JP2005340633A - プリント配線板用銅箔及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境負荷の高い6価クロムおよびフッ素イオンを含有せずに、プリント配線板用途として環境保護を考慮した3価クロムのクロメート皮膜を有する銅箔及びその製造方法を提供する。
【解決手段】粗化処理を施した銅箔の表面に、亜鉛めっき皮膜を3μg/cm2以上100μg/cm2未満付着させた後、6価クロムイオンおよびフッ素イオンを含まず、3価クロムイオンを金属クロムとして0.11mg/L以上0.50mg/L未満、硝酸を0.20g/L以上0.51g/L未満含む水溶液に浸漬することにより3価クロム化成処理を施す。
【選択図】 なし
【解決手段】粗化処理を施した銅箔の表面に、亜鉛めっき皮膜を3μg/cm2以上100μg/cm2未満付着させた後、6価クロムイオンおよびフッ素イオンを含まず、3価クロムイオンを金属クロムとして0.11mg/L以上0.50mg/L未満、硝酸を0.20g/L以上0.51g/L未満含む水溶液に浸漬することにより3価クロム化成処理を施す。
【選択図】 なし
Description
本発明はプリント配線板に用いられる銅箔及びその製造方法に関し、特に3価クロム化成処理を施したプリント配線板用銅箔及びその製造方法に関するものである。
銅箔は、導電体用途として多用されており、特にプリント配線板の分野ではポリイミドフィルムとラミネートされたり、あるいはポリアミック酸を主成分とするワニスを塗布され基板とされる。この際、銅箔と樹脂との間にはある程度の接着性が要求されるため、樹脂基材とアンカー効果による強固な接着強度が得られるように銅箔には粗化処理が施される。更に銅箔には所要の特性を満足させるために表面処理皮膜が施される。例えば、プリント配線板用銅箔において、粗化処理された銅箔表面上には、銅の拡散防止を目的としたニッケル層(またはニッケル合金層)や耐熱性向上のための亜鉛めっき層(または亜鉛合金めっき層)が施され、次いで耐薬品性、防錆のため防錆処理層としてクロメート皮膜が設けられ、更にはシランカップリング処理層が施される(例えば、特許文献1参照)。
ここで防錆処理層として施されるクロメート皮膜は、一般に電解クロメートにより形成されるが、処理液としてクロム酸、重クロム酸塩を含んだ処理液等で電解されるため、処理液中には6価のクロムが含有される。また形成されるクロメート皮膜の化学構造は詳細には解明されてはいないが、3価クロムと6価クロムの複合化合物であり、3価クロム化合物の緻密性と6価クロム化合物の自己修復作用により耐食性が向上するものと考えられている。
しかしながら、周知の通り、6価クロムの毒性は極めて強く、環境や人体への悪影響を完全に払拭することはできない。また、近年では製造工程、製品において6価クロムの使用の制限が設けられている。このため、6価クロムを含まない化成処理が開発されるようになってきた。その一つとして3価クロムを使用した化成処理があり、3価クロムを使用した化成処理液が市販されている。
特開2003−201585号公報
しかしながら、前記市販されている化成処理液は自動車用途を前提としており、色調を6価クロムのクロメート処理と合わせるために組成としてフッ素イオンが含まれている。フッ素イオンは内分泌撹乱物質(環境ホルモン)であり、6価クロムと同様に環境負荷の非常に高い物質である。これがクロメート皮膜中に巻き込まれると、製品廃棄時に土壌へ染み込み環境汚染を起こす可能性がある。
従って、本発明の目的は、環境負荷の高い6価クロムおよびフッ素イオンを含有せずに、プリント配線板用途として環境保護を考慮した3価クロムのクロメート皮膜を有する銅箔及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、プリント配線板用途において、所定の組成を持つ処理液に浸漬することで亜鉛めっき皮膜上に6価クロムおよびフッ素イオンを含まない3価クロム皮膜を形成することが可能であり、これによって環境保護を考慮した表面処理銅箔を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明のプリント配線板用銅箔は、粗化処理が施された銅箔に、亜鉛皮膜量が2.5μg/cm2以上10μg/cm2以下である亜鉛めっき皮膜が形成され、更に3価クロムからなる化成処理層が形成されていることを特徴とする。
