JP2005331780A - 現像装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 静電潜像Zを担持した像担持体1に対向配置され、帯電された導電性トナー2を担持搬送するトナー担持体3と、このトナー担持体3と像担持体1との間に現像電界が形成され、この現像電界領域にて像担持体1上の静電潜像Zをトナー現像する現像電界形成手段4と、トナー担持体3に対向配置される電荷注入部材6を有し、この電荷注入部材6とトナー担持体3との間に電荷注入電界を作用させ、かつ、導電性トナー2を挟んで摺擦しながら電荷注入する電荷注入手段5とを備える。これを用いた画像形成装置をも対象とする。
【選択図】 図1
Description
ここで、トナーを帯電させる方法としては、トナーのバインダ樹脂や添加剤との組合せによりトナーの摩擦帯電性を予め制御しておき、現像装置内でトナーが攪拌されたり搬送されたりしていることを利用し、搬送経路の途中におけるトナーの攪拌動作や搬送動作によりトナー同士を摩擦させることで、摩擦帯電を生じやすい物質とトナーとの摩擦によってトナーを帯電させる方法が多く採用されている。
このとき、低帯電トナーは、現像装置内のトナー担持体から離れて画像形成装置内を漂う所謂トナークラウドとなりやすく、このトナークラウドは画像形成装置の不良原因となる。
また、逆極性トナーは、像担持体上の静電潜像のうち、本来トナーが付着しない背景部に引きつけられ、背景部の一様な汚れである所謂かぶりを発生させる。
更に、この種の摩擦帯電方法にあっては、環境変化や経時変化の影響を受けやすく、トナーや攪拌部材等の摩擦帯電機構の表面状態が変化し、結果的に、トナーの帯電状態が不安定になり易い。
この方法は、摩擦帯電を利用しないため、種々の利点がある。
特に、導電性トナーは電荷が移動し易く、均一な電荷をトナーに与えることができるため、かぶりやトナークラウドを防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくいことは最大の特長である。また、摩擦帯電機構が不要なため、構造が簡単で、小型化、低価格化が可能であることも、大きな魅力である。
また、カラー画像を形成する場合、色材の異なるカラートナーを重ねて種々の色を再現するが、導電性トナーではトナーを重ねることができず、カラー化に対応できないためである。
この原因は、トナーが導電性であるが故に、吸湿して低抵抗になった記録紙やトナー相互間でトナー電荷の移動が発生し、トナーへの静電吸着力が失われてしまうことによる。
すなわち、
a トナーとして、正負両極性のうち一方の極性に帯電し易く、かつ、該極性に帯電した後は他方の極性に帯電し難い特性を具備させた提案、言い換えれば、電荷を注入しやすいが、リークしにくいトナー材料に関する提案(例えば特許文献1参照)、
b 基体の少なくとも一方の面に絶縁性媒質を所定量塗工し、所定レベルの体積固有抵抗値を備えた記録紙(転写媒体)を用いることで、紙の電荷保持量を安定且つ均一とする提案(例えば特許文献2参照)、
c 現像後かつ転写に先立ち静電潜像の画像部電位を現像時の画像部電位の所定レベルまで低減させ、トナーの飛び散りを抑制する提案(例えば特許文献3参照)、
d 導電性トナーと絶縁性トナーとの混合により、転写時には、紙から導電性トナーへの電荷注入を絶縁性トナー(絶縁体)にて防ぎ、導電性トナーと紙との非接触化を図ることで、導電性トナーの電荷保持性を保つようにした提案(例えば特許文献4参照)、
e 像担持体上の導電性トナーを加熱することでトナーを軟化・溶融し、軟化・溶融したトナーの粘着力を利用することにより像担持体から被記録材への転写性を良好に保つようにした非静電転写技術に関する提案(例えば特許文献5参照)、などが試みられてきた。
また、トナー担持体3としては、導電性トナー2を担持搬送するものであれば、ロール状、ベルト状など任意の形態でよく、磁極のレイアウト等も任意に設定して差し支えない。
更に、現像電界形成手段4は、像担持体1とトナー担持体3との間に現像電界を形成するものを広く含み、ここでいう現像電界としては直流電界のみ、あるいは、交番電界を重畳した直流電界など適宜選定してよい。
前者の態様にあっては、導電性トナー基体は結果的に導電性を有するトナー基体であればよく、例えば絶縁性トナー基体内に導電性微粒子を混入させたり、絶縁性トナー基体の外表面近傍に導電性微粒子を付着させる等適宜選定して差し支えない。また、被覆層の好ましい態様としては、例えば無定形高分子を主成分とする被覆層が挙げられる。ここで、無定形高分子を主成分とする被覆層とは、少なくとも無定形高分子相の割合が80%以上であることを意味する。更に、被覆層としては、導電性トナー基体を完全に被覆する態様に限らず、不完全に被覆する態様をも含む。この場合において、抵抗調整は被覆層の一部に凹所を設けたり、あるいは、層厚を調整する層厚を調整することにより行うようにすればよい。
一方、後者の態様にあっては、絶縁性トナー基体は電子写真方式等で使用される絶縁性トナーであればよく、例えばスチレンアクリル系樹脂やポリエステル系樹脂等を使用したものが挙げられる。更に、導電性微粒子としては、絶縁性トナー基体に埋め込む観点からは、好ましくは大きさがサブミクロンのものがよく、例えばITO、酸化すず、酸化亜鉛、酸化チタン等の微粒子が挙げられる。更に、導電性微粒子にあっては、導電性トナー2をカラートナーに適用するためには、透明性を備えていることが好ましく、このことでカラー適性(特に発色性)に優れた導電性トナー2を得ることが可能になる。
更にまた、電荷注入手段5としては、電荷注入部材6とトナー担持体3との間に電荷注入電界を生成させるための要素として、通常電源等の電荷注入電界形成手段7が用いられる。ここでいう電荷注入電界としては直流電界のみ、あるいは、交番電界を重畳した直流電界など適宜選定してよい。
