JP2005274568A - 全ヘモグロビン測定のための分光分析方法および装置 - Google Patents

全ヘモグロビン測定のための分光分析方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】全−Hbを測定する改良された方法および装置を提供する。
【解決手段】試料の全−Hbを測定する方法であって、Oxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または”全−Hb マイナス Met−Hb”に対する第1の一次検量解法およびMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbに対する第2の一次検量解法または第1と第2の一次検量解法を合算して得られる第3の一次検量解法を具備する分光測定器を使用して吸光度を収集する。続いて、Oxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または”全−Hb マイナス Met−Hb”に対する第1の値を予測しMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbに対する第2の値を予測して第1の値と第2の値を合計するか、または全−Hbを予測する。試料は大気酸素に暴露されてから全−Hbを予測する。
【選択図】図1

Description

この発明は、生体試料中の全ヘモグロビン(血色素)(Hb)の分光分析の分野に関する。本発明は生体試料中の全−Hbを測定するための方法とその装置に関する。
血液全体(全血)の血清、血漿は臨床試験で日常的に試験される。日常的な臨床試験では、赤血球(RBC)は遠心分離で血清から分離され、または遠心分離の前に赤血球と種々の血漿蛋白は凝固により血清から分離される。Hbは、脂質粒子と同様の光散乱物質であり、それと胆汁色素 ビリルビン(BR)および胆緑素 ビリベルディン(BV)は典型的な血液成分であり、これらは血液検査における分光学的な検査や他の分析に干渉しそして影響する。このような干渉剤の存在は血清、血漿試験に影響し、それ自体が試料保全を危うくさせると言い得る。
CO−酸素測定法は全血中の主たるHb種、例えばオキシ−ヘモグロビン(Oxy−Hb)、デオキシ−ヘモグロビン(Deoxy−Hb)、メット−ヘモグロビン(Met−Hb)、カルボキシ−ヘモグロビン(Carboxy−Hb)およびサルフ−ヘモグロビン(Sulf−Hb)を測定する技術である。CO−酸素測定法は、試料が酸素に触れるのを防ぎながら採血し、それによりDeoxy−HbがOxy−Hbに転換するのを最小限度に止める。さらに、この技術では赤血球は測定用キュベットで溶血して光学的に透明になる。全血試料を溶血する最も普通に使用される方法は、試料を超音波発生器の音波に当てる方法であり、化学溶血剤もまた使用される。最近のCO−酸素測定法は検量線解法で異なる波長におけるHb種の吸光係数を用いる方法である。溶血系が要求するのでRBC蛋白による光散乱効果を扱うようには設計されていない。例えばアメリカ特許第4997769号明細書のようなあるCO−酸素測定法は、たとえば、キロミクロン(chylomicron)(赤血球はキロミクロンよりも1−2桁大きい)のような微粒子による光散乱を数学的に扱うが、溶血システムは依然として必要である。
試料中の全ヘモグロビン(Tot−Hb)を測定する最近の方法は、好ましくは試薬を利用し、これによると、Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Carboxy−HbおよびMet−Hbのような異なるHb種を単一種に変換し、それから分光法により単一波長で測定して求める方法であり、たまに第2の波長による測定が行われる。試薬は通常、有害で(たとえば、青酸カリやアジド)、そして体液中のHbの測定には無試薬の方法が望まれる。ハーボエ(ハーボエ、M.,1959,近紫外線分光法による血漿中のヘモグロビンの測定方法、Scand.J.Clin.Lab.Invest,pp.66−70)とティエツ(臨床化学のティエツの教科書、第3版、1999,pp1674−1676;これはここに参考で組み入れられる)は、Hb測定に無試薬のスペクトル分析の例を示した。Hbは非常に強い吸光信号を発するが、Hb種の吸光スペクトルはかなりの相違を示す。無試薬の分光方法はほとんどOxy−HbとDeoxy−Hbを含む試料に限られる。Deoxy−Hbは通常、試料を大気酸素にしばらく曝してOxy−Hbに変換される。双方の方法(ハーボエとティツエ)の最大の誤差の原因は、Met−Hbの存在である。アメリカ特許第6689612号明細書(サムスーンダー)では、溶血の指標として全−Hb、オキシ−ヘモグロビン(Oxy−Hb)および“全−Hb マイナス メット−ヘモグロビン(Met−Hb)”を用いる方法が記載される。Met−Hbの吸収スペクトルは他のHb種とは大きく相違するので、Hbのために開発された検量線解法が“全−Hb マイナス Met−Hb”を予測するのに良いであろう。しかし、アメリカ特許第6689612号明細書は、全血中の全−Hbを測定する方法と装置を開示しない。
Met−HbはHbの酸化生成物であり、ヘモグロビン系血液置換体のMet−Hb形もヘモグロビンベースの代用血液の酸化生成物である。自然のHbからのMet−HbまたはHb系の代用血液は酸素と結合できないので、Met−Hbまたはヘモグロビンベースの代用血液のMet−Hb形は機能的Hbではない。
「発明の要約」
この発明は生体試料中の全ヘモグロビン(Hb)の分光分析の分野に関する。本発明は生体試料中の全−Hbを測定する方法および装置を提供する。
本発明の目的は全−Hbを測定する改良された方法および装置を提供する。
本発明は、試料中の全−Hbを測定する方法(A)を提供し、それは以下からなり、
i)一つまたは一つ以上の第1または第2の分光分析装置を用いて試料の吸光度を測定し、該装置はOxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または“全−Hb マイナス Met−Hb”のための第1の一次検量解法と、Met−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbのための一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法を有するか、または第1の一次検量解法と第2の一次検量解法の項を加算することにより得られる第3の一次検量解法を有し、そして、
ii)次ぎのいずれかを予測し、
a)標準の一組の波長の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数を第1の一次検量解法に適用することによりOxy−Hb、“Oxy−Hb マイナス Deoxy−Hb”または“全−Hb マイナス Met−Hb”の一つの第1の値を予測し、そして第2の一次検量解法に標準の一組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数を適用することにより試料中のMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbのうちの一つまたは一つ以上の一つまたは一つ以上の第2の値を予測し、そして前記第1の値と一つまたは一つ以上の前記第2の値を加算して全―Hbの測定値を求める、または、
b)標準の一組の波長の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数に適用される第3の一次検量解法を使用する全―Hbを予測する。

さらに、試料は、全血、血清、血漿、尿、滑液、リンパ液、唾液、糞便、または髄液の一つであり得るし、そして全―Hbは溶血の指標として使用され得る。さらに、本発明は、試料は吸光度測定に先立ち、大気酸素に暴露され得ることを含む上記記載の方法に関する。さらに、試料中の赤血球は手付かずであり、吸光度測定前には溶血されない。また測定材料の吸光度係数検量解法には使用されない。
本発明は、また、上記記載の方法(A)に関し、ここで、収集段階(段階i)からなり、第1の一次検量解法および一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法が生成され、それは標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数を使い、Oxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、“全−Hb マイナス Met−Hb”、Met−Hb、Carboxy−Hb、またはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対する公知の参照値を有する一つまたは一つ以上の一次検量解法の組を用いる一つまたは一つ以上の第1の装置から得られ、第1の一次検量解法はOxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、または“全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対して発生され、標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数、公知の参照値および統計処理を用い、一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法は、Met−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対して生成され、標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数、公知の参照値および統計処理を用いる。さらに、標準の波長は約300nmから約250nmの範囲から選択されることができるし、統計処理は、単純線形回帰、多重線形回帰、および多変数データ解析からなる群から選択され得る。統計処理が多変数データ解析ならば、それは、部分最小自乗法、主要構成要素解析、神経回路網および遺伝子解法からなる群から選択され得る。
本発明は上記記載の方法(A)を含み、それは第1の一次検量解法と一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法または第3の一次検量解法が共同して第2の装置にインストールされ、収集段階では(段階i)、吸光度が第2の装置により測定されて吸光度測定がなされる。さらに、第1の一次検量解法と一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法は、第1の解法の組とは区別される独自の検量材の小さな一組を使用してアップグレードされ得る。
本発明は上記した方法(A)を提供し、それは、一つまたは一つ以上の装置が第2の装置であり、データ処理段階は収集段階(段階i)に続き、そして予想段階(段階ii)の前に位置する。さらに、データの前処理段階は内挿(補間)吸光度の計算;吸光度の平滑化;吸光度の1次および高次導関数の計算;増大化散乱修正;データ変換;測光補正およびこれらの組合せからなる群から選択される処理である。
本発明は試料中の全−Hbを測定する試薬を使用しない分光的方法(B)を提供し、それは以下からなり、
i)全−Hbのための一次検量解法からなる一つまたは一つ以上の分光装置を使用して試料の吸光度を値を求め、試料は大気酸素に暴露されており、そして
ii)一次検量解法を標準の波長の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数に適用することにより試料中の全−Hbの値を予測して全−Hbの測定をする。