前記銅箔と前記亜鉛めっき皮膜との間に、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステンから選択される金属を少なくとも1種を含む金属皮膜が設けられ、該金属皮膜の金属皮膜量と前記亜鉛めっき皮膜の亜鉛皮膜量との合計が、10μg/cm2以上13μg/cm2未満とすることが望ましい。
前記3価クロムからなる化成処理層上に、更にシランカップリング処理層を設けることができる。
前記銅箔として無酸素銅にジルコニウムを0.015wt%以上0.03wt%未満配合した銅合金を用いることが望ましい。
前記銅箔としてタフピッチ銅を用いることが望ましい。
また、本発明のプリント配線板用銅箔の製造方法は、粗化処理を施した銅箔の表面に、亜鉛めっき皮膜を3μg/cm2以上100μg/cm2未満付着させた後、6価クロムイオンおよびフッ素イオンを含まず、3価クロムイオンを金属クロムとして0.11mg/L以上0.50mg/L未満、硝酸を0.20g/L以上0.51g/L未満含む水溶液に浸漬することにより3価クロム化成処理を施したことを特徴とする。
本発明よれば、環境に影響を与える恐れのある6価クロムおよびフッ素イオンを含有することなく3価クロム皮膜を形成することができる。このため、環境保護を考慮したプリント配線基板用銅箔を提供することが可能になる。
以下、本発明に係るプリント配線板用銅箔の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のプリント配線板用銅箔の製造方法を示すフローチャートである。
図1は、本実施形態のプリント配線板用銅箔の製造方法を示すフローチャートである。
まず、本実施形態において用いられる銅箔は、COF(Chip on Film)用途では、無酸素銅にジルコニウムを0.015wt%以上0.03wt%未満配合した銅合金(当社製品名HCL−02Z)が望ましい。COF製造工程には樹脂接合時やチップアセンブリ時に非常に高い熱がかかるため、基材となる銅箔自体には高い耐熱性能が求められる。無酸素銅にジルコニウムを0.015wt%以上0.03wt%未満配合した銅合金(当社製品名HCL−02Z)を用いることで、高導電率を保ったまま耐熱性の高い表面処理銅箔を得ることが可能となる。一方、FPC(Flexible Printed Circuit)のように高い屈曲性が求められる用途では、タフピッチ銅が望ましい。タフピッチ銅は樹脂貼り付け時の加熱で容易に軟化して圧延上がりに比べて屈曲性が向上するため、高屈曲性を持つ表面処理銅箔を得ることが可能となる。また、銅箔の厚さ、表面の粗さや形態については特に規定されず、所望のものを用いることができる。
銅箔には表面を清浄化するためにあらかじめ電解脱脂、酸洗処理を施す(工程a)。この清浄化処理は、例えば、水酸化ナトリウム40g/L、炭酸ナトリウム20g/L、温度40℃のアルカリ溶液で電流密度5A/dm2、処理時間10〜60秒にて陰極電解脱脂した後、硫酸10〜50%、室温の溶液で10〜30秒酸処理による前処理を施すことにより行なうことができる。
このように清浄化処理を施した銅箔に対して、樹脂密着性を高めるための粗化処理を行う(工程b)。粗化処理は限界電流密度以上の電流でヤケめっきをすることにより微細なコブを付着させ凹凸のある表面形状を得るものである。粗化めっきのための浴組成と電解条件の一例を次に示す。またこの組成のほかに、例えばクロム、ニッケル、コバルト、ポリエチレングリコールを単独もしくは組み合わせて添加しても良い。
硫酸銅:45〜100g/L
硫酸:125g/L
鉄:10〜30g/L
モリブデン:0.1〜0.5g/L
タングステン:3ppm〜10ppm
ゼラチン:10〜30ppm
液温:20〜30℃
電流密度:15〜40A/dm2
硫酸銅:45〜100g/L
硫酸:125g/L
鉄:10〜30g/L
モリブデン:0.1〜0.5g/L
タングステン:3ppm〜10ppm
ゼラチン:10〜30ppm
液温:20〜30℃
電流密度:15〜40A/dm2
