JP2005322787A - 有機薄膜トランジスタ - Google Patents

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俊明 藤野
Eiji Nobutoki
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Tetsuyuki Kurata
哲之 藏田
Hiroyuki Fuchigami
宏幸 渕上
Yukiyasu Nakao
之泰 中尾
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Abstract

【課題】ゲート電圧によってソース電極とドレイン電極の間の電流をより大きく変調させること、およびソース電極とドレイン電極の間に大きな電流を流すことが可能であり、かつ大気中において安定に動作する有機薄膜トランジスタ、ならびにスイッチング素子を提供する。
【解決手段】ソース電極とドレイン電極間のチャネルが形成される領域が、少なくとも1つ以上のメタロセン骨格部位、および5員環の複素芳香族環、6員環の芳香族環またはこれらの縮合芳香族環から構成される構造を有する有機半導体化合物からなる薄膜トランジスタ、ならびに該薄膜トランジスタからなるスイッチング素子である。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機半導体を用いた薄膜トランジスタ、および該薄膜トランジスタからなるスイッチング素子に関する。
有機活性層およびプリント電子構成部品を備えた薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する)は、いくつかの分野において、シリコンベースTFTの安価な代替品として注目されてきている。有機材料を用いることにより、シリコンを用いたプロセスで必要とされるコストのかかるステップを行なうことなく、このようなデバイスを作製することが可能となる。また、そのほかの利点としては、機械的フレキシビリティが向上する点や、シリコン基板上に形成される薄膜トランジスタに対する有機ベースデバイスの調整が容易である点があげられる。有機ベースデバイスの特性は、極端な条件下(たとえば、高温や低温)においては、デバイスの密度や信頼性の点では、シリコンベースのTFTの特性には適合しない。しかし、有機ベースTFTは、極端な条件下での密度や信頼性よりも、経済性が優先される場合には有用である。
有機ベースTFTの半導体材料として、種々の有機材料が提案されている。とくに高いホール移動度を有する有機半導体材料を用いたTFTとしては、たとえば、非特許文献1に報告されているペンタセンを用いたTFTがあげられる。この場合、1〜2cm2/Vs程度のキャリア移動度が得られており、on時のソース・ドレイン間電流も高い値が得られている。しかしながら、非特許文献2に報告されているように、大気中においてペンタセンは劣化するため、長期間安定した動作が得られず、実用に供するのは困難である。また、ペンタセンの製膜は蒸着法によるため、真空製膜装置などの大型設備が必要となり、前述のような経済性の利点が損なわれる。
そのほかの有機半導体材料を用いたTFTとしては、非特許文献3に報告されているポリ(3−ヘキシルチオフェン)のregioregular体を用いたTFTがあげられる。しかしながら、ここで報告されているTFTのキャリア移動度は最大でも0.1cm2/Vsであり、on時のソース・ドレイン間電流も高い値を得るには至っていない。また、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のregioregular体は、酸素によるドーピングが顕著なためオフ電流が増加しやすく、大気中におけるゲート電極に印加する電圧によるソース電極とドレイン電極の間を流れる電流の変調幅は3桁程度にとどまる。
また、特許文献1には、6員環および縮合芳香族環を二つまたは三つ有し、5員環の複素芳香族環が縮合された構造の有機半導体化合物からなる活性層をもつTFTが開示されている。しかし、このTFTのキャリア移動度は0.1cm2/Vs程度と低く、また、on/off比についても、必要とされる4桁を満たすものではなかった。
このように、従来の有機半導体材料を用いたTFTは、いずれも大気中における安定性がわるく、on/off比が小さく、on時のソース・ドレイン間電流も高い値を得るには至っていない。したがって、有機半導体を用いたTFTにおいて、大きなソース・ドレイン間電流を流し、かつこの電流の変調幅を大きくすることは、TFTの特性を向上させる上での課題であった。
特開平11−195790号公報 Appl.Phys.Lett.,vol.81,p.268(2002) Appl.Phys.Lett.,vol.83,p.1644(2003) SCIENCE,vol.280,p.1741(1998)
