JP2005288645A - 固定砥粒研削研磨用工具 - Google Patents

固定砥粒研削研磨用工具 Download PDF

Info

Publication number
JP2005288645A
JP2005288645A JP2004108946A JP2004108946A JP2005288645A JP 2005288645 A JP2005288645 A JP 2005288645A JP 2004108946 A JP2004108946 A JP 2004108946A JP 2004108946 A JP2004108946 A JP 2004108946A JP 2005288645 A JP2005288645 A JP 2005288645A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide particles
grinding
plate
cerium oxide
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004108946A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Kishimoto
幹雄 岸本
Itaru Oshita
格 大下
Junichi Ikeno
順一 池野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Ltd filed Critical Hitachi Maxell Ltd
Priority to JP2004108946A priority Critical patent/JP2005288645A/ja
Priority to GB0503957A priority patent/GB2412663A/en
Priority to US11/065,452 priority patent/US20050229499A1/en
Publication of JP2005288645A publication Critical patent/JP2005288645A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24BMACHINES, DEVICES, OR PROCESSES FOR GRINDING OR POLISHING; DRESSING OR CONDITIONING OF ABRADING SURFACES; FEEDING OF GRINDING, POLISHING, OR LAPPING AGENTS
    • B24B37/00Lapping machines or devices; Accessories
    • B24B37/11Lapping tools
    • B24B37/20Lapping pads for working plane surfaces
    • B24B37/24Lapping pads for working plane surfaces characterised by the composition or properties of the pad materials
    • B24B37/245Pads with fixed abrasives
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24DTOOLS FOR GRINDING, BUFFING OR SHARPENING
    • B24D11/00Constructional features of flexible abrasive materials; Special features in the manufacture of such materials
    • B24D11/001Manufacture of flexible abrasive materials
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24DTOOLS FOR GRINDING, BUFFING OR SHARPENING
    • B24D3/00Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents
    • B24D3/02Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent
    • B24D3/20Physical features of abrasive bodies, or sheets, e.g. abrasive surfaces of special nature; Abrasive bodies or sheets characterised by their constituents the constituent being used as bonding agent and being essentially organic
    • B24D3/28Resins or natural or synthetic macromolecular compounds
    • B24D3/32Resins or natural or synthetic macromolecular compounds for porous or cellular structure

