JP2005298658A - ストリッパブルペイント - Google Patents

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JP2005298658A JP2004116143A JP2004116143A JP2005298658A JP 2005298658 A JP2005298658 A JP 2005298658A JP 2004116143 A JP2004116143 A JP 2004116143A JP 2004116143 A JP2004116143 A JP 2004116143A JP 2005298658 A JP2005298658 A JP 2005298658A
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Abstract

【解決手段】
熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)と有機溶媒と及び/又はα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)の重合体と活性水素及び/又は水酸基を含有する主剤と、分子中にイソシアナート基を有する硬化剤とからなるストリッパブルペイントである。
【効果】
本発明のストリッパブルペイントは、塩素を含有せず、乾燥性が良好で作業性が良く、高濃度の状態で厚膜にスプレー塗装することができる、金属、皮革、ガラス、セラミック、プラスチック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品の表面に十分な密着を発現して一時的にこれら表面を保護し、不要になった際は表面を汚すことなく剥離できる、被塗物の表面を変質、或いは傷めることのないものである。
【選択図】 なし


Description

本発明は、熱可塑性エラストマーからなるストリッパブルペイントに関する。さらに詳しくは、金属、皮革、ガラス、セラミック、プラスチック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品の表面に十分な密着を発現して一時的にこれら表面を保護し、不要になった際は表面を汚すことなく剥離できる、被塗物の表面を変質、或いは傷めることのないストリッパブルペイントに関するものである。
金属、皮革、ガラス、セラミック、プラスチック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品は完成してから、輸送、保管等を行うが、この時に他の物体に接触したり、大気中の防塵、煤煙、太陽光線、水分等に侵され、キズ、サビ、シミ、変色等が発生するという問題があった。これらの表面を一時的に保護したり、汚れを防止したりする目的で、スプレーや刷毛塗り等で材料に塗布し、かつ不要になった時点で剥離除去できるストリッパブルペイントが用いられている。
このようなストリッパブルペイントとしては例えば、塩化ビニルやクロロプレンのようなハロゲン化炭化水素等のラテックス(特許文献1)等が提案されてきた。しかしながら、これらは塩素を含有しているため、剥離後の塗膜を焼却する際にダイオキシンが発生する等の問題があった。また、アクリルエマルションを使用したストリッパブルペイント組成物(特許文献2,3)等が開示されている。しかし、これらは溶媒が水であることから乾燥性が悪く、作業性に問題がある。
特公昭44−3100号公報 特開平7−233338号公報 特開平8−155383号公報
本発明の課題は、塩素を含有せず、乾燥性が良好で作業性が良く、高濃度の状態で厚膜にスプレー塗装ができ、金属、皮革、ガラス、セラミック、プラスチック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品の表面に十分な密着を発現して一時的にこれら表面を保護し、不要になった際は表面を汚すことなく剥離できる、被塗物の表面を変質、或いは傷めることのないストリッパブルペイントを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成する塗料の開発に鋭意研究及び検討を重ねてきた結果、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)と有機溶媒と及び/又はα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)の重合体と活性水素及び/又は水酸基を含有する主剤と、分子中にイソシアナート基を有する硬化剤とからなるストリッパブルペイントが極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の[1]〜[7]で特定される。
[1]熱可塑性エラストマー(A)に、少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)を含む樹脂と、有機溶媒とからなるストリッパブルペイント。
[2]熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)の重合体と、有機溶媒とからなるストリッパブルペイント。
[3]熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)の重合体と、有機溶媒とからなる活性水素及び/又は水酸基を含有する主剤と、分子中にイソシアナート基を有する硬化剤とからなるストリッパブルペイント。
[4](1)有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)とを重合させるか、又は、(2)有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)とを重合させたのちラジカルを発生させ反応させるか、又は、(3)有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)で構成された重合体(C)とをラジカルを発生させ反応した樹脂であるストリッパブルペイント。
