JP2005320984A - 土砂侵入防止装置及びこの土砂侵入防止装置を備えた減速装置 - Google Patents

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猛 栗原
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信夫 鵜沢
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裕二 井川
Shinichi Sekido
慎一 関戸
Soushi Shibukawa
壮史 澁川
Tomohiro Nagata
智大 永田
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Abstract

【課題】 フローティングシールを備えた減速装置の長寿命化を図る。
【解決手段】 回転する一方のケーシング3と固定された他方のケーシング1との間の隙間から内部への土砂の浸入を抑えるフローティングシール22を備えた土砂浸入防止装置において、前記一方のケーシング3と他方のケーシング1との対向部分に設けた第1のラビリンスシール26と、前記第1のラビリンスシ−ル26の外側における前記一方のケーシング3と他方のケーシング1との対向部に設けた土砂による防護壁生成用の空間30とを備えた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に用いられる土砂侵入防止装置及びこの土砂侵入防止装置を備えた減速装置に関する。
一般に、油圧ショベル等の装軌式車両に装備される走行用の減速装置は、車両のフレームに固定され内周側に回転源となる走行用モータが設けられる固定側のケーシングと、この固定側のケーシングの外周側に回転可能に設けられ走行用モータにより駆動される回転側のケーシングと、この回転側のケーシング内に設けられ走行用モータの回転を減速する減速歯車機構とによって大略構成されている。
この種の減速装置は、ケーシング内の潤滑油が外部に漏洩することを防止するために、前述した固定側のケーシングと回転側のケーシングとの対向部近傍の内側に、固定側,回転側のケーシングの内周側に軸方向で対向して配置された一対のシールリングと、これら各ケーシングの内周面と各シールリングの外周面との間にそれぞれ挟持された一対のOリングとからなるフローティングシールを設けているが、この種の減速装置を備えた走行装置が、土砂の附着し易い環境で使用されると、土砂が前述した固定側のケーシングと回転側のケーシングとの対向部に形成された隙間またはラビリンスシールを通して、ケーシング内に侵入し、更にはフローティングシールの部分に至り、そのシール部を損傷させ、油漏れを起こすことがある。
上述したフローティングシールの損傷を防止するために、固定側のケーシングと回転側のケーシングとの対向部における外周に、侵入する土砂を堆積する空間を画成するための別部材を着脱可能に設け、定期的に前記別部材を外して、前記空間内に堆積した土砂を排出する方策が提案されている(特許文献1参照)。
実開昭60−43772号公報
前述した従来技術においては、別部材を用意しなければならないので、部品点数、組立工数が増加すると共に、定期的に別部材を減速装置から外して、土砂堆積用の空間内に堆積した土砂を排出するという作業が必要となり、その結果、その間、走行装置を使用することができなくなるという憾みも生じる。
また、従来技術においては、上述した不具合を有するが、基本的には固定側のケーシングと回転側のケーシングとの対向部に形成された隙間及びラビリンスシールを通して、ケーシング内に土砂等の異物が侵入することは、その構成上、避けられないとの観点に基いて、侵入した異物を適宜外部に排出することを意図している。
本発明は、侵入した土砂を、その後侵入する土砂に対する防護壁機能を発揮させるという観点に基いてなされたもので、これにより、フローティングシールの長寿命化を図ることができる土砂浸入防止装置及びこの土砂侵入防止装置を備えた減速装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するために、第1の発明は、回転する一方のケーシングと固定された他方のケーシングとの間の隙間から内部への土砂の浸入を抑えるフローティングシールを備えた土砂浸入防止装置において、前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部分に設けた第1のラビリンスシールと、前記第1のラビリンスシ−ルの外側における前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部に設けた土砂による防護壁生成用の空間とを備えたことを特徴とする土砂浸入防止装置にある。