さらに、データ前処理段階は、収集段階(段階i)に続くものであり、そして予測段階(段階ii)の前に位置する。データ前処理段階は、内挿吸光度の計算;;吸光度の平滑化;吸光度の1次および高次導関数の計算;増大化散乱修正;データ変換;測光補正およびこれらの組合せからなる群から選択される処理である。試料は、全血、血清、血漿、尿、滑液、リンパ液、唾液、糞便、または髄液の一つであり得るし、そして全―Hbは溶血の指標として使用され得る。さらに、試料中の赤血球は未変化のままであり、吸光度測定の前に溶血されない。また、測定される材料の吸光係数は検量解法には使用されない。
本発明は試料中の全−Hbを測定する試薬を使用しない分光的方法(B)を提供し、それは、収集段階(段階i)では、全−Hbのために一次検量解法が一つまたは一つ以上の第1の装置から得られる標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数、一次検量の組から得られる公知の参照値および統計処理を使用して生成され、検量の組の各試料は分光測定の前に大気酸素に暴露され、そして、一次検量の組は、Oxy−Hb、Deoxy−Hb、およびSulf−Hbの一つまたは一つ以上の約0%から約100%の公知の参照値からなる。任意に、一次検量の組の試料は一つまたは一つ以上の干渉物質を含み、例示されるが限定されない、ビリルビン、ビリベルディン、例えばメチレンブルーのような染料、たとえば内部脂質(intralipid)のような光散乱物質であり、これらは患者の血液中に見られる。
さらに、一次検量解法は、第2の装置にインストールされて、これと共同し、収集段階(段階i)では試料の吸光度は第2の装置で測定されて吸光度測定がされる。さらに、第1の一次検量解法は、吸光度測定に先立ち一次検量の組とは区別される独自の検量材の小さな組を使用して改良され得るし、そして波長の標準の組は約300nmから約2500nmの範囲からまたはこの範囲の任意から選択され得る。統計処理は、単純線形回帰、多重線形回帰、および多変数データ解析からなる群から選択され得る。統計処理が多変数データ解析ならば、それは、部分最小自乗法、主要構成要素解析、神経回路網および遺伝子解法からなる群から選択され得る。
本発明は試薬を使用しない分光的方法(B)を提供し、それはMet−Hbの形態を取る全−Hbの割合を測定することは、試料中の一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成または減成の反対を測定する方法を提供する。
本発明は分光装置を提供し、それは以下からなり、
a)電磁波(EMR)照射源;
b)EMR源と試料投入口の間に位置する第1の開口で、その間に光路が形成される;
c)前記光路内に配置される試料容器を収納する装置内の前記試料投入口;
d)光路内に位置する第2の開口で、試料投入口と一つまたは一つ以上の光検知器の間に位置し、それは分光装置と共同で作動する一つまたは一つ以上の光検知器であり;
そして次ぎのいずれかを有する、
e)分光装置と連動する第1の一次検量解法であって、当該第1の一次検量解法は、Oxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、“全−Hb マイナス Met−Hb”、Met−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上の公知の参照値を有する一つまたは一つ以上の検量の組を使用する一つまたは一つ以上の第1の装置により得られる標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数および統計処理を使用してOxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または“全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対して生成され、および前記分光装置と連動する一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法であって、この一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法は標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数、公知の参照値および統計処理を使用してMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対して生成され;または
f)分光装置と連動する第3の一次検量解法であって、当該第3の一次検量解法は第1の一次検量解法の項と一つまたは一つ以上の第2の検量解法の項を加算して得られる。
本発明は分光装置を提供し、それは以下からなり、
a)電磁波(EMR)照射源;
b)EMR源と試料投入口の間に位置する第1の開口で、その間に光路が形成される;
c)前記光路内に配置される試料容器を収納する装置内の前記試料投入口;
d)光路内に位置する第2の開口で、試料投入口と一つまたは一つ以上の光検知器の間に位置し、それは分光装置と共同で作動する一つまたは一つ以上の光検知器であり;
そして次ぎのいずれかを有する、
e)分光装置と連動する一つまたは一つ以上の第1の一次検量解法であって、一つまたは一つ以上の第1の装置から得られる標準の波長の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数と統計処理を使用して全−Hbに対する一次検量解法が生成され、ここで検量の組の各試料は分光測定の前に大気酸素に暴露され、そして検量の組はOxy−Hb、Deoxy−Hb、Met−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbの一つまたは一つ以上の約0から約100%の公知の参照値からなる。
本発明は、一定の期間にわたって得られる試料中の一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成または減成の反対を観測する方法(C)を提供し、それは以下からなる;
i)Met−Hbに対する第1の一次検量解法と一つまたは一つ以上のHbベースの血液成分に対する第2の検量解法を標準の組の一つまたは一つ以上の波長の吸光度のある次数の導関数に適用することによりMet−Hbの第1の濃度と一つまたは一つ以上の試料の一つのHbベースの血液成分の一つまたは一つ以上の第1の濃度を求める;
ii)Met−Hbに対する第1の一次検量解法と一つまたは一つ以上のHbベースの血液成分に対する第2の一次検量解法を標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数に適用することにより第2の時刻の一つまたは一つ以上の試料中のMet−Hbの第2の濃度および一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2の濃度を求める;そして
iii)Met−Hbの第1の濃度と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第1の濃度を用いてMet−Hbの形態にあるHbベースの代用血液の一つまたは一つ以上の第1の割合を計算し、そしてMet−Hbの第2の濃度と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2の濃度を用いてMet−Hbの形態にあるHbベースの代用血液の一つまたは一つ以上の第2の割合を計算し;そして、
第1の割合と比較して第2の割合の増加は一つまたは一つ以上の代用血液の減成を意味し、第2の割合の減少は、第1の割合と比較すると、一つまたは一つ以上の代用血液の減成の反対を意味する。さらに、Met−Hbの形態にある全−Hbの割合は、同一の患者から時系列的に収集された試料の一つ以上により測定されることができるし、そしてMet−Hb値または割合の増加は代用血液の減成の指標であり、そしてMet−Hb値または割合の減少は代用血液の減成の反対の指標である。
また本発明によれば、試料中のHbベースの代用血液の一つまたは一つ以上の減成を測定する方法(D)を提供し、それは以下からなり;
i)Met−Hbに対する検量解法と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の一つまたは一つ以上に対する検量解法からなる分光装置を使用して波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度を測定し;
ii)Met−Hbに対する検量解法を吸光度のある次数の導関数に適用することにより吸光度からMet−Hbの第1の濃度を計算し、そしてHbベースの代用血液に対する検量解法の一つまたは一つ以上を吸光度のある次数の導関数に適用することにより吸光度から一つまたはそれ以上のHbベースの代用血液のの第2の濃度を計算し;
ここで、Met−Hbの第1の濃度が一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2の濃度の3%に等しいかまたはそれより大きいならば、それは一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成を意味する。
好ましくは、試料は、一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液を注入された患者から得られた全血試料、一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液を注入された患者から得られた血清試料、一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液を注入された患者から得られた血漿試料、および貯蔵の一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液からなる群から選ばれる。
本発明は上記方法(C)または(D)のいずれかの方法に関し、測定または決定の段階(段階i)では、分光装置は以下からなり、
a)光路を生成する一つまたは一つ以上の電磁波(EMR)源;
b)光路に直線状に整列する一つまたは一つ以上の光検知器;
c)光路内に配置される試料容器を収納する試料投入口;
d)分光装置と連動する一つまたは一つ以上の一次検量解法であって、一つまたは一つ以上の他の装置を使用して展開されてなるものか、または分光装置と連動する一つまたは一つ以上の改良された一次検量解法。
さらに、試料容器は、キュベット、試料タブ、ピペット チップ、管、標識試験管、未標識試験管、血液バッグ管、透明試料容器、半透明試料容器、および流下(flow-through)キュベットからなる群から選択され得る。
本発明は、分光的方法により、被検物質、たとえば全―Hbを測定する方法を記述し、また、同時に、天然のHbまたはHbベースの代用血液からMet−Hbを測定する方法を記述する。これらの方法は、先行の技術よりもより正確である。 被検物質の分析に使用される装置もまた記述される。
更に、本発明は、上記の、例示されるが限定されない、方法(A)、(B)、(C)または(D)に使用される吸光度の1次または2次導関数を規定して、キロミクロンやRBCような粒子による散乱を防止する。しかし、0次に代表される吸光度のいかなる次数の導関数も本願発明の範囲内であると理解すべきである。
試料が全血ならば、本願発明は溶血システムまたは溶血剤を必要とせず、そして試料は空気に曝される。Deoxy−Hbは大気酸素に暴露されると容易にOxy−Hbに変化するのでDeoxy−Hbの測定が要求されない場合空気に曝すのが好ましい。実例として、大気酸素に暴露された全血試料中の酸素と等価の分圧は約150mm水銀柱であり、すなわち、760mmHg(大気圧)の20%であり、そして動脈血中の酸素分圧よりもはるかに大であって、それは健康な成人では80−100mmHgである;動脈血の95%Hb以上が、Oxy−Hbの形であるが、これはMet−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbが異常なレベルではない前提である。
本発明に使用される検量解法は、キロミクロンやRBC‘sのような高度に光散乱性の粒子の存在または不存在下に機能し得るのでRBC’sの溶解は必要とされない。これはCO−酸素計とは対照的であり、そこではRBC‘sの溶解が必要であり、そして種々のHb種に対する波長特性モル吸光係数が一次検量解法に使用されている。むしろ、本発明では、RBC’sの溶解なしでそして種々のHb種に対する波長特性モル吸光係数を使用せずに全−Hbの測定が規定される。また血液試料が無酸素状態のままに保存される必要があるCO−酸素計に使用される方法とは対照的に、本発明の方法は試料を大気酸素に曝してOxy−HbとDeoxy−Hbを一つに合算し種々のHb種を測定する方法を提供する。全―Hbを測定するかまたは計算した後、次ぎの種の一つまたはそれ以上が全−Hbのパーセントの割合として決定されることができる:Oxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、Met−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hb。
本発明の要約は必ずしも本発明の全ての特徴を記載しない。
図面の簡単な説明
本発明の特徴は添付の図面を参照してなされる次ぎの記載から更に明らかにされる:
図1は、x−軸に600−1000nmの範囲の波長とy軸に吸光係数の対数をプロットして4種の異なるヘモグロビンの吸収スペクトルを図示したものである。
図2は、x−軸に500−700nmの波長範囲と、y軸に各種の同一濃度における吸光度(吸光係数に相当する)をプロットして4種の異なるヘモグロビンの吸収スペクトルを図示したものである。
図3は、同じ血だまりからの全Hbの異なる濃度の吸収スペクトルを示す。全Hbは部分的酸化されてMet−Hbとすることができ、それも示されている。
図4は、本発明に従い使用される試料タブの種々の態様を示す。反射モードで使用される試料タブの下には反射鏡が位置される。図4aは分光装置における試料投入口と試料タブの斜視図を示す。図4bは投入口に挿入された試料タブの側面図である。
図5は、本発明に従い使用される試料タブの種々の態様を示す。試料タブは、透過モードでの使用が示される。図5aは試料タブと投入口の斜視図を示す。図5bは試料投入口に挿入された試料タブの側面図を示す。
図6は、図5に示される本発明の装置のより詳細を示す。図6aは試料投入口に挿入された試料タブの側面図を示す。図6bは試料投入口に挿入された試料タブの正面図を示す。
図7は、本発明で使用する試料タブの種々の代替態様を示す。図7aは試料タブの斜視図を示す。図7bは試料タブの側面図を示す。
図8は、好ましい態様で使用される分光計614を示す(部分分解図による)。簡単のために、二つのホトダイオードだけが示される。
図9は、x−軸に480−640nmの範囲の波長とy軸に吸光係数をプロットして5種の異なるヘモグロビンの吸収スペクトルを図示したものである。
図10は、メチレンブルーの吸収スペクトルを示す。
詳細な説明
本発明は生体試料における全ヘモグロビンの分光測定の分野に関する。本発明は生体試料の全−Hbを測定するための装置とその方法を提供する。
以下の記載は好ましい態様である。
本発明は試料中の全−Hbを測定する方法を提供する。この方法は以下からなり、
i)Oxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または“全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対する第1の一次検量解法およびMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対する第2の一次検量解法からなるか、または第1の一次検量解法の項と一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法の項とを合算することにより得られる第3の一次検量解法からなる一つまたは一つ以上の第1または第2の分光装置を使用して吸光度を求める;そして
ii)次ぎのいずれかの値を予測する;
a)全−Hbの測定のために、標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数に第1の一次検量解法を適用し、そして標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数に対して第2の一次検量解法を適用することにより試料中のMet−Hb,Carboxy−Hb、またはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対する一つまたは一つ以上の第2の値を予測し、そして第1の値と第2の値を合算して全―Hbの測定をすることによる試料中のOxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または“全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対する第1の値;または
b)標準の波長の組の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数に適用される第3の一次検量解法を使用する全―Hb。
追加的に、試料は吸光度測定に先立ち大気酸素に暴露されることができる。さらに:
−収集段階(上記段階i))で第1の検量解法と一つまたは一つ以上の第2の検量解法が、標準の組の波長の一つまたは一つ以上における吸光度のある次数の導関数を使用して生成され、Oxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、“全−Hb マイナス Met−Hb”、Met−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対する公知の参照値を有する一つまたは一つ以上の検量の組を使用する一つまたは一つ以上の第1の装置から得られ、
−標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数、公知の参照値び統計処理を使用して第1の一次検量解法がOxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または“全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対して生成され、そして
−標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数、公知の参照値および統計処理を使用して一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法がMet−Hb、Carboxy−Hbまたは“Sulf−Hbの一つに対して生成される。
本発明はまた試料中の全−Hbを測定する試薬を使用しない分光的方法を提供する。この方法は、以下からなり:
i)全−Hbに対する一次検量解法を具備する一つまたは一つ以上の分光装置を使用して試料の吸光度を求め、試料は大気酸素に暴露されており;そして
ii)全−Hbの測定のために、標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数に一次検量解法を適用することにより全−Hbに対する値を予測する。
本発明は分光装置を提供する。この装置は試料内の望みの被検物質の存在またはその濃度を測定するのに使用され、それは以下からなり:
a)たとえば約300nmから約2500nmの範囲の波長、またはこの間のいずれかの波長を発生する電磁波(EMR)源;
b)EMR源と試料投入口の間に位置する第1の開口で、この間には光路が形成される;
c)光路内に配置される試料容器を収納する装置の試料投入口;
d)試料投入口と一つまたは一つ以上の光検知器の間に位置する第2の開口で、当該一つまたは一つ以上の光検知器は分光装置と共同で作動する;
e)分光装置と共同で作動する一つまたは一つ以上の一次検量解法、当該一つまたは一つ以上の一次検量解法は、分光装置と共同で作動する一つまたは一つ以上の他の装置または一つまたは一つ以上の改良された一次検量解法を使用して展開される。
またここでは、一つまたは一つ以上の試料における一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成またはその反対をモニターする方法が開示される。この方法は、以下からなり;
i)Met−Hbに対する検量解法を有する分光装置を使用して標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における一つまたは一つ以上の試料を測定して吸光度を求め;
ii)検量解法を吸光度のある次数の導関数に適用することにより吸光度からMet−Hbの第1の濃度を求め;
iii)第2の時刻における一つまたは一つ以上の試料におけるMet−Hbの第2の濃度を求める;
ここで、一つまたは一つ以上の代用血液の減成は第1の濃度に比較する第2の濃度の増加により示され、そして一つまたは一つ以上の代用血液の減成の反対は第1濃度に比較する第2の濃度の減少により示される。
本発明はまた試料中の一つまたは一つ以上の代用血液の減成またはその反対をモニターする代替方法を提供し、それは以下からなり;
i)Met−Hbに対する第1の検量解法と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液に対する第2の検量解法を標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数に適用することによりMet−Hbの第1の濃度と一つまたは一つ以上の代用血液の第2の濃度を求め;
ii)段階(i)で求めた第1の濃度と第2の濃度からMet−Hbの態様にある一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の割合を計算し;そして
iii)一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成の指標としてMet−Hbの割合を求めて、一つまたは一つ以上の代用血液の減成またはその反対をモニターする。たとえば、Met−Hbの第1の濃度が一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2の濃度の3%と等しいかまたは大であるならば、これは一つまたは一つ以上の代用血液の減成を示す。
Met−Hbの割合は任意にパーセントまたは分数として計算できる。Hbベースの代用血液のMet−Hb態様の絶対値変化は、Hbベースの代用血液の減成またはその反対を監視するのに使用され得ることも理解されよう。
本明細書に使用される技術用語は明確化のために以下に定義される。
“被検物質”は、試料中の測定されるべき物質を意味する。測定されるべき被検物質が存在する試料の例は、例示されるが限定されない、たとえば全血、血清、血漿、尿、滑液および髄液、唾液、リンパ液、***および糞便などの生体試料またはミルク、チーズ、カテージチーズ(cottage cheese)、ヨーグルト、アイスクリーム、ワイン、他の飲料、半固体食料および軟質固形食料などの非生体試料である。
吸光度とは試料による光強度の減少を意味する。ベールの法則に従い吸光度=Log(1/光透過率)であり、これは非光拡散試料に適用される。測定されるパラメーターは試料を透過する光の量であり、透過光(トランスミッタンスまたはトランスミッション)はそれから吸光度の単位に変換される。試料が光拡散性でベールの法則が適用されると、装置は拡散による光の損失のために“真の吸光度”を識別できず、それゆえこの場合、用語“見かけ吸光度”を使用すべきである。試料が光拡散性がまたは非光拡散性かは常には明確でないので用語“吸光度”が使用されるとき、それは“真の吸光度”、“見かけ吸光度”のいずれか、またはその両方を意味すると理解されたい。吸光度について例示されるが、透過率の代りに反射率(またはレフレクション)が測定されるときは、吸光度はLog(1/反射率)で置きかえることができ、反射率でも本発明の範囲内である。用語透過率とトランスミッションは時々互換性があるように使用されることを理解されたい。反射率とレフレクションも時々互換性があるように使用されることが理解されるべきである。
“実際の吸光度”または“測定吸光度”は、装置の波長検量表から選ばれる一つまたはそれ以上の波長において装置により提供される試料または検量材料の吸光度値、または吸光度測定値または単に吸光度を示す。
“較正内挿(補間)吸光度”は、特に内挿された吸光度に対して適用される測光補正後の内挿吸光度の値を意味する。
“血液バッグ管”は適当なポリマーまたはプラスチックからなり全血を収める第1のバッグと適当なポリマーまたはプラスチックからなり第1のバックから得られる血漿を収める第2のバッグを接続する管を意味する。管とバッグは透明かまた半透明で柔軟なポリマーまたはプラスチックからなる。
“代用血液”は、輸血のための全血または赤血球(RBC‘s)の代りに使用される物質を意味する。血液または赤血球のかわりに代用血液を使用するいくつかの利点は以下の通りであり;代用血液は全ての血液型に共通して適合し、それ故、交差適合試験が必要でない;血液の最高貯蔵期間が42日間であるが、代用血液はより長い有効期限を有する;代用血液の精製処理は熱処理であり、有害ウィルスの危険を除去できる。
他のタイプの代用血液が報告されており、それは適当な界面活性剤にパーフルオロカーボンの微小ビーズを含む乳白色のエマルジョンを特徴とする。この“乳白色”の代用血液は“パーフルオロカーボン様”代用血液と称される。用語パーフルオロカーボン様代用血液は乳白色の全ての代用血液に適用されることを理解されたい。これらの代用血液に含まれるビーズのために、“パーフルオロカーボン様”代用血液は光拡散成分を含むという特徴がある。
“干渉剤”は、例えば血清または血漿などの試料中においてその存在が試料中の他の被検物質の存在の測定、定量化またはその両方を妨害する被検物質を意味する。
“検量解法移転”は、第1の装置から第2の装置へ検量解法を移転する方法を意味し、ここでは、検量解法は第2の装置と共同で作動され、それにより解法は試料中の関心ある測定される被検物質の濃度を予測することに第2の装置により適用される。第1の装置から第2の装置へ検量解法を移転する便宜のために、波長の標準の組が使用されるのが好ましい。検量解法移転の方法はアメリカ特許第6651015号明細書に開示される(サムスーンダー;この公報はここに参照されて組み込まれる)。第1の装置を検量するのに使用される方法、ここでは装置は少なくとも一つの被検物質の濃度を測定するのに使用されるが、一次検量と称される。一次検量は複雑な方法であり、“一次検量”の名称の基に記載される。その複雑さのために、各装置における一次検量の動作は実際的でもなく、望ましくもない。
本発明は、装置、たとえば第2の装置をあたかもそれが一次検量解法の方法で検量されるかのように機能させる単純な代替方法を提供する。第2の装置は第1の装置が検量されるのと同じ方法で検量される必要はなく、第2の装置を用いる第1解法を行う必要もない。第1と第2の装置は類似するのが好ましいが、しかし常にそうである必要はなく、第2の装置を使用することにより必要な測定の精度や型に依存する。
本発明者は一つまたはそれ以上の“第1の装置”を使用して展開される“一次検量解法”は“第2の装置”に移転されることができ、そして第2の装置は直接に検量解法移転に続いて使用される。追加すれば、第2の装置上の移転された検量解法は、望むならば、一次検量解法とは区別される独自の検量材料の小さな組を使用して改良され得る。好ましくは、独自の検量材料の小さな組は一次検量の組の試料に類似する。
“データ前処理”は、分光データの数学的処理を意味し、装置上の被検物質の測定を容易にし、この装置は第1、第2または両方の装置である。データ前処理の例は、いかなる意味でも限定するようには解釈されないが、以下の通りであり;
− 試料を透過するまたはそれから反射する電磁波照射(EMR)の吸光度の計算;
― 内挿吸光度の計算;
― 吸光度の平滑化;吸光度の第1および高次導関数の計算;
― 乗法拡散補正
― データ変換;および
― 測光補正。
検量解法の展開の前にいずれか一つまたはそれ以上の形のデータ前処理が使用され、いずれか一つまたはそれ以上の型のデータ前処理が、検量解法を被検物質の濃度の計算に適用する前に、第2の装置からのデータに使用され得る。平滑化の非限定の例はデータ平均化である。
“データ変換”は、分光データまたは被検物質濃度データのいずれかに適用される数学的処理を意味する。データ変換の例は、いかなる意味でも限定するようには解釈されないが、分光データのフーリエ変換、および被検物質濃度の対数または真数計算である。サルビツキー−ゴーレイ法が適用されるときには(サルブッキーとゴーレイ1964、Anal.Chem.,36:1627−1638)平滑化はまたデータ変換とも考えられることを理解されたい。
“吸光度の導関数”は、ある次数の吸光度の導関数を意味する。吸光度の0次の導関数は測定された吸光度である。特定の波長における吸光度の1次導関数はその波長における吸光スペクトルの勾配である;特定波長における吸光度の2次導関数はその波長の第1次導関数吸収スペクトルの勾配である。吸光度のより高次の導関数(3次、4次)は直近の下の次数(2次、3次など)の導関数吸収スペクトルの勾配を求めることにより同様に得られる。特定の波長における吸光度のある次数の導関数を計算する方法は当業者に周知である。
特定波長の吸光度の1次導関数の計算は関心ある波長を包含する二つの波長における吸光度の差をとるものである。他の吸光度の導関数を求める方法は数個の異なる波長における吸光度を使用し、そこでは平滑化で導関数方法を積分する。より高度に平滑化すると、吸収スペクトルまたは吸収スペクトルのその次数の導関数においてより大なる信号損失となることを理解されたい。吸光度導関数の計算に使用される波長の最低の数は二つの波長である。平滑化、データ変換、および吸光度のある次数の導関数計算はデータ前処理の非限定例示である。データ前処理の他の型は、上記したように、吸光度導関数の計算の前、または後で遂行され、例示するが限定されない、乗法拡散補正である。
“第1の装置”は一つまたは一つ以上の一次検量解法を展開するに使用される装置を意味する。一つまたは一つ以上の装置は一次検量解法を展開するのに使用される。
INTRALIPID(商標)(内部脂質)(IL)は、血液中のキロミクロンを自然で模倣する脂質エマルジョンを意味する。ILはこのようなエマルジョンの一例である。血清および血漿における混濁の第1原因は脂肪粒子、例えばキロミクロン、すなわちILであるか、または他の脂質エマルジョンが血液中の濁度を模倣して使用される。用語“濁度の模倣材”は濁度を定量化するのに使用される被検物質を称するのに使用される。
“溶血の指標”は、赤血球(RBC)の中に存在しRBCを囲む血漿内には存在しない物質を意味する。溶血の指標の例は、限定されないが、全―Hb、Oxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、または“全−Hb マイナス Met−Hb”である。Oxy−Hb割合が全−Hbの約95%である公知のOxy−Hb濃度の試料はOxy−Hb濃度と同じ値の全−Hb濃度を有すると考えることができる。同様に、約95%Oxy−Hbの全−Hbの公知濃度を有する試料は全−Hbと同じ数値のOxy−Hb濃度を有すると考えられる。全−HbまたはOxy−Hb濃度の近似の許容性は全−HbまたはOxy−Hbの予測値の要求される精度に依存する。同様に、Oxy−Hb割合が“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の約95%である公知のOxy−Hb濃度の試料は、Oxy−Hb濃度と同じ数値の“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度を有すると考えられる。同様にして、約95%Oxy−Hbからなる公知の“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度の試料は“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度と同じ数値のOxy−Hb濃度を有すると考えられる。全−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”またはOxy−Hb濃度の近似の許容性は全−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”またはOxy−Hbの予測値の要求される精度に依存する。
“マッピング”は標準波長に内挿吸光度を関連付ける方法を意味する。線形内挿(補間)が好ましいが非線型内挿もまた本発明に含まれると考えられ、両者は当業者に周知である。
“多重散乱補正”(多重信号補正としても知られる)は、一組の試料から得られる分光データにおける光拡散効果のいくつかをある程度除去するに使用される数学的処理を意味する。この技術は各吸光スペクトルを回転させて可能な限り平均スペクトルに合致させる。この方法の詳細は以下に記載され:マルテン,Hとナエス,T(Multivariate Calibration、1993、John Wiley&Son発行);およびオスボーン,B.G.,フェーン,T&ヒンドル,P.H.z(食餌と飲料に分析の応用における実際的なNIR分光分析、1993、Lomgman Scientific & Technical発行)、両者はここに参考として組み込まれる。一組の試料の平均スペクトルは一つまたは一つ以上の装置から得られる一つまたは一つ以上の資料吸光度測定値を加算後に得られることを理解されたい。
“測光補正”または“吸光度補正”は、試料が他の装置で試験されたかのように見せるために、一つの装置で試験された試料の吸光度に対して行われる補正を意味する。測光補正の量は、検量解法移転の方法の間における第1の装置と第2の装置の両方での一組の検量から得られる吸光度から得られる“y=mx+c”の形の線形回帰式における勾配(“m”)とy軸切片(“c”)から求める。測光補正後に得られる吸光度は補正済み吸光度または修正済み吸光度と称される。
“ピクセル分散”という用語は、通常はピクセル(画素)ごとにナノメートル(nm)で測定された、線形ダイオードアレイの2つの隣接するピクセルが囲む波長を意味する。たとえば、波長検量について600nmと900nmの2つのレーザーが使用され、これらがそれぞれピクセル20とピクセル220に投射される場合、300nm(すなわち900nm−600nm)が、200ピクセル(すなわち220−20ピクセル)で囲まれたことになる。したがってピクセル分散は、1ピクセルにつき1.5nmと計算される(すなわち300nmを200ピクセルで割る)。かわりに、所定のピクセル分散が使用され、そこでは単に公知波長の単一レーザーまたは公知波長のEMRを発する狭バンドフィルターが波長をピクセルに帰属させるのに必要とされる。
“一次検量(カリブレーション)”という用語は、被検物質に関して第1の装置に対して、オプションとしては、複数の第1の装置に対して一次カリブレーションアルゴリズムを生成するために使用されるプロセスを意味する。典型的にはカリブレーションに使用されるサンプルセットは比較的大であり、サンプルは自然のサンプルであるか自然のサンプルに非常に近い。第1カリブレーションセットは、ロバストなカリブレーションアルゴリズム(複数可)を生成するために、サンプル内で期待されるすべての変動を含むべきである。さらに、装置間の変動も含むよりロバストなカリブレーションアルゴリズム(複数可)を生成するために、一次カリブレーションセットの1つまたは複数のサンプルを、1台または複数の第1の装置上で測定して組み合わせてもよい。このようなカリブレーションアルゴリズムは、1台または1台以上の同様な装置から得られた測定値の組み合わせを使用して生成される。
いかなる形の統計データ解析および任意にいかなる形のデータ前処理、例えば限定されないが、平滑化、吸光度の1次と高次導関数の計算、測光補正、吸光度の内挿(補間)、または多重散乱補正が使用され、これらは被検物質の予測の必要な精度に依存する。たとえば、一つ以上の第1の装置からのデータを含むことにより、正確性の低いレベルとそれ故精度の低いレベルが(劣悪な正確性は劣悪な精度につながる)、多くの第2の装置を通して得られる。もしも試料中の被検物質の存在に対しての有無を単純に応答することが必要とされる全てならば、このような形の一次検量は適当であり、そして本発明の範囲内である。
望むならば、一次検量の組の部分ではない小さな独自の試料の組が第2の装置で測定され、そしてデータは一次検量の組からの元のデータの全てまたはいくつかと組合さり、一つまたは一つ以上の“改良された一次検量解法”を展開する。好ましくは独自の試料の小さな組は一次検量の組の試料と類似する。吸光度の0次導関数(また生の吸光度とも称される)または吸光度のいかなる次数の導関数も検量工程に使用され、そして吸光度の2次導関数が好まれ、吸光度の1次導関数が更に好ましい。
“一次検量解法”とは、数式を意味し、これは例示されるが限定されない、線形結合のタイプ Y=A(x)+B(x1)+,,,,+Cが例示され、ここでY(従属変数)は所与の被検物質の濃度であり、A、B、およびCは定数であり、x、x1,,,は特定波長における吸光度の値のある次数の導関数(独立変数)である。等式の右辺は式の“項目”の和となる。一つ以上の項目が加算されて、たとえば、いかなる意味でも限定されないが、以下の項を有する二つの式の項は、
=A(x)+B(x1)+C および
=A(x)+B(x1)+C
は合算されて、単一の以下の式を生成する:
+Y=A(x)+B(x1)+C+A(x)+B(x1)+C
または
+Y=(A+A)(x)+(B+B)(x1)+(C+C)。

