JP2005288481A - 高反射部材のレーザ溶接方法 - Google Patents
高反射部材のレーザ溶接方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005288481A JP2005288481A JP2004107199A JP2004107199A JP2005288481A JP 2005288481 A JP2005288481 A JP 2005288481A JP 2004107199 A JP2004107199 A JP 2004107199A JP 2004107199 A JP2004107199 A JP 2004107199A JP 2005288481 A JP2005288481 A JP 2005288481A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- laser pulse
- pulse
- laser
- molten pool
- preliminary
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Laser Beam Processing (AREA)
Abstract
【課題】レーザ光の発振波長において高い反射率を有する部材を高い品質で効率的に溶接することができるレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】まず、溶接対象となる2つの部材1,2の接合部分に、比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスLP1を照射して溶融池Mを形成する。次に、予備レーザパルスLP1の照射により溶融池Mがレーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で、予備レーザパルスLP1に連続する形で、予備レーザパルスLP1よりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスLP2を照射する。最後に、主レーザパルスLP2の照射により溶融池Mが十分な深さを持つまでに深さ方向に成長した時点で、主レーザパルスLP2に連続する形で、予備レーザパルスLP1と同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ徐冷レーザパルスLP3を照射する。
【選択図】図2
【解決手段】まず、溶接対象となる2つの部材1,2の接合部分に、比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスLP1を照射して溶融池Mを形成する。次に、予備レーザパルスLP1の照射により溶融池Mがレーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で、予備レーザパルスLP1に連続する形で、予備レーザパルスLP1よりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスLP2を照射する。最後に、主レーザパルスLP2の照射により溶融池Mが十分な深さを持つまでに深さ方向に成長した時点で、主レーザパルスLP2に連続する形で、予備レーザパルスLP1と同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ徐冷レーザパルスLP3を照射する。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数の部材の接合部分に一連のレーザパルスからなるレーザ光を照射して各部材を互いに溶接するレーザ溶接方法に係り、とりわけ、レーザ光の発振波長において高い反射率を有するアルミニウムやアルミニウム合金、銅、銅合金等の高反射材料からなる部材を溶接するのに適したレーザ溶接方法に関する。
携帯電話用の電池ケースの材料として広く用いられているアルミニウムやアルミニウム合金、銅、銅合金等の材料は、常温時の特性として、近赤外域において高い反射率を有している。このため、このような材料からなる部材の接合部分に、発振波長が近赤外域にあるレーザ光(例えばNd:YAGレーザ光)を照射して溶接を行うと、溶接対象となる部材の接合部分の表面でレーザ光の多くが反射されてしまうこととなり、部材の接合部分でレーザ光のエネルギーが効率良く吸収されず、十分な加工効率が得られないという問題があった。
そこで、従来においては、溶接対象となる部材の接合部分に高いピーク出力を持つレーザ光を照射して溶融池を形成し、当該部材の接合部分の表面の反射率を低下させた状態で溶接を行う方法が提案されている(特許文献1)。
特開平11−273639号公報
しかしながら、上述した従来の方法では、部材の接合部分の表面に溶融池が形成されることでその表面の反射率が低下するものの、このようにして形成される溶融池はレーザ光の集光スポットの中心部付近から徐々に成長するので、溶融池がレーザ光の集光スポット径と同程度の径を持つまでに径方向に成長するまでは、レーザ光の集光スポット径の内部の領域のうち溶融池の外周部に位置する領域(部材が溶融していない領域)の表面は高い反射率を維持している。このため、上述したような高いピーク出力を持つレーザ光を照射したとしても、レーザ光の集光スポット径の内部の領域のうち溶融池の外周部に位置する領域では、依然としてレーザ光が反射されてしまうこととなり、部材の接合部分でレーザ光のエネルギーが必ずしも効率良く吸収されているとは言い難く、加工効率を下げる原因となっていた。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、レーザ光の発振波長において高い反射率を有するアルミニウムやアルミニウム合金、銅、銅合金等の高反射材料からなる部材を高い品質で効率的に溶接することができるレーザ溶接方法を提供することを目的とする。