また、第2の発明は、回転する一方のケーシングと固定された他方のケーシングとの内周側にそれぞれ対向して配置され、軸方向の対向面が互いに摺接する一対のシールリングと、この各シールリングの外周面と前記各ケーシングの内周面との間にそれぞれ設けたOリングとからなるフローティングシールを備えた土砂浸入防止装置において、前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部に設けた第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールと、前記対向部における前記第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールとの間に設けた土砂による防護壁生成用の空間とを備えたことを特徴とする土砂浸入防止装置にある。
更に、第3の発明は、回転する一方のケーシングと固定された他方のケーシングとの内周側にそれぞれ対向して配置され、軸方向の対向面が互いに摺接する一対のシールリングと、この各シールリングの外周面と前記各ケーシングの内周面との間にそれぞれ設けたOリングとからなるフローティングシールを備えた土砂浸入防止装置において、前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部に設けた第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールと、前記第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールとの間における前記対向部に、土砂による防護壁生成用の空間を形成するように設けた凹み部とを備えたことを特徴とする土砂浸入防止装置にある。
また、第4の発明は、回転源を設けた固定側のケーシングと、前記固定側のケーシングに対して相対回転可能に設けられ前記回転源により駆動される回転側のケーシングと、前記回転側のケーシング内に設けた減速歯車機構と、前記固定側のケーシングと回転側のケーシングとの間に設けたフローティングシールとを備えた減速装置において、前記第1乃至第3の発明のいずれかの土砂浸入防止装置を備えたことを特徴とする減速装置にある。
本発明の土砂侵入防止装置によれば、侵入した土砂を、その後侵入する土砂に対する防護壁機能として発揮させることができるので、土砂によるフローティングシールの損傷を抑えることができる。その結果、フローティングシールの長寿命化を図ることができる。
本発明の土砂侵入防止装置を備えた減速装置によれば、侵入した土砂を、その後侵入する土砂に対する防護壁機能を発揮させることができるので、土砂によるフローティングシールの損傷を抑えることができる。その結果、減速装置の長寿命化を図ることができる。
以下、本発明の土砂侵入防止装置及びこれを備えた減速装置の実施の形態を油圧ショベルの走行用の減速装置に適用した場合を図面を用いて説明する。
図1は本発明の土砂侵入防止装置を備えた減速装置の一実施の形態を示すもので、この図1において、1は油圧ショベルのサイドフレーム(図示せず)に固定して設けた固定側のケーシングで、この固定側のケーシング1は、基端側がフランジ部1Aとなって前記サイドフレームに固定され、先端側には後述の回転側のケーシング3が設けられている。
また、この固定側のケーシング1の基端側には、回転側のケーシング3に向けて軸方向に突出する環状の突出部1Bが設けられている。この環状の突出部1Bの内周面1Cには後述のフローティングシール22が装着されている。そして、ケーシング1の内周側には走行用の油圧モータ2が一体に設けられている。この油圧モータ2の出力軸2A先端側には後述の太陽歯車11が設けられている。
3はケーシング1の外周側に回転可能に設けた回転側のケーシングで、この回転側のケーシング3内には、後述の減速歯車機構10,14,18等を潤滑するための潤滑油が封入されている。
また、回転側のケーシング3は、その基端側にフランジ部4Aを設けた円筒状のドラム4と、このドラム4の先端側に設けられ内周側が内歯5Aとなったリングギア5と、このリングギア5の端部に設けられ内周側が内歯6Aとなった他のリングギア6と、このリングギア6の端部を施蓋する蓋体7とによって大略構成されている。そして、このケーシング3は、ドラム4とケーシング1との間に設けた軸受8,8によってケーシング1に回転可能に支持されている。
9はドラム4のフランジ部4Aに設けた駆動輪9で、この駆動輪9には油圧ショベルの履帯(図示せず)が巻回される。さらに、ドラム4の基端側には、ケーシング1の環状の突出部1Bと軸方向で対向して環状の突出部4Bが突設されている。この環状の突出部4Bの内周面4Cには後述のフローティングシール22が装着されている
10はケーシング3のリングギア6内に設けられた1段目の減速歯車機構で、この減速歯車機構10は、油圧モータ2の出力軸2A先端側に一体形成された太陽歯車11と、この太陽歯車11とリングギア6の内歯6Aとに噛合し、太陽歯車11の周囲を自転しつつ公転する例えば3個の遊星歯車12(1個のみ図示)と、内周側が後述の太陽歯車15に噛合した状態で遊星歯車12をピン13Aを介して回転可能に支持するキャリア13とによって構成されている。