非線形等式は本願の範囲(例えば式16と17、例5)であることを理解されたい。式は、試料の組の多重線形回帰式により好ましくは得られるが、しかし、他の統計処理、例えば例示されるが限定されない、単純線形回帰式、PLS(部分最小自乗回帰式)およびPCA(主成分解析)がまた使用されることができ、そしてそれは本発明の範囲内である。一次検量に使用される試料の組は相対的に大であり(上記を参照)、そして試料は自然かまたは自然の試料に非常に近い。ロバストな(変動に鈍感な)検量解法(複数可)を展開するために一次検量の組は試料に期待される全ての変動性を含むべきである。使用され、他に定義されないならば、用語“検量解法”は、一次検量解法または一次検量解法の改良(たとえば、アップグレードされた一次検量解法)を意味し、ここで変更は被検物質の予想値の正確度を改良するかまたは第1の装置としては検量されていない他の装置上の一次検量解法の使用を容易にするものである。
一次検量解法は試行錯誤で開発され、測定されるべき被検物質に対する対波長の吸収またはモル吸光係数(時々単に吸収または吸光係数と称される)を使用することがない。例として、市販のCO−酸素計は関連する各波長における各Hb種のモル吸光係数を使用して誘導される数種のHbに対する検量解法を含む。一次検量解法が試料中の被検物質の濃度を測定するために使用される装置にインストールされると、一次検量解法はインストールされた分光計と共動して作動する。上で注記したように、一次検量解法は、典型的には一つまたは一つ以上の第1の装置を使用して展開され、そして第2の装置での使用に第2の装置に移転される。さらに、分光装置と共同する一次検量解法はアップグレードされた一次検量解法であり、それは一つまたは一つ以上の第1の装置で展開されて第2の装置へ移転され、そして移転後、例えば一次検量解法の一部ではない独自の検量材の小さい組を使用して改良される。しかし、一次検量解法第1の装置から使用の第2の装置へ移転されて、一次検量解法の更なる変更や改良なしに、直接に使用されると理解されるべきである。分光装置と共同する一次検量解法はROM、EPROM、マイクロコントローラー、マイクロプロセッサー、外付または内蔵記録機器、例示されるが限定されない、分光器のディスク、CD、メモリーステック、フラッシュメモリーカード、または類似の機器にインストールされる。
使用され、別に特定されない限り用語“検量解法”は、一次検量解法または改良された一次検量解法を意味し、ここで、変更は被検物質の予測値の正確性を改良するか、または第1の装置として検量されていない他の装置(例えば第2の装置)上で一次検量解法を使用するのを便利にすることである。
“一次検量の組“は、一次検量に使用される試料を意味する。
“一次検量波長”は、一次検量解法に使用される波長(複数可)を意味する。
“主たる検量波長”は、吸光度のある次数の導関数と被検物質の濃度との間に強い相関関係を示す一次検量解法の波長を意味する。主たる検量波長(複数可)は異なる組成の同じ被検物質で相違することがある。一次検量解法は任意で吸光度導関数と被検物質濃度との間に低い相関性を示す一つまたはそれ以上の他の波長を含む。これらの他の波長は、第2検量波長と称される。第2の検量波長は、主たる検量波長の吸収帯と重なる吸収帯を有する干渉材の存在下に特に一次検量解法にロバストネスを加え、それ故一次検量波長(複数可)における吸光性と被検物濃度との間の相関性に影響を与える。
約5から約400nmの範囲もしくはその範囲の一部、または約5から約200nmの範囲もしくはその範囲の一部の負の勾配で少なくとも主たる検量波長を含む連続する特別なセグメントは、“主たる検量セクション”と称される。一次検量解法の展開のために、いずれかの統計処理が使用され、これには例えば、いかなる意味でも限定されない例示であるが、単純線形回帰式、多重線形回帰式、および多変量データ解析が示される。多変数データ解析の例は、いかなる意味でも限定されないが、主成分解析(PCA)、神経ネットワーク、および遺伝解法である。多変数解析が使用されて一次検量解法が展開されるときは、一次検量解法は、それぞれの波長における吸光度のある次数の導関数と被検物質濃度との間に高い相関関係が観測される多くの波長を含むことができると理解される。
“予測値”は、一次検量解法が試料の吸光度のある次数の導関数に適用されて得られる被検物の値を意味する。初めに示すように、一次検量解法はたとえば、従属変数としての被検物の予測値、および定数と一つまたはそれ以上の項の合算からなる等式である。他の項のそれぞれは、定数と独立変数の積である(例1から7を参照)。独立変数は特定波長における試料の吸光度の導関数である。予測値は、離散した濃度値として報告される必要は必ずしもなく、半定量または定性的な値(たとえば正/否)を含むことができる。
被検物の“参照値”は、試料に帰属される被検物の値を意味する。参照値は0または0以上の値であることができる。参照値は典型的には当業者に公知の方法により求められ、正確さは適宜の程度である。いかなる意味でも限定されないが例示すると、試料に加えられた被検物の公知の量が参照値として使用されるか、または溶血の指標の場合のように溶血の指標が測定される。溶血の指標では、好ましい指標は全−Hb、Oxy−Hbおよび“全−Hb マイナス Met−Hb”である。
当業者に周知であるシアンメトヘモグロビン(cyanMet−Hb)法は、存在する全てのHb種、すなわち、Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Carboxy−HbおよびMet−Hbを測定する。Oxy−Hbは公知の無試薬で分光的方法により測定されることができ、たとえば、ハーボエまたはティエツの方法である(ハーボエ、M.,1959,近紫外線分光法による血漿中のヘモグロビンの測定方法、Scand.J.Clin.Lab.Invest,pp.66−70);臨床化学のティエツの教科書、第3版、1999,pp1674−1676;これはここに参考で組み入れられる)。試薬なしの分光装置で実際に測定されたHb種は、被検物質の測定に使用される参照方法と一次検量解法の試料に含まれる物質の両方に依存する。Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Carboxy−HbおよびMet−Hbとして良く確定されない他のHb種もまた存在し、そして他のHb種は時間をかけて見出されることが期待される。上記リストのようによく確定されてはいないHb種の例はSulf−Hbである。胎児のHbは他のHb種であり、成人のHbとは少し異なる吸収スペクトルを有する。
概算では、Oxy−Hbの割合が全−Hbの約95%である公知のOxy−Hbの試料はOxy−Hb濃度と同じ数値の全−Hb濃度を有すると考えられる。同様に、約95%Oxy−Hbの全−Hbの公知濃度を有する試料は全−Hbと同じ数値のOxy−Hb濃度を有すると考えられる。また、概算で、Oxy−Hbが試料中の“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の約95%、または“全−Hb マイナス Met−Hb”の95%を占めるならば、そして同様に、試料中の“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または“全−Hb マイナス Met−Hb”が95%Oxy−Hbからなるならば、Oxy−Hb、“Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、および“全−Hb マイナス Met−Hb”の濃度は同じ値になると考えられる。
“試料”または“試料類”は、分光学的に測定され得る一つまたはそれ以上の特性を有する生体または非生体液、生物または非生物半固体、生物または非生物固体を意味する。試料は典型的には一つまたは一つ以上の被検物質からなる。試料の例には、例示するが限定されない、検量材、全血、血清、血漿、尿、滑液、リンパ液、***、糞便、髄液、乳製品、飲料、人体部分、たとえば限定されないが、爪、腕、耳たぶ、人体部分表面、または製薬タブレット等である。生体試料は人体に限られず、例示されるが限定されない動物の望みの種から得られることができる。
“試料容器”は、試料を保持できて、試料からのEMRの吸収、反射または吸収と反射の両方の測定を可能とする透明または半透明の容器を意味する。試料容器の例は、例示されるが限定されない、試料タブ、ピペットチップ、管、キュベット、標識試験管、無標識試験管、血液バッグ管、透明試料容器、および半透明試料容器である。試料容器は分光装置の試料投入口に挿入される。
分光装置
キュベットでは、キュベットは流下キュベットとして設計され、それは試料が再使用可能なキュベット中に注入されることを要求すると理解される。しかし、流下キュベットは水洗系の要求のために好ましくないが、しかし流下キュベットは依然として本発明の範囲内であると考えられる。試料容器は任意に一つまたはそれ以上の試薬を含むことができる。人体部分では試料容器の代りにレセプターが必要である。
本発明は無試薬系に限定される必要はなく、また試料容器に一つまたはそれ以上の試薬の使用は無試薬系の向上とみなせる。リルジャらの米国特許第4088448号明細書では二つの面で区画されるキャビティを有するキュベットのサンプリング方法が開示され、所定の距離で離隔し、キャビティは試薬を含み、試料は任意に毛細管現象でキャビティ内へ吸い込まれる。このようなキュベットまたは類似のキュベットの使用は本発明の範囲にあるものと理解されたい。
“試料タブ”は試料容器を意味し、上面と下面を有する基板からなり、基板の少なくとも一部は、たとえば図7aと7b(720)に示される様にEMRが透過することができるようになっている。ウエル(凹み)(714)は、例えば液体の試料の保持のために基板(718)の上面に配置され、ウエルは、基板上面上に延びる閉鎖された壁(706)で区画され、そしてカバープレート(702)は好ましくは基板に取り付けられ、たとえば基板に蝶番(たとえば、710)で取り付けられ、そして開位置と閉位置とを可動可能になっている。試料タブの閉鎖壁(706)には、一つまたはそれ以上のオーバーフロー用開口が設けられ、そしてそれは収容壁(712)により囲繞され、そうしてオーバーフロー環が閉鎖壁と収容壁間で区画されている。
カバープレートの少なくとも一部はEMRが透過できるようになっており、それによりカバープレートが閉じられると、EMRを透過する基板の部分、ウエルおよびEMRを透過するカバープレート部分を通る光路が形成される。または、EMRが試料タブの反対面で反射させ、そうして試料タブ中に存在する試料の通過距離を倍加するように構成することも可能である。
カバープレートは基板に蝶番で取り付けられるが、基板に固定したり、離しておくこともできる。さらに、試料タブは、対応する合わせ板と連動する留め部材を具備し、それによりカバープレートを基板に取り付けることができる。留め部材は、例示されるが限定されない、収容壁の外側部分に摩擦力で係止し得る円環を有するか、または摩擦力で係止してカバープレートを基板に取付得る一つまたはそれ以上のクリップを有する。環状ウエルとオーバーフロー環は例示されるが、ウエルとオーバーフロー部分の形状はいかなる形状でもよいと理解されたい。留め部材は基板、カバープレート、または基板とカバープレートの両者の上に位置することができる。同様に、留め部材を受ける連動する合わせ部材は基板、カバープレート、または基板とカバープレートの両者の上に位置することができる。
収容壁は、その上面にシール部材を具備する(708)。シール部材はO−リングかまたは収容壁と一体化した柔軟な材料からなる。本発明の好ましい態様では、試料ウエルは一つまたはそれ以上の開口または溝と過剰の試料を収集するオーバーフロー環を具備し、カバープレートが閉じる際に過剰の試料を押出す。好ましくは、カバープレートはタブに設置され、カバープレート蝶番に近い試料は最初にカバープレートに接触し、そしてカバープレートが閉まる際に過剰の試料は二つの溝を経てオーバーフロー環へと押出される。本発明の他の特徴は次ぎの詳細な説明から明らかとなる。しかし、試料タブの好ましい態様を示している詳細な説明と特定の例示は、説明の用のためにのみ供されると理解されたい。種々の設計の試料タブが米国特許出願第10/042258号に記載されている(公開番号 2002−0110496 A1、 サムスーンダー;この内容はここに参照として取り込まれる)。説明される試料タブは本発明の装置に使用されるものとして説明されるが、他の試料容器も使用され得ることを理解されたい。
例えば吸収スペクトルでの曲線の“平滑化”は、“連続スペクトル”を得るように数学的処理をデジタルデータに施し、そしてスペクトル上の“雑音”を減少させることを意味する。種々の程度の平滑化が曲線に適用される。しかし、被検物質の信号の損失は平滑化の結果として観察される。
“第2の装置”は、第1の装置のように機能することができる装置を意味し、第2の装置は検量される必要はないし、また第1の装置が検量されたと同じように検量(すなわち、一次検量)される必要はない。もし望むならば、一次検量の組とは区別される独自の試料の組は第2の装置で測定され、改良された一次検量解法で展開される。
“波長の標準の組”は装置に特有の波長検量表につく全ての装置に使用される一組の波長を意味し、測定されたまたは実際の吸光度から内挿吸光度を生成するのに使用される。装置で試験された試料の実際の吸光度は波長検量表からの波長で測定され、そして実際の吸光度は補間され、そして波長の標準の組へマップされる。第1の検量解法(複数可)は好ましくはマップされた吸光度に適用されるが、実際の吸光度に適用され、特に、波長検量表と波長の標準の組が同一の際に適用される。いかなる意味でも限定されないが、波長の標準の組は、450nmから約300nm、好ましくは約450nmから1100nmで、増分は2nmである。しかし他の波長範囲と増分が要求に応じて使用され、それは当業者に周知である。波長の標準の組の範囲と増分は試行錯誤で得られる。波長の標準の組みは、また第1と第2の装置の両者の波長検量表に共通な波長の組を確立することでも得られる。また波長の標準の組は第1と第2の装置の両者の波長検量表の波長に近似する組の波長を確立することによっても得られる。
“標準波長”は波長の標準の組の波長を意味する。
“貯蔵Hbベースの代用血液”は、使用に供される製造されたHbベースの代用血液を意味し、たとえば、限定されないが、患者へ輸血される。Hbベースの代用血液は品質管理材料として使用される。
“改良(アップグレード)一次検量解法”は、一次検量解法とは区別される独自の試料の組から誘導される検量解法を意味し、第2の装置で試験され、そしてデータは一次検量の組みからのいくつかまたは全ての元のデータと組み合わされ、一つまたは一つ以上の“改良一次検量解法”を展開する。
“波長検量”は分光器の線形ダイオードアレイ検知器、荷電結合検知器、または他の類似の機器の検量を意味し、波長は線形ダイオードアレイまたは荷電結合検知器の各画素(ピクセル)に帰属される。
“波長検量表”は、波長検量の結果である各画素(ピクセル)に対応するまたは帰属される実際の波長が与えられる表を意味する。