ここで、前者の兼用型の態様にあっては、電荷注入部材6は、電荷注入機能の他に、トナー供給機能を実現する部材であることが必要である。
一方、後者の態様は、電荷注入部材6をトナー供給部材とは別個に設ける態様であり、電荷注入に対する機能性のみを追求することができるため、トナーの帯電性を確保する上で好ましい。
この方式は逆極性トナー(WST:Wrong Sign Tonerの略)の発生率を下げる点で好ましい。
ここで、図3〜図7に基づいて説明すると、今、電荷注入部材6(注入電極に相当)とトナー担持体3(現像電極に相当)との間に単に導電性トナー2を介在させ、電荷注入電界を作用させるモデル(但し、注入電極と現像電極との間に導電性トナーを挟んで摺擦させていない態様)を想定すると、例えば図3に示すように、電荷注入電界(導電性トナーの粒子層への印加電界に相当)の大きさに応じて逆極性トナー(WST)の発生率が変化する。
図3によれば、電荷注入電界が低電界であると、図4に示すように、帯電効率が悪く、帯電できないトナーが、帯電したトナーに付着し、又は、現像電極との非静電的付着力により現像電極側へ移動する。従って、電荷注入電界を高める程、帯電効率の上昇により、WSTが減少することが理解される。
一方、電荷注入電界が高電界であると、図5に示すように、帯電したトナーが現像電極へ移動し、多層を形成すると、トナー相互で電荷交換して分極してしまい、上層トナーがWST化する。従って、電荷注入電界を高める程、分極に起因するWSTが増加する傾向にある。
尚、電荷注入電界が高電界であると、異常放電が発生し易く、その分、WSTの発生率が増加する懸念もある。
上述した電荷注入方式は、このような方針に基づいて案出されたものであり、電荷注入部材6(注入電極)とトナー担持体3(現像電極)との間に導電性トナー2を挟持し、摺擦しながら電荷注入する方式では、電荷注入部材6との接触確率を高め、かつ、接触抵抗を低減することが可能であるため、低い電荷注入電界にてトナーを単層状態で効率的に電荷注入することが可能になるのである。また、トナー層間にせん断力を与えるため、トナーが分極状態で重なることを防止でき、高電界でもWSTの発生を防止できるのである。
より具体的には、電荷注入手段5としては回動可能な電荷注入部材6を有し、トナー担持体3との間に周速差を持たせて電荷注入部材6を回動させる態様が挙げられる。この態様では、電荷注入部材6の回動方向は任意であるが、トナーの帯電性を考慮すると、電荷注入部材6とトナー担持体3との周速差が1.5倍以上であることが好ましい。
更に、トナー供給部材と兼用する電荷注入部材6の好ましい態様としては、トナー担持体3との対向部位にて同方向で且つ周速差をもって回動するものであればよい。このとき、電荷注入部材6の回動方向が同方向である方式(With方式)では帯電可能であるが、電荷注入部材6の回動方向が逆方向である方式(Against方式)では、電荷注入部材6とトナー担持体3との間に導電性トナー2が挟まれる前にトナー担持体3にトナーが転移する挙動になるため、帯電し難い懸念がある。
更に、電荷注入手段5の好ましい態様としては、電荷注入部材6とトナー担持体3との間に導電性トナー2を単層状態で挟むことが重要であり、これにより、均一な帯電を可能とし、逆極性トナーの発生を有効に防止することができる。
このため、現像電界に比べて電荷注入電界を必ずしも大きく設定しなくても、導電性トナー2に対して電荷注入を行うことが可能になる。
よって、導電性トナー2としては、現像電界作用域にて高抵抗に変化し且つ電荷注入電界作用域にて低抵抗に変化するという挙動を実現することができる。つまり、図2(a)に示すように、導電性トナー2は、現像電界作用域にて高抵抗に変化し、電荷注入電界作用域にて低抵抗に変化する抵抗可変部8を備えている挙動を示すのである。
このように、電荷注入電界>現像電界の関係を満たす電荷注入手段5にあっては、導電性トナー2の電気抵抗を以下のようにスイッチングさせることが必要である。
すなわち、静電潜像Zの画像部電位と現像バイアス電位とで形成される現像電界より大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へスイッチング(抵抗変化)するようにすればよい。
本態様においては、導電性トナー2としては、体積抵抗率が電荷注入電界にて1010Ω・cm以下であり且つ現像電界にて1011Ωcm以上であることが好ましい。これは、電荷注入電界にて1010Ω・cm以下であれば、電荷注入し易く、一方、現像電界にて1011Ωcm以上であれば、電荷保持し易いことによる。
本態様によれば、クリーニング電界と電荷注入電界との中間電界にて導電性トナー2は高抵抗から低抵抗へスイッチングするため、クリーニング電界作用域においては、導電性トナー2は高抵抗に保たれることになり、トナー担持体3上の先端の導電性トナー2に逆極性の電荷が誘導されることはない。
このため、トナー担持体3上の導電性トナー2に逆極性電荷が誘導され、静電潜像の背景部に付着するという所謂かぶり現象は有効に抑制される。
更にまた、導電性トナー2の抵抗変化の好ましい態様としては、転写時に形成される転写電界よりも大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へスイッチングする態様が挙げられる。
本態様によれば、転写電界と電荷注入電荷との中間電界にて導電性トナー2は高抵抗から低抵抗へとスイッチングするため、転写電界作用域では、導電性トナー2は高抵抗に保たれることになり、転写時において、導電性トナー2と記録紙との間で電荷の移動が発生することはなく、例えば高含水紙などに対しても導電性トナー2の電荷が保持され、良好な転写性能が得られる。
この場合、本発明に係る画像形成装置は、静電潜像Zを担持した像担持体1と、この像担持体1に対向配置される現像装置とを備えたものであればよい。