本発明は、前述のような問題点を解決するためになされたものであり、ゲート電圧によってソース電極とドレイン電極との間の電流をより大きく変調させること、およびソース電極とドレイン電極との間に大きな電流を流すことが可能であり、かつ大気中において安定に動作する有機薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
本発明は、ソース電極とドレイン電極間のチャネルの電導度を、ゲート電極に印加するゲート電圧によって制御する薄膜トランジスタにおいて、該チャネルが形成される領域が、少なくとも1つ以上のメタロセン骨格部位、および5員環の複素芳香族環、6員環の芳香族環またはこれらの縮合芳香族環から構成される構造を有する有機半導体化合物からなる薄膜トランジスタに関する。
前記有機半導体化合物は、前記芳香族環の数が2〜4であり、両端にフェロセンが結合した構造であることが好ましい。前記有機半導体化合物は、式(1):
Figure 2005322787
{式中、R1〜R6は、水素原子、アルキル基(−Cn2n+1、nは1〜10の整数)またはアルコキシ基(−OCn2n+1、nは1〜10の整数)を表わす。}に示される構造であることが、より好ましい。
前記有機半導体化合物は、式(2):
Figure 2005322787
に示される構造であることが、さらに好ましい。
前記有機半導体化合物を有する薄膜トランジスタは、スイッチング素子などの各種デバイスの製造に有利に用いることができ、とくにスイッチング素子材料として用いると、良好にスイッチング駆動する。
本発明によれば、高い電界効果移動度および高いon/off比を有し、かつ大気中で安定して動作する有機薄膜トランジスタを提供することができる。
実施の形態1
本発明の薄膜トランジスタは、ソース電極とドレイン電極間のチャネルの電導度を、ゲート電極に印加するゲート電圧によって制御する薄膜トランジスタであり、該チャネルが形成される領域が、少なくとも1つ以上のメタロセン骨格部位、および5員環の複素芳香族環、6員環の芳香族環またはこれらの縮合芳香族環から構成される構造を有する有機半導体化合物からなる薄膜トランジスタである。
本発明の薄膜トランジスタを、図1を用いて説明する。図1は本発明の薄膜トランジスタの断面図であり、ここで、1は活性層となる有機半導体薄膜、2はソース電極、3はドレイン電極、4はゲート絶縁膜、5はゲート電極、6は基板である。なお、本発明の薄膜トランジスタは、接合型または絶縁ゲート型など、どのようなものであってもよいが、ここでは、絶縁ゲート型に適用した場合について説明する。
ソース電極2とドレイン電極3間のチャネルを形成する有機半導体薄膜1は、少なくとも1つ以上のメタロセン骨格部位、および5員環の複素芳香族環、6員環の芳香族環またはこれらの縮合芳香族環から構成される構造を有する有機半導体化合物からなる。
本発明に用いられる有機半導体化合物は、メタロセン骨格部位を、少なくとも1つ以上、好ましくは2つ有する。メタロセン骨格部位を1つ以上有することにより、有機半導体化合物は、レドックス(酸化還元)活性部位を構成要素として含むこととなり、このレドックス活性部位は外部電圧の印加により容易にポーラロンを発生することができるため、電界効果移動度とon/off比の向上が可能となる。また、メタロセン骨格部位としては、フェロセン、ルテノセン、オスモセン、マンガノセンなどがあげられる。これらの中では、耐熱性、大気中での安定性、外部電圧の印加により容易にポーラロンを発生できる点より、フェロセンが好ましい。
5員環の複素芳香族環としては、チオフェン、セレノフェンなどがあげられる。これらの中では、とくにキャリア伝導性が高い点より、チオフェンが好ましい。
6員環の芳香族環としては、フェニレンがあげられる。
5員環の複素芳香族環または6員環の芳香族環からなる縮合芳香族環としては、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセンなどがあげられる。
本発明に用いられる有機半導体化合物は、前記5員環の複素芳香族環、前記6員環の芳香族環、前記縮合芳香族環のいずれかから構成されていればよく、また、たとえば、5員環の複素芳香族環と6員環の芳香族環から構成される有機半導体化合物のように、異種の芳香族環の2種以上から構成されていてもよい。有機半導体化合物中の芳香族環の数は、2〜4であることが好ましく、より好ましくは3である。芳香族環の数が1ではポーラロンが発生しにくくなり、5以上では電界効果移動度が小さくなる傾向がある。
本発明に用いられる有機半導体化合物は、少なくとも1つ以上のメタロセン骨格部位、および5員環の複素芳香族環、6員環の芳香族環またはこれらの縮合芳香族環から構成される構造を有するが、メタロセン骨格部位や芳香族環の水素原子は、アルキル基(−Cn2n+1)、アルコキシ基(−OCn2n+1)などで置換されていてもよい。これらの基で置換されることにより、有機半導体化合物は、各種溶媒に可溶となり製膜性を向上でき、かつ分子間配置を適正化できるようになるため好ましい。ここで、nは1〜10の整数を表わす。nが11以上の場合には、分子の立体障害を引き起こし分子間の電荷の移動を妨げる傾向がある。
