JP2005313385A - 成形方法および成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑で狭小な部位が設けられる成形体である場合においても、簡素な押圧機構を成形金型に設けることにより離型時における成形体の変形不良の発生を効果的に防止でき、成形品の製造歩留りおよび生産性を大幅に改善できる成形方法および成形装置を提供する。
【解決手段】キャビティー2とコア3とから成る一対の成形型を閉止して形成した空間内部に樹脂材料を注入して硬化させて成形体4を形成し、この上記成形体4が形成された後に、上記一対の成形型が所定の間隔に開くまでの間、上記キャビティー2から進退自在に設けられた押圧体5の先端部を上記コア3の内面に当接させるとともに、上記押圧体5の先端部に隣接して形成された段差部26によって上記成形体4を上記コア内面側に押圧し、しかる後に上記成形型を開いて上記成形体4を取り出すことを特徴とする成形方法である。
【選択図】 図4
【解決手段】キャビティー2とコア3とから成る一対の成形型を閉止して形成した空間内部に樹脂材料を注入して硬化させて成形体4を形成し、この上記成形体4が形成された後に、上記一対の成形型が所定の間隔に開くまでの間、上記キャビティー2から進退自在に設けられた押圧体5の先端部を上記コア3の内面に当接させるとともに、上記押圧体5の先端部に隣接して形成された段差部26によって上記成形体4を上記コア内面側に押圧し、しかる後に上記成形型を開いて上記成形体4を取り出すことを特徴とする成形方法である。
【選択図】 図4
Description
本発明は成形方法および成形装置に係り、特に複雑で狭小な部位が設けられる成形体である場合においても、簡素な機構を成形金型に設けることにより離型時における成形体の変形不良の発生を効果的に防止でき、成形品の製造歩留りおよび生産性を大幅に改善できる成形方法および成形装置に関する。
近年、情報技術の進展に伴って、パーソナルコンピュータ等の電子機器の高機能化、小型化が進められており、これらの電子機器の各種精密部品要素や機能部品を収容する筐体の形状も複雑で小型化への要求はさらに高まっている。すなわち電子機器の筐体(外装ケーシング、ハウジング)には、電池パックやハードディスクドライブ(HDD)、拡張メモリー、モデム、無線LANモジュール、キー配列体(キーボード)等の機能部品を収納するための種々の凹陥部や筐体の強度を高める多数の補強リブが一体に成形されており、複雑で精細な形状が求められている。
上記筐体を構成する樹脂材料としては、一般にアクリル樹脂(ABS樹脂)とポリカーボネネートとの混合物等の熱可塑性樹脂プラスチック材料が広く使用されている。また、上記筐体の成形方法としては、特に複雑形状を有する製品を大量迅速に成形できる観点や自動制御化が可能な観点から、射出成形法や圧縮成形法が一般に用いられている。特にキャビティーとコアとから成る一対の成形型の内部空間に樹脂材料を注入して硬化させた後に離型して成形体を取り出す成形装置が広く採用されている。
上記従来の成形装置および成形方法においては、キャビティーとコアとから成る一対の成形型を閉止して内部に形成される空間に、溶融した熱可塑性樹脂等のプラスチック材料を射出注入して硬化させた後に離型して成形体を取り出す方式が採用されている。一般的に、プラスチック成形用金型は、キャビティー側が製品の外観面になり外観形状が複雑になる場合が多い。
この射出成形に用いる金型設計では、上記キャビティーとコアとから成る二つの金型部に分割し、成形樹脂を充填後、金型を開く(型開き)際に一方の金型(コア)に成形体全体が残るようにし、金型が全開に開き切る間近において、この金型(コア)内部から突出するエジェクターピン(ノックピン)の突き出しによって成形体がコアから離型され、外部に取り出される。