Abstract

【課題】優れた研削性を有しながら研削後の被加工物において優れた表面平滑性が得られる固定砥粒研削研磨用工具を提供する。
【解決手段】粒子の形状が板状で、粒子の板面方向の平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子を、水溶性高分子により結合させた構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、被加工物を研削ないし研磨するための固定砥粒研削研磨用工具に関し、特に主たる砥粒として所定の酸化セリウム粒子を用いた固定砥粒研削研磨用工具に関する。
シリコンウエハーの薄片化のニーズは強く、各種の方法により薄片化されている。ダイヤモンド砥粒を用いた砥石は、研削効率が高いため汎用されているが、研削効率が高い反面、被加工物に研削痕が残り、この研削痕を除去するためにスラリー砥粒のような異なる研削手段により鏡面仕上げを行わなければいけないのが現状である。すなわち、全く異なる方式により研削を行う必要があり、研削工程が複雑になり、結果的に研削効率が低下し、研削コストが高くなる問題がある。
一方、スラリー砥粒を用いる研削方式では、研削後に良好な表面平滑性が得られる反面、研削スピードが遅く、研削効率が低い問題があった。
また、水晶ウエハーの薄片化には、通常、1μm程度の大きさの酸化セリウム粒子を分散させたスラリーが使用されているが、さらなる研削効率の向上が求められており、かつ大量に発生する廃スラリーの処理が環境上、大きな問題になりつつある。
このように研削効率の一層の向上が求められているにもかかわらず、研削効率を高めると研削後の表面平滑性が低下するという本質的な課題のため、未だに市場ニーズを満たす固定砥粒研削研磨用工具は開発されていないのが現状である。
一方、特許文献1には、メカノケミカル作用により被加工物を研削できる活性砥粒およびこれを用いた砥石等が記載されている。これは、本発明者の一人が開発したもので、ガラスビーズとアルギン酸ナトリウムなどの水溶性の高分子結合剤とを混合した液体を使用し、これを電気泳動を利用して所定の状態に加工することによって砥石としたものである。そこには、砥石を構成する活性砥粒がメカノケミカル作用によって優れた研削性を示すことや、この砥石を用いた研削方式は研削であるのにもかかわらず、優れた鏡面創成が実現できることが記載されている。
さらに、特許文献2や特許文献3には、粒子の形状が板状で、粒子の板面方向の平均粒子径が10〜200nmの範囲にある酸化セリウム粒子が記載されている。これは、本発明者の一人が開発したもので、前記特許文献2・3に記載されたような方法で酸化セリウム粒子を合成することによって得られるものである。
特開2003−73656号公報 特開2003−049158号公報 特開2003−206475号公報
上述したように、従来の固定砥粒研削研磨用工具は、一般的に研削効率が高い反面、被研削体表面に傷が入りやすく、研削面の平滑性が劣る問題があった。一方、湿式方式のスラリー砥粒は、平滑な研削面が得られやすい反面、研削効率が低く、研削効率に劣る欠点があった。現状では優れた研削性を有しながら研削後の被加工物において優れた表面平滑性が得られる固定砥粒研削研磨用工具はいまだ提供されていない。
そこで、本発明は、砥粒として特異な形状および粒子径を有する酸化セリウム粒子を使用し、この酸化セリウム粒子を水溶性高分子で結合させることにより、研削砥石がもつ優れた研削性を維持しながら、従来の研削砥石では得られなかった研削後の優れた表面平滑性を同時に実現できる固定砥粒研削研磨用工具を提供することを目的とする。
本発明者らは、本発明者の一人が開発した、粒子の形状が板状で、粒子の板面方向の平均粒子径が10〜200nmの範囲にある酸化セリウム粒子(特許文献2、特許文献3)を、上記の目的の固定砥粒研削研磨用工具に砥粒として使用すると、従来のこの種の工具では得られない優れた研削性能を発現できることを見出した。
すなわち、通常砥粒の粒子径が小さくなると、研削面の表面平滑性は良好になるが、研削効率が低下する。一方、本発明の砥粒は、平均粒子径が10〜200nmと微粒子であるが、粒子が板状である場合は特に、この板状粒子のエッジを利用することにより、微粒子であるにもかかわらず優れた研削性を示す。このように、本発明者らは、高い研削効率と研削後の優れた表面平滑性という、研削用砥石においては矛盾する2つの特性を、特異な形状と粒子径の酸化セリウム粒子を使用することにより初めて実現することに成功したものである。
本発明に使用される板状の酸化セリウム粒子は、そのエッジの部分を利用した場合に特に優れた機械的研削作用を示すのみならず、化学的研削作用が大きい点にも特徴がある。このような板状形状を利用した場合の優れた機械的研削性と酸化セリウムの有する優れた化学的研削性を同時に実現したのは本発明が最初である。
また、本発明の固定砥粒研削研磨用工具においては、研削ないし研磨される被加工物の種類や研削仕様に応じて、前記板状の酸化セリウム粒子を主構成粒子とし、板状の酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄から選ばれる少なくとも一種類の酸化物粒子を同時に適当量含有させることができる。このようにすると、これら板状の酸化物粒子の機械的研削性が付加されるので、板状の酸化セリウム粒子のみを用いた場合に比べて、より研削性を高めることも可能になる。
これらの板状の酸化物粒子を砥粒として用い、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子の溶液中に分散させ、砥粒に水溶性高分子を結合させて、水を除去して特定の形状に成形することにより、研削用の砥石とすることができる。さらに特定の形状に成形時に電気泳動現象を利用して作製したものは、板状粒子が特定方向に配向してエッジ部分が揃いやすく、また粒子が密に充填されやすいため、固定砥粒研削研磨用工具として、より優れた性能を発揮する。
このように本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、研削用の砥石として使用することにより、優れた研削効率と表面平滑性を同時に実現できる砥石であるが、従来のスラリー砥粒のように水の存在下で使用することも可能である。この場合、水の存在により酸化セリウムの化学的な研磨作用がより強調される利点がある。この水の使用において、使用量は微量でも効果が大きく、用途、目的に応じて任意に調整することができる。このように本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、目的に応じて研削砥石としても、また水の存在下で使用することも可能な、広い範囲で使用可能な工具である。
なお板状の酸化セリウム粒子を使用することの利点を中心に説明してきたが、既述したように板状の酸化セリウム粒子を使用することにより、エッジ部分を利用した機械的な研削性が現われるが、本発明の平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子を水溶性高分子と結合させた構成にすることにより、微粒子による化学的な研削性が強調されて、従来の固定砥粒研削研磨用工具では得られなかった優れた研削研磨性を発揮する。したがって本発明の固定砥粒研削研磨用工具は板状の酸化セリウム粒子に限定されるものではなく、平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子を水溶性高分子と結合させたことを最大の特徴とするものである。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具によれば、構成粒子たる酸化セリウム粒子が、その板状のエッジ部分を利用した時に特に優れた機械的研削性を発揮するだけでなく、さらにその化学的特性に基づいて優れた化学的研削性を発揮する。また、その粒子径が10〜200nmと微細なため、被加工物の研削後においても優れた表面平滑性が得られる。こうして、優れた研削効率と、研削後の優れた表面平滑性とを同時に実現できる研削可能な砥石を実現することができる。なお、ここで言う板状とは、粒子の板面方向におけるの最大長さと厚さの比が2〜20の範囲にあるものを示す。このような粒子径は、高分解能の透過電子顕微鏡を用いて撮影した100個の粒子の平均値から求めた。また厚さは、これらの粒子をバインダ中に分散させた塗料をシート上に塗布し、その断面を高分解能の透過電子顕微鏡を用いて観察することにより求めた。