[5]熱可塑性エラストマー(A)に、少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)を含む樹脂を用いた[2]〜[4]のいずれかに記載のストリッパブルペイント。
[6]樹脂溶液に含まれる有機溶媒を、任意の溶媒で置換したストリッパブルペイント。
[7]無機材料を含有したストリッパブルペイント。
本発明のストリッパブルペイントは、塩素を含有せず、乾燥性が良好で作業性が良く、高濃度の状態で厚膜にスプレー塗装することができる、金属、皮革、ガラス、セラミック、プラスチック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品の表面に十分な密着を発現して一時的にこれら表面を保護し、不要になった際は表面を汚すことなく剥離できる、被塗物の表面を変質、或いは傷めることのないものである。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のストリッパブルペイントは、有機溶剤中、熱可塑性エラストマー(A)に、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)と重合開始剤をフィードしながら重合せしめた後、或いは熱可塑性エラストマー(A)とα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)に、重合開始剤をフィードしながら重合せしめた後に、さらにラジカルを発生させて反応を行う方法で製造することができる。また、熱可塑性エラストマー(A)に、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)で構成された重合体(C)を添加した後、ラジカルを発生させて反応を行う方法でも製造することができる。
さらに、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)を使用する事ができる。これらは、有機溶剤中、熱可塑性エラストマー(A)に、官能基を有するα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B1)と重合開始剤をフィードしながら重合せしめる方法でも製造することができ、また押出し機中で反応させたものを有機溶剤に溶解する方法でも製造する事ができる。
さらに、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)に、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)と重合開始剤をフィードしながら重合させる、或いは熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)とα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)に、重合開始剤をフィードしながら重合させる方法やさらにこのようにして得られた樹脂溶液に更にラジカルを発生させ反応を行う方法でも製造することができる。また、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)で構成された重合体(C)を添加した後、ラジカルを発生させて反応を行う方法でも製造することができる。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー(A)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体で代表される、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィンの単独または2種類以上の共重合体の熱可塑性エラストマ−が挙げられる。上記の中でも、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体が好ましく、これらは単独又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
また、その重量平均分子量(以下、Mwと略記する。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定可能である。)は通常、10,000〜700,000の範囲、好ましくは30,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜400,000である。
その他、熱可塑性エラストマー(A)としては、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−共役ジエンランダム共重合体の水素添加物等が挙げられ、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の構成としてはスチレン−共役ジエンのジブロック共重合体の水素添加物、スチレン−共役ジエン−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。ここで用いられる共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。上記の中でも、スチレン−イソプレン−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体の水素添加物が好ましい。
ここで用いられる熱可塑性エラストマーは、そのスチレンの含有量が通常2〜60重量%、より好ましくは3〜45重量%の範囲のものである。また、その重量平均分子量が10,000〜700,000の範囲が好ましく、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体の水素添加物では15,000〜500,000、さらには20,000〜400,000が好ましい。また、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物では10,000〜700,000、さらには50,000〜500,000が好ましい。