本発明に用いられる有機半導体化合物は、式(1)で示される化合物であることが、キャリア伝導性の点より、好ましい。
Figure 2005322787
式中、R1〜R6は、水素原子、アルキル基(−Cn2n+1)またはアルコキシアルキル基(−OCn2n+1)を表わす。nは1〜10の整数の表わす。
本発明に用いられる有機半導体化合物は、式(2)で示される化合物であることが、キャリア伝導性の点より、とくに好ましい。
Figure 2005322787
本発明で用いられる有機半導体化合物の製造方法は、とくに限定されない。たとえば、式(1)に示される化合物において、R1〜R6が水素原子の場合には、不活性アルゴン雰囲気下、フェロセンのTHF溶液にターシャルブチルリチウムのペンタン溶液を添加したのち、5,5”−ジブロモ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンのTHF溶液を添加し、反応させることにより製造することができる。5,5”−ジブロモ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンは、5−ブロモ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンのジクロロメタン溶液に固体N−ブロモスクシンイミドを添加して反応させて得ることができる。
また、式(2)、式(3)、式(4)および式(5)で示される有機半導体化合物は、Jpn.J.Appl.Phys.,vol.39,p.L939(2000)中に記載されている方法を参考にして製造することができる。たとえば、式(2)で示される有機半導体化合物は、触媒であるジクロロ(ビストリフェニルホスフィン)の存在下、5,5”−ジヨード−3,3”−ジメトキシ−2,2’:5’,2”−ターチオフェンとフェロセニルジンククロリドとを、THF溶媒中、カップリングすることにより得られる。また、式(3)で示される有機半導体化合物は、Jpn.J.Appl.Phys.,vol.38,p.L1073(1999)中に記載されている方法を参考にしても製造することができる。
Figure 2005322787
Figure 2005322787
Figure 2005322787
本発明の薄膜トランジスタは、たとえば、基板6上のゲート電極5上にゲート絶縁膜4を形成したのち、ソース電極2およびドレイン電極3を形成し、最後に有機半導体薄膜1を形成することにより、作製することができる。
基板6を形成する材料としては、絶縁性の材料が使用可能である。具体的には、石英、ガラス、アルミナ焼結体などの各種無機絶縁性材料、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリフェニレンスルフィド膜、ポリパラキシリレン膜などの各種絶縁性プラスチックなどが使用可能である。
ソース電極2、ドレイン電極3およびゲート電極5を形成する材料としては、導電性を有する材料であれば使用可能である。具体的には、金、銀、銅、白金、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケルなどの金属、白金シリサイド、パラジウムシリサイド、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン、炭素、スズ酸化物、インジウム酸化物、インジウム・スズ酸化物(ITO)などの導電性無機材料、導電性を有する有機低分子化合物、導電性のπ−共役高分子などを用いるのが一般的であるが、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上使用しても差しつかえない。ソース電極2およびドレイン電極3としては、これらの中でも、とくに半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
ゲート電極5の形成方法としては、とくに制限がなく、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、化学蒸着(CVD)法、ラングミュア・ブロジェット(LB)法、スピンコート法、電解重合法が使用可能である。
ゲート絶縁膜4を形成する材料としては、絶縁性のものであれば、無機材料、有機材料のいずれでも使用可能である。一般的には、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルフェノール、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシリレン、ポリアクリロニトリル、各種絶縁性LB膜などが用いられる。また、これらの材料を、2種以上併せて用いてもよい。ゲート絶縁膜4の作製法としては、とくに制限はなく、たとえば、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法、蒸着法、スピンコーティング法、ディッピング法、クラスタイオンビーム蒸着法およびLB法などがあげられる。また、シリコンウエハーを、ゲート電極5と基板6を兼ねて用いる場合には、ゲート絶縁膜4としては、シリコンの熱酸化法などによって得られる酸化シリコン膜が好適である。