前記酸化セリウム粒子を主構成粒子とし、さらに板状の酸化アルミニウム等の特定の酸化物粒子を同時に適当量加えた場合には、これら特定の酸化物粒子がもつ機械的研削性がさらに付加されるので、板状の酸化セリウム粒子のみを用いた場合に比べて、より研削性を高めることも可能になる。
さらに、以上のような砥石の作製において、電気泳動現象を利用することにより、より優れた研削性を発揮する固定砥粒研削研磨用工具とすることができる。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、上述した独自開発の酸化セリウム粒子、すなわち粒子形状が板状で平均粒子径が10〜200nm(10nm以上200nm以下)である酸化セリウム粒子を、水溶性高分子で結合させた構成にすることにより、高い研削効率と優れた表面平滑性を同時に実現したものである。
本発明で使用する上記の特異な形状と粒子径を有する粒子酸化セリウム粒子は、アルカリ水溶液にセリウム塩の水溶液を添加し、得られたセリウムの水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、ろ過、乾燥後、さらに空気中200〜1500℃の温度範囲で加熱処理することにより得ることができる。
具体的には、まず第一工程として、アルカリ水溶液に上述した金属塩の水溶液を添加し、得られた水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する水熱反応処理により、目的とする形状、粒子径に整える。
この場合、水酸化物あるいは水和物として析出するpHが金属の種類により異なるため、pHの制御は重要である。例えば、アルミニウム水酸化物あるいは水和物は酸性領域でもアルカリ性領域でも溶解して析出しないため、中性に近い領域にpHを制御する必要がある。一方セリウムの水酸化物あるいは水和物は、中性領域では溶解して析出しないため、アルカリ性領域にpHを制御する必要がある。また水熱反応により目的の形状、粒子径を有する水酸化物あるいは水和物にするため、水熱反応時のpH制御も重要な因子である。
次に、第二工程として、上記水酸化物あるいは水和物を空気中加熱処理する。これにより、粒子の形状が板状で平均粒子径が10nmから200nmの範囲にあり、しかも粒子径分布が均一で、焼結、凝集が極めて少なく、結晶性の良好な酸化セリウム粒子が得られる。
このように基本的に二段階の製造工程を経ることにより、これまでの製造方法では不可能であった、粒子の形状が板状で、かつ平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子の開発に成功したものである。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、上記のようにして得られた板状の酸化セリウム粒子を水溶性高分子の溶液中に分散させ、板状の酸化セリウム粒子を水溶性高分子で結合することにより作製される。水溶性高分子としては特に限定されるものではないが、アルギン酸ナトリウムやポリビニルアルコールなどが好ましい高分子として使用できる。中でもアルギン酸ナトリウムは、海草に含まれる物質であり、無害な高分子結合剤として特に好ましい。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、結合剤として水溶性高分子を使用するため、製造工程において環境に与える負荷が小さくなるという利点を有する。ただし、本発明の目的とする研削砥石を作製する上で、水溶性高分子に限定されるものではなく、有機溶媒に溶解する各種の高分子結合剤も使用可能であることは言うまでもない。例えば、塩化ビニル系やポリウレタン系、ニトロセルロース系などの各種の高分子結合剤も使用可能である。
本発明に使用される酸化セリウム粒子は、機械的研磨作用のみならず化学的研磨作用が大きい特徴を有するが、さらに目的に応じて、この酸化セリウム粒子を主構成粒子として、さらに板状の酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄を含有させると、これらの粒子の優れた機械的研削性を付加することができる。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、具体的には以下のようにして作製することができる。
まず、所定量の水溶性高分子を溶解した溶液を作製し、この溶液中に上述した板状の酸化物粒子を所定量分散させる。分散方法としては特に限定されるものではないが、ボールミルやペイントコンデイショナー等を用いて、均一な分散体を作製する。
固定砥粒研削研磨用工具における水溶性高分子の含有量としては、0.5〜30重量%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜25重量%であり、さらに好ましくは2〜20重量%である。この含有量が少ないと板状粒子の結合能力が低くなり、研削時に粒子が脱落しやすくなる。一方、多すぎると分散液の粘度が高くなり、粒子の均一分散が困難になる。
一方、酸化物粒子の含有量としては、50〜99重量%の範囲が好ましく、より好ましくは60〜97重量%であり、さらに好ましくは75〜95重量%である。含有量がこの範囲より少ないと研削効率が低くなり、一方、多すぎると高分子との結合性が低下して、研削時に砥粒が脱落しやすくなる。
上記のようにして得られた分散体は、これをスラリー砥石として用いることも可能であるが、さらに電気泳動現象を利用しながら特定の形状に成形することが好ましい。この電気泳動方法は特に限定されるものではないが、例えば電気泳動槽の中央付近に円柱状の正極棒を置き、この周囲を取り囲むように負極を設置した装置を使用して行うことができる。すなわち、上記電気泳動槽中に上述した分散液を入れ、正極棒を回転させながら正・負の両極間に電圧を印加することにより、水溶性高分子で覆われた板状酸化物粒子が正極棒に吸着しながら析出する。本発明の板状酸化物粒子は、このような電気泳動を利用して吸着析出させたときに、板状粒子の場合は板面が正極棒に平行になるように配列しやすい特長がある。このように配列することにより、板状粒子のエッジ面が特定方向に揃いやすくなるため、固定砥粒研削研磨工具として使用した際に、研削効率はより向上する。
次に、分散液から正極棒を引き上げ、板状酸化物粒子と水溶性高分子からなる成形体から正極棒を取り除くことにより、所定形状の成形体(この例では、丸棒状の正極棒の周囲に成形体が形成されるので、当該正極棒の形状に対応したほぼ円柱状の成形体)が得られる。この成形体を任意の大きさに切断し、空気中で乾燥することにより、最終目的の工具とすることができる。
なお、上記の例では、電気泳動現象を利用して円柱状の成形体を作製する場合について示したが、電極の形状や成形形状を変えることにより、円板状、角柱状など任意の形状、大きさの研削砥石を作製できることは言うまでもない。さらに、板状酸化物粒子が高充填された砥石とする上で、電気泳動現象の利用は有効な方法の一つであるが、電気泳動現象を利用することなく、例えばプレス成形のみで砥石を作製することも可能である。プレス成形のみで作製する方法は、製造工程が簡易になる利点がある。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、研削用の砥石として使用することにより、優れた研削効率と表面平滑性を同時に実現できるが、水の存在下で使用することも可能である。この場合、水の使用量を調整することにより、水が存在することによる酸化セリウムの化学的な研磨作用を任意に調整することができる。このように本発明の固定砥粒研磨工具は、用途、目的に応じて研削砥石としても、また水の存在下で使用することも可能である。すなわち、様々な態様で使用できる利用範囲の広い固定砥粒研削研磨用工具と言える。
またこのように酸化セリウム粒子を使用することにより、特に板状形状の場合はエッジ部分を利用した機械的な研削性が現われるが、本発明の平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子を水溶性高分子と結合させた構成にするだけでも、粒子サイズが小さいため化学的な研削性がより強調されて、従来の固定砥粒研削研磨用工具では得られなかった優れた研削研磨性を発揮する。