上記の熱可塑性エラストマーは、単独或いは2種以上併用して用いることができる。
さらに、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)は、上記記載の熱可塑性エラストマー、またはこれら2種以上の混合物に、以下記載の官能基を含有したα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B1)を反応させて得られるが、一部に反応しないものを含んでも何ら問題ない。
ここで用いられる、官能基を含有したα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B1)としては、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有ビニル類、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有ビニル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素化合物、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の無水カルボン酸類が挙げられ、これらは単独でも、2種以上でも使用できる。
上記官能基を含有したα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B1)の添加量は通常、熱可塑性エラストマー(A)の重量の0.5〜20重量%の範囲、より好ましくは1〜15重量%である。
本発明に用いられる、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)を以下に例示する。
α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有ビニル類、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有ビニル類及びこれらのモノエステル化物、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル類、ビニルイソシアナート、イソプロペニルイソシアナート等のイソシアナート基含有ビニル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル類、その他アクリロニトリル、メタクリルニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、及びメチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレン、プロピレン、C〜C20のα−オレフィン等が挙げられる。また、上記単量体、或いはその共重合体をセグメントに有し、末端にビニル基を有するマクロモノマー類等も使用できる。
また、本発明に用いられるその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマーとしては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の無水カルボン酸類等が挙げられる。また、ここに記載されたメチル(メタ)アクリレートのような記載は、メチルアクリレート及びメチルメタアクリレートを示す。
これらは、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を主成分として用いることが好ましい。また、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を主成分に、その他共重合可能な単量体を併用することもできる。本発明で用いられる重合体(C)は、上記記載のα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)により構成される。
ここで本発明では、上記の中でも被塗物に十分な密着性を発現するために、水酸基含有ビニル類、カルボキシル基含有ビニル類、エポキシ基含有ビニル類、アミド基含有ビニル類等の官能基を有するビニル類を少なくとも1種類を用いるか、設計Tgをある範囲内にする事が好ましい。例えば、官能基を有するビニル類の使用量は、通常樹脂の0.5〜45重量%、好ましくは1〜40重量%、更に好ましくは2〜30重量%である。設計Tgは−40〜60℃が好ましく、−30〜40℃がさらに好ましい。官能基を有するビニル類の添加量が少ないと十分な密着性を発現せず、また多くなると基材への密着力が発現して剥離できなくなる。また、設計Tgが高い場合は樹脂に粘着性がなく被塗物への十分な密着を発現できず、−40℃以下となった場合は塗膜にベタツキがあり塗膜の一部が被塗物に残存する。なお、「設計Tg」の計算方法は、Foxの式により決定され、「Bulletin of the American Physical Society,Series2,1巻,3号,123ページ以降(1956年)」に記載されている。
また、本発明では構成単位として、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有ビニル類、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有ビニル類等の活性水素及び/又は水酸基を持つ組成物を含有させることが必須で、活性水素及び/又は水酸基と反応可能な分子内にイソシアナート基を有する材料を用いてウレタン結合を有するストリッパブルペイントを得ることができる。
本発明でイソシアナート基を有する硬化剤を用いる場合、水酸基価がソリッドで10〜300KOHmg/gの範囲のものが好ましい。