しかしながら、キャビティー側に突出するようなリブや突起物が形成されていたり、周囲が複数の開口部に囲まれた細長い帯状の狭小部が形成されていたり、周辺の成形体から孤立した狭面積のブリッジ状の部位が形成されたりしている成形体を射出成形で形成する場合、すなわち、上記リブや突起物が形成されるようにキャビティー側の形状が非常に複雑である場合には、成形樹脂が複雑な形状のキャビティー側に食い込み、離型抵抗が大きくなり当該樹脂部を保持してしまう。その結果、金型を開き始めた直後から、成形体の一部がキャビティー側に取り残される現象、いわゆる「キャビ取られ現象」を発生してしまう。こうして、成形体の大部分は離型抵抗が大きいコア側に残る一方で、上記の現象により、成形体の一部(狭小部)がキャビティー側に取り残されるため、成形体が大きく変形したり、曲げ応力によって白化を生じたりして不良品となり成形体の製造歩留りを大きく低下させる問題を生じていた。
上記問題点を解消するための従来例として、上記の金型とは別に新たに油圧機構等の駆動装置により成形体方向に駆動される可動部を備えた構造を有し、金型が開き初めた時点から設定した時間までの期間だけ、上記の可動部を駆動装置により成形体をコア面に押し付けるように構成した成形装置が提案されている。すなわち、金型に充填した溶融樹脂を冷却する工程中に、成形体方向に突き出し部を油圧シリンダーで前進させて、成形体全体を移動金型(コア)の成形面に押し止めながら金型を寸開し、成形体の固定金型側(キャビティ側)を離型し、この金型が寸開した状態で引き続き冷却工程を継続し、冷却工程の完了後、成形体の固定金型側を離型するように構成した成形装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、各成形面における離型が適切なタイミングで実施できるようになり、離型不良を生じさせずに、成形品の成形サイクルが短縮される効果が得られると報告されている。
特開平9−262879号公報(第1−4頁、図1−図3)
しかしながら、上記従来の成形装置においては、金型とは別に油圧機構等の駆動装置や、この駆動装置により成形体方向に駆動され成形体全体を押し止めるための可動部や、その可動部の動作制御手段等を新たに装備する必要が有り、成形装置の構成が複雑で大掛りになり、装置設備費が高価になる問題点があった。
また、油圧シリンダー等の駆動装置および可動部の摺動機構機材は、キャビティーの外側に突出するように配置されるので、その配置スペースが大きくて邪魔になり、成形作業および保守作業の障害になり易い問題点もあった。さらに配置される駆動装置および摺動機構機材は、成形金型本体部から突出するように配設されているので、他の物体等との衝突により機材の破損事故や故障も起り易い難点もあった。特に、前記特許文献1に記載された従来の成形装置においては、成形体を押し止めるための可動部の位置を規制するピン等が各押し止め部に設けられていないために、可動部によって成形体の一部が潰れて損傷してしまう問題点も提起されていた。
本発明は、上述した課題問題点を解決するためになされたものであり、複雑で狭小な部位(狭小部)が設けられる成形体である場合においても、簡素な機構を成形金型に設けることにより離型時における成形体の変形不良の発生を効果的に防止でき、成形品の製造歩留りおよび生産性を大幅に改善できる成形方法および成形装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る成形方法は、キャビティーとコアとから成る一対の成形型を閉止して形成した空間内部に樹脂材料を注入して硬化させて成形体を形成し、上記成形体が形成された後に、上記一対の成形型が所定の間隔に開くまでの間、上記キャビティーから進退自在に設けられた押圧体の先端部を上記コア内面に当接させるとともに、上記押圧体の先端部に隣接して形成された段差部によって上記成形体を上記コア内面側に押圧し、しかる後に上記成形型を開いて上記成形体を取り出すことを特徴とする。
前記成形体の狭小部とは、成形体を構成する全領域のうち、周囲が複数の開口部に囲まれた細長い帯状の部位または周辺の成形体から遠く孤立した狭面積のブリッジ状の部位を意味する。上記押圧体は成形体の上記狭小部に対向するキャビティー内から進退自在に突出するように配置される。