本発明は、高反射材料からなる複数の部材の接合部分に一連のレーザパルスからなるレーザ光を照射して当該各部材を互いに溶接するレーザ溶接方法において、溶接対象となる複数の部材の接合部分に比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスを照射して溶融池を形成するステップと、前記予備レーザパルスの照射により前記溶融池がレーザ光の集光スポット径と同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で、前記予備レーザパルスに連続する形で、前記予備レーザパルスよりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスを照射し、前記溶融池にキーホールを形成するステップとを含むことを特徴とするレーザ溶接方法を提供する。
なお、本発明においては、前記主レーザパルスの照射により前記溶融池が十分な深さを持つまでに深さ方向に成長した時点で、前記主レーザパルスに連続する形で、前記予備レーザパルスと同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ徐冷レーザパルスを照射し、前記溶融池に形成されたキーホールをその周囲の溶融部材により埋めるステップをさらに含むことが好ましい。
また、本発明においては、前記予備レーザパルスのパルス幅が1ms以上、パルスエネルギーが2J/pulse以下、ピーク出力が2kW以下、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以下であり、前記主レーザパルスのパルス幅が0.1ms以上、パルスエネルギーが0.2J/pulse以上、ピーク出力が2kW以上、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以上であり、前記徐冷レーザパルスのパルス幅が0.2ms以上、パルスエネルギーが2J/pulse以下、ピーク出力が2kW以下、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以下であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記主レーザパルスの照射により前記溶融池が十分な深さを持つまでに深さ方向に成長した時点で、前記予備レーザパルスと同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つCWレーザを照射し、前記溶融池に形成されたキーホールをその周囲の溶融部材により埋めるステップをさらに含むことが好ましい。ここで、前記CWレーザは前記主レーザパルスの照射インターバル中に重畳的に照射されることが好ましい。
なお、本発明において、前記高反射材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金からなる群から選択されることが好ましい。
本発明によれば、比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスを照射して、レーザ光の集光スポット径と同程度の径を持つまでに溶融池を径方向に成長させた後、予備レーザパルスよりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスを照射して、溶融池で発生した金属蒸気によりキーホールを形成するようにしているので、比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスの照射による熱伝導を利用して溶融池を径方向及び深さ方向へ成長させる一方で、予備レーザパルスよりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスの照射によるキーホールHの形成により溶融池を深さ方向へ成長させることができる。このため、溶融池の深さ方向への成長を熱伝導のみによって行う場合に比べて、溶融池を深さ方向へ成長させるのに必要とされるレーザパルスのパルス幅を全体として短くすることが可能となり、レーザ発振器に加えられる負荷を抑制して、パルス繰り返し数の向上ひいては溶接速度の向上を図ることができる。またこの場合、溶融池の径方向への成長に関しては、ピーク出力の低い予備レーザパルスの照射により行うことができるので、予備レーザパルスの照射時におけるキーホールの生成を抑え、溶接の安定性(溶融深さの安定性、ブローホールの発生の回避、スパッタの生成を抑えることによるビード外観の安定性等)を図ることができる。さらに、主レーザパルスは、予備レーザパルスの照射により溶融池がレーザ光の集光スポット径と同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で照射されるので、固体状態である場合に比べて表面の反射率が低い溶融池に主レーザパルスの大半が照射されることとなり、部材の接合部分に効率良く主レーザパルスのエネルギーが吸収される。すなわち、同一のエネルギーを投入したとしても多くのエネルギーが部材の接合部分に吸収されることとなり、効率の良い溶接を行うことができる。
また、本発明によれば、予備レーザパルス及び主レーザパルスを照射して、十分な深さを持つまでに溶融池を深さ方向に成長させた後、予備レーザパルスと同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ徐冷レーザパルスを照射して、溶融池に形成されたキーホールをその周囲の溶融部材により埋めるようにしているので、ブローホールが完全に消失するまで徐冷レーザパルスを持続するようにすれば、ブローホールの発生を確実に抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、図1(a)(b)(c)及び図2により、本発明の一実施の形態に係るレーザ溶接方法について説明する。
図1(a)(b)(c)に示すように、本実施の形態においては、高反射材料からなる2つの部材1,2の接合部分に一連のレーザパルスからなるレーザ光Lを集光レンズ5を介して所定の集光スポット径Dで照射して当該各部材1,2を互いに溶接する。なお、溶接対象となる部材1,2はアルミニウム合金からなるものであり、レーザ光(例えばNd:YAGレーザ光)の発振波長(例えば近赤外域)において高い反射率を有している。