粗化処理後、ニッケル、コバルト、タングステン、モリブデンから選択される金属または合金の皮膜を施す(工程c)。選択する金属は単独でも良いし、いずれかを組み合わせて用いても良い。この皮膜を形成することにより、次工程dで形成される亜鉛めっき層中の亜鉛と銅箔とがプリント配線板の製作工程でかかる熱によって合金化するのを防ぐことができる。工程cにより形成される皮膜量は3μg/cm2以上10μg/cm2未満が望ましい。3μg/cm2未満だと亜鉛と銅のバリア層としての役割を果たさず、10μg/cm2以上では回路形成時のエッチング性が劣ってしまう。
次いで、亜鉛めっき皮膜を形成する(工程d)。亜鉛めっき皮膜は、後述する工程eの化成処理時に一定量溶解されるが、その溶解量は濃度によって決定される。この亜鉛めっき皮膜は、形成時に3μg/cm2以上100μg/cm2未満付着させ、化成処理後に2.5μg/cm2以上10μg/cm2以下となるようにすることが望ましい。化成処理後の亜鉛めっきの皮膜量が2.5μg/cm2未満では、プリント配線板として加工した後、加熱することで基板との密着性が低下する。また、10μg/cm2を超えるとプリント配線板として加工した後の無電解スズなどのめっき工程またはエッチング工程で酸などによって亜鉛が溶出しやすくなり、基板との密着性が低下する。この密着性の低下は特に銅箔と樹脂との接合に接着剤を使用しない、2層材タイプのプリント配線板において顕著に現れる。
ここで、工程cにおいて形成した金属皮膜量と工程dにおいて形成した亜鉛めっき皮膜量との合計が10μg/cm2以上13μg/cm2未満とすることが望ましい。10μg/cm2未満では樹脂との接着性そのものが低くなってしまい、一方13μg/cm2以上ではスズめっきを施した場合、スズめっきの酸によって皮膜が溶出しやすくなってしまうからである。
亜鉛合金めっき皮膜を形成後、3価クロム化成処理を行う(工程e)。プリント配線板用途として3価クロムを用いたクロメート代替の化成処理を行う場合、クロムの皮膜量は非常に少ないために、フッ素イオンによってその色調を6価クロムのクロメート処理に合わせる必要は特に無い。3価クロム化成処理液としては、3価クロムイオンが金属クロムとして0.11〜0.50mg/L、硝酸0.2〜0.51g/Lであることが望ましい。この濃度範囲において、形成されるクロム皮膜厚さは濃度に比例するので、クロム皮膜厚さはこれら成分濃度で制御することができる。このような化成処理液に例えば液温30℃にて10秒間浸漬処理を行い、3価クロム化成処理層を形成する。
3価クロム化成処理後、さらにシランカップリング処理を施す(工程f)。シランカップリング処理層は、各種のシランカップリング処理剤を用いて形成することが出来る。シランカップリング処理剤としてはビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を用いることができ、それぞれ単独もしくは混合させて用いる。処理条件の一例としては、室温にて10秒間浸漬処理を行う。
これらの表面処理層を設けた銅箔はガラス・エポキシ基板やガラス・ポリイミド基板等の樹脂基材と加熱加圧積層してプリント配線板用の銅張積層板として使用される。
[実験例1]
[実験例1]
厚さ16.3μmの圧延銅箔を、水酸化ナトリウム40g/L、炭酸ナトリウム20g/Lの水溶液において温度40℃、電流密度5A/dm2、処理時間10秒で陰極電解にて電解脱脂処理を行った後、硫酸50g/Lの水溶液において温度25℃、処理時間10秒で浸漬することにより酸洗処理を施した。この銅箔に対して亜鉛めっきを皮膜量で40μg/cm2電着させ、そのまま連続して表1の条件に示すような液組成の化成処理液に浸漬した。浸漬条件はすべて、液温は室温、浸漬時間は10秒とした。
クロム皮膜の評価を行うため、表1の化成処理を施した銅箔とFR−4相当のガラス・エポキシ樹脂基板を張り合わせたものを、JIS C6481に準拠しピール強度を測定した。測定結果について表1に併記する。
[実験例2]
[実験例2]
実験例1と同様に、16.3μmの圧延銅箔を用いて電解脱脂処理、酸洗処理を行った。この銅箔に対して実験例1と同様の条件で試料を作製した。銅箔はFR−4相当のガラス・エポキシ樹脂基板に貼り付け、エッチングによる回路形成後、JIS C6481に準拠しピール強度を測定した。また、同一条件で作製した基板に無電解スズめっきを施したサンプルを作製し、これについてもピール強度の測定を行った。そのスズめっきの有無によるビール強度の変化をピール強度の残存率として記録した。結果を表1に併記する。
