JP2005294253A - 電子源基板及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板1と、該基板1上に位置する一対の素子電極2,3及び該素子電極2,3間に設けられた、電子放出部5を有する導電性薄膜4を備えた電子放出素子と、少なくとも一対の素子電極2,3と接触して基板1の露出面上を覆う帯電防止膜6とを有する電子源基板について、非駆動時の低電圧時に素子電極2,3間に流れるリーク電流を抑える。
【解決手段】 帯電防止膜6に、当該帯電防止膜6を介して一対の素子電極2,3間に生じる電流を妨げるハイインピーダンス部7を設ける。
【選択図】 図2

Description

本発明は、1又は複数の電子放出素子を有する電子源基板、及び複数の電子放出素子をマトリクス状に並べて配線で連結した電子源基板を用いた画像形成装置に関する。
従来、絶縁性の基板上に、一対の素子電極と、該素子電極間に跨って形成され、電子放出部を有する導電性薄膜とからなる電子放出素子を設けた電子源基板について、基板の表面が帯電すると、電子放出素子の電子放出特性が不安定となり、また電子放出素子の放電劣化を生じることから、上記電極と導電性薄膜を設けた基板上に、帯電防止膜の構成材料を含む塗布液をスプレー塗布し、焼成して帯電防止膜を形成しておくことが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開平8−180801号公報 特開2002−358874号公報
ところで、帯電防止膜が形成される基板面には、電子放出素子を構成する素子電極や導電性薄膜が設けられており、さらに画像表示装置に使用される、複数の電子放出素子をマトリクス駆動する電子源基板においては、X方向配線及びY方向配線が設けられている。このため、素子電極、導電性薄膜、X方向及びY方向配線の厚さ等の微妙なバランスで電子放出素子近傍の帯電防止膜の膜厚が厚くなり、シート抵抗が低くなりすぎることを生じやすい。特に、帯電防止膜をスプレー塗布する場合は、上記の条件に加え、塗布液の表面張力と下地である基板表面の接触角等の条件により、帯電防止膜の膜厚の分布が生じやすい。このように帯電防止膜の膜厚が厚く、シート抵抗が過剰に下がってしまうと、非駆動時の低電圧時(例えば、非選択素子にかかる電子放出には至らない低電圧)においても、微弱ではあるが電流が流れ出すことから、消費電力が増大する問題がある。また、このような電子源基板を画像表示装置に使用する場合、本来必要な容量に比してこのリーク電流分だけ大きな容量の駆動用のドライバICを使用しなければならず、コストアップの原因となっている。
特に電子放出部近傍の帯電防止膜は、上述のリーク電流の増大に対する影響が大きいことが判明してきた。これを図22を用いて説明する。なお、図22において、1は絶縁性の基板、2,3は一対の素子電極、4は素子電極2,3間に跨って設けられた導電性薄膜、5は電子放出部となる間隙、6は帯電防止膜である。
本発明者らの研究によると、帯電防止膜6を高抵抗膜としても、図22に矢印で経路(電流経路)を示すように、導電性薄膜4に隣接する帯電防止膜6領域を介して流れる電流が一定量存在しており、この電流量がリーク電流の値に大きく影響している。詳細な現象は不明な点もあるが、本発明者らの考察では、導電性薄膜4の間隙5の部分が極めて高抵抗なため、導電性薄膜4を介した素子電極2,3間の電圧が間隙5に集中(間隙5を境に左側の導電性薄膜4は素子電極2とほぼ同電位、右側の導電性薄膜4は素子電極3とほぼ同電位となり、間隙5が実際の電圧印加部分となる)し、間隙5近傍の導電性薄膜4に接触する領域の帯電防止膜6は、他の部分より低抵抗なパス(電流経路)となり、リーク電流が集中していると考えている。
また、電子放出部近傍に比べると程度が下がるものの、同様の電流パスが一対の素子電極間にも存在するため、一対の素子電極2,3間においてもリーク電流対策が必要である。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、非駆動時の低電圧時に素子電極間に流れるリーク電流を抑えることができる電子源基板を提供すると共に、これによって画像形成装置に用いた場合のドライバICの負荷を低減し、容量の小さなドライバICの使用を可能とすることで、画像形成装置のコストを低減できるようにすることを目的とする。
上記目的のために、本発明は、基板と、該基板上に位置する一対の素子電極、及び該素子電極間に設けられ、電子放出部となる間隙を有する導電性薄膜を備えた電子放出素子と、少なくとも前記一対の素子電極と接触して前記基板の露出面上を覆う帯電防止膜とを有する電子源基板であって、前記帯電防止膜に、当該帯電防止膜を介して前記一対の素子電極間に生じる電流を妨げるハイインピーダンス部が形成されていることを特徴とする電子源基板を提供するものである。
また、本発明は、複数の前記電子放出素子と、各電子放出素子に接続されて、互いに交差する向に形成されたX方向配線及びY方向配線とを有する電子源基板と、該電子源基板からの電子線の照射によって画像を表示する画像形成部材を有する基板とが対向して配置されていることを特徴とする画像形成装置を提供するものでもある。
本発明の電子源基板は、帯電防止膜にハイインピーダンス部が設けられており、これにより、非選択電圧印加時において素子電極間に生じるリーク電流を防止することができ、消費電力を抑制することができる。また、リーク電流を防止できることから、電子放出効率〔素子電極間を流れる電流に対する放出電子(放出される電流)の比率〕の高い電子源を得ることが出来るため、この電子源基板を用いた画像形成装置においては、ドライバICとしてリーク電流を考慮した容量の大きなものを用いる必要がなく、ドライバICとして容量の小さなものを用いることでコストダウンを図ることができる。特に、電子放出部となる導電性薄膜の間隙につながって、導電性薄膜に隣接する帯電防止膜にハイインピーダンス部となる亀裂が形成されている形態においては、導電性薄膜に隣接する帯電防止膜を電流が流れる場合、この亀裂を迂回して流れることになり、ハイインピーダンス部である亀裂が存在しない場合に比して電流経路が長くなる結果、導電性薄膜に隣接する帯電防止膜を流れるリーク電流を大幅に低減することが可能となる。
