JP2005306663A - シリカナノチューブの製造方法とナノサイズ領域の微小温度計 - Google Patents
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Abstract
【課題】 十分に長い高配向性のシリカナノチューブあるいはインジウムが内含されたシリカナノチューブの製造方法とナノサイズ領域の微小温度計を提供する。
【解決手段】 珪素粉末と酸化インジウム粉末の混合物を、減圧下で1350〜1420℃に30〜60分加熱することにより、高配向性のシリカナノチューブあるいはインジウムが内含されたシリカナノチューブを製造する。
【選択図】 図3
【解決手段】 珪素粉末と酸化インジウム粉末の混合物を、減圧下で1350〜1420℃に30〜60分加熱することにより、高配向性のシリカナノチューブあるいはインジウムが内含されたシリカナノチューブを製造する。
【選択図】 図3
Description
この出願の発明は、シリカナノチューブの製造方法とナノサイズ領域の微小温度計に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、高配向性の超長シリカナノチューブあるいはインジウムが内含されたシリカナノチューブの製造方法とインジウムが内含されたナノサイズ領域の微小温度計に関するものである。
シリカナノチューブは、生化学分野における分析、触媒、分離等に有用である。このナノチューブは、鋳型を用いたゾル-ゲル法によって製造する方法が報告されている(たとえば、非特許文献1、2参照。)。また、銀ナノワイヤーや珪素ナノワイヤーを鋳型として
用い、シリカナノケーブルを作製し、このナノケーブルからコアを除去することにより、シリカナノチューブを製造する方法も知られている(たとえば、非特許文献3,4参照。)。しかしながら、これらの鋳型を用いる製造方法では、簡便に、十分に長いシリカナノチューブを製造することが困難であった。
「M.Zhang,ほか、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)80巻、491頁、2002年。」 「N.I.Kovtyukhova,ほか、アドバンスト・マテリアルズ(Adv.Mater.)15巻、780頁、2003年。」 「Y.D.Yin,ほか、ナノレターズ(Nano Lett.)2巻、427頁、2002年。」 「R.Fan,ほか、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)125巻、5254頁、2003年。」
用い、シリカナノケーブルを作製し、このナノケーブルからコアを除去することにより、シリカナノチューブを製造する方法も知られている(たとえば、非特許文献3,4参照。)。しかしながら、これらの鋳型を用いる製造方法では、簡便に、十分に長いシリカナノチューブを製造することが困難であった。
「M.Zhang,ほか、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)80巻、491頁、2002年。」 「N.I.Kovtyukhova,ほか、アドバンスト・マテリアルズ(Adv.Mater.)15巻、780頁、2003年。」 「Y.D.Yin,ほか、ナノレターズ(Nano Lett.)2巻、427頁、2002年。」 「R.Fan,ほか、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)125巻、5254頁、2003年。」
そこで、この出願の発明は以上のとおりの背景から、簡単なプロセスで、十分に長い高配向性のシリカナノチューブ類を製造することのできる新しい方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、珪素粉末と酸化インジウム粉末の混合物を、減圧雰囲気下で1350℃〜1420℃の範囲で加熱することを特徴とするシリカナノチューブ並びにインジウムが内含されたシリカナノチューブの製造方法を提供する。
そして、この出願の発明は、第2には、5×10-3Pa以下の気圧にまで減圧することを特徴とする上記方法を、第3には、珪素粉末と酸化インジウム粉末との重量比を1:0.5〜1:3の範囲とすることを特徴とする上記方法を提供する。
さらにこの出願の発明は、第4には、インジウムが内含されたシリカナノチューブであって、インジウムの長さの変化によって環境温度の計測を可能とすることを特徴とするナノサイズ領域の微小温度計を提供する。