ソース電極2およびドレイン電極3は、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、CVD法、LB法、スピンコート法、電解重合法などにより、形成することができるが、これらに限られるものではない。
有機半導体薄膜1の作製法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スピンコート法、キャスト法、ディッピング法、ロールコート法、バーコート法およびLB法などがあげられ、目的に応じて使用できる。ただし、これら中では、生産性の点で、簡単に薄膜が形成できるスピンコート法、キャスト法、ディッピング法、ロールコート法、バーコート法などが好まれる。有機半導体化合物からなる有機半導体薄膜1の膜厚としては、とくに制限はないが、得られるトランジスタの特性は、有機半導体化合物からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多いため、膜厚は3000オングストローム以下であることが好ましい。
また、ゲート電極5と基板6を1つのp型シリコン基板またはn型シリコン基板で置き換えてもよく、この場合には、基板6を省略することができる。p型シリコン基板やn型シリコン基板の体積固有抵抗率は、とくに限定されないが、実用上は、有機半導体薄膜1の体積固有抵抗率よりも小さいことが好ましい。さらに、図1に示すTFTの使用目的に応じて、ゲート電極5と基板6をステンレス板、銅板、導電性高分子などの導電性の板またはフィルムによって置き換えることも可能である。
本発明の薄膜トランジスタのキャリア移動度は、好ましくは0.1cm2/Vs以上、より好ましくは0.3cm2/Vs以上である。キャリア移動度が0.1cm2/Vs未満ではトランジスタが駆動できる電流量が小さくなり、たとえば液晶などの画像表示装置のスイッチング素子として用いる場合にはトランジスタサイズを大きくしなければならず、画素開口率の低下をまねく。
また、on/off比は104以上であることが好ましく、105以上であることがより好ましい。on/off比が104未満ではトランジスタのoff抵抗が充分に高くならず、たとえば液晶などの画像表示装置のスイッチング素子として用いる場合には充電した画素の電荷を保持できなくなる。
本発明の薄膜トランジスタは、液晶などの画像表示装置の駆動制御を行なうスイッチング素子、あるいはインバータを構成してこれを集積化したIC回路などに用いることができる。
実施の形態2
本発明の薄膜トランジスタの一実施の形態を、図2を用いて説明する。図2は、本発明の薄膜トランジスタをスイッチング素子として用いた液晶表示装置の断面図を示した図である。
図2に示すように、基板6の左半部の上面にはゲート電極5が形成され、基板6の上面全面およびゲート電極5上にはゲート絶縁膜4が形成される。このゲート絶縁膜4の左半部の上面にはソース電極2およびドレイン電極3が形成され、ゲート絶縁膜4の右半部の上面には電極7が形成される。電極7はドレイン電極3に接続されている。さらに、ソース電極2およびドレイン電極3上、ならびにこれらの周辺のゲート絶縁膜4上に、本発明に係る有機半導体材料からなる有機半導体薄膜1が形成される。この有機半導体薄膜1により、ソース電極2とドレイン電極3間のチャネル形成領域が形成されており、基板6、ゲート電極5、ゲート絶縁膜4、ソース電極2、ドレイン電極3、有機半導体薄膜1からなるTFTを有する駆動部11Aが構成されている。
また、電極7上および有機半導体薄膜1上には液晶層8が形成され、液晶層8の上面の電極7の上方位置には透明電極9が形成されている。液晶層8上および透明電極9上には偏光板つきガラス板10が形成されており、電極7および透明電極9には配向処理が施されている。電極7、液晶層8、透明電極9およびガラス板10により液晶表示部11Bが構成され、ゲート電極5へのゲート電圧の制御によるTFTのon、offによって、液晶表示部11Bが駆動される。
図2中のTFTにおいて、有機半導体薄膜1、ソース電極2、ドレイン電極3、ゲート絶縁膜4、ゲート電極5および基板6を形成する材料は、実施の形態1で説明した薄膜トランジスタと同一の材料を用いることができ、また、その形成方法も同一である。
TFTのドレイン電極3に接続された電極7の材料は、充分な電導度を有し、液晶に不溶のものであれば、とくに限定されず、たとえば金、白金、クロム、アルミニウムなどの金属やスズ酸化物、インジウム・スズ酸化物(ITO)などの透明導電材または導電性を有する有機系高分子を用いてもよく、もちろんこれらの材料を2種類以上組み合わせてもよい。ただし、電極7には、SiOの斜め蒸着またはラビング等の配向処理を施しておく必要がある。
電極7は、ITOを用いるときはスパッタ法など、導電性高分子を用いるときはスピンコート法などにより、形成することができる。