以下、本発明についてさらに説明する。
図1及び図2は、本発明に係る電子源基板における1つの電子放出素子周りの基本構成を示す模式図で、図1は断面図、図2は平面図で、図中、1は基板、2,3は一対の素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部、6は帯電防止膜、7は帯電防止膜6に形成されたハイインピーダンス部(図2参照)である。
基板1は、例えばガラス等の絶縁性材料で構成されている。この基板1は、一対の素子電極2,3及び電子放出部5を有する導電性薄膜4で構成された電子放出素子の電子放出特性に悪影響を及ぼさないよう、青板ガラス等のナトリウムの少ないガラスの上にナトリウムブロック層として厚さ0.5μm程度のシリコン酸化膜を形成したものや石英板等が好ましい。
素子電極2,3の材料としては、一般的な導電材料を用いることができる。例えばNi、Cr、Au、Mo、Pt、Ti等の金属、Pd−Ag等の合金、金属とガラス等から構成される印刷導電体、ITO等の透明導電体等から適宜選択することができる。その膜厚は、好ましくは数百Åから数μmの範囲が適当である。
素子電極2,3間の間隔、素子電極2,3の長さ、素子電極2,3の形状等は、電子源基板の用途等に応じて適宜設計されるが、一般的な素子電極2,3間の間隔は1μm〜100μm、素子電極2,3の長さは数μm〜数百μmである。
素子電極2,3の形成方法としては、一般的なスパッタリング等の成膜法とフォトリソグラフィーによるパターニングや、オフセット印刷等の印刷法等を用いることができる。
導電性薄膜4は、良好な電子源特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜であることが特に好ましく、その膜厚は、素子電極2,3間へのステップカバレッジ、抵抗値、後述するフォーミング条件等によって適宜選択されるが、1nm〜50nmであることが好ましい。
また、導電性薄膜4の抵抗値は、後述するフォーミング前の状態(電子放出部5の形成前の状態)では、フォーミング工程を行いやすくするために、ある程度の大きさであることが好ましく、具体的には103Ω/□〜107Ω/□であることが好ましい。この反面、フォーミング後(電子放出部5を形成した後)の導電性薄膜4は、素子電極2,3を介して電子放出部5に十分な電圧を印加できるよう、低抵抗であることが好ましいことから、導電性薄膜4は、103Ω/□〜107Ω/□のシート抵抗値を持つ金属酸化物の薄膜として形成し、フォーミング処理後に還元して、より低抵抗な金属薄膜とすることが好ましい。従って、最終的な状態での導電性薄膜4の抵抗値の下限は特に限定されない。なお、ここでいう導電性薄膜4の抵抗値とは、電子放出部5を含まない領域で測定されるシート抵抗値を意味している。
導電性薄膜4の材料としては、Pd、Pt、Ru、Ag、Au等の金属、PdO、SnO2、In23等の酸化物、HfB2等の硼化物、TiC、SiC等の炭化物、TiN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等が挙げられる。形成方法としては、インクジェット塗布法、スピンコート法、ディッピング法、真空蒸着法、スパッタリング法等、様々な手法が適用可能である。
帯電防止膜6の構成材料としては、炭素材料や、酸化スズ、酸化クロム、酸化アンチモン、ITO等の金属酸化物や、導電性材料が酸化シリコン等に分散されたもの等を好適に用いることができる。帯電防止膜6の抵抗値は、放電を防止するためには、1012Ω/□程度以下のシート抵抗値であること、またリーク電流を押さえる観点からは、1×109Ω/□以上の抵抗に制御することが好ましい。帯電防止膜6の膜厚は、所望の抵抗値に応じて決定されるが、一般的には1nm〜100nmであることが好ましい。帯電防止膜6の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、ディッピング法、スプレーコート法、スピンコート法、炭素系ガスによる電子ビームによる重合法、あるいはプラズマ重合法、CVD法等が挙げられる。
図示される帯電防止膜6は、素子電極2,3及び導電性薄膜4上にまで形成されているが、少なくとも素子電極2,3及び導電性薄膜4と接触する状態で基板1の露出面を選択的に覆うようにパターニングして設けたものとすることもできる。
ハイインピーダンス部7は、帯電防止膜6を介して前記一対の素子電極間2,3に生じる電流を妨げるもので、帯電防止膜6を、素子電極2と連続する領域と、素子電極3に連続する領域とに区分する位置に設けられている。また、ハイインピーダンス部7は、上記電流を妨げることができるよう、ハイインピーダンス部7に隣接する帯電防止膜6のシート抵抗値の100倍以上のシート抵抗値を有することが好ましく、具体的には1012Ω/□より大きいシート抵抗値を有することが好ましい。
ハイインピーダンス部7は、帯電防止膜6の薄膜化部又は不連続部として形成することができ、例えば、帯電防止膜6の形成を基板1の露出面全面に行わずに、隙間(不連続部)を残して形成することで、素子電極2側の帯電防止膜6と素子電極3側の帯電防止膜6とを部分的に分離形成したり、少なくとも基板1の露出面全面に帯電防止膜6を形成した後、例えばレーザー光の照射等で、素子電極2側の帯電防止膜6と素子電極3側の帯電防止膜6との間に薄膜化部又は不連続部を形成すること等によって設けることができる。このハイインピーダンス部7の形成手法については実施例において詳述する。
次に、導電性薄膜4に電子放出部5を形成するためのフォーミング工程について説明する。
フォーミング工程では、真空雰囲気下で、外部電源より電圧を印加し、素子電極2,3間に通電することによって導電性薄膜4を局所的に破壊、変形もしくは変質させ、電気的に高抵抗な状態の間隙状の電子放出部5を形成する。印加する電圧は、一般にパルス波形を用い、図3(a)に示されるように、パルス波高値が定電圧のパルスを印加する場合と、図3(b)に示されるように、パルス波高値を増加させながら印加する場合とがある。図3(a)におけるパルス幅T1は通常1μsec〜10msec程度、パルス間隔T2は通常10μsec〜100msec程度であり、波高値(フォーミング時のピーク電圧)は導電性薄膜4の材質などに応じて適宜選択される。また、図3(b)におけるパルス幅T1とパルス間隔T2は上記図3(a)と同様で、波高値及び波高値の増加量は、導電性薄膜4の材質などに応じて適宜選択される。