上記成形方法においては、押圧体の先端部がコア内面に当接されるために、成形時に押圧体が所定位置に保持される。この位置に押圧体が保持された状態で、段差部の形状に対応した成形体の狭小部が成形されるとともに、離型時にはこの狭小部が押圧体の段差部によってコア内面側に押圧保持されるために、成形体の狭小部がキャビティー側に移行することが効果的に防止され、成形体の離型不良率を大幅に低減できる。
また、一対の成形型が所定の開度に開くまでの間は、「金型の初期移動期間」であり、金型が開き始める時点から開き幅が数mm程度に達するまでの初期開き段階に要する時間を示している。固化した成形品を金型内から取り出すために、成形金型は成形体の厚さより大きい開度になるまで数cm以上移動する。なお、一般的に金型が開く際に移動するのはコア側であり、キャビティー側は固定された基台に据え付けられている。コア側の成形金型が開き始めると、まず成形体がキャビティー面から離れ、即ち、成形体がコア面に取り付いた状態で初期移動期間を経過し、更に金型が開き続けて完全に開き切る間近に、コア側から押出しピン(ノックピン)が突き出されて成形品をコア面から突き出して成形工程の1サイクルが終了する。
上記成形方法によれば、成形時に押圧体が所定位置に保持された状態で、段差部の形状に対応した成形体の狭小部が成形されると共に、離型時に狭小部が押圧体の段差部によってコア内面側に押圧保持されるために、成形体の狭小部がキャビティー側に移行することが効果的に防止され、成形体の離型不良率を大幅に低減できる。
また、本発明に係る成形装置は、キャビティーとコアとから成る一対の成形型の内部に樹脂材料を注入して硬化させた後に離型して成形体を取り出す成形装置において、上記一対の成形型が所定の開度に開くまでの間に成形体の一部をコア側の所定位置に押圧し続ける押圧体がキャビティー内部に配設されていると共に、この押圧体はキャビティー内でコア方向に延びるように形成されたシリンダー内を往復動するピストンと、このピストンを成形体側に付勢する弾性体とから成ることを特徴とする。
上記成形装置によれば、離型時に弾性体の付勢力によって押圧体がシリンダー内をコア方向に付勢され成形体の一部をコア側の所定位置に押圧し続けるために、成形体の一部がキャビティー側に移行することが効果的に防止され、成形体の離型不良率を大幅に低減できる。
また、上記成形装置において、前記押圧体の先端部には成形時にコア内面に当接する部位(先端当付け部)と、成形体の一部を形成する部位(段差部)とが形成されていることが好ましい。押圧体の先端部に成形時にコア内面に当接する部位(先端当付け部)を形成することにより、成形時における押圧体の位置決めが的確に実行されると共に、この位置決めされた状態で成形体の狭小部等の一部を上記段差部等によって形成することが可能であり、形成された狭小部が離型時にそのまま押圧体の部位(段差部等)によって押圧され続けるために、狭小部等の成形体の一部がキャビティー側に移行することが効果的に防止され、成形体の離型不良率を大幅に低減できる。
本発明に係る成形方法によれば、成形時に押圧体が所定位置に保持された状態で、段差部の形状に対応した成形体の狭小部が成形されると共に、離型時に狭小部が押圧体の段差部によってコア内面側に押圧保持されるために、成形体の狭小部がキャビティー側に移行することが効果的に防止され、成形体の離型不良率を大幅に低減できる。
また本発明に係る成形装置によれば、離型時に弾性体の付勢力によって押圧体がシリンダー内をコア方向に付勢され成形体の一部をコア側の所定位置に押圧し続けるために、成形体の一部がキャビティー側に移行することが効果的に防止され、成形体の離型不良率を大幅に低減できる。
次に本発明に係る成形方法および成形装置の実施形態について、以下の実施例に基づき添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係る成形方法を実施するための成形装置の一実施例を示す断面図である。図2は本発明に係る成形方法および成形装置を使用して形成された成形体の形状例を示す斜視図であり、成形体4としてパーソナルコンピュータ(PC)の筐体(ケーシング)を例にとり示している。また、図3は押圧体5の構成例を示す断面図である。