導電性トナー2は、図2(b)に示すように、電荷注入手段5の電荷注入部材6とトナー担持体3との間に電荷注入電界を作用させ、この電荷注入電界作用域にて電荷注入され、トナー担持体3側へ移動する。
このとき、導電性トナー2は、図1(b)及び図2(a)に示すように、電荷注入部材6とトナー担持体3との間に挟持されて摺擦しながら電荷注入されるため、電荷注入電界作用域では、導電性トナー2の抵抗可変部8が低抵抗に変化し、導電性トナー2には容易に電荷が注入される。
この後、トナー担持体3上に担持された導電性トナー2は、図2(b)に示すように、像担持体1とトナー担持体3との間の現像領域へ搬送され、現像電界作用域に入り、像担持体1へと移動して像担持体1上の静電潜像Zを可視像化する。
このとき、導電性トナー2は、図2(a)に示すように、現像電界作用域では、前記導電性トナー2の抵抗可変部8が高抵抗に変化することから、導電性トナー2は電荷を保持した状態を保ち、導電性トナー2相互間等で電荷の移動は行われない。
このため、本発明にあっては、導電性トナーに電荷を注入する場合に導電性トナーを低抵抗に変化させ、導電性トナーに対し容易に電荷を注入させることができ、しかも、現像する場合に導電性トナーを高抵抗に変化させ、導電性トナーの電荷保持性を向上させることができる。
従って、本発明によれば、導電性トナーに対する電荷注入性と、注入された電荷保持性とを両立させることが可能になり、導電性トナーに対する電荷注入性を良好に保ちながら、現像電界作用域にて不要に電荷注入される事態を有効に回避することができる。このため、現像電界作用域にて、低電荷トナーや逆極性トナーが生成されることは少なく、かぶりやトナークラウドを有効に防止でき、導電性トナーに対する現像性能を良好に保つことができる。
それゆえ、導電性トナーに保持している電荷が吸湿した記録紙やトナー相互間で移動することを有効に防止することができ、トナーへの静電吸着力を維持することができる。
よって、高含水紙などへのトナー画像の転写も可能となり、しかも、カラートナーの重ねによるカラー画像を形成することも可能になるから、導電性トナーに対する良好な転写性能を簡単に実現することができる。
このように、本発明に係る現像装置によれば、従前の導電性トナーを使用する際の不具合である、静電転写性の改善、カラー適性の改善を行い、かぶりやトナークラウドを有効に防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくく、簡単で且つ汎用性のある現像装置を提供することができる。
◎実施の形態1
図8は本発明が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、本実施の形態に係る画像形成装置は、所定方向に回転する像担持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像書込装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を記録媒体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
特に、本実施の形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33に導電性トナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については適宜選定して差し支えないが、トナーの供給性及び電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回動し、電荷注入ロール34と現像ロール33との間に導電性トナー40を挟持し、摺擦しながら電荷注入する態様が好ましい。
そして、現像ロール33には現像バイアス電源37からの現像バイアスが印加される一方、電荷注入ロール34には電荷注入バイアス電源38からの電荷注入バイアスが印加されるようになっている。それにより、感光体ドラム20の静電潜像Zと現像ロール33との間には現像電界が、現像ロール33と電荷注入ロール34との間には電荷注入電界が作用するようになっている。
更に、層形成ブレード35は例えば厚さ0.03〜0.3mm程度のステンレスの板ばねにシリコーンゴムやEPDMを接着剤等により接着したものである。この層形成ブレード35の一端は、電荷注入ロール34の表面に軽く接触し、他端は現像ハウジング31の一部に支持されている。
更にまた、本実施の形態で用いられる現像剤Gとしての導電性トナー40については後述する。
本実施の形態において、導電性トナー40は、重合法や各種公知のカプセル化技術で作製することができる。この時、導電性コア401は、ポリエステルやスチレンアクリル系樹脂に導電性カーボンブラック、磁性粉、ITO/酸化チタン/酸化すず等の透明導電粉等の導電剤を分散させたり、ポリエステルやスチレンアクリル系樹脂からなる粒子表面を前記導電剤により被覆することによって、作製する。
このような態様の導電性トナー40は、高電界を印加すると低抵抗化する傾向を示す。そして、低抵抗化する電界の大きさについては、導電性トナー40の主として凹部403の占有割合、あるいは、絶縁性被覆層402の厚さなどに依存する。
このメカニズムについては、導電性コア401が絶縁性被覆層402にて被覆されているため、導電性コア401は、直接的にトナー相互や電極部材等に接触することがなく、絶縁性被覆層402を介して一定の微小間隙を保つことになり、この結果、例えば高電界が印加された時、トンネル効果等により導通することになる、と推測される。
このとき、半導電性の被覆層404については、それ自体半導電性の材料を用いるようにしてもよいし、例えば絶縁性樹脂に、酸化チタンや酸化すず等の金属酸化物や導電性カーボンを微量含有させた半導電性樹脂を用いるようにしてもよい。