導電性薄膜4として金属酸化物を用いた場合、若干の水素等の還元性を有するガスを含む雰囲気下で通電加熱すると、導電性薄膜4を還元しつつ電子放出部5を形成することができる。当初金属酸化物を主成分とする導電性薄膜4は、フォーミングを終えた後には、金属を主成分とする導電性薄膜4となり、電子放出素子を駆動する際の抵抗を低減することができる。また、導電性薄膜4を完全に還元するための工程を付加することもできる。
フォーミング処理の終了は、フォーミング用パルスの間に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度のパルス電圧を挿入して素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えばフォーミング処理前の抵抗に対して1000倍以上の抵抗を示した時点で終了とすることができる。
尚、後述のように、帯電防止膜への亀裂形成のための追加フォーミングを行う場合は、上述のようにフォーミング前の導電性薄膜4の抵抗値に対して1000倍以上の抵抗値を示した後に、このフォーミング工程よりも高エネルギーのフォーミングを、更に行うことを意味する。
次に、フォーミング工程により形成された電子放出部5内及びその周辺の導電性薄膜4上に、図1及び図2では不図示の炭素及び/又は炭素化合物を主成分とする膜を配置するための活性化工程について説明する。
活性化工程は、例えば真空中に適当な炭素化合物のガスを導入し、素子電極2,3間にパルス電圧を印加することによって行なう。活性化工程を行なうことにより、電子放出部5の近傍から放出される放出電流を大幅に増大させることができる。
活性化工程における好ましい炭素化合物のガス圧は、電子源基板の用途、炭素化合物の種類等によって異なるため、場合に応じて適宜設定される。
適当な炭素化合物としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒドル類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることができる。導入する炭素化合物の圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材、炭素化合物の種類等によって若干影響されるが、例えばトリニトリルの場合、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好ましい。
上記炭素化合物の存在下で素子電極2,3間にパルス電圧を印加する処理により、雰囲気中に存在する炭素化合物から、炭素及び/又は炭素化合物からなる膜が、前記フォーミング工程により形成された電子放出部5内及びその周辺の導電性薄膜4上に形成される。
図4(a),(b)は、活性化工程で用いられる印加電圧波形の好ましい例を示すもので、印加する最大電圧値は通常10〜20Vの範囲で適宜選択される。図4(a)中、T1は、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正負の絶対値が等しく設定される。また、図4(b)中、T1及びT1′はそれぞれ、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T1′であって、電圧値は正負の絶対値が等しく設定される。
活性化工程は、素子電流又は放出電流を測定しながら行い、素子電流又は放出電流が所望の値となったところで終了とすることができる。なお、印加するパルス電圧のパルス幅、パルス間隔、パルス波高値等も、炭素化合物の種類やそのガス圧等に応じて適宜設定される。
次に、上記のような電子原基板であって、複数の電子放出素子を備えた電子源基板と、それを用いて画像表示を行う画像形成装置の構成例について図5及び図6で説明する。
図5は複数の電子放出素子を備えた電子源基板の模式的平面図(但し、帯電防止膜6は省略)、図6はそれを用いた画像形成装置の一部切欠斜視図で、図1及び図2と同じ符号は同様の部材を示す。
図5に示されるように、本電子源基板は、基板1上に複数対の素子電極2,3を設けると共に、各対の素子電極2,3間に跨って、電子放出部5を有する導電性薄膜4を設けたものとなっている。また、帯電防止膜6には、この帯電防止膜6を介して各対の素子電極2,3間に流れるリーク電流を抑制できる位置にハイインピーダンス部7が形成されている。
基板1上には、一方の素子電極3に接続されてY方向配線(下配線)8が設けられており、さらに絶縁層9を介して、Y方向配線8と交差する方向に、他方の素子電極2に接続されたX方向配線(上配線)10が設けられている。これらのY方向配線8及びX方向配線10に関しては、電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給されるように低抵抗であることが望まれ、材料、膜厚、配線幅等が適宜設定される。また、Y方向配線8及びX方向配線10、絶縁層9の形成方法の例としては、印刷法やスパッタリング法とフォトリソグラフィ技術の組み合わせ等を用いることができる。各電子放出素子は、上記Y方向配線8及びX方向配線10を介して素子電極2,3間に電圧を印加することで、選択的に駆動することができるようになっている。
上記図5に示される電子源基板は、図6に示される画像形成装置においては、リアプレート60として配置されている。このリアプレート60と相対向して、ガラス等の透明な絶縁性の基板61の内面に蛍光膜62とメタルバック63等が形成されたフェースプレート64が設けられている。65は支持枠であり、リアプレート60、支持枠65及びフェースプレート64はフリットガラス等で封着されており、パネル状の密閉容器を構成している。
上記リアプレート60、支持枠65及びフェースプレート64で囲まれた空間は真空雰囲気とされる。この真空雰囲気の形成は、リアプレート60又はフェイスプレート64に排気管を設けておき、内部を真空排気した後、排気管を封止することでも行うことができるが、支持枠45を介して行われるリアプレート60とフェースプレート64の封着を真空チャンバー中で行うことで、真空雰囲気の形成を容易化することができる。