以下、本発明の主要な製造方法について更に詳細に説明する。特に板状酸化セリウム粒子を使用すると本発明の効果がより発揮されるため、板状酸化セリウム粒子を使用する例について説明するが、既述したように、本発明は平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子を水溶性高分子と結合させた構成にするだけでも、その化学的な研削性が強調されて、従来の固定砥粒研削研磨用工具では得られなかった優れた研削研磨性を発揮する。
《板状酸化セリウム粒子等の作製》
(沈殿物の作製)
まず、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウムなどのセリウム塩を水に溶解させ、セリウムイオンを含有する水溶解液(セリウム塩水溶液)を作製する。これらのセリウム塩のうち、粒径分布のシャープな酸化セリウム粒子を得る上で、塩化セリウムが最も好ましい。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水溶液などが好ましく使用できる。
次に、前記セリウム塩水溶液をアルカリ水溶液中に滴下して、セリウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を生成する。この沈殿物を含む懸濁液のpHは、8〜11の範囲に調整し、またこの懸濁液を室温において1日程度熟成することが好ましい。このpH調整および熟成は、この後の工程の加熱処理において、比較的低い温度で、より結晶性の高い酸化セリウム粒子を得る上で効果的である。
(水熱処理)
セリウムの水酸化物あるいは水和物の上記沈殿物を含む懸濁液に対し、オートクレーブ等を用いて水熱処理を行う。この水熱処理において、上記の沈殿物を含む懸濁液をそのまま水熱処理を行っても構わないが、水洗により、上記沈殿物以外の生成物や残存物を除去し、その後NaOHなどにより再度pH調整することが好ましい。この時のpHの値は、7〜11とすることが好ましく、このpHより低いと、水熱処理時に結晶成長が不十分になり、また高すぎると、粒子径分布が広くなったり、目的とする粒子径の小さい粒子を得ることが困難になったりする。
水熱処理温度は、110℃から300℃の範囲とすることが好ましい。この温度より低いと、板状の形状を有するセリウムの水酸化物あるいは水和物が得られにくく、この温度より高いと発生圧力が高くなるため、装置が高価なものとなり、メリットはない。
水熱処理時間は、1時間から4時間の範囲が好ましい。水熱処理時間が短すぎると、特定の形状への成長が不十分になり、水熱時間が長すぎても特に問題となることはないが、製造コストが高くなるだけで、意味がない。
(加熱処理)
水熱処理後のセリウムの水酸化物あるいは水和物粒子は、ろ過、乾燥した後、加熱処理を行うが、ろ過する前に、水洗によりpHを6〜9の付近の中性領域に調整しておくことが好ましい。このpHまで水洗することにより、加熱処理工程において、焼結などの悪影響をおよぼすナトリウムや塩素などの不純物が除去されるためである。
セリウムの水酸化物あるいは水和物粒子に、さらに珪酸ナトリウムなどの珪素化合物を添加して、シリカ処理を施こしても良い。このシリカ処理は、最終目的物である酸化セリウム粒子を特定の形状に保持する上で、効果的である。
ろ過、乾燥したセリウムの水酸化物あるいは水和物は、加熱処理により酸化セリウム粒子とすることができる。加熱処理時の雰囲気は特に限定されないが、空気中加熱が、最も製造コストがかからないため、好ましい。加熱処理温度は、300℃から1200℃の範囲が好ましい。この温度より低いと、結晶性の酸化セリウム微粒子が得られにくく、高すぎると、焼結により粒子サイズが大きくなったり、さらに粒子径分布が広くなる。この加熱処理により、酸化セリウム粒子が得られるが、さらに水洗などにより、未反応物を除去すると、より高純度の酸化セリウム粒子が得られるため、研磨剤と使用するためには、最終工程で水洗することが好ましい。
このようにして得られた酸化セリウム粒子は、粒子径が10nmから200nmの範囲である板状の形状を有する粒子であり、固定砥粒研削研磨工具用として最適の粒子となる。この酸化セリウム粒子は、X線回折スペクトルを測定すると、CaF2 構造をもつCeO2 の結晶構造に対応するピークが明瞭に観察され、また電子顕微鏡観察においても晶壁が明瞭に観察され、これまでの製造法では得られなかった極めて良好な結晶性を有する板状の粒子であることが示された。
なお、板状酸化セリウム粒子の作製方法を例に上げて説明したが、板状酸化アルミニウムや板状酸化ジルコニウム、板状酸化鉄も本発明の発明者の一人が開発した方法(特許文献2、特許文献3)により、同様の手法で作製できる。
《固定砥粒研削研磨工具用分散液の調整》
上述した方法で作製した酸化セリウム粒子を使用して、固定砥粒研削研磨用工具を作製するための分散液調整方法の一例を以下に示す。
所定量の水にアルギン酸ナトリウムを溶解した。このときのアルギン酸ナトリウムの添加量は水に対して0.1〜2重量%が適当である。添加量がこの範囲より少ないと、酸化セリウム粒子を均一に分散させることが困難になり、酸化セリウム粒子が沈降しやすくなる。一方、添加量がこの範囲より多いと粘度が高くなり、酸化セリウム粒子を分散させるときの分散性が悪くなる。
次に、このアルギン酸ナトリウム水溶液に、酸化セリウム粒子を添加し分散させる。酸化セリウム粒子の添加量は、水に対して1〜20重量%が適当である。添加量がこの範囲より少ないと固定砥粒研削研磨用工具としたときの高い研磨効率を得にくくなり、また添加量がこの範囲より多いと酸化セリウム粒子の均一分散が困難になり、均一な分散体を得にくくなる。
分散方法は特に限定されるものではなく、ボールミル、ペイントコンデイショナー、ディスパーなど各種の分散機が使用可能であるが、中でもペイントコンデイショナーが好適な分散機として使用できる。分散時間は、使用する分散装置により異なるが、例えばペイントコンデイショナーを使用する場合には、1〜10時間が適当である。
次いで、この分散液をホットプレート上に乗せて、分散液を攪拌しながら加熱して、水を蒸発させて分散液を濃縮する。蒸発濃縮後の重量としては、蒸発前の重量に対して1/2〜1/10になるようにすることが好ましい。濃縮の程度がこの範囲より少ないと、後述する電気泳動現象を利用した成形体作製時に、酸化セリウム粒子の充填性が低くなったり、分散液名中の酸化セリウム粒子が沈降しやすくなったりする。またこの範囲より多いと、電気泳動現象による酸化セリウム粒子の移動が困難になり、成形体作製効率が低下する。
蒸発濃縮後の分散液中のアルギン酸ナトリウムおよび酸化セリウム粒子の含有量が0.2〜5重量%および2〜60重量%になるようにすると、電気泳動現象を利用した成形体作製時の効率が最も良くなり、しかもこの成形体を用いて作製した固定砥粒研削研磨用工具としての研削性、酸化セリウム粒子の保持性などが最もバランスの取れたものとなる。
《電気泳動を利用した酸化セリウム/水溶性高分子混合物の成形体の作製》
上述した蒸発濃縮した分散液をガラス製のビーカに入れ、金属製の正極棒を取り囲むように金属製の負極を螺旋状に配置した。正極棒を回転させながら、正負両極に直流電圧を印加した。印加電圧は、正負両極の大きさ、形状、間隔により異なるが、1〜20Vが好ましい。このときの電流は、0.1〜3A程度であり、水溶性高分子で覆われた酸化セリウム粒子が正極棒に電気的に引き寄せられて堆積し、時間とともに堆積厚みが増加する。
《固定砥粒研削研磨用工具の作製》
水溶性高分子で覆われた酸化セリウム粒子を上述した方法により適当な厚さになるまで堆積させた後、正極棒を分散液から引き上げ、さらに正極棒を引き抜き、円柱状の堆積物を適当な高さに切断した。この切断物を空気中、室温で乾燥させた。さらに、この乾燥物の周囲を磨いて平滑にして、最終的に目的とする工具に仕上げた。
[実施例]
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
〈板状酸化セリウム粒子の作製〉
0.90モルの水酸化ナトリウムを800mlの水に溶解し、アルカリ水溶液を作製した。このアルカリ水溶液とは別に、0.074モルの塩化セリウム(III)七水和物を400mlの水に溶解して、塩化セリウムの水溶液を調整した。前者のアルカリ水溶液に、後者の塩化アルミニウム水溶液を滴下して、約25℃で水酸化セリウムを含む沈殿物を調整した。このときのpHは10.5であった。この沈殿物を懸濁液の状態で20時間熟成させた。
