス信号を取り出し、
    上記第1信号処理回路の第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2信号処理回路の第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  67. 請求項61に記載の光学式物体識別装置において、
    上記デジタル信号処理回路は、
    上記メモリに保存されたデジタルデータの内の上記デジタル信号化された第1信号に基づいて、上記第1信号のピーク位置を検出するデジタル信号演算部を有し、
    上記デジタル信号演算部が検出したピーク位置の時刻データを基準時刻とし、この基準時刻におけるフォーカス信号を取り出し、
    上記メモリに保存されたデジタルデータの内の上記デジタル信号化された第2信号から、上記基準時刻及び上記変調信号に基づくタイミング検出部で決まる所定の時刻におけるデフォーカス信号を取り出し、
    上記第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号との比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号との差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号との差とフォーカス信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  68. 請求項66または67に記載の光学式物体識別装置において、
    上記デジタル信号処理回路は、
    上記メモリに保存されたデジタルデータの中から上記フォーカス信号および上記デフォーカス信号を取り出す過程において、
    上記メモリに保存されたデジタルデータの内の、上記基準時刻の前と後の複数時刻、または上記基準時刻の前の複数時刻、または上記基準時刻の後の複数時刻における複数のフォーカス信号の平均値をフォーカス信号として取り出し、
    上記メモリに保存されたデジタルデータの内の、上記基準時刻及び上記変調信号に基づくタイミング検出部で決まる所定の時刻の前と後の複数時刻、または上記基準時刻の前の複数時刻、または上記基準時刻の後の複数時刻における複数のデフォーカス信号の平均値をデフォーカス信号として取り出し、
    上記第1信号処理回路の第1増幅器の増幅度を表す第1増幅度信号と、上記第2信号処理回路の第2増幅器の増幅度を表す第2増幅度信号とに基づいて、上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算することを特徴とする光学式物体識別装置。
  69. 請求項61に記載の光学式物体識別装置において、
    上記デジタル信号処理回路は、
    上記フォーカス信号とデフォーカス信号の比、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差、または上記フォーカス信号とデフォーカス信号の差と上記フォーカス信号との比を計算して、上記被測定物を識別する過程において、
    上記計算を複数回行い、この複数回の計算結果の平均を計算して上記被測定物を識別することを特徴とする光学式物体識別装置。
  70. 請求項1乃至69のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    上記被測定物との間の距離が所定値より大きいときは、上記半導体発光素子の発光をオフまたは低下させることを特徴とする光学式物体識別装置。
  71. 請求項1乃至70のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    上記半導体発光素子の発光状態はレーザ製品の安全基準のクラス1を満足することを特徴とする光学式物体識別装置。
  72. 請求項1乃至71のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置において、
    筐体の一部に形成された光学窓を有し、
    上記第1集光レンズと上記光学窓との間の距離は、上記第1集光レンズの焦点距離よりも短いことを特徴とする光学式物体識別装置。
  73. 請求項1乃至72のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置をヘッド部に搭載したことを特徴とする掃除機。
  74. 請求項1乃至72のいずれか1つに記載の光学式物体識別装置を搭載したことを特徴とする自走式掃除機。

JP2004166694A 2004-06-04 2004-06-04 光学式物体識別装置 Pending JP2005345328A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004166694A JP2005345328A (ja) 2004-06-04 2004-06-04 光学式物体識別装置
CNB200510092240XA CN100390657C (zh) 2004-06-04 2005-06-03 光学对象识别装置
US11/143,630 US7349091B2 (en) 2004-06-04 2005-06-03 Optical object discriminating device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004166694A JP2005345328A (ja) 2004-06-04 2004-06-04 光学式物体識別装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005345328A true JP2005345328A (ja) 2005-12-15

Family

ID=35497848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004166694A Pending JP2005345328A (ja) 2004-06-04 2004-06-04 光学式物体識別装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2005345328A (ja)
CN (1) CN100390657C (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018522656A (ja) * 2015-07-27 2018-08-16 フォルヴェルク・ウント・ツェーオー、インターホールディング・ゲーエムベーハーVorwerk & Compagnie Interholding Gesellshaft Mit Beschrankter Haftung 表面処理装置
CN109991619A (zh) * 2018-07-03 2019-07-09 度逢株式会社 物体检测装置、物体检测方法及物体检测装置的设计方法