上記のとおりこの出願の発明の製造方法によれば、従来に比べて、簡単なプロセスで十分に長い高配向性のシリカナノチューブとインジウムが内含されたシリカナノチューブを製造することができる。
そして、シリカナノチューブに内含されたインジウムの長さの変化によって環境温度の計測が可能なナノサイズ領域の微小温度計も提供される。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明においては、珪素粉末と酸化インジウム粉末の混合物を減圧雰囲気下で高温加熱することを特徴としているが、この加熱操作は各種の方法や装置で行うことができるが、たとえば好適には、上記の粉末混合物をアルミナ製るつぼに入れ、このるつぼをグラファイトの誘導加熱円筒管を有する縦型高周波誘導加熱炉中の中央部に取り付けることにより行うことができる。そして、加熱炉を5×10‐3〜1×10‐3Paに減圧しながら、るつぼ中の混合物を1350℃〜1420℃に30〜60分加熱する。珪素粉末と酸化インジウムの重量比については、生成されるシリカナノチューブ、インジウム内含のシリカナノチューブの生成割合等を考慮して定めることができるが、1:0.5〜1:3の範囲が好ましい。珪素の重量比がこの比よりも多いと生成物のシリカナノチューブ中に珪素のナノ構造物が混入する。珪素の重量比がこの範囲よりも少ないと、生成物中に酸化インジウムのナノ構造物が混入する。減圧度は高真空であることが望ましいが、装置の精度等の関係から上記の範囲が実用的に好ましい範囲であり、5×10‐3Paよりも気圧
が高いとインジウムが内含されたシリカナノチューブの純度が低下する。加熱温度は1350℃〜1420℃の範囲が好ましく、1420℃よりも高いと珪素が逸散しやすく、1350℃よりも低いと反応速度が遅すぎて良好な結晶の成長が妨げられる。加熱時間はたとえば30〜60分間が好ましく、60分で十分に結晶の成長が終了する。30分よりも短いと十分に長いナノチューブが得られにくい。加熱終了後、加熱炉を室温に冷却すると、円筒管の上部に灰黄色の繊維状物が堆積する。
が高いとインジウムが内含されたシリカナノチューブの純度が低下する。加熱温度は1350℃〜1420℃の範囲が好ましく、1420℃よりも高いと珪素が逸散しやすく、1350℃よりも低いと反応速度が遅すぎて良好な結晶の成長が妨げられる。加熱時間はたとえば30〜60分間が好ましく、60分で十分に結晶の成長が終了する。30分よりも短いと十分に長いナノチューブが得られにくい。加熱終了後、加熱炉を室温に冷却すると、円筒管の上部に灰黄色の繊維状物が堆積する。
この出願の発明において、上記の方法により、長さ0.9〜1.0ミリメートル、外径30〜120ナノメートル、チューブ壁の厚さ5〜20ナノメートルを有する高配向性のシリカナノチューブと、このチューブの中にインジウムが内含されたシリカナノチューブを得ることができる。
インジウムが液体状態である融点以上の温度域においては、シリカナノチューブに内含されたインジウムは、温度変化とともにシリカナノチューブ内でインジウムが膨張、収縮する。このため、シリカナノチューブに内含されたインジウムの長さは、インジウムが液体状態である温度域においては、温度の上昇とともに、インジウムが膨張し、その長さが長くなる。温度を下げるとインジウムが収縮して可逆的にその長さが短くなる。
このようなインジウムが内含されたシリカナノチューブは、予めインジウムの長さの変化と温度との関係を把握しておくことで温度計として適用することができる。たとえばナノサイズ領域で外部からの温度測定が困難な環境であっても、前記のインジウムが内含されたシリカナノチューブを用いて、インジウムの長さの変化から環境温度の計測が可能となる。
以上のように、インジウムが内含されたシリカナノチューブは、ナノサイズ領域の微小な温度計として有効に活用することができる。
以下の実施例により、この出願の発明をさらに詳細に説明する。もちろん、この出願の発明は、以下の例によって限定されるものではない。
シグマアルドリッチ社製の珪素粉末(純度99.99%)1gとシグマアルドリッチ社製の酸化インジウム粉末(純度99.99%)1gの混合物をアルミナ製るつぼに入れ、このるつぼをグラファイト誘導加熱円筒管を有する縦型高周波誘導加熱炉中の中央部に設置した。加熱炉を3.5×10‐3Paの減圧にして、1400℃で40分間加熱した。加
熱中、圧力は5×10‐2Paに上昇した。加熱終了後、加熱炉を室温に冷却すると、誘
導加熱円筒管の上部の750℃〜850℃になっていた部分に灰黄色の繊維状物が約0.05g堆積した。