本発明において、熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)或いはこれらの重合体(C)の比率は、重量比で(A)/(B)=1/9〜9.5/0.5、或いは(A)/(C)=1/9〜9.5/0.5、好ましくは(A)/(B)=2/8〜9/1、或いは(A)/(C)=2/8〜9/1である。熱可塑性エラストマー(A)の含有量が少なくなると被塗物との密着性が上がり剥離できなく、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)或いはこれらの重合体(C)の含有量が少なくなると被塗物への密着が不十分なものとなるため、上記範囲が好ましい。
本発明に用いる溶剤としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、イソオクタン、イソデカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等のエステル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等の有機溶剤を用いることができ、またこれらの2種以上からなる混合物であっても構わない。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素がより好適に用いられる。とりわけ、塗料樹脂用のストリッパブルペイントでは、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好適に用いられる。
本発明で用いる重合開始剤としては、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタ酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオアミド)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、単独或いは2種以上併用して用いることができる。
また、更にラジカルを発生させて反応を行う場合のラジカル発生方法は、例えば、光重合開始剤の存在下に光を照射する方法、又は有機過酸化物を添加する方法等、公知の方法を使用することができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ジアセチル、ベンジル、ベンゾイン、2−メチルベンゾイン、等の公知のカルボニル類、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド類、ベンゾキノン、アントラキノン、クロロアントラキノン、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン等のキノン類、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類等が挙げられるが、これらは単独或いは2種以上併用して用いても良い。又、これらの光重合開始剤には、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ピリジン、キノリン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアミン類、トリフェニルホスフィン等のアリルホスフィン類、β−チオジグリコール等のチオールエーテル類等を併用して用いても良い。
上記光重合開始剤の使用量は、前記熱可塑性エラストマー(A)と、共重合性モノマー(B)或いは重合体(C)との総重量に対し、通常、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲で用いる事で安定性に大きな効果が現れる。
また、有機過酸化物としては、分子内にtert−ブチル基及び/又はベンジル基を有する、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
本発明では、上記した有機過酸化物のうちでも、ジ−tert−ブチルパーオキサイドやtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートがより好適に用いられる。すなわち、分子内にtert−ブチル基及び/又はベンジル基を有する有機過酸化物は水素引抜能力が比較的高く、熱可塑性エラストマーとのグラフト率を向上させる効果がある。
上記有機過酸化物の使用量は、熱可塑性エラストマー(A)と、共重合性モノマー(B)或いは重合体(C)との総重量に対し、通常2〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%の範囲で用いる事で安定性に大きな効果が現れる。上記した範囲で有機過酸化物を使用する場合は、なるべく時間をかけ、これを少量ずつ添加することが好ましい。
上記のストリッパブルペイントを製造するにあたり、油脂類、油脂類の誘導体、エポキシ樹脂、ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を第3成分として用いることができる。
第3成分として用いられる油脂類としては、アマニ油、大豆油、ヒマシ油及びこれらの精製物が挙げられる。
第3成分として用いられる油脂類の誘導体としては、無水フタル酸等の多塩基酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール等の多価アルコールを骨格としたものを油脂(脂肪酸)で変性した短油アルキッド樹脂、中油アルキッド樹脂、長油アルキッド樹脂等、或いはこれにさらに天然樹脂、合成樹脂および重合性モノマーで変性したロジン変性アルキッド樹脂、フェノール変性アルキッド樹脂、エポキシ変性アルキッド樹脂、アクリル化アルキッド樹脂、ウレタン変性アルキッド樹脂等が挙げられる。