本態様において、導電性コア401としては、例えば通常の絶縁性トナーからなる絶縁性トナー基体(絶縁性コア)の外表面近傍に導電性微粒子を付着させる態様や、絶縁性コアの内部に導電性微粒子を混入させるものなど適宜選定して差し支えない。
先ず、絶縁性コアの製造については、乾式製造製法である混練粉砕法や、湿式製造製法である乳化凝集法、溶解懸濁法等いずれの方法で作製してもよいが、トナーの粒度分布シャープ化や形状制御の自由度という観点から乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法とは、乳化重合により樹脂微粒子分散液を調製し、また着色剤を溶媒に分散した着色剤分散液や必要に応じて離型剤分散液を調製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱して凝集粒子を融合・合一してトナーを製造する方法である。この製造プロセスは一括で混合し凝集してもよいし、凝集工程を複数段階的に行わせ、第1段階の母体凝集を形成した後、凝集形成の第2段階で加えた粒子を第1段階の母体凝集粒子の表面に付着させるようにしてもよい。
このような乳化凝集法によるトナー作製時に、絶縁性コア表面に導電性微粒子を付着させ、更に、被覆層を被膜形成するようにしてもよい。
尚、上述した製造方法は、絶縁性コアの表面に導電性微粒子を付着させるようにしているが、乳化凝集法によるトナー作製時に絶縁性コア内に導電性微粒子を混入させるようにしても差し支えない。
この製造方法は、例えば撹拌混合機に絶縁性コアと導電性微粒子とを混入した後に所定時間撹拌混合し、絶縁性コアに導電性微粒子を付着させ、導電性コアを形成する(撹拌混合工程(I))。
しかる後、撹拌混合機に導電性コアとポリエステルやスチレンアクリルなどからなる樹脂微粒子とを混入した後、所定時間撹拌混合し、導電性コアの周囲に被覆層(絶縁層)を形成するようにすればよい(撹拌混合工程(II))。
ここで、導電性トナーの乾式製造方法の具体例を挙げると、例えば平均粒径6.5μmの絶縁性コアに例えばIOT微粒子(住友金属鉱山株式会社製)所定量(例えば15wt%)加え、サンプルミル(型式:SK−M10型協立理工株式会社製)により所定時間撹拌混合し(例えば12000rpm、30秒)、絶縁性コアの表面にITO微粒子を付着させる。しかる後、ITO微粒子が付着された絶縁性コア(導電性コア)に、ポリエステル等の樹脂微粒子を所定量(例えば10wt%)加え、前記サンプルミルにて所定時間撹拌混合し(例えば12000rpm、30分)、所定の絶縁層を形成するようにするものが挙げられる。
尚、後述する実施例では、この乾式製造方法の具体例にて作製した導電性トナーを用いた。
今、作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zを可視像化する。
しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が記録媒体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。
尚、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。
同図において、本実施の形態における現像装置30では、図9に示すアジテータ36により撹拌された導電性トナー40が、トナー供給ロールと兼用する電荷注入ロール34表面に供給され、この電荷注入ロール34と層形成ブレード35との間を通過することにより、電荷注入ロール34の表面に均一なトナー層が形成される。更に、この形成されたトナー層は、電荷注入ロール34の回転により、現像ロール33と電荷注入ロール34との対向位置に搬送される。
このとき、現像ロール33と電荷注入ロール34との間には、現像ロール33に接続している現像バイアス電源37の現像バイアスと、電荷注入ロール34に接続している電荷注入バイアス電源38による電荷注入バイアスとの差により形成された電荷注入電界が作用し、導電性トナー40は、現像ロール33と電荷注入ロール34との間に挟持され、摺擦されながら電荷注入される。尚、図11(a)では、符号40aは電荷注入前の導電性トナー、40bは電荷注入後の導電性トナーを夫々示す。
この電荷注入方式は、逆極性トナー(WST:Wrong Sign Tonerの略)の発生率を下げる点で好ましく、このことは後述する実施例にて裏付けられる。
この点、例えば図11(b)に示すように、現像ロール33との対向部位にて電荷注入ロール34を逆方向に回転させる態様にあっては、導電性トナー40は電荷注入ロール34上に層形成ブレード35にて層厚規制された後現像ロール33へと供給されるが、供給された導電性トナー40は現像ロール33と電荷注入ロール34との間のニップ部を通過することなく、現像ロール33へと担持されることから、導電性トナー40への電荷注入が不足する懸念がある。
また、感光体ドラム20上に露光装置22(図8参照)によって書き込まれた静電潜像部分は、表面帯電が除電されていることから、現像電界によって、この部分のみ導電性トナー40が感光体ドラム20に移動し、静電潜像Zを可視像化する。
本実施の形態において、この現像電界は電荷注入電界より低電界となっているため、電荷注入電界にて導電性トナー40に注入された電荷が、現像電界で逃げることもなく、良好な現像が実施される。
このとき、この転写工程において、感光体ドラム20と転写装置24とで形成される転写電界として、電荷注入電界より低電界で行うようにすれば、電荷注入電界にて導電性トナー40に注入された電荷が、転写電界で逃げることなく、良好な転写が実施される。