熱中、圧力は5×10‐2Paに上昇した。加熱終了後、加熱炉を室温に冷却すると、誘
導加熱円筒管の上部の750℃〜850℃になっていた部分に灰黄色の繊維状物が約0.05g堆積した。
図1に、生成した繊維状物のX線回折のパターンを示した。正方晶系の結晶性のインジウム相と非晶性の相からなることが判明した。
図2(a)に、生成物の走査型電子顕微鏡像の写真を示した。十分に配向した一次元のナノ構造物であり、その長さは0.9〜1.0ミリメートルであることが確認された。そして、図2(a)の挿入図に見られるように、配向物の下部の層はほとんど透明で、上部の層は灰黄色の不透明物であることが分かる。図2(b)には、図2(a)の挿入図の下部の層の走査型電子顕微鏡像を示した。チューブ状であることと外径が30〜120ナノメートルであることが分かる。図2(c)には、図2(a)の挿入図の上部の層の走査型電子顕微鏡像の写真を示した。ナノチューブの先端に直径200〜500ナノメートルを有するナノサイズの球状物が存在することが分かる。
図3(a)に、生成物の透過型電子顕微鏡像の写真を示した。チューブの一方の端がチューブの直径の7〜8倍の球状物でシールされており、もう一方の端は開口しており、球状物は存在しない。また、ナノチューブ全体の約90%は球状物から連続的に充填物が含有されていることが分かる。また、図3(b)に示したように、約10%のナノチューブは完全に中空であった。ナノチューブの壁の厚さは5〜20ナノメートルであることがわかった。充填物が存在するナノチューブにおいては、その充填率はおよそ10〜30%であり、非充填率は70〜90%である。図3(c)の上の図に、充填物のない中空のナノチューブのX線エネルギー拡散スペクトルを示したが、酸素と珪素からなり、その原子比は約1.8で化学量論組成のシリカに近似していることが確認された。また、充填物のX線エネルギー拡散スペクトルを図3(c)の下の図に示したが、その組成はインジウムであることが確認された。なお、図3(c)に現れている銅のピークは試料を観察する際に用いた銅グリッドに由来するものである。
図4に、20〜500℃までの温度におけるインジウム内含シリカナノチューブの透過型電子顕微鏡像を示した。インジウムの融点は156℃であり、液体状態にある204℃、430℃、500℃における観察結果では、温度の上昇とともに、インジウムが膨張して、その高さが上昇していることが確認される。また、500℃から180℃に温度を下げるとインジウムが収縮して可逆的にその高さが低くなることが確認された。
この出願の発明によって、簡単なプロセスで、十分に長い高配向性のシリカナノチューブ、そしてインジウムが内含されたシリカナノチューブを得ることができ、これらは生体医用材料等に用いられるキラル化合物のラセミ体の分離や、ナノサイズ領域の微小な温度計としての利用が期待でき、産業上においても有効に活用することができる。
(b)は、インジウム内含および中空のシリカナノチューブの透過型電子顕微鏡像の図面代用写真である。
(c)は、中空シリカナノチューブおよび充填物であるインジウムのX線エネルギー拡散スペクトルの図である。
20〜500℃におけるインジウム内含シリカナノチューブの透過型電子顕微鏡像の図面代用写真である。
Claims (4)
- 珪素粉末と酸化インジウム粉末の混合物を、減圧雰囲気下で1350℃〜1420℃の範囲で加熱することを特徴とするシリカナノチューブ並びにインジウムが内含されたシリカナノチューブの製造方法。
- 5×10-3Pa以下の気圧にまで減圧することを特徴とする請求項1のシリカナノチューブ並びにインジウムが内含されたシリカナノチューブの製造方法。
- 珪素粉末と酸化インジウム粉末との重量比を1:0.5〜1:3の範囲とすることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカナノチューブ並びにインジウムが内含されたシリカナノチューブの製造方法。
- インジウムが内含されたシリカナノチューブであって、インジウムの長さの変化によって環境温度の計測を可能とすることを特徴とするナノサイズ領域の微小温度計。
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JP2004026509A (ja) * | 2002-05-24 | 2004-01-29 | Japan Science & Technology Corp | 金属酸化物ナノチューブ及びその製法 |
-
2004
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