また、第3成分として用いられるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボラック等をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、ビスフェノールAにプロピレンオキサイド、またはエチレンオキサイドを付加しグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂等を挙げることができる。また、多官能アミンをエポキシ基に付加したアミン変性エポキシ樹脂等を用いても良い。さらに、脂肪族エポキシ樹脂、脂環エポキシ樹脂、ポリエーテル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、第3成分として用いられるポリエステルは、カルボン酸成分とアルコール成分を縮重合したものであり、カルボン酸成分として例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フマル酸等の多価カルボン酸およびその低級アルコールエステル、パラオキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、および安息香酸等の1価カルボン酸等を用いる事ができ、また2種類以上併用する事も可能である。
また、アルコール成分として例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−ペンタンジオール、2,2’−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を用いることができ、また2種類以上併用する事も可能である。
また、水酸基を有する上記ポリエステルに、分子内に重合性不飽和結合を有する無水カルボン酸を付加させることによって得られた分子内に重合性不飽和結合を含有させた樹脂も使用可能である。
上記、第3成分は、1種類でも使用できるし、2種類以上で併用しても何ら構わない。また、反応器中へフィードしながら添加することも、また最初に反応器内に仕込んで使用することも可能である。また第3成分の添加量は、樹脂成分に対し通常0.5〜60重量%、好ましくは2〜40重量%で用いる。
特に、第3成分として油脂類及び油脂類の誘導体を用いて得られた樹脂改質剤は、とりわけ各種オレフィン系樹脂との相溶性が良く、塗料との密着が良好で、特にヒマシ油を含むものは効果が大きい。
以上説明したような方法で得られたストリッパブルペイントについては、例えば、反応時の溶媒を脱溶媒した後、所望の溶剤を添加して樹脂を溶解・分散させる方法、或いは所望の溶媒を添加した後、反応時の溶媒を脱溶媒する方法等により、所望の溶媒組成の樹脂溶液に変更することもできる。
活性水素及び/又は水酸基と反応可能な分子内にイソシアナート基を有する硬化剤としては、フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート類、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアナート類、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート等の脂環族ジイソシアナート類、リジントリイソシアネ−トなどの3価以上のポリイソシアネート類、またこれらイソシアナート化合物の多量体であるビュレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、その他上記イソシアナートの一種又は二種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、キシリレングリコール、ブチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の3価アルコール等の多価アルコールとの付加物、イソシアナート基と反応可能な官能基を有する低分子量ポリエステル樹脂または水等との付加物、さらに低級1価アルコール、メチルエチルケトオキシム等公知のブロック剤でイソシアナート基をブロックされたいわゆるブロックイソシアネート等も使用可能である。また、イソシアナートのなかでも、相溶性からヌレート構造を有するものが好ましく、また塗膜の硬度からはイソシアナート基を1分子内に3個以上有するものは塗膜が硬くなり好ましく、さらには骨格に環構造を有するものが好ましい。
さらに、これらにジブチルチンジラウレート等の有機スズ化合物、オクチル酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、トリエチルアミン等のアミン類を外部触媒として添加することができる。
本発明では、硬化剤を用いる場合は活性水素及び/又は水酸基と反応可能な材料を任意の割合で混合させ、これらを反応させ塗膜を得ることができる。塗膜は、活性水素及び/又は水酸基とイソシアナート基を有する材料を加熱することで得られ、その混合比は、当量比で1.0:0.5〜0.5:1.0の範囲が好ましく、1.0:0.8〜0.8:1.0の範囲が更に好ましい。これら活性水素及び/又は水酸基とイソシアナートとの反応には、必要に応じて反応性触媒を併用することもできる。
本発明のストリッパブルペイントがとる構造としては、相分離構造がある。具体的には、熱可塑性エラストマー(A)、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された樹脂を中心とした成分と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)の重合体を中心とした成分がそれぞれ相を形成する。その構造は、一方がマトリックスを形成し、他方が球状、楕円等の独立相を有する海島構造や、両方の樹脂がそれぞれ相構造を持ち、その相構造が3次元的に連続している相分離構造、即ち共連続構造をとるものがある。海島構造をとるものは部分的に島同士がつながったものを有していても良く、また共連続構造を有するものは部分的に途切れた箇所や海島構造を含有していても良い。
これらの構造において、海島構造を有するものは、透過型電子顕微鏡で算出した平均粒子径が0.0001〜10μmの範囲が好ましく、0.0005〜5μmの範囲がさらに好ましい。また、共連続構造を有するものは、その網目の寸法は、厚さ方向に0.0001〜10μmの範囲が好ましく、0.0005〜5μmの範囲がさらに好ましい。