装置
本発明の装置は好ましくは次ぎの要素からなり:
― 試料照射のための一つまたは一つ以上の電磁波照射(EMR)源。EMRの照射源は約300nmから約2500nmの範囲、またはその範囲の波長の一つまたは一つ以上の波長を有する特徴がある。好ましくは、波長は、約450nmから約1100nmの範囲かまたはこの範囲の部分である;
― 試料を透過するかまたは反射されたEMRを測定するための一つまたは一つ以上の光検知器;
― 一つまたはそれ以上の光検知器からの情報を処理するための電子盤で任意に一つまたは一つ以上の増幅器、アナログ/デジタル変換器およびマイクロコントローラーを具備する;
― 試料容器に配置するための装置の試料投入口;および
―分光器と連動する一つまたは一つ以上の一次検量解法であって、ここで一つまたは一つ以上の検量解法が一つまたは一つ以上の他の装置上に完全に展開された。分光器と連動する一つまたは一つ以上の改良された一次検量解法(以下の“検量解法移転”を参照)もまた本発明の装置内に使用され得る。
装置は例で示される様に透過モードまたは反射モードで作動し得る。
図4aおよび4bを参照すると、分光器の試料接続器(444)が示される。明確にするために分光器の全体は示されない。二重方向の光ファイバー線束(430)が使用され、適宜の容器内に配置される試料にEMRが透過され、試料は、例示されるが限定されない、試料タブ(442)へと配置され、それは試料投入口(440)内へ挿入される。束(430)内のいくつかのファイバーはEMRが反射部材(450)で反射されて試料から戻るEMRの一定部分を受ける。反射後集光されたEMRは光検知器へと伝送される(以下の伝送モードと図6aと6bに関する項で詳細に説明される)。伝送モードは、図5a、5b、6aおよび6bに示される。試料接続器(444)は分光器から独立させることができ、入射と集光ファイバーがEMR信号を外部装置からまたはそれへ伝送する。しかし、図6aと6bに示されように、試料接続器は分光器と一体化され得る。
透過モードで使用される分光器の試料接続器(544)が図5aと5bに示される。明確のために分光装置全体は図示されない。EMR源は入射光ファイバー(548)を介して試料(たとえば542)に供与され、そしてEMRは試料を透過して集光光ファイバー(546)に集光される。試料は適当な試料容器、たとえば試料タブ(542、542b)を使用して試料投入口(440)内に配置される。入射光ファイバー546でありそして集光・光ファイバーは548であり得ると理解されたい。反射モードに関して上で示したように、試料接続器(544)は分光装置から独立し、そして入射と集光の光ファイバーは外部の機器からまたはそれへEMR信号を伝送する。しかし、試料接続器は分光装置と一体化も可能である(例えば図6aと6b)。
図6aと6bには分光装置が示され、たとえばタングステンランプの所望のEMR源(600)を具備する。EMR源の減衰は分光計(614:検知器86は図8の分光計内に示される)内の検知器の飽和を防止するために必要であり、それ故減衰器がEMR源と試料の間、または試料と検知器の間またはその両方に配置される。本例示では適当な径を有する開口またはチャンネル(602と612)であるが、チャンネルは適宜の長さと径の光ファイバー、または他の機器、例えばフィルターまたは当業者に周知の他の機器であることができ、それは試料投入口〈608〉に到達する入射EMRの量を調整するか、または、分光器(614)に到達するEMRの発生量を調節するものである。
参照測定は試料測定の前後で行われるか、または参照測定は保存されて複数回再使用され得る。たとえば、参照測定はランプを点けて、投入口に投入されていても、また空の試料容器があっても得られる。参照測定にはいかなる参照部材も使用され得る。参照測定はランプ出力変動を補償するのに有用である。試料投入口〈608〉に不透明部材を挿入し、好ましくはランプを消して、暗黒電流測定を行う。“暗黒電流”は検知器がEMRに曝されないときの検知器の反応を意味する。暗黒電流測定の減算は光学的に行われ、そして好ましい態様では暗黒電流測定は不要である。
例えば図8に示される分光計は回折格子(80)を具備する。透過または反射格子のいずれも使用される。図8の例では、回折格子(80)は反射格子である。格子は散乱素子であり、波長に従いEMR成分を分離する。好ましい態様では、分光器(614)の検知器はホトダイオードのアレイであるが(たとえば図8の86;簡単のために二つのダイオードのみが当該図に示される)、しかしアレイ検知器の代りに単一検知器もまた使用される。LEDもEMR源として使用でき、LEDの使用では格子は必要でない。例えば、いかなる意味でも限定されないが、EMR源(600)が一つまたはそれ以上のLEDのとき、単一検知器が使用され得る。
電力源は適当なものであり得て、例示されるが限定されない、図6の電力源は二つの電池からなる(616)。しかし装置はまた外部電源から電力供給され得て、たとえば壁のコンセントから交流電流を受電してもよい。
検知器から受ける電子信号は時間に比例し、検知器が光学信号を積分する。電子信号はアナログ電子増幅器(図示されない)で増幅されてアナログ−デジタル変換器またはADC(これも図示されない)でデジタル信号に変換される。
再度図8を参照すると、本発明に従い使用され得る分光計が示される。試料(84)からのEMRは反射格子(80)に入射し、そして波長成分に散乱する。拡散したEMRはその後ダイオードアレイ(たとえば86)に入射し、そうして各ダイオードが一ピクセルを表す。アレーは既知のピクセル分散を有し、それにより各ピクセルが波長に帰属される。ピクセルのアレーは波長範囲を表し、たとえば、波長範囲は約450nmから約900nmであり、ピクセル当たり約3ナノメートルのピクセル分散である。適当な分光器の例は、ドイツ、ミクロパーツ社から入手され、256個のダイオードを具備する。簡単のために、二つのダイオード(86)のみが図8に示される。いかなる数のダイオードも本願発明の範囲内であることを理解されたい。分光計の波長検量(および波長の標準の組)は詳細に米国特許第6651015号明細書(サムスーンダー;ここで参照として組み込まれる)に説明されている。いかなる分光器の使用も本発明の範囲内である。
図8に示されるように、ダイオードアレイ(88)からの出力は電子盤(図6aと6bに示される618)に接続される。電子盤(618)は増幅器、アナログ/デジタル変換器およびマイクロコントローラーを具備するが、これらは図6aおよび6bに図示されない。
図6aと6bに示すように、試料タブ(610)は試料投入口(608)に挿入される。命令はキーボードまたはキーパッド(606)から入力され、データ、例えば結果は、例示されるが限定されない、モニターまたはスクリーン(604)上に表示される。一つまたは一つ以上のスイッチ、ボタン、またはキーの使用はキーボードやキーパッドに好ましく、ハンドヘルド機器であり、全て本発明の範囲内とするべきである。ホストコンピュータの使用は本発明の範囲内であると理解されたい。示されない通信ポートは光学ポートである。
室内光から試料投入口と検知器を遮蔽する適当な遮蔽材もまた望ましいが、遮蔽の範囲は被検物質またはパラメーター測定と暗黒電流測定の使用に依存する。装置はいかなる配置も可能であり、特に上面と下面にスイッチをつけることも可能であり、たとえばEMR源を試料の下に示し、図6aと図6bにおける上部の代りとする。
吸光度はマイクロコントローラーで計算され、以下のようにそれは電子盤(618)にインストールされる:
吸光度i=log{(RLi−RDi)/(SLi−SDi)}+log(ITS/ITR)
ここで:
吸光度i=ピクセルでの吸光度;
RLiは参照光=ピクセルの読みである;
RDiは参照暗黒=参照ピクセルの読みである;
SLiは試料光=試料ピクセルの読みである;
SDiは試料暗黒=試料ピクセルの読みである;
ITS=試料測定の積分時間;
ITR=参照測定の積分値;そして
i=検知器アレーにおける特定のピクセル(波長)
本発明の方法は一つまたはそれ以上の被検物質に対して一つまたは一つ以上の検量解法が分光装置にインストールされる必要があり(これは検量解法移転を伴う)、例えば例示で限定されないが、一つまたは一つ以上の検量解法は電子盤(618)に一体化されるマイクロコントローラーにインストールされる。しかし、一つまたは一つ以上の検量解法は不揮発メモリーのいかなる形にもインストールされ得て、たとえば、これらは、例示されるがいかなる意味でも限定されない、ROM、EPROM、EEPROM(電子的に消去可能でプログラム可能な読取専用メモリ)、CD、ディスケット、またはメモリーカードである。
装置は試料投入口(たとえば540、図5)を具備し、これは試料容器(たとえば、542、図5)を収納するためであり、試験される。“試料投入口”は開口であって、それを通して試料容器が配置され、または試料容器が適合する溝、チャンネルまたは間隙である。投入口はいかなる方向にも取り付け可能であるが、しかし図5と6では水平な投入口であり、EMRは垂直方向に伝播する。代わりの配置では、分光装置は垂直試料投入口を具備し、試料容器、たとえばキュベットを収納する。この配置ではEMRは試料を水平方向に通過する。
図5と6に示すように、試料投入口は、EMRが試料容器を覆うスロットの上面から入り透過EMRがスロットの底面で集光される、またはその反対に、入射EMRはスロットの底面から入り、上面から出ることが可能なように適合される。スロットはまた、試料容器を覆う投入口の上面からEMRが入射し、透過EMRは図示のようにスロットの底面に位置する反射面または反射部材(たとえば450、図4aと4b)で反射される様に適合されるが、しかし反射部材は、もしもEMRが底面から入るならばスロットの底面にも位置する。試料を透過したEMRは試料容器上面または底面に位置する反射面で反射されることを理解されたい。
試料容器は任意に一つまたはそれ以上の試薬を含むことができるし、試料容器は適宜の容器であり得て、キュベットまたは試料タブが例示され、これらは任意に試薬を含むことができる。