次に、上澄み液を除去した後、この沈殿物の懸濁液を、オートクレーブに仕込み、180℃で2時間、水熱処理を施した。
水熱処理生成物を水洗し、ろ過して、90℃で空気中乾燥させた。この乾燥物を乳鉢で軽く解砕した後、空気中600℃で1時間の加熱処理を行って酸化セリウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過、乾燥した。
得られた酸化セリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、蛍石構造の酸化セリウムに対応するスペクトルが観測された。また透過電子顕微鏡(日立電界放出型電子顕微鏡HF−200型)を用いて20万倍で形状観察を行ったところ、平均粒子径は21nmの板状の粒子であることがわかった。なお、平均粒子径は、透過電子顕微鏡撮影した印画紙上、100個の粒子の粒子径の平均値として求めた。粒子の板面方向における最大長さと厚さの比は、約5であった。この粒子の板面方向における最大長さと厚さの比は、同じ電子顕微鏡を用いて500万倍での断面観察により求めた。
この酸化セリウム粒子の20万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を図1に、X線回折スペクトル図を図2にそれぞれ示す。
〈板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子を用いた分散液の作製〉
560gの水に、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウム3gを溶解した。この溶解液に、上述した方法で作製した板状の酸化セリウム粒子(砥粒)37gを添加し、ペイントコンデイショナーを用いて2時間分散した。ペイントコンデイショナー用のポットには、この混合液に加えてさらに、分散処理用の媒体として直径1mmのジルコニアビーズ200gを入れた。この分散処理により、個々の酸化セリウム粒子がアルギン酸ナトリウム水溶液に均一に分散した分散液を得た。
次にポットから分散液を取り出し、その内の300gを500cm3 のガラスビーカに入れ、ホットプレート上で攪拌しながら総重量が75gになるまで水を蒸発させて濃縮した。
〈電気泳動を利用した板状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体の作製〉
上述した濃縮分散液を100cm3 のガラスビーカーに移し替え、これに正極棒と負極をセットした。正極棒としては、直径4mm、長さ10cmの黄銅棒を使用した。負極としては、同じ黄銅棒を螺旋状に成形したものを使用し、これをビーカーの壁面に沿うように配置した。
この正極と負極の両極間に、直流低電圧電源を使用して10Vの電圧を印加した。このとき両極間に流れる電流は約0.7〜0.1Aであった。この状態で正極棒を回転させながら30分間電圧を印加し、正極棒に、アルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは、約4mmで、直径は約12mmであった。
〈固定砥粒研削研磨用工具の作製〉
上述のようにして作製した堆積物から正極棒を抜き取り、高さ約1cmになるようにカッターナイフで切断した。この円柱状の成形物を空気中、室温で約1日間乾燥させた。乾燥により、収縮し、直径が約8mm、高さが約7mmの、アルギン酸ナトリウムと板状の酸化セリウム粒子との結合体からなる成形体を得た。この成形体の周囲および端面を研磨テープ等を用いて平滑にして、固定砥粒研削研磨用工具とした。
実施例1における板状酸化セリウム粒子の作製において、沈殿物の懸濁液の水熱処理条件を180℃、2時間から200℃、2時間に変更し、かつ空気中での加熱処理条件を、600℃、1時間から800℃、1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、水酸化セリウムを含有する沈殿物を生成させ、水洗、ろ過、乾燥後、加熱処理して、酸化セリウム粒子を作製した。
得られた酸化セリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に蛍石構造の酸化セリウムに対応するスペクトルが観測された。また透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、平均粒子径が58nmの板状の粒子であることがわかった。この酸化セリウム粒子の20万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を図3に示す。この粒子の板面方向における最大長さと厚さの比は約8であった。
この酸化セリウム粒子を用いて、実施例1と同様の方法で水溶性高分子を用いた分散液の作製し、さらに電気泳動を利用して板状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体の作製し、固定砥粒研削研磨用工具とした。
実施例1の平均粒子径が21nmの板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とを用いた分散液の作製において、560gの水に水溶性高分子として添加するアルギン酸ナトリウムの量を、3gから1.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして分散液を作製し、濃縮した。さらに実施例1と同じ条件で、板状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体を作製し、固定砥粒研削研磨用工具とした。
実施例1の平均粒子径が21nmの板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とを用いた分散液の作製において、560gの水に水溶性高分子として添加するアルギン酸ナトリウムの量を、3gから4.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして分散液を作製し、濃縮した。さらに実施例1と同じ条件で、板状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体を作製し、固定砥粒研削研磨用工具とした。
実施例1の平均粒子径が21nmの板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とを用いた分散液の作製において、560gの水に添加する酸化セリウム粒子の量を37gから18.5gに変更した以外は、実施例1と同様にして分散液を作製し、濃縮した。さらに実施例1と同じ条件で、板状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体を作製し、固定砥粒研削研磨用工具とした。
実施例2の平均粒子径が58nmの板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とを用いた分散液の作製において、560gの水に水溶性高分子として添加するアルギン酸ナトリウムの量を、3gから4.5gに変更した以外は、実施例2と同様にして分散液を作製し、濃縮した。さらに実施例2と同じ条件で、板状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体を作製し、固定砥粒研削研磨用工具とした。
実施例1における板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とを用いた分散液の作製において、560gの水に、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウム3gを溶解し、この溶解液に、酸化物粒子として、実施例2で作製した平均粒子径が58nmの酸化セリウム粒子29.6gと、平均粒子径が80nmで、粒子の板面方向における最大長さと厚さの比が約10の板状酸化アルミニウム(γ−アルミナ)粒子7.4gとを添加した。後者の板状酸化アルミニウム粒子は、本発明の発明者の一人が開発した方法に基づき、既述した板状酸化セリウム粒子の作製法と基本的に同じ作製法により作製したものである。分散液および固定砥粒研削研磨用工具は実施例1と同様の方法により作製した。