すなわち本実施例に係る成形装置1は、成形体の外面側形状を決定するキャビティー2と内面側形状を決定するコア3とから成る一対の成形型の内部に樹脂材料を注入して硬化させた後に離型して成形体4を取り出す成形装置1において、上記一対の成形型が所定の開度に開くまでの間に成形体4の一部をコア側の所定位置に押圧し続ける押圧体5がキャビティー2内部に配設されていると共に、第3図に示すように、上記押圧体5はキャビティー2内でコア3方向に延びるように形成されたシリンダー6内を往復動するピストン7と、このピストン7を成形体4側に付勢する弾性体8としてのコイルばねとを備えて構成されている。
また、図1に示すように成形装置1のキャビティー2は、固定側型板9を介して固定側取付け板10に固定されている一方、コア3は可動側型板11およびスペーサブロック12を介して可動側取付板13に固定されている。また、固定取付板10からキャビティー2を貫通し成形空間に開口するように樹脂注入口14が配設されている。さらに、対向するスペーサブロック12の内部空間には、棒状のエジェクターピン(押出しピン)15がキャビティー2側に進退自在に突出するように配置される。エジェクターピン15の頭部はエジェクタープレート16とリテーナープレート17との間で固定され、エジェクターピン15はエジェクタープレート16とリテーナープレート17と一体になって、サポートピラー18に沿って進退運動をするように構成されている。また、コア3を含めた可動側取付板13は、型駆動装置19によって矢印で示す可動方向に進退して型締め(型閉め)および型開きを行う。
上記一対の成形型を型締めした際に、成形金型のキャビティー2側とコア3側とが合わされる面がパーティング面であり、このパーティング面を含むキャビティー側の表面がキャビティー面であり、コア側の表面がコア面である。したがって、このキャビティー面とコア面とが直接接している部分がパーティング面であり、型締め状態でキャビティー面とコア面とが離れた部分の隙間が成形空間であり、この成形空間に溶融樹脂が充填され硬化されて成形体が製造される。
上記のような成形装置を適用して形成する成形体としては、例えば図2に示すように成形体4を構成する全領域のうち、周囲が複数の開口部19a,19aに囲まれた細長い帯状の狭小部20または周辺の成形体4から遠く孤立した狭面積のブリッジ状の狭小部を有するPC筐体等の電子機器ケーシングが例示できる。
図2において、円形で囲んで図示した領域(狭小部)20は、キャビティー側の形状が比較的複雑で、しかも幅が狭いブリッジのような形状を呈している。このように幅が狭い製品形状であると、領域内のコアー面の面積も少なくなり、コアー面が表面抵抗によって成形品を保持する保持力も小さくなる。一方、上記領域(狭小部)内において成形体4に補強リブ等が形成されキャビティー面の形状の複雑度が増すほどに、キャビティー側の離型抵抗が大きくなるため、型開き時に成形体4の狭小部20が容易にコアー面から離れキャビティー面側に取られてしまい、いわゆる「キャビ取られ現象」が発生し易い領域となる。
この成形体の狭い領域(狭小部)に「キャビ取られ現象」が発生すると、この領域内の成形個所のみが、周囲の成形個所に先立ってキャビティー側に部分的に持ち上げられてしまう。このときの成形初期段階においては、樹脂は完全に冷却されていないために、この部分的な持ち上げ力が成形品の狭小部を大きく変形させる力として作用し、この狭小部に歪みや反りを生じたり、部分的に膨張したりして成形不良を起こす原因となる。
そこで本実施例では、簡単な金型構造により上記「キャビ取られ現象」の発生を効果的に防止している。
図3は、図2におけるIII−III矢視断面図で表される成形体の狭小部20に、前記押圧体5を押し当てて成形している状態を示す断面図である。
上記押圧体5は成形体4の上記狭小部20に対向するキャビティー2内から進退自在に突出するように配置される。