画像の表示は、上記の画像形成装置に電子放出素子を駆動するための駆動回路を接続し、Y方向配線8及びX方向配線10を介して所望の素子電極2,3間に電圧を印加し、電子放出部5(図1〜図3参照)から電子を発生させると共に、高圧端子66からアノード電極であるメタルバック63に高電圧を印加して電子ビームを加速し、蛍光膜62に衝突させることで行うことができる。
フェースプレート64とリアプレート60間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持つ大面積のパネル状密閉容器を構成することができる。
一対の素子電極2,3間に跨って、電子放出部5(図3参照)を有する導電性薄膜4を設けた電子放出素子は、表面伝導型電子放出素子と称されるもので、この表面伝導型電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部(電子放出部5)からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極2,3間に印加するパルス状電圧の波高値と幅によって制御され、その中間値によっても電流量が制御されるので、中間調表示が可能になる。また、本例のように多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の電子放出素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の電子放出素子に適宜電圧を印加することが可能となり、任意の電子放出素子をONすることができる。
尚、ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。
まず、素子電極2,3の形成から導電性薄膜4の形成までを図7及び図8に基づいて説明する。図7は、複数の電子放出素子を備えた電子源基板の製造工程中、導電性薄膜4の形成前の状態を示す平面模式図、図8は、複数の電子放出素子を備えた電子源基板の製造工程中、フォーミング前の状態を示す平面模式図である。
〔素子電極の形成〕
図7における基板1としては、アルカリ成分が少ない「PD200」(旭ガラス(株)社製)の2.8mm厚ガラスを用い、さらにこの上にナトリウムブロック層として100nm厚のSiO2膜を塗布焼成したものを用いた。
X方向配線(上配線)10に接する素子電極2と、Y方向配線8(下配線)に接する素子電極3とは、基板1上にスパッタリング法によって、まず下引層として5nm厚のチタニウム(Ti)、その上に40nm厚の白金(Pt)を成膜した後、フォトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターンニングして形成した。
〔Y方向配線の形成〕
共通配線として用いられるY方向配線8は、材料としてノリタケカンパニー製の銀(Ag)ペーストを用い、スクリーン印刷法で素子電極3に接する状態で印刷し、その後580℃で8分焼成することで形成した。Y方向配線8の形状は、複数の素子電極3を連結するようにライン状のパターンで形成した。Y方向配線8の厚さは約10μm、線幅は50μmである。
〔絶縁層の形成〕
次に、Y方向配線8と、これと交差する方向に設けられるX方向配線10間を絶縁するために絶縁層9を形成した。絶縁層9は、構成材料として、PdOを主成分としてガラスバインダーを混合したペーストを使用し、スクリーン印刷法で印刷し、580℃で8分焼成することを2回繰り返すことで形成した。絶縁層9の厚みは約30μm、線幅は150μmとした。また、X方向配線10と素子電極2の電気的接続が可能なように、両者の接続部となる位置の絶縁層9にコンタクトホールを形成した。
〔X方向配線の形成〕
絶縁層9の形成後、X方向配線10を形成した。X方向配線10は、先に形成した絶縁層9の上に、銀(Ag)ペーストをスクリーン印刷法で印刷し、480℃で10分焼成することで形成した。また、絶縁層9のコンタクトホール部分で素子電極2と接続した。X方向配線10は、Y方向配線8と交差方向に設けられたライン状で、厚さは約15μmである。
図示していないが、外部駆動回路への引き出し端子もこれと同様の方法で形成した。
〔導電性薄膜の形成〕
各素子電極2,3の間に、インクジェット塗布方法により導電性膜4を形成し、図8に示されるように、フォーミングによる電子放出部5(図1、図2、図5参照)の形成前の基板1を得た。
インクジェット塗布に際しては、基板1上における個々の素子電極2,3の平面的ばらつきを補償するために、基板1上の数箇所においてパターンの配置ずれを観測し、観測点間のポイントのずれ量を直線近似して位置補完することによって、全画素の位置ずれをなくして、対応した位置に的確に塗付するようにした。
塗布材量としては、パラジウム膜の導電性薄膜4を得るために、先ず水とイソプロピルアルコール(IPA)からなる溶媒にパラジウム錯体を他若干の添加剤を加えて溶解し、有機パラジウム含有溶液を得た。この溶液の液滴を、液滴付与手段としてピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置を用い、ドット径が60μmとなるように調整して基板1上の素子電極2,3間に付与した。その後この基板1を空気中にて、350℃で10分間の加熱焼成処理をして、酸化パラジウム(PdO)の薄膜を形成した。PdO薄膜の直径は約60μm、厚みは最大で10nmであった。
実施例1
上述した素子電極2,3の形成から導電性薄膜4の形成までを経た図8に示される基板1について、以下に述べる帯電防止膜6の形成と、フォーミングと、活性化を施してから特性の評価を行った。
〔帯電防止膜の形成〕
図9は、上述した素子電極2,3の形成から導電性薄膜4の形成までを経た図8に示される基板1における一対の素子電極2,3周りの基本構成を示す平面模式図である。この図9の状態の基板1の表面全面に感光性レジスト液を塗布し、図10に示すように、導電性薄膜4をほぼ二分して一方の素子電極2又は3側(図10では素子電極3側)だけにレジスト膜100が残るようにパターニングした。レジスト液の塗布は、通常用いるスピンナー法、デイッピング法あるいはスプレー塗布法等で行うことができる。