更に、この態様において、図12(b)に示すように、現像ロール33のうち電荷注入ロール34位置の上流側に除電用のリフレッシュロール39を配設するようにすれば、例えば現像ロール33の表面に例えば電荷注入電界作用域にて体積抵抗率が1011Ω・cm以上の高抵抗層を設けたとしても、現像ロール33に不必要に電荷が蓄積することなく、常にリフレッシュされた状態で、現像ロール33上の導電性トナー40に対し電荷注入ロール34による電荷注入動作が効率的に行なわれる。
尚、本例では、リフレッシュロール39は現像ロール33と同電位の状態で接触配置されている。
図13は実施の形態2に係る現像装置を示し、図14は図13の要部を示す模式図である。
同図において、本実施の形態における現像装置30は、実施の形態1における現像装置と略同様に構成されているが、実施の形態1と異なり、導電性トナー40を現像ロール33上に供給担持するトナー供給ロール41と、導電性トナー40に電荷を注入する電荷注入ロール42とを別個に備えている。
尚、実施の形態1と同様な構成要素には同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
また、本実施の形態におけるトナー供給ロール41は、表面をサンドブラスト法や化学エッチング法等により小さく均一な凹凸面が形成されたアルミニウム製のロールから構成され、現像ロール33とトナー供給ロール41とは軽く接触又は微小間隙をもって支持されている。
更に、本実施の形態では、電荷注入ロール42は実施の形態1と同様に現像ロール33との間に周速差をもって回動するようになっている。
現像装置30は、現像ハウジング31内において導電性トナー40がアジテータ36により撹拌され、撹拌された導電性トナー40は、トナー供給ロール41と層形成ブレード35との間を通過することにより、トナー供給ロール41の表面に均一なトナー層を形成する。
更に、トナー層は、トナー供給ロール41の回転により、現像ロール33とトナー供給ロール41との対向位置に搬送され、現像ロール33上に供給担持される。
そして、現像ロール33上に担持された導電性トナー40には、現像ロール33と電荷注入ロール42との対向部位で、この間に形成される電荷注入電界により電荷が注入される。
この後、現像ロール33上で電荷が注入された導電性トナー40は、そのまま現像ロール33上を搬送され、現像ロール33と感光体ドラム20との対向部位に進む。
ここで、感光体ドラム20上の静電潜像Zと、現像ロール33に接続している現像バイアス電源37の現像バイアスとの差により形成された現像電界が、導電性トナー40に加わることとなる。
このため、感光体ドラム20上の静電潜像Zに導電性トナー40が移動し、静電潜像Zを可視像化する。本実施の形態においては、この現像電界は電荷注入電界より低電界となっているため、電荷注入電界にて導電性トナー40に注入された電荷が、現像電界で逃げることもなく、良好な現像が実施される。
本態様においては、固定型の電荷注入ブレード43と現像ロール33との間には当然ながら周速差があるから、本実施の形態と同様な作用を奏する。
図16は、本発明に係る現像装置が適用された実施の形態3の画像形成装置を示す。
同図において、本実施の形態に係る画像形成装置は、所謂タンデム型と称されるものであり、装置本体60の上方に原稿を読み取る画像読取ユニット61を配設する一方、装置本体60内に四つの色成分(本実施の形態ではY:イエロ、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の作像エンジン62(具体的には62a〜62d)を横方向に配列し、その下方には各作像エンジン62の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト63を配設すると共に、この中間転写ベルト63には当該中間転写ベルト63上の画像を記録媒体としての例えば記録紙64に転写させる二次転写装置65を配設し、更に、装置本体60の下方には前記記録紙64が収容される供給カセット66を配設し、この供給カセット66からの記録紙64を二次転写装置65を経て定着装置67へと導くようにしたものである。
一方、中間転写ベルト63は、複数(本例では四つ)の張架ロール81〜84に掛け渡されており、張架ロール81は駆動ロール、その他の張架ロール82〜84は従動ロールとして機能するようになっている。
更に、本実施の形態に係る現像装置74は、実施の形態1の現像装置を使用しており、その詳細な説明は省略する。
夫々の現像装置74(具体的には74a〜74d)によって、感光体ドラム71上の静電潜像は現像され、可視像化(トナー像)される。
そして、感光体ドラム71と中間転写ベルト63とが接する位置にある一次転写装置75には、感光体ドラム71上のトナー像と逆極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム71上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト63上に一次転写される。
更に、中間転写ベルト63上に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト63の回動に伴って、二次転写装置65へ搬送されると共に、供給カセット66から搬送された記録紙64が、中間転写ベルト63と二次転写装置65との接触領域へ搬送され、二次転写装置65にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト63上のトナー像は、記録紙64に静電吸引される。この後、トナー像が転写された記録紙64は定着装置67により定着され、記録紙64へのトナー像の定着が行われる。
また、クリーニング電界においてかぶりの原因となる電荷の移動が発生することもなく、更に、記録紙64やトナー相互間で電荷の移動が発生しないことから、静電転写方式において、吸湿した記録紙64へのトナー像の転写が可能になり、また、カラートナーを重ねて、カラー画像を形成することが可能になる。