表1の結果によれば、実施例1、2のサンプルは、比較例1、2のサンプルよりもピール強度及びすずめっき後のピール強度残存率に優れていることが明らかとなった。
[実験例3]
[実験例3]
実験例1と同様に、16.3μmの圧延銅箔を用いて電解脱脂処理、酸洗処理を行った。また、その銅箔に対して表2の浴組成にて皮膜量の合計に留意してニッケルめっき、亜鉛めっきを行い、そのまま連続して3価クロム化成処理液に浸漬した。ニッケルめっき、亜鉛めっき、3価クロム化成処理のそれぞれの皮膜量を表3に示す。
銅箔はFR−4相当のガラス・エポキシ樹脂基板に貼り付け、エッチングによる回路形成後、JIS C6481に準拠しピール強度を測定した。また、同一条件で作製した基板に無電解スズめっきを施したサンプルを作製し、これについてもピール強度の測定を行った。そのスズめっきの有無によるピール強度の変化をピール強度の残存率として記録した。結果を表3に併記する。
表3の結果によれば、実施例3〜6のサンプルは、比較例3〜4のサンプルよりもすずめっき後のピール強度残存率に優れていることが明らかとなった。
Claims (6)
- 粗化処理が施された銅箔に、亜鉛皮膜量が2.5μg/cm2以上10μg/cm2以下である亜鉛めっき皮膜が形成され、更に3価クロムからなる化成処理層が形成されていることを特徴とするプリント配線板用銅箔。
- 前記銅箔と前記亜鉛めっき皮膜との間に、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステンから選択される金属を少なくとも1種を含む金属皮膜が設けられ、該金属皮膜の金属皮膜量と前記亜鉛めっき皮膜の亜鉛皮膜量との合計が、10μg/cm2以上13μg/cm2未満であることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板用銅箔。
- 前記3価クロムからなる化成処理層上に、更にシランカップリング処理層が設けられていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板用銅箔。
- 前記銅箔として無酸素銅にジルコニウムを0.015wt%以上0.03wt%未満配合した銅合金を用いたことを特徴する請求項1記載のプリント配線板用銅箔。
- 前記銅箔としてタフピッチ銅を用いたことを特徴する請求項1記載のプリント配線板用銅箔。
- 粗化処理を施した銅箔の表面に、亜鉛めっき皮膜を3μg/cm2以上100μg/cm2未満付着させた後、6価クロムイオンおよびフッ素イオンを含まず、3価クロムイオンを金属クロムとして0.11mg/L以上0.50mg/L未満、硝酸を0.20g/L以上0.51g/L未満含む水溶液に浸漬することにより3価クロム化成処理を施したことを特徴とするプリント配線板用銅箔の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004159549A JP2005340633A (ja) | 2004-05-28 | 2004-05-28 | プリント配線板用銅箔及びその製造方法 |
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JP2004159549A Pending JP2005340633A (ja) | 2004-05-28 | 2004-05-28 | プリント配線板用銅箔及びその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005340633A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009206514A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Ls Mtron Ltd | プリント回路用銅箔及びその表面処理方法、並びにメッキ装置 |
-
2004
- 2004-05-28 JP JP2004159549A patent/JP2005340633A/ja active Pending
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