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5272823B2 (ja) * 2009-03-17 2013-08-28 ソニー株式会社 焦点情報生成装置及び焦点情報生成方法
JP5763771B2 (ja) * 2010-09-30 2015-08-12 バーフェリヒト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 収束電磁放射により物質を処理する装置および方法
JP2014182028A (ja) * 2013-03-19 2014-09-29 Omron Corp 限定領域反射型光電センサ
CN103940537A (zh) * 2014-04-10 2014-07-23 中国科学院半导体研究所 材料的微区应力测试***
CN110196020B (zh) * 2014-06-27 2021-08-10 株式会社基恩士 多波长共焦测量装置
US9907449B2 (en) 2015-03-16 2018-03-06 Irobot Corporation Autonomous floor cleaning with a removable pad
US9265396B1 (en) 2015-03-16 2016-02-23 Irobot Corporation Autonomous floor cleaning with removable pad
JP6633474B2 (ja) * 2015-08-17 2020-01-22 アイロボット・コーポレーション 着脱可能パッドを用いた自律床清掃
CN106154303B (zh) * 2016-06-20 2019-09-20 中国科学院高能物理研究所 信号处理装置以及时间探测装置
KR101979760B1 (ko) 2016-07-14 2019-05-17 엘지전자 주식회사 이동로봇
CN107703656B (zh) * 2017-11-03 2020-06-05 武汉华星光电技术有限公司 显示器检测装置及方法
US10634619B2 (en) 2017-11-03 2020-04-28 Wuhan China Star Optoelectronics Technology Co., Ltd Device and method for inspecting display
CN117686438B (zh) * 2024-02-02 2024-05-10 东北大学秦皇岛分校 一种基于红外偏振光的远程材料鉴别方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1177214C (zh) * 2002-07-12 2004-11-24 山东大学 一种电光晶体材料半波电压和光学均匀性的测量装置和测量方法
CN2597969Y (zh) * 2003-01-22 2004-01-07 浙江工程学院 激光双频合成波长干涉仪
CN1487264A (zh) * 2003-08-22 2004-04-07 清华大学 一种平面镜摆动姿态的检测装置及其方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018522656A (ja) * 2015-07-27 2018-08-16 フォルヴェルク・ウント・ツェーオー、インターホールディング・ゲーエムベーハーVorwerk & Compagnie Interholding Gesellshaft Mit Beschrankter Haftung 表面処理装置
CN109991619A (zh) * 2018-07-03 2019-07-09 度逢株式会社 物体检测装置、物体检测方法及物体检测装置的设计方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN100390657C (zh) 2008-05-28
CN1721815A (zh) 2006-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7349091B2 (en) Optical object discriminating device
JP2005345328A (ja) 光学式物体識別装置
US20190285537A1 (en) Optical particle sensor module
US20190346360A1 (en) Laser sensor module for particle density detection
JP2019522779A (ja) 粒子検出用レーザーセンサ
US11119021B2 (en) Laser sensor for ultra-fine particle size detection
EP3118608B1 (en) Method and apparatus for measuring light-splitting pupil laser differential motion confocal brillouin-raman spectrums
JP5443796B2 (ja) センサーユニットを備え自立走行可能な床用集塵装置及び対象
JP2016224034A (ja) 粒子センサ装置
JP2018523106A (ja) 粒子サイズ検出のためのレーザセンサ
US20100045982A1 (en) Particle counter and particle counting device having particle counter, and particle counting system and its use method
KR20190128068A (ko) 오프셋 빔을 통한 입자 검출을 위한 레이저 센서 모듈
JP2006189337A (ja) 微粒子測定装置
JP4382141B2 (ja) 微粒子検出装置
CN201047938Y (zh) 激光鼠标的光学***结构
CA2434442C (en) Reflection-photometric analytical system
JP6714427B2 (ja) 粒子検出装置及び粒子検出装置の検査方法
JP7479592B2 (ja) 細胞吸引システム
KR20160109120A (ko) 투과형 광학식 먼지 감지장치
JPH0737937B2 (ja) 光散乱方式による微粒子検出装置
CN112639438B (zh) 指示使用准备就绪的激光传感器模块
JP3840619B2 (ja) 変位計
JP2006105774A (ja) 光学式物体識別装置および自走式掃除機
JPH04151502A (ja) 光センサ装置
JPS6147364B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091110