次に、基板1の表面全面に、上記レジスト膜100の上から帯電防止膜6(図1、図2参照)の構成材料を含む塗布液を塗布した。塗布液としては、酸化スズの微粒子を分散させた分散液を用い、これをスプレーにより全面に均一に塗布し、基板1の表面が塗膜110で覆われた図11の状態とした。
レジスト膜100(図10参照)を剥離液を用いて剥離することで、レジスト膜100上の塗膜110を除去し、350℃〜400℃で10分〜30分程度大気焼成炉の中で焼成し、図12に示されるように、導電性薄膜4をほぼ二分して一方の素子電極2又は3側(図12では素子電極2側)のみに帯電防止膜6を形成した。
次に、再度基板1の表面に感光性レジスト液を全面塗布し、図13に示すように、先に形成した帯電防止膜6側にレジスト膜130が残るようにパターニングした。このレジスト膜130は、帯電防止膜6を覆うと共に、素子電極3側が帯電防止膜6よりdだけ大きくなるようにパターニングした。
上記レジスト膜130の形成後、再度基板1の表面に前記と同じ塗布液を全面塗布し、基板1の表面が塗膜140で覆われた図14の状態とした。
レジスト膜130(図13参照)を剥離液を用いて剥離することで、レジスト膜130上の塗膜140を除去し、350℃〜400℃で10分〜30分程度大気焼成炉の中で焼成し、図15に示されるように、導電性薄膜4のほぼ中央部を通る間隔dの不連続部であるハイインピーダンス部7で素子電極2側と素子電極3側に分けられた帯電防止膜6,6を形成した。
このときの間隔dの不連続部はマスクパターン精度から2〜3μm程度とした。この分断された帯電防止膜6,6の間に介在するハイインピーダンス部(不連続部)7のシート抵抗は、その後の測定で1×1012Ω/□より大きいことを確認した。
〔フォーミング〕
続いて、フォーミング工程を実施した。
図7に示される基板1の周囲に、Y方向配線8とX方向配線10の端部を取り出し電極として露出させた状態で、基板1全体を覆うようにフード状の蓋をかぶせて真空ポンプで排気することにより基板1との間で内部に真空空間を作り、内部の圧力が2×10-3Paに到達するまで排気した。さらに、2%の水素を混合した窒素ガスを導入し、外部電源より取り出し電極部からX方向配線10及びY方向配線8間に電圧を印加し、素子電極2,3間に通電することによって、導電性薄膜4に、電気的に高抵抗な状態の間隙5を形成した。フォーミングの電圧波形は、図3(a)に示した波形とし、本実施例では、パルス幅T1を0.1msec、パルス間隔T2を10msec、波高値を10Vとした。
〔活性化〕
次に、活性化と呼ばれる処理を行った。
前記のフォーミングと同様に真空空間を作り、外部からX方向配線10及びY方向配線8を通じてパルス電圧を素子電極2,3に繰り返し印加した。
本工程では、カーボン源としてトリニトリルを用い、スローリークバルブを通して前記フード状の蓋と基板1間の真空空間内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。
電圧印加は、図4(a)のような波形とし、パルス幅T1を1msec、パルス間隔T2を10msec、波高値を16Vとした。
約60分後に素子電流がほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
以上の工程で、複数の電子放出素子を備えた、図8に示される電子源基板を作成することができた。尚、図8では、電子放出部5、帯電防止膜6、ハイインピーダンス部7を省略しており、これについては、上述とおり図1、2、5を参照されたい。
〔特性の評価〕
まず、特性の測定評価装置について図16で説明する。
図16は、電子源基板の特性を測定するための測定評価装置の説明図である。
図16に示される測定評価装置は、電子放出素子の素子電極2,3間を流れる素子電流If及びアノード164への放出電流Ieを測定するために、素子電極2,3に電源161と電流計160とを接続し、該電子放出素子の上方に電源163と電流計162とを接続したアノード電極164を配置したものとなっている。
図16において、1は基板、2,3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部である。また、161は電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電源、160は素子電極2,3間の電子放出部5を含む導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、164は電子放出素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、163はアノード電極164に電圧を印加するための高圧電源、162は電子放出素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。また、本電子放出素子及びアノード電極164は真空装置165内に設置され、その真空装置には排気ポンプ166及び真空計等の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空下で電子放出素子の測定評価を行えるようになっている。なお、アノード電極164の電圧は1kV〜10kV、アノード電極164と電子放出素子との距離Hは2mm〜8mmの範囲で測定した。
本実施例1に従って作成された電子源基板の特性を上記測定評価装置を用いて測定し評価した。
素子電極2,3間に印加する電圧は17Vを標準電圧として測定した。そのときのX方向配線10側の走査線電圧は−11Vとし、Y方向配線8側の信号線電圧は+6Vとした。アノード電極164と電子源基板との間に印加する電圧を1kVとして測定した結果、If=1mA、Ie=1.2μA、効率=0.12%の値を得た。
ところで、上記の条件下で選択されていない電子放出素子には、非選択電圧として6Vが印加され、駆動ICにはこの非選択電流が非選択素子の数だけ流れることになるが、本実施例の電子源基板においては、非選択時の6Vが印加された場合のリーク電流は0.1μA以下と非常に微弱なものであった。
実施例2
実施例1と同様に、素子電極2,3の形成から導電性薄膜4の形成までを経た図8に示される基板1について、素子電極2,3等を形成した面全面に、実施例1と同様の帯電防止膜の塗布液を実施例1と同様なスプレー塗布方法により塗布(ただし、レジスト膜100,130は設けない)し、350℃から400℃で10分〜30分大気焼成炉の中で焼成して帯電防止膜6(図1及び図2参照)を形成した。