試料タブ
試料容器の非限定例示は、試料タブである。試料投入口は適当な方向、たとえば水平方法で試料タブを収納するように設計される。全血は赤血球が沈殿するように静置されるので試料が全血のときは水平方向が好ましい。この場合、赤血球がEMRの光路内に保持されるようにEMRは垂直に伝播する。しかし、いかなる配置の試料投入口でも本発明の範囲内と考える。試料容器は毛細管現象で試料を吸い込むように設計されたキュベットであり得て、また任意に一つまたはそれ以上の試薬を含むことができる。
試料タブは試料ウエルとカバーを有する基板を具備し、基板の少なくとも一部とカバーの少なくとも一部は、EMRがそこを通過して透過できるように適合される。かわりに、試料タブは試料ウエルとカバーを有する基板を具備し、基板の少なくとも一部とカバーの少なくとも一部は試料からのEMRを反射するように適合され、そして反射したEMRは試料タブをぬける前に基板で試料を通過するように適合されるかまたは、カバーの少なくとも一部が試料からのEMRを反射し、そして反射したEMRは飼料タブをぬける前にカバーで試料を透過するように適合される。本発明の態様に従うと、試験する試料を保持する試料タブが提供される。試料タブは試料容器の例として示され、いかなる意味でも限定されるようには解釈されない。
使用に際しては、試料は基板と試料タブのカバープレートの間のウエルに保持され、電磁波照射は基板を通過し、ウエルの試料を通過し、そしてカバープレートを通過する。しかし、照射ビームが試料を透過し、基板またはカバープレートで反射されて、それにより照射ビームの光路長が倍加することは本発明の範囲内である。光路長を倍加させて、試料の減少容積が分析の間使用される。基板またはカバープレートのいずれかは反射面を有するかまたは、反射材料で構成され得る。かわりとして、試料タブは透明または半透明材料からなり、図4aまたは4bに示される様になお、反射モードで使用され得る。この場合、試料投下口下部に配置された反射部材(450)は、例えば、例示されるが限定されない、セラミックコーティング、硫酸バリウム、商品名SPRCTRALON、商品名SPECTRAFLECTまたは商品名DURAFLECTからなることができる。
図7aと7bを参照すると、試料タブの具体的態様が示されるが、いかなる意味でも限定されない。試料タブ(720)は基板(718)、カバープレート(702)および閉鎖壁(720)で区画される試料ウエル(714)を具備する。試料ウエル(714)は希望のいかなる容積でもよく、例えば限定されないが、ウエルを満たす血液の一滴の容積でもよく、好ましくは僅かに過剰の容積である。たとえば、限定されないが、ウエルは図7aおよび7bに示される様に円形であり、直径で約3mm、深さで約1mmの大きさである。
カバープレート(702)が試料ウエル(714)と基板(718)を覆って閉鎖すると、オーバーフロー開口または溝(716)は過剰の試料を試料ウエル(714)から溢流させる。例えば、限定されない収容壁(712)の第2の壁は試料ウエル(714)からオーバーフロー環(壁706と壁712の間の環状溝)へと溢れる試料を保持するのに使用され、試料ウエルから液が漏洩するのが防止される、一方、試料はウエルを満たすに十分な量が確保される。この点から、収容壁(712)の垂直高さは試料ウエル(714)を区画する閉鎖壁(706)の高さと等しいかまたはそれ以上の高さである。カバープレ−ト(702)は、蝶番(710)または当業者に周知の適当な取付手段で基板に取り付けられる。しかし、蝶番で接続されないカバープレートもまた使用でき、そこではカバープレートは基板から留め金で留められる。ウエルの底面は基板上面と同じ面として示されるが、ウエルの底面は基板の上面または下面であり得る(すなわち、ウエルは基板の上に伸びてもよく、基板内に後退してもよい)。オーバーチャンネルの底面はまた、必要ならば基板上面の上でも下でもよい。
試料タブは公知の材料で製造され、例示されるが限定されない、透明または半透明な、ガラス、プラスチックまたはこれらの組合せ、または部分的な反射材で構成され得る。もしも基板とカバープレートが透明または半透明プラスチックとするならば、例示されるが限定されない、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、またはポリスチレンであるが、ガラス板もまた使用され得る。基板またはカバープレートのいずれかが反射性とするならば、反射材は、例示されうが限定されない、セラミックコーティング、硫酸バリウム、商品名SPRCTRALON、商品名SPECTRAFLECTまたは商品名DURAFLECTからなることができる。
任意に試料タブはカバープレート(702)を基板(718)に留めるために留め部材を具備できる。留め部材はカバープレート、基板または両方の部分である。さらに、留め部材はカバーを可逆的にまたは不可逆的に基板に固定する。公知のいかなる留め部材も本発明の基板に取り付けることができ、たとえば、例示されるが限定されない、米国特許願第10/042258(公開番号第2002−0110496 A1;サムスーンダー;この内容はここに参照として組み入れられる)で開示のものであり得る。収容壁の使用は試料が試料タブ内に保持されることを確実とし、試料間の汚染を減少させ、使用者間の感染の危険性を最小化する。さらに、試料タブのカバープレートを閉鎖位置に保持することにより、試料漏洩無しに使用後に容易に廃棄できるし、または試料タブは、たとえば分光装置内に取り付けられたキュベットホルダー内に垂直に保持されて使用され得る。
カバープレート(702)を基板(718)に固定させる留め部材(704)がまた示される。この例では、留め部材(704)は円環状リングからなり、収容壁(712)に摩擦力で係止することができ、そうして可逆的にカバープレート(702)をきばん(718)へ取り付けて、試料の試料タブから逃散するのを防止する。
カバープレートがウエルを覆い、基板につくと、収容壁(712)の上面(708)はカバープレートの下部面をシールするのが好ましい。しかし、収容壁を越えて漏洩が起こるならば、留め部材はまた試料タブ内に試料をシールするのにも使用される。
試料タブの他の態様からは、吸光度は透過率の代りに反射率から計算される。反射率の場合、基板の一部またはカバープレートの一部を反射面とするかまたは、反射材で構成される。このような反射材は、例えば、例示されるが限定されない、セラミックコーティング、硫酸バリウム、商品名SPRCTRALON、商品名SPECTRAFLECTまたは商品名DURAFLECTからなることができる。
波長検量
分光計はピクセル数の代りに波長が検量解法に使用されるならば検量されねばならない。検量解法移転を容易にするために分光計の波長検量が必要である。波長検量のいくつかの方法が以下に示されるが、例示のみで、いかなる意味でも限定されない:
方法1:
既知波長のレーザーまたは既知波長のバンド−パスフィルターを通過させたEMRを線形ダイオードアレイのピクセルに投射する。EMRはレーザーまたはバンド−パスフィルターに限定されず、他の単色EMR源も使用されることを理解されたい。EMRは一つのピクセル以上に投射でき、EMRのピーク強度の相対位置は当業者に周知の方法で数学的に決定されることが理解される。さらに、ピーク強度はいかなる二つのピクセルの間に位置し得る。標的のピクセルは好ましくはスペクトルの一端に向かうものである。既知の波長の第2のレーザーまたは既知の波長のバンド−パスフィルターを通過するEMRで、スペクトルの一端へ向かって好ましく投射されるものが使用され、それにビームが投射されるピクセルは同定される。ピクセルの数が知られているので、ピクセル分散が計算できる。二つの既知の波長とその対応ピクセルおよびピクセル分散から、波長検量表、すなわち、線形ダイオードアレイ中の各ピクセルに帰属する離散波長を与える表を生成できる。
一つまたはそれ以上の装置からの波長検量表からの波長における吸光度は、続いて波長の標準の組に補間されマッピングされる。標準波長のいずれかの側の二つの実際の波長における吸光度は補間され、標準波長における吸光度を生成する。この方法は、各標準波長に対して繰り返される。これは異なる装置から得られる波長を類似に見せる好ましい方法である。測光補正は部分的には波長精度に依存し、そして被検物質濃度の予測精度は装置の測光補正に依存する。この点に関し、正/否の回答が要求される回答の全てである被検物質の定性方法は同じ被検物質の定量方法と同じレベルの波長精度を要求しない。さらに、検量解法は、第1の装置と一つまたはそれ以上の類似の装置で測定された一つまたはそれ以上の一次検量材からのデータを含むことにより、よりロバスト性で展開され得る。
波長検量のこの方法では、吸光度は波長の標準の組へ補間されてマッピングされるので、第1波長は各装置の線形ダイオードアレイ同じピクセルに投射されるべきではない。第2のレーザーまたは第2バンド−パスフィルターの波長は、好ましくはEMRのビームが線形ダイオードアレイの他の端へ向かって投射されるように選択される。結果としての端のピクセルでの吸光度に雑音が多いならば、EMRビームが線形ダイオードアレイの端のピクセルに近すぎて投射しないようにレーザーやバンド−パスフィルターを選択するのが好ましい。またバンドパスフィルターは、ナロウ・バンドパスフィルターであるのが好ましい。
方法2:
波長検量表を生成する第2の方法は各線形ダイオードアレイの同じピクセルに第1ビームを投射するものである。波長検量表生成のためにこの方法が使用されると、ピクセル拡散性が上で述べたように異なる波長の二つのビームを使用して、予定される。ピクセル拡散性は単一の分光計から求められるが、しかし好ましくは平均値は一つ以上の類似の分光計から得られる。同じピクセル拡散性が各装置で使用され、そして第1ビームが各線形ダイオードアレイ内の同じピクセル番号上に投射されるときは、各装置の波長検量表は同一であり、そしてそれ故、波長検量表は波長の標準の組として使用され得る。その結果、吸光度の波長の標準の組への補間とマッピングは自動的に除去される。第2のビームは波長精度を検証にするのに使用され得る。
方法3:
波長検量表を生成する第3の方法は、第1ビームが線形ダイオードアレイのいずれかのピクセル上に投射される点を除き第2の方法に似ている。第1ビームが投射されるピクセル番号が異なる装置で相違すると、異なる装置の波長検量表での特定波長に帰属されるピクセル番号は、相違する。この場合、以下のように、ソフトウエアにより波長の標準の組を生成するように使用され得る:
(i)異なる装置の波長検量表に共通の波長の組を確立する。
(ii)波長の標準の組の波長範囲を選択し、波長範囲に波長の標準の組に属する波長を保有させる。
上記第3の方法で述べられた異なる装置から得られる波長検量表は異なる装置からのピクセル番号は同じ波長に帰属されないものであることを理解されたい。第1のピクセルはピクセル番号の近似であり、そしてまた異なる装置からの第1ピクセルは同じピクセルであることの近似であり、また許容される近似は一次検量解法に要求される予測精度に依存することを理解されたい。換言すると、第1ピクセルの同定は誤りであり得る。誤って同定されたピクセルが+/− Nピクセルに等しいかまたは少ないならば、ここでNは波長範囲を包含するピクセルの数であり、誤った同定でも許容される。たとえば、ピクセル拡散性が2nmであり、許容誤差が+/−10nmであるならば、そうすると、誤って同定されたピクセルはビームが投射された実際のピクセルの各側でわずか5ピクセル離れているのみに違いない。誤差の異なるレベルは、典型的には、限定されないが、+/−2nmから+/―20nmであり、より好ましくは+/―2nmから+/―10nmである。波長検量方法の選択は一次検量解法の予測精度に依存する。
検量解法移転
本発明の他の面は検量解法移転である。例えば、図6aと6bに示される電子盤(618)のマイクロコントローラーにインストールされる、分光装置と連動する一つまたは一つ以上の検量解法は、試料中の一つまたは一つ以上の被検物質の存在または濃度を求めるのに使用される。一つまたは一つ以上の検量解法は、不揮発メモリー、たとえば、いかなる意味でも限定されないが、ROM、EPROM、EEPROM(電子的に消去可能でプログラム可能な読取専用メモリ)、CD、デスケット、またはメモリカードにインストールされ得ることを理解されたい。一つまたは一つ以上の検量解法は、あらかじめ、検量解法の過程で一つまたはそれ以上の第一装置上で展開されており、そして一つまたは一つ以上の検量解法は、第2装置と称される他の装置へ移転される。検量解法移転は、米国特許第6651015号、6711516号および6470279号明細書において説明される(サムスーンダー;これらはここに参照として組み入れられる)。
好ましい態様では、一次検量解法は、一つまたは一つ以上の他の装置上に完全に展開され、そして本発明の装置に単純にインストールされる;一次検量解法の定数または係数の較正は好ましい態様では行わない。しかし、検量解法は一次検量の組に使用されるものとは別個の独自の試料の組を使用して誘導され、第二装置上で_試験され、データは一次検量の組みからの生のデータのいくつかまたは全てと組み合わさって、一つまたは一つ以上の“改良検量解法”を展開することを理解されたい。一つまたは一つ以上の改良された一次検量解法の使用はまた本発明の範囲内であると理解されたい。改良された一次検量解法はまた米国特許第6651015号明細書(サムスーンダー;ここに参照として組み入れられる)で説明される。
被検物質濃度の予測値の精度を向上するには、第2の装置で実際の波長で測定された吸光度が標準波長の組の波長でマッピングされ、標準波長を包含する実際の波長での吸光度を補間することによる。吸光度のマッピングと吸光度の補間(内挿)はまた米国特許第6651015号明細書(サムスーンダー;ここに参照として組み入れられる)で説明される。
検量解法移転の後、“測光補正“または吸光度補正が行われ得て、試験される被検物質の要求精度に依存する。測光補正または吸光度補正は、また米国特許第6651015号明細書(サムスーンダー;ここに参照として組み入れられる)で説明される。
用語 吸光度計と吸光光度計は互換性をもって使用され、発明者はいかなる区別もつけない。

体液中のヘモグロビン
溶血の指標としてのHbの測定の精度は、複数の要因に依存し、それは例示されるが限定されない:
1)溶血の指標として選択されたHb種;
2)一次検量解法を展開するに使用された一次検量の組における各試料の成分;および
3)溶血の指標のための参照値に含まれるHb種。
米国特許第6268910 B1号明細書、米国特許第5846492 B1号明細書、国際公開第98/39634号明細書、および国際公開第97/47972号明細書はHbに対する検量解法を説明し、そこではHbは溶血の指標として使用される。しかし、Hb種(複数可)が溶血の指標として使用されること、また全−Hbが溶血の指標として使用されることの示唆は、どの文献にも示されない。
一次検量解法は被検物質の参照値の正確な見積を使用して特定の被検物質に対して展開されるのだが、試料中に存在する他の被検物質はまたは物質は被検物質の予測値に誤差を導入することを当業者は理解されたい。これは特に溶血の指標の予測値に適用し、そこではHbは数種のHb種として存在し、これらのHb種は一次検量解法において計算される必要がある。たとえば、溶血の指標は全−Hbであり、標準方法を使用して行われる参照測定は、例えば、限定されないが、全−Hb測定のためのcyanMet−Hb法である(ティエツ(臨床化学のティエツの教科書、第3版、1999,pp1674−1676)。もしも一次検量解法試料に存在する全−Hbが適当なHb種の変形で構成されないならば、高い割合のMet−Hbの使用に対して予測される全−Hbは有意に過小評価され得る。
溶血の指標の測定に必要な精度は溶血の指標の適用に依存する。溶血はRBC内に含まれる物質を血清または血漿内に放出するので、赤血球(RBC)内に存在するいかなる物質も、そしてRBCを囲む血漿内に存在しない、いかなる物質も溶血の指標として使用され得る。HbはRBC内に含まれる物質の例示であり、もし溶血が起こると血清と血漿内にのみ存在する。
たとえば使用が乱暴に扱われると溶血は生体外で起こり得るし、またたとえば脆弱なRBC膜の患者または人口心臓弁の患者では生体内で溶血は起こり得る。それゆえ、溶血の指標を正確に測定するには、以下を求めることが望ましい:
1)生体外と生体内の溶血の全ての組合せ;
2)真の溶血のレベル、たとえば生体外溶血によりカリウムのような物質の濃度が血清または血漿中にどの程度人工的に高まったかを理解する(RBC中のカリウムの濃度は血漿中よりも25倍濃いのでカリウムは溶血RBCから放出される物質の他の例である);および
3)ヘモグロビン放出による血清または血漿の吸光度の増加とどのようにまたどの程度Hbにより人工的に増加する吸光度が他の被検物質に分光的に影響するかを理解する努力をする。
全−Hbは鋭敏な溶血の指標であり、そして溶血の程度のよい推測を与える。動脈血の通常のHbの組成は、約95%Oxy−Hb、約1%Met−Hb、約2%Carboxy−Hbおよび約2%Deoxy−Hbであり、これはCO−酸素計で動脈血試料を測定した値である。CO−酸素計はよく知られており、全血中のヘモグロビン種の測定をする:Oxy−Hb、Deoxy−Hb(または還元−Hb)、Met−HbおよびCarboxy−Hb。溶血時多くの血清および血漿中に見られるHb種の割合は、動脈血で記載したものに類似しているが、血清や血漿は通常静脈血から得られる。Hb酸素飽和と称される全−HbのOxy−Hbのパーセントは静脈血のそれと比較すると通常は動脈血ではかなり高いのだが(静脈血のDeoxy−Hbの増加のため)、静脈血試料(血清または血漿)におけるOxy−Hbの増加レベルは試料の空気への暴露によるものであり、それは20%の酸素を含む(すなわち、152mmHgの酸素分圧で、760mmHgの20%)。それ故、Oxy−Hbは、特に通常のHb種を有する血液試料における溶血の他の鋭敏な指標である。
試料内のMet−Hbの増加は図3に示されるが、しかしMet−Hb型である全−Hbの割合は知られていない。図3に示されるMet−HbはHbの自然酸化により生成したものである。同じ血液提供者により溶血酵素が提供され、その吸収スペクトルが図3に示され、そして新鮮な溶血酵素で、異なる日に得られたものは区別不能である。この議論は血清または血漿の溶血をより目的とするが、同じ議論が全血を含む全ての体液に適用され得る。
同じ波長領域のMet−Hbの吸光度(それはかなり低い)を比較すると、Oxy−Hb、Deoxy−HbおよびCarboxy−Hbの吸収スペクトル(特に吸収スペクトルの勾配で、それは吸光度の1次導関数である)は約576nmから700nmの範囲(図2に示される様に、特に約590nmから約610nm)で非常に似ている。Met−Hbはまた約632nmに特性ピークを示す。それゆえ、もしも全−Hbに対する検量解法が、約95%Oxy−Hbからなる全−Hbの予測である参照値を使用して展開されるならば、試料中のDeoxy−HbとCarboxy−Hbの大量が全−Hbの測定に含まれる。しかし、Met−Hbの吸光度は576nmから700nmでは低く、それにより全−Hbの参照測定に比較して全−Hbを有意に過小評価することになる。この場合、溶血指標として全−Hbの検量から誘導される予測値は”全−Hb マイナス Met−Hb”をより反映することになる。この試料では溶血の指標はより適切に”全−Hb マイナス Met−Hb”と称される。
図1と図2で示される4種のHb種に加えて、第5のHb種、Sulf−ヘモグロビン(Sulf−Hb)が図9に示される(Clin.Chem.News 1990;16(1)page11−12を参照)。Sulf−Hbは緑色で硫黄を含み鉄は第二鉄の形態にある。Met−Hbも第二鉄を含むが、しかしOxy−Hb、Deoxy−HbおよびCarboxy−Hbの鉄は第一鉄の形である。Sulf−Hbの大きな吸収は、それは約620nmのピークだが、Sulf−Hbを予測する検量解法を得るのに使用され得る。ある種の薬、例示されるがいかなる意味でも限定されない、スルファミド、アセトアニリド、フェナゾピリジン、ダプソンおよびメトクロロプラミドはSulf−Hbの蓄積に関連する(Wuら.Clin.Chem. 1997;43(1)page162−166)。
Oxy−Hbが全てのHb種の約95%である例では、Oxy−Hbの参照値は全−Hbの予測値として使用され得る。Oxy−Hbの割合が全−Hbの約95%である既知のOxy−Hb濃度の試料はOxy−Hb濃度と同じ数値の全−Hb濃度を有すると考えられる。同様に、約95%Oxy−Hbからなる既知の全−Hb濃度の試料は、全−Hb濃度と同じ数値のOxy−Hb濃度を有すると考えられる。”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の割合が全−Hbの約95%である既知の”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度の試料は、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度と同じ数値の全−Hb濃度を有すると考えられる。同様に約95%の”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”からなる既知の全−Hb濃度の試料は全−Hb濃度と同じ数値の”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度を有すると考えられる。用語“Oxy−Hb”と”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”は、試料が大気酸素に暴露されるならば交換可能であり、それはHbは酸素を急速に吸収しOxy−Hbに変換するからである。Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の予想値はMet−Hbにより有意に影響されないであろうし、影響されるならば、しかしOxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の予測値は溶血または全−Hbの信頼される算出にならないであろう、これは大部分のMet−Hbが測定されないからである。
上で議論されたHb測定方法はHbで汚染された体液または血清または血漿の溶血に関するが、全血中のHbの測定は本発明の範囲内であると理解されたい。全血のHbと血清または血漿のHbとの相違は単にHb濃度とRBCの光拡散効果である。INTRALIPID粒子が血清または血漿中のHbのために一次検量の組の複数の試料に加えられて、典型的にはRBCと関連する光拡散効果を増加させる。体液は人体に限られず、他の種、例えば動物からの体液が本発明の範囲に含まれると理解されたい。
それ故、本発明の方法の一つの態様は、大量のMet−Hbの存在下全−Hbの過小評価を克服することにあり、それは以下の通りである:
方法1:Met−Hbを一次検量の組へ加えて、そして検量解法の展開のための全−Hbの参照値にMet−Hbを含ませる;または
方法2:Met−Hbを一次検量の組へ加えて、そして一次検量解法の展開の間、Hbの参照地にMet−Hbを含ませない。
方法1では、全−Hbの検量解法は予測全−Hbの結果にMet−Hbを部分的に含むことができる。
方法2では、検量解法は”全−Hb マイナス Met−Hb”を予測しそして試料中のいかなるMet−Hbも無視される。
再度方法2を参照すると、別個の検量解法が試料中のMet−Hbの測定のためにMet−Hbに対して展開され、予測値を超えるMet−Hbで試料をフラッグ付けする、または予測Met−Hbは上述の”全−Hb マイナス Met−Hb”に、全−Hb測定のために加えられる。上述の方法2は、Met−Hbの存在下に全−Hbを得る正確な方法である。
“全−Hb マイナス Met−Hb”のための一次検量解法は、Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Carboxy−Hb、Met−HbおよびSulf−Hbの一つまたは一つ以上の種々の量を含む一次検量の組の試料を使用して展開される。Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbの量が合計されて参照値で全−Hb濃度(実際は、”全−Hb マイナス Met−Hb”)になるならば好ましい。溶血の指標に用いられる物質の名前は通常は参照値に含まれる物質類のそれと同じである。しかし、参照値に含まれる実際の物質類は一次検量材の組成に依存することを理解されたい。さらにまた、いくつかの一次検量試料は一つまたは一つ以上の成分の量がゼロであり、量がゼロの試料はまだ、成分を有する試料と考えられ、しかし成分の濃度はゼロg/Lである(量を規定する単位に関係ない)ことも理解されたい。
方法1を使用して得られた評価全−Hbの正確性が特定の応用で認められるならば方法1は使用され得ることを理解されたい。
本発明の態様では、”全−Hb マイナス Met−Hb”への一次検量解法の項とMet−Hbへの一次検量解法の項は合算されて単一の検量解法の一組の項を生成し、それは訂正全−Hbを予測する。
しかし本発明の他の態様では、溶血の指標はOxy−Hbであり、訂正全−Hb値はOxy−HbとMet−Hbの予測値を加えることにより得られることができる。使用される一次検量解法に依存するが、もしも試料中に存在すれば、Deoxy−Hbおよび/またはCarboxy−Hbの有意な割合はOxy−Hbとして測定され得ることを当業者は理解されたい。
上で注意したように、血液提供者が最近一酸化炭素に暴露されるかまたはメトヘモグロビン血症の患者でない限り、溶血試料または全血試料ではHbの約95%が通常はOxy−Hb状態である。一酸化炭素の暴露(主に煙の吸入による)はCarboxy−Hbの増大をもたらし、そしてメトヘモグロビン血症はMet−Hbの増大となる。Hb分子のヘム部分における鉄の酸化は生体内で起こる通常のプロセスである。酵素は常に働き逆転させてMet−Hbの蓄積を防止する(たとえば、NADHメトヘモグロビン 還元酵素、およびMet−Hb還元酵素系)。メトヘモグロビン血症はこの酸化過程を逆転するに要する酵素が欠乏する症例である。酸化過程を逆転させる酵素の欠乏はまたHbの全血中のMet−Hbへの自然の酸化、または時間経過後の溶血血清または血漿をもたらし、試料を暗黒色にする。
図3は溶血試料の時間変化を示す。暗黒色化に伴う約632nmの吸収ピークはHbのMet−Hbへの転換を示す。Met−Hbの蓄積はHbベースの代用血液を輸血された患者の血清または血漿に生じる。溶血血清もしくは血漿中の、またはHbベースの代用血液を輸血された患者からの血清または血漿中のMet−Hbの検量解法は、それ故、約630nmの極大吸収のピークの負の勾配好ましくは使用して展開され得る。例6(式22)はMet−Hbの一次検量解法の例を与え、それは一次検量波長として645nmを用いる。
ここに述べるMet−Hbの測定はHbのMet−Hbへの酸化を測定するために、またHbベースの代用血液のMet−Hb型への酸化を測定するために、血清、血漿、尿、髄液、リンパ液および滑液の溶血の指標を測定するのに使用される。また、ここに述べるMet−Hbの測定はHbベースの代用血液を輸血されたまたはされない患者の全血中のHbを測定するのに使用される。
本発明の他の面は、修正全−Hbを測定する方法を提供し、それは次ぎの一次検量解法を使用する:
1. Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”を予測するための一次検量解法;
2. Met−Hbを予測するための一次検量解法;および
3. Carboxy−Hbを予測するための一次検量解法。