更に、導電性トナーが多量の導電性フィラー(例えばカーボンブラック等)を含んでいないため、トナーが低温で溶融し、定着による良好な画質が実現可能となる。
また、本実施の形態では、カラー機で説明したが、モノクロ専用機でも同様に適用できることは勿論である。
更に、本実施の形態における現像装置74として、実施の形態1の現像装置を配設したが、実施の形態2の現像装置を用いても同様の効果を得られることは明らかである。
図17は、静電転写方式を用いない画像形成装置に本発明を適用した実施の形態4を示す。
本実施の形態に係る画像形成装置においては、感光体ドラム90の周囲に、感光体ドラム90を帯電する帯電装置91と、帯電された感光体ドラム90上に各色成分(本例ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の静電潜像を書き込む露光装置92と、感光体ドラム90上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化する現像装置93と、感光体ドラム90上のトナー像を転写させるための粘着中間転写ロール94と、感光体ドラム90上の残留トナーを清掃するクリーニング装置95とが配設されている。
また、粘着中間転写ロール94の下方には、加熱源を有する二次転写ロール96が配設されている。
尚、符号98は記録紙97を送出する記録紙供給装置、99は定着済みの記録紙97を搬送する搬送ベルトである。
また、本実施の形態における現像装置93及び導電性トナーは、実施の形態1又は実施の形態2で用いたものと同様なものを使用することが可能であり、その他の装置についても、適宜選定して差し支えない。
本実施の形態において、感光体ドラム90上に担持された静電潜像は、現像装置93によって感光体ドラム90の一回転ごとに異なる色成分のトナー像を重ねられる。この重ねられたトナー像は、粘着中間転写ロール94上に押圧されることにより、粘着中間転写ロール94の粘着力によって一括して粘着中間転写ロール94上に転写される。
その後、粘着中間転写ロール94上に転写されたトナー像は、二次転写ロール96によって加熱されるとともに、粘着中間転写ロール94の離型性は向上し、また、トナー像も加熱されることにより粘性化する。これにより、トナー像は、粘着中間転写ロール94と二次転写ロール96との間にある記録紙97に再転写され、同時に定着も完了する。
<現像装置モデル>
図18に示す現像装置モデルは、実施の形態1に係る現像装置30(図9参照)をモデル化したものである。
図9及び図18において、符号121は電荷注入ロール34に相当する電荷注入プレート(トナー供給プレート)であり、例えばアルミニウムプレートにて構成される。
そして、前記電荷注入プレート121には電荷注入電源125が接続されており、電荷注入バイアスV1が印加されている。
また、符号122は現像装置30の現像ロール33に相当するトナー担持ロールであり、例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムパイプにて構成されている。
そして、このトナー担持ロール122には現像バイアス電源126が接続されており、現像バイアスV2が印加されている。
更に、符号123は感光体ドラム20に相当する像担持プレートであり、例えば表面に55μm厚のPETフィルムを貼り付けたアルミニウムプレートにて構成され、トナー担持ロール122に対して所定の間隙を介して対向配置され、略水平方向に移動する。
そして、像担持プレート123には像担持バイアス電源127が接続されており、所定の像担持バイアスV3が印加されている。
このとき、電荷注入プレート121に印加された電荷注入バイアスV1とトナー担持ロール122に印加された現像バイアスV2とにより、電荷注入プレート121とトナー担持ロール122との間には電荷注入電界Aが形成されており、この電荷注入電界Aにより、電荷注入プレート121上の導電性トナー120に電荷が注入されると共に、導電性トナー120は静電吸引力によりトナー担持ロール122へ移動する。
次いで、トナー担持ロール122へ移動した導電性トナー120は、トナー担持ロール122の回転により現像領域まで搬送されると、像担持プレート123に印加された像担持バイアスV3とトナー担持ロール122に印加された現像バイアスV2とにより現像電界Bが形成され、この現像電界Bにより、導電性トナー120が像担持プレート123へ移動する。
このことは、後述する実施例にて裏付けられる。
また、多層のトナー像を移動させる必要がない単色の作像プロセスであれば、感光体ドラム20の背景部へのトナー付着のみを防止するようにすればよい。
このとき、現像ロール33と背景部の電位差によって形成される電界(クリーニング電界)の影響で、現像ロール33上の先端のトナーに逆極性の電荷が誘導され、背景部に付着しかぶりの原因になる可能性がある。
そこで、この場合には、導電性トナー120の特性として、クリーニング電界より大きく、電荷注入電界A以下で電気抵抗を高抵抗から低抵抗へスイッチングさせ、所定範囲の電気抵抗を満たすようにすればよい。
一般に、クリーニング電界は現像電界Bよりも小さいので、上述した導電性トナー(電荷注入電界Aと現像電界Bとの中間電界以上の高電界にて抵抗が高抵抗から低抵抗へとスイッチング特性を具備)120はそのまま使用することができる。
図19に示す転写装置モデルは、実施の形態1で用いられる転写装置24(図8参照)をモデル化したものである。
図8及び図19において、符号131は電荷注入ロール34に相当する電荷注入プレート(トナー供給プレート)であり、例えばアルミニウムプレートにて構成される。