しかる後に、レーザー加工機を用いて、幅2〜3μmで帯電防止膜6を図17に示すように分断し、素子電極2に繋がる第1の帯電防止膜6のエリアと素子電極3に繋がる第2の帯電防止膜エリア6に、分断部であるハイインピーダンス部7を介して区分した。分断された帯電防止膜6,6の間のシート抵抗はその後の測定で1×1012Ω/□より大きいことを確認した。
実施例1と同様にフォーミングと活性化を施し、実施例1と同様の測定評価装置を用いて得られた電子源基板の特性について測定と評価を行った。
図5に示される素子電極2,3間に印加する電圧は17Vを標準電圧とし、そのときのX方向配線10側の走査線電圧は−11Vとし、Y方向配線8側の信号線電圧は+6Vとした。アノード電極164と電子源基板との間に印加する電圧を1kVとして測定した結果、If=1.2mA、Ie=1.2μA、効率=0.10%の値を得た。このとき選択されていない電子素子には非選択電圧として6Vが印加されることになるが、測定の結果、非選択時のもれ電流は実施例1とほぼ同じ0.1μA以下であった。
実施例3
素子電極2,3の形成からX方向配線10の形成までを経た図7に示される基板1について、アルミスパッタリングでアルミ膜を500nm程度膜付けした。しかる後にスプレー法で感光性レジスト液を塗布し、パターンニングし、現像し、その上からアルミのエッチャントにより、図18に示される下地パターン180を形成した。しかる後に、前記〔導電性薄膜の形成〕の項で述べたように、有機パラジウム含有溶液をインクジェット法で素子電極2と素子電極3の間に塗布し、350℃で30分間焼成することで、図19に示される導電性薄膜4を形成した。
その上から全面に実施例2と同様な塗布液を同様にして塗布し、200℃で20分大気焼成を行って、図20に示されるように帯電防止膜6を形成した。
しかる後に、先に形成した下地パターン180を剥離液により完全に除去し、素子電極2側のエリアと素子電極3側のエリアを分断するように、アルミ膜180上に設けられた導電性薄膜4の一部と帯電防止膜6を同時に除去し、図21に示されるハイインピーダンス部7を形成した。このハイインピーダンス部7のシート抵抗は1×1012Ω/□よりも大きいことを確認した。
後は実施例1と同様な方法で、フォーミングと活性化を行った。
本実施例3に従って作成された電子源基板を用いて実施例1に示した特性評価装置を用いて特性評価を行った結果、実施例1及び2と同じように非選択時のもれ電流は0.1μA以下で非常に微弱なもれ電流しか駆動用ドライバICに流れこまないことが確認できた。
比較例
比較例として、帯電防止膜6にハイインピーダンス部7を形成しなかった点を除いて実施例1と同様の構成の電子源基板について、実施例1で示した特性評価装置を用いて特性の測定と評価を行ったところ、非選択時に流れる漏れ電流は1mAに達し、駆動と共にさらに上昇する現象が生じた。
実施例4
本実施例は、フォーミングプロセスの改良によって、ハイインピーダンス部となる亀裂を帯電防止膜に形成する形態である。以下に本実施例4の電子源基板の作成方法を順に説明する。
(基板1と素子電極2,3の形成)
図5に示す電子源基板として、基板1としてアルカリ成分が少ない「PD−200」(旭硝子(株)社製)の2.8mm厚ガラスの上にナトリウムブロック層として100nm厚のSiO2膜を形成したものを用いた。素子電極2,3は、ガラス基板1上に、スパッタ法によって下引き層として5nm厚のTi、その上に40nm厚のPtを成膜した後、フォトリソグラフィー法によって形成した。素子電極2,3の間隔は10μmとした。
(Y方向配線8の形成)
Y方向配線(下配線)8は、素子電極2,3の一方に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成した。材料には銀Agフォトぺーストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光し現像した。この後480℃の温度で焼成してY方向配線8を形成した。Y方向配線8の厚さは約10μm、幅60μmとした。
(絶縁層9の形成)
次に、先に形成したY方向配線8と後述のX方向配線(上配線)10の交差部を覆うように絶縁層9を配置した。このとき、X方向配線10と一方の素子電極2の電気的接続が可能なように、接続部の絶縁層9にコンタクトホールを形成した。工程はPbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光−現像した。これを4回繰り返し、最後に480℃の温度で焼成した。この絶縁層9の厚みは、全体で約30μmであり、幅は150μmである。
(X方向配線10の形成)
X方向配線(上配線)10は、先に形成した絶縁層9の上に、銀Agぺーストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りしてから、480℃の温度で焼成することで形成した。絶縁層9のコンタクトホール部分で素子電極2と接続した。このX方向配線10の厚さは、約15μmである。図示していないが、外部駆動回路への引き出し端子もこれと同様の方法で形成した。
このようにしてXYマトリクス配線を有する印刷パターン付きの基板1を形成した。
(導電性薄膜4の形成)
上記の基板1を洗浄した後、撥水剤を使用して表面を処理し、表面が疎水性になるようにした。その後、素子電極2,3間にインクジェット塗布方法により、導電性薄膜4を形成した。
本実施例では、導電性薄膜4をパラジウム膜で形成する目的で、先ず水とイソプロピルアルコール(IPA)からなる溶媒にパラジウム錯体を他若干の添加剤を加えて溶解し、有機パラジウム含有溶液を得た。この溶液の液滴を、液滴付与手段としてピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置を用い、ドット径が60μmとなるように調整して基板1上の素子電極2,3間に付与した。その後この基板1を空気中にて、350℃で10分間の加熱焼成処理をして、酸化パラジウム(PdO)の薄膜を形成した。PdO薄膜の直径は約60μm、厚みは最大で10nmであった。