ここで、溶接対象となる部材1,2に照射されるレーザ光Lは、図2に示すような複数種類のレーザパルス(予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3)を含み、それぞれがLP1,LP2,LP3の順番で出射される。図2に示すように、予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3は互いに連続しており、全体として一つのレーザパルスを構成している。なお、予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3は、そのパルス形状が互いに異なっており、それに伴ってピーク出力及びエネルギー密度が異なっている。
図1(a)に示すように、本実施の形態に係るレーザ溶接方法においては、まず、溶接対象となる2つの部材1,2の接合部分に予備レーザパルスLP1を照射して溶融池Mを形成する。なお、予備レーザパルスLP1は、図2に示すように、パルス幅がt1、レーザ光出力がP2の矩形状のパルス形状を有するものであり、部材1,2の接合部分に形成される溶融池Mの温度が沸点に到達しない程度の比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ。
ここで、予備レーザパルスLP1は、図2に示すように、時間0〜t1までの期間(溶融池形成期間)に亘って2つの部材1,2の接合部分に照射される。このとき、予備レーザパルスLP1の照射開始直後においては、図1(a)に示すように、レーザ光Lの集光スポットの中心近傍の極く限られた部分のみが溶融して溶融池Mを形成し、その後に溶融池Mの径が大きくなっていく。このため、溶融池Mの径がレーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに径方向に成長するまでは、レーザ光Lの集光スポット径Dの内部の領域のうち溶融池Mの外周部に位置する領域(金属が溶融していない領域)の表面が高い反射率を維持し、当該領域においてレーザ光Lが反射されてしまう。しかしながら、溶融池Mがレーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに径方向に成長すると、部材1,2の接合部分でレーザ光Lのエネルギーが効率良く吸収される。
なお、このようにして形成された溶融池Mは、レーザ光Lの集光スポット径Dの外部の領域においても熱伝導によってその径方向に拡がりながら成長し、また、その深さ方向にも径方向と同様に拡がっていく。
ここで、レーザ光Lの集光スポット径Dの外部の領域における溶融池Mの径方向への成長速度は、溶接対象となるアルミニウム合金の基本物性や照射レーザ条件に依存するものではあるが、例えばアルミニウム合金であるA3003に対してレーザ光(ピーク出力が1kW程度、集光スポット径が0.4mm程度)を照射した場合には、集光スポット径である0.4mmの外部に位置する領域で溶融池Mが径方向へ拡がる速度は数10μm/ms程度となる。このため、レーザ光Lのパルス幅が数ms程度である場合には、この段階で最終的に得られる溶融池Mの径は0.5mm程度となる。
また、このような熱伝導による溶融の場合には、椀状の溶融池が形成されるので、その深さ方向の寸法は、径方向の寸法の半分以下程度となる。このため、同一の条件で予備レーザパルスLP1の照射を継続しても、熱伝導による溶融のみにより形成される溶融池Mでは、その深さ方向への成長に限界がある。
そこで、予備レーザパルスLP1の照射により溶融池Mがレーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で、予備レーザパルスLP1に連続する形で主レーザパルスLP2を照射し、溶融池MにキーホールHを形成する。なお、主レーザパルスLP2は、図2に示すように、パルス幅が(t2−t1)、レーザ光出力がP3の矩形状のパルス形状を有するものであり、予備レーザパルスLP1よりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ。
ここで、主レーザパルスLP2は、図2に示すように、時間t1〜t2までの期間(深溶け込み期間)に亘って2つの部材1,2の接合部分に照射される。このとき、主レーザパルスLP2は、予備レーザパルスLP1よりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つので、図1(b)に示すように、主レーザパルスLP2の照射によって溶融池Mで発生した金属蒸気によりキーホールHが形成されることとなり、溶融池Mが十分な深さを持つまでに深さ方向に成長する。なお、このようにして形成されるキーホールHは、図1(b)に示すように、径方向の寸法は溶融池Mの径よりも小さいが、深さ方向の寸法は溶融池Mよりもかなり大きいものである。ここで、主レーザパルスLP2は、溶融池Mがレーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で照射されるので、固体状態である場合に比べて表面の反射率が低い溶融池Mに主レーザパルスLP2の大半が照射されることとなり、部材1,2の接合部分に効率良く主レーザパルスLP2のエネルギーが吸収される。すなわち、同一のエネルギーを投入したとしても多くのエネルギーが部材1,2の接合部分に吸収されることとなり、効率の良い溶接を行うことができる。
最後に、主レーザパルスLP2の照射により溶融池Mが十分な深さを持つまでに深さ方向に成長した時点で、主レーザパルスLP2に連続する形で徐冷レーザパルスLP3を照射し、溶融池Mに形成されたキーホールHをその周囲の溶融金属(溶融部材)により埋める。なお、徐冷レーザパルスLP3は、図2に示すように、パルス幅が(t3−t2)、レーザ光出力がP1〜P2のスロープ形状のパルス形状を有するものであり、予備レーザパルスLP1と同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ。