全−Hbは、上記一次検量解法を使用して求められるOxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”を各Met−HbおよびCarboxy−Hbの予測値に加えることにより測定され得る。
代りに、Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”に上で同定された一次検量解法の項と、Met−HbおよびCarboxy−Hbの一次検量解法の項が合算されて単一の検量解法の一つの組を生成し、それは全体のヘモグロビンを予測する。全−Hbを予測する単一の検量解法の使用は修正全−Hbを求めるのに使用される。使用される試料が好気性試料ならば、Oxy−HbとDeoxy−Hbのための別個の検量解法を展開する必要はない。たとえば、もしも試料が静脈血(これは動脈血または毛細管血と比較するとより高い割合のDeoxy−Hbを有する)ならば、大気酸素は多くのDeoxy−HbをOxy−Hbに急速に変換する。好ましくは試料は全血であるが、他の試料、例えば血清や血漿の使用も本発明の範囲内と考えるべきである。試料が全血のときは、試料は好ましくは針で指して得られる。赤血球の溶解(LYSIS)は必要ではない、何故ならば検量解法類は、キロミクロンまたはより重要だがRBCのような高度に光拡散性粒子の存在することでまたは存在すること無しで作用することができるからである。
本発明の方法の一つの他の面は次ぎの一次検量解法を使用して修正全−Hbを測定する他の方法を提供するにある:
1. Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”を予測する一次検量解法;
2. Met−Hbを予測する一次検量解法;
3. Carboxy−Hbを予測する一次検量解法;
4. Sulf−Hbを予測する一次検量解法。

全−Hbは、上記定義の一次検量解法を使用して、Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の予測値とMet−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbの予測値のそれぞれを加えることにより測定されることができる。かわりに、Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の一次検量解法の項と、Met−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbの一次検量解法の項を合算して検量解法の単一の式を生成させると、それは全体のヘモグロビン(全−Hb)を予測する。全−Hbを予測する単一の検量解法の使用は修正全−Hbを求めるのに使用される。
もしも試料が好気性試料ならば、上で示したように、大気酸素は急速に大部分のDeoxy−HbをOxy−Hbへ変換するのでOxy−HbとDeoxy−Hbに対する別個の検量解法を展開する必要はない。好ましくは試料は、全血であるが、他の試料、たとえば、血清および血漿の使用は本発明の範囲内と考えるべきである。試料が全血のときは、好ましくは試料は針を刺して得られる。
検量解法はキロミクロンまたはより重要にはRBCのような高度に拡散性粒子の存在でまたは存在しないことで作用し得るので、RBCの溶解は必要ない。これは、CO−酸素計とは逆であり、そこではRBCの溶解が必要であり、種々のHb種の波長特定モル吸光係数が一次検量解法に使用される。むしろ、本発明では、RBCの溶解無しで、そして種々のHb種の波長特性モル吸光係数を使用すること無しで全−Hbを測定する方法が提供される。自然溶解、生体内溶血、または測定に先立つ試料の処理状況に依存して、RBCは血液試料中で部分的に溶解され得る。
また、血液試料が無酸素環境に留まることを必要とするCO−酸素計の方法とは反対に、本発明は試料を大気酸素に曝してOxy−HbとDeoxy−Hbを一つに組合せることにより種々のHb種を測定する方法を提供する。全−Hbが測定されるかまたは計算された後に次ぎの種の一つまたはそれ以上が全−Hbのパーセントの割合として求められ得る:Oxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、Met−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hb。ここに記載される方法は発見される他のHb種にも適用され得る。
ヘモグロビンの酸化
Hb分子のヘム部分にある鉄の酸化は通常は生体内で起こる過程である。酵素が常に働いて、酸化を逆転させて、Met−Hbの蓄積を防止する。メトヘモグロビン血症は酸化反応を逆に進行させるに必要な酵素、例えばNADHメトヘモグロビン 還元酵素が不足する症例である。Met−Hb還元酵素系は幼児では未開発であり、メトヘモグロビン血症は幼児の間にはより流行する。幼児と新生児の間にメトヘモグロビン血症がより起こりやすい他の理由はある幼児での胃腸系の未発達のためである。未発達の胃腸系では、胃酸分泌が不足するので細菌が繁殖し得る。硝酸塩は、通常胃腸系の細菌により亜硝酸塩に変換され、亜硝酸塩は順にHbに反応してMet−Hbを生成する。
溶血血清中にMet−Hb還元酵素が不足することは時間経過でHbのMet−Hbへの自然酸化をもたらし、試料を暗黒色に変化させる。図3を参照すると、暗黒色への変色を伴いHbのMet−Hbへの変換を意味する約632nmの吸収ピークが観測される。Met−Hb還元酵素が不足しない患者にまたMet−Hbの蓄積が起こる。これらの患者では、Met−Hbの蓄積はある種の医薬、化学品の服用により誘発され、これらは例えば例示されるが限定されない、ダプソン、クロロキン、フェナゾピリジン、フェナセチン、硝酸塩、亜硝酸塩、フェノール類およびアニリンである。高レベルのMet−Hbの患者は原因の如何を問わずMet−Hbの増加、または処理後のMet−Hbの減少、または増加と減少の両方を監視する必要がある。
通常人では、CO−酸素計で測定して、動脈血中のHb(全−Hbの%)の組成は、約95%Oxy−Hb、約2%Deoxy−Hb、約2%Carboxy−Hb、および約1%Met−Hbである。非常な喫煙家では、%Carboxy−Hbは約10%である。Hb組成はHb種の測定に使用されるCO−酸素計に依存することを理解されたい。より新規なCO−酸素計はより多くの波長で操作されるので、より信頼されると推測され、異なる数値を与える傾向がある。より多くの波長は干渉性物質、例えばバリウム、混濁、および胎児ヘモグロビンなどを補償することを助ける。CO−酸素計はある人には%Hb種を測定するための参照機器として考えられているが、しかしCO−酸素計を使用する方法は血液試料中のHb種の%を測定するための真の参照方法ではない。
全−HbとMet−Hbは針で刺して得られる血液試料で測定され、%Met−Hbが計算される。%Met−Hbの測定のための検量解法は試料の異なる二つの波長、たとえば約630nmと約560nmにおける吸光度の比をとることにより実験的に展開される。図2を参照すると、約630nmにおける吸光度は示される他の種のそれぞれの同じ量に対するよりもMet−Hbに対する方が大である;約560nmでは反対がそうであることに注意される。これらの波長は使用され得る単なる例示であり、いかなる意味でも限定されない。
さらに、560nmと940nmでの吸光度の比は%Met−Hbの検量解法の一つ以上の比の項目であり得る。単一の項としての吸光度の比の使用、または検量解法における一つの単一の項の和を使用することは好ましい。しかし検量解法の解を求めるのに、統計処理をすることは本発明の範囲内と考えられる。Met−Hbの存在のために全−Hb(血清および血漿中の溶血の指標として使用されるもの)の測定を修正する方法は、米国特許第6689612号明細書(サムスーンダー;これはここに参照として組み込まれる)に開示される。Met−Hbの検量のための、Met−Hb存在のために全−Hbを修正するための、およびMet−Hb存在のために全−Hbにフラッギングするために記載される方法はまた全血のためにも使用され得る。

ヘモグロビン−ベースの代用血液の減成および減成の反対
輸血は人命救助行為であり、外傷を受けた後または手術中の重大な出血により行なう。全血(“全血”は血液の細胞性または非細胞性成分の組合せを意味する)の代りに代用血液または赤血球を使う利点は以下の通りである:
a)代用血液は全ての血液型に共通して適合すると期待され、それ故交差試験は必要ない;
b)血液の最大貯蔵日数は42日間であり、一方、代用血液はより長い貯蔵期間を有する;および
c)代用血液の精製工程は熱処理であり、有害な細菌の危険を最小化する。
開発中の多くの代用血液はヒトのHb、牛のHbまたは遺伝子組換え技術(組替えHb)によるものである。ヘモグロビンは4個の蛋白サブユニットからなり、それは同じポリペプチド鎖の二つのペアである。各サブユニットは分子量約16000であり、ヘム(鉄−ポルフィリン)基と酸素摂取部位を含む裂片を有する。サブユニットは共有結合による結合はしていないで、赤血球膜をサブユニットに止める。ヘモグロビン分子は大きすぎるので腎臓を通過できないが、しかしサブユニットは十分小さくて腎臓に引っかかって腎臓障害を起こす。
Hbベースの代用血液では、安定のために、Hbのサブユニットは互いに化学的に架橋されるかまたは巨大ポリマーとなり、またはHb分子は他のHb分子と結合してポリ−Hbの形となる。Hbサブユニットは分子間または分子内で架橋され得る。ヘム基を囲む蛋白またはポリマーに拘わりなく、Hbベースの代用血液の吸収スペクトルはほとんど通常のHbと同一であるが、しかし、一定の波長で微妙な違いが存在する。Hbベースの代用血液はMet−Hbへの調節不能な自然な酸化から保護されない、何故ならば、それらはもはや赤血球膜の中に収納されておらず、その中ではHbは通常Met−Hb還元酵素と接触している。代用血液の詳細は、“代用血液:原理、方法、製品および臨床試験”(1998、T.M.S.Chang、Karger Landes Systems発行)の第1巻と2巻にある。Hbベースの代用血液のどれも本発明の範囲内と考えられることを理解されたい。
Met−Hb還元酵素が無いことにより、Hbベースの代用血液を輸血された患者の血漿中にはMet−Hbの蓄積が起こる。Hbベースの代用血液のそのMet−Hb型への減成(酸化による)を監視するための、または例えば一つまたはそれ以上の治療薬の服用による減成の反対を監視するための、またはNADHメトヘモグロビン 還元酵素または他の還元剤をHbベースの代用血液に封入することにより自然な酸化の進行が遅延するのを監視するには、Met−Hbの全−Hbに対する比を測定または計算するのが有用である。この例では、二つの血液被検物質はHbベースの代用血液とHbベースの代用血液のMet−Hb形である。Hbベースの代用血液の一つまたはそれ以上の型を輸血された患者では、全−Hbは一つまたはそれ以上のHbベースの代用血液と内因性のHbの両方を含み、Met−Hbは一つまたはそれ以上のHbベースの代用血液のMet−Hb形と内因性のMet−Hbの両方を含むことを理解されたい。
Hbベースの代用血液の減性を監視する方法は、検量解法をMet−HbとHbベースの代用血液について解くことを要する。一つまたはそれ以上の波長において試料で吸収されたEMRを処理する統計処理を使用して検量解法は展開され得る。それぞれの検量解法を一つまたはそれ以上の波長に試料の吸光度を適用することにより一つまたはそれ以上のHbベースの代用血液とMet−Hbの濃度が求められる。Met−Hbに対する検量解法とHbベースの代用血液に対する他の検量解法を使用することにより、Met−HbはHbベースの代用血液全体に対する割合、分数、パーセントとして得られ得る。代りに、Met−Hb形のHbベースの代用血液の全体の割合、分数、パーセントについて検量解法は展開され得る。
時間経過して収集された単一の血液試料または一つ以上の血液試料は、Hbベースの代用血液の減成状態またはHbベースの代用血液の減成の反対を調べるために使用され得る。時間経過をして収集された一つ以上の血液試料が好ましい。割合(たとえば%Met−Hb)と同様Met−Hbの濃度がHbベースの代用血液の減成または減成の反対を監視するのに使用される。例として、限定されないが、単一の試料が使用される場合、少なくとも約3%のMet−Hbが代用血液の減成の指標となる。それ故、3%またはそれ以上のMet−Hbを有する試料はHbベースの代用血液の減成を示していると同定され得る。好ましくは一つ以上の血液試料が時間をかけて収集され、そしてMet−Hb濃度の増加、または%Met−Hbの増加は代用血液の減成の指標となる。さらに、Met−Hb濃度の減少または%Met−Hbにおける減少は代用血液における減成の反対の指標である。
それ故、本発明は試料中の一つまたは一つ以上の代用血液の減成または減成の反対を監視する方法を提供しそれは以下からなる:
i)Met−Hbに対する第1の検量解法と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液に対する第2の検量解法を波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長に試料の吸光度のある次数の導関数を適用することにより、Met−Hbの第1の濃度および試料における一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第1の濃度を求める;
ii)Met−Hbに対する第1の検量解法と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液に対する第2の検量解法を波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長に試料の吸光度のある次数の導関数を適用することにより、Met−Hbの第2の濃度および試料における第2の時間の一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2の濃度を求める;
iii)Met−Hbの第1の濃度と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第1の濃度を使用して、Met−Hb形にある一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第1の割合を計算し、そしてMet−Hbの第2の濃度と一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2の濃度を使用してMet−Hbの形にある一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2の割合を計算する;

ここで、第2の割合の増加は、第1の割合と比較すると、一つまたは一つ以上の代用血液の減成の指標であり、第2の割合における減少は、第1の割合と比較すると、一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成の反対の指標であり、そうして一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成または減成の反対が監視される。Met−Hbの形にあるHbベースの代用血液の割合を使用する代りに、時間を経過したMet−Hbの絶対量の増加(例えば グラム/リッター)が一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成の指標として使用され、そして時間を経過したMet−Hbの絶対量の減少は一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成の反対の指標として使用し得る。
また、試料中の一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成を調べる本発明の方法は、以下からなる:
i)Met−Hbに対する検量解法および一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液に対する一つまたは一つ以上の検量解法を具備する分光装置を使用して、波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度を測定し;
ii);Met−Hbに対する検量解法を吸光度のある次数の導関数に適用して吸光度からMet−Hbの第1濃度を計算し、そして一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液に対する一つまたは一つ以上の検量解法を吸光度のある次数の導関数に適用して、吸光度から一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の第2濃度を計算する;