以上の工程により、各素子電極2,3間に跨って、導電性薄膜4として酸化パラジウム膜(PdO膜)が形成された。
(帯電防止膜6の形成)
続いて、スプレー噴霧装置により酸化スズを主成分とする超微粒子を有機溶媒(イソプロピルアルコールとエチルアルコールの混合液)に分散させた溶液を基板1の全面に噴霧し、その後380℃で10分の熱処理を行い、帯電防止膜6(図23参照)を形成した。帯電防止膜6の厚さは平均で30nm、シート抵抗値は1×1010Ω/□になるように調整した。尚、図23はハイインピーダンス部である亀裂7が示されているが、これは後述の工程にて作成されたものである。
(フォーミング工程)
続いて、フォーミング工程を実施した。
上記基板1の周囲に、Y方向配線8とX方向配線10の端部を取り出し電極として露出させた状態で、基板1全体を覆うようにフード状の蓋をかぶせて真空ポンプで排気することにより基板1との間で内部に真空空間を作り、内部の圧力が2×10-3Paに到達するまで排気した。さらに、2%の水素を混合した窒素ガスを導入し、外部電源より取り出し電極部からX方向配線10及びY方向配線8間に電圧を印加し、素子電極2,3間に通電することによって、導電性薄膜4に、電気的に高抵抗な状態の間隙5を形成した。フォーミングの電圧波形は、図3(a)に示した波形とし、本実施例では、パルス幅T1を0.1msec、パルス間隔T2を10msec、波高値を10Vとし、約20分間処理した。
本実施例においては、上記の工程を1度行なった後さらに、より高電圧の条件である波高値12Vで追加フォーミングを行なった。この追加フォーミング処理によって、先のフォーミング終了時点の導電性薄膜4の間隙5を、導電性薄膜4の端部(帯電防止膜6との接触部分)まで到達させた。尚、このときの導電性薄膜の端部における間隙間隔は約50nm程度であった。
追加フォーミングの条件としては、より高パワーの条件にすることが重要で、より高電圧にする以外にも、よりパルス幅を広げる、よりパルス間隔を短くする等の手段をとることも可能である。また、追加フォーミング終了時点のサンプルを抜き取って、導電性薄膜4の間隙5を走査電子顕微鏡で観察すると、導電性薄膜4の端部(帯電防止膜6との接触部分)まで間隙5が到達していた。
(活性化工程)
上記電子放出素子に活性化と呼ばれる処理を行った。
前記のフォーミングと同様に真空空間を作り、外部からX方向配線10及びY方向配線8を通じてパルス電圧を素子電極2,3に繰り返し印加した。
本工程では、カーボン源としてトリニトリルを用い、スローリークバルブを通して前記フード状の蓋と基板1間の真空空間内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。導入するトリニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響されるが、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好適である。
電圧印加は、図4(a)のような波形とし、パルス幅T1を1msec、パルス間隔T2を10msec、波高値を16Vとした。
約60分後に素子電流Ifがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。活性化終了時点の導電性薄膜4の間隙5を観察しても、導電性薄膜4に隣接する帯電防止膜6(図23参照)領域まで間隙5が到達し、亀裂7を形成していることが確認できた。
以上の工程で、複数の電子放出素子を備えた電子源基板を作成することができた。
本実施例においては、追加フォーミング工程をフォーミング工程時に実施するため、導電性薄膜4領域の端部まで間隙5を形成することができ、そのため活性化時には、導電性薄膜4領域の外側に隣接する帯電防止膜6(図23参照)に確実に亀裂7を形成することができる。尚、帯電防止膜6に形成された亀裂7の長さは約250nmであった。
上述のような製造方法によって作成された電子放出素子について、図16に示した測定評価装置により放出電流Ie及び素子電流Ifの測定を行なった。本実施例で作製した電子放出素子については、素子電極2,3間の印加電圧Vf=12Vにおける放出電流Ieを測定した結果平均0.6μA、電子放出効率は平均0.15%で、非選択時(非駆動時)に素子電極2,3間に流れる電流に相当する、素子電極2,3間の印加電圧Vfが5Vの場合の素子電流Ifは0.01μAであった。
一方、従来の、間隙5が導電性薄膜4中のみに形成されていて、導電性薄膜4に隣接する帯電防止膜6(図22参照)領域まで到達していない電子放出素子について測定したところ、非選択時に素子電極2,3間に流れる電流に相当する、素子電極2,3間の印加電圧Vfが5Vの場合の素子電流Ifは0.02μAであった。
本実施形態による電子源基板は、素子電極2,3間に電圧を印加することにより、間隙5の近傍より電子が放出されるが、間隙5は、導電性薄膜4中のみでなく、導電性薄膜4に隣接する帯電防止膜6の領域まで亀裂7として到達しているため、図23に矢印で示すように、導電性薄膜4に隣接する帯電防止膜6を流れる電流パスは亀裂7を迂回しなければならなくなって、図22に示す従来の電子源基板におけるパス経路に比してその距離が長くなる。しかも、帯電防止膜6の抵抗値は導電性薄膜4の抵抗値と比較して数桁以上高いため、導電性薄膜4に隣接する帯電防止膜6を流れるリーク電流は、従来の電子源基板と比較して著しく低減される。
尚、上記では、間隙5が帯電防止膜6まで到達して亀裂7を形成している場合を説明したが、亀裂7は間隙5の延長として間隙5とほぼ同じ幅及び深さで形成されていなくても良い。亀裂7は、例えば、帯電防止膜6の表面のみ、換言すれば、基板1の表面まで到達していない深さで形成されていたり、間隙5よりも狭い幅又は広い幅で形成されていても良い。本実施形態の特徴は、帯電防止膜6に、導電性薄膜4の間隙5につながるハイインピーダンスな部分が形成され、間隙5に隣接する部分の帯電防止膜6でのリーク電流を低減する状態が達成されることであり、高抵抗な部分の形成は、必ずしも間隙5の延長として形成されなければいけないわけではない。
また、上記亀裂7の長さは、前記間隙5の端部における間隔の5倍以上であることが好ましい。これによって、帯電防止膜6を流れる電流値を、亀裂7がない場合に比較して1/10以下に低減することができる。