図3に示すように、キャビティー2内から進退自在に突出するように配置される押圧部5は、キャビティー2内でコア3方向に延びるように形成されたシリンダー6内を往復動するピストン7と、このピストン7を成形体4側に付勢する弾性体8としてのコイルばねとを基本構成部品として備えている。さらに、キャビティー2内のシリンダー6と同軸上に弾性体押え金具21が嵌合固定されており、この弾性体押え金具21には、ストッパーヘッド22が所定の範囲内において往復動可能なように凹部23が形成されている。
上記ストッパーヘッド22とピストン7とは、連結ロッド24を介して一体に連結されている。また、弾性体8としてのコイルばねは、シリンダー6内で弾性体押え金具21とピストン7との間の空間において上記連結ロッド24を取り囲むように配置されている。なお、上記ピストン7とキャビティー2内のシリンダー6とは、このピストン7がシリンダー6内を円滑に摺動できる嵌合公差(隙間)で形成されている。
また上記弾性体押え金具24は、図3に示すように、上記シリンダー6内径より大きな外径を有しており、さらに上記ストッパーヘッド22が軸方向に摺動可能な凹部23と、上記連結ロッド24が摺動する開口穴28とを有している。上記弾性体押え金具24自体は、キャビティー内の窪み部に収納固定されている。上記ピストン7と弾性体押え金具(スプリングストッパー)24との間に弾性体8としてのコイルスプリング(コイルばね)が挟み込まれている。本実施例のように、弾性体8がコイルスプリングである場合には、図3に示すように、連結ロッド24の外周部に挿入される。このとき、コイルスプリングは圧縮された状態で挿入されているので、その復元力(付勢力)によって、常時このピストン7をコア3方向に押し出すように構成され、キャビティー面から外方に飛び出すように作用する。
なお、このピストン7の飛び出し寸法は、図3に示すストッパヘッド22の下端面と開口穴23の上端面との間の隙間Aに相当し、成形金型が開いた状態では、圧縮された弾性体8としてのスプリングの付勢力でピストン7と共にストッパヘッド22が下降し、上記隙間Aはゼロになる。
この押圧体5のピストン7先端部の一部には、金型が閉じた時に、コア面と接触してピストン7を位置決めする先端当付け部25が形成されている。この先端当付け部25は、金型が閉じた時に、コア面と接触しているので、プラスチック樹脂が存在しない部分となる。そのため、この部分は成形後の成形体にとって開口部になって現れる。
また、押圧体5のピストン7先端部の先端当付け部25に隣接して段差部26が形成される。この段差部26の形状は、プラスチック成形体の狭小部20の少なくとも一部を形成する形状をしている。例えば段差部26は、図3に示すように、キャビティー側およびコア側の少なくとも一方に突出する補強リブ27に対応する形状に形成される。
上記のような構成を有する成形装置1を使用して、図2に示すようなブリッジ状の狭小部20を有するPC筐体を成形体4として成形する場合は、以下のような手順で成形操作が遂行される。
まず、成形金型を閉止する場合、図4(A)に示すように、キャビティー面およびコア面のパーティング面が相互に接触する前に、先にピストン7の先端当付け部25がコア面の所定位置に当接して接触する。その後、更に成形金型が閉じていくと、上記ピストン7は、成形金型が閉じる寸法に相当する高さ分だけ持ち上がり、完全に成形金型が閉止した時点で、隙間Aがストッパーヘッド22と凹部23の底部との間に形成される。この状態で、図1に示す樹脂注入口14から溶融樹脂をキャビティー面とコア面との間の成形空間に充填することにより、ピストン7の段差部26に樹脂が浸透し補強リブ27が形成される。
次に、成形時の樹脂充填が完了した後に成形金型を開き、いわゆる型開きを開始した時点においては、図4(B)に示すようにキャビティー2の成形面とコア3の成形面とが徐々に離れ始め、両者間に隙間Bが形成される。しかし、上記ピストン7の先端当付け部25は、弾性体8としてのコイルスプリングの付勢力によってコア面と接触した状態を保持している。したがって、離型時に狭小部が押圧体5の段差部26によってコア内面側に押圧保持されるために、成形体4の補強リブ27を含む狭小部がキャビティー2側に移行することが効果的に防止され、成形体4の離型不良率を大幅に低減できる。