本発明のストリッパブルペイントは、必要に応じてポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂、或いはこれらの混合樹脂、或いはこれらの塗料樹脂等を混合することができ、また溶剤型熱可塑性アクリル樹脂塗料、溶剤型熱硬化性アクリル樹脂塗料、アクリル変性アルキド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、及びメラミン樹脂塗料等を混合して使用する事もできる。
また、本発明のストリッパブルペイントは、必要に応じて、アゾ顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アゾ染料、アントラキノン系染料等の染料、酸化チタン、モリブデン、カーボンブラック等の無機顔料等の着色剤、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱防止剤等の各種安定剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、湿潤剤、界面活性剤、防カビ剤、抗菌剤、防腐剤、触媒、充填剤、ワックス、ブロッキング防止剤、可塑剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、スリップ剤等の成分を含有させることができる。
本発明のストリッパブルペイントの塗布方法は特に限定するものではないが、噴霧塗布により行うのが好適であり、例えば、スプレーガンで被塗装表面に吹きつけ、塗布を行うことができる。塗布は通常、常温にて容易に行うことができ、また塗布後の乾燥方法についても特に限定はなく、自然乾燥や加熱強制乾燥等、適宜の方法で乾燥することができる。 塗工層の厚さは、用途等によって適宜選択されるため特に限定されるものではない。
また、本発明のストリッパブルペイントが塗工される基材に特に限定はないが、金属、皮革、ガラス、セラミック、プラスチック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品が挙げられる。
金属としては例えば、鉄、炭素鋼、鋳鉄、亜鉛メッキ鋼板、Zn−Fe系、Zn−Ni系等の合金メッキ鋼板、有機複合メッキ鋼板、ステンレス鋼、アルミニウム及びその合金、銅及びその合金、チタン及びその合金等が挙げられる。
ガラスとしては例えば、ほうけい酸ガラス、鉛ガラス、ソーダライムガラス、亜鉛ガラス、石英ガラス等が挙げられる。
セラミックとしては例えば、アルミナ、ステアタイト、フォルステライト、ジルコン、ベリリア、ジルコニア、窒化けい素、窒化アルミ、炭化けい素等が挙げられる。
プラスチックとしては例えば、アセタール、アクリル、メチルメタクリレート、アセチルセルロース、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ポリアクリルニトリル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル、ポリヒドロキシエーテル、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、スチレン及びその共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アルキッド、シアノアクリレート、エポキシ及びその変性物、メラミンホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、不飽和ポリエステル、ポリサルファイド、シリコーン、ユリアホルムアルデヒド等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
塗料樹脂としては例えば、熱可塑性アクリル樹脂塗料、熱硬化性アクリル樹脂塗料、アクリル変性アルキド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、及びメラミン樹脂塗料等が塗装されてなる表面等を挙げることができる。
これら被塗装材料の用途としては、特に限定されるものではないが例えば、建築材料および建築物、自動車材料および自動車、鉄道車両材料および鉄道車両、航空宇宙用材料および航空機、電気電子材料及び光ファイバ等の光部品を主とする通信機器材料、OA機器用材料、スポーツ用具材料、包装材料、電子楽器等の楽器材料、家具材料、医療材料等が挙げられる。
本発明のストリッパブルペイントは、その特徴から樹脂中に塩素を含有せず、乾燥性が良好で作業性が良く、高濃度の状態で厚膜にスプレー塗装ができる、金属、皮革、ガラス、セラミック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品の被塗物の表面に十分な密着を発現して一時的にこれら表面を保護し、さらには汚れを防止し、不要になった際は表面を汚すことなく剥離できる、被塗物の表面を変質、或いは傷めることのないストリッパブルペイントを提供することにある。
以下、本発明のストリッパブルペイントの製法および各種試験例を挙げ説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下において、部および%は特記していない限り重量基準である。尚、実施例、比較例の樹脂組成比を表1に記載した。
[実施例1]
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、熱可塑性エラストマーとしてセプトン2002を100部とメチルシクロヘキサンを250部仕込み、窒素置換しながら95℃に加熱昇温した。次いでこの中に、重合可能な単量体としてメチルメタアクリレート50部とスチレン27部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部とプラクセルFM−3を15部とメタクリル酸3部とtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1部(以下、PBOと略記する)の混合液を4時間かけてフィードした。フィード終了より1時間後にメチルシクロヘキサンを100部添加するとともに、PBOを0.5部添加した。このPBO添加より1時間後にPBOを1部添加した。さらに1時間経過後に1部、更にそれより1時間経過後に1部を添加し反応させた。最後のPBO添加より2時間放置して反応させてストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