以下、上述他の実施例と同様に作成した、本発明の画像形成装置は、電子放出素子にY方向配線8とX方向配線10を介して電圧を印加することにより電子放出させ、高圧端子46からアノード電極であるメタルバック43に高圧を印加し、発生した電子ビームを加速し、蛍光膜42に衝突させることによって、画像を表示することができる。
上記の画像形成装置は良好な表示品位をもつものであった。
本発明に係る電子源基板における1つの電子放出素子周りの基本構成を示す断面模式図である。 本発明に係る電子源基板における1つの電子放出素子周りの基本構成を示す平面模式図である。 フォーミングに用いる印加電圧波形の例を示す図である。 活性化に用いる印加電圧波形の例を示す図である。 複数の電子放出素子を備えた電子源基板の平面模式図(但し、帯電防止膜は省略)である。 図5に示される電子源基板を用いた画像形成装置の一部を切欠した模式的斜視図である。 複数の電子放出素子を備えた電子源基板の製造工程中、導電性薄膜形成前の状態を示す平面模式図である。 複数の電子放出素子を備えた電子源基板の製造工程中、フォーミング前の状態を示す平面模式図である。 実施例1の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、素子電極の形成から導電性薄膜の形成までを経た図8の基板における一対の素子電極周りの基本構成を示す平面模式図である。 実施例1の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図9の基板上にレジスト膜を形成した状態を示す平面模式図である。 実施例1の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図10の基板上に帯電防止膜を形成した状態を示す平面模式図である。 実施例1の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図11の基板上からレジスト膜を形成した状態を示す平面模式図である。 実施例1の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図12の基板上に再びレジスト膜を形成した状態を示す平面模式図である。 実施例1の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図13の基板上に再び帯電防止膜を形成した状態を示す平面模式図である。 実施例1の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図14の基板上からレジスト膜を剥離した状態を示す平面模式図である。 電子源基板の特性の測定評価装置の説明図である。 レーザー照射によってハイインピーダンス部を形成した実施例2の電子源基板における1つの電子放出素子周りの基本構成を示す平面模式図である。 実施例3の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、X方向配線の形成までを経た図7に示される基板に下地パターンを形成した状態の、一対の素子電極周りの基本構成を示す平面模式図である。 実施例3の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図18の基板上の素子電極間に導電性薄膜を形成した状態を示す平面模式図である。 実施例3の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図19の基板上に帯電防止膜を形成した状態の平面模式図である。 実施例3の電子源基板におけるハイインピーダンス部の形成手順の説明図で、図20の基板上から下地パターンを剥離した状態を示す平面模式図である。 従来の電子源基板の説明図である。 実施例4の電子源基板の基本構成を示す平面模式図である。
符号の説明
1 基板
2 素子電極
3 素子電極
4 導電性薄膜
5 電子放出部
6 帯電防止膜
7 ハイインピーダンス部
8 Y方向配線(下配線)
9 絶縁層
10 X方向配線(上配線)
60 リアプレート
61 基板
62 蛍光膜
63 メタルバック
64 フェースプレート
65 支持枠
100 レジスト膜
110 塗膜
130 レジスト膜
140 塗膜
160 電流計
161 電源
162 電流計
163 高圧電源
164 アノード電極
165 真空装置
166 排気ポンプ
180 下地パターン

Claims (7)

  1. 基板と、該基板上に位置する一対の素子電極、及び該素子電極間に設けられ、電子放出部となる間隙を有する導電性薄膜を備えた電子放出素子と、少なくとも前記一対の素子電極と接触して前記基板の露出面上を覆う帯電防止膜とを有する電子源基板であって、前記帯電防止膜に、当該帯電防止膜を介して前記一対の素子電極間に生じる電流を妨げるハイインピーダンス部が形成されていることを特徴とする電子源基板。
  2. 前記帯電防止膜のハイインピーダンス部が、ハイインピーダンス部に隣接する帯電防止膜のシート抵抗値の100倍以上のシート抵抗値を有することを特徴とする請求項1に記載の電子源基板。
  3. 前記帯電防止膜は前記導電性薄膜の外縁と接触しており、前記ハイインピーダンス部は、前記導電性薄膜が有する間隙とつながる亀裂であることを特徴とする請求項2に記載の電子源基板。
  4. 前記帯電防止膜のハイインピーダンス部が、1012Ω/□より大きいシート抵抗値を有することを特徴とする請求項2に記載の電子源基板。
  5. 前記帯電防止膜のハイインピーダンス部が、帯電防止膜の薄膜化部又は不連続部として形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子源基板。
  6. 複数の前記電子放出素子と、各電子放出素子に接続されて、互いに交差する向に形成されたX方向配線及びY方向配線とを有することを特徴とする請求項2に記載の電子源基板。
  7. 請求項6に記載の電子源基板と、該電子源基板からの電子線の照射によって画像を表示する画像形成部材を有する基板とが対向して配置されていることを特徴とする画像形成装置。
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