さらに成形金型の型開きが進行し、図4(B)に示す金型の開度を示す隙間Bが、図4(A)に示すストッパーヘッド22の移動距離に相当する隙間Aの寸法と同一の値になるまで、上記ピストン7の先端当付け部25とコア面とは接触した状態を維持し、この間補強リブ27は、ピストン7の段差部26によってコア3の成形面に押し当てられている。
その後、さらに成形金型の型開きが進行し、図4(B)に示す金型の開度を示す隙間Bが、ストッパーヘッド22の移動距離に相当する隙間Aの寸法を越えると、図4(C)に示すように、上記ピストン7の先端当付け部25もキャビティー面から離れることになる。
そして、成形体4の厚さ以上に成形金型の開度が上昇し成形金型から成形体4を排出することが可能になった時点で、図1に示すエジェクタピン15がキャビティー側に突き出され、コア3上に取り付いていた成形体4が押出されて離型し成形装置1から排出される。
上記成形金型のキャビティー2内に装着された押圧体5による成形体4の狭小部への押圧作用によって、成形金型が開き始めてコア3の成形面が所定の開度となるまでの初期移動の期間において、押圧体5に対向した成形体の狭小部がコア3の成形面に押し付けられた状態が維持されている一方、この期間に狭小部以外の成形体の領域は全てキャビティー2の成形面から離脱しており、かつ樹脂温度が更に降下して安定した硬化域に達しているので、成形体の補強リブ27を含む狭小部がキャビティー2側に持っていかれる、いわゆるキャビ取られ現象の発生を効果的に防止することが可能になり、成形体4の離型不良率を大幅に低減できた。
なお、図3に示す押圧体5では、ストッパーヘッド22とピストン7とを連結ロッド24で一体に結合した長尺の押圧体を使用している。しかしながら、本発明方法および装置で使用する押圧体は、前述の実施例で説明したものに限定されるものではなく、例えば図5に示すような構成を有する押圧体5aを使用することも可能である。
前述の実施例においては、ピストン7とストッパーヘッド22と連結ロッド24との3主要部品から構成される押圧体5を使用した例を説明しているが、上記連結ロッド24は必須部品ではない。上記連結ロッド24の本来の機能は以下の通りである。すなわち、シリンダー6内を往復摺動するピストン7の摺動面の長さが長い場合においては、両者間の摺動抵抗が過大になりピストン7の円滑な摺動が阻害される恐れがあるために、あえて連結ロッド24を設けて、ピストン7の摺動部長さを短縮している。しかし、キャビティー2の厚さが薄い場合には、押圧体の長さも短くする必要がある。この場合、連結ロッドを配設しない構造であれば、ピストン7の摺動面が長くならない。
上記連結ロッドを不要とした押圧体の構造例を図5に示す。すなわち、図5に示す押圧体5aは、ピストン7aとストッパーヘッド22aとの2つの主要部品から構成される。キャビティー2内に、上記ストッパーヘッド22aが軸方向に往復動自在に収納される空間が確保された窪み部28が設けられる一方、ストッパーヘッド22a上部に、弾性体8としてのコイルスプリングが収納出来る窪み29が形成され、この窪み29にコイルスプリング8が圧縮された状態で配置される。
さらに、上記押圧体5a全体をキャビティー2内に押さえ込む押え蓋30が装着されている。この押え蓋30をキャビティー2に固定する手段は、特に限定されるものではないが、図5に示す態様では、押え蓋30の外周に環状の雄ネジ部を設ける一方、キャビティー2に形成した穴31の内周面に雌ネジ部を設けて、上記押え蓋30を回転させながら締め付ける方式が好適である。
上記構成を有する押圧体5aを採用することにより、ピストン7aには圧縮された弾性体8としてのコイルスプリングの反発力(付勢力)が常時作用し、ピストン7aを常にコア3方向に押し付ける機構が実現する。