液晶層8には、周知のようなゲスト・ホスト(GH)型液晶、ツイスト・ネマティック(TN)型液晶、スメクチックC相液晶などが用いられる。基板6にガラスを用い、電極7に透明導電材を用いる場合には、基板6に偏光板を取り付けることによって、コントラスト比を上げることができる。
液晶層8は、上下基板の間にスペーサーを挟んでできる空間に毛細管現象を利用し注入することなどにより、形成することができる。
また、透明電極9の材料としては、スズ酸化物、酸化インジウム、ITOなどの透明導電材を用いるのが一般的であり、適度の透明度を有する導電性有機系高分子を用いてもよく、あるいはこれらの材料を2種類以上組み合わせてもよい。ただし、透明電極9には、SiOの斜め蒸着またはラビング等の配向処理を施しておく必要がある。
透明電極9は、ITOを用いるならばスパッタ法など、導電性高分子を用いるならばスピンコート法などにより、形成することができる。
偏光板つきガラス板10に用いられる偏光板としては、偏光するものであれば、とくに限定されずに用いることができる。
また、有機半導体薄膜1上には、素子全体の保護を目的とした保護膜を設けてもよく、この場合保護膜には有機および/または無機の絶縁性材料が用いられる。
さらに、基板6およびゲート電極5をシリコンにより形成する場合には、ゲート絶縁膜4としてシリコンの熱酸化法などによって得られる酸化シリコン膜を用いることもできる。
図2に示す液晶表示装置の動作について説明する。
有機半導体薄膜1を形成する有機半導体化合物がp型の特性を示す場合について説明すると、ソース電極2を基準として透明電極9に負電圧を印加しておき、ゲート電極5に負のゲート電圧を印加することにより、ソース電極2・ドレイン電極3間の抵抗が減少してTFTがon状態となり、ドレイン電極3と電極7とが直列に接続されているために、液晶層8に電圧がかかり、液晶表示部11Bに所定の表示が行なわれる。
つぎに、ゲート電圧の印加を停止すると、ソース電極2・ドレイン電極3間の抵抗が大きくなってTFTがoff状態となり、液晶層8に電圧がかからなくなり、液晶表示部11Bの表示が消え、このようにゲート電圧の制御による駆動部11AのTFTのon・offにより、液晶表示部11Bの駆動を制御することができる。
また、有機半導体薄膜1がn型の特性を示す場合であっても、同様にゲート電圧の制御によって液晶表示部11Bの駆動を制御できる。
したがって、本発明の薄膜トランジスタをスイッチング素子として用いることにより、優れた性能を有する低価格の液晶表示装置を得ることができる。
以下、本発明の実施例を記述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中、キャリア移動度およびon/off比は、次のように測定した。
キャリア移動度の測定方法
薄膜トランジスタのキャリア移動度(μ)は、暗箱中、飽和領域(ゲート電圧VG<ソース・ドレイン間電圧VSD)におけるドレイン電流ISDを測定し、その結果より下記の式に従い決定した。
SD=Ciμ(W/2L)(VG−VT2
ここで、WとLはそれぞれ半導体のチャネル幅と長さであり、Ciはゲート誘電体層の単位面積当たりの静電容量、VGはゲート電圧、VTはしきい電圧を示す。測定に用いた装置のしきい電圧VTは、任意のゲート電圧VGに対する、飽和領域におけるISDの平方根をプロットし、このプロットにより得られた直線をISD=0まで外挿し、ISD=0となるときのVGの値より求める。
on/off比の測定方法
薄膜トランジスタのon/off比は、ゲート電圧VGがドレイン電圧VDと等しいかまたはそれ以上であるときの飽和ドレイン電流とゲート電圧VGがゼロのときのドレイン電流との比である。
実施例1
基板である直径2インチ、厚さ0.7mmの無アルカリガラスウエハー上に、通常の蒸着法、光リソグラフィー法およびエッチング法を用いて厚さ1000オングストロームのクロム薄膜パターンを形成した。その上に、通常の蒸着法およびマスク法を用いて厚さ5000オングストロームのSiOX絶縁膜を形成した。ついでこの絶縁膜上に、通常の蒸着法および光リソグラフィー法を用いて厚さ1000オングストロームのインジウム・スズ酸化物(ITO)薄膜パターンを形成した。このようにして作製した基板上に、式(2)で示される有機半導体化合物をクロロホルムに溶解した溶液を用いて、有機半導体材料薄膜をスピンコート法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
得られた薄膜トランジスタは絶縁ゲート電界効果トランジスタで構成され、図1に示すような断面をもつ。この場合、1は活性層となる有機半導薄膜、2はソース電極となるITO膜、3はドレイン電極となるITO膜、4はゲート絶縁膜となるSiO2蒸着膜、5はゲート電極であるクロム膜、6はガラスウエハ素子基板である。薄膜トランジスタのチャネル幅(W)、チャネル長(L)はそれぞれ2mm、5μmであった。
作製した薄膜トランジスタの電気特性は、キャリア移動度が0.1cm2/Vs、on/off比が2×105であった。この薄膜トランジスタを5日間、大気中に保存した後も性能の劣化は見られなかった。