そして、前記電荷注入プレート131には電荷注入電源135が接続されており、電荷注入バイアスV4が印加されている。
また、符号132は感光体ドラム20に相当する像担持ロールであり、例えば表面に55μm厚のPETフィルムを貼り付けたアルミニウムパイプにて構成されている。
そして、この像担持ロール132には像担持バイアス電源136が接続されており、像担持バイアスV5が印加されている。
更に、符号133は転写装置24の転写ロール等の電極部材に相当する記録媒体プレートであり、表面に記録媒体134(例えば図3中の記録紙28に相当)を貼り付けたアルミニウムプレートにて構成される。
そして、この記録媒体プレート133には転写バイアス電源137が接続され、転写バイアスV6が印加されている。
このとき、電荷注入プレート131に印加された電荷注入バイアスV4と像担持ロール132に印加された像担持バイアスV5とにより、電荷注入プレート131と像担持ロール132との間には電荷注入電界Aが形成されており、この電荷注入電界Aにより、電荷注入プレート131上の導電性トナー120に電荷が注入されると共に、導電性トナー120は静電吸引力により像担持ロール132へ移動する。
次いで、像担持ロール132へ移動した導電性トナー120は、像担持ロール132の回転により転写領域まで搬送されると、記録媒体プレート133に印加された転写バイアスV6と像担持ロール132に印加された像担持バイアスV5とにより転写電界Cが形成され、この転写電界Cにより、導電性トナー120が記録媒体プレート133へ移動する。
このことは、後述する実施例にて裏付けられる。
図20は、実施の形態1に係る現像装置モデル(図18参照)において、実施の形態1に係る導電性トナーに相当する導電性トナー120に電界を印加したとき、この導電性トナー120の体積抵抗率変化を測定した結果である。
同図によれば、導電性トナー120は、高電界が印加されると、高抵抗から低抵抗へと急激に低抵抗化することが理解される。
一般的に、導電性トナー120に印加される電界Eは、以下のように表現される。
E=(V−VS)/εt(Dp+Dt+Dm+Dg)
但し、V:対向電極の電位、VS:移動前トナー層上の電位、Dp〜Dg:ニップを形成する各層の誘電厚さ(Dp:像担持体誘電厚さ、Dt:トナー層誘電厚さ、Dm:トナー担持体誘電厚さ、Dg:空隙層誘電厚さ)、εt:トナーの比誘電率である。
以上から予測すると、上記条件では、電荷注入時に導電性トナー120へ印加される電界は7×104V/cm、現像時に導電性トナー20に印加される電界は8×103V/cmであった。
このとき、図20に示すように、8×103V/cmと7×104V/cmとの間で、導電性トナー20の体積抵抗率は、1016Ω・cmから109Ω・cmへ変化している。
また、帯電した電荷を保持するためには、現像電界Bが印加されている時間内で、電荷移動等が起こらないことが必要なので、時定数で0.1秒以上であることが好ましく、導電性トナー120の体積抵抗率は、1011Ω・cm以上であればよい。
尚、導電性トナー120の体積抵抗率は、φ30mmのセル中にトナーを充填し、上下面に電圧を印加し、流れる電流を測定することにより計算した。
図21は、実施の形態1に係る現像装置モデル(図18参照)において、像担持バイアス電源127の像担持バイアス変化に対する現像トナー量(層数に換算)を、実施の形態1に係る導電性トナーに相当する導電性トナー120を用いた時と、比較例に係る絶縁性被覆層404(図5参照)を有していない導電性トナー120を用いた時とで比較測定した結果である。
本実施例は、現像バイアスV2を0V、電荷注入バイアスV1を−150Vに固定設定し、一連の作像プロセスを3回繰り返して、像担持プレート123上に多重現像させた。ここで、トナー担持ロール122の表面には12μm厚のPETフィルムを巻き付けてあり、電荷注入プレート121と同速度で回転する。像担持プレート123の表面には、25μm厚のフィルム状感光体が貼り付けてあり、トナー担持ロール122の1/2の速度で移動させた。
これにより、カラー画像を形成する場合、導電性トナー120は、色材の異なるカラートナーを重ねて種々の色を再現できるが、比較例に係る導電性トナーでは、カラー化に対応できないことが理解される。
図22は、実施の形態1に係る転写装置モデル(図19参照)において、記録媒体プレート133電圧(転写バイアスV6)と転写率(%)との関係を測定した結果である。
本実施例において、記録媒体プレート133の表面に貼り付けた記録媒体134としては、絶縁紙、半導電紙(5×108Ω・cm、高含水紙状態)を使用した。
そして、像担持ロール132電圧(像担持バイアスV5)を0V、電荷注入プレート131電圧(電荷注入バイアスV4)を−400Vに固定設定し、また、半導電紙に対し絶縁性被覆層404(図5参照)で絶縁コートされていない導電性トナーを使用した比較例についても測定した。このとき、像担持ロール132の表面には55μm厚のPETフィルムを巻き付けてあり、電荷注入プレート131と同速度で回転する。
本実施例の測定結果により、本実施例に係る導電性トナー120は、絶縁紙及び半導電紙(高含水紙)において、80%以上の転写率が可能である一方、比較例に係る導電性トナーは、半導電紙(高含水紙)において30%前後の転写率しか得られず、転写不良を発生してしまう。
このように、本実施例に係る導電性トナー120(転写時に形成される転写電界Cよりも大きく、電荷注入電界Aよりも小さい中間電界以上で、高抵抗から低抵抗へと抵抗変化するスイッチングする抵抗可変部を具備)を用いれば、高含水転写、多重転写が可能になる。
図9に示す現像装置モデルを用い、電荷注入ロール(注入電極)34の回転方向及び速度比をパラメータとし、電荷注入電界(導電性トナーの粒子層印加電界)を変化させ、そのときのWST発生率及び注入電荷量を測定した。