上記構成を有する押圧体5aを使用して成形操作を実行する手順は、先の実施例と同一であり、ストッパーヘッド22aの下面と窪み部28の底面との隙間Cが、前記実施例における隙間Aに相当する。そして、成形金型の型開きが進行し、キャビティー2の成形面とコア3の成形面との間隙(開度)が、この隙間Cに達するまでの間、成形体の補強リブ27を含む狭小部20が押圧体5aのピストン7aによってコア3の内面側に押圧保持されるために、成形体4の狭小部20がキャビティー2側に移行することが効果的に防止され、成形体4の離型不良率を大幅に低減できるという前記実施例と同一の効果が得られる。特に図5に示すように、連結ロッドを使用せず長さが短い押圧体5aは、キャビティー2の厚さが薄い成形装置に用いる押圧体として好適である。
以上説明の通り、本実施例に係る成形装置および成形方法によれば、成形時に押圧体5,5aが所定位置に保持された状態で、押圧体の段差部26の形状に対応した成形体4の狭小部20が成形されると共に、離型時に狭小部20が押圧体5の段差部26によってコア2の内面側に押圧保持されるために、成形体4の狭小部20がキャビティー2側に移行することが効果的に防止され、成形体4の離型不良率を大幅に低減できる。
また、離型不良が発生し易い成形体の特定部位に対向する金型のキャビティー内に部分的に押圧体を設け、型開き開始時に弾性体により押圧体が上記特定部位をコア面に押圧して保持させるという簡単な機構構造により、キャビ取られ現象を効果的に解消できるので製品歩留りが大幅に向上すると共に、安価で信頼性が高い成形金型が得られる。
特に成形体全体をコア面側に押し止めるための可動部を成形型の全面に設けるのではなく、上記離型不良が発生し易い成形体の特定部位にのみに部分的に押圧体を設けているため、成形装置が大掛かりにならず設備費の大幅な増加は少ない。
さらに、可動部としての押圧体を動作させるための新たな駆動機構およびその動作制御手段等を必要としないので、機材の故障や破損がなく、成形装置の保守管理が容易になり成形体の生産性を大幅に高めることができる。
特に、押圧体を構成する構造要素が全てキャビティー内にコンパクトに収納されるため、無駄なスペースがない。また、押圧体が成形装置本体側から突出することがないために、成形作業中に作業員の障害にならず作業環境が改善される。さらに、キャビティーから突出した部品が破損したり邪魔になったりする恐れも全くなく、作業の安全管理が容易になる等の優れた効果が得られる。
1…成形装置、2…キャビティー、3…コア、4…成形体(PC筐体)、5,5a…押圧体、6…シリンダー、7,7a…ピストン、8…弾性体(コイルばね)、9…固定側型板、10…固定側取付板、11…可動側型板、12…スペーサブロック、13…可動側取付板、14…樹脂注入口、15…エジェクターピン(押出しピン)、16…エジェクタープレート、17…リテーナープレート、18…サポートピラー、19…型駆動装置、19a…開口部、20…狭小部、21…弾性体押え金具、22,22a…ストッパーヘッド、23…凹部、24…連結ロッド、25…先端当付け部、26…段差部、27…補強リブ、28…窪み部、29…窪み、30…押え蓋、31…穴。
Claims (3)
- キャビティーとコアとから成る一対の成形型を閉止して形成した空間内部に樹脂材料を注入して硬化させて成形体を形成し、
上記成形体が形成された後に、上記一対の成形型が所定の間隔に開くまでの間、上記キャビティーから進退自在に設けられた押圧体の先端部を上記コア内面に当接させるとともに、上記押圧体の先端部に隣接して形成された段差部によって上記成形体を上記コア内面側に押圧し、
しかる後に上記成形型を開いて上記成形体を取り出すことを特徴とする成形方法。 - キャビティーとコアとから成る一対の成形型の内部に樹脂材料を注入して硬化させた後に離型して成形体を取り出す成形装置において、上記一対の成形型が所定の開度に開くまでの間に成形体の一部をコア側の所定位置に押圧し続ける押圧体がキャビティー内部に配設されていると共に、この押圧体はキャビティー内でコア方向に延びるように形成されたシリンダー内を往復動するピストンと、このピストンを成形体側に付勢する弾性体とから成ることを特徴とする成形装置。
- 前記押圧体の先端部には成形時にコア内面に当接する部位と、成形体の一部を形成する部位とが形成されていることを特徴とする請求項2記載の成形装置。
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