ここで、徐冷レーザパルスLP3は、時間t2〜t3までの期間(溶融池整形期間)に亘って2つの部材1,2の接合部分に照射される。このとき、溶融池MのうちキーホールHの周囲にはそれよりも十分に大きな体積を持つ溶融金属があるので、主レーザパルスLP2の照射が終了して溶融金属の凝固が進むときにキーホールHは埋められてしまい、ブローホールの発生が抑えられる。ここで、ブローホールが完全に消失するまで徐冷レーザパルスLP3を持続するようにすれば、ブローホールの発生は確実に抑えられる。
なお、以上において、予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3の照射条件は、溶接対象となるアルミニウム合金の基本物性等に依存するものであるが、予備レーザパルスLP1は、そのパルス幅が1ms以上、パルスエネルギーが2J/pulse以下、ピーク出力が2kW以下、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以下であることが好ましい。また、主レーザパルスLP2は、そのパルス幅が0.1ms以上、パルスエネルギーが0.2J/pulse以上、ピーク出力が2kW以上、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以上であることが好ましい。さらに、徐冷レーザパルスLP3は、そのパルス幅が0.2ms以上、パルスエネルギーが2J/pulse以下、ピーク出力が2kW以下、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以下であることが好ましい。
また、予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3のパルス形状は、図2に示すようなものに限らず、例えば、図3(a)(b)に示すものや、図4(a)(b)(c)(d)に示すものとしてもよい。なお、図2、図3(a)(b)及び図4(a)(b)(c)(d)に示すものはいずれも、予備レーザパルスLP1及び主レーザパルスLP2の照射後に徐冷レーザパルスLP3を照射して、溶融池Mに形成されたキーホールHをその周囲の溶融金属により埋めるようにするものであるが、要求される溶融池Mの溶け込み深さや加工速度、溶接品位等によっては、図5(a)(b)に示すように、予備レーザパルスLP1及び主レーザパルスLP2のみを照射し、徐冷レーザパルスLP3を照射しないようにすることもできる。
ここで、上述した一連のレーザパルス(予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3)は、例えば図6に示すようなレーザ装置10によりレーザ光の波形制御を行うことにより得ることができる。
具体的には、図6に示すレーザ装置10は、励起ランプ11aを有するレーザ発振器11と、レーザ発振器11に任意の大きさの駆動電力を印加するスイッチング電源12と、スイッチング電源12によりレーザ発振器11に印加される駆動電力を制御する制御用マイコン13とを備えている。なお、制御用マイコン13は、通信路15を介して制御用パーソナルコンピュータ14に接続されており、制御用パーソナルコンピュータ14からの指示の下で、予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3をこの順でかつ互いに連続する形でレーザ発振器11から出射させるよう、スイッチング電源12を制御するようになっている。ここで、制御用マイコン13及び制御用パーソナルコンピュータ14により制御用コンピュータが構成されている。
すなわち、図6に示すレーザ装置10において、レーザ発振器11から出射されるレーザパルスのパルス形状は、スイッチング電源12により印加される駆動電力の波形に応じて制御され、制御用マイコン13及び制御用パーソナルコンピュータ14による制御の下でスイッチング電源12によりレーザ発振器11に印加される駆動電力の波形が変更されることにより、レーザ発振器11から所定のピーク出力及びエネルギー密度を持つ一連のレーザパルス(予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3)が出射されるようになっている。なお、以上のとおり、レーザ発振器11から出射されるレーザパルスのパルス形状は、スイッチング電源12により印加される駆動電力の波形に応じて制御されるので、予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3のパルス形状、パルス幅、パルスエネルギー及び投入タイミング等を独立に変更することが可能である。
このように本実施の形態によれば、比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスLP1を照射して、レーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに溶融池Mを径方向に成長させた後、予備レーザパルスLP1よりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスLP2を照射して、溶融池Mで発生した金属蒸気によりキーホールHを形成するようにしているので、比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスLP1の照射による熱伝導を利用して溶融池Mを径方向及び深さ方向へ成長させる一方で、予備レーザパルスLP1よりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスLP2の照射によるキーホールHの形成により溶融池Mを深さ方向へ成長させることができる。