14は減速歯車機構10と一緒にリングギア6内に設けられた2段目の減速歯車機構で、この減速歯車機構14は、キャリア13に歯合する太陽歯車15と、この太陽歯車15とリングギア6の内歯6Aとに噛合する例えば3個の遊星歯車16(1個のみ図示)と、内周側が後述の太陽歯車19に噛合した状態で遊星歯車16をピン17Aを介して回転可能に支持するキャリア17とによって構成されている。
18はケーシング3のリングギア5内に設けられた3段目の減速歯車機構で、この減速歯車機構18は、キャリア17に歯合する太陽歯車19と、この太陽歯車19とリングギア5の内歯5Aとに噛合する例えば3個の遊星歯車20(1個のみ図示)と、ケーシング1の内周側に固定され遊星歯車20をピン21Aを介して回転可能に支持するキャリア21とによって構成されている。
22は固定側のケーシング1と回転側のケーシング3との対向部における内側に設けたフローティングシールで、このフローティングシール22は ケーシング1,3の内部に収容した潤滑油が外部に漏洩するのを防止すると共に、土砂、雨水等がケーシング1,3内に侵入するのを防止するものである。
また、フローティングシール22は、ケーシング1,3の環状の突出部1B,4Bの内周側にそれぞれ軸方向で対向して配置された一対のシールリング23,23と、この各シールリング23の外周面23Aとケーシング1,3の内周面1C,4Cとの間にそれぞれ挟持された一対のOリング24,24とによって構成されている。
ここで、各シールリング23は、軸方向で対向した互いの対向面のうち、径方向の外側部位が摺接面23B,23Bを構成している。
そして、フローティングシール22は、Oリング24の弾性力によりシールリング23に対して軸方向の押圧力を付与し、これにより各シールリング23の摺接面23Bを互いに摺接させ、両者の間を液密にシールする構成となっている。
25は固定側のケーシング1と回転側のケーシング3との対向部に設けた土砂浸入防止装置で、その詳細を図2を用いて説明する。この図2において、図1と同符号のものは同一部分である。26は固定側のケーシング1と回転側のケーシング3との対向部における内側部分に設けた第1のラビリンスシールで、この第1のラビリンスシール26は、固定側のケーシング1における突出部1Bに設けた環状の突起部1Dの外周面と、回転側のケーシング3における突出部4Bに設けた環状の突起部4Dの内周面とを隙間をもって対向させることによって形成されている。
27は固定側のケーシング1と回転側のケーシング3との対向部における外側部分に設けた第2のラビリンスシールで、この第2のラビリンスシール27は、固定側のケーシング1における突出部1Bに設けた環状の突起部1Eの内周面と、回転側のケーシング3における突出部4Bに設けた環状の突起部4Eの外周面とを隙間をもって対向させることによって形成されている。
28は第1のラビリンスシール26と第2のラビリンスシール27との間における固定側のケーシング1の端面に形成した環状の凹み部、29は第1のラビリンスシール26と第2のラビリンスシール27との間における回転側のケーシング3の端面に形成した環状の凹み部である。これらの凹み部28,29は侵入した土砂を溜め込んで土砂による防護壁生成用の空間30を形成する。この空間30は、第2のラビリンスシール27を通過した土砂を、積極的に溜め込む機能を有している。これにより、土砂溜め用の空間30内に溜め込まれた土砂は、この空間30内で乾燥されて固化し、その後、侵入する土砂がさらに内側に侵入することを抑える遮断部材として機能する。
前述した凹み部28,29は土砂溜め用の空間30の形成のために、極力対向して配置することが望ましい。
次に、上述した本発明の土砂浸入防止装置及びこれを備えた油圧ショベルの走行用の減速装置の一実施の形態の動作を図1及び図2を用いて説明する。
油圧モータ2に外部から圧油を給排して出力軸2Aを回転駆動すると、この回転はケーシング3内で減速歯車機構10,14,18により3段階に減速され、ケーシング3に高いトルクの回転力が伝達される。そして、ケーシング3に伝達された回転出力により履帯を駆動する。これにより、油圧ショベルを走行させることができる。
そして、このときに、フローティングシール22は、回転側のケーシング3に設けたシールリング23の摺接面23Bが、相手方となる固定側のケーシング1に設けたシールリング23の摺接面23Bに対して摺動することにより、固定側のケーシング1と回転側のケーシング3との間をシールする。これにより、ケーシング1,3内の潤滑油が外部に漏洩することを防止することできると共に、土砂等が両者の間に侵入することを防止することできる。