Figure 2005322787
実施例2
n−ドープシリコンウエハの表面に、厚さ約300nmのSiO2膜を熱酸化により形成した。この基板はシリコンウエハーがゲート電極として機能する一方、SiO2膜はゲート絶縁膜として働く。この上に通常の蒸着法および光リソグラフィー法を用いて厚さ500オングストロームの金薄膜パターンを形成し、ソースおよびドレイン電極とした。この上に実施例1と同様の有機半導体薄膜を真空蒸着法およびスピンコート法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。上記トランジスタのチャネル幅(W)、チャネル長(L)はそれぞれ2mm、9μmであった。
実施例3
実施例2と同様の基板および電極を作製し、その上に式(3)で示される有機半導体材料薄膜を真空蒸着法およびスピンコート法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
Figure 2005322787
実施例4
実施例2と同様の基板および電極を作製し、その上に式(4)で示される有機半導体化合物からなる有機半導体材料薄膜を真空蒸着法およびスピンコート法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
Figure 2005322787
実施例5
実施例2と同様の基板および電極を作製し、その上に式(5)で示される有機半導体化合物からなる有機半導体材料薄膜を真空蒸着法およびスピンコート法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
Figure 2005322787
実施例2〜5において、真空蒸着法およびスピンコート法で作製した薄膜トランジスタの電気特性を表1に示す。
Figure 2005322787
また、実施例2〜5において作製した薄膜トランジスタは、いずれも、5日間大気中に保存したのち、性能の劣化は見られなかった。
実施例6
実験例2と同様の基板および電極を作製し、その上に、式(6)で示される有機半導体化合物からなる有機半導体材料薄膜を真空蒸着法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
Figure 2005322787
実施例7
実験例2と同様の基板および電極を作製し、その上に、式(7)で示される有機半導体化合物からなる有機半導体材料薄膜を真空蒸着法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
Figure 2005322787
実施例8
実験例2と同様の基板および電極を作製し、その上に、式(8)で示される有機半導体化合物からなる有機半導体材料薄膜を真空蒸着法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
Figure 2005322787
実施例9
実験例2と同様の基板および電極を作製し、その上に、式(9)で示される有機半導体化合物からなる有機半導体材料薄膜を真空蒸着法により形成し、本発明の薄膜トランジスタを得た。
Figure 2005322787
実施例6〜9において、真空蒸着法で作製した薄膜トランジスタの電気特性を表2に示す。
Figure 2005322787
本発明の有機薄膜トランジスタの断面図を示した図である。 本発明の有機薄膜トランジスタをスイッチング素子として用いた液晶表示装置の断面図である。
符号の説明
1 有機半導体薄膜
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極
6 基板
7 電極
8 液晶層
9 透明電極
10 偏光板つきガラス板
11A 駆動部
11B 液晶表示部

Claims (5)

  1. ソース電極とドレイン電極間のチャネルの電導度を、ゲート電極に印加するゲート電圧によって制御する薄膜トランジスタにおいて、該チャネルが形成される領域が、少なくとも1つ以上のメタロセン骨格部位、および5員環の複素芳香族環、6員環の芳香族環またはこれらの縮合芳香族環から構成される構造を有する有機半導体化合物からなる薄膜トランジスタ。
  2. メタロセン骨格部位がフェロセンである請求項1記載の薄膜トランジスタ。
  3. 有機半導体化合物が、式(1):
    Figure 2005322787
    {式中、R1〜R6は、水素原子、アルキル基(−Cn2n+1)またはアルコキシ基(−OCn2n+1)を表わす。nは1〜10の整数を表わす。}で示される化合物である請求項2記載の薄膜トランジスタ。
  4. 有機半導体化合物が、式(2):
    Figure 2005322787
    で示される化合物である請求項3記載の薄膜トランジスタ。
  5. 請求項1、2、3または4記載の薄膜トランジスタからなるスイッチング素子。
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