このため、溶融池Mの深さ方向への成長を熱伝導のみによって行う場合に比べて、溶融池Mを深さ方向へ成長させるのに必要とされるレーザパルスのパルス幅を全体として短くすることが可能となり、レーザ発振器11に加えられる負荷を抑制して、パルス繰り返し数の向上ひいては溶接速度の向上を図ることができる。またこの場合、溶融池Mの径方向への成長に関しては、ピーク出力の低い予備レーザパルスLP1の照射により行うことができるので、予備レーザパルスLP1の照射時におけるキーホールHの生成を抑え、溶接の安定性(溶融深さの安定性、ブローホールの発生の回避、スパッタの生成を抑えることによるビード外観の安定性等)を図ることができる。さらに、主レーザパルスLP2は、予備レーザパルスLP1の照射により溶融池Mがレーザ光Lの集光スポット径Dと同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で照射されるので、固体状態である場合に比べて表面の反射率が低い溶融池Mに主レーザパルスLP2の大半が照射されることとなり、部材1,2の接合部分に効率良く主レーザパルスLP2のエネルギーが吸収される。すなわち、同一のエネルギーを投入したとしても多くのエネルギーが部材1,2の接合部分に吸収されることとなり、効率の良い溶接を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、予備レーザパルスLP1及び主レーザパルスLP2を照射して、十分な深さを持つまでに溶融池Mを深さ方向に成長させた後、予備レーザパルスLP1と同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ徐冷レーザパルスLP3を照射して、溶融池Mに形成されたキーホールHをその周囲の溶融金属(溶融部材)により埋めるようにしているので、ブローホールが完全に消失するまで徐冷レーザパルスLP3を持続するようにすれば、ブローホールの発生を確実に抑えることができる。
なお、上述した実施の形態においては、図6に示すようなレーザ装置10によって一つのレーザパルスの波形を制御することにより、互いに連続した一連のレーザパルス(予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3)を擬似的に生成するようにしているが、これに限らず、パルス形状の異なる複数のレーザ光を重ね合わせることにより一連のレーザパルス(予備レーザパルスLP1、主レーザパルスLP2及び徐冷レーザパルスLP3)を得るようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、予備レーザパルスLP1及び主レーザパルスLP2の照射後に徐冷レーザパルスLP3を照射し、溶融池Mに形成されたキーホールHをその周囲の溶融金属により埋めるようにしているが、徐冷レーザパルスLP3に代えて、予備レーザパルスLP1と同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つCW(continuous-wave)レーザを照射するようにしてもよい。なおこの場合、CWレーザは、徐冷レーザパルスLP3と同様に、主レーザパルスLP2の照射後に照射するようにしてもよいが、主レーザパルスLP2の照射インターバル中に重畳的に照射してもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、溶接対象となる2つの部材1,2の材料としてアルミニウム合金を用いているが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、レーザ光の発振波長において高い反射率を有する同様の高反射材料(アルミニウムや銅、銅合金等)にも同様にして適用することができる。
1,2 溶接対象となる部材
5 集光レンズ
10 レーザ装置
11 レーザ発振器
11a 励起ランプ
12 スイッチング電源
13 制御用マイコン
14 制御用コンピュータ
15 通信路
L レーザ光
LP1 予備レーザパルス
LP2 主レーザパルス
LP3 徐冷レーザパルス
M 溶融池
D 集光スポット径
5 集光レンズ
10 レーザ装置
11 レーザ発振器
11a 励起ランプ
12 スイッチング電源
13 制御用マイコン
14 制御用コンピュータ
15 通信路
L レーザ光
LP1 予備レーザパルス
LP2 主レーザパルス
LP3 徐冷レーザパルス
M 溶融池
D 集光スポット径
Claims (7)
- 高反射材料からなる複数の部材の接合部分に一連のレーザパルスからなるレーザ光を照射して当該各部材を互いに溶接するレーザ溶接方法において、
溶接対象となる複数の部材の接合部分に比較的低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ予備レーザパルスを照射して溶融池を形成するステップと、
前記予備レーザパルスの照射により前記溶融池がレーザ光の集光スポット径と同程度の径を持つまでに径方向に成長した時点で、前記予備レーザパルスに連続する形で、前記予備レーザパルスよりも十分に高いピーク出力及びエネルギー密度を持つ主レーザパルスを照射し、前記溶融池にキーホールを形成するステップとを含むことを特徴とするレーザ溶接方法。 - 前記予備レーザパルスのパルス幅が1ms以上、パルスエネルギーが2J/pulse以下、ピーク出力が2kW以下、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以下であり、