実施例7において、平均粒子径が80nmの板状酸化アルミニウム粒子7.4gを添加したことに代えて、平均粒子径が20nmで、粒子の板面方向における最大長さと厚さの比が約3の板状酸化ジルコニウム粒子7.4gを添加した以外は、実施例7と同様にして分散液および固定砥粒研削研磨用工具を作製した。なお、この板状酸化ジルコニウム粒子も、本発明の発明者の一人が開発した方法に基づき、既述した板状酸化セリウム粒子の作製法と基本的に同じ作製法により作製したものである。
実施例7において、平均粒子径が80nmの板状酸化アルミニウム粒子7.4gを添加したことに代えて、平均粒子径が50nmで、粒子の板面方向における最大長さと厚さの比が約5の板状酸化鉄粒子7.4gを添加した以外は、実施例7と同様にして分散液および固定砥粒研削研磨用工具を作製した。なお、この板状酸化鉄粒子も、本発明の発明者の一人が開発した方法に基づき、既述した板状酸化セリウム粒子の作製法と基本的に同じ作製法により作製したものである。
実施例1における板状酸化セリウム粒子の作製において、沈殿物の懸濁液の水熱処理を行わずに、かつ空気中での加熱処理条件を、600℃、1時間から300℃、1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、水酸化セリウムを含有する沈殿物を生成させ、水洗、ろ過、乾燥後、加熱処理して、酸化セリウム粒子を作製した。得られた酸化セリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に蛍石構造の酸化セリウムに対応するスペクトルが観測された。また透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、平均粒子径は30nmの球状ないしは粒状の粒子であることがわかった。
この酸化セリウム粒子を用いて、実施例1と同様の方法で水溶性高分子を用いた分散液の作製し、さらに電気泳動を利用して球状ないしは粒状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体の作製し、固定砥粒研削研磨用工具とした。
[比較例1]
水260gの水に、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウム3gを溶解した。この溶解液に市販のダイヤモンド砥粒(平均粒子径:カタログ値0.1μm)37gを添加し、攪拌機を用いて1時間分散した。この分散液をホットプレート上に乗せて、攪拌できなくなるまで水を加熱蒸発させた。
この濃縮混合体を円柱状に成形加工し、実施例1と同様に室温で乾燥後、この成形体の周囲および端面を研磨テープ等を用いて平滑にして、固定砥粒研削研磨用工具とした。すなわち、この比較例1では、砥粒としてダイヤモンド粒子を用いて、水溶性高分子で固定した工具を作製した。
[比較例2]
水260gの水に、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウム3gを溶解した。この溶解液に市販のα−アルミナ砥粒(平均粒子径:カタログ値0.2μm)37gを添加し、攪拌機を用いて1時間分散した。この分散液をホットプレート上に乗せて、攪拌できなくなるまで水を加熱蒸発させた。
この濃縮混合体を円柱状に成形加工し、実施例1と同様に室温で乾燥後、この成形体の周囲および端面を研磨テープ等を用いて平滑にして、固定砥粒研削研磨用工具とした。すなわち、この比較例2では、砥粒としてα−アルミナ粒子を用い、これを水溶性高分子で固定した工具を作製した。
〈研削性の評価〉
以上の各実施例および比較例で得られた固定砥粒研削研磨用工具の研削性能を調べるため、これらを用いて実際に被加工物を研削し、その研削性を評価した。研削性の評価には、被加工物として直径4インチ(約10.16cm)のシリコンウエハーを用いた。研削性を調べるための装置としては、精工技研社製のファイバーポリッシャー(SFP−120A)を使用した。研削するにあたっては、まず前記ファイバーポリッシャーにおける直径約18cmの円形の金属定盤(上部定盤)の直径約5cmの内周部分に、上述した方法で作製した工具4個を円周部分に沿って等間隔に接着剤を使って固定した。一方、直径約12cmの下部定盤上にシリコンウエハーを固定し、このシリコンウエハーの上部に、上記工具を固定した上部定盤を乗せ、上部定盤の自重により上記工具すなわち砥石がシリコンウエハーの表面に押し付けられるようにした。そして、上部定盤を固定し、下部定盤を75rpmで回転させることにより、下部定盤上に固定したシリコンウエハーの表面を研削した。
研削効率は、シリコンウエハー表面にAkashi社製のヌープ硬度計(HM−122)を用いて菱形の傷をいれ、研削の進行に伴うこの傷の深さの減少量、すなわち研削深さを調べることによって評価した。また研削後の表面平滑性は、Zygo社製の非接触表面粗さ計(New View5000)を用いてシリコンウエハーの表面粗さ(中心線平均粗さ)Raを測定し、この値(Ra値)から評価した。
表1に、以上の各実施例および比較例で使用した砥粒の種類、平均粒子径、添加量割合、砥石中の砥粒の含有量、水溶性高分子の含有量を示し、表2に、各実施例および比較例で得られた固定砥粒研削研磨用工具を用いて行った研削の評価結果を示す。なお、表2に示した研削深さおよび研削面のRa値は、30分間研削を行った時点で測定したものである。研削深さが大きいものほど研削効率が高く、またRa値が小さいものほど表面平滑性が優れていることを示す。
Figure 2005288645
Figure 2005288645
表2から明らかなように、実施例1〜5で得られた板状酸化セリウム粒子を用いた固定砥粒研削研磨用工具は、研削効率と研削後の表面平滑性のバランスの良好な砥石であることがわかる。このように使用する砥粒が微粒子であるにもかかわらず優れた研削効率を示すのは、砥粒である酸化セリウム粒子が板状形状を有することによるエッジを利用した優れた機械的研削性と、酸化セリウム粒子が有する化学的研削性の相乗効果によるものである。また優れた表面平滑性は、砥粒である酸化セリウム粒子が平均粒子径20nm〜60nmと極めて微粒子であることに基づく。
また、実施例7〜9の固定砥粒研削研磨用工具は、板状の酸化セリウム粒子を主構成粒子にして、さらに板状の酸化アルミニウム粒子、板状の酸化ジルコニウム粒子および酸化鉄粒子を含有させたものである。これらは、表面平滑性は板状の酸化セリウム粒子だけを用いたものに比べて若干劣るが、これは被加工物としてシリコンウエハーを用いたためである。本発明者らは、研削ないし研磨される被加工物の種類や研削条件によっては、これらの実施例の工具が優れた研削性能を示すことを確認している。したがって、目的、用途に応じて砥石の構成を選択することが好ましい。さらに、本実施例における評価結果は、研削砥石としての研削性を調べたものであるが、さらに水を添加して研削することも可能である。被加工物の種類や研削内容によって、乾式研削や水添加研削あるいは高湿度下での研削など、任意に研削条件を設定できる。
また粒状の酸化セリウム粒子を用いた実施例10の固定砥粒研削研磨用工具は、板状の酸化セリウム粒子を用いたものに比べて研削性は若干劣るが、比較例1および2に示す従来の砥粒を用いたものに比べて優れたバランスの良い研削性を示す。
一方、ダイヤモンド砥粒を用いた比較例1の固定砥粒研削研磨用工具は、ダイヤモンド粒子の高い硬度を反映して研削効率は高いが、研削後に明らかに研削痕が残り、表面平滑性は著しく劣る。
α−アルミナ粒子を用いた比較例2の固定砥粒研削研磨用工具では、比較的良好な表面平滑性は得られるが、研削効率が著しく低い。これは、α−アルミナは比較的高い硬度を有するが、化学的研削性がないためである。
このように、本発明の酸化セリウム粒子(特に板状の酸化セリウム粒子)と水溶性高分子とを含有してなる固定砥粒研磨工具は、優れた研削効率と表面平滑性を同時に実現した、従来の研削砥石では得られなかった優れた研削特性を有する固定砥粒研削研磨用工具であることがわかる。
実施例1で得られた酸化セリウム粒子の20万倍の透過電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例1で得られた酸化セリウム粒子のX線回折図である。 実施例2で得られた酸化セリウム粒子の20万倍の透過電子顕微鏡写真を示した図である。