なお、上記で熱可塑性エラストマーとして用いたセプトン2002はクラレ(株)製の水素添加スチレン−イソプレン共重合体で、重合可能な単量体として用いたプラクセルFM−3はダイセル化学工業(株)製の不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトンである。
[実施例2]
重合可能な単量体をメチルメタアクリレート40部とエチルアクリレート40部と2−エチルヘキシルアクリレートに変更した以外は実施例1と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例3]
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、熱可塑性エラストマーとしてセプトン2002を100部とメチルシクロヘキサンを180部仕込み、窒素置換しながら95℃に加熱昇温した。次いでこの中に、官能基を有する重合性モノマーとしてプラクセルFM−3を5部添加、分散させた後、PBOを5部添加して2時間反応させた。その後メチルシクロヘキサンを120部添加して、熱可塑性エラストマーの少なくとも一部が官能基で変性された樹脂を得た。次いで、反応器内を95℃に保持したまま、重合可能な単量体としてメチルメタアクリレート50部とスチレン27部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部とプラクセルFM−3を15部とメタクリル酸3部とPBO1部の混合液を4時間かけてフィードした。フィード終了より1時間後にPBOを0.5部添加し、更に1時間後にPBOを1部添加した。このPBO添加より2時間放置して反応させストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例4]
熱可塑性エラストマーをダイナロン1320Pに、初期に仕込むメチルシクロヘキサンを450部に変更した以外は実施例1と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。なお、上記で熱可塑性エラストマーとして用いたダイナロン1320PはJSR(株)製の水素添加スチレン−ブタジエン共重合体である。
[実施例5]
熱可塑性エラストマーをダイナロン1320Pに、初期に仕込むメチルシクロヘキサンを300部に変更した以外は実施例3と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例6]
初期に仕込む溶媒をアイソパーEに、仕込み量を450部に変更した以外は実施例1と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。なお、上記で溶剤として用いたアイソパーEはエクソン化学(株)製のイソパラフィン系の溶剤である。
[実施例7]
初期に仕込む溶媒をアイソパーEに、仕込み量を300部に変更した以外は実施例3と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例8]
実施例1で得られた樹脂液に、NCO/OH=1.1(モル比)となるように硬化剤であるD147N(三井武田ケミカル(株)製、商品名)を混合しストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例9]
樹脂液を実施例3に変更した以外は実施例8と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例10]
樹脂液を実施例4に変更した以外は実施例8と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例11]
樹脂液を実施例5に変更した以外は実施例8と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例12]
実施例1で得られた樹脂液に、酸化チタン顔料であるTipeqe−CR93(石原産業(株)製)を樹脂分に対して20%添加し分散させてストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例13]
樹脂液を実施例3に変更した以外は実施例12と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例14]
樹脂液を実施例4に変更した以外は実施例12と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例15]
樹脂液を実施例5に変更した以外は実施例12と同様の方法でストリッパブルペイントを得、その後各種の評価をした。
[実施例16]
実施例1において、評価に用いた基板を磨き鋼板にウレタン塗料を塗布した基板に変えて各種の評価をした。
[実施例17]
実施例1において、評価に用いた基板をアクリル板に変えて各種の評価をした。
[実施例18]
実施例1において、評価に用いた基板をガラス板に変えて各種の評価をした。
[比較例1]
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、トルエンを180部、酢酸エチルを120部仕込み、窒素置換しながら85℃に加熱昇温した。次いでこの中に、メチルメタアクリレート50部とスチレン27部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部とプラクセルFM−3を15部とメタクリル酸3部とPBO1部の混合液を4時間かけてフィードした。フィード終了より1時間後にPBOを0.5部添加し、更に1時間後にPBOを1部添加した。このPBO添加より2時間放置して反応させストリッパブルペイントを得た。