前記主レーザパルスのパルス幅が0.1ms以上、パルスエネルギーが0.2J/pulse以上、ピーク出力が2kW以上、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 - 前記主レーザパルスの照射により前記溶融池が十分な深さを持つまでに深さ方向に成長した時点で、前記主レーザパルスに連続する形で、前記予備レーザパルスと同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つ徐冷レーザパルスを照射し、前記溶融池に形成されたキーホールをその周囲の溶融部材により埋めるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記徐冷レーザパルスのパルス幅が0.2ms以上、パルスエネルギーが2J/pulse以下、ピーク出力が2kW以下、加工点でのエネルギー密度が20J/mm2以下であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 前記主レーザパルスの照射により前記溶融池が十分な深さを持つまでに深さ方向に成長した時点で、前記予備レーザパルスと同程度又はそれよりも低いピーク出力及びエネルギー密度を持つCWレーザを照射し、前記溶融池に形成されたキーホールをその周囲の溶融部材により埋めるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記CWレーザは前記主レーザパルスの照射インターバル中に重畳的に照射されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記高反射材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004107199A JP2005288481A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 高反射部材のレーザ溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004107199A JP2005288481A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 高反射部材のレーザ溶接方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005288481A true JP2005288481A (ja) | 2005-10-20 |
Family
ID=35322023
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004107199A Withdrawn JP2005288481A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 高反射部材のレーザ溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005288481A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011200915A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Kobe Steel Ltd | アルミニウム合金材のパルスレーザ溶接方法 |
DE102010040114A1 (de) * | 2010-09-01 | 2012-03-01 | Endress + Hauser Wetzer Gmbh + Co Kg | Verfahren zur Herstellung einer Vorrichtung zur Überwachung einer Prozessgröße |
WO2014080442A1 (ja) * | 2012-11-21 | 2014-05-30 | オー・エム・シー株式会社 | レーザ溶接方法とその装置 |
WO2015005676A1 (ko) * | 2013-07-09 | 2015-01-15 | 주식회사 엘지화학 | 이종 금속 용접 방법, 이에 의해 제조된 이종 금속 버스 바 및 이를 포함하는 이차전지 |
WO2015113811A1 (de) * | 2014-01-31 | 2015-08-06 | Trumpf Laser Gmbh | Verfahren und vorrichtung zum punktschweissen von werkstücken insbesondere aus kupfer, kupferlegierungen, gold oder schmuckwerkstoffen mittels laserpulsen mit grüner wellenlänge |
JPWO2013171848A1 (ja) * | 2012-05-15 | 2016-01-07 | トヨタ自動車株式会社 | 溶接方法、溶接装置、及び電池の製造方法 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004107199A patent/JP2005288481A/ja not_active Withdrawn
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011200915A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Kobe Steel Ltd | アルミニウム合金材のパルスレーザ溶接方法 |
DE102010040114A1 (de) * | 2010-09-01 | 2012-03-01 | Endress + Hauser Wetzer Gmbh + Co Kg | Verfahren zur Herstellung einer Vorrichtung zur Überwachung einer Prozessgröße |
US10010974B2 (en) | 2012-05-15 | 2018-07-03 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Welding method, welding device, and method for manufacturing battery |
JPWO2013171848A1 (ja) * | 2012-05-15 | 2016-01-07 | トヨタ自動車株式会社 | 溶接方法、溶接装置、及び電池の製造方法 |