ここで、実験条件としては、電荷注入ロール(注入電極)は表面が素アルミニウムにて構成され、現像ロール(現像電極)33に対し1100μm食い込んで配設されている。
また、現像ロール33は直径40mmであり、電極表面が25μm厚ポリエステルフィルムと導電性スポンジとからなり、速さ120mm/sec.にて移動する。更に、導電性トナーとしては実施の形態1の具体例で示したものを用いた。また、注入電荷量の測定は、ホソカワミクロン製のイ−スパートアナライザを用いた。
尚、図23中、「Against」は現像電極と注入電極との対向部位での移動方向が逆方向であることを指し、「With」はその移動方向が同方向であることを指す。
図23,図24によれば、注入電極移動方向がWithであるモデルがWST発生率が低く、電荷注入量が多いことが確認される。
このとき、注入電極移動方向がAgainstであるモデルにあっては、導電性トナーが現像電極と注入電極とのニップ域を通過しないため、その分、十分な帯電時間が確保されず、これに伴って、WST発生率が高く、電荷注入量が少ないものと推測される。
本実施例は、実施例4と同様な現像装置モデルを用い、電荷注入ロール(注入電極)34の回転方向を「With」とし、注入電極/現像電極速度比をパラメータとし、電荷注入電界(導電性トナーの粒子層印加電界)を変化させ、そのときのWST発生率、トナー移動量及び注入電荷量を測定し、その結果を図25〜図27に示す。尚、実験条件などについては実施例4と同様である。
図25によれば、注入電極/現像電極速度差を設けることによってWST発生率が低下していることが理解される。特に、本実施例では、速度比の一例をパラメータとして例示しているが、1.5倍以上の速度差を設けるようにすれば、等速の場合に比べて、例えば1/10以下程度までWST発生率を低下させることができる。尚、実施の形態2のモデルについて同様な実験を行ったところ、同様な傾向が見られた。
このことは、本実施例モデルが電荷注入効率向上と多層化防止の点で寄与しているものと推測される。
このことは図26,図27によって裏付けられる。
図26によれば、注入電極/現像電極速度差を設けることによってトナー移動量(層数)が1以下であることが理解され、また、図27によれば、注入電極/現像電極速度差を設けることによって注入電荷量が増加していることが理解される。
Claims (14)
- 導電性トナーにて静電潜像を可視像化する現像装置において、
静電潜像を担持した像担持体に対向配置され、帯電された導電性トナーを担持搬送するトナー担持体と、
このトナー担持体と像担持体との間に現像電界が形成され、この現像電界領域にて像担持体上の静電潜像をトナー現像する現像電界形成手段と、
トナー担持体に対向配置される電荷注入部材を有し、この電荷注入部材とトナー担持体との間に電荷注入電界を作用させ、かつ、導電性トナーを挟んで摺擦しながら電荷注入する電荷注入手段とを備えたことを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
導電性トナーは現像電界作用域にて高抵抗に変化し且つ電荷注入電界作用域にて低抵抗に変化することを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
導電性トナーは、導電性トナー基体の周囲に絶縁性若しくは半導電性被覆層を被覆したものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入手段は、電荷注入部材とトナー担持体との間に現像電界より大きな電荷注入電界を作用させるものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入手段は、電荷注入部材とトナー担持体にトナーが供給可能なトナー供給部材とを兼用することを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入手段は、トナー担持体に担持された状態のトナーに対して電荷注入する電荷注入部材を有することを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入手段は、電荷注入部材とトナー担持体との間に周速差を持たせることを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入手段は回動可能な電荷注入部材を有し、トナー担持体との間に周速差を持たせて電荷注入部材を回動させることを特徴とする現像装置。 - 請求項8記載の現像装置において、
電荷注入部材とトナー担持体との周速差が1.5倍以上であることを特徴とする現像装置。 - 請求項5記載の現像装置において、
トナー供給部材を兼用する電荷注入部材は、トナー担持体との対向部位にて同方向で且つ周速差をもって回動するものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入手段は、トナー担持体に対向して電荷注入部材を固定配置し、トナー担持体との間に周速差を持たせたものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項11記載の現像装置において、
電荷注入部材はブレード状部材にて構成されることを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入手段は、電荷注入部材とトナー担持体との間に導電性トナーを単層状態で挟むことを特徴とする現像装置。 - 静電潜像を担持した像担持体と、この像担持体に対向配置される請求項1ないし13いずれかに記載の現像装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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