ところで、前述した減速装置が油圧ショベル等の建設機械の走行装置に設置された場合、建設機械の稼動現場の状況により、土砂、特に粘土質の土砂が、第2のラビリンスシール27の隙間から内部に侵入する。この土砂は土砂溜め用の空間30内に補足されて、堆積する。
前述した土砂溜め用の空間30内に堆積されて充満した土砂は、時間経過に伴って乾燥して、固化し、前記空間30内で環状の遮蔽部材としての機能を発揮するように変質する。この空間30内での環状の遮蔽部材は、その後、第2のラビリンスシール27の隙間を通して侵入してくる土砂の更にその内部への侵入を抑える。これにより、土砂によるフローティングシール22の損傷が極力抑えられる。
その結果、減速装置の長寿命化が可能となり、また、減速装置の保守時間が低減するので、この減速装置を備えた建設機械の休止時間も低減し、建設機械の稼動時間の向上を図ることができる。
また、本発明の実施の形態によれば、余計に部品や工数を増やす必要がないので、安価である。
なお、上述した本発明の土砂浸入防止装置における土砂溜め用の空間30を、断面半円状の凹み部28,29によって形成したが、例えば三角形等の他の形状に形成することも可能である。
また、上述した本発明の実施の形態では、油圧ショベルの走行用の減速装置に用いられるフローティングシールを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベルの上部旋回体を下部走行体上で旋回させるための旋回用の減速装置に適用してもよい。また、油圧ショベルの履帯を案内する上,下の案内ローラ、遊動輪等に適用してもよいし、さらに各種の産業機械の軸受装置にも広く適用できるものである。
本発明の土砂侵入防止装置の一実施の形態を備えた走行用の減速装置を示す縦断面図である。 図1に示す本発明の土砂侵入防止装置の一実施の形態を拡大して示す断面図である。
符号の説明
1,3 ケーシング
1B,4B 突出部
2 油圧モータ(回転源)
22 フローティングシール
25 土砂侵入防止装置
26 第1のラビリンス
27 第2のラビリンス
28 環状の凹み部
29 環状の凹み部
30 土砂による防護壁生成用の空間

Claims (4)

  1. 回転する一方のケーシングと固定された他方のケーシングとの間の隙間から内部への土砂の浸入を抑えるフローティングシールを備えた土砂浸入防止装置において、前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部分に設けた第1のラビリンスシールと、前記第1のラビリンスシ−ルの外側における前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部に設けた土砂による防護壁生成用の空間とを備えたことを特徴とする土砂浸入防止装置。
  2. 回転する一方のケーシングと固定された他方のケーシングとの内周側にそれぞれ対向して配置され、軸方向の対向面が互いに摺接する一対のシールリングと、この各シールリングの外周面と前記各ケーシングの内周面との間にそれぞれ設けたOリングとからなるフローティングシールを備えた土砂浸入防止装置において、前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部に設けた第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールと、前記対向部における前記第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールとの間に設けた土砂による防護壁生成用の空間とを備えたことを特徴とする土砂浸入防止装置。
  3. 回転する一方のケーシングと固定された他方のケーシングとの内周側にそれぞれ対向して配置され、軸方向の対向面が互いに摺接する一対のシールリングと、この各シールリングの外周面と前記各ケーシングの内周面との間にそれぞれ設けたOリングとからなるフローティングシールを備えた土砂浸入防止装置において、前記一方のケーシングと他方のケーシングとの対向部に設けた第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールと、前記第1のラビリンスシールと第2のラビリンスシールとの間における前記対向部に、土砂による防護壁生成用の空間を形成するように設けた凹み部とを備えたことを特徴とする土砂浸入防止装置。
  4. 回転源を設けた固定側のケーシングと、前記固定側のケーシングに対して相対回転可能に設けられ前記回転源により駆動される回転側のケーシングと、前記回転側のケーシング内に設けた減速歯車機構と、前記固定側のケーシングと回転側のケーシングとの間に設けたフローティングシールとを備えた減速装置において、請求項1乃至3のいずれかに記載の土砂浸入防止装置を備えたことを特徴とする減速装置。
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