WO2014080442A1 (ja) * | 2012-11-21 | 2014-05-30 | オー・エム・シー株式会社 | レーザ溶接方法とその装置 |
JPWO2014080442A1 (ja) * | 2012-11-21 | 2017-01-05 | オー・エム・シー株式会社 | レーザ溶接方法とその装置 |
CN105358287A (zh) * | 2013-07-09 | 2016-02-24 | Lg化学株式会社 | 用于焊接不同种金属的方法、使用该方法制造的含不同金属的汇流条以及包含该汇流条的二次电池 |
WO2015005676A1 (ko) * | 2013-07-09 | 2015-01-15 | 주식회사 엘지화학 | 이종 금속 용접 방법, 이에 의해 제조된 이종 금속 버스 바 및 이를 포함하는 이차전지 |
US10350702B2 (en) | 2013-07-09 | 2019-07-16 | Lg Chem, Ltd. | Method for welding dissimilar metals, dissimilar metallic busbar manufactured using same, and secondary battery comprising same |
CN105980100A (zh) * | 2014-01-31 | 2016-09-28 | 通快激光有限责任公司 | 借助绿光波长的激光脉冲点焊尤其由铜、铜合金、金或首饰材料构成的工件的方法和装置 |
WO2015113811A1 (de) * | 2014-01-31 | 2015-08-06 | Trumpf Laser Gmbh | Verfahren und vorrichtung zum punktschweissen von werkstücken insbesondere aus kupfer, kupferlegierungen, gold oder schmuckwerkstoffen mittels laserpulsen mit grüner wellenlänge |
JP2017504486A (ja) * | 2014-01-31 | 2017-02-09 | トルンプフ レーザー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングTRUMPF Laser GmbH | 特に銅、銅合金、金または宝飾材料から成る複数のワークピースを、緑色の波長を有するレーザパルスによってスポット溶接する方法および装置 |
CN105980100B (zh) * | 2014-01-31 | 2018-05-18 | 通快激光有限责任公司 | 借助绿光波长的激光脉冲点焊尤其由铜、铜合金、金或首饰材料构成的工件的方法和装置 |
US10610962B2 (en) | 2014-01-31 | 2020-04-07 | Trumof Laser Gmbh | Methods and apparatus for spot welding workpieces using laser pulses |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7095039B2 (ja) | 溶接部 | |
US10286491B2 (en) | Laser welding method | |
US10668565B2 (en) | Apparatus and method for overlap laser welding | |
US9956646B2 (en) | Multiple-beam laser processing using multiple laser beams with distinct wavelengths and/or pulse durations | |
JP5105944B2 (ja) | レーザ装置 | |
US7154065B2 (en) | Laser-hybrid welding with beam oscillation | |
JP2005527383A (ja) | ビームオシレーションによるレーザー溶接 | |
JP2002316282A (ja) | レーザ加工方法及び装置 | |
CN103476535B (zh) | 激光焊接方法 | |
JP2005288481A (ja) | 高反射部材のレーザ溶接方法 | |
JP2019005769A (ja) | 積層金属箔の溶接方法 | |
JP2005246434A (ja) | レーザスポット溶接における穴欠陥の防止または修復方法および装置 | |
JPH10202380A (ja) | レ−ザ溶接方法および二次電池容器の製法 | |
CN113967787B (zh) | 一种激光焊接方法 | |
CN109967877B (zh) | 一种激光焊接方法及*** | |
JP2002301583A (ja) | レーザ溶接方法及び装置 | |
JP6845170B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
JP2003170285A (ja) | アルミニウムの溶接方法 | |
JP2003251481A (ja) | パルスレーザ溶接方法及びパルスレーザ溶接装置 | |
US10518359B2 (en) | Method of welding in deep joints | |
JP2006205216A (ja) | レーザ溶接装置、及びレーザ溶接方法 | |
JP2004255435A (ja) | レーザ溶接装置及び方法 | |
Katayama et al. | Fundamentals and Features of Laser Welding | |
JP2004058140A (ja) | レーザスポット溶接方法及びレーザスポット溶接装置 | |
JPH09300086A (ja) | レーザ溶接方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070605 |