ここで、第1濃度と第2濃度から計算してMet−Hbの濃度が一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の濃度の3%と等しいかまたはそれ以上であるならば、これは一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成を意味する。
米国特許願第10/136329号(米国特許出願公開第2003−0138960 A1号;サムスーンダー;これはここに参照として組み入れる)は、Met−Hb形またはHbベースの代用血液の誘導体の生成を監視することによりHbベースの代用血液の減成を監視する方法を記載する。その適用として試料は、代用血液を輸血された患者からの全血、血清、血漿、または人体の一部を教示する。同じ方法が貯蔵されたHbベースの代用血液の減成の監視方法に使用され得る。“貯蔵Hbベースの代用血液”は製造されて使用に供されるHbベースの代用血液を意味し、例えば、例示されるが限定されない、患者の輸血用のものである。Met−Hbの存在で全−Hb(血清および血漿における溶血の指標として使用される)の測定を修正する方法は、米国特許第6689612号明細書に開示される(サムスーンダー;これはここに参照として組み入れる)。
上記の記載はクレームされた本発明をどのようにも限定させる意図はない。本発明は以下の例で更に説明される。
例:一次検量
一次検量の組と称する試料の比較的大なる組の吸光度の測定を必要とするので装置の一次検量は面倒で時間を要するものである。一次検量の組の使用は実際のものかまたは実際のものに非常に近いものであるべきである。好ましくは、試料は試料に期待される全ての吸光度変化を含み、試料の変化は一次検量解法に内蔵される。容器はまた変化に対応し、一つ以上の容器の組合せを使用して一つまたは一つ以上の1次検量解法を展開することが可能であり、容器の変化は1次検量解法に内蔵される。しかし、特別の型の容器に特定される一次検量解法の展開が好ましい。検量解法が遂行される装置は“第1の装置”と称される。一次検量工程を行なう第2の装置自身なしで第1の検量解法かまたは一次検量解法の変形を使用する他の装置は、“第2装置”と称される。
一次検量解法は以下のようにして得られる:一次検量解法が展開される所定の被検物質の濃度範囲をカバーする複数の試料に対して吸収スペクトルが得られる。試料に期待される全ての吸光度変化を試料は含むことが好ましく、試料の変化は1次検量解法に内蔵される。
また試料は前処理されないことが好ましい。前処理の例は、いかなる意味でも限定されないが、化学的手段または市販のCO−酸素計で使用される鹸化による全血中のRBCの溶解である。
光拡散粒子または物質は、試料に吸光度変化を生起する。さらに、治療に使用される染料も吸光度変化を起こし、一次検量の組に含まれる。もしも含まれないと、試験した試料に応じて、光拡散粒子、光拡散物質、染料は予想される被検物質に誤差を生じさせる。例として、それは例示されるが限定されないが、メチレンブルーはメトヘモグロビン血症の緊急治療として使用される。メチレンブルーの吸収は図10に示され、干渉材とみなされ、一次検量の組に入れられる。追加すると、光拡散物質は、例示されるが限定されない、イントラリピッド(Intralipid)は経静脈栄養を受けている患者からの血液試料中に存在し得る。再度だが、イントラリピッドのような光拡散物質干渉剤とみなされ、一次検量解法の組に含ませる。一次検量の組の中に干渉染料または他の干渉物質を含ませることは本発明の範囲内と考えるべきである。一次検量解法は、望むならば、例7でメチレンブルーについて示される様に、染料またはイントラリピッドに対して展開され得る。
多重線形回帰式は、それから、独立変数として特定の波長における吸光度の0次の導関数を有する線形結合と独立変数としての被検物質の濃度を展開させて遂行される。他の統計処理、例えば、一つの波長を使用する単純線形回帰式、部分最小自乗法(PLS)および主成分解析(PCA)がまた使用され得る。このようにして得られる式が一次検量解法である。
0次の吸光度(また生の吸光度と称される)またはどの次数の吸光度も、検量過程で使用され、2次導関数が好ましく、1次導関数が更に好ましい。一つの例外は、濁度の模擬であり(たとえばIL)、そこでは吸光度の0次導関数と吸光度の1次導関数の両方が好ましい。脂質エマルジョンに関しては、例ILで、再現性よく光を減衰する容器の試料で、吸光度の0次導関数が吸光度の1次導関数に対して好まれる、それは結果としての一次検量解法がより広い被検物質をカバーし、すなわち、予測値と脂質エマルジョン、例えばILの実際の濃度の間の関係が線形である。たとえば、血液バック管の試料には、それはブラックライティングを含むかまたは含まないが、米国特許第6268910号明細書に開示されるように、吸光度の第1次導関数が好ましい。
一次検量解法を解くのに使用するソフトウエアは例示されるが限定されない、以下のものを含む:
― 吸光度の導関数をマクロで解くためにMS エクセル(商品名)が使用され得る;
― スタットビユー(商品名)が、“段階的多重線形回帰式”と称される方法により解法を生成するのに使用される。段階的線形回帰式では、全ての波長に対する吸光度の導関数測定がスタットビュー(商品名)プログラムについて表される;吸光度の導関数が検量フィットに所定レベルの有意差で貢献する波長のみが解法に選択される。

しかし、他のソフトウエアも使用できることを理解されたい。例示されるが限定されない、例えば単純線形回帰式、多重線形回帰式、および多変数データ解析など、どの統計処理も検量解法の準備に使用できることも理解されたい。
多変数データ解析の例は、いかなる意味でも限定されないが、原理的成分解析(PCA)、原理的成分回帰式(PCR)、部分最小自乗法(PLS)、神経網および遺伝解法である。一次検量解法を解くのに使用されるソフトウエア ツールは、例示されるが限定されない、次ぎのものである:
― マットラブ(商品名)は吸光度を平滑化し吸光度のある次数の導関数を得るためのプログラムを生成するのに使用される。
― ピロッテ(商品名)は、全ての波長の測定をするか、または吸収スペクトルの部分を選択してPLSかまたはPCAにより検量解法を生成するのに使用される。
― 検量解法は神経網および遺伝解法の技術を含むが、他の統計処理も本発明の範囲内と考えられる。
他のソフトウエアも使用し得ると考えられる。血液分析に関し、一次検量解法の多くの例本発明に組み入れられた文献に示される。一次検量解法は、単一の波長の項から、最も単純なケースでは、多くの波長を用いる多重項までを含み得る。一次検量解法は、単純線形回帰式、多重線形回帰式、多変数解析またはこれらの組み合わせの工程で得られることができる。多変数解析のいくつかの例は、PLS、PCA、遺伝解法、および神経網である。
吸光度のある次数の導関数が使用されることを理解されたい、そして一次検量解法のロバストネスは一次検量の組に干渉剤、それは実際の試料で遭遇すると期待される、を組み入れることに依存している。
第2の装置における試料中の被検物質濃度の測定は、平滑化、吸光度の1次と高次導関数の計算、吸光度の補間、多重化分散補正またはデータ変換などのデータ前処理を使用することを伴う。一次検量解法の解に先立ち、類似のデータ前処理もまた使用され得る。測光補正は、被検物質濃度の予測値の必要な精度に依存して第2装置でまた使用され得る。
一次検量解法の解のいかなる他の方法といかなるデータ変換も本願発明の範囲内である。データ変換の例は、例示されるが限定されない、被検物質濃度の対数または真数計算、フーリエ変換でありこれらは当業者に周知である(例えば、オスボーン B.G.,フェーン、T&ヒンドル,P.H.,“食餌、飲料分析への応用の実際的なNIR吸収スペクトル”、1993、Longmann Scientific & Techhnical発行、これは、ここに参照として組み入れられる)。
一次検量解法は、ロバストネスで変化することができ、これは一次検量材の構造に依存する。所定の被検物質に対して一次検量解法が一旦得られると、試料中の被検物質濃度(すなわち、予測値)は波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度を得て、被検物質に対する一次検量解法を波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数へ適用することにより求められる。いかなる数の被検物質に対する一次検量解法が装置にインストールすることができ、そして被検物質の濃度を得るためにいくつかの吸光度データに適用される。さらに、一つ以上の一次検量解法が一つの被検物質に対してインストールされ得る。多重一次検量解法の使用が使用されて、より高いまたはより低い被検物質濃度となる分光装置の分析範囲を広げる。

一次検量解法の解
以下の例の大部分は血漿中の被検物質を示す。しかし、検量解法の解の類似の方法は本願発明の範囲内であると理解されたく、これは他の型の使用の被検物質に対するものであり、この試料は例示されるが限定されない、検量材、全血、血清、血漿、尿、滑液、リンパ液、***、糞便、乳製品、飲料、人体の部分で、限定されないが、指、爪、耳たぶ、または医薬剤などである。
試料中の一つまたは一つ以上の被検物質に対する一次検量解法は試行錯誤で解かれて、市販のCO−酸素計で使用される吸光係数を使用しない。
CO−酸素計は、一つ以上の検量解法が一つ以上の被検物質(たとえば、Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Carboxy−Hb、Met−Hb)を予測するのに使用され、Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Carboxy−Hb、Met−Hbのそれぞれに対するは長吸光係数が検量解法で使用される。CO−酸素計では、全−HbはHb種の濃度を合計して計算されるが、CO−酸素計は全−Hb検量材で再検量される。再検量の工程の間、CO−酸素計の検量解法の係数は変更される。いくつかのCO−酸素計は、Sulf−Hbの測定ができ、例えば、ロッシュ ダイゴニシスから得られるAVL OMNIである。より多くのHb種を測定するほど、予測全−Hbはより正確になり、特に不良ヘモグロビンの試料ではそうである。
不溶解RBCの光拡散効果のために本発明では波長特性吸光係数は使う必要はない。不溶解RBCの拡散効果は、もし試料が不溶解RBCを含むならば、本発明の検量解法に組み込まれる。しかし、本発明の検量解法はいくつかまたは全てのRBCの溶解を受ける全血試料における被検物質の値を予測するのに使用されることを理解されたい。この場合、溶解RBCからなる検量の組を使用して一つまたは一つ以上の適当な検量解法が解かれる。それ故、本願発明はRBCを溶解せずに、そして試料に存在し得る種々のHb種の波長特定モル吸光係数を使用することなしに、全−Hbを求める方法を提供する。
本発明の一つの面では、Deoxy−Hbは試料を大気酸素に曝すことによりOxy−Hbに変換され、それによりOxy−HbとDeoxy−Hbを区別する必要がない。既知の”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度の試料は、ここで”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の割合は全−Hbの約95%である、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度と同じ数値の全−Hb濃度を有すると考えられる。同様に、約95%”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”を含む既知の全−Hb濃度の試料は全−Hb濃度と同じ数値の”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”濃度を有すると考えられる。
試料が大気酸素に暴露されるとDeoxy−Hbは急速に酸素を吸収してOxy−Hbへ変換されるので、用語“Oxy−Hb”と”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”は互換性がある。それ故、参照値は、Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”と標識されていても、Oxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”のいずれかの測定となることを理解されたい。
ヘモグロビンに対する一次検量解法を用意するために、目視では干渉剤がない60個の血清試料が使用まで冷蔵または冷凍保存された。十分な数がロバストな解法(複数可)を与えるに使用される限りもっと多くのまたはもっと少ない試料が使用され得る。ヘモグロビン(Hb)、イントラリピッド(IL)、ビリルビン(BR)およびビリベルディン(BV)が通常の血清に加えられて、それぞれ最終的濃度、0−6.1 g/L、0−5.1g/L、0−42.7g/L、および0―4.4g/Lが得られた。貯蔵Hbは、血液試料から血漿(全ての干渉剤を含まない)を置き換えて、水で容量を倍にし、3回凍結・解凍のサイクルを繰り返して細胞を溶解させて用意した。各サイクルの間、血液は冷凍庫で45―60分間放置され、その後取り出されて室温で30―45分間揺らし台に置かれた。
10000xgで10分間遠心分離をすることによりRBC残渣と未溶解RBCを除いた後、溶解物のHb含量はOxy−Hbを測定する分光方法で測定され、その方法は、ティチェ(臨床化学のティチェ 教科書、第3版、1999、第1674−1676頁)に記載される。Hbの信頼される測定はどれも使用され得る。典型的なヘモグロビン溶解物は約100g/L Hbを含む。CO−酸素計はHbの95%以上がOxy−Hb状態にあることを示唆する。貯蔵BVは、ビリベルディン・2塩化水素(シグマから得られる)を初めに、50%メタノール−50%水に溶解させ、そして更に燐酸塩緩衝塩水(PBS)で希釈することにより用意された。TRAVAMULSION(商品名)(クリテック−ネッスル&バクスターから好ましく入手される)として知られる貯蔵ILは、10%の濃度を有する。貯蔵BRは、ジタロ―ビリルビン(アメリカ、ユタ州、ローガンのポルフィリンプロダク社)の干渉剤を含まない血清に溶解させて500mg/L濃度とした。吸収スペクトルデータは異なるポリプロピレン投与チップを使用して60試料について記録された。60試料のうち、奇数番は検量の組で使用され、偶数番は確認の組として使用される。これらの一次検量の組はMet−HbまたはMBを含まない、それ故、これらの物質はHb測定における不正確さに寄与する。よりロバストな一次検量解法を得るためにMet−HbとMBは一次検量の組の吸収変化に含められる。RBCは溶解されるが、EMRの散乱は、イントラリピッド(商品名、IL)の形でキロミクロン粒子を試料に加えることにより再導入された。
一次検量解法の例示の要約は、例示されるがいかなる意味でも限定されない、ここで説明された方法を使用して表1に説明される。異なる物質、または試料容器等を使用して、そしてここに説明された方法を使用して、他の一次検量解法が容易に得られることを理解されたい。

表1:例1から7で示される一次検量解法に使用される波長、被検物質に従って配列されている。
Figure 2005274568
また、表1の最高と最低の波長は、504nmと1038nmであるが、しかし約300nmから約2500nmの範囲内の検量波長または、その範囲の波長が本発明の範囲内であることを理解されたい。

例1:Hbに対する検量解法
本発明で説明される方法を使用するHbに対する一次検量解法の例が以下で与えられる。解法は、それらが得られる条件が異なると、異なることを理解されたい。以下の例は従属変数として“g/L Hb”を示すが、従属変数はHbに関係する溶血の指標、たとえば、全−Hb、Oxy−Hbおよび”全−Hb マイナス Met−Hb”であることを理解されたい。溶血の真の指標は溶血の指標を測定するのに使用される参照方法と一次検量の組に含まれる物質の両方に依存する。本発明の他の面では、溶血の指標の修正をする方法が記載され、修正が溶血の指標に行なわれるか、または溶血の指標の値がフラッグ付けされて潜在的な誤差を示すかは、溶血の指標の必要な精度に依存する。全血のHbの測定は本発明の範囲内であると考えられることを理解されたい。
式1(使い捨てポリプロピレン投与チップを使用して得られる)
g/L=―16.8(1stDA584)+79.47(1stDA599)−60.95(1stDA617)+27
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式2(12mmポリプロピレン管を使用して得られる)
g/L=113.27(1stDA600)―182.94(1stDA618)−0.13
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
Hbの一次検量解法の他の例は、米国特許第6268910号明細書、米国特許第5846492号明細書、国際公開第98/39634号明細書および国際公開第97/47972号明細書に記載される。
式3(血液バック管を使用して得られる)
g/L=45.68(1stDA591)―47.48(1stDA653)−0.42
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式4(使い捨てプラスチック投与チップを使用して得られる)
g/L=15.89(1stDA600)―15.88(1stDA618)−0.21
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式5(使い捨てプラスチック投与チップを使用して得られる)
g/L=30.72(1stDA558)―17.40(1stDA570)+171.14(1stDA730)−0.72
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式6(半透明ピペットチップを使用して得られる)
(g/L)Hb=30.14(1stDA591)―27.98(610)
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。

例2:Hbベースの代用血液に対する検量解法
次ぎはHbベースの代用血液の一次検量解法の例であり、国際公開第98/39634号明細書に記載される。
式7(使い捨てポリプロピレン投与チップを使用して得られる)
g/L Hbベースの代用血液=23.97(1stDA541)―76.01(1stDA558)+130.84(1stDA600)−113.61(1stDA616)+0.30
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。

例3:ビリベルディンの検量解法
次のビリベルディンの一次検量解法の例は、米国特許第6268910号明細書、米国特許第5846492号明細書および国際公開第97/47972号明細書に記載される。
式8(血液バッグ管を使用して得られる)
mg/L BV=−45.40(1stDA649)+323.15(1stDA731)−493.79(1stDA907)−1.14
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式9(使い捨てプラスチック投与チップを使用して得られる)
mg/L BV=98.07(1stDA724)−122.73(1stDA803nm)+0.07
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式10(半透明ピペットチップを使用して得られる)
mg/L BV=160.29(1stDA718)−206.15(1stDA781)+1.42
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
例4:ビリルビンの検量解法
Hb>4g/LまたはIL<4g/Lのいずれかのため、吸光度は領域 約524nm、BR検量の第1波長である装置の限界に接近するために、Hb検量のために使用される試料の組は、典型的にはBR検量に使用されない。代わりに、60個の試料の別個の組が用意され、試験された。当業者は容易に理解するように、一次検量解法に使用される試料の組は、血清または血漿のような実際の患者の試料で遭遇する大部分の変化を含むに十分な大きさであるべきである。試料には予めHb、IL、BRおよびBVを通常の血清に加えて、それぞれ最終濃度を、0−2.6g/L、0−3.6g/L、0−37mg/L、および0−4.4mg/Lとした。異なるポリプロピレン製投与チップを使用して吸収スペクトルデータは60個の試料について記録された。60試料のうち、奇数番号は検量の組に使用され、そして偶数番号は確認のために使用された。貯蔵緩衝材は、Hbについて上で述べたように準備され、そしてBR濃度は係数1.23により調整された。係数1.23は、実際の黄疸にかかった血清と血漿試料を使用して確認の組から得られた回帰線の勾配から以前に求めた。Met−HbとMBはBR予測を妨害するとは期待されないが、しかし、もしもこれらが一次検量の組の吸光度変化に含まれるならば、これらはよりロバストな、一次検量解法を創出する助けは、なし得る。
式11(使い捨てポリプロピレン投与チップを使用して得られる)
mg/L BR=293.1(1stDA524)+327.8(1stDA587)−451.7(1stDA602)−7.5
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式12(12mm使い捨てポリプロピレン管を使用して得られる)
mg/L BR=406.04(1stDA534)+183.94(1stDA586)−2.27
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
次のビリルビンの一次検量解法の例は、米国特許第6268910号明細書、米国特許第5846492号明細書および国際公開第97/47972号明細書に記載される。
式13(血液バッグ管を使用して得られる)
mg/L BR=−43.03(1stDA504)+252.11(1stDA518)+240.03(1stDA577)−2.89
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式14(使い捨てプラスチック投与チップを使用して得られる)
mg/L BR=−24.88(1stDA495)+201.61(1stDA512)+44.98(1stDA578)−6.48
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式15(半透明ピペットチップを使用して得られる)
mg/L BR=142.09(1stDA511)+89.9(1stDA554)−4.47
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。