Claims (11)

  1. 被加工物を研削ないし研磨するための固定砥粒研削研磨用工具であって、平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子が水溶性高分子により結合されていることを特徴とする固定砥粒研削研磨用工具。
  2. 酸化セリウム粒子の形状が板状であり、粒子の板面方向における最大長さと厚さの比が2〜20の範囲にある、請求項1記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  3. 被加工物を研削ないし研磨するための固定砥粒研削研磨用工具であって、平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化セリウム粒子を主構成粒子とし、さらに平均粒子径が10nmから200nmの範囲にある酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化鉄粒子の中から選ばれた少なくとも一種類の酸化物粒子を含有し、これらの粒子が水溶性高分子により結合されていることを特徴とする固定砥粒研削研磨用工具。
  4. 酸化セリウム粒子の形状が板状であり、粒子の板面方向における最大長さと厚さの比が2〜20の範囲にある、請求項3記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  5. 酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化鉄粒子の中から選ばれた少なくとも一種類の酸化物粒子の形状が板状であり、粒子の板面方向における最大長さと厚さの比が2〜20の範囲にある、請求項3または4記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  6. 前記酸化セリウム粒子に対する、前記酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化鉄粒子の中から選ばれた少なくとも一種類の酸化物粒子の含有量が、1〜50重量%の範囲にある、請求項3ないし5のいずれかに記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  7. 前記固定砥粒研削研磨用工具は、前記水溶性高分子が溶解した溶液中に前記板状の酸化セリウム粒子が分散された分散液を用いて、特定の形状に成形することにより作製されたものであり、その成形体の状態において前記板状の酸化セリウム粒子が特定の方向に実質的に配向した状態となっている、請求項1または2記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  8. 前記固定砥粒研削研磨用工具は、前記水溶性高分子が溶解した溶液中に、前記主構成粒子としての板状の酸化セリウム粒子と、板状の酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化鉄粒子の中から選ばれた少なくとも一種類の酸化物粒子とが分散された分散液を用いて、特定の形状に成形することにより作製されたものであり、その成形体の状態において前記板状の酸化セリウム粒子および酸化物粒子が特定の方向に実質的に配向した状態となっている、請求項3ないし6のいずれかに記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  9. 前記板状の酸化セリウム粒子が分散された分散液を用いて、または前記板状の酸化セリウム粒子と前記板状の酸化物粒子とが分散された分散液を用いて、特定の形状に成形するに当り、電気泳動現象を利用する、請求項7または8記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  10. 前記水溶性高分子の含有量が0.5〜30重量%の範囲にあり、前記板状の酸化セリウム粒子の含有量が50〜99重量%の範囲にある、請求項1、2または7のいずれかに記載の固定砥粒研削研磨用工具。
  11. 前記水溶性高分子の含有量が0.5〜30重量%の範囲にあり、前記主構成粒子としての酸化セリウム粒子と、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化鉄粒子の中から選ばれた少なくとも一種類の酸化物粒子との含有量が50〜99重量%の範囲にある、請求項3、4、5、6、8または9のいずれかに記載の固定砥粒研削研磨用工具。
JP2004108946A 2004-04-01 2004-04-01 固定砥粒研削研磨用工具 Pending JP2005288645A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004108946A JP2005288645A (ja) 2004-04-01 2004-04-01 固定砥粒研削研磨用工具
GB0503957A GB2412663A (en) 2004-04-01 2005-02-25 Fixed abrasive grinding/polishing tool
US11/065,452 US20050229499A1 (en) 2004-04-01 2005-02-25 Fixed abrasive grinding/polishing tool