[比較例2]
比較例1で得られた樹脂液に、NCO/OH=1.1(モル比)となるように硬化剤であるD147N(三井武田ケミカル(株)製、商品名)を混合しストリッパブルペイントを得た。
[比較例3]
比較例1で得られた樹脂液に、酸化チタン顔料であるTipeqe−CR93(石原産業(株)製)を樹脂分に対して30%添加し分散させてストリッパブルペイントを得た。
[比較例4]
攪拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、熱可塑性エラストマーとしてセプトン2002を100部とトルエン400部を仕込み、90℃に加熱昇温し溶解させストリッパブルペイントを得た。これを用いて各種評価を行った。
<<評価>>
実施例、比較例で得られたストリッパブルペイントについて、スプレー適性、塗膜評価を行い、その結果を表2に示した。
<塗料のスプレー適性>
塗装ガン(岩田塗装機工業(株)製ワイダースプレーガン(商品名;W−88−13H5G))を使用し、霧化圧4kg/cm2 、ノズル1回転開き、塗装ブース内の温度30℃にて、各々実施例および比較例で得られたストリッパブルペイントをスプレーし、糸曳きが発生するか否かを観察し、発生しなかったものを○、1本でも発生したものを×とした。
<塗膜評価>
実施例、比較例で得られたストリッパブルペイントを製造時と同じ溶剤で希釈し、基板として、(1)トルエン/メチルシクロヘキサノン/n−ブタノール(=4/2/2)の混合溶剤で脱脂した磨き鋼板(8cm×15cm)、(2)前記の磨き鋼板にウレタン塗料(オレスターのQ174とNP1000)で塗膜を形成した鋼板、(3)トルエン/メチルシクロヘキサノン/n−ブタノール(=4/2/2)の混合溶剤で脱脂したアクリル板(8cm×15cm)(4)トルエン/メチルシクロヘキサノン/n−ブタノール(=4/2/2)の混合溶剤で脱脂したガラス板(8cm×15cm)のそれぞれの上に乾燥後の膜厚が1mm となるように噴霧塗布し、室温で24時間乾燥し、塗膜を得た。この塗膜について、密着性試験、耐酸性、耐水性の試験を行った。
密着性試験
(1)碁盤目剥離試験:JIS−K−5400に記載されている碁盤目剥離試験の方法に準じ、2mm幅で碁盤目を付けた試験片を作成し、セロテープ(ニチバン(株)品)を碁盤目上に貼り付けた後、速やかに90°方向に引っ張って剥離させ、碁盤目25個の中、剥離がないものを×、剥離した個数が1〜15個までを○、16個以上剥離したものを△とした。
(2)剥離試験:塗膜の端を剥離し、これを引っ張ることにより塗膜が切断されることなく剥離できるか評価した。すべて剥離されたものを○、途中で塗膜が切断したものを△、剥離ができないものを×とした。
耐水性
純水を塗膜表面に滴下し、24時間後の塗膜の外観を評価し、変化のないものを○、変化のあったものを×とした。
耐酸性
10%の硫酸を塗膜表面に滴下し、24時間後の塗膜の外観を評価し、変化のないものを○、変化のあったものを×とした。
乾燥性
塗工後、指触にてベタツキのなくなるまでの時間を測定した。30秒までにベタツキのなくなったものを○、30秒以上ベタツキがなくならないものを×とした。
Figure 2005298658
Figure 2005298658
本発明のストリッパブルペイントは、塩素を含有せず、乾燥性が良好で作業性が良く、高濃度の状態で厚膜にスプレー塗装ができる、金属、皮革、ガラス、セラミック、プラスチック、塗料樹脂等が表面を形成する製品、半製品の表面に十分な密着を発現して一時的にこれら表面を保護し、不要になった際は表面を汚すことなく剥離できる、被塗物の表面を変質、或いは傷めることのないストリッパブルペイントとして使用する事ができる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性エラストマー(A)に、少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)を含む樹脂と、有機溶媒とからなるストリッパブルペイント。
  2. 熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)の重合体と、有機溶媒とからなるストリッパブルペイント。
  3. 熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)の重合体と、有機溶媒とからなる活性水素及び/又は水酸基を含有する主剤と、分子中にイソシアナート基を有する硬化剤とからなるストリッパブルペイント。
  4. (1)有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)とを重合させるか、又は、(2)有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)とを重合させたのちラジカルを発生させ反応させるか、又は、(3)有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(B)で構成された重合体(C)とをラジカルを発生させ反応した樹脂である請求項2、3のいずれかに記載のストリッパブルペイント。
  5. 熱可塑性エラストマー(A)に、少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A1)を含む樹脂を用いた請求項2〜4のいずれかに記載のストリッパブルペイント。
  6. 樹脂溶液に含まれる有機溶媒を、任意の溶媒で置換した請求項1〜3のいずれかに記載のストリッパブルペイント。
  7. 無機材料を含有した請求項1〜3のいずれかに記載のストリッパブルペイント。
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