例5;濁度の検量解法
血清と血清の混濁は主に脂肪粒子、特にキロミクロンの存在による。イントラリピッド(商品名)(IL)は自然発生のキロミクロンを模擬する脂質エマルジョンであり、それ故、血清や血漿中の混濁を模擬するのに好ましく使用される。
Hbの貯蔵溶液は、未溶解RBCとRBC断片により有意な光拡散を示すので(脂質粒子のように)、HbとBR検量に使用した試料はIL検量には好ましくは使用しない。溶血物の遠心分離は未溶解RBCとRBC断片の全てを除去することができなかった。
40個のPBS(リン酸塩緩衝塩水)の試料に、10%イントラリピッド(商品名)を加えて、濃度0−20g/Lを得た。吸収スペクトルのデータは、異なるポリプロピレン製投与チップを使用して40試料について記録した。40試料のうち、奇数番号は検量の組に使用され、偶数番号は確認の組に使用された。ILのために使用される適当な波長は、約700nmから約1100nmの範囲である。
濁度は、IL濃度に相当する項で測定される。
式16(使い捨てポリプロピレン投与チップを使用して得られる)
ln(g/L IL)=1.867(A700)−0.447(A700)+0.041(A700)−1.33
ここで、(A)は特定された波長でのナノメートル表記の生の吸光度である。
式17(12mm使い捨てポリプロピレン管を使用して得られる)
g/L IL=2.72(A872)−3.88(A872)+1.70(A872)−1.33
ここで、(A)は特定された波長でのナノメートル表記の生の吸光度である。
次のILの一次検量解法の例は、米国特許第6268910号明細書、米国特許第5846492号明細書および国際公開第97/47972号明細書に記載される。
式18(血液バッグ管を使用して得られる)
g/L IL=432.42(1stDA988)+40.40(1stDA1038)+0.04
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式19(血液バッグ管を使用して得られる)
g/L BR=305.78(1stDA874)+1.12
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式20(使い捨てプラスチックチップを使用して得られる)
g/L IL=252.16(1stDA974)+0.24
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
式21(半透明ピペットチップを使用して得られる)
g/L IL=296.01(A900)−0.04
ここで、ここで、(A)は特定された波長でのナノメートル表記の生の吸光度である。
例6:Met−ヘモグロビンの検量解法
約95%Oxy−Hb、Met−Hb、MB、BVおよびILを含む新鮮な溶血物からなる29個の試料を使用して、テフロン(商品名)の試料ホルダーを使用する装置が検量された。BRはMet−HbまたはMBのいずれかを検量するのに使用される波長では光を吸収しないので、BRは試料に添加されなかった。Met−Hbはシグマ社からリンパ液化した形で購入され、リン酸塩緩衝塩水に再度変換された。上で述べたように、ここに記載される一次検量解法は、一次検量解法を解くのに伴う例示の作業である。
式22(テフロン製の試料ホルダーを使用して得られる)
g/L Met−Hb=69.88(1stDA645)+53.15(1stDA669)−1.17
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。

例7:メチレンブルーに対する検量解法
式23(テフロン製の試料ホルダーを使用して得られる)
mg/L MB=162.53(1stDA702)−112.58(1stDA759)−1.17
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
次のMBの一次検量解法の例は、米国特許第6268910号明細書に記載される。
式24(血液バッグ管を使用して得られる)
mg/L MB=56.04(1stDA677)+267.21(1stDA953)+4.49
ここで、(1stDA)は特定された波長でナノメートル表記の波長での測定による吸光度の1次導関数である。
ここに参照される一次検量解法は、段階的な多重線形回帰式の過程で得られる非限定の例示である。一次検量解法は、波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における検量された試料の吸光度のある次数の導関数、および単純線形回帰式、多重線形回帰および多変数解析からなる群から選ばれる統計処理を使用して解かれ、ここで、多変数解析は部分最小自乗法、主成分解析、神経網、遺伝解法なる群から選ばれる。たとえば、ILのために示されるように(例5、式18−20)如何なる次数の吸光度の導関数も使用し得ることを理解されたい。一次検量解法のロバストネスは一次検量波長の近傍で光を吸収するか拡散する一次検量の組における物質の混入に依存する。さらに、全−HbとMet−Hbに対する類似の検量解法は全血の全−HbおよびMet−Hbのために解かれ、それは上で述べたと同様の方法を使用し、血漿中の検量解法を解くことによる。
一次検量解法はまた以下のようにしても得られ得る:吸収スペクトルが複数の試料(一次検量の組)で得られ、それは一次検量解法が解かれる所定の被検物質の濃度範囲をカバーする。一次検量の組の試料は試料において期待される全ての吸光度変化を含み、ここで試料変化は一次検量解法に組み込まれる。多重線形回帰式は、ついで、独立変数としての特定波長における吸光度のある次数の導関数および従属変数としての被検物質の濃度を有する線形結合を解くために操作される。たとえば、ただ一つの波長を用いる単純線形回帰式、部分最小自乗法(PLS)、主成分解析、神経網、遺伝解析などの他の統計処理が使用され得る。このようにして得られた式が一次検量解法である。
全−Hbの場合は、独立変数の全−Hbは全−Hbを正確に測定し(すなわち、全てのHb種が計上される)、そして一次検量の組は好ましくはHb濃度範囲、すなわち、ゼロg/Lから分析範囲または動的範囲の上限値まで、たとえば、約0%から約100%の全−Hbまでの範囲、またはそのなかのいずれかの範囲を含む方法により測定されるべきである。追加すれば、試料のHbは好ましくは全てのHb種からなり、緩衝材も同様であるが、例示であり、如何なる意味でも限定されず、一次検量の組の中のビリルビン、ビリベルディン、およびメチレンブルーなどである。一次検量の組のいずれの試料も全てのHb種または全ての干渉物質を含む必要はない。各Hb種の値の範囲は全−Hbの0%から100%にわたることができる。本発明の一つの面では、丁度ここで述べた一次検量の組を使用して単一の検量解法が全−Hbに対して解かれる。
本発明の他の面では、丁度記載した一次検量の組の試料は、大気酸素に暴露され、Deoxy−HbはOxy−Hbへ変化し、大部分のDeoxy−Hb種を取り除く。このような条件下で,パーセント Oxy−Hbと、パーセント ”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”は、略等しく、そして用語Oxy−Hbと”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”は同じHb種を参照する。それ故、一次検量解法はOxy−Hbと”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”について解く。
一次検量の組の試料は好ましくは自然のものであるが(手を加えていない)、いくつかの被検物質は、所要の濃度を得るために添加される必要がある。Hb種の場合では、高濃度なMet−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbの試料を得るのは困難である。Met−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbの一つまたはそれ以上の濃度を高めるのが必要なときは、化学処理をすることができ、たとえば、例示されるが限定されない:
− 亜硝酸ナトリウム処理でHbをMet−Hbへ変換させる;
− 一酸化炭素処理でHbをCarboxy−Hbへ変換させる;および
− 硫化水素処理でHbをSulf−Hbへ変換させる。
上記の一つまたはそれ以上の処理の後、一つまたはそれ以上の全−Hb、Oxy−Hb、Deoxy−Hb、Met−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−HbはCO−酸素計で測定される(例えば、如何なる意味でも限定されないが、ロシェ ダイアグノシシ社から入手されるAVL OMNI)。
処理の前後で、試料、好ましくは同じ提供者からのものであり、は適宜の割合で混合され、被検物質の所望の濃度範囲が得られ、これにはRBC濃度の範囲が含まれる。好ましくは、パックされたRBCと血漿が地方の病院の血液銀行から得られ、RBCと血漿は異なる割合で混合されて所望の全−Hb濃度範囲が得られる。適合性あるRBCと血漿を使用することにより(血液型に関して)異なる提供者からのRBCと血漿でも使用され得る。
試料(検量の組)は、種々の量で、一つまたはそれ以上の干渉材、例えば、例示されるが如何なる意味でも限定されない、ビリルビン、ビリベルディンおよびメチレンブルーを添加され得る。干渉材の添加はよりロバストな(変動を受けない)一次検量解法の解を与える。一次検量の組はまた、Deoxy−Hbの濃度を最小化するために大気酸素に曝される。未知の被検物質の予測に使用される将来の試料がまた大気酸素に暴露されるものであるならば、これは好ましいものである。たとえば、全−Hbの測定方法では、好ましい試料は針で刺した毛細管全血試料であり、これはスペクトル測定に先立ち大気酸素に曝されている。Hb種の濃度同様、全−Hbは、またはそれぞれのHb種(Deoxy−Hb種を除く)の形にある全−Hbの割合は、ここに説明した方法を使用して報告され得る。Deoxy−Hbの濃度は”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の測定に含まれる。
全ての引用は、ここに参照として組み込まれる。
本発明はひとつまたはそれ以上の具体的態様で記述された。しかし、請求の範囲で規定される発明の範囲から逸脱することなしに多くの変形、変更がなされ得ることは当業者に明らかである。
x−軸に600−1000nmの範囲の波長とy軸に吸光係数の対数をプロットして4種の異なるヘモグロビンの吸収スペクトルを図示する。 x−軸に500−700nmの波長範囲と、y軸に各種の同一濃度における吸光度(吸光係数に相当する)をプロットして4種の異なるヘモグロビンの吸収スペクトルを図示する。 同じ血だまりからの全Hbの異なる濃度の吸収スペクトルを示す。全Hbは部分的酸化されてMet−Hbとすることができ、それも図示される。 分光装置における試料投入口と試料タブの斜視図を示し、本発明に従い使用される試料タブの種々の態様を示す。反射モードで使用される試料タブの下には反射鏡が配置される。 投入口に挿入された試料タブの側面図であり、本発明に従い使用される試料タブの種々の態様を示す。反射モードで使用される試料タブの下には反射鏡が配置される。 試料タブと投入口の斜視図を示し、本発明に従い使用される試料タブの種々の態様を示す。試料タブは、透過モードでの使用が示される。 試料投入口に挿入された試料タブの側面図を示し、本発明に従い使用される試料タブの種々の態様を示す。試料タブは、透過モードでの使用が示される。 図5に示される本発明の装置のより詳細を示し、試料投入口に挿入された試料タブの側面図を示す。 図5に示される本発明の装置のより詳細を示し、試料投入口に挿入された試料タブの正面図を示す。 本発明で使用する試料タブの種々の代替態様を示し、試料タブの斜視図を示す。 本発明で使用する試料タブの種々の代替態様を示し、試料タブの側面図を示す。 好ましい態様で使用される分光計614を示す(部分分解図による)。簡単のために、二つのホトダイオードだけが示される。 x−軸に480−640nmの範囲の波長とy軸に吸光係数をプロットして5種の異なるヘモグロビンの吸収スペクトルを図示する。 メチレンブルーの吸収スペクトルを示す。

Claims (26)

  1. 試料の全−Hbを測定する方法であって、以下からなり、
    i)一つまたは一つ以上の第1または第2の分光装置を使用して試料の吸光度を収集し、該装置はOxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、または”全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対する第1の一次検量解法およびMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対する一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法を備えるか、または第1の一次検量解法の項と一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法の項を合算することにより得られる第3の一次検量解法を備え;そして
    ii)次のいずれかを予測し:
    a)波長の標準の組の一つまたはそれ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数に第1の一次検量解法を適用することにより試料中のOxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または”全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対する第1の値を予測し、そして標準の組の波長の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数に第2の一次検量解法を適用することによりMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上に対する第2の値を予測し、そして第1の値と一つまたは一つ以上の第2の値を足して全−Hbの測定をなす;または
    b)波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における試料の吸光度のある次数の導関数に適用される第3の一次検量解法を使用して全−Hbを予測する;
    または
    iii)全−Hbに対する一次検量解法を備える一つまたは一つ以上の第1または第2の分光装置を使用して試料の吸光度測定を行い、試料は大気酸素に暴露されたものであり;そして
    iv)一次検量解法を、波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数に適用することにより全−Hbに対する値を予測して、全−Hbの測定をなす。
  2. 収集の段階(段階i))において、波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数を使用して第1の一次検量解法と一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法を生成し、Oxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、”全−Hb マイナス Met−Hb”、Met−Hb、Carboxy−Hb、Sulf−Hbの一つまたは一つ以上に対する既知の参照値を有する一つまたは一つ以上の一次検量の組を使用する一つまたは一つ以上の装置から得られ、波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数、既知の参照値および統計処理を使用して第1の一次検量解法はOxy−Hb−、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”または”全−Hb マイナス Met−Hb”の一つに対して生成され、そして、波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長の吸光度のある次数の導関数、既知の参照値および統計処理を使用して一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法はMet−Hb,Carboxy−HbまたはSulf−Hbに対して生成されることを特徴とする請求項1の方法。
  3. 第1の一次検量解法と一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法、または第3の一次検量解法が第2の装置にインストールされて、連動し、収集の段階(段階i)では、試料の吸光度は第2の装置で測定されて吸光度測定がされることを特徴とする請求項1の方法。
  4. 一次検量の組とは区別される独自の検量材の小さな組を使用して第1の一次検量解法と一つまたは一つ以上の第2の一次検量解法がアップグレードされる請求項3の方法。
  5. 一つまたは一つ以上の装置が第2の装置であり、データ前処理の段階が、収集段階(段階i)に続き、そして予測段階(段階ii)に先行するか、またはデータ収集段階(段階iii)に続いて、そして予測段階(iv)の前である請求項1の方法。
  6. データ前処理が、補間吸光度計算、吸光度平滑化、吸光度の1次または高次導関数の計算、乗法分散補正、データ変換、測光補正およびこれらの組合せからなる群から選ばれる処理である請求項5に記載の方法。
  7. i)もしも試料中のOxy−Hbの濃度が”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の濃度の95%を占めるならばOxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”および”全−Hb マイナス Met−Hb”の濃度は均等であるとみなされる;または
    ii)もしも試料中の”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の濃度または”全−Hb マイナス Met−Hb”の濃度が95%Oxy−Hbからなるならば、Oxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”および”全−Hb マイナス Met−Hb”の濃度は均等であるとみなされることを特徴とする請求項2の方法。
  8. 波長の標準の組が約300nmから約2500nmから選択される請求項2記載の方法。
  9. 一つまたは一つ以上の検量の組の試料がOxy−Hb、”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”、”全−Hb マイナス Met−Hb”、Carboxy−Hb、Met−HbおよびSulf−Hbの一つまたは一つ以上の0%から100%またはこの中のいずれかの値からなることを特徴とする請求項2の方法。
  10. 統計処理が、単純線形回帰式、多重線形回帰式および多変数解析からなる群から選ばれる請求項2の方法。
  11. 多変数解析が、部分最小自乗法、主成分解析法、神経網、および遺伝解法からなる群から選ばれる請求項10の方法。
  12. 試料が、全血、血清、血漿、尿、滑液、リンパ液、唾液、糞便または髄液の一つである請求項1の方法。
  13. 全−Hbが溶血の指標として使用される請求項12の方法。
  14. 吸光度測定に先立ち、試料が大気酸素に暴露される請求項1の方法。
  15. 全血中に存在する赤血球が吸光度測定に先立ち溶解されない請求項12の方法。
  16. 全−Hbは内因性Hbと外因性Hbの組合せであり、そして外因性Hbは一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液であり、Met−Hbは内因性Met−Hbと外因性Met−Hbの組合せであり、外因性Met−Hbは一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液のMet−Hb形である請求項1の方法。
  17. Met−Hbの量またはMet−Hbの形にある全−Hbの割合を測定して、試料中の一つまたは一つ以上のHbベースの代用血液の減成または減成の反対を監視する方法を与える請求項17の方法。
  18. Met−Hb形にある全−Hbの割合が、さらに同じ患者から時間を経過して逐次に採取される一つ以上の試料で測定され、そしてMet−Hbの量の増加またはMet−Hb形にある全−Hbの割合が代用血液の減成の指標であり、そしてMet−Hbの量の減少またはMet−Hbの形にある全−Hbの割合が代用血液の減成の反対の指標である請求項17の方法。
  19. 波長の標準の組が約300nmから約2500nmの範囲またはその範囲のいずれかの部分から選択される請求項17の方法。
  20. 獲得の段階(段階iii))で、既知の参照値を有する一次検量の組および統計処理を使用する一つまたは一つ以上の第1の装置から得られる波長の標準の組の一つまたは一つ以上の波長における吸光度のある次数の導関数を使用して全−Hbに対する一次検量解法が生成され、ここで、検量の組の各試料は分光測定の前に大気酸素に暴露され、そして既知の参照値がOxy−Hb、Deoxy−Hb、Met−Hb、Carboxy−HbおよびSulf−Hbの一つまたは一つ以上約0%から約100%からの値、またはこの範囲のいずれかの値である請求項1の方法。
  21. 一次検量の組が更に一つまたは一つ以上の干渉物質のゼロの値またはゼロを超える値を含む一つまたは一つ以上の試料を含む請求項20の方法。
  22. 一次検量解法が第2の装置にインストールされて連動し、獲得の段階(段階iii))では、試料の吸光度が第2の装置で行なわれて吸光度測定がなされる請求項19の方法。
  23. 第1の一次検量解法が吸光度測定値の獲得の前に一時検量の組とは別個の独自の検量材料の小さな組を使用してアップグレードされる請求項19の方法。
  24. 統計処理が、単純線形回帰式、多重線形回帰式、および多変数解析からなる群から選ばれる請求項19の方法。
  25. 多変数解析が、部分最小自乗法、主成分解析、神経網および遺伝解析からなる群から選ばれる請求項24の方法。
  26. 予測の段階(段階ii)ではOxy−Hbまたは”Oxy−Hb プラス Deoxy−Hb”の一つまたはMet−Hb、Carboxy−HbまたはSulf−Hbの一つまたは一つ以上が、それぞれ全−Hbの割合として測定される請求項1の方法。
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