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004108946A JP2005288645A (ja) 2004-04-01 2004-04-01 固定砥粒研削研磨用工具

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005288645A true JP2005288645A (ja) 2005-10-20

Family

ID=34431663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004108946A Pending JP2005288645A (ja) 2004-04-01 2004-04-01 固定砥粒研削研磨用工具

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20050229499A1 (ja)
JP (1) JP2005288645A (ja)
GB (1) GB2412663A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102009030294B4 (de) * 2009-06-24 2013-04-25 Siltronic Ag Verfahren zur Politur der Kante einer Halbleiterscheibe

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4576612A (en) * 1984-06-01 1986-03-18 Ferro Corporation Fixed ophthalmic lens polishing pad
US5958794A (en) * 1995-09-22 1999-09-28 Minnesota Mining And Manufacturing Company Method of modifying an exposed surface of a semiconductor wafer
EP0912295A1 (en) * 1996-05-08 1999-05-06 Minnesota Mining And Manufacturing Company Abrasive article comprising an antiloading component
US6039775A (en) * 1997-11-03 2000-03-21 3M Innovative Properties Company Abrasive article containing a grinding aid and method of making the same
JP3858462B2 (ja) * 1998-07-30 2006-12-13 株式会社日立製作所 半導体装置の製造方法
JP4438213B2 (ja) * 1999-11-25 2010-03-24 Jsr株式会社 研磨パッド用組成物及びそれを用いた研磨パッド
DE60108624T2 (de) * 2000-04-28 2005-12-22 3M Innovative Properties Co., Saint Paul Verfahren zum polieren und reinigen von glas
US20040244675A1 (en) * 2001-08-09 2004-12-09 Mikio Kishimoto Non-magnetic particles having a plate shape and method for production thereof, abrasive material, polishing article and abrasive fluid comprising such particles

Also Published As

Publication number Publication date
GB2412663A (en) 2005-10-05
GB0503957D0 (en) 2005-04-06
US20050229499A1 (en) 2005-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3359535B2 (ja) 半導体装置の製造方法
TW503216B (en) Improved ceria powder
JP4472747B2 (ja) 酸化セリウム研磨材及び研磨用スラリー
KR100430352B1 (ko) 실리카 및 산화철을 함유하는 알파 알루미나 기제 연마입자
US6645265B1 (en) Polishing formulations for SiO2-based substrates
RU2235747C2 (ru) Способ химико-механической планаризации и полученные с его помощью изделия
JPH06104816B2 (ja) 焼結アルミナ砥粒及びその製造方法
TWI409323B (zh) Hard crystalline substrate grinding methods and oily grinding slurry
JP4917098B2 (ja) 炭酸セリウム粉末及び製法、これから製造された酸化セリウム粉末及び製法、これを含むcmpスラリー
WO2011070898A1 (ja) 炭化珪素の研磨液及びその研磨方法
JPH08512357A (ja) 活性化研磨組成物
JPH10512011A (ja) 改良ゾルーゲルアルミナ研摩材
JPH0686326B2 (ja) セラミックス製品の製造方法
JP4033440B2 (ja) セリウム系研摩材スラリー及びセリウム系研摩材スラリーの製造方法
JP5495508B2 (ja) 研磨用粒子分散液およびその製造方法
KR20100021986A (ko) 뵈마이트 입자의 제조 방법 및 알루미나 입자의 제조 방법
CN104828852A (zh) 二氧化铈材料及其形成方法
CN111527047B (zh) 多孔二氧化硅粒子及其制造方法
JP2015063451A (ja) 金属酸化物粒子およびその製造方法ならびに用途
JP2013111725A (ja) 研磨材およびその製造方法
JP2004051390A (ja) 板状アルミナ粒子およびその製造方法
JP2012011525A (ja) 研磨材およびその製造方法
JP2006326787A (ja) 固定砥粒研削研磨用工具
JP2007061989A (ja) 研磨用複合酸化物粒子およびスラリー状研磨材
JP2000301459A (ja) 砥石およびこれを用いた研磨方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061222